(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】製品管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240930BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240930BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06F3/12 343
G06F3/12 378
G06F3/12 387
G06K7/10 428
G06K7/10 252
(21)【出願番号】P 2023008844
(22)【出願日】2023-01-24
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502360787
【氏名又は名称】株式会社ベルク
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊
【審査官】久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-324353(JP,A)
【文献】特開2006-318111(JP,A)
【文献】特開2005-202475(JP,A)
【文献】特開2005-132057(JP,A)
【文献】特開2004-310597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 3/12
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品物流ラベルに含まれる情報を読み取る読み取り装置を備えた端末装置と、製品情報を記憶するデータベースを備えた製品管理サーバと、から構成される製品管理システムであって、
前記データベースに記憶される前記製品情報は、標準規格の製品情報と、製造メーカーの独自規格の製品情報と、追加情報とを含み、前記標準規格の製品情報の一部は、前記製品物流ラベルに含まれる情報に対応付けられており、
前記製品管理サーバは、前記端末装置から送信された前記製品物流ラベルに含まれる情報に基づき、前記製品情報を前記データベースで検索して、前記検索された前記製品情報を前記端末装置に送信
し、
前記端末装置は、前記検索された前記製品情報に基づき、承継ラベルを印刷するための承継ラベル情報を生成する、製品管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の製品管理システムであって、
前記製品物流ラベルに含まれる情報及び前記製品情報は、製品識別番号及びロット番号を含む、製品管理システム
【請求項3】
請求項1に記載の製品管理システムであって、
前記製品情報は、前記端末装置及び/又は前記製品管理サーバから入力された追加情報を含む、製品管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の製品管理システムであって、
前記端末装置は、前記検索された前記製品情報を前記端末装置の表示部に表示する、製品管理システム。
【請求項5】
請求項
1に記載の製品管理システムであって、
前記承継ラベルを印刷するプリンタを備え、前記プリンタは、前記端末装置と無線通信により、前記承継ラベルを印刷する、製品管理システム。
【請求項6】
請求項
1に記載の製品管理システムであって、
前記追加情報は、前記標準規格の製品情報及び前記独自規格の製品情報に含ま
れていない、前記承継ラベルに記載される情報である、製品管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の製品管理システムであって、
前記製品管理サーバは、前記製造メーカーのメーカーサーバから前記標準規格の製品情報及び前記独自規格の製品情報を受信する、製品管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の製品管理システムであって、
