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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】リチウム析出検出装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240930BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240930BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240930BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20240930BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240930BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240930BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/48 A
H01M10/44 P
H02J7/00 Y
H02J7/00 M
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022575260
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2022004718
(87)【国際公開番号】W WO2022231150
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0055289
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-チュル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン-クン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】アン-ソ・キム
(72)【発明者】
【氏名】チェ-ビン・シン
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117519(JP,A)
【文献】特開2013-196820(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147572(WO,A1)
【文献】特開2010-066232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/44
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出する測定部と、
前記放電量が前記充電量を超過すると、リチウムが析出されたと判断する制御部と、
を含むことを特徴とする、リチウム析出検出装置。
【請求項2】
充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出する測定部と、
前記充電過程及び前記放電過程で前記バッテリーセルのSOCを推定し、推定されたSOC、前記充電量、及び前記放電量に基づいて前記バッテリーセルに対するリチウムの析出有無を判断する制御部と、を含み、
前記制御部は、
充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが同じであり、且つ充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが同じである場合、前記放電量と前記充電量を比較することで前記リチウムの析出有無を判断することを特徴とする、リチウム析出検出装置。
【請求項3】
充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出する測定部と、
前記充電過程及び前記放電過程で前記バッテリーセルのSOCを推定し、推定されたSOC、前記充電量、及び前記放電量に基づいて前記バッテリーセルに対するリチウムの析出有無を判断する制御部と、を含み、
前記制御部は、
充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが相異なるか、または充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが相異なる場合、前記放電量と前記充電量を補正し、補正された放電量と補正された充電量の比較結果によって前記リチウムの析出有無を判断することを特徴とする、リチウム析出検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記充電開始時点のSOCと前記充電終了時点のSOCとの充電SOC差を算出し、算出された充電SOC差に基づいて前記充電量を補正し、
前記放電開始時点のSOCと前記放電終了時点のSOCとの放電SOC差を算出し、算出された放電SOC差に基づいて前記放電量を補正することを特徴とする、請求項に記載のリチウム析出検出装置。
【請求項5】
充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出する測定部と、
