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特許7562776弾性ツールを備えたインクリメンタルシート成形システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】弾性ツールを備えたインクリメンタルシート成形システム
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/18 20060101AFI20240930BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B21D22/18
B21D43/00 Q
【請求項の数】 49
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111312
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2021566188の分割
【原出願日】2020-05-04
(65)【公開番号】P2023123830
(43)【公開日】2023-09-05
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】63/006,802
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/844,177
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521485690
【氏名又は名称】フィギュア マシーン ツールズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ナードン,ジャスティン,マイケル
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-091138(JP,A)
【文献】特開2003-236623(JP,A)
【文献】特開2000-301248(JP,A)
【文献】特開2003-053436(JP,A)
【文献】特開2006-051547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/18
B21D 43/00
B21D 31/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する互いに反対にある第1の面及び第2の面を有するワークピースを金属又はプラスチックシート材料からインクリメンタル成形するための装置であって、当該装置は、
a)前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように位置し、前記ワークピースに皺をつくるか、引き裂くことなく、前記ワークピースの第1の面に成形力を及ぼすために、前記X軸に沿って前記ワークピースと係合するか、前記ワークピースとの係合が外れるように前記X-Y平面と平行に移動するように配置された一次成形ツールアセンブリと、
b)前記X-Y平面と平行に位置する平坦面部を有するように構成及び配置された二次成形ツールアセンブリであって、該二次成形ツールアセンブリは、前記平坦面部に固定され、前記ワークピースの第2の面に面するように位置するように構成及び配置された圧縮可能で弾性の材料の外面層を有し、前記Z軸に沿って前記ワークピースの第2の面と係合するか、係合が外れるように動かされる、二次成形ツールアセンブリと、
を含み、
前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの反対側で互いに対して所定の順序及びパターンで独立して動くように構成及び配置されているため、前記一次成形ツールアセンブリが前記ワークピースの第1の面に成形力を加え、前記二次成形ツールアセンブリが前記ワークピースの第2の面に対して反力を提供することにより、前記ワークピースが成形されている間に、前記ワークピースを支持し、前記ワークピース、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリの接触領域内で前記ワークピースに対して局所化された力がもたらされ、
前記一次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第1の面の方を向くように配置され、前記二次成形ツールアセンブリの反対側に位置する先端を有するツールシャフトを含み、前記一次成形ツールアセンブリは、
前記ツールシャフトの先端が、前記ワークピースの第1の面との接触関係に入り、接触関係から出るようにするために前記Z軸に沿って移動することと、
前記ワークピースに皺をつくるか引き裂くことなく、前記ワークピースを所定の構成に成形するために、前記ワークピースの第1の面に成形力を及ぼすことと、
前記ツールシャフトの先端が実質的に同じ前記Z軸で前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持しながら、前記一次成形ツールアセンブリが前記X-Y平面と平行な所定の座標セットに沿って前記ワークピースに対して移動する一方で、前記一次成形ツールによって及ぼされる成形力に対する反力を前記二次成形ツールアセンブリが提供するように前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリを動かして前記ワークピース上の前記X-Y平面と実質的に平行な所定の成形経路を進むようにすることと、
を選択的に行うよう配置されている、装置。
【請求項2】
前記二次成形ツールアセンブリは、前記圧縮可能で弾性の材料の外面層が固定された平坦な剛性のプレートを有する平坦なバッキングツールアセンブリであり、前記圧縮可能で弾性の材料の外面層は、
前記一次成形ツールアセンブリ及び前記平坦なバッキングツールアセンブリとの係合により前記ワークピースが成形されるときに、前記ワークピースによって加えられる力によって圧縮され、
前記平坦なバッキングツールアセンブリが前記Z軸に沿って前記ワークピースの第2の面から離れると、非圧縮構成に弾性的に戻る、
ように構成及び配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
シート固定アセンブリをさらに含み、該シート固定アセンブリは、
前記ワークピースを固定的に保持し、
前記ワークピースの第1の面上で前記一次成形ツールアセンブリにより、前記ワークピースの第2の面上で前記平坦なバッキングツールアセンブリにより前記ワークピースにアクセスするための開口を定義する、
ように構成及び配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ツールシャフトの先端は工業用セラミック材料を含む、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリのぞれぞれの動きを互いに対して同時に連係するよう配置された制御システムをさらに含み、
連係された前記動きにより、前記一次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第1の面に沿った所定の成形経路を進む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
記二次成形ツールアセンブリは、前記X-Y平面と平行に位置し、前圧縮可能で弾性の材料の外面層が取り付けられる平坦なプレートを含み、前記圧縮可能で弾性の材料の外面層は、
i)前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリとの係合により前記ワークピースが成形されるときに、前記ワークピースによって及ぼされる力により圧縮され、
ii)前記二次成形ツールアセンブリが前記Z軸に沿って前記ワークピースの第2の面から離れると、非圧縮構成に弾性的に戻る、
ように構成及び配置され、
前記装置はシート固定アセンブリをさらに含み、該シート固定アセンブリは、
a)前記ワークピースを固定的に保持し、
b)前記ワークピースの第1の面上で前記一次成形ツールアセンブリにより、前記ワークピースの第2の面上で前記二次成形ツールアセンブリにより前記ワークピースにアクセスするための開口を定義する、
ように構成及び配置されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ツールシャフトの先端は工業用セラミック材料を含む、請求項に記載の装置。
【請求項8】
互いに反対にある平行な第1の面及び第2の面と、作業領域とを有し、両方の面と平行な基準面を定義する、金属又はプラスチックシート材料でできたワークピースをインクリメンタル成形するための装置であって、当該装置は、
a)前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように位置し、前記ワークピースに穴を開けることなく、前記ワークピースの第1の面に成形力を及ぼすために、前記ワークピースと係合するか、前記ワークピースとの係合が外れるよう、前記基準面に対して垂直な方向に移動するように配置された一次成形ツールアセンブリと、
b)二次成形ツールアセンブリであって、i)前記基準面と平行に位置する平坦で剛性の面と、ii)前記ワークピースの第2の面に面し、前記平坦で剛性の面に固定される圧縮可能で弾性の外面部とを有するように構成及び配置され、該二次成形ツールアセンブリは前記ワークピースと係合するか、前記ワークピースとの係合が外れるように、前記基準面に対して垂直な方向に移動するように配置されている、二次成形ツールアセンブリと、
c)前記一次成形ツールアセンブリと前記二次成形ツールアセンブリとの間で前記基準面と平行な位置で前記ワークピースを固定的に保持するように構成及び配置されたシート固定アセンブリと、
を含み、
前記一次成形ツールアセンブリは、前記一次成形ツールアセンブリが前記作業領域内で位置するように前記基準面と平行な方向に移動するよう配置され、前記一次成形ツールアセンブリが前記ワークピースの第1の面と係合し、前記成形力を及ぼす間に、前記二次成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の外面部が前記基準面と平行で且つ前記一次成形ツールアセンブリの反対側に位置し、前記二次成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の外面部が前記一次成形ツールアセンブリからの前記成形力に対する反力を提供するように前記ワークピースの第2の面と接触及び係合するため、前記ワークピースの第2の面が支持され、前記ワークピースに対する前記成形力が前記ワークピース、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリが接触する領域で局所化され、
前記一次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第1の面の方を向くように配置され、前記二次成形ツールアセンブリの反対側に位置する先端を有するツールシャフトを含み、前記一次成形ツールアセンブリは、
前記ツールシャフトの先端が、前記ワークピースの第1の面との接触関係に入り、接触関係から出るようにするために前記Z軸に沿って移動することと、
前記ワークピースに皺をつくるか引き裂くことなく、前記ワークピースを所定の構成に成形するために、前記ワークピースの第1の面に成形力を及ぼすことと、
前記ツールシャフトの先端が実質的に同じ前記Z軸で前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持しながら、前記一次成形ツールアセンブリが前記X-Y平面と平行な所定の座標セットに沿って前記ワークピースに対して移動する一方で、前記一次成形ツールによって及ぼされる成形力に対する反力を前記二次成形ツールアセンブリが提供するように前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリを動かして前記ワークピース上の前記X-Y平面と実質的に平行な所定の成形経路を進むようにすることと、
を選択的に行うよう配置されている、装置。
【請求項9】
少なくとも1つの作業領域を有し、「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する、互いに反対にあり、実質的に平行な第1の面及び第2の面を有するワークピースをインクリメンタル成形するための方法であって、当該方法は、
a)装置を提供するステップであって、該装置は、
1)前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように配置される一次成形ツールアセンブリと、
2)バッキング成形ツールアセンブリであって、該バッキング成形ツールアセンブリは剛性のバッキング部と、該剛性のバッキング部に固定され、前記ワークピースの第2の面に隣接し且つ面するように位置する圧縮可能で弾性の材料の表面層とを有する、バッキング成形ツールアセンブリと、
を有し、該一次成形ツールアセンブリ及び該バッキング成形ツールアセンブリは、互いに対して所定の順序及びパターンで独立して動くように構成及び配置され、
前記一次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第1の面の方を向くように配置され、前記バッキング成形ツールアセンブリの反対側に位置する先端を有するツールシャフトをさらに含む、ステップと、
b)前記作業領域内の前記ワークピースの第1の面と隣接するように、前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースに対して所定のX、Y、Z座標に配置するステップと、
c)前記ツールシャフトの先端が前記ワークピースの第2の面と接触し、前記一次成形ツールアセンブリの位置の反対側に来るように、前記バッキング成形ツールアセンブリを前記ワークピースに対して前記作業領域内の所定のZ座標に配置するステップと、
d)前記ワークピースの第1の面と接触し、前記作業領域内の接触領域で成形力を及ぼすために、前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースの方に前記Z軸に沿って所定のZ座標に前進させることにより、
1)前記ワークピースを所定の構成に成形し、
2)前記バッキング成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の材料の表面層を圧縮させて、前記ワークピースが成形される間に前記ワークピースの第2の面を支持し、前記接触領域内に局所化された力をもたらす、ステップと、
e)前記ワークピースが前記作業領域で前記Z方向に一貫して成形されるときに、前記X-Y平面と実質的に平行な所定の成形経路を進むために、前記ツールシャフトの先端が実質的に同じ前記Z座標で前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持しながら、前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースに対して前記X-Y平面と平行に所定の座標セットに沿って動かすステップと、
を含む方法。
【請求項10】
f)前記ワークピースが前記作業領域で完全に成形されるまで、前記Z座標のために漸進的に進行する値を順次利用することにより、前記ステップb)~e)を繰り返して追加の成形経路を形成するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
)前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキング成形ツールアセンブリのぞれぞれの配置を互いに対して同時に連係させるように構成及び配置されたコントローラシステムを提供するステップと、
)前記ワークピースの成形経路に沿った特定の位置における前記ワークピースの成形量を測定する少なくとも1つのセンサを提供するステップと、
)前記センサからの測定値を、前記成形経路に沿った同じ特定の位置における所定の成形量と比較するステップと、
)結果として得られた比較測定値を前記コントローラシステムに中継するステップと、