前記端末装置は、携帯端末装置である、製品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品管理サーバ及び製品管理システムに関し、より詳細には、製品情報を一元管理する製品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食肉加工の際、小売業者は、製造メーカー等から仕入れた枝肉を部分肉に切り分けた後、部分肉をさらに切り分けた精肉を販売している。枝肉には、
図2に示すような食肉物流ラベルAが貼られている。食肉物流ラベルから個体識別情報を読み取ることにより、生産から販売までのトレーサビリティ情報(流通履歴情報)を把握することができる。枝肉を部分肉に加工する際に、枝肉の個体識別情報を引き継ぐために、食肉物流ラベルから読み取った個体識別情報を含む承継ラベルを検品装置などの現場の機器で印刷して、部分肉に付すことが行われている。
【0003】
特許文献1には、牛肉食品のトレーサビリティ情報を管理する媒体記録装置が提案されている。この媒体記録装置は、ネットワークを介してトレーサビリティ情報を提供する複数の情報提供サイトを識別するためのサイト識別コードと、トレーサビリティ情報の管理単位ごとに商品に対して割り当てられる情報識別コードと、を含む複合コードを生成する生成手段と、生成された前記複合コードを、商品用記録媒体に記録する記録手段と、を備え、商品に係る情報を、当該商品に付随させる商品用記録媒体に記録する。
【0004】
この媒体記録装置は、例えば、商品の販売者サーバに構築されたウェブサイトである代理要求サイトが、消費者が必要なトレーサビリティ情報を提供する製造メーカーの情報提供サイトを代理で特定する機能を有しており、販売者サーバには、業者コードから、情報提供サイトのアドレスを特定するための変換テーブルが記憶されている。そして、代理要求サイトは、消費者端末装置から送信された問合せコードに含まれる業者コードに基づいて、製造メーカーごとの情報提供サイトのアドレスを特定し、特定したアドレスの情報提供サイトに、問合せコードに含まれる個体識別番号を送信し、情報提供サーバから送信されるトレーサビリティ情報を取得するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の食肉加工の際、食肉物流ラベルには、標準規格の製品情報に加えて、各製造メーカーごとに独自規格の製品情報が記載されることがあり、これらの情報は一元管理されていない。標準規格の製品情報は、現場の機器のスキャナーから容易に読み込んで承継レベルに印刷することができる。一方、独自規格の製品情報は、製造メーカー間で統一できていない項目があるため、現場の機器は、スキャナーから読み込んだ情報を処理することができない。そこで、現場の機器に、各製造メーカー間で統一されていない(標準化されていない)製品情報の設定を手動で追加、変更して、独自規格の製品情報を印刷可能としている。
【0007】
しかしながら、既に現場の機器に設定されている製造メーカー以外を現場の機器に追加する場合、現場へ直接赴いて機器を設定する必要があり、時間やコストがかかるため、自由に製造メーカーを追加できず取引拡大を阻害していた。
【0008】
そこで本発明は、製造メーカーなどから提供される製品情報を一元管理可能な製品管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、次の通りである。
[態様1]
製品物流ラベルに含まれる情報を読み取る読み取り装置を備えた端末装置と、製品情報を記憶するデータベースを備えた製品管理サーバと、から構成される製品管理システムであって、
前記データベースに記憶される前記製品情報は、標準規格の製品情報と、製造メーカーの独自規格の製品情報と、追加情報とを含み、前記標準規格の製品情報の一部は、前記製品物流ラベルに含まれる情報に対応付けられており、
前記製品管理サーバは、前記端末装置から送信された前記製品物流ラベルに含まれる情報に基づき、前記製品情報を前記データベースで検索して、前記検索された前記製品情報を前記端末装置に送信する、製品管理システム。
【0010】
[態様2]
態様1に記載の製品管理システムであって、
前記製品物流ラベルに含まれる情報及び前記製品情報は、製品識別番号及びロット番号を含む、製品管理システム
[態様3]
