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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20240930BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20240930BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/60
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023529231
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023450
(87)【国際公開番号】W WO2022269704
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤長 郁夫
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203505584(CN,U)
【文献】特許第6864769(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を加熱するヒータを有する霧化器に電力を供給する、エアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
電源と、
前記電源からの電力を前記ヒータへ供給する電力供給部と、
第1報知部と、
前記第1報知部とは別体の第2報知部と、
前記電力供給部による電力供給と、前記第1報知部および前記第2報知部による報知とを制御するコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、
香味を有するエアロゾルを生成するために消費される要素の残量を取得し、
前記電源の残量が第1閾値以上の場合、前記要素の残量を前記第1報知部により報知し、
前記電源の残量が前記第1閾値未満の場合、前記要素の残量を前記第2報知部により報知する、
ことを特徴とする電源ユニット。
【請求項2】
前記第1報知部の消費電力は、前記第2報知部の消費電力より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1報知部による報知を停止して前記電力供給を実行し、
前記第2報知部による報知を継続しながら前記電力供給を実行する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記コントローラは、前記電力供給の停止後も、前記第2報知部による報知を継続する、ことを特徴とする請求項3に記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記電力供給を実行可能なアクティブモードよりも前記コントローラの消費電力が小さいスリープモードで動作可能であり、
前記スリープモードで前記第2報知部による報知を継続する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電源ユニット。
【請求項6】
前記第2報知部は、電力を消費せずに前記スリープモードで報知を継続可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の電源ユニット。
【請求項7】
前記コントローラは、前記要素の残量が回復するまで前記第2報知部による報知を継続する、ことを特徴とする請求項3に記載の電源ユニット。
【請求項8】
前記第1報知部および前記第2報知部とは別体の第3報知部を更に備え、
前記コントローラは、前記電源の残量が前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満の場合、前記要素の残量を前記第3報知部により報知する、
ことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項9】
前記第1報知部の消費電力および前記第3報知部の消費電力は、前記第2報知部の消費電力より大きい、ことを特徴とする請求項8に記載の電源ユニット。
【請求項10】
前記第1報知部の消費電力は、前記第3報知部の消費電力より大きい、ことを特徴とする請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項11】
前記コントローラは、前記電源の残量が前記第2閾値未満の場合、前記要素の残量を前記第2報知部と前記第3報知部とにより報知する、ことを特徴とする請求項8から10のうちいずれか1項に記載の電源ユニット。
【請求項12】
エアロゾル源を加熱するヒータを有する霧化器に電力を供給する、エアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
電源と、
前記電源からの電力を前記ヒータへ供給する電力供給部と、
表示する内容の書き換えのみに電力を消費するディスプレイと、
前記電力供給部による電力供給と前記ディスプレイによる表示を制御するコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、
香味を有するエアロゾルを生成するために消費される要素の残量を取得し、
前記電源の残量が第1閾値未満の場合のみ、前記要素の残量を前記ディスプレイにより表示する、
ことを特徴とする電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
吸引可能なエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置において、1回の充電あたりに何回のパフ動作(吸引動作)を行えるかということが、一つの重要な指標となりうる。このような指標を向上させるためには、エアロゾル生成装置が有する表示部等における消費電力を低減することが重要になる。
【0003】
特許文献1には、消費電力を低減するために、電子タバコの表示部に電子ペーパー(e-ink)を採用したことが記載されている。この他、特許文献2および特許文献3にも、吸引器の表示部にe-inkを採用しうることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国実用新案第203505584号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0304567号明細書
【文献】米国特許第8851068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアロゾル生成装置が複数種類の表示部を備える場合、ユーザの快適性を損なうことなく電力消費が抑制されるよう、装置の状態に応じて適切に表示制御を行うことが重要である。従来技術ではそのような観点による表示制御が十分に行われていなかった。
【0006】
本発明は、例えば、ユーザの快適性と消費電力の抑制との両立に有利な、エアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、エアロゾル源を加熱するヒータを有する霧化器に電力を供給する、エアロゾル生成装置の電源ユニットであって、電源と、前記電源からの電力を前記ヒータへ供給する電力供給部と、第1報知部と、前記第1報知部とは別体の第2報知部と、前記電力供給部による電力供給と、前記第1報知部および前記第2報知部による報知とを制御するコントローラと、を有し、前記コントローラは、香味を有するエアロゾルを生成するために消費される要素の残量を取得し、前記電源の残量が第1閾値以上の場合、前記要素の残量を前記第1報知部により報知し、前記電源の残量が前記第1閾値未満の場合、前記要素の残量を前記第2報知部により報知する、ことを特徴とする電源ユニットが提供される。