)前記ワークピースを前記所定の構成に成形するために、前記成形経路に沿った事前にプログラムされた成形量に対して、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキング成形ツールアセンブリのうちの少なくとも1つの位置を調整するステップと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記センサが前記ワークピースに物理的に接触することなく前記ワークピースの成形量を測定するように、非接触型のセンサを選択するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記センサが前記ワークピースに物理的に接触することにより前記ワークピースの成形量を測定するように、接触型のセンサを選択するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ワークピースは互いに分離された第1の作業領域及び第2の作業領域を少なくとも有し、前記方法は、
f)前記一次成形ツールアセンブリを、前記ワークピースの第1の面に隣接して前記第2の作業領域又は後続の作業領域内の所定のX-Y座標セットに再配置するステップと、
g)前記ワークピースの第1の面と接触し、前記第2の作業領域又は後続の作業領域内の接触領域で成形力を及ぼすために、前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースの方に前記Z軸に沿って前記第2の作業領域又は後続の作業領域内の前記第1の作業領域又は以前の作業領域のために選択されたものと実質的に同じ所定のZ座標に前進させることにより、
1)前記ワークピースを所定の構成に形成し、
2)前記バッキング成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の材料の表面層を圧縮させて、前記ワークピースが成形される間に前記ワークピースの第2の面を支持し、前記接触領域に局所化された力がもたらされる、ステップと、
h)前記ワークピースが前記第2の作業領域又は後続の作業領域内で前記Z方向に一貫して成形されるときに、前記X-Y面と実質的に平行な所定の成形経路を進むために、実質的に同じZ座標で前記ツールシャフトの先端が前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持しながら、前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースに対して前記X-Y平面と平行に所定の座標セットに沿って動かすステップと
さらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
i)一連の前記ステップ)~)を一回以上繰り返すステップであって、一回以上繰り返される一連の前記ステップb)~h)のそれぞれで前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキング成形アセンブリを位置決めするために用いられる前記Z座標の値は、1回目の一連の前記ステップb)~h)又は繰り返される一連の前記ステップb)~h)のいずれかで用いられる前記Z座標の先の値から漸進的に進行する値である、ステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ツールシャフトの先端は、前記ツールシャフトに回転可能に取り付けられたボールローラーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ツールシャフトの先端は、前記ツールシャフトと一体的に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ツールシャフトの先端は、前記ツールシャフトに回転可能に取り付けられたボールローラーを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項19】
前記ツールシャフトの先端は、前記ツールシャフトと一体的に形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項20】
繰り返される一連の前記ステップb)~h)は、前記ワークピースが完全に成形されるまで前記第1の作業領域及び前記第2の作業領域又は後続の作業領域のそれぞれに追加の成形経路を形成するために続けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
金属又はプラスチックシート材料から作られたワークピースをインクリメンタル成形するための装置であって、該ワークピースは「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する互いに反対にある第1の面及び第2の面を有し、当該装置は、
a)前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように位置する一次成形ツールアセンブリであって、該一次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第1の面に面する先端を有するツールシャフトを含む、一次成形ツールアセンブリと、
b)前記ワークピースの前記第2の面に面するように位置する、圧縮可能で弾性の材料の外面層を有する二次成形ツールアセンブリと、
c)前記一次成形ツールアセンブリと前記二次成形ツールアセンブリとの間に前記ワークピースを保持するためのシート保持アセンブリと、
を含み、
前記シート保持アセンブリ、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリのうちの少なくとも2つは、お互いに対して所定の順序及びパターンで独立して移動するように構成及び配置され、
前記一次成形ツールアセンブリのツールシャフトの先端は、前記ワークピースの第1の面上の接触領域に成形力を及ぼすためにZ軸に沿った所定のZ座標に位置するように構成及び配置されるのに対して、前記二次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第2の面に対して反力を及ぼすことにより前記ワークピースを支持するように位置し、
前記ツールシャフトの先端は、前記ワークピースに対して前記X-Y平面と平行な所定のX-Y座標セットのそれぞれで調整可能に位置しながら、前記ツールシャフトの先端は、前記ワークピースに対して前記X-Y平面と実質的に平行な所定の成形経路を追うように、実質的に同じ所定のZ座標位置で前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持するようにさらに構成及び配置されている、装置。
【請求項22】
前記シート保持アセンブリ、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリのうちの少なくとも2つは、前記一次成形ツールアセンブリのツールシャフトの先端が、前記所定の成形経路が形成された後に、別の所定のZ座標に漸進的に進行し、別の所定のZ座標に漸進的に進行する前に、前記シート保持アセンブリから前記Z方向に離れるようにするように構成及び配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ツールシャフトの先端は、前記ツールシャフトに回転可能に取り付けられたボールローラーを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記ツールシャフトの先端は、前記ツールシャフトと一体的に形成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記シート保持アセンブリ、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリのうちの少なくとも2つのそれぞれの独立した動きを同時に連係するように構成及び配置された制御システムをさらに含む、請求項21に記載の装置。
【請求項26】
前記制御システムは、前記一次成形ツールのツールシャフトの先端が前記ワークピースに対して前記所定の成形経路を追うようにするために、前記一次成形ツール及び前記シート保持アセンブリの一方又は両方を動かすように構成されている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記制御システムは、前記ワークピースに対する前記成形経路に沿った1つ以上の特定の位置で、前記ワークピースの成形量を測定するために少なくとも1つのセンサを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つのセンサは、前記ワークピースと物理的に接触することなく、前記ワークピースの成形量を測定するための少なくとも1つの非接触型のセンサを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つのセンサは、前記ワークピースと物理的に接触することによって、前記ワークピースの成形量を測定するための少なくとも1つの接触型のセンサを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記シート保持アセンブリは、前記ワークピースの第1の面及び第2の面に接触する少なくとも一組のローラを有するシート供給アセンブリを含み、該一組のローラは、前記ワークピースを前記X-Y平面と平行な方向に動かすように構成及び配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項31】
前記シート保持アセンブリは、一組の回転可能なプーリを取り囲み且つ該一組の回転可能なプーリと接触する少なくとも1つの連続ベルトを有するシート供給アセンブリを含み、該少なくとも1つの連続ベルトは前記ワークピースを前記X-Y平面と平行な方向に動かすために、前記ワークピースの第1の面及び第2の面と接触関係で位置するように配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項32】
前記シート保持アセンブリは、前記ワークピースの第1の面上の前記一次成形ツールアセンブリ及び前記ワークピースの第2の面上の前記二次成形ツールアセンブリが前記ワークピースにアクセスするための開口を提供するシート固定アセンブリを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項33】
前記シート固定アセンブリは剛性フレーム及びリテーナを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記シート固定アセンブリは、前記ワークピースの周囲で前記ワークピースに固定されるように構成及び配置された複数のクランプを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記二次成形ツールアセンブリは、前記X-Y平面と平行に位置する平坦面部を含み、
前記二次成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の材料の外面層は前記平坦面部に固定され、前記ワークピースの第2の面に面するように位置している、請求項31に記載の装置。
【請求項36】
前記二次成形ツールアセンブリはバッキングローラーツールアセンブリを含み、該バッキングローラーツールアセンブリは、該バッキングローラーツールアセンブリの長手軸を中心に回転するための内部コアを有し、
前記圧縮可能で弾性の材料の外面層は前記内部コアに固定され、前記ワークピースの第2の面に面するように位置し、前記バッキングローラーツールアセンブリの長手軸は前記X-Y平面と平行に位置している、請求項31に記載の装置。
【請求項37】
前記バッキングローラーツールアセンブリの内部コアは円筒状のコアを有する、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
金属又はプラスチックシート材料から作られたワークピースをインクリメンタル成形するための方法であって、該ワークピースは「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する互いに反対にある第1の面及び第2の面を有し、当該方法は、
a)装置を提供するステップであって、該装置は、
1)前記ワークピースの第1の面に面する一次成形ツールアセンブリであって、該一次成形ツールアセンブリは前記ワークピースの第1の面に面する先端を有するツールシャフトを含む、一次成形ツールアセンブリと、
2)前記ワークピースの第2の面に面する圧縮可能で弾性の材料の外面層を有する二次成形ツールアセンブリと、
3)前記一次成形ツールアセンブリと前記二次成形ツールアセンブリとの間に前記ワークピースを保持するためのシート保持アセンブリと、
を含み、前記一次成形ツールアセンブリ、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの少なくとも2つは、お互いに対して所定の順序及びパターンで独立して移動するように構成及び配置されている、ステップと、
b)前記圧縮可能で弾性の材料の外面層が作業領域内で前記ワークピースの第2の面と接触し、前記X-Y平面に対して前記一次成形ツールアセンブリの位置の反対にあるように、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの少なくとも一方を位置決めするステップと、
c)前記一次成形ツールアセンブリ、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの少なくとも1つを前記Z軸に沿って前進させて、前記ツールシャフトの先端が、前記ワークピースを成形するために、前記作業領域内の接触領域で前記ワークピースの第1の面と接触して成形力を及ぼすように所定のZ座標に位置し、それにより前記二次成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の材料の外面層を圧縮させて、前記ワークピースが成形されるときに前記ワークピースの第2の面を支持するステップと、
d)前記ワークピースに対して、前記X-Y平面と実質的に平行な所定の成形経路を追うように、前記ツールシャフトの先端が、実質的に同じ所定のZ座標で前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持しながら、前記一次成形ツールアセンブリを前記X-Y平面と平行に前記ワークピースに対して所定のX-Y座標セットに沿って位置決めするために前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリの一方又は両方を動かすステップと、
を含む、方法。
【請求項39】
e)前記所定のZ座標位置について漸進的に進行する値を順次利用することにより、前記ステップb)~d)を繰り返して1つ以上の追加の成形経路を形成するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
f)前記一次成形ツールアセンブリ、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの2つ以上のそれぞれの位置をお互いに対して同時に連係するように構成及び配置されたコントローラアセンブリを提供するステップと、
g)前記ワークピースの成形経路に沿った特定の位置で前記ワークピースの成形量を測定するために少なくとも1つのセンサを提供するステップと、
h)前記センサからの測定値を前記成形経路のそれぞれに沿った1つ以上の位置における所定の成形量と比較するステップと、
i)前記測定値の比較結果を前記コントローラアセンブリに中継するステップと、
j)前記ワークピースを成形するために、前記一次成形ツールアセンブリ、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの少なくとも1つの位置を、前記成形経路に沿った所定のZ座標位置について漸進的に進行する値に対して調整するステップと、
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
提供された前記少なくとも1つのセンサが前記ワークピースに物理的に接触することなく前記ワークピースの成形量を測定するように、前記センサとして非接触型を選択するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
提供された前記少なくとも1つのセンサが前記ワークピースに物理的に接触することにより前記ワークピースの成形量を測定するように、前記センサとして接触型を選択するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ワークピースは互いに離れた第1の作業領域及び第2の作業領域を少なくとも有し、
