(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】AKT阻害剤の単位剤形組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240930BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240930BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240930BHJP
C07D 498/04 20060101ALN20240930BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20240930BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 111
C07D498/04 111
C07D471/04 116
(21)【出願番号】P 2023504140
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(86)【国際出願番号】 CN2021107810
(87)【国際公開番号】W WO2022017446
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202010709847.2
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521330404
【氏名又は名称】南京正大天晴制薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING CHIA TAI TIANQING PHARMACEU TICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ、レイ
(72)【発明者】
【氏名】タン、イン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン、ホー
(72)【発明者】
【氏名】マー、チャンヨウ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、タン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チュンシア
(72)【発明者】
【氏名】ティエン、チョウシャン
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-517866(JP,A)
【文献】特表2023-535702(JP,A)
【文献】特表2023-534552(JP,A)
【文献】特表2007-512364(JP,A)
【文献】特表2021-508319(JP,A)
【文献】特表2015-518715(JP,A)
【文献】特表2009-541335(JP,A)
【文献】特表2013-508382(JP,A)
【文献】特表2016-500065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 35/00
A61P 43/00
C07D 471/00-471/22
C07D 498/00-498/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形形態の医薬組成物であって、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が5mg以上400mg以下であり、式(I-0)で示される化合物は、下記の構造を有する、医薬組成物。
【化1】
(式中、Rは、C
1~C
4アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基から選ばれる。Xは、CH
2又はOから選ばれる。)
【請求項2】
式中、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基から選ばれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
式中、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
式中、Rは、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式中、Xは、CH
2
である、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式(I-0)で示される化合物は、下記の化合物から選ばれる、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【化2】
【請求項7】
式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上400mg以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、0.1%以上99.9%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、5%以上90%以下である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、25%以上65%以下である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形形態の医薬組成物であって、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が5以上400mg以下であり、式(I)で示される化合物は下記の構造を有する、医薬組成物。
【化3】
(式中、Rは、C
1~C
4アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基から選ばれる。Xは、CH
2又はOから選ばれる。)
【請求項12】
式中、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基から選ばれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
式中、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式中、Rは、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
式中、Xは、CH
2である、請求項11~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式(I)で示される化合物は、下記の化合物から選ばれる、請求項11~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【化4】
【請求項17】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上400mg以下である、請求項11~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、0.1%以上99.9%以下である、請求項11~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、5%以上90%以下である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、25%以上65%以下である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記単位剤形形態の医薬組成物は、経口投与に適する医薬製剤である、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
薬物として用いられる、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
AKTプロテインキナーゼにより媒介された疾患又は病状を予防及び/又は治療するための、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
AKTプロテインキナーゼにより媒介された疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬物の調製に使用するための、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記AKTプロテインキナーゼにより媒介された疾患又は病状は、がんである、請求項24又は25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記がんは、乳がん、前立腺がん又は卵巣がんである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記がんは、前立腺がんである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
必要がある個体への前記医薬組成物の投与用量は、式(I-0)で示される化合物又は式(I)で示される化合物で、0.001mg/kg体重/日以上100mg/kg体重/日以下である、請求項23~28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
必要がある個体への前記医薬組成物の投与用量は、式(I-0)で示される化合物又は式(I)で示される化合物で、0.01mg/kg体重/日以上50mg/kg体重/日以下である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
必要がある個体への前記医薬組成物の投与用量は、式(I-0)で示される化合物又は式(I)で示される化合物で、10mg/kg体重/日以上50mg/kg体重/日以下である、請求項30に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年07月22日に中華人民共和国知的財産局に出願された出願番号202010709847.2であり、発明名称「AKT阻害剤の単位剤形組成物」である中国特許出願に基づく優先権を主張する。当該出願に記載された内容は全て、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、医薬品化学の分野に属し、具体的に、AKT阻害剤の単位剤形組成物、その調製方法及び医薬的用途に関する。
