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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】アイソレータシステム
(51)【国際特許分類】
   B01L 1/00 20060101AFI20240930BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240930BHJP
   B25J 21/02 20060101ALI20240930BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B01L1/00 E
C12M1/00 K
B25J21/02
F24F7/06 C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065594
(22)【出願日】2023-04-13
(65)【公開番号】P2023157881
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】10 2022 109 269.0
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521077576
【氏名又は名称】シンテゴンテクノロジー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Syntegon Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 130, 71332 Waiblingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フォークト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ルンフト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ベーリンガー
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3185604(JP,U)
【文献】特開2015-104358(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02215347(GB,A)
【文献】特開2007-105597(JP,A)
【文献】特開2015-013258(JP,A)
【文献】特開2022-072819(JP,A)
【文献】特表平07-506294(JP,A)
【文献】国際公開第2009/116271(WO,A1)
【文献】特開2013-204910(JP,A)
【文献】特開2018-187107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00
B25J 21/00-02
C12M 1/00
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を処理するための内部空間(22)を有するアイソレータ(10)を有するアイソレータシステムであって、前記内部空間(22)は、物質処理ユニット(20)を配置するための基部側取付け面(14)と、少なくとも1つのアクセス開口部(24)を備えたアイソレータキャビン(12)とによって画定されており、前記アクセス開口部(24)には、選択的に前記アクセス開口部を開放させるまたは遮断するための少なくとも1つの閉鎖装置(54)が割り当てられている、アイソレータシステムにおいて、
前記アイソレータキャビン(12)は、前記基部側取付け面(14)に配置可能であるまたは配置されており、前記アイソレータシステムは、前記アイソレータキャビン(12)を、異なる保護レベルの付加キャビンと交換するための、かつ/または閉鎖装置(54)を、異なる保護レベルの付加閉鎖装置(58)と交換するための少なくとも1つのクイックチェンジインタフェース(34)を有し、
前記クイックチェンジインタフェース(34)は、可動コンタクト部(42)に電気的に接触接続するための少なくとも1つの固定コンタクト部(40)を有することを特徴とする、アイソレータシステム。
【請求項2】
物質を処理するための内部空間(22)を有するアイソレータ(10)を有するアイソレータシステムであって、前記内部空間(22)は、物質処理ユニット(20)を配置するための基部側取付け面(14)と、少なくとも1つのアクセス開口部(24)を備えたアイソレータキャビン(12)とによって画定されており、前記アクセス開口部(24)には、選択的に前記アクセス開口部を開放させるまたは遮断するための少なくとも1つの閉鎖装置(54)が割り当てられている、アイソレータシステムにおいて、
前記アイソレータキャビン(12)は、前記基部側取付け面(14)に配置可能であるまたは配置されており、前記アイソレータシステムは、前記アイソレータキャビン(12)を、異なる保護レベルの付加キャビンと交換するための、かつ/または閉鎖装置(54)を、異なる保護レベルの付加閉鎖装置(58)と交換するための少なくとも1つのクイックチェンジインタフェース(34)を有し、
