(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2023531255
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2021024807
(87)【国際公開番号】W WO2023276059
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 智也
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-56218(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055757(WO,A1)
【文献】特開2003-218591(JP,A)
【文献】特開平11-17400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を実装する部品実装機であって、
前記基板に対して複数の異なる照明条件で光を照射可能な照明部と、
前記基板の上方から前記基板の画像を撮像する撮像部と、
前記部品の1つを対象部品とし、前記基板の前記対象部品が実装される領域を対象領域とし、前記対象領域に前記対象部品がない状態を部品なし状態とし、前記対象領域に前記対象部品がある状態を部品あり状態とした場合に、複数の異なる前記照明条件で前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像を撮像するよう前記照明部及び前記撮像部を制御し、前記部品なし状態の画像と前記部品あり状態の画像との類似度を前記照明条件ごとに算出し、前記類似度に基づいて前記対象部品の検査を実行する際の検査用照明条件に設定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記類似度に基づいて前記検査用照明条件を設定するにあたり、複数の異なる前記照明条件のうち、前記類似度が所定の類似度よりも低い照明条件を前記検査用照明条件に設定するか、前記類似度が最も低い照明条件を前記検査用照明条件に設定するか、前記類似度が所定の類似度よりも低く且つ最も低い照明条件を前記検査用照明条件に設定する、
部品実装機。
【請求項2】
前記照明部は、側射照明及び落射照明を有しており、
前記照明条件は、前記側射照明のみで前記基板に光を照射する第1照明条件、前記落射照明のみで前記基板に光を照射する第2照明条件及び前記側射照明と前記落射照明の両方で前記基板に光を照射する第3照明条件のうちの少なくとも2つを含む、
請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記照明部は照明強度を変更可能であり、
前記照明条件は、照明強度の高い条件及び照明強度の低い条件を含む、
請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記照明部は、色の異なる光源を有しており、
前記照明条件は、前記照明部が有する前記光源の中から選択された1つ以上の前記光源を使用する複数の条件を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の部品実装機。
【請求項5】
色の異なる前記光源は、赤色光源、緑色光源及び青色光源である、
請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像は、前記撮像部で撮像した画像を同一のサイズに圧縮した画像であり、
前記類似度は、前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像のそれぞれから抽出した特徴量に基づいて算出したものである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像のサイズは、前記対象部品の大きさに関わらず一定のサイズである、
請求項6に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装機に設けられたマークカメラで撮像した基板の画像を用いて部品の配置状態を判定する制御部を備えた部品実装機が知られている。例えば、特許文献1には、所定の照明条件で基板に対して光を照射した状態でマークカメラを用いて基板の画像を撮像し、画像の指定エリアの明るさを算出し、明るさに基づいて部品の配置状態を判定する制御部を備えた部品実装機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/174763号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような部品実装機において、マークカメラで撮像した画像を利用して、基板に対して部品が実装されているか否かを判定する部品有無検査を実行することがある。部品有無検査は、例えば、以下のようにして実行される。すなわち、まず、基板の所定領域に部品がない状態の部品なし画像及び基板の所定領域に部品がある状態の部品あり画像を撮像する。次に、検査対象基板の所定領域の検査画像を撮像する。次に、部品なし画像及び検査画像を用いて、基板の所定領域に部品がない状態及び検査対象基板の所定領域の状態との類似度を算出すると共に、部品あり画像及び検査画像を用いて、基板の所定領域に部品がある状態及び検査対象基板の所定領域の状態の類似度を算出する。そして、類似度を比較して、基板の所定領域に部品がある状態及び検査対象基板の所定領域の状態の類似度が基板の所定領域に部品がない状態及び検査対象基板の所定領域の状態の類似度よりも高いならば、検査対象基板の所定領域に部品があると判定し、そうでないならば、検査対象基板の所定領域に部品がないと判定する。画像を撮像する際の照明条件は、オペレータが設定する。