【0008】
一実施形態によれば、前記第1報知部の消費電力は、前記第2報知部の消費電力より大きい。
【0009】
一実施形態によれば、前記コントローラは、前記第1報知部による報知を停止して前記電力供給を実行し、前記第2報知部による報知を継続しながら前記電力供給を実行する。
【0010】
一実施形態によれば、前記コントローラは、前記電力供給の停止後も、前記第2報知部による報知を継続する。
【0011】
一実施形態によれば、前記コントローラは、前記電力供給を実行可能なアクティブモードよりも前記コントローラの消費電力が小さいスリープモードで動作可能であり、前記スリープモードで前記第2報知部による報知を継続する。
【0012】
一実施形態によれば、前記第2報知部は、電力を消費せずに前記スリープモードで報知を継続可能である。
【0013】
一実施形態によれば、前記コントローラは、前記要素の残量が回復するまで前記第2報知部による報知を継続する。
【0014】
一実施形態によれば、前記第1報知部および前記第2報知部とは別体の第3報知部を更に備え、前記コントローラは、前記電源の残量が前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満の場合、前記要素の残量を前記第3報知部により報知する。
【0015】
一実施形態によれば、前記第1報知部の消費電力および前記第3報知部の消費電力は、前記第2報知部の消費電力より大きい。
【0016】
一実施形態によれば、前記第1報知部の消費電力は、前記第3報知部の消費電力より大きい。
【0017】
一実施形態によれば、前記コントローラは、前記電源の残量が前記第2閾値未満の場合、前記要素の残量を前記第2報知部と前記第3報知部とにより報知する。
【0018】
本発明の別の側面によれば、エアロゾル源を加熱するヒータを有する霧化器に電力を供給する、エアロゾル生成装置の電源ユニットであって、電源と、前記電源からの電力を前記ヒータへ供給する電力供給部と、表示する内容の書き換えのみに電力を消費するディスプレイと、前記電力供給部による電力供給と前記ディスプレイによる表示を制御するコントローラと、を有し、前記コントローラは、香味を有するエアロゾルを生成するために消費される要素の残量を取得し、前記電源の残量が第1閾値未満の場合のみ、前記要素の残量を前記ディスプレイにより表示する、ことを特徴とする電源ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、例えば、ユーザの快適性と消費電力の抑制との両立に有利な、エアロゾル生成装置の電源ユニットを提供することができる。
【0020】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】吸引器の分解斜視図。
図2】吸引器の組み立て完成図。
図3】吸引器の内部構成図。
図4】電気部品の構成例を示す図。
図5】電源ユニットの状態遷移図およびディスプレイの表示例を示す図。
図6】ディスプレイの表示例を示す図。
図7】電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図8】電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図9】電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図10】電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図11】電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
図12】電源ユニットの動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0023】
図1図3を参照して、エアロゾル生成装置の一形態である吸引器100の構成を説明する。図1には、吸引器100の分解斜視図が示され、図2には、吸引器100の組み立て完成図が示され、図3には、吸引器100の内部構成図が示されている。吸引器100は、ユーザによる吸引動作などのエアロゾルを要求する動作(以下では「エアロゾル生成要求」あるいは「霧化要求」ともいう。)に応じて、エアロゾル、または、香味を有するエアロゾル、または、エアロゾルおよび香味物質を含む気体、または、エアロゾル、または、香味物質を含むエアロゾルを吸口部130を通してユーザに提供するように構成されうる。吸引器用コントローラとしての吸引器100は、電源ユニット102と、霧化器104と、カプセルホルダ105と、カプセル106とを備えうる。
【0024】
霧化器104は、エアロゾル源から香味を有するエアロゾルを発生させるように構成されうる。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール等の多価アルコール等の液体でありうる。あるいは、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。エアロゾル源は、液体であってもよいし、固体であってもよいし、液体および固体の混合物であってもよい。エアロゾル源に代えて、水等の蒸気源が用いられてもよい。霧化器104は、本体部である電源ユニット102に対して着脱可能なカートリッジとして提供されてもよい。霧化器104は、電源ユニット102に対して着脱不能に備え付けられてもよい。この明細書において、霧化器104は、カートリッジ104と記載されることもある。電源ユニット102は、霧化器104を駆動する駆動ユニット、霧化器104を保持する保持体、または、霧化器104を機能させる本体等として理解されてもよい。
【0025】
電源ユニット102は、霧化器104を保持する保持部103を有する。保持部103は、霧化器104の全体または一部分を収容するように構成されうる。保持部103は、更にカプセルホルダ105を保持するように構成されていてもよい。あるいは、カプセルホルダ105は、霧化器104によって保持されてもよい。カプセルホルダ105は、カプセル106を保持する。一例において、保持部103は、カプセルホルダ105が保持部103から脱落することを防止するロック機構を含みうる。該ロック機構は、カプセルホルダ105に設けられうる第1係合部105aと係合する第2係合部103aを含みうる。例えば、カプセルホルダ105を保持部103に対して回転させながら挿入することにより、第1係合部105aと第2係合部103aとが係合してロック状態となる。該ロック状態において、霧化器104の接続部113、114が電源ユニット102の接続部111、112に対してそれぞれ押し付けられて、接続部113、114と接続111、112とのそれぞれの電気的接続が提供されうる。カプセルホルダ106は、霧化器104あるいは電源ユニット102と一体化されていてもよい。さらに、カプセル106がカプセルホルダ105の先端側に差し込まれると、霧化器104とカプセル106との間で気体流通可能な状態となる。カプセル106は、香味源131を含みうる。香味源131は、例えば、たばこ材料を成形した成形体でありうる。あるいは、香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ、漢方、コーヒー豆等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。香味源131は、エアロゾル源に添加されてもよい。ユーザは、カプセル106の先端に形成された吸口部130を口で銜えて、香味を有するエアロゾルを吸引することができる。
