(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H04S 7/00 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
H04S7/00 310
(21)【出願番号】P 2023008184
(22)【出願日】2023-01-23
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】森 英久
(72)【発明者】
【氏名】田 達到
(72)【発明者】
【氏名】西野 浩造
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲遷▼
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 睦良
(72)【発明者】
【氏名】宮本 旅人
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-106315(JP,A)
【文献】特開2006-303769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続可能な2種類のステレオスピーカのうちのいずれかと接続される情報処理装置であって、
前記ステレオスピーカから出力させる音の音データを記憶するメモリと、
前記ステレオスピーカが有する2つのスピーカのそれぞれに対して、前記音データに基づく音信号をそれぞれ出力する2つのアンプと、
前記2つのアンプと前記2つのスピーカとを接続する接続部と、
少なくとも前記ステレオスピーカから出力される音を集音可能なマイクと、
前記ステレオスピーカへの出力を制御するプロセッサと、
を備え、
2種類の前記ステレオスピーカのうち第1のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第1のステレオスピーカが有する2つのスピーカが互いに同相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、
2種類の前記ステレオスピーカのうち第2のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第2のステレオスピーカが有する2つのスピーカが互いに逆相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、
前記プロセッサは、
前記アンプから所定の音データに基づく音信号を前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカへ出力させることにより前記ステレオスピーカから出力される音を前記マイクで集音し、集音した音に基づいて前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカの種類を識別する識別処理を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記識別処理において、前記マイクにより集音された音の音圧に基づいて前記ステレオスピーカの種類を識別する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記識別処理により識別された前記ステレオスピーカの種類に基づいて、前記第1のステレオスピーカが前記接続部に接続されている場合には2つの前記アンプから出力する音信号が互いに同相となるように制御し、前記第2のステレオスピーカが前記接続部に接続されている場合には2つの前記アンプから出力する音信号が互いに逆相となるように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記メモリには、2種類の前記ステレオスピーカそれぞれの特性
に関するTS(Thiele-Small)パラメータに基づいて予め設計されたパラメータが記憶されており、
前記ステレオスピーカへ出力する音信号を前記音データから生成する際に
前記メモリに記憶されているパラメータを利用して生成するオーディオ処理部をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記識別処理により識別された前記ステレオスピーカの種類に基づいて、前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカの前記パラメータを、前記オーディオ処理部で利用可能なように前記メモリから読み込む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の音データに基づく音信号は、正弦波信号である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
工場出荷前の工程、または出荷後に前記ステレオスピーカの部品交換が行われた際に、前記識別処理を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
接続可能な2種類のステレオスピーカのうちのいずれかと接続され、前記ステレオスピーカから出力させる音の音データを記憶するメモリと、前記ステレオスピーカが有する2つの対となるスピーカのそれぞれに対して、前記音データに基づく音信号をそれぞれ出力する2つの対となるアンプと、前記2つの対となるアンプと前記2つの対となるスピーカとを接続する接続部と、少なくとも前記ステレオスピーカから出力される音を集音可能なマイクと、前記ステレオスピーカへの出力を制御するプロセッサとを備える情報処理装置における制御方法であって、
2種類の前記ステレオスピーカのうち第1のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第1のステレオスピーカが有する2つの対となるスピーカが互いに同相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、
2種類の前記ステレオスピーカのうち第2のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第2のステレオスピーカが有する2つの対となるスピーカが互いに逆相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、