態様1に記載の製品管理システムであって、
前記製品情報は、前記端末装置及び/又は前記製品管理サーバから入力された追加情報を含む、製品管理システム。
[態様4]
態様1に記載の製品管理システムであって、
前記端末装置は、前記検索された前記製品情報を前記端末装置の表示部に表示する、製品管理システム。
【0011】
[態様5]
態様1に記載の製品管理システムであって、
前記端末装置は、前記検索された前記製品情報に基づき、承継ラベルを印刷するための承継ラベル情報を生成する、製品管理システム。
[態様6]
態様5に記載の製品管理システムであって、
前記承継ラベルを印刷するプリンタ(例えば、モバイルプリンタ)を備え、前記プリンタは、前記端末装置と無線通信により、前記承継ラベルを印刷する、製品管理システム。
[態様7]
態様5に記載の製品管理システムであって、
前記追加情報は、前記標準規格の製品情報及び前記独自規格の製品情報に含まていない、前記承継ラベルに記載される情報である、製品管理システム。
【0012】
[態様8]
態様1に記載の製品管理システムであって、
前記製品管理サーバは、前記製造メーカーのメーカーサーバから前記標準規格の製品情報及び前記独自規格の製品情報を受信する、製品管理システム。
[態様9]
態様1に記載の製品管理システムであって、
前記端末装置は、携帯端末装置(例えば、携帯電話、スマートフォン、又はタブレット型端末)である、製品管理システム。
【0013】
[態様10]
製品物流ラベルに含まれる情報を読み取る読み取り装置を備えた端末装置から前記製品物流ラベルに含まれる情報を受信すると共に、製品情報を記憶するデータベースを備えた製品管理サーバであって、
前記データベースに記憶される前記製品情報は、標準規格の製品情報と、製造メーカーの独自規格の製品情報と、追加情報とを含み、前記標準規格の製品情報の一部は、前記製品物流ラベルに含まれる情報に対応付けられており、
前記製品管理サーバは、前記端末装置から送信された前記製品物流ラベルに含まれる情報に基づき、前記製品情報を前記データベースで検索して、前記検索された前記製品情報を前記端末装置に送信する、製品管理サーバ。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製品管理システムによれば、製造メーカーなどから提供される製品情報を一元管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る食肉の処理を示す模式図である。
【
図3】本実施形態に係る製品情報管理システムを示す模式図である。
【
図4】
図3の製品管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に関する製品管理サーバ及び製品管理システムを図面を参照して説明する。本実施形態においては、取り扱う製品として、例えば、牛肉製品を例に挙げ、枝肉を製造する製造メーカーから小売業者を経て消費者に渡る流通時において、牛肉製品に付随する製品情報を、製品管理サーバ1及び製品管理システム10にて一元管理する例について説明する。
【0017】
はじめに、一般的な食肉の流通過程について説明する。
図1に示すように、ステップSa1で、製造メーカーによって枝肉が製造され、枝肉に食品物流ラベルが付される。ステップSa2で、食品物流ラベルが付された枝肉が小売業者等に輸送される。ステップSa3で、小売業者等によって枝肉が部分肉に切り分けられ、ステップSa4で、部分肉に承継ラベルBが付される。承継ラベルBが付された部分肉は、さらに精肉に加工され、精肉は値付ラベルが付され、販売される。
【0018】
次に、本発明の実施形態に係る処理概要を説明する。本実施形態の製品管理システムは、少なくとも製品管理サーバ1及び端末装置3から構成される。
図1に示すように、製品管理サーバ1は、ステップSb1で、製造メーカーのメーカーサーバ等から製品情報を受信して、製品管理サーバ1のデータベースに登録する。製品情報は、個体識別番号及びロット番号に対応付けられた(紐付けられた)、標準化された製品情報と、製造メーカーの独自規格の製品情報と、追加情報とを含む。製品管理サーバ1は、食肉メーカーなどの製造メーカーから製品の出荷時に提供されたCSVデータを取り込み、データベースに登録し端末装置3から参照可能な状態にする。