前記充電量と前記放電量の大きさを比較し、比較結果によって前記バッテリーセルのリチウムの析出有無を判断する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記バッテリーセルを充電及び放電する充放電装置へ前記バッテリーセルに対する充電Cレート及び放電Cレートを送信することを特徴とする、リチウム析出検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記放電量が前記充電量以下であり、且つ前記放電量と前記充電量との差が予め設定された基準値以下である場合、前記充電Cレート及び前記放電Cレートを減少させ、減少した充電Cレート及び減少した放電Cレートを前記充放電装置へ送信することを特徴とする、請求項に記載のリチウム析出検出装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記減少した充電Cレートによる充電過程における前記バッテリーセルの充電量及び前記減少した放電Cレートによる放電過程における前記バッテリーセルの放電量に基づいて、前記リチウムの析出有無をさらに判断することを特徴とする、請求項に記載のリチウム析出検出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記充電Cレートと前記放電Cレートを同一に設定することを特徴とする、請求項に記載のリチウム析出検出装置。
【請求項9】
前記測定部は、
充電開始時点から充電終了時点までの充電電流を積算して前記充電量を算出し、
放電開始時点から放電終了時点までの放電電流を積算して前記放電量を算出することを特徴とする、請求項1に記載のリチウム析出検出装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のリチウム析出検出装置を含む、バッテリーパック。
【請求項11】
充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出する充放電量算出段階と、
前記放電量が前記充電量を超過すると、リチウムが析出されたと判断するリチウム析出有無の判断段階と、
を含むことを特徴とする、リチウム析出検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム析出検出装置及び方法に関し、より詳しくは、バッテリーセルにリチウム金属が析出されたかを検出するリチウム析出検出装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年4月28日出願の韓国特許出願第10-2021-0055289号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気車両、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなバッテリーは、高容量化及び高密度化の面で多くの研究が進んでいるが、寿命と安全性向上の面も重要である。このためには、電極の表面で電解液との分解反応の抑制が必要であり、過充電及び過放電を防止することが求められる。
【0006】
特に、負極の表面にリチウムが析出される現象(リチウムプレーティング、Li-plating)を防止する必要がある。負極の表面にリチウムが析出されると、電解液との副反応及びバッテリーのキネティックバランス(kinetic balance)の変更などをもたらし、バッテリー退化の原因になる。また、負極の表面にリチウム金属が析出されることによって、バッテリーの内部短絡が発生し得るため、内部短絡による発火及び爆発などの危険がある。したがって、負極の表面にリチウム金属が析出されたかを検出可能な技術の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーセルの充電量及び放電量に基づいて非破壊的に金属リチウムの析出有無が検出可能なリチウム析出検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一面によるリチウム析出検出装置は、充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出するように構成された測定部と、前記充電過程及び前記放電過程で前記バッテリーセルのSOCを推定し、推定されたSOC、前記充電量、及び前記放電量に基づいて前記バッテリーセルに対するリチウムの析出有無を判断するように構成された制御部と、を含み得る。
【0010】
前記制御部は、前記充電量と前記放電量の大きさを比較し、比較結果によって前記バッテリーセルの前記リチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0011】
前記制御部は、前記放電量が前記充電量を超過すると、前記リチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0012】
前記制御部は、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが同じであり、且つ充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが同じである場合、前記放電量と前記充電量を比較することで前記リチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0013】
前記制御部は、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが相異なるか、または充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが相異なる場合、前記放電量と前記充電量を補正し、補正された放電量と補正された充電量の比較結果によって前記リチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、前記充電開始時点のSOCと前記充電終了時点のSOCとの充電SOC差を算出し、算出された充電SOC差に基づいて前記充電量を補正するように構成され得る。
【0015】
