(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】エッチャーリング、およびエッチャーリングの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240930BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240930BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/68 N
C23C16/42
(21)【出願番号】P 2023178159
(22)【出願日】2023-10-16
【審査請求日】2024-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591034280
【氏名又は名称】株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 聡
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-529316(JP,A)
【文献】特開2010-028073(JP,A)
【文献】特開2023-005174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0312635(US,A1)
【文献】特開2004-190136(JP,A)
【文献】特開2020-202339(JP,A)
【文献】特開2004-079983(JP,A)
【文献】特開2011-018894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/683
C23C 16/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングされるウエハを保持するエッチャーリングであって、
第1領域と前記第1領域の外周側に隣接する第2領域とを含み、前記第1領域の上方に前記ウエハの端部が保持される第1層と、
前記第1層の下方に積層された第2層とを備え、
前記第1層は、内周側から順に、
前記第1領域
と、
前記第2領域と、第3領域と、第4領域とを含み、
前記第1領域は、前記ウエハの端部が保持する領域で、
前記第2領域は、前記第1領域の外周側にあって、前記第1層の厚みが前記第1領域と同じ領域で、
前記第4領域は、最も外周側にあって、前記第2層の厚みが前記第1層の厚みより厚い領域で、
前記第3領域
の側面部は、前記第2領域の上面部と前記第4領域の上面部との間で傾斜している、エッチャーリング。
【請求項2】
前記第1層および前記第2層は、SiCにより構成される、請求項1に記載のエッチャーリング。
【請求項3】
前記第1層における前記第2領域は、前記第1領域の上方に端部が保持された前記ウエハが前記エッチングをされる場合に、前記第1層が前記第2領域の厚さ方向に損耗する領域である、請求項1または請求項2に記載のエッチャーリング。
【請求項4】
前記第3領域は、前記ウエハの端部が前記第1領域の上方に保持された場合に前記ウエハの端部に対向するように突出した形状を有する、請求項1または請求項2に記載のエッチャーリング。
【請求項5】
エッチングされるウエハを保持するエッチャーリングを製造する方法であって、
リング形状の基材の周囲に第1層および第2層を積層する工程と、
前記第1層および前記第2層の積層方向における両端面を平面に加工する工程と、
前記基材の内周および外周を露出させる工程と、
前記基材を除去する工程と、
前記第1層において前記ウエハの端部が保持される側の面を加工する工程とを含み、
前記第1層および前記第2層は、一方の層を前記基材の周りに形成した後、他方の層を前記一方の層の周りに形成することにより積層し、
前記第1層は、内周側から順に、第1領域
と、第2領域と、第3領域と、第4領域とを含み、
前記ウエハの端部が保持する前記第1領域の外周側にあって、前記第1層の厚みが前記第1領域と同じ前記第2領域に加工し、
最も外周側にある前記第4領域を、前記第2層の厚みが前記第1層の厚みより厚く加工し、
前記第2領域
の上面部と前記第4領域
の上面部との間で傾斜している前記第3領域
の側面部に加工する、エッチャーリングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッチャーリング、およびエッチャーリングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のウエハをエッチングするプラズマエッチング装置においては、エッチングの対象となるウエハを保持するエッチャーリングが備えられる(特許文献1)。このようなエッチャーリングは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成されるCVD-SiC(Silicon Carbide)により形成される。
【0003】
エッチャーリングは、予め定められた厚みとするために、2層以上の複数層のSiCを積層した構造よりなる場合がある。エッチングが行なわれる場合には、エッチャーリングにおいて、ウエハの端部が保持された領域の外周側に隣接する領域が、プラズマによる損耗量が最も多い。その理由は、そのような領域のプラズマの密度が最も高くなるからである。
【0004】
複数層のSiCを積層した構造よりなるエッチャーリングにおいては、複数層のSiCでの第1層が損耗して第2層が露出すると、第1層と第2層との間の界面から不純物が放出される等、何らかの不具合が生じるおそれがある。その理由は、エッチャーリングを複数層で構成する場合に、例えば、第1層を形成するタイミングと第2層を形成するタイミングとの間の期間が長くなる場合がある等の理由により、界面に不純物が混入するおそれが生じやすいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような従来のエッチャーリングでは、複数層のSiCにより構成されるリング形状の部材を形成した後、ウエハの端部を保持する領域を形成するために、第1層における内周側の厚さを減じる加工がされる。これにより、第1層においてウエハの端部を保持する領域の外周側に隣接する領域では、第1層の厚さが他の領域よりも薄いので、エッチングでの第1層の損耗により第2層が露出しやすい。
【0007】
しかし、従来のエッチャーリングでは、複数層のSiCでの第1層が損耗して第2層が露出することを抑制する技術について考えられていないという問題があった。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングについて、第2層が露出することを抑制することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に係るエッチャーリングは、エッチングされるウエハを保持するエッチャーリングであって、第1領域と第1領域の外周側に隣接する第2領域とを含み、第1領域の上方にウエハの端部が保持される第1層と、第1層の下方に積層された第2層とを備え、第1層は、内周側から順に、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域とを含み、第1領域は、ウエハの端部が保持する領域で、第2領域は、第1領域の外周側にあって、第1層の厚みが第1領域と同じ領域で、第4領域は、最も外周側にあって、第2層の厚みが第1層の厚みより厚い領域で、第3領域の側面部は、第2領域の上面部と第4領域の上面部との間で傾斜している。
【0010】
本開示の他の局面に係るエッチャーリングの製造方法は、エッチングされるウエハを保持するエッチャーリングを製造する方法であって、リング形状の基材の周囲に第1層および第2層を積層する工程と、第1層および第2層の積層方向における両端面を平面に加工する工程と、基材の内周および外周を露出させる工程と、基材を除去する工程と、第1層においてウエハの端部が保持される側の面を加工する工程とを含む。第1層および第2層は、一方の層を基材の周りに形成した後、他方の層を一方の層の周りに形成することにより積層し、第1層は、内周側から順に、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域とを含み、ウエハの端部が保持する第1領域の外周側にあって、第1層の厚みが第1領域と同じ第2領域に加工し、最も外周側にある第4領域を、第2層の厚みが第1層の厚みより厚く加工し、第2領域の上面部と第4領域の上面部との間で傾斜している第3領域の側面部に加工する。
【発明の効果】
【0011】
本開示のある局面に係るエッチャーリングによれば、第1層は、第2領域における層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層が露出しない厚さとなるように形成されるので、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングについて、第2層が露出することを抑制することができる。
【0012】
本開示の他の局面に係るエッチャーリングの製造方法によれば、第1層は、ウエハの端部が保持される第1領域と、第1領域の外周側に隣接する第2領域とを含むように加工し、第2領域における層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層が露出しない厚さとなるように加工するので、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングについて、第2層が露出することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1におけるエッチャーリング1の断面図である。
【
図2】実施の形態1におけるエッチャーリング1の一部の断面図である。
【
図3】実施の形態1におけるエッチャーリング1のエッチングでの第1層11の損耗を説明する断面図である。
【
図4】実施の形態1におけるエッチャーリング1のCVD成膜装置4の概略図である。
【
図5】実施の形態1におけるエッチャーリング1の製造に用いる基材5の断面図である。
【
図6】実施の形態1における基材5の周囲に第1層11および第2層12を積層させた積層体6の断面図である。
【
図7】実施の形態1の積層体6を加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1の部分を示す積層体6の断面図である。
【
図8】実施の形態1のエッチャーリング1の製造工程を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2におけるエッチャーリング1の製造に用いる基材5aの断面図である。
【
図10】実施の形態1における基材5aの周囲に第1層11および第2層12を積層させた積層体6aの断面図である。
【
図11】実施の形態2の積層体6aを加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1の部分を示す積層体6aの断面図である。
【
図12】実施の形態2のエッチャーリング1の製造工程を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態3におけるエッチャーリング1aの全体の断面図である。
