(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】シールドばねコンタクト、シールドばねコンタクトを備えるプラグインコネクタ、ケーブルシールド接続部、およびシールドばねコンタクトを備えるプラグインコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20240930BHJP
【FI】
H01R13/6581
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117187
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 421.8
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ウミト ブルドゥク
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン フェアティヒ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン シェアー
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-349532(JP,A)
【文献】特開平06-260246(JP,A)
【文献】特開2012-252874(JP,A)
【文献】特開2006-310139(JP,A)
【文献】特開2001-250642(JP,A)
【文献】特開2018-010720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気プラグインコネクタシステム(400)のための電気プラグインコネクタ(200)用のシールドばねコンタクト(100)であって、
前記シールドばねコンタクト(100)は、円筒形基部(103)および円錐形シールド部(105)を有するスリーブ形状本体(101)を有し、
前記シールドばねコンタクト(100)は、前記スリーブ形状本体(101)の通路開口部(111、113)を介して前記電気プラグインコネクタ(200)のケーブル(201)に配置可能であり、
前記シールドばねコンタクト(100)は、前記円筒形基部(103)を介して圧着接続により前記電気プラグインコネクタ(200)の前記ケーブル(201)の編組体(203)に接続可能であり、
前記円錐形シールド部(105)は、前記シールドばねコンタクト(100)の長手方向(119)に沿って延びるアパーチャ(107)を有し、弾性変形可能であり、
前記シールドばねコンタクト(100)は、前記円錐形シールド部(105)を介して前記プラグインコネクタシステム(400)のケーブルシールド接続部(300)のアセンブリハウジング(301)と接触可能であり、
前記プラグインコネクタ(200)の前記ケーブル(201)の前記編組体(203)の電流を、前記ケーブルシールド接続部(300)の前記アセンブリハウジング(301)との前記円錐形シールド部(105)の接触を介して前記ケーブルシールド接続部(300)の前記アセンブリハウジング(301)へと逸らすことが可能である、
シールドばねコンタクト(100)。
【請求項2】
前記円筒形基部(103)は、円筒形外面(115)において周方向に配置されている少なくとも1つの溝(117)を有する、
請求項1に記載のシールドばねコンタクト(100)。
【請求項3】
前記アパーチャ(107)は、スロットとして設計されている、
請求項
1に記載のシールドばねコンタクト(100)。
【請求項4】
前記アパーチャ(107)は、
前記長手方向(119)に延び、かつ径方向内方に伸長する屈曲要素(109)を備える、
請求項
1に記載のシールドばねコンタクト(100)。
【請求項5】
前記アパーチャ(107)は、打ち抜き加工されている、
請求項
1に記載のシールドばねコンタクト(100)。
【請求項6】
カラー形状の安定化接続要素(125)をさらに備え、
前記安定化接続要素(125)は、前記
スリーブ形状本体(101)の、前記円錐形シールド部(105)に配置されている通路開口部(113)に形成され、前記シールドばねコンタクト(100)を前記プラグインコネクタ(200)の前記ケーブル(201)に固定するように構成されている、
請求項
1に記載のシールドばねコンタクト(100)。
【請求項7】
前記安定化接続要素(125)は、少なくとも部分的に前記円錐形シールド部(105)の前記通路開口部(113)に配置され、
前記円錐形シールド部(105)は、少なくとも部分的に前記安定化接続要素(125)に載る、
請求項6に記載のシールドばねコンタクト(100)。
【請求項8】
前記安定化接続要素(45)は、プラスチックから製造されている、
請求項
6に記載のシールドばねコンタクト(10
0)。
【請求項9】
プラグインコネクタシステム(400)のためのプラグインコネクタ(200)であって、
前記プラグインコネクタ(200)は、
- 前記プラグインコネクタシステム(400)のケーブルシールド接続部(300)への接続のための接続部(213)を有するケーブル(201)と、
