(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ビナフチル類の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/31 20060101AFI20241001BHJP
C07C 69/712 20060101ALI20241001BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
C07C67/31
C07C69/712 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2021533062
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2020027180
(87)【国際公開番号】W WO2021010363
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2019132111
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000243272
【氏名又は名称】本州化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100202430
【氏名又は名称】太田 千香子
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 大地
(72)【発明者】
【氏名】須藤 健
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-059074(JP,A)
【文献】国際公開第2012/120901(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/043060(WO,A1)
【文献】SHOCKRAVI, A. et al.,Synthesis and characterization of novel thermally stable poly(ether-amide)s containing dinaphthosulf,e-Polymers,2011年,Vol. 11, Issue 1, No. 44,pp. 1-11,DOI: https://doi.org/10.1515/epoly.2011.11.1.491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/712
C07C 67/31
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールと、下記式(1)で表されるクロロ酢酸エステル類とを、炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒中、
塩基及びアルカリ金属ヨウ化物の存在下で反応させることを特徴とする、下記式(2)で表される2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類の製造方法。
【化1】
(式中、Rは炭素原子数1~8のアルキル基を示す。)
【化2】
(式中、Rは炭素原子数1~8のアルキル基を示す。)
【請求項2】
アルカリ金属ヨウ化物を、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールに対して3モル%以上使用することを特徴とする、請求項1に記載の2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビナフチル類の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分を重合成分とする、ポリエステル樹脂やポリエステルカーボネート樹脂は、高屈折率および低複屈折等の光学特性に優れ、高度の耐熱性を具備することから、光ディスク、透明導電性基盤、光学フィルター等の光学部材の原料として期待されている。中でも、下記化学式で表される化学構造を有する、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチルや2,2’-ビス(エトキシカルボニルメトキシ)-1,1’ -ビナフチルを重合成分として製造される樹脂は、特に、光学特性に優れるとして着目されている(例えば、特許文献1~3等)。
【化1】
上記化学式で表される2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチルや2,2’-ビス(エトキシカルボニルメトキシ)-1,1’ -ビナフチルの製造方法としては、下記反応式に示すように、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールとハロゲン化酢酸エステルとを反応させる方法や、前記方法で得られたジエステル体を加水分解する方法が知られている(例えば、特許文献4等)。
【化2】
上記反応における、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールとハロゲン化酢酸エステルとの反応において、目的化合物であるジエステル体を効率よく得るためには、反応溶媒として誘電率の高い溶媒を用いるか、ハロゲン化酢酸エステルとしてブロモ酢酸エステルを用いる等の必要がある。しかしながら、低誘電率の溶媒中で、ハロゲン化酢酸エステルの中でも反応性の低いクロロ酢酸エステル類等を効率よく反応させる手法が検討された経緯はなく、反応効率の良い製造方法は未だ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-002893号公報
【文献】特開2018-002894号公報
【文献】特開2018-002895号公報
【文献】特開2008-024650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情を背景としてなされたものであって、反応効率が良好で、無機塩を容易に除去することが可能なビナフチル類の新規な製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上述の課題解決のために鋭意検討した結果、特定の溶媒とアルカリ金属ヨウ化物の存在下で反応させることにより、反応効率が良好であり、かつ、無機塩含有量を低減した目的物が効率よく得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は以下の通りである。
1.1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールと、下記式(1)で表されるクロロ酢酸エステル類とを、炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒中、アルカリ金属ヨウ化物の存在下で反応させることを特徴とする、下記式(2)で表される2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類の製造方法。
【化3】
(式中、Rは炭素原子数1~8のアルキル基を示す。)
【化4】
(式中、Rは炭素原子数1~8のアルキル基を示す。)
