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特許7562726過熱防止を備えたエアロゾル発生システム
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  • 特許-過熱防止を備えたエアロゾル発生システム 図1
  • 特許-過熱防止を備えたエアロゾル発生システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】過熱防止を備えたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20240930BHJP
   A24F 40/90 20200101ALI20240930BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20240930BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240930BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/90
A24F40/51
A24F40/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023018591
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2021126518の分割
【原出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2023053123
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】17166852.8
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】コロット ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ビラ ステファーヌ
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/093695(WO,A1)
【文献】特開2013-150593(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1570876(KR,B1)
【文献】特許第3258657(JP,B2)
【文献】カナダ国特許出願公開第2859610(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/50
A24F 40/90
A24F 40/51
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生システムが、
エアロゾル形成基体を気化するように構成された電気ヒーターと、
前記電気ヒーターに電力供給するための電池と、
前記電気ヒーターの開始を検出するように構成された温度センサーと、
前記温度センサーに接続され、かつ、前記温度センサーが前記電気ヒーターの開始を検出することに応答して、前記電池の充電を防止するように構成された制御回路と、
前記電気ヒーターと、前記電池と、前記温度センサーと、前記制御回路とを含むハウジングと、
前記エアロゾル形成基体を貯蔵するように構成され、かつ、前記ハウジングに接続されるように構成される交換可能なカートリッジと、
を備えたエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記制御回路が、前記電池が充電状態にあることを検出することに応答して、前記電気ヒーターの動作を防止するようにさらに構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記制御回路に接続される充電センサーであって、前記電池が充電状態にあることを検出するように構成される充電センサーをさらに備える、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記電池が充電状態にあることを検出することに応答して、前記電気ヒーターの開始後の前記電気ヒーターの動作を防止するように構成される、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記電池は、前記エアロゾル発生システムのUSBポートに接続されたUSBケーブルを介して充電されるようにさらに構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記制御回路に接続される電流センサーであって、前記電気ヒーターの開始を検出するように構成された電流センサーをさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記交換可能なカートリッジが、前記ハウジングに接続されているかどうかを検出し、
前記交換可能なカートリッジが、前記ハウジングに接続されていることを検出することに応答して、前記電池の充電を防止するようにさらに構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
エアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生システムが、
エアロゾル形成基体を収容する貯蔵部を含む交換可能なカートリッジと、
前記エアロゾル形成基体を気化するように構成された電気ヒーターと、
前記電気ヒーターに電力供給するための電池と、
前記電気ヒーターの開始を検出するように構成された温度センサーと、
前記温度センサーに接続された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記電池が充電状態であることを検出することに応答して、前記電気ヒーターの動作を防止し、
前記温度センサーが前記電気ヒーターの開始を検出することに応答して、前記電池の充電を防止するように構成されており、さらに、
前記電気ヒーターと、前記電池と、前記温度センサーと、前記制御回路とを含むハウジングを備え、前記交換可能なカートリッジは、前記ハウジングに接続されるように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記電池は、前記エアロゾル発生システムのUSBポートに接続されたUSBケーブルを介して充電されるようにさらに構成される、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記制御回路は、前記電池が充電状態にあることを検出することに応答して、前記電気ヒーターの開始後の前記電気ヒーターの動作を防止するように構成される、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記制御回路に接続される充電センサーであって、前記電池が充電状態にあることを検出するように構成される充電センサーをさらに備える、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記制御回路は、
前記交換可能なカートリッジが、前記ハウジングに接続されているかどうかを検出し、
前記交換可能なカートリッジが、前記ハウジングに接続されていることを検出することに応答して、前記電池の充電を防止するようにさらに構成される、請求項8に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムに関する。システムは、エアロゾル発生物質を気化するための電気ヒーター、および電気ヒーターに電力供給するための電池を備える。
【背景技術】
【0002】
電子たばこなどの従来的なエアロゾル発生システムでは、eリキッドなどのエアロゾル発生物質は、電気ヒーターによって気化される。電気ヒーターは電池によって給電される。電池は、例えば、USBケーブルおよびシステム内の対応するUSBポートによって充電することができる。ところが、電池は、電池が燃焼する、または内部圧力の急激な増加を引き起こしうるため、潜在的な問題を引き起こす可能性がある。これは、高い電池温度によって生じうる。高い電池温度は、電池の内部セルを破損し、短絡につながりかねない。電池の温度は、電池の充電中に、電池内に伝達される電力によって生じる熱のために、および、電子構成要素などの、電池に近い外部要素によっても増大しうる。高温条件では、「熱暴走」状態の電池によってより多くの熱が生成されうる。電池の過充電によって、すなわち、設計されているよりも多くの充電電流が電池に提供される場合にも、高温が生じる場合がある。また、過電圧、過充電電流、過放電電流、過放電電圧、完全に消耗した電池の再充電、または高すぎるまたは低すぎる周囲温度での電池の充電または放電もまた、電池の内部損傷の可能性のある電池の高温につながりかねない。
【0003】
吸煙しているユーザーの顔に近い、内部損傷した電池は、ユーザーを有害な状況に置きかねない。したがって、本発明の目的は、エアロゾル発生システムを使用するユーザーの有害な状況を防止することである。
【0004】
この問題は、独立請求項の主題によって解決される。この点で、本発明は吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムを提案する。システムは、エアロゾル形成物質を気化するための電気ヒーター、および電気ヒーターに電力供給するための電池を備える。システムは、制御ユニットをさらに備え、制御ユニットは、電気ヒーターが動作しているかどうか、および電池が充電中かどうかを検出するように構成される。制御ユニットは、電気ヒーターが動作している時は電池の充電を防止し、電池が充電中である時は電気ヒーターが動作するのを防止するようにさらに構成される。
【0005】
電池の充電またはヒーターの動作のみを可能にする制御ユニットを提供することで、ユーザーが電池の充電中は吸煙できないことを確実にする。また、ユーザーは喫煙中に電池を充電することはできない。上述の通り、電池の充電中に温度が増大するため、電池が内部損傷する可能性は、電池の充電中が最も高い。また、システムを使用する、すなわち、喫煙すると、電池からヒーターへの電力伝達およびヒーター温度のために、電池の温度が追加的に増大しうる。ヒーターの動作中のこの追加的な熱発生は、充電中、本発明によって防止される。従って、電池が内部損傷する可能性が低減される。さらに、電池が内部損傷している場合、ユーザーは充電中に喫煙しないため、ユーザーにとって不快な状況を防止できる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、制御ユニットは、USBケーブルがシステムのUSBポートに接続された時に、電池の充電を検出しうる。電池を充電するためのシステムのUSBポートへのUSBケーブルの接続の検出は、任意の従来的手段によって容易となりうる。