- 前記ケーブル(201)に配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載のシールドばねコンタクト(100)と、を備え、
前記シールドばねコンタクト(100)は、圧着接続を介して前記ケーブル(201)の編組体(203)に接続されている、
プラグインコネクタ(200)。
【請求項10】
前記シールドばねコンタクト(100)は、内部フェルール(209)および/または外部フェルール(211)を介して前記ケーブル(201)の前記編組体(203)に圧着され、
前記内部フェルール(209)は、前記ケーブル(201)と前記シールドばねコンタクト(100)との間に配置され、
前記外部フェルール(211)は、前記シールドばねコンタクト(100)の前記円筒形基部(103)の円筒形外面(215)を覆う、
請求項9に記載のプラグインコネクタ(200)。
【請求項11】
プラグインコネクタシステム(400)のためのケーブルシールド接続部(300)であって、
前記ケーブルシールド接続部(300)は、前記プラグインコネクタシステム(400)のプラグインコネクタ(200)の接続部(213)とアセンブリハウジング(303)とを接続するための接続部(301)を有し、
前記アセンブリハウジング(303)は、前記プラグインコネクタ(200)を挿入するための挿入開口部(305)を有し、
前記挿入開口部(305)は、前記プラグインコネクタ(200)が挿入されたときに、シールドばねコンタクト(100)の円錐形シールド部(105)に接触するように構成されている、
ケーブルシールド接続部(300)。
【請求項12】
前記アセンブリハウジング(303)は、曲げ加工または打ち抜き加工された金属薄板構造を有する、請求項11に記載のケーブルシールド接続部(300)。
【請求項13】
前記アセンブリハウジング(303)は、ミーリングまたは鋳造されたハウジング構造を有する、請求項11に記載のケーブルシールド接続部(300)。
【請求項14】
前記挿入開口部(305)は、円形の断面を有する、請求項11から13のいずれか一項に記載のケーブルシールド接続部(300)。
【請求項15】
請求項
9に記載のプラグインコネクタ(200
)を備えるプラグインコネクタシステム(400)。
【請求項16】
請求項11に記載のケーブルシールド接続部(300)を備えるプラグインコネクタシステム(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドばねコンタクト、シールドばねコンタクトを備えるプラグインコネクタ、ケーブルシールド接続部、およびシールドばねコンタクトを備えるプラグインコネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
シールド電流を流すように設計されたシールドシステムを有するプラグインコネクタシステムが、従来技術から知られている。高周波電流が導電体を通して流れたときに、シールド電流をシールドに容量結合または誘導結合させることができる。プラグインコネクタシステムの第1のプラグインコネクタが、例えばアセンブリの導電性ハウジングに一体化される場合、シールド電流をハウジングのハウジング壁に伝導させることができる。
【0003】
この目的で、ハウジング壁は通常、ハウジング壁の切抜き部の周囲の領域に配置される中空円筒形ドームを有する。ハウジング壁におけるそのようなドームは、ダイカスト加工により生産することができる。ドームは、切抜き部に配置された導電体をシールドし、シールド電流を逸らすことを意図している。
【0004】
ハウジングの複雑な生産とは別に、ドームと第2のプラグインコネクタのシールド構造との間の安全な電気的接触には、ドームの機械加工がさらに必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、プラグインコネクタのためのシールドばねコンタクト、プラグインコネクタ、ケーブルシールド接続部、およびプラグインコネクタシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項のシールドばねコンタクト、プラグインコネクタ、ケーブルシールド接続部、およびプラグインコネクタシステムにより実現される。従属請求項には、有利な発展例が示されている。
【0007】
一態様によれば、円筒形基部および円錐形シールド部を有するスリーブ形状本体を有する、電気プラグインコネクタシステムのための電気プラグインコネクタのためのシールドばねコンタクトが提供される。
シールドばねコンタクトは、スリーブ形状本体の通路開口部(passage opening)を介して電気プラグインコネクタのケーブルに配置可能であり、シールドばねコンタクトは、基部を介して圧着接続により電気プラグインコネクタのケーブルの編組体に接続可能であり、円錐形シールド部は、シールドばねコンタクトの長手方向に沿って延びるアパーチャを有し、弾性変形可能であり、シールドばねコンタクトは、円錐形シールド部を介してプラグインコネクタシステムのケーブルシールド接続部のアセンブリハウジングと接触可能であり、プラグインコネクタのケーブルの編組体の電流を、ケーブルシールド接続部のアセンブリハウジングとの円錐形シールド部の接触を介してケーブルシールド接続部のアセンブリハウジングへと逸らすことが可能である。
