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特許7562932ホルダーを位置付けるための変形可能なデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ホルダーを位置付けるための変形可能なデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/24 20060101AFI20241001BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20241001BHJP
【FI】
G02B21/24
G02B7/04 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021577962
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020068132
(87)【国際公開番号】W WO2020260655
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】19305859.1
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518436250
【氏名又は名称】パリ シアンス エ レットル
(73)【特許権者】
【識別番号】510309020
【氏名又は名称】セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(セ・エン・エル・エス)
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラドウ、ゲール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエイユ、ティボー
(72)【発明者】
【氏名】クロケット、ヴィンセント
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-130957(JP,A)
【文献】米国特許第04767188(US,A)
【文献】独国特許出願公開第03234618(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の方向(2)に従って物体を位置付けるデバイス(1)であって、
-フレーム(3)と、
-前記物体を保持するホルダー(4)であって、前記ホルダー(4)は、前記所与の方向(2)に従って、前記フレーム(3)に対して移動可能である、ホルダー(4)と、
-第1の点(6)から第2の点(7)に延びるメインレバー(5)であって、前記メインレバー(5)は、前記メインレバー(5)の前記第1の点(6)で、前記メインレバー(5)及び前記フレーム(3)を接続する第1の枢動リンク(9)を介して、前記フレーム(3)に回転可能に取り付けられている、メインレバー(5)と、を備え、
前記メインレバー(5)は、第2の枢動リンク(10)を介して、第3の点(8)で前記ホルダー(4)に接続され、前記第3の点(8)は、前記第1の点(6)と前記第2の点(7)との間に配置され、それにより、前記メインレバー(5)の前記第2の点(7)が前記フレーム(3)に対して前記所与の方向(2)に従って変位すると、前記ホルダー(4)が前記方向(2)に変位し、前記ホルダー(4)の前記変位は、前記第2の点(7)の前記変位の振幅よりも小さい振幅を有し、
前記デバイス(1)は、第3の枢動リンク(12)を介して前記ホルダーに接続された二次レバー(11)を含み、前記二次レバー(11)は、第4の枢動リンク(13)を介して前記メインレバー(5)に接続され、第5の枢動リンク(14)を介して前記フレームに回転可能に取り付けられ、前記第3の枢動リンク(12)は、前記第4の枢動リンク(13)と前記第5の枢動リンク(14)との間に配置されている、デバイス(1)。
【請求項2】
前記第1の枢動リンク(9)及び/又は前記第2の枢動リンク(10)は、ねじりバネである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
単一の材料片で作製され請求項1又は2に記載のデバイス
【請求項4】
前記材料は、金属とポリマーとの間で選択される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記材料が、100MPaを超える極限引張強さを有する、請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の枢動リンク(9)及び/又は前記第2の枢動リンク(10)は、前記メインレバー(5)に対する前記材料の狭窄部である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の点(7)で前記メインレバー(5)に接続された可動部分(16)を更に備え、前記可動部分(16)は、アクチュエータ(15)によって前記所与の方向(2)に変位するように適合されている、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