前記方法は、
e)前記第2の作業領域又は後続の作業領域内において所定のX-Y座標のセットで前記一次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの1つ以上を再配置することにより、前記一次成形ツールアセンブリのツールシャフトの先端を前記ワークピースの第1の面に隣接して配置させるステップと、
f)前記圧縮可能で弾性の材料の外面層が、前記第2の作業領域又は後続の作業領域内で前記ワークピースの第2の面と接触し且つ前記X-Y平面に対して前記一次成形ツールアセンブリの位置の反対にあるように、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリの少なくとも1つを位置決めするステップと、
g)前記一次成形ツールアセンブリのツールシャフトの先端が、前記第1の作業領域又は以前の作業領域について選択されたものと実質的に同じ所定のZ座標に位置するように、前記第2の作業領域又は後続の作業領域内で、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリの一方又は両方を前記ワークピースの方へと前記Z方向に前進させて、前記第2の作業領域又は後続の作業領域内の接触領域で前記ワークピースの第1の面に接触させ成形力を及ぼすことにより、
1)前記ワークピースを所定の構成に成形し、
2)前記ワークピースの第2の面を支持するために、前記二次成形ツールアセンブリの圧縮可能で弾性の材料の外面層を圧縮する、
ステップと、
h)別の所定のX-Y座標のセットに沿って前記X-Y平面と平行な前記ワークピースの第2の作業領域又は後続の作業領域に対して前記一次成形ツールアセンブリを位置決めしながら、前記ワークピースが前記第2の作業領域又は後続の作業領域内で前記Z方向に一貫して成形されるときに、前記ツールシャフトの先端が実質的に同じ所定のZ座標で前記ワークピースの第1の面と接触関係を維持し、前記X-Y平面と実質的に平行な前記ワークピースの第2の作業領域又は後続の作業領域に対して所定の成形経路を追うように、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリの一方又は両方を動かすステップと、
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
i)一連の前記ステップb)~h)を1回以上繰り返すステップであって、1回以上繰り返される一連の前記ステップb)~h)のそれぞれで用いられる所定のZ座標の値は、1回目の一連の前記ステップb)~h)又は繰り返される一連の前記ステップb)~h)のうちの1つのいずれかで用いられる前記Z座標の先の値から漸進的に進行する、ステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
繰り返される一連の前記ステップb)~h)は、前記第1の作業領域及び前記第2の作業領域又は後続の作業領域のそれぞれで追加の成形経路を形成するために続けられる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記一次成形ツールアセンブリ、前記二次成形ツールアセンブリ及び前記シート保持アセンブリのうちの少なくとも1つは、各所定のZ座標位置が漸進的に進行されるときに前記ツールシャフトの先端を、前記二次成形ツールアセンブリに向かう方向に前記Z軸に沿って再配置させるために前進させられる、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記ステップe)は、
前記一次成形ツールアセンブリが、繰り返された前記ステップc)で前記Z軸に沿って前記ワークピースの第1の面の方に進む前に、前記ワークピースの第1の面から前記Z軸に沿って離れて位置するように、前記一次成形ツールアセンブリ又は前記シート保持アセンブリの少なくとも一方を引っ込めるサブステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記ステップe)は、
前記圧縮可能で弾性の材料の外面層が、繰り返された前記ステップ)bで、前記ワークピースの第2の面に接触する前に、前記二次成形ツールアセンブリが前記ワークピースの第2の面から離れて位置するように、前記二次成形ツールアセンブリ又は前記シート保持アセンブリの少なくとも一方を引っ込めるサブステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ステップg)は、
前記一次成形ツールアセンブリが前記Z軸に沿って前記ワークピースの第1の面から離れるように前記一次成形ツールアセンブリ又は前記シート保持アセンブリの少なくとも一方を引っ込めるサブステップと、
前記ツールシャフトの先端が、前記第1の作業領域又は以前の作業領域について選択されたのと実質的に同じ所定のZ座標で前記ワークピースの第1の面と接触関係にあるように、前記一次成形ツールアセンブリ及び/又は前記シート保持アセンブリの少なくとも一方を、前記ワークピースの第1の面に隣接する前記第2の作業領域又は後続の作業領域内の所定のX-Y座標のセットに再配置するサブステップと、
を含む、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート金属等のシート材料を漸進的に成形するための装置及び方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2019年5月7日に出願された仮出願第62/844177号に対する優先権を主張し、2020年4月8日に出願された仮出願第63/006802号に対する優先権を主張する。それぞれ出願は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
シート材料(典型的には金属)を複雑な形状に成形するための多くの方法が長年にわたって開発されてきた。シート成形技術は幅広い産業に存在し、様々な金属やプラスチックに応用されている。典型的な板金部品の大量生産はプレス加工技術を利用する。プレス加工には、高レベルの精度で機械加工された2つの剛性金型の使用が必要となる。材料のシート(すなわち、ワークピース)を2つの金型の間で押圧して、金型によって確立される所望の形状に材料を成形する。
【0004】
2つの金型のフルセットを必要とせずにシート材料を成形するために、プレス加工の代替方法が利用されてきた。代わりに、単一の剛性の金型が材料のシートの片側に位置する。次に、材料の反対側に対してバッキング材料を用いるか又は流体圧力により力が加えられることにより、単一の金型によって決定される所望の構成に材料が成形される。シート金属成形技術における1つ又は2つの金型の使用は長年にわたって進歩してきたが、金型のエンジニアリング、製造及び保守にかかる費用は、金属部品の少量生産の妨げとなる。金型の製造コストに加えて、金型を製造する時間は少量及びプロトタイプの使用をさらに妨げる。
【0005】
シート材料を成形するための別の技術は、インクリメンタルシート成形(ISF)と呼ばれ、いつのときもシート金属のごく一部のみが成形によって実際に漸進的に成形される(非特許文献1及び非特許文献2)。
【0006】
本発明のインクリメンタルシートメタル成形システムは、長いリードタイムと、複雑なシートメタル部品を成形するために高価な金型を製造及び使用する必要性と取り除くことにより、従来のシステムに対して柔軟性を提供するだけでなく、シート材料の成形の間に生じる応力を正確且つ局所的に制御するために、ワークピース上の成形力を付加的に局所化する。
【0007】
関連技術の説明
ISFの変種であるシングルポイントインクリメンタル成形(SPIF)は、金型を必要とせずにシート材料(典型的には金属)を片面成形する方法である。SPIFの従来の例は、多くの異なる実施を具現化する。SPIFの最も単純な実施の1つは、シート金属ワークピースをその4つの外端の全てに沿って拘束するための剛性クランプ機構を含む一方で、単一の成形ツール又はローラーパンチがシート金属の片側に位置する。ツールはクランプされたシートメタルを指定された軌道を辿って押圧して所望の形状を成形する(非特許文献3を参照した非特許文献1の2.2節及び図4)。
【0008】
両面インクリメンタル成形としても知られているツーポイントインクリメンタル成形(TPIF)はISFの別の変種であり、シート材料が概してその外縁でクランプされ、シート材料の各側面から力が加えられる。両面成形法の1つの例では、ワークピースの両側に沿って移動する2つの対向する剛性成形ツールを用いて力と反力を加える。特許文献1では、シート固定アセンブリ20(クランプのアセンブリ)がワークピース12を支持しながら、成形ツール32及び32’’がワークピース12に対して両側から力を加える。ツールは互いに直接対向して配置され得るか又は互いに対してオフセットされ得る。加えて、各成形ツールは、3並進方向及び3回転軸の動きを可能にする6軸プラットフォームに取り付けられ得る(特許文献2、3、4も参照)。SPIF技術よりもワークピースをいくぶん良好に制御するが、コントローラー26によって対向する各成形ツールの経路を調整し、ワークピース12を所望の構成に成形するために追加のレベルの複雑さ及び精度が必要となり且つ成形速度が失われる。しかしながら、成形プロセスの間に対向するツールの位置決めを正確に制御することが依然として困難であるため、結果として得られるワークピースの構成におけるしわや引き裂き等の欠陥につながる。
【0009】
両面成形の別の例では、剛性ツールがワークピースの一方の側に位置し、他方の側の第2の剛性ツールの代わりに、単一のダイが他方の側に位置する。特許文献5に記載されているように、金型3が所定の位置に固定され、ツール5はワークピース4を金型3の方に押圧する。この例ではツール5は比較的普遍的であるが、金型3を異なる所望の構成のそれぞれのために具体的に製造しなければならないため、製造リードタイム及び任意の金型を用いるコストに関連する課題を有する。
【0010】
両面成形法のさらなる例は、特許文献6において見られる。ワークピースWの周囲を固定するためにクランプ固定具1が配置される。金型2及びツール4は、ワークピースWを押圧して金型2に対応する形状にするために互いに方に連続的に前進する。しかしながら、金型2の存在は、任意の金型を使用すること固有の不利に長いリードタイム及びコストの問題を有する。
【0011】
両面成形法の別の例は、特許文献7に見られる。複数のパンチ要素を含むプレス2がブランク材料3の一方の側に配置される一方で、エラストマー4が他方の側に位置し、ブランク材料3と面接触する。制御ユニット5は、パンチ要素をそれらの意図された位置の方に1つの軸のみに沿って動かすことにより、ブランク材料3に力を加える。エラストマー4はブランク3を支持する反発力を生成する。長い成形品の場合には、ブランク材料3を長手方向に動かすことができるため、ブランクの長さに沿って成形プロセスが段階的に行われる。このプロセスは、ブランクを成形する多くのパンチ要素の用いるために機械的に複雑でもある。このパンチプロセスは比較的単純な形状を製造することにも限定される。
【0012】
別の例では、特許文献8には回転両面ISF装置及び方法が記載され、ブランク6は、ガイドピン5上で、ブランク6の平面に垂直な1つの軸の方向に自由に摺動する2つのクランプリングリング3及び4の間に完全に固定される。次に、ガイドピン5は、ターンテーブル1’(図示せず)と共に回転するバッキング板1に取り付けられる。変形ツール7又は回転ボール8はブランク6の一方の側に位置し、弾性材料2は反対側に位置し、バッキング材料1に取り付けられる。ブランク6が弾性材料2及びターンテーブル1’と共に回転すると、変形ツール7は1つの軸に沿って交差方向に供給され、ブランク6の外縁からその中心に向かって螺旋回転する。変形ツール7は、ブランク6を常に円形の断面を有する所望の構成に変形させるために、ブランク6の平面に垂直な軸に沿ってブランク6に対して作用させる。変形ツール7及びターンテーブル1’はそれぞれ2つの直線軸及び1つの回転軸においてしか動くことができないため、この成形方法は円形断面形状のみを含む「回転図形(figure of revolution)」の生成に限定される。そのため、特許文献8の装置は、本発明によって実現される3軸(すなわち、X、Y及びZ軸)における独立した直線動作も、非対称な形状の成形もできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第8302442号明細書
【文献】米国特許第8783078号明細書
【文献】米国特許第8773143号明細書
【文献】米国特許第8322176号明細書
【文献】特開平10-314855号公報
【文献】米国特許第7536892号明細書
【文献】米国特許第6151938号明細書
【文献】米国特許第3342051号明細書
【非特許文献】
【0014】
【文献】Emmens et al., “The Technology of Incremental Sheet Forming - Abrief the history”、Journal of Materials ProcessingTechnology (2010)
【文献】Jeswiet et al., “Asymmetric Single Point Incremental Forming ofSheet Metal”CIRP Annals - Manufacturing Technology 54(2): 88-114 (Dec.2005)
【文献】Iseki et al., “Flexible and Incremental Sheet Metal Forming using aSpherical Roller” Proc. 40th JJCYP (1989 pp. 41-44)
【0015】
対照的に、本発明は、専用に製造された金型を用いることなく、むしろ、最小限の力で様々な形状を成形するために普遍的に適用可能なユニークなツール及び動きを有する、両面インクリメンタルシート成形装置及び方法に好適に関する。
【0016】
本発明は、一次剛性ツールと、材料の圧縮可能で弾性の層を有する二次ツールとを好ましくは含む。シート材料で構成されるワークピースは対向するツールの間に位置する。一次剛性ツールがシート材料の一方の面に力を加える一方で、二次弾性ツールは、シート材料の他方の面に制御された反力を加える。この両面プロセスは、(シート材料の一方の側で剛性ツールのみを用いながら、広範に加えられる力及びその結果として生じる全体的な応力がシート材料全体に加えられるのではなく、むしろ)シート材料上の力を対向するツール間のワークピース上の接触領域内に局所化する。シート材料上の力を接触領域に局所化することにより、応力及び最終的な成形も局所化され、シングルポイントインクリメンタルシート成形と比べて、本発明に従ってより正確且つ精密に制御される。
【0017】
さらに、(多くの従来の両面技術に見られるように、2つの対向する剛性ツールを用いるのではなく、むしろ)双方とも独立した直線的な動きを有する、対向する二次弾性ツールと、ワークピースの一方の側に位置する一次剛性ツールとの組み合わせを利用することにより、本発明は、得られるワークピースの潜在的な皺及び引き裂きを回避する。そのため、本発明のユニークな両面成形方法及び装置は、より単純でより良好に制御されたプロセスによって、多数の非対称で且つより正確に成形された生成物を生成し、最終的には、単面又は他の両面インクリメンタルシート成形方法よりも用いる電力が少なくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様によれば、ワークピースをインクリメンタル成形するための装置が説明される(例えば、図1A図1C図2A図2C図3A図3C図4A図4B及び図5参照)。ワークピースは対向し且つ平行な第1及び第2の面と、ワークピースを成形するための作業領域とを有し、該面と平行な基準面を定義する。装置は、前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように配置され、前記ワークピースとの係合及び脱係合のために、前記基準面に対して垂直な方向及び前記基準面と平行な全て方向に移動可能な一次成形ツールアセンブリを含む。一次成形ツールはワークピースを成形するための成形先端部を含み得る。先端部はワークピースの第1の面に面するように配置されている。装置は、前記ワークピースの第2の面に面する弾性面部又は材料の層を有し、前記ワークピースとの係合及び脱係合のために、前記基準面に対して垂直な方向に移動可能な二次成形ツールアセンブリも含む。
