(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基板同士を接合するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240930BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2022572804
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020068231
(87)【国際公開番号】W WO2022002346
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ツィナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァーゲンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マークス ズュース
(72)【発明者】
【氏名】トーマス プラッハ
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン マリンガー
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/147343(WO,A1)
【文献】特表2016-526299(JP,A)
【文献】特開2013-008804(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093284(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0013643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
H01L 21/603
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(7)を湾曲させるための基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)であって、
前記基板(7)を取り付けるための固定プレート(3)と、
前記固定プレート(3)を湾曲させるための湾曲手段(6,6’,6’’)と
、
前記固定プレート(3)を支持する少なくとも1つの支持部(2,2’)と、
を有し、
前記固定プレート(3)は、前記基板(7)の湾曲が目標に合わせて調整可能であるように形成されており、
前記支持部(2,2’)は、前記固定プレート(3)の周縁部近傍において、前記固定プレート(3)の一方の表面(3f)または両方の表面(3f、3h)に接しており、これにより、前記固定プレート(3)は枢動自在に
前記支持部(2,2’)によって支持されていることを特徴とする、基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項2】
前記固定プレート(3)の厚さは変化している、請求項1記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項3】
前記基板(7)の均一な湾曲が調整可能である、請求項1から2までの
いずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項4】
前記固定プレート(3)の裏側面は、前記固定プレート(3)の均一な湾曲が生じるように成形されている、請求項1から3までの
いずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項5】
前記固定プレート(3)の湾曲時に発生させられる反作用力が、少なくとも1つの補償手段(3’
)によって補償可能である、請求項1から4までの
いずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項6】
前記固定プレート(3)は、中央において縁部よりも肉厚である、請求項1から5までの
いずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項7】
前記固定プレート(3)は、縁部に向かって薄くなるように形成されている、請求項1から6までの
いずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項8】
前記固定プレート(3)は、中心に対して対称的に形成されている、請求項1から7までの
いずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)。
【請求項9】
請求項1から8までの
いずれか1項記載の少なくとも1つの基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)を有する装
置。
【請求項10】
2つの基板(7)同士を接合するための方法であって、
- 第1の基板を第1の、請求項1から8までのいずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)に取り付けるステップと、
- 第2の基板を第2の、請求項1から8までのいずれか1項記載の基板ホルダ(1’,1’’,1’’’,1’’’’)に取り付けるステップと、
- 前記基板(7)を互いにアライメントするステップと、
- 前記基板(7)のうちの少なくとも一方の基板を湾曲させるステップと、
- 前記基板(7)同士を接触させるステップと
を有し、
前記基板(7)のうちの少なくとも一方の基板の湾曲を目標に合わせて調整することを特徴とする、方法。
【請求項11】
少なくとも一方の基板(7)の湾曲を均一に調整する、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々の独立請求項に記載の基板ホルダ、2つの基板同士を接合するための装置および方法を説明する。
【0002】
先行技術には、数多くの種々異なる基板ホルダが示されている。特にフュージョン接合では、ますます高くなる接合過程の要求に即応するために、基板ホルダが、ますます複雑かつ精巧になっている。国際公開第2012083978号には、熱電対、圧電素子または流体要素を用いたアクティブな制御によって、局所的かつ/または全体的な歪みを補償することができる基板ホルダが述べられている。国際公開第2013023708号の基板ホルダには、基板の裏側面を可能な限り汚染しないようにするための可能性と、固定要素を目標に合わせて制御することによって基板をリリースするための方法とが示されている。国際公開第2017162272号には、基板ホルダが示されている。この基板ホルダは複数の固定ゾーンを有している。これらの固定ゾーンは、特に基板ホルダにわたって対称的に分配されていて、個々に切り換えることができる。国際公開第2018028801号には、基板を、半径方向対称ではなく、一軸方向で固定し、その一軸方向の湾曲でリリースもする方法が示されている。国際公開第2014191033号には、基板ホルダが開示されている。この基板ホルダの表面は湾曲させられているかもしくは湾曲可能であり、これによって、表面に固定された基板が、接合前および/または接合中に不均一な湾曲を伴っている。国際公開第2014191033号の特に第9頁には、調整可能な湾曲が均一な湾曲ではない、つまり、不均一な湾曲であることが述べられている。各新世代の基板ホルダによって、より良好かつ迅速な接合結果が得られた。しかしながら、この接合結果は、更なる技術的な改善によって相変わらず最適化することができる。そうこうしているうちに、1回の接合過程において2つの基板ホルダが極めて重要であることが判っている。特に1回のフュージョン接合において連続する接合ウェーブの制御は、適正な接合結果のために極めて重要である。制御には、特に接合過程に関与する基板を湾曲させる技法によっても影響が与えられる。
