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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240930BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20240930BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20240930BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20240930BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M50/224
H01M50/227
H01M10/6554
H01M10/625
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023505433
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2022002307
(87)【国際公開番号】W WO2022186517
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0029160
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・チュン
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114460(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03382774(EP,A1)
【文献】特開2017-111900(JP,A)
【文献】特開2015-090750(JP,A)
【文献】特開2019-185902(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03291358(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/613
H01M 10/6554
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュールが互いに離隔して装着されているパックフレームと、
前記電池モジュールの下部に位置する一対の冷却部材および断熱部材とを含み、
前記断熱部材は、前記冷却部材と前記パックフレームの底面との間に位置し、
前記複数の電池モジュールの下部には、前記電池モジュール毎に前記一対の冷却部材および断熱部材が個別に配置されており、それぞれの電池モジュールの下部に位置した前記一対の冷却部材および断熱部材は、他の電池モジュールの下部に位置した前記一対の冷却部材および断熱部材から離隔している電池パック。
【請求項2】
前記一対の冷却部材および断熱部材は、前記電池モジュールの下面に沿って延びている、請求項に記載の電池パック。
【請求項3】
前記一対の冷却部材および断熱部材は、前記電池モジュールの下面と異なるサイズを有しかつ、前記電池モジュールの下面より大きいサイズを有する、請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
前記一対の冷却部材および断熱部材は、前記電池モジュールの下面と同一のサイズを有する、請求項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記断熱部材は、前記冷却部材のサイズと異なるサイズを有しかつ、前記冷却部材のサイズより大きいサイズを有する、請求項又はに記載の電池パック。
【請求項6】
前記断熱部材は、前記冷却部材と同一のサイズを有する、請求項からのいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記冷却部材は、アルミニウム(Al)からなる、請求項1からのいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記断熱部材は、EPP(Expanded PolyPropylene)フォーム(foam)からなる、請求項1からのいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームとを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記モジュールフレームの下部に前記一対の冷却部材および断熱部材が位置する、請求項に記載の電池パック。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年3月5日付の韓国特許出願第10-2021-0029160号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池パックおよびこれを含むデバイスに関し、より具体的には、隣接した電池モジュール間の熱伝播を最小化する電池パックおよびこれを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
製品群による適用の容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的なメリットだけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点で、環境にやさしくおよびエネルギー効率性アップのための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在商用化された二次電池には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いというメリットから注目されている。