【0008】
それにより、改善されたシールドばねコンタクトを提供することができるという技術的利点を実現することができる。スリーブ形状構造により、シールドばねコンタクトを簡単に製造でき、通路開口部へのケーブルの挿入によりプラグインコネクタのケーブルに簡単に固定できる。円錐形シールド部により、プラグインコネクタをアセンブリハウジングの挿入開口部に挿入することによって、ケーブルシールド接続部のアセンブリハウジングとの接触を形成することが可能となる。
【0009】
この接触により、ケーブルの編組体の電流をアセンブリハウジングへと逸らすことが可能となる。円筒形基部により、シールドばねコンタクトを編組体に接続し、よって、実現が技術的に容易な圧着接続によりケーブルに固定することが可能となる。
【0010】
円錐形シールド部の弾性可撓性により、アセンブリハウジングとの最適な接触が可能となる。ここで、可撓性により、シールド部と、異なるサイズの断面を有する挿入開口部を有するアセンブリハウジングとの間の接触が可能となる。ここで、シールド部の可撓性により、アセンブリハウジングの挿入開口部の縁部に対するシールド部の接触力が一定であることが確実になり、それにより最適な接触が可能となる。
【0011】
一実施形態によれば、円筒形基部は、円筒形外面において周方向に配置されている少なくとも1つの溝を有する。
【0012】
それにより、圧着接続によるプラグインコネクタのケーブルにおけるシールドばねコンタクトの固定の改善がこれらの溝により確実になるという技術的利点を実現することができる。さらに、編組体とシールドばねコンタクトとの間の導電性が向上する。
【0013】
一実施形態によれば、アパーチャは、スロットとして設計される。
【0014】
それにより、弾性変形能の向上をスロットにより実現することができるという技術的利点を実現することができる。これにより、アセンブリハウジングとのシールドばねコンタクトの電気的接触性が向上する。さらに、可撓性により、シールドばねコンタクトを、異なるサイズの断面を有するアセンブリハウジングにおける挿入開口部に対して適合させることが可能となる。
【0015】
一実施形態によれば、アパーチャは、長手方向に延び、径方向内方に伸長する屈曲要素を備える。
【0016】
それにより、シールド部の実質的に閉じた表面を得ることが屈曲要素によって可能となるという技術的利点を実現することができる。それにより、電磁両立性EMCに関する要件を満たすことができる。
【0017】
一実施形態によれば、アパーチャは、打ち抜き加工される。
【0018】
それにより、アパーチャの簡単な生産が可能となるという技術的利点を実現することができる。
【0019】
一実施形態によれば、シールドばねコンタクトは、カラー形状の安定化接続要素をさらに有し、安定化接続要素は、本体の、円錐形シールド部に配置されている通路開口部に形成され、シールドばねコンタクトをプラグインコネクタのケーブルに固定するように構成される。
【0020】
それにより、プラグインコネクタのケーブルにおけるシールドばねコンタクトの固定の改善が安定化接続要素により実現されるという技術的利点を実現することができる。固定の改善により、プラグインコネクタのケーブルに対するシールドコンタクトの耐振動性の向上が確実になる。
【0021】
一実施形態によれば、安定化接続要素は、少なくとも部分的に円錐形シールド部の通路開口部に配置され、円錐形シールド部は、少なくとも部分的に安定化接続要素に載る。
【0022】
それにより、プラグインコネクタのケーブルにおけるシールドばねコンタクトの固定の改善が可能となるという技術的利点を実現することができる。
【0023】
一実施形態によれば、安定化接続要素は、プラスチックから製造される。
【0024】
それにより、プラグインコネクタのケーブルに対するシールドばねコンタクトの電気的絶縁が可能となるという技術的利点を実現することができる。
【0025】
さらなる態様によれば、プラグインコネクタシステムのケーブルシールド接続部への接続のための接続要素を有するケーブルを備え、ケーブルに配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載のシールドばねコンタクトを備える、プラグインコネクタシステムのためのプラグインコネクタが提供される。シールドばねコンタクトは、圧着接続を介してケーブルの編組体に接続される。
【0026】
それにより、上記の技術的利点を有するシールドばねコンタクトを有する改善されたプラグインコネクタを提供することができるという技術的利点を実現することができる。
【0027】
一実施形態によれば、シールドばねコンタクトは、内部フェルールおよび/または外部フェルールを介してケーブルの編組体に圧着され、内部フェルールは、ケーブルとシールドばねコンタクトとの間に配置され、外部フェルールは、シールドばねコンタクトの円筒形基部の円筒形外面を覆う。
