(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】衛生的な冷却システムを備える装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B01F 23/235 20220101AFI20240930BHJP
B01F 23/233 20220101ALI20240930BHJP
B01F 35/53 20220101ALI20240930BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20240930BHJP
B01F 27/191 20220101ALI20240930BHJP
B01F 27/27 20220101ALI20240930BHJP
B01F 27/63 20220101ALI20240930BHJP
B01F 101/13 20220101ALN20240930BHJP
B01F 101/12 20220101ALN20240930BHJP
【FI】
B01F23/235
B01F23/233
B01F35/53
B01F35/90
B01F27/191
B01F27/27
B01F27/63
B01F101:13
B01F101:12
(21)【出願番号】P 2022577393
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2021067664
(87)【国際公開番号】W WO2022002837
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2024-01-04
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァリエ, ジャン‐フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】マルシラ, ラファエル
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517429(JP,A)
【文献】特表2018-537959(JP,A)
【文献】特開昭59-166231(JP,A)
【文献】実開平6-60433(JP,U)
【文献】実開昭62-174627(JP,U)
【文献】特開2005-164525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/235
B01F 23/233
B01F 35/53
B01F 35/90
B01F 27/191
B01F 27/27
B01F 27/63
B01F 101/13
B01F 101/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体又はペースト状製品をミキシングするための装置であって、ハウジング(1)を備え、前記ハウジング(1)が、
ミキシングされる前記液体又はペースト状製品のための入口(4)及びミキシングされた前記液体又はペースト状製品のための出口(5)と、前記液体又はペースト状製品をミキシングするための、ロータとステータとの少なくとも1つのセット(21、22)と、を備え、
前記装置が、少なくとも第1のハウジング部品(11)及び第2のハウジング部品(12)を備え、前記第1のハウジング部品(11)が、前記第2のハウジング部品(12)に組み付けられており、
前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との組立体が、前記入口(4)と前記出口(5)との間に、前記液体又はペースト状製品が流れるハウジング内部空間(17)を形成しており、
前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との前記組立体が、前記ハウジング内部空間(17)の周りに冷却流体を循環させるための冷却ジャケット(7)を形成しており、
前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との前記組立体が、清浄な流体を循環させるための緩衝ジャケット(9)を形成しており、前記緩衝ジャケット(9)が、前記冷却ジャケット(7)と前記ハウジング内部空間(17)との間に形成されている、
液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項2】
内側シール(81)が、前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との間の境界面において、前記ハウジング内部空間(17)と前記緩衝ジャケット(9)との間に挿入されており、
中間シール(82)が、前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との間の境界面において、前記緩衝ジャケット(9)と前記冷却ジャケット(7)との間に挿入されており、
外側シール(83)が、前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との間の境界面において、前記冷却ジャケット(7)と前記装置の外の周囲空気との間に挿入されている、
請求項1に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項3】
前記緩衝ジャケット(9)が、前記冷却ジャケット(7)の平均厚さよりも小さい平均厚さを有する、請求項1又は2に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項4】
前記ハウジング内部空間(17)が、略円筒状であり、前記緩衝ジャケット(9)が、リング形状の断面を有し、かつ、前記ハウジング内部空間(17)を取り囲んでおり、前記冷却ジャケット(7)が、リング形状の断面を有し、かつ、前記緩衝ジャケット(9)を取り囲んでいる、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項5】
第3のハウジング部品(13)を備え、
前記第1のハウジング部品(11)と前記第2のハウジング部品(12)との前記組立体が、前記緩衝ジャケットの第1の部分(91)を形成しており、
前記第2のハウジング部品(12)と前記第3のハウジング部品(13)との組立体が、前記緩衝ジャケットの第2の部分(92)を形成しており、
前記緩衝ジャケットの前記第1の部分(91)が、前記緩衝ジャケットの前記第2の部分(92)と流体連通している、
請求項1~4のいずれか一項に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項6】
前記ハウジングの全周にわたって清浄な流体の流れが確立されるように構成されており、第2の孔(912)が、前記緩衝ジャケットの第1の部分(91)の入口及び前記緩衝ジャケットの第2の部分(92)の出口を形成しており、前記第2の孔(912)が、前記緩衝ジャケットの前記第1の部分(91)の前記出口を形成している第1の孔(911)に半径方向に対向しており、前記第2の孔(912)が、前記緩衝ジャケットの前記第2の部分(92)の入口を形成している第3の孔(913)に半径方向に対向している、請求項4又は5に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項7】