【0005】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている円筒形または角型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類される。
【0006】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量二次電池構造に対する必要性が高まるにつれ、多数の二次電池が直列または並列に連結された電池モジュールを集合させた中大型モジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。このような電池モジュールは、多数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって、容量および出力が向上する。また、複数の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0007】
特に、電池パックは、多数の電池モジュールが組み合わされた構造からなっていて、一部の電池モジュールが過電圧、過電流または過発熱する場合には、電池パックの安全性と作動効率が問題になりうる。特に、走行距離向上のために、電池パック容量は次第に増加する傾向にあり、それによってパック内部のエネルギーも増加する中、強化される安全性基準を満足し、車両および運転者の安全性確保のための構造の設計が必要である。このために、特に内部の熱暴走などを事前に防止し、発生してもその被害を最小化できる構造の必要性が台頭している。
【0008】
図1は、従来の電池パックの断面図である。図2は、図1の点線領域を簡略に示す図である。
【0009】
図1を参照すれば、従来の電池パック10において、複数の電池モジュール11がパックハウジング40に装着されかつ、複数の電池モジュール11がパックハウジング40に位置した冷却プレート20上に装着される。より具体的には、図2を参照すれば、互いに隣接した電池モジュール11がパックハウジング40に装着されかつ、パックハウジング40の下部に付着している冷却プレート20上に共に位置することができる。
【0010】
ここで、図1および図2を参照すれば、互いに隣接した電池モジュール11のうち一部の電池モジュール11内で過電圧、過電流、または過発熱などの異常現象CEが発生しうる。この時、従来の電池パック10は、異常現象CEが発生した電池モジュール11の熱は冷却プレート20に伝達されて、他の電池モジュール11に熱伝播が発生しうる。特に、一般に、冷却プレート20は、冷却性能のために熱伝導度の高いアルミニウム(Al)からなっていて、冷却プレート20による熱伝播がより速く発生しうる。これによって、異常現象CEが発生していない他の電池モジュール11に対しても熱暴走が発生することがあり、同一の冷却プレート20上に位置した他の電池モジュール11に対しても連鎖的な熱暴走が発生する問題がある。
【0011】
これによって、従来の電池パック10とは異なり、隣接した電池モジュール11間の熱伝播を防止して、連鎖的な熱暴走が発生するのを防止する電池パックおよびこれを含むデバイスを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は、隣接した電池モジュール間の熱伝播を最小化する電池パックおよびこれを含むデバイスに関する。
【0013】
本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例による電池パックは、複数の電池モジュールが互いに離隔して装着されているパックフレームと、前記電池モジュールの下部に位置する一対の冷却部材および断熱部材とを含み、前記断熱部材は、前記冷却部材と前記パックフレームの底面との間に位置し、前記複数の電池モジュールのうち互いに隣接した電池モジュールの下部にそれぞれ位置した前記一対の冷却部材および断熱部材は、互いに離隔している。
【0015】
前記複数の電池モジュールのうち1つの電池モジュールの下部に位置した前記一対の冷却部材および断熱部材と、他の電池モジュールの下部に位置した前記一対の冷却部材および断熱部材は、互いに離隔している。
【0016】
前記一対の冷却部材および断熱部材は、前記電池モジュールの下面に沿って延びていてもよい。
【0017】
前記一対の冷却部材および断熱部材は、前記電池モジュールの下面と異なるサイズを有しかつ、前記電池モジュールの下面より大きいサイスを有することができる。
【0018】
前記一対の冷却部材および断熱部材は、前記電池モジュールの下面と同一のサイズを有することができる。
【0019】
前記断熱部材は、前記冷却部材のサイズと異なるサイズを有しかつ、前記冷却部材のサイズより大きいサイズを有することができる。
【0020】
前記断熱部材は、前記冷却部材と同一のサイズを有することができる。
【0021】
前記冷却部材は、アルミニウム(Al)からなる。
【0022】
前記断熱部材は、EPP(Expanded PolyPropylene)フォーム(foam)からなる。
【0023】
前記電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームとを含むことができる。
【0024】
前記モジュールフレームの下部に前記一対の冷却部材および断熱部材が位置することができる。
【0025】
本発明の他の実施例によるデバイスは、上記で説明した電池パックを含む。
