(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】支持体装置の製造方法、および支持体装置
(51)【国際特許分類】
D21F 3/02 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
D21F3/02 Z
(21)【出願番号】P 2023534370
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(86)【国際出願番号】 EP2021082582
(87)【国際公開番号】W WO2022122369
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-07-27
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】513102187
【氏名又は名称】バルメット、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VALMET AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ、リーンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス、ベリ
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ、ブラットストロム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター、ヨーケボーン
(72)【発明者】
【氏名】アダム、ノルディーン
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-279976(JP,A)
【文献】特開2003-049379(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02808442(EP,A1)
【文献】特表2015-519484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置を製造する方法であって、
-ベース体(51)を提供すること(101)であって、第1の方向(D)への前記ベース体の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室(18)を含むベース体(51)を提供することと、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を含む支持体(52)を提供すること(102)と、
-装着構造(53)を提供すること(103)と、
-前記ベース体(51)に対する前記支持体(52)の移動が防止されるように、前記装着構造(53)を適用することによって前記支持体(52)を前記ベース体(51)に取り付けること(104)と
を備え、
前記支持体(52)は、前記作業面(15)が前記ベース体(51)とは反対に向くように前記ベース体(51)に取り付けられ
、
前記装着構造(53)は接着剤を含み、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に前記取り付けること(104)は、前記接着剤を前記ベース体(51)および前記支持体(52)の少なくとも一方に塗布することと、前記接着剤を介して前記ベース体(51)および前記支持体(52)を互いに接触させることとを含む、方法。
【請求項2】
前記装着構造(53)は、前記支持体(52)に固定して取り付けられる第1の部分(536)と、前記ベース体(51)に固定して取り付けられる第2の部分(535)とを含み、さらに、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に前記取り付けること(104)は、前記第1の部分(536)を前記第2の部分(535)に取り付けるために、前記第1の部分(536)と前記第2の部分(535)とを互いに係合させることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
支持体と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置を製造する方法であって、
-ベース体(51)を提供すること(101)であって、第1の方向(D)への前記ベース体の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室(18)を含むベース体(51)を提供することと、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を含む支持体(52)を提供すること(102)と、
-装着構造(53)を提供すること(103)と、
-前記ベース体(51)に対する前記支持体(52)の移動が防止されるように、前記装着構造(53)を適用することによって前記支持体(52)を前記ベース体(51)に取り付けること(104)と
を備え、
前記支持体(52)は、前記作業面(15)が前記ベース体(51)とは反対に向くように前記ベース体(51)に取り付けられ、
前記装着構造(53)は、前記支持体(52)に固定して取り付けられる第1の部分(536)と、前記ベース体(51)に固定して取り付けられる第2の部分(535)とを含み、さらに、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に前記取り付けること(104)は、前記第1の部分(536)を前記第2の部分(535)に取り付けるために、前記第1の部分(536)と前記第2の部分(535)とを互いに係合させることを含む、方法。
【請求項4】
前記装着構造(53)は、互いに距離(d)を置いて前記ベース体(51)から前記第1の方向(D)に延在するように構成された少なくとも2つの側部(531、532)を含み、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に前記取り付けること(104)は、前記ベース体(51)に載置するために前記支持体(52)を前記少なくとも2つの側部(531、532)の間に挿入することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
支持体と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置を製造する方法であって、
-ベース体(51)を提供すること(101)であって、第1の方向(D)への前記ベース体の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室(18)を含むベース体(51)を提供することと、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を含む支持体(52)を提供すること(102)と、
-装着構造(53)を提供すること(103)と、
-前記ベース体(51)に対する前記支持体(52)の移動が防止されるように、前記装着構造(53)を適用することによって前記支持体(52)を前記ベース体(51)に取り付けること(104)と
を備え、
前記支持体(52)は、前記作業面(15)が前記ベース体(51)とは反対に向くように前記ベース体(51)に取り付けられ、
前記装着構造(53)は、互いに距離(d)を置いて前記ベース体(51)から前記第1の方向(D)に延在するように構成された少なくとも2つの側部(531、532)を含み、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に前記取り付けること(104)は、前記ベース体(51)に載置するために前記支持体(52)を前記少なくとも2つの側部(531、532)の間に挿入することを含む、方法。
【請求項6】
前記装着構造(53)は、ベース体係合部および支持体係合部を有する別個の装着体を含み、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に前記取り付けること(104)は、前記ベース体(51)を前記ベース体係合部と係合させるとともに前記支持体(52)を前記支持体係合部と係合させて、それらを互いに対して固定することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記装着構造を係合解除することと、前記支持体(52)を前記ベース体(51)から除去すること(105)とをさらに備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え