前記制御部は、前記放電開始時点のSOCと前記放電終了時点のSOCとの放電SOC差を算出し、算出された放電SOC差に基づいて前記放電量を補正するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記バッテリーセルを充電及び放電する充放電装置へ前記バッテリーセルに対する充電Cレート及び放電Cレートを送信するように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、前記放電量が前記充電量以下であり、且つ前記放電量と前記充電量との差が予め設定された基準値以下である場合、前記充電Cレート及び前記放電Cレートを減少させ、減少した充電Cレート及び減少した放電Cレートを前記充放電装置へ送信するように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記減少した充電Cレートによる充電過程における前記バッテリーセルの充電量及び前記減少した放電Cレートによる放電過程における前記バッテリーセルの放電量に基づいて、前記リチウムの析出有無をさらに判断するように構成され得る。
【0019】
前記制御部は、前記充電Cレートと前記放電Cレートを同一に設定するように構成され得る。
【0020】
前記測定部は、充電開始時点から充電終了時点までの充電電流を積算して前記充電量を算出するように構成され得る。
【0021】
前記測定部は、放電開始時点から放電終了時点までの放電電流を積算して前記放電量を算出するように構成され得る。
【0022】
なお、本発明のさらに他面によるバッテリーパックは、本発明の一面によるリチウム析出検出装置を含み得る。
【0023】
本発明のさらに他面によるリチウム析出検出装置は、充電過程でバッテリーセルの充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセルの放電量を算出する充放電量算出段階と、前記充電過程及び前記放電過程で前記バッテリーセルのSOCを推定するSOC推定段階と、推定されたSOC、前記充電量、及び前記放電量に基づいて前記バッテリーセルに対するリチウムの析出有無を判断するリチウム析出有無の判断段階と、を含み得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一面によると、リチウム析出検出装置は、運用中のバッテリーセルに対する充電量と放電量を比較することで、リチウムの析出有無を速かに判断可能な長所がある。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例によるリチウム析出検出装置を概略的に示した図である。
図2】本発明の一実施例によるバッテリーセルの充放電挙動を概略的に示した図である。
図3】本発明の一実施例による第1セルの充電量及び放電量を概略的に示した図である。
図4】本発明の一実施例による第1セルの充電量及び放電量を概略的に示した図である。
図5】本発明の一実施例による第2セルの充電量及び放電量を概略的に示した図である。
図6】本発明の一実施例による第2セルの充電量及び放電量を概略的に示した図である。
図7】本発明の他の実施例によるバッテリーパックの例示的構成を概略的に示した図である。
図8】本発明のさらに他の実施例によるリチウム析出検出方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0029】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0031】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0032】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0033】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0034】
以下では、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施例によるリチウム析出検出装置100を概略的に示した図である。
【0036】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるリチウム析出検出装置100は、測定部110及び制御部120を含み得る。
【0037】
測定部110は、充電過程でバッテリーセル10の充電量を算出し、放電過程でバッテリーセル10の放電量を算出するように構成され得る。
【0038】
ここで、バッテリーセル10は、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例で、リチウムイオン電池またはリチウムポリマー電池がバッテリーセル10として看做され得る。
【0039】
具体的には、測定部110は、充電開始時点から充電終了時点までの充電電流を積算して充電量を算出するように構成され得る。また、測定部110は、放電開始時点から放電終了時点までの放電電流を積算して放電量を算出するように構成され得る。
【0040】
図2は、本発明の一実施例によるバッテリーセル10の充放電挙動を概略的に示した図である。
【0041】
図2の実施例で、バッテリーセル10は、t1時点で充電が開始され、t2時点で充電が終了し得る。t1時点からt2時点までの充電過程で、測定部110は、バッテリーセル10の充電電流を積算して第1充電量ΔIC1を算出し得る。その後、バッテリーセル10は、t2時点からt3時点まで休止状態(Idle state)に維持され得る。
【0042】
バッテリーセル10は、t3時点で放電が開始され、t4時点で放電が終了し得る。t3時点からt4時点までの放電過程で、測定部110は、バッテリーセル10の放電電流を積算して第1放電量ΔID1を算出し得る。その後、バッテリーセル10は、t4時点からt5時点まで休止状態に維持され得る。
【0043】