前記クイックチェンジインタフェース(34)は、可動流体管路部の流体供給のために少なくとも1つの固定流体供給部を有することを特徴とする、アイソレータシステム。
【請求項3】
物質を処理するための内部空間(22)を有するアイソレータ(10)を有するアイソレータシステムであって、前記内部空間(22)は、物質処理ユニット(20)を配置するための基部側取付け面(14)と、少なくとも1つのアクセス開口部(24)を備えたアイソレータキャビン(12)とによって画定されており、前記アクセス開口部(24)には、選択的に前記アクセス開口部を開放させるまたは遮断するための少なくとも1つの閉鎖装置(54)が割り当てられている、アイソレータシステムにおいて、
前記アイソレータキャビン(12)は、前記基部側取付け面(14)に配置可能であるまたは配置されており、前記アイソレータシステムは、前記アイソレータキャビン(12)を、異なる保護レベルの付加キャビンと交換するための、かつ/または閉鎖装置(54)を、異なる保護レベルの付加閉鎖装置(58)と交換するための少なくとも1つのクイックチェンジインタフェース(34)を有し、
前記基部側取付け面(14)は、周方向側において閉じて延在している封止部(26)を有し、前記封止部(26)は、選択的に前記アイソレータキャビン(12)または付加キャビンの周方向側において閉じて延在しているそれぞれ1つの嵌合部(30)と相互に作用することを特徴とする、アイソレータシステム。
【請求項4】
物質を処理するための内部空間(22)を有するアイソレータ(10)を有するアイソレータシステムであって、前記内部空間(22)は、物質処理ユニット(20)を配置するための基部側取付け面(14)と、少なくとも1つのアクセス開口部(24)を備えたアイソレータキャビン(12)とによって画定されており、前記アクセス開口部(24)には、選択的に前記アクセス開口部を開放させるまたは遮断するための少なくとも1つの閉鎖装置(54)が割り当てられている、アイソレータシステムにおいて、
前記アイソレータキャビン(12)は、前記基部側取付け面(14)に配置可能であるまたは配置されており、前記アイソレータシステムは、前記アイソレータキャビン(12)を、異なる保護レベルの付加キャビンと交換するための、かつ/または閉鎖装置(54)を、異なる保護レベルの付加閉鎖装置(58)と交換するための少なくとも1つのクイックチェンジインタフェース(34)を有し、
前記付加閉鎖装置(58)は、流体透過性グリップ保護部を有することを特徴とする、アイソレータシステム。
【請求項5】
前記クイックチェンジインタフェース(34)は、固定インタフェース部(28,60)を有し、前記固定インタフェース部(28,60)は、特に形状結合の形態で、可動インタフェース部(32,62)と相互に作用する、または可動インタフェース部(32,62)に取り外し可能に接続されていることを特徴とする、請求項1、2、または4記載のアイソレータシステム。
【請求項6】
前記クイックチェンジインタフェース(34)は、固定インタフェース部(28)を有し、前記固定インタフェース部(28)は、特に形状結合の形態で、可動インタフェース部(32)と相互に作用する、または可動インタフェース部(32)に取り外し可能に接続されており、
前記閉じて延在している封止部(26)は、前記固定インタフェース部(28)を形成する、請求項3に記載のアイソレータシステム。
【請求項7】
前記固定インタフェース部(28)は、電気モータにより、または空気圧を使って駆動されることを特徴とする、請求項記載のアイソレータシステム。
【請求項8】
前記基部側取付け面(14)は、スタンド(16)に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステム。
【請求項9】
前記閉鎖装置(54)は、前記付加閉鎖装置(58)よりも保護レベルが高いことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステム。
【請求項10】
前記閉鎖装置(54)および前記付加閉鎖装置(58)はそれぞれ、支持体(52,56)に配置されており、前記支持体(52,56)は、前記クイックチェンジインタフェース(34)の可動インタフェース部(62)を形成するまたは有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステム。
【請求項11】
前記閉鎖装置(54)は、グローブポートおよび/または流体非透過性カバー(72)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステム。
【請求項12】