【0007】
電池の適切な任意の充電は、制御ユニットによって検出されうる。例えば、USBタイプのコネクターが、マイクロUSBまたはUSBタイプCコネクターなどの電池を充電するために使用されうる。USBコネクターと相互作用する、カスタマイズされたコネクターまたはケーブルが使用されてもよい。この場合、USBケーブルは、カスタマイズされたコネクターまたはケーブルに差し込まれてもよい。カスタマイズされたコネクターまたはケーブルの他方の側は、エアロゾル発生システムに接続されてもよい。例えば、一方の側で例えばACアダプターまたはPCのUSBポートに、他方の側でエアロゾル発生システムに直接接続され、充電器とシステムとの間にケーブルを有する、または有さない、カスタマイズされた充電器が使用されてもよい。また、カスタマイズされたACアダプターが用いられてもよい。この場合、カスタマイズされたケーブルを有する、またはカスタマイズされたケーブルを有さない、ACアダプターが用いられる。エアロゾル発生システムは、ACアダプター、またはACアダプターに接続されたケーブルに差し込まれてもよい。任意の独自の充電システムが使用されてもよい。また、電池の誘導充電などの無線充電が使用され、制御ユニットによって検出されてもよい。電池の充電を検出するために、従来のセンサーが使用されてもよい。
【0008】
制御ユニットは、USBケーブルがシステムのUSBポートに接続されている、または電池がその他の手段によって充電中であることを検出し、そして充電中で場合に、ヒーターが動作するのを防止しうる。制御ユニットは、電池が充電中である間は、ユーザーの吸煙が検出される場合でも、ヒーターが加熱されるのを防止する。これに関して、システムは、気流量またはオンオフボタンを測定する気流センサーなどの吸煙センサーを備えてもよい。また、センサーは、吸煙中にユーザーによってシステムの気流経路を通して引き出される、システム内の空気の圧力を測定する圧力センサーとして構成されてもよい。通常、制御ユニットは、このセンサーによるユーザーの吸煙の検出に伴い、ヒーターを起動する。しかし、制御ユニットが電池が充電中であることを検出した場合、制御ユニットはヒーターの起動を防止する。
【0009】
制御ユニットは、エアロゾル形成物質を受けるための交換可能なカートリッジが接続されているかどうかを検出するように構成されうる。制御ユニットは、制御ユニットがこうしたカートリッジが存在することを検出する時に、電池の充電を防止するようにさらに構成されうる。
【0010】
カートリッジは、電気ヒーターに供給されるエアロゾル形成基体を貯蔵するように適合されうる。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための容器または貯蔵部として構成されうる。カートリッジは、自己回復可能な貫通可能膜などの、周囲の雰囲気に対して密封封止されたそれぞれの結合によって結合されうる。カートリッジは、タンクまたは容器などの交換可能なカートリッジとして構成されうる。電気ヒーターは、カートリッジ内に含まれてもよい。この場合、制御ユニットおよび電池は装置部分内で囲まれてもよく、交換可能なカートリッジは装置部分に接続可能に構成されてもよい。電気ヒーターはまた、交換可能なカートリッジが、ハウジングに接続可能であり、エアロゾル形成基体のみを含むように、電池および制御ユニットとともにハウジング内に包含されてもよい。
【0011】
こうしたカートリッジの結合は、ユーザーが吸煙を望んでヒーターを起動させることを示しうる。結果として、制御ユニットは、カートリッジが装置部分またはハウジングに結合されたことの検出に伴い、電池の充電を防止しうる。
【0012】
制御ユニットは、電気ヒーターの開始を検出し、電気ヒーターの開始が検出された時に電池の充電を防止するようにさらに構成されうる。
【0013】
上述の通り、吸煙はセンサーによって検出されうる。こうして、センサーは電気ヒーターの開始を検出する。センサーは、オンオフボタン、気流センサーまたは圧力センサーとして提供されうる。電気ヒーターは、ユーザーの吸煙の持続時間の間、オンオフボタンを押すことによって開始されうる。また、センサーは、気流量を測定する気流センサーとして提供されてもよく、気流量は、ある時間の間にシステムの気流経路を通して引き出される空気の量を特徴付けるパラメータである。検出された気流量に依存して吸煙が検出されてもよい。これに関して、吸煙は、気流が所定の閾値を超えた時に検出されうる。センサーが圧力センサーとして提供される場合、システムの外側の周囲空気の圧力とユーザーによってシステムを通して引き出される空気の圧力との間の圧力差または圧力降下が、センサーによって測定されうる。空気の圧力は、システムの空気吸込み口、好ましくは半開放吸込み口、システムの口側の端、エアロゾル形成チャンバー、または空気が通って流れるシステム内の任意の他の通路もしくはチャンバーにて検出されてもよい。ユーザーがシステムで吸引する時、陰圧または真空がシステムの内部で作り出され、圧力センサーによってこの陰圧が検出される場合がある。