【0005】
しかしながら、基板のパターンと部品種の組み合わせによって適切な照明条件は変化することがある。また、同じ部品でも基板上の実装位置が異なれば、適切な照明条件が変わることもある。そのため、どの部品に対しても適切な照明条件をオペレータが設定するのは容易ではない。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、適切な照明条件を容易に設定することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の部品実装機は、
基板に対して部品を実装する部品実装機であって、
前記基板に対して複数の異なる照明条件で光を照射可能な照明部と、
前記基板の上方から前記基板の画像を撮像する撮像部と、
前記部品の1つを対象部品とし、前記基板の前記対象部品が実装される領域を対象領域とし、前記対象領域に前記対象部品がない状態を部品なし状態とし、前記対象領域に前記対象部品がある状態を部品あり状態とした場合に、複数の異なる前記照明条件で前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像を撮像するよう前記照明部及び前記撮像部を制御し、前記部品なし状態の画像と前記部品あり状態の画像との類似度を前記照明条件ごとに算出し、前記類似度に基づいて前記対象部品の検査を実行する際の検査用照明条件に設定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記類似度に基づいて前記検査用照明条件を設定するにあたり、複数の異なる前記照明条件のうち、前記類似度が所定の類似度よりも低い照明条件を前記検査用照明条件に設定するか、前記類似度が最も低い照明条件を前記検査用照明条件に設定するか、前記類似度が所定の類似度よりも低く且つ最も低い照明条件を前記検査用照明条件に設定する、ものである。
【0008】
この部品実装機では、類似度に基づいて検査用照明条件を設定するにあたり、複数の異なる照明条件のうち、類似度が所定の類似度よりも低い照明条件を検査用照明条件に設定するか、類似度が最も低い照明条件を検査用照明条件に設定するか、類似度が所定の類似度よりも低く且つ最も低い照明条件を検査用照明条件に設定する。類似度が高い照明条件を検査用照明条件に設定したとすると、対象部品の検査を実行する際に撮像した画像が部品あり状態の画像に近いのか部品なし状態の画像に近いのかの判定を精度よく行うことができないことがある。ここでは、類似度が所定の類似度よりも低い照明条件、類似度が最も低い照明条件又は類似度が所定の類似度よりも低く且つ最も低い照明条件を検査用照明条件に設定するため、こうした判定を精度よく行うことができる。また、検査用照明条件をオペレータが設定する必要がないため、オペレータに作業負担がかかることもない。そのため、適切な検査用照明条件を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】マークカメラ50の構成の概略を示す説明図。
【
図5】部品実装機10の電気的な接続関係を示すブロック図。
【
図6】部品有無検査ルーチンの一例を示すフローチャート。
【
図9】検査前処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【
図10】検査前処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【
図11】第1照明条件で対象領域を撮像した画像の一例を示す説明図。
【
図12】第2照明条件で対象領域を撮像した画像の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は部品実装機10の構成の概略を示す説明図、
図2はマークカメラ50の構成の概略を示す説明図、
図3は落射照明53のA視図、
図4は側射照明55のB視図、
図5は部品実装機10の電気的な接続関係を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)は、
図1に示した通りである。
【0011】
部品実装機10は、
図1に示すように、基板Sを搬送する基板搬送装置22と、吸着ノズル45で部品を吸着して基板Sに実装するヘッド40と、ヘッド40をX軸方向及びY軸方向に移動させるヘッド移動装置30と、基板Sを撮像するマークカメラ50と、ヘッド40に部品を供給するフィーダ70と、を備える。これらは、基台11上に設置される筐体12に収容されている。また、部品実装機10は、これらの他に、ヘッド40に吸着した部品を撮像するパーツカメラ23や、交換用の吸着ノズル45を収容するノズルステーション24なども備えている。部品実装機10は、基板搬送方向(X軸方向)に複数台並べて配置されて、生産ラインを構成する。
【0012】
基板搬送装置22は、基台11に設置されている。基板搬送装置22は、Y軸方向に間隔を空けて配置される一対のコンベアレールを備え、一対のコンベアレールを駆動することにより基板Sを
図1の左から右(基板搬送方向)へと搬送する。
【0013】
ヘッド移動装置30は、
図1に示すように、一対のX軸ガイドレール31と、X軸スライダ32と、X軸アクチュエータ33(
図5参照)と、一対のY軸ガイドレール35と、Y軸スライダ36と、Y軸アクチュエータ37(
