(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】手術システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240930BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A61B1/00 711
A61B1/00 650
A61B1/045 622
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002408
(22)【出願日】2023-01-11
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペア スッパ
(72)【発明者】
【氏名】デニス ベルンハルト
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-056238(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203814(WO,A1)
【文献】特開2004-180940(JP,A)
【文献】特表2018-532527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0137350(US,A1)
【文献】特開2011-036600(JP,A)
【文献】特開平10-234662(JP,A)
【文献】特開平10-234663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術システム(10)であって、
遠位端および近位端を有するシャフト(16)を備えている術具(12)であって、イメージセンサ(18)が前記シャフトの前記遠位端に位置し、前記術具(12)の少なくとも1つの機能を制御するために、コントロールグリップ(30)が前記シャフトの前記近位端に配置されている術具(12)と、
生体における対象物の画像を表示するためのモニタ(26)であって、前記画像は前記術具(12)の前記イメージセンサ(18)により撮影されるモニタ(26)と、
前記対象物の仮想対象物モデル画像を提供するため、および、前記対象物の前記仮想対象物モデル画像を表示するための手段(30)と、を備え、
前記コントロールグリップ(30)は、前記モニタ(26)上において、前記モニタに表示された前記対象物の画像に、前記仮想対象物モデル画像が重なる所定位置に、前記仮想対象物モデル画像を位置決めするための位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)が設けられ、且つ、前記コントロールグリップ(30)は、前記モニタ(26)の前記所定位置において、前記仮想対象物モデル画像を回転させるための回転手段(36)が設けられて
おり、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)および前記回転手段(36)は、アダプタ装置(32)上に設けられており、
前記アダプタ装置(32)は、前記術具(12)の前記コントロールグリップ(30)上に取り付け可能に配置されている、手術システム(10)。
手術システム(10)。
【請求項2】
請求項
1に記載の手術システム(10)であって、
前記アダプタ装置(32)は、前記アダプタ装置(32)を前記コントロールグリップ(30)上に保持するための保持手段(34)を有していることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項3】
手術システム(10)であって、
遠位端および近位端を有するシャフト(16)を備えている術具(12)であって、イメージセンサ(18)が前記シャフトの前記遠位端に位置し、前記術具(12)の少なくとも1つの機能を制御するために、コントロールグリップ(30)が前記シャフトの前記近位端に配置されている術具(12)と、
生体における対象物の画像を表示するためのモニタ(26)であって、前記画像は前記術具(12)の前記イメージセンサ(18)により撮影されるモニタ(26)と、
前記対象物の仮想対象物モデル画像を提供するため、および、前記対象物の前記仮想対象物モデル画像を表示するための手段(30)と、を備え、
前記コントロールグリップ(30)は、前記モニタ(26)上において、前記モニタに表示された前記対象物の画像に、前記仮想対象物モデル画像が重なる所定位置に、前記仮想対象物モデル画像を位置決めするための位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)が設けられ、且つ、前記コントロールグリップ(30)は、前記モニタ(26)の前記所定位置において、前記仮想対象物モデル画像を回転させるための回転手段(36)が設けられて
おり、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)および前記回転手段(36)は、アダプタ装置(32)上に設けられており、
前記アダプタ装置(32)は、前記アダプタ装置(32)を前記コントロールグリップ(30)上に保持するための保持手段(34)を有している、手術システム(10)。
手術システム(10)。
【請求項4】
前記仮想対象物モデル画像は、3D仮想対象物モデル画像である、
請求項1