【0019】
前記ワークピース及び前記一次成形ツールアセンブリのうちの一方又は両方はお互いに対して移動し、前記一次成形ツールアセンブリが前記作業領域内に配置され、前記基準面に対して垂直な方向に前記ワークピースの第1の面に力を及ぼす間に、弾性の前記二次成形ツールアセンブリが前記ワークピースと係合し、前記ワークピースの第2の面を支持するために反力を及ぼすことにより、成形の間に前記ワークピースに局所的な力が及ぼされるように移動可能である。
【0020】
本発明の一態様によれば、上記装置はシート供給アセンブリも含み得る(例えば、図1A図1C参照)。前記シート供給アセンブリは、前記ワークピースの第1及び第2の面とそれぞれ接触する少なくとも1組のローラーを有するシート供給ローラーセンブリを含む。該少なくとも1組のローラーは、前記基準面と平行な方向に前記ワークピースを動かすことができる。
【0021】
あるいは、上記のシート供給アセンブリは、一連の回転可能なローラーを取り囲み且つそれらと接触する少なくとも1つの連続ベルトを有するシート供給ベルトアセンブリを含む(例えば、図2A図2C参照)。該ベルトは、前記ワークピースの第1又は第2の面と接触関係で配置され、前記基準面と平行な方向に前記ワークピースを動かすことができる。
【0022】
代わりに、上記のシート供給アセンブリは、剛性フレーム及びリテーナを有し、その間にワークピースを固定的に保持することが可能なシート固定アセンブリを含み得る(例えば、図3A図3C図4A図4C及び図5参照)。シート固定アセンブリは、前記一次成形ツールアセンブリによって前記ワークピースの第1の面に及び前記二次成形ツールアセンブリによって前記ワークピースの第2の面にアクセスするための開口を定義する。
【0023】
本発明の別の態様によれば、シート材料のワークピースを成形するための装置を説明する。このワークピースは対向し且つ平行な第1及び第2の面を有するとともに、該ワークピースの第1及び第2の面と平行な基準面を定義する。当該装置は、前記基準面と平行な方向に前記ワークピースを動かすことが可能なシート供給アセンブリを含む。当該装置は、
前記ワークピースの第1の面に面するように配置される一次成形ツールアセンブリであって、前記基準面に対して垂直な第1の方向と、前記基準面と平行であるとともに、前記シート供給アセンブリによって前記ワークピースが動かされる方向に対して垂直な第2の方向と、に移動可能な一次成形ツールアセンブリも含む。
【0024】
装置は、前記基準面に対して垂直な方向に移動可能であり、前記一次成形ツールアセンブリの移動の第2の方向と平行に配置されるその長手軸を中心に回転するための細長い円筒状の構成を有するバッキングローラーツールアセンブリをさらに含む。バッキングローラーツールは内部コアと、該内部コアに固定され、前記ワークピースの第2の面に面するように配置される外側弾性層とを含む。あるいは、バッキングローラツールアセンブリは外面を有し、その一部は力が加えれた場合に圧縮可能である一方で、力が取り除かれた場合にその非圧縮構成に弾性的に戻る(例えば、図1A図2C図2A図2C及び図3A図3C参照)。
【0025】
前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキングローラーツールアセンブリは、概して互いに反対側で、前記ワークピースの対向する第1及び第2の面のそれぞれと同時に接触しながら、前記一次成形ツールアセンブリは前記ワークピースの第1の面に力を及ぼして前記ワークピースを成形し、前記バッキングローラーツールアセンブリは前記ワークピースの第2の面に反力を及ぼすことにより、ワークピースが成形される間にプロセスはワークピースに局所的な力を生成する。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、シート材料のワークピースを所定の構成に成形するための装置が説明される。該ワークピースは、対向し且つ平行な第1及び第2の面を有し、該ワークピースの面と平行な基準面を定義する。当該装置は、その長手軸を中心に回転可能であり、内部コアと、該内部コアに固定される外側弾性層又は外側層部とを有するバッキングローラーツールアセンブリを含む。バッキングローラーツールアセンブリは、その長手軸に沿って前記ワークピースの第2の面に面し、前記基準面と平行である(例えば、図1A図1C図2A図2C及び図3A図3C参照)。
【0027】
装置は、前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように配置される一次成形ツールアセンブリも含む。一次成形ツールアセンブリは、前記バッキングローラーツールアセンブリの長手線と平行な第1の方向に移動しながら前記ワークピースを成形するために、前記ワークピースの第1の面に力を及ぼすことができる。装置は、剛性フレームと、前記ワークピースを内部で固定的に保持することができるリテーナとを有するシート固定アセンブリも含む。シート固定アセンブリは前記基準面と平行に配置され、前記一次成形ツールアセンブリによって前記ワークピースの第1の面に及び前記二次成形ツールアセンブリによって前記ワークピースの第2の面にアクセスするための開口を定義する。
【0028】
前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキングローラーツールアセンブリは、前記基準面に対して垂直な方向に移動して、前記ワークピースの第1及び第2の面とそれぞれ接触することができる。その結果、前記一次成形ツールアセンブリによって前記ワークピースの第1の面に及ぼされる力が前記バッキングローラーツールアセンブリによって前記ワークピースの第2の面に及ぼされる反力により相殺されることにより、前記ワークピースが成形を受ける間に、前記一次成形ツールに局所化される領域で前記ワークピースを支持することができる。
【0029】
本発明の追加の態様によれば、ワークピースをインクリメンタル成形するための別の装置が説明される(例えば、図1A図1C図2A図2C図3A図3C図4A図4B及び図5参照)。ワークピースは、「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する対向する第1及び第2の面を有する。当該装置は、前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように配置される一次成形ツールアセンブリを含む。当該装置は、剛性体と、該剛性体に固定される圧縮可能な弾性層を有し、前記ワークピースの第2の面に隣接し且つ面するように配置される二次成形ツールアセンブリも含む。
【0030】
前記ワークピース、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリは、お互いに対して所定の順序及びパターンで独立して座標系のX,Y又はZ軸のうちの少なくとも1つに沿って移動可能である。前記一次成形ツールアセンブリ及び前記ワークピースは、X、Y及びZ軸に沿ってお互いに対して移動可能である。前記二次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースに対してZ軸に沿って移動可能である。その結果、前記一次成形ツールアセンブリは前記ワークピースの第1の面に力を及ぼすことができる。前記二次成形ツールアセンブリも前記ワークピースの第2の面に対してZ軸に沿って反力を及ぼすことができることにより、前記ワークピースを局所的に支持する。成形プロセスの間に、前記ワークピースと前記一次成形ツールアセンブリとの接触領域に成形力が実質的に局所化される(例えば、図10参照)。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、上記装置は前記ワークピース、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記二次成形ツールアセンブリのお互いに対するそれぞれの動きを同時に調整することが可能な制御システムを含む。これらのコンポーネントの調整された動きにより、前記一次成形ツールアセンブリが前記ワークピースの第1の面に沿った所定の経路を進む間に、前記二次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースの第2の面に沿った同じ経路を同時に進むことができる。
【0032】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの作業領域を有し、「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する対向し且つ平行な第1及び第2の面を有するワークピースをインクリメンタル成形するための方法が説明される(例えば、図7参照)当該方法は、装置を提供するステップであって、該装置は、前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように配置される一次成形ツールアセンブリと、圧縮可能な弾性面部を有し、前記ワークピースの第2の面に隣接し且つ面するように配置されるバッキング成形ツールアセンブリと、を有する、ステップを含む。前記ワークピース、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキング成形ツールアセンブリはお互いに対して所定の順序及びパターンで独立して移動可能である。
【0033】
前記作業領域内で前記ワークピースの第1の面に隣接するように、前記ワークピースに対して前記一次成形ツールアセンブリが配置され所定のX、Y、Z座標に同時に動かされる。前記ワークピースの第2の面と接触し且つ前記一次成形ツールアセンブリの位置と反対になるように、前記ワークピースに対して前記バッキング成形ツールアセンブリが配置され前記作業領域内の少なくとも1つの所定のZ座標に同時に動かされる。所定のZ座標に移動するように前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースの方へとZ方向に前進させて、前記ワークピースの第1の面に接触させ前記作業領域内の接触点で力を及ぼす。その結果、前記ワークピースが所定の構成に成形され、弾性の前記バッキング成形ツールアセンブリが圧縮して、成形の間に前記ワークピースの第2の面を支持する。
【0034】
前記一次成形ツールアセンブリはX-Y平面上を前記ワークピースに対して(例えば、図7参照)所定の座標セットに沿って動かすことにより、前記ワークピースが前記作業領域内でZ方向に一貫して成形される所定の経路をたどる。前記一次成形ツールアセンブリは前記ワークピースからZ方向に引っ込められ、X-Y平面上のワークピースの第1の面に隣接する所定の座標セットに再配置される。前記ワークピースが前記作業領域内で完全に成形されるまで、Z座標のための漸進的に進行する値(incrementally progressing values)を連続的に用いることにより、上記のステップが繰り返され得る。
を含む方法。
【0035】
本発明の別の態様では、上記方法の装置は、コントローラーセンブリと、非接触又は接触型のセンサとを有する制御システムをさらに含む。センサを用いて、コントローラーセンブリは、ワークピースの成形経路に沿った特定位置でワークピースの成形量を同時に測定する。得られた測定値は成形経路に沿った同じ特定位置におけるワークピースの所定の成形量と比較される。得られた比較測定値は前記コントローラーセンブリに中継される。前記ワークピースを前記所定の形状に成形するために、コントローラアセンブリは、前記経路に沿った予めプログラムされた成形量に対して、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキング成形ツールアセンブリのうちの少なくとも一方の位置を調整する。
【0036】
本発明の別の態様は、互いに離れた少なくとも第1及び第2の作業領域を有し、「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する対向し且つ平行な第1及び第2の面を有するワークピースをインクリメンタル成形するための方法に関する(例えば、図8A図8B参照)。当該方法は、装置を提供するステップであって、該装置は、前記ワークピースの第1の面に隣接し且つ面するように配置される一次成形ツールアセンブリと、圧縮可能な弾性面部を有し、前記ワークピースの第2の面に隣接し且つ面するように配置されるバッキング成形ツールアセンブリと、を有する、ステップを含む。前記ワークピース、前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキング成形ツールアセンブリはお互いに対して所定の順序及びパターンで独立して移動可能である。
【0037】
前記第1の作業領域内で前記ワークピースの第1の面に隣接するように、前記ワークピースに対して前記一次成形ツールアセンブリを配置して所定のX、Y、Z座標に同時に動かされる。前記ワークピースの第2の面と接触し且つ前記一次成形ツールアセンブリの位置と反対になるように、前記ワークピースに対して前記バッキング成形ツールアセンブリを前記第1の作業領域内の所定のZ座標に配置する。所定のZ座標に移動するように前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースの方へとZ方向に前進させて、前記第1の作業領域内で前記ワークピースの第1の面に接触させ、接触点で力を及ぼす。
【0038】
その結果、ワークピースが所定の構成に成形され、前記バッキング成形ツールアセンブリの弾性面部が圧縮して前記ワークピースの第2の面を支持することにより前記ワークピースが成形されている間に局所的な力がもたらされる。前記一次成形ツールアセンブリをX-Y平面上で前記ワークピースに対して実質的に同じZ座標を有する所定の座標セットに沿って動かすことにより、前記ワークピースが前記第1の作業領域内でZ方向で一貫して成形される所定の経路をたどる。前記一次成形ツールアセンブリは前記ワークピースから離れるようにZ方向に引っ込められ、X-Y平面上の前記ワークピースの第1の面に隣接する前記第2の作業領域内の所定の座標セットに再配置される。
【0039】
前記第2の作業領域内で前記一次成形ツールアセンブリを前記ワークピースの方へとZ方向に進めて、前記第1の作業領域の場合に選択されたのと実質的に同じZ座標に動かし、前記ワークピースの第1の面と接触させ、接触点で局所的な力を及ぼす。その結果、前記ワークピースが所定の構成に成形され、前記二次成形ツールアセンブリの弾性面部が圧縮して、成形の間に前記ワークピースの第2の面を支持する。前記一次成形ツールアセンブリはX-Y平面上で前記ワークピースに対してZ方向で実質的に同じ所定の座標セットに沿って動かされることにより、前記ワークピースが前記第2の作業領域内でZ方向で一貫して成形される所定の経路をたどる。前記一次成形ツールアセンブリが前記ワークピースから離れるように前記Z方向に引っ込められる。前記ワークピースが各作業領域内で完全に成形されるまで、Z座標のための漸進的に進行する値を連続的に用いることにより、上記のステップが繰り返され得る。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、概ね平坦な初期構成を有し、「X」、「Y」、「Z」の3次元直交座標系のX-Y平面上に位置する対向した第1及び第2の面を有するワークピースの少なくとも1つの作業領域をインクリメンタル成形するための方法を説明する。当該方法によれば、前記ワークピースの第1の面に隣接して一次成形ツールアセンブリが配置される。該一次成形ツールアセンブリは、前記ワークピースと強制的に係合した場合に前記ワークピースを成形可能な先端部を有し、該先端部は前記ワークピースの硬度値よりも大きい硬度値を有する。
【0041】
前記ワークピースの第2の面に隣接してバッキングローラーツールアセンブリが配置される。該バッキングローラーツールアセンブリはZ方向に移動可能である。該バッキングローラーツールアセンブリは圧縮可能な弾性の外面部をさらに有し、該バッキングローラーツールアセンブリ及び該外側弾性面部のうちの少なくとも一方は、前記バッキングローラーツールアセンブリの中心を通って延びる長手軸を中心に回転可能である。前記ワークピースの第2の面と接触させ支持するために、Z軸に沿って前記バッキングローラーツールアセンブリが前記ワークピースの方に進められる。
【0042】