前記緩衝ジャケットの各部分が、障壁(133)を備え、前記緩衝ジャケット(9)の各部分の入口が、前記障壁(133)に隣接して前記障壁(133)の一方の側に位置しており、前記緩衝ジャケットの前記部分の出口が、前記障壁(133)の他方の側に位置している、請求項5に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項8】
ロータとステータとの複数のセットを備え、各ステータが、前記装置の別個のハウジング部品(11,12,13,14)内に設けられており、内部にステータが形成された各ハウジング部品(11,12,13,14)が、少なくとも1つの隣接するハウジング部品に組み付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の液体又はペースト状製品をミキシングするための装置を備えるシステムであって、
前記冷却ジャケットに冷却流体を供給する冷却流体源と、
前記緩衝ジャケットに清浄な熱伝導性流体を供給する清浄流体源と、
を更に備える、システム。
【請求項10】
前記冷却流体源が、冷却デバイスを備える冷却閉回路であり、前記冷却デバイスは、前記冷却ジャケット(7)の出口から流れる前記冷却流体を冷却することによって冷却された冷却流体を形成し、そのようにして得られた冷却された前記冷却流体を前記冷却ジャケット(7)の入口に供給するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記清浄な流体が開回路内を流れる、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記清浄な流体が凝縮水である、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記清浄流体源が、蒸気生成回路及び凝縮器(C21)を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記凝縮器(C21)が、前記蒸気生成回路から放出された蒸気と前記冷却流体との間で熱交換を行うように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
液体又はペースト状製品をミキシングする方法であって、ミキシングされる液体又はペースト状製品の流れを請求項9~14のいずれか一項に記載のシステムの前記装置に通過させる工程と、前記液体又はペースト状製品の流れをロータとステータとの少なくとも1つのセット(21、22)でミキシングする工程と、を含み、前記ステータ、ひいては前記液体又はペースト状製品が、前記冷却ジャケット(7)内を流れる前記冷却流体との熱伝達によって冷却される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置、及び液体又はペースト状製品をミキシングするための方法に関する。「ペースト状」とは、広範かつ非制限的に理解されるべきである。ペースト状製品は、半液体製品、粘性製品、及び半固体製品を含む。例えば、乳製品ベースを泡立てて空気又は気体を入れることにより得られる泡形態の、乳製品(すなわち牛乳食品製品)を基にしたムース(すなわちエアレーションされた食品組成物)は、当該技術分野で周知である。それらのエアレーションされた食感は、消費者に大変喜ばれる。本発明は、特に食品及び飼料産業のかかる製品のミキシングに関する。また、エアレーションは、医薬品産業又は化粧品産業に適用されてもよい。
【0002】
ミキシングには、製品の均質化及び異なる製品同士を組み合わせて均質な製品にすることが含まれる。ミキシングにはまた、液体又はペースト状製品のエアレーション、すなわち、液体又はペースト状製品に小さな気泡を含ませることも含まれ、一般にはムースができる。
【背景技術】
【0003】
産業的に最も一般的に適用される液体製品又は半液体製品のミキシング方法は、機械的ミキシングに基づいている。市販されている機械は、設計上いくらか異なってはいるものの、それらの動作原理は概して類似している。最もよく市販されている機械のミキシング装置は、ロータ-ステータ型のものであり、金属ペグで覆われたステンレス鋼ロータシャフトを備え、それらのペグが、同じくペグを内部に有するステータを形成する筒状のハウジング内に嵌合する。ミキシング装置が組み立てられると、シャフト上のペグと装置の内部のペグが噛み合い、製品の流れに対し剪断力を与える。
【0004】
製品のエアレーションのために、液(ペースト)相と気相とが、ミキシング装置に入る前に組み合わされる。ミキシング装置は、製品母材の中に取り込まれた大きな気泡を非常に小さな気泡へと機械的に粉砕する。泡の大きさは、製品特性を決定する本質的な要因である。
【0005】
このような機械は、例えば、国際公開第91/07221(A1)号、英国特許出願公開第888264(A)号及び独国特許出願公開第3127684(A1)号に記載されている。
【0006】
国際公開第2013/068426(A1)号は、少なくともロータとステータとの1つのセットを有するミキシングヘッドを備えた、食品製品のエアレーションのための装置を開示している。ロータとステータの各セットは、軸方向において対向するよう向けられた相補的な歯付きリムを有するロータ及びステータを備える。エアレーションされる製品を受容するための製品入口開口部と気体注入器とを有する入口カバーが設けられており、気体注入器は、入口カバーに配置されており、気体注入器のヘッドが入口カバーとロータ-ステータの第1のセットとによって画定されるヘッドスペースに位置するように入口カバーを横切っている。
【0007】
このような装置の改良は、国際公開第2017/067965(A1)号及び国際公開第2018/197493(A1)号に開示されている。
【0008】
より具体的には、国際公開第2017/067965(A1)号は、隣接するロータ及びステータの対同士の間に、食品製品とミキシングされる組成物を注入するための入口を備える装置を開示している。これにより、食用穀物、チップ、又は粒子などの別の製品を含む、ムースなどのエアレーションされた製品を製造することが可能になる。
【0009】
国際公開第2018/197493(A1)号は、広範囲の製品の製造に容易に適合させることができる装置を開示している。この装置は、ロータとステータとの第1のセット及びロータとステータとの第2のセットを備えた中間ミキシングチャンバと、中間ミキシングチャンバ内に放出する二次製品導入手段とを含む。この装置は、例えば、様々に異なる種類の二次製品(気体、液体、半液体、固体片、又はそれらの組み合わせであって、エアレーションされたベース製品中に導入されると特性が変化する製品を含む)とミキシングされた様々に異なる特性を有するベース製品をエアレーションするのに適している。
【0010】
したがって、そのようなミキシング装置のミキシングヘッドは、ロータとステータとの1つ又は複数のセットを備える。各ステータは、一般に、装置のハウジングによって形成されている、すなわち、ステータは、ハウジングと一体である。エアレーションされる製品がこのような装置内を流れる場合、製品は一般に冷たい状態であり、かつ冷たいままである必要がある。したがって、ハウジングは、一般に、ミキシングヘッドの周りに、一般には氷冷水である冷却流体を循環させるための空間を画定している。したがって、冷却ジャケットとも呼ばれる氷冷水ジャケットが、装置のロータの周り及び製品の流れの周りに形成されている。