【0019】
製品管理サーバ1は、次のトレーサビリティ情報、及び部位情報を含む製品情報を一元管理することができる。トレーサビリティ情報に含まれる項目は、納品日、個体識別番号、取引先コード、納品店舗、畜種(1和牛、2国産牛、3輸入牛)、部位名などである。部位情報は、製品情報に含まれる「標準商品コード」を用いることができる。製品管理サーバ1が部位情報として保持する項目は、部位コード、メーカーコード、部位名、追加情報である。製品管理サーバ1に標準商品コードが提供された場合、部位コードは、標準商品コードの頭3桁の数字列と、メーカーコード「0」(標準商品コードを意味する)とを保持する。製品管理サーバ1に製造メーカーから独自の商品コードが提供された場合は、メーカー独自の部位コードを部位コードに設定し、メーカーコードにそのメーカーのメーカーコードを設定する。
【0020】
ステップSb2で、端末装置3を介して食品物流ラベルに追加する追加情報を製品管理サーバ1のデータベースに登録される。ステップSb3で、端末装置3のカメラなどの読み込み装置を用いて食品物流ラベルAのバーコード情報が読み込まれる。
【0021】
ステップSb4で、端末装置3は、読み込んだバーコード情報を製品管理サーバ1に送信して問い合わせを実行する。ステップSb5で、製品管理サーバ1は受信したバーコード情報から個体識別番号及びロット番号を抽出して、個体識別番号及びロット番号の両方を満たす製品情報をデータベースで検索して、承継ラベルBに必要な承継ラベル生成情報を端末装置3に送信する。承継ラベル生成情報は、標準規格の製品情報、製造メーカーの独自規格の製品情報、及び追加情報を含んでいる。ステップSb6で、端末装置3は、受信した承継ラベル生成情報に基づき、承継ラベルBをモバイルプリンタ3aを用いて印刷する。
【0022】
枝肉は、整形等により枝肉が分割肉(部分肉、部位別もしくは加工上発生した「あまり肉」)に分割される。この分割の際、入荷時点で枝肉に貼り付けられている食肉物流ラベルAをスキャナーで読み取り、個体識別情報を抽出した上で個体識別番号を複写した承継ラベルBを印刷する。この承継ラベルBをそれぞれの分割肉に付すことにより、個体識別情報を継承することができる。
【0023】
本発明に係る製品管理サーバ1は、流通過程において、枝肉から部分肉を経て精肉に加工される際に、各製品に付随する製品情報を一元管理し、製造メーカーから消費者に至るまで、製品情報の共有を可能とする。
【0024】
個体識別情報及びロット番号は、各枝肉に対して製造メーカーからの出荷時点で付される情報、例えば、
図2に示すような食肉物流ラベルAに記載される情報である。食肉物流ラベルAの情報には、標準規格の製品情報が含まれる。標準規格の製品情報は、流通システム開発センター(GS1 Japan)が定めた、アプリケーション・アイデンティフィァー(AI)により規定され、数字列及びバーコードで表現される。製造メーカーの独自形式の製品情報もAIに含まれている。
【0025】
図2の食肉物流ラベルAは、上側バーコードBC1の直下に上側数字列N1が記載され、下側バーコードBC2の直下に下側数字列N2が記載されている。これらの数字列N1、N2には、括弧が記載されているが通常はこの括弧は含まれず、括弧内の数字列が項目を表している。上側バーコードBC1及び上側数字列N1は同じ情報を含んでいる。下側バーコードBC2及び下側数字列N2は同じ情報を含んでいる。なお、食肉物流ラベルAと同じ情報は、メーカーサーバ等から製品管理サーバ1に送信され、製品管理サーバ1のデータベースに登録されている。
【0026】
上側数字列N1において、標準規格の製品情報は、枝肉を個々に識別可能な個体識別番号a1、枝肉のロット番号a2、枝肉のカット規格を示すカット規格番号a3などである。個体識別番号a1は、(251)から次の10の数字列である。ロット番号a2は、(10)の次から可変長で最大20桁の数字列であり、製造メーカーなどが設定した内容である。カット規格番号a3は、(240)の次から可変長で最大30桁の数字列でありメーカーなどが設定する規格番号等である。
【0027】