前記アイソレータキャビン(12)および/または前記付加キャビンは、流体開口部(70)を備えた吸引領域(68)を有し、前記流体開口部(70)は選択的に、前記内部空間(22)から流体を吸い出すための吸引装置に、または前記内部空間から流体が逃げ出さないようにする流体バリアに接続されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステム。
【請求項13】
前記物質処理ユニット(20)は、カプセル充填機または打錠機であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステム。
【請求項14】
請求項1から4のいずれか1項記載のアイソレータシステムを使用して、アイソレータを準備する方法であって、第1保護レベルを有するアイソレータ(10)を設ける、方法において、前記アイソレータ(10)の構成要素を交換しかつ/または除去することにより、異なる保護レベル有するアイソレータを提供することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を処理するための内部空間を有するアイソレータを有するアイソレータシステムに関し、内部空間は、物質処理ユニットを配置するための基部側取付け面と、少なくとも1つのアクセス開口部を備えるアイソレータキャビンとによって画定されており、アクセス開口部には、選択的にアクセス開口部を開放させるまたは遮断するための少なくとも1つの閉鎖装置が割り当てられている。
【0002】
上述のタイプのアイソレータシステムは、例えば独国特許出願公開第102007030789号明細書から公知であり、特に、物質の製造、処理および/または包装の目的で、医薬品および食品産業において使用される。
【0003】
医薬品および食品産業では、特性に関して、例えば、毒性に関して互いに大きく異なる極めて大量の物質を処理するために、複数の異なる物質処理ユニットが慣用的に使用されている。また外部からの汚染によって物質が汚染され得る反応性も様々である。異なる物質間の、回避すべき交差汚染にも同じことが当てはまる。
【0004】
基本的には、特定の物質処理ユニットおよび特定の物質用に専用のアイソレータを提供することが考えられる。しかしながら、アイソレータは、それを設置するために一定の設置占有面積を取るだけでなく、周辺装置を配置するために、出発物質を供給して生成物を取り出すために、ならびに操作スタッフおよび保守スタッフによるアイソレータおよびその内部空間へのアクセスのために、そのすぐ近くの周囲に空間を要する。
【0005】
また上述の状況の結果として、異なる物質に1つのアイソレータを使用することと、少なくとも別の物質に切り換えるときには物質処理ユニットを徹底的に洗浄することとが標準的な慣行となっている。この間、アイソレータは、製造および処理または包装の目的のためには利用できない。
【0006】
これを出発点として、本発明は、改善された利用率を可能にするアイソレータシステムを提供するという目的に基づいている。
【0007】
この目的は、本発明により、冒頭に述べたタイプのアイソレータシステムの場合に、アイソレータキャビンは、基部側取付け面に配置可能であるまたは配置されており、アイソレータキャビンを、異なる保護レベルの付加キャビンと交換するための、かつ/または閉鎖装置を、異なる保護レベルの付加閉鎖装置と交換するための少なくとも1つのクイックチェンジインタフェースをアイソレータシステムが有することによって達成される。
【0008】
本発明によるアイソレータシステムにより、アイソレータキャビンを付加キャビンと交換することにより、かつ/または、閉鎖装置を付加閉鎖装置と交換することにより、アイソレータシステムの保護レベルを変更できるようにすることができる。このような保護レベルは、アイソレータシステムの分類に対応し、この分類は、1(低保護効果)から6(高保護効果)までのレベルで、とりわけOEB値(「職業曝露バンド」)で、またはOEL値(「職業曝露限界」)で指定される。OEB値は、物質処理ユニットによって処理される純物質の毒性を示し、OEL値は、8時間シフト勤務中にスタッフにかかる平均濃度負荷を示す。したがって、特定の物質を処理するために特定のOEB値と特定のOEL値とがあらかじめ設定される場合、アイソレータシステムは、少なくともこのようなレベルである保護レベルを有しなければならない。
【0009】
保護レベルを変更するためには、例えば、アイソレータキャビン全体を、異なる保護レベルの付加キャビンと交換することが考えられる。この場合、基部側取付け面は、アイソレータシステムの固定構成要素としてとどまり、この際には取付け面に配置される物質処理ユニットを保持する、またはこれを同一もしくは異なる物質処理ユニットと交換することができる。アイソレータキャビンは、付加キャビンよりも高い保護レベルを有することが可能である。
【0010】
本発明は、アイソレータが従来、極めて特殊でありかつ変更できない保護レベル用に設計および構成されている、というコンセプトに基づいている。しかしながら、より高い保護レベルのアイソレータ(例えば、保護レベル5)は、より低い保護レベルのアイソレータキャビン(例えば、保護レベル3または4)の場合よりも、アイソレータキャビンの内部空間へのアクセスを困難にする閉鎖装置を有する。