【
図14】実施の形態3におけるエッチャーリング1aの実施の形態1におけるエッチャーリング1aの一部の断面図である。
【
図15】実施の形態3におけるエッチャーリング1aのエッチングでの第1層11の損耗を説明する断面図である。
【
図16】実施の形態3の積層体6を加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1aの部分を示す積層体6の断面図である。
【
図17】実施の形態3のエッチャーリング1aの製造工程を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態3の積層体6を加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1aの部分を示す積層体6の断面図である。
【
図19】実施の形態4のエッチャーリング1aの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
[実施の形態1]
(エッチャーリング1の全体構成)
図1は、実施の形態1におけるエッチャーリング1の全体の断面図である。
図1においては、リング形状のエッチャーリング1の中心線に沿った断面が示されている。
【0016】
エッチャーリング1は、図示を省略するプラズマエッチング装置の内部に設けられる。エッチャーリング1は、第1層11と第2層12とが積層された円環状の部材である。第1層11は、SiC(Silicon Carbide)により構成される。第2層12は、SiCにより構成される。エッチャーリング1では、第1層11の下方に第2層12が積層されている。エッチャーリング1は、円環状であるため、内周側に円形の空間部13が形成されている。
【0017】
エッチャーリング1において、第1層11の上面における内周側の部分には、エッチング対象のウエハ2を保持する保持部14が設けられている。ウエハ2は、円盤形状である。保持部14は、エッチャーリング1の他の部分と比べて厚さが1段階減少するように、段差が形成された部分である。
【0018】
ウエハ2は、プラズマエッチング装置に設けられたチャック装置によって固定される。これにより、ウエハ2は、端部がエッチャーリング1の保持部14の空間内で保持される。この例では、ウエハ2の端部がエッチャーリング1に対して非接触状態で保持部14の空間内で保持される。なお、ウエハ2は、端部がエッチャーリング1の保持部14に接触した状態で保持部14上に載置されてもよい。
【0019】
(エッチャーリング1の詳細な構成)
図2は、実施の形態1におけるエッチャーリング1の一部の断面図である。
図2においては、
図1においてエッチャーリング1の右側に示された断面が拡大されている。
【0020】
エッチャーリング1の第1層11は、第1領域111と、第2領域112と、第3領域113と、第4領域114とを含む。第1領域111の上面と、第2領域112の上面と、第3領域113の側面とにより、保持部14が構成される。
【0021】
第1領域111は、エッチャーリング1の内周側の端部を含む領域である。第2領域112は、第1領域111の外周側に隣接する領域である。第3領域113は、第2領域112の外周側に隣接する領域である。第4領域114は、第3領域113の外周側に隣接する領域である。第4領域114は、エッチャーリング1の内周側の端部を含む。
【0022】
第1領域111は、上方にウエハ2の端部が保持される領域である。第2領域112は、上方にウエハ2の端部が保持されない領域である。第3領域113は、ウエハ2の端部が第1領域111の上方に載せられた場合にウエハ2の端部に対向するように、第1領域111および第2領域112よりも上方に突出した形状を有する領域である。このような形状により、第3領域113は、ウエハ2の端部が第1領域111の上方に載せられた場合に、ウエハ2の全周の端部を外周側から囲む。
【0023】
第1領域111の上面部と、第2領域112の上面部とは、同じ高さの位置にある。第1領域111の上面部および第2領域112の上面部は、第4領域114の上面部よりも1段階低い位置にある。第3領域113の側面部は、第2領域112の上面部と第4領域114の上面部とを繋ぐ領域である。第3領域113の側面部は、第2領域112の上面部と第4領域114の上面部との間で傾斜している。なお、第3領域113の側面部は、
図2のように傾斜したものに限られるものではなく、傾斜していなくてもよい。
【0024】
第1層11において、第1領域111の上面部、第2領域112の上面部、第3領域113の側面部、および、第4領域114の上面部により構成される面は、第1面91と呼ばれる。第1層11において、第1面91に対向する面は、第2面92と呼ばれる。
【0025】
第2面92の下方には、第2層12が形成されている。第2層12は、第1領域121と、第2領域122と、第3領域123とを含む。第2層12の第1領域121は、第1層11の第1領域111および第2領域112に対応する領域である。第2層12の第2領域122は、第1層11の第3領域113に対応する領域である。第2層12の第3領域123は、第1層11の第4領域114に対応する領域である。
【0026】
第2層12において、第1層11の第1領域111および第2領域112に対向する位置には、第2層12の第1領域121が存在する。第2層12において、第1層11の第3領域113に対向する位置には、第2層12の第2領域122が存在する。第2層12において、第1層11の第4領域114に対向する位置には、第2層12の第3領域123が存在する。
【0027】
第2層12において、第1領域121の上面部、第2領域122の側面部、および、第3領域123の上面部により構成される面は、第3面93と呼ばれる。第2層12において、第3面93に対向する面は、第4面94と呼ばれる。
【0028】
第1層11は、第2領域112における層の厚さが、第2層12の第1領域121における層の厚さよりも厚くなるように形成されている。このような構成とした理由は、エッチングでの第1層11の損耗により第2層12が露出しないようにするためである。
【0029】
このように、エッチャーリング1では、第2領域112における第1層11の厚さが、第2層12の第1領域121における層の厚さよりも厚くなるように形成されている。これにより、エッチャーリング1では、第1層11と第2層12との間の界面15は、
図2に示すように、第2層12の底面からの位置が、第2層12の第1領域121において、第2層12の第2領域122の位置、および、第2層12の第3領域123の位置よりも低い位置にある。
【0030】
(エッチングでの第1層11の損耗による第2層12の露出を防ぐ構成)
図3は、実施の形態1におけるエッチャーリング1のエッチングでの第1層11の損耗を説明する断面図である。
【0031】
エッチング装置において、プラズマエッチングが実行される場合に、エッチャーリング1では、第1層11の第2領域112がプラズマによる損耗量が最も多い。その理由は、第1層11において、第2領域112は、ウエハ2の端部が上方に存在する第1領域111の外周側に隣接する領域であることにより、プラズマの密度が最も高いからである。
【0032】
ウエハ2をプラズマエッチングすると、
図3に示されるように、第2領域112において、1第1層11が損耗して穴3が生じ、第2領域112の厚さが減少する。このようなエッチングによる損耗によって第2層12が露出しないようにするために、第1層11は、第2領域112における層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように形成される。具体的に、第2領域112における第1層11の層の厚さは、エッチャーリング1の保持部14の下方における第1層11および第2層12の合計の厚さのうち、可能な限り大きい割合の厚さとされている。
【0033】
このように、実施の形態1のエッチャーリング1では、第2領域112における第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように形成されることにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1について、エッチングにおいて第2層12が露出することを抑制することができる。
【0034】
(エッチャーリング1の製造装置)
図4は、実施の形態1におけるエッチャーリング1の製造装置に含まれるCVD成膜装置4の概略図である。
【0035】
CVD成膜装置4は、チャンバ41、高周波電源42、真空ポンプ43、原料ガス容器44、第1弁451、および、第2弁452、および、制御装置49を含む。
【0036】
制御装置49は、CPU(Central Processing Unit)491と、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))492と、入出力バッファ(図示せず)と等を含んで構成される。CPU491は、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されるプログラムは、制御装置49が実行する制御の処理手順が記されたプログラムである。制御装置49は、このようなプログラムにしたがって、CVD成膜装置4における各種機器の制御をする。
【0037】
制御装置49は、チャンバ41内の機器、高周波電源42、真空ポンプ43、第1弁451、および、第2弁452等の各種機器を制御する。
【0038】
チャンバ41の内部には、成膜台46、ヒータ47、および、シャワーヘッド48が設けられている。ヒータ47は、シャワーヘッド48の内部に設けられる。成膜台46の上方には、成膜対象のエッチャーリング1の基材5が保持される。基材5は、例えばグラファイトよりなる。基材5は、全周囲に成膜が行なわれるように保持される。なお、基材5は、グラファイト以外の素材よりなるものであってもよい。
【0039】
第1弁451は、真空ポンプ43とチャンバ41との間の気体の経路に設けられる。第2弁452は、原料ガス容器44とチャンバ41との間の気体の経路に設けられる。
【0040】
CVD成膜装置4において基材5に成膜をする場合は、制御装置49が、第2弁452を閉状態として、第1弁451を開状態にし、真空ポンプ43を動作させる制御を行なう。これにより、チャンバ41の内部が真空状態となる。
【0041】
その後、制御装置49は、第1弁451を閉状態にしてチャンバ41の内部を真空状態に保持した状態で、第2弁452を開状態にする制御を行なう。これにより、原料ガス容器44からチャンバ41内に原料ガスが供給される。チャンバ41内に原料ガスが供給される場合に、制御装置49は、高周波電源42からシャワーヘッド48の電極に高周波電力を供給させる制御を行なう。これにより、チャンバ41内において、原料ガスがプラズマ化され、シャワーヘッド48から放出される。
【0042】
CVD成膜装置4において基材5に成膜をする場合、制御装置49は、ヒータ47に電力を供給し、ヒータを加熱させる制御を行なう。これにより、基材5のような成膜対象物が加熱されながら、原料ガスに含まれる物質の膜が成膜対象物に形成される。
【0043】