【0011】
冷却流体の循環は、回転速度からもたらされる剪断力によって生成される装置内部の熱エネルギーを除去することを可能にする。好都合なことに、これにより、例えば、オーバーラン及び安定性が強化されたエアレーション製品を達成することによって、ミキシング動作が改善される。冷却流体の温度は、ミキシングされる製品に応じて、及びミキシングされた製品の所望される特性、例えば、エアレーションされた製品についてのエアレーション特性に応じて、適合される。
【0012】
本明細書の残りの部分では、本発明を、冷却流体として氷冷水を使用する装置を例にして説明する。冷水(例えば、氷冷水)は好ましい冷却流体であるが、グリコール水を含む他の冷却流体を使用してもよい。また、「エアレーションされた」という用語は、内部に気泡が形成された製品を示すために使用されるが、空気以外の気体を「エアレーション」に使用することができる。
【0013】
氷冷水流は、装置のハウジング内を通っている、具体的には、ミキシングヘッドのステータの周りを通っている閉回路内を循環する。装置、特にミキシングヘッドは、いくつかの部品から形成される。それは、いくつかのハウジング部品を含んでもよい。例えば、各ハウジングは、入口部、出口部、及びステータとロータのセットのステータのうちの1つを形成することができる。特に、装置は、ステータとロータのいくつかのセットを備えることができる。Oリングなどのシールが、装置のいくつかの部品間にシールを提供するために使用される。
【0014】
以下に詳述する理由により、装置の部品間の漏れを回避する必要がある。
【0015】
内側シールは、ハウジング内部空間と冷却ジャケットとの間の漏れを回避する。ハウジング内部空間は、装置の入口と出口との間に形成された空間であり、その中を食品製品の流れが流れる。特に、ハウジング内部空間は、上記食品製品の流れが流れる、各ステータの内側に画定された空間を含む。したがって、この内側シールは、気密性/液密性を保証する必要がある。
【0016】
外側シールは、冷却ジャケットと装置を取り囲んでいる周囲空気との間の漏れを回避する。したがって、この外側シールは、気密性/液密性を保証する必要がある。
【0017】
このような漏れを検出する手段が設けられている。具体的には、氷冷水の圧力が、装置の始動時に自動システムによって測定される。シールの故障(例えば、漏れ)は、氷冷水の圧力を測定する自動システムによって特定され得る。
【0018】
自動システムが、所与のレベルを下回る氷冷水の圧力の低下を検出した場合、機械は停止される。これは、実際に、シールに関連する故障が存在する可能性があり、食品製品及び/又は氷冷水の漏れが生じる可能性があることを意味する。
【0019】
内側シールで漏れが生じた場合、食品製品の流れが氷冷水の流れの中に流れ込むことになる。これは、食品の流れの圧力が一般に氷冷水の流れの圧力よりも高いためである。このような漏れは、氷冷水の流れが閉回路を循環するので、目視検査によって特定することができない。このような漏れは、機械の始動時に氷冷水の流れの圧力の確認されていない上昇を測定することによってのみ特定することができる。
【0020】
外側シールで漏れが生じた場合、氷冷水が装置ハウジングから流出することになる。このような漏れは、氷冷水が装置の外へ流出するので、漏れの程度に応じて目視検査によって検出することができる。装置が動作しているときには、自動システムは、氷冷水の圧力を測定することができない。これは、圧力が特定のプロセスに従って測定されるためであり、特定のプロセスとは、装置の上流の弁及び下流の弁を同時に閉じることを意味する。このプロセスは、工場の給水系統の圧力変動が大きいことから必要であり、装置が動作しているときには実行することができない。その結果、装置が動作しているときに内側シールで漏れが生じた場合、この漏れは測定プロセスを使用して検出することができない。このような漏れは、氷冷水の流れが閉回路内を循環しているために、目視検査によっても検出することができない。
【0021】
更に、機械が停止されると(例えば、製品バッチの製造の終わりに)、ステータ内部の食品製品チャンバ内の圧力は低下する。したがって、内側シールで漏れが生じた場合、氷冷水の流れの一部が食品製品の流れの中に流入することになる。しかしながら、氷冷水は、摂取するには適しておらず、例えば、滅菌されていない。このような非滅菌水の食品製品中への漏れは、品質/衛生基準の観点から許容できない。
【0022】
食品製品の流れの中への氷冷水の漏れが検出された場合、その食品製品の現在のバッチ全体を廃棄する必要がある。したがって、最新技術による装置は、動作上及びコスト上の問題も伴う可能性がある。
【0023】
したがって、既知の装置は、上述の欠点を克服するために改善される必要がある。本発明の目的は、既知のシステムの欠点の1つ以上を克服する、食品製品をミキシングするための装置及び方法を提供することである。
【発明の概要】
【0024】
本発明は、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置に関する。本装置は、ハウジングを備え、当該ハウジングが、ミキシングされる液体又はペースト状製品のための入口及びミキシングされた液体又はペースト状製品のための出口と、液体又はペースト状製品をミキシングするための少なくともロータとステータとの1つのセットと、を備える。本装置は、少なくとも第1のハウジング部品と第2のハウジング部品とを備え、第1のハウジング部品が、第2のハウジング部品に組み付けられており、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との組立体が、入口と出口との間に、液体又はペースト状製品が流れるハウジング内部空間を形成している。第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との組立体が、ハウジング内部空間の周りに冷却流体を循環させるための冷却ジャケットを形成している。
【0025】
本発明によれば、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との組立体は、清浄な流体を循環させるための緩衝ジャケットも形成しており、緩衝ジャケットは、冷却ジャケットとハウジング内部空間との間に形成されている。
【0026】
冷却ジャケットとハウジング内部空間との間に形成された緩衝ジャケットは、多くの利点を提供する。主に、製品の流れへの清浄な流体(例えば、滅菌凝縮水)の漏れが生じた場合、装置内でミキシングされた製品は、摂取されるのに(食品製品に)適した状態を保つか、製品(食品又は化粧品製品)内の細菌発生を促進しない。
【0027】