【0003】
先行技術における複数の問題のうちの1つは、基板が固定される表面だけが適切に規定されて湾曲させられるのでなく、基板ホルダの別の構成部分も湾曲工程中に機械的に影響を受け、特に湾曲させられてしまうことにある。構成技術的には、中実構造形態、つまり、大きな曲げ抵抗を有する極めて肉厚かつ中実な部材から成る構成における基板ホルダも可能ではある。しかしながら、たいていの基板ホルダは、小さくかつコンパクトに、つまり、比較的精巧に構成されなければならず、したがって、必然的に比較的小さな曲げ抵抗を有している。この場合、この小さな曲げ抵抗によって、基板ホルダの、本来湾曲させられるべきではない幾つかの部分が、望ましくない形で僅かに弾性変形してしまうことがある。この弾性変形および湾曲は、基板が固定される表面である固定プレート表面に反作用し、したがって、基板の湾曲に影響を与えてしまう。ここで述べておく必要があるが、生じる弾性変形は、当然ながら、ナノメートルまたはマイクロメートル範囲でしか起こらないが、固定された基板およびその湾曲にマイナスの反作用を与えてしまうには、このオーダの弾性変形ですでに十分である。
【0004】
基板ホルダにフライス削り、研削、研磨、エッチングおよびラッピングプロセスによって、湾曲させられた均一な固定表面を形成し、これによって、この固定表面に固定された基板も同様に均一な湾曲を伴うことが可能である。しかしながら、この固定表面は静的であり、湾曲を変えることができない。他方、国際公開第2014191033号のように、確かに固定表面を湾曲させることができる基板ホルダを構成することも可能ではある。しかしながら、こういった基板ホルダでは、固定表面の湾曲ひいては基板の湾曲を位置の関数として目標に合わせて調整すること、特に一定に保つことが極めて困難であることが判っている。特に基板の均一な湾曲の調整は極めて困難であり、決して実施することができないかまたは少なくとも再現可能には実施することができない。
【0005】
本発明の解決すべき課題は、先行技術の欠点を排除し、特に、改善された基板ホルダ、接合のための改善された装置および改善された方法を提供することにある。
【0006】
この課題は、各々の独立請求項の特徴によって解決される。本発明の有利な改良形態は従属請求項に記載してある。本発明の範囲には、明細書、特許請求の範囲および/または図面に記載した複数の特徴のうちの少なくとも2つの特徴から成る全ての組合せも含まれる。記載した数値範囲では、記載した限界の範囲内にある数値も限界値として開示したものと見做し、任意に組み合わせて請求可能であるものとする。
【0007】
技術的に重要なのは、特に基板ホルダが基板を目標に合わせて調整可能に、特に均一に湾曲させるように、基板ホルダを構成することである。
【0008】
本発明は、基板を湾曲させるための基板ホルダであって、
- 基板を取り付けるための固定プレートと、
- 固定プレートを湾曲させるための湾曲手段と
を有し、
固定プレートは、基板もしくは固定プレートの湾曲が目標に合わせて調整可能であるように形成されている、基板ホルダに関する。
【0009】
固定プレートは、基板が取り付けられている表側面と、この表側面と反対側の裏側面とを有している。固定プレートは、幅、長さおよび厚さを有している。別の実施の形態では、固定プレートは半径方向対称に設計されていて、この場合には、半径および厚さを介して規定される。幅および長さは、固定プレートの、基板が固定される表側面における固定プレート表面の方向に延在している。厚さは、固定プレート表面に対して垂直に延在している。
【0010】
好適には、固定プレートの厚さは変化している。つまり、厚さは各々の箇所で等しくなく、固定プレートは、この固定プレートの少なくとも1つの箇所で別の箇所よりも肉厚である。特有の構成/好適な形態を引き続き説明する。
【0011】
好適には、固定プレートもしくは基板の均一な湾曲が調整可能であることが特定されている。
【0012】
好適には、固定プレートが枢動自在に支持されていることが特定されている。
【0013】
「目標に合わせて調整可能」とは、湾曲の数値を確定することができることを意味している。「均一」とは、湾曲の数値が確定されているときに、この湾曲が固定プレートもしくは基板のあらゆる位置において極めて小さな誤差の範囲内で等しい、つまり、一定であることを意味している。
【0014】
好適には、固定プレートの裏側面は、固定プレートの均一な湾曲が生じるかまたは固定プレートもしくは固定プレート表側面ひいては基板の均一な湾曲ひいてはあらゆる位置において等しい湾曲が調整可能であるように成形されている。
【0015】
好適な実施の形態であるものの、また、独立した本発明の態様として、基板ホルダは、固定プレートの湾曲時に発生させられる反作用力および/またはモーメントが、少なくとも1つの補償手段によって補償可能であるように構成されている。
【0016】
独立した本発明の態様として、本発明は、基板を湾曲させるための基板ホルダであって、
- 基板を取り付けるための固定プレートと、
- 固定プレートを湾曲させるための湾曲手段と
を有し、
固定プレートの湾曲時に発生させられる反作用力が、少なくとも1つの補償手段によって補償可能である、基板ホルダに関する。
【0017】
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明に係る基板ホルダを有する装置、特に接合装置に関する。
【0018】
本発明は、さらに、2つの基板同士を接合するための方法であって、
- 第1の基板を第1の、特に本発明に係る基板ホルダに取り付けるステップと、
- 第2の基板を第2の、特に本発明に係る基板ホルダに取り付けるステップと、
- 基板(7)を互いにアライメントするステップと、
- 基板(7)のうちの少なくとも一方の基板を湾曲させるステップと、
- 基板同士を接触させるステップと
を有し、
基板のうちの少なくとも一方の基板もしくは固定プレートの湾曲を目標に合わせて調整し、好適には均一にする、方法に関する。
【0019】
好適には、独立した本発明の態様として、固定プレートを湾曲させる際、残りの構成部分に発生させられるモーメントおよび/または反作用力が補償されるものの、好ましくは、最初から固定プレートに決して伝達されないかまたはほんの僅かしか伝達されない。
【0020】
したがって、本発明の別の独立した態様は、2つの基板同士を接合するための方法であって、
- 第1の基板を第1の、特に本発明に係る基板ホルダに取り付けるステップと、
- 第2の基板を第2の、特に本発明に係る基板ホルダに取り付けるステップと、
- 基板を互いにアライメントするステップと、
- 基板のうちの少なくとも一方の基板を湾曲させるステップと、
- 基板同士を接触させるステップと
を有し、
固定プレートを湾曲させる際、残りの構成部分に発生させられるモーメントおよび/または反作用力が補償されるものの、好ましくは、最初から固定プレートに決して伝達されないかまたはほんの僅かしか伝達されない方法に関する。好適には、このことは、反作用力および/またはモーメントを可能な限り伝達しないかもしくは極めて僅かしか伝達しない支持部の使用によって実現される。
【0021】
好適には、固定プレートが、中央において縁部よりも肉厚であることが特定されている。これによって、有利には、固定プレートと基板との特に均一な湾曲を達成することができる。好適には、固定プレートが、縁部に向かって薄くなるように形成されている。好適には、固定プレートが、中心に対して対称的に形成されていることが特定されている。
【0022】