別のメインレバー(5)を含み、前記メインレバーが、前記ホルダー(4)の2つの対面する側に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
各メインレバー(5)は、前記ホルダー(4)の両側に対称的に配置されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ホルダー(4)の2つの対面する側に配置された2つの二次レバー(11)を含み、各二次レバー(11)が、前記ホルダー(4)の両側に対称的に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイスを備えるアセンブリであって、前記第2の点(7)を少なくとも前記所与の方向(2)に移動させるように構成されたアクチュエータ(15)を更に備える、アセンブリ。
【請求項12】
請求項7に記載のデバイスを備えるアセンブリであって、前記アクチュエータ(15)は、先端(18)を有する電動ねじであり、前記先端(18)は、前記可動部分(16)に接触して配置されており、それにより、前記ねじを作動させると、前記第2の点(7)が前記所与の方向(2)に変位する、アセンブリ。
【請求項13】
前記アクチュエータ(15)は、前記フレーム(3)に固定された第1の部分と、前記第1の部分に対して移動可能である第2の部分とを備え、前記デバイスは、前記第2の部分に取り付けられた磁石と、前記第2の部分の動きによって引き起こされる磁場の変化を検出するように適合された磁場センサとを更に備える、請求項11又は12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス(1)又は請求項11から13のいずれか一項に記載のアセンブリを備え、顕微鏡対物レンズを更に備え、前記対物レンズは前記ホルダー(4)によって保持される、システム。
【請求項15】
光学対物レンズに焦点を合わせるための、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス又は請求項11から13のいずれか一項に記載のアセンブリ又は請求項14に記載のシステムの、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロビーズなどの1つ又はいくつかの物体の位置を測定するためのデバイスに関する。このデバイスは、顕微鏡対物レンズの焦点位置を精密に作動させるための特定の用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
DNA分子とタンパク質などの他の成分との相互作用を研究するために、DNA分子を伸縮力にさらし、分子の弾性特性(すなわち、相対的な伸び対力の特性)を測定することが知られている。
【0003】
欧州特許第3181703(A1)号は、例えば、光学撮像システムを含む、所与の方向に沿った物体の位置を測定するための光学デバイスを開示している。このデバイスでは、透過マスクは、検出器によって記録された画像内に2つのスポットを生成するように、測定されるべき物体によって拡散される光放射から2つの放射部分を選択することを可能にする。所与の方向を横切る、第2の方向に沿った2つのスポット間の距離が、ビーズと撮像システムの物体平面との間の距離と比例するため、画像から、所与の方向に応じたビーズの位置を推測することができる。
【0004】
そのような光学デバイスでは、光学撮像システムは顕微鏡対物レンズを含む。顕微鏡対物レンズは、ホルダーによって支持される。所与の方向におけるホルダーの位置は、圧電デバイスによって作動される。圧電デバイスは、制御電圧を受けた後に、高速応答時間でホルダーを作動させるという利点を有する。
【0005】
しかしながら、そのような圧電デバイスの価格は非常に高い。
【0006】
更に、圧電デバイスは、その位置を維持するために印加電圧の連続制御を必要とする。関連する電圧フィードバックは、機械的ノイズを導入し、所与の方向におけるビーズの位置の測定を妨げ得る。高価な高品質の電子フィードバックの助けを借りてこの機械的ノイズを低減することが知られているが、このノイズは、完全に排除することができない。
【発明の概要】
【0007】
先行技術の上記の問題に対応するためのデバイスが開発されている。所与の方向に従って物体を位置決めするように適合されたデバイスは、
-フレームと、
-物体を保持するホルダーであって、ホルダーは、所与の方向に従って、フレームに対して移動可能である、ホルダーと、
-第1の点から第2の点に延在するメインレバーであって、当該メインレバーは、メインレバーの第1の点で、メインレバー及びフレームを接続する第1の枢動リンクを介して、フレームに回転可能に取り付けられている、メインレバーと、を備え、
