IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特許7562933リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス
<>
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図1
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図2
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図3
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図4
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図5
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図6
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図7
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図8
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図9
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図10
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図11
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図12
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図13
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図14
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図15
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図16
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図17
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図18
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図19
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図20
  • 特許-リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20241001BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20241001BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241001BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G02B5/08 A
G02B5/08 C
G03B17/17
G03B30/00
H01L21/78 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023501864
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2021094379
(87)【国際公開番号】W WO2022012148
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】202010693017.5
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ、ジンフイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、フェンペイ
(72)【発明者】
【氏名】フェン、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ミン
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-218304(JP,A)
【文献】特開2006-030511(JP,A)
【文献】特開平09-179969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0086095(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0033528(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第114008876(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/08
G03B 17/17
G03B 30/00
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレクタを製造する方法であって、
シリコンウェハの第1の面上に第1の反射材料膜層を形成する段階であって、前記シリコンウェハの材料は、単結晶シリコンである、段階と、
前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた側にダイシング膜を取り付ける段階と、
第1の切断ブレードを用いることにより前記シリコンウェハの第2の面を切断して、前記シリコンウェハの前記第2の面にベベル溝を形成する段階であって、前記ベベル溝の側壁は、前記シリコンウェハの第2の側面であり、前記シリコンウェハの前記第2の面は、前記第1の面に対向しており、前記第1の切断ブレードの切断深さは前記シリコンウェハの厚さより小さく、前記ベベル溝の前記側壁と前記第2の面との間の夾角は、鈍角である、段階と、
第2の切断ブレードを用いることにより、前記ベベル溝の底面から始めて前記シリコンウェハの切断を継続し、前記第1の反射材料膜層を切断することで、前記シリコンウェハの第1の側面を形成する段階であって、前記第1の側面と前記第1の面との間の夾角は、第1の角度閾値よりも大きく、前記ベベル溝の側壁と前記第1の側面との間の夾角は、第2の角度閾値よりも大きい、段階と、
前記ダイシング膜を剥離する段階と
を備える、方法。
【請求項2】
リフレクタを製造する方法であって、
シリコンウェハの第1の面上に第1の反射材料膜層を形成する段階であって、前記シリコンウェハの材料は、単結晶シリコンである、段階と、
前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハを加工して、前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハに矩形溝を形成する段階であって、前記矩形溝の側壁は、前記シリコンウェハの第1の側面として形成され、前記第1の側面と前記第1の面との間の夾角は、第1の角度閾値よりも大きい、段階と、
前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた側にダイシング膜を取り付ける段階と、
第1の切断ブレードを用いることにより前記シリコンウェハの第2の面を切断して、前記シリコンウェハの前記第2の面にベベル溝を形成する段階であって、前記ベベル溝の側壁は、前記シリコンウェハの第2の側面であり、前記シリコンウェハの前記第2の面は、前記第1の面に対向しており、前記ベベル溝は、前記矩形溝に接続され、前記第2の側面と前記第1の側面との間の夾角は、第2の角度閾値よりも大きく、前記ベベル溝の側壁と前記第2の面との間の夾角は、鈍角である、段階と、
前記ダイシング膜を剥離する段階と
を備える、方法。
【請求項3】
前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハに矩形溝を形成する前記段階は、
前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハを、前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた前記側から始めてエッチングする段階;または
第2の切断ブレードを用いることにより、前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハを、前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた前記側から始めて切断する段階
を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハを、前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて加工する前記段階の前に、前記方法は、