本発明による主要な態様は、特に目標に合わせて調整することができる湾曲を基板に付与することができることにある。特に一定の、つまり、均一な曲率半径を有する湾曲を発生させることが可能となる。一定の湾曲を生じさせることは、接合を形成するための本発明による最も好適な手法である。実施の形態の本発明による拡張によって、ニュートンの第3の公理に従って必然的に常に生じる反作用力が、基板を固定するプレートに機械的な連結部を介して結合された基板ホルダの構成部分によって吸収されるのではなく、補償プレートである第2のプレートによって吸収される。この第2のプレートは基板ホルダの内部に位置していて、第1のプレートと一緒に自由に(枢動自在に)支持されている。つまり、理想的には、モーメントは全く伝達されることがないかまたは極めて僅かしか伝達されることがない。
【0023】
「湾曲」とは、負荷がかけられていない出発状態からの物体の形状の逸脱であって、特に、物体の中心線または中心面の位置が負荷下で変化していることを特徴とする逸脱を意味している。
【0024】
湾曲は、曲線のある点に対する曲率半径の逆数として最も簡単に説明される。ある点における曲率半径は、この点を通る曲線への接触円の半径である。曲率半径が大きいほど、湾曲は小さい。
【0025】
半導体産業には、「ボウ」(英語:bow)という表現がまだ存在している。「ボウ」とは、基準平面の中央面からの、クランプされていない自由な基板、特にウェーハの基板の中央面の中心点の偏差を意味している。基準平面は、単純には、水平な平坦な平面であり、この平面に基板が挟持されて載置される。正確な定義は、現在では使われていないASTM F534規格にある。
【0026】
以下の文面では、曲げ線および曲げ面を同義語として使用する。なぜならば、特に本発明に係る基板ホルダが、図面には、好ましくは横断面図で示してあり、したがって、曲げ面の代わりに、曲げ線しか認めることができないからである。当該分野における当業者には、三次元の物体の二次元の表面が、一般的には曲げ面を有しており、このような曲げ面の横断面図には、曲げ線しか認めることができないかもしくは描くことができないことが自明である。
【0027】
基板ホルダおよび方法の特に好適な本発明による実施の形態では、基板が一定の湾曲で湾曲させられる。つまり、湾曲は、基板のあらゆる位置で等しい。この場合、湾曲は均一とも呼ばれる。基板の一定の湾曲は、2つの基板の間に特に最適な接合を形成する。このような湾曲は、特に反作用力および/またはモーメントが別の構成部分を介して固定プレートに反作用しない場合に達成することができる。好適には、このことは、反作用力および/またはモーメントの伝達を全く可能にしないかもしくは極めて僅かしか可能にしない支持部の使用によって実現される。
【0028】
一般的には、湾曲は基板にわたって変化していてもよい。しかしながら、好ましくは、湾曲は半径方向対称である。つまり、湾曲は、基板の中心から測定して、半径方向の位置でのみ変化し、角度では変化しない。異方性の湾曲を形成する基板、つまり、一般的に半径位置および角度で変化する湾曲を有する基板は、鞍形表面を形成する特性を有している。しかしながら、本発明による固定プレートの剛性、特に本発明に係る基板ホルダ全体の剛性は、基板の剛性よりも十分に大きく、基板は固定要素によって固定プレートに固定されるので、基板が固定プレートにあらゆる点で接触することを前提とすることができる。この場合には、鞍形表面の形態の湾曲の発生を許容しない強制条件によって、基板に残留応力が生じることもある。
【0029】
プレートもしくは基板の曲率半径は、0.01mよりも大きく、好ましくは0.1mよりも大きく、さらに好適には1mよりも大きく、最も好適には10mよりも大きく、この上なく好適には100mよりも大きい。
【0030】
曲げ線もしくは曲げ面に沿った曲率半径が一定でない場合、最大の曲率半径と最小の曲率半径との間の差の絶対値は、lm未満、好ましくは0.1m未満、さらに好適には0.01m未満、最も好適には0.001m未満、この上なく好適には0.0001m未満である。
【0031】
ボウは、1000μm未満、好ましくは500μm未満、さらに好適には100μm未満、最も好適には10μm未満、この上なく好適には1μm未満である。
【0032】
好ましくは、本発明による実施の形態および本発明に係る方法は、横断面形状における表面もしくは曲げ線を以下の数学的な関数、つまり、
・ 楕円区分、好ましくは
○ 円区分
・ 放物線
・ 双曲線
・ 正弦、特に数値範囲[0,Pi]
・ 負の双曲線余弦
のうちの1つの関数によって説明することができるように基板を湾曲させることができる。
【0033】
この場合、曲げ面は、特に以下の関数、つまり、
・ 楕円面区分、特に
○ 円曲面区分(Kreisschalenabschnitt)
・ 放物面
・ 双曲面
のうちの1つの関数によって説明することができる。
【0034】
したがって、一般的には、曲げ面は、曲げ線の回転により生じる表面である。
【0035】
上述した全ての可能な曲げ線形状もしくは曲げ面形状のうち、均一な湾曲を有する形状、つまり、円区分もしくは円曲面区分が最も好適である。
【0036】
均一な湾曲のこの好適な調整可能性は、固定プレートの、正確に規定されると共に精密に製作された中空室側プレート表面によって得られる。固定プレートの、規定されると共に精密に製作された中空室側プレート表面の製作によって、固定プレートの固定表面ひいては基板の最終形状が正確に規定される。固定プレートの中空室側プレート表面の形状を決定するために、特に計算法、好ましくは有限要素法が使用される。固定プレートの中空室側プレート表面の形状は、特に上述した数学的な関数のうちの1つの関数によって説明することができる。
【0037】
しかしながら、固定プレートの、製作すべき中空室側プレート表面の実際の形状は、多くの要因、つまり、
- 固定プレートの曲げ抵抗
- 基板ホルダ全体の曲げ抵抗
- 使用される湾曲手段、特に
- 流体の使用時に使用される流体圧
- その他
に左右される。
【0038】
本発明による思想は、特に、固定プレートのただ1つの剛性の中空室側プレート表面だけを精密に製作し、その後、制御可能な調整手段によって中空室側プレート表面でもって固定プレートの固定表面ひいては基板に対してあらゆる湾曲を調整することができ、特に、これによって、基板における湾曲が均一になる、つまり、あらゆる位置で等しくなるということにある。
【0039】
本発明によれば、固定プレートの、精密に製作された中空室側プレート表面を提供することを介して基板を目標に合わせて調整可能に湾曲させるこの方法は、固定プレートの湾曲時の機械的な反作用を減じるかもしくは完全に阻止するために少なくとも1つの補償手段が使用されることによって、さらにアシストされると共に改善される。
【0040】
好適には、少なくとも1つの補償手段が、特に湾曲可能な補償プレートを備えることが特定されている。
【0041】
好適には、補償プレートが、固定プレートの湾曲と逆方向に湾曲可能であることが特定されている。
【0042】
好適には、固定プレートと補償プレートとの間に、好適には密封された中間室が形成可能であることが特定されている。
【0043】
好適には、固定プレートと補償プレートとの湾曲が、中間室に押込み可能である流体によって発生可能であることが特定されている。
【0044】
好適には、中間室が、流体手段、機械式の調整手段および/または静電力によって形成可能であることが特定されている。
【0045】
好適には、固定プレートと補償プレートとが、好適には枢動自在な支持部を介して互いに結合されていることが特定されている。
【0046】
好適には、固定プレートと補償プレートとが、好適には枢動自在な支持部を介して基板ホルダの残りの構成部分に結合されていることが特定されている。
【0047】
好適には、固定プレートおよび/または補償プレートの周縁部を介して、僅かなモーメントしか伝達可能でなく、好適には、モーメントが伝達可能でないことが特定されている。伝達されるモーメントは、1Nm未満、好ましくは10-3Nm未満、さらに好適には10-5Nm未満、最も好適には10-7Nm未満、この上なく好適には0Nmである。