図5参照)と、を備える。一対のY軸ガイドレール35は、Y軸方向に互いに平行に延在するように筐体12の上段に設置される。Y軸スライダ36は、一対のY軸ガイドレール35に架け渡され、Y軸アクチュエータ37の駆動によりY軸ガイドレール35に沿ってY軸方向に移動する。一対のX軸ガイドレール31は、X軸方向に互いに平行に延在するようにY軸スライダ36の前面に設置される。X軸スライダ32は、一対のX軸ガイドレール31に架け渡され、X軸アクチュエータ33の駆動によりX軸ガイドレール31に沿ってX軸方向に移動する。X軸スライダ32にはヘッド40が取り付けられており、ヘッド移動装置30は、X軸スライダ32とY軸スライダ36とを移動させることで、ヘッド40をX軸方向とY軸方向とに移動させる。
【0014】
ヘッド40は、吸着ノズル45をZ軸(上下)方向に移動させるZ軸アクチュエータ41(
図5参照)と、吸着ノズル45をZ軸周りに回転させるθ軸アクチュエータ42(
図5参照)とを備える。ヘッド40は、吸着ノズル45の吸引口に負圧源を連通させることで、吸引口に負圧を作用させて部品を吸着することができる。また、ヘッド40は、吸着ノズル45の吸引口に正圧源を連通させることで、吸引口に正圧を作用させて部品の吸着を解除することができる。なお、ヘッド40は、単一の吸着ノズル45を備えたヘッドであってもよいし、円柱状のヘッド本体の外周に沿って等間隔に複数の吸着ノズル45を備えたロータリヘッドであってもよい。また、部品を保持するための部材として、吸着ノズル45に代えて、メカニカルチャックや電磁石を用いるものとしてもよい。
【0015】
パーツカメラ23は、基台11上に設置されている。パーツカメラ23は、吸着ノズル45に吸着させた部品がパーツカメラ23の上方を通過する際、当該部品を下方から撮像して撮像画像を生成し、生成した撮像画像を制御装置60(
図5参照)へ出力する。
【0016】
マークカメラ50は、X軸スライダ32に取り付けられ、ヘッド移動装置30によってヘッド40と共にX軸方向とY軸方向とに移動する。マークカメラ50は、撮像対象物を上方から撮像して撮像画像を生成し、生成した撮像画像を制御装置60(
図5参照)へ出力する。マークカメラ50の撮像対象物としては、フィーダ70により送り出されるテープ72に保持されている部品、基板Sに付されたマーク、基板Sに実装された後の部品、基板Sの回路配線に印刷された半田などが挙げられる。
【0017】
マークカメラ50は、
図2に示すように、照明部51と、カメラ本体58とを備える。照明部51は、ハウジング52と、落射照明53と、ハーフミラー54と、側射照明55と、照明コントローラ57(
図5参照)と、を有する。
【0018】
ハウジング52は、下面に開口する円筒状の部材であり、カメラ本体58の下方に取り付けられている。落射照明53は、ハウジング52の内側の側面に設けられている。落射照明53は、色の異なる複数の光源、例えば、
図3に示すように、R(レッド)の単色光を発光する赤色LED53aとG(グリーン)の単色光を発光する緑色LED53bとB(ブルー)の単色光を発光する青色LED53cとが四角形状の支持板53d上にそれぞれ同数又はほぼ同数配置されたものである。各LED53a~53cは、中央に発光素子が配置された四角形状のベースに、その発光素子を覆うように半球面のレンズが取り付けられたものである。本実施形態では、
図3に示すように、青色LED53cの一つは、配置の中心に位置している。これは、青色LED53cは、他の赤色LED53aや緑色LED53bに比して光量が弱いためである。青色LED53cの一つを配置の中心に位置することで、対象物に照明を当てる際の光量不足をカバーし、色ごとの光量のばらつきを抑制することができる。
【0019】
ハーフミラー54は、ハウジング52の内側に斜めになるように設けられている。ハーフミラー54は、落射照明53の各LED53a,53b,53cからの水平方向の光を下方に反射する。また、ハーフミラー54は、下方からの光をカメラ本体58に向けて透過する。
【0020】
側射照明55は、ハウジング52の下方開口付近に水平になるように設けられている。側射照明55は、色の異なる複数の光源、例えば、
図4に示すように、赤色LED55aと緑色LED55bと青色LED55cとがリング状の支持板55d上にそれぞれ同数又はほぼ同数配置されたものであり、下向きに光を照射する。各LED55a~55cは、中央に発光素子が配置された四角形状のベースに、その発光素子を覆うように半球面のレンズが取り付けられたものである。ハウジング52のうち側射照明55の下方には、拡散板56が設けられている。落射照明53及び側射照明55から発せられた光は、最終的にはこの拡散板56で拡散されたあと対象物に照射される。
【0021】
照明コントローラ57は、例えば、落射照明53の各LED53a~53cと側射照明55の各LED55a~55cとに対してそれぞれ独立したスイッチング素子を有し、パルス幅変調(PWM)を用いてスイッチング素子をスイッチング制御することにより各LEDを独立して明るさを段階的に変更可能なコントローラである。
【0022】
カメラ本体58は、受光した光に基づいて単色の撮像画像を生成する単色カメラである。このカメラ本体58は、図示しないレンズなどの光学系及びモノクロ撮像素子(例えばモノクロCCD)を備えている。落射照明53及び側射照明55から発せられ対象物で反射した後の光がハーフミラー54を透過してカメラ本体58に到達すると、カメラ本体58はこの光を受光して撮像画像を生成する。
【0023】
なお、R,G,Bの各色の波長領域は、特に限定されるものではないが、例えば、Rを590-780nm、Gを490-570nm、Bを400-490nmとしてもよい。
【0024】