下側数字列N2において、標準規格の製品情報は、枝肉の商品コードa4、枝肉の重量a5、枝肉の製造年月日a6、枝肉のカートンIDa7などである。商品コードa4は、(01)の次から14桁の数字列であり、最初1桁に固定値の9、次の7桁に製造メーカーを特定するメーカーコード、次の5桁に標準商品コード、最後の1桁にチェックデジットを含む。なお、商品コードa4は、標準商品コードではなく製造メーカー独自の非標準商品コードを含む場合がある。重量a5は、(3102)の次から5桁の数字列でありキログラム単位で表示される。製造年月日a6は、(11)の次から6桁の数字列であり、加工又はパックした日を記載している。カートンIDa7は、(21)の次から可変長で最大12桁の数字列である。a1~a6に対応する上側バーコードをスキャナ又はカメラなどの読み取り装置で読み込むことにより情報を取得することが可能となる。
【0028】
また、枝肉から加工した部分肉の製品情報には、標準規格の製品情報、製造メーカーの独自規格の製品情報の他に、小売業者などが部分肉の情報として追加したい任意の追加情報も含まれる。標準規格の製品情報、独自規格の製品情報、及び追加情報は、各枝肉の個体識別番号及びロット番号に対応づけられて、製品管理サーバ1のデータベース12aに登録されている。
【0029】
追加情報は、例えば、枝肉を部分肉に加工した小売業者などにより、製品管理サーバ1のデータベース12aに追加される任意の情報であり、例えば、部分肉に加工する前の枝肉の仕入日、枝肉を部分肉に加工した加工日、部分肉の加工形態等を示す情報などであり、枝肉から受け継がれる個体識別番号及びロット番号と対応付けられて、製品管理サーバ1のデータベース12aに登録されている。追加情報は、継承ラベルBなどに食肉物流ラベルA記載以外の追加情報を伝達したい場合などに使用される。
【0030】
製品管理システム10は、例示的には、
図3に示すように、製品管理サーバ1と、端末装置3とを含む。製品管理システム10は、さらに計量値付機5とを含むこともできる。製品管理サーバ1は、その操作者等が製品情報を提供するサービスを運営・管理する際に利用する情報処理装置である。製品管理サーバ1は、製造メーカーのメーカーサーバ2、小売業者の端末装置3、消費者の端末装置4、及び計量値付機5と通信可能である。製品管理サーバ1は、メーカーサーバ2、小売業者の端末装置3,消費者の端末装置4、又は計量値付機5からの製品情報の提供を求める各種コマンド(リクエスト)を受信すると、メーカーサーバ2、小売業者の端末装置3、及び、消費者の端末装置4、又は計量値付機5に、要求された製品情報を送信することができる。
【0031】
製品管理サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15と、を有している。制御部11は、各部間のデータの受け渡しを行うと共に、製品管理サーバ1全体の制御を行う。所定のメモリに格納されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。
【0032】
制御部11は、受信した製品情報及び各端末装置からの各種コマンドを処理する処理部11aと、受信した製品情報から個体識別番号及びロット番号を抽出し、製品情報に含まれる情報を個体識別番号に対応付けてデータベース12aに記憶させる記憶処理部11bと、各種コマンドに基づいて要求された個体識別番号及びロット番号に対応付けられた製品情報を端末装置に送信する送信処理部11cと、を有している。
【0033】
記憶部12は、システムプログラムが記憶された読み取り専用の記憶領域と、制御部による演算処理のワーク領域として使用され、また、各種製品情報を個体識別番号に対応付けたデータベース12aが記憶される、書き換え可能な記憶領域とを有している。
【0034】
入力部13は、例えば、キーボードやマウス等であり、製品管理サーバ1の操作者などが製造メーカー及び小売業者から電子メールやデータ転送等により送られた製品情報を入力するためのものである。入力部13は、バーコードなどを読み込むリーダーや画像を取り込むためのスキャナ又はカメラなどを備えていてもよい。
【0035】