【背景技術】
【0003】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)、その下流にあるタンパク質AKT(プロテインキナーゼB、PKBとも呼ばれる)及び哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)で構成されるPI3K/AKT/mTOR経路は、細胞内の極めて重要なシグナル伝達経路として、細胞の成長、生存、増殖、アポトーシス、血管新生、オートファジーなどの過程において極めて重要な生物学的機能を発揮している。当該経路の異常な活性化は、がん、神経障害、自己免疫疾患及び血液リンパ系疾患を含む一連の疾患を引き起こす。
【0004】
AKTは、セリン/トレオニンキナーゼであり、その下流にある多くのエフェクターによって細胞の生存、成長、代謝、増殖、移動及び分化に影響を与える。50%を超えるヒト腫瘍、特に前立腺がん、膵がん、膀胱がん、卵巣がん、乳がんにおいて、AKTの過剰な活性化が起きている。AKTの過剰な活性化は、腫瘍の形成、転移及び薬剤耐性をもたらす。
【0005】
AKTには、AKT1、AKT2、AKT3の3つのサブタイプがある。典型的なプロテインキナーゼとして、各サブタイプは、いずれもアミノ末端のPHドメイン(Pleckstrin homology domain)、中間のATP結合キナーゼドメイン及びカルボキシ末端の調節ドメインで構成されている。この3つのサブタイプでは約80%のアミノ酸配列が相同であり、ただPHドメイン及びキナーゼドメインの接続領域では大きな違いがある。
【0006】
現在、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路に対する標的薬物は、主にPI3K阻害剤及びmTOR阻害剤である。しかしながら、AKTは、当該シグナル伝達経路のコアにある。AKTの活性を阻害することで、上流のPI3Kへの阻害による激しい副作用を避けしつつ、下流のmTORへの阻害によるネガティブフィードバック機構の有効性への影響を避けることもできる。従って、効果的かつ選択的なAKT阻害剤を見つけることは、現在の腫瘍標的薬の開発にとって重要な方向である。CN101631778Aには、シクロペンタ[D]ピリミジン誘導体が、CN101578273Aには水酸基化及びメトキシ化されたシクロペンタ[D]ピリミジン誘導体が、CN101511842Aにはジヒドロフロピリミジン誘導体が、CN101970415Aには5H-シクロペンタ[d]ピリミジン誘導体がそれぞれ開示され、これらの化合物は10μM未満のAKT1阻害IC50を有する。
【0007】
従って、新たなAKT阻害剤を開発し、並びに、それを疾患の治療に用いることは、依然として必要である。
【発明の概要】
【0008】
第1態様において、本発明は、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形形態の医薬組成物であって、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が5mg以上400mg以下である、医薬組成物を提供し、
【化1】
、
式中、Rは、C
1~C
4アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基から選ばれ、Xは、CH
2又はOから選ばれる。
【0009】
いくつかの実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基から選ばれる。
【0010】
いくつかの典型的な実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる。
【0011】
いくつかのより典型的な実施形態において、Rは、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる。
【0012】
いくつかの実施形態において、Xは、CH2から選ばれる。
【0013】
いくつかの実施形態において、Xは、Oから選ばれる。
【0014】
いくつかの実施態様において、式(I-0)で示される化合物は、下記の化合物から選ばれる:
【化2】
。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上400mg以下である。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上200mg以下である。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上150mg以下である。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が25mg以上150mg以下である。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が25mg以上100mg以下である。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mgである。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が25mgである。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が50mgである。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が75mgである。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が100mgである。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が150mgである。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が200mgである。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が400mgである。
【0028】
いくつかの実施形態において、式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合は、0.1~99.9%、好ましくは5~90%、より好ましくは25~65%を占める。
【0029】
本発明の別の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物又は又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形の医薬組成物であって、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が5mg以上400mg以下である、医薬組成物を提供し、
【化3】
、
式中、Rは、C
1~C
4アルキル基又はC
3~C
6シクロアルキル基から選ばれ、Xは、CH
2又はOから選ばれる。
【0030】
いくつかの実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基から選ばれる。
【0031】
いくつかの典型的な実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる。
【0032】
いくつかのより典型的な実施形態において、Rは、イソプロピル基又はシクロプロピル基から選ばれる。
【0033】
いくつかの実施形態において、Xは、CH2から選ばれる。
【0034】
いくつかの実施形態において、Xは、Oから選ばれる。
【0035】
いくつかの実施態様において、式(I)で示される化合物は、下記の化合物から選ばれる:
【化4】
。
【0036】
いくつかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、下記の化合物である:
【化5】
。
【0037】
いくつかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、下記の化合物である:
【化6】
。
【0038】
いくつかの実施形態において、式(I)で示される化合物は、下記の化合物である:
【化7】
。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上400mg以下である。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上200mg以下であるである。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mg以上150mg以下である。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が25mg以上150mg以下である。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が25mg以上100mg以下である。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が10mgである。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が25mgである。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が50mgである。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が75mgである。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が100mgである。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が150mgである。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が200mgである。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物で、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量が400mgである。