【発明の効果】
【0026】
実施例によれば、本発明は、それぞれの電池モジュールの下部に冷却プレートおよび断熱材が位置して、隣接した電池モジュール間の熱伝播を最小化するのを防止する電池パックおよびこれを含むデバイスに関する。
【0027】
本発明の効果が上述した効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来の電池パックの断面図である。
図2図1の点線領域を簡略に示す図である。
図3】本発明の一実施例による電池パックの分解斜視図である。
図4図3の電池パックの上面図である。
図5図3の電池パックに含まれる電池モジュールの斜視図である。
図6図5の電池モジュールの分解斜視図である。
図7図4のA-A’軸に沿った断面を簡略に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0030】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0031】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0032】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0033】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0034】
以下、本発明の実施例による電池パックについて説明する。
【0035】
図3は、本発明の一実施例による電池パックの分解斜視図である。図4は、図3の電池パックの上面図である。
【0036】
図3および図4を参照すれば、本実施例による電池パック1000は、複数の電池モジュール100が互いに離隔して装着されているパックフレーム410と、電池モジュール100の下部に位置する一対の冷却部材200および断熱部材250とを含む。
【0037】
パックフレーム410は、複数の電池モジュール100が装着される下部ハウジングであってもよく、パックフレーム410に結合して電池モジュール100の上部を覆う上部カバー(図示せず)をさらに含むことができる。ただし、以下、説明の便宜のために上部カバー(図示せず)が省略されて説明されるが、本実施例の電池パック1000は、一般に使用可能な上部カバー(図示せず)が共に結合されていると仮定して説明される。
【0038】
パックフレーム410は、複数の電池モジュール100が配置される底面と、底面の周縁から上部に向かって延びた側壁とを含んで構成される。パックフレーム410には、電池モジュール100の上部を覆う上部カバー(図示せず)が結合されて内部の電装を保護することができる。この時、パックフレーム410の内部には、電池モジュール100と共に、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムが装着される。
【0039】
一例として、パックフレーム410は、スチールまたはアルミニウム材質からなる。より好ましくは、パックフレーム410は、アルミニウム材質に比べて相対的に低い熱伝導度を有するスチール材質からなって、パックフレーム410を介して隣接した電池モジュール100間の熱エネルギーが伝達される水準を低下させることができる。ただし、これに限定されるものではなく、十分な剛性を有する物質であれば、パックフレーム410に適用可能である。
【0040】
一対の冷却部材200および断熱部材250は、電池モジュール100の下部に位置することができる。より具体的には、複数の電池モジュール100において、一対の冷却部材200および断熱部材250は、それぞれの電池モジュール100の下部に位置することができる。つまり、本実施例による電池パック1000において、パックフレーム410に装着される電池モジュール100の下部にそれぞれ一対の冷却部材200および断熱部材250が配置されていてもよい。つまり、従来の電池パック10(図1)のように、複数の電池モジュール100が同一の一対の冷却部材200および断熱部材250上に配置されるのではなく、それぞれの電池モジュール100が個別的にあるいは独立して一対の冷却部材200および断熱部材250上に配置される。
【0041】
また、複数の電池モジュール100のうち互いに隣接した電池モジュール100の下部にそれぞれ位置した一対の冷却部材200および断熱部材250は、互いに離隔していてもよい。言い換えれば、1つの電池モジュール100の下部に配置されている一対の冷却部材200および断熱部材250は、隣接した他の電池モジュール100の下部に配置されている一対の冷却部材200および断熱部材250と離隔していてもよい。
【0042】
これによって、従来の電池パック10(図1)とは異なり、それぞれの電池モジュール100が互いに離隔している冷却部材200上に位置して、一部の電池モジュール100で発生する過電圧、過電流、または過発熱などの異常現象CEによる熱が隣接した他の電池モジュール100に直接的に伝達されない。
【0043】
一対の冷却部材200および断熱部材250において、断熱部材250は、冷却部材200とパックフレーム410の底面との間に位置することができる。より具体的には、一対の冷却部材200および断熱部材250において、冷却部材200は、電池モジュール100の下面と接し、断熱部材250は、パックフレーム410の底面と接することができる。言い換えれば、本実施例において、パックフレーム410、断熱部材250、冷却部材200、および電池モジュール100の順に積層されている構造を有することができる。
【0044】