フィーダ70は、テープ72が巻回されたリール71と、リール71からテープ72を巻きほどいて部品供給位置74aへ送るテープ送り機構と、を備える。テープ72の表面には、テープ72の長手方向に沿って等間隔に複数の収容凹部73が設けられている。各収容凹部73には、部品が収容されている。これらの部品は、テープ72の表面を覆うフィルムによって保護されている。テープ72は、部品供給位置74aにおいてフィルムが剥がされて部品が露出した状態となる。部品供給位置74aに送り出された部品は、吸着ノズル45によって吸着される。
【0025】
制御装置60は、
図5に示すように、CPU61を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU61の他に、ROM62と、ストレージ63(例えば、HDDやSSD)と、RAM64と、入出力インタフェース65とを備える。これらは、バス66を介して電気的に接続されている。制御装置60は、マークカメラ50からの画像信号やパーツカメラ23からの画像信号などが入出力インタフェース65を介して入力される。一方、制御装置60からは、基板搬送装置22への制御信号やX軸アクチュエータ33への駆動信号、Y軸アクチュエータ37への駆動信号、Z軸アクチュエータ41への駆動信号、θ軸アクチュエータ42への駆動信号、パーツカメラ23への制御信号、マークカメラ50への制御信号、フィーダ70への制御信号、などが入出力インタフェース65を介して出力される。
【0026】
次に、本実施形態の部品実装機10の動作について説明する。まず、部品実装機10が基板Sに部品を実装する実装動作について説明する。実装動作のルーチンはストレージ63に記憶されており、図示しない管理装置から生産ジョブ(部品を実装する順序や、部品の目標実装位置を記憶したデータ)を入力したあとに開始される。実装動作を開始すると、CPU61は、ヘッド40の吸着ノズル45にフィーダ70から供給される部品を吸着させる。具体的には、CPU61は、X軸アクチュエータ33及びY軸アクチュエータ37を制御して吸着ノズル45を所望の部品の、部品吸着位置の真上に移動させる。次に、CPU61は、Z軸アクチュエータ41及び図示しない負圧源を制御し、吸着ノズル45を下降させると共にその吸着ノズル45へ負圧が供給されるようにする。これにより、吸着ノズル45の先端部に所望の部品が吸着される。その後、CPU61は、吸着ノズル45を上昇させ、X軸アクチュエータ33及びY軸アクチュエータ37を制御して、先端に部品を吸着した吸着ノズル45を基板Sの目標実装位置の上方へ移動させる。そして、その所定の位置で、CPU61は、吸着ノズル45を下降させ、その吸着ノズル45へ大気圧が供給されるように図示しない正圧源を制御する。これにより、吸着ノズル45に吸着されていた部品が離間して基板Sの所定の位置に装着される。基板Sに実装すべき他の部品についても、同様にして基板S上に実装していき、すべての部品の実装が完了したら、CPU61は、部品有無検査を実行する。そして、CPU61は、基板搬送装置22を制御して基板Sを下流側へ送り出す。
【0027】
次に、部品実装機10で実行される部品有無検査について
図6~
図8を用いて説明する。
図6は、部品有無検査ルーチンの一例を示すフローチャート、
図7は検査用データ63aの一例を示す説明図、
図8は部品有無検査結果テーブルを示す説明図である。ここで、検査用データ63aは、対象領域と、対象部品と、識別用特徴量データと、検査用照明条件とを対応付けて記憶したデータである。本ルーチンは、ストレージ63に記憶されており、部品実装機10で基板Sに部品を実装し終えたあとに開始される。なお、本実施形態において、対象領域に対象部品が実装されていない状態(対象領域に部品がない状態)を部品なし状態と称し、対象領域に対象部品が実装されている状態(対象領域に部品がある状態)を部品あり状態と称する。また、本実施形態では、照明部51が、側射照明55のみを点灯することを第1照明条件と称し、落射照明53のみを点灯することを第2照明条件と称する。第1照明条件及び第2照明条件では、一定の照明強度で基板Sに対して光を照射する。
【0028】
本ルーチンを開始すると、CPU61は、対象領域を決定する(S100)。具体的には、CPU61は、生産ジョブに基づいて対象部品を決定し、対象部品が実装される目標実装位置を生産ジョブから取得し、対象部品の大きさ、形状及び目標実装位置に基づいて対象領域を設定する。続いて、CPU61は、検査用照明条件を設定する(S110)。具体的には、CPU61は、
図7の検査用データ63aから、S100で決定した対象領域に対応する検査用照明条件を読み出す。例えば、S100で領域A1を対象領域に設定した場合には、CPU61は第1照明条件を検査用照明条件に設定し、S100で領域A2を対象領域に設定した場合には、CPU61は第2照明条件を検査用照明条件に設定する。なお、対象領域に対応する検査用照明条件が、第1照明条件であるか、第2照明条件であるかは、後述する検査前処理ルーチンにおいて決定される。
【0029】
続いて、CPU61は、検査用照明条件で照明部51を点灯させる(S120)。具体的には、S110で第1照明条件を検査用照明条件に設定した場合には、CPU61は、第1照明条件の信号をマークカメラ50に出力し、S110で第2照明条件を検査用照明条件に設定した場合には、CPU61は、第2照明条件の信号をマークカメラ50に出力する。マークカメラ50に設けられた照明コントローラ57は、これらの信号を入力すると、検査用照明条件で基板Sに対して光を照射するよう照明部51を制御する。続いて、CPU61は、検査用画像を取得する(S130)。具体的には、CPU61は、マークカメラ50に設けられたカメラ本体58を制御して、S110で設定した対象領域の画像を撮像する。そして、CPU61は、その画像を所定のサイズに圧縮して得られた検査用画像を、ストレージ63に記憶する。なお、検査用画像のサイズは、対象領域や部品の大きさにかかわらず一定のサイズ(一定の画素数)に設定されている。