前記プロセッサが、
前記アンプから所定の音データに基づく音信号を前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカへ出力させるステップと、
前記ステレオスピーカから出力される音を前記マイクに集音させるステップと、
前記マイクで集音した音に基づいて前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカの種類を識別するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカを搭載した情報処理装置がある。例えば、ノート型のPC(Personal Computer)では、ステレオタイプのスピーカが内蔵されているものが一般的にある。汎用的なPCでは、大量生産において安定的に部品が供給されるよう、例えば2つのサプライヤのスピーカに対応した設計を行うことがある。
【0003】
ここで、スピーカには種類ごとに特性が異なるパラメータがあるため、2つのサプライヤのスピーカのいずれが接続された場合でもスピーカの性能を引き出すためには、各サプライヤのスピーカごとのパラメータの情報が必要となる。例えば、特許文献1には、スピーカの特性に関するパラメータとして、TS(Thiele-Small)パラメータについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接続されているスピーカの種類を識別するには、スピーカが接続されるコネクタに識別用の端子を設ける方法がある。例えば、識別用の端子を2端子設けることにより、第1のスピーカでは当該2端子を非接続(Open)とし、第2のスピーカでは当該2端子を接続(Close)するように構成することで、どちらのスピーカが接続されたかを識別することが可能である。しかしながら、例えばステレオスピーカの場合には、対となる2つのスピーカとの接続用に4端子あり、さらに識別用の2端子を加えると6端子のコネクタが必要となる。コネクタの端子数の増加は、回路基板(例えば、マザーボード)上のコスト及びスペースに影響してしまう。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応した情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る、接続可能な2種類のステレオスピーカのうちのいずれかと接続される情報処理装置は、前記ステレオスピーカから出力させる音の音データを記憶するメモリと、前記ステレオスピーカが有する2つのスピーカのそれぞれに対して、前記音データに基づく音信号をそれぞれ出力する2つのアンプと、前記2つのアンプと前記2つのスピーカとを接続する接続部と、少なくとも前記ステレオスピーカから出力される音を集音可能なマイクと、前記ステレオスピーカへの出力を制御するプロセッサと、を備え、2種類の前記ステレオスピーカのうち第1のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第1のステレオスピーカが有する2つのスピーカが互いに同相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、2種類の前記ステレオスピーカのうち第2のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第2のステレオスピーカが有する2つのスピーカが互いに逆相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、前記プロセッサは、前記アンプから所定の音データに基づく音信号を前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカへ出力させることにより前記ステレオスピーカから出力される音を前記マイクで集音し、集音した音に基づいて前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカの種類を識別する識別処理を行う。
【0008】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記識別処理において、前記マイクにより集音された音の音圧に基づいて前記ステレオスピーカの種類を識別してもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記識別処理により識別された前記ステレオスピーカの種類に基づいて、前記第1のステレオスピーカが前記接続部に接続されている場合には2つの前記アンプから出力する音信号が互いに同相となるように制御し、前記第2のステレオスピーカが前記接続部に接続されている場合には2つの前記アンプから出力する音信号が互いに逆相となるように制御してもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記メモリには、2種類の前記ステレオスピーカそれぞれの特性に応じたパラメータが記憶されており、前記ステレオスピーカへ出力する音信号を前記音データから生成する際に前記パラメータを利用して生成するオーディオ処理部をさらに備え、前記プロセッサは、前記識別処理により識別された前記ステレオスピーカの種類に基づいて、前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカの前記パラメータを、前記オーディオ処理部で利用可能なように前記メモリから読み込みしてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記所定の音データに基づく音信号は、正弦波信号であってもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、工場出荷前の工程、または出荷後に前記ステレオスピーカの部品交換が行われた際に、前記識別処理を行ってもよい。
【0013】