【0011】
保護レベルを変更するためには、特にアイソレータキャビンのその他の構成要素が保持された状態で、閉鎖装置を付加閉鎖装置と交換することも可能である。このようにして、より低い保護レベルに変換する場合には、より高い保護レベルに割り当てられた閉鎖装置を、より低い保護レベルに割り当てられた付加閉鎖装置と交換することにより、アイソレータキャビンの内部空間へのアクセスを簡素化することができる。逆に、より低い保護レベルからより高い保護レベルへの変換も可能である。
【0012】
アイソレータキャビンについては、開始状態における上記のアイソレータキャビンが、より高い保護レベルの周辺装置および付属品、例えば、保護レベル5を有し、例えば、アイソレータキャビンの内部空間に真空を生じさせるユニット、および/または洗浄流体、例えば、過酸化水素によって内部空間を洗浄するための洗浄ユニットを有することが好ましい。より低い保護レベルのアイソレータキャビンを変換する場合については、より高い保護レベルの周辺装置および付属品は引き続き維持されるが、より低い保護レベルのアイソレータキャビンの使用段階には使用されない。このアプローチは、低い保護レベル(例えば、保護レベル3)用に構成されたアイソレータキャビンを迅速かつ容易により高い保護レベルに変換することは、実質的に不可能ではないにしても、極めて複雑になり得るであろうというコンセプトに基づいている。
【0013】
全体として、本発明によるアイソレータシステムにより、製造環境においてアイソレータをより良好かつより柔軟に使用することが可能になり、またスタッフにとってのアイソレータの使用を容易にすることができる。
【0014】
好ましくは、クイックチェンジインタフェースは、固定インタフェース部を有し、この固定インタフェース部は特に、形状結合式に、可動インタフェース部と相互作用する、または可動インタフェース部に取り外し可能に接続される。
【0015】
特に簡単な改良形態では、クイックチェンジインタフェースは、取付け面とアイソレータキャビンとの間の有効な封止部によって設けられ、好ましくは、取付け面の固定位置に配置される。この場合、アイソレータキャビンの下側境界部は、上記の封止部に載置され、これにより、アイソレータの内部空間を閉鎖する。交換は、封止部からアイソレータキャビンを単に持ち上げることによって行うことができ、その後、アイソレータキャビンを、異なる保護レベルの付加キャビンと交換することができる。
【0016】
クイックチェンジインタフェースの安定性を高めるために好ましいのは、そのインタフェース部が互いに形状結合式に相互作用する場合である。このような形状結合は、例えば、特に手動で作動される機械要素、例えば、回転ハンドル、へりに刻み目が付けられたねじ、トグルレバーまたはクイックリリースレバーによって生じさせることができる。
【0017】
好ましい1つの実施形態では、固定インタフェース部は、電気モータにより、または空気圧を使って駆動されるように構成される。これにより、例えばアイソレータの中央コントローラを使用して、可動インタフェース部との形状結合を自動的に生じさせることができる。
【0018】
アイソレータキャビンまたは閉鎖装置の交換をさらに容易にするために好ましいのは、クイックチェンジインタフェースが、可動コンタクト部に電気的に接触接続するための少なくとも1つの固定コンタクト部を有する場合である。このようにして、クイックチェンジインタフェースを嵌合するときに、固定インタフェース部と可動インタフェース部との間に電気的接続を同時に生じさせることもでき、このために別途の取付けプロセスは必要ない。
【0019】
対応したやり方で、クイックチェンジインタフェースは、可動流体管路部の流体供給のために少なくとも1つの固定流体供給部を有することも可能である。このようにして、クイックチェンジインタフェースを嵌合するときに、固定インタフェース部と可動インタフェース部との間に流体接続を同時に生じさせることもでき、このために別途の取付けプロセスは必要ない。流体供給部は、例えば、圧縮空気供給部または負圧供給部であってもよい。
【0020】
取付け面は、好ましくは、スタンドに配置される。この場合、クイックチェンジインタフェースの固定インタフェース部は好ましくは、取付け面に、かつ/またはスタンドに配置される。これにより、電気モータによって駆動される固定インタフェース部の接続も容易になる。
【0021】
好ましいのは、取付け面が、周方向側において閉じている封止部を有し、この封止部が、選択的に、アイソレータキャビンまたは付加キャビンの周方向側において閉じて延在している嵌合部と相互に作用することである。これにより、封止部もクイックチェンジインタフェースを形成するか否かにかかわらず、アイソレータの内部空間の下方画定部の封止部を容易に作製することができる。
【0022】