更に、それによりいくつかの故障を容易に検出することが可能になる。例えば、清浄な流体の流れの中への食品製品の漏れが生じた場合、清浄な流体は、食品製品で着色される。例えば、ダークチョコレートムースの場合、このような漏れの場合には、凝縮水は、茶色がかったものとなる。したがって、装置の外へ流出する清浄な流体の色を単純に目視検査するだけで、そのような漏れを検出することが可能になる。加えて、清浄な流体が水であった場合、緩衝ジャケットを通って流れた後に、例えば装置の外へ廃棄することができる。このように、目視検査を行うことは非常に容易である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、
内側シールが、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との間の境界面において、ハウジング内部空間と緩衝ジャケットとの間に挿入されており、
中間シールが、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との間の境界面において、緩衝ジャケットと冷却ジャケットとの間に挿入されており、
外側シールが、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との間の境界面において、冷却ジャケットと装置の外の周囲空気との間に挿入されている。
【0029】
冷却ジャケットと緩衝ジャケットとの間、及び緩衝ジャケットとハウジング内部空間との間にそれぞれ2つの連続するシール、すなわち中間シール及び内側シールが存在することにより、装置の動作安全性が向上する。更に、シールのうちの1つが故障した場合、その悪影響は以前よりもより容易に克服されることになる。
【0030】
上記で説明したように、内側シールの故障が生じた場合、ミキシングされる製品は、清浄な流体を着色し、この漏れは、容易に検出されることになる。更に、何らかの理由でハウジング内部空間内の圧力が緩衝ジャケット内の圧力よりも低くなった場合、清浄な流体は、ミキシングされる製品中に流入することになる。製品はわずかに希釈されることになるが、これは安全性の問題を意味するものではない。
【0031】
中間シールの故障が生じた場合、清浄な流体が冷却流体中に流入することになる。このような漏れは、装置の始動時に冷却流体の圧力を測定することによって検出することができる。装置が動作しているときに漏れが始まった場合、それは直ちには検出されない。しかしながら、内側シールが無傷で、ミキシングされる製品が冷却流体によって汚染されないので、安全性の問題はない。
【0032】
外側シールの故障が生じた場合、冷却流体は、装置の外へ流出し、シールの故障は、容易に検出される。
【0033】
緩衝ジャケットは、冷却ジャケットの平均厚さよりも小さい平均厚さを有することができる。
【0034】
緩衝ジャケットは、非常に薄い流体の層で形成されてもよい。冷却液による汚染からミキシングされる製品を保護するその効果は、緩衝ジャケット内の液体流量が大きいことを意味するものではない。これにより、該当する場合には、装置から廃棄される水の量が制限される。更に、緩衝ジャケットは、冷却流体とハウジング内部空間を流れる製品との間の熱伝達を阻害してはならない。
【0035】
ハウジング内部空間は、略円筒状とすることができ、緩衝ジャケットは、リング形状の断面を有し、ハウジング内部空間を取り囲むことができ、冷却ジャケットは、リング形状の断面を有し、緩衝ジャケットを取り囲むことができる。
【0036】
装置において使用されるステータとロータとのセットの形状から、円筒状の全体形状が好都合である。それはまた、耐圧性、Oリングなどのリング形状シールを用意し易いなど、多くの理由により、このようなシステムで実装するのが最も容易な形状でもある。
【0037】
装置は、第3のハウジング部品を更に備えることができ、
第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との組立体が、緩衝ジャケットの第1の部分を形成しており、
第2のハウジング部品と第3のハウジング部品との組立体が、緩衝ジャケットの第2の部分を形成しており、
緩衝ジャケットの第1の部分が、緩衝ジャケットの第2の部分と流体連通している。
【0038】
装置は、ハウジングの全周にわたって清浄な流体の流れが確立されるように構成されており、第2の孔が、緩衝ジャケットの第1の部分の入口及び緩衝ジャケットの第2の部分の出口を形成しており、上記第2の孔は、緩衝ジャケットの第1の部分の出口を形成している第1の孔に半径方向に対向しており、上記第2の孔は、緩衝ジャケットの第2の部分の入口を形成している第3の孔に半径方向に対向している。
【0039】
緩衝ジャケットの各部分は、障壁を備えることができ、緩衝ジャケットの各部分の入口が、障壁に隣接して障壁の一方の側に位置しており、緩衝ジャケットの当該部分の出口が、障壁の他方の側に位置している。
【0040】
このようにして、装置内の良好な温度均一性と、上記で詳述したような特定の故障の検出を可能にする連続的で均一な流れと、を確保するための手段がとられる。
【0041】
装置は、ロータとステータとの複数のセットを備え、各ステータが、装置の別個のハウジング部品内に設けられており、内部にステータが形成された各ハウジング部品が、少なくとも1つの隣接するハウジング部品に組み付けられている。
【0042】
実際、装置は、概して、2つ以上のハウジング部品を含む。装置は、概して、ミキシングされる製品のための、装置内への入口を形成している入口ハウジング部品と、ミキシングされた製品のための、装置からの出口を形成している出口ハウジング部品と、入口ハウジング部品と出口ハウジング部品との間に挿入された、いくつかの中間ハウジング部品とを備え、各中間ハウジング部品は、ロータとステータとのセットを備える。
【0043】
本発明はまた、上述したような装置を備えるシステムに関し、このシステムは、
冷却ジャケットに冷却流体を供給する冷却流体源と、
緩衝ジャケットに清浄な熱伝導性流体を供給する清浄熱伝導性流体源と、を更に備える。
【0044】
冷却流体源は、冷却デバイスを備える冷却閉回路であり、冷却デバイスは、冷却ジャケットの出口から流れる冷却流体を冷却して、冷却された冷却流体を形成し、そのようにして得られた冷却された冷却流体を冷却ジャケットの入口に供給するように構成されている。
【0045】
このようなシステムでは、清浄な流体は、開回路内を流れることができる。
【0046】
開回路から廃棄された清浄な流体は、漏れ検出に使用することができる。例えば、ミキシングされた製品が清浄な流体中へ漏れることによって引き起こされる、廃棄される清浄流体の色の変化は、単純な目視検査によって容易に検出することができる。
【0047】
清浄な流体は、凝縮水とすることができる。
【0048】
凝縮水は、入手が容易で、食品グレードであり、滅菌されているため、内側シールが故障した場合には、漏れが小さい限り、安全性の問題なく、製品の特性、例えば味を実質的に変化させることなく、任意の製品、例えば任意の食品製品とミキシングされ得るため、本発明によるシステムで使用される好ましい清浄な導電性流体である。
【0049】
清浄流体源は、蒸気生成回路及び凝縮器を備えることができる。凝縮器は、蒸気生成回路から放出された蒸気と冷却流体との間で熱交換を行うように構成することができる。
【0050】