前記一次成形ツールアセンブリは前記ワークピースに対してZ軸に沿って進められ、前記先端部を前記ワークピースの第1の面に係合させ、前記ワークピースを成形するために所定量の成形力を提供する。前記ワークピースの第2の面に十分な反力を提供するために前記バッキングローラーツールアセンブリの位置が維持される。該反力の十分性は前記バッキングローラーツールアセンブリの外面部の圧縮性及び弾性によって決定される。
【0043】
実質的に同じZ座標を有する所定の座標セットに沿って前記一次成形ツールアセンブリを前記X-Y平面上で前記ワークピースに対して動かすことにより、前記ワークピースがZ方向で一貫して成形される所定の経路をたどる。前記一次成形ツールアセンブリの動きと並行して前記バッキングローラーツールアセンブリが連続的に動かされ、前記ワークピースが間にある状態で前記一次成形ツールアセンブリの先端部の実質的に反対側に留まることにより、前記ワークピース上に局所化された力が維持される。前記一次成形ツールアセンブリ及び前記バッキングローラーツールアセンブリが前記ワークピースから引っ込められる。前記ワークピースが予めプログラムされた所定の最終構成に成形されるまで、前記ワークピースの1つ以上の追加の作業領域内で、上記のステップが繰り返され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A図1Aは、ワークピースを前進させるためのシート供給ローラーセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ図1Aは実施形態1の例示の不等角投影図を示す。
図1B図1Bは、ワークピースを前進させるためのシート供給ローラーセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ図1Bは実施形態1の例示の正面図を示す。
図1C図1Cは、ワークピースを前進させるためのシート供給ローラーセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図1Cは実施形態1の例示の側面図を示す。
図2A図2Aは、ワークピースを前進させるためのシート供給ローラーセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図2Aは実施形態2の例示の不等角投影図を示す。
図2B図2Bは、ワークピースを前進させるためのシート供給ローラーセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図2Bは実施形態2の例示の正面図を示す。
図2C図2Cは、ワークピースを前進させるためのシート供給ローラーセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図2Cは実施形態2の例示の側面図を示す。
図3A図3Aは、ワークピースを前進させるため可動フレームアセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図3Aは実施形態3の例示の不等角投影図を示す。
図3B図3Bは、ワークピースを前進させるため可動フレームアセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図3Bは実施形態3の例示の正面図を示す。
図3C図3Cは、ワークピースを前進させるため可動フレームアセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第1の実施形態(実施形態1)を示し、とりわけ、図3Cは実施形態3の例示の側面図を示す。
図4A図4Aは、ワークピースを保持するための固定フレームアセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第4の実施形態(実施形態4)を示し、とりわけ、図4Aは実施形態4の例示の不等角投影図を示す。
図4B図4Bは、ワークピースを保持するための固定フレームアセンブリと、一次成形ツールアセンブリと、二次成形ツールアセンブリとを備える本発明のISFシステムの第4の実施形態(実施形態4)を示し、とりわけ、図4Bは、実施形態4の例示の正面図を示す。
図5図5は、マシン中心に組み込まれた実施形態4の別の例示の不等角投影図を示す。
図6A図6Aは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークの例示の正面断面図を示す。
図6B図6Bは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークの例示の正面断面図を示す。
図6C図6Cは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークの例示の正面断面図を示す。
図6D図6Dは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークの例示の正面断面図を示す。
図7図7は、本発明の実施形態に係る成形されているワークピースの例示の上面図である。
図8A図8Aは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受ける1つのワークピース内に複数の成形領域を成形するための方法を示す図であり、とりわけ、図8Aは本発明の実施形態に係る、複数の位置に成形されているワークピースの例示の上面図である。
図8B図8Bは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受ける1つのワークピース内に複数の成形領域を成形するための方法を示す図であり、とりわけ、図8Bは、図8Aに示される、本発明の実施形態に係る、一連のインクリメンタルマルチ成形ステップを受けるワークピースの例示の正面断面図を示す。
図9A図9Aは本発明を実施する際に用いることっが意図される様々な一次成形ツールの断面図を示し、とりわけ、図9Aは、1つの構成要素でできた一次成形ツールを示す。
図9B図9Bは本発明を実施する際に用いることっが意図される様々な一次成形ツールの断面図を示し、とりわけ、図9Bは、別個のシャフト及びチップでできた一次成形ツールを示す。
図9C図9Cは本発明を実施する際に用いることっが意図される様々な一次成形ツールの断面図を示し、とりわけ、図9Cは、別個のシャフト、チップ及びベアリングでできた一次成形ツールを示す。
図10図10は、同期制御システムの図と共に、本発明の上記の実施形態の部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、専用の金型を用いることなく、むしろ、最小限の力で様々な形状を成形するために普遍的に適用できるツールを備えるユニークな両面インクリメンタルシート成形装置及び方法に関する。
【0046】
一例として、本発明は、自動車、航空宇宙、工業、建築、エンジニアリング、建設及び消費者製品等の全ての主要産業のためにシート材料から部品及びコンポーネントを成形するのに適用可能である。
【0047】
図1A図1B及び図1Cは、本発明のインクリメンタルシート成形(ISF)システムの第1の実施形態(実施形態1)を示す図である。このシステムは、ワークピース80を正確に前進させるためのシート供給ローラーセンブリ40、一次成形ツールアセンブリ10及び二次成形ツールアセンブリ(例えば、バッキングローラーツールアセンブリ20)を含む。
【0048】
図1Aでは、ワークピース80は、その最終的な形状81に成形されている。ワークピース80は、鋼、アルミニウム、プラスチック又は他の成形可能な材料で作られ得る材料のシート(シート金属)を含む。この材料のシートは、実施形態1に示すように基準面と平行な平坦な状態で通常始まる。基準面はX-Y平面82として示され、ワークピースを漸増的に成形する前のワークピース80の初期構成によって画定される。シートは、本発明に従って追加の作業を行う前に、特定の予備的特徴が予め成形されてもいてもよい。
【0049】
シート供給ローラーセンブリ40は、ワークピース80と接触するように配置された1つ以上のセットの同期ローラー42(42A~42H)を含む。同期ローラー42は、通常第1及び第2の端88又は89に沿ってワークピース80の両面のそれぞれと接触する。しかしながら、他の係合面部分が考えられる。
【0050】
シート供給ローラーセンブリ40は、好ましくは、図1AでY軸として示す1つの軸に沿ってワークピース80を前後に前進させる。実施形態1では、シート供給ローラーセンブリ40は4組の同期ローラー42を含む。2組のローラー(42A~42B及び42C~42D)はワークピース80の第1の端88に沿って位置し、2組(42E~42F及び42G~42H)がワークピースの第2の端89に沿って配置されている。第1の組のこれらのローラーは、ワークピース80の面に接触するように配置され、第2の組のこれらのローラーは、ワークピース80の反対の面に接触するように配置されている。
【0051】
図1Aに示すように、対向する対のローラー(例えば、42C及び42Dと42A及び42B;42E及び42Fと42G(図示せず)及び図42H)は、ワークピース80の両面と接触して互いに直接対向して配置される。これらのローラーは、好ましくは、端88又は89に沿ってワークピース80の両面に接触及び把持して、ワークピースをY軸に沿って駆動することが好ましい。
【0052】
第1の端88上のローラー(42A~42D)のうちの少なくとも1つ及び第2の端88上のローラー(42E~42H)のうちの少なくとも1つは、ローラーの回転を調整し同期させるためにモータ、制御システム及びソフトウェア(図示せず)とやりとりする。その結果、ローラーは、ワークピース80を所望の位置に、好ましくは1つの並進軸(Y軸)に沿って正確に動かす。図6A図6Dに関するモータ作動の説明も参照されたい。図1A図6Cでは、同じモータ制御システムを利用できる。
【0053】
同期ローラー42は、スチール、アルミニウム又は他の好適な材料で作られたベースコアを含み、ワークピース80の確実な把持を強化するのに十分柔軟で弾力性があるポリウレタン、ネオプレン、ゴム又は他の好適な材料の層又はコーティングをさらにそれらの周囲に有し得る。
【0054】
図1A図1Cでは、一次成形ツールアセンブリ10は、実施形態1に示すように、ワークピース80の1つの面に隣接して位置して、ワークピースの第1の面(すなわち、上面)と係合し、ワークピースの移動に対して横断する方向にX軸に沿って移動する。そのため、一次成形ツールアセンブリ10のこの移動は、シート供給ローラーセンブリ40によって駆動されてワークピース80が(Y軸に沿って)移動する方向に対して垂直である。一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピース80の第1の面(すなわち、上面)との接触に入ったり、接触から出たりできるように、実施形態1でZ軸として示すワークピース80のX-Y基準面82に対して垂直な方向にも移動する。
【0055】
二次成形ツールアセンブリは、好ましくは中実コア21を有し、一次成形ツールアセンブリ10がワークピースの反対面(すなわち、第1の面又は上面)と係合したときに、ワークピース80の第2の面又は下面に柔軟で、圧縮性があり、弾性の制御された反力を提供するために、コア21の周囲に固定された可撓性、圧縮性又は弾性材料(又は、バッキングローラーツールの表面部分)外層22を有するバッキングローラーツールアセンブリ20を含む。
【0056】
実施形態1(例えば、図1A図1B及び図1C参照)では、バッキングローラーツールアセンブリ20は、一次成形ツールアセンブリ10とは反対のワークピース80の面に隣接し且つ対向して配置されている。そのため、ワークピース80は、バッキングローラーツールアセンブリ20を一次成形ツールアセンブリ10から分離する。バッキングローラーツールアセンブリ20は、細長く、円筒状であり、X軸に沿って位置し長手方向に延び、一次成形アセンブリ10の移動方向と平行でワークピース80の反対面(即ち下面)と接触する回転軸を有する。
【0057】
一次成形ツールアセンブリ10の先端及びバッキングローラーツールアセンブリ20の長手軸は、X軸に沿ってワークピース80の両側で互いに対向するように、真向かい合いに配置されることが好ましい。バッキングローラーツールアセンブリ20の長さは大体、一次成形ツール10がX軸に沿って移動可能な距離と少なくとも実質的に同じ長さであるか又は長い。その結果、バッキングローラーツールアセンブリ20は、一次成形ツールアセンブリ10がワークピースの第1の面(すなわち、上面)と係合し、X軸に沿って移動するときに、成形可能で、ワークピース80の第2の面(すなわち、下面)と直接接触した状態で留まる。
【0058】
図1A図2A及び図3Aにおいて、バッキングローラーツールアセンブリ20は、図示の目的のみのために、ワークピース80から離れて位置し、直接接触しないように示されている。本発明の装置の動作の間、バッキングローラーツールアセンブリ20の弾性層22は実際にワークピース80の第2の面の方に面し、直接係合するように配置される。一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80の第1の面又は反対の面と係合して力を加えた場合、その結果は一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80と接触する領域内の局所的な力となる。
【0059】
一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20の弾性層22は、ワークピース80がそれらの間に位置する状態で、X軸に沿った接触点において互いに対向する力を与えるように実際配置される。より具体的には、一次成形ツールアセンブリ10及び弾性層22は、一次成形ツールアセンブリ10によってワークピースの第1の面(すなわち、上面)に加えられる力と、バッキングローラーツールセンブリ20の可撓性弾性層22の制御された圧縮によってワークピースの反対面又は第2の面(すなわち、下面)に加えられる反力によって、成形されたワークピース80を介して間接的に接触している。反力の量は、バッキングローラーツールアセンブリ20の弾性層22(又は外面部分)の硬度、厚さ及び結果としての圧縮性及び弾性の程度によって制御される。
【0060】
長手軸に沿った回転に加えて、バッキングローラーツールアセンブリ20は、実施形態1でZ軸として示す、ワークピース80のX-Y基準面82に対して垂直方向にも移動する。Z軸に沿った動きは、一次成形ツールアセンブリ10がワークピースに対して正確に制御された反対の力を及ぼすときに、バッキングローラーツールアセンブリ20がワークピース80と接触した状態で留まることを可能にする。
【0061】
より具体的には、図1B及び図1Cに示すように、弾性層22を含むバッキングローラーツールアセンブリ20は、ワークピース80の下面(すなわち、第2の面)と接触するためにX軸上でその長手軸に沿って位置するため、X軸に沿って接触点の連続した狭い領域の形成をもたらす。より具体的には、この接触領域は、弾性層22の周囲がワークピース80の下面と交差したところで生じる。すなわち、弾性層22とワークピース80の下面が互いに接触すると、その間に狭い領域又は接触領域が形成される。この領域は弾性層22の外周とワークピースの下面との接線で生じる。同時に、一次成形ツールアセンブリ10はX軸に沿って位置して、ワークピースの上面に面し、ワークピース80の下面と弾性層22との接触領域の反対側にある。
【0062】
一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80の第1の面に押し付けられると、X軸に沿った所与の接触領域でワークピースに力を及ぼす。そして、ワークピース80はX軸に沿った狭い接触領域に沿った印加領域で弾性層22に力を及ぼす。その結果、弾性層22は圧縮され、X軸上のワークピース80と接触する狭い領域に沿った反対の局所的な領域で反力を及ぼす。一次成形ツール10及び弾性層22の双方がワークピース80の両側に力を及ぼすことで、力は、一次成形ツール10とワークピース80との間の接触領域に実質的に集中する。この接触領域又は「接点領域」では、ワークピース80によって弾性層22に及ぼされる力は、弾性層22が円筒形状であることから集中且つ局所化した状態で留まるため、結果として得られるワークピースの反り及び引き裂きが回避される。その結果、実施形態1の装置は、動作の間に任意の所与の時間に、選択された制御システムによって意図されるように、ワークピース80上に多数の寸法的に複雑且つ非対称な構成を作り出すことができる(例えば、図10を参照)。
【0063】