【0052】
いくつかの実施形態において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、遊離塩基で、質量の医薬組成物総質量に対する割合が、0.1%以上99.9%、好ましくは5%以上90%以下、より好ましくは25%以上65%以下を占める。
【0053】
いくつかの実施態様において、前記単位剤形的医薬組成物は、一種又は複数種の薬学的に許容可能な担体、例えば、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤などをさらに含む。前記薬学的に許容可能な担体の質量パーセント含有量は、0.1%以上99.9%以下である。好ましくは、10%以上95%以下である。より好ましくは、35%以上75%以下である。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物は、経口投与に適する医薬製剤である。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物は、液体製剤又は固体製剤である。
【0056】
いくつかの典型的な実施形態において、前記単位剤形形態の医薬組成物は、経口投与に適する固体製剤であり、好ましくは、錠剤又はカプセルである。
【0057】
カプセルについて、薬学的に許容可能な担体は、好ましくは、充填材及び潤滑剤から選ばれる。充填材の具体例として、例えば、リン酸水素カルシウム二水和物が挙げられる。潤滑剤の具体例として、例えば、ベヘン酸グリセリルが挙げられる。
【0058】
別の形態において、本発明は、薬物として使用され、本発明に係る式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形の医薬組成物をさらに提供する。
【0059】
別の形態において、本発明は、薬物として使用され、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形の医薬組成物をさらに提供する。
【0060】
別の形態において、本発明は、AKTタンパク質キナーゼにより媒介された病患又は病患状態を予防及び/又は治療する医薬品の調製における、本発明に係る式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩,又は式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩含む単位剤形の医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0061】
別の形態において、本発明は、本発明に係る式(I-0)で示される化合物又は又はその薬学的に許容可能な塩,又は式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩含む単位剤形の医薬組成物の、AKTタンパク質キナーゼにより媒介された病患又は病患状態を予防及び/又は治療する用途をさらに提供する。
【0062】
別の形態において、本発明は、AKTタンパク質キナーゼにより媒介された病患又は病患状態を予防及び/又は治療する方法であって、必要がある個体に本発明に係る式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩,又は式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法をさらに提供する。
【0063】
別の形態において、本発明は、AKTタンパク質キナーゼにより媒介された病患又は病患状態を予防及び/又は治療するための、本発明に係る式(I-0)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩,又は式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む単位剤形の医薬組成物をさらに提供する。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記AKTタンパク質キナーゼにより媒介された病患又は病患状態は、がんである。
【0065】
いくつかの典型的な実施形態において、前記がんは、乳がん、前立腺がん、又は卵巣がんである。
【0066】
いくつかの典型的な実施形態において、前記がんは、前立腺がんである。
【0067】
「関連の定義」
特に断らない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用する以下の用語は、下記の意味を有する。
本発明における(I-0)で示される化合物は、互変異性体の形態を含む。互変異性体の形態は、一つの単結合と、それと隣接する二重結合との交換、及びそれに伴う一つのプロトンの転移から由来する。例示的に、式(i)で示される化合物を例として、特定条件で、式(ii)で示される化合物に変化されると、式(ii)で示される化合物は、式(i)で示される化合物の互変異性体である。相応的に、式(I-0)で示される化合物における他の化合物の互変異性体も本発明の保護範囲に入る。
【化8】
。
【0068】
本発明に係る化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、これらの水和物を含む。具体的には、化合物の水和物、及び、化合物の薬学的に許容可能な塩の水和物を含む。
【0069】
本開示における数値範囲は、所定の範囲内の各整数を指す。例えば、「C1~C4」とは、当該基は1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子又は4個の炭素原子を有することを指し、「C3~C6」とは、当該基は3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子又は6個の炭素原子を有することを指す。
【0070】
「アルキル基」という用語は、直鎖の又は分枝鎖の飽和炭化水素基を含む飽和脂肪族炭化水素基を指し、前記炭化水素基は、示された炭素原子数を有する。例えば、「C1~C4アルキル基」という用語は、C1アルキル基、C2アルキル基、C3アルキル基又はC4アルキル基を含み、具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基を含むが、これらに限定されない。
【0071】
「シクロアルキル基」という用語は、ヘテロ原子がなく、二重結合がない単環式飽和炭化水素系を指す。「C3~C6シクロアルキル基」という用語は、具体例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を含むが、これらに限定されない。
【0072】
「単位剤形形態」という用語は、各々単独で存在し、比較的に独立して薬用カートリッジ又は薬物包装に存在する製品の具体的な形態を指す。単位剤形において、一定量の有効成分を含む。例示的に、本発明に係る「単位剤形」として、経口投与用の固体製剤の一枚又は一粒と理解される。一般的に使用される固体製剤に応じて、前記一枚又は一粒の薬物の重量は、当分野に適用するいかなる重量、例えば、100mg以上1500mg以下などを採用できる。別のいくつかの例示において、本発明に係る「単位剤形」として、経口投与用の液体製剤、例えば、経口溶液の一ビン又は液体を含むカプセルの一粒と理解される。一般的に使用される経口溶液又はカプセルに応じて、前記一ビン又は一粒における液体の体積は、当分野に適用するいかなる体積、例えば、20μL以上10ml以下などである。
【0073】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、特定の化合物の遊離の酸と塩基の生物学の有効性を保ちながら、生物学上の不良作用がない塩を指す。例えば、酸(有機酸と無機酸を含む)付加塩、又は塩基(有機塩基と無機塩基を含む)付加塩である。
【0074】
本発明に係る薬学的に許容可能な塩は、酸基又は塩基を含有している親化合物から通常の化学的方法で合成することができる。一般的に、このような塩は、水又は有機溶媒又は両者の混合物において、それらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸を反応させて調製する。
【0075】
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、生体に顕著な刺激がなく、しかも当該活性化合物の生物活性及び性能を損なわないものを指す。担体は、中国国家食品医薬品監督管理局に許可されたいずれのヒト又は動物に用いられる希釈剤、崩壊剤、粘着剤、流動化剤、濡れ剤を含むが、これらに限定されない。
【0076】
特に断らない限り、本発明に用いられる略称の意味は下記である。
M:mol/L、mM:mmol/L、nM:nmol/L、Boc:tert-ブトキシカルボニル基、DCM:ジクロロメタン、DEA:ジエチルアミン、DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、HATU:(2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)、RT:保持時間、SFC:超臨界流体クロマトグラフィー、h:時間、min:分間、TK:チロシンキナーゼ、SEB:蛍光シグナルエンハンサー、HTRF:均一時間分解蛍光、DTT:ジチオトレイトール、QD:1日あたり1回、po:経口投与、TV:腫瘍体積、PG:1,2-プロパンジオール、T/C:相対腫瘍増殖率、TGI:腫瘍増殖抑制率。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本発明の実施例及び従来技術の技術案をより明確的に説明するために、以下、実施例及び従来技術に使用される必要な図面を簡単に解釈する。自明的に、以下に記載の図目は、ただ本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、これら図面に基づき、他の図面を得ることもできる。
【
図1】
図1は、実施例1の異性体2の分子模式図である。
【
図2】
図2は、実施例1の異性体2のシュウ酸塩単結晶の非対称構造単位の模式図である。
【
図3】
図3は、実施例3の異性体1の分子模式図である。
【
図4】
図4は、実施例3の異性体1のシュウ酸塩単結晶の非対称構造単位の模式図である。