また、本発明の第2態様に係る、接続可能な2種類のステレオスピーカのうちのいずれかと接続され、前記ステレオスピーカから出力させる音の音データを記憶するメモリと、前記ステレオスピーカが有する2つの対となるスピーカのそれぞれに対して、前記音データに基づく音信号をそれぞれ出力する2つの対となるアンプと、前記2つの対となるアンプと前記2つの対となるスピーカとを接続する接続部と、少なくとも前記ステレオスピーカから出力される音を集音可能なマイクと、前記ステレオスピーカへの出力を制御するプロセッサとを備える情報処理装置における制御方法は、2種類の前記ステレオスピーカのうち第1のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第1のステレオスピーカが有する2つの対となるスピーカが互いに同相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、2種類の前記ステレオスピーカのうち第2のステレオスピーカが前記接続部に接続される場合には、前記第2のステレオスピーカが有する2つの対となるスピーカが互いに逆相となるように前記接続部を介して前記アンプに接続され、前記プロセッサが、前記アンプから所定の音データに基づく音信号を前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカへ出力させるステップと、前記ステレオスピーカから出力される音を前記マイクに集音させるステップと、前記マイクで集音した音に基づいて前記接続部に接続されている前記ステレオスピーカの種類を識別するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
【
図2】実施形態に係るスピーカの接続仕様の一例を示す模式図。
【
図3】実施形態に係るスピーカの識別方法の説明図。
【
図4】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図5】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【
図6】実施形態に係る正相と逆相の音圧の周波数特性の一例を示す図。
【
図7】実施形態に係るスピーカ識別処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。図示する情報処理装置10は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。情報処理装置10は、第1筐体101、第2筐体102、及びヒンジ機構103を備えている。第1筐体101及び第2筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。第1筐体101の側面の一つと第2筐体102の側面の一つとがヒンジ機構103を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りに第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動可能である。第1筐体10と第2筐体20との回動による開き角(ヒンジ角度)を「θ」として図示している。
【0017】
第1筐体101と第2筐体102との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、第1筐体101と第2筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態において第1筐体101と第2筐体102との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と称する。開き角θとは、第1筐体101の内面と第2筐体102の内面とがなす角とも言うことができる。閉状態に対して第1筐体101と第2筐体102とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、第1筐体101と第2筐体102とが相対的に回動された状態である。典型的には図示するように、開き角θ=100~130°程度の状態で使用されることが多い。
【0018】
第1筐体101の内面には、表示部14が設けられている。表示部14は、情報処理装置10に実行される処理に基づく映像を表示する。また、第1筐体101の内面のうち表示部14の周縁の領域には、マイク(マイクロフォン)40が設けられている。なお、マイク40は、右側と左側の2つのマイクを含んで構成されるステレオマイクであってもよい。
【0019】
また、第2筐体102の内面には、キーボード32及びスピーカ50が設けられている。キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける入力デバイスとして設けられている。スピーカ50は、左側のスピーカ51と右側のスピーカ52との2つのスピーカを含んで構成されるステレオスピーカである。閉状態では、表示部14が視認できない状態、且つキーボード32への操作ができない状態となる。一方、
図1に示す開状態では、表示部14が視認可能な状態、且つキーボード32への操作が可能な状態(即ち、情報処理装置10を使用可能な状態)となる。
【0020】
ここで、情報処理装置10は、2種類のスピーカ50と接続可能に設計されている。2種類のスピーカ50とは、例えば異なるサプライヤのスピーカである。スピーカ50には種類ごとに特性が異なるパラメータがあるため、2つのサプライヤのスピーカ50のいずれが接続された場合でも性能を引き出すためには、各サプライヤのスピーカ50ごとのパラメータの情報が必要となる。そこで、情報処理装置10は、2種類のスピーカ50のそれぞれの接続仕様を異ならせることにより、接続されているスピーカ50の種類を識別して適したパラメータに基づく制御を行う。
【0021】
図2は、本実施形態に係るスピーカの接続仕様の一例を示す模式図である。ここでは、サプライヤAとサプライヤBの2つのサプライヤのスピーカ50との接続に対応している構成を例として説明する。サプライヤAのスピーカ50をスピーカ50aとし、サプライヤBのスピーカ50をスピーカ50bとして示す。
【0022】
図2の(A)は、サプライヤAのスピーカ50aの接続仕様を示している。スピーカ50aは、左側のスピーカ51aと右側のスピーカ52aの対となる2つのスピーカとを有する。スピーカ51a及びスピーカ52aのそれぞれは、マザーボード15上に実装されているコネクタ16にスピーカケーブル55を介して接続されている。また、マザーボード15上には、対となる2つのオーディオアンプ241及びオーディオアンプ242が実装されている。コネクタ16は、マザーボード15上に実装されているオーディオアンプ241、242とスピーカ50aとを接続するための端子を備えたコネクタである。