さらに、バッキングローラーツールアセンブリ20は、その長手軸上で回転するための円筒構成を有する。ワークの移動方向(すなわち、Y軸)に対して垂直(すなわち、X軸)に位置する場合、バッキングローラーツールアセンブリ20は、ワークピース80の正確且つ迅速な位置決めを有利に可能にする。バッキングローラーツールアセンブリ20の円筒形の構成も、従来の多くのISF装置よりも装置自体のより簡素でコンパクトな設計を有利に可能にする。
【0064】
実施形態1では、コア21は中実ロッドである。バッキングローラーツールアセンブリ20の外側弾性層22はコア21に固定され、それらの長手軸を中心に共に自由に回転する。弾性層22は、コア21に強固に固定又は固定取り付けされることにより固定され得るか又は代替的にコアを円周方向に取り囲むことによって固定され得るため、コアを中心に自由に回転できる。例えば、弾性層22は、当技術分野で知られているようにコア21の周りに位置する軸受アセンブリ(例えば、滑り軸受)によって自由に回転し得るように、複数の材料又は層で作られて得る。別の実施形態では、コア21は、ベアリングアセンブリを中心に弾性層22と共に自由に回転する中空チューブ又はシリンダであり得る。別の代替的な実施形態では、コア21は固定(すなわち、回転不能)され得るが、弾性層22はその周りを自由に回転できる。代替的な実施形態では、バッキングローラーツールアセンブリ20の回転は、当該技術分野で知られている機械的又は電気機械的手段のいずれかによって制御され得る。別の態様では、バッキングローラーツールアセンブリ20は圧縮可能弾性層22を含み、バッキングローラーツールアセンブリ及び外側弾性面部のうちの少なくとも一方は、バッキングローラーツールアセンブリの中心を通って延びる軸を中心に回転可能である。
【0065】
好ましくは、バッキングローラーツールアセンブリ20の長手軸は、弾性層22がX軸に沿ってワークピース80の面と連続的に接触した状態で留まり得るように可動に配置されている。ワークピース80がシート供給ローラーセンブリ40の作用によってY軸に沿って移動するにつれて、ワークピース80と係合することによりバッキングローラーツールアセンブリ20を回転させる。
【0066】
剛性コア21は、スチール、アルミニウム又は他の好適な材料で構成され得ることが好ましい。コア21は、サイズ及び構成に応じて中実又は中空のいずれかであってもよい。
【0067】
弾性層22は、好ましくは、一次成形ツールアセンブリ10によってワークピース80に加えられる力の下で材料を成形可能な圧縮強度を有する弾性の形成可能な材料でできていることが好ましい。弾性層22のために選択される材料も、一次成形ツールアセンブリ10からワークピース80への力が取り除かれた場合にその元の又は非圧縮形状に実質的に戻ることが可能である。例えば、弾性層22はエラストマー、好ましくはポリウレタンで作られ得る。あるいは、ゴム、ネオプレン、ニトリル又はワークピース80と接触したときに、正確で、予測可能な制御された変形及び弾性が可能な他の好適な材料からも作られ得る。
【0068】
弾性層22は、約80D、好ましくは約30A~約95Aの範囲の硬度デュロメータを概して有する。選択された材料の硬度に応じて、弾性層22の厚さは約0.01mm~約25mm、好ましくは約1.0mm~約5.0mmの間で変化し得る。弾性層22に好適なデュロメータを選択することにより、一次成形ツールアセンブリ10がワークピースの第1の面に力を及ぼしたときに、正確で制御された反力がワークピース80の第2の面に加えられ得る。
【0069】
成形プロセスの間、シート供給ローラーセンブリ40は、ワークピース80をY軸に沿ってその所望の位置へと前後に動かすように動作する。一次成形ツールアセンブリ10はX軸に沿って所望の位置に同時に移動可能である。バッキングローラーツールアセンブリ20は、ワークピース80の面と接触するために所望の位置にZ軸に沿って同時に移動可能である。ワークピース80と接触させると、シート供給ローラーセンブリ40がワークピースをY軸に沿ってその所望の位置に動かすため、バッキングローラーツールアセンブリ20はワークピースと摩擦係合することにより、その長手線に沿って自由に回転することが好ましい。
【0070】
シート供給ローラーセンブリ40、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20は、互いに及びコンピュータエンティティと直接的又は間接的にやりとりし、それらの所望の位置におけるそれらの正確な位置決めに関する情報を送受信するように、異なるシステム(例えば、機械的、油圧的)によって制御され得る。図6A図6D及び図9に関するモータ作動の説明並びに図10に関する制御システムも参照されたい。図1A図1Cの構成において、同様のモータ、制御システム及びソフトウェアを利用できる。
【0071】
ワークピース80、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20が、それらの特定され且つ協調された位置に独立して移動すると、一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピースの元のX-Y基準面82に対して垂直なZ軸に沿って移動することによりワークピース80に対して力を加えることができる。同時に、バッキングローラーツールアセンブリ20は、その長手軸に沿って(すなわち、X軸に沿って)ワークピース80と変形可能に弾性接触するようにZ軸に沿って移動できる。
【0072】
一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80に力を加えることによって、ワークピースは、力が加えられる正確な接触点でその所望の形状に局所的に成形され始める。より具体的には、一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピース80に対してその所定の経路に沿って移動するときに、X、Y及びZ方向の接触領域で局所的な力を生成する。一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80に対して移動すると、ワークピースは、X、Y及びZ方向に所定の大きさ及び成分を有する力ベクトルに沿って連続的に成形される。この局所化された力は、力が加えられるワークピースと接触する領域で、ワークピース80を所望の形状に可塑的且つ永久的に成形する。
【0073】
一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80の1つの面に力を及ぼす間、バッキングローラーツールアセンブリ20はワークピースの反対側の面と連続的に接触を維持する。一次成形ツールアセンブリ10によってワークピース80に力が加えられる結果、弾性層22は変形して、ワークピースがその所望の形状に成形されている間にワークピースを支持することが可能な対向する反力を生成する。
【0074】
一次成形ツールアセンブリ10がZ軸に沿って前進し、ワークピース80を所望の構成に局所的に成形すると、バッキングローラーツールアセンブリ20は、前進する一次成形ツールアセンブリ10の移動に調整するのに必要な程度までZ軸に沿って後退する。弾性層22は、ワークピース80と正確に制御されて接触して移動する間変形した状態で留まり、バッキングローラーツールアセンブリがZ軸に沿って移動する間にワークピースを支持する反力を生成する。その弾性の性質のために、弾性層22は、一次成形ツールアセンブリ10がZ軸に沿って後退し、シート供給ローラーセンブリ40がワークピース80をY軸に沿って新たな位置に動かしたときに、その元の構成に実質的に戻ることができるように選択される。
【0075】
ワークピース80が、選択された位置でその所望の構成に局所的に成形されると、新たな位置でワークピースを成形するためにワークピースのための別の位置が選択される。次いで、シート供給ローラーセンブリ40は、一次成形ツールアセンブリ10のX軸及びZ軸に沿った必要な所定の且つ予めプログラムされた独立した動きと協調して、ワークピース80をY軸に沿ってその選択された位置に動かす。さらに、ワークピース80の独立した動きは、制御システム(図示せず)を介して、Z軸に沿ったバッキングローラーツールアセンブリ20の特定された独立した動きと調整される。その結果、選択された位置でワークピース80の必要な成形が起こる。
【0076】
さらなる座標が選択され、ワークピース80が所望の構成になるように完全に成形されるまで上記のシーケンスが続けられる。図6図10及び本発明のプロセスを行うことに関する添付の説明も参照されたい。
【0077】
図2A図2Cは、本発明のシート成形ISFシステムの第2の実施形態(実施形態2)を示す。この実施形態は、ワークピース80を正確に前進させるためのシート供給ベルトアセンブリ43と、一次成形ツールアセンブリ10と、二次成形ツールアセンブリ(例えば、バッキングローラーツールアセンブリ20)とを含む。
【0078】
実施形態2では、実施形態1のシート供給ローラーセンブリ40がシート供給ベルトアセンブリ43に置き換えられ、シート供給ローラーセンブリと同様に機能する。このアセンブリは、一組のプーリ44A~44H及びローラーを取り囲む連続エンドレスベルト46を含む。一組のローラーは、プーリ44が回転すると、ベルトが所定の速度でY軸に沿って高いけん引力をさせるために連続ベルト46と接触して回転する。従って、ベルト46は、ワークピース80を、好ましくは1つの軸(実施形態2ではY軸として示される)に沿って前後に正確に把持及び移動させる。ベルト46は、実施形態1のプーリ44A~44Hのよりもワークピース80の面との接触面積を広げるような構成及び寸法を有し且つそのために選択された材料でできている。実施形態2のシート供給ベルトアセンブリ43によってワークピース80と接触する追加の表面積はグリップを高め、ワークピースのスリップの可能性を最小限に抑えて、ワークピースのより正確な位置決めを実現する。
【0079】
例えば、少なくとも端88又は89に沿ってワークピース80の両面と接触するように複数のベルトが配置される代替的な実施形態が考えられる。加えて、プーリがワークピース80の一方の面に位置しながらワークピース80の反対の面と接触するベルトの数がわずかに1つである場合も考えられる。
【0080】
実施形態2(例えば、図2A参照)はシート供給ベルトアセンブリ43を4組のプーリ(44A及び44B、44C及び44D、44E及び44F、44G(図示せず)及び44H)と4つのベルト46とを有するものとして示す。1つのローラーセット(44A、44B)はワークピース80の第1の端88に沿って且つワークピースの第1の面(すなわち、上面)上に位置及び配置されている。第2のローラーセット(44C及び44D)はワークピース80の第1の端88に位置及び配置されているが、ワークピースの反対側の面(すなわち、第2の面又は下面)上にある。第3のローラーセット(44E及び44F)は、ワークピース80の第1の端88と平行なワークピース80の第2の端89に沿って位置し及び配置されている。第4のローラーセット(44(図示せず)及び44H)も、ワークピース80の第1のエ端88と平行な第2の端89に位置及び配置されているが、ワークピースの反対側の面上にある。
【0081】
図示のように、連続ベルト46は、複数組のプーリ44A~44Hを取り囲み、端88、89に沿ってワークピース80の面と接触してワークピース80を把持し、Y方向に沿って所望の位置に動かす。ベルト46は、Y軸に沿って前後へとワークピースを正確且つ予測可能で協調的に動かすために、ワークピース80の面に一貫したけん引力を提供できるような寸法を有し且つそのように構成されていることが好ましい。
【0082】
プーリ44A又は44Bのうちの少なくとも1つ及びプーリ44E又は44Fのうちの1つは、好ましくは実施形態2でY軸として示す1つの並進軸に沿ってワークピース80を前後に動かして位置決めするために、様々なプーリ及び周囲ベルト46の回転を調整及び駆動する同期モータ(図示せず)及び制御システムによって作動され得ることが好ましい。加えて又は代替的に、プーリ44C又は44Dのうちの少なくとも1つ及びプーリ44G又は44Hのうちの1つも、ワークピース80を把持し、好ましくは実施形態2でY軸として示す1つの並進軸に沿って前後に動かすために、様々なプーリ及び周囲ベルトの回転を調整及び駆動する同期モータ(図示せず)によって作動され得ることが好ましい。
【0083】
シート供給ベルトアセンブリ43のプーリ44は、鋼、アルミニウム又は当該技術分野で知られている他の好適な材料でできたコアを含む。シート供給ベルトアセンブリ43のベルト46は、ウレタン、ネオプレン又は他の好適な材料で構成され、好ましくは、ガラス繊維、アラミド、KEVLAR(登録商標)材料等のポリアミド繊維、炭素、スチール又は当該技術分野で知られた他の好適な材料のストランドで補強されている。加えて、ベルト46は、ベルトとワークピース80との間の摩擦係数を高めるために、ウレタン、ニトリル、ゴム又は当該技術分野で知られているの他の好適な材料等の材料の層で被覆され得る。ベルト46の幅、厚さ、及びジュロメータは、ワークピース80を一次成形ツールアセンブリ10及び二次成形ツールアセンブリと協調的に整合させるために、ワークピース80の面に正確で一貫したけん引力を加えることができるように選択される。
【0084】
一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20を含む実施形態2の動作は、実施形態1のシート供給ローラーセンブリ40の動作が、説明したシート供給ベルトアセンブリ43の動作で置き換えられていることを除いて、実施形態1に関して説明したとおりである。
【0085】
シート供給ベルトアセンブリ43、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20は、互いに及びコンピュータエンティティと直接的又は間接的にやりとりし、それらの所望の位置におけるそれらの正確な位置決めに関する情報を送受信するように、異なるシステム(例えば、機械的、油圧的)によって制御され得る。図6A図6D及び図9に関するモータ作動の説明並びに図10に関する制御システムも参照されたい。
【0086】
図3A図3Cは、本発明のISFシステムの第3の実施形態(実施形態3)を示す。この実施形態は、ワークピース80を前進させるためのシート固定アセンブリ50、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20を含む。
【0087】
実施形態3では、実施形態1及び2のシート供給ローラー及びシート供給ベルトアセンブリがシート固定アセンブリ50に置き換えられる。シート固定アセンブリ50は、剛性フレーム51及びリテーナ52を含む。ワークピース80は、剛性フレーム51に対してワークピースの動きをしっかりと抑制可能なリテーナ52と剛性フレーム51との間に配置及び固定されている。シート固定アセンブリ50は、少なくともワークピースの周囲の一部に沿ってワークピースをシート固定アセンブリ50によって固定されて保持できるように剛性フレーム51とリテーナ52との間にワークピース80を受容する構成を有することができるような寸法を有する開口を画定する。すなわち、シート固定アセンブリ50内の開口は、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20を利用することにより成形プロセスを行うためにワークピース80の面へのアクセスを提供しつつ、ワークピースをシート固定アセンブリ内に固定することができるように定義されている。
【0088】
リテーナ52は、ワークピース80の周囲に配置された複数のクランプ(図示せず)を含み得る。クランプは、ワークピースの滑りを防止し且つシート固定アセンブリ50内でその固定位置を保持するために、ワークピース80及び剛性フレーム51と係合する及び/又は十分な力を及ぼす。クランプは、開口を取り囲み、ワークピース80を内部でしっかり固定するために、複数の端に沿って又は剛性フレーム51の全ての端上に設けられることが好ましい。シート固定アセンブリ50内でワークピース80をしっかりと保持するためのクランプ又は他の機構は、当技術にしたがった手動、油圧、電気的又は磁気的な作動により、ワークピース80上に一定の、固定された又は調整可能な力を加えるように選択され且つ配置され得る。
【0089】