バッテリーセル10は、t5時点で充電が開始され、t6時点で充電が終了し得る。t5時点からt6時点までの充電過程で、測定部110は、バッテリーセル10の充電電流を積算して第2充電量ΔIC2を算出し得る。その後、バッテリーセル10は、t6時点からt7時点まで休止状態に維持され得る。
【0044】
バッテリーセル10は、t7時点で放電が開始され、t8時点で放電が終了し得る。t7時点からt8時点までの放電過程で、測定部110は、バッテリーセル10の放電電流を積算して第2放電量ΔID2を算出し得る。その後、バッテリーセル10は、t8時点から休止状態に維持され得る。
【0045】
制御部120は、充電過程及び放電過程でバッテリーセル10のSOC(State of charge)を推定するように構成され得る。
【0046】
望ましくは、制御部120は、充電開始時点、充電終了時点、放電開始時点及び放電終了時点でバッテリーセル10のSOCを推定し得る。
【0047】
例えば、制御部120は、拡張カルマンフィルター(Extended kalman filter)を用いてバッテリーセル10のSOCを推定し得る。このために、測定部110は、バッテリーセル10の開路電圧(Open circuit voltage;OCV)をさらに測定するように構成され得る。そして、制御部120は、測定部110によって充電開始時点、充電終了時点、放電開始時点及び放電終了時点で各々測定された開放電圧に基づいて、各時点におけるSOCを推定し得る。
【0048】
他の例で、制御部120は、拡張カルマンフィルターを用いて充電開始時点及び放電開始時点におけるSOCを推定し、測定部110によって算出された充電量及び放電量に基づく電流積算法(Coulomb counting)を用いて充電終了時点及び放電終了時点のSOCを推定することも可能である。
【0049】
図2の実施例において、説明の便宜のために、バッテリーセル10の休止状態が維持されるt2時点からt3時点と、t4時点からt5時点におけるバッテリーセル10のSOCは、同一に維持されると仮定する。制御部120は、t1時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC1に推定し、t2時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC4に推定し得る。制御部120は、t3時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC4に推定し、t4時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC2に推定し得る。制御部120は、t5時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC2に推定し、t6時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC3に推定し得る。制御部120は、t7時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC3に推定し、t8時点におけるバッテリーセル10のSOCをSOC2に推定し得る。
【0050】
制御部120は、推定されたSOC、充電量及び放電量に基づいてバッテリーセル10に対するリチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0051】
具体的には、制御部120は、充電量と放電量の大きさを比較するように構成され得る。
【0052】
例えば、図2の実施例において、制御部120は、第1充電量ΔIC1と第1放電量ΔID1との大きさを比較し得る。また、制御部120は、第2充電量ΔIC2と第2放電量ΔID2との大きさを比較し得る。
【0053】
そして、制御部120は、比較結果によってバッテリーセル10のリチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0054】
具体的には、制御部120は、放電量が充電量を超過すると、リチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0055】
例えば、放電量が充電量以下である場合、制御部120は、バッテリーセル10の負極の表面にリチウムが析出されなかったと判断し得る。逆に、放電量が充電量を超過する場合、制御部120は、バッテリーセル10の負極の表面にリチウムが析出されたと判断し得る。
【0056】
通常、バッテリーセル10を製造する過程で、負極容量は、正極容量よりも大きく設定される。負極の総容量を正極の総容量で割った値をN/P比といい、このようなN/P比は、電池の安全性及び容量に大きい影響を及ぼすので、通常1以上の値を有する。望ましくは、N/P比が1を超過するようにバッテリーセル10が製造される。
【0057】
本発明の一実施例によるリチウム析出検出装置100は、運用中のバッテリーセル10に対する充電量と放電量を比較することで、N/P比の変化挙動を判断し、N/P比の変化挙動によってリチウムの析出有無を速かに判断可能な長所がある。これによって、バッテリーセル10のスウェリングによる厚さ変化またはVOLCANO分析(容量Qと微分電圧dV/dQとの対応関係を示すQ-dV/dQプロファイル、または電圧Vと微分容量dQ/dVとの対応関係を示すV-dQ/dVプロファイルなどを分析する方法)などを行わなくても、リチウムの析出有無を速かに判断可能な長所がある。
【0058】