前記シリコンウェハの前記第2の面上にアライメントマークを形成する段階
をさらに備え、
前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハに矩形溝を形成する前記段階は、
基準としての前記アライメントマークを用いることにより、前記第1の反射材料膜層および前記シリコンウェハを、前記第1の反射材料膜層の、前記シリコンウェハとは反対の方向を向いた前記側から始めて加工する段階
を含み、
前記シリコンウェハの前記第2の面にベベル溝を形成する前記段階は、
基準としての前記アライメントマーク、および前記第1の切断ブレードを用いることにより、前記シリコンウェハの前記第2の面を切断する段階
を含む、
請求項2まは3に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコンウェハの第2の面上に第2の反射材料膜層を形成するために、前記第1の反射材料膜層のものと同じ材料を用いる段階;および
前記リフレクタ内の第2の反射膜を取得するために前記第2の反射材料膜層を加工する段階であって、前記第2の反射膜は、前記第2の面上に位置している、加工する段階
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記第1の側面のそれぞれと前記第1の面との間の前記夾角は、互いに等しい、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
複数の前記第2の側面のそれぞれと前記第2の面との間の前記夾角は、互いに等しい、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月17日に出願された、「リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイス」と題する中国特許出願第202010693017.5号の優先権を主張する。当該中国特許出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、光学技術の分野に関し、特に、リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
望遠撮像を実現するために、携帯電話など、電子デバイスは概して、ペリスコープレンズモジュールを用いる。ペリスコープレンズモジュールは、順に配置された正三角柱、レンズセットおよび感光素子を含み得る。正三角柱の傾斜面とレンズセットの光軸との間の夾角は45度であり、傾斜面は、入射光をレンズセットへ反射できる。次に、レンズセットは、反射光を感光素子へ伝送し得る。
【0004】
しかしながら、正三角柱の体積および質量の両方が比較的大きいので、結果として、レンズモジュールの体積が比較的大きくなり、質量が比較的大きくなる。
【発明の概要】
【0005】
本願は、リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイスを提供し、これにより、リフレクタとしての正三角柱の使用がレンズモジュールの比較的大きい体積および比較的大きい質量につながるという、関連技術における技術的課題を解決できる。
【0006】
一態様によれば、リフレクタが提供される。リフレクタは、シリコンベース基板および第1の反射膜を含む。シリコンベース基板は、互いに対向する第1の表面および第2の表面、第1の側面および第2の側面を有する。第1の側面は、第1の表面および第2の側面の両方に接続されており、第2の側面は、第2の表面に接続されている。第1の反射膜は、第1の表面上に位置している。第1の側面と第1の表面との間の夾角は、第1の角度閾値よりも大きく、第2の側面と第1の側面との間の夾角は、第2の角度閾値よりも大きい。第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角である。
【0007】
本願において提供されるリフレクタは、平面構造を有するシリコンベース基板を基材として用いていることで、正三角柱と比較した場合、リフレクタの体積および質量を効果的に低減できる。加えて、リフレクタが傾斜して配置された後に、外側へ突出する直角が第2の側面と第2の表面との間に形成されないことを保証するために、シリコンベース基板の第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角として設計されている。したがって、ペリスコープレンズモジュールに適用されるリフレクタが低減され得る場合に占有される空間、およびさらに、リフレクタの組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。
【0008】
任意選択的に、第2の側面と第1の表面との間の夾角は、45度である。リフレクタがペリスコープレンズモジュールに適用される場合、第1の反射膜とレンズセットの光軸との間の夾角は通常、45度である。したがって、第2の側面と第1の表面との間の夾角も45度と設計されているので、シリコンベース基板の第2の側面がレンズセットの光軸に平行であることを保証でき、これにより、外側へ突出する角度が第2の側面と第2の表面との間に形成されないことが保証され、さらに、シリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクが低減する。
【0009】
任意選択的に、リフレクタは、第2の表面上に位置する第2の反射膜をさらに含み、第2の反射膜の材料は、第1の反射膜のものと同じであってよい。
【0010】
シリコンベース基板の第1の表面および第2の表面は、同じ材料の反射膜でコーティングされており、その結果、薄膜コーティングプロセスにより生成される2種類の応力が互いに相殺されることで、薄膜コーティング中に生成されるシリコンベース基板の変形をさらに低減でき、これにより、調整されたリフレクタの質が保証される。
【0011】
任意選択的に、シリコンベース基板の材料は、ターゲット結晶方位を有する単結晶シリコンである。異なる結晶方位を有する単結晶シリコンのヤング率が異なるので、同じ結晶方位を有する単結晶シリコンを用いてシリコンベース基板を形成することにより、シリコンベース基板の全体的なヤング率の一貫性を保証できる。さらに、シリコンベース基板の応力耐性性能の比較的高い一貫性を保証でき、その結果、シリコンベース基板を用いることにより作成されるリフレクタは、より良い平坦度を有することになる。
【0012】
任意選択的に、ターゲット結晶方位は、(111)である。(111)という結晶方位を有する単結晶シリコンが高いヤング率およびより良い応力耐性を有するので、(111)という結晶方位を有する単結晶シリコンで作られたシリコンベース基板はさらに、製造されたリフレクタの平坦度を保証できる。
【0013】
任意選択的に、第1の反射膜は、絶縁膜または金属膜であってよい。金属膜の材料は、アルミニウム、金および銀のうちの少なくとも1つを含み得る。絶縁膜の材料は、非金属化合物であってよい。
【0014】
任意選択的に、第1の側面の高さは、0に等しく、第1の側面の高さ方向は、第1の表面に垂直である。シリコンベース基板の総厚をさらに低減するために、第1の側面の高さは0と設計されており、これにより、リフレクタの体積および質量が低減する。
【0015】
別の態様によれば、リフレクタを製造する方法が提供される。この方法では、少なくとも1つのリフレクタを取得するために、まず、第1の反射材料膜層が、シリコンウェハの第1の面上に形成され、次に、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層が加工される。各リフレクタは、シリコンウェハを加工することにより取得されるシリコンベース基板、および、第1の反射材料膜層を加工することにより取得される第1の反射膜を含む。シリコンベース基板は、互いに対向する第1の表面および第2の表面、第1の側面および第2の側面を有する。第1の側面は、第1の表面および第2の側面の両方に接続されており、第2の側面は、第2の表面に接続されている。第1の反射膜は、第1の表面上に位置している。第1の側面と第1の表面との間の夾角は、第1の角度閾値よりも大きく、第2の側面と第1の側面との間の夾角は、第2の角度閾値よりも大きい。第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角である。
【0016】
本願において提供される製造方法では、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層は、複数のリフレクタを取得するために加工され得る。このように、リフレクタの大量生産が実現され得ることにより、効果的に、リフレクタ調整効率が向上し、リフレクタ調整コストが低減する。加えて、複数の調整されたリフレクタの性能の一貫性が保証され得る。
【0017】