【0026】
電源ユニット102は、電気部品110を含みうる。電気部品110は、ユーザインタフェース116を含みうる。あるいは、電源ユニット102は、電気部品110およびユーザインタフェース116を含むものとして理解されてもよい。ユーザインタフェース116は、ユーザが操作可能な操作部としてのアクションボタンBを含みうる。アクションボタンBは、電源ユニット102の起動、表示等の動作のトリガとするためのボタンでありうる。ユーザインタフェース116は、さらに、第1報知部と、第1報知部とは別体の第2報知部とを含みうる。本実施形態において、第1報知部は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイD1であり、第2報知部は、電子ペーパー(e-ink)ディスプレイD2でありうる。OLEDディスプレイD1と電子ペーパーディスプレイD2との表示原理の違いにより、消費電力は互いに異なりうる。OLEDディスプレイD1は、有機発光ダイオードが自ら発光するため、液晶ディスプレイのようにバックライト装置を必要としない。電子ペーパーディスプレイD2は、不揮発性ディスプレイの一種である。電子ペーパー技術によれば、ディスプレイに画像を連続的に保持するために電力を供給し続ける必要がない。言い換えると、電子ペーパーディスプレイは、現在の表示状態を維持するための電力を必要としない。電子ペーパーディスプレイは、表示する内容の書き換えのみに電力を消費するディスプレイであるとも言える。そのため、電子ペーパーディスプレイの消費電力は、OLEDディスプレイの消費電力より小さい。ただし、電子ペーパーディスプレイは、OLEDディスプレイのような自発光機能がなく、OLEDディスプレイと比べると、暗い環境下での視認性は劣る。
【0027】
ユーザインタフェース116は、更に、OLEDディスプレイD1および電子ペーパーディスプレイD2とは別体の第3報知部を含みうる。第3報知部は、発光ディスプレイ(LED)ディスプレイD3および/または振動発生部Vを含みうる。LEDディスプレイD3は、一例において、複数のLED(例えば、10個以下、20個以下、または30個以下のLED)で構成されうる。この場合、LEDディスプレイは、電子ペーパーディスプレイに比べれば表示できる情報量は少ないものの、高い輝度を実現できるため視認性が高い。また、振動発生部Vは、電源ユニット102の筐体を振動させるための振動モータで構成される。振動モータによって筐体を振動させることでそれを手にしているユーザに状態を報知することができる。一例において、OLEDディスプレイD1の消費電力およびLEDディスプレイD3の消費電力は、電子ペーパーディスプレイD2の消費電力より大きく、OLEDディスプレイD1の消費電力は、LEDディスプレイD3および振動発生部Vの消費電力よりは大きい。
【0028】
図2には、アクションボタンB、OLEDディスプレイD1、電子ペーパーディスプレイD2、およびLEDディスプレイD3の配置例が示されている。図2の例では、OLEDディスプレイD1は電源ユニット102の上面に配置され、電子ペーパーディスプレイD2およびLEDディスプレイD3は電源ユニット102の互いに異なる側面に配置されている。ただし、ディスプレイD1、D2、D3の配置箇所は互いに入れ替わっていてもよいし、更に別の箇所に配置されていてもよい。LEDディスプレイD3は、例えば、図2の側面図に示されるような、霧化器104内のエアロゾル源の残量を目視するための窓部が光るように窓部の周囲に配置されてもよい。あるいはLEDディスプレイD3は、アクションボタンBの周囲が光るようにアクションボタンBの周囲に配置されてもよい。また、アクションボタンBの配置箇所も図示の例に限らず、他の箇所に配置されていてもよい。
【0029】
電源ユニット102は、第1接続部111および第2接続部112を含みうる。保持部103によって霧化器104が保持されカプセルホルダ105が保持部に取付けられた状態において、第1接続部111は霧化器104の第3接続部113と電気的に接続され、また、第2接続部112は、霧化器104の第4接続部114と電気的に接続されうる。第1接続部111、第2接続部112、第3接続部113、および第4接続部114は、電気接点あるいはコネクタでありうる。電源ユニット102は、第1接続部111および第2接続部112を通して霧化器104に電力を供給しうる。
【0030】
霧化器104は、第3接続部113および第4接続部114を含みうる。また、霧化器104は、エアロゾル源から香味を有するエアロゾルを発生させるためのヒータ127と、エアロゾル源を保持する容器125と、容器125によって保持されたエアロゾル源をヒータ127による加熱領域に輸送し、かつ加熱領域で保持する輸送部126とを含みうる。該加熱領域の少なくとも一部は、霧化器104内に設けられた流路128に配置されうる。第1接続部111、第3接続部113、ヒータ127、第4接続部114、および第2接続部112は、ヒータ127に電流を流すための電流経路を形成する。輸送部126は、例えば、ガラス繊維のような繊維素材またはセラミックのような多孔質素材またはこれらの組み合わせで構成されうる。なお、このような輸送部126はウィック(wick)ともよばれうる。ただし、容器125内のエアロゾル源を加熱領域に輸送する手段はウィックに限られず、スプレーのような噴霧装置またはポンプのような輸送手段によって実現されてもよい。
【0031】
ユーザが吸口部130を銜えて吸引動作を行うと、破線矢印で例示されるように、不図示の開口を通じて霧化器104の流路128に空気が流入し、ヒータ127がエアロゾル源を加熱することによって蒸気化および/またはエアロゾル化されたエアロゾル源がその空気によって吸口部130に向けて輸送される。吸口部130に向けて輸送される過程において、蒸気化されたエアロゾル源が冷却されて微小な液滴が形成されることで、エアロゾル化が促進されうる。そして、香味源131が配置されている構成においては、そのエアロゾルに香味源131が発生する香味物質が添加されて、これにより香味を有するエアロゾルが吸口部130に輸送され、ユーザの口に吸い込まれる。香味源131が発生する香味物質はエアロゾルに同伴されるため、ユーザの口腔内に留まらず、効率的にユーザの肺まで効率的に香味物質を輸送することができる。
【0032】
図4には、電気部品110の構成例が示されている。電気部品110は、電源205と、充電回路(充電IC)206とを有する。電気部品110は、電源205からの電力をヒータ127へ供給する電力供給部として機能することができる。
【0033】