【
図5】
図5は、実施例3の異性体3の分子模式図である。
【
図6】
図6は、実施例3の異性体3のシュウ酸塩単結晶の非対称構造単位の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、具体的に本発明の医薬組成物、その調製方法及び医薬用途(化合物の調製方法を含む)を説明する。しかしながら、本発明は、こられ具体な説明に一切限定されない。
【0079】
調製実施例
調製例1(R)-4-クロロ-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンの調製
【化9】
a)2-メチルプロパン-1,1,3-トリカルボン酸トリメチル
窒素雰囲気で、20℃でナトリウムメトキシドのメタノール溶液(30wt%、50.32g)をメタノール(900mL)に加えた後、70℃に昇温し、マロン酸ジメチル(461.12g)及びクロトン酸エチル(349.46g)を均一に混合し、上記ナトリウムメトキシドのメタノール溶液に滴下し、70℃で3時間反応させた。完全に反応させた後、減圧蒸留により溶媒を除去して、酢酸エチル(1L)を加え、4Mの塩酸でpH7-8に調整し、そして水(500mL)を加え、分液して、有機相を減圧蒸留により除去し、黄色の液体777.68gを得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ(ppm)3.67(s,3H),3.65(s,3H),3.59(s,3H),3.56(d,J=6.8Hz,1H),2.45-2.58(m,2H),2.23-2.29(m,1H),0.93(d,J=6.8Hz,3H)。
【0080】
b)(R)-2-メチルプロパン-1,1,3-トリカルボン酸トリメチル
25℃でリン酸水素二ナトリウム(4.5g)を脱イオン水1.5Lに溶解し、2Nの塩酸でpH7.05に調整し、2-メチルプロパン-1,1,3-トリカルボン酸トリメチル(150.46g)及びリパーゼ(カンジダ・ルゴサ、6日間にかけて40gを加えた)を入れ、2Nの水酸化ナトリウムでpH7.0-7.6に調整し、35℃で6日間反応させ、キラリティー測定ee%>98%、キラリティー測定条件は、Chiralpak IC、4.6×250mm、5μm、n-ヘキサン:エタノール=9:1(体積比)である。反応液を10℃に冷却し、3Mの塩酸でpH3-4に調整し、酢酸エチル500mLを加え、吸引濾過し、フィルターケーキを酢酸エチル(600mL)で洗浄して分液し、飽和重曹水(100mL)で洗浄して分液し、有機相を濃縮して、淡黄色の液体26.89gを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)3.74(s,6H),3.68(s,3H),3.46(d,J=7.2Hz,1H),2.71-2.79(m,1H),2.54(dd,J=15.6、4.8Hz,1H),2.32(dd,J=16.0、8.4Hz,1H),1.06(d,J=6.8Hz,3H)。
【0081】
c)(R)-3-(4,6-ジヒドロキシピリミジン-5-イル)酪酸メチル
窒素雰囲気で、20℃で酢酸ホルムアミジン(11.33g)をメタノール(200mL)に溶解し、0℃に冷却し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(30wt%,55.62g)を滴下し、0℃で60min反応させて、(R)-2-メチルプロパン-1,1,3-トリカルボン酸トリメチル(24.07g)のメタノール(60mL)溶液を滴下し、20℃に自然昇温して、10時間反応させた。完全に反応させた後、反応液を0℃に冷却し、3Nの塩酸を加えてpH5-6になるように調整し、減圧蒸留により溶媒を除去し、その後0℃に冷却し、3Nの塩酸を加えてpH3になるように調整し、固体が析出し、吸引濾過で固体を集め、フィルターケーキを氷水(100mL)で洗浄した後、真空乾燥させ、白色の固体18.79gを得て、そのまま次のステップに用いた。
【0082】
d)(R)-3-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)酪酸メチル
窒素雰囲気で、22℃で(R)-3-(4,6-ジヒドロキシピリミジン-5-イル)酪酸メチル(14.63g)をアセトニトリル(70mL)に分散し、塩化ホスホリル(26.42g)及びジイソプロピルエチルアミン(12.51g)を順に滴下し、反応系は激しく発熱し、そして60℃に昇温し、固体が徐々に完全に溶けていき、反応を18時間続けた。完全に反応させた後、反応液を0℃に冷却し、酢酸エチル100mLを加え、飽和重曹水でpH7-8に調整し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を減圧蒸留により除去し、黄色の固体13.89gを得、そのまま次のステップに用いた。
【0083】
e)(R)-4-クロロ-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン
20℃で(R)-3-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)酪酸メチル(13.89g)及びアンモニア水(25-28wt%、70mL)を100mLのオートクレーブに入れ、50℃に昇温し、18時間反応させた。完全に反応させた後、反応液を0℃に冷却し、吸引濾過して、フィルターケーキを(石油エーテル:酢酸エチル=10:1(体積比))30mLでパルプ化し、淡黄色の固体7.32gを得た。LC-MS(ESI)m/z:198(M+H)。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.30(d,J=7.2Hz,3H),2.65-2.69(m,1H),2.86-2.92(m,1H),3.47-3.54(m,1H),8.64(s,1H),10.10(s,1H)。
【0084】
実施例1:(R)-4-((1S,6R)-5-((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(イソプロピルアミノ)プロピオニル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンの調製
【化10】
反応条件:a)2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル、N-メチルピロリドン、4-ジメチルアミノピリジン、b)塩化水素/1,4-ジオキサン(4.0M)、ジクロロメタン、c)(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、d)トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン。
【0085】
a)5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル
窒素雰囲気で、22℃で(R)-4-クロロ-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン(0.21g)、2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル(0.31g)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.39g)をN-メチルピロリドン(5mL)に溶解し、そして、140℃に加熱し、3時間反応させた。完全に反応させた後、反応液を20℃に冷却して氷水20mLに注ぎ、酢酸エチル(20mL×2)で抽出し、飽和食塩水(10mL×3)で洗浄し、溶媒を減圧蒸留により除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1~1:1)により分離し、淡黄色の液体0.28gを得た。LC-MS(ESI)m/z:360(M+H)。
【0086】
b)(5R)-4-(2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリジン[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン塩酸塩
20℃で5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル(0.28g)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、塩化水素/1,4-ジオキサン(4.0mL)を加えて1時間反応させた。完全に反応させた後、反応液を減圧で蒸留し溶媒を除去し、黄色の固体0.23gを得て、そのまま次のステップに用いた。
【0087】
c)(2S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバミン酸tert-ブチル
窒素雰囲気で、20℃で(5R)-4-(2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンの塩酸塩(0.20g)及び(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)-プロピオン酸(0.22g)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(0.59g)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.48g)を加え、25℃で4時間反応させた。完全に反応させた後、反応液に水20mlを加え、酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水(10mL×2)で洗浄し、有機相を減圧蒸留により除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=50:1)で分離し、黄色の固体0.18gを得た。LC-MS(ESI)m/z:583(M+H)。
【0088】
d)(R)-4-((1S,6R)-5-((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(イソプロピルアミノ)プロピオニル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン
20℃で(2S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバミン酸tert-ブチル(0.18g)を、ジクロロメタン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.86mL)を加え、3時間反応させた。完全に反応させた後、反応液にジクロロメタン(10mL)を加え、0℃で2Mの水酸化ナトリウム溶液を滴下し、pH12になるように調整し、分液して、有機相を飽和食塩水(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を減圧蒸留により除去し、黄色の固体0.10gを得た。高速分取液体クロマトグラフィーで光学分割し、異性体1(3mg)及び異性体2(12mg)を得た。高速分取液体クロマトグラフィーの条件:カラム:Aglient 5μm prep-C1850×21.2mm、移動相A:水(0.1%のアンモニア水を含む(25-28wt%))、移動相B:メタノール。勾配:時間0-10min、B相60-70%(体積比)。
【0089】
異性体1:RT1=5.3min、LC-MS(ESI)m/z:483(M+H)。
【0090】
異性体2:RT=5.9min、LC-MS(ESI)m/z:483(M+H)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)8.27(d,J=7.6Hz,1H),7.92(s,1H),7.27-7.30(m,4H),4.23-4.29(m,1H),3.90-3.95(m,1H),3.81-3.85(m,1H),3.69-3.72(m,1H),3.44-3.59(m,1H),3.20-3.38(m,3H),3.01-3.05(m,1H),2.70-2.85(m,3H),2.47-2.57(m,1H),2.21-2.25(m,1H),1.25-1.28(m,3H),1.03-1.11(m,6H),0.82-0.90(m,2H)。
【0091】
単結晶回折に基づき、構造を測定し、異性体2は、本実施例に表題された化合物であると確認される。
単結晶の調製:異性体2 30.0mg、イソプロパノール2.0mLを5mLのスクリュートップガラス瓶に入れ、5min撹拌し、固体が完全に溶解した。シュウ酸二水和物3.9mgを秤量し、前記ガラス瓶に入れ、ガラス瓶において徐々に白い固体が析出し、室温で3時間撹拌し、ガラス瓶に大量の白い固体が析出した。ガラス瓶にメタノール1.0mLを加え、白い固体が徐々に消え、溶液が透明になり、続いて1時間撹拌した。溶液は、0.22μmの微多孔フィルター膜を通過し、3mLのスクリュートップガラス瓶に濾過し、ガラス瓶の口をラップフィルムで覆った。針で瓶の口に8つの穴を開けて、室温で7日間放置し、異性体2化合物のシュウ酸塩の単結晶を得た。
【0092】
単結晶回折試験:
単結晶X線回折装置:BRUKER D8 VENTURE PHOTON II
波長:GaKα(λ=1.34139Å)
試験温度:190K
構造解析用コンピュータプログラム:SHELXL-2018
単結晶データ:分子式:C55H72Cl2N12O9、分子量:1116.14、結晶系:六方晶、空間群:P 61、格子定数:a=25.8406(15)Å、b=25.8406(15)Å、c=45.916(3)Å、α=90°、β=90°、γ=120°、単位格子の体積:V=26552(4)Å3、単位格子に含まれる分子式の数:Z=12、計算密度:Dcalc=0.838g/cm3、R(Fo):0.0730、RW(Fo
2):0.2069、適合度(S):1.034、フラックパラメータ:0.066(9)。
【0093】
構造の説明:単結晶X線回折及び構造分析は、得られた単結晶が異性体2のシュウ酸塩のイソプロパノール溶媒和物であることを示す。結晶体の非対称構造単位に四つの異性体2分子、二つのシュウ酸分子及び二つのイソプロパノール分子が含まれ、異性体2及びシュウ酸は、シュウ酸塩を形成した。異性体2の単分子の模式図を
図1に示し、シュウ酸塩単結晶の非対称構造単位を
図2に示す。構造式を以下に示す:
【化11】
。
【0094】
実施例2:(R)-4-((1S,6R)-5-((S)-2-(4-クロロフェニル)-3(シクロプロピルアミノ)プロピオニル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オンの調製
【化12】
反応条件:a)トリエチルアミン、二炭酸ジーtert-ブチル、ジクロロメタン、b)ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(2.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液)、ブロモメチルメチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、c)(R)-4-ベンジルオキサゾリジン-2-オン、ジイソプロピルエチルアミン、トリメチルアセチルクロリド、トルエン、d)四塩化チタン(1mol/Lトルエン溶液)、ジイソプロピルエチルアミン、ジクロロメタン、e)過酸化水素溶液(30%)、水酸化リチウム一水和物、テトラヒドロフラン、水、f)2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルピロリドン、g)塩化水素ジオキサン(4.0M)、h)2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、i)塩化水素ジオキサン(4.0M)。
【0095】
a)シクロプロピルカルバミン酸tert-ブチル
窒素雰囲気で、20℃でシクロプロピルアミン(9.3g)及びトリエチルアミン(19.7g)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、0℃で二炭酸ジーtert-ブチル(35.48g)を滴下し、20℃で16時間反応させて、反応が完了した後、溶媒を除去し、24.3gの無色の液体を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)0.47-0.50(m,2H),0.66-0.72(m,2H),1.44(s,9H),2.53(m,1H),4.79(s,1H)。
【0096】
b)シクロプロピル(メトキシメチル)カルバミン酸tert-ブチル
窒素雰囲気で、シクロプロピルカルバミン酸tert-ブチル(24.3g)を2-メチルテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、0℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(120mL)を滴下し、反応液を0℃で1時間撹拌し、0℃でブロモメチルメチルエーテル(35.7g)を滴下し、反応液を0℃で6時間撹拌し、反応液を50gの氷水に注ぎ、分液し、酢酸エチル(100mL*2)で抽出し、反応液をそのまま濃縮して、生成物として無色の液体29.1gを得て、精製せずにそのまま次のステップに用いた。
【0097】
c)(R)-4-ベンジル-3-(2-(4-(クロロフェニル)アセチル)オキサゾリジン-2-オン
窒素雰囲気で、2-(4-クロロフェニル)酢酸(50g)、(R)-4-ベンジルオキサゾリジン-2-オン(45.5g)及びジイソプロピルエチルアミン(127.3g)をトルエン(600mL)に溶解し、15℃でトリメチルアセチルクロリド(38.4g)を滴下し、反応液を還流で16時間撹拌し、そして反応液を水200mLに注ぎ、分液し、飽和食塩水120mLで洗浄し、有機相を乾燥させて濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)で単離、精製し、白い固体32gを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.88-3.02(m,2H),4.12-4.37(m,4H),4.64-4.70(m,1H),7.13-7.16(m,2H),7.23-7.32(m,5H),7.39-7.42(m,2H)。
【0098】
d)((S)-3-((R)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-(4-クロロフェニル)-3-オキソプロピル)(シクロプロピル)カルバミン酸tert-ブチル
窒素雰囲気で、(R)-4-ベンジル-3-(2-(4-(クロロフェニル)アセチル)オキサゾリジン-2-オン(3.48g)をジクロロメタン(60mL)に溶解し、0℃で四塩化チタンのトルエン溶液(13mL)を滴下し、反応液を0℃で2時間撹拌し、DIPEA(1.49g)を滴下し、反応液を0℃で1.5時間撹拌し、シクロプロピル(メトキシメチル)カルバミン酸tert-ブチル(2.77g)を滴下し、反応液を0℃で6時間撹拌して反応が完了した。そして、反応液を飽和塩化アンモニウム溶液30mLに注ぎ、分液し、飽和食塩水120mLで洗浄し、有機相を乾燥させて濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)で単離、精製し、無色のオイル状の生成物2.50gを得た。
【0099】
e)(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)(シクロプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸
水酸化リチウム一水和物(0.63g)を水(18mL)に溶解し、テトラヒドロフラン(20mL)を加え、0℃で過酸化水素溶液(1.6mL)を滴下し、0℃で((S)-3-((R)-4-ベンジル-2-オキサゾリジン-3-イル)-2-(4-クロロフェニル)-3-オキソプロピル)(シクロプロピル)カルバミン酸tert-ブチル(2.50g)を加え、反応液を0℃で3時間撹拌し、反応液に飽和亜硫酸ナトリウム溶液(15mL)を加え、1.5h反応させ、飽和硫酸水素カリウム溶液でpH3~4になるように調整し、酢酸エチル(30mL*2)で抽出し、分液し、有機相を乾燥させて濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で単離、精製し、無色の固体1.26gを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):0.45-0.48(m,2H),0.60-0.64(m,2H),1.30(s,9H),2.19(s,1H),3.61(d,J=7.6Hz,1H),3.95(t,J=8.0Hz,1H),7.37(dd,J=26.8、8.8Hz,4H),12.7(s,1H)。