上で説明したように、好ましいのは、閉鎖装置が、付加閉鎖装置よりも高い保護レベルを有することである。ここで考慮すべきであるのは、より高い保護レベルの閉鎖装置は、より低い保護レベルの付加閉鎖装置よりも重く、より大きなスペースを取り得ることである。したがって、アイソレータキャビンの開始状態に対し、より高い保護レベルの閉鎖装置を考慮することにより、容易に保証されるのは、アイソレータキャビンが、異なる保護レベルの閉鎖装置を収容できることである。
【0023】
特に、好ましいのは、閉鎖装置および付加閉鎖装置がそれぞれ、クイックチェンジインタフェースの可動インタフェース部を形成するまたは有する支持体に配置されていることである。このような支持体は、例えば、アイソレータキャビンのハウジングまたはアイソレータキャビンのドアに接続された、または接続されている支持プレートであってもよい。支持体それ自体がアイソレータキャビンのドアを形成することも可能である。
【0024】
好適な閉鎖装置は、流体透過性グリップ保護部を有する。この流体透過性グリップ保護部は、例えば、周囲からアイソレータキャビンの内部空間の中へ流体を流すことができるが、内部空間への手の介入を防止するメッシュであってもよい。ここでは、内部空間への介入が防止される使用位置と、内部空間への介入が可能とされる解放位置との間で支持体に可動に(特に変位可能または回動可能に)グリップ保護部を取り付けることが可能である。
【0025】
好適な付加閉鎖装置は、グローブポートおよび/または流体非透過性カバーを有する。グローブポートにより、アイソレータキャビンの内部空間への流体密な介入が可能になり、流体非透過性カバーは、アイソレータキャビンの内部空間と、その周囲との流体交換を防止し、また選択的にはまた、グローブポートの機械的保護としても有効である。
【0026】
異なる保護レベルに適応するための別の可能性は、アイソレータキャビンおよび/または付加キャビンが、流体開口部を備えた接続領域を有し、この流体開口部が選択的に、内部空間から流体を吸い出すための吸引装置に、または内部空間から流体が逃げ出さないようにする流体バリアに接続されることにある。
【0027】
物質処理ユニットは特に、カプセル充填機または打錠機である。このような物質処理ユニットは、異なる毒性,および外部からの汚染に対して異なる反応性の物質を処理するために使用される。
【0028】
本発明はさらに、上で説明したアイソレータシステムを使用して、アイソレータを準備する方法に関し、ここでは第1保護レベルを有するアイソレータを設け、アイソレータの構成要素を交換しかつ/または除去することにより、異なる保護レベルを有するアイソレを提供する。特に、保護レベル5から保護レベル4への変更、または保護レベル4から保護レベル3への変更が可能である。より低い保護レベルからより高い保護レベルへの変更も可能である。
【0029】
本発明の別の特徴および利点は、好ましい例示的な実施形態の以下の説明および図解の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】アイソレータの第1実施形態の斜視図である。
図2】アイソレータの別の実施形態の斜視図である。
図3図2によるアイソレータの取付けプレートの平面図である。
図4】上から斜視した、図2によるアイソレータの詳細な斜視図である。
図5】下から斜視した、図4に対応する図である。
図6】付加閉鎖装置を有するアイソレータキャビンの実施形態の斜視前面図である。
図7】付加閉鎖装置のない、図6に対応する図である。
図8】閉鎖装置を有する、図7に対応する図である。
図9】別の付加閉鎖装置を有する、図6によるアイソレータキャビンの斜視背面図である。
図10】別の付加閉鎖装置のない、図9に対応する図である。
図11】別の付加閉鎖装置を有する、図10に対応する図である。
図12】ドアに配置された付加閉鎖装置を有するアイソレータキャビンの別の実施形態の斜視前面図である。
図13】付加閉鎖装置のない、図12に対応する図である。
図14】閉鎖装置を有する、図13に対応する図である。
図15】ドアに配置された別の付加閉鎖装置を有する、図12によるアイソレータキャビンの斜視背面図である。
図16】別の付加閉鎖装置のない、図15に対応する図である。
図17】別の付加閉鎖装置を有する、図16に対応する図である。
【0031】
アイソレータの1つの実施形態は、図1に例証されており、全体として参照符号10によって示されている。アイソレータ10は、基部側取付け面14に配置可能であるまたは配置されているアイソレータキャビン12を有する。取付け面14は、スタンド16に接続されており、スタンド16は、位置固定されている、またはそうでなければ、キャスター18または移動駆動装置を介して移動可能である。
【0032】
取付け面14は、特にカプセル充填機または打錠機である物質処理ユニット20を配置するために使用される。
【0033】
アイソレータキャビン12と基部側取付け面14とが接続されると、取付け面14とアイソレータキャビン12とが一緒に、物質処理ユニット20が配置される内部空間22を画定する。
【0034】
取付け面14は、周方向側に閉じて延在しかつ固定インタフェース部28を形成する封止部26を有する。
【0035】