このようなCVD成膜装置4においては、基材5の周囲にSiCの成膜をすることにより、
図1~
図3に示すようなエッチャーリング1を製造するための成膜が行なわれる。
【0044】
エッチャーリング1の製造装置としては、CVD成膜装置4の他に、エッチャーリング1の切削等の加工をするための加工装置(図示省略)が含まれる。
【0045】
(エッチャーリング1の製造方法)
以下に説明する
図5~
図7には、2つのエッチャーリング1を同時に製造する例が示されている。
図5~
図7においては、1つのエッチャーリング1の製造範囲を明確化するために、2つのエッチャーリング1の製造範囲の境界が一点鎖線70で示されている。
【0046】
図5は、実施の形態1におけるエッチャーリング1の製造に用いる基材5の断面図である。基材5は、外周側の第1領域51の厚さが内周側の第2領域52の厚さよりも薄いリング形状の部材である。基材5は、リング形状であるため、内周側に円形の空間部53が形成されている。
【0047】
基材5の第1領域51および第2領域52は、積層される第1層と第2層との界面が
図2等に示す界面15のような断面形状となるように定められた形状とされている。
【0048】
図6は、実施の形態1における基材5の周囲に第1層61および第2層62を積層させた積層体6の断面図である。
【0049】
図6に示す積層体6を形成する場合には、まず、CVD成膜装置4において、基材5の周囲に第1層61を形成させる。第1層61は、エッチャーリング1の第1層11となる層である。第1層61は、SiCの層である。
【0050】
その後、CVD成膜装置4において、第1層61の周囲に第2層62を形成させる。第2層62は、エッチャーリング1の第2層12となる層である。第2層62は、SiCの層である。積層体6は、基材5がリング状であるので、第1層61および第2層62を積層した後に、内周側に円形の空間部63が形成されている。
【0051】
第1層61が形成された後の積層体6は、一般的に、予め定められた期間に亘り、
図4のチャンバ41の外部で保管される。その後、第1層61が形成された状態の積層体6が、チャンバ41の内部に再度入れられる。そして、そのような積層体6において、第1層61の周囲に第2層62を形成させる。なお、第1層61が形成された状態の積層体6は、チャンバ41の内部で保管されてもよい。
【0052】
図6に示されるように、基材5の形状は、外周側の第1領域51の厚さが内周側の第2領域52の厚さよりも薄い形状である。これに応じて、積層体6の第1層61の形状は、基材5の形状と同様に、外周側の領域の厚さが内周側の領域の厚さよりも薄い形状となる。このような第1層61の形状に応じて、第2層62の形状は、基材5の形状と同様に、外周側の領域の厚さが内周側の領域の厚さよりも薄い形状となる。
【0053】
図6に示された積層体6がCVD成膜装置4において形成された後は、加工装置において積層体6を加工することにより、
図1~
図3に示すような形状のエッチャーリング1を得ることができる。
【0054】
図7は、実施の形態1の積層体6を加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1の部分を示す積層体6の断面図である。
図7に示すように、積層体6においては、エッチャーリング1を2つ得ることができる。
【0055】
以下においては、
図7に示された2つのエッチャーリング1を得る領域のうち、図中の下方に示されたエッチャーリング1を代表例として、エッチャーリング1を得るための加工部分について説明する。加工装置においては、積層体6が以下に示すように加工されることにより、
図2に示すような構造のエッチャーリング1が得られる。
【0056】
積層体6において、図中の下方に示されたエッチャーリング1を得る場合は、加工装置において、まず、積層体6の下面側を例えば破線71のような位置まで切削して平面化する加工と、積層体6の上面側を例えば破線72のような位置まで切削して平面化する加工とが行なわれる。これにより、積層体6の積層方向の両端面が平面化される。
【0057】
次に、加工装置においては、積層体6の外周側を例えば破線73のような位置まで切削して基材5の第1領域51を露出させる加工と、積層体6の内周側を例えば破線74のような位置まで切削して基材5の第2領域52を露出させる加工とが行なわれる。
【0058】
基材5の第1領域51を露出させる加工においては、基材5の円の中心の位置を基準位置として、破線73で示すようなエッチャーリング1の予め定められた外周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6の外周側を切削する。基材5の第2領域52を露出させる加工においては、リング状の基材5の円の中心の位置を基準位置として、破線74で示すようなエッチャーリング1の予め定められた内周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6の内周側を切削する。
【0059】
なお、基材5の第1領域51を露出させる加工においては、少なくとも基材5の外周部側の端部および内周部側の端部が露出するまで積層体6を切削すればよく、
図7の破線73で示される位置までの切削、および、
図7の破線74で示される位置までの切削は、基材5を除去した後に行なってもよい。
【0060】
次に、化学的処理により基材5を除去する処理が行なわれる。これにより、積層体6においては、
図7の一点鎖線70の上側に示されたエッチャーリング1を作成するための第1部材と、
図7の一点鎖線70の下側に示されたエッチャーリング1を作成するための第2部材とが分離する。
【0061】
以下においては、
図7の下側に示されたエッチャーリング1を作成するための部材に関して、エッチャーリング1を作成するための加工方法を説明する。
【0062】
図7の下側に示されたエッチャーリング1を作成するための第2部材を、前述のように平面化した第2層62の側を下方向に向けて加工装置の加工部において保持する。そして、加工装置においては、エッチャーリング1の径方向における第1層11の厚さの分布が
図2に示すような厚さの分布となるように、エッチャーリング1の上面側を切削する加工を行なう。
【0063】
具体的には、エッチャーリング1における第1層11と第2層12との界面15が
図2に示すような断面形状となるように、基材5の下端の位置を基準位置として、第2部材の上面側を切削する加工を行なう。例えば、
図7の破線75のような位置まで第2部材を切削したり、
図7の破線76のような位置まで第2部材を切削したりする。その場合において、第2部材の上面側を切削する各位置は、第1層11および第2層12の成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11および第2層12の成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0064】
また、
図7に示すエッチャーリング1における第1層11の第3領域113は、基材5の円の中心の位置を基準位置として、その基準位置から予め定められた位置まで第2部材を切削することにより形成される。
【0065】
また、加工装置においては、第2部材の下面側が、
図2に示すような断面形状となるように、基材5の下端の位置を基準位置として、第2部材の下面側を切削する加工を行なう。例えば、
図7の破線77のように、
図2に示す第1層11の第1領域111、第2領域112、および、第3領域113の全部と、第4領域114aの一部との下方において、第2層62の厚さが
図2に示すような厚さとなるような位置まで第2部材を切削する。その場合において、第2部材の下面側を切削する位置は、第1層11および第2層12の成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11および第2層12の成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0066】
これにより、エッチャーリング1における第1層11の第1領域111、第2領域112、および、第3領域113の全部と、第4領域114aの一部との下方は、
図2に示すような厚さの第2層12が存在する構成となる。
【0067】
第1部材については、前述した第2部材と同様の加工をすることにより、
図2に示すような構造のエッチャーリング1を得ることができる。
【0068】
実施の形態1では、以上に説明したように、CVD成膜装置4で
図6のような積層体6を形成した後、加工装置で
図7のように積層体6を加工することにより、積層体6から
図1~
図3に示すような構造のエッチャーリング1を得ることができる。
【0069】
(エッチャーリング1の製造工程)
図8は、実施の形態1のエッチャーリング1の製造工程を示すフローチャートである。
図8を用いて、前述した
図5~
図7で説明したエッチャーリング1の製造方法を実現するための製造工程の流れをまとめて説明する。
【0070】
図8に示した製造工程については、前述したエッチャーリング1の製造方法を総括し、主として製造工程の流れを明確化するための説明をする。
【0071】
ステップS1の工程では、CVD成膜装置4において、基材5の周囲にSiCの第1層61を形成する。ステップS1の工程では、具体的に、前述したように、基材5の周囲において、
図6に示す断面形状となるように第1層61を形成する。
【0072】
ステップS2の工程では、CVD成膜装置4において、第1層61の周囲に、SiCよりなる第2層62を形成する。ステップS2の工程では、具体的に、前述したように、第1層61の周囲において、
図6に示す断面形状となるように第2層12を形成する。ステップS1の工程およびステップS2の工程が実行されることにより、
図6に示すような積層体6が形成される。
【0073】
ステップS3の工程では、加工装置において、積層体6の上面側を平面に加工するとともに、積層体6の下面側を平面に加工する。ステップS3の工程では、前述したように、積層体6の上面側および下面側を平面に加工する。
【0074】
ステップS4の工程では、加工装置において、基材5の内周側および外周側を露出させる。具体的に、ステップS4の工程では、前述したように、基材5の円の中心の位置を基準位置として予め定められた第1の位置まで積層体6の内周側を切削する。さらに、ステップS4の工程では、前述したように、基材5の円の中心の位置を基準位置として、予め定められた第2の位置まで積層体6の外周側を切削することにより、基材5の外周側を露出させる。
【0075】
ステップS5の工程では、加工装置において、基材5を除去する。具体的に、ステップS5の工程では、ステップS4で露出した基材5を化学的処理により除去する。これにより、前述のような第1部材および第2部材が得られる。
【0076】
ステップS6の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材においてエッチャーリング1の上面側となる部分について、
図2に示す第2領域112における第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により
図2に示す第2層12が露出しない厚さとなるような第1層11および第2層12を形成するための切削をする加工を行なう。