【0048】
好適には、補償プレートがその外側の領域に、好適には全周にわたる閉じられた溝を有することが特定されている。この溝と補償プレートの外側の周縁部との間の間隔は、50mm未満、好ましくは40mm未満、さらに好適には30mm未満、最も好適には20mm未満、この上なく好適には10mm未満である。
【0049】
好適には、補償プレートがその外側の領域に、シール手段、好適にはシールリングを有し、このシール手段が、好適には、特に全周にわたる閉じられた台座に配置されていることが特定されている。シールリングによって、1barよりも大きい、好ましくは1.2barよりも大きい、さらに好適には1.5barよりも大きい、最も好適には2barよりも大きい、この上なく好適には2.5barよりも大きい圧力の発生が可能となる。
【0050】
好適には、少なくとも1つの補償手段が、固定プレートの枢動自在な支持部を備えることが特定されている。つまり、反作用力および/またはモーメントを本発明に係る基板ホルダの別の構成部分から固定プレートに伝達することができない枢動自在な支持部が、本開示の意味での補償手段とさえ見做される。
【0051】
本発明の別の好適な実施の形態の根底には、特に、それぞれ逆向きの2つの方向に湾曲することができる2つのプレートを有する基板ホルダを構成するという思想がある。この場合、湾曲は、調整手段(以下では湾曲手段とも呼ぶ)、特に両方のプレートの中間室に押し込まれる流体の使用によって行われる。2つのプレートの使用によって、第1のプレートの変形により発生させられた反作用力が、第1のプレートを保持する基板ホルダの下側に作用するのではなく、本発明により組み込まれた第2のプレートに作用する。これによって、基板ホルダひいては基板への反作用力の、有害となる影響を与える反作用が排除される。むしろ、反作用力は、基板ホルダの方向に自由に変形することができる第2のプレートによって吸収される(補償される)。さらに、本発明は、装置であって、本発明に係る基板ホルダを装置の少なくとも1つの側で使用する装置、特に接合装置を説明する。
【0052】
基板ホルダ
以下に、本発明に係る基板ホルダを詳細に説明する。調整可能な、特に均一な湾曲を発生させることができる全ての構成技術的な手段を理解することが特に重要である。さらに、上側のプレートに反作用する力およびモーメントならびにそれらの回避を理解することができる構成技術的な手段を開示する。
【0053】
全ての本発明に係る基板ホルダは固定表面を有している。この固定表面は、特に固定プレートの一部である。この固定プレートは、固定表面と反対の側に位置する中空室側表面を有している。好適には、この中空室側表面は、数学的な関数に従って成形されている。中空室側表面の形状は、調整要素の使用によって、適切に規定可能な、特に均一な湾曲を生じさせる。
【0054】
てこに作用する力の法線方向成分は、てこの作用点にモーメントを発生させる。本発明の説明を簡単にするために、以下の文面では、生じた力がモーメントも発生させるにもかかわらず、常に力についてのみ言及する。モーメントの和と力の和とはゼロでなければならない。これに基づき得られる全ての結果も、これをもって開示されているものと見做す。
【0055】
本発明に係る基板ホルダは、好ましくは、力が上側の第1のプレートを湾曲させ、その際に生じた反力が、プレートを支持もしくは保持する構成部分を介して吸収されるのではなく、吸収のために固有に設けられた補償構成部材、特に下側の第2のプレートを介して吸収されるように常に構成されている。この場合、下側の第2のプレートは、基板ホルダの残りの構成部分に機械的に全く結合されていなくてもよいし、極めて弱くしか結合されていなくてもよい。なぜならば、さもないと、下側の第2のプレートが初めからやはり上側の第1のプレートに機械的に連結されていて、モーメントを伝達してしまうからである。特徴的な特徴は、特に両方のプレートの周縁部を介してモーメントが全く伝達されることがないかまたは少なくとも極めて僅かしか伝達されることがないことにある。つまり、プレートと、必要となる幾つかの別の機械要素とは、周縁部において可能な限り理想的な可動支持部、特に可能な限り理想的な枢動部を形成していなければならない。
【0056】
したがって、特有の好適な実施の形態では、本発明に係る基板ホルダが、湾曲可能に、特に枢動自在に支持されている少なくとも2つのプレートから成っている。
【0057】
第1の特有の好適な本発明による実施の形態では、プレート自体が、電位に置かれ、表面電荷を発生させ、プレートを湾曲させるための静電力を生じさせることによってプレートの湾曲を発生させる調整要素である。この場合、プレートは、互いに電気的に絶縁されている。このような絶縁は、基板の周縁部における表面が誘電性の材料から成っているかもしくは誘電性の材料でコーティングされていることにあってよい。
【0058】
プレートの別の部分領域、特にプレートの、互いに向き合わされた表面における部分領域は電気的である、つまり、導電性である。特にプレート全体はその絶縁性の縁領域を除いて導電性である。両方のプレートはアースに対して、特に正の電位に置かれてよい。また、両方のプレートをアースに対して負の電位に置くことも可能である。両方のプレートの同じ極性の帯電によって、両方のプレートは互いに反発し合う。プレートがその周縁部で電気的に絶縁されていないとすると、電荷が両方のプレートの外側の表面に移動してしまう。両方のプレートの、中空室に面した内側の表面に電荷が存在せず、中空室が無電場となってしまう。
【0059】
これに相応して、プレートは、本発明に従って外向きに湾曲することができなくなってしまう。したがって、電位にもたらされる両方のプレートの電気的な絶縁が、この極めて特有の実施の形態の主要な本発明による態様となる。本発明による実施の形態の特有の拡張形態では、両方のプレートの、互いに電気的に絶縁される領域が導電性であってよく、これらの導電性の領域の各々が、個々にかつ別の電気的な領域から独立して、適切に規定された電位に置かれてよい。これによって、プレート同士の反発を局所的に正確に調整することが可能となる。導電性の領域の区分けが細かいほど、調整可能な湾曲の空間分解能がより正確になる。
【0060】
第2の特有の好適な本発明による実施の形態では、両方のプレートが、プレート同士の間に位置する機械式の調整要素によって湾曲させられる。この機械式の調整要素は、電気的および/または空気圧的および/または液圧的に作動させられてよい。特に好適には、調整手段として圧電式のスタックが使用される。特に、プレート同士の間の複数の、特に対称的な位置にある複数のこのような機械式の調整要素の使用もやはり可能である。この場合、好ましくは、やはり調整手段の各々が、別の全ての調整手段から独立して調整されてよい。
【0061】
第3の特有の特に好適な本発明による実施の形態では、プレートが、中間室内に導入される、特に圧送される流体によって湾曲させられる。この流体は、液体、液体混合物、ガスまたはガス混合物である。この上なく好適には、流体は空気である。これによって、両方のプレートの特に対称的な湾曲が達成される。
【0062】
特有の本発明による実施の形態の背後にある本発明による思想は、特に、下側のプレートが自由に伸長することができ、基板ホルダの残りの構成部分に力および/またはモーメントが伝達されず、これによって、基板ホルダが変形させられないことにある。特に、第1のプレートである固定プレートの湾曲ひいてはこれに固定された基板の湾曲が、機械的に反作用するモーメントもしくは機械的に反作用する力によって変化させられるべきではない。
【0063】
プレート
本発明に係る基板ホルダは、特に裏側面において特有に成形された少なくとも1つのプレートを有している。特有の本発明による実施の形態では、基板ホルダは2つのプレートを有している。
【0064】