一方、リチウム析出検出装置100に備えられた制御部120は、本発明で行われる多様な制御ロジッグを実行するために当業界に知られたプロセッサー、 ASIC(application-specific integrated circuit;特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジッグがソフトウェアに具現されるとき、制御部120は、プログラムモジュールの集合として具現され得る。この際、プログラムモジュールは、メモリーに保存され、制御部120によって実行され得る。メモリーは、制御部120の内部または外部に存在してもよく、公知の多様な手段で制御部120と接続され得る。
【0059】
また、リチウム析出検出装置100は、保存部130をさらに含み得る。保存部130は、リチウム析出検出装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータやプログラムまたは動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存し得る。保存部130は、データを記録、消去、更新及び読出可能な公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、情報保存手段には、RAM、フラッシュメモリー(登録商標)、ROM、EEPROM、レジスターなどが挙げられる。また、保存部130は、制御部120によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0060】
例えば、保存部130は、測定部110によって算出された充電量及び放電量を保存し得る。また、保存部130は、制御部120によって推定されたバッテリーセル10のSOCを保存し得る。
【0061】
より具体的には、制御部120は、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが同じであり、且つ充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが同じである場合、放電量と充電量を比較することでリチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0062】
例えば、図2の実施例において、t5時点からt6時点までの充電過程と、t7時点からt8時点までの放電過程で、DOD(Depth of discharge;放電深度)は同一であり得る。具体的には、充電過程におけるDODと放電過程におけるDODは、「SOC3-SOC2」として同一であり得る。
【0063】
即ち、制御部120は、充電過程と放電過程におけるDODが同じ場合、測定部110によって算出された放電量と充電量を直接比較し得る。そして、制御部120は、放電量が充電量を超過すると、バッテリーセル10の負極にリチウム金属が析出されたと判断し得る。
【0064】
一方、図2の実施例において、t1時点からt2時点までの充電過程と、t3時点からt4時点までの放電過程におけるDODは、相違し得る。具体的には、充電過程におけるDODは「SOC4-SOC1」であり、放電過程におけるDODは「SOC4-SOC2」であるため、充電過程におけるDODと放電過程でのDODは、「SOC2-SOC1」に対応する分だけ、DODが相違し得る。
【0065】
このように、充電過程と放電過程におけるDODが相異なる場合には、充電量と放電量を直接比較することでバッテリーセル10のリチウムの析出有無を正確に判断できない。これは、充電過程におけるDODが放電過程におけるDODよりも大きいため、バッテリーセル10の負極にリチウム金属が析出された場合にも、放電量が充電量以下に算出されることがあるためである。
【0066】
したがって、制御部120は、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが相異なるか、または充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが相異なる場合、放電量と充電量を補正し、補正された放電量と補正された充電量の比較結果によってリチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0067】
例えば、図2の実施例において、充電開始時点であるt1時点と、放電終了時点であるt4時点が相違し得る。この場合、第1充電量ΔIC1と第1放電量ΔID1を直接比較した結果に基づいてリチウムの析出有無を判断する場合、結果が不正確であり得る。これによって、制御部120は、第1充電量ΔIC1と第1放電量ΔID1を各々補正し得る。
【0068】
具体的には、制御部120は、充電開始時点のSOCと充電終了時点のSOCとの充電SOC差を算出し、算出された充電SOC差に基づいて充電量を補正するように構成され得る。
【0069】
例えば、図2の実施例において、制御部120は、「SOC4-SOC1」の数式を計算し、t1時点のSOCとt2時点のSOCとの充電SOC差を算出し得る。そして、制御部120は、「第1充電量ΔIC1÷(SOC4-SOC1)」の数式を計算し、第1充電量ΔIC1を補正し得る。
【0070】
また、制御部120は、放電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCとの放電SOC差を算出し、算出された放電SOC差に基づいて放電量を補正するように構成され得る。
【0071】
例えば、図2の実施例において、制御部120は、「SOC4-SOC2」の数式を計算し、t3時点のSOCとt4時点のSOCとの放電SOC差を算出し得る。そして、制御部120は、「第1放電量ΔID1÷(SOC4-SOC2)」の数式を計算し、第1放電量ΔID1を補正し得る。
【0072】
そして、制御部120は、補正された第1充電量と補正された第1放電量の大きさを比較した結果に基づいてリチウムの析出有無を判断し得る。
【0073】
例えば、補正された第1放電量が補正された第1充電量を超過すると、制御部120は、バッテリーセル10にリチウムが析出されたと判断し得る。逆に、補正された第1放電量が補正された第1充電量以下であれば、制御部120は、バッテリーセル10にリチウムが析出されなかったと判断し得る。