【0030】
続いて、CPU61は、検査用画像から特徴量データを抽出する(S140)。ここで、特徴量データとは、その画像を特徴付ける量であり、例えば、その画像に含まれる複数の画素の輝度である。
【0031】
続いて、CPU61は、類似度を算出する(S150)。具体的には、CPU61は、S140で抽出した検査用画像の特徴量データと、検査用データ63aに予め記憶された検出用照明条件に対応する識別用特徴量データとを利用して、検査用画像と部品なし状態の画像との類似度を算出すると共に、検査用画像と部品あり状態の画像との類似度を算出する。なお、識別用特徴量データの算出方法及び類似度の算出方法は、後述する検査前処理ルーチンで説明する。
【0032】
続いて、CPU61は、対象領域の状態が部品あり状態であるか否かを判定する(S160)。具体的には、検査用画像と部品あり状態の画像との類似度が検査用画像と部品なし状態の画像との類似度よりも大きいならば、CPU61は肯定判定を行い、検査用画像と部品あり状態の画像との類似度が検査用画像と部品なし状態の画像との類似度以下ならば、CPU61は否定判定を行う。S160で肯定判定を行ったならば、CPU61は、ストレージ63の部品有無検査結果のテーブル(
図8)において今回の対象領域に対応する結果の欄に「部品あり」と記録する(S170)。一方、S160で否定判定を行ったならば、CPU61は、部品有無検査結果のテーブルにおいて今回の対象領域に対応する結果の欄に「部品なし」と記録する(S180)。S170又はS180のあと、CPU61は、全対象領域で検査を実施したか否かを判定する(S190)。S190で否定判定を行ったならば、CPU61は再びS100に戻り、検査未実施の対象領域を決定し、S110以降の処理を実行する。一方、S190で肯定判定を行ったならば、CPU61は、結果を報知する(S200)。具体的には、CPU61は、部品実装機10に設けられた図示しない表示装置に部品有無検査結果のテーブルを表示する。S200のあと、CPU61は、本ルーチンを終了する。
【0033】
次に、部品有無検査に先立って実行する検査前処理について、
図9~
図13を用いて説明する。
図9及び
図10は検査前処理ルーチンの一例を示すフローチャート、
図11は第1照明条件で対象領域を撮像した画像の一例を示す説明図、
図12は第2照明条件で対象領域を撮像した画像の一例を示す説明図、
図13は類似度を示す説明図である。本ルーチンは、ストレージ63に記憶されており、オペレータから検査前処理開始の指示が入力され、図示しない管理装置から生産ジョブを入力したあとに実行される。また、本ルーチンは、部品実装機10による部品実装処理を試行的に行いながら実行される。
【0034】
本ルーチンを開始すると、CPU61は、基板Sを搬入する(S300)。具体的には、CPU61は、基板Sが部品実装機10内の所定位置まで搬送されるように基板搬送装置22を制御する。続いて、CPU61は、生産ジョブに基づいて対象部品及び対象領域を決定する(S310)。具体的には、CPU61は、部品実装機10で実装される部品のうち1つを対象部品に設定すると共に、基板Sのうち対象部品が実装される領域を対象領域に設定する。続いて、CPU61は、第1照明条件で照明部51を点灯させる(S320)。具体的には、CPU61は、マークカメラ50に第1照明条件の信号を出力する。マークカメラ50に設けられた照明コントローラ57は、第1照明条件の信号を入力すると、側射照明55のみで基板Sに対して光を照射するよう照明部51を制御する。
【0035】
続いて、CPU61は、部品なし状態の画像を取得する(S330)。具体的には、CPU61は、マークカメラ50に設けられたカメラ本体58を制御して、S310で設定した対象領域の画像を撮像する。そして、CPU61は、その画像を所定のサイズに圧縮して得られた部品なし状態の画像を、ストレージ63に記憶する。部品なし状態の画像のサイズは、対象領域や対象部品の大きさにかかわらず一定のサイズに設定されており、上述した検査用画像と同じサイズである。ここで、第1照明条件で得られた部品なし状態の画像の一例を
図11Aに示す。
【0036】
続いて、CPU61は、全ての照明条件で部品なし状態の画像を取得したか否かを判定する(S340)。S340で否定判定を行ったならば、CPU61は次の照明条件(第2照明条件)で照明部51を点灯させ(S350)、そのときの部品なし状態の画像を取得する(S330)。具体的には、CPU61は、落射照明53のみで基板Sに光を照射するようマークカメラ50に第2照明条件の信号を出力する。マークカメラ50に設けられた照明コントローラ57は、第2照明条件の信号を入力すると、落射照明53のみで基板Sに光を照射するよう照明部51を制御する。その状態で、CPU61は、マークカメラ50に設けられたカメラ本体58を制御して第2照明条件で撮像し、その画像を圧縮して得られた部品なし状態の画像をストレージ63に記憶する。ここで、第2照明条件で得られた部品なし状態の画像の一例を、
図12Aに示す。
【0037】