任意選択的に、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層を加工するプロセスは、まず、リフレクタの第2の側面を形成するために、第1の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの第2の面を切断することであって、第1の切断ブレードの切断深さは、シリコンウェハの厚さよりも小さく、第2の面および第1の面は、シリコンウェハの2つの対向面である、切断すること、および、次に、リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、第2の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの切断を継続し、第1の反射材料膜層を切断することを含み得る。
【0018】
前述の機械的な切断方式は、比較的単純かつ効率的である。加えて、異なる形状の第1の切断ブレードを選択して、異なる傾斜角度を有する第2の側面を形成してよく、これは、異なるリフレクタの設計要件を満たすための一助となる。
【0019】
任意選択的に、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層を加工することは、まず、リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて加工すること、および、次に、リフレクタの第2の側面を形成するために、第1の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの第2の面を切断することであって、第2の面および第1の面は、シリコンウェハの2つの対向する側面である、切断することを含み得る。
【0020】
本願において、代替的に、まず、シリコンウェハの第1の反射材料膜層および第1の面が加工されてよく、次に、シリコンウェハの第2の面が加工される。
【0021】
任意選択的に、第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて加工するプロセスは、第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めてエッチングすること、または第2の切断ブレードを用いることにより、第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて切断することを含み得る。
【0022】
本願において提供される方法では、シリコンウェハの第1の反射材料膜層および第1の面は、リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、異なるプロセスを用いることにより加工され得る。この製造方法は、比較的高い柔軟性を有する。エッチングを通じて第1の反射材料膜層を加工することにより、第1の反射材料膜層が亀裂することを防止でき、エッチングの信頼性が比較的高くなる。
【0023】
任意選択的に、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを加工する前に、まず、アライメントマークが、シリコンウェハの第2の面上に形成されてよく、次に、アライメントマークは、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを加工するための基準として用いられてよく、アライメントマークは、第1の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの第2の面を切断するための基準として用いられてよい。
【0024】
複数のリフレクタを取得するために、2回の加工の後にシリコンウェハが効果的に分離され得ることを保証すべく、まず、アライメントマークがシリコンウェハの第2の面上に形成され、その結果、続いて、シリコンウェハの第1の面および第2の面を順に加工するための基準としてアライメントマークが用いられ得る。
【0025】
任意選択的に、方法は、シリコンウェハの第2の面上に第2の反射材料膜層を形成するために、第1の反射材料膜層のものと同じ材料を用いる段階、およびリフレクタ内の第2の反射膜を取得するために第2の反射材料膜層を加工する段階であって、第2の反射膜は、シリコンベース基板の第2の表面上に位置している、加工する段階をさらに含む。
【0026】
同じ材料で作られた反射材料膜層がシリコンウェハの第1の面および第2の面上に形成され、その結果、薄膜コーティングプロセスにより生成される2種類の応力が互いに相殺され得ることで、薄膜コーティング中に生成されるシリコンウェハの変形がさらに低減されることにより、調整されたリフレクタの平坦度が保証される。
【0027】
さらに別の態様は、レンズモジュールを提供する。レンズモジュールは、前述の態様において提供されるリフレクタと、レンズセットと、感光素子とを含む。レンズセットは、リフレクタと感光素子との間に位置しており、リフレクタ内の第1の反射膜は、シリコンベース基板よりもレンズセットにより近く、第1の反射膜は、入射光をレンズセットへ反射するように構成されている。
【0028】
任意選択的に、シリコンベース基板の第2の側面と第1の表面との間の夾角は、第1の反射膜とレンズセットの光軸との間の夾角に等しい。このように、シリコンベース基板の第2の側面がレンズセットの光軸に平行であることが保証されてよく、これにより、外側へ突出する角度が第2の側面と第2の表面との間に形成されないことが保証され、さらに、シリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクが低減する。
【0029】
任意選択的に、第1の反射膜とレンズセットの光軸との間の夾角は、45度である。
【0030】
さらに別の態様は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、ハウジングと、前述の態様において提供される、ハウジング内に配置されたレンズモジュールとを含む。
【0031】
要約すると、本願の実施形態は、リフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイスを提供する。リフレクタは、平面構造を有するシリコンベース基板を基材として用いていることで、正三角柱と比較した場合、リフレクタの体積および質量を効果的に低減できる。加えて、リフレクタが傾斜して配置された後に、外側へ突出する直角が第2の側面と第2の表面との間に形成されないことを保証するために、シリコンベース基板の第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角として設計されている。したがって、ペリスコープレンズモジュールに適用されるリフレクタが低減され得る場合に占有される空間、およびさらに、リフレクタの組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。また、シリコンベース基板のヤング率が比較的高いので、反射膜を有するシリコンベース基板の表面のコーティングはシリコンベース基板の比較的大きい変形を引き起こさず、これにより、調整されたリフレクタの比較的高い品質を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本願の一実施形態によるリフレクタの構造の概略図である。
【0033】
図2】本願の一実施形態によるペリスコープレンズモジュールの部分構造の概略図である。
【0034】
図3】別のペリスコープレンズモジュールの部分構造の概略図である。
【0035】
図4】光学ガラスが基部として用いられる場合の変形量の概略図である。
【0036】
図5】本願の一実施形態によるシリコンベース基板の構造の概略図である。
【0037】
図6】本願の一実施形態による、(100)という結晶方位を有するシリコンベース基板が基部として用いられる場合の変形量の概略図である。
【0038】
図7】本願の一実施形態による、(111)という結晶方位を有するシリコンベース基板が基部として用いられる場合の変形量の概略図である。
【0039】
図8】本願の一実施形態による別のリフレクタの構造の概略図である。
【0040】
図9】(111)という結晶方位を有するシリコンベース基板が基部として用いられ、シリコンベース基板の2つの表面の両方が反射膜でコーティングされている場合の変形量の概略図である。
【0041】
図10】本願の一実施形態によるさらに別のリフレクタの構造の概略図である。
【0042】
図11】本願の一実施形態によるさらに別のリフレクタの構造の概略図である。
【0043】
図12】本願の一実施形態によるリフレクタを製造する方法のフローチャートである。
【0044】
図13】本願の一実施形態によるリフレクタを製造する別の方法のフローチャートである。
【0045】
図14】本願の一実施形態によるリフレクタの製造プロセスの概略図である。
【0046】
図15】本願の一実施形態による第1の切断ブレードの概略図である。
【0047】
図16】本願の一実施形態による第2の切断ブレードの断面図である。
【0048】
図17】本願の一実施形態によるリフレクタを製造するさらに別の方法のフローチャートである。
【0049】
図18】本願の一実施形態によるリフレクタの別の製造プロセスの概略図である。
【0050】
