(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q40/06
(21)【出願番号】P 2024539973
(86)(22)【出願日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2024023531
【審査請求日】2024-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523036627
【氏名又は名称】しるし株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004266
【氏名又は名称】弁理士法人MSウィード
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 学
(72)【発明者】
【氏名】大蔵 直樹
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-139297(JP,A)
【文献】特開2021-149904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0049685(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0383417(US,A1)
【文献】特開2021-056984(JP,A)
【文献】特開2020-013284(JP,A)
【文献】国際公開第2023/286019(WO,A1)
【文献】特開2023-016582(JP,A)
【文献】特開2020-077157(JP,A)
【文献】特開2020-030787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ
からサービス事業者に保有権が譲渡された暗号資産を管理する処理装置であって、
前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する記憶部と、
前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換し、前記暗号資産情報を更新する変換処理部と、
前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新する運用処理部と、
前記サービス事業者から前記ユーザに対して前記保有権が譲渡される前の前記暗号資産に基づく引き渡し請求権に基づく支払い依頼とともに、前記ユーザが選択した支払い対象の情報を含む支払い依頼情報を前記ユーザの端末装置から受信すると、更新した前記暗号資産情報
及び前記支払い依頼情報に基づいて
、前記暗号資産を前記ユーザが選択した支払い対象としての資産に変換して前記ユーザに
支払う支払い処理を行う支払い処理部と、を有する処理装置。
【請求項2】
前記運用処理部は、前記ユーザからの運用依頼を受付けると前記運用を開始する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記暗号資産は仮
想通貨であって、
前記変換処理部は、前記仮
想通貨を他の仮
想通貨に変換する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記他の仮
想通貨は、ステーブルコインである請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記暗号資産情報に基づいて、前記ユーザに対して前記暗号資産を担保とする貸付処理を行い、前記暗号資産情報を更新する貸付処理部を有する請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記貸付処理部は、前記暗号資産を担保とする仮
想通貨又は法定通貨の貸付処理を行う、請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記運用処理部は、金融市場における金融情報及び前記暗号資産情報が入力されると前記運用を行うための運用情報を生成する学習済み運用モデルを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記学習済み運用モデルは、前記金融情報及び前記暗号資産情報に応じてポートフォリオを構築し、前記運用情報に前記ポートフォリオの情報を含めて出力する、請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記暗号資産は、前記ユーザが所有するマイニング装置によるマイニング処理の報酬である、請求項1乃至8のいずれかに記載の処理装置。
【請求項10】
前記マイニング装置に対してマイニングの依頼を行うとともに、前記マイニング処理を統括して前記ユーザに対する前記報酬を決定するマイニングプール部を有する、請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
ユーザ
からサービス事業者に保有権が譲渡された暗号資産を
コンピュータによって管理する処理方法であって、
前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する工程と、
前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換し、前記暗号資産情報を更新する工程と、
前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新する工程と、
前記サービス事業者から前記ユーザに対して前記保有権が譲渡される前の前記暗号資産に基づく引き渡し請求権に基づく支払い依頼とともに、前記ユーザが選択した支払い対象の情報を含む支払い依頼情報を前記ユーザの端末装置から受信すると、更新した前記暗号資産情報
及び前記支払い依頼情報に基づいて
、前記暗号資産を前記ユーザが選択した支払い対象としての資産に変換して前記ユーザに
支払う支払い処理を行う支払い工程と、を有する処理方法。
【請求項12】
ユーザ
からサービス事業者に保有権が譲渡された暗号資産を管理する処理プログラムであって、
前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶させ、
前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換すると前記暗号資産情報を更新し、