本発明はまた、液体又はペースト状製品をミキシングする方法にも関し、本方法は、ミキシングされる液体又はペースト状製品の流れを上記のようなシステムの装置に通過させる工程と、液体又はペースト状製品の流れを少なくとも1つのロータとステータとのセットでミキシングする工程と、を含み、本方法では、ステータ、ひいては液体又はペースト状製品が、冷却ジャケット内を流れる冷却流体との熱伝達によって冷却される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明に従って改善され得る、従来技術において知られている、液体又はペースト状製品をミキシングするための例示的な装置の概略断面図である。
【
図2】従来技術による、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置の2つのハウジング部品の組立体の概略図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置の2つのハウジング部品の組立体の、
図2と同様の図における概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態において使用することができるロータとステータとのセットのステータを形成するハウジング部品の三次元図である。
【
図5】本発明において使用することができるロータとステータとのセットのいくつかのステータの組立体の概略図である。
【
図6】本発明において使用することができるロータとステータとのセットのいくつかのステータの別の組立体の概略図である。
【
図7】
図6の実施形態で使用することができるステータの詳細な三次元図である。
【
図8】本発明による液体又はペースト状製品をミキシングするための装置を備えるシステムにおいて使用することができる流体回路の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明及びその利点の完全な理解のため、以下における発明を実施するための形態を参照する。
【0053】
本発明の様々な実施形態は、本発明の他の実施形態と組み合わせることができ、本発明を作製及び使用する特定の方法を例示するものに過ぎず、請求項及び以下の詳細な説明と共に考慮するにあたり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【0055】
図示された例示的な実施形態を参照し、本発明を更に説明する。特許請求される本発明は、形はどうあれ、これらの実施例によって限定されることを決して意図するものではないことが理解されよう。
【0056】
図1は、従来技術で知られている液体又はペースト状製品をミキシングするための例示的な装置の概略断面図である。これは、本発明で提案するように最適化することができるタイプの装置である。
【0057】
図1の装置は水平の構成で示されているが、同一又は類似の装置が垂直の構成を有することもできる。それは本発明による装置についても同様である。
【0058】
液体又はペースト状製品をミキシングするための図示された例示的な装置は、ロータとステータとの2つのセット21、22を備えるハウジング1を備える。図示の実施形態では、各ロータはハウジングと一体となっている。ロータとステータとの第1のセット21は、製品入口4からミキシング済み製品出口5までの、装置における製品の流れの全体的な方向に対して、ロータとステータとの第2のセット22の上流にある。ロータは1つ以上の歯付きリムを有し、この歯付きリムは、軸方向において対向するよう向けられたステータの相補的な歯付きリムと協働する。
【0059】
図示された実施形態では、ハウジング1は、実質的に管状の形態、すなわち、実質的に円筒状の全体形状を有する。ハウジング1は、長手方向に延びている。ロータとステータとのセットである21、22は、中央長手方向軸線Aに沿って長手方向に延びている中央駆動シャフト3に沿って連続して並んでいる。
【0060】
ロータとステータとの各セット21、22のそれぞれは、ロータ23及び対応するステータ24を備える。ロータ23は、駆動シャフト3に結合されており、シャフト3に結合されたモータ駆動装置(図示せず)によって駆動シャフト3の中央長手方向軸線(A)を中心として回転駆動される。駆動シャフト3の典型的な回転速度は、50RPM~1500RPMである。ステータは、単一片を形成するようにハウジング1の内壁に堅固に結合されており(又は内壁と一体的に形成されており)、すなわち、ハウジングは、各ステータとロータとのセットのステータを形成している。
【0061】
この例示的な従来技術の実施形態では、装置は、入口ハウジング部品15に設けられた製品入口4を有する。製品入口4は、製品供給ライン(図示せず)から、ミキシングされる液体又はペースト状(例えば、液体、粘性液体、又は半固体)製品の流れを受容するように構成されている。図示された従来技術の実施形態は、製品をエアレーションするように構成されている。気体注入器6が、圧力下で気体を本装置内に導入するために、入口ハウジング部品に配置されている。一般的に、気体は、約0.5bar~約10barの範囲内に加圧されてミキシング装置内に注入され得る。気体注入器6の位置は、液体又はペースト状製品の流れの中に気体を効率的に取り込むために、例えば、製品の流れの中に均質かつ均一な気泡を生成するために重要である。例えば、気体注入器6は、その中心軸線を、駆動シャフト3の中央長手方向軸線(A)に平行にして、又は駆動シャフト3の当該中央長手方向軸線(A)に対して10°~約85°の角度で傾斜して、配置され得る。
【0062】
気体注入器6によって圧力下で本装置に入った気体は、ロータとステータとの第1のセット21の歯付きリムに流れ、ロータとステータとのセットの歯付きリムによってもたらされる高剪断力及び切断力を受ける。ロータとステータとの各セット21、22におけるロータの回転は、ロータ歯とステータ歯との間の剪断ギャップを通して製品の流れ及び気泡を外向きに送り込み、局所的な高剪断状態を作り出す。ロータ歯とステータ歯との間の、製品が流れる剪断ギャップにおいて製品の流れに加えられる高剪断力は、製品の流れの均質化及び製品の流れの小気泡を伴う均質なエアレーションの生成をもたらす。
【0063】
ハウジング1は、ミキシングされた製品のためのミキシング済み(例えば、エアレーション済み)製品出口5を備え、この出口5は、出口ハウジング部品16に設けられている。好ましくは、ミキシング済み製品出口5より下流にある製品の流れには背圧レギュレータ(図示せず)が設けられている。背圧レギュレータは、ハウジングの内部空間内の圧力を制御し、ミキシング装置を通る製品の安定した流れを確保することを可能にする。
【0064】
ロータとステータとの各セット21、22は、別個のハウジング部品内に設けられている。ロータとステータとの第1のセット21は、第1のハウジング部品11内に設けられている。ロータとステータとの第2のセット22は、第2のハウジング部品12内に設けられている。
【0065】
液体又はペースト状製品をミキシングするための装置は、長手方向に沿ってハウジング部品を組み立てることによって得られる。入口ハウジング部品15は、第1のハウジング部品11の一端に組み付けられ、第1のハウジング部品11の他端は、第2のハウジング部品12の一端に組み付けられ、第2のハウジング部品の他端は、出口ハウジング部品16に組み付けられている。
【0066】
製品をミキシングするための装置の他の構成は、同様の組立体に従って得ることができ、組立体は、概して、