一方、S340で肯定判定を行ったならば、CPU61は、対象部品を対象領域に実装する(S360)。具体的には、CPU61は、基板Sの対象領域に対象部品が実装されるように、ヘッド移動装置30及びヘッド40を制御する。次に、CPU61は、照明条件を第1照明条件に設定する(S370)。S370は、S320と同様の処理である。続いて、CPU61は、部品あり状態の画像を取得する(S380)。具体的には、CPU61は、マークカメラ50に設けられたカメラ本体58を制御して、S310で設定した対象領域の画像を撮像し、その画像を検査用画像と同じサイズに圧縮して得られた部品あり状態の画像を、ストレージ63に記憶する。ここで、第1照明条件で得られた部品あり状態の画像の一例を
図11Bに示す。
【0038】
続いて、CPU61は、全ての照明条件で部品あり状態の画像を取得したか否かを判定する(S390)。S390で否定判定を行ったならば、CPU61は次の照明条件(第2照明条件)で照明部51を点灯させ(S400)、部品あり状態の画像をストレージ63に記憶する(S380)。S400はS350と同様の処理である。ここで、第2照明条件で得られた部品あり状態の画像の一例を
図12Bに示す。
【0039】
一方、S390で肯定判定を行ったならば、CPU61は、全ての対象領域の画像を撮像したか否かを判定する(S410)。具体的には、自機(そのCPU61が設けられた制御装置60を備える部品実装機10)で実装する部品(対象部品)に対応する対象領域の全てについて、S310~S400の処理を実行したならば、CPU61は肯定判定を行い、そうでないならば、CPU61は否定判定を行う。S410で否定判定を行ったならば、CPU61は、再びS310に戻り、次の対象部品及び対象領域を決定してそれ以降の処理を実行する。一方、S410で肯定判定を行ったならば、CPU61は、基板Sを下流側に搬送する(S420)。具体的には、CPU61は、基板搬送装置22を制御して、基板Sを下流側に送り出す。続いて、CPU61は、所定数の基板Sの画像を撮像したか否かを判定する(S430)。具体的には、CPU61は、所定数(例えば、10枚)の基板Sに対して、S300~S420までの処理を行ったならば、CPU61は肯定判定を行い、そうでないならば、CPU61は否定判定を行う。S430で否定判定を行ったならば、CPU61は再びS300に戻る。
【0040】
一方、S430で肯定判定を行ったならば、CPU61は、基板Sのうち1つの対象領域を決定し(S440)、その対象領域について第1照明条件での類似度と第2照明条件での類似度とを算出する(S450)。第1照明条件での類似度は、対象領域(S440で決定した対象領域)における第1照明条件での部品なし画像の識別用特徴量データと、その対象領域における第1照明条件での部品あり画像の識別用特徴量データとの類似度である。第2照明条件での類似度は、その対象領域における第2照明条件での部品なし画像の識別用特徴量データと、その対象領域における第2照明条件での部品あり画像の識別用特徴量データとの類似度である。
【0041】
特徴量データは、例えば画像に含まれる画素の輝度とする。同じ部品を同じ位置に実装して撮像したとしても、得られた画像は実装のずれやはんだの塗布状況によって特徴量データはばらつくことがある。そのため、対象領域における各照明条件での部品なし画像と部品あり画像を1つずつ用いるのではなく、所定数ずつ用いる。そして、所定数の第1照明条件での部品なし画像の特徴量データから、第1照明条件での部品なし画像の識別用特徴量データを求め、所定数の第1照明条件での部品あり画像の特徴量データから、第1照明条件での部品あり画像の識別用特徴量データを求める。識別用特徴量データは、例えば所定数の特徴量データの平均値としてもよいし、中央値としてもよい。第2照明条件での部品なし画像及び部品あり画像の識別用特徴量データも同様にして求める。このように識別用特徴両データを求めることにより、特徴量データのばらつきの影響を抑えることができる。画像のサイズが900画素の場合には、特徴量データは900次元になるが、ここでは、便宜上、2次元として説明する。第1照明条件での類似度は、対象領域における第1照明条件での部品なし画像の識別用特徴量データと、対象領域における第1照明条件での部品あり画像の識別用特徴量データとを2次元座標に点として表示したときの2点間距離の長さで表すことができる。類似度は、2点間距離が長いほど低く、短いほど高い。
【0042】
図13は、類似度の説明図である。
図13Aでは、第1照明条件での類似度は、第1照明条件で対象領域を撮像した部品なし画像の識別用特徴量データC10と、第1照明条件で同じ対象領域を撮像した部品あり画像の識別用特徴量データC11とを結んだ線分L1で表される。
図13Bでは、第2照明条件での類似度は、第2照明条件で同じ対象領域を撮像した部品なし画像の識別用特徴量データC20と、第2照明条件で同じ対象領域を撮像した部品あり画像の識別用特徴量データC21とを結んだ線分L2で表される。各識別用特徴量データC10,C20を囲う円は、所定数の部品なし画像の特徴量データのばらつきを示し、各識別用特徴量データC11,C21を囲う円は、所定数の部品あり画像の特徴量データのばらつきを示す。
【0043】
続いて、CPU61は、第1照明条件での類似度と第2照明条件での類似度のうち、類似度の低い方の照明条件をその対象領域の検査用照明条件に設定し、ストレージの検査用データ63aに書き込む(S460)。例えば、
図13の場合、第1照明条件での類似度は線分L1で表され、第2照明条件での類似度は線分L2で表され、L1<L2のため、第2照明条件での類似度の方が低い。そのため、第2照明条件がその対象領域の検査用照明条件に設定される。
【0044】