図19】本願の一実施形態によるリフレクタを製造するさらに別の方法のフローチャートである。
【0051】
図20】本願の一実施形態によるペリスコープレンズモジュールの構造の概略図である。
【0052】
図21】本願の一実施形態による電子デバイスの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では、添付図面を参照して、本願の実施形態において提供されるリフレクタ、その製造方法、レンズモジュールおよび電子デバイスを詳細に説明する。
【0054】
本願の一実施形態は、リフレクタを提供する。リフレクタは、関連技術における三角柱の体積および質量が大きいという課題を解決するために、平面構造を有するシリコンベース基板で作られている。図1は、本願の一実施形態によるリフレクタの構造の概略図である。図1に示されるように、リフレクタ10は、シリコンベース基板101および第1の反射膜102を含む。
【0055】
シリコンベース基板101は、互いに対向する第1の表面1aおよび第2の表面1b、第1の側面1cおよび第2の側面1dを有する。第1の側面1cは、第1の表面1aおよび第2の側面1dの両方に接続されており、第2の側面1dは、第2の表面1bに接続されている。第1の表面1aおよび第2の表面1bが互いに対向していることは、第1の表面1aが第2の表面1bに平行であるか、第1の表面1aが第2の表面1bに略平行であることを意味する。
【0056】
第1の反射膜102は、第1の表面1a上に位置しており、第1の側面1cと第1の表面1aとの間の夾角αは、第1の角度閾値よりも大きい。第2の側面1dと第1の側面1cとの間の夾角βは、第2の角度閾値よりも大きい。第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、鈍角である。つまり、シリコンベース基板101は、シリコンベース基板101の表面に対して傾斜した第2の側面を有する。
【0057】
第1の角度閾値は、90°に近い鋭角であってよく、第2の角度閾値は、90°に近い鋭角または鈍角であってよい。加えて、第1の角度閾値は、第2の角度閾値に等しくてもよく、第2の角度閾値に等しくなくてもよい。例えば、第1の角度閾値は、80°または85°であってよく、第2の角度閾値は、90°であってよい。言い換えると、第1の側面1cと第1の表面1aとの間の夾角αおよび第2の側面1dと第1の側面1cとの間の夾角βの両方は、比較的大きい角度である。例えば、夾角αは、直角、または直角に近い鋭角であってよく、夾角βは、直角または鈍角であってよい。リフレクタのパッケージング中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされる亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減することによりリフレクタの歩留まりを保証するために、第1の側面1cと第1の表面1aとの間の夾角αおよび第2の側面1dと第1の側面1cとの間の夾角βの両方は、比較的大きい角度として設計されている。
【0058】
本願の本実施形態において提供されるリフレクタ10は、ペリスコープレンズモジュールに適用され得る。図2は、本願の一実施形態によるペリスコープレンズモジュールの部分構造の概略図である。図2に示されるように、ペリスコープレンズモジュールにおいて、リフレクタ10は、傾斜して配置される必要があり、その結果、リフレクタ10内の第1の反射膜102とペリスコープレンズモジュール内のレンズセット20の(図2における発された光の透過方向に平行な)光軸との間の夾角は、鋭角になる。例えば、夾角は45°である。リフレクタ10内のシリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γが鈍角なので、リフレクタ10が傾斜して配置されている場合、第2の側面1dは、レンズセット20の光軸に平行または略平行であってよい。
【0059】
図3では部分Aにおいて示されるように、シリコンベース基板101の第2の側面1dが第2の表面1bに垂直になるように設計されている場合、リフレクタ10が傾斜して配置された後に、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間に形成される直角は、比較的大きい空間を占める。また、リフレクタ10の組み立て中の衝突または摩擦力に起因して、直角の亀裂または縁部破損が容易に生じる。
【0060】
上記分析に基づいて、本願の本実施形態において提供されるリフレクタ10では、リフレクタ10が傾斜して配置された後に、外側へ突出する直角が第2の側面1dと第2の表面1bとの間に形成されないことを保証するために、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは鈍角として設計されていることが分かり得る。したがって、リフレクタ10により占有される空間を低減でき、さらに、リフレクタ10の組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板101の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。
【0061】
任意選択的に、本願の本実施形態において、リフレクタ10がペリスコープレンズモジュールに適用される場合、図2に示されるように、リフレクタ10が傾斜して配置された後に、第1の反射膜102とレンズセット20の光軸との間の夾角は、θである。シリコンベース基板101の第2の側面1dがレンズセット20の光軸に平行になることを可能にすべく、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第1の表面1aとの間の夾角δは、夾角θに等しい角度として設計され得る。代替的に、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、夾角θを補足する角度として設計されることが理解され得る。
【0062】
例えば、第1の反射膜102とレンズセット20の光軸との間の夾角θが45°であると仮定すると、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第1の表面1aとの間の夾角δは、45°であってよく、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、135°であってよい。
【0063】
シリコンベース基板101の第2の側面1dと第1の表面1aとの間の夾角δは、夾角θに等しい角度として設計されており、その結果、リフレクタ10がペリスコープレンズモジュールに適用される場合、シリコンベース基板101の第2の側面1dは、レンズセット20の光軸に平行であってよい。したがって、外側へ突出する角度が第2の側面1dと第2の表面1bとの間に形成されないことにより、シリコンベース基板101の側縁の亀裂または縁部破損のリスクがさらに低減されることが保証され得る。
【0064】
関連技術では通常、光学ガラスを反射膜でコーティングしてリフレクタを調整する解決手段が用いられる。しかしながら、光学ガラスのヤング率が概して70ギガパスカル(GPa)と比較的小さいので、光学ガラスがコーティングされる前にまず、光学ガラス上の凹面を研削および研磨して、反射膜のコーティング中に生成される応力により引き起こされる光学ガラスの変形を相殺する必要がある。
【0065】
本願の本実施形態において、シリコンベース基板101の材料は、単結晶シリコンであってよい。単結晶シリコンのヤング率は、約169GPaであり、光学ガラスのものよりもはるかに高い。したがって、薄膜コーティングにより引き起こされる同じ応力の場合、シリコンベース基板101の変形量はより小さい。例えば、図4は、光学ガラスが基部として用いられる場合の変形量の概略図である。図5における参照符号を参照されたい。図4における横軸は、ミクロン(μm)の単位で測定される、基部の中心点Aからの距離を表し、縦軸は、μmの単位で測定される、基部の変形量(反り変位とも称される)を表す。光学ガラスがリフレクタの基部として用いられる場合、反射膜の調整中に生成される応力が光学ガラスの角部における0.52μmの変形を引き起こすことが、図4から分かり得る。図6は、(100)という結晶方位を有するシリコンベース基板が基部として用いられる場合の変形量の概略図である。図6に示されるように、(100)という結晶方位を有するシリコンベース基板がリフレクタの基部として用いられる場合、反射膜の調整中に生成される、同じ値を有する応力は、シリコンベース基板の角部における0.24μmの変形を引き起こす。光学ガラスのものと比較した場合、変形量は、2.2倍減る。
【0066】
シリコンベース基板のヤング率が比較的高いので、反射膜の調整中に生成される応力は、シリコンベース基板の比較的少ない量の変形を引き起こす。したがって、凹面を前もって研削および研磨する方法を用いて、応力により引き起こされる変形を相殺する必要は、もはやない。したがって、これにより、効果的に、リフレクタ製造プロセスの複雑さを低減し、製造コストを減らし、このプロセスの歩留まりを向上させることができる。