基本的な2種類のプレート、つまり、固定プレートと補償プレートとが存在している。固定プレートは、湾曲させるべき基板が固定されるプレートである。補償プレートは、調整手段の力および/またはモーメントの吸収の本発明による効果を引き受けて、基板ホルダの別の構成部分への機械的なフィードバックを十分に阻止するプレートである。特にプレートの支持部も、力および/またはモーメントを別の構成部分から固定プレートに伝達しないための重要な役割を担っている。
【0065】
両方のプレートの間のスペースは中空室と呼ばれる。全てのプレートは、中空室側プレート表面と、この中空室側プレート表面と反対の側に位置していて、プレートの機能に応じて種々異なる形で使用される第2のプレート表面とを有している。
【0066】
中空室側プレート表面は、常に両方のプレートの間の中空室に面している表面である。特に好適な本発明による実施の形態では、中空室側プレート表面が特有に成形されている。特に基板を固定するプレートの中空室側プレート表面が、プレートの湾曲特性ひいては基板の湾曲特性にプラスの影響を与える適切に規定された形状を有している。
【0067】
固定プレートの中空室側プレート表面と補償プレートの中空室側プレート表面との間に区別が必要である場合には、両者は相応して中空室側固定プレート表面および中空室側補償プレート表面と呼ばれる。中空室側プレート表面は任意に成形されていてよいものの、好ましくは、すでに曲げ線もしくは曲げ面を説明するにあたり使用した関数に従って説明することができる。したがって、曲げ線および/または曲げ面に対して開示した全ての関数が、中空室側プレート表面の説明に対しても開示されているものと見做される。
【0068】
基板を固定するプレート表面は、固定プレート表面と呼ばれる。したがって、固定プレート表面は、常に固定プレートにしか存在することができない。
【0069】
固定プレート表面は、基板を固定するための固定手段を有している。固定手段は、特に
1. 機械式の固定手段、特に
1.1. クランプ
2. 真空固定手段、特に
2.1. 個々に制御可能な真空路を有する
2.2. 互いに接続された真空路を有する
3. 電気式の固定手段、特に
3.1. 静電式の固定手段
4. 磁気式の固定手段
5. 付着性の固定手段、特に
6. Gel-Pak社製の固定手段および/または
7. 付着性の、特に制御可能な表面を有する固定手段
である。
【0070】
固定手段は、特に空気圧的および/または液圧的および/または電子的に制御可能である。
【0071】
真空固定手段は、好適な種類の固定手段である。真空固定手段は、好ましくは、基板ホルダの表面に進出する複数の真空路から成っている。これらの真空路は、好ましくは個々に制御可能である。技術的にむしろ実現可能な用途では、幾つかの真空路がまとめられて、真空ゾーンが形成されている。この真空ゾーンは個々に制御可能であり、したがって、排気またはフラッディングすることができる。ただし、各々の真空ゾーンは別の真空ゾーンに左右されない。これによって、個々に制御可能な真空ゾーンの構造の可能性が得られる。真空ゾーンは、好ましくは環状に構成されている。これによって、基板ホルダからの基板の、特に内側から外側に向かって実施される、目標に合わせた半径方向対称な固定および/またはリリースが可能となる。
【0072】
更なる改善形態では、環状に区分けされた真空ゾーンが、環状周に沿ってさらに区分けされ、これによって、各々の真空ゾーンが、環状周に沿って複数の真空ゾーンに分割される。このような実施の形態は、国際公開第2017162272号に詳細に開示されている。
【0073】
全く特に好適な本発明による実施の形態では、固定プレート表面に、いわゆる複数のピン(英語:pins)が位置している。国際公開第2015113641号には、このような構造が述べられている。これらのピンによって、基板が、全面で載置されるのではなく、固定表面に大部分ピンでのみ接触する。これによって、1つには、汚染が減じられ、もう1つには、ピン同士の中間室内に固定プレートの固定面全体に沿って真空を形成することができる。特にピンは、すべに述べた真空ゾーンにグループ分けされている。この実施の形態も同じく国際公開第2017162272号に詳細に開示されている。特に、ピンと、固定プレートに分配されていて、特に個々に制御することができる真空ゾーンを形成する真空導通路とのグループ分けは、これでもって明示的に開示され、本来の本発明による思想に関連して、本発明に係る基板ホルダの重要な改善形態を成している。
【0074】
特にそれぞれ少なくとも1つの真空孔を通して排気もしくはフラッディングすることができる、国際公開第2017162272号に記載の真空ゾーンの上述した使用は、本発明による思想の、有利であると共に重要な特殊な拡張形態と見做されるにもかかわらず、以下の文面では、極めて少ない個数の真空孔が固定プレート表面における、特に中央に位置する固定法によって、本発明に係る基板ホルダを説明する。
【0075】
基板の固定が真空固定手段によって行われる本発明による実施の形態では、真空が、基板と固定プレート表面との間に、好ましくは複数の真空孔を介して発生させられる。これらの真空孔は、円の中心点が固定プレートの中心である円に沿って穿孔されている。これによって、複数のピンを備えた基板ホルダ(英語:pins chuck)の使用に際して、複数のピンのうちの1つピンを固定プレートの中心に正確に位置決めすることが可能となる。このことは、接合結果に明確にプラスの影響を与える。正確な説明および図示は、図面の説明および図面において行う。したがって、両方の基板が最初に接触し合う位置の真下に複数のピンのうちの1つのピンを有する、複数のピンを備えた基板ホルダを開示することが、本発明による更なる特徴である。両方の基板の接触点の下方のこのような1つのピンによって、この点において基板が機械的に安定させられる。この点から接合ウェーブが進行し始めるので、このような1つのピンと、固定プレート表面に対して法線方向の線に沿った接触点との合致は、接合ウェーブの安定した開始のために重要である。接触箇所の真下のピンの効果を明示しておくと、このピンは接触箇所の下方において、この点での基板の押通しを阻止し、ひいては、安定した機械的な出発状況を発生させるようになっている。
【0076】
第2のプレートは補償プレートである。この補償プレートは、好ましくは、外側の領域に設けられた全周にわたる閉じられた溝を有している。この溝は、下側のプレートの湾曲が完全にその縁部にまで続くのではなく、主にこの溝にまで続くように働く。つまり、溝は、湾曲が周縁部に達する前に湾曲を阻止する。これによって、基板ホルダへの相変わらず起こり得る小さな反作用がさらに減じられ、さらに減じられる。周縁部での補償プレートの支持が、モーメントが伝達されないほど良好である場合には、相応の溝は省略されてもよい。それにもかかわらず、本来、このような溝の構成は常に有利である。補償プレートは、好ましくは、シール手段、特にシールリングも支持している。シール手段は、好適には、全周にわたる閉じられた小さな台座に位置している。
【0077】
設備
全ての本発明に係る基板ホルダは、本発明による設備において、下側の基板および/または上側の基板を固定するために使用されてよい。特に好適には、本発明に係る基板ホルダは、接合設備において、下側の基板と上側の基板とを固定するために使用される。これによって、接合、特にフュージョン接合の制御が特に改善され、最適化される。上側基板ホルダとしての本発明に係る基板ホルダの使用によって、特に半導体産業において長らく使用されてきた、基板の中央の湾曲を生じさせる湾曲ピン(英語:pin)が置き換えられる。
【0078】
設備の好適な本発明による実施の形態は、上側の基板を固定するための本発明に係る基板ホルダと、下側の基板を固定するための本発明に係る基板ホルダとを使用することにある。
【0079】