実施形態3では、シート固定アセンブリ50は、ワークピース80をX-Y平面内のその所望の位置へとY軸に沿って前後に動かしてするために、公知の手段によって前進され得る。シート固定アセンブリ50は、実施形態1のシート供給ローラーセンブリ40と同様な形で動作する。一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20は、実施形態1及び2に関して説明したように動作する。例えば、一次成形ツールアセンブリ10は、シート固定アセンブリ50内の所望の位置に固定されるワークピース80の1つの面に隣接して位置する。バッキングローラーツールアセンブリ20は反対側の面上に位置し、ワークピース80との接触を維持する。
【0090】
例示として、シート固定アセンブリ50は、シート固定アセンブリ及び固定されたワークピース80をY軸に沿って前後に進めるために、1つ以上のモータ(図示せず)によって動かすことができる。その結果、シート固定アセンブリ50は、好ましくは1つの並進軸(Y軸)に沿って所望の位置へとワークピース80を前後に正確に動かす。
【0091】
一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20を含む実施形態3の動作は、実施形態1のシート供給ローラーセンブリ40の動作が、説明したシート固定アセンブリ40の動作で置き換えられていることを除いて、実施形態1に関して説明したとおりである。
【0092】
シート固定アセンブリ50、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングローラーツールアセンブリ20は、ワークピース80のために所定の成形及び結果として得られる所望の形状を生成するために、互いに及びコンピュータエンティティと直接的又は間接的にやりとりし、それらの所望の位置におけるそれらの正確な位置決めに関する情報を送受信するように、異なるシステム(例えば、機械的、油圧的)によって制御され得る。図6A図6D及び図9に関するモータ作動の説明並びに図10に関する制御システムも参照されたい。
【0093】
図4A及び図4Bは、本発明のISFシート成形機の第4の実施形態(実施形態4)を示す。この実施形態では、複数のポストによって接続及び支持されるシート固定アセンブリ60、バッキングフラットツールアセンブリ30を含む二次成形ツールアセンブリ及び下側プラットフォーム63を含む3層アセンブリである。実施形態4は、実施形態1、2及び3に関して前述した一次成形ツールアセンブリ10及びワークピース80も含む。
【0094】
シート固定アセンブリ60は剛性フレーム61と、ワークピース80の動きを抑制し且つワークピース80を所望の位置にしっかり固定できるようにするためのリテーナ62とを含む。シート固定アセンブリ60と、その構成要素である剛性フレーム61及びリテーナ62は、実施形態3のシート固定アセンブリ50とは異なり、シート固定アセンブリ60は直接作動されないことを除いて、シート固定アセンブリ50の材料、設計及び構成と同様である。
【0095】
実施形態4におけるバッキングフラットツールアセンブリ30は、平坦な剛性プレート31と、ワークピース80に隣接するプレート31の面に固定される可撓性の弾性表面材料32の平坦な層とを含む。材料外層32はバッキングフラットツールアセンブリ30の平坦な外面部であってもよい。プレート31は、鋼、アルミニウム又は当技術分野で知られた他の好適な剛性の材料でできていてもよい。
【0096】
実施形態1、2及び3の弾性層22と同様に、実施形態4の弾性層32は、ワークピースを成形するときに一次成形ツールアセンブリ10によってワークピース80に加えられる力の下で層が変形できるように選択されるデュロメータを有する変形可能で圧縮可能な弾性材料でできている。弾性層32のために選択される材料は、ワークピースが新たに選択された位置に移動する間に、(一次成形ツールアセンブリ10から生じる)ワークピース80からの力が取り除かれると、元の構成に実質的に戻ることもできる。
【0097】
例えば、弾性層32は、実施形態1に関して説明したように、エラストマー、好ましくはポリウレタンから作られ得る。あるいは、弾性層32は、ゴム、ネオプレン又はワークピース80と接触したときに可撓性、圧縮性及び変形可能性を有し、ワークピースともはや接触していないときには弾力性及び弾性を有することが可能なデュロメータの他の好適な材料から作られ得る。すなわち、弾性層32のデュロメータは、ワークピース80の材料及び最終的な所望の形状に依存して変化し得る、選択された材料の硬度、圧縮性及び弾性の値に依存する。
【0098】
実施形態4では、弾性層32は、一般に、ショア10A~約80D、好ましくは約30A~約95Aの硬度デュロメータを概して有する。選択される材料の硬度に依存して、弾性層32の厚さは約0.01mm~約25mm、好ましくは約1.0mm~約5.0mmの間で変化する。
【0099】
弾性層32は、接着剤、クランプ等リテーナ又は当技術分野で知られている他の好適な取り付け方法を用いて剛性プレート31に取り付けることによって固定される、(上述したように)弾性材料のプリフォームシートを含むことが好ましい。あるいは、弾性層32は、当技術分野で知られた摩擦手段によって固定され得る。バッキングフラットツールアセンブリ30を構築する別の方法は、前述の弾性材料の接着液体バージョンの平坦層をプレート32の上面に塗布し、プレートに固定されるように材料を所定の位置で硬化させることである。弾性材料は、レベリング、機械加工、研削又は他の製造手段により好適に平坦され得る。
【0100】
実施形態4(例えば、図4A及び図4Bを参照)では、シート固定アセンブリ60とバッキングフラットツールアセンブリ30との間で4つの支持ポスト64が延在し、バッキングフラットツールアセンブリ30と下側プラットフォーム63との間で続けて延在する。支持ポスト64は中実又は中空の管状部材として設けられ得る。ポスト64は、成形プロセスの間に、一次成形ツールアセンブリ10がワークピースに力を及ぼす間にワークピース80の面と連続的に接触した状態で留まることができるようにバッキングフラットツールアセンブリ30がZ方向にポストに沿って自由に摺動できるような寸法を有し且つそのように構成されていることが好ましい。
【0101】
図4Aでは、支持ポスト64は、バッキングフラットツールアセンブリ30の画定された開口内に位置するものとして示されている。しかしながら、ポスト64は変更され得るか又は(例えば、レールシステムを含む)ワークピース80に対してバッキングフラットツールアセンブリ30を垂直に(すなわち、Z軸に沿って)動かすことを可能にし得る当技術分野で知られた別の好適な手段で置き換えられ得る。この摺動動作により、一次成形ツールアセンブリ10がワークピースに力を及ぼす間に、バッキングフラットツールアセンブリ30はワークピース80と連続的に接触した状態で留まるができるようになる。
【0102】
実施形態1~3のバッキングローラーツールアセンブリ20の動作と同様に、バッキングフラットツールアセンブリ30は単一の軸(図4A及び図4Bに示すZ軸)に沿って可動であり、ワークピース80によって定義されるX-Y平面に平行に、シート固定アセンブリ60に関連して名目上平らのままでいる。
【0103】
例示として、シート固定アセンブリ60は、1つ以上のモータ(図示せず)によって移Z軸に沿って動かすことができる。シート固定アセンブリ60、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキングフラットツールアセンブリ30は、互いに及びコンピュータエンティティと直接的又は間接的にやりとりし、それらの所望の位置におけるそれらの正確な位置決めに関する情報を送受信するように、異なるシステム(例えば、機械的、油圧的)によって制御され得る。図6A図6Dに関するモータ作動の説明及び図9に関する説明並びに図10に関する制御システムも参照されたい。
【0104】
図4A及び図4Bにおいて、成形ツール10は、図示しない異なるシステム(例えば、機械的又は油圧的)によって、シート固定アセンブリ60及びワークピース80に対してX、Y及びZ方向に移動できる。シート固定アセンブリ60の剛性フレーム61及びリテーナ62は、一連の支持ポスト64を介して下側プラットフォーム63に固定され得る。プレート31及び弾性層32を含むバッキングフラットツールアセンブリ30は、シート固定アセンブリ60と下側プラットフォーム63との間に位置する。
【0105】
図5は、実施形態4の動作のための代替的な方法を示す。図5において、実施形態4は、垂直マシニングセンタ70(以下、VMC)に組み込まれている。この例では、一次成形ツールアセンブリ10はVMC70のスピンドルアセンブリ72に挿入されている。下側プラットフォーム63は、VMC70のワークテーブルアセンブリ71に固定されている。
【0106】
図4A及び図4Bに関して説明したように、図5では、シート固定アセンブリ60の剛性フレーム61及びリテーナ62は、一連の支持ポスト64を介して下側プラットフォーム63に固定され得る。剛性プレート31及び弾性層32を含むバッキングフラットツールアセンブリ30は、シート固定アセンブリ60と下側プラットフォーム63との間に配置される。結果として得られる3層の装置は、VMC70を介して一次成形ツールアセンブリ10に対して3つの方向に(X、Y及びZ軸に沿って)制御可能に動かすことができる。
【0107】
スピンドルアセンブリ72と共にワークテーブルアセンブリ71を動かすことにより、VMC70は、ワークピース80の3つの軸(X、Y及びZ軸)に沿って、一次成形ツール10に対して並進動作を提供する。例えば、当技術分野で知られているように、VMC70のモーションコントローラー、第2の制御装置又は2つ(図示せず)の組み合わせを介して、Z軸に沿ったバッキングフラットツールアセンブリ30の垂直な動きを同期させることができる。さらに、バッキングフラットツールアセンブリ30は、VMC70と協調して、1つ以上のモータによってワークピース80の方に又はワークピース80から離れるようにZ軸に沿ってさらに動かされ得る。図6A図6Dに関するモータの作動の説明、図9に関する説明及び図10に関する制御システムの説明も参照されたい。
【0108】
例えば、水平マシニングセンタ及び5軸上で動作するマシニングセンタ等の、当技術分野で知られている他の種類のマシニングセンタを用いる代替の実施形態が可能であり、本明細書で考えられる。追加の実施形態は、本明細書で開示する原理から逸脱することなく、一次成形ツールアセンブリ10およびバッキングフラットツールアセンブリ30を当技術分野に従って他の既存の機械に組み込むことも含み得る。
【0109】
図6A図6D図7図8A及び図8Bは、本発明の実施形態に係る、例示の作業経路に沿って一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークピース80の例示的な断面図をそれぞれ示す。
【0110】
図6A図6Dは、本発明の実施形態に係る、平坦なシート(例えば、図6Aを参照)として始まり、最終的な構成81(例えば、図6Dを参照)に成形されるまでの一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークピースの例示の正面断面図を示す。
【0111】
より具体的には、図6A図6Dは、一次成形ツールアセンブリ10、ワークピース80及びバッキング成形ツールアセンブリ90を示す。バッキング成形ツールアセンブリ90は、剛性バッキング91に固定された弾性面材料層92(又はバッキングツールアセンブリ90の外面部)を含む。バッキング成形ツールアセンブリ90は、弾性層22及びコア21を備える弾性バッキングローラーツールアセンブリ20(例えば、図1A図1C図2A図2C及び図3A図3C参照)を含むか又は弾性層32及び剛性プレート31を備えるバッキングフラットツールアセンブリ30(例えば、図4A図4B及び図5参照)を含む、先の実施形態のいずれかの二次成形ツールアセンブリを表す。
【0112】
成形プロセスの間、ワークピース80は一次成形ツールアセンブリ10とバッキング成形ツールアセンブリ90との間で押圧される。一次成形ツールアセンブリ10はワークピース80の一方の面に制御された力を及ぼす。その結果、ワークピース80は変形し、弾性層92に力を与える。そして、弾性層92が圧縮され、ワークピース80の反対側の面から反力を加えて、ワークピースを、一次成形ツールアセンブリ10を取り囲む局部領域又は接触部でワークピースを支持する。その結果、ワークピース80は可塑的且つ永久的に成形される。
【0113】
弾性層92は、ワークピース80と接触している間圧縮された状態で留まる。しかしながら、バッキング成形ツールアセンブリ90がZ軸に沿ってワークピース80から離れて別の予めプログラムされた所定の位置に移動すると、弾性層92はその圧縮される前の構成に戻る。
【0114】
成形プロセスの間、一次成形ツールアセンブリ10はその硬度及び剛性のために堅固なままである。ワークピース80は、その可塑性及び柔軟性から、一次成形ツールアセンブリ10によって加えられる力によって容易に且つ永久的に成形される。次に、弾性層92もワークピース80によってそれに加えられる力によって一時的に変形する。
【0115】
動作において、弾性層92は、選択された材料、その厚さ及びワークピース80の寸法に依存して、約0.001~約0.2インチ以上、好ましくは約0.005~約0.1インチの範囲でZ軸に対して圧縮され得る。
【0116】
図6A図6Dにおいて、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキング成形ツールアセンブリ90は、ワークピース80への局所的な制御された力をもたらす所定の又は予めプログラムされた動きを有する電気機械式の位置決めシステムによって制御されることが好ましい。すなわち、この結果及びワークピース80の所望の成形を得るために、様々なツールの制御された位置決めを確立することに関連するCNCプログラミング技術が利用される。図6A図6Dに示すワークピース80の成形の進行を制御する手段は、図7図8A図8B図10に関して以下でさらに説明する。
【0117】
全ての実施形態はそのような電気機械式の手段によって作動されることが好ましい。サーボモータは好ましい電気機械式の駆動手段である。電気機械式の駆動手段としてステッパモータも使用可能である。加えて、代替的に、機械システムの作動軸の1つ以上に対して精密油圧を利用してもよい。図10及びそれに付随する説明も参照されたい。
【0118】
あるいは、一次成形ツールアセンブリ10又はバッキング成形ツールアセンブリ90又は双方のツールは圧力の関数として制御されてもよい。この代替的な方法では、一次成形ツールアセンブリ10及びバッキング成形ツールアセンブリ90のいずれか又は両方は、ワークピース80に目標の力を及ぼす電気機械式の位置決めシステムによってZ方向に制御される。これにより、圧力制御ツールは、ワークピース80の対応する面に所定の圧力を維持するために、Z軸におけるそれらの位置を変えることができる。すなわち、特定の圧力値に関連する他の公知のCNCプログラミング技術が利用される。参照によりその全内容が本願に組み込まれる米国特許第7536892号を参照されたい。
【0119】
図7に見られるように、一次成形ツールアセンブリ10は、例示的に、元のワークピース80によって画定される平面からオフセットされた平面上を、外側ツール経路83に沿って移動する。一次成形ツールアセンブリ10はZ軸に沿って前進し、図6A図6Dに示すように、制御された力をワークピース80に加える。そして、一次成形ツールアセンブリ10が外側ツール経路83に沿って移動すると、一次成形ツールはワークピース80に対して力の印加を続ける。ワークピース80が成形されている間、二次成形ツールアセンブリ(例えば、バッキング成形ツールアセンブリ90)の弾性層92も変形し、反対の面からワークピースに対して制御された反力を印加する。その結果、ワークピース80は、成形ツールアセンブリ10によって接触される領域において局所化された力を受け、選択されたツール経路に沿って塑性的に成形される。
【0120】
さらなる例示として、図7は、ワークピースの成形がワークピースの中心に向かって増加する、複数のツール経路を有する1つのワークエリアを有するワークピース80を示す。その結果、第1のツール経路83の実行が完了すると、バッキング成形ツールアセンブリ90は、ワークピース80の下面から(Z軸に沿って)所定の距離離れ、一次成形ツールアセンブリ10は、、一次成形ツールアセンブリ10からのワークピース上の成形力に対抗するためにワークピースに十分な反力を提供するため、Z軸に沿って第2のツールパス84に沿ってワークピース80の方に移動する。バッキング成形ツールアセンブリ90は、一次成形ツールアセンブリ10の動きと連動して連続的に移動して、間にワークピースがある状態で一次成形ツールアセンブリの先端の実質的に反対側で留まる。その結果、局所化された成形力がワーク上に維持される。