、
前記装着構造(53)は、前記ベース体(51)および前記支持体(52)が互いに接着するように、前記ベース体(51)の表面および/または前記支持体(52)の表面に配置された接着剤を含む、支持体装置。
【請求項9】
前記装着構造(53)は、前記支持体(52)に固定して取り付けられる第1の部分(536)と、前記ベース体(51)に固定して取り付けられる第2の部分(535)とを含み、さらに、前記装着構造(53)の前記第1の部分(536)および前記第2の部分(535)は、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に取り付けるための装着状態で前記第1の部分(536)を前記第2の部分(535)に締結することによって、互いに係合するように構成される、請求項
8に記載の支持体装置。
【請求項10】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記装着構造(53)は、前記支持体(52)に固定して取り付けられる第1の部分(536)と、前記ベース体(51)に固定して取り付けられる第2の部分(535)とを含み、さらに、前記装着構造(53)の前記第1の部分(536)および前記第2の部分(535)は、前記支持体(52)を前記ベース体(51)に取り付けるための装着状態で前記第1の部分(536)を前記第2の部分(535)に締結することによって、互いに係合するように構成される、支持体装置。
【請求項11】
前記第1の部分(536)は前記支持体(52)と一体化され、および/または前記第2の部分(535)は前記ベース体(51)と一体化される、請求項9
または10に記載の支持体装置。
【請求項12】
前記第1の部分(536)および前記第2の部分(535)の一方はオス型部分を含み、前記第1の部分および前記第2の部分の他方はメス型部分を含み、前記オス型およびメス型部分は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように互いに嵌合するように構成される、請求項9から
11のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項13】
前記第1の部分(536)および前記第2の部分(535)の一方は内ねじを含み、前記第1の部分および前記第2の部分の他方は外ねじを含み、前記内ねじおよび外ねじは、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように協働するように構成される、請求項9から
11のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項14】
前記第1の部分(536)および前記第2の部分(535)の一方はピンを含み、前記第1の部分(536)および前記第2の部分(535)の他方は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように、前記ピンを受け入れるための受入開口を含む、請求項9から
11のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項15】
前記装着構造(53)は、前記ベース体(51)に固定して取り付けられる把持部材を含み、前記把持部材は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように前記支持体(52)の少なくとも一部を囲むように構成される、請求項
8に記載の支持体装置。
【請求項16】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記装着構造(53)は、前記ベース体(51)に固定して取り付けられる把持部材を含み、前記把持部材は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように前記支持体(52)の少なくとも一部を囲むように構成される、支持体装置。
【請求項17】
前記装着構造(53)は、前記ベース体(51)から前記第1の方向(D)に互いに距離を置いて延在するように構成された少なくとも2つの側部を含み、前記支持体(52)は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように、前記少なくとも2つの側部の間に挿入されるように構成される、請求項
8に記載の支持体装置。
【請求項18】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記装着構造(53)は、前記ベース体(51)から前記第1の方向(D)に互いに距離を置いて延在するように構成された少なくとも2つの側部を含み、前記支持体(52)は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)に取り付けられるように、前記少なくとも2つの側部の間に挿入されるように構成される、支持体装置。
【請求項19】
前記装着構造(53)は、前記ベース体(51)と係合するように構成されたベース体係合部と、前記ベース体(51)に前記支持体(52)を取り付けるために前記支持体(52)と係合するように構成された支持体係合部とを含む別個の装着体である、請求項
8に記載の支持体装置。
【請求項20】
前記装着構造(53)は、前記支持体(52)が前記ベース体(51)から除去され得るように、取り外し可能に取り付けられるように構成される、請求項9
、10および12から19のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項21】
前記支持体(52)は、第1の材料を含み、前記第1の材料は、95以下のショアA硬度を有する材料である、請求項
8から20のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項22】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記支持体(52)は、第1の材料を含み、前記第1の材料は、95以下のショアA硬度を有する材料である、支持体装置。
【請求項23】
前記ベース体(51)は、90以下のショアA硬度を有する、請求項
8から22のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項24】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記ベース体(51)は、90以下のショアA硬度を有する、支持体装置。
【請求項25】
前記支持体(52)は、前記ベース体(51)よりも硬い、請求項
8から24のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項26】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記支持体(52)は、前記ベース体(51)よりも硬い、支持体装置。
【請求項27】
前記支持体(52)および前記ベース体(51)は、異なる材料を含む、請求項
21から26のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項28】
前記支持体(52)および前記ベース体(51)は、同じ材料を含む、請求項
21から27のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項29】
前記支持体(52)および前記ベース体(51)の少なくとも一方は、ポリマーを含む、請求項
8から28のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項30】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記支持体(52)および前記ベース体(51)の少なくとも一方は、ポリマーを含む、支持体装置。
【請求項31】
前記ベース体(51)は、前記少なくとも1つの圧力室(18)を有するベースセクションと、前記第1の方向に前記ベースセクション上に配置された上部セクションとを含
む、請求項
8から30のいずれか一項に記載の支持体装置。
【請求項32】
支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機のための支持体装置であって、
-ベース体(51)であって、第1の方向(D)への前記ベース体(51)の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体(51)と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面(15)を有する支持体(52)であって、前記支持体は、前記作業面(15)が前記第1の方向(D)に向くように前記ベース体(51)上に配置される、支持体(52)と、
-前記支持体(52)および前記ベース体(51)と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造(53)と
を備え、
前記ベース体(51)は、前記少なくとも1つの圧力室(18)を有するベースセクションと、前記第1の方向に前記ベースセクション上に配置された上部セクションとを含む、支持体装置。
【請求項33】
パルプから紙を製造するための抄紙機であって、前記抄紙機は、請求項
8から32のいずれか一項に記載の少なくとも1つの支持体装置を備える、抄紙機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する器具のための支持体装置を製造するための方法に関する。本発明はまた、支持体装置および支持体装置のための支持体に関する。拡張ニップを有する装置は、好適には抄紙機である。
【背景技術】
【0002】
製紙機械では、拡張ニッププレスは、一般に、新しく形成された湿潤繊維ウェブから水を押し出すために使用されるが、拡張ニップはまた、製紙機械における他の目的、例えばカレンダ加工のために使用されてもよい。拡張ニッププレスは、最初に板紙などの重量グレードのために導入されたが、印刷紙などのより軽量のグレードのために、さらにはティッシュペーパーのためにも使用されるようになってきている。ティシュペーパーを製造する場合、拡張ニッププレスは、拡張ニップロールと、拡張ニップロールの対向ロールとして作用するヤンキー乾燥シリンダとによって形成されることが多い。
【0003】
特にティッシュペーパーを製造するための機械において、拡張ニッププレスは、典型的には、支持体を対向ロールに向かって第1の方向に押すように作用する、シューの内部または下方の加圧室によって対向ロールに押し付けられる作業面を有する支持体を含む拡張ニップロールによって形成される。
【0004】
当技術分野では、典型的には金属材料から作られた剛性シューが知られているが、所望に応じて拡張ニップを調整し、適切な圧力プロファイルを達成するために、弾性的に変形可能なより柔軟でより可撓性の支持体を使用することが特に有利である。
【0005】
可撓性タイプの支持体は、例えば米国特許第9,181,655号および欧州特許第2013412号によって知られているが、それらの製造は一般に複雑であり、異なる特性を有し、所望のように支持体を形成するために慎重な監視を必要とする複数の材料を使用する多段階プロセスを伴う。また、長期間の使用後に支持体を交換するには、抄紙機の運転を中断し、高価な交換が必要である。支持体を修理および/または交換するのに必要な時間は、抄紙機をアイドリング状態にする必要があるため、特に費用がかかる。
【0006】
したがって、この分野における改善が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第9,181,655号
【文献】欧州特許第2013412号
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上述の問題を排除すること、または少なくとも最小限に抑えることである。これは、添付の独立請求項による支持体装置、支持体装置の製造方法、支持体、および支持体装置の支持体の交換方法によって達成される。
【0009】
本発明による方法は、支持体と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する器具のための支持体装置を製造することに関し、本方法は、
-第1の方向へのベース体の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を含むベース体を提供することと、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面を含む支持体を提供することと、
-装着構造を提供することと、
-ベース体に対する支持体の移動が防止されるように、装着構造を適用することによって支持体をベース体に装着することとを備え、
支持体は、作業面がベース体とは反対に向くようにベース体に装着される。
【0010】
ベース体を支持体とは別個に設けることによって、これらの本体の各々を別個のプロセスで製造し、支持体装置が形成されるように装着構造を使用して一緒に装着することができる。これは、別個のプロセスにおけるベース体および支持体の製造が、既知の複雑な製造プロセスにおいてそれらを互いに接合するよりも容易かつ効率的であるため、既知の従来技術の解決策を超える大きな利点を提供する。装着構造を設けることにより、支持体装置は、拡張ニッププレスのための支持体装置の交換を必要とする抄紙機の近くの現場であっても、必要に応じて既存の構成要素の組合せによって製造することができる。本発明による製造方法は、従来技術の方法よりも堅牢であり、製造方法全体をわずかに変更するだけで、ベース体および支持体の異なる設計の組合せを可能にする。
【0011】
好適には、装着構造は接着剤を含み、支持体をベース体に装着することは、接着剤をベース体および支持体の少なくとも一方に塗布することと、接着剤を介してベース体および支持体を互いに接触させることとを含む。これにより、支持体が接着剤によってベース体に固定され、ベース体に対する支持体の移動が防止される。これは、支持体装置を装着する容易で便利な方法である。また、装着構造は、特に確実な締結を達成するために接着剤と組み合わされる他の締結手段を含んでもよいことに特に留意されたい。
【0012】
装着構造はまた、支持体に固定して取り付けられる第1の部分と、ベース体に固定して取り付けられる第2の部分とを含んでもよい。支持体をベース体に装着することは、第1の部分と第2の部分とを互いに係合させることを含む。これにより、支持体をベース体に容易かつ確実に装着することができる。第1の部分および第2の部分がそれぞれ支持体およびベース体に既に締結されていることによって、装着構造は、支持体装置の時間効率的で安定した装着を達成することができる。いくつかの実施形態では、第1の部分および/または第2の部分は、支持体および/またはベース体に成形されることによって固定的に取り付けられてもよいが、他の実施形態では、第1および第2の部分の少なくとも一方は、支持体またはベース体にねじ止めまたはクランプ締めされるなどの他の手段によって締結されてもよい。
【0013】
代替的に、装着構造は、互いに距離を置いてベース体から第1の方向に延在するように構成された少なくとも2つの側部を含む。その場合、支持体をベース体に装着することは、ベース体に載置するために支持体を少なくとも2つの側部の間に挿入することを含む。それにより、支持体は、支持体装置の時間効率的で信頼性の高い装着を提供するために、少なくとも2つの側部に対する摩擦によって定位置に保持され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの側部は、支持体装置の使用中にウェブまたは紙が移動する方向に対して横方向のベース体の端部にのみ存在する。他の実施形態では、少なくとも2つの側部は、代わりに、作業面のみが覆われないままであるように、支持体を部分的にまたは完全に囲むように配置することができる。したがって、側部の数およびそれらの分布は、拡張ニッププレスが装着された抄紙機の特性などの要因に応じて、および/または必要に応じて支持体および/またはベース体の特性に応じて変化し得る。
【0014】
好適には、装着構造は、ベース体係合部および支持体係合部を有する別個の装着体を含むことができ、その結果、ベース体に支持体を装着することは、ベース体をベース体係合部と係合させるとともに支持体を支持体係合部と係合させて、それらを互いに対して固定することを含む。これにより、装着構造は、別個の構成要素として提供され、装着中にベース体および支持体と組み合わされてもよい。ベース体および支持体は、装着構造が両者と相互作用することができる限り、互いに嵌合するように適合されることなく別々に製造することができるので、これは特に有益である。また、いくつかの用途では、支持体は、装着構造がそのような特性にどのように影響を及ぼし得るかを考慮する必要なく、特定の抄紙機または使用分野に最適な特性を有するように特に設計および製造され得るので、ベース体および/または支持体における装着構造の部品の存在を回避することが有利である。
【0015】
好適には、装着構造は、支持体をベース体から除去するために係合解除されてもよい。これは、損傷したおよび/または摩耗した支持体を交換することができるように、支持体を解放可能に配置することを可能にする際に特に有益である。また、抄紙機が動作パラメータの1つのセットから別のセットに切り替えられる状況では、同じベース体が新しい動作パラメータとともに使用され得るように、現場で支持体装置内の支持体を除去して交換することが可能になる。逆に、装着構造が係合解除可能であることに起因して支持体を保持しながら、損傷または摩耗したベース体を交換することが可能である。
【0016】
本発明はまた、支持体装置と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する器具のための支持体装置を備え、支持体装置は、
-ベース体であって、第1の方向へのベース体の制御された膨張のために加圧されるように構成された少なくとも1つの圧力室を有するベース体と、
-対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面を有する支持体であって、支持体は、作業面が第1の方向に向くようにベース体上に配置される、支持体と、
-支持体およびベース体と係合して、それらを互いに対して固定するように構成された装着構造と
を備える。
【0017】
これは、ベース体および支持体が互いに独立して製造されることを可能にし、それらと係合してそれらを固定するために設けられた装着構造によって支持体装置を形成するという重要な利点を提供する。上述したように、これは、ベース体および支持体が装着される前にベース体および支持体の異なる製造プロセスおよび場合によっては異なる製造場所を可能にすることと、支持体装置を抄紙機で使用される場所に装着することとの両方において有利である。支持体装置の取り扱いおよび使用は、このようにしてより汎用性および費用効率が高くなる。
【0018】
好適には、装着構造は、ベース体および支持体が互いに接着するように、ベース体の表面および/または支持体の表面に配置された接着剤を含む。
【0019】
また、装着構造は、支持体に固定して取り付けられる第1の部分と、ベース体に固定して取り付けられる第2の部分とを含んでもよく、さらに、装着構造の第1の部分および第2の部分は、支持体をベース体に装着するための装着状態で互いに係合するように構成される。
【0020】
好適には、第1の部分は支持体と一体化されてもよく、および/または第2の部分はベース体と一体化される。これは、第1の部分および/または第2の部分の望ましくない除去を防止するのに有益であり、支持体装置の確実で信頼性の高い装着を提供する。
【0021】
また、第1の部分および第2の部分の一方はオス型部分を含むことができ、第1の部分および第2の部分の他方はメス型部分を含むことができ、さらに、オス型およびメス型部分は、支持体がベース体に装着されるように互いに嵌合するように構成される。これにより、支持体をベース体に対して固定する確実な装着が達成される。
【0022】
また、第1の部分および第2の部分の一方は内ねじ(inner thread)を含んでもよく、第1の部分および第2の部分の他方は外ねじ(outer thread)を含んでもよい。内ねじおよび外ねじは、支持体がベース体に装着されるように協働するように構成される。これにより、安定した確実な装着が可能となり、支持体のベース体からの不用意な除去が防止される。
【0023】
代替的に、第1の部分および第2の部分の一方はピンを含んでもよく、第1の部分および第2の部分の他方は、支持体がベース体に装着されるように、ピンを受け入れるための受入開口を含んでもよい。これにより、安定した確実な装着も達成される。
【0024】
また、装着構造は、ベース体に固定して取り付けられる把持部材を含んでもよく、把持部材は、支持体がベース体に装着されるように支持体の少なくとも一部を囲むように構成される。これにより、支持体をベース体に当てて確実に保持することができる。一実施形態では、把持部材は、支持体をベース体に装着するために支持体が少なくとも2つの側部の間に挿入されるように構成されるように、ベース体から第1の方向に互いに距離を置いて延在するように構成された少なくとも2つの側部の形態であってもよい。少なくとも2つの側部は、ベース体上に横方向に配置された対向する側部として設けられてもよいが、代替的に、側部は、横方向および縦方向の両側で支持体を囲むように配置される。
【0025】
好適には、装着構造は、ベース体と係合するように構成されたベース体係合部と、ベース体に支持体を装着するために支持体と係合するように構成された支持体係合部とを含む別個の装着体であってもよい。これは、支持体およびベース体を互いに独立して製造することを可能にし、装着構造が製造中にベース体または支持体の特性を妨げる危険性がないため、特に有益である。このように、支持体とベース体とは、装着構造が支持体をベース体に装着することが可能である限り、装着構造を考慮することを必要とせずに作成され得る。
【0026】
好適には、装着構造は、支持体がベース体から除去され得るように、取り外し可能に装着されるように構成される。これにより、摩耗または損傷したときに、支持体および/またはベース体を必要に応じて除去および交換することが可能になる。
【0027】
また、支持体は、第1の材料を含んでもよく、前記第1の材料は、95以下のショアA硬度を有する材料である。これにより、弾性的に変形可能な支持体が達成され、それにより、細長いニップが所望のように実現され得る。
【0028】
好適には、ベース体は、90以下のショアA硬度を有する第2の材料を含む。これにより、好適に弾性的なベースが達成され、それにより、細長いニップの所望の特性を達成するために、ベース体が拡張され、支持体が第1の方向に連続的に押圧され得る。
【0029】
有利には、支持体は、ベース体よりも硬くてもよく、すなわち、ベース体のショアA硬度よりも大きい支持体のショアA硬度を有してもよい。これは、ベース体が拡張することを可能にすると同時に、拡張ニップへの作業面の適切な押圧を提供するのに有利である。
【0030】
いくつかの実施形態では、支持体およびベース体は異なる材料を含む。それにより、安定した信頼性の高いベース体は、所望に応じてベース体の拡張を可能にするために可撓性ベース体を有すると同時に、細長いニップ内に弾性体を有するという利点を達成するために、可撓性の弾性支持体と組み合わせることができる。1つの組み合わされたベース体/支持体構成要素を製造するときに異なる材料の組合せがかなりの困難を伴い、製造の慎重な制御を必要とするため、支持体をベース体とは別個に製造することができることも非常に有益である。したがって、ベース体および支持体を製造するときにそれらを考慮する必要なく両方の材料の利点を達成することができることは、本発明の主な利点の1つである。
【0031】
いくつかの実施形態では、支持体およびベース体は同じ材料を含み得る。その場合、これは、弾性変形可能および非弾性の種類で提供される材料であってもよく、それにより、ベース体および所望のより安定した支持体の所望の可撓性が達成され得る。代替的に、支持体およびベース体は、類似の特性を有してもよく、または互いにほとんど異なっていなくてもよい。これらの目的に適した1つの材料はポリウレタンであり、これは剛性および弾性に関して所望の特性を有するように適合させることができ、その結果、より柔軟な本体およびより安定な本体の両方を同じ材料から作製することができるが、異なる硬度を有することができる。支持体とは別個にベース体を製造することは、同じ材料の異なるバージョンを使用して1つの組み合わされたベース体/支持体構成要素を製造することに関連するかなりの困難があるため、やはり非常に有益である。
【0032】
好適には、ベース体および支持体の少なくとも一方は、ポリマーを含む。それにより、支持体および/またはベース体として機能する所望の特性を有する材料を使用することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ベース体は、少なくとも1つの圧力室を有するベースセクションと、第1の方向にベースセクション上に配置された上部セクションとを含み、上部セクションは、ベースセクションに好ましくは取り外し可能に取り付けられる。これは、互いに別々に製造されてもよく、支持体を装着するために装着構造を適用する前にベース体を形成するように装着されてもよく、代替的にこの目的のために装着構造を使用して装着されてもよい2つの異なる部分の組合せとしてベース体を提供する。
【0034】
本発明はまた、支持体と対抗圧力部材との間に形成された拡張ニップを有する抄紙機において本発明による支持体装置の支持体を交換するための方法に関する。この方法は、支持体装置の装着構造を係合解除することと、支持体をベース体から除去することと、器具の対抗圧力部材を用いて拡張ニップを形成するための作業面を含む追加支持体を提供することと、装着構造を係合させることによって追加体を支持体装置のベース体に装着することとを備える。これにより、支持体は、損傷または摩耗したときに交換することができる。これは、支持体の交換が現場で行われ得るため、保守および修理のためのより短いダウンタイムを可能にし、また、依然として良好な作業順序の部品を保持することができるため、費用効率の高い支持体装置を提供する。
【0035】
好適には、この方法はまた、追加支持体をベース体に装着する前に、装着構造の少なくとも一部を交換することを備える。これは、装着構造自体が損傷または摩耗する可能性があるため、有利である。また、装着構造が接着剤を含む場合、使用済み接着剤を除去し、新しい接着剤と交換することができる。
【0036】
本発明はまた、パルプから紙を製造するための抄紙機に関し、抄紙機は、本発明による少なくとも1つの支持体装置を備える。
【0037】
本発明の多くのさらなる利点および利点は、以下の詳細な説明を考慮して当業者によって容易に理解されるであろう。
【0038】
次に、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明による支持体装置を備える抄紙機の概略図である。
【
図2】支持体と対抗圧力部材との間に拡張ニップが形成された、
図1の抄紙機の拡張ニッププレスの概略断面図である。
【
図3】サポート内に配置された本発明による支持体装置の断面図である。
【
図4a】本発明の第1の実施形態の概略斜視図である。
【
図4b】本発明の装着状態の第1の実施形態の概略斜視図である。
【
図5a】本発明の第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図5b】本発明の装着状態の第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図6a】本発明の第3の実施形態の概略斜視図である。
【
図6b】本発明の装着状態の第3の実施形態の概略斜視図である。
【
図8】支持体装置の支持体を交換する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
すべての図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、それぞれの実施形態を解明するために必要な部分のみを示しているが、他の部分は省略または単に示唆されてもよい。複数の図面に現れる任意の参照番号は、別段の指示がない限り、図面全体を通して同じ物体または特徴を指す。
【0041】
本明細書で「抄紙機」に言及する場合、これはパルプから紙を製造するのに適した機械として理解されるべきである。機械は、ティッシュペーパーを生成するように構成されてもよいが、代替的に、筆記紙または板紙を生成するように構成されてもよい。以下では、ティシュペーパーの製造について言及するが、これは例としてのみ見られるべきであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0042】
「上(upper)」、「下(lower)」、「上部(top)」、および「底部(bottom)」などの用語が以下で使用される場合、これは、上向きの方向として見ることができる第1の方向Dに関連するものとして理解されるべきである。したがって、上側は、第1の方向Dに向く側であり、下側は、第1の方向Dとは反対の方向に向く。また、上部と底部とは、上部を通過する前に底部を最初に通過する第1の方向Dに向かう動きにおいて互いに異なる。
【0043】
「固定された」という用語が本明細書で使用される場合、または他の構成要素に対する移動が防止されるように構成要素が装着され、または配置されることが記載される場合、これは、構成要素の独立した移動が防止されるように構成要素が固定または適用されることとして理解されるべきである。特に、ベース体に装着される支持体に関しては、支持体がベース体に確実に付けられ、ベース体の移動が支持体に伝達されることを意味する。
【0044】
図1は、形成セクション4を有する抄紙機1を概略的に開示しており、ヘッドボックス31は、形成ファブリック32とフェルト33との間の隙間にストックを注入するように配置されている。形成ファブリック32は、典型的には有孔ワイヤである。フェルト33は、形成ロール35上を渡るように構成され、フェルト33および形成ファブリック32は、ガイドロール34によってループ状に案内される。形成セクション4からは、新たに形成された湿潤状態の繊維ウェブWが、フェルト33によって、拡張ニップロール5と対抗圧力部材7との間に形成された拡張プレスニップNに搬送される。拡張ニップロール5は、以下により詳細に説明するように、本発明による支持体装置50を備える。対抗圧力部材7は、適切にはヤンキー乾燥シリンダであってもよいが、いくつかの実施形態では、拡張ニップは、ヤンキー乾燥シリンダに送られる前に、拡張ニップロール5と他の対抗圧力部材7との間に配置されてもよい。
【0045】
拡張ニップロールと対抗圧力部材7との間のプレスニップNでは、ウェブWから水が押し出され、被水性のフェルト33に吸水される。次いで、ウェブWは、ヤンキー乾燥シリンダ7の上を通過し、ヤンキー乾燥シリンダ7からウェブWに伝播する熱によって乾燥される。ヤンキー乾燥シリンダ7は、加熱デバイス8として象徴的に識別される内部加熱を含むが、ヤンキー乾燥シリンダ内または外部からなど、ヤンキー乾燥シリンダ7を加熱する様々な方法が知られており、既知の加熱方法の各々は、本明細書に記載の抄紙機1での使用に適していることに留意されたい。ヤンキー乾燥シリンダ7は、典型的には、ウェブWと接触する表面の温度が約95℃~100℃に達するように加熱されると言えば十分である。ウェブWが拡張プレスニップNに到達するときのウェブWの乾燥固形分は、かなり変化し得るが、典型的な用途では18~30%の範囲である。拡張プレスニップNの後、ウェブWは、ニップ内の線形荷重、対抗圧力部材7の温度、およびウェブWが拡張プレスニップNに到達する前のウェブWの乾燥固形分などの要因に応じて、40~55%の乾燥固形分を有することができる。
【0046】
ウェブWは、典型的には、ヤンキー乾燥シリンダ7からドクターブレード9によって合体され、乾燥済みウェブWの形態で巻取器3に通される。
【0047】
上記のことは、抄紙機1の一般的な説明と見なされるべきであるが、本発明による支持体装置は、支持体と対抗圧力部材との間に拡張プレスニップを有する限り、様々な種類の抄紙機で使用され得ることに特に留意されたい。
【0048】
図2は、拡張ニップロール5と対抗圧力部材7との間に形成された拡張プレスニップNをより詳細に開示しており、拡張ニップロール5が、内面11および外面12を有する可撓性ジャケット10を含むことを示している。可撓性ジャケット10は、典型的にはポリウレタンを含み、機械横断方向に延在する管として成形され、前記機械横断方向は、形成セクション4から巻取器3への方向、すなわちウェブWの主進行方向として定義される機械方向に垂直な方向である。
【0049】
したがって、可撓性ジャケット10は、機械横断方向と一致する軸方向を有し、その軸方向端部において、可撓性ジャケット10は、通常、拡張ニップロール5が回転できるように軸周りに回転可能に配置された端壁に接続される。好適には、拡張ニップロール5は、可撓性ジャケット10および端壁によって形成された密閉空間が加圧空気で満たされ得るように、加圧空気源に接続されてもよい。
【0050】
拡張ニップロール5の内側には、サポート21が装着され、支持体装置50の上面14が可撓性ジャケット10の内面11に押し付けられるように本発明に係る支持体装置50を保持する。上面14には、ウェブWが今度は対抗圧力部材7に押し付けられるように可撓性ジャケット10に押し付けられることによって拡張プレスニップNを形成する作業面15(
図3以降を参照)がある。支持体装置50は、拡張ニップロール5の内面11に沿って、拡張プレスニップN内のウェブWの全幅を押圧することができるように、拡張ニップロール5の回転方向に対して横断方向に伸長され、延在している。この目的のために、支持体装置50は、ウェブWに対する所望の圧力を達成するために、ウェブWの意図された幅以上の長さを好適に有する。
【0051】
作業面15は、拡張プレスニップNを形成するように作用する表面である。作業面15の形状は、当技術分野で周知のように、対抗圧力部材7によって所望のプレスプロファイルを形成するように適合されてもよい。作業面の設計を扱う1つの従来技術は、米国特許出願公開第2009/0173465号(Metso紙)である。
【0052】
図3は、本発明による支持体装置50が溝22内の所定位置に保持されたサポート21を、機械横断方向から見た図で開示している。支持体装置50は、装着構造53によって互いに接合されたベース体51および支持体52を含む。ベース体51は、少なくとも1つの圧力室18への加圧流体の供給が少なくとも1つの圧力室18の制御された膨張を引き起こし、第1の方向Dにおけるベース体51自体の制御された膨張をもたらすように、圧力源に接続されるように封止され構成された少なくとも1つの圧力室18を含む。加圧流体は、好適には油圧流体であってもよいが、いくつかの実施形態では他の流体が代わりに使用されてもよい。
【0053】
好適には、サポート21は、制御された膨張が第1の方向Dのみに向けられることを確実にするために、第1の方向Dに向く側を除くすべての側でベース体51を覆うように構成されてもよいが、代替的に、ベース体51自体は、他の方向へのベース体51の膨張が不可能であるように作製されてもよい。支持体52は、ベース体51から第1の方向Dに延在するように装着されているため、ベース体51の膨張は、支持体52が第1の方向Dに押されることになり、支持体装置50が拡張ニップロール5の内側の所定位置にあるとき、これは、支持体52が可撓性ジャケット10の内面11に押し付けられることになり、それにより、拡張プレスニップNが形成される。拡張ニップロール5が使用されるとき、拡張プレスニップNは、支持体装置50の作業面15が可撓性ジャケット10に押し付けられるとき、すなわち、少なくとも1つの圧力室18が加圧されてベース体51が第1の方向Dに膨張するとき、閉じたニップであると見なされるべきである。ベース体51が膨張しないとき、拡張プレスニップNは代わりに開いていると見なされるべきである。
【0054】
少なくとも1つの圧力室18は、少なくとも1つの圧力室18が第1の方向Dの拡張を達成するためにベース体51を押圧することができる限り、いくつかの実施形態では、ベース体51の内側ではなくベース体51の下に設けられてもよいことに留意されたい。
【0055】
拡張プレスニップでは、圧力プロファイルは、プレスニップの端部の直前に圧力ピークが達成され、圧力ピークの直後に圧力が著しく低下するように非対称であるべきである。このような圧力プロファイルは、紙ウェブWの再湿潤を低減する。ニップの開始時の圧力勾配は、圧力が緩やかに増加するが、その後、ピークがプレスニップの終わりに向かって到達するまで、より大きな勾配で増加するように比較的小さいことも望ましい。拡張プレスニップが使用される各用途の特性に応じて、支持体52の上面14は、ニップの圧力プロファイルを変更するように調整されてもよい。
図3には、作業面15の両端に形成された入口面28および出口面17を有する作業面15を有する本発明の一実施形態が示されている。使用時に、拡張ニップに入るウェブWは、次いで、最初に入口面28から圧力を受け、続いて作業面15の中間部分が圧力を受け、出口面17からの圧力で終わる。これにより、上述したように、拡張ニップの所望の圧力プロファイルが達成される。
図3に示す実施形態では、入口面18は、支持体52から延在するリップ27に設けられている。作業面15、特にその入口面28および出口面17を調整することによって、圧力プロファイルを調整することができる。特に、
図3に示すような作業面15は、一例としてのみ見られるべきであり、本明細書では、拡張ニッププレスNに作業面15を設ける目的を示すために設けられていることに留意されたい。しかしながら、本発明の主な特徴は、支持体装置50自体、およびベース体51を支持体52に接合するための装着構造53を使用した支持体装置50の装着にある。
【0056】
次に、支持体装置50の第1、第2、および第3の実施形態を示す
図4~
図6を参照して、支持体装置50をより詳細に説明する。実施形態は、主に、使用される装着構造53と、装着構造53に応じて支持体装置50が製造される方法とにおいて異なる。しかしながら、本発明のすべての実施形態は、ベース体51の膨張が支持体52に伝達されることを可能にし、支持体52がベース体51から緩むのを防止するために、装着構造53によって装着されるベース体51および支持体52をそれぞれ含むことによって接合される。したがって、装着構造53は、支持体52およびベース体51と係合することによって支持体装置50を形成するように構成され、それによってそれらは互いに対して固定される。
【0057】
固定されるという語は、上述したように、支持体52とベース体51とが互いに独立して移動するのを防止する保持を意味すると理解されるべきである。したがって、支持体52がベース体51に固定されることは、ベース体51の膨張が支持体52に伝達されると同時に、ベース体のそのような膨張または支持体の移動を防止して、それらの一方の並進運動をもたらし、他方の並進運動をもたらさないことを意味する。
【0058】
本発明の様々な実施形態はまた、主な利点、すなわち、ベース体51および支持体52を互いに別々に製造し、後でそれらを一緒に接合することができるという利点を共有する。これは、従来技術に対する著しい改善であり、支持体装置50の簡略化された製造、ならびに使用時に異なる用途に適合するようにより容易に変更され得るより汎用的な支持体装置50、および支持体装置50のより費用効率の高い修理を可能にする。
【0059】
したがって、
図4aは、ベース体51および支持体52を有する第1の実施形態の支持体装置50を開示している。
図4bは、支持体52がベース体51に装着されて支持体装置50を形成する装着状態における同じ実施形態を開示している。装着装置53は、この実施形態では、ベース体51の上面51’および/または支持体52の下面52’に塗布される接着剤である。支持体52がベース体51上の所定の位置に置かれると、装着構造53の接着剤は、支持体52とベース体51とを互いに接着させて支持体装置50を形成する。接着剤により、ベース体51の膨張が支持体52に直接伝達され、作業面15が第1の方向Dに押される。
【0060】
第1の実施形態の支持体装置50の製造は、ベース体51を提供すること101と、支持体52を提供すること102と、装着構造53の接着剤をベース体51の上面51’および支持体52の下面52’の少なくとも一方に塗布することによって装着構造53を提供すること103とによって行われる。次いで、支持体52は、ベース体51の上面51’が支持体51の下面52’と接触するように、ベース体52に装着される104。装着構造53の接着剤は、支持体52の下面52’およびベース体51の上面51’の両方と係合することができるため、支持体52がベース体51上に固定された状態で、装着状態が形成される。任意選択のステップにおいて、支持体52はまた、必要に応じて支持体装置50から除去されてもよい105。
【0061】
図5aは、
図5bによって示される装着状態においてベース体51から第1の方向Dに互いに距離dを置いて延在する少なくとも2つの側部531、532を含む装着構造53において第1の実施形態とは異なる支持体装置50の第2の実施形態を開示する。側部531、532がベース体51の上面51’を越えて第1の方向Dに延在することによって、支持体52は、側部531、532の間に配置された装着状態にあり、それによって、装着構造53は、ベース体51に対して支持体52を固定することができる。距離dがほぼベース体51および支持体52の幅であることは、支持体52が側部531、532によってブロックされることによって定位置に保持され得るように有利であるが、支持体52はまた、より確実な保持が達成されるように第1の実施形態の接着剤を用いて装着構造53を側部531、532と組み合わせることによってより確実に保持され得る。
【0062】
好適には、側部531、532は、底部533において互いに接合され、ベース体51および支持体52が、装着状態において側部531、532の間の装着構造53の内側に配置されるように側部ホルダ534を形成し、支持体52の上部のみが、第1の方向Dにおいて側部531、532を越えて突出している。また、ベース体51の端部(図示せず)に、ベース体51が、上面51’のみが見える状態で側部ホルダ534に挿入され得るように、さらなる側部が設けられてもよい。また、ベース体51の3辺に、1辺が露出するように側部を設けてもよい。側部がベース体51の4辺に設けられる実施形態では、加圧媒体を供給するための導管が側部のうちの1つに設けられ、装着中に少なくとも1つの圧力室18に接続されてもよい。
【0063】
側部ホルダ534は、
図1~
図2に示すホルダ21と一体であってもよく、またはそのホルダ21に代えて、抄紙機1のプレスロール5の内側に支持体装置50を固定するために側部ホルダ534のみが設けられてもよい。
【0064】
代替的な実施形態では、代わりに、装着構造53は、ベース体51に固定して取り付けられ、支持体52がベース体51に装着されるように支持体52の少なくとも一部を把持または封入するように構成された把持部材を含んでもよい。把持部材は、支持体52を保持することができる点で側部531、532と同じ機能を果たし、支持体52が支持体52の側部を囲む把持部材によって締結され、それらを把持して支持体52を所定の位置に保持するように、側部531、532と同様の方法で把持部材がベース体51に締結されることによって実現することができる。
【0065】
特にこの実施形態では、ベース体51は、第1の方向D以外の任意の方向へのベース体51の膨張が効率的に防止されるようにホルダ内に保持され得るので、非常に柔らかく可撓性であり得る。ベース体51は、50未満または30未満のショアA硬度を有するエラストマーを含むことができ、好適にはゴムを含むことができる。これにより、圧力室18の作用による膨張を、ベース体51に装着された支持体52に効率的に伝えることができる。
【0066】
第2の実施形態に係る支持体装置50の製造は、ベース体51を提供すること101と、支持体52を提供すること102と、装着構造53の少なくとも2つの側部531、532または側部ホルダ534を提供すること103とによって行われる。次いで、ベース体51は、少なくとも2つの側部531、532の間に配置され、支持体52は、少なくとも2つの側部531、532によって定位置に保持され得るようにベース体51に装着される104。支持体52を所定の位置に保持することを可能にする側部531、532の主な特徴は、支持体52が側部531、532が設けられている方向に移動することができないように、ベース体51から第1の方向Dに延在することである。任意選択のステップにおいて、支持体52はまた、後に必要に応じて支持体装置50から除去されてもよい105。
【0067】
2つの側部531、532のみが設けられる実施形態では、これらの側部531、532は、代替的に、ベース体51に固定されるように、または代替的にベース体51と一体化されるように、ベース体51に装着されてもよい。そのような実施形態では、ベース体51および装着構造53の側部531、532は、単一の構成要素として提供されてもよい。そして、支持体52がベース体51上に載置されることにより、側部531、532は、ベース体51に対して固定された支持体52を保持し、装着状態を形成する。
【0068】
接着剤が使用される場合、接着剤は、ベース体51が側部531、532の間に配置される前にベース体51および/または支持体52に塗布されてもよく、あるいは、接着剤は、ベース体51が側部531、532の間にあるが支持体52が付加される前に付加されてもよい。
【0069】
図6aは、支持体52をベース体51に対して固定して支持体装置50を形成するために、
図6bに示す装着状態で互いに係合するように構成された2つの部分を含む装着構造53において第1の実施形態および第2の実施形態とは異なる第3の実施形態を開示している。この実施形態は、本明細書に記載されるが、支持体52に固定された第1の部分536と、ベース体51に固定された第2の部分535とを設けることにおいて同様である多くの可能な変形形態を有し、それにより、装着は、主に、第1の部分536と第2の部分535とを互いに係合させることを含む。
図6a~
図6bに示す第3の実施形態では、第1および第2の部分536、535の少なくとも一方、および好適には両方が支持体52およびベース体51と一体化されるが、他の実施形態およびこの第3の実施形態の変形例では、第1および/または第2の部分536、535は、代わりに、それぞれ支持体52およびベース体51の製造中に支持体52および/またはベース体51に固定されるか、または支持体装置50自体の製造中に支持体52および/またはベース体51に固定される別個の部分である。第1の部分536と第2の部分535とが互いに係合することは、本明細書では、第1の部分536と第2の部分535とが互いに固定または締結されるように互いに係合することとして理解されるべきである。これは、本発明の様々な実施形態を参照して以下に説明するように、取り外し可能な締結および恒久的な締結の両方を包含する。
【0070】
図6aの第3の実施形態では、第1の部分536はキー溝の形態であり、第2の部分535はキー溝へのキー嵌合の形態である。キー溝およびキーは、支持体52およびベース体51の製造中に、例えば、キー溝またはキーを形成するように成形された金型内に成形されている支持体52および/またはベース体51を通して作製されてもよいが、代替的に、キー溝および/またはキーは、ベース体51および支持体52から、例えば機械加工によってそれらを切断することによって作製されてもよい。キー溝およびキーは、異なるプロセスを介して製造することも可能であり、もちろん、異なる場所で、それらが係合できるように互いに嵌合するように設計されている限り、異なる時間に製造することも可能である。キー溝が支持体52と一体化される一方で、キーを含む第2の部分535が代わりにベース体51に取り付けられる別個の部品であることも可能である。また、支持体52内のキー溝およびベース体51上のキーを示す
図6aの実施形態は、もちろん、キー溝が代わりにベース体51および支持体52内のキーに設けられるように反転されてもよい。
【0071】
図6aによって示される第3の実施形態では、第2の部分535はオス型部分を含み、第1の部分536はメス型部分を含み、オス型部分とメス型部分は、支持体52をベース体51に装着するために互いに嵌合するように構成される。
【0072】
他の実施形態では、第1の部分536および第2の部分535の一方は、代わりに内ねじを含んでもよく、第1の部分536および第2の部分535の他方は、第1の部分536が締結される支持体52が第2の部分535が締結されるベース体51上の定位置にねじ込まれ得るように、互いに協働するように構成された外ねじを含んでもよい。
【0073】
代替的に、第1の部分536および第2の部分535の一方はピンを含んでもよく、第1の部分536および第2の部分535の他方は、ピンを受け入れるように構成された受入開口を含み、ピンが受入開口に挿入されることによって支持体52がベース体51に装着されてもよい。
【0074】
第3の実施形態の各バージョンについて、支持体52には複数の第1の部分536が設けられてもよく、ベース体51には複数の第2の部分535が設けられてもよく、支持体装置50を製造することは、第1の部分536の各々を第2の部分535の少なくとも1つと相互作用させることを含むことに留意すべきである。
【0075】
図6a~
図6bに示される第3の実施形態に係る支持体装置50の製造は、ベース体51を提供すること101と、装着構造53の第1の部分536が支持体52に固定して取り付けられ、装着構造53の第2の部分535がベース体51に固定して取り付けられる支持体52を提供すること102とを含む。したがって、装着構造53も提供される103。次いで、第1の部分536および第2の部分535を互いに接触させて、支持体52をベース体51に装着するために係合させることができる。
図6a~
図6bに示されるキー溝およびキーの場合、これは、好適には、支持体52が一方の端部511から他方の端部512までベース体51を覆うように適所に置かれるように、支持体52をベース体51の一方の端部511から他方の端部512まで適所に摺動させることを含む。このようにして、支持体52は、ベース体51に装着される104。これにより、
図6bに示す装着状態が形成される。任意選択のステップにおいて、支持体52は、必要に応じて、後にベース体51から除去されてもよい105。
【0076】
第3の実施形態および第3の実施形態の任意の変形例は、第1の実施形態との組合せ、すなわち支持体52をベース体51上に固定するのをさらに補助する接着剤を提供することにも適している。好適には、接着剤は、第1の部分536および第2の部分35が装着中に接着剤によって互いに取り付けられるように、第1の部分536および第2の部分535の少なくとも一方に塗布されてもよい。
【0077】
第4の実施形態では、装着構造53は、支持体装置50の製造中にベース体51と支持体52との間に配置される別個の装着体であってもよい。本実施形態の装着構造53は、ベース体51と係合するベース体係合部と、支持体52と係合する支持体係合部とを有する。ベース体係合部および支持体係合部は、第1の部分536および第2の部分535について示されたタイプのいずれかであってもよい。
【0078】
本発明の1つの重要な利点は、支持体52が後に支持体装置50から再び取り外され得るように、装着中に支持体52をベース体51に取り外し可能に固定することができることである。装着構造53をオス型およびメス型部分の形態で、内ねじおよび外ねじとして、またはキー溝およびキーまたはピンおよび受入開口、またはそれらの変形として設ける場合、これは、係合解除するように構成された第1の部分536および第2の部分535によって最も好都合に実現される。これは、ねじが反対方向にねじ込まれることによって、ピンが開口から引き出されることによって、または例えばキーがキー溝からスライドされるなどしてオス型およびメス型部分が分離されることによって行われ得る。これは、抄紙機1の動作中に支持体52がニップロール5の可撓性ジャケット10に押し付けられることによって摩耗した場合など、所望に応じて支持体52の除去を可能にするのに特に有利である。所望の拡張ニップを達成する上で作業面15の輪郭が非常に重要であるため、性能が低下した場合に支持体52を除去して新しい摩耗していない支持体52と交換できることが特に有益である。また、抄紙機1および製造される紙に応じて、拡張ニップ内の圧力プロファイルを変更する必要がある場合があり、これは、支持体52のみを交換し、同じベース体51を使用して新しい支持体装置50を形成することによって最も便利に行われる。これは、圧力室18への接続が所定の位置に留まることを可能にするので、特に時間を節約し、第3の実施形態および第2の実施形態の変形例のように支持体52が容易に除去可能である支持体装置50の実施形態では、抄紙機の停止時間を最小限に保つことができる。
【0079】
支持体装置50の支持体52は、好ましくは、95以下のショアA硬度を有する第1の材料を含む。これは、所望に応じてウェブWを脱水するために拡張プレスニップNを提供するのに有利である。支持体52での使用に適したそのような材料の例は、ポリマー、好適にはポリウレタンまたはゴムなどのエラストマーである。いくつかの実施形態では、支持体52は、複数の材料を含むことができ、材料の少なくとも1つが95以下のショアA硬度を有することが有利である。
【0080】
また、ベース体51は、好適には、90以下のショアA硬度を有する第2の材料を含む。第2の材料は、好適には弾性変形可能であり、したがって、圧力室18の膨張による制御された膨張を受けることができるベース体51を提供する。第2の材料は、好適には、ポリウレタンなどのポリマーまたはゴムなどのエラストマーであり得る。ベース体51は、いくつかの実施形態では複数の材料を含んでもよいが、他の実施形態では単一の材料のみから作製されてもよい。
【0081】
支持体52がベース体51よりも硬い場合、すなわち支持体52がベース体51のショアA硬度よりも高いショアA硬度を有する場合に有利である。これは、ベース体51が所望に応じて膨張することを可能にし、同時に、拡張ニップ内に所望の圧力プロファイルを提供することができるより安定した支持体52を提供する。いくつかの実施形態では、支持体52は90~95のショアA硬度を有することができ、ベース体51は30~50程度の低いショアA硬度を有する。他の実施形態では、支持体52およびベース体51は、材料の硬度に関して互いにあまり異なっていない。
【0082】
本明細書でショアA硬度に言及する場合、これはASTM D2240に従っていると理解されるべきである。
【0083】
いくつかの実施形態では、ベース体51および支持体52は同じ材料を含み得る。これに適した1つの材料は、硬度に適した特性を有するように設計され得る上述のポリウレタンである。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、ベース体51は、複数の部品、好適には少なくとも1つの圧力室18を含むベースセクションと、ベースセクション上に配置され、第1の方向に向く上部セクションとから作製されてもよい。そのような実施形態では、上部セクションは、ベースセクションに取り外し可能に取り付けられてもよいが、代替的に、上部セクションは、除去不能であるように恒久的にベースセクションに接合されてもよい。さらに他の実施形態では、支持体52は、代わりに、取り外し可能または恒久的に互いに接合された複数の部品から作製されてもよい。
【0085】
次に、本発明による支持体装置50の支持体52を交換するための方法を説明する。これは、支持体装置50が抄紙機1に使用され、拡張プレスニップNがもはやニップを通過するウェブWに所望の圧力プロファイルを提供しないように摩耗または損傷を受けている状況に適している。また、支持体装置50は、意図された寿命の間使用されていてもよく、これに応答して支持体52を交換するようにスケジュールされる。
【0086】
したがって、本発明の実施形態のいずれかによる支持体装置50は、抄紙機1に設けられる。ほとんどの状況では、支持体52が交換される前に、支持体装置50は、当該技術分野で周知の方法で抄紙機1から除去されるが、いくつかの状況では、抄紙機1の停止時間が短縮されるため、時間および費用効率の目的で、メンテナンス中に支持体装置50を所定の位置に維持することが望ましい。
【0087】
支持体52を交換するための方法は、支持体装置50のどの実施形態が使用されているかに応じて、それを装着装置53から、および/またはベース体51から係合解除すること201によって、支持体装置50から支持体52を除去すること202を含む。したがって、支持体52の係合解除201は、第1の部分536と第2の部分535との係合解除、または代替的に、側部531、532からの支持体52の除去を含んでもよい。それはまた、支持体52がもはやベース体51に固定されないように、接着剤を除去または係合解除することを含んでもよい。
【0088】
支持体52が取り外されると、その後、支持体はベース体51から除去され202、追加支持体52が提供される203。次いで、追加支持体52は、支持体52が装着構造53と同じ方法で、または装着構造53が以前に接着剤を欠いていたとしても、装着構造に接着剤を追加するなどの修正された方法で、装着構造53と係合することによってベース体51に装着される204。
【0089】
装着構造53は、支持体52の除去が装着構造53を損傷させた場合、または装着構造53が複数回使用できるように設計されていない場合など、再び係合することができない場合に交換すること205ができる。支持体52が除去される前に装着構造53が接着剤を含んでいた場合、好適には、追加支持体52を固定することができるように新しい接着剤が補充される。
【0090】
接着剤は、好適には、Cascoによって提供されるLiquisole/Rubberfixなどのポリウレタン1成分湿気硬化型接着剤であってもよい。しかしながら、当業者に周知のように、多くの他のタイプの接着剤が代替的に使用されてもよい。
【0091】
追加支持体52は、支持体52と同一であってもよく、または弾性などの異なる材料特性を有するために異なる材料を含むなど、何らかの方法で異なってもよく、あるいは異なるプロファイルの作業面15を有してもよい。しかしながら、追加支持体52は、追加支持体52をベース体51に装着することができるように、装着構造53と相互作用することができるという点で支持体と類似でなければならない。
【0092】
本明細書に記載の様々な実施形態からの特徴は、そのような組合せが不適であると明示的に述べられていない限り、自由に組み合わせることができることに留意されたい。