電源205は、リチウムイオン電池などの充電可能な電池(二次電池)である。あるいは、電源205は、リチウムイオンキャパシタのような電気二重層キャパシタで構成されていてもよい。電源205は、Vbusポートより供給される電力を用いて充電をすることができる。Vbusポートには、ケーブルを介して不図示の給電機器(外部電源)が接続されうる。Vbusポート、ケーブル、および給電機器は、例えばユニバーサル・シリアル・バス(USB)のType-A、Type-B、Type-C等の規格に準拠するように構成されうる。給電機器は、ケーブルおよびVbusポートを介して、電源205に電力を供給することが可能である。給電機器は、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯用バッテリ等の充電器でありうる。電源ユニット102がVbusポートおよびケーブルを介して充電器と接続されると、電源ユニット102と充電器とが相互に通信を行い、その後、充電器から電源205への充電が可能となる。なお、電源ユニット102と給電機器との接続はUSBに限らず、その他のデータ通信と電力供給が可能な様々な通信方式が適用されてもよい。
【0034】
電気部品110は、1または複数の電圧変換器を備えうる。電気部品110が複数の電圧変換器を備える場合、それらのうち少なくとも2つの電圧変換器は、互いに異なる電圧、または、互いに等しい電圧を発生しうる。図4に示された構成例では、電気部品110は、電圧変換器202、203、204を備えている。電気部品110は、電圧変換器を備えなくてもよく、この場合には、電気部品110を構成する複数の素子には、電源205が出力する電圧が配線抵抗による僅かな電圧降下を伴って提供されうる。図4に示された構成例では、電圧変換器202、203は、DC/DCコンバータのようなスイッチングレギュレータによって構成されているが、少なくとも一方は、LDO(Low DropOut)で構成されてもよい。また、図4に示された構成例では、電圧変換器204はLDO(Low DropOut)で構成されているが、DC/DCコンバータのようなスイッチングレギュレータによって構成されてもよい。
【0035】
電気部品110は、予め組み込まれたソフトウェア(プログラム)に従って動作する制御部(コントローラ)としてのMCU(プロセッサ)207を備えうる。MCU207は、ASIC等の他のデバイスによって置き換えられてもよい。MCU207は、スイッチ201などを操作することで、ヒータ127への電力供給を制御するように構成されうる。また、MCU207は、電気部品110を構成する集積回路(IC)であるドライバ211、212、213、214を制御することにより、各報知部による報知を制御するように構成されうる。ドライバ211、212、213、214は、それぞれディスプレイD1、D2、D3、振動モータVを駆動する。よって、MCU207は、ディスプレイD1、D2、D3、振動モータVを駆動あるいは制御するものとして理解されてもよい。ドライバ211、212、213、214には、電圧変換器204によって電圧(電力)が供給されうる。OLEDディスプレイD1には、電圧変換器203によって電圧(電力)が供給されうる。アクションボタンBには、電圧変換器204によって電圧(電力)が供給されうる。
【0036】
電源ユニット102は、ユーザによる吸引動作、すなわちパフ、を検出するパフセンサ209を備えてもよく、パフセンサ209には、電圧変換器204によって電圧(電力)が供給されうる。パフセンサ209は、例えば、圧力、音、温度(例えば、前述の開口を通じて霧化器104の流路128に流入する空気の温度、ヒータ127の温度)のうちの少なくとも1つを検出することによってパフを検出しうる。
【0037】
電気部品110は、霧化器104の負荷であるヒータ127に対する通電(電力の供給)を制御するためのスイッチ201を備えうる。電圧変換器202は、スイッチ201を介してヒータ127に電圧(電力)を供給しうる。スイッチ201およびヒータ127を含んで構成される閉回路には、シャント抵抗Rshuntが配置されてもよい。電気部品110は、ヒータ127の温度を測定するための測定回路210を備えうる。ヒータ127は、自身の温度に応じて抵抗値RHTRが変化する正または負の温度係数特性を有することができ、ヒータ127の抵抗値RHTRはヒータ127の温度に強い相関を有しうる。測定回路210は、ヒータ127の抵抗値RHTRを測定するための回路であり、例えばヒータ127の両端の電圧を測定するように構成される。測定回路210の出力は、MCU207に提供され、MCU207は、測定回路210の出力およびヒータ127を通して流れる電流値に基づいて抵抗値RHTRを計算しうる。該電流値は、例えば、シャント抵抗Rshuntの両端の電圧を測定する不図示の測定回路を使って得ることができる。MCU207は、測定回路210を使って測定されるヒータ127の温度に基づいて、ヒータ127の温度をフィードバック制御(例えばPID制御)するように、スイッチ201を制御しうる。
【0038】
電気部品110は、霧化器104の存在または不存在を検知する第1センサ221と、カプセル106の存在または不存在を検知する第2センサ222とを備えうる。第1センサ221および第2センサ222には、電圧変換器204によって電圧(電力)が供給されうる。第1センサ221および第2センサ222は、例えば、フォトインタラプタ、近接センサ、RFIDシステムまたはスイッチでありうる。霧化器104の存在または不存在を検知するスイッチは、保持部103に対する霧化器104の挿入によってオン(またはオフ)し、保持部103からの霧化器104の取り外しによってオフ(またはオン)しうる。カプセル106の存在または不存在を検知するスイッチは、保持部103に対するカプセル106の挿入によってオン(またオフ)し、保持部103からのカプセル106の取り外しによってオフ(またはオン)しうる。
【0039】
図5の状態遷移図を参照して、実施形態における電源ユニット102の状態遷移および各状態におけるディスプレイの表示例を説明する。コントローラとしてのMCU(プロセッサ)207は、スリープモード、アクティブモード、エアロゾル生成モード、および充電モードの4つのモードで動作可能である。
【0040】
スリープモードは、吸引器100が主要な動作を休止している状態であり、少なくとも後述するアクティブモードよりもコントローラの消費電力が小さいモードである。スリープモードでは、霧化器104のヒータ127に対して電力が供給されることはない。スリープモードでは、吸引器100が消費する電力が最小限に抑制される。スリープモードは、省電力モードあるいはスタンバイモードとも呼ばれうる。スリープモードでは、電源ユニット102はロックされており、ユーザはエアロゾルの吸引を行うことはできない。
【0041】
スリープモードにおいてアクションボタンBに対する所定の操作が行われると、ロックが解除され、電源ユニット102はアクティブモードに遷移する。所定の操作とは、例えば、アクションボタンBを所定回数(例えば3回)にわたって繰り返し押す操作、アクションボタンBを規定時間(例えば3秒)にわたって長押しする操作等でありうる。また、アクティブモードにおいて所定の操作がないまま所定時間が経過すると、吸引器100はスリープモードに戻りうる。
【0042】
アクティブモードにおいてユーザによる吸引(パフ)がパフセンサ209によって検知されると、吸引器100はエアロゾルを生成するエアロゾル生成モードに遷移する。吸引が終了したとき、または、一回の吸引時間が規定の上限時間に達したときは、吸引器100はアクティブモードに戻りうる。
【0043】