特有の本発明による設備は、下側に設けられた本発明に係る基板ホルダと、本発明に係る基板ホルダではない任意の別の基板ホルダとから成っている。この場合、上側の基板ホルダは、好ましくは、先行技術において公知の湾曲手段、特に湾曲ピンを有しているかまたは上側の基板を相応に湾曲させる流体が流出するノズルを有している。
【0080】
本発明による設備の特別な拡張形態では、接合器にアライメント装置(英語:aligner)も位置している。
【0081】
基板が、所定の周波数の電磁放射線に対して透過性である場合には、好ましくは、接合ウェーブの経過を分析するために、観察装置が存在している。これによって、接合過程を観察し、接合過程に影響を与え、緊急時には接合過程を中断することができるだけでなく、種々異なるパラメータの関数としての接合ウェーブの特性を分析することもできる。このような分析は、本発明に係る基板ホルダの更なる改善に役立つ。
【0082】
本発明による設備の特別な拡張形態では、以下のモジュール、つまり、
・ 清浄化モジュール
・ 研削モジュール
・ エッチングモジュール、特に
○ 化学的なエッチングのため
○ 物理的なエッチングのため
・ プラズマモジュール
・ コーティングモジュール
が本発明による設備に、特に真空密に接続されてよい。
【0083】
このようなモジュールは、好ましくは、モジュール同士の間に真空密なゲートが存在する、いわゆるクラスタ設備の一部である。好ましくは、前述したモジュールのうちの幾つかのモジュール同士の間には、ゲートバルブも位置している。モジュールは互いに任意に配置されてよい。好ましくは、基板を個々のモジュールの間で搬送することができるロボットが内部に位置する中央のモジュールが存在している。中心を決めて設計されたこのようなクラスタは、放射状クラスタと呼ばれる。また、モジュールが直列に配置されていることも可能である。
【0084】
方法
本発明に係る方法は、特に以下の複数のステップを有している。これらのステップは、必ずしも記載した順序で行われる必要はない。
【0085】
第1の本発明によるプロセスステップでは、第1の基板ホルダへの第1の基板のローディングおよび固定が行われる。第1の基板ホルダは、好ましくは本発明に係る基板ホルダである。
【0086】
第2の本発明によるプロセスステップでは、第1の基板ホルダへの第2の基板のローディングおよび固定が行われる。第1の基板ホルダは、好ましくは本発明に係る基板ホルダである。
【0087】
第3の本発明によるプロセスステップでは、両方の基板相互のアライメントが行われる。このアライメントは、好ましくは、基板の基板表面に位置するアライメントマークに基づき行われる。同時に本発明による設備の一部、特に接合チャンバであってもよい相応のアライメント設備は、米国特許第6214692号明細書、国際公開第2015082020号、国際公開第2014202106号、国際公開第2018041326号に開示されている。
【0088】
第4の本発明によるプロセスステップでは、基板相互の大まかな接近が行われる。
【0089】
第5の本発明によるプロセスステップでは、本発明に係る基板ホルダによる両方の基板のうちの少なくとも一方の基板の、目標に合わせた、特に均一な本発明による湾曲の調整が行われる。また、両方の基板を湾曲させる、特に両方の基板を本発明に係る基板ホルダによって湾曲させることも可能である。この場合、特に均一な湾曲は、固定プレートの、特有に成形された裏側面によって可能となる。目標に合わせて調整可能な湾曲時には、いずれかの時点で両方の基板の接触ひいては接合ウェーブの発生が生じる。
【0090】
万全を期すために、さらに以下に付言しておく。両方の基板ホルダのうちの一方が本発明に係る基板ホルダでない場合、この基板ホルダは、基板を変形させるための、先行技術において公知の慣用の変形要素を有していてよい。この場合、本発明に係る基板ホルダでない方の基板ホルダは、当然ながら、本明細書の本発明による思想から排除される全てのマイナスの結果を有している。しかしながら、良好な接合を形成するためには、ただ1つの単一の本発明に係る基板ホルダですでに十分であるので、これによって、先行技術に基づく慣用の基板ホルダを他方の側で使用することも可能ではある。この場合、変形要素は、好ましくは単純な湾曲ピンである。この湾曲ピンは、ピン基板ホルダ(英語:pins chuck)の著しく小さなピンと混同されてはならない。
【0091】
第6の本発明によるプロセスステップでは、基板ホルダからの基板の、目標に合わせた、特に制御された連続的なリリースが行われる。この場合、特に、少なくとも上側の基板ホルダが本発明に係る基板ホルダであるだけでなく、その固定表面において固定手段を局所的に目標に合わせて制御することもできると有利である。このことは、特に、国際公開第2017162272号に詳細に開示されているように、固定手段が複数のゾーン、特に真空ゾーンにグループ分けされている場合に可能である。
【0092】
したがって、本発明に係る方法の主要な本発明による態様は、基板を本発明に係る基板ホルダによって目標に合わせて調整可能に湾曲させることである。この湾曲は、接合ウェーブの前進中に基板をその固定表面から目標に合わせて制御可能にリリースすることと組み合わせて、基板への機械的なフィードバックが行われないという理由でしか可能とならない。
【0093】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、以下の好適な実施例の説明ならびに図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1a】先行技術における基板ホルダの初期状態を示す図である。
【
図1b】先行技術における基板ホルダの最終状態を示す図である。
【
図2a】補償プレートなしの本発明に係る基板ホルダの初期状態を示す図である。
【
図2b】補償プレートなしの本発明に係る基板ホルダの最終状態を示す図である。
【
図3a】補償プレートを備えた拡張された本発明に係る基板ホルダの初期状態を示す図である。
【
図3b】補償プレートを備えた拡張された本発明に係る基板ホルダの最終状態を示す図である。
【
図4】補償プレートを備えた本発明に係る基板ホルダの第1の本発明による実施の形態を示す図である。
【
図5】補償プレートを備えた本発明に係る基板ホルダの第2の本発明による実施の形態を示す図である。
【
図6a】補償プレートを備えた基板ホルダの第3の好適な本発明による実施の形態の初期状態における側面図および平面図である。
【
図6b】補償プレートを備えた基板ホルダの第3の好適な本発明による実施の形態の最終状態における側面図である。
【0095】
図中、同一の構成部材または同一の機能を有する構成部材には、同一の符号が付してある。
【0096】
以下の2つの図面の説明と、これに対応する、先行技術における基板ホルダの2つの状態を示した図面とは、基本的な概念を説明するために可能な限り概略的に保たれている。これらは、可能な限り簡単な説明および原理図であり、完全であることを主張するものではない。
【0097】
図1aには、先行技術における基板ホルダ1の初期状態の概略図が示してある。この基板ホルダ1の固定プレート表面3fは湾曲させることができる。基板ホルダ1は固定プレート3を有している。この固定プレート3は、特にプレート支持部2を介して、特に周縁部で支持されてよい。図示の事例では、プレート支持部2は、特に固定支持部である。この固定支持部は、特に枢動自在にも設計されていない。当然ながら、固定プレート3が基板ホルダ1の残りの部分に機械的に直接結合されていることも可能である。重要なのは、湾曲させることができる固定プレート表面3fとして記載した表面が存在していることである。したがって、固定プレート3は、湾曲させることができるように構成かつ/または支持されている。
【0098】