2.アルカリ金属ヨウ化物を、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールに対して3モル%以上使用することを特徴とする、1.に記載の2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールとハロゲン化酢酸エステルとの反応において、メチルイソブチルケトンなどの低誘電率のケトン系溶媒中においても、副生成物を少なく反応を進行させ、十分な反応速度で反応を進行させることができる。
また、メチルイソブチルケトンなどの水への溶解度の低いケトン系溶媒を使用することで、反応後の水洗操作が可能になり、しかも短時間での分液操作が可能となるため、反応に用いる無機塩などの除去を容易に行うことができる。これにより、無機塩含有量を低減した目的物を効率よく得ることが可能となる。
すなわち、本発明の製造方法の提供は、樹脂原料等の工業的な製造において非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、下記反応式で示される方法である。
【化5】
(式中、Rは炭素原子数1~8のアルキル基を示す。)
【0009】
<クロロ酢酸エステル類>
本発明の製造方法において使用する、クロロ酢酸エステル類の式中の「R」は、炭素原子数1~8のアルキル基あり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の直鎖状アルキル基、i-プロピル基、t-ブチル基等の分岐鎖状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素原子数1~4のアルキル基が好ましい。
本発明の製造方法においては、アルキルエステル部分が異なる2種以上のクロロ酢酸エステル類を併用してもよいが、目的物である上記式(2)で表される2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’ビナフチル類の精製を簡便なものとするために、1種類のクロロ酢酸エステル類を使用することが好ましい。
このクロロ酢酸エステル類の使用量は、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールに対する仕込みモル比として、理論値(2.0)以上であれば、特に限定されるものではないが、通常2モル以上を使用し、好ましくは2.1~3.0モル使用し、より好ましくは2.2~2.8モル使用する。
【0010】
<反応溶媒>
本発明の製造方法は、炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒中で反応を行うことを特徴とするものである。炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒としては、具体的に、例えば、ジエチルケトン(炭素原子数:5)、メチルイソブチルケトン(炭素原子数:6)、シクロヘキサノン(炭素原子数:6)、メチルアミルケトン(炭素原子数:7)、2-オクタノン(炭素原子数:8)等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
中でも炭素原子数6~8の脂肪族ケトンが好ましい。また、脂肪族ケトンの構造としては、直鎖状又は鎖状の脂肪ケトンが好ましい。
炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒の使用量は、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール100重量部に対して、150~500重量部の範囲で使用することが好ましく、200~300重量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0011】
<アルカリ金属ヨウ化物>
本発明の製造方法は、アルカリ金属ヨウ化物存在下で反応を行うことを特徴とするものである。アルカリ金属ヨウ化物としては、具体的には、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。これらは、単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
中でもヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属ヨウ化物の使用量は、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール1モルに対して、1~25モル%の範囲が好ましく、2~15モル%の範囲がより好ましく、2.5~10モル%の範囲がさらに好ましく、3~5モル%の範囲が特に好ましい。
本発明の製造方法は、メチルイソブチルケトンなどの低誘電率の炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒中でも、アルカリ金属ヨウ化物存在下において反応を行うことにより、副生成物の生成を抑制し、かつ、十分な反応速度で反応を進行させることができる。よって、反応効率よく目的物である上記式(2)で表される2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類を得ることが可能となる。これにより、反応時間を短縮することができるため、工業的な製造において非常に有用な手法となる。また、メチルイソブチルケトンなどの水への溶解性の低い炭素原子数5~8の脂肪族ケトンを反応溶媒として用いることにより、反応後の水洗操作が、エマルジョン等になることなく容易に行うことが可能となるため、反応後処理にかかる時間を短縮できるだけでなく、反応に使用するアルカリ金属ヨウ化物や、併用可能な塩基由来の無機塩の除去も容易に行うことができる。
【0012】
<反応条件>
本発明の製造方法の反応温度は、50~150℃の範囲が好ましく、70~130℃の範囲がより好ましく、90~110℃の範囲がさらに好ましい。反応温度が高いと、目的物である2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’ビナフチル類の加水分解等により収率が低下する。反応温度が低いと反応速度が遅くなり好ましくない。反応圧力は、通常、常圧下で行われるが、使用する炭素原子数5~8の脂肪族ケトン溶媒の沸点によっては、反応温度が前記範囲内になるように、加圧または減圧下で行ってもよい。
本発明の製造方法では、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールを塩基により造塩してから、クロロ酢酸エステル類と反応させることが好ましい。このような塩基としては、特に限定されないが、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物のほか、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基などが好適に使用することができる。中でも、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが好ましい。この塩基の使用量は、1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール1モルに対して、2.0~2.5モルが好ましく、2.05~2.15モルがより好ましい。