メインレバーは、第2の枢動リンクを介して、第3の点でホルダーに接続され、第3の点は、第1の点と第2の点との間に配置され、それにより、メインレバーの第2の点がフレームに対して所与の方向に従って変位すると、ホルダーが当該方向に変位し、ホルダーの当該変位は、第2の点の変位の振幅よりも小さい振幅を有し、
-デバイスは、第3の枢動リンクを介してホルダーに接続された二次レバーを含み、二次レバーは、第4の枢動リンクを介してメインレバーに接続され、第5の枢動リンクを介してフレームに回転可能に取り付けられ、第3の枢動リンクは、第4の枢動リンクと第5の枢動リンクとの間に配置されている。
【0008】
本発明の更なる任意の態様において、
-デバイスは、別のメインレバーを含み、2つのメインレバーは、ホルダーの2つの対面する側に配置されており、それにより、別のメインレバーは、当該別のメインレバーの別の第1の点から当該別のメインレバーの別の第2の点に延び、当該別のメインレバーは、別の第1の点で、別のメインレバー及びフレームを接続する別の第1の枢動リンクを介して、フレームに回転可能に取り付けられ、別のメインレバーは、別の第1の点と他の第2の点との間に配置された当該別のメインレバーの別の第3の点で、ホルダーに接続され、それにより、別の第2の点がフレームに対して所与の方向に従って変位すると、ホルダーが当該方向に変位し、ホルダーの当該変位は、別の第2の点の変位の振幅よりも小さい振幅を有し、
-各メインレバーは、ホルダーの両側に対称的に配置されており、
-第1の枢動リンク及び/又は第2の枢動リンクは、ねじりバネ(単数又は複数)であり、
-デバイスは、単一の材料片で作製され、材料は、金属とポリマーとの間で特に選択され、好ましくは、材料は、100MPaを超える極限引張強さを有し、
-第1の枢動リンク及び/又は第2の枢動リンクは、メインレバーに対する材料の狭窄部であり、
-デバイスは、別の二次レバーを含み、二次レバーは、ホルダーの2つの対面する側に配置されており、それにより、別の二次レバーは、別の第3の枢動リンクを介して、ホルダーに接続され、別の二次レバーは、別の第4の枢動リンクを介して、メインレバーに接続され、別の第5の枢動リンクを介して、フレームに回転可能に取り付けられ、別の第3の枢動リンクは、別の第4の枢動リンクと別の第5の枢動リンクとの間に配置され、二次レバーは、ホルダーの両側に対称的に配置されており、
-デバイスは、第2の点でメインレバー(単数又は複数)に接続された可動部分を備え、可動部分は、アクチュエータによって所与の方向に変位するように適合されている。
【0009】
本発明の別の態様は、デバイスを備えるアセンブリであり、各第2の点を少なくとも当該所与の方向に移動させるように構成されたアクチュエータを更に備える。
【0010】
本発明の更なる任意の態様において、
-アクチュエータは、先端を有する電動ねじであり、先端は、可動部に接触して配置されており、それにより、ねじを作動させると、第2の点(単数又は複数)が所定の方向に変位し、
-アクチュエータは、フレームに固定された第1の部分と、第1の部分に対して移動可能である第2の部分とを含み、デバイスは、第2の部分に取り付けられた磁石と、第2の部分の動きによって引き起こされる磁場の変化を検出するように適合された磁場センサとを更に備える。
【0011】
本発明の別の態様は、デバイス又はアセンブリ、及び顕微鏡対物レンズを含むシステムであり、対物レンズは、デバイスのホルダーによって保持される。
【0012】
本発明の別の態様は、光学対物レンズに焦点を合わせるための、デバイス、アセンブリ、及び/又はシステムの使用である。
【0013】
本発明の別の態様は、マイクロミラーを移動させるためのデバイスの使用である。
【0014】
本発明の別の態様は、光ファイバを整列させるためのデバイスの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の図面を参照して、例として説明される。
図1】本発明のあり得る実施形態によるデバイスを概略的に示す図である。
図2】デバイスを概略的に示す上面図である。
図3】デバイスを概略的に示す側面図である。
図4】本発明のあり得る実施形態による、デバイスのねじりバネのねじれを概略的に示す図である。
図5】本発明のあり得る実施形態によるシステムを概略的に示す図である。
図6】本発明のあり得る実施形態によるシステムを概略的に示す側面図である。
図7】本発明のあり得る実施形態による、デバイスのエンコーダの出力を示す図である。
図8】本発明のあり得る実施形態による、アセンブリのプログラマブルゲインアンプのゲインを示す図である。
図9】本発明のあり得る実施形態による、デバイスの磁気センサからの磁石の磁場の振幅を示す図である。
図10】本発明のあり得る実施形態による、デバイスの磁気センサからの磁石の様々な距離に対する振幅の比を示す図である。
図11】ゲインにわたる振幅の比の様々な値に対する磁石の回転数を示す図である。
図12】本発明の可能な実施形態によるシステムのハードウェア構成を概略的に示す図である。