アイソレータキャビン12の下側境界部および画定部は、周方向側において閉じて延在しかつ可動インタフェース部32を形成する封止ウェブ30を有する。インタフェース部28,32は一緒になって共にクイックチェンジインタフェース34を形成する。
【0036】
取付け面14にアイソレータキャビン12を取り付けるために、昇降ユニット36が設けられており、昇降ユニット36は、取付け面から持ち上げられた状態から、封止ウェブ30が封止部26に突き当たるまで、取付け面14の方向にアイソレータキャビン12を下降させ、またアイソレータキャビン12の重量により、上記の封止部に圧入させ、これにより、取付け面14とアイソレータキャビン12との間に流体密な接続が形成される。
【0037】
アイソレータキャビン12は、図1には示されていないがアクセス開口部24に配置される閉鎖装置を有する。このような閉鎖装置は、以下で図6図17を参照して以下で説明される。
【0038】
図1に示したアイソレータ10はアイソレータシステムの一部であり、このアイソレータシステムは、図に示したアイソレータキャビン12の他に、図に示していない別の付加キャビンを有する。アイソレータキャビン12および付加キャビンには、それぞれのアクセス開口部24の領域に閉鎖装置および付加閉鎖装置がそれぞれ備え付けられており、これらは、異なる保護レベルに割り当てられている。このようにして、アイソレータキャビン12が付加キャビンに容易に変更されることにより、保護レベルが変更されたアイソレータ10を提供することができる。
【0039】
図2図5には、図1によるアイソレータ10と同等の設計を有するが、クイックチェンジインタフェース34の構成の点で、図1の実施形態とは異なる、アイソレータ10の別の実施形態が示されている。図2図5によるこの実施形態のクイックチェンジインタフェース34は、少なくとも一重に、好ましくは二重に設けられている(図2および図3を参照されたい)。少なくとも1つの固定インタフェース部28が、取付け面14の縁部領域内または側面に配置されている。少なくとも1つの固定インタフェース部28は、形状結合式に受けかつアイソレータキャビン12の可動インタフェース部32の形状結合要素38の電気モータによってロックするための受け要素36を有する。
【0040】
固定インタフェース部28はさらに、可動インタフェース部32の可動コンタクト部42に電気的に接触接続するための固定コンタクト部40を有する(図4および図5を参照されたい)。
【0041】
図2図5によるアイソレータ10は、アイソレータシステムの一部でもあり、このアイソレータシステムは、図示したアイソレータキャビン12に加えて、図示していない付加キャビンを有し、ここでは、アイソレータキャビン12および付加キャビンのそれぞれのアクセス開口部24には、異なる保護レベルの閉鎖装置および付加閉鎖装置がそれぞれ設けられている。
【0042】
図6図11にはアイソレータ10のアイソレータキャビン12の1つの実施形態が示されており、図6図8には前面側の斜視図が、また図9図11には背面側の斜視図が示されている。
【0043】
アイソレータキャビン12は、前面壁44および背面壁46を有する。ドア48は、例えばヒンジ49により、前面壁44に回動可能に取り付けられている。ドア48は、ドアに一体化されるドア開口部50を有する(図7を参照されたい)。ドア開口部50は選択的に、第1保護クラスの閉鎖装置54が配置されかつ特にそこに固定される支持体52(図6を参照されたい)により、または第1保護クラスとは異なる保護クラスの付加閉鎖装置56が配置されかつ特にそこに固定される支持体56(図8を参照されたい)により、閉鎖可能である。
【0044】
支持体52,56はそれぞれ、クイックチェンジインタフェース34を介してアイソレータキャビン12に接続可能である。クイックチェンジインタフェース34は、取り外し可能な接続部として、例えば、ねじ接続部の形態で設計される。このために、ドア48は、少なくとも1つのねじ受けの形態の固定インタフェース部60を有する(図7を参照されたい)。支持体52,56は、それぞれ1つのねじ(図示せず)が通過するための少なくとも1つのねじ通過領域の形態の可動インタフェース部62(図6および図8を参照されたい)を有する。異なる支持体52,56の可動インタフェース部62は、固定インタフェース部60に選択的かつ交換可能に接続されているまたは接続可能である。
【0045】
支持体52,56の1つの配置が省略される場合、ドア48の開放型ドア開口部50により、比較的低い保護クラスのアイソレータキャビン12(図7を参照されたい)が提供される。
【0046】
選択的には、ドア48のドア開口部50の境界部により、固定インタフェース部60が形成され、この固定インタフェース部60は、支持体52または56のいずれの場合にも可動インタフェース部62と(例えば、係合位置におけるアンダーカット回転フックと)相互作用する。
【0047】