スリープモードまたはアクティブモードにおいて外部電源(充電器)がVbusポートに接続されると、吸引器100は充電モードに遷移し、電源205の充電が行われる。外部電源がVbusポートから取り外されたとき、あるいは、満充電状態となったとき、吸引器100はスリープモードに遷移する。満充電状態は、SOC(State Of Charge、充電状態)あるいは充電率が100%又はそれに近い所定値(例えば、98%、95%又は90%)以上であることを意味する。
【0044】
図5の表示例bには、アクティブモードにおけるOLEDディスプレイD1および/または電子ペーパーディスプレイD2による表示例が示されている。なお、「OLEDディスプレイD1および/または電子ペーパーディスプレイD2による表示」とは、OLEDディスプレイD1または電子ペーパーディスプレイD2のいずれか一方のみが情報を表示する場合と、OLEDディスプレイD1および電子ペーパーディスプレイD2の両方が情報を表示する場合とを含みうる。その具体的な制御については後述する。図5の表示例bでは、OLEDディスプレイD1および/または電子ペーパーディスプレイD2には、カプセル106における香味源131の残量(以下「カプセル残量」という。)と、霧化器104(以下「カートリッジ」という。)におけるエアロゾル源の残量(以下「カートリッジ残量」という。)と、電源205の残量(以下「電池残量」という。)が、それぞれバーグラフ形式で表示されている。また、図5の表示例aには、充電モードにおけるOLEDディスプレイD1および/または電子ペーパーディスプレイD2の表示例が示されている。充電モードにおいて、カプセル残量、カートリッジ残量、および電池残量が表示されうる。電池残量の表示部には、充電中であることを示すマークが追加的に表示されうる。図5の表示例cには、エアロゾル生成モードにおけるOLEDディスプレイD1および/または電子ペーパーディスプレイD2の表示例が示されている。エアロゾルの生成によって、カプセル残量、カートリッジ残量、電池残量はそれぞれ減少する方向に向かうため、図5の表示例cにおける左側部分に示すように、少なくともいずれかのグラフのバーの数が少なくなっていく。図5の表示例cにおける右側部分は、カプセル残量が少ないことを示し、かつ、電池残量がない(枯渇している)ことを示している。
【0045】
図5の表示例a~cはそれぞれ一例に過ぎず、カプセル残量、カートリッジ残量、および電池残量の表示態様は、他の態様であってもよい。例えば、図6に示した表示例a1、b1、c1のように、各残量の有無だけがわかるアイコン表示であってもよい。あるいは、図6に示した表示例b1、b2、b3のように、各残量が数値で示されてもよい。また、本実施形態では、第2報知部として電子ペーパーディスプレイが採用されているため、スリープモードにおいて、電力を消費せずに第2報知部による報知(電子ペーパーディスプレイD2による表示)を継続可能である。このように、スリープモードでも残量通知がなされるため、ユーザは、残量が通知されている要素に対する残量の回復の必要性に気づきやすくなる。また、スリープモードにおける要素の残量の通知を、電源に蓄えられた電力量を消費することなく行うことができるため、電源ユニット102の動作可能時間を伸ばすことができる。
【0046】
図7図12を参照して、電源ユニット102の動作例を説明する。この動作は、コントローラとしてのMCU(プロセッサ)207によって制御される。MCU207は、プログラムを格納したメモリと、該プログラムに従って動作するCPUとを含みうる。例えば、各フローチャートに対応するプログラムはメモリに格納され、該プログラムがCPUによって実行される。
【0047】
初期状態において、電源ユニット102は、スリープモードで待機している。ステップS1において、MCU207は、外部電源(充電器)がVbusポートに接続され電源205の充電が開始されたかどうかを判定する。充電が検知されなければ、ステップS2で、MCU207は、アクションボタンBが所定回数にわたって繰り返し押される等の手動操作が行われたことによる起動指令を受信したか否かを判定する。この起動指令が受信された場合には、ステップS3において、スリープモードから離脱してアクティブモードに遷移する。ステップS2で手動操作に伴う起動指令が受信されなかった場合には、ステップS4において、MCU207は、起動指令が発生したか否かを判定する。起動指令は、例えば、タイマー等によって、計画されたタイミングで発生させることができる。起動指令が発生しなければ、処理はステップS1に戻る。起動指令が発生した場合には、ステップS5において、MCU207は、スリープモードから離脱してアクティブモードに遷移する。次いで、ステップS6において、MCU207は、カートリッジまたはカプセル交換時の電子ペーパーディスプレイ書き換えに関する処理である書換サブルーチン#1を実行する。書換サブルーチン#1の実行により、電子ペーパーディスプレイD2の表示が制御される。書換サブルーチン#1の詳細については後述する。その後、ステップS7において、MCU207はスリープモードに遷移し、処理はステップS1に戻る。
【0048】
ステップS1で充電が検知された場合、ステップS8において、MCU207は、スリープモードから離脱してアクティブモードに遷移し、MCU207は、充電時の電子ペーパーディスプレイ書き換えに関する処理である書換サブルーチン#2を実行する。書換サブルーチン#2の実行により、電子ペーパーディスプレイD2の表示が制御される。書換サブルーチン#2の詳細については後述する。その後、ステップS10において、MCU207はスリープモードに遷移し、処理はステップS1に戻る。
【0049】
このように、スリープモードにおいては、MCU207は、充電の開始の検知および起動指令の発生に応じて、カートリッジまたはカプセル交換時の電子ペーパーディスプレイ書き換えに関する処理(書換サブルーチン#1)が行われ、充電の開始に応答して、充電時の電子ペーパーディスプレイ書き換えに関する処理(書換サブルーチン#2)が行われる。
【0050】
図8には、ステップS3でスリープモードが解除されアクティブモードに遷移した後の制御フローが示されている。なお、図示は省略するが、アクティブモードに入ってからは、以下の処理と並行して、書換サブルーチン#1が、計画されたタイミング(例えば、定期的)で繰り返し実行されるほか、充電の開始を監視しており、充電の開始が検知されたことに応答して割り込み処理として書換サブルーチン#2が実行されるものとする。
【0051】
ステップS11以降では、カートリッジ交換またはカプセル交換あるいは充電が行われる場合を除き、ディスプレイD1、D2、D3を使って表示される複数の要素のそれぞれの残量は減少に向かうのみである。そこで、ステップS11で、MCU207は、複数の要素の残量、すなわち、電池残量、カートリッジ残量、およびカプセル残量、を取得し、その後、ステップS12で、各要素の残量減少に伴う電子ペーパーディスプレイ書き換えに関する処理である書換サブルーチン#3を実行する。書換サブルーチン#3の実行により、電子ペーパーディスプレイD2の表示が制御される。書換サブルーチン#3の詳細については後述する。ディスプレイに表示される複数の要素のそれぞれの残量は、香味を有するエアロゾルを発生するために消費される要素の残量であり、本実施形態では、電池残量、カートリッジ残量、およびカプセル残量である。例えば、MCU207は、電源205の出力電圧に基づいて、電池残量を取得することができる。MCU207は、充電完了後におけるパフの回数に基づいて、電池残量を取得することもできる。あるいは、電源ユニット102が電源205を管理する管理回路を備える場合には、MCU207は、該管理回路からの出力に基づいて、電池残量を取得することができる。MCU207は、例えば、霧化器104が電源ユニット102の保持部103に装着されてからのパフの回数に基づいて、カートリッジ残量を取得することができる。あるいは、電源ユニット102がカートリッジ残量を検知するセンサを備える場合には、MCU207は、該センサの出力に基づいて、カートリッジ残量を取得することもできる。MCU207は、例えば、カプセル106が電源ユニット102の保持部103に装着されてからのパフの回数に基づいて、カプセル残量を取得することができる。あるいは、電源ユニット102が残量を検知するセンサを備える場合には、MCU207は、該センサの出力に基づいて、カプセル残量を取得することができる。