【0023】
左側のオーディオアンプ241は、コネクタ16を介して左側のスピーカ51aと接続される。右側のオーディオアンプ242は、コネクタ16を介して右側のスピーカ52aと接続される。例えば、図示するコネクタ16は4つの端子を備えており、上の端子から下端子へ順番に、スピーカ51aの正(+)、スピーカ51aの負(-)、スピーカ52aの正(+)、スピーカ52aの負(-)と接続されている。
【0024】
図2の(B)は、サプライヤBのスピーカ50bの接続仕様を示している。スピーカ50bは、左側のスピーカ51bと右側のスピーカ52bの対となる2つのスピーカを有する。スピーカ51b及びスピーカ52bのそれぞれは、スピーカケーブル55を介してコネクタ16に接続されている。左側のオーディオアンプ241は、コネクタ16を介して左側のスピーカ51bと接続される。右側のオーディオアンプ242は、コネクタ16を介して右側のスピーカ52bと接続される。コネクタ16の上の端子から下端子へ順番に、スピーカ51bの正(+)、スピーカ51bの負(-)、スピーカ52bの負(-)、スピーカ52bの正(+)と接続されている。
【0025】
このように、サプライヤBのスピーカ52bのみがコネクタ16に対して正(+)と負(-)が逆に接続されている。つまり、サプライヤAのスピーカ51a及びスピーカ52aは、互いに同相となるようにコネクタ16を介してオーディオアンプ241及びオーディオアンプ242に接続されている。一方、サプライヤBのスピーカ51b及びスピーカ52bは、互いに逆相となるようにコネクタ16を介してオーディオアンプ241及びオーディオアンプ242に接続されている。
【0026】
情報処理装置10は、この
図2に示すように、サプライヤAのスピーカ50aとサプライヤBのスピーカ50bの接続仕様を異ならせることで、コネクタ16に接続されているスピーカの種類を識別する。
【0027】
図3は、本実施形態に係るスピーカの識別方法の説明図である。
図3の(A)は、2つのスピーカのいずれも正相(即ち、互いに同相)となるように接続されている。例えば、正弦波の音信号を2つのスピーカから出力すると、出力される正相の音の波形が重なって振幅が大きくなり、音圧が大きくなる。
【0028】
一方、
図3の(B)は、2つのスピーカが互いに逆相となるように接続されているため、同様に、正弦波の音信号を2つのスピーカから出力すると、2つのスピーカから出力される音の波形が打ち消しあって振幅が小さくなり、音圧が小さくなる。よって、情報処理装置10は、音圧が大きくなるか或いは小さくなるかによって、サプライヤAのスピーカ50aとサプライヤBのスピーカ50bとを識別することが可能である。
【0029】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
次に、
図4を参照して、情報処理装置10の主要なハードウェア構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
情報処理装置10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、記憶部23と、オーディオシステム24と、通信部25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31と、キーボード32と、電源回路33と、バッテリ34とを備える。
【0031】
例えば、CPU11、メインメモリ12、ビデオサブシステム13、チップセット21、BIOSメモリ22、記憶部23、オーディオシステム24と通信部25、USBコネクタ26、エンベデッドコントローラ31、及びセンサ35は、マザーボード15(メインの回路基板)に実装されている。
【0032】
CPU11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOS(Basic Input Output System)のプログラムに基づく処理を実行する。また、CPU11は、OS上で実行される各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーション等に基づく処理を実行する。
【0033】
メインメモリ12は、CPU11が実行するプログラムの読み込み領域として、又は、プログラムにより実行される処理で使用されるデータを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0034】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0035】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0036】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、後述するBIOSメモリ22と、記憶部23と、オーディオシステム24と、通信部25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0037】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0038】
記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶部23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
【0039】
オーディオシステム24は、
図1、2を参照して説明したオーディオアンプ241、242を含んで構成されており、コネクタ16を介してスピーカ50と接続されている。例えば、オーディオシステム24は、音データに基づく音信号を生成してスピーカ50へ出力する。また、オーディオシステム24は、マイク40と接続されており、マイク40により集音された音信号に基づく音データを生成する。詳しくは、
図5を参照して後述する。
【0040】
通信部25は、無線LAN(Local Area Network)または有線LANによりネットワークに接続して、データ通信を行う。通信部25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。また、通信部25は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により周辺機器類と通信を行ってもよい。