【0028】
それにより、改善された安定した圧着接続がフェルールにより実現されるという技術的利点を実現することができる。
【0029】
さらなる態様によれば、プラグインコネクタシステムのプラグインコネクタの接触部とアセンブリハウジングとを接触させるための接触部を有する、プラグインコネクタシステムのためのケーブルシールド接続部が提供される。アセンブリハウジングは、プラグインコネクタを挿入するための挿入開口部を有し、挿入開口部は、プラグインコネクタが挿入されたときに、シールドばねコンタクトの円錐形シールド部に接触するように構成される。
【0030】
それにより、本発明に係るプラグインコネクタに接続可能な改善されたケーブルシールド接続部を提供することができるという技術的利点を実現することができる。アセンブリハウジングの挿入開口部により、シールドばねコンタクトとの電気的接触が可能となる。
【0031】
一実施形態によれば、アセンブリハウジングは、曲げ加工または打ち抜き加工された金属薄板構造を有する。
【0032】
それにより、アセンブリハウジングの技術的に簡単な生産が可能となるという技術的利点を実現することができる。
【0033】
一実施形態によれば、アセンブリハウジングは、ミーリングまたは鋳造されたハウジング構造を有する。
【0034】
それにより、頑丈かつ強靱なハウジング構造を提供することができるという技術的利点を実現することができる。
【0035】
一実施形態によれば、挿入開口部は、円形の断面を有する。
【0036】
それにより、アセンブリハウジングとシールドばねコンタクトとの間の接触の改善が可能となるという技術的利点を実現することができる。
【0037】
さらなる態様によれば、上記の実施形態のうちの1つに係るプラグインコネクタと、上記の実施形態のうちの1つに係るケーブルシールド接続部とを備えるプラグインコネクタシステムが提供される。
【0038】
それにより、上記の技術的利点を有するプラグインコネクタおよびケーブルシールド接続部を有する改善されたプラグインコネクタシステムを提供することができるという技術的利点を実現することができる。
【0039】
模式的な図面に関して、本発明を下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1-1】
図1A,
図1Bは、様々な実施形態に係るシールドばねコンタクトの模式図である。
【
図2】一実施形態に係るシールドばねコンタクトを有するプラグインコネクタの模式的断面図である。
【
図3】
図2におけるプラグインコネクタの模式的斜視図である。
【
図4】プラグインコネクタおよびケーブルシールド接続部を有するプラグインコネクタシステムの模式的断面図である。
【
図5】
図4におけるプラグインコネクタシステムのさらなる模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1(
図1-1,
図1-2)は、様々な実施形態に係るシールドばねコンタクト100の模式図を示す。
【0042】
図1Aから
図1Eは、本発明に係るシールドばねコンタクト100の様々な実施形態を示す。
【0043】
図2~
図6に示す実施形態に係るプラグインコネクタ200およびケーブルシールド接続部300に関して、シールドばねコンタクト100の様々な実施形態を説明する。
【0044】
本発明によれば、シールドばねコンタクト100は、円筒形基部103および円錐形シールド部105を有するスリーブ形状本体101を有する。スリーブ形状本体101は、長手方向119に沿って互いに反対側に配置された2つの通路開口部111、113を有する。
【0045】
図2における実施形態に係るプラグインコネクタ200のケーブル201を挿入することにより、シールドばねコンタクト100をプラグインコネクタ200のケーブル201に配置することができる。
【0046】
円筒形基部103を介して、シールドばねコンタクト100を圧着接続によりプラグインコネクタ200のケーブル201の編組体203に接続することができる。
【0047】
シールドばねコンタクト100がプラグインコネクタ200のケーブル201に配置され、プラグインコネクタ200が、プラグインコネクタシステム400の、プラグインコネクタ200に接続されたケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303の挿入開口部305に挿入されると、シールドばねコンタクト100を、円錐形シールド部105を介してケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303に電気的に接続することができる。
【0048】
この電気的接続により、プラグインコネクタ200のケーブル201の編組体203の電流を、ケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303へと逸らすことが可能となる。
【0049】