【0100】
f)5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸
窒素雰囲気で、(R)-4-クロロ-5-メチル-5,8-ジヒドロピリジン[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン(300mg)、2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル(455mg)、4-ジメチルアミノピリジン(600mg)をN-メチルピロリドン(5mL)に溶解し、120℃で12時間撹拌し、そして、反応液を水50mLに注ぎ、酢酸エチル(20mL*2)で抽出し、飽和食塩水15mLで洗浄し、有機相を乾燥させて溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1~1:2)で単離、精製し、黄色の固体400mgを得た。
【0101】
g)(5R)-4-(2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン
5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸エステル(400mg)をジオキサン(5mL)に溶解し、塩化水素ジオキサン溶液(5mL)を滴下し、25℃で2時間撹拌して、反応が完了し、反応液をそのまま濃縮し、粗生成物として黄色の固体を得て、そのまま次のステップに用いた。
【0102】
h)tert-ブチル((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-((1R,6S)-5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-3-オキソプロピル)(シクロプロピル)カルバメート
窒素雰囲気で、(5R)-4-(2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン(270mg)、工程e)の生成物(389mg)、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(474mg)及びジイソプロピルエチルアミン(671mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、反応液を25℃で3時間撹拌して、反応が完了した。そして、反応液を水50mLに注ぎ、酢酸エチル(20mL*2)で抽出し、飽和食塩水(10mL*3)で洗浄し、有機相を乾燥させて濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:2)で単離、精製し、黄色の固体320mgを得た。
【0103】
i)(R)-4-((1S,6R)-5-((S)-2-(4-クロロフェニル)-3(シクロプロピルアミノ)プロピオニル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-7(6H)-オン
tert-ブチル((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-((1R,6S)-5-((R)-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリジル[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-3-オキソプロピル)(シクロプロピル)カルバメート(320mg)をジオキサン(2.5mL)に溶かし、塩化水素ジオキサン(2.7mL)を滴下し、反応液を25℃で14時間撹拌して、反応が完了した。そして反応液を濃縮して、粗生成物を得、飽和炭酸カリウム溶液でpH13~14になるように調整し、DCM(10mL*2)で抽出し、水(10mL)で洗浄し、溶媒を除去し、生成物を超臨界流体クロマトグラフィーにて光学分割し、異性体1(61.2mg)及び異性体2(31.2mg)を得た。単結晶回折に基づき、構造を測定し、異性体2は、本実施例に表題された化合物であると確認される。光学分割のための設備及び条件:waters SFC200、カラム:Daicel Chiralcel AS,250×30mm I.D.,5μm、移動相:AがCO2であり、Bがイソプロパノールである(0.1vol%アンモニア水(25-28wt%))、A:B=70:30(体積比)、流速60mL/min、カラム温度38℃。
【0104】
超高性能コンバージェンスクロマトグラフィーの条件:カラム:Daicel Chiralcel AD,2.1×150mm I.D.,3μm、移動相A:CO2、移動相B:イソプロパノール(0.1%DEA)、勾配:時間0-8min、B相5-40%(体積比)、流速:1mL/min、カラム温度:40℃。異性体1:RT=3.7min、異性体2:RT=4.6min。
【0105】
異性体1:LC-MS(ESI)m/z:481(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):0.03-0.12(m,2H),0.25-0.30(m,2H),0.66-0.70(m,1H),0.96-1.05(m,3H),1.35-1.40(m,1H),1.93-2.11(m,2H),2.29-2.35(m,1H),2.67-2.77(m,2H),2.80-2.86(m,1H),3.03-3.25(m,4H),3.39-3.48(m,1H),3.69-3.79(m,1H),4.24-4.34(m,2H),7.34-7.41(m,4H),8.17(s,1H),10.52(s,1H)。
【0106】
異性体2:LC-MS(ESI)m/z:481(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):0.14-0.21(m,2H),0.30-0.37(m,2H),0.93-1.07(m,4H),2.03-2.34(m,3H),2.66-2.86(m,2H),3.10-3.25(m,4H),3.36-3.94(m,4H),4.07-4.15(m,1H),4.41-4.45(m,1H),7.32-7.42(m,4H),8.19(s,1H),10.48(s,1H)。
【0107】
実施例3:(S)-5-((1S,6R)-5-((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(イソプロピルアミノ)プロピオニル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-4-メチル-1,4-ジヒドロ-2H-ピリミジニル[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オンの調製
【化13】
a)1-(4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-イル)エタノン(化合物34-1)
20℃で1-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)エタノン(2.5g)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、アンモニア水(25-28wt%、9g)を加え、反応液を20℃で5時間撹拌し、そして濃縮し、少量の水を加えて希釈し、吸引濾過して白い固体を得、真空乾燥した後白い固体2gを得、そのまま次のステップに用いた。
【0108】
b)1-(4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-イル)エタン-1-オール(化合物34-2)
20℃で1-(4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-イル)エタノン(1.5g)をメタノール(15mL)に溶解し、-10℃に冷却し、更に水素化ホウ素ナトリウム(1g)を分割して加え、添加完了後、反応液をゆっくりに20℃に昇温し、攪拌を3時間続けた。完全に反応させた後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした。そして、反応液を濃縮して、酢酸エチル(20mL*2)でパルプ化した。母液を濃縮し、オイル状の粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで単離し、白いオイル状の生成物400mgを得た。LC-MS(ESI)m/z:174(M+H)。
【0109】
c)5-クロロ-4-メチル-1,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン(化合物34-3)
20℃で1-(4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-イル)エタン-1-オール(300mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(282mg)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、そして温度を-5℃に低下し、ジ(トリクロロメチル)カーボネート(300mg)をゆっくりと加え、-5℃で0.5時間撹拌した。そして、ゆっくりと18℃に昇温し、1.5時間撹拌した。完全に反応させた後、反応を重曹水でクエンチし、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し濾過し、濃縮してオイル状の粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで単離し、精製し、白い固体108mgを得た。LC/MS(ESI)m/z:200(M+H)。
【0110】
d)(S)-5-クロロ-4-メチル-1,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン(化合物34-4a)及び(R)-5-クロロ-4-メチル-1,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン(化合物34-4b)