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。
【0041】
キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列された入力デバイスである。キーボード32は、
図1に示すように、第2筐体102の内面に設けられている。キーボード32は、ユーザの操作により入力された入力情報(例えば、キーボードに対して操作されたキーを示す操作信号)をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0042】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路33は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリ34から供給される直流電圧を、情報処理装置10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、情報処理装置10の各部に電力を供給する。
【0043】
バッテリ34は、例えば、リチウムバッテリであり、情報処理装置10に外部電源から電力供給されている場合に、電源回路33を介して充電され、情報処理装置10に外部電源から電力供給されていない場合に、電源回路33を介して、充電された電力を情報処理装置10の動作電力として出力する。
【0044】
センサ35は、ホールセンサ、加速度センサ、または温度センサなどの各種センサを含んで構成されている。各種センサのそれぞれは、それぞれの検知対象に応じた場所に配置されており、検知信号を出力する。例えば、ホールセンサは、情報処理装置10が開状態であるか閉状態であるかを検出する際に用いられる。また、加速度センサは、情報処理装置10の向きや動き、または第1筐体101と第2筐体102との開き角θを検出するなどを検出する際に用いられる。また、温度センサは、情報処理装置10の内部温度を検出する際に用いられる。
【0045】
エンベデッドコントローラ31は、情報処理装置10のシステムの状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31のデジタル入出力端子には、例えば、キーボード32、電源回路33、及びセンサ35などが接続されている。エンベデッドコントローラ31は、キーボード32からの入力情報(操作信号)や、センサ35などからのセンサ信号を受け取る。また、エンベデッドコントローラ31は、電源回路33などの動作を制御する。
【0046】
[情報処理装置10の機能構成]
次に、情報処理装置10が、接続されているスピーカ50の種類を識別して制御を行う機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、CPU11が各種プログラムを実行することにより実現される機能構成として処理部100を備えている。処理部100は、オーディオドライバ101と、スピーカ識別アプリ102と、パラメータ設定アプリ103とを備えている。
【0047】
オーディオドライバ101は、オーディオドライバによる処理により実現される機能構成であり、オーディオシステム24を制御することによりスピーカ50から音を出力させる。例えば、オーディオドライバ101は、スピーカ50から出力させる音の音データをオーディオシステム24へ出力する。
【0048】
スピーカ識別アプリ102は、接続されているスピーカ50の種類を識別する識別処理を実行する。なお、この識別処理は、工場出荷前の工程、または出荷後に修理サービスなどでスピーカ50の部品交換が行われた際などにおいて、作業者の所定の操作により実行される。
【0049】
スピーカ識別アプリ102は、識別処理において、所定の音データ(例えば、正弦波の音データ)に基づく音をスピーカ50から出力させる。具体的には、スピーカ識別アプリ102は、所定の音データ(例えば、正弦波の音データ)を、オーディオドライバ101を介してオーディオシステム24へ出力することにより、オーディオシステム24を介して所定の音データ(例えば、正弦波の音データ)に基づく音をスピーカ50から出力させる。
【0050】
そして、スピーカ識別アプリ102は、スピーカ50から出力させた音をマイク40で集音し、集音した音に基づいて、コネクタ16に接続されているスピーカ50の種類を識別する。具体的には、スピーカ識別アプリ102は、マイク40で集音された音のマイク信号を、オーディオシステム24及びオーディオドライバ101を介して取得し、
図3を参照して説明したように、取得したマイク信号の音の音圧に基づいてスピーカ50の種類を識別する。
【0051】
図6は、本実施形態に係る正相と逆相の音圧の周波数特性の一例を示す図である。周波数を変化させたとき、逆相の場合は、低周波数域で正相の場合に比較して音圧が大きく下がる。そこで、スピーカ識別アプリ102は、識別処理において、低周波数域(例えば、500Hz)の正弦波の音データに基づく音をスピーカ50から出力させる。そして、スピーカ識別アプリ102は、スピーカ50から出力された音の音圧が予め設定された判定閾値よりも高い場合にはサプライヤAのスピーカ50aであると判定し、判定閾値よりも低い場合にはサプライヤBのスピーカ50bであると判定する。
【0052】
図5に戻り、スピーカ識別アプリ102は、サプライヤAのスピーカ50aがコネクタ16に接続されていると判定した場合、オーディオアンプ241及びオーディオアンプ242から出力する音信号が互いに同相となるようにオーディオシステム24を制御する。一方、スピーカ識別アプリ102は、サプライヤBのスピーカ50bがコネクタ16に接続されていると判定した場合、オーディオアンプ241及びオーディオアンプ242から出力する音信号が互いに逆相となるようにオーディオシステム24を制御する。
【0053】
例えば、スピーカ識別アプリ102は、サプライヤAのスピーカ50aがコネクタ16に接続されていると判定した場合、オーディオアンプ241及びオーディオアンプ242から出力する音信号が両方とも正相となるように設定する正相設定信号をオーディオシステム24へ送信する。一方、スピーカ識別アプリ102は、サプライヤBのスピーカ50bがコネクタ16に接続されていると判定した場合、オーディオアンプ241から出力する音信号が正相となるように設定する正相設定信号と、オーディオアンプ242から出力する音信号が逆相となるように設定(極性を入れ替えるように設定)する逆相設定信号とをオーディオシステム24へ送信する。
【0054】
パラメータ設定アプリ103は、接続されているスピーカ50の種類に応じた調整パラメータをオーディオシステム24に設定する。調整パラメータは、スピーカ50の種類ごとの特性に関するTS(Thiele-Small)パラメータに基づいて予め設計されたパラメータである。パラメータ設定アプリ103は、接続されているスピーカ50の種類に応じた調整パラメータを読み込み、オーディオシステム24へ出力する。オーディオシステム24は、音データから音信号を生成する際に調整パラメータを利用することで、スピーカ50の特性に応じた音信号を生成することができる。
【0055】
ここで、オーディオアンプ242の出力の極性、及び調整パラメータの設定は、例えばレジストリに記載される。一例として、レジストリキー(¥HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥chipsuppliername¥SmartAmpCMD)の下に、スピーカ50の接続の極性が記載され、レジストリキー(¥HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥chipsuppliername¥SpkProtection)の下に、サプライヤAのスピーカ50a、もしくはサプライヤBのスピーカ50bに適応したパラメータの値が記載される。例えば、レジストリは、記憶部23に格納されており、OSの起動の際にメインメモリ12に読み込まれる。
【0056】
なお、レジストリに代えて、BIOSメモリ22に記載されていてもよい。例えば、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)をBIOSとして使用している場合、ユーザが記載できるエリア(GenericArea)に、オーディオアンプ242の出力の極性、及び調整パラメータが記載されてもよい。
【0057】
オーディオシステム24は、オーディオアンプ241、オーディオアンプ242、DAC243、DAC244、ADC245、及びオーディオ制御部246を備えている。オーディオアンプ241は、コネクタ16を介して左側のスピーカ51と接続され、入力された音信号を増幅してスピーカ51へ出力する。オーディオアンプ242は、コネクタ16を介して右側のスピーカ52と接続され、入力された音信号を増幅してスピーカ52へ出力する。
【0058】
DAC243及びDAC244は、音データ(デジタル信号)を音信号(アナログ信号)に変換する「Digital to Analog Converter」である。DAC243は、左側のスピーカ51から出力させる音データをオーディオドライバ101から取得し、取得した音データを音信号に変換してオーディオアンプ241へ出力する。DAC244は、右側のスピーカ52から出力させる音データをオーディオドライバ101から取得し、取得した音データを音信号に変換してオーディオアンプ242へ出力する。
【0059】
ADC245は、マイク信号(アナログ信号)を音データ(デジタル信号)に変換する「Analog to Digital Converter」である。ADC245は、マイク40で集音された音のマイク信号を取得し、取得したマイク信号を音データに変換してオーディオドライバ101へ出力する。
【0060】
オーディオ制御部246は、スピーカ識別アプリ102から送信された正相設定信号または逆相設定信号に基づいて、オーディオアンプ241及びオーディオアンプ242の出力を正相または逆相に設定する。例えば、オーディオ制御部246は、オーディオアンプ242から出力する音信号が逆相となるように設定(極性を入れ替えるように設定)する逆相設定信号取得した場合、オーディオアンプ242から出力する音信号の正負の極性を入れ替える。
【0061】
また、オーディオ制御部246は、パラメータ設定アプリ103により読み込まれたスピーカ50の種類に応じた調整パラメータを利用して、音データから変換する音信号を調整する。つまり、オーディオ制御部246は、サプライヤAのスピーカ50aへ出力する音信号を音データから生成する際には、サプライヤAのスピーカ50aの調整パラメータを利用する。一方、オーディオ制御部246は、サプライヤBのスピーカ50bへ出力する音信号を音データから生成する際には、サプライヤBのスピーカ50bの調整パラメータを利用する。
【0062】
[スピーカ識別処理]
次に
図7を参照して、情報処理装置10処理部100が実行するスピーカ識別処理の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係るスピーカ識別処理の一例を示すフローチャートである。図示するスピーカ識別処理は、例えば工場出荷前の工程、または出荷後に修理サービスなどでスピーカ50の部品交換が行われた際などにおいて、作業者の所定の操作により実行される。
【0063】
(ステップS101)まず、情報処理装置10にオーディオドライバパッケージのインストールが行わる。オーディオドライバパッケージは、
図5に示す処理部100が備えるオーディオドライバ101、パラメータ設定アプリ103、及びスピーカ識別アプリ102の機能を実現するためのプログラムである。オーディオドライバ101、パラメータ設定アプリ103、及びスピーカ識別アプリ102の機能を実現するためのプログラムは、それぞれの機能ごとに個別のプログラムとして提供されてもよいし、それぞれの機能をまとめた1つのプログラムとして提供されてもよい。
【0064】
(ステップS103)処理部100は、左側のスピーカ51へ500Hzの正弦波の音データを再生して出力する。具体的には、処理部100は、左側のスピーカ51へ出力する500Hzの正弦波の音データを再生してオーディオシステム24へ出力する。これにより、オーディオシステム24へは、500Hzの正弦波の音データに基づく音信号をスピーカ51へ出力し、スピーカ51から500Hzの正弦波の音が出力される。
【0065】