【0067】
任意選択的に、シリコンベース基板101の材料は、ターゲット結晶方位を有する単結晶シリコンであってよい。つまり、シリコンベース基板101により用いられる単結晶シリコンの結晶方位は、一貫している。異なる結晶方位を有する単結晶シリコンのヤング率が異なるので、同じ結晶方位を有する単結晶シリコンを用いてシリコンベース基板101を形成することにより、シリコンベース基板101の全体的なヤング率の一貫性を保証できる。さらに、シリコンベース基板101の応力耐性性能の比較的高い一貫性を保証でき、その結果、シリコンベース基板101を用いることにより作成されるリフレクタ10は、より良い平坦度を有することになる。
【0068】
本願の本実施形態において、シリコンベース基板101により用いられる単結晶シリコンの結晶方位は、(111)であってよい。(111)という結晶方位を有する単結晶シリコンは、単結晶シリコン(111)と表され得る。単結晶シリコン(111)のヤング率は、188GPaであり、169GPaである単結晶シリコン(100)のヤング率よりも大きい。したがって、単結晶シリコン(111)は、単結晶シリコン(100)よりも良い応力耐性を有する。例えば、図7は、(111)という結晶方位を有するシリコンベース基板が基部として用いられる場合の変形量の概略図である。同じコーティング応力が生成される場合、単結晶シリコン(100)を用いたシリコンベース基板101の変形は0.24μmであり、一方、単結晶シリコン(111)を用いたシリコンベース基板101の変形は0.2μmのみであることが、図6図7との間の比較を通じて分かり得る。変形量は18%減る。
【0069】
このことから、単結晶シリコン(111)を用いることにより作成されたシリコンベース基板101を用いることで、製造されたリフレクタ10の平坦度をさらに保証できることが、分かり得る。
【0070】
任意選択的に、図8に示されるように、本願の本実施形態において提供されるリフレクタ10は、第2の表面1b上に位置する第2の反射膜103をさらに含み、第2の反射膜103の材料は、第1の反射膜102のものと同じであってよい。
【0071】
シリコンベース基板101の第1の表面1aおよび第2の表面1bは、同じ材料の反射膜でコーティングされており、その結果、薄膜コーティングプロセスにより生成される2種類の応力が互いに相殺されることで、薄膜コーティング中に生成されるシリコンベース基板101の変形をさらに低減できる。例えば、図9は、(111)という結晶方位を有するシリコンベース基板が基部として用いられ、シリコンベース基板の2つの表面の両方が反射膜でコーティングされている場合の変形量の概略図である。シリコンベース基板101の第1の表面1aのみがコーティングされている場合、シリコンベース基板101の変形が約0.2μmであることが、図7図9との間の比較を通じて分かり得る。シリコンベース基板101の第1の表面1aおよび第2の表面1bの両方がコーティングされている場合、シリコンベース基板101の変形は、0.09μmへ低減され得る。変形量が2.2倍低減されることにより、シリコンベース基板101の変形耐性効果が著しく向上する。
【0072】
任意選択的に、本願の本実施形態において、リフレクタ10内の第1の反射膜102は、絶縁膜または金属膜であってよい。金属膜の材料は、アルミニウム、金および銀のうちの少なくとも1つを含み得る。絶縁膜の材料は、非金属化合物であってよい。
【0073】
当然ながら、絶縁膜および金属膜に加え、第1の反射膜102は、代替的に、第1の反射膜が光を効果的に反射できるという条件で、他の材料で作られていてよい。
【0074】
本願の本実施形態において、図8に示されるように、シリコンベース基板101の第1の側面1cの高さh1は、第2の側面1dの高さh2よりも小さくてよい。第1の側面1cおよび第2の側面1dの高さ方向の両方は、シリコンベース基板101の第1の表面に垂直である。
【0075】
任意選択的に、図10に示されるように、シリコンベース基板101の第1の側面1cの高さh1は、0であってよい。つまり、シリコンベース基板101は、第1の側面1cを含まなくてよいが、第2の側面1dのみを含んでよい。このように、シリコンベース基板101の厚さを効果的に低減できることにより、リフレクタ10の体積および質量が低減する。
【0076】
任意選択的に、図5に示されるように、シリコンベース基板101の第1の表面1aは、矩形であってよく、例えば、正方形であってよい。したがって、シリコンベース基板101は、4つの第1の側面1cおよび4つの第2の側面1dを含まなくてよい。第1の側面1cおよび第1の表面1aの夾角は、互いに等しくてもよく、互いに等しくなくてもよい。第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角(図5には示されていない)は、互いに等しくてもよく、互いに等しくなくてもよい。
【0077】
本願の本実施形態において、リフレクタ10の全体的な構造の対称性を保証すべく、シリコンベース基板101の第1の側面1cおよび第1の表面1aの夾角は、例えば、それらの全てが90°であるなど、互いに等しくてよい。加えて、第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角も、例えば、それらの全てが135°であるなど、互いに等しくてよい。
【0078】
図11は、本願の一実施形態によるさらに別のリフレクタの構造の概略図である。図11に示されるように、第1の反射膜102は、第1の表面1aを覆い得る。具体的には、第1の反射膜102の形状は、第1の表面1aのものと同じであり、第1の反射膜102のサイズも、第1の表面1aのものと同じである。
【0079】
加えて、本願の実施形態は、リフレクタを提供する。リフレクタは、平面構造を有するシリコンベース基板を基材として用いていることで、正三角柱と比較した場合、リフレクタの体積および質量を効果的に低減できる。加えて、リフレクタが傾斜して配置された後に、外側へ突出する直角が第2の側面と第2の表面との間に形成されないことを保証するために、シリコンベース基板の第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角として設計されている。したがって、ペリスコープレンズモジュールに適用されるリフレクタが低減され得る場合に占有される空間、およびさらに、リフレクタの組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。また、シリコンベース基板のヤング率が比較的高いので、反射膜を有するシリコンベース基板の表面のコーティングはシリコンベース基板の比較的大きい変形を引き起こさず、これにより、調整されたリフレクタの平坦度を保証できる。
【0080】
本願の一実施形態はさらに、リフレクタを製造する方法を提供する。この方法は、前述の実施形態において提供されるリフレクタを製造するために用いられ得る。
図12を参照されたい。この方法は、以下の段階を含み得る。
【0081】
段階401:シリコンウェハの第1の面上に第1の反射材料膜層を形成する。
【0082】
本願の本実施形態では、単結晶シリコンで作られたシリコンウェハが、シリコンベース基板を形成するたねの材料として用いられ得る。シリコンウェハは、単結晶シリコンで作られていてよく、例えば、単結晶シリコン(111)で作られていてよい。加えて、単結晶シリコンの抵抗率は、本願の本実施形態において限定されない。
【0083】
任意選択的に、第1の反射材料膜層は、絶縁膜であってよい。したがって、第1の反射材料膜層は、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)またはプラズマ拡張化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)プロセスを用いることにより形成され得る。
【0084】
代替的に、第1の反射材料膜層は、金属膜であってよい。したがって、第1の反射材料膜層は、マグネトロンスパッタリングプロセスまたは電子ビーム蒸着(e-beam evaporation)プロセスにより形成され得る。
【0085】
シリコンウェハが、コーティング後に生成される比較的高いヤング率、比較的高い応力耐性および比較的少ない変形量を有するので、シリコンウェハの表面上の凹面を前もって研削および研磨することなくシリコンウェハの表面を直接コーティングして、コーティングプロセスにより生成される応力を相殺し得る。したがって、これにより、効果的に、リフレクタ製造プロセスの複雑さが低減され、リフレクタ製造コストが減り、リフレクタ調整効率が向上する。
【0086】
段階402:少なくとも1つのリフレクタを取得するために、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層を加工する。
【0087】
本願の本実施形態において、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層は、少なくとも1つのリフレクタを取得するために切断され得る。代替的に、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層は、少なくとも1つのリフレクタを取得するためにエッチングおよび切断され得る。