【0074】
即ち、リチウム析出検出装置100は、充電過程におけるDODと放電過程におけるDODが相異なる場合、補正された放電量と補正された充電量に基づいてリチウムの析出有無をより正確に判断し得る。
【0075】
図3及び図4は、本発明の一実施例による第1セルの充電量及び放電量を概略的に示した図である。
【0076】
具体的には、図3は、第1セルがBOL(Beginning of life)状態であるとき、Cレート(Current rate)による充電量と放電量を示した図である。図4は、第1セルがMOL(Middle of life)状態であるときのCレートによる充電量と放電量を示した図である。ここで、第1セルは、SOC3%からSOC98%まで充電され、SOC98%からSOC3%まで放電され得る。
【0077】
ここで、充放電Cレートは、1C~0.05Cの範囲で制御部120によって設定され得る。望ましくは、充放電Cレートは、0.5C~0.05Cの範囲で設定され得る。
【0078】
図3を参照すると、第1セルはBOL状態であるとき、常に充電量が放電量よりも大きい。即ち、充電Cレートと放電Cレートが0.4C、0.3C、0.2C及び0.1Cの場合で各々、充電量が放電量以上であり得る。これによって、制御部120は、BOL状態である第1セルには、リチウム金属が析出されなかったと判断し得る。
【0079】
一方、図4を参照すると、第1セルはMOL状態であるとき、充電Cレート及び放電Cレートが0.1Cである場合には、放電量が充電量を超過し得る。この場合、制御部120は、放電量が充電量を超過するため、MOL状態である第1セルにリチウム金属が析出されたと判断し得る。
【0080】
図5及び図6は、本発明の一実施例による第2セルの充電量及び放電量を概略的に示した図である。
【0081】
具体的には、図5は、第2セルがBOL状態であるとき、Cレートによる充電量と放電量を示した図である。図6は、第2セルがMOL状態であるとき、Cレートによる充電量と放電量を示した図である。ここで、第2セルは、SOC3%からSOC98%まで充電され、SOC98%からSOC3%まで放電され得る。
【0082】
図5を参照すると、第2セルはBOL状態であるとき、常に充電量が放電量よりも大きい。即ち、充電Cレートと放電Cレートが0.4C、0.3C、0.2C及び0.1Cである場合の各々で、充電量が放電量以上であり得る。これによって、制御部120は、BOL状態である第2セルにはリチウム金属が析出されなかったと判断し得る。
【0083】
一方、図6を参照すると、第2セルはMOL状態であるとき、充電Cレート及び放電Cレートが0.3C、0.2Cまたは0.1Cである場合には、放電量が充電量を超過し得る。この場合、制御部120は、放電量が充電量を超過することから、MOL状態である第2セルにリチウム金属が析出されたと判断し得る。
【0084】
バッテリーセル10は、N/P比が1以上(望ましくは、1超過)になるように製作されるため、BOL状態であるバッテリーセル10は、低電流(例えば、0.1C)充放電過程で常に充電量が放電量以上であり得る。一方、退化した状態であるMOL状態のバッテリーセル10は、負極の表面に金属リチウムが析出されることがあり、析出された金属リチウムによって低電流の充放電過程で放電量が充電量を逆転する現象が現われ得る。これによって、リチウム析出検出装置100は、バッテリーセル10の充電量及び放電量を比較することで、リチウムの析出有無を迅速かつ正確に検出可能である。
【0085】
例えば、制御部120は、充電Cレートと放電Cレートを同一に設定するように構成され得る。
【0086】
図3図6の実施例を参照すると、充電Cレートが変わることによって充電量が変わり、放電Cレートが変わることによって放電量が変わり得る。
【0087】
具体的な例として、図3の実施例において、第1セルが0.2Cまたは0.1Cで充電され、0.4Cで放電する場合、放電量が充電量を超過し得る。即ち、BOL状態である第1セルにリチウムが析出されなかったにも拘わらず、充電 Cレートと放電Cレートの差によって放電量が充電量を超過し得るのである。
【0088】
したがって、制御部120は、リチウムの析出有無を検出するに際し、充電Cレートと放電Cレートを同一に設定し、Cレートの差によってリチウムの析出有無が誤検出されることを防止できる。
【0089】
制御部120は、バッテリーセル10を充電及び放電する充放電装置2へバッテリーセル10に対する充電Cレート及び放電Cレートを送信するように構成され得る。
【0090】
ここで、充放電装置2は、バッテリーセル10と接続し、制御部120が設定した充電Cレートによってバッテリーセル10を充電するように構成され得る。また、充放電装置2は、制御部120が設定した放電Cレートによってバッテリーセル10を放電するように構成され得る。
【0091】
制御部120は、放電量が充電量以下であり、且つ放電量と充電量との差が予め設定された基準値以下である場合、充電Cレート及び放電Cレートを減少させ、減少した充電Cレート及び減少した放電Cレートを充放電装置2へ送信するように構成され得る。
【0092】
例えば、図4の実施例において、制御部120が充電Cレート及び放電Cレートを0.2Cに設定し、測定部110によって算出された充電量と放電量との差が基準値以下であると仮定する。制御部120は、充電Cレートと放電Cレートを0.2Cよりも小さい0.1Cに減少させ、減少した充電Cレート及び放電Cレートに対する情報を充放電装置2へ送信し得る。
【0093】
そして、制御部120は、減少した充電Cレートによる充電過程におけるバッテリーセル10の充電量と、減少した放電Cレートによる放電過程におけるバッテリーセル10の放電量に基づいてリチウムの析出有無をさらに判断するように構成され得る。