から3のいずれか1項に記載の手術システム(10)。
【請求項5】
請求項1
から3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、少なくとも1つのボタン(37.1、37.2;39.1、39.2)を備えていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのボタンは、操作可能なボタンを含む、
請求項
5に記載の手術システム(10)。
【請求項7】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、前記モニタ(26)上の前記仮想対象物モデル画像の水平移動のための、一対のボタン(37.1、37.2)を備えていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項8】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、前記モニタ(26)上の前記仮想対象物モデル画像の垂直移動のための、一対のボタン(39.1、39.2)を備えていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項9】
請求項1
から3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、ジョイスティック(38)として構成されていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項10】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記回転手段(36)は、自由に回転可能なトラックボール(36)として構成されていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項11】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記術具(12)は、内視鏡または腹腔鏡として構成されていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項12】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の手術システム(10)であって、
前記対象物の前記仮想対象物モデル画像を提供および表示するための前記手段(30)は、コンピュータとして構成されていることを特徴とする、手術システム(10)。
【請求項13】
術具(12)のコントロールグリップ(30)のためのアダプタ装置(32)であって、手術システム(10)のモニタ(26)上において、前記モニタ(26)に表示された前記術具のイメージセンサにより撮影された対象物の画像に、前記対象物の仮想対象物モデル画像が重なる所定位置に、前記仮想対象物モデル画像を位置決めするための位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)を備え、前記モニタ(26)の前記所定位置において、前記仮想対象物モデル画像を回転させるための回転手段(36)をさらに備えて
おり、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)および前記回転手段(36)は、アダプタ装置(32)上に設けられており、
前記アダプタ装置(32)は、前記術具(12)の前記コントロールグリップ(30)上に取付可能に配置されている、アダプタ装置(32)。
【請求項14】
請求項
13に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記アダプタ装置(32)は、前記アダプタ装置(32)を前記コントロールグリップ(30)上に保持するための保持手段
(34)を有していることを特徴とする、アダプタ装置(32)。
【請求項15】
術具(12)のコントロールグリップ(30)のためのアダプタ装置(32)であって、手術システム(10)のモニタ(26)上において、前記モニタ(26)に表示された前記術具のイメージセンサにより撮影された対象物の画像に、前記対象物の仮想対象物モデル画像が重なる所定位置に、前記仮想対象物モデル画像を位置決めするための位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)を備え、前記モニタ(26)の前記所定位置において、前記仮想対象物モデル画像を回転させるための回転手段(36)をさらに備え
ており、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)および前記回転手段(36)は、アダプタ装置(32)上に設けられており、
前記アダプタ装置(32)は、前記アダプタ装置(32)を前記コントロールグリップ(30)上に保持するための保持手段(34)を有している、アダプタ装置(32)。
をさらに備えている、アダプタ装置(32)。
【請求項16】
請求項
13から15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記術具(12)は、内視鏡または腹腔鏡である、
アダプタ装置(32)。
【請求項17】
請求項
13から15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記対象物は、生体である、