【0052】
ステップS13において、MCU207は、電源205の残量(電池残量)が「閾値(低)」より大きいか否かを判定する。「閾値(低)」は、電池残量に関して、アクティブモードでの動作を許容するかどうかを判定するための閾値である。より具体的には、「閾値(低)」は、例えばN回(例えばN=1)のパフ動作に対応するエアロゾルの生成さえも不可能であるものとして予め定められた電池残量の下限値として設定されうる。電池残量が「閾値(低)」以下である場合には、アクティブモードで動作することはできないものとして、ステップS14においてMCU207はスリープモードに遷移し、処理はステップS1に戻る。
【0053】
電池残量が「閾値(低)」より大きい場合、ステップS15において、MCU207は、エアロゾル生成要求(霧化要求)の発生を待つ。エアロゾル生成要求は、例えば、パフセンサ209からMCU207に対するパフの検出の通知あるいは送信でありうる。あるいは、エアロゾル生成要求は、そのための不図示のスイッチ等の操作部が設けられる場合には、ユーザによる該操作部に対する操作によって発生しうる。エアロゾル生成要求はユーザによるアクションボダンBに対する操作によって発生してもよい。
【0054】
ステップS15でエアロゾル生成要求の発生が検出されると、MCU207は、ステップS16において、ヒータ127に対する電力供給を開始し、ステップS17で、OLEDディスプレイD1の動作を禁止する。つまり、ステップS17におけるエアロゾル生成のためのヒータ127への電力供給は、第1報知部による報知(OLEDディスプレイD1による表示)を停止して行われる(ステップS16)一方、第2報知部による報知(ステップS12における電子ペーパーディスプレイD2による表示)を継続しながら行われる。したがって、パフ動作中においても電子ペーパーディスプレイD2による表示は継続される。このため、ユーザは、電池残量が枯渇する前に、残量が通知されている要素に対する残量の回復の必要性に気づきやすくなる。
【0055】
ステップS18で、MCU207は、LEDディスプレイD3における複数のLEDのうち電池残量に応じた個数のLEDを点灯する。ステップS19では、MCU207は、エアロゾル生成要求の終了を待つ。エアロゾル生成要求が終了したときは、ステップS20で、MCU207は、ヒータ127への電力供給を停止する。なお、ステップS16においてヒータ127に対する電力供給が開始されてから所定時間が経過した場合、エアロゾル生成要求の終了を待たずに、MCU207は、ステップS20で、ヒータ127への電力供給を停止してもよい。
【0056】
ステップS15でエアロゾル生成要求がなかった場合、ステップS21において、MCU207は、スリープモードからの離脱(スリープ解除)から所定時間が経過したかどうかを判断する。スリープ解除から所定時間が経過した場合は、ステップS25において、MCU207はスリープモードに遷移し、処理はS1に戻る。スリープ解除から所定時間が経過していなければ、S22において、MCU207は、OLED表示要求があったかどうかを判定する。OLED表示要求は、OLEDディスプレイD1の表示を要求するものである。OLED表示要求は、例えばアクションボタンBを所定回数(例えば、1回)押下する動作でありうる。ステップS22でOLED表示要求があった場合、ステップS23で、MCU207は、電池残量が「閾値(中)」(第1閾値)以上か否かを判定する。「閾値(中)」は、電池残量に関して、アクティブモードでの動作に余裕がある状態であるかどうかを判定するための閾値である。より具体的には、「閾値(中)」は、例えばN回(例えばN=1)のパフ動作に対応するエアロゾルの生成は可能であるがN+1回のパフ動作に対応するエアロゾルの生成は不可能であるものとして予め定められた電池残量の閾値として設定されうる。電池残量が「閾値(中)」以上であれば、視認性に優れるOLED表示が許可される。具体的には、電池残量が「閾値(中)」以上の場合、ステップS24において、MCU207は、各要素の残量(電池残量、カートリッジ残量、カプセル残量)を、第1報知部により報知(OLEDディスプレイD1により表示)する。
【0057】
ステップS22でOLED表示要求がなかった場合、ステップS23で電池残量が閾値(中)未満であると判定された場合、または、ステップS24によるOLED表示が行われた後では、それぞれ、処理はS11へ戻る。なお、ステップS24の後又はステップS22でOLED表示要求がなかったと判定された場合、処理はS15に戻ってもよい。したがって、ステップS23で電池残量が閾値(中)未満であると判定された場合には、ステップS12において電子ペーパーディスプレイD2による表示は行われるがステップS24によるOLEDディスプレイD1による表示は行われない。このように、電池残量に応じた適切な報知部を使って各要素の残量をユーザに報知することができる。特に、本実施形態によれば、電池残量が閾値(中)以下になった場合にはOLEDディスプレイD1による表示が行われないため、電池残量が減った状態において電池残量の減少を緩やかにし、電源ユニット102の動作可能時間を伸ばすことができる。
【0058】
図9には、ステップS20でヒータ127への電力供給が停止された以降の制御フローが示されている。ステップS26において、MCU207は、複数の要素の残量、すなわち、電池残量、カートリッジ残量、およびカプセル残量、を取得する。例えば、MCU207は、電源205の出力電圧に基づいて、電池残量を取得することができる。MCU207は、充電完了後におけるパフの回数に基づいて、電池残量を取得することもできる。あるいは、電源ユニット102が電源205を管理する管理回路を備える場合には、MCU207は、該管理回路からの出力に基づいて、電池残量を取得することができる。MCU207は、例えば、霧化器104が電源ユニット102の保持部103に装着されてからのパフの回数に基づいて、カートリッジ残量を取得することができる。あるいは、電源ユニット102がカートリッジ残量を検知するセンサを備える場合には、MCU207は、該センサの出力に基づいて、カートリッジ残量を取得することもできる。MCU207は、例えば、カプセル106が電源ユニット102の保持部103に装着されてからのパフの回数に基づいて、カプセル残量を取得することができる。あるいは、電源ユニット102が残量を検知するセンサを備える場合には、MCU207は、該センサの出力に基づいて、カプセル残量を取得することができる。
【0059】