表示部14は、制御部11からの指令に基づいて製品管理サーバ1の使用者の操作画面を表示する、例えば、液晶ディスプレイ等である。
【0036】
通信部15は、メーカーサーバ2、小売業者の端末装置3、及び、消費者の端末装置4との間で通信を行うためのものであり、各端末装置に送信される各種データや信号を受信する受信部としての機能と、制御部の指令に応じて製品情報等を各端末装置に送信する送信部として機能とを有している。ここで、通信部15が標準規格の製品情報、及び、独自規格の製品情報、及び追加情報を受信する受信部に相当する。
【0037】
メーカーサーバ2は、製造メーカーの操作者が、枝肉の製品情報を製品管理サーバ1に送信する際に利用する情報処理装置であり、通信回線を介して製品管理サーバ1と通信可能である。
【0038】
小売業者の端末装置3、及び、消費者の端末装置4は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末等の、携帯端末装置とすることができる。端末装置3は、液晶ディスプレイ等の表示部を備えている。端末装置3は、製品管理サーバ1に対して、製品情報の取得を要求し、製品管理サーバ1から送信された製品情報を閲覧することができる。また、小売業者の端末装置3は、モバイルプリンタ3aとBluetooth(登録商標)又はWi-Fi等の無線通信で接続される。モバイルプリンタ3aは、端末装置3から取得した製品情報を含む継承ラベルBを印刷可能である。
【0039】
端末装置3は、製品管理アプリ(製品管理プログラム)を備えることができる。製品管理アプリは、端末装置3に対して、端末装置3及び製品管理サーバ1間で製品情報の送受信を実行させ、承継ラベル情報を生成させ、モバイルプリンタ3aへの承継ラベルの印刷を実行させる。
【0040】
各製造メーカーが印刷した食肉物流ラベルAには、製造された枝肉に付与された個体識別番号a1及びロット番号a2を含む各種情報が記載されている。各製造メーカーは、各枝肉に食肉物流ラベルAを付して出荷する。この出荷の際、メーカーサーバ2は、食肉物流ラベルAに記載された情報を製品管理サーバ1に送信する。食肉物流ラベルAに記載された情報は、製品管理サーバ1のデータベース12aに読出し可能に登録される。
【0041】
製造メーカーから出荷された枝肉は、各小売業者に入荷されて部分肉に加工される。このとき、枝肉に付されている食肉物流ラベルAのバーコードBC1が各小売業者の端末装置3で読み取られる。端末装置3は、読み取ったバーコードBC1の情報を製品管理サーバ1に送信する。
【0042】
製品管理サーバ1の制御部11は、バーコードBC1の情報から個体識別番号a1及びロット番号a2の組合せに対応付けられている製品情報をデータ―ス12aを検索する。制御部11は、個体識別番号a1及び及びロット番号a2に対応付けられている、標準規格の製品情報、製造メーカーの独自規格の製品情報、追加情報を抽出する。独自規格の製品情報は、変換プログラムにより利用可能な製品情報に変換することができる。利用可能に変換された製品情報は、標準規格の製品情報とすることができる。変換プログラムは、製造メーカーごとに設けた変換テーブルを用いて、独自規格の製品情報を利用可能形式に変換することができる。
【0043】
製品管理サーバ1は、登録した標準規格の製品情報、読込可能な製品情報、及び追加情報を端末装置3に送信する。このとき、製品管理サーバ1から端末装置3に送信される製品情報は、端末装置3から要求された項目のみとする、或いは、個体識別番号a1及びロット番号に対応付けられた製品情報のすべてを送信するなど、適宜設定されている。
【0044】
端末装置3は、製品管理アプリを用いて、製品管理サーバ1から送信された製品情報を記憶し、製品情報を読出及び印刷可能とする。また、端末装置3は、製品管理アプリを用いて、取得された製品情報に基づき承継ラベル情報を生成し、モバイルプリンタ3aを用いて承継ラベルBを印刷する。承継ラベルBは、部分肉に付される。
【0045】
承継ラベルBは、個体識別番号a1、製品名(サーロイン等)、追加情報(仕入先、仕入日)を少なくとも記載することができる。承継ラベルBは、