前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新し、
前記サービス事業者から前記ユーザに対して前記保有権が譲渡される前の前記暗号資産に基づく引き渡し請求権に基づく支払い依頼とともに、前記ユーザが選択した支払い対象の情報を含む支払い依頼情報を前記ユーザの端末装置から受信すると、更新した前記暗号資産情報
及び前記支払い依頼情報に基づいて
、前記暗号資産を前記ユーザが選択した支払い対象としての資産に変換して前記ユーザに
支払う処理をコンピュータに実行させる処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの暗号資産を管理する処理装置、処理方法、及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、仮想通貨を一例とする暗号資産が注目され、当該暗号資産に関する各種のサービスが検討及び開始されている。例えば、特許文献1には、法定通貨による決済に代わって、仮想通貨を利用した決済の仕組みが開示されている。また、特許文献2には、オンラインゲームにおいて仮想通貨を使用させ、仮想通貨の消費を促進する技術が開示されている。
【0003】
一方で、暗号資産を法定通貨等の実際の資産と同様に、その資産価値を高めたり、又は増加させるようなサービスも検討されている。例えば、特許文献3には、ユーザが自身の暗号資産を運用するためのソフトウエアについて開示されている。特に、引用文献3においては、ユーザ自身による暗号資産の売却を抑制するような機能制限をユーザの端末に設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-145060号公報
【文献】特開2022-49419号公報
【文献】特許7345211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、暗号資産の市場価値は非常に不安定であり、その取引価格は変動しやすく、暗号資産に基づいて投資を行って運用することは専門知識が必要となり、暗号資産を保有する個人のユーザが直接的に運用を行うことは困難である。
【0006】
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザの暗号資産を管理するとともに、ユーザに代わって暗号資産の運用を行い、運用の成果をユーザに与えることができる処理装置、処理方法、及び処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、「ユーザからサービス事業者に保有権が譲渡された暗号資産を管理する処理装置であって、前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する記憶部と、前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換し、前記暗号資産情報を更新する変換処理部と、前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新する運用処理部と、前記サービス事業者から前記ユーザに対して前記保有権が譲渡される前の前記暗号資産に基づく引き渡し請求権に基づく支払い依頼とともに、前記ユーザが選択した支払い対象の情報を含む支払い依頼情報を前記ユーザの端末装置から受信すると、更新した前記暗号資産情報及び前記支払い依頼情報に基づいて、前記暗号資産を前記ユーザが選択した支払い対象としての資産に変換して前記ユーザに支払う支払い処理を行う支払い処理部と、を有する処理装置。」が提供される。
【0008】
本開示の一態様によれば、「ユーザからサービス事業者に保有権が譲渡された暗号資産をコンピュータによって管理する処理方法であって、前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する工程と、前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換し、前記暗号資産情報を更新する工程と、前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新する工程と、前記サービス事業者から前記ユーザに対して前記保有権が譲渡される前の前記暗号資産に基づく引き渡し請求権に基づく支払い依頼とともに、前記ユーザが選択した支払い対象の情報を含む支払い依頼情報を前記ユーザの端末装置から受信すると、更新した前記暗号資産情報及び前記支払い依頼情報に基づいて、前記暗号資産を前記ユーザが選択した支払い対象としての資産に変換して前記ユーザに支払う支払い処理を行う支払い工程と、を有する処理方法。」が提供される。
【0009】
本開示の一態様によれば、「ユーザからサービス事業者に保有権が譲渡された暗号資産を管理する処理プログラムであって、前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶させ、前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換すると前記暗号資産情報を更新し、前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新し、前記サービス事業者から前記ユーザに対して前記保有権が譲渡される前の前記暗号資産に基づく引き渡し請求権に基づく支払い依頼とともに、前記ユーザが選択した支払い対象の情報を含む支払い依頼情報を前記ユーザの端末装置から受信すると、更新した前記暗号資産情報及び前記支払い依頼情報に基づいて、前記暗号資産を前記ユーザが選択した支払い対象としての資産に変換して前記ユーザに支払う処理をコンピュータに実行させる処理プログラム。」が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザの暗号資産を管理するとともに、ユーザに代わって暗号資産の運用を行い、運用の成果をユーザに与えることができる処理装置、処理方法、及び処理プログラムを提供することができる。