その後、ステップS27において、各要素の残量減少に伴うディスプレイ書き換えに関する処理である書換サブルーチン#3を実行する。書換サブルーチン#3の実行により、電子ペーパーディスプレイD2の表示が制御される。書換サブルーチン#3の詳細については後述する。このように本実施形態によれば、ステップS20によるヒータ127への電力供給の停止後も、第2報知部による報知(電子ペーパーディスプレイD2による表示)が継続される。このため、ユーザは、電池残量が枯渇する前に、残量が通知されている要素に対する残量の回復の必要性に気づきやすくなる。なお、ユーザは、電池残量が枯渇した後も、電子ペーパーディスプレイD2によって、残量が通知されている要素に対する残量の回復の必要性に気づくことができる。
【0060】
ステップS28において、MCU207は、電池残量が閾値(低)より大きいか否かを判定する。ここでの電池残量に関する閾値(低)は、ステップS13に使用された電池残量に関する閾値(低)と同じでよい。電池残量が閾値(低)より大きいと判定された場合、処理はステップS29に進む。ステップS29において、MCU207は、カートリッジ残量がカートリッジ残量に対して設定された閾値α以上か否かを判定する。カートリッジ残量が閾値α以上と判定された場合、処理はステップS30に進む。ステップS30において、MCU207は、カプセル残量がカプセル残量に対して設定された閾値β以上か否かを判定する。カプセル残量が閾値β以上と判定された場合、すなわち、各要素の残量がそれぞれの閾値以上の場合、処理はステップS11に戻る。なお、ステップS11に代えて、処理はステップS15に戻ってもよい。処理はステップS11又はステップS15に戻るため、MCU207は、アクティブモードを維持しており、ステップS15でのエアロゾル生成要求を待ってヒータ127に対する電力供給を開始することが可能である。なお、ステップS29とステップS30が実行される順番は逆でもよいし、ステップS29とステップS30が同時に実行されてもよいし、ステップS29とステップS30の少なくとも一方がステップS28よりも先に実行されてもよい。
【0061】
ステップS29でカートリッジ残量が閾値α未満であると判定された場合、または、ステップS30でカプセル残量が閾値β未満であると判定された場合は、ステップS31においてMCU207はスリープモードに遷移し、処理はステップS1に戻る。このように、ステップS28で電池残量が閾値(低)より大きいと判定された場合は、複数の要素それぞれの残量は電子ペーパーディスプレイD2により表示される。
【0062】
ステップS28で電池残量が閾値(低)以下であると判定された場合、ステップS34において、MCU207は、振動モータVを駆動し、かつ、LEDディスプレイD3における複数のLEDを点滅させる。この場合、ステップS27(その処理の詳細は後述)により電子ペーパーディスプレイD2に電池残量が枯渇していることが表示されるとともに、ステップS34により振動モータVによるバイブレーションとLEDの点滅とによっても電池残量が枯渇していることが報知される。これによりユーザは電源205の充電が必要であることを知らされることになる。
【0063】
こうして、電池残量が閾値(低)まで低下した状態(ステップS28でNO)では、第2報知部である電子ペーパーディスプレイD2と第3報知部であるLEDディスプレイD3および/または振動発生部Vとを併用して要素の残量の報知が行われる。本実施形態において、第3報知部を構成するLEDディスプレイD3および/または振動発生部Vの駆動による消費電力は、第1報知部であるOLEDディスプレイD1の消費電力に比べれば小さなものである。そのため、第3報知部による報知を行った途端に電源205が過放電状態となり第3報知部による報知がわずかしか行われない事態となることを抑制できる。よって、電池残量が閾値(低)まで低下した状態(ステップS28でNO)では、報知のために消費する電力を節約しつつ、ユーザがその残量の回復の必要性に気づきやすくなる。
【0064】
ステップS34での振動モータVの駆動およびLEDの点滅の完了後、ステップS31において、MCU207はスリープモードに遷移し、処理はステップS1に戻る。
【0065】
上述したように、上記した図8および図9の制御フローと並行して、書換サブルーチン#1が、計画されたタイミング(例えば、定期的)で繰り返し実行されるほか、充電の開始を監視しており、充電の開始が検知されたことに応答して割り込み処理として書換サブルーチン#2が実行されうる。書換サブルーチン#1または書換サブルーチン#2が実行されることにより、要素の残量に関する表示が回復しうる。本実施形態においては、第2報知部は電子ペーパーディスプレイで構成されていることから、MCU207は、要素の残量が回復するまで第2報知部による報知(電子ペーパーディスプレイD2による表示)を、電力を消費することなく継続することができる。このような電子ペーパーディスプレイD2による表示は、たとえ電源205が過放電に至っても継続されるため、ユーザは、残量が通知されている要素に対する残量の回復の必要性に気づきやすくなる。
【0066】
図10には、ステップS6で行われる、あるいは、アクティブモードで所定のタイミングで繰り返し行われる、書換サブルーチン#1の制御フローが示されている。ステップS601において、MCU207は、カプセル106が電源ユニット102から取り外されたか否かを判定し、カプセル106が取り外されたと判定した場合には処理をステップS607に進め、そうでない場合は処理をステップS602に進める。例えば、第2センサ222が設けられている場合には、MCU207は、第2センサ222の出力に基づいて電源ユニット102からのカプセル106の取り外しを判定することができる。
【0067】
ステップS602において、MCU207は、カートリッジ(霧化器104)が電源ユニット102から取り外されたか否かを判定し、カートリッジが取り外されたと判定した場合には処理をステップS603に進め、そうでない場合は書換サブルーチン#1を抜ける。例えば、第1センサ221が設けられている場合は、MCU207は、第1センサ221の出力に基づいて電源ユニット102からのカートリッジの取り外しを判定することができる。あるいは、MCU207は、測定回路210の出力の変化に基づいて電源ユニット102からのカートリッジの取り外しを判定することができる。ここで、カートリッジが電源ユニット102の保持部103によって正しく保持されている状態では、スイッチ201をオンにしたときに電圧変換器202の出力電圧をヒータ127とシャント抵抗Rshuntとで分圧した電圧が測定回路210に入力される。一方、カートリッジが電源ユニット102の保持部103から取り外された場合、スイッチ201をオンにしたときに電圧変換器202の出力電圧が測定回路210に入力される。よって、電源ユニット102の保持部103からカートリッジが取り外されると、スイッチ201をオンにしたときに測定回路210の出力が変化する。
【0068】
ステップS603において、MCU207は、ヒータ127に対する電力の供給を禁止する。ヒータ127に対する電力の供給が禁止された状態では、エアロゾル生成要求が発生しても、ヒータ127に対する電力の供給はなされない。
【0069】