【0014】
制御ユニットは、センサーに接続されて、センサー入力を受信してもよい。ヒーターの開始がセンサーによって検出されると、制御ユニットは、その時点で電池が充電中であるかどうかを検出する。電池が充電中である場合、制御ユニットはヒーターの動作を防止する。しかし、制御ユニットが電池が充電中でないことを検出すると、制御ユニットはヒーターの起動を可能にし、同時にシステムの充電を防止する。例えば、ユーザーの吸煙中にUSBケーブルがシステムのUSBポートに差し込まれる場合、ユーザーの吸煙が続く限り、電池の充電は防止される。ユーザーの吸煙が終了した後のみ、電池の充電は制御ユニットによって許容される。この場合、システムの充電が制御ユニットによって検出されるため、ユーザーのさらなる吸煙が電気ヒーターの起動につながることはなく、そのため、電池が充電中である限り、ヒーターのその後の動作は制御ユニットによって防止される。
【0015】
上述した吸煙センサーの別の方法としてまたは追加的に、システムは、電気ヒーターの開始を検出するための温度センサーを備えてもよい。また、電流センサーは、電気ヒーターの開始を検出するために使用されうる。これらのセンサーは、ユーザーがヒーターの起動を望んでいることを検出するのに用いられうる。制御ユニットは、充電が検出されない場合にのみヒーターの起動を可能にしうる。ヒーターが、電池が充電中であることを検出する場合、電気ヒーターの起動が防止される。
【0016】
充電センサーは、電池の充電を検出するために使用されうる。このセンサーは、制御ユニットが、充電中に電気ヒーターが起動されることを防止しうるように、制御ユニットに接続される。一般的に、充電は、エアロゾル発生システムの一つのピンの電圧の存在を検出することによって検出される。この目的のために、マイクロコントローラまたは充電器ICなどの電子構成要素が使用されうる。Texas Instruments社製のBQ24250 2A 単一入力I2C/スタンドアロンスイッチモードリチウムイオン電池充電器が、この目的のために使用されてもよい。
【0017】
上述のセンサーのすべては、これらのセンサーの出力が収集され、制御ユニットによって処理されうるように、制御ユニットに接続されてもよい。また、センサーは制御ユニットの一体型の部分であってもよい。
【0018】
制御ユニットは、電気回路の一部であってもよく、プログラム可能マイクロプロセッサであってもよい、マイクロプロセッサを有するコントローラを備えてもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御ユニットは、電気ヒーターへの電力供給を調節するよう構成されうる。電力は、システムの起動後、電気ヒーターに連続的に供給することも、毎回の吸煙ごとなどの時々にのみ供給することもできる。電力は、電流パルスの形態で電気ヒーターに供給されてもよい。制御ユニットは、電気ヒーターの電気抵抗を監視し、好ましくは、電気ヒーターの電気抵抗に応じて電気ヒーターへの電力供給を制御するように構成されうる。
【0019】
電池は、ユーザーの一回以上の吸煙のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有するものとしうる。例えば、電池は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電池が所定の回数の吸煙、または電気ヒーターの非連続的な起動を可能にするために十分な容量を有してよい。
【0020】
電池、ならびに制御ユニット、および電気ヒーターは、エアロゾル発生システムのハウジング内に配置されてもよい。周辺の空気がシステムに入るようにするために、ハウジングの壁、好ましくは底部壁などの電気ヒーターの反対側の壁には、少なくとも一つの半開放入口が提供されうる。半開放入口は、空気がシステム内に入ることを可能にするが、空気または液体が半開放入口を通してシステムから出ることはないことが好ましい。半開放入口は、例えば半透過性の膜であってもよく、空気については一方向のみで透過性であるが、反対方向では気密および液密である。半開放入口はまた、例えば一方向弁でもよい。半開放入口は、例えば、システムの最小限のへこみや弁または薄膜を通過する空気の体積といった特定の条件が満たされる場合に、入口のみを通して空気を通過させることが好ましい。
【0021】
エアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。上述の通り、エアロゾル形成基体はカートリッジ内に含有されてもよく、カートリッジは交換可能なカートリッジとして提供されることが好ましい。エアロゾル形成基体はまた、システムのハウジング内のタンク内に配置されてもよい。タンクは再充填可能なタンクとしうる。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱によって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0022】
エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。
【0023】
ヒーターは模範的に、加熱コイル、加熱された毛細管、加熱メッシュ、または加熱式金属プレートとしうる。ヒーターは模範的に、電力を受け、受けた電力の少なくとも一部を熱エネルギーに変換する抵抗ヒーターとしうる。ヒーターは単一の発熱体または複数の発熱体を備えてもよい。単一または複数の発熱体の温度は、制御ユニットによって制御されることが好ましい。
【0024】
上述した任意の実施形態において、ヒーターは、電気抵抗性の材料を含むことが好ましい。
【0025】
本発明はまた、エアロゾル発生システムを制御するための方法を提案している。方法は、エアロゾル発生物質を気化するための電気ヒーター、電気ヒーターに電力供給するための電池、および制御ユニットを備えるエアロゾル発生システムを提供する工程を含む。方法は、制御ユニットによって、電気ヒーターが動作しているかどうか、および電池が充電中であるかどうかを検出する工程をさらに含む。方法は、制御ユニットによって、電気ヒーターが動作している時は電池の充電を防止し、制御ユニットによって、電池が充電中である時は電気ヒーターが動作するのを防止する工程をさらに含む。
【0026】
「充電中」および「動作している」という用語はそれぞれ、電池および電気ヒーターそれぞれの状態を画定する。電池の充電の開始から電池の充電の終了まで、電池は充電状態、すなわち「充電中」にある。電気ヒーターの加熱の開始から、電気ヒーターの能動的な加熱の終了まで、電気ヒーターは動作状態、すなわち「動作している」にある。
本発明は、添付した図を参照しながら以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、充電ケーブルを有するエアロゾル発生システムの例示的な断面図を示す。
図2図2は、カートリッジを有するエアロゾル発生システムの例示的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1では、エアロゾル発生システムが図示されている。システムの構成要素は、システムのハウジング1内に配置される。これらの構成要素は、制御ユニット2、電池3、電気ヒーター4である。エアロゾル発生システムは、図1に図示されていないさらなる構成要素を備えうる。
【0029】
電池3は電力を貯蔵するが、電力は、電気ヒーター4に供給されて電気ヒーターを加熱しうる。電池3から電気ヒーター4への電力供給は、制御ユニット2によって制御される。従って、制御ユニット2は電気ヒーター4を起動するために提供されており、この場合、電気ヒーター4は電池3からの電力によって加熱される。
【0030】
ユーザーがシステムの口側の端5を吸う場合、気流センサー(図示せず)などのセンサーがユーザーの吸煙を検出し、電気ヒーター4が制御ユニット2によって起動される。ただし、制御ユニット2は、電池3が充電中でない時にのみ、電気ヒーター4の起動を可能にする。
【0031】
図1は、充電ケーブル6が電池3を充電するためにシステムに接続されている状態のシステムを示す。充電ケーブル6は、システムのそれぞれのUSBポートに接続されたUSBケーブルである。
【0032】
充電ケーブル6が電池3を充電するためにシステムに接続されていることを検出するのに伴い、制御ユニット2は、ユーザーがマウスピース5を吸う場合でも、電気ヒーター4の起動を防止する。
【0033】
ただし、充電ケーブル6がシステムに接続される前に、ユーザーが口側の端5を吸うことによって電気ヒーター4を起動しようとする場合に、電気ヒーター4の起動後にユーザーの吸煙中に充電ケーブル6がUSBポートに接続される場合、その後の電池3の充電は、制御ユニット2によって防止される。
【0034】
図2は、エアロゾルを発生するための従来的な手段によってエアロゾル形成基体を供給するためにカートリッジ7がシステムに接続されている、さらなる実施形態を示す。カートリッジ7は、エアロゾル形成基体を貯蔵するためのタンク8を備える。カートリッジ7は、結合手段9によってシステムに取り外し可能なように接続されうる。結合手段9は、貫通可能膜を含みうる。電気ヒーター4は、さらなる実施形態では、カートリッジ7の一部としうる。本実施形態では、ハウジング1は、制御ユニット2および電池3を備える装置部分を画定する。
【0035】
制御ユニット2は、カートリッジ7がシステムに結合されているかどうかを検出するように構成される。カートリッジ7がシステムに結合されている場合、制御ユニット2は電池3の充電を防止する。電池3の充電は、カートリッジ7がシステムに結合されていない場合にのみ、制御ユニット2により可能となる。図1および図2は、カートリッジ7および充電ケーブル6の両方が、システムのハウジング1に後方端において接続されることを図示していることに留意されたい。これは例示に過ぎない。ハウジング1は、カートリッジ7、ならびに充電ケーブル6を、マウスピース5以外のハウジング1のどこにでも取り付けうるように構成されうる。
【0036】
上記の特徴は、例示的なものであることが理解される。当業者は、これらの特徴を本発明の範囲内で組み合わせることができることを理解する。
図1
図2