図5に示すように、承継ラベル識別情報を含むバーコードb1と、バーコードb1の直下に記載された数字列N3と、製品管理サーバ1から取得した製品情報のうちの小売業者が希望する項目、例えば、個体識別番号a1、仕入先b2、仕入日b4などの情報を適宜な位置に配置して印字したラベルである。承継ラベルBは、包装された個々の部分肉に付される。
【0046】
加工された各部分肉は、さらに精肉に加工される。このとき、小売業者の計量値付装置5のバーコードリーダーなどの読み取り装置を用いて、部分肉に付された承継ラベルBが読み取られる。計量値付装置5は、承継ラベル情報b1を製品管理サーバ1に送信する。承継ラベル情報b1は、個体識別番号a1及びロット番号a2を少なくとも含む。
【0047】
製品管理サーバ1は、受信した承継ラベル情報b1に基づき、承継ラベル情報に対応付けられた、製品情報(標準規格の製品情報、製造メーカーの独自規格から変換された利用可能な製品情報、及び追加情報)をデータベース12aから検索し、計量値付装置5に送信することもできる。このとき、製品管理サーバ1から計量値付装置5に送信される製品情報は、計量値付装置5から要求された項目のみとする、或いは、個体識別番号a1及びロット番号a2に対応付けられた製品情報のすべてを送信するなど、適宜設定されている。
【0048】
計量値付装置5は、製品管理サーバ1から送信された製品情報を記憶し、製品情報が読出及び印刷可能となる。また、計量値付装置5は、取得された製品情報を表示するバーコードを含む値付ラベルを、計量値付け装置5のプリンタから印刷する。
【0049】
本実施形態の製品管理システム10は、製品管理サーバ1が受信した、標準規格の製品情報、製造メーカーの独自規格の製品情報、及び、端末装置3などから入力された追加情報が、いずれも個体識別番号a1及びロット番号a2の組に対応づけてデータベース12aに記憶されている。このため、端末装置3又は4を介して、製品管理サーバ1の記憶部12に記憶されているデータベース12aにアクセスすることにより、個体識別番号a1及びロット番号a2の組に基づいて特定される部分肉及び精肉に関する製品情報を容易に取得することが可能となる。
【0050】
また、製品管理サーバ1は、通信回線に接続されているので、通信回線に接続可能であって個体識別番号a1及びロット番号a2を取得している者であれば、通信回線と接続可能ないずれの場所からでも、枝肉及び部分肉に関する製品情報を取得することが可能となる。
【0051】
さらに、一般的に普及している携帯型の端末装置3、4を使用することにより、大型の装置や新規のシステムを構築する必要はなく、機器導入コストやメンテナンスコストを削減することが可能となる。
【0052】
また、小売業者の端末装置3に無線接続された携帯可能なモバイルプリンタ3aを備えることにより、取得した製品情報をその場で出力することができるので、取得した製品情報を製品に容易に付することが可能となる。
【0053】
製品管理システム10は、標準規格の製品情報と、製造メーカーの独自規格の製品情報と、追加情報とを一元管理することができる。独自規格の製品情報を使用している製造メーカーがあっても、現場設置の機器が判別できるように手動で各店舗巡回し機器を設定する必要がなくなるため、設定の時間、費用の削減ができる。製品管理システム10は、一元管理されている情報を、携帯端末装置などから参照し利用することができるため、専用端末機器ではなく、手持ちの携帯端末装置などで製品管理アプリを用いて、製品情報を利用できるようにすることで機器導入コスト、メンテナンスコスト等の削減ができる。製品管理システム10は、モバイルプリンタ等を利用し、一元管理されている情報を利用した継承ラベルを作業現場で印刷することができる。
【0054】
上記実施形態においては、製品として牛肉の部分肉及び精肉を例に挙げて説明したが、複数の加工段階を有して流通される製品であれば、牛肉に限らず、豚肉等の任意の肉製品、又は任意の食品であってもよい。
【実施例】
【0055】