【0077】
具体的に、ステップS6の工程では、前述したように、基材5の下端の位置を基準位置として、予め定められた厚さに亘りエッチャーリング1の上面側となる部分を切削する加工を行なう等、第1層11側の面を加工する。
【0078】
また、ステップS6の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材においてエッチャーリング1の下面側となる部分が、
図2に示すような断面形状となるように、基材5の下端の位置を基準位置として、第1部材または第2部材を切削する加工を行なう。これにより、ステップS6の工程では、第2層12が、第1層11における第2領域112の下方において第2層12が存在するように加工される。
【0079】
以上に説明したように製造工程を実行することにより、
図1および
図2に示すような構造のエッチャーリング1を得ることができる。
【0080】
なお、実施の形態1のエッチャーリング1については、第1層11と第2層12とが同じSiCで構成される例を示した。しかし、これに限らず、第1層11と第2層12とが異なる材料より構成されてもよい。例えば、第2層12がSiC以外のシリコン素材で構成されてもよい。また、エッチャーリング1は、2層のSiCが積層されたものに限らず、3層以上のSiCが積層されたものであってもよい。例えば、エッチャーリング1については、エッチャーリング1の厚みを増加させるために、3層以上の複数層のSiCを積層した構造よりなる場合がある。3層以上の複数層のSiCを積層する場合の第3層目以上の層は、例えば、
図1~
図3における第2層12の下面側に順次積層される層である。そのような3層以上の複数層のSiCを積層した構造のエッチャーリングにおいて、第3層目以上のSiCの層は、前述のように第1層11が損耗しても、第2層12のように界面が露出するおそれがない層である。このように、この実施の形態のエッチャーリング1に関する技術は、3層以上の複数層のSiCを積層した構造よりなるエッチャーリングにも適用可能である。
【0081】
また、実施の形態1のエッチャーリング1については、第1層11における第2領域112に加え、第1層11における第1領域111についても、第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように形成されている例を示した。しかし、これに限らず、第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとする領域は、少なくとも第1層11における第2領域112であればよい。
【0082】
以上に説明した実施の形態1のエッチャーリング1においては、次のような技術的効果を得ることができる。
【0083】
(1)実施の形態1のエッチャーリング1においては、
図2および
図3に示すように、エッチングをされる場合に、第1層11が厚さ方向に損耗する領域である第2領域112において、第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように形成される。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1においては、第1層11の層の厚さにより、第2層12が露出することを抑制することができる。
【0084】
(2)実施の形態1のエッチャーリング1においては、
図1~
図3に示すように、第1層11が、第2領域112の厚さ方向において、第1層11の方が第2層12よりも厚くなるように形成される。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1においては、第1層11の方が第2層12よりも厚いことにより、エッチングにおいて第2層12が露出することを抑制することができる。
【0085】
(3)実施の形態1のエッチャーリング1においては、
図2および
図3に示すように、第2層12が、第1層11における第2領域112の下方では第2層12が存在するように、第1層11の下方に積層される。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1においては、第1層11の下方に存在する第2層12に関して、第1層11の厚さにより、エッチングにおいて第2層12が露出することを抑制することができる。
【0086】
(4)実施の形態1のエッチャーリング1においては、第1層11および第2層12が、SiCにより構成される。これにより、第1層11および第2層12がSiCにより構成されるエッチャーリング1において、エッチングの際に第2層12が露出することを抑制することができる。
【0087】
(5)実施の形態1のエッチャーリング1においては、
図3に示すように、第2領域112における第1層11は、第1領域111の上方に端部が保持されたウエハ2がエッチングをされる場合に、第2領域112の厚さ方向に損耗する領域である、これにより、エッチャーリング1において、エッチングの際に損耗する領域において、エッチングの際に第2層12が露出することを抑制することができる。
【0088】
(6)実施の形態1のエッチャーリング1においては、
図2および
図3に示すように、第1層11が、第2領域112の外周側に隣接する第3領域113をさらに含み、第3領域113が、ウエハ2の端部が第1領域111の上方に保持された場合にウエハ2の端部に対向するように突出した形状を有する。これにより、エッチャーリング1において、ウエハ2が保持される場合に、第3領域113によりウエハ2の外周を囲むことができる。
【0089】
(7)実施の形態1のエッチャーリング1の製造方法においては、
図5~
図8に示すように、ウエハ2の端部が保持される第1領域111と、第1領域111の外周側に隣接する第2領域112とを含むように第1層11が加工され、第2領域112における第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように加工される。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1においては、第2層12が露出することを抑制することができる。
【0090】
(8)実施の形態1のエッチャーリング1の製造方法においては、
図5~
図8に示すように、第2領域112の厚さ方向において、第1層11の方が第2層12よりも厚くなるような加工をする。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1においては、第1層11の方が第2層12よりも厚いことにより、エッチングにおいて第2層12が露出することを抑制することができる。
【0091】
(9)実施の形態1のエッチャーリング1においては、
図5~
図8に示すように、第2層12が、第1層11における第2領域112の下方では第2層12が存在するような加工をする。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1においては、第1層11の下方に存在する第2層12に関して、第1層11の厚さにより、エッチングにおいて第2層12が露出することを抑制することができる。
【0092】
[実施の形態2]
次に、
図9~
図12を用いて、実施の形態2を説明する。実施の形態2においては、
図1~
図3に示すエッチャーリング1のその他の製造方法を説明する。
【0093】
実施の形態2が実施の形態1と異なる点は、主に以下の点である。実施の形態2では、実施の形態1の基材5と形状が異なる基材5aが用いられる(
図9等参照)。実施の形態2では、実施の形態1の積層体6における第1層61および第2層62と異なる順番により、第1層61および第2層62が積層された積層体6aが形成される(
図10~
図12等参照)。実施の形態2では、積層体6aを、実施の形態1の積層体6とは異なる順番で切削する加工が行なわれる(
図11,
図12等参照)。
【0094】
(エッチャーリング1の製造方法)
以下に説明する
図9~
図11には、実施の形態2において、2つのエッチャーリング1を同時に製造する例が示されている。
図9~
図11においては、1つのエッチャーリング1の製造範囲を明確化するために、2つのエッチャーリング1の製造範囲の境界が一点鎖線70で示されている。
【0095】
図9は、実施の形態2におけるエッチャーリング1の製造に用いる基材5aの断面図である。基材5aは、内周側の第1領域51aの厚さが外周側の第2領域52aの厚さよりも薄いリング形状の部材である。基材5aは、リング形状であるため、内周側に円形の空間部53aが形成されている。
【0096】
基材5aの第1領域51aおよび第2領域52aは、積層される第1層61と第2層62との界面が
図2等に示す界面15のような断面形状となるように定められた形状とされている。
【0097】
図10は、実施の形態1における基材5aの周囲に第1層61および第2層62を積層させた積層体6aの断面図である。
【0098】
図10に示す積層体6aを形成する場合には、まず、CVD成膜装置4において、基材5aの周囲に第2層62を形成させる。第2層62は、エッチャーリング1の第2層12となる層である。第2層62は、SiCの層である。
【0099】
その後、CVD成膜装置4において、第2層62の周囲に第1層61を形成させる。第1層61は、エッチャーリング1の第1層11となる層である。第1層61は、SiCの層である。積層体6aは、基材5aがリング形状であるので、第1層61および第2層62を積層した後に、内周側に円形の空間部63aが形成されている。
【0100】
第2層62が形成された後の積層体6aは、一般的に、予め定められた期間に亘り、
図4のチャンバ41の外部で保管される。その後、第2層62が形成された状態の積層体6aが、チャンバ41の内部に再度入れられる。そして、そのような積層体6aにおいて、第2層62の周囲に第1層61を形成させる。なお、第2層62が形成された状態の積層体6aは、チャンバ41の内部で保管されてもよい。
【0101】
図10に示されるように、基材5aの形状は、内周側の第1領域51aの厚さが外周側の第2領域52aの厚さよりも薄い形状である。これに応じて、積層体6aの第2層62の形状は、基材5aの形状と同様に、内周側の領域の厚さが外周側の領域の厚さよりも薄い形状となる。このような第2層62の形状に応じて、第1層61の形状は、基材5aの形状と同様に、内周側の領域の厚さが外周側の領域の厚さよりも薄い形状となる。
【0102】
図10に示された積層体6aが形成された後は、加工装置において、積層体6aを加工することにより、
図1~
図3に示すような形状のエッチャーリング1を得ることができる。
【0103】
図11は、実施の形態2の積層体6aを加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1の部分を示す積層体6aの断面図である。
図11に示すように、積層体6aにおいては、エッチャーリング1を2つ得ることができる。
【0104】
以下においては、
図11に示された2つのエッチャーリング1を得る領域のうち、図中の下方に示されたエッチャーリング1を代表例として、エッチャーリング1を得るための加工部分について説明する。加工装置においては、積層体6aが以下に示すように加工されることにより、