ステップS604において、MCU207は、カートリッジが電源ユニット102に取り付けられるのを待つ。例えば、第1センサ221が設けられている場合は、MCU207は、第1センサ221の出力に基づいて電源ユニット102の保持部103にカートリッジが取り付けられたと判定することができる。あるいは、MCU207は、測定回路210の出力の変化に基づいて電源ユニット102の保持部103にカートリッジが取り付けられたと判定することができる。
【0070】
ステップS605において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2におけるカートリッジ残量の表示を更新する(書き換える)。その後、ステップS606において、MCU207は、ヒータ127に対する電力供給の禁止を解除して、書換サブルーチン#1を抜ける。
【0071】
ステップS607において、MCU207は、カプセル106が取り外されたことに応答して、ヒータ127に対する電力の供給を禁止する。ヒータ127に対する電力の供給が禁止された状態では、エアロゾル生成要求が発生しても、ヒータ127に対する電力の供給はなされない。
【0072】
ステップS608において、MCU207は、カプセル106が電源ユニット102に取り付けられるのを待つ。例えば、第2センサ222が設けられている場合は、MCU207は、第2センサ222の出力に基づいて電源ユニット102の保持部103にカプセル106が取り付けられたと判定することができる。
【0073】
ステップS609において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2におけるカプセル残量の表示を更新する(書き換える)。その後、ステップS610において、MCU207は、ヒータ127に対する電力供給の禁止を解除して、書換サブルーチン#1を抜ける。
【0074】
上記したステップS605はカートリッジが交換された時の工程であり、また、ステップS609はカプセルが交換された時の工程である。カートリッジまたはカプセルの交換により、一般にはそれらの残量が回復することが想定されるから、図5の表示例bに示されるように、ステップS605ではカートリッジ残量の増加方向への書き換えのみが許可され、ステップS609ではカプセル残量の増加方向への書き換えのみが許可されるように制御されてもよい。ただし、カートリッジ残量を検知するセンサを備える場合には該センサの出力に基づいて、電子ペーパーディスプレイD2におけるカートリッジ残量の表示を書き換えるようにしてもよい。同様に、カプセル残量を検知するセンサを備える場合には該センサの出力に基づいて、電子ペーパーディスプレイD2におけるカプセル残量の表示を書き換えるようにしてもよい。
【0075】
図11には、ステップS9で行われる、あるいは、アクティブモードで所定のタイミングで繰り返し行われる、書換サブルーチン#2の制御フローが示されている。ステップS91において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2の電池残量部を、電池残量部に充電マークが現れるよう書き換える(図5の表示例a参照)。
【0076】
ステップS92において、MCU207は、例えば電源205の出力電圧や充電IC206との通信に基づいて、電池残量を取得する。次いで、ステップS93において、MCU207は、取得した電池残量が所定の閾値より多いか否かを判定する。電池残量が所定の閾値より多いと判定された場合、処理はステップS94に進み、そうでなければ処理はステップS95に進む。ステップS94において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2における電池残量の増加方向への書き換えを行う。ここで、所定の閾値は、ステップS94における電子ペーパーディスプレイの書き換え頻度を調整するための閾値とすることができる。その後、処理はステップS95に進む。
【0077】
ステップS95において、MCU207は、充電が終了したか否かを判定する。例えば、外部電源(充電器)がVbusポートから取り外されたとき、あるいは、満充電状態となった場合、充電が終了したと判定することができる。ステップS95で充電が終了していないと判定された場合、処理はS92に戻り、充電が終了したと判定された場合、処理はステップS96に進む。
【0078】
ステップS96において、MCU207は、第2ディスプレイにおける電池残量部を、電池残量部から充電マークが消えるように書き換え、書換サブルーチン#2を抜ける。
【0079】
図12には、ステップS12およびステップS27で行われる書換サブルーチン#3の制御フローが示されている。エアロゾルの生成が行われることにより、一般には複数の要素の残量は減少するのみであるから、図5の表示例cに示されるように、複数の要素の残量は減少方向への書き換えのみが許可されるように制御されてもよい。
【0080】
ステップS121において、MCU207は、ステップS11またはステップS26で取得された電池残量が所定の閾値より少ないか否かを判定する。電池残量が所定の閾値より少ないと判定された場合、処理はステップS122に進み、そうでなければ処理はステップS123に進む。ステップS122において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2における電池残量を減少方向に書き換える。その後、処理はステップS123に進む。
【0081】
ステップS123において、MCU207は、ステップS11またはステップS26で取得されたカプセル残量が所定の閾値より少ないか否かを判定する。カプセル残量が所定の閾値より少ないと判定された場合、処理はステップS124に進み、そうでなければ処理はステップS125に進む。ステップS124において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2におけるカプセル残量を減少方向に書き換える。その後、処理はステップS125に進む。
【0082】
ステップS125において、MCU207は、ステップS11またはステップS26で取得されたカートリッジ残量が所定の閾値より少ないか否かを判定する。カートリッジ残量が所定の閾値より少ないと判定された場合、処理はステップS126に進み、そうでなければ書換サブルーチン#3を抜ける。ステップS126において、MCU207は、電子ペーパーディスプレイD2におけるカートリッジ残量を減少方向に書き換える。その後、書換サブルーチン#3を抜ける。
【0083】
なお、ステップS121における電池残量に対する所定の閾値、ステップS123におけるカプセル残量に対する所定の閾値、および、ステップS125におけるカートリッジ残量に対する所定の閾値はそれぞれ、電子ペーパーディスプレイの書き換え頻度を調整するための閾値とすることができる。また、図5に例示されるように電池残量をバーグラフ形式で表示する場合、ステップS121で電池残量と比較される閾値は、バーの数だけ閾値を含みうる。ステップS121において、プロセッサ207は、複数の閾値のうち現在の電池残量に相当する閾値と、電池残量を比較しうる。これは、カプセル残量やカートリッジ残量をバーグラフ形式で表示する場合も同様である。
【0084】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100:吸引器、102:電源ユニット、104:霧化器(カートリッジ)、105:カプセルホルダ、106:カプセル
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