【0088】
図1に示されるように、調整されたリフレクタの各々は、シリコンウェハを加工することにより取得されるシリコンベース基板101、および、第1の反射材料膜層を加工することにより取得される第1の反射膜102を含む。シリコンベース基板101は、互いに対向する第1の表面1aおよび第2の表面1b、第1の側面1cおよび第2の側面1dを有する。第1の側面1cは、第1の表面1aおよび第2の側面1dの両方に接続されており、第2の側面1dは、第2の表面1bに接続されている。第1の反射膜102は、第1の表面1a上に位置しており、第1の側面1cと第1の表面1aとの間の夾角αは、第1の角度閾値よりも大きい。第2の側面1dと第1の側面1cとの間の夾角βは、第2の角度閾値よりも大きい。第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、鈍角である。
【0089】
本願の本実施形態において提供される製造方法では、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層は、複数のリフレクタを取得するために加工され得る。このように、リフレクタの大量生産が実現され得ることにより、効果的に、リフレクタ調整効率が向上し、リフレクタ調整コストが低減する。加えて、複数の調整されたリフレクタの性能の一貫性が保証され得る。
【0090】
任意選択的な実装において、図13に示されるように、本願の一実施形態において提供されるリフレクタを製造する方法は、以下の段階を含み得る。
【0091】
段階501:シリコンウェハの第1の面上に第1の反射材料膜層を形成する。
【0092】
図14における段階S11およびS12を参照されたい。シリコンウェハ01がまず取得されてよく、次に、第1の反射材料膜層02がシリコンウェハ01の第1の面上に形成される。段階501の実装プロセスについては、前述の段階401を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0093】
段階502:第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側にダイシング膜を取り付ける。
【0094】
図14における段階S13を参照されたい。第1の反射材料膜層02が設けられたシリコンウェハ01は、裏返されてよく、次に、第1の反射材料膜層02のシリコンウェハ01とは反対の方向を向いた側が、ダイシング膜03に取り付けられる。任意選択的に、ダイシング膜は、粘度を有する紫外線(ultraviolet、UV)膜であってよい。
【0095】
段階503:リフレクタの第2の側面を形成するために、第1の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの第2の面を切断する。
【0096】
図14における段階S14を参照されたい。第1の切断ブレード(V字形状ブレードまたはV字形状ハブ切断ブレードとも称される)D1は、シリコンウェハ01の第2の面を切断するために用いられ得る。第2の面および第1の面は、シリコンウェハ01の2つの対向面であり、例えば、第2の面は、第1の面に平行である。第1の切断ブレードD1の切断深さh1は、シリコンウェハ01の厚さよりも小さい。
【0097】
図15は、本願の一実施形態による第1の切断ブレードの概略図である。図15における側面図を参照されたい。第1の切断ブレードD1は、リング形状のものであってよい。図15は、第1の切断ブレードの3つの任意選択的な断面図をさらに示す。図15における左側および右側の断面図に示されるように、第1の切断ブレードD1の切断縁部D11の断面は、台形であってよい。代替的に、図15における中央の断面図に示されるように、切断縁部D11の断面は、矩形と台形とを含む六角形であってよい。加えて、図15における左側および中央の断面図にそれぞれ示されるように、切断縁部D11の最大厚さは、第1の切断ブレードD1の中央部の厚さに等しくてよい。代替的に、図15における右側の断面図に示されるように、切断縁部D11の最大厚さは、第1の切断ブレードD1の中央部の厚さよりも小さくてよい。
【0098】
第1の切断ブレードD1を用いることによりシリコンウェハ01の第2の面が切断された後に、ベベル溝がシリコンウェハ01の第2の面に形成されてよく、ベベル溝の側壁がリフレクタ内のシリコンベース基板の第2の側面1dになってよい。製造中に、異なる形状の第1の切断ブレードD1が、設計により必要とされる第2の側面1dの異なる傾斜角度(第2の側面1dと第2の表面との間の夾角である)に基づいてシリコンウェハ01を切断するために柔軟に選択され得る。第1の切断ブレードD1を用いることによりシリコンウェハ01を切断することで、切断を通じて形成される第2の側面1dの傾斜角度の正確な制御および調整を実現でき、これは、異なるリフレクタの設計要件を満たすための一助となる。
【0099】
段階504:リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、第2の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの切断を継続し、第1の反射材料膜層を切断する。
【0100】
図14における段階S15を参照されたい。第2の切断ブレード(直線切断ブレードまたは垂直ハブ切断ブレードとも称され得る)D2は、シリコンウェハ01の切断をシリコンウェハ01のベベル溝の底面から始めて継続し、第1の反射材料膜層02を切断するために用いられ得る。このように、リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第1の反射膜は形成され得る。第2の切断ブレードD2の切断方向は、シリコンウェハ01の第1の面に垂直であってよく、それに応じて、切断を通じて形成される第1の側面は、シリコンベース基板の第1の表面に垂直である。
【0101】
第2の切断ブレードD2の側面図については、図15に示される側面図を参照されたい。つまり、第2の切断ブレードD2も、リング形状のものであってよい。図16は、本願の一実施形態による第2の切断ブレードの断面図である。図16に示されるように、第2の切断ブレードD2の切断縁部D21の断面は、矩形と台形とを含む六角形であってよい。切断縁部D21の最大厚さは、第2の切断ブレードD2の中央部の厚さよりも小さい。
【0102】
本願の本実施形態において、第2の切断ブレードD2が切断のために用いられる場合の切断深さh3は、第1の切断ブレードD1を用いることにより切断された後に取得されるシリコンウェハ01の残りの厚さと、第1の反射材料膜層02の厚さとの和よりも大きくてもよく、この和に等しくてもよい。つまり、第2の切断ブレードD2は、複数の分離されたリフレクタを取得するために、第1の反射材料膜層02が設けられたシリコンウェハ01を完全に切断し得る。
【0103】
図14に示されるように、第1の反射材料膜層02の、シリコンウェハ01とは反対の方向を向いた側にダイシング膜03が取り付けられるので、第2の切断ブレードD2を用いることにより複数のリフレクタが分離された後に、複数のリフレクタは、これらのリフレクタが分散されて(飛散片とも称される)損傷を引き起こすことを防止するために、ダイシング膜03上に固定され得る。
【0104】
本願の本実施形態において、複数のリフレクタの大量生産が必要とされる場合、前述の段階503は、複数回実行されてよい、つまり、シリコンウェハの第2の面は、複数のベベル溝を取得するために、第1の切断ブレードを用いることにより複数回切断されてよい。それに応じて、前述の段階504も、複数回実行されてよい、つまり、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層は、複数の分離されたリフレクタを取得するために、第2の切断ブレードを用いることにより複数回切断されてよい。次に、複数の分離されたリフレクタは、ダイシング膜から剥離され、それぞれ、ペリスコープレンズモジュールにパッケージ化され得る。ダイシング膜がUV膜である場合、リフレクタを剥離すべく、UV膜を照射してUV膜の粘度を低減するために、UV照射デバイスが用いられ得る。
【0105】
2つの異なる種類の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハおよび反射材料膜層を機械的に切断する前述の方法は、比較的単純であり、比較的高い効率を有する。
【0106】
別の任意選択的な実装において、図17に示されるように、本願の一実施形態において提供されるリフレクタを製造する方法は、以下の段階を含み得る。
【0107】
段階601:シリコンウェハの第2の面上にアライメントマークを形成する。
【0108】
本願の本実施形態において、図18における段階S21に示されるように、複数のアライメントマーク011が、シリコンウェハ01の第2の面上に形成され得る。複数のアライメントマーク011は、シリコンウェハ01の縁部に位置し得る。