図2に示すような構造のエッチャーリング1が得られる。
【0105】
積層体6aにおいて、図中の下方に示されたエッチャーリング1を得る場合は、加工装置において、まず、積層体6aの下面側を例えば破線71aのような位置まで切削して平面化する加工と、積層体6aの上面側を例えば破線72aのような位置まで切削して平面化する加工とが行なわれる。これにより、積層体6aの積層方向の両端面が平面化される。
【0106】
次に、加工装置においては、積層体6aの外周側を例えば破線73aのような位置まで切削して基材5aの第2領域52aを露出させる加工と、積層体6aの内周側を例えば破線74aのような位置まで切削して基材5aの第1領域51aを露出させる加工とが行なわれる。
【0107】
基材5aの第2領域52aを露出させる加工においては、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、破線73aで示すようなエッチャーリング1の予め定められた外周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6aの外周側を切削する。基材5aの第1領域51aを露出させる加工においては、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、破線74aで示すようなエッチャーリング1の予め定められた内周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6aの内周側を切削する。
【0108】
なお、基材5aの第1領域51aを露出させる加工においては、少なくとも基材5aの外周部側の端部および内周部側の端部が露出するまで積層体6aを切削すればよく、破線73aで示される位置までの切削、および、破線74aで示される位置までの切削は、基材5aを除去した後に行なってもよい。
【0109】
次に、化学的処理により、基材5aを除去する処理が行なわれる。これにより、積層体6aにおいては、
図11の一点鎖線70の上側に示されたエッチャーリング1を作成するための第1部材と、
図11の一点鎖線70の下側に示されたエッチャーリング1を作成するための第2部材とが分離する。
【0110】
以下においては、
図11の下側に示されたエッチャーリング1を作成するための部材に関して、エッチャーリング1を作成するための加工方法を説明する。
【0111】
図11の下側に示されたエッチャーリング1を作成するための第2部材を、前述のように平面化した第1層61の側を上下方向に向けて加工装置の加工部において保持する。そして、加工装置においては、エッチャーリング1の径方向における第1層11の厚さの分布が
図2に示すような厚さの分布となるように、エッチャーリング1の上面側を切削する加工を行なう。
【0112】
具体的には、エッチャーリング1における第1層11と第2層12との界面15が
図2に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第2部材の下面側を切削する加工を行なう。例えば、
図11の破線75aのような位置まで第2部材を切削したり、
図11の破線76aのような位置まで第2部材を切削したりする。その場合において、第2部材の下面側を切削する各位置は、第1層11および第2層12の成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11および第2層12の成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0113】
また、
図11に示すエッチャーリング1における第1層11の第3領域113は、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、その基準位置から予め定められた位置まで第2部材を切削することにより形成される。
【0114】
また加工装置においては、第2部材の上面側が、
図2に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第2部材の上面側を切削する加工を行なう。例えば、
図11の破線77aのような位置まで第2部材を切削する。その場合において、第2部材の上面側を切削する位置は、第1層11および第2層12の成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11および第2層12の成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0115】
第1部材については、前述した第2部材と同様の加工をすることにより、
図2に示すような構造のエッチャーリング1を得ることができる。
【0116】
実施の形態2では、以上に説明したように、CVD成膜装置4で
図10のような積層体6aを形成した後、加工装置で
図11のように積層体6aを加工することにより、積層体6aから
図1~
図3に示すような構造のエッチャーリング1を得ることができる。
【0117】
(エッチャーリング1の製造工程)
図12は、実施の形態2のエッチャーリング1の製造工程を示すフローチャートである。
図12を用いて、前述した
図9~
図11で説明したエッチャーリング1の製造方法を実現するための製造工程の流れをまとめて説明する。
【0118】
図12に示した製造工程については、エッチャーリング1の製造方法を総括し、主として製造工程の流れを明確化するための説明をする。
【0119】
ステップS11の工程では、CVD成膜装置4において、基材5aの周囲にSiCの第2層62を形成する。ステップS1の工程では、具体的に、前述したように、基材5aの周囲において、
図10に示す断面形状となるように第2層62を形成する。
【0120】
ステップS12の工程では、CVD成膜装置4において、第2層62の周囲に、SiCよりなる第1層61を形成する。ステップS12の工程では、具体的に、前述したように、第2層62の周囲において、
図10に示す断面形状となるように第1層61を形成する。ステップS11の工程およびステップS12の工程が実行されることにより、
図10に示すような積層体6aが形成される。
【0121】
ステップS13の工程では、加工装置において、積層体6aの上面側を平面に加工するとともに、積層体6aの下面側を平面に加工する。ステップS13の工程では、前述したように、積層体6aの内周側および外周側を切削することにより、積層体6aの上面側および下面側を平面に加工する。
【0122】
ステップS14の工程では、加工装置において、基材5aの内周側および外周側を露出させる。具体的に、ステップS14の工程では、前述したように、基材5aの円の中心の位置を基準位置として予め定められた第1の位置まで積層体6aの内周側を切削する。さらに、ステップS14の工程では、前述したように、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、予め定められた第2の位置まで積層体6aの外周側を切削することにより、基材5aの外周側を露出させる。
【0123】
ステップS15の工程では、加工装置において、基材5aを除去する。具体的に、ステップS15の工程では、前述したように、化学的処理により、基材5aを除去する。これにより、前述のような第1部材および第2部材が得られる。
【0124】
ステップS16の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材においてエッチャーリング1の上面側となる部分について、
図2に示す第1層11の第2領域112における層の厚さが、エッチングでの損耗により
図2に示す第2層12が露出しない厚さとなるような第1層11および第2層12を形成するための切削をする加工を行なう。
【0125】
具体的に、ステップS16の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材においてエッチャーリング1の下面側となる部分が、
図2に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第1部材または第2部材を切削する加工を行なう。
【0126】
また、ステップS16の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材においてエッチャーリング1の下面側となる部分が、
図2に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第1部材または第2部材を切削する加工を行なう。これにより、ステップS16の工程では、第2層12が、第1層11における第2領域112の下方において存在するように加工される。
【0127】
実施の形態2では、以上に説明したように製造工程を実行することにより、
図1および
図2に示すような構造のエッチャーリング1を得ることができる。
【0128】
以上に説明した実施の形態2のエッチャーリング1においては、実施の形態1と共通する技術について同様の技術的効果が得られる。
【0129】
[実施の形態3]
次に、
図13~
図17を用いて、実施の形態3を説明する。実施の形態3においては、例えば
図1~
図3に示すような第1層11の第2領域112において、第1層11の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように形成される構成について、その他の構成例を説明する。
【0130】
実施の形態3が実施の形態1および実施の形態2と異なる点は、主に以下の点である。実施の形態3では、第2層12aが、第1層11aにおける第2領域112aの下方では第2層12aが存在しない態様で、第1層11aの下方に積層される。
【0131】
(エッチャーリング1aの全体構成)
図13は、実施の形態3におけるエッチャーリング1aの全体の断面図である。
図13においては、リング形状のエッチャーリング1aの中心線に沿った断面が示されている。
図14は、実施の形態3におけるエッチャーリング1aの実施の形態1におけるエッチャーリング1aの一部の断面図である。
図14においては、
図13においてエッチャーリング1aの右側に示された断面が拡大されている。
【0132】
図13および
図14に示されるように、エッチャーリング1aは、第1層11aの下方において、第2層12aが形成されている。第1層11aは、前述した第1層11と同様に、SiCにより構成される。第2層12aは、前述した第2層12と同様に、SiCにより構成される。
【0133】
図14の構成は、
図2の構成と以下のような対応関係がある。第1領域111aが
図2等の第1領域111に対応する。第2領域112aが
図2等の第2領域112に対応する。第3領域113aが
図2等の第3領域113に対応する。第4領域114aが
図2等の第4領域114に対応する。
【0134】
第1面91aが
図2等の第1面91に対応する。第2面92aが
図2等の第2面92に対応する。第3面93aが
図2等の第3面93に対応する。第4面94aが
図2等の第4面94に対応する。第2層12の第2領域122aは、
図2等の第2領域122に対応する。第2層12の第3領域123aは、