アダプタ装置(32)。
【請求項18】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記仮想対象物モデル画像は、3D仮想対象物モデル画像である、
アダプタ装置(32)。
【請求項19】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、少なくとも1つのボタンを備えていることを特徴とする、アダプタ装置(32)。
【請求項20】
請求項
19に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記少なくとも1つのボタンは、操作可能なボタンを含む、
アダプタ装置(32)。
【請求項21】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、前記モニタ(26)上の前記仮想対象物モデル画像の水平移動のための、一対のボタン(37.1、37.2)を備えていることを特徴とする、アダプタ装置(32)。
【請求項22】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、前記モニタ(26)上の前記仮想対象物モデル画像の垂直移動のための、一対のボタン(39.1、39.2)を備えていることを特徴とする、アダプタ装置(32)。
【請求項23】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記位置決め手段(37.1、37.2;39.1、39.2;38)は、ジョイスティック(38)として構成されていることを特徴とする、アダプタ装置(32)。
【請求項24】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載のアダプタ装置(32)であって、
前記回転手段(36)は、自由に回転可能なトラックボール(36)として構成されていることを特徴とする、アダプタ装置(32)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、手術システムと、手術システムを操作するための方法に関する。さらに、本発明は、術具、具体的には、内視鏡または腹腔鏡のコントロールグリップのためのアダプタ装置に関する。
【0002】
腹腔鏡を用いた手術は、腹腔鏡手術または腹腔鏡検査としても知られており、従来の開腹手術と比較して、例えば、より小さい切開、および、より短い回復時間などの多くの利点をもたらす。腹腔鏡手術において、術中ナビゲーションは、重要な役割を担っている。しかしながら、この種のナビゲーションは、多くの困難を伴う。臓器に触れることができないため、外科医は触覚によるフィードバックを得ることができない。したがって、腫瘍の位置を感じ取ることができない。加えて、対象臓器の表面下にある、例えば静脈、動脈および腫瘍などの表面下構造を可視化するために利用できる唯一の技術は、腹腔鏡超音波である。腹腔鏡用超音波は、通常、2D画像をもたらすだけであり、2D超音波断面の3D空間における実際の位置を参照するためには、外科医の思考内で2D画像を統合する必要がある。
【0003】
腹腔鏡手術において、外科医は、可視化された腹腔内術野を2Dモニタ上で得る。術前CT(コンピュータ断層撮影)およびMRI(磁気共鳴画像)3Dスキャン技術を利用して、2D放射線画像断面を仮想3Dモデルに再構築することが可能となった。さらに、仮想3Dモデルは、現代の3Dプリンター技術により印刷でき、空間ナビゲーションを補助するため、および、リスク構造の相対的な距離を評価するために、外科医により術中に使用され得る。他の一般的に使用される手法は、仮想3Dモデルを表示するソフトウェアアプリケーションを導入することにより、その仮想3Dモデルを手術室内で直接利用することである。
【0004】
本発明の目的は、簡単、迅速、確実および安価な方法で、手術システムの利便性を向上させることである。
【0005】
第1の解決によれば、上記目的は、手術システムであって、
遠位端および近位端を有するシャフトを備えている術具であって、イメージセンサがシャフトの遠位端に位置し、術具の少なくとも1つの機能を制御するために、コントロールグリップがシャフトの近位端に配置されている、術具と、
生体における対象物の画像を表示するためのモニタであって、その画像は術具のイメージセンサにより撮影される、モニタと、
対象物の仮想対象物モデル画像、具体的には、3D仮想対象物モデル画像を提供するため、および、対象物の仮想対象物モデル画像を表示するための手段と、を備え、
コントロールグリップは、仮想対象物モデル画像をモニタ上の決められた位置に位置決めするための位置決め手段を設けられ、コントロールグリップは、仮想対象物モデル画像のモニタにおける決められた位置において、仮想対象物モデル画像を回転させるための回転手段を設けられている、手術システムにより解決される。
【0006】