特にプレート3には、基板7をプレート3に固定することができる基板固定手段4が位置している。この基板固定手段4がどのように制御されるのかは、先行技術に基づく装置の理解のために重要ではなく、ここでは詳しく説明しない。
【0099】
図1bには、先行技術における基板ホルダ1の最終状態の概略図が示してある。この特有の事例では、基板ホルダ1が、外部から見て凸状に湾曲させられる。なぜならば、中空室5内に過圧が形成されるからである。この過圧は、調整手段6、特有の事例では、開口、弁またはノズルを介して、周辺の大気に対して過圧を有するガスまたはガス混合物が中空室5に流入することによって生じる。代替的には、調整手段6は機械式の調整手段であってよい。つまり、図示の構成では、過圧の使用は単なる一例を記載しているにすぎない。
【0100】
この状態では、複数の根本的な問題が生じてしまう。最初の問題は、固定プレート表面3fひいては基板7の湾曲が全般的に不均一であるという点にある。つまり、湾曲が位置によって変わってしまう。このことは、一般的に望ましくない状態である。不均一な湾曲は、図面では認めにくいものでしかない。この問題は、特に支持部2が固定支持部として構成されている、つまり、自由度の数が過度に少ないかまたはゼロでさえあることに関係している。
【0101】
つまり、先行技術における更なる問題は、たいてい、反作用力および/またはモーメントを固定プレート3に伝達してしまうように設計された支持部2にある。特に先行技術における支持部2は枢動自在に形成されない。したがって、先行技術では、支持部2が、たいてい、モーメントを伝達してしまう。
【0102】
更なる問題は、固定プレート3の変形に関与する任意の調整要素6が常に反力を発生させる点にある。一般化して物理的に表現すると、ニュートンの第3の公理に従って、反力、つまり、基板ホルダ1を別の方向に曲げる相応の対向圧が標準化されて面に生じる。基板ホルダ1のこの望ましくない湾曲は、特にプレート支持部2に反作用し、これによって、固定プレート3の湾曲特性にも、固定プレート3に固定された基板7の湾曲にも影響を与える。
【0103】
このことは、先行技術において、プレート支持部2が反作用力および/またはモーメントを伝達してしまうように形成されているという上述した問題に関係している。制御技術的に最終状態が生じる場合でも、絶対的に望ましくない反作用を基板ホルダ1にわたって確認することができる。なぜならば、測定してみることで、これによって、実施すべき接合結果が悪化してしまうことが判っているからである。明示的に述べて強調しておくと、記載した機械的なフィードバック影響は、当然ながら、調整手段6の種類、図示の例示的な事例では、ガスまたはガス混合物が通流する開口にも、中空室5の存在にも関係ない。
【0104】
調整手段6は、同じく良好には、機械式の調整手段、ピン、ピエゾスタック、ベローズまたは固定プレート3を湾曲させることができる任意の別の調整手段であってよい。これらの事例では、相応の中空室5が存在していなくてもよい。基本的な物理法則では、基板ホルダへの機械的なフィードバックが行われることが常に望まれている。
【0105】
本発明に係る2つの基板ホルダ1’,1’’のそれぞれ2つの状態を示した以下の図面の説明もしくは図面は、基本的な概念を説明するために可能な限り概略的に保たれている。これらは、可能な限り簡単な説明および原理図であり、完全であることを主張するものではない。したがって、本発明による実施の形態を更なる図面において詳しく説明する。
【0106】
本発明による思想は、基板7が固定される固定プレート3を湾曲させる過圧を中空室5内に発生させるために、流体を使用する装置によって再び図示してある。再度強調しておくと、本発明による思想は、流体の使用および/または中空室5に結び付けられていない。同じく良好には、本発明による態様は、あとで特有の実施の形態でさらに図示して記載するように、機械式、空気圧式、電気式、圧電式の調整手段6によって実現されてもよい。
【0107】
図2aには、少なくとも均一な湾曲を生じさせることができる本発明に係る基板ホルダ1’の初期状態の概略図が示してある。出発点として、基板ホルダ1’は、後続の図面で詳しく説明するように排除または低減される機械的なフィードバックの問題が図示の構成ではまだ生じないほど大きな曲げ抵抗を有している。この曲げ抵抗の増加は、例えば、基板ホルダ1’の幾つかの構成部分、特に基板ホルダ1’全体をより肉厚に構成することによって極めて簡単に達成することができる。重要なのは、反作用力および/またはモーメントが固定プレート3に全く伝達されないかまたは極めて僅かしか伝達されないように製作された支持部2’である。特に中空室側プレート表面3hの形状は、固定プレート3ののちの湾曲によって、適切に規定された、特に均一な湾曲が発生させられるように選択されている。
【0108】
図2bには、少なくとも均一な湾曲を生じさせることができる本発明に係る基板ホルダ1’の最終状態の概略図が示してある。本発明に係る基板ホルダ1’がより大きな曲げ抵抗を有している場合でも、それにもかかわらず、基板ホルダ1’は、たとえ僅かな程度でしかなくても、調整要素6の使用時に同じく容易に湾曲させられなければならない。しかしながら、この湾曲は、比較的大きな曲げ抵抗に基づき比較的僅かである。それにもかかわらず、支持部2’がなければ固定プレート3に伝達されてしまう力および/またはモーメントは生じる。
【0109】
特有の支持部2’によって、適切に規定された、特に均一な湾曲を固定表面3fひいては基板7に生じさせることができる。なぜならば、考えられる反作用力および/またはモーメントが固定プレート7に全く伝達されないかまたは一層僅かな程度でしか伝達されないからである。支持部2’は、すでに中実構造形態で形成された構成部分に対して付加的に均一な湾曲の構成をアシストしている。特有の事例では、湾曲を調整するために、流体、特にガス混合物、好ましくは空気が押し通される開口、ノズルまたは弁である調整手段6が使用される。
【0110】
流体の使用によって、特有に成形された中空室側プレート表面3hを備えた本発明による実施の形態が特に重要となる。中空室側プレート表面3hに均一なかつ等方性の圧力を加える流体の使用によって、中空室側プレート表面3hに沿って想定され、力が常に中空室側プレート表面3hに対して法線方向にある力分布を想定することができる。
【0111】
この想定によって、数値シミュレーション、特に有限要素法により、中空室側プレート表面3fの適切な形状を計算して、所望の、特に均一な湾曲を固定表面3fひいては固定された基板7において得ることが特に簡単になる。中空室側プレート表面3fのこのような特有の形状によって、固定プレート表面3fひいては基板7の均一な湾曲の構成がさらに一層改善される。
【0112】
図3aには、少なくとも均一な湾曲を生じさせることができ、プレート保持部2’への機械的なフィードバックの有害な影響をさらに最小限に抑えることができる、さらに改善された本発明に係る基板ホルダ1’’の初期状態の概略図が示してある。このような本発明による改善は、特に基板ホルダ1’’が比較的肉薄に構成されていて、極めて小さな曲げ抵抗を有している場合に有利である。
【0113】
この場合には、機械的な反作用がもはや無視できるようにはならず、改善された本発明による実施の形態によって少なくとも減じられ、有利には完全に排除されることが求められる。特有に成形された中空室側プレート表面3hの利点は図示の構成ではもはや説明しない。基板ホルダ1’’は、プレート支持部2’を介して互いに支持される固定プレート3と補償プレート3’とを有している。これら両方のプレート3,3’は、湾曲させることができるように構成かつ/または支持されている。
【0114】