一対の冷却部材200および断熱部材250は、電池モジュール100の下面に沿って延びていてもよい。より具体的には、一対の冷却部材200および断熱部材250において、冷却部材200は、電池モジュール100の下面に沿って延びており、断熱部材250は、冷却部材200の下面に沿って延びていてもよい。
【0045】
一例として、一対の冷却部材200および断熱部材250は、電池モジュール100の下面と異なるサイズを有しかつ、電池モジュール100の下面より大きいサイズを有することができる。他の例として、一対の冷却部材200および断熱部材250は、電池モジュール100の下面と同一のサイズを有することができる。これによって、電池モジュール100の下面に対する冷却部材200の接触面積を十分に確保して、電池モジュール100に対する冷却部材200による冷却性能が効果的であり得る。
【0046】
一例として、断熱部材250は、冷却部材200のサイズと異なるサイズを有しかつ、冷却部材200のサイズより大きいサイズを有することができる。他の例として、断熱部材250は、冷却部材200と同一のサイズを有することができる。これによって、冷却部材200に対する断熱部材250の接触面積を十分に確保して、冷却部材200からパックフレーム410に伝達される熱を効果的に遮断することができる。
【0047】
一例として、冷却部材200は、アルミニウム(Al)からなる。ただし、これに制限されず、電池モジュール100で発生する熱を十分に冷却させることが可能な冷却性能を有する物質を含む形態であれば適用可能である。
【0048】
一例として、断熱部材250は、EPP(Expanded PolyPropylene)フォーム(foam)などの発泡材からなる。ただし、断熱部材250はこれに限定されず、断熱性に優れた素材であれば適用可能である。
【0049】
これにより、以上の構成によって、冷却部材200は、電池モジュール100の下部に個別的にあるいは独立して位置して、それぞれの電池モジュール100で発生した熱が効果的に冷却できる。これとともに、断熱部材250は、冷却部材200とパックフレーム410とが互いに直接接するのを防止することができる。つまり、電池モジュール100から伝達された熱がパックフレーム410に直に伝達されるのを防止することができ、パックフレーム410の外部で発生した熱が電池モジュール100に伝達されるのを防止することができる。
【0050】
図5は、図3の電池パックに含まれる電池モジュールの斜視図である。図6は、図5の電池モジュールの分解斜視図である。
【0051】
図5および図6を参照すれば、本実施例による電池パック1000に含まれる複数の電池モジュール100は、複数の電池セル111が積層された電池セル積層体112と、電池セル積層体112を収容するモジュールフレーム114とを含む。
【0052】
電池セル111は、パウチ型電池セルであることが好ましい。一例として、電池セル111は、電極組立体を樹脂層と中層とを含むラミネートシートのパウチケースに収納した後、前記パウチケースのシーリング部を熱融着して製造できる。このような電池セル111は、長方形のシート型構造に形成される。このような電池セル111は、複数個で構成され、複数の電池セル111は、相互電気的に連結可能に積層されて電池セル積層体112を形成する。
【0053】
モジュールフレーム114は、上部カバー115と、U字状フレーム116とを含むことができる。ここで、U字状フレーム116は、底部と、前記底部の両端部から上向延長された2つの側面部とを含むことができる。この時、前記底部は、電池セル積層体112の下面をカバーすることができ、前記側面部は、電池セル積層体112の側面をカバーすることができる。上部カバー115とU字状フレーム116は、互いに対応する角部位が接触した状態で溶接などによって結合されて、電池セル積層体112の上下左右をカバーする構造を形成することができる。このために、上部カバー115とU字状フレーム116は、所定の強度を有する金属材質からなる。ただし、モジュールフレーム114はこれに限定されるものではなく、上下面および両側面が一体化された金属板材形状のモノフレームであってもよい。
【0054】
図3図5を参照すれば、電池モジュール100において、モジュールフレーム114の下部に一対の冷却部材200および断熱部材250が位置することができる。言い換えれば、U字状フレーム116の前記底面の下部に一対の冷却部材200および断熱部材250が位置することができる。
【0055】
エンドプレート120は、モジュールフレーム114の開放された第1側(x軸方向)と第2側(x軸の反対方向)に位置して、電池セル積層体112の前後面をカバーするように形成される。これによって、エンドプレート120は、外部の衝撃から電池セル積層体112およびその他の電装品を物理的に保護することができる。
【0056】
一方、具体的に図示しないが、電池セル積層体112とエンドプレート120との間には、バスバーが装着されるバスバーフレームおよび電気的絶縁のための絶縁カバーなどが位置することができる。
【0057】
図3および図4を参照すれば、本発明の他の実施例によれば、電池セル積層体112の前後面に位置するエンドプレート120のいずれか一方には、電池モジュール100の内部と連通して内側で発生しうる火炎乃至熱を放出できるベンティングゲート121を含む。電池パック1000内において、このようなベンティングゲート121は、電池パック1000の外側に向かうように配置され、好ましくは、図1に示されているように、電池パック1000において第1方向(x軸方向)の両端部に向かって外側を眺めるように配置される。
【0058】