【0109】
任意選択的に、複数の溝が、エッチングまたは切断を通じて、シリコンウェハ01の第2の面にアライメントマーク011として形成され得る。例えば、アライメントマーク011は、深堀り反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching、DRIE)技術を用いることにより、シリコンウェハ01の第2の面に形成され得る。代替的に、アライメントマークが、シリコンウェハ01の第2の面に直接取り付けられるかコーティングされ得る。
【0110】
段階602:シリコンウェハの第1の面上に第1の反射材料膜層を形成する。
【0111】
図18における段階S22を参照されたい。第1の反射材料膜層02は、シリコンウェハ01の第1の面(すなわち、アライメントマーク011が形成されていない面)上に形成され得る。第1の面および第2の面は、シリコンウェハ01の2つの対向面である。段階602の実装プロセスについては、前述の段階401を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0112】
段階603:リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、アライメントマークを基準として用いて、第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側から始めて第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを加工する。
【0113】
本願の本実施形態において、図18における段階S23に示されるように、アライメントマークは、第1の反射材料膜層およびシリコンウェハに 矩形溝を形成するために第1の反射材料膜層およびシリコンウェハを加工するための基準として用いられ得る。矩形溝の側壁は、リフレクタの第1の側面として形成され得る。加えて、矩形溝が第1の反射材料膜層02を貫通しているので、リフレクタの第1の反射膜がさらに形成され得る。
【0114】
任意選択的な実装において、第1の反射材料膜層02およびシリコンウェハ01は、リフレクタの第1の側面1cおよびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、第1の反射材料膜層02の、シリコンウェハ01とは反対の方向を向いた側から始めてエッチングされ得る。例えば、第1の反射材料膜層02およびシリコンウェハ01は、DRIE技術を用いることによりエッチングされ得る。第1の反射材料膜層02のエッチング深さは、第1の反射材料膜層02の厚さに等しくてよい、つまり、第1の反射材料膜層02は、完全にエッチングされる必要がある。シリコンウェハ01のエッチング深さh2は、シリコンウェハ01の厚さよりも小さくてよい。
【0115】
第1の反射材料膜層02の厚さが比較的薄いので、エッチングを通じて第1の反射材料膜層02を加工することにより、第1の反射材料膜層02における亀裂の発生確率を効果的に低減できる。言い換えると、エッチングの信頼性が高く、調整されたリフレクタの歩留まりが保証され得る。
【0116】
別の任意選択的な実装において、第1の反射材料膜層02およびシリコンウェハ01は、リフレクタの第1の側面1cおよびリフレクタの第1の反射膜を形成するために、第2の切断ブレードを用いることにより、第1の反射材料膜層02の、シリコンウェハ01とは反対の方向を向いた側から始めて切断され得る。第2の切断ブレードを用いることにより切断される第1の反射材料膜層02の深さは、第1の反射材料膜層02の厚さに等しくてよい、つまり、第1の反射材料膜層02は、完全にエッチングされる必要がある。シリコンウェハ01の切断深さh2は、シリコンウェハ01の厚さよりも小さくてよい。加えて、第2の切断ブレードの切断方向は、シリコンウェハ01の第1の面に垂直であってよい。
【0117】
段階604:第1の反射材料膜層の、シリコンウェハとは反対の方向を向いた側にダイシング膜を取り付ける。
【0118】
図18における段階S24を参照されたい。第1の反射材料膜層02およびシリコンウェハ01は、裏返されてよく、次に、第1の反射材料膜層02のシリコンウェハ01とは反対の方向を向いた側が、ダイシング膜03に取り付けられる。段階604の実装プロセスについては、前述の段階502を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0119】
段階605:リフレクタの第1の側面およびリフレクタの第2の側面を形成するために、アライメントマークを基準として用いて、第1の切断ブレードを用いることによりシリコンウェハの第2の面を切断する。
【0120】
図18における段階S25を参照されたい。第1の切断ブレードD1は、シリコンウェハ01の第2の面にベベル溝を形成すべく、シリコンウェハ01の第2の面を切断するために用いられ得る。ベベル溝が前述の段階603において形成される矩形溝に接続されることを保証するために、つまり、シリコンウェハ01が完全に切断されることを保証するために、アライメントマークは、切断のための基準として用いられる必要がある。第1の切断ブレードD1を用いることによりシリコンウェハ01の第2の面が切断された後に、リフレクタの第2の側面が形成され得る。
【0121】
本願の本実施形態において、複数のリフレクタの大量生産が必要とされる場合、前述の段階603において、複数の矩形溝が第1の反射材料膜層およびシリコンウェハに形成され得る。それに応じて、前述の段階605は、複数回実行されてよい、つまり、シリコンウェハは、複数の分離されたリフレクタを取得するために、第1の切断ブレードを用いることにより複数回切断されてよい。次に、複数の分離されたリフレクタは、ダイシング膜から剥離され、それぞれ、ペリスコープレンズモジュールにパッケージ化され得る。
【0122】
図19は、本願の一実施形態によるリフレクタを製造するさらに別の方法のフローチャートである。この方法は、第2の反射膜を含むリフレクタを製造するために用いられ得る。図19に示されるように、方法は、以下の段階を含み得る。
【0123】
段階701:シリコンウェハの第1の面上に第1の反射材料膜層を形成する。
【0124】
段階701の実装プロセスについては、前述の段階401を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0125】
段階702:シリコンウェハの第2の面上に第2の反射材料膜層を形成する。
【0126】
本願の本実施形態において、第1の反射材料膜層のものと同じ材料が、シリコンウェハの第2の面上に第2の反射材料膜層を形成するために用いられ得る。段階702の実装プロセスについても、前述の段階401を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0127】
同じ材料で作られた反射材料膜層がシリコンウェハの第1の面および第2の面上に形成され、その結果、薄膜コーティングプロセスにより生成される2種類の応力が互いに相殺され得ることで、薄膜コーティング中に生成されるシリコンウェハの変形がさらに低減されることにより、調整されたリフレクタの平坦度が保証される。
【0128】
段階703:リフレクタ内の第2の反射膜を取得するために、第2の反射材料膜層を加工する。
【0129】
最後に形成されたリフレクタにおけるシリコンベース基板101の第2の表面1b上に第2の反射膜103が位置していることが、図8を参照して分かり得る。本願の本実施形態において、第2の反射材料膜層は、リフレクタ内の第2の反射膜を取得するために、切断ブレードを用いることにより切断され得る。例えば、シリコンウェハの第2の反射材料膜層および第2の面は、リフレクタ内の第2の反射膜を取得し、リフレクタ内のシリコンベース基板の第2の側面を形成するために、第1の切断ブレードを用いることにより切断され得る。段階703の実装プロセスについては、前述の段階503または前述の段階605を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0130】
段階704:少なくとも1つのリフレクタを取得するために、シリコンウェハおよび第1の反射材料膜層を加工する。
【0131】
段階704の実装プロセスについては、前述の段階504または前述の段階603を参照されたい。ここでは詳細を再度説明しない。
【0132】
任意選択的に、本願の実施形態において提供されるリフレクタを製造する方法の段階の順序は、適切に調整されてよく、それに応じて、これらの段階は、必要に応じて増やされるか減らされ得る。例えば、段階602は、段階601の前に実行されてよく、段階702は、段階701の前に実行されてよい。本願において開示される技術的範囲内で当業者が容易に考え出すあらゆる方法の変形が、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、ここでは詳細を再度説明しない。
【0133】
要約すると、本願の実施形態は、リフレクタを製造する方法を提供する。この方法において、シリコンウェハは、リフレクタの体積および質量を効果的に低減するために、リフレクタを製造するための基部として用いられる。加えて、この方法を用いることにより製造されたリフレクタでは、リフレクタが傾斜して配置された後に、外側へ突出する直角が第2の側面と第2の表面との間に形成されないことを保証するために、シリコンベース基板の第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角である。したがって、ペリスコープレンズモジュールに適用されるリフレクタが低減され得る場合に占有される空間、およびさらに、リフレクタの組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。また、シリコンウェハのヤング率が比較的高いので、反射材料膜層を有するシリコンウェハの表面のコーティングはシリコンウェハの比較的大きい変形を引き起こさず、これにより、調整されたリフレクタの比較的高い品質を保証できる。
【0134】
本願の一実施形態はさらに、レンズモジュールを提供する。レンズモジュールは、ペリスコープレンズモジュールであってよい。図20に示されるように、レンズモジュールは、前述の実施形態において提供されるリフレクタ10と、レンズセット20と、感光素子30とを含む。
【0135】
レンズセット20は、リフレクタ10と感光素子30との間に位置しており、リフレクタ10内の第1の反射膜102は、シリコンベース基板101よりもレンズセット20により近く、第1の反射膜102は、入射光をレンズセット20へ反射するように構成されている。例えば、第1の反射膜102は、入射光の光路方向を90°変化させてよく、その結果、入射光がレンズセット20へ伝送される。次に、レンズセット20は、第1の反射膜102により反射された光を収束させ、この光を感光素子30へ伝送し得る。
【0136】
レンズセット20は、複数のレンズを含み得る。感光素子30は、相補型金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)デバイスであってよい。
【0137】
任意選択的に、図20に示されるように、レンズモジュール内のリフレクタ10は、傾斜するように配置されており、第1の反射膜102とレンズセット20の光軸との間の夾角は、θであり、夾角θは、鋭角である。シリコンベース基板101の第2の側面1dがレンズセット20の光軸に平行になることを可能にすべく、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第1の表面1aとの間の夾角δは、夾角θと同じになるように設計され得る。言い換えると、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、夾角θを補足する角度として設計され得る。
【0138】
任意選択的に、レンズモジュール内のレンズセット20の光軸と入射光との間の夾角は、直角であってよい。したがって、第1の反射膜102とレンズセット20の光軸との間の夾角は、45°であってよく、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第1の表面1aとの間の夾角δは、45°であってよく、シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、135°であってよい。したがって、第1の反射膜102により反射された光が、レンズセット20の光軸に平行または略平行な方向でレンズセット20へ伝送され得ることが、保証され得る。入射光は、光ウィンドウを通じてシリコンベース平坦リフレクタに入射し、リフレクタにより反射されて90°の光路変化を起こし、次に、レンズセットにより収束され、最後に、CMOS感光素子に照射される。
【0139】
シリコンベース基板101の第2の側面1dと第2の表面1bとの間の夾角γは、夾角θを補足する角度として設計されており、その結果、レンズモジュールにおいて、シリコンベース基板101の第2の側面1dがレンズセット20の光軸に平行になり、これにより、外側へ突出する直角が第2の側面1dと第2の表面1bとの間に形成されないことが保証される。したがって、レンズモジュール内のリフレクタ10により占有される空間を低減でき、さらに、リフレクタ10の組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板101の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。
【0140】
要約すると、本願の一実施形態は、レンズモジュールを提供する。レンズモジュールの体積および質量も比較的小さくなることを保証するために、レンズモジュール内のリフレクタは、比較的小さい体積および比較的小さい質量を有する。加えて、リフレクタ内のシリコンベース基板の第2の側面と第2の表面との間の夾角は、鈍角である。したがって、ペリスコープレンズモジュールに適用されるリフレクタが低減され得る場合に占有される空間、およびさらに、リフレクタの組み立て中の衝突または摩擦力に起因して引き起こされるシリコンベース基板の側縁の亀裂または縁部破損のリスクを効果的に低減できる。
【0141】
本願の一実施形態はさらに、電子デバイスを提供する。図21に示されるように、電子デバイスは、ハウジング000と、前述の実施形態において提供される、ハウジング000内に配置されたレンズモジュール001とを含み得る。
【0142】
任意選択的に、図21に示されるように、電子デバイスは、光ウィンドウ002をさらに含む。ハウジング000には、スロット00aが設けられており、光ウィンドウ002は、光透過のためにスロット00a内に配置され得る。具体的には、光ウィンドウ002は、入射光をリフレクタ10の第1の反射膜102へ伝送し得る。光ウィンドウ002と第1の反射膜102との間の夾角は、45°であってよい。光ウィンドウ002は、透明な光学ガラスなど、透明材料で作られていてよい。
【0143】
さらに、図21を参照されたい。電子デバイスは、リフレクタ固定構造003をさらに含み、リフレクタ固定構造003は、リフレクタ10の底面上、すなわち、リフレクタ10の、第1の反射膜102と対向する表面上に位置している。リフレクタ固定構造003は、リフレクタ10を支持するように構成されており、その結果、リフレクタ10は、ハウジング000内で固定される。リフレクタ固定構造003は、接着剤を用いた接合などの方式で、リフレクタ10に固定的に接続され得る。
【0144】
任意選択的に、図21に示されるように、本願の本実施形態において提供される電子デバイスは、携帯電話であってよい。代替的に、電子デバイスは、タブレットコンピュータまたはウェアラブルデバイスなど、カメラ機能を有するデバイスであってよい。
【0145】
要約すると、本願の一実施形態は、電子デバイスを提供する。電子デバイス内のレンズモジュールにより用いられるリフレクタは、比較的小さい体積および比較的小さい質量を有する。したがって、レンズモジュールの体積および質量は、比較的小さく、その結果、電子デバイスの体積および質量が低減され得る。加えて、手振れ補正機能を実現するために、電子デバイスには、偏向または変換するようにリフレクタを駆動するためのモータがさらに設けられ得る。電子デバイス内で用いられるリフレクタの質量が比較的小さいので、モータの電力消費を低減でき、これにより、電子デバイスの電力消費が低減し、さらに、リフレクタの偏向周波数を向上させることができ、これにより、電子デバイスの手振れ補正性能が向上する。
【0146】
本願における「第1の」および「第2の」などの用語は、実質的に同じ効果および機能を有する同じまたは同様の項目を区別するために用いられている。「第1の」および「第2の」などの用語により説明される要素は、論理的または時間的な依存性を有しておらず、数および実行順序のいずれも限定されないことを理解されたい。「第1の」および「第2の」などの用語が、前述の説明における要素を説明するために用いられているが、これらの要素がこれらの用語により限定されるべきではないことをさらに理解されたい。これらの用語は、一方の要素と他方とを区別するように意図されているに過ぎない。例えば、説明された例の範囲から逸脱することなく、第1の側面は、第2の側面と称されてよく、同様に、第2の側面は、第1の側面と称されてよい。第1の側面および第2の側面の両方は、側面であってよく、場合によっては、別々かつ別個の側面であってよい。
【0147】
本願における「少なくとも1つの」という用語は、1つまたは複数を意味し、本願における「複数の」は、2つまたはそれより多くを意味する。例えば、複数のリフレクタは、2つまたはそれよりも多くのリフレクタを示す。
【0148】
前述の説明は、本願の任意選択的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲を限定するようには意図されていない。本願において開示された技術的範囲内で当業者が容易に考え出すあらゆる修正または置き換えは、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21