図13】先行技術のシステムを用いた、経時的な所与の方向に従うビーズの位置の構成要素の測定を示す図である。
図14】先行技術のシステムを用いた、経時的な所与の方向に従うビーズの位置の構成要素の測定のズーム図である。
図15】先行技術のシステムを用いた、経時的な所与の方向に従うビーズの位置の構成要素の測定を示す図である。
図16】先行技術のシステムを用いた、経時的な所与の方向に従うビーズの位置の構成要素の測定を示す図である。
図17】本発明のあり得る実施形態によるシステムを用いた、経時的な所与の方向に従うビーズの位置の構成要素の測定値を示す図である。
図18】本発明のあり得る実施形態によるシステムを用いた、経時的な所与の方向に従うビーズの位置の構成要素の測定のズーム図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
基本原理
図1図2、及び図3を参照すると、デバイス1は、所与の方向2に従って物体を位置決めするように適合されている。デバイス1は、好ましくは地面に固定されるように構成されたフレーム3を備える。デバイス1はまた、ホルダー4を備える。ホルダー4は、デバイス1によって精密に作動されるべき任意の物体を保持することができる。好ましくは、ホルダー4は、光学機器を保持するように構成されている。光学機器は、好ましくは顕微鏡対物レンズ19である。フレーム3及びホルダー4は、ホルダー4が所与の方向2に移動可能であるように構成されている。
【0017】
デバイス1は、メインレバー5を備える。メインレバー5は、少なくともメインレバー5の第1の点6からメインレバー5の第2の点7に延びる。メインレバー5は、第1の枢動リンク9を介して、フレーム3に回転可能に取り付けられている。第1の枢動リンク9は、メインレバー5の第1の点6で、メインレバー5及びフレーム3を接続する。
【0018】
メインレバー5は、第3の点8でホルダー4に機械的に接続されている。好ましくは、メインレバー5は、第3の点8でホルダー4に回転可能に接続されている。第3の点8は、第1の点6と第2の点7との間に配置される。したがって、フレーム3に対して、かつ所与の方向2に従って所与の振幅でメインレバー5の第2の点7が変位すると、より小さな振幅でホルダー4が変位する。メインレバー5は、好ましくは、当該メインレバー5の第2の枢動リンク10を介して第3の点8でホルダー4に接続されている。したがって、メインレバー5を作動させるときにホルダー4の並進が起こり得る。
【0019】
第1の点6と第3の点8との間の距離がLに等しく、第1の点6と第2の点7との間の距離がLに等しいとすると、デバイス1の機械的低減比は、比r=L/Lで与えられる。
【0020】
デバイス1は、好ましくは、可動部分16を備える。可動部分16は、第2の点7でメインレバー5に接続されている。可動部分16は、第2の点7及びメインレバー5を作動させるように、所与の方向2に変位するように適合されている。デバイス1がいくつかのメインレバー5、例えば、2つの対称的なメインレバー5を含む場合、可動部分16は、メインレバー5の各々に接続することができ、それにより、可動部分16が作動されると、各メインレバー16の各第2の点7が作動される。可動部分16は、メインレバー(単数又は複数)5に固定されて取り付けることができる。フレーム3、ホルダー4、メインレバー(単数又は複数)5、及び好ましくは、可動部分16は、図1及び図2に示されるように、モノリシック本体を形成することができる。
【0021】
二次レバー(単数又は複数)11
デバイス1は、好ましくは、メインレバー5に関連付けられた二次レバー11を少なくとも備える。二次レバー11は、第3の枢動リンク12を介して、ホルダー4に接続されている。二次レバー11はまた、第4の枢動リンク13を介してメインレバー5に接続され、第5の枢動リンク14を介してフレーム3に回転可能に取り付けられている。第3の枢動リンク12は、第4の枢動リンク13と第5の枢動リンク14との間に配置されている。したがって、第3の点8及び第3の枢動リンク12を通過する線に沿ったホルダー4の動きを回避又は最小限に抑えることが可能である。実際、所与の方向2を横切るホルダー4に適用される力成分は、それ自体を打ち消す。二次レバー11は、ホルダー4の横方向の運動を回避すること、及び/又は所与の方向2に対するホルダー4の移動中でのホルダー4の傾斜を回避することを可能にする。
【0022】
第4の枢動リンク13は、好ましくは、第3の点8及び第3の枢動リンク12を通過する線上に、好ましくは、第3の点8及び第3の枢動リンク12から等距離に投影されたときに、ホルダー4の中心に配置される。したがって、第2の枢動リンク10及び第5の枢動リンク14に適用されるモーメントは、等しくてもよい。
【0023】
対称性
デバイス1は、好ましくは、ホルダー4の2つの対面する側に配置された2つのメインレバー5を備える。したがって、デバイス1を作動させたときに、メインレバー5及びホルダー4の横方向の運動を回避することが可能である。また、デバイス1が作動されたときにホルダー4が傾斜することを回避することも可能になる。