【0121】
一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピースを弾性層92に押し込むことによってワークピース80の表面を成形する(図6A及び図7参照)。終了すると、次のツール経路84(図7参照)上で成形プロセスが再度始まる。成形プロセスが完了し、ワークピース80がその最終的な構成81(図6B図6D及び図7参照)に成形されるまで、各連続ツール経路に基づいてプロセスが繰り返される(図6B及び図7参照)。
【0122】
図8A及び図8Bに示すように、シート材料当たり2つ以上の成形又はワーク領域100を有する構成を生成するために他のツール経路方法が用いられ得る。具体的には、図8A及び図8Bは、互いに離れた2つのワーク領域100を有するワークピース80を示す。これらの図は、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタル成形ステップを受けるワークピース80上の2つの別々のワーク領域に複数の成形を成形するための方法を示す。この方法は、1つ以上のワーク領域を有するワークピースに適用可能である。
【0123】
図8Aはツール経路101~108を示す。ツール経路101、103、105及び107は一次成形領域100に適用可能であり、ツール経路102、104、106及び108は第2の成形領域100に適用可能である。
【0124】
図8Bは、本発明の実施形態に係る一連のインクリメンタルマルチ成形ステップを受けてその新たに成形された最終構成81されたワークピースの例示の最終的な正面断面図を示す。より具体的には、図8Bは一次成形ツールアセンブリ10及び二次成形ツールアセンブリ(例えば、バッキング成形ツールアセンブリ90)を示す。二次成形ツールアセンブリは弾性層92(実施形態1~3の弾性層22及び実施形態4の弾性層32に対応)及び剛性バッキング91(実施形態1~3のコア21及び実施形態4の剛性プレート31に対応)を含む。
【0125】
この例では、一次成形ツールアセンブリ10はツール経路101~108を数字順(すなわち、101、102、103、104、105、106、107及び最後に108の順)を進む。この例では、ツール経路101及び102、103及び104、105及び106、107及び108のそれぞれは、Z軸上の実質的に同じ位置でX-Y平面に沿って位置する。
【0126】
この例示のインクリメンタル成形方法によれば、一次成形ツールアセンブリ10は、ツール経路101の長さに沿ったどこかにあるツール経路101の選択されたZ軸位置に移動する。弾性バッキング成形ツールアセンブリ90は、ツール経路101と実質的に同じである、ツール経路101のものと実質的に同じZ軸位置(又はZ軸方向の正又は負の位置における予め選択された次元オフセット(dimensional offset))へとZ軸方向に移動する。そして、一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピース80が成形され、弾性バッキング成形ツールアセンブリ90がワークピースを支持するように、ツール経路101に沿って力を及ぼすことに進む。ツール経路101に沿った移動が完了すると、次に、一次成形ツールアセンブリ10はワークピース80から離れて、ワークピース80の元のX-Y基準面82を通過して、X-Yクリアランス面109(図8B参照)へとZ軸方向に引っ込められる。
【0127】
クリアランス平面109は、一次成形ツールアセンブリ10がワークピース80の表面と接触しないように、基準面82から十分な距離離れて位置する。次に、一次成形ツールアセンブリ10は、依然クリアランス面109に沿って位置しながら、ツール経路102の上の新たに選択されたX-Y位置に進む。次に、一次成形ツールアセンブリ10は、ツール経路101のために以前選択されたのと実質的に同じツール経路102上のZ軸位置へとツーワークピース80の方に移動する。
【0128】
一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピース80が成形され、弾性バッキング成形ツールアセンブリ90がワークピースを支持すると、ツール経路102に沿って力の印加を進める。その結果、ツール経路102に沿ったワークピース80の成形量は、実質的にツール経路101に沿ったものと同じ量になる。ツール経路101及びツール経路102に沿った一次ツールアセンブリ10の移動の間、この例では、バッキング成形ツールアセンブリ90のZ軸上の位置は変化していない。
【0129】
一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピース80から離れて元の基準面82を通過し、クリアランス面109に戻るようにZ軸方向に再度引っ込められる。次に、一次成形ツールアセンブリ10は、ツール経路103の上方のX-Y位置に進む。弾性バッキング成形ツールアセンブリ90も、ワークピース80から離れて予め選択されたZ軸位置(又はZ軸方向における正又は負の次元における次元オフセット)に移動する。次に、一次成形ツールアセンブリ10は、ツール経路103の選択されたZ軸レベルに移動し、ツール経路103に沿って進む。ツール経路103に沿って成形が完了すると、一次成形ツールアセンブリ10は、依然クリアランス面109に沿って位置しながら、ツール経路104上の新たに選択されたX-Y位置に進む。次に、一次成形ツールアセンブリ10は、ツール経路101について先に選択されたのと実質的に同じであるツール経路104上のZ軸位置へとワークピース80の方に移動する。
【0130】
一次成形ツールアセンブリ10は、ワークピース80が成形され、弾性バッキング成形ツールアセンブリ90がワークピースを支持すると、ツール経路104に沿って力の印加を進める。その結果、ツール経路104に沿ったワークピース80の成形量は、実質的にツール経路101に沿ったものと同じ量になる。ツール経路103及びツール経路104に沿った一次ツールアセンブリ10の移動の間、この例では、バッキング成形ツールアセンブリ90のZ軸上の位置は変化していない。
【0131】
次いで、この方法は、ワークピース80が複数の成形箇所を有する最終的な形状に成形されるまで、ツール経路105及び106、107及び108について繰り返され且つ継続される。すなわち、実質的に同じZ軸レベルで成形されるべきツール経路は、実質的に同じZ軸レベルの最終的な構成を有する全てのツール経路を成形するために全て順番に処理される。
【0132】
本発明の方法によれば、単一のシート材料上の複数の成形箇所は同じの最終形状又は同じの最終的な成形量を有する必要はない。複数の成形箇所の異なる構成が単一のシート材料上で必要な場合、上記のインクリメンタルプロセスは、複数の成形箇所について最小の成形量が考えられるツール経路に沿って開始され得る。次いで、プロセスは、次の成形量が考えられるツール経路に進み、次いで、全てのツール経路構成が完了し、最終的な形状が得られるまで続けられる。
【0133】
図9A図9Cは、本発明に係る様々な一次成形ツールアセンブリの断面図を示す。
【0134】
図9Aは、任意の好適な剛性材料、通常は硬化鋼又は工業セラミックで作られた固体ツールを含む一次成形ツールアセンブリ10を示す。ワークピース80と接触する一次成形ツールアセンブリの先端は任意の形状とすることができる。用途に応じて、先端は球形であることが好ましい。一次成形ツールアセンブリ10は、金属加工ツールに関して当該技術分野で知られている、さらなる硬化又はコーティング等の表面処理も有し得る。
【0135】
図9Bは、ツールシャフト12及び取り付けられたツール先端部11を含む一次成形ツールアセンブリ10を示す。ツールシャフト12は任意の好適な材料、通常は硬化鋼で作ることができる。ツールシャフト12は、金属加工ツールに関して当該技術分野で知られている、さらなる硬化又はコーティング等の表面処理も有し得る。
【0136】
ツール先端部11は球状であることが好ましいが、他の形状も可能であり、考えられる。ツール先端部11は任意の好適な硬質で剛性の材料、好ましくはセラミック又はスチール合金で作られ得る。ツール先端部11は、機械的に又は接着のいずれかでツールシャフト12に固定取り付けされ得る。代替的に、ツールチップ11は、後述するように、ツールシャフト12によって保持され、ツールシャフト12に対して自由に回転するように設計され得る。
【0137】
図9Cは、ツールシャフト12、ツール先端部11及びツール先端部11とツールシャフト12との間に位置する滑り軸受13を含む一次成形ツールアセンブリ10を示す。この実施形態は、回転する先端を有するボールペンと同様に作用する。
【0138】
一次成形ツールアセンブリ10の全て又は一部(例えば、先端部11)は、工業グレードのセラミック材料を含むことが好ましい。すなわち、図9A図9Cのそれぞれにおける1つ以上のコンポーネント11、12及び13は、ワークピース80の硬度よりも硬度が高いエンジニアリングセラミックで作られ得る。ワークピース80の実際の材料に応じて、限定されないが窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素及び酸化アルミニウム等の酸化セラミック及び非酸化物セラミックを含む、多くの技術又は工学グレードのセラミックが用いられ得る。多くの場合、窒化ケイ素(Si)セラミックが好ましい。一次成形ツールアセンブリ10及びそのツール先端部11の硬度は、ワークピース80の硬度よりも大きい。
【0139】
成形されるワークピースのサイズ及び必要とされる最終的な成形に応じて、ツール先端部11は球状であることが好ましく、その直径は約0.125インチ~約2.0インチの範囲であることが好ましく、より大きいワークピースの場合は約0.50インチ~約1.50インチであることがより好ましく、より小さなワークピースの場合は約0.125インチ~約0.50インチであることが好ましい。
【0140】
一次成形ツールアセンブリ10の一部としてエンジニアリンググレードのセラミックを組み込むことにより、従来技術の装置で必要となり得るワークピースの一定の潤滑の必要性が最小限に抑えることも分かった。本発明の方法に従って工業用セラミック(例えば、とりわけ窒化ケイ素)の球状ボールは、本発明の方法に従ってツール先端部11として用いられた場合、ワークピース80に加えられる力及び結果として生じる摩擦にもかかわらず、破砕しないため有利である。これらの工業用セラミックの先端部は、シート金属等の材料の成形されたシート材料に対して研磨又はバニシ仕上げも施す。
【0141】
滑り軸受13に好適な材料としては、限定されないが、既知の軸受材料に従ってセラミック、金属又はプラスチックが挙げられる。
【0142】
図10は、同期制御システムと組み合わせた本発明の実施形態の部分断面図を示す。図10は、同期コントローラーセンブリ85、非接触測定センサ86及び接触測定センサ87を示す。図10は、一次成形ツールアセンブリ10及び二次成形ツールアセンブリ(例えば、バッキング成形ツールアセンブリ90)も示す。二次成形ツールアセンブリは弾性層92(実施形態1~3の弾性層22及び実施形態4の弾性層32に対応)及び剛性バッキング91(実施形態1~3のコア21(例えば、図1A図1B図2A図2B及び図3A図3B参照)及び実施形態4の剛性プレート31(例えば、図4A図4B及び図5参照)に対応)を含む。
【0143】
図10では、1つ以上のコントローラー又は制御モジュールが、上述の実施形態で説明したコンポーネントに適用可能な同期制御動作のために提供され得る。例示として、同期コントローラーセンブリ85は、先の実施形態のシート供給ローラーセンブリ40(例えば、図1A図1C参照)又はシート供給ベルトアセンブリ43(例えば、図2A図2C参照)又はシート固定アセンブリ50(例えば、図3A図3C参照)又はワークテーブルアセンブリ71(例えば、図5を参照)(全てのコンポーネントが図10に示されているわけではない)、一次成形ツールアセンブリ10及び二次成形ツールアセンブリ90(例えば、バッキングローラーツールアセンブリ20(例えば、図1A図1B図2A図2B及び図3A図3B参照)又はバッキングフラットツールアセンブリ30(例えば、図4A図4B及び図5参照)の正確な位置決めを監視及び制御する。同期コントローラーセンブリ85は様々なサブシステムと直接やりとりし得る。あるいは、同期コントローラーセンブリ85は、各サブシステムの位置情報を取得することによって間接的にやりとりして、協調制御を決定及び提供する。
【0144】
図10では、同期コントローラーセンブリ85は、当該技術に従ったNC(数値制御)データに基づいて動作し得る。同期コントローラーセンブリ85は、設計仕様にワークピース80を成形するために、数値制御データが導出されるCADデータを受信するように適合され得る。コントローラーセンブリ85は、ワークピース80と物理的に接触する接触センサ87を介して又は非接触センサ86(すなわち、レーザー又は光学式計測システム)を介して物理的接触なしで、ワークピース80の位置及び成形プロセスを監視し得る。同期コントローラーセンブリ85、接触センサ87及び非接触センサ86を含む制御システムは、本発明の成形プロセスの開始時に、好ましくは成形プロセス全体を通して、ワークピース80の位置を監視し得る。
【0145】
図10によれば、上述したように、ワークピース80の成形の経路に沿った特定位置でのワークピース80の成形量を測定するために、非接触センサ86又は接触センサ87が設けられている。センサ86又は87から得られた測定値は、成形の経路に沿った同じ特定位置での所定の成形量と比較される。得られた比較測定値はコントローラーセンブリ85に中継される。次いで、コントローラーセンブリ85は、所定の形状にワークピースを所定の形状に成形するために、経路に沿った予めプログラムされた必要な成形量に対して一次成形ツールアセンブリ10及びバッキング成形ツールアセンブリ90のうちの少なくとも一方の位置を調整する。米国特許第7536892号も参照されたい。
【0146】
図10に示す制御システムは好ましい実施形態に関連して示されているが、この制御システムは、本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれかと共に利用できる。
【0147】
本明細書では本発明の詳細な実施形態が開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な及び代替的な形態で実施され得る本発明の例示にすぎないことを理解すべきである。図面はかならずしも縮尺通りではない。特定のコンポーネントの詳細を示すために、いくつかの特徴は誇張されているか又は最小化されていることがある。したがって、本明細書で開示した特定の構造及び機能に関する詳細は限定的として解釈すべきではなく、特許請求の範囲のための表現的な根拠及び/又は本発明を様々な形で用いるために当業者に教示するための表現的な根拠として解釈すべきである。
【0148】
さらに、図では、様々なコンポーネント(例えば、シート供給ローラーセンブリ40又はシート供給ベルトアセンブリ43又はシート固定アセンブリ50又はシート固定アセンブリ60;一次成形ツールアセンブリ10;及びバッキングローラーツールアセンブリ20又はバッキングフラットツールアセンブリ30又はバッキング成形ツールアセンブリ90)の互いに対する動作に関して、三次元直交座標系のX、Y及びZ軸が参照されている。様々なコンポーネントの動作は、適用可能なように、他のコンポーネントのそれぞれの動作及び基準面に関連して示すことを意図したものであると理解すべきである(すなわち、インクリメンタル成形の前のワークピースの初期構成によって定義される)。
【0149】
加えて、第1又は第2の面、上若しくは下又は垂直若しくは水平等であると特定の面を参照した。そのような方向の説明は、該当する図に示されているように、適切なX、Y、およびZ軸に関して考慮されることを意図している。
【0150】
さらに、図1A図6A図6D及び図8BのX-Y平面82として基準面を示した。簡単のために、基準面は他の図面には示されていないが、インクリメンタル成形の前のX-Y平面に沿ったワークピース80の初期の概ね平坦な構成であることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10