入口ハウジング部品15と、
ロータとステータとのセットを備える少なくとも1つのハウジング部品(例えば、ロータとステータとの最大8つのセットを装置内で使用することができる)と、
任意選択で、1つ又はいくつかのスペーサ、すなわち、ロータとステータとのセットを有さないハウジング部品と、
出口ハウジング部品16と、
を備える。
【0067】
ハウジング部品の組立体は、ハウジング内部空間17を画定しており、ハウジング内部空間17を通って製品が製品入口4からミキシング済み製品出口5に流れる。
【0068】
ミキシングされる製品、例えばエアレーションされる製品は、アイスクリームプレミックスなどの冷凍製品、若しくはクリームなどの冷たい製品、又はより一般的には、ミキシング中、例えばエアレーション中に、冷たく保たれる必要のある食品製品(発酵乳ムースプレミックス、チョコレートムースプレミックスなど)であり得る。ハウジング1内でのロータの動きは、ステータの温度を上昇させることがあり、より一般的には、ハウジングの内部空間の温度を上昇させることがある。更に、このような温度上昇は、ハウジングの内部空間と装置の周りの周囲空気との間での、ハウジングを介した熱交換によって引き起こされ得る。
【0069】
したがって、冷却システムは、一般にハウジング1の周りに設けられ、中空ジャケット、すなわち冷却ジャケット7からなる。冷却ジャケットは、冷却流体の循環のための空間を画定している。冷却流体は、装置を通って流れる製品を低温、例えば-15℃~10℃、好ましくは0℃~10℃に維持するために、冷却ジャケット内を循環する。
【0070】
したがって、冷却流体が循環することによって、装置の内部における回転速度からもたらされる剪断力によって生じる熱エネルギーの吸収を放熱させることができる。有利なことに、これは、例えば、オーバーラン及び安定性が強化されたエアレーションされた製品を達成することによって、ミキシング動作、特にエアレーション動作を改善する。有利なことに、これによって、製品中のエアレーションの程度及び安定性を維持することができる。あらゆる冷却流体を想定することができる。一般に、冷却流体として低温の水が使用される。冷却流体又は加熱流体の温度は、ミキシングされる製品又はエアレーションされる製品、及びエアレーションされた製品についての所望のエアレーション特性に応じて、適合させることができる。
【0071】
装置はいくつかの部品の組立体によって得られるので、冷却ジャケット7もまた、各ハウジング部品内にそれぞれ設けられた、冷却ジャケット7の部分の組立体で構成される。図示の例では、第1のハウジング部品11は、冷却ジャケットの第1の部分71を含み、第2のハウジング部品12は、冷却ジャケットの第2の部分72を含む。冷却ジャケット部分は、このように形成された冷却ジャケット7内の冷却流体の流れを構築するように構成されている。例えば、装置は、冷却流体が、最初に、出口ハウジング部品16に設けられた冷却流体入口を通って冷却ジャケットの第2の部分72に入り、冷却ジャケットの第2の部分72のステータの周りを流れ、次いで、冷却ジャケットの第1の部分71に入り、最後に、入口ハウジング部品15に設けられた冷却流体出口を介して出るように構成され得る。あるいは、入口ハウジング部品から出口ハウジング部品へと冷却流体の循環を構築することができる。
【0072】
冷却流体が装置の外へ漏れることを回避するために、外側シール83、例えばOリングが、各対の隣接するハウジング部品の間の境界面に挿入されている。ハウジング内部空間17内への冷却流体の漏れ(及びハウジング内部空間17から冷却ジャケット7内への製品の漏れ)を回避するために、内側シール81、例えばOリングもまた、各隣接するハウジング部品の間の境界面に挿入されている。装置の全体形状に応じて、他の閉鎖形状のシールを使用することもできる。
【0073】
しかしながら、上述したように、例えば内側シールの摩耗又は不良位置に起因する内側シール81の故障は、検出することが困難である場合があり、装置の始動時にのみ検出されることになる。このような故障は、製品を摂取するには適さない状態にするなどの、悪影響をもたらす可能性がある。
【0074】
図2は、従来技術による、2つのハウジング部品間のシール構成の概略図を表す。より具体的には、
図2は、2つの連続するハウジング部品内に形成された2つの隣接するステータを部分断面図で示している。第1のハウジング部品11は、第1の歯のセット211を備える第1のステータを形成している。第2のハウジング部品12は、第2の歯のセット221を備える第2のステータを形成している。
【0075】
図示の実施形態では、第1のハウジング部品11と第2のハウジング部品12との組立体が、冷却ジャケットの第1の部分71を形成している。
【0076】
冷却流体用の第1の孔711が、冷却ジャケットの第1の部分71から冷却ジャケット7の次の部分への冷却流体出口を形成している。冷却流体用の第2の孔712が、冷却ジャケット7の先行する部分から冷却ジャケットの第1の部分71内への冷却流体入口を形成している。
【0077】
外側シール83は、冷却ジャケットと装置を取り囲んでいる周囲空気との間に気密及び液密シールを提供する。内側シール81は、冷却ジャケットとハウジング内部空間17との間に液密(及び好ましくは気密)シールを提供する。
【0078】
図3は、本発明の一実施形態による、2つのハウジング部品の間のシール構成の概略図を表す。
図3の図は、
図2に示された図と同様であり、シール構成及び緩衝ジャケットの存在を除いて、上記の説明が
図3の装置に適用される。
【0079】
より具体的には、
図3の実施形態は、緩衝ジャケット9がハウジング内部空間17と冷却ジャケット7との間に設けられている点で、
図2の従来技術の実施形態とは異なる。図示の実施形態では、第1のハウジング部品11と第2のハウジング部品12との組立体が、緩衝ジャケットの第1の部分91を形成している。
【0080】
第1の孔911は、緩衝ジャケットの第1の部分91から緩衝ジャケット9の次の部分への出口を形成している。第2の孔912は、緩衝ジャケットの先行する部分から緩衝ジャケットの第1の部分91内への入口を形成している。
【0081】
図2の従来技術の実施形態と同様に、外側シール83は、冷却ジャケット7と装置を取り囲んでいる周囲空気との間に気密及び液密シールを提供する。
【0082】
図3に示す本発明の実施形態では、内側シール81は、緩衝ジャケット9とハウジング内部空間17との間に液密(及び好ましくは気密)シールを提供する。
【0083】
更に、中間シール82、例えばOリングが、各対の隣接するハウジング部品の間の境界面において、2つの考慮される隣接するハウジング部品の組立体によって形成される冷却ジャケットの部分と緩衝ジャケットの部分との間に挿入されている。中間シール82は、緩衝ジャケット9と冷却ジャケット7との間の漏れを防止する。緩衝ジャケット9は、凝縮水などの、清浄な、例えば滅菌された流体を循環させるように構成されている。清浄な流体は、ステータ及び/又はハウジング内部空間17と冷却ジャケット7内に存在する冷却流体との間の熱伝達を制限しないように、熱伝導性である必要がある。「清浄」とは、ある量の流体が製品の流れの中にミキシングされた場合に、その流体がミキシングされた製品を使用不能な状態にしないことを意味する。清浄な流体は、食品グレードの流体、及び/又は滅菌されている流体などであってもよい。