【0024】
各メインレバー5は、好ましくは、ホルダー4に対して、特にホルダー4の中心に対して、ホルダー4の両側に対称的に配置される。したがって、1つのメインレバー5によって誘発される潜在的な横方向の力を相殺し、次いでホルダー4の横方向の運動を回避することが可能である。
【0025】
デバイス1は、好ましくは、2つの二次レバー11を含み、各二次レバー11は、メインレバー5に関連付けられている。2つの二次レバー11は、ホルダー4の2つの対面する側に配置され、ホルダー4の両側で対称である。したがって、メインレバー5が作動されたときに、所与の方向2に対するホルダー4の任意の横方向の運動を回避することが可能である。
【0026】
枢動リンク
デバイス1の少なくとも1つの枢動リンク(好ましくは、第1の枢動リンク9、第2の枢動リンク10、第3の枢動リンク12、第4の枢動リンク13、第5の枢動リンク14、及び/又はメインレバー5を可動部分16に接続する枢動リンク)は、ねじりバネであり得る。したがって、デバイス1の製造が簡略化される。ねじりバネを使用する別の効果は、デバイスの作動を簡素化することである。所与の方向2に対するホルダー4の変位は、所与の方向2に対するメインレバー5の作動によって発生し、所定の方向と反対の方向へのホルダー4の変位は、各ねじりバネの逆作用のためにアクチュエータを押し戻すときに発生する。
【0027】
好ましくは、第1の枢動リンク9及び第5の枢動リンク14のねじりバネは、等しいねじり係数を有する。好ましくは、第2の枢動リンク10及び第3の枢動リンク12のねじりバネは、等しいねじり係数を有する。特に、全てのねじりバネが等しいねじり係数を有する。
【0028】
図4を参照すると、ねじりバネは、好ましくは、2つの要素を接続するように適合された材料片である。ねじりバネは、その先端の各々で別の要素に接続された長方形の直方体であり得る。このようなねじりバネのねじり係数は、ねじりバネの材料、その幅a、その高さb、及びその長さlの選択によって決まる。
【0029】
デバイス1は、好ましくは、モノリシックであり、すなわち、フレーム3、ホルダー4、メインレバー5、及びねじりバネ、特に二次レバー11及び可動部分16を含む単一の材料片で作製されている。したがって、異なる要素は対称であり得、正確に同じ機械的特性を有し、したがって、作動されるとホルダー4の方向2に対するいかなる傾斜及び横方向の運動も回避する。
【0030】
デバイス1は、単一の材料片で作製されたときに、積層造形、即ち3D印刷によって製造することができる。好ましくは、第1の枢動リンク9及び/又は第2の枢動リンク10は、メインレバー5に対する材料の狭窄部である。デバイス1の材料は、金属とポリマーとの間で、好ましくは金属の間で選択することができる。したがって、金属の熱伝導特性は、ホルダーの熱化を最適化するのに役立つ。材料は、好ましくは、100MPa超、特に280MPa超の引張強さを有し、これは、方向2に沿った運動の可逆的弾性変形の範囲を延ばすことを可能にする。材料は、例えば、アルミニウム、好ましくはアルミニウム7075であり得る。
【0031】
デバイス1はまた、従来の機械加工、マイクロ機械加工、リフトオフ、及びフォトリソグラフィ技術によって製造することができ、その結果、デバイス1を製造するために、小型化する(マイクロメトリック寸法を有する)ことができる。例えば、メインレバー5の厚さは、10μm未満であり得る。デバイス1の最大長は100μm未満であり得、方向2に沿った位置の調整可能な範囲は10μm未満であり得る。
【0032】
ダイナミックレンジ
所与の方向2に対して長さdzにわたりホルダー4が並進する場合、第2の点7(及び好ましくは、可動部分16)は、長さz=r.dzだけ並進する必要がある。最大ねじれは、第4の枢動リンク13で発生し、次のように表される:θ=(2.z)/L、θはねじりバネのねじれであり、バネの一方の端ともう一方の端との角度差によって定義され、デバイス1が作動していないときの状態(つまり、θ=0)を基準にしている。
【0033】
ねじれの微小角度(単位長さ当たりのねじれ)は次の式で与えられる。
【数1】
【0034】
ねじりバネの可逆的変形を維持するには、ねじりによって引き起こされる最大の局所的な拘束が材料の弾性の限界を超えないようにする必要がある。Tを最大局所拘束、つまりねじりバネの上下の点のせん断拘束と呼ぶと、次のように書くことができる。
【数2】
式中、Gは材料の横弾性係数であり、金属材料の場合は式G=0.4Eで与えられ、Eは材料のヤング率であり、Relは材料の弾性変形の限界である。これらの式は、弾性変形をアクチュエータの最大伸びに制限するための基準の設計につながる。
【数3】
【0035】
E及びRelの値は、焦点のダイナミックレンジを最適化するように適合できる。アルミニウム系合金は、それらの熱伝導率が高いため、デバイス1を製造するために選択できる。これらの合金の中で、アルミニウム7075は、E=71GPa、Rel=470MPaの値で、最良の妥協点を提供するものである。この合金は、最高レベルの弾性(可逆的)変形を提供するものである。
【0036】
デバイス1は、ホルダー4の所与の方向2に十分な並進範囲を提供し、様々な顕微鏡対物レンズへの適応(例えば、様々な作動距離で)を可能にすることが望ましい。メインレバー5が押し出されるのみである場合、並進範囲は、例えば200μm超で選択することができる。好ましくは、メインレバー5を第2の点及び/又は可動部分16で押し引きすると、範囲を2倍にすることができる。
【0037】
表1は、上述の要件に適する様々なパラメータの例である。
【表1】
【0038】
次いで、第2の点7(又は可動部分16)の変位の範囲は、およそz=2mmで与えられ、これは、一方向の約200μm(2方向(所与の方向2及び反対方向に対して)の変形を使用する場合は400μm)の集束調整に相当する。
【0039】
アクチュエータ15
所与の方向2に従って物体の位置を測定するためのアセンブリは、デバイス1と、メインレバー5を第2の点7及び/又は可動部分16で、少なくとも当該所与の方向2に移動させるように構成されたアクチュエータ15と、を備える。
【0040】
アクチュエータ15のアーキテクチャ
図5及び図6を参照すると、アクチュエータ15は、好ましくは、マイクロメトリックねじ24を備える。ねじ24は、デバイス1のメインレバー5及び/又は可動部分16と接触するように適合された先端18を有し、その結果、所与の方向2に従ってデバイス1に力が適用され得て、所与の方向2に第2の点(単数又は複数)の変位をもたらすことができる。
【0041】
ねじ24は、モータ25、例えば、DCモータによって回転駆動される。ねじ24の回転角度は、位置に変換され得る。親ねじ24のピッチは、例えば250μmである。どのタイプのねじでも、親ねじは、ねじ山にいくつかの周期的な非線形性を示す場合がある。これは、アクチュエータ15の位置を測定するときに、所与の方向2に対して1.5μmの絶対精度をもたらし得る。
【0042】
アクチュエータ15の先端18の位置は、外部センサ20で測定することができる。外部センサ20は、ねじ24の回転角度で切り離すことができる。その場合、外部センサ20は、好ましくは、デバイス1とアクチュエータ15との間の接触点に、又は所与の方向2に従ってデバイス1とアクチュエータ15との間の接触点の位置を表す点に配置された、直線状の磁気及び/又は光学エンコーダである。
【0043】
外部センサ20は、好ましくは、回転エンコーダ23である。回転エンコーダ23は、マイクロメトリックねじ24に取り付けられた好適な磁石(単数又は複数)27の2つの極によって生成された磁場の垂直成分の周期的な変化から来る直交信号を測定することができる。この垂直成分は、回転エンコーダ23上に埋め込まれたホールセンサのアレイによって連続的に測定される。ホールセンサのアレイは、エンコーダ23のDSP(デジタル信号プロセッサ)によって処理される直交する2つの信号を送達する。この出力された直交信号は、磁石の1つの完全な回転(360°)内の磁石の角度位置に比例する非常に正確な信号を与える。図7を参照すると、14ビットエンコーダ23は、16384値にわたって磁石の1回転(0~360°)をエンコードする。マイクロメトリックねじが回転すると、磁石の角度及びチップからの磁石の距離が増大し、角度範囲0~360°で周期的な生の値が得られる。
【0044】
しかしながら、直交信号で、原点(磁石とチップ表面との接触点)からの完全な回転数を区別することは不可能である。その場合、回転エンコーダ23はまた、磁石27からの磁場の絶対振幅を測定することができる。磁石がエンコーダ23の検出器から離れて移動するとき、磁場強度は減少する。この測定は、感度が低いが、モータ25によって行われる原点からの完全な回転数を決定することができる絶対粗信号を提供する。プログラマブルゲインアンプ(PGA)からのアナログゲイン信号は、回転エンコーダ23によって連続的に適合されて、磁気信号の検出を増幅し、直交信号の計算のためのほぼ一定の信号レベルを維持することができる。その後、回転エンコーダ23は、磁場の絶対振幅の直接測定値ではなく、直交信号に加えて、2つの他の信号を送達する。
【0045】
図8を参照すると、これら2つの信号のうちの1つは、8ビット整数であるアナログゲイン(PGA)である。ねじ24が3mmを超えて上下に回転すると、ゲインは、距離と共に増加/減少して、磁場の減少を相殺し、次いで、チップの表面から約2mmでその最大値に達する。ゲインはその場合、距離から250μm~2mmの距離の単調関数である。
【0046】
図9を参照すると、2つの信号のもう一方は、PGAによる増幅後の磁場の振幅である。0~2mmの間、ゲインの相殺により、大きさは一定である。2mm後、ゲインは飽和しており、距離で磁場の減少を相殺しない。この時点で、大きさは表面からの距離とともに減少し、表面から2mmから約2.7mmに単調信号を提供する。
【0047】