本発明によれば、シールド部105は、長手軸119に沿って延びるアパーチャ107を有する。アパーチャ107により、シールド部105の弾性変形能が実現される。これにより、シールドばねコンタクト100とケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303との間の最適な電気的接触が可能となる。
【0050】
図1Aにおける実施形態によれば、アパーチャ107は各々、長手方向119に沿って延び、内方に湾曲する屈曲要素109を有する。屈曲要素109は、スリーブ形状本体101の内部へと屈曲する。屈曲要素109により、円錐形シールド部105の外面が実質的に閉じることが確実になる。
【0051】
図1Bにおける実施形態によれば、円筒形基部103は、円筒形外面115に形成される複数の溝117を有する。溝117により、プラグインコネクタ200のケーブル201の編組体203との圧着接続および電気的接触の改善が可能となる。
【0052】
図1Cにおける実施形態によれば、アパーチャ107は、屈曲要素109を有しないスロットとして設計される。
【0053】
アパーチャ107により、円錐形シールド部107の弾性変形能が確実になる。弾性変形能により、円錐形シールド部107は、ケーブルシールド接続部のアセンブリハウジングの挿入開口部の縁部領域により変形されると、対応する接触力をそれぞれの縁部領域に及ぼし、それによりシールドばねコンタクト100とアセンブリハウジングとの間の電気的接触を改善するように構成される。
【0054】
アパーチャ107の数および配置は、図示の実施形態におけるものとは異なっていてもよい。アパーチャ107の長さについても同様である。これらも、
図1における例示的実施形態と異なっていてもよい。
【0055】
アパーチャ107の配置および設計ならびに数は、シールド部105の所望の弾性変形能、および変形時にシールド部により印加され得る接触力に関して、個々に構成されてよい。
【0056】
本発明によれば、シールドばねコンタクト100は、金属材料から製造される。シールドばねコンタクト100は、銅合金から製造されることが好ましい。
【0057】
シールドばねコンタクト100の厚さは、シールドばねコンタクト100の所望の導電性および所望の堅牢性に従って、それぞれのアプリケーションに対して適合されてよい。
【0058】
シールドばねコンタクト100は、冷間引抜法により製造されてよい。代替的に、シールドばねコンタクト100は、打ち抜き曲げ加工により製造されてもよい。
【0059】
図1D)における実施形態において、シールドばねコンタクト100は、曲げ加工により製造される。図示の実施形態において、シールドばねコンタクト100は、長手軸119に沿って延びる屈曲スロット121を有する。
【0060】
屈曲スロット121の拡大図を示す
図1Eにおける実施形態において、屈曲スロットは、蛇行形状を有し、ジグソーパズル構造123を形成する。ジグソーパズル構造123により、堅固な接続が可能となり、屈曲スロット121を閉じることができる。ジグソーパズル構造は、少なくとも1つまたは複数のスポット溶接部により結合されてもよい。
【0061】
図示のシールドばねコンタクト100は、様々な断面を有するように製造されてよい。結果として、シールドばねコンタクト100を、様々な断面のケーブル201に対して提供することができる。代替的にまたは加えて、異なる厚さのフェルールにより、断面の埋め合わせを実現することもできる。
【0062】
図2は、一実施形態に係るシールドばねコンタクト100を有するプラグインコネクタ200の模式的断面図を示す。
【0063】
図示のプラグインコネクタ200は、内部絶縁体205、外部絶縁体207、および絶縁体205、207の間に配置される編組体203を有するケーブル201を有する。内部絶縁体205および外部絶縁体207は、ケーブル201において互いに同心円状に配置される。プラグインコネクタ200は、プラグインコネクタシステム400のケーブルシールド接続部300へのプラグインコネクタ200の電気的接続を可能とする接続部213をさらに有する。
【0064】
図示の実施形態において、接続部213は、ケーブルシールド接続部300へのねじ接続のためのねじ要素215を有する。ただし、これは単に例示である。本発明をねじ接続に限定する意図はない。
【0065】
図示のプラグインコネクタ200は、本発明に係るシールドばねコンタクト100をさらに備える。シールドばねコンタクト100は、プラグインコネクタ200のケーブル201に配置される。圧着接続を用いて、シールドばねコンタクト100が、円筒形基部103を介してケーブル201の編組体203に固定される。
【0066】
図示の実施形態において、圧着接続は、2つのフェルール209、211により実現される。この場合、内部フェルール209が、ケーブル201とシールドばねコンタクト100との間に配置される。一方で、外部フェルール211が、基部103の円筒形外面115を覆う。この配置において、編組体203は、シールドばねコンタクト100の基部103と外部フェルール211との間に配置される。この場合、編組体203は、シールドばねコンタクト100の基部103の円筒形外面115に接触する。
【0067】
別の代替例としては、編組体203が基部の円筒形内面に接触する配置がある。
【0068】
図示の実施形態において、シールドばねコンタクト100は、安定化接続要素125をさらに有する。安定化接続要素125は、スリーブ形状の設計であり、ケーブル201に配置される。図示の実施形態において、接続要素125は、少なくとも部分的にシールドばねコンタクト100の通路開口部113に配置され、当該開口部は、円錐形シールド部105に配置される。
【0069】
よって、円錐形シールド部105は、少なくとも部分的に接続要素125に載る。よって、接続要素125は、ケーブル201とシールドばねコンタクト100との間に配置される。接続要素125により、シールドばねコンタクト100をプラグインコネクタ200のケーブル201に堅固に固定することができる。
【0070】
特に、接続要素125により、ケーブル201またはプラグインコネクタ200におけるシールドばねコンタクト100の防振が可能となる。
【0071】
一実施形態によれば、接続要素125は、プラスチック材料から製造される。これにより、ケーブル201に対するシールドばねコンタクト100の電気的絶縁が可能となる。図示の実施形態において、接続要素125は、ケーブル201の内部絶縁体205に配置される。
【0072】
図3は、
図2におけるプラグインコネクタ200の模式的斜視図を示す。
【0073】
図3は、外部フェルール211が円筒形基部103の円筒形外面115を覆う様子を示す。よって、外部フェルール211は、シールドばねコンタクト100の円筒形基部103とケーブル201の編組体203との間の圧着接続の固定された閉じ部を形成する。これはまた、外部フェルール211がケーブル201の外部絶縁体207に載ることも示す。
【0074】
これはまた、安定化接続要素125が、円錐形シールド部105の端部におけるシールドばねコンタクト100の閉じ部を形成することも示す。接続要素125は、プラグインコネクタ200の接続部213に隣接して配置される。
【0075】
図示の実施形態において、安定化接続要素125は、外面127に配置される円周溝129を有する。円周溝129により、接続要素125の可撓性の増大が実現される。これは、特にプラグインコネクタ200と対応するケーブルシールド接続部300との間の可撓接続に関して有利である。
【0076】
図4は、プラグインコネクタ200およびケーブルシールド接続部300を有するプラグインコネクタシステム400の模式的断面図を示す。
【0077】
図示の例において、プラグインコネクタ200は、上述の実施形態に従って設計され、上述したようなシールドばねコンタクト100を有する。
【0078】
図示のケーブルシールド接続部300は、プラグインコネクタの接続部213への接続のための接続部301を有する。ケーブルシールド接続部300は、内部空間313および挿入開口部305を有するアセンブリハウジング303をさらに有する。プラグインコネクタ200を、ケーブルシールド接続部300への接続のために、挿入開口部305を介して挿入することができる。
【0079】
ケーブルシールド接続部300の接続部301は、アセンブリハウジング303の内部空間313に配置される。よって、接続のために、プラグインコネクタ200は、挿入開口部305を通してアセンブリハウジング303の内部空間313へと挿入される。よって、プラグインコネクタ200の接続部213およびケーブルシールド接続部300の接続部301を介したプラグインコネクタ200とケーブルシールド接続部300との間の電気的かつ機械的な接続が、アセンブリハウジング303の内部空間313において生じる。
【0080】
よって、プラグインコネクタ200とケーブルシールド接続部300との間の接続が、ケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303による環境的影響から保護される。
【0081】
図4において、プラグインコネクタ200は、挿入開口部305に挿入され、接続部213を介してケーブルシールド接続部300の接続部301に接続されている。プラグインコネクタ200をアセンブリハウジング303の挿入開口部305を介してアセンブリハウジング303の内部空間313に挿入することにより、シールドばねコンタクト100の円錐形シールド部105がアセンブリハウジング303に電気的に接続される。
【0082】
アセンブリハウジング303とシールドばねコンタクト100との間のこの電気的接続または接触により、プラグインコネクタ200のケーブル201の編組体203の電流を、ケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303へと逸らすことが可能となる。
【0083】
円錐形シールド部105の弾性変形能により、シールド部105がアセンブリハウジング303に圧力を及ぼすことが可能となる。これにより、最適な電気的接触が可能となる。
【0084】
シールド部105の直径が基部103から通路開口部113に向かって減少する円錐形状により、シールド部105と様々な直径の挿入開口部305の縁部との間の接触を実現することが可能となる。シールド部105の円錐形状により、長手方向129におけるシールド部105の全長にわたって挿入開口部305の縁部と接触することが可能となる。
【0085】
円錐形シールド部105の表面の直線的な設計により、シールド部105に任意の所望の位置で接触することができ、接触する縁部領域307、309による弾性変形により、シールド部105が、アセンブリハウジング303の挿入開口部305の、シールド部105に接触する縁部領域307、309に対して、任意の接触位置において電気的接触に十分な接触力を及ぼすことが可能である。ここで、接触力の強さは、弾性変形の程度のみに依存し、それぞれの接触点とは無関係である。よって、同じ性能を実現しつつ、シールドばねコンタクト105を、様々なサイズの挿入開口部305を有するアセンブリハウジング303に用いることができる。唯一の必要条件は、挿入開口部35の直径がシールド部105の最大直径よりも小さいことである。
【0086】
これにより、シールド部105とアセンブリハウジング303との間の接触を、この目的で設けられる1つの接触点で生じさせる必要をなくすことができ、代わりに、円錐形シールド部105における任意の所望の点において接触を生じさせることができる。
【0087】
この場合、各接触点において、最適な電気的接触に必要となる最適な接触圧力を、円錐形シールド部105の弾性変形により実現することができる。
【0088】
ここで、アセンブリハウジング303の挿入開口部305の縁部領域307、309と円錐形シールド部105との間の接触が生じるまで、プラグインコネクタ200をアセンブリハウジング303の挿入開口部305に挿入することにより、円錐形シールド部105の弾性変形を実現することができる。
【0089】
これは、アセンブリハウジング303の挿入開口部305の断面または直径が、円錐形シールド部105の最大の断面または直径よりも小さいことを仮定している。
【0090】
図5は、
図4におけるプラグインコネクタシステムのさらなる模式的断面図を示す。
【0091】
図5は、アセンブリハウジング303の挿入開口部305の縁部領域307、309による、プラグインコネクタ200のケーブル201に配置されたシールドばねコンタクト100の円錐形シールド部105の接触の拡大図を示す。
【0092】
長手方向129における挿入開口部305へのプラグインコネクタ200の挿入により、接触が可能となる。プラグインコネクタ200をさらに挿入すると、シールドばねコンタクト100の円錐形シールド部105をさらに押し込む、またはアセンブリハウジング303の挿入開口部305の縁部領域307、309により弾性変形させることができる。それに対応して、変形したシールド部105により縁部領域307、309に及ぼされる接触力を、それに対応して増大させることができる。
【0093】
ここで、弾性変形または変形の弾性成分は、接触力が円錐形シールド部105によりアセンブリハウジング303の挿入開口部305の縁部領域307、309に及ぼされるという効果を有する。円錐形シールドばねコンタクト100による接触圧力が大きいほど、シールドばねコンタクト100とアセンブリハウジング303との間の電気的接触が良好になり、プラグインコネクタ200のケーブル201の編組体203の電流をケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303へと逸らす能力が良好になる。
【0094】
図6は、いくつかの実施形態に係るケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303の模式的断面図を示す。
【0095】
図6Aから
図6Dは、ケーブルシールド接続部300のアセンブリハウジング303の様々な実施形態を示す。特に、これらの図は、アセンブリハウジング303の挿入開口部305の縁部領域307、309を示す。
図6Aから
図6Dは各々、挿入開口部305の断面図を示す。よって、挿入開口部305および対応する縁部領域307、309の一部のみが、
図6Aから図
図6Dに示されている。
【0096】
【0097】
図6Aから
図6Cにおける実施形態において、アセンブリハウジング303は、曲げ加工または打ち抜き加工されたハウジング構造を有する。特に、アセンブリハウジング303は、金属薄板材料から製造され、打ち抜き加工および/または曲げ加工により所望の構成が与えられてよい。
【0098】
これに対して、
図6Dにおける実施形態において、アセンブリハウジング303は、堅牢な均質体構造を有する。これは、例えば鋳造法またはミーリング法により実現することができる。この目的で、アセンブリハウジング303は、それに対応して鋳造法および/またはミーリング法に好適な金属材料から形成されてよい。
【0099】
図6A1、
図6B1および
図6C1は、アセンブリハウジング303の挿入開口部305の縁部領域307、309の3つの異なる実施形態を示す。
【0100】
図6A1において、縁部領域307は、内曲げされた縁部領域307として設計される。ここで、内曲げされた縁部領域307は、アセンブリハウジング303の内部領域313へと形成される。よって、縁部領域307は、外方に面する丸み付き領域311を有する。
【0101】
外方に面する丸み付き領域311により、プラグインコネクタ100を支障なく挿入開口部305に挿入することが可能となる。この過程において、シールドばねコンタクト100は、外方に面する丸み付き領域311に沿って円錐形シールド部105にわたって適切な接触位置へと摺動する。
【0102】
図示の実施形態において、内曲げされた縁部領域307は、アセンブリハウジング303の外面315に対して90°以下の角度でアセンブリハウジング303の内部空間313へと湾曲する。
【0103】
図6C1において、挿入開口部305は同様に、アセンブリハウジング303の内部空間313へと延びる内曲げされた縁部領域307を有する。この場合も、内曲げされた縁部領域307は、外方に面する丸み付き領域311を有し、これを介して、シールドばねコンタクト100を、円錐形シールド部105により挿入開口部305を通してアセンブリハウジング303の内部空間313に挿入することができる。
【0104】
図示の実施形態において、内曲げされた縁部領域307は、アセンブリハウジング303の外面315に対して90°よりも大きい角度でアセンブリハウジング303の内部空間へと湾曲する。
【0105】
これに対して、
図6B1における実施形態において、アセンブリハウジング303の挿入開口部305は、外曲げされた縁部領域309を有する。
図6A1および
図6C1における実施形態の内曲げされた縁部領域307に対して、外曲げされた縁部領域309は、アセンブリハウジング303の内部領域313から離れる方向に屈曲する。よって、縁部領域309は、アセンブリハウジング303の内部領域313に面する丸み付き領域315を有する。
【0106】
図6A1、
図6B1および
図6C1における実施形態の内曲げされた縁部領域307および外曲げされた縁部領域309は、曲げ加工または打ち抜き加工により生産することができる。
【0107】
図6Dにおける実施形態において、図示の縁部領域307、309は、
図6A1および
図6C1における実施形態のようにアセンブリハウジング303の内部空間313へと湾曲してもおらず、
図6B1における実施形態のように内部空間313から離れる方向に湾曲してもいない。ただし、縁部領域307、309は、外方に、すなわち内部空間313から離れる方向に面する丸み付き領域311を有する。
【0108】
図2~
図5に関して上述したプラグインコネクタ200の実施形態において、プラグインコネクタ200に形成されるシールドばねコンタクト100は、
図1に示す全ての実施形態に従って設計されてよい。
【0109】
特に、シールドばねコンタクト100のスリーブ形状本体101は、市販のケーブルの従来の断面に従って丸い断面を有する。よって、円錐形シールド部105は、同様に丸い断面を有する。
【0110】
一実施形態によれば、アセンブリハウジング303の挿入開口部305は、同様に、シールド部105の断面に合致する丸い断面を有する。
【0111】
特に、シールドばねコンタクト100の実施形態は、互いに組み合わされてもよい。
【0112】
特に、シールドばねコンタクト100は、接続要素125なしで、プラグインコネクタ200のケーブル201に形成されてもよい。
【0113】
本発明に係るシールドばねコンタクト100は、多数の異なるケーブル断面を有するケーブル201を有するプラグインコネクタ200に用いることができる。
【0114】
対応するプラグインコネクタ200またはプラグインコネクタシステム400は、例えば高電流接続部用の電源線に用いることができる。プラグインコネクタ200またはプラグインコネクタシステム400は、データを転送するためのデータ接続部に用いることもできる。
【0115】
シールドばねコンタクト100、プラグインコネクタ200、ケーブルシールド接続部300およびプラグインコネクタシステム400は、多数の異なる応用分野において用いることができる。特に、上記の構成要素は、車両分野において用いることができる。
【符号の説明】
【0116】
1 従来技術に係るプラグインコネクタシステム
2 アセンブリハウジング部のドーム
10 プラグインコネクタシステム
11 プラグインコネクタシステムのシールドシステム
100 シールドばねコンタクト
101 本体
103 基部
105 シールド部
107 凹部
109 屈曲要素
111 通路開口部
113 通路開口部
115 円筒形外面
117 溝
119 長手軸
121 屈曲スロット
123 ジグソーパズル構造
125 安定化接続要素
127 外面
129 円周溝
200 プラグインコネクタ
201 ケーブル
203 編組体
205 内部絶縁体
207 外部絶縁体
209 内部フェルール
211 外部フェルール
213 接続部
215 ねじ要素
300 ケーブルシールド接続部
301 接続部
303 アセンブリハウジング
305 挿入開口部
307 内曲げされた縁部
309 外曲げされた縁部
311 丸み付き領域
313 内部空間
315 外面
400 プラグインコネクタシステム