化合物34-3をSFCキラルカラムにより光学分割し、所望の目的物の化合物34-4a及び化合物34-4bを得た。
【0111】
SFCキラル分割の条件:装置:waters SFC200、分離カラム:Daicel Chiralcel AD、250×50mm I.D.,10μm、移動相A:CO2、移動相B:メタノール(0.1vol%アンモニア水(25~28wt%))、A:B=65:35(体積比)、流速:150mL/min、圧力:100bar、カラム温度:38℃、検出波長:220nm、サイクル時間:14min、サンプル前処理:10gを300mLのMeOHに溶解、注入量:16mL。
【0112】
後処理:サンプルを40℃で濃縮した後、凍結乾燥して化合物34-4a及び化合物34-4bをそれぞれ得た。
【0113】
経路一:異性体1及び異性体4の調製
e)5-((S)4-メチル-2-オキソ-1,4-ジヒドロ-2H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-5-イル)-2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル(化合物34-5a)
化合物34-4a(2g)、2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチル(3.58g)を無水MeCN(20mL)に溶解し、DIEA(3.89g)を加え、反応液を窒素ガスで吹き払い、そして密閉して95℃で6時間撹拌し、反応が完了した後、濃縮して、目的物の粗生成物を得た。粗生成物をDCMに溶解し、水で洗浄した後濃縮して粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(EA:PE=1:1)で単離、精製し、淡い茶色の固体3.2gを得た。
【0114】
f)(4S)-5-(2,5-ジアザビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2-イル)-4-メチル-1,4-ジヒドロ-2H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オンの塩酸塩(化合物34-6a)
ステップe)の生成物(3.2g)をHCl/i-PrOH(10mL)に溶解し、室温で2時間撹拌し、反応が完了した後、濃縮して粗生成物を得て、精製せずにそのまま次のステップに用いた。
【0115】
g)化合物34-7a
ステップf)の生成物(3.3g)、(S)-3-((tert-ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸(4.9g)、HATU(6.32g)、DIPEA(4.3g)を無水DMF(50mL)に溶解し、反応液を室温で12時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチル100mLに注ぎ、水(20mL*3)及び飽和食塩水10mLで洗浄し、有機相を乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で単離し、精製し、茶色の固体7.2gを得た。MS(ESI)m/z: 585(M+H)。
【0116】
h)化合物34-8a
ステップg)の生成物(7.2g)をMeOH(25mL)に溶解し、そしてHCl/ジオキサン(70mL)を加え、反応液を室温で2時間撹拌した後、反応液を濃縮して赤いオイル状の粗生成物を得、更にMeOH(20mL)に溶解し、Na2CO3で遊離させた後、濃縮して、粗生成物6gを得た。
【0117】
i)異性体1及び異性体4
化合物34-8aをSFCキラルカラムで分割して異性体1及び異性体4を得た。
【0118】
SFC分割の条件:装置:waters SFC200、分離カラム:Daicel Chiralcel AD、250×50mm I.D.、10μm、移動相A:CO2、移動相B:MeOH(0.1vol%アンモニア水(25~28wt%))、A:B=75:25、流速:70mL/min、圧力:100bar、カラム温度:38℃、検出波長:254nm、サイクル時間:5min、サンプル前処理:10gを200mLのMeOHに溶解、注入量:16mL。
【0119】
後処理:サンプルを40℃で濃縮した後、凍結乾燥して異性体1及び異性体4をそれぞれ得た。
【0120】
経路二:異性体2及び異性体3の調製
化合物34-4bを原料として、経路一に記載された方法と同様にして、異性体2及び異性体3をそれぞれ調製した。
【0121】
異性体1:LC-MS m/z:485(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.70(s,1H),8.23(s,1H),7.46(d,J=8.5Hz,2H),7.39(d,J=8.6Hz,2H),6.13(q,J=6.6Hz,1H),4.51(s,1H),4.42-4.30(m,1H),3.53-3.45(m,1H),3.28-3.06(m,5H),3.01-2.59(m,3H),1.52-1.34(m,4H),1.08-0.97(m,6H),0.93-0.84(m,1H)。
【0122】
異性体4:LC-MS m/z:485(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.73(s,1H),8.23(s,1H),7.41-7.32(m,4H),6.14(q,J=8.0Hz,1H),4.40-4.36(m,1H),4.19-4.11(m,1H),3.62-3.51(m,2H),3.49-3.35(m,1H),3.24-3.05(m,4H),2.73-2.63(m,2H),1.45(d,J=8.0Hz,1H),1.33(d,J=8.0Hz,2H),1.12(q,J=4.0Hz,1H),0.95-0.88(m,6H),0.26(q,J=4.0Hz,1H)。
【0123】
異性体2:LC-MS m/z:485(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.86(s,1H),8.27(s,1H),7.54-7.27(m,4H),6.32-6.18(m,1H),4.69-4.52(m,1H),4.27-3.97(m,2H),3.66-3.43(m,2H),3.29-2.92(m,6H),2.61-2.55(m,1H),1.63-1.58(m,1H),1.53-1.28(m,3H),1.28-1.12(m,6H)。
【0124】
異性体3:LC-MS m/z:485(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.71(s,1H),8.18(s,1H),7.46-7.39(m,1H),7.36-7.28(m,3H),6.00(q,J=6.4Hz,1H),4.53(s,1H),4.46-4.33(m,1H),3.56-3.44(m,2H),3.26-3.09(m,5H),3.00-2.71(m,2H),1.43-1.38(m,3H),1.10-0.93(m,7H),-0.07--0.11(m,1H)。
【0125】
単結晶回折による立体構造の測定:
(1)異性体1の立体構造の測定
単結晶の調製:化合物異性体1(50.0mg)、イソプロパノール3.0mlを秤量し、5mlのスクリュートップガラス瓶に加え、5min撹拌して、固体が完全に溶解した。シュウ酸二水和物13.0mgを秤量し、前記ガラス瓶に入れ、ガラス瓶には徐々に白い固体が析出し、室温で3時間撹拌し、ガラス瓶に大量の白い固体が析出した。ガラス瓶にメタノール1.5ml、精製水0.2mlを加えた後、白い固体が徐々に消え、溶液が透明になり、続いて1時間撹拌した。溶液は、0.22μmの微多孔フィルター膜を通過し、20mlのスクリュートップガラス瓶に濾過し、ガラス瓶の口をラップフィルムで覆った。針で瓶の口に8つの穴を開け、室温で10日間放置し、異性体1化合物のシュウ酸塩の単結晶を得た。
【0126】
単結晶回折試験:
単結晶X線回折装置:BRUKER KAPPA APEX-II CCD
波長:CuKα(λ=1.54178Å)
試験温度:296K
構造解析用コンピュータプログラム:SHELXL-2018
単結晶データ:分子式:C50H60Cl2N12O10、分子量:1060.00、結晶系:斜方晶系、空間群:C 2 2 2、格子定数:a=15.719(2)Å、b=17.411(2)Å、c=48.335(6)Å、α=90°、β=90°、γ=90°、単位格子の体積:V=13228(3)Å3、単位格子に含まれる分子式の数:Z=8、計算密度:Dcalc=1.064g/cm3、R(Fo):0.0612、RW(Fo
2):0.1856、適合度(S):1.023、フラックパラメータ:0.040(11)。
【0127】
構造の説明:単結晶X線回折及び構造分析は、得られた単結晶が異性体1のシュウ酸塩であることを示す。結晶体の非対称構造単位には二分子の異性体及び一分子のシュウ酸が含まれる。化合物異性体1の単分子模式図を
図3に示し、シュウ酸塩単結晶を
図4に示す。構造式を以下に示す:
【化14】
。
【0128】
(2)異性体3の立体構造の測定
単結晶の調製:前記異性体1の単結晶の調製方法に従意、異性体3のシュウ酸塩単結晶を調製した。
【0129】
単結晶回折試験:
単結晶X線回折装置:BRUKER D8 VENTURE PHOTON II
波長:GaKα(λ=1.34139Å)
試験温度:173K
構造解析用コンピュータプログラム:SHELXL-2018
単結晶データ:分子式:C52H64Cl2N12O15、分子量:1168.05、結晶系:単斜晶系、空間群:P 21/c、格子定数:a=20.1588(13)Å、b=21.4744(14)Å、c=14.4055(9)Å、α=90°、β=98.259(3)°、γ=90°、単位格子の体積:V=6171.4(7)Å3、単位格子に含まれる分子式の数:Z=4、計算密度:Dcalc=1.257g/cm3、R(Fo):0.0634、RW(Fo
2):0.2016、適合度(S):1.053。
【0130】
構造説明:単結晶X線回折及び構造解析は、調製された単結晶が異性体3のシュウ酸塩水和物であることを示す。結晶の非対称構造単位は、2つの異性体3分子、2つのシュウ酸分子及び1つの水分子を含んでおり、異性体3及びシュウ酸がシュウ酸塩を形成している。化合物異性体3の分子模式図を