【0013】
<反応終了>
反応の終点は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー分析により確認することができる。未反応の1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオールが消失し、目的物の増加が認められなくなった時点を反応の終点とするのが好ましい。反応時間は、反応温度等の反応条件により異なるが、通常1~30時間程度で終了する。
反応終了後、反応液に水を加えて撹拌後、静置して水層を分離する水洗操作を、2回以上複数回実施することにより、反応液中の無機塩を除去することができる。水洗操作1回の水の使用量は、使用した1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール100重量部に対して、150~600重量部の範囲で使用することが好ましく、200~400重量部の範囲で使用することがより好ましく、温度としては、60~100℃の範囲が好ましく、70~90℃の範囲がより好ましい。撹拌については、油層が水層と十分に接触すればよく、必要な時間は装置によって異なるが、通常30分程度すれば十分である。水洗操作後の油層から目的物である2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類を精製、単離するのが好ましく、例えば、常法に従い、水洗操作後、晶析、ろ過、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による分離などの後処理操作を行い、目的物である2,2’-ビス(アルコキシカルボニルメトキシ)-1,1’-ビナフチル類を得ることができる。さらに純度を高めるため、常法に従い蒸留や再結晶、カラムクロマトグラフィーによる精製を行ってもよい。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
分析方法は以下の通りである。
<分析方法>
1.反応液中の目的物濃度、反応収率及び反応終点の確認
測定装置 :高速液体クロマトグラフィー分析装置((株)島津
製作所製)
ポンプ :LC-20AD
カラムオーブン :CTO-20A
検出器 :SPD-20A
カラム :HALO-C18
オーブン温度 :50℃
流量 :0. 7ml/min
移動相 :(A)アセトニトリル、(B)0.1vol%リン
酸水
グラジエント条件:(A)体積%(分析開始からの時間)
30%(0min)→100%(12min)
→100%(15min)
検出波長 :280nm
【0015】
<実施例1>
・本発明の製造方法
1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール600g、メチルイソブチルケトン1500g、炭酸カリウム608.2g、ヨウ化カリウム10.4gを4つ口フラスコに仕込み、100℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌した。撹拌後、減圧下でメチルイソブチルケトン600gを留出させた後に、クロロ酢酸エチル565g、N-メチルピロリドン5.1gの混合溶液を調製した後、この混合溶液を反応液の温度を90~100℃に保ちながら滴下した。さらに9時間撹拌後、高速液体クロマトグラフィーによる反応液中の目的物の濃度(面積百分率法)は98.4%であり、検量線を用いて算出した反応収率は99.2%であった。その後、水1500gを加え80℃まで昇温した後、静置したところ、5分以内に透明な2層に分離した。水層を除去した後のオイル層中の残存カリウム濃度は0.19重量%であり、カリウム除去率は99.5%と、無機塩除去効果に優れていることが確認された。オイル層にさらに、水1500gを加え80℃まで昇温した後、静置したところ、5分以内に透明な2層に分離した。
なお、上記実施例1の実験スケール(全容量:4~5L)において、5分以内で2層分離する分液操作であれば、実施スケール(全容量:1000~2000L)においても1時間以内に2層分離し、短時間での分液操作が可能であることを別途確認した。
【0016】
<比較例1>
・アルカリ金属ヨウ化物を添加しない製造方法
1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール50g、メチルイソブチルケトン125g、炭酸カリウム50.7gを4つ口フラスコに仕込み、100℃まで昇温し、同温度で2時間撹拌した。撹拌後、減圧下でメチルイソブチルケトン50gを留出させた後に、クロロ酢酸エチル47.1g、N-メチルピロリドン0.4gの混合溶液を調製した後、この混合溶液を反応液の温度を90~100℃に保ちながら滴下した。さらに9時間撹拌後、高速液体クロマトグラフィーによる反応液中の目的物の濃度(面積百分率法)は81.8%であり、検量線を用いて算出した反応収率は77.5%であった。さらに反応を続けたところ、24時間撹拌後の反応液中の目的物の濃度(面積百分率法)は83.1%であり、検量線を用いて算出した反応収率は76.4%であった。
【0017】
<比較例2>
・炭素原子数5~8の脂肪族ケトン以外の反応溶媒を使用した製造方法
1,1’-ビナフタレン-2,2’-ジオール30g、アセトニトリル90g、炭酸カリウム30.4g、ヨウ化カリウム0.52gを4つ口フラスコに仕込み、70℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌した。クロロ酢酸エチル28.2g、N-メチルピロリドン0.3gの混合溶液を調製した後、この混合溶液を反応液の温度を70~80℃に保ちながら滴下した。さらに6時間撹拌後、高速液体クロマトグラフィーによる反応液中の目的物の濃度(面積百分率法)は99.3%であり、検量線を用いて算出した反応収率は99.6%であった。その後、水75gを加え70℃まで昇温した後、静置したところ、5分以内に透明な2層に分離した。水層を除去した後のオイル層中の残存カリウム濃度は1.22重量%であり、カリウム除去率は96.5%と、上記実施例1の製造方法に比べて無機塩除去効率に劣ることが確認された。オイル層にさらに、水75gを加え70℃まで昇温した後、静置したところ、オイル層がエマルジョン化し分液不良であったが、1時間後に透明な2層に分離した。
なお、上記比較例2の実験スケール(全容量:0.3L)において、2層分離するまでに1時間を要することから、実施スケール(全容量:1000~2000L)においては、分液操作に長時間必要となることが予想される。このため、比較例2の製造方法は、製造効率が著しく悪化するため、実施スケールでは採用できないと判断した。
【0018】
<比較例3>
・比較例2のアルカリ金属ヨウ化物を添加しない製造方法
比較例2の方法で、ヨウ化カリウムを加えずに同様の反応を行った。6時間撹拌後、高速液体クロマトグラフィーによる反応液中の目的物の濃度(面積百分率法)は84.4%であり、検量線を用いて算出した反応収率は83.0%であった。さらに反応を続けたところ、12時間撹拌後の反応液中の目的物の濃度(面積百分率法)は99.0%であり、検量線を用いて算出した反応収率は99.2%であった。
なお、この製造方法においても、比較例2と同様に、分液操作に1時間程度の時間を要した。