図2等の第3領域123に対応する。界面15aが
図2等の界面15に対応する。
【0135】
図13および
図14に示すエッチャーリング1aが、
図1のエッチャーリング1と異なるのは、
図14に具体的に示すように、第1層11aの第2領域112aにおける下方に第2層12aが形成されていないことである。
【0136】
図14に具体的に示されるように、第2層12aは、第1層11aの第2領域112aにおける下方に存在しない態様で、第1層11aの下方に積層されている。例えば、第2層12aは、
図14に示されるように、第1層11aにおける第1領域111a、第2領域112a、および、第3領域113aの下方に形成されておらず、第1層11aにおける第4領域114aの下方に形成されている。しがって、実施の形態3におけるエッチャーリング1aは、第2層12aが、
図2等に示す第2層12の第1領域121を含まない。
【0137】
(エッチングでの第1層11の損耗による第2層12の露出を防ぐ構成)
図15は、実施の形態3におけるエッチャーリング1aのエッチングでの第1層11の損耗を説明する断面図である。
【0138】
エッチング装置において、ウエハ2をプラズマエッチングすると、
図15に示されるように、第2領域112aにおいて、第1層11aが損耗して穴3が生じ、第1層11aの厚さが減少する。このようなエッチングによる損耗によって第2層12aが露出しないようにするために、第1層11aは、第2領域112aにおける層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12aが露出しない厚さとなるように形成される。そして、第1層11の第2領域112aの下方には、第2層12aが存在しない。
【0139】
このように、実施の形態あのエッチャーリング1では、第1層11aの第2領域112aにおける層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層12が露出しない厚さとなるように形成され、第1層11の第2領域112aの下方には第2層12aが存在しない。これにより、第1層11と第2層12とを備えるエッチャーリング1aについて、エッチングにおいて第2層12が露出することを抑制することができる。
【0140】
(エッチャーリング1aの製造方法)
図16は、実施の形態3の積層体6を加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1aの部分を示す積層体6の断面図である。
図16に示すように、積層体6においては、エッチャーリング1aを2つ得ることができる。
【0141】
実施の形態3のエッチャーリング1aの製造方法は、基材5の周囲に第1層61および第2層62を積層させた積層体6を形成するまでの方法が、実施の形態1で
図5および
図6を用いて説明した方法と同様である。
【0142】
以下においては、
図16に示された2つのエッチャーリング1aを得る領域のうち、図中の下方に示されたエッチャーリング1aを代表例として、エッチャーリング1aを得るための加工部分について説明する。加工装置においては、積層体6が以下に示すように加工されることにより、
図13に示すような構造のエッチャーリング1aが得られる。
【0143】
積層体6において、図中の下方に示されたエッチャーリング1aを得る場合は、加工装置において、まず、積層体6の下面側を例えば破線71bのような位置まで切削して平面化する加工と、積層体6の上面側を例えば破線72bのような位置まで切削して平面化する加工とが行なわれる。これにより、積層体6の積層方向の両端面が平面化される。
【0144】
次に、加工装置においては、積層体6の外周側を例えば破線73bのような位置まで切削して基材5の第1領域51を露出させる加工と、積層体6の内周側を例えば破線74bのような位置まで切削して基材5の第2領域52を露出させる加工とが行なわれる。
【0145】
基材5の第1領域51を露出させる加工においては、基材5の円の中心の位置を基準位置として、破線73bで示すようなエッチャーリング1aの予め定められた外周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6の外周側を切削する。基材5の第2領域52を露出させる加工においては、基材5の円の中心の位置を基準位置として、破線74bで示すようなエッチャーリング1aの予め定められた内周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6の内周側を切削する。
【0146】
なお、基材5の第1領域51を露出させる加工においては、少なくとも基材5の外周部側の端部および内周部側の端部が露出するまで積層体6を切削すればよく、
図16の破線73bで示される位置までの切削、および、
図16の破線74bで示される位置までの切削は、基材5を除去した後に行なってもよい。
【0147】
次に、化学的処理により、基材5を除去する処理が行なわれる。これにより、積層体6においては、
図16の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための第1部材と、
図16の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための第2部材とが分離する。
【0148】
以下においては、
図16の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための部材に関して、エッチャーリング1aを作成するための加工方法を説明する。
【0149】
図16の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための第2部材を、前述のように平面化した第2層62の側を下方に向けて加工装置の加工部において保持する。そして、加工装置においては、エッチャーリング1aの径方向における第1層11aの厚さの分布が
図2に示すような厚さの分布となるように、エッチャーリング1aの上面側を切削する加工を行なう。
【0150】
具体的には、エッチャーリング1における第1層11aと第2層12aとの界面15aが
図2に示すような断面形状となるように、基材5の下端の位置を基準位置として、第2部材の上面側を切削する加工を行なう。例えば、
図16の破線75bのような位置まで第2部材を切削したり、
図16の破線76bのような位置まで第2部材を切削したりする。その場合において、第2部材の上面側を切削する各位置は、第1層11aおよび第2層12aの成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11aおよび第2層12aの成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0151】
また、
図14に示すエッチャーリング1aにおける第1層11aの第3領域113aは、基材5の円の中心の位置を基準位置として、その基準位置から予め定められた位置まで第2部材を切削することにより形成される。
【0152】
また、加工装置においては、第2部材の下面側が、
図14に示すような断面形状となるように、基材5の下端の位置を基準位置として、第2部材の下面側を切削する加工を行なう。例えば、
図16の破線77bのように、
図14に示す第1層11aの第1領域111a、第2領域112a、および、第3領域113aが、第2層62aの手前における第1層61aの位置となるまで第2部材を切削する。その場合において、第2部材の下面側を切削する位置は、第1層11aおよび第2層12aの成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11aおよび第2層12aの成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0153】
これにより、エッチャーリング1aにおける第1層11aの第1領域111a、第2領域112a、および、第3領域113aの下方は、
図14に示すように第2層12aが存在しない構成となる。
【0154】
第1部材については、前述した第2部材と同様の加工をすることにより、
図14に示すような構造のエッチャーリング1aを得ることができる。
【0155】
実施の形態3では、以上に説明したように、CVD成膜装置4で
図6のような積層体6を形成した後、加工装置で
図16のように積層体6を加工することにより、積層体6から
図13~
図15に示すような構造のエッチャーリング1aを得ることができる。
【0156】
(エッチャーリング1aの製造工程)
図17は、実施の形態3のエッチャーリング1aの製造工程を示すフローチャートである。
図17を用いて、前述した
図5、
図6、および、
図16で説明したエッチャーリング1aの製造方法を実現するための製造工程の流れをまとめて説明する。
【0157】
図17に示した製造工程については、エッチャーリング1aの製造方法を総括し、主として製造工程の流れを明確化するための説明をする。
【0158】
ステップS21の工程では、CVD成膜装置4において、基材5の周囲にSiCの第1層61を形成する。ステップS21の工程は、実施の形態1のステップS1と同様の工程である。
【0159】
ステップS22の工程では、CVD成膜装置4において、第1層61の周囲に、SiCよりなる第2層62を形成する。ステップS22の工程は、実施の形態1のステップS2と同様の工程である。
【0160】
ステップS23の工程では、加工装置において、積層体6の上面側を平面に加工するとともに、積層体6の下面側を平面に加工する。ステップS23の工程は、実施の形態1のステップS3と同様の工程である。
【0161】
ステップS24の工程では、加工装置において、基材5の内周側および外周側を露出させる。ステップS24の工程は、実施の形態1のステップS4と同様の工程である。
【0162】
ステップS25の工程では、加工装置において、基材5を除去する。ステップS25の工程は、実施の形態1のステップS25と同様の工程である。
【0163】
ステップS26の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材について、
図14に示す第1層11aの第2領域112aにおける層の厚さが、エッチングでの損耗により
図14に示す第2層12aが露出しない厚さとなるような第1層11aおよび第2層12aを形成するための切削をする加工を行なう。
【0164】
具体的に、ステップS26の工程では、前述したように、基材5の下端の位置を基準位置として、予め定められた厚さに亘りエッチャーリング1の上面側となる部分を切削する加工を行なう等、第1層11a側の面を加工する。
【0165】
また、ステップS26の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材において、エッチャーリング1aの下面側となる部分が、
図14に示すような断面形状となるように、基材5の下端の位置を基準位置として、第1部材または第2部材を切削する加工を行なう。これにより、ステップS26の工程では、第2層12が、第1層11における第2領域112の下方において存在しないように加工される。
【0166】
実施の形態3では、以上に説明したように製造工程を実行することにより、