(ステップS105)処理部100は、マイク40で集音された500Hzの正弦波の音(左側のスピーカ51から出力された音)のマイク信号を取得し、取得したマイク信号の音圧レベルを保存する。
【0066】
(ステップS107)処理部100は、右側のスピーカ52へ500Hzの正弦波の音データを再生して出力する。具体的には、処理部100は、右側のスピーカ52へ出力する500Hzの正弦波の音データを再生してオーディオシステム24へ出力する。これにより、オーディオシステム24へは、500Hzの正弦波の音データに基づく音信号をスピーカ52へ出力し、スピーカ52から500Hzの正弦波の音が出力される。
【0067】
(ステップS109)処理部100は、マイク40で集音された500Hzの正弦波の音(右側のスピーカ52から出力された音)のマイク信号を取得し、取得したマイク信号の音圧レベルを保存する。
【0068】
(ステップS111)処理部100は、ステップS105で保存した音圧レベルとステップS109で保存した音圧レベルとを比較し、低い方の音圧レベルを基準として判定閾値を設定する。
【0069】
(ステップS113)処理部100は、スピーカ51及びスピーカ52の両方へ500Hzの正弦波の音データを再生して出力する。具体的には、処理部100は、スピーカ51及びスピーカ52へ出力する500Hzの正弦波の音データを再生してオーディオシステム24へ出力する。これにより、オーディオシステム24へは、500Hzの正弦波の音データに基づく音信号をスピーカ51及びスピーカ52へ出力し、スピーカ51及びスピーカ52の両方から500Hzの正弦波の音が出力される。
【0070】
(ステップS115)処理部100は、マイク40で集音された500Hzの正弦波の音(スピーカ51及びスピーカ52の両方から出力された音)のマイク信号を取得し、取得したマイク信号の音圧レベルを保存する。
【0071】
(ステップS117)処理部100は、ステップS115で保存した音圧レベルとステップS111で設定した判定閾値とを比較し、大小関係を判定する。処理部100は、音圧レベルが判定閾値より大きいと判定した場合、サプライヤAのスピーカ50aが接続されていると判定する(ステップS119)。そして、ステップS121の処理へ進む。一方、処理部100は、音圧レベルが判定閾値より小さいと判定した場合、サプライヤBのスピーカ50bが接続されていると判定する(ステップS123)。そして、ステップS125の処理へ進む。
【0072】
(ステップS121)処理部100は、サプライヤAのスピーカ50aが接続されていると判定した場合には、サプライヤAのスピーカ50aの調整パラメータを読み込み、オーディオシステム24へ設定する。
【0073】
(ステップS125)処理部100は、サプライヤBのスピーカ50bが接続されていると判定した場合には、右側のスピーカ51へ出力する音信号の正負の極性を入れ替えて逆相となるように設定する。そして、ステップS127の処理へ進む。
【0074】
(ステップS127)処理部100は、サプライヤBのスピーカ50bの調整パラメータを読み込み、オーディオシステム24へ設定する。
【0075】
[実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置10は、接続可能な2種類のスピーカ50(ステレオスピーカの一例)のうちのいずれかと接続される。情報処理装置10は、スピーカ50から出力させる音の音データを記憶するメモリ(例えば、メインメモリ12)と、スピーカ50が有する2つのスピーカ51、52のそれぞれに対して、音データに基づく音信号をそれぞれ出力する2つのオーディオアンプ241、242(アンプの一例)と、2つのオーディオアンプ241、242と2つのスピーカ51、52とを接続するコネクタ16(接続部の一例)と、少なくともスピーカ50から出力される音を集音可能なマイク40と、スピーカ50への出力を制御するCPU11(プロセッサの一例)とを備えている。2種類のスピーカ50のうちサプライヤAのスピーカ50a(第1のステレオスピーカの一例)がコネクタ16に接続される場合には、スピーカ50aが有する2つのスピーカ51a、52aが互いに同相となるようにコネクタ16を介してオーディオアンプ241、242に接続される。一方、2種類のスピーカ50のうちサプライヤBのスピーカ50b(第2のステレオスピーカの一例)がコネクタ16に接続される場合には、スピーカ50bが有する2つのスピーカ51b、52bが互いに逆相となるようにコネクタ16を介してオーディオアンプ241、242に接続される。CPU11は、オーディオアンプ241、242から所定の音データ(例えば、500Hzの正弦波の音データ)に基づく音信号をコネクタ16に接続されているスピーカ50へ出力させることによりスピーカ50から出力される音をマイク40で集音し、集音した音に基づいてコネクタ16に接続されているスピーカ50の種類を識別する識別処理を行う。
【0076】
これにより、情報処理装置10は、スピーカ50が接続されるコネクタ16に識別用の端子を設けることなく、接続されているスピーカ50の種類を識別することができるため、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【0077】
例えば、CPU11は、上記識別処理において、マイク40により集音された音の音圧に基づいてスピーカ50の種類を識別する。
【0078】
これにより、情報処理装置10は、接続されているスピーカ50の種類を音圧レベルで識別することができるため、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【0079】
また、CPU11は、上記識別処理により識別されたスピーカ50の種類に基づいて、サプライヤAのスピーカ50aがコネクタ16に接続されている場合には2つのオーディオアンプ241、242から出力する音信号が互いに同相となるように制御し、サプライヤBのスピーカ50bがコネクタ16に接続されている場合には2つのオーディオアンプ241、242から出力する音信号が互いに逆相となるように制御する。
【0080】
これにより、情報処理装置10は、2種類のスピーカ50の接続仕様を異ならせることにより、接続されているスピーカ50の種類を識別することができるとともに、識別した後は、それぞれの接続仕様に応じてスピーカ50へ出力する音信号を正相または逆相に適切に制御することができる。よって、情報処理装置10は、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【0081】
また、メモリ(例えば、メインメモリ12またはBIOSメモリ22)には、2種類のスピーカ50それぞれの特性に応じた調整パラメータ(パラメータの一例)が記憶されている。また、情報処理装置10は、スピーカ50へ出力する音信号を音データから生成する際に前記パラメータを利用して生成するオーディオシステム24(オーディオ処理部の一例)をさらに備えている。そして、CPU11は、上記識別処理により識別されたスピーカ50の種類に基づいて、コネクタ16に接続されているスピーカ50の調整パラメータを、オーディオシステム24で利用可能なようにメモリから読み込む。
【0082】
これにより、情報処理装置10は、情報処理装置10は、スピーカ50が接続されるコネクタ16に識別用の端子を設けることなく、接続されているスピーカ50の種類を識別して性能を引き出すことができる。よって、情報処理装置10は、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【0083】
例えば、所定の音データに基づく音信号は、正弦波信号(例えば、500Hzの正弦波信号)である。
【0084】
これにより、情報処理装置10は、音圧レベルの差分に基づいて、接続されているスピーカ50の種類を識別することができる。
【0085】
また、CPU11は、工場出荷前の工程、または出荷後に前記ステレオスピーカの部品交換が行われた際に、上記のスピーカ50の種類を識別する識別処理を行う。
【0086】
これにより、情報処理装置10は、製品として出荷時点で2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができるとともに、修理などのサポートにおいても2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る、接続可能な2種類のスピーカ50(ステレオスピーカの一例)のうちのいずれかと接続される情報処理装置10における制御方法は、2種類のスピーカ50のうちサプライヤAのスピーカ50a(第1のステレオスピーカの一例)がコネクタ16に接続される場合には、スピーカ50aが有する2つのスピーカ51a、52aが互いに同相となるようにコネクタ16を介してオーディオアンプ241、242に接続され、2種類のスピーカ50のうちサプライヤBのスピーカ50b(第2のステレオスピーカの一例)がコネクタ16に接続される場合には、スピーカ50bが有する2つのスピーカ51b、52bが互いに逆相となるようにコネクタ16を介してオーディオアンプ241、242に接続され、CPU11が、オーディオアンプ241、242から所定の音データ(例えば、500Hzの正弦波の音データ)に基づく音信号をコネクタ16に接続されているスピーカ50へ出力させるステップと、スピーカ50から出力される音をマイク40で集音させるステップと、マイク40で集音した音に基づいてコネクタ16に接続されているスピーカ50の種類を識別するステップと、を含む。
【0088】
これにより、情報処理装置10は、スピーカ50が接続されるコネクタ16に識別用の端子を設けることなく、接続されているスピーカ50の種類を識別することができるため、回路基板上のコスト及びスペースへの影響を抑えつつ2種類のステレオスピーカとの接続に対応することができる。
【0089】
以上、この発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0090】
上記実施形態では、スピーカ50の種類を識別する識別処理において、500Hzの正弦波信号を用いる例を説明したが、正弦波の周波数は500Hzに限られるものではなく、低周波数域の500Hz以外の正弦波信号を用いてもよい。また、正弦波信号以外の音信号を用いてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、スピーカ識別処理に関するアプリケーションをオーディオドライバとパッケージ化して提供される例を説明したが、オーディオドライバとは別に(例えば、スピーカドライバなどとして)提供されてもよい。また、オーディオドライバまたはスピーカドライバとパッケージ化してユーザへ提供することで、ユーザがオーディオドライバまたはスピーカドライバのインストール時に自動でスピーカ識別処理が実行されるようにしてもよい。これにより、ユーザが情報処理装置10を使用している中で、OSの再インストールを行う場合にも、スピーカ識別処理によるスピーカ50の種類を識別して適切に制御できるようにすることができる。
【0092】
なお、上述した情報処理装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0093】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0094】
また、上述した実施形態における情報処理装置10が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、情報処理装置10がノートPCである例を説明したが、デスクトップ型やタブレット型のPCであってもよいし、スマートフォンやゲーム機、或いはビデオ会議専用の電子機器などであってもよい。また、表示部14は、情報処理装置10に内蔵されたものに限らず、HDMI(登録商標)またはUSB等で接続される周辺機器であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 情報処理装置、101 第1筐体、102 第2筐体、103 ヒンジ機構、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、21 チップセット、22 BIOSメモリ、23 記憶部、24 オーディオシステム、25 通信部、26 USBコネクタ、31 エンベデッドコントローラ、32 キーボード、33 電源回路、34 バッテリ、35 センサ、110 処理部、101 オーディオドライバ、102 スピーカ識別アプリ、103 パラメータ設定アプリ、241 オーディオアンプ、242 オーディオアンプ、243 DAC、244 DAC、245 ADC、246 オーディオ制御部