【0084】
清浄な流体は、冷却ジャケットと装置内を流れるミキシングされる製品との間の熱交換を制限してはならないか、又は可能な限り制限してはならない。したがって、清浄な流体は、好都合には熱伝導性流体である。水又は水ベースの製品(例えば、適切な不凍剤を含んだ水)が一般に適切である。
【0085】
本発明で提供される緩衝ジャケット9により、シールの故障の悪影響が低減され、及び/又は漏れの検出が簡略化される。
【0086】
内側シール81に欠陥がある場合、清浄な流体中への食品製品の漏れ、又は食品製品中への清浄な流体の漏れが生じ得る。
【0087】
清浄な流体の流れの中への食品製品の漏れは、食品製品による清浄な流体への着色により容易に検出されることになる。特に、清浄な流体の流れは、閉回路内を循環するのではなく、「開回路」内を流れる。「開回路」とは、閉ループを構成しないが、いわゆる開回路内を流れる流体が連続的に廃棄される少なくとも1つの出口と、廃棄された流体の量が補われる少なくとも1つの入口と、を含む流体経路を意味する。
【0088】
特に、清浄な流体は、装置の外へ、例えば、床上に(その後、下水管又は水回収システムを通って)廃棄される。したがって、漏れは、装置から廃棄される清浄な流体を目視検査することによって容易に検出することができる。特に、製品が漏れた場合、装置の外へ廃棄された清浄な流体が製品によって着色されることになる。
【0089】
あるいは、清浄な流体の色以外のパラメータを使用して、そのような漏れを検出することができる。
【0090】
本発明の代替的実施形態では、液体は、その組成の変化を検出するように構成されたシステムによって分析することができる。そのような検出は、例えば、導電率、温度、濁度のパラメータのうちの1つ又はいくつかを測定することによって実行することができる。したがって、組成の変化、ひいてはそのようなパラメータの変化の検出が、漏れを検出するために、色の変化の代わりに、又は補足として使用され得る。
【0091】
清浄な流体(例えば、凝縮水)が食品製品の流れに向かって漏れると、ミキシングされた食品製品は、清浄な流体でわずかに希釈されるが、食品製品は摂取するのに適したままである。
【0092】
中間シール82に欠陥がある場合、清浄な流体は、冷却流体中に流入することになる。このような漏れは、装置の始動時に冷却流体圧力を測定することによって検出することができる。装置が動作しているときに漏れが始まった場合、内側シールが無傷であるため、安全性の問題はない。しかし、何よりも、ミキシングされた食品製品が異質な流体によって汚染されることがない。
【0093】
外側シール83に欠陥がある場合、冷却流体は装置の外へ流出することになり、シールの故障は、既知の装置と同様に容易に検出されることになる。
【0094】
食品製品の汚染は、内側シール81及び中間シール82の両方に同時に欠陥が生じた場合にのみ起こり得るが、これは非常に可能性が低い。内側シール及び中間シールのうちの一方のいかなる故障も、内側シール及び中間シールの両方に欠陥が生じる前に確実に検出されることになる。
【0095】
図4は、本発明の一実施形態において使用することができるステータとロータとのセットのステータを形成するハウジング部品の三次元図である。
図4の三次元図は、冷却ジャケット部分及び緩衝ジャケット部分がハウジング部品の組み立てによってどのように形成され得るかを示す。例えば第1のハウジング部品11に対応する図示されたハウジング部品は、図示の実施形態において、中空円筒の全体形状を有する。ハウジング部品は、その直径に比べて高さが小さいので、ハウジング部品の図示の実施形態はリング形状であると言うことができる。
【0096】
緩衝ジャケット及び冷却ジャケットは、装置のハウジング内に設けられ、同心である。より具体的には、ハウジング内部空間17は、緩衝ジャケット8によって取り囲まれており、緩衝ジャケット8は、冷却ジャケット7によって取り囲まれている。
【0097】
冷却ジャケット部分は、隣接するハウジング部品の2つの向かい合った円形外側溝を組み立てることによって形成される。第1のハウジング部品は、第1の外側溝111を含む。
【0098】
同様に、緩衝ジャケット部分は、隣接するハウジング部品の2つの向かい合った円形内側溝を組み立てることによって形成される。第1のハウジング部品は、第1の内側溝112を含む。
【0099】
冷却流体用の第1の孔711(すなわち、第1の冷却ジャケット部分71からの冷却流体出口)及び第1の孔911(すなわち、緩衝ジャケットの第1の部分91からの清浄流体出口)が、
図4に示されている。それらは、本発明の特定の実施形態を参照して以下に説明される
図7においてより詳細に表される。
【0100】
実際に、装置の各ステータの全周にわたって冷却ジャケット内の冷却流体の流れを促進する装置の構成を提供することが重要である。同様に、装置の各ステータの全周にわたって緩衝ジャケット内の清浄な流体の流れを促進する装置の構成を提供することが重要である。
【0101】
これは、例えば、
図5及び
図6にそれぞれ表される2つの代替的構成に従って得ることができる。
【0102】
図5は、本発明で使用することができるステータとロータとのセットのいくつかのステータの組立体の概略図である。
図5の組立体は、4つのステータを備え、各ステータは、別個のハウジング部品内に設けられている。具体的には、
図5は、第1のハウジング部品11、第2のハウジング部品12、第3のハウジング部品13、及び第4のハウジング部品14の組立体を表す。
【0103】
第1のハウジング部品11と第2のハウジング部品12との組立体が、冷却ジャケットの第1の部分71及び緩衝ジャケットの第1の部分91を形成している。
【0104】
第2のハウジング部品12と第3のハウジング部品13との組立体が、冷却ジャケットの第2の部分72及び緩衝ジャケットの第2の部分92を形成している。
【0105】
第3のハウジング部品13と第4のハウジング部品14との組立体が、冷却ジャケットの第3の部分73及び緩衝ジャケットの第3の部分93を形成している。
【0106】
ミキシングされる製品は、
図5に大きな矢印で示すように、ハウジング内部空間17内を第1のハウジング部品11から第4のハウジング部品14へと流れる。冷却流体及び清浄な流体は、図示の実施形態では、第4のハウジング部品14から第1のハウジング部品11へと流れる。
【0107】
冷却ジャケットの第1の部分71は、冷却流体用の第2の孔712を介して冷却ジャケットの第2の部分72と流体連通している。冷却ジャケットの第2の部分72は、冷却流体用の第3の孔713を介して冷却ジャケットの第3の部分73と流体連通している。
【0108】
各ハウジング部品の全周にわたって冷却流体の流れを確立するために、冷却流体用の2つの連続する孔は、半径方向に対向している。換言すれば、冷却流体用の第2の孔712は、冷却流体用の第3の孔713と半径方向に対向している。
【0109】
図5に示すように、同じ構成を使用して、ハウジングの全周にわたって清浄な流体の流れを確実に確立することができる。
【0110】