また、複数の電池モジュール100の周縁に沿って配置されたベンティング誘導フレーム300をさらに含むことができる。より具体的には、複数の電池モジュール100とベンティング誘導フレーム300は、パックフレーム410内に装着される。
【0059】
一例として、パックフレーム410の一側壁には、少なくとも1つの破裂部500が形成されていて、内部で発生した熱または火炎を外側に排出することができる。本実施例では、一対の水平ビーム320のいずれか一方にのみ2つの破裂部500が形成されたことを例示したが、これに限定されず、他方の水平ビーム320にも破裂部500が備えられるか、または垂直ビーム310に備えられてもよいし、必要に応じて適切にその位置および個数を選択することができる。
【0060】
また、複数の電池モジュール100全体の周縁に沿ってはベンティング誘導フレーム300が配置される。ベンティング誘導フレーム300は、電池パック1000の各辺に沿って管形状に形成され、それぞれ第1方向(x軸方向)と第2方向(y軸方向)に沿って延びた一対の垂直ビーム310と一対の水平ビーム320とを含むことができ、これらは全体として連通できるように形成される。
【0061】
以上の構成によって、垂直ビーム310と水平ビーム320とからなる四角形状のベンティング誘導フレーム300の内部で通路が全体として連通するように形成され、このような通路は、電池モジュール100のベンティングゲート121および破裂部500と連通して、電池モジュール100から熱暴走などが発生する場合、発熱および火炎を外側に誘導して周辺電池モジュールへの影響を最小化することができる。この時、発生した高圧のベンティングガスに含まれている火炎は、ベンティング誘導フレーム300内部の経路を経て全て燃焼してより安全な状態で外部に排出できる。また、このようなベンティング誘導フレーム300は、熱暴走の発生時ではない平常時には、電池モジュール100を安定的に支持する支持フレームとして作用して、電池パック1000の安定性を向上させることができる。
【0062】
以下、電池パック内の一部の電池モジュールにおいて過電圧、過電流または過発熱などの問題が発生した場合、熱伝播経路について具体的に説明する。
【0063】
図7は、図4のA-A’軸に沿った断面を簡略に示す図である。
【0064】
図4および図7を参照すれば、本実施例の電池パック1000において、一部の電池モジュール100でセルイベントCEが発生しうる。ここで、セルイベントCEは、電池モジュール100内で過電圧、過電流または過発熱などの異常現象が発生して、電池モジュール100で高温およびガス発生が生じることを意味することができる。
【0065】
ここで、セルイベントCEが発生した電池モジュール100で発生した熱は、電池モジュール100の下部に位置した一対の冷却部材200および断熱部材250を経る熱エネルギーの移動経路を通して伝達される。
【0066】
より具体的には、セルイベントCEが発生した電池モジュール100で発生した熱は、まず、冷却部材200に伝達される。先に説明したように、冷却部材200は、それぞれの電池モジュール100の下部に個別的にあるいは独立して配置されて、電池モジュール100から冷却部材200に伝達された熱は、他の隣接した電池モジュール100に伝達されない。これによって、複数の電池モジュール100のうち一部の電池モジュール100でセルイベントCEが発生しても、本実施例は、冷却部材200によって隣接した電池モジュール100に熱伝播するのを防止することができる。
【0067】
これとともに、電池モジュール100から冷却部材200に伝達された熱は、断熱部材250に伝達される。ここで、断熱部材250は、電池モジュール100から冷却部材200に伝達された熱の一部を遮断しながら、電池モジュール100で発生した熱がパックフレーム410に直接伝達されるのを防止することができる。つまり、複数の電池モジュール100のうち一部の電池モジュール100でセルイベントCEが発生して比較的多くの熱エネルギーが発生しても、断熱部材250を通してパックフレーム410に伝達される熱エネルギーを最小化させ、隣接した電池モジュール100の温度上昇も最小化することができる。
【0068】
また、セルイベントCEが発生した電池モジュール100の断熱部材250からパックフレーム410に伝達された熱は、他の隣接した電池モジュール100の断熱部材250に伝達される。これによって、他の隣接した電池モジュール100にセルイベントCEが発生した電池モジュール100で発生した熱の一部が伝達されても、断熱部材250によってパックフレーム410で伝達される熱を効果的に遮断することができる。
【0069】
これによって、以上の熱伝播経路を有する本実施例は、複数の電池モジュール100の一部の電池モジュール100でセルイベントCEが発生しても、隣接した他の電池モジュール100に熱が伝播するのを効果的に防止することができ、これによる連鎖的な熱暴走現象も防止することができる。
【0070】
先に説明した電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0072】
100:電池モジュール
200:冷却部材
250:断熱部材
300:ベンティング誘導フレーム
410:パックフレーム
図1
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図3
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図5
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図7