本発明は、手術システムを用いた手術の間、術具のイメージセンサにより撮影された対象物の画像を表示する手術システムのモニタまたはスクリーン上に、対象物の仮想対象物モデル画像が同時に、および直接表示される、という考えに基づいている。術中、外科医は、位置決め手段および/または回転手段を操作することにより、対象物の、表示された仮想対象物モデル画像、具体的には、3次元対象物モデル画像を操作することができる。好ましくは、位置決め手段は、仮想対象物モデル画像の枠をモニタ上で水平および/または垂直方向に動かすよう構成されている。したがって、仮想対象物モデル画像の枠は、位置決め手段の操作、具体的には、手動による操作により、移動される。さらに、回転手段は、その回転手段の操作により、表示された仮想対象物モデル画像を、3次元の仮想対象物モデル画像の枠の中心の周りを回転させるよう構成されている。
【0007】
本発明の利点は、関連する情報を表示するように、外科医が仮想対象物モデル画像、具体的には、3D対象物モデル画像を操作することができる点(例えば、特定の血管のみを表示させる、表面を透過させる、など)である。さらに、本発明により、外科医は、生体における対象物の撮影された画像上に仮想対象物モデル画像を重ね合わせるために、仮想対象物モデル画像をモニタ上で動かすことができる。それにより、対象物の表面下構造を可視化できる。加えて、外科医は、術前計画段階から抽出された、さらなる、または、追加の情報を、表示させること(例えば、術中切除ガイダンスのための予定切除面の表示)ができる。
【0008】
好ましい実施形態によれば、位置決め手段は、少なくとも1つのボタン、具体的には、操作可能なボタンを備える。好ましくは、位置決め手段は、仮想対象物モデル画像、または、その枠を、モニタ上の決められた位置に配置するための、手動で操作可能な複数のボタンを備える。
【0009】
さらに、位置決め手段は、仮想対象物モデル画像をモニタ上で水平移動させるための、一対のボタンを備える。例えば、一方のボタンを手動で押すことにより、仮想対象物モデル画像、または、その枠は、モニタ上で一方の水平方向へ移動させられる。他方のボタンを手動で押すことにより、仮想対象物画像は、他方の水平方向へ移動させられる。
【0010】
さらなる様態では、位置決め手段は、仮想対象物モデル画像をモニタ上で垂直移動させるための、一対のボタンを備える。垂直移動のための一方のボタンを押すことにより、仮想対象物モデル画像、具体的には、仮想3D対象物モデル画像、または、その枠は、上方向へ移動させられる。一方、第2のボタンを押すことにより、仮想対象物モデル画像、または、その枠は、下方向へ移動させられる。
【0011】
手術システムの好ましい実施形態に従って、位置決め手段はジョイスティックとして構成される。ジョイスティックを使用することで、仮想対象物モデル画像、または、その枠は、ジョイスティックの動きに対応して、モニタ上で移動させられる。ジョイスティックは、外科医により術中に手動で操作され得る。
【0012】
好ましくは、回転手段は、自由に回転可能なトラックボールとして構成される。それにより、仮想対象物モデル画像は、3次元空間における仮想対象物モデル画像の6自由度運動が可能となる。
【0013】
さらに、手術システムの実施形態は、位置決め手段および回転手段がアダプタ装置上に設けられていることを特徴とする。アダプタ装置は、術具のコントロールグリップ上に配置され得る。それにより、例えば、外科医は、術具と仮想対象物モデル画像の動きとを片手で操作することができる。
【0014】
好ましくは、アダプタ装置は、術具のコントロールグリップ上に取付可能に配置される。アダプタ装置は、コントロールグリップに装着することができ、または、コントロールグリップから容易に離脱させることができる。
【0015】
手術システムの一実施形態において、アダプタ装置は、アダプタ装置をコントロールグリップ上に保持するための保持手段を有するため、有利である。
他の様態によれば、術具は、内視鏡または腹腔鏡として構成される。
【0016】
具体的には、対象物の仮想対象物モデルを提供および表示する手段は、コンピュータとして構成される。
【0017】
上記目的は、前述の手術システムを操作する方法により、さらに解決される。不要な繰り返しを避けるために、前述の説明を参照することを明示しておく。
【0018】
さらに、上記目的は、術具の、具体的には、内視鏡または腹腔鏡のコントロールグリップのためのアダプタ装置であって、対象物の、具体的には、生体の仮想対象物モデル画像、具体的には、3D仮想対象物モデル画像を、手術システムのモニタ上の決められた位置に位置決めするための位置決め手段を備え、仮想対象物モデル画像のモニタ上の決められた位置において、仮想対象物モデル画像を回転させるための回転手段をさらに備える、アダプタ装置によって解決される。
【0019】
アダプタ装置は、位置決め手段が、少なくとも1つのボタン、具体的には、操作可能な、または、手動で操作可能なボタンを備えることを、さらに特徴とする。
他の実施形態によれば、位置決め手段は、仮想対象物モデル画像をモニタ上で水平移動させるための一対のボタンを備える。
【0020】
他の好ましい実施形態では、位置決め手段は、仮想対象物モデル画像をモニタ上で垂直移動させるための一対のボタンを備える。
【0021】
アダプタ装置の選択肢では、位置決め手段は、ジョイスティックとして構成される。
【0022】
加えて、回転手段は、好ましくは、自由に回転可能なトラックボールとして構成される。
本発明の他の態様によれば、位置決め手段および回転手段は、アダプタ装置上に設けられる。
【0023】
アダプタ装置の好ましい実施形態は、アダプタ装置が、術具のコントロールグリップ上に、取付可能に配置されていることを特徴とする。
【0024】