図13および
図14に示すような構造のエッチャーリング1aを得ることができる。
【0167】
以上に説明した実施の形態3のエッチャーリング1aにおいては、実施の形態1と共通する技術について実施の形態1と同様の技術的効果が得られる。
【0168】
以上に説明した実施の形態3のエッチャーリング1aにおいては、次のような特有の技術的効果を得ることができる。
【0169】
(1)実施の形態3のエッチャーリング1aにおいては、
図14および
図15に示すように、第2層12aが、第1層11aにおける第2領域112aの下方では第2層12aが存在しないように、第1層11aの下方に積層される。これにより、第1層11aと第2層12aとを備えるエッチャーリング1aにおいては、第1層11aの下方に第2層12aが存在しないので、エッチングにおいて第2層12aが露出することを抑制することができる。
【0170】
(2)実施の形態3のエッチャーリング1においては、
図16および
図17に示すように、第2層12aが、第1層11aにおける第2領域112aの下方では第2層12が存在しないようにする加工をする。これにより、第1層11aと第2層12aとを備えるエッチャーリング1aにおいては、第1層11aの下方に第2層12aが存在しないので、エッチングにおいて第2層12aが露出することを抑制することができる。
【0171】
[実施の形態4]
次に、
図18~
図19を用いて、実施の形態4を説明する。実施の形態4においては、
図13~
図15に示すエッチャーリング1aのその他の製造方法を説明する。
【0172】
実施の形態4が実施の形態3と異なる点は、主に以下の点である。実施の形態4では、実施の形態3の基材5と異なる基材5aが用いられる。実施の形態4では、実施の形態3の積層体6における第1層61および第2層62と異なる順番により、第1層61aおよび第2層62aが積層された積層体6aが形成される。実施の形態4では、積層体6aを、実施の形態3の積層体6とは異なる順番で切削する加工が行なわれる。
【0173】
(エッチャーリング1aの製造方法)
図18は、実施の形態4の積層体6aを加工装置によって加工することにより得られるエッチャーリング1aの部分を示す積層体6の断面図である。
図18に示すように、積層体6aにおいては、エッチャーリング1aを2つ得ることができる。
図18においては、1つのエッチャーリング1aの製造範囲を明確化するために、2つのエッチャーリング1aの製造範囲の境界が一点鎖線70で示されている。
【0174】
実施の形態4においては、実施の形態2のように、
図9に示す基材5aの周囲に
図10に示す第2層62が形成された後、その第2層62の周囲に第1層61が形成されることにより、積層体6aが形成される。
【0175】
実施の形態4のエッチャーリング1aの製造方法は、基材5の周囲に第2層62および第1層61を積層させた積層体6aを形成するまでの方法が、実施の形態2で
図9および
図10を用いて説明した方法と同様である。
【0176】
以下においては、
図18に示された2つのエッチャーリング1aを得る領域のうち、図中の下方に示されたエッチャーリング1aを代表例として、エッチャーリング1aを得るための加工部分について説明する。加工装置においては、積層体6aが以下に示すように加工されることにより、
図14に示すような構造のエッチャーリング1aが得られる。
【0177】
積層体6aにおいて、図中の下方に示されたエッチャーリング1aを得る場合は、加工装置において、まず、積層体6aの下面側を例えば破線71aのような位置まで切削して平面化する加工と、積層体6aの上面側を例えば破線72aのような位置まで切削して平面化する加工とが行なわれる。これにより、積層体6aの積層方向の両端面が平面化される。
【0178】
次に、加工装置においては、積層体6aの外周側を例えば破線73aのような位置まで切削して基材5aの第2領域52aを露出させる加工と、積層体6aの内周側を例えば破線74aのような位置まで切削して基材5aの第1領域51aを露出させる加工とが行なわれる。
【0179】
基材5aの第2領域52aを露出させる加工においては、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、破線73aで示すようなエッチャーリング1aの予め定められた外周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6aの外周側を切削する。基材5aの第1領域51aを露出させる加工においては、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、破線74aで示すようなエッチャーリング1aの予め定められた内周の寸法の位置と同じ位置まで、積層体6aの内周側を切削する。
【0180】
なお、基材5aの第1領域51aを露出させる加工においては、少なくとも基材5aの外周部側の端部および内周部側の端部が露出するまで積層体6aを切削すればよく、破線73aで示される位置までの切削、および、
図11の破線74aで示される位置までの切削は、基材5aを除去した後に行なってもよい。
【0181】
次に、化学的処理により、基材5aを除去する処理が行なわれる。これにより、積層体6aにおいては、
図18の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための第1部材と、
図18の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための第2部材とが分離する。
【0182】
以下においては、
図18の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための部材に関して、エッチャーリング1aを作成するための加工方法を説明する。
【0183】
図18の下側に示されたエッチャーリング1aを作成するための第2部材を、前述のように平面化した第1層61の側を上下方向に向けて加工装置の加工部において保持する。そして、加工装置においては、エッチャーリング1aの径方向における第1層11の厚さの分布が
図14に示すような厚さの分布となるように、エッチャーリング1aの上面側を切削する加工を行なう。
【0184】
具体的には、
図14に示すエッチャーリング1aにおける第1層11aと第2層12aとの界面15aが
図14に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第2部材の下面側を切削する加工を行なう。例えば、
図18の破線75aのような位置まで第2部材を切削したり、
図18の破線76aのような位置まで第2部材を切削したりする。その場合において、第2部材の下面側を切削する各位置は、第1層11aおよび第2層12aの成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11aおよび第2層12aの成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0185】
また、
図14に示すエッチャーリング1aにおける第1層11aの第3領域113aは、基材5aの円の中心の位置を基準位置として、その基準位置から予め定められた位置まで第2部材を切削することにより形成される。
【0186】
また加工装置においては、第2部材の上面側が、
図14に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第2部材の上面側を切削する加工を行なう。例えば、
図18の破線77aのような位置まで第2部材を切削する。その場合において、第2部材の上面側を切削する位置は、第1層11aおよび第2層12aの成膜開始からの成膜終了までの経過時間と、第1層11aおよび第2層12aの成膜速度とに基づいて予め推定する。
【0187】
これにより、エッチャーリング1aにおける第1層11aの第1領域111a、第2領域112a、および、第3領域113aの下方は、
図14に示すように第2層12aが存在しない構成となる。
【0188】
第1部材については、前述した第2部材と同様の加工をすることにより、
図14に示すような構造のエッチャーリング1aを得ることができる。
【0189】
実施の形態4では、以上に説明したように、CVD成膜装置4で
図10のような積層体6aを形成した後、加工装置で
図18のように積層体6aを加工することにより、積層体6aから
図13~
図15に示すような構造のエッチャーリング1aを得ることができる。
【0190】
(エッチャーリング1aの製造工程)
図19は、実施の形態4のエッチャーリング1aの製造工程を示すフローチャートである。
図19を用いて、前述した
図9,
図10、および、
図18で説明したエッチャーリング1aの製造方法を実現するための製造工程の流れをまとめて説明する。
【0191】
図19に示した製造工程については、エッチャーリング1aの製造方法を総括し、主として製造工程の流れを明確化するための説明をする。
【0192】
ステップS31の工程では、CVD成膜装置4において、基材5aの周囲にSiCの第2層62を形成する。ステップS31の工程は、実施の形態2のステップS11と同様の工程である。
【0193】
ステップS32の工程では、CVD成膜装置4において、第2層62の周囲に、SiCよりなる第1層61を形成する。ステップS32の工程は、実施の形態2のステップS12と同様の工程である。
【0194】
ステップS33の工程では、加工装置において、積層体6aの上面側を平面に加工するとともに、積層体6aの下面側を平面に加工する。ステップS33の工程は、実施の形態2のステップS13と同様の工程である。
【0195】
ステップS34の工程では、加工装置において、基材5aの内周側および外周側を露出させる。ステップS34の工程は、実施の形態2のステップS14と同様の工程である。
【0196】
ステップS35の工程では、加工装置において、基材5aを除去する。ステップS45の工程は、実施の形態2のステップS15と同様の工程である。
【0197】
ステップS36の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材について、
図14に示す第1層11aの第2領域112aにおける層の厚さが、エッチングでの損耗により
図14に示す第2層12aが露出しない厚さとなるように、第1層11aおよび第2層12aが形成されるように切削する加工を行なう。
【0198】
具体的に、ステップS36の工程では、前述したように、基材5aの下端の位置を基準位置として、予め定められた厚さに亘りエッチャーリング1aの上面側となる部分を切削する加工を行なう等、第1層11側の面を加工する。
【0199】
また、ステップS36の工程では、加工装置において、第1部材または第2部材において、エッチャーリング1aの下面側となる部分が、
図14に示すような断面形状となるように、基材5aの下端の位置を基準位置として、第1部材または第2部材を切削する加工を行なう。これにより、ステップS36の工程では、第2層12が、第1層11における第2領域112の下方において存在しないように加工される。
【0200】
実施の形態4では、以上に説明したように製造工程を実行することにより、