万全を期すために述べておくと、プレート3は、理論的に見て、固有の構成部材である必要はなく、基板ホルダ1’の一部であってもよい。重要なのは、1つの固定プレート表面3fの存在でしかない。しかしながら、これによって、固定プレート表面3fの一定の湾曲の発生をほぼ不可能にする周辺条件が生じる恐れがある。したがって、本発明による最も好適な実施の形態は、固定プレート3が独立した構成部材を成していることを特定している。ゆえに、本発明による効果は、特に補償プレート3’の使用にある。
【0115】
したがって、後続の図面の説明では、2つのプレートの好適な構成技術的な解決手段を有する各々の本発明による実施の形態を説明する。特に固定プレート3に基板固定手段4が位置しており、この基板固定手段4によって、基板7を固定プレート3に固定することができる。基板固定手段4がどのように制御されるのかは、装置の理解のために重要ではなく、ここでは詳しく説明しない。以下の図面には、真空固定手段として形成された基板固定手段4がどのように制御されるのかが示してある。
【0116】
図3bには、さらに改善された本発明に係る基板ホルダ1’’の最終状態の概略図が示してある。調整手段6、図示の特有の事例では、開口、弁またはノズルによって、両方のプレート3,3’を湾曲させる流体が中空室5に押し込まれる。
図1aに示した先行技術と異なり、固定手段2または基板ホルダ1’の別の部分の湾曲は行われず、ひいては、固定プレート3と、この固定プレート3に固定された基板7とへの、固定手段2を介して作用する付加的なモーメントは生じない。したがって、固定プレート3の湾曲は、調整手段6の効果によってのみ行われる。
【0117】
したがって、補償プレート3’は、一種の「犠牲プレート」と見做すことができる。この犠牲プレートの唯一の役割は、基板ホルダ1’の残りの構成部分への力作用を阻止するかまたは少なくとも最小限に抑えることにある。特有の事例では、プレート3,3’は、特にその周縁部において密封されなければならない。個別部材、特にシール部材の図示は、図面を見やすくするという理由に基づき、この原理図では省略する。しかしながら、密封は、最も好適な実施の形態の後続の図面でさらに詳しく取り扱う。
【0118】
後続の図面では、種々異なる本発明による実施の形態を個別にかつ詳しく取り扱っていると共に示している。
【0119】
図4には、両方のプレート3,3’が、同一の符号、特に同一の数値を有する電位に置かれる第1の好適な本発明による実施の形態が示してある。両方のプレート3,3’が、自体閉じられた導電性のボディを形成することを阻止するために、プレート3,3’はその接触点で電気的な絶縁体14によって互いに電気的に絶縁されなければならない。さもないと、物理法則に従って、中空室5を形成する中空室側プレート表面3h,3h’における全ての電荷が外向きに移動してしまう。
【0120】
自体閉じられたボディはファラデーケージを形成し、外面にのみ電荷の蓄積を可能にしてしまう。電気的な絶縁体14によって、両方のプレート3,3’が、静電的に見て、自体閉じられた1つの導電性のボディではなく、それぞれ1つの導電性のボディを形成している。これによって、中空室5を形成する基板表面への電荷の発生が可能となる。これに相応して、中空室側プレート表面3h,3h’に位置する電荷もしくは両方のプレート3,3’自体は、必要な電流回路15と共に調整手段6’を成している。
【0121】
図5には、調整手段6’’が両方のプレート3,3’の間に位置している第2の好適な本発明による実施の形態が示してある。調整手段6’’は、例えば、電気的および/または空気圧的および/または液圧的に制御可能な機械式の調整要素であってよい。電気的に制御可能なピエゾスタックの使用も可能である。また、調整手段6’’は、極めて強力な2つの電磁石であってもよい。これら2つの電磁石は、電気的に制御されて2つの磁場を発生させ、両方のプレート3,3’が互いに離反させられるように互いに反発する。また、2つのプレートが同一の電位に置かれ、その静電荷によって反発する実施の形態も可能である。
【0122】
図6aには、第3の好適な本発明による実施の形態が、出発状態において、側面図、詳細図および平面図で示してある。この本発明による実施の形態は、極めて十分に詳しく説明した
図3aおよび
図3bに示した実施の形態である。この構成は、(i)反作用力および/またはモーメントを可能な限り伝達し得ないかまたは極めて僅かしか伝達し得ない特有に製作された支持部2’と、(ii)補償プレート3’とを備えている。
【0123】
この実施の形態の重要性は、特に両方のプレート3,3’を湾曲させるために、静的な圧力に基づき両方のプレート3,3’、特に固定プレート3への等方性の、つまり、均一な力作用を伴う流体が使用されることに基づいている。
図6aに記載した全ての特徴は、特に
図3および
図4に前述して取り扱った基板ホルダに使用されてもよい。しかしながら、この実施の形態の重要性に基づき、全ての特徴をこの図面において詳しく説明する。
【0124】
好ましくは、固定プレート3の固定プレート表面3fの周縁部は、プレート支持突出部2’vを介して支持されるかもしくは接触させられ、固定プレート3のプレート表面3hは、シール部材12を介して支持されるかもしくは接触させられる。そして、このシール部材12は、好ましくは、下側の補償プレート3’、特にプレート支持台座2’pに載置されている。シール部材12は、プレート3,3’の周縁部を互いに密封しており、それにもかかわらず、両方のプレート3,3’の湾曲を可能にしている。
【0125】
もう一度ここで述べておくと、湾曲は極端に僅かである、つまり、曲率半径は極めて大きい。両方のプレート3,3’のうちの一方のプレートの任意の表面上の点は、z方向に数ナノメートル、数マイクロメートル、最も稀な事例では数ミリメートルしかずれていない。このように僅かな湾曲によって、このように精巧な構成を機械的に安定した状態に保つことも可能となる。特にこれによって、プレート支持突出部2’vを極めて精密に形成することができる。
【0126】
基板7は、基板固定手段4によって固定される。特有の事例では、図面には、基板固定手段4の一部が中空室5を貫通していることが示してある。この部分は、特に伸長可能に形成されている。この部分は、例えば、ホース、送り込まれる管または基板7と固定プレート3との間の領域を排気することができる任意のあらゆる別の管路であってよい。特に基板固定手段3の複数の出口開口が存在している。これらの出口開口は、中心を取り囲むように特に対称的に配置されている。これによって、固定プレート3の中心にピン11が存在していてよいことが可能となる。このことは、接合特性にプラスの影響を与える。
【0127】
図6bには、第3の好適な本発明による実施の形態が、最終状態において、側面図で示してある。調整手段6、この特有の事例では、中心からずれた開口、弁またはノズルが、流体を中空室5内に圧送する。固定基板3は、本発明によれば湾曲させられる。補償プレート3’の湾曲は、好ましくは、全周にわたって補償プレート3’に加工された溝13にまで行われる。
【0128】
これによって、湾曲が補償プレート3’の中央の部分に集中させられ、この事例では、特にプレート支持突出部2’vと、シール部材12と、プレート支持台座2’pとから成るプレート支持部2’(
図6aの拡大図参照)に一層より少ないモーメントおよび/または一層少ない力が機械的に作用することが確保される。この更なる本発明による構成技術的な改善によって、固定プレート3への機械的なフィードバックが完全に阻止されるかもしくは無視できる程度に最小限に抑えられる。
【符号の説明】
【0129】
1,1’,1’’,1’’’ 基板ホルダ
2,2’ プレート支持部
2’v プレート支持突出部
2’p プレート支持台座
3 固定プレート
3’ 補償プレート
3f 固定プレート表面
3h,3h’ 中空室側プレート表面
4 基板固定手段
5 中空室/中間室
6,6’,6’’ 調整手段/湾曲手段
7 基板
11 複数のピン(英語:pins)
12 シール部材、特にシールリング
13 溝
14 電気的な絶縁体
15 電流回路