製品管理サーバ1の具体的な処理を以下例示する。製品管理サーバ1の制御部11は、端末装置3から受信したバーコードBC1情報から、枝肉の個体識別番号a1及び枝肉のロット番号a2を抽出する。制御部11は、抽出された個体識別番号a1及びロット番号a2を用いてデータベース12aを検索する。検索の結果、個体識別番号a1及びロット番号a2に対応する個体識別番号A1及びロット番号A2がデータベース12aに登録されている場合、個体識別番号a1(A1)及びロット番号a2(A2)に対応付けて、製品ステータスを「1」(製品データ有)と設定する。次いで、制御部11は、製品ステータス「1」、製造メーカーから小売業者への納品日又は出荷日、及び取引先コード(製造メーカーコード)を、個体識別番号A1及びロット番号A2に対応付けて端末装置3に送信する。本実施形態において、製品管理サーバ1は、個体識別番号a1及びロット番号a2以外は検索に使用していないが、他の情報(例えば、納品日又は出荷日、取引先番号)を検索に使用することもできる。
【0056】
制御部11は、個体識別番号a1及びロット番号a2がデータベース12aに登録されていない場合、製品ステータスを「9」(製品データ無)と設定する。制御部11は、製品ステータスを「9」、納品日を空白又は「0」、取引先を空白又は「0」として、個体識別番号a1及びロット番号a2に対応付けて、端末装置3に送信する。なお、製品ステータスは、データベース12a上の項目には存在せず、端末装置3から問合せのあった個体識別番号A1及びロット番号A2のデータ有無により、制御部11が返信データに付与する。
【0057】
制御部11は、さらに、個体識別番号A1及びロット番号A2に対応付けられた製品情報をデータベース12aで検索する。検索された製品情報から、メーカーコード及び商品コードを抜き出す。
図2の製品流通ラベルAの数字列a4に対応する製品情報データは、3桁目から7桁がメーカーコードであり、10桁目から5桁目までが標準商品コードである。制御部11は、メーカーコード及び標準商品コードを用いて部位情報データを検索し、標準商品コードで部位情報データ(部位名、追加情報)が存在している場合、部位ステータスを「1」(部位情報有)とする。制御部11は、部位ステータス、部位名、及び追加情報を、個体識別番号A1及びロット番号A2と対応付けて、端末装置3に送信する。
【0058】
なお、制御部11が、メーカーコード及び標準商品コードを用いて部位情報データを検索した際に、業者独自の商品コードで部位情報データ(部位名、追加情報)が存在している場合、業者独自の商品コード(部位ステータス、部位名、及び追加情報)を変換テーブルを用いて標準商品コードに変換した上で、部位ステータスを「1」(部位情報有)とする。制御部11は、標準形式に変換された、部位ステータス、部位名、及び追加情報を、個体識別番号A1及びロット番号A2に対応付けて、端末装置3に送信する。
【0059】
制御部11は、部位情報データが存在していない場合、メーカーコードを「0」(メーカーコード無)とし、標準商品コードの先頭から3桁目までの部分に部位情報データが存在するかを検索する。標準商品コードを使用しているメーカーの場合、標準商品コードの先頭から3桁目までの部分に、共通の部位コード(畜種及び部位コード)が記載されている。
【0060】
標準商品コードの先頭から3桁目までの部分に部位情報データが存在した場合、部位ステータスを「1」(部位情報データ有)とし、部位ステータス、部位名、及び追加情報を、個体識別番号A1及びロット番号A2に対応付けて、端末装置3に送信する。
【0061】
標準商品コードの先頭から3桁目までの部分に部位情報データが存在しなかった場合、部位ステータスを「9」(部位情報データ無)とし、その他の項目は空白として、個体識別番号A1及びロット番号A2に対応付けて、端末装置3に送信する。
【0062】
なお、部位ステータスはデータベース12a上の項目には存在しないが、制御部11は、端末装置3から問い合わせを受けた製品管理サーバ1が問い合わせのあった個体識別番号データA1及びロット番号A2の有無により、端末装置3に返信するデータに部位ステータスを付与する。
【符号の説明】
【0063】
10 製品管理システム
1 製品管理サーバ
2 製造メーカーの端末装置
3 小売業者の端末装置(携帯端末装置)
3a モバイルプリンタ3a
4 消費者の端末装置
11 制御部
12 記憶部
12a データベース
13 入力部
14 表示部
15 通信部
A 食肉物流ラベル
B 承継ラベル