図5に示し、シュウ酸塩単結晶の非対称構造単位を
図6に示す。構造式は、下記に示すとおりである:
【化15】
。
【0131】
薬理活性試験:
実施例4:AKTキナーゼ活性試験
1.材料及び試薬
Envisionマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)、白色の384ウェルプレート(カタログ番号#264706、Thermo)、HTRF kinEASE TKキットに含まれる主な試薬(カタログ番号#62TKOPEC、Cisbio)、TK-ビオチン基質、ストレプトアビジン-XL665、ユウロピウム標識チロシンキナーゼ基質抗体、5×酵素反応バッファー、SEB、HTRFアッセイバッファー、AKT1(カタログ番号#01-101、Carna)、AKT2(カタログ番号#01-102、Carna)、AKT3(カタログ番号#PV3185、Invitrogen)、ATP 10mM(カタログ番号#PV3227、Invitrogen)、DTT 1M(カタログ番号#D5545、Sigma)、MgCl2 1M(カタログ番号#M8266、Sigma)、本発明の実施例1~3の化合物、陽性対照物質:GDC-0068。
【0132】
【0133】
1×キナーゼ反応バッファー:
1mLのキナーゼAKT1、2、3の1×キナーゼ反応バッファーには、200μLの5×キナーゼ反応バッファー、5μLの1M MgCl2、1μLの1M DTT、794μLの超純水が含まれている。
【0134】
5×TK-ビオチン基質及びATP作業溶液:
TK-ビオチン基質及びATPの具体的な濃度は、表1を参照する。
1×キナーゼ反応バッファーで基質及びATPを反応濃度の5倍に希釈した。
【0135】
5×キナーゼ作業溶液:
酵素のスクリーニング時に適用する濃度は、表1を参照する。1×キナーゼ反応バッファーで5×酵素作業溶液を調製した。
【0136】
4×ストレプトアビジン-XL665作業溶液:
ストレプトアビジン-XL665の反応中の濃度は、表1を参照する。検出バッファーで4×ストレプトアビジン-XL665作業溶液を調製した。
【0137】
4×ユウロピウム標識チロシンキナーゼ基質抗体作業溶液:
検出反応バッファーでユウロピウム標識チロシンキナーゼ基質抗体を100倍希釈したものを作業溶液とした。
【0138】
2.2 試験プロセス
前記方法で全ての試薬を調製した後、酵素を除いて室温に平衡化させてから、サンプル注入を開始した。
【0139】
a)まず、DMSOで化合物ストック溶液(10mMのDMSO溶液)を100μMの化合物溶液に希釈し、次に1×キナーゼ反応バッファーで2.5μMの化合物作業溶液(DMSOを2.5%含む)に希釈した。1×キナーゼ反応バッファーで2.5%のDMSO溶液を調製し、次に2.5%のDMSO溶液で2.5μMの化合物作業溶液を希釈し、4倍の比率で7回段階希釈して、合計で8つの濃度(2500nM、625nM、156nM、39nM、9.8nM、2.4nM、0.6nM、0.15nM)の化合物作業溶液を得た。対照ウェルを除いて、全ての反応ウェルに4μLの希釈した化合物作業溶液を加え、対照ウェルには4μLの予め調製した2.5%DMSO/キナーゼバッファーを加えた。
【0140】
b)全ての反応ウェルには、予め調製したTK-ビオチン基質溶液2μLを加えた(酵素スクリーニング時の基質濃度は、表1を参照する)。
【0141】
c)陰性ウェルを除く他の反応ウェルに、予め調製した酵素溶液2μLを加え(酵素濃度は、表1を参照する)、陰性ウェルは、酵素2μLで1×キナーゼ反応バッファーに対応して体積を補足した。シーリングフィルムでプレートをカバーし、均一に混合した後、室温で10分間インキュベートして、化合物を酵素と十分に作用して結合させた。
【0142】
d)全ての反応ウェルにATP溶液2μLを加えてキナーゼ反応を開始した(酵素スクリーニング時のATP濃度及び反応時間は、表1を参照する)。
【0143】
e)キナーゼ反応終了前5分間で検出溶液の調製を開始した。キット中の検出バッファーでストレプトアビジン-XL665及びユウロピウム標識チロシンキナーゼ基質抗体(1:100)の検出溶液を調製した(酵素スクリーニング時の検出試薬濃度は、表1を参照する)。
【0144】
f)キナーゼ反応が終了した後、全ての反応ウェルに5μLの希釈したストレプトアビジン-XL665を加え、均一に混合した後、直ちに、希釈したユウロピウム標識チロシンキナーゼ基質抗体検出溶液を加えた。
【0145】
g)プレートをカバーし、均一に混合し、室温で1時間反応した後、Envision(Perkinelmer)装置で蛍光シグナル(励起波長:320nm、発光波長:665nm、615nm)を検出した。フルアクティブウェル及びバックグラウンドシグナルウェルから各ウェルの阻害率を計算し、重複したウェルの平均値を算出し、同時に、製図解析ソフトウェアPRISM 6.0で各被験化合物の半数阻害濃度(IC
50)をフィッティングした。
【表2】
【0146】
2.3 データ分析
ER=665nmの蛍光値/615nmの蛍光値
阻害率=(ER陽性対照-ERサンプル)/(ER陽性対照-ER陰性対照)×100%
【0147】
3.試験結果
試験結果は、表3に示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【0148】
実施例5:LnCapヒト前立腺がん皮下移植モデルにおける本発明の化合物の薬力学評価
1.実験材料
1.1 実験動物
NCGマウス、雄、8~10週齢(腫瘍細胞接種時のマウス週齢)。江蘇集萃薬康生物科技株式会社から購入。飼育環境:SPF。
【0149】
1.2 供試品及び対照薬
供試品:実施例1の異性体2(以下、化合物62と略称する)
実施例2の異性体2(以下、化合物98と略称する)
実施例3の異性体4(以下、化合物102と略称する)
陽性対照:GDC-0068
【0150】
1.3 試薬
アンドロゲン錠、その販売者:Aladdin、カタログ番号:A1910098。
FBS、その販売者:Gibco、カタログ番号:10099141C。
RPMI1640培養液、その販売者:Gibco、カタログ番号:C22400500BT。
マトリゲル、その販売者:Corning、カタログ番号:354234。
PBS、その販売者:Crownbio、ロット番号:20190828。
【0151】
2.実験方法及び手順
2.1細胞
LnCap細胞は、ウシ胎児血清(FBS)を10vol%含んでいるRPMI1640培養液で培養した。指数増殖期のLnCap細胞を集め、マウスへの皮下腫瘍接種に使用するように、PBSで適切な濃度に再懸濁した。
【0152】
2.2 モデリング及び群分け
全ての動物は、細胞接種の1日前に、皮下にアンドロゲン錠を埋め込み、プロセスに亘って無菌で操作した。実験マウスは、1×10
7個のLnCap細胞を皮下接種し、1:1でPBS及びマトリゲル(0.2mL/匹)を混合したものに細胞を再懸濁させ、腫瘍の増殖状況を定期的に観察し、腫瘍が、平均体積177.70mm
3まで成長した時に、腫瘍のサイズ及びマウスの体重に基づいて無為に群毎に投与した(表4を参照する)。腫瘍体積の計算式は、(長径×短径
2)/2である。
【表6】
【0153】
2.3 薬物の調製
本発明の化合物及び陽性対照を溶媒で溶解し、化合物62の濃度が1.25mg/mL、2.5mg/mL、5mg/mLである溶液、陽性対照の濃度が2.5mg/mLである溶液、化合物98の濃度が5mg/mLである溶液、化合物102の濃度が5mg/mLである溶液をそれぞれ得た。
【0154】
溶媒:溶媒はPG、PEG400と水の混合溶媒であり、PG:PEG400:水=20~40:20~30:30~50(V:V:V)であり、当該比率範囲内の任意の比率であってよい。
【0155】
2.4 投与計画
具体的な投与計画は、表5を参照する。
【表7】
【0156】
2.5 データへの分析
全ての実験結果は、平均腫瘍体積±SEM(標準誤差)で示す。独立したサンプルのt検定で、治療群の腫瘍体積は、対照群と比べて有意差があるかどうかを比較した。全てのデータは、SPSS 18.0で分析する。p<0.05は、有意差があると示す。
T/C(%)=治療群の平均腫瘍体積/対照群の平均腫瘍体積×100%;
TGI(%)=(1-T/C)×100%。
【0157】
2.6 実験結果
各治療群及び対照群の腫瘍増殖状況は、表6を参照する。
【表8】
【0158】
本発明者らは、本発明の式(I-0)で示される化合物は、AKTキナーゼの活性に対する阻害効果を有し、特に、本発明の 式(I)で示される化合物(即ち、実施例1の異性体2、実施例2の異性体2及び実施例3の異性体4)が、インビボ実験で明らかな腫瘍抑制効果を示していることを見出した。従って、本発明の化合物及びそれを含む医薬組成物は、AKTプロテインキナーゼに媒介された疾患又は病状を予防及び/又は治療するために利用することができる。さらに、本発明者らは、前記医薬組成物を必要がある個体への投与用量は、式(I-0)で示される化合物又は式(I)で示される化合物で、0.001~100mg/kg体重/日であり、好ましくは、0.01~50mg/kg体重/日であり、より好ましくは、10~50mg/kg体重/日である場合、腫瘍の増殖を明らかに抑制できることを見出している。
【0159】
製剤実施例:
以下、本発明の例示的な製剤を提供する。以下の製剤は、当業者に熟知される当分野の通常の調製方法で調製できると理解すべきである。
【0160】
【表9】
a)化合物62、無水リン酸水素カルシウム、ベヘン酸グリセリルをミキサーのホッパーに加えて均一に混合する。
b)混合物をカプセルに充填する。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【表14】
a)化合物62、リン酸水素カルシウム二水和物、ベヘン酸グリセリルをミキサーのホッパーに加え、均一に混合する。
b)混合物をアルミバッグに充填し、ドライサスペンション剤を形成する。
【0166】
上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨及び原則において、修正、同等な置換、改良などを行うものであれば、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものである。