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特許7562877極めて高温で使用するための安全弁の改良
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  • 特許-極めて高温で使用するための安全弁の改良 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】極めて高温で使用するための安全弁の改良
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20240930BHJP
   F16K 17/06 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
F16K17/04 A
F16K17/06 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023555701
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022071689
(87)【国際公開番号】W WO2022221841
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】17/230,313
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502122473
【氏名又は名称】ドレッサ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Dresser,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,アンドリュー クロスビー
(72)【発明者】
【氏名】クリマス ジュニア,リチャード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,ニコラス レイ
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,ロバート スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ニュエン,ディエン
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,リック コール
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-234857(JP,A)
【文献】特開2008-025734(JP,A)
【文献】実開昭52-072928(JP,U)
【文献】米国特許第02628632(US,A)
【文献】特開平11-248031(JP,A)
【文献】特開2012-021633(JP,A)
【文献】実開平05-014766(JP,U)
【文献】特開2001-248743(JP,A)
【文献】米国特許第08413955(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000728(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0133550(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/04
F16K 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全弁であって、
基部と、
前記基部に配設された座部であって、長手方向軸を有する孔を有する座部と、
前記座部に対して移動可能なディスクであって、前記ディスクは、前記長手方向軸を取り囲み、前記長手方向軸に向かって内向きに、かつ前記座部に向かって下向きに湾曲する弓形フィンガを有する端部を有する、ディスクと、を備え、
前記弓形フィンガは、前記長手方向軸を取り囲み、閉位置において前記座部の面に接触する外面を有し、
前記長手方向軸を取り囲む凹部が、前記弓形フィンガの先端に近接して前記弓形フィンガの前記外面に配設されている、安全弁。
【請求項2】
複数の前記凹部が前記弓形フィンガの前記外面に同心配置されている、請求項1に記載の安全弁。
【請求項3】
3個の前記凹部が前記弓形フィンガの前記外面に同心配置されている、請求項2に記載の安全弁。
【請求項4】
前記ディスクは、一方の端部から延びて前記座部に近接する鈍端部で終端する円錐状突出部を有する、請求項1に記載の安全弁。
【請求項5】
前記ディスクは、前記円錐状突出部の反対側の端部に凹部を含む、請求項4に記載の安全弁。
【請求項6】
前記座部の前記面は、前記長手方向軸を取り囲む弓形面を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の安全弁。
【請求項7】
前記座部の前記弓形面は、前記弓形フィンガの前記外面の半径と相応する半径を有する、請求項6に記載の安全弁。
【請求項8】
前記弓形フィンガの反対側の端部で前記ディスクに結合されたスピンドルを更に備える、請求項1に記載の安全弁。
【請求項9】
前記ディスクに負荷を加えるために少なくとも部分的に偏向した圧縮ばねを更に備える、請求項1に記載の安全弁。
【請求項10】
安全弁であって、
一対の開口部の間に流路を形成するボアセクションを備える基部と、
前記基部に配設され、ディスクと、座部と、を備える、閉鎖アセンブリと、を備え、
前記ディスクは、前記ディスクに作用する流体圧力に応じて前記座部と自己増力シールを形成するように前記座部に向かって外向きに撓む可撓性部分を備え、前記ディスクの前記可撓性部分の前記座部に対向する面に、前記流路の軸を取り囲む少なくとも1つの凹部が配設されている、安全弁。
【請求項11】
前記可撓性部分は、前記流路を取り囲み、前記流路の中心に向かって内向きに、かつ前記座部に向かって下向きに湾曲する、請求項10に記載の安全弁。
【請求項12】
前記ディスク及び前記座部は、互いに接触して前記自己増力シールを形成する弓形接触面を形成する、請求項10又は11に記載の安全弁。
【請求項13】
前記ディスクの前記可撓性部分の前記座部に対向する面に複数の前記凹部が同心配置されている、請求項10に記載の安全弁。
【請求項14】
安全弁であって、
一対の開口部間を流体が通過するための流路を形成する基部と、
前記基部に配設され、前記一対の開口部の間に介在する閉鎖アセンブリであって、座部と、前記座部に対して移動可能なディスクと、を備え、前記座部と前記ディスクのそれぞれが、前記流路の軸を取り囲み、金属間シールを形成するように互いに接触する弓形接触面を有する、閉鎖アセンブリと、を備え、
前記ディスクの前記弓形接触面は、流路側の端部に近接して前記流路の軸を取り囲む凹部を有し、前記座部の前記弓形接触面に向かって凸形状であり、流体圧力下で、前記座部の前記弓形接触面に向かって屈曲するように構成されている、安全弁。
【請求項15】
前記ディスクの前記弓形接触面は、複数の前記凹部が同心配置されている、請求項14に記載の安全弁。
【請求項16】
前記ディスクの前記弓形接触面は、3個の前記凹部が同心配置されている、請求項15に記載の安全弁。
【請求項17】
前記ディスクの前記弓形接触面は、前記流路の軸に向かって内向きに、かつ前記座部の前記弓形接触面に向かって下向きに延びる、請求項14から16のいずれか1項に記載の安全弁。
【請求項18】
前記ディスクの前記弓形接触面が、前記座部と前記ディスク間相対移動とは独立して、前記座部の前記弓形接触面に対して移動可能である、請求項14に記載の安全弁。
【請求項19】
前記ディスクの前記弓形接触面が、流体圧力下で可撓性である、請求項14に記載の安全弁。
【請求項20】
前記ディスクの前記弓形接触面が、流体圧力下で外向きかつ下向きに屈曲する、請求項14に記載の安全弁。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
流量制御装置は、無数の用途で使用される。圧力逃がし弁、すなわち「安全」弁は、流動流体の圧力の急激な増加から保護するタイプの流量制御装置である。これらのデバイスは、多くの場合、熱水力発電所(及び同様の設備)全体を流れる過熱蒸気の過圧状態を回避するために必要である。過圧を封じ込めることができないと、機器又は設備の部品に大規模な、更には破局的な損傷をもたらす可能性がある。しかしながら、安全弁が必要とされるが、プラント設計のための出力効率の改善は常時760℃(1400°F)を超える先進超々臨界(Advanced Ultra-Supercritical、AUSC)蒸気を含む動作条件をもたらし、これは最もロバストな設計さえも凌駕している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示の主題は、これらの新しい要件を満たすために安全弁を装備する改良に関する。特に興味深いのは、1,400°F超で4,200psi以上の圧力でシール緊密性を維持することができる独自のディスク/座部界面を採用する実施形態である。この界面は、デバイスの設定圧力で接触応力を最大化する、ディスク及び座部の両方に重複する幾何学形状を組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0003】
ここで、添付図面を簡単に参照する。
【0004】
図1図1は、安全弁用の閉鎖アセンブリの例示的な実施形態を示す。
図2図2は、図1の閉鎖アセンブリのためのディスク及び座部の一例を示す。
図3図3は、図2のディスクの一例を示す。
図4図4は、例示的な安全弁の一部として、図2のディスク及び座部の一例を示す。
図5図5は、図4の例示的な安全弁を示す。
【0005】
適用可能な場合、同様の参照文字は、他の指示がない限り、縮尺どおりではない、いくつかの図全体を通して同一又は対応する構成要素及びユニットを指定する。本明細書に開示される実施形態は、いくつかの図のうちの1つ以上に、又は複数の図の組み合わせで現れる要素を含み得る。その上、方法は単なる例示であり、例えば、個々の段階を順序換え、追加、除去、及び/又は変更することによって修正され得る。
【0006】
本明細書における図面及び任意の説明は、本発明を開示するために実施例を使用する。これらの実施例は、最良の形態を含み、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用することと、任意の組み込まれた方法を実行することと、を含む、本発明を実施することを可能にする。単数形で記載され、「a」又は「an」という語で進められた要素又は機能は、そのような排除が明示的に記載されていない限り、複数の当該要素又は機能を除外しないものとして理解されるべきである。「一実施形態」又は「一実施態様」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態又は実施態様の存在を除外するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、上記図面に示される実施形態の特徴について説明する。これらの実施形態は、そのシール界面に見られる独自の幾何学的形状のために、極限条件下でより良好に機能する。この幾何学形状は、圧力下で屈曲又は湾曲することができる特徴を組み込む。これらの特徴は、安全弁の動作圧力又は設定圧力の非常に近くでその完全性を維持する、より強力なシールを生成する。他の実施形態は、本開示の範囲内であり得る。
【0008】
図1は、閉鎖アセンブリ100の一例の概略図を示す。この例は、閉鎖アセンブリ100を調整する弁機構104を有する安全弁102の一部である。弁機構104は、閉鎖アセンブリ100上に負荷Lを生成するように定位置に予圧ユニット106を含んでもよい。予圧ユニット106は、付勢構成要素108、典型的にはコイル状の圧縮ばね110を含み得る。また図示するように、閉鎖アセンブリ100は、例えば発電所内の過熱蒸気などの過圧流体Fを放出する導管Cと結合することができる基部112内に存在することができる。
【0009】
概して、閉鎖アセンブリ100は、限界動作条件用に構成され得る。これらの構成は、「非放出」状態中にデバイスを通る流体Fの流れを阻止するために、金属間シールを作り出す部品を含んでもよい。これらの部品は、安全弁の設定圧力でシールの気密性を維持するためにシールが「自己増力(self-energizing)」するように配置される。この特徴は、入口圧力が、デバイスの部品間のシールを作り出す(かつ維持する)負荷に近づくときに生じ得る漏れを回避する。追加の利点として、提案された設計は、例えば、急速な過圧事象に続いて、負荷により弁が急に閉じた後に、シールの気密性を損なわない。
【0010】
安全弁102は、これらの過圧状態から保護するように構成されてもよい。これらの構成は、高圧蒸気を流す熱水力発電所での使用を見出すことができる。しかしながら、本開示は、本明細書の概念が、高圧及び高温を有する流体を取り扱う用途を含む他の用途に適用され得ることを企図する。一実施態様では、弁機構104は、閉鎖位置と開放位置との間で閉鎖アセンブリ100の動きを調整することができる。
【0011】
予圧ユニット106は、閉鎖アセンブリ100の上流の高圧下であっても金属間シールを維持するように構成され得る。これらの構成は、付勢構成要素108に予圧をかけるための機構を含み得る。機構は、安全弁100をその閉位置に維持し、流体Fの流れが閉鎖アセンブリ100を通らないようにするために、負荷Lを達成するのに必要なばね力を生成する量だけ圧縮ばね110を圧縮することができる。負荷Lを超える閉鎖アセンブリ100の上流の圧力は、圧縮ばね110を圧縮して、安全弁102をその開放位置へと変化させ得る。流体Fは、この開位置において閉鎖アセンブリ100を通って流れることになる。一実施態様では、閉鎖アセンブリ100は、上流の圧力が負荷Lを下回るまで開いたままであり、これにより、圧縮ばね110がもとの偏向した位置(閉鎖アセンブリ100の閉鎖位置に関連付けられる)に戻ることを可能にする。
【0012】
図2は、閉鎖アセンブリ100の一例の断面の立面図を示す。この例は、中心軸120を有する孔118を有する座部116を含む接触界面114を有する。孔118は、半径Rを有する内面122を有することができる。内面122は、好ましくは丸みを帯びた、角部124で終端してもよく、角部124自体は平面又は平坦な座面126で終端する。座部116に隣接して、丸みを帯びた角部134に当接する平面又は平坦な接触肩部132を有する外面130を有するディスク128がある。ディスク128内のアンダーカット136は、中心軸120に向かって内側に湾曲する弓形フィンガ138を形成し得る。弓形フィンガ138は、内面122の半径Rに厳密に一致する半径Rを有することができる。閉位置では、弓形フィンガ138上の外面132は、座部116上の内面124に接触して、(本明細書で説明されるように、圧力が負荷Lに打ち勝つように増加しない限り)流体Fの流れがデバイスを通らないようにするシールを形成する。アンダーカット136は、流体Fが弓形フィンガ138に衝突することを可能にする。結果として生じる圧力は、弓形フィンガ138を外向きかつ下向きに(座部116の内面122に向かって)湾曲又は屈曲させ得る。これらの「自己増力」特性は、温度限界及び圧力条件下でシールの有効性を増大させる。一実施態様では、弓形フィンガ138上の外面132は、丸みを帯びた端部144に近接して「鋸歯状」又は「窪み」部分142を形成する一連の同心凹部140を含むことができる。なお、窪み部分142は、接触界面114における接触応力を増大させて、シールを更に向上させるのに役立ち得る。
【0013】
図3は、閉鎖アセンブリ100で使用するためのディスク128の一例の断面の立面図を示す。この例は、端部146、148を有する略円筒形の形状を有する。外面132は、シリンダの外径ODの変化に対応する階段状プロファイルを有してもよい。この階段状プロファイルは、弓形フィンガ138内の応力を低減するように、一定の割合の(a percentate of)ばね荷重を支持してもよい。一実施態様では、変化は、一対の同心部分150、152を形成するための外径ODの増加を含み得る。肩部154は、2つの部分150、152を分離し得る。ディスク128の一方の端部146において、凹部156が材料内に貫通してもよい。凹部156は、様々な値の内径IDを特徴としてもよい。好ましくは、凹部156は、ねじ切りされた部分Pを有してもよい。他方の端部148は、鈍端部160を有する円錐形突出部158を有してもよい。円錐形突出部158は、弓形フィンガ138を形成するアンダーカット136で終端してもよい。
【0014】
図4及び図5は、図1の安全弁102の一例を示す。図4は、断面の立面図を示す。座部116は、孔118まで延びる貫通ボア164を有する入口ネックブッシング162の一部を形成することができる。入口ネックブッシング162は、略円筒形の底部166を有することができる。入口ネックブッシング162の上部168は、開口部176、178で終端する一対の直交ボアセクション172、174のうちの1つとしてここで示される、基部112の特徴部に挿入することができるネックダウンセクション170を特徴としてもよい。ボアセクション164、174は、流体Fが安全弁102を通過するための流路を形成する。基部112は、例えば、開口部176、178においてフランジ付き端部又は溶接された端部によって導管Cと接続することができる。閉位置において、ディスク128の円錐状突出部158は、座部116の孔118内に延在してもよい。ディスク128上の凹部156は、スピンドル180の一端を受け入れることができる。スピンドル180の他端は、キャップアセンブリ184に接続することができる圧縮ねじ182と結合することができる。アセンブリはまた、垂直軸Vに沿ってキャップアセンブリ184を移動させるように回転する(R)ことができるレバー186を含んでもよい。圧縮ばね110は、一対のばね座金188、190の間に存在してもよい。図5に最もよく示されているように、安全弁102は、圧縮ばね110の両側に配設されたヨークロッド192を含むことができる。支持体192は、基部112上の耳194及びヨークキャップアセンブリ184に近接するヨーク196に挿入される。締結具Fは、安全弁102のアセンブリを固定するために、支持体192の対向する端部に固定することができる。
【0015】
前述のことを考慮すると、本明細書の改良は、限界動作条件下で機能するように安全弁を装備する。これらの改良は、発電所における過熱蒸気と一致する条件のような高圧及び高温下でその完全性を維持する金属間シールを形成するために独特の幾何学的形状を採用する。この幾何学的形状は、ディスクからの可撓性の指状突起を含み得る。この突起は、下流圧力下で外向きに屈曲し、金属間シールにおいて座部とより良好に係合する傾向がある。
【0016】
特定の要素又は項目(それらのうちの1つ以上を他の要素及び項目と組み合わせ得る)を含む実施例が以下に現れ、本開示の範囲及び趣旨内で想到される実施形態を説明する。この範囲は、当業者に着想される他の実施例を含み、かつ想到し得る。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの文言と異ならない構造的要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文字どおりの文言とほとんど相違がない同等の構造的要素を有する場合、特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5