【0094】
前述した実施例において、充放電装置2は、制御部120から0.1Cに減少した充電Cレートと放電Cレートを受信し、受信した充電Cレート(0.1C)と放電Cレート(0.1C)でバッテリーセル10を充電及び放電し得る。0.1Cを基準にして、バッテリーセル10の放電量が充電量を超過するため、制御部120はMOL状態である第1セルにリチウムが析出されたと判断し得る。
【0095】
他の例で、図6の実施例において、制御部120が充電Cレート及び放電Cレートを0.5Cに設定し、測定部110によって算出された充電量と放電量との差が基準値以下であると仮定する。制御部120は、充電Cレートと放電Cレートを0.5Cより小さい0.4Cに減少させ、減少した充電Cレート及び放電Cレートに対する情報を充放電装置2へ送信し得る。充放電装置2は、制御部120から0.4Cに減少した充電Cレートと放電Cレートを受信し、受信した充電Cレート(0.4C)と放電 Cレート(0.4C)でバッテリーセル10を充電及び放電し得る。0.4Cを基準にして、バッテリーセル10の放電量は充電量以下であるが、依然として放電量と充電量の差は基準値以下であり得る。
【0096】
制御部120は、充電Cレートと放電Cレートを0.4Cより小さい0.3Cに減少させ、減少した充電Cレート及び放電Cレートに対する情報を充放電装置2へ送信し得る。充放電装置2は、制御部120から0.3Cに減少した充電Cレートと放電Cレートを受信し、受信した充電Cレート(0.3C)と放電Cレート(0.3C)でバッテリーセル10を充電及び放電し得る。0.3Cを基準にして、バッテリーセル10の放電量が充電量を超過することから、制御部120は、MOL状態である第2セルにリチウムが析出されたと判断し得る。
【0097】
即ち、リチウム析出検出装置100は、放電量と充電量の差が基準値以下である場合、充電Cレート及び放電Cレートを減少させながらリチウムの析出有無をさらに判断できる。これによって、リチウム析出検出装置100は、初期には相対的に高いCレートでリチウムの析出有無を速かに検出し、放電量と充電量の差が基準値以下である場合には、Cレートを低めながらリチウムの析出有無を精度よく検出可能な長所がある。
【0098】
また、制御部120は、放電量が充電量以下であり、且つ放電量と充電量との第1差が基準値以上である場合、充電Cレート及び放電Cレートを減少させた後、放電量と充電量との第2差をさらに算出し得る。もし、第2差も基準値以上であるが、第2差が第1差未満である場合、制御部120は、充電Cレート及び放電Cレートをさらに減少させた後、放電量と充電量との第3差を算出し得る。
【0099】
充電Cレートと放電Cレートによる放電量と充電量の差が基準値以上であるが、減少した充電Cレートと減少した放電Cレートによって算出された放電量と充電量との差が次第に減少する傾向を示す場合、制御部120は、充電Cレートと放電Cレートを減少させながら放電量と充電量を比較し得る。
【0100】
即ち、充電Cレートと放電Cレートが減少するにつれ、充電量と放電量との差も減少する傾向を示す場合、低電流の充放電においてはリチウム金属が析出されたと判断されることもあるため、制御部120は、充電Cレートと放電Cレートを減少させながら充電量と放電量を比較し得る。
【0101】
例えば、図4の実施例において、初期の充電Cレート及び放電Cレートが0.4Cに設定されたと仮定する。充放電Cレートが0.4Cである場合、放電量は充電量より小さく、放電量と充電量との第1差が基準値以上であり得る。制御部120は、充電Cレート及び放電Cレートを0.3Cに減少させ、放電量と充電量を比較し得る。充放電Cレートが0.3Cである場合、放電量は充電量より小さく、放電量と充電量との第2差が基準値以上であるが、第2差が第1差より減少したため、制御部120は充電Cレート及び放電Cレートを0.2Cに減少させ、放電量と充電量をさらに比較し得る。充放電Cレートが0.2Cである場合、放電量は充電量より小さく、放電量と充電量との第3差が基準値以下であるが、第3差が第2差より減少したため、制御部120は、充電Cレート及び放電Cレートを0.1Cに減少させ、放電量と充電量をさらに比較し得る。充放電Cレートが0.1Cである場合、放電量が充電量を超過するため、制御部120は、バッテリーセル10にリチウム金属が析出されたと判断し得る。
【0102】
即ち、リチウム析出検出装置100は、放電量が充電量より小さいとしても、放電量と充電量との差が充放電Cレートの減少につれて共に減少する傾向を示す場合、充放電Cレートを減少させながらリチウム金属の析出有無を判断可能な長所がある。
【0103】
本発明によるリチウム析出検出装置100は、BMS(Battery Management System)に適用可能である。即ち、本発明によるBMSは、上述したリチウム析出検出装置100を含み得る。このような構成において、リチウム析出検出装置100の各構成要素の少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現され得る。例えば、リチウム析出検出装置100の測定部110、制御部120及び保存部130は、BMSの構成要素として具現され得る。
【0104】
また、本発明によるリチウム析出検出装置100は、バッテリーパック1に備えられ得る。即ち、本発明によるバッテリーパック1は、上述したリチウム析出検出装置100及び一つ以上のバッテリーセル10を含み得る。また、バッテリーパック1は、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0105】
図7は、本発明の他の実施例によるバッテリーパック1の例示的構成を概略的に示した図である。
【0106】