続いて、CPU61は、基板Sの全ての対象領域について検査用照明条件の設定を行ったか否かを判定し(S470)、否定判定だったならば、S440に戻って次の対象領域を決定したあとS450~S470の処理を実行する。一方、S470で肯定判定だったならば、CPU61は、本ルーチンを終了する。これにより、検査用データ63aにおいて、検査領域に対応する検査用照明条件の欄がすべて埋められる。
【0045】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の部品実装機10が本開示の部品実装機に相当し、マークカメラ50に設けられた照明部51が照明部に相当し、マークカメラ50に設けられたカメラ本体58が撮像部に相当し、制御装置60が制御部に相当する。
【0046】
以上詳述した部品実装機10では、類似度に基づいて検査用照明条件を設定するにあたり、複数の異なる照明条件のうち、類似度が最も低い照明条件を検査用照明条件に設定する。類似度が高い照明条件を検査用照明条件に設定したとすると、検査用画像が部品あり状態の画像に近いのか部品なし状態の画像に近いのかの判定を精度よく行うことができないことがある。ここでは、類似度が最も低い照明条件を検査用照明条件に設定するため、部品有無検査を精度よく行うことができる。また、検査用照明条件をオペレータが設定する必要がないため、オペレータに作業負担がかかることもない。そのため、適切な検査用照明条件を容易に設定することができる。
【0047】
また、部品実装機10では、照明部51は、側射照明55及び落射照明53を有しており、照明条件は、側射照明55のみで基板Sに光を照射する第1照明条件及び落射照明53のみで基板Sに光を照射する第2照明条件の2つを含んでいる。そのため、側射照明55及び落射照明53を使い分けることにより適切な検査用照明条件を設定することができる。
【0048】
更に、部品実装機10では、部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像は、マークカメラ50のカメラ本体58で撮像した画像を同一のサイズに圧縮した画像であり、類似度は、部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像のそれぞれから抽出した特徴量データに基づいて算出される。そのため、部品なし状態の画像と部品あり状態の画像との類似度を算出し易い。そして、部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像のサイズは、対象部品の大きさに関わらず一定のサイズである。そのため、部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像の予め定めた位置から特徴量データを抽出して類似度を算出しうるため、類似度をより算出し易い。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0050】
上述した実施形態では、検査用照明条件は、複数の異なる照明条件のうち、部品なし状態の画像と部品あり状態の画像との類似度が最も低いものに設定されたがこれに限定されない。例えば、検査用照明条件は、部品なし状態の画像と部品あり状態の画像との類似度が、所定の類似度よりも低い照明条件に設定されてもよい。この場合、所定の類似度は、例えば、以下のようなものである。すなわち、所定の類似度は、
図13と同様に、部品なし状態の画像の識別用特徴量データと部品あり状態の画像の識別用特徴量データとを2次元座標に点として表示したとき、類似度を部品なし状態の識別用特徴量データと部品あり状態の識別用特徴量データとを結ぶ線分Ltの長さで表すことができる。線分Ltの長さは、部品なし状態の画像の特徴量データがばらつく範囲と、部品あり状態の画像の特徴量データがばらつく範囲と、が重複しないような長さである。部品なし状態の画像と部品あり状態の画像との類似度が、所定の類似度よりも低くなる照明条件が複数ある場合には、所定の類似度よりも低くなる照明条件のうち類似度が最も低い照明条件を検査用照明条件に設定してもよい。
【0051】
上述した実施形態では、検査前処理において、第1照明条件及び第2照明条件で基板Sに対して光を照射して部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像を取得したがこれに限定されない。例えば、照明条件として側射照明55と落射照明53の両方を点灯する第3条件が選択可能な場合、第1照明条件及び第3照明条件で基板Sに対して光を照射して部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像を取得してもよいし、第2照明条件及び第3照明条件で基板Sに対して光を照射して部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像を取得してもよいし、第1照明条件、第2照明条件及び第3照明条件で基板Sに対して光を照射して部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像を取得してもよい。
【0052】
上述した実施形態では、部品有無検査を実行したが、これに代えて部品位置検査を実行してもよい。部品位置検査では、S160で部品ありと判定し、S170で「部品あり」を記憶したあと、その部品の位置ずれ量を算出し、位置ずれ量が許容範囲内か否かを判定し、肯定判定であれば実装状態が良好と判定し、否定判定であれば実装状態が不良と判定する。
【0053】
上述した実施形態では、第1照明条件及び第2照明条件において、照明強度は一定としたがこれに限定されない。例えば、照明条件は、照明強度の高照明強度条件及び照明強度の低い低照明強度条件を含むものとしてもよい。こうすれば、照明強度を変えることにより適切な検査用照明条件を設定することができる。