特に、アダプタ装置の一実施形態において、アダプタ装置が、アダプタ装置をコントロールグリップ上に保持するための保持手段を有していることは有利である。
【0025】
さらに、上記目的は、上記段落で説明したとおり、手術システムにおいて上述のようにアダプタ装置を使用することにより、解決される。
【0026】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲および添付の図面とともに、本発明に係る実施形態の説明から明らかになるであろう。本発明に係る実施形態は、個々の特徴、または、複数の特徴の組合せを実現し得る。
【0027】
本発明は、本発明の全体的な意図を限定することなく、例示的な実施形態に基づいて以下に説明されるが、文中で特に詳細に説明されていない本発明に係る全ての詳細の開示については、図面を参照することを明示しておく。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2a】内視鏡のハンドルグリップの概略図である。
【
図3】他の実施形態に係るハンドルグリップの断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面において、同一または類似の要素、または、それぞれが対応する部品には、それらを再度説明する必要がないように、同じ参照符号が付されている。
【0030】
図1は、ビデオ内視鏡12およびコントロールユニット20を備えている手術システム10の構造を概略的に示している。コントロールユニット20は、ケーブル22を介してビデオ内視鏡12に接続されている。ビデオ内視鏡12は、密封されたハウジング14を有し、ハウジング14は、遠位端にイメージセンサ18を有する延伸した内視鏡シャフト16を有している。加えて、ビデオ内視鏡12は、ハウジング14または内視鏡シャフト16の内部に、例えば、センサ、アクチュエータなどの(ここでは図示しない)他の電動式ユニットを有している。
【0031】
ビデオ内視鏡12は、その近位端にハンドルグリップ30を有し、ハンドルグリップ30は、ケーブル20の一端に接続されている。さらに、ケーブル20の一端に接続されているハンドルグリップ30の端部は、ビデオ内視鏡12のハンドル18とは反対の方向に向いている。ビデオ内視鏡12は、好ましくはビデオ腹腔鏡として構成される。
【0032】
イメージセンサ18により撮影された画像を表示するために、コントロールユニット20は、ケーブル24を介してモニタ26とさらに接続されている。具体的には、イメージセンサ18は、内視鏡12により検査または調査される(図示しない)対象物の画像を撮影する。さらに、ハンドルグリップ30は、内視鏡12を用いて検査される対象物の仮想対象物モデル画像を動かすための位置決め手段および回転手段を設けられたアダプタ32を装備している。
【0033】
アダプタ32の概略的な実施形態として、
図2aに上面図を、
図2bにハンドルグリップ30及びアダプタ32を通る断面図を示す。アダプタ32は、クランプ34を用いてハンドルグリップ30に装着されてもよい(
図1参照)。アダプタ32の上には、中心にトラックボール36が備えられている。トラックボール36は、一対のボタン37.1,37.2と、第2の対のボタン39.1,39.2とに囲まれている。ボタン37.1,37.2は、提供された仮想対象物モデル画像、具体的には、3次元仮想対象物モデル画像、または、その枠を、モニタ26上で水平方向に動かすのに使用される。ボタン39.1,39.2は、仮想対象物モデル画像、または、その枠を、モニタ26上で垂直方向に動かすために設けられている。
【0034】
対象物の画像は、イメージセンサ18により撮影され、モニタ26上に表示される。同時に、対応する対象物の仮想対象物モデル画像も、モニタ26上に表示される。モニタ26上の仮想対象物モデル画像の、水平方向および/または垂直方向の位置決めの後、仮想対象物モデル画像は、トラックボール36を用いて自由に回転させることができる。3次元空間における(仮想)3Dモデルの正確な動きをもたらすことにより、トラックボール36は、すべての軸の周りを自由に回転させることができる。
【0035】
アダプタ32の他の実施形態を
図3に示す。
図3は、ハンドルグリップ30を通る概略的な断面を表している。アダプタ32は、仮想対象物モデル画像をモニタ26上で水平方向および垂直方向に動かすためのジョイスティック38が設けられ、トラックボール36が、仮想対象物モデル画像のモニタ26上の位置において、仮想対象物モデル画像を回転させるために設けられている。
【0036】
図面のみから推測できる特徴や、他の特徴と組み合わせて開示された個々の特徴を含む、全ての記載された特徴は、単独で、または組み合わせることで、本発明にとって不可欠な特徴とみなされる。本発明に係る実施形態は、個々の特徴または複数の特徴の組合せにより実現され得る。「具体的には」または「とりわけ」という言葉と組み合わされた特徴は、好ましい実施形態として扱われる。
【符号の説明】
【0037】
10…手術システム、12…ビデオ内視鏡、14…ハウジング、16…内視鏡シャフト、18…イメージセンサ、20…コントロールユニット、22…ケーブル、24…ケーブル、26…モニタ、30…ハンドルグリップ、32…アダプタ、34…クランプ、36…トラックボール、37.1,37.2…ボタン、38…ジョイスティック、39.1,39.2…ボタン。