背面壁46の領域では、アイソレータキャビン12は、フレーム開口部66を画定するフレーム64を有する(図10を参照されたい)。フレーム64は、背面壁46に固定して接続することができる、または例えば、アイソレータキャビン12の前面側44におけるドア48に対応する回動可能なドアとして設計可能である。フレーム開口部66は、例えば図6図8を参照して上述したタイプの、クイックチェンジインタフェース34を介して閉鎖可能である。例えば、閉鎖装置54を備えた支持体52が使用可能である(図9を参照されたい)。吸引領域68が設けられた支持体56も選択的に使用可能である(図11を参照)。
【0048】
吸引領域68は、アイソレータキャビン12の内部空間22に連通し、吸引領域68を介してアイソレータキャビン12の内部空間22から空気を取り出して、選択的に吸引装置(図示せず)に接続可能であるまたは接続される流体開口部70に供給する。
【0049】
2つの閉鎖装置54は、流体非透過性のカバー72を有する(図6図9とを比較されたい)。閉鎖装置54は、カバー72によって覆うことができるグローブポートを有していてもよい。
【0050】
図6および図9によるアイソレータキャビン12の構成は、第1保護レベル、特に保護レベル5に割り当てられている。図8および図11によるアイソレータキャビン12の構成は、比較的低い保護レベル、例えば保護レベル3(流体開口部70が開放されている)または保護レベル4(流体開口部70が外部吸引装置に接続されている)に割り当てられている。
【0051】
図12図17を参照して以下に説明するアイソレータキャビン12の1つの実施形態は、図6図11によるアイソレータキャビン12と同等の設計を有する。図12図17による実施形態では、ドア48が前面壁44に配置されており、上記のドアは、ヒンジ49によって開閉可能であり、閉鎖装置54(図12を参照されたい)、開放型アクセス開口部24(図13を参照されたい)、または付加閉鎖装置58(図14を参照されたい)用の支持体を形成している。
【0052】
クイックチェンジインタフェース34は、取り外し可能な接続部として、例えば、ねじ接続部の形態で設計される。このために、ドア48は、少なくとも1つのねじ受けの形態の固定インタフェース部60を有する(図13を参照されたい)。閉鎖装置54(図12を参照されたい)および付加閉鎖装置58(図14を参照されたい)はそれぞれ、少なくとも1つのねじの形態の可動インタフェース部62を有する(図12および図14を参照されたい)。2つの閉鎖装置54および58の可動インタフェース部62は、固定インタフェース部60に選択的かつ交換可能に接続されているまたは接続可能である。
【0053】
閉鎖装置54,58の配置が省略される場合、比較的低い保護クラスのアイソレータキャビン12(図13を参照されたい)には、ドア48の開放型アクセス開口部24が設けられる。
【0054】
図12図17によるアイソレータキャビン12は、その背面壁46にパネル74を有し、このパネル74は、複数の部において背面壁を閉鎖し、またこのパネル74には、選択的に閉鎖装置54(またはグローブポート)、選択的に付加パネル76(図15を参照されたい)、または吸引領域68、および付加ドア78の形態の付加閉鎖装置58(図17を参照されたい)が配置されている。付加ドア78は、ヒンジ82を介して結合することができ、また閉鎖されたドア位置に、例えば磁気的に保持することができる。
【0055】
パネル74が、さらなる構成要素を含まないことが可能であり、また例えば、開放型アクセス開口部24と、選択的な開放型付加開口部80とを有していてもよい(図16を参照されたい)。
【0056】
パネル74は、背面壁46に固定して接続された支持体を形成する、またはこれとは択一的に、アイソレータキャビン12の前面側44におけるドア48に対応して、例えば、回動可能なドアとして設計される。
【0057】
クイックチェンジインタフェース34は、取り外し可能な接続部として、例えば、ねじ接続部の形態で設計される。このために、パネル74(またはドア48)は、少なくとも1つのねじ受けの形態の固定インタフェース部60を有する(図16を参照されたい)。閉鎖装置54および付加パネル76(図15を参照されたい)および吸引領域68および付加ドア78(図17を参照されたい)はそれぞれ、少なくとも1つのねじ(図15および図17を参照されたい)の形態の可動インタフェース部62を有する。これらの可動インタフェース部62は選択的かつ交換可能に、固定インタフェース部60に接続されているまたは接続可能である。
【0058】
閉鎖装置54,58の配置が省略される場合、比較的低い保護クラスのアイソレータキャビン12が設けられ(図16を参照されたい)、このアイソレータキャビン12は、選択的には開放型付加開口部80も備えた、パネル74の開放型アクセス開口部24またはドア48を有する。
【0059】
図6図11を参照して上で説明したように、図12および図15によるアイソレータキャビン12には、図14および図17によるアイソレータキャビン12よりも高い保護レベルが割り当てられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17