【0054】
上述した実施形態において、照明条件は、各LED53a~53c,55a~55cの中から選択された1つ以上のLEDを使用する複数の条件を含むものとしてもよい。こうすれば、光源の色を変えることにより適切な検査用照明条件を設定することができる。この場合、例えば、第1照明条件では側射照明55の赤色LED55a及び落射照明53の赤色LED53aを点灯したり、第2照明条件では側射照明55の緑色LED55b及び落射照明53の緑色LED53bを点灯したり、第3照明条件では側射照明55の青色LED55c及び落射照明53の青色LED53cを点灯したりしてもよい。
【0055】
上述した実施形態において、識別用特徴量データは、所定数の特徴量データの代表値(例えば、平均値や中央値)としたがこれに限定されない。例えば、識別用特徴量データは、1つ画像から抽出される特徴量データとしてもよい。
【0056】
上述した実施形態において、照明部51は、赤色LED53a,55a、緑色LED53b,55b及び青色LED53c、55cを備えていたがこれに限定されない。例えば、白色のLEDを備えていてもよいし、他の色のLEDを備えていてもよい。
【0057】
上述した実施形態において、類似度は、部品なし状態の画像の識別用特徴量データと部品あり状態の画像の識別用特徴量データと、を2次元座標に点として表示したとき、2点間の距離で表したがこれに限定されない。例えば、類似度は、画素ごとに部品なし状態の画像の識別用特徴量データと部品あり状態の画像の識別用特徴量データとの差の絶対値を算出し、差の絶対値を全画素分だけ足し合わせて得た合計値で表してもよい。この場合、類似度は、合計値が大きいほど低く、小さいほど高い。あるいは、類似度は、画素ごとに部品なし状態の画像の識別用特徴量データと部品あり状態の画像の識別用特徴量データとの差を2乗した値を算出し、差を2乗した値を全画素分だけ足し合わせて得た合計値で表してもよい。この場合、類似度は、合計値が大きいほど低く、小さいほど高い。あるいは、類似度は、部品なし状態の画像の識別用特徴量データと部品あり状態の画像の識別用特徴量データとの相関値で表してもよい。
【0058】
開示の部品実装機は、以下のように構成してもよい。
【0059】
本開示の部品実装機において、前記照明部は、側射照明及び落射照明を有していてもよく、前記照明条件は、前記側射照明のみで前記基板に光を照射する第1照明条件、前記落射照明のみで前記基板に光を照射する第2照明条件及び前記側射照明と前記落射照明の両方で前記基板に光を照射する第3照明条件のうちの少なくとも2つを含むものとしてもよい。こうすれば、側射照明55及び落射照明53を使い分けることにより適切な検査用照明条件を設定することができる。
【0060】
本開示の部品実装機において、前記照明部は照明強度を変更可能であってもよく、前記照明条件は、照明強度の高い条件及び照明強度の低い条件を含むものとしてもよい。こうすれば、照明強度を変えることにより適切な検査用照明条件を設定することができる。
【0061】
本開示の部品実装機において、前記照明部は、色の異なる光源を有していてもよく、前記照明条件は、前記照明部が有する前記光源の中から選択された1つ以上の前記光源を使用する複数の条件を含むものとしてもよい。こうすれば、光源の色を変えることにより適切な検査用照明条件を設定することができる。この場合、色の異なる前記光源は、赤色光源、緑色光源及び青色光源としてもよい。
【0062】
本開示の部品実装機において、前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像は、前記撮像部で撮像した画像を同一のサイズに圧縮した画像であってもよく、前記類似度は、前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像のそれぞれから抽出した特徴量に基づいて算出してもよい。こうすれば、部品なし状態の画像と部品あり状態の画像との類似度を算出し易くなる。この場合、前記部品なし状態の画像及び前記部品あり状態の画像のサイズは、前記対象部品の大きさに関わらず一定のサイズであってもよい。こうすれば、例えば、部品なし状態の画像及び部品あり状態の画像の予め定めた位置から特徴量を抽出して類似度を算出しうる。そのため、類似度をより算出し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、部品実装機の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 部品実装機、11 基台、12 筐体、22 基板搬送装置、23 パーツカメラ、24 ノズルステーション、30 ヘッド移動装置、31 X軸ガイドレール、32 X軸スライダ、33 X軸アクチュエータ、35 Y軸ガイドレール、36 Y軸スライダ、37 Y軸アクチュエータ、40 ヘッド、41 Z軸アクチュエータ、42 θ軸アクチュエータ、45 吸着ノズル、50 マークカメラ、51 照明部、52 ハウジング、53 落射照明、53a,55a 赤色LED、53b,55b 緑色LED、53c,55c 青色LED、53d,55d 支持板、54 ハーフミラー、55 側射照明、56 拡散板、57 照明コントローラ、58 カメラ本体、60 制御装置、61 CPU、62 ROM、63 ストレージ、63a 検査用データ、64 RAM、65 入出力インタフェース、66 バス、70 フィーダ、71 リール、72 テープ、73 収容凹部、74a 部品供給位置、S 基板。