緩衝ジャケットの第1の部分91は、清浄な流体用の第2の孔912を介して緩衝ジャケットの第2の部分92と流体連通している。緩衝ジャケットの第2の部分92は、清浄な流体用の第3の孔913を介して緩衝ジャケットの第3の部分93と流体連通している。
【0111】
各ハウジング部品の全周にわたって清浄な流体の流れを確立するために、清浄な流体用の2つの連続する孔は、半径方向に対向している。換言すれば、清浄な流体用の第2の孔912は、清浄な流体(など)用の第3の孔913と半径方向に対向している。
【0112】
緩衝ジャケットの第1の部分の出口は、清浄な流体用の第1の孔911によって形成されている。
【0113】
【0114】
図6は、本発明で使用することができるステータとロータとのセットのいくつかステータの組立体の、
図5と類似の概略図である。
図5におけるように、組立体は4つのステータを備え、各ステータは、別個のハウジング部品内に設けられている。
【0115】
図5の上記説明が、
図6の実施形態に適用され、
図6の実施形態は、緩衝ジャケット部分間の、清浄な流体用の孔の配置が、
図5の実施形態と異なっている。
【0116】
図6に示される実施形態によれば、清浄な流体用の第2の孔912は、清浄な流体用の第3の孔913と実質的に整列している。しかしながら、清浄な流体用の第3の孔913から清浄な流体用の第2の孔912への清浄な流体の直接的な通過を回避するために、
図7に示されるように、障壁133が緩衝ジャケットの第2の部分92に形成されている。
【0117】
図7は、
図6の第3のハウジング部品13のステータの部分三次元図である。第3のハウジング部品13は、第3の内側溝132を備え、この第3の内側溝132は、第2のハウジング部品12の対向する溝と組み合わされて第2の緩衝ジャケット部分92を形成している。障壁133は、第3の内側溝132内に配置されており、対向する障壁が第2のハウジング部品12の対向する溝内に設けられている。したがって、清浄な流体は、障壁133及び対応する対向する障壁を横断することができないか、又はほとんど横断することができない。第2の緩衝ジャケット部分92への清浄な流体の入口である清浄な流体用の第3の孔913は、障壁の一方の側で障壁に隣接して位置している。清浄な流体をハウジングの周りに強制的に流すために、第2の緩衝ジャケット部分92の出口(すなわち、第2のハウジング部品12に形成された清浄な流体用の第2の孔912)が、障壁133の他方の側に位置している。
【0118】
図8は、本発明による液体又はペースト状製品をミキシングするための装置を備えるシステムにおいて使用することができる流体回路の例の概略図である。
【0119】
流体回路は、本質的に、2つのサブ回路、すなわち、氷冷水回路C1と、蒸気及び凝縮水回路C2と、を備える。
【0120】
氷冷水回路C1は、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置Bのための冷却流体源として主に使用される閉回路である。氷冷水回路C1は、氷冷水生成器C11を備える。氷冷水は、上記氷冷水生成器C11から出る。次いで、氷冷水生成器C11から放出された氷冷水は、いくつかの流れに分けられる。主たる流れは、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置Bの冷却ジャケットに供給される。二次的な流れは、凝縮水回路C2の凝縮器C21へと方向付けられ、水蒸気を冷却して後述するようにそれを凝縮水に変えるための冷却剤として使用される。第1の調整器C13は、この二次的な流れを輸送するダクトを備えており、回路のこの分岐内を流れる水の量を調整する。他の流れを使用して、他のデバイス、例えば、液体又はペースト状製品をミキシングするための他の装置に供給することができる。図示された例では、氷冷水の三次的な流れが形成され、これは熱交換器C12(又は冷水を必要とする他のデバイス)に輸送される。第2の調整器C14は、この二次的な流れを輸送するダクトを備えており、回路のこの分岐内を流れる水の量を調整する。
【0121】
液体又はペースト状製品をミキシングするための装置Bの冷却ジャケットから出ているダクトと、冷却剤として使用された水を輸送するための、凝縮器C21から出ているダクトと、冷却器C12から出ているダクトとが合流して、氷冷水生成器C11の入口への1つの戻りダクトを形成している。
【0122】
ポンプC15は、氷冷水生成器の下流に設置され、水を氷冷水回路C1に流す。
【0123】
蒸気及び凝縮水回路C2は、液体又はペースト状製品をミキシングするための装置Bの緩衝ジャケットに滅菌凝縮水を供給するために使用される。蒸気及び凝縮水回路C2は、図示の実施形態では、緩衝ジャケットから出てくる凝縮水が廃棄されるという点で「開」回路である。緩衝ジャケットの寸法が小さく、緩衝ジャケット内に必要な流れが少ないため、廃棄される水の量を少なくすることができる。例えば、1時間当たり10L~20Lが廃棄され得る。この水を廃棄することで、上述したように、装置の内側シールの欠陥を検出することが容易になる。当然ながら、他の実施形態では、この水中への製品の漏れ(典型的には、その色)を検出することを可能にするパラメータを制御することができる限り、この水を回収して、リサイクル又は再利用することが可能である。蒸気及び凝縮水回路C2は、水蒸気ループを含む。このループは、滅菌器C22、続いて蒸気圧縮機C23、加熱器C24を含む。加熱器C24から出る蒸気は、例えば15barの圧力に達し得る。圧力調整器C25が加熱器C24の下流に設置されており、蒸気の圧力を、例えば6barに下げる。蒸気は、圧力調整器C25の後で2つ以上の流れに分けられる。流れの一部は、その圧力が第2の圧力調整器C26において1barまで更に低減された後、凝縮器C21に送られる。蒸気は、凝縮器C21において氷冷水との熱交換によって冷却される。これにより、蒸気を滅菌凝縮水に変化させ、滅菌凝縮水が液体又はペースト状製品をミキシングするための装置Bの緩衝ジャケットに供給される。凝縮器の出口において、凝縮水は、例えば約10℃であり得る。圧力調整器C25から出てくる蒸気の別の一部は、その圧力が第3の圧力調整器C27において例えば5barまで更に低減された後、滅菌器C22の入口に運ばれる。他の水蒸気流を、圧力調整器C25の下流で生成し、例えば、液体又はペースト状製品をミキシングするための他の装置に供給することができる。
【0124】
本発明に従って装置の様々な実施形態を構築することができることを理解されたい。
【0125】
本発明の様々な実施形態による装置では、ロータとステータとのセットの様々な構成並びにハウジングの様々な構成を使用することができる。装置は、中間チャンバに二次製品を導入するための二次製品注入器を備えることができる。
【0126】
本発明のミキシング装置は、例えば食品産業、医薬品産業、又は化粧品産業において、多種多様な用途でのペースト状製品のエアレーションに都合良く使用され得る。具体的用途としては、液体、半液体、及び半固体食品のミキシング、例えば、乳製品、菓子、アイスクリーム、又は他の液体、半液体、半固体食品のエアレーションがある。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、本明細書に上述したミキシング装置を使用して、液体又はペースト状製品、好ましくは食品をミキシングする方法を提供する。