図7を参照すると、バッテリーパック1は、バッテリーセル10及びリチウム析出検出装置100を含み得る。
【0107】
バッテリーセル10の正極端子は、バッテリーパック1の正極端子P+と接続され、バッテリーセル10の負極端子は、バッテリーパック1の負極端子P-と接続され得る。
【0108】
測定部110は、第1センシングラインSL1、第2センシングラインSL2及び第3センシングラインSL3と接続され得る。具体的には、測定部110は、第1センシングラインSL1によってバッテリーセル10の正極端子に接続され、第2センシングラインSL2によってバッテリーセル10の負極端子に接続され得る。測定部110は、第1センシングラインSL1及び第2センシングラインSL2で各々測定された電圧に基づいて、バッテリーセル10の電圧を測定し得る。
【0109】
そして、測定部110は、第3センシングラインSL3によって電流測定ユニットAと接続され得る。例えば、電流測定ユニットAは、バッテリーセル10の充電電流及び放電電流を測定し得る電流計またはシャント抵抗であり得る。測定部110は、第3センシングラインSL3によってバッテリーセル10の充電電流を測定し、充電量を算出し得る。また、測定部110は、第3センシングラインSL3によってバッテリーセル10の放電電流を測定し、放電量を算出し得る。
【0110】
充放電装置2は、一端がバッテリーパック1の正極端子P+と接続され、他端がバッテリーパック1の負極端子P-と接続され得る。これによって、バッテリーセル10の正極端子、バッテリーパック1の正極端子P+、充放電装置2、バッテリーパック1の負極端子P-及びバッテリーセル10の負極端子は、電気的に接続され得る。
【0111】
また、充放電装置2は、制御部120と通信可能に接続され得る。充放電装置2は、制御部120から受信した充電Cレートによってバッテリーセル10を充電し、制御部120から受信した放電Cレートによってバッテリーセル10を放電し得る。
【0112】
図8は、本発明のさらに他の実施例によるリチウム析出検出方法を概略的に示した図である。
【0113】
望ましくは、リチウム析出検出方法の各段階は、リチウム析出検出装置100によって行われ得る。以下では、説明の便宜のために、前述した内容と重複する内容は省略するか、または簡略に説明する。
【0114】
図8を参照すると、リチウム析出検出方法は、充放電量算出段階S100、SOC推定段階S200及びリチウム析出有無の判断段階S300を含み得る。
【0115】
充放電量算出段階S100は、充電過程でバッテリーセル10の充電量を算出し、放電過程で前記バッテリーセル10の放電量を算出する段階であり、測定部110によって行われ得る。
【0116】
例えば、測定部110は、充電過程で充電電流を積算して充電量を算出し、放電過程で放電電流を積算して放電量を算出し得る。望ましくは、充電過程における充電Cレートと放電過程における放電Cレートは同一であり得る。
【0117】
SOC推定段階S200は、前記充電過程及び前記放電過程で前記バッテリーセル10のSOCを推定する段階であって、制御部120によって行われ得る。
【0118】
例えば、制御部120は、充電開始時点、充電終了時点、放電開始時点及び放電終了時点で各々バッテリーセル10のSOCを推定し得る。SOC推定過程では、拡張カルマンフィルター及び/または電流積算法が適用され得る。
【0119】
リチウム析出可否判断段階S300は、推定されたSOC、前記充電量及び前記放電量に基づいて前記バッテリーセル10に対するリチウムの析出有無を判断する段階であって、制御部120によって行われ得る。
【0120】
具体的には、制御部120は、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが同一か否か、及び充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが同一か否かを判断し得る。
【0121】
例えば、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが同じであり、且つ充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが同じである場合、制御部120は、測定部110によって算出された放電量と充電量を直接比較した結果に基づいてバッテリーセル10のリチウムの析出有無を判断し得る。
【0122】
他の例で、充電開始時点のSOCと放電終了時点のSOCが相異なるか、充電終了時点のSOCと放電開始時点のSOCが相異なる場合、制御部120は、測定部110によって算出された充電量及び放電量を補正し得る。具体的には、制御部120は、充電量を充電過程におけるSOC差によって補正し、放電量を放電過程におけるSOC差によって補正し得る。そして、制御部120は、補正された充電量と補正された放電量を直接比較した結果に基づいてバッテリーセル10のリチウムの析出有無を判断し得る。
【0123】
リチウム析出検出方法は、バッテリーセル10の充放電過程における充電量と放電量を比較することで、リチウム金属の析出有無を迅速かつ正確に診断することができるという長所がある。
【0124】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0125】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0126】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 バッテリーパック
2 充放電装置
10 バッテリーセル
100 リチウム析出検出装置
110 測定部
120 制御部
130 保存部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8