増幅された振幅とアナログゲインとの組み合わせは、粗い振幅を提供し、どの回転が磁石27であるかを決定するために使用される。
【0048】
図10を参照すると、ゲインにわたる測定された振幅の比は、250μm~2.7mmの間に含まれる、エンコーダ23と磁石27との間の距離の単調信号を与える。
【0049】
図11を参照すると、ゲインにわたる測定された振幅の比から磁石の回転数を計算することが可能である。
【0050】
回転エンコーダ23は、SPI通信プロトコルを使用してマイクロコントローラとインターフェース接続される。較正ステップが実行される。この較正は、3mmにわたってねじ24の完全な前後運動中にゲイン及び振幅を記録するステップを含む。これは、正しい回転数を見つけるために、ゲイン及び振幅の参照テーブルを提供する。
【0051】
熱化
システムの温度の変化は、様々な構成要素の材料の拡張を伴い、したがって、顕微鏡対物レンズ19と観察される物体との間の距離を変化させる。
【0052】
図5を参照すると、好ましくは、デバイス1、アクチュエータ15、及び顕微鏡対物レンズ19を含むシステムの異なる構成要素を、熱化された箱29に配置することができる。
【0053】
熱化された箱29は、熱化された箱内の温度を測定するための少なくとも1つのサーミスタ21、及び少なくとも1つの熱コントローラ、例えば、ペルティエ素子22を備える。これらの要素は、熱化された箱29内の温度を維持するためにマイクロコントローラに接続することができる。
【0054】
ハードウェア制御
図12を参照すると、所与の方向2に従うホルダー4の位置の制御は、好ましくは、マイクロコントローラ501、センサ20、及びモータ電圧コントローラ503を使用して達成される。
【0055】
マイクロコントローラ501は、アクチュエータの実際の位置を予想されるものと比較し、(PWM出力として)制御信号を送達してアクチュエータ15を移動させるモータPIDループを制御するように構成されている。マイクロコントローラ501は、サーバ502、例えばPCに接続されている。
【0056】
センサ20、好ましくは、回転エンコーダ23は、所与の方向2に従ってアクチュエータ15の位置を連続的に測定し、それをマイクロコントローラ501に送信する。
【0057】
モータ電圧コントローラ503は、マイクロコントローラ501からの印加制御信号でモータ25の運動を作動させる。モータ電圧コントローラ503は、DC電源504に接続されている。
【0058】
DCモータ強度の制御
モータ25は、好ましくは、連続運動を可能にするためにDCモータである。モータ25は、好ましくは、強度(又は電流)によって制御される。したがって、モータ25の電力(及びトルクも)は一定に維持され、エネルギー消費が最適化される。
【0059】
パルス幅変調技術(PWM)は、モータ25の遅い変動制御信号を生成するために使用される。これは、一定のピークツーピーク電圧を有する連続高周波方形信号を生成することからなり、そのデューティサイクルは信号の値に比例する。PWM信号は、マイクロコントローラ501によって直接計算することができる。しかしながら、マイクロコントローラのPWM出力は、12Vに等しいDCモータの公称電圧を有意に下回る、0~3.3Vの電圧のみを送達することができる。加えて、マイクロコントローラ501によって負の電位を生成することができない。そのような負の電位は、DCモータの回転を逆転させるのに必要である。
【0060】
システムは、好ましくは、中間電子チップを備えることができる。チップは、2つのHブリッジを提供し、マイクロコントローラ501の出力に実装される。各ブリッジは、1つのPWM信号入力、及び当該チップの出力電圧の符号を制御するための2つのオン/オフ信号を取る。その場合、出力は、絶対電圧レベルが12Vに増幅される(器具の共通の外部電力によって提供される)、及びPWM出力の極性も逆にすることができることを除いて、PWM入力信号のコピーである。
【0061】
2つのHブリッジのうちの1つは、12Vのその公称電圧でDCモータを駆動する出力PWMを生成するように構成されている。
【0062】
PWM電圧信号を用いてDCモータを制御するとき、アクチュエータの運動中に一定のトルクを保持するために、モータの強度応答周波数よりも高いPWM周波数を設定することが好ましい。例えば、強度周波数は、
【数4】
である。したがって、マイクロコントローラ501のPWM周波数は、おおよそ一定のトルクを保つために50kHzに設定される。
【0063】
回路内の抵抗器及びその電圧の単純な電圧測定値を追加して、Hブリッジによって送達される平均電流を連続的に監視することができる。したがって、必要に応じて、トラブルシューティング信号を測定することができる。
【0064】
結果
ホルダー4の機械的安定性は、本発明のデバイス1及びホルダー4を作動させるための先行技術の圧電デバイスを使用して測定される。
【0065】
分子の伸びの測定(Ding,F.,Manosas,M.,Spiering,M.M.,Benkovic,S.J.,Bensimon,D.,Allemand,J.F.,&Croquette,V.,2012,「Single-molecule mechanical identification and sequencing」,Nature methods,9(4),367の書類に記載される)は、様々なノイズ源間で行われる。
【0066】
顕微鏡対物レンズ19を介した時間tでの1つのマイクロビーズiの測定を考慮すると、生信号は次のように書く。
【数5】
式中、zi、bead(t)はビーズからの信号であり、zinst(t)は機器ノイズからの信号への寄与である(様々な源からの機械的ノイズ及び熱ドリフトを含む)。
【0067】
ビーズiが実際のヘアピンである場合、生信号は次のように書く。
【数6】
式中、zi、mol(t)は分子信号(伸び、ブラウン運動、及び全ての分子固有のノイズを含む)であり、zi、SDI(t)は光学ノイズである。
【0068】
参照固定ビーズjの場合、信号z(t)は次のように書く。
【数7】
【0069】
この場合、1つの参照ビーズの生信号は、光学精度を有する機器ノイズの値を提供する。これにより、いくつかの参照ビーズの平均をとることによって、光学ノイズを相殺することが可能である。機器ノイズからの1つのヘアピンの測定値は、次を計算することによって修正され得る。
【数8】
式中、〈z(t)〉は、全ての参照ビーズ信号の平均である。しかしながら、このプロセスにより、大きい機器ノイズが存在する場合の信号の品質が大幅に向上するが、光学精度を1nm(すなわち、σSDI=1nm)と仮定すると、値zinst(t)を0.1nmの精度で測定するには、100個の参照ビーズの測定値を平均してから、測定値を適切に修正する必要がある。
【0070】
その場合、測定の質を改善するためには、可能な限り機器ノイズを低減することが重要である。
【0071】
図13図14図15、及び図16を参照すると、ビーズのノイズ特性を測定するために、先行技術の圧電デバイスを備えるシステムが使用されている。
【0072】
18個の参照ビーズは、目的の位置を変化させることなく、数分間にわたって、単一の視野でフローセル表面に固定される。先行技術の圧電デバイスは、ホルダー4の位置を維持するために使用される。図13は、固定ビーズの位置z(所与の方向2の位置)の変動を重ね合わせた記録を示す。図14は、より短い時間スケールで図13に示されるデータの一部を示す。
【0073】
2つの異なるノイズシグネチャを検出することができる。-5nmからほぼ10nmの位置のゆっくりした変化(図13に明らか)が、実験中の熱ドリフトのために発生する。しかしながら、図14に示される変動は、18ビーズ全てに共通する高周波変動を強調する。この高周波の機械的ノイズは、ピエゾ電気デバイス(又はPhysiklnstrumentのピエゾ電気集束要素PIFOC)の高速サーボループによって引き起こされる。
【0074】
全ての他の不動ビーズの平均を差し引くことにより、選択されたビーズの光学測定の変動を、他の一般的な変動源から分離することができる。すなわち、
【数9】
【0075】
図15は、1つの特定のビーズの様々な信号:生信号(a)、全てのビーズの平均(非表示)、及び信号マイナス平均(b)を示す。このビーズの場合、次が測定される。
-全てのノイズ源(熱ドリフト、機械的ノイズ、光学測定ノイズ)を包含する、3.3nmの生信号の標準偏差
-高周波機械ノイズ及び光学ノイズの寄与を含む、1.1nmの生信号の高周波標準偏差(低い熱ドリフトからフィルタリングされる)、
-光学ノイズに対応する、0.3nmの補正信号(b)の標準偏差。
【0076】
視野内の全ての異なるビーズについて測定を繰り返す。
【0077】
100倍の対物レンズを含むシステムは、0.3nmの光学精度、及び1nmの高周波機械的ノイズによって特徴付けられる。
【0078】
図17及び図18を参照すると、対物レンズ及び光学マスクを変化させずに、圧電デバイスがデバイス1に置き換えられていることを除いて、同じ実験(同一のカメラ、設定、及び同じLEDの平均強度を用いて、固定ビーズの位置を記録する)を繰り返した。システムはまた、上記の熱化を含む。
【0079】
図17は、静止するビーズのz方向(所与の方向2)の位置の記録を示す。システムの活性熱化により、実験の過程で非常に少ない(低周波数)熱ドリフトが見られる。
【0080】
このビーズの場合、次が測定される。
-低周波ノイズ(残留熱ノイズ)を含む全ての機器ノイズが含まれる、0.5nmの生信号の標準偏差、
-0.3nmの生信号の高周波標準偏差、及び
-正しい信号に対する0.3nmの標準偏差。
【0081】
生の高周波変動と補正信号の標準偏差との間にノイズの違いが見られないという事実は、集束システムからの機械的ノイズが、他のノイズ源(熱ノイズ及び光学ノイズの残留物)と比較して無視できるほど十分に低減されていることを示す。全てのビーズで同じプロセスを達成すると、同じ結果が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18