図13および
図14に示すような構造のエッチャーリング1aを得ることができる。
【0201】
以上に説明した実施の形態4のエッチャーリング1aにおいては、実施の形態1と共通する技術について実施の形態1と同様の技術的効果が得られ、実施の形態3と共通する技術について同様の技術的効果が得られる。
【0202】
[実施の形態のまとめ]
次に、本開示による実施の形態の特徴をまとめて説明する。
【0203】
(第1項)エッチングされるウエハ(ウエハ2)を保持するエッチャーリング(エッチャーリング1,1a)であって、第1領域(第1領域111,111a)と前記第1領域(第1領域111,111a)の外周側に隣接する第2領域(第2領域112,112a)とを含み、前記第1領域(第1領域111,111a)の上方に前記ウエハ(ウエハ2)の端部が保持される第1層(第1層11,11a)と、前記第1層(第1層11,11a)の下方に積層された第2層(第2層12,12a)とを備え、前記第1層(第1層11,11a)は、前記第2領域(第2領域112,112a)における層の厚さが、前記エッチングでの損耗により前記第2層(第2領域112,112a)が露出しない厚さ(
図2の第1層11の厚さ、
図14の第1層11aの厚さ)となるように形成される、エッチャーリング。
【0204】
このような構成によれば、エッチングをされる場合に、第1層が厚さ方向に損耗する領域である第2領域において、第1層の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層が露出しない厚さとなるように形成される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の層の厚さにより、第2層が露出することを抑制することができる。
【0205】
(第2項)前記第1層(第1層11,11a)は、前記第2領域(第2領域112,112a)の厚さ方向において、前記第1層(第1層11,11a)の方が、前記第2層(第2層12,12a)よりも厚くなるように形成される(
図2、
図14)、第1項に記載のエッチャーリング。
【0206】
このような構成によれば、第1層が、第2領域の厚さ方向において、第1層の方が第2層よりも厚くなるように形成される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の方が第2層よりも厚いことにより、エッチングにおいて第2層が露出することを抑制することができる。
【0207】
(第3項)前記第2層(第2層12)は、前記第1層(第1層11)における前記第2領域(第2領域112)の下方では前記第2層(第2層12)が存在するように、前記第1層(第1層11)の下方に積層される(
図2)、第1項または第2項に記載のエッチャーリング。
【0208】
このような構成によれば、第2層が、第1層における第2領域の下方では第2層が存在するように、第1層の下方に積層される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の下方に存在する第2層に関して、第1層の厚さにより、エッチングにおいて第2層が露出することを抑制することができる。
【0209】
(第4項)前記第2層(第2層12a)は、前記第1層(第1層11a)における前記第2領域(第2領域112a)の下方では前記第2層(第2層12a)が存在しないように、前記第1層(第1層11a)の下方に積層される(
図14)、第1項または第2項に記載のエッチャーリング。
【0210】
このような構成によれば、第2層が、第1層における第2領域の下方では第2層が存在しないように、第1層の下方に積層される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の下方に第2層が存在しないので、エッチングにおいて第2層が露出することを抑制することができる。
【0211】
(第5項)前記第1層(第1層11,11a)および前記第2層(第2層12,12a)は、SiCにより構成される、第1項~第4項のいずれか1項に記載のエッチャーリング。
【0212】
このような構成によれば、第1層および第2層がSiCにより構成されるエッチャーリングにおいて、エッチングの際に第2層が露出することを抑制することができる。
【0213】
(第6項)前記第1層(第1層11,11a)における前記第2領域(第2領域112,112a)は、第1領域(第1領域111,111a)の上方に端部が保持された前記ウエハ(ウエハ2)が前記エッチングをされる場合に、前記第1層(第1層11,11a)が前記第2領域(第2領域112,112a)の厚さ方向に損耗する領域である(
図3,
図15)、第1項~第5項のいずれか1項に記載のエッチャーリング。
【0214】
このような構成によれば、エッチャーリングにおいて、エッチングの際に損耗する領域において、エッチングの際に第2層が露出することを抑制することができる。
【0215】
(第7項)前記第1層(第1層11,11a)は、前記第2領域(第2領域112,112a)の外周側に隣接する第3領域(第3領域113,113a)をさらに含み、前記第3領域(第3領域113,113a)は、前記ウエハ(ウエハ2)の端部が前記第1領域(第1層11,11a)の上方に保持された場合に前記ウエハ(ウエハ2)の端部に対向するように突出した形状を有する(
図2、
図14)、第1項~第5項のいずれか1項に記載のエッチャーリング。
【0216】
このような構成によれば、エッチャーリングにおいて、ウエハが保持される場合に、第3領域によりウエハの外周を囲むことができる。
【0217】
(第8項)エッチングされるウエハ(ウエハ2)を保持するエッチャーリングを製造する方法であって、リング形状の基材(基材5,5a)の周囲に第1層(第1層61,11、第1層61a,61a)および第2層(第2層62,12、第2層62a,12a)を積層する工程(ステップS1,S2、ステップS11,S12、ステップS21,S22、ステップS31,S32)と、前記第1層(第1層61,11、第1層61a,11a)および前記第2層(第2層62,12、第2層62a,12a)の積層方向における両端面を平面に加工する工程(ステップS3,ステップS13、ステップS23、ステップS33)と、前記基材(基材5,5a)の内周および外周を露出させる工程(ステップS4,ステップS14、ステップS24、ステップS34)と、前記基材(基材5,5a)を除去する工程(ステップS5,ステップS15、ステップS25、ステップS35)と、前記第1層(第1層61,11、第1層61a,11a)において前記ウエハ(ウエハ2)の端部が保持される側の面を加工する工程(ステップS6,ステップS16、ステップS26、ステップS36)とを含み、前記第1層(第1層61,11、第1層61a,11a)および前記第2層(第2層62,12、第2層62a,12a)は、一方の層を前記基材の周りに形成した後、他方の層を前記一方の層の周りに形成することにより積層し(
図6、
図10)、前記第1層(第1層61,11、第1層61a,11a)は、前記ウエハ(ウエハ2)の端部が保持される第1領域(第1領域111,111a)と、前記第1領域の外周側に隣接する第2領域(第2領域112,112a)とを含むように加工し、前記第2領域(第2層62,12、第2層62a,12a)における層の厚さが、前記エッチングでの損耗により前記第2層(第2層62,12、第2層62a,12a)が露出しない厚さとなるように加工する(ステップS6,ステップS16、ステップS26、ステップS36)、エッチャーリングの製造方法。
【0218】
このような構成によれば、ウエハの端部が保持される第1領域と、第1領域の外周側に隣接する第2領域とを含むように第1層が加工され、第2領域における第1層の層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層が露出しない厚さとなるように加工される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第2層が露出することを抑制することができる。
【0219】
(第9項)前記第1層(第1層11,11a)は、前記第2領域(第2領域112,112a)の厚さ方向において、前記第1層(第1層11,11a)の方が、前記第2層(第2層12,12a)よりも厚くなるように加工する(ステップS6,ステップS16、ステップS26、ステップS36)、第8項に記載のエッチャーリングの製造方法。
【0220】
このような構成によれば、第1層が、第2領域の厚さ方向において、第1層の方が第2層よりも厚くなるように加工される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の方が第2層よりも厚いことにより、エッチングにおいて第2層が露出することを抑制することができる。
【0221】
(第10項)前記第2層(第2層12)は、前記第1層(第1層11)における前記第2領域(第2領域112)の下方では前記第2層(第2層12)が存在するように加工する(ステップS6,ステップS16、ステップS26、ステップS36)、第8項または第9項に記載のエッチャーリングの製造方法。
【0222】
このような構成によれば、第2層は、第1層における第2領域の下方では第2層が存在するように、第1層の下方に積層される。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の下方に存在する第2層に関して、第1層の厚さにより、エッチングにおいて第2層が露出することを抑制することができる。
【0223】
(第11項)前記第2層(第2層12a)は、前記第1層(第1層11a)における前記第2領域(第2領域112a)の下方では前記第2層(第2層12a)が存在しないように加工する(ステップS6,ステップS16、ステップS26、ステップS36)、第8項または第9項に記載のエッチャーリングの製造方法。
【0224】
このような構成によれば、第2層は、第1層における第2領域の下方では第2層が存在しないように加工する。これにより、第1層と第2層とを備えるエッチャーリングにおいては、第1層の下方に第2層が存在しないので、エッチングにおいて第2層が露出することを抑制することができる。
【0225】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0226】
2 ウエハ、1,1a エッチャーリング、111,111a 第1領域、112,112a 第2領域、11,11a,61,61a 第1層、12,12a,62,62a 第2層、113,113a 第3領域、5,5a 基材。
【要約】
【課題】第1層と第2層とを備えるエッチャーリングについて、第2層が露出することを抑制することができるようにすることである。
【解決手段】エッチングされるウエハを保持するエッチャーリング(1)であって、第1領域(111)と、第1領域(111)の外周側に隣接する第2領域(112)とを含み、第1領域(111)の上方にウエハの端部が保持される第1層(11)と、第1層(11)の下方に積層された第2層(12)とを備え、第1層(11)は、第2領域(112)における層の厚さが、エッチングでの損耗により第2層が露出しない厚さとなるように形成される。
【選択図】
図3