【0011】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものにすぎず、本開示に係る効果は上記に限定されない。上記効果に加えて、本開示によれば、本開示中に記載されたいかなる効果を奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る処理システムによる暗号資産管理の概要を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る処理システムの構成を示す概略図である。
【
図3】実施形態に係る端末装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る管理サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る分散型台帳システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係るマイニング装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る管理サーバの情報処理に係る機能ブロック図である。
【
図8】実施形態に係る管理サーバに記憶されるユーザ管理テーブルの概要を示す概略図である。
【
図9】実施形態に係る管理サーバに設定される学習済み運用モデルの設定の流れを示すフロー図である。
【
図10】実施形態に係る管理サーバに設定される学習済み運用モデルによる情報処理を示す概略図である。
【
図11】実施形態に係る処理システムにおける暗号資産管理に係るシーケンス図である。
【
図12】実施形態に係る端末装置において表示される画面の一例である。
【
図13】実施形態に係る端末装置において表示される画面の一例である。
【
図14】実施形態に係る処理システムにおける暗号資産管理に係るシーケンス図である。
【
図15】実施形態に係る処理システムにおける暗号資産管理に係るシーケンス図である。
【
図16】実施形態に係る処理システムにおける暗号資産管理に係るシーケンス図である。
【
図17】実施形態に係る端末装置において表示される画面の一例である。
【
図18】実施形態に係る処理システムにおける暗号資産管理に係るシーケンス図である。
【
図19】実施形態に係る端末装置において表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の処理装置である管理サーバ及びこれを有する処理システムについて詳細に説明する。なお、本開示は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態に用いる図面は、いずれも本開示に係る各装置及びこれを有する処理システムを模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部分の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、実施形態で用いる一部の数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。そして、図面において共通する構成については、同一の参照符号が付されている。
【0014】
<処理システムの概要>
本開示に係る処理システムは、一例として、ユーザからサービス事業者に管理権限が付与された暗号資産、又はユーザが所有するマイニング装置のマイニング処理によって得られる報酬である暗号資産について、投資等による運用をサービス事業者側が行い、当該運用の成果をユーザに還元して暗号資産を効率的に増やすために用いられる。また、当該処理システムは、例えば、管理サーバにおいて管理されている暗号資産(すなわち、ユーザに紐づいて記憶された暗号資産)が、ユーザの選択によって他の暗号資産に変換される場合に用いられる。これにより、上昇相場の暗号資産による運用が可能となり、変換後の他の暗号資産をより効率的に増やすことができる。換言すると、ユーザが暗号資産の管理を依頼すれば、サービス事業者側が当該暗号資産による効率のよい運用を行うことになり、ユーザにとっては自動的に暗号資産が増えることになる。そして、当該処理システムは、運用によって増加した暗号資産をユーザの要求に応じて、当該暗号資産又はその金融資産(法定通貨、電子マネー等)の支払いを行う場合に用いられる。
【0015】
また、本開示に係る処理システムは、管理サーバにおいて管理されている暗号資産を担保として、法定通貨又は仮想通貨等の貸付を行う場合に用いられる。すなわち、当該処理システムは、貸金業のサービスシステムとしても用いられることができる。例えば、マイニング処理の報酬としてユーザの暗号資産を管理している場合、サービス事業者は、自身が保有する法定通貨又は仮想通貨を直接的にユーザに貸し出してもよく、他の金融業者(銀行又は仮想通貨取引所)を経由してユーザに法定通貨又は仮想通貨を貸し出してもよい。これにより、ユーザは、サービス事業者に管理権限を付与している暗号資産をもとに、他の資産運用又は日常的な通貨の使用を行うことができる。
【0016】
図1を参照しつつ、本開示の処理システムの概要を説明する。ここで、
図1は、本実施形態に係る処理システムによる暗号資産管理の概要を示す概略図である。特に、
図1においては、ユーザが所持する端末装置を利用し、又は所有するマイニング装置が駆動することによって管理サーバに蓄積された暗号資産を運用若しくは他の暗号資産に変換し、又は当該暗号資産による貸付を行う処理及び対応が示されている。
【0017】
先ず、
図1に示すように、ユーザが自身の端末装置を使用して、自身の暗号資産の管理権限をサービス事業者に与えるように、自身のウォレット等で管理していた暗号資産を管理サーバに引き渡す処理が行われる。すなわち、ユーザは、自身の暗号資産の保有権をサービス事業者に譲渡し、当該暗号資産の管理が管理サーバにて行えるような処理を行う。また、ユーザはサービス事業者から購入したマイニング装置を駆動すると、分散型台帳システムのノードとなる管理サーバを介してマイニング処理が実行される。
【0018】
次に、管理サーバにおいては、ユーザの暗号資産の管理権限を受け付けることにより、管理するユーザの暗号資産が増加することになる。また、管理サーバにおいては、マイニング装置によるマイニング処理が成功すると、マイニング処理に係る報酬がユーザに分配され、管理するユーザの暗号資産が増加することになる。すなわち、管理サーバにおいては、ユーザによる管理権限の付与の処理又はマイニング装置によるマイニング処理が行われることにより、サービス事業者が管理及び運用を行うことになる暗号資産(すなわち、当該ユーザの暗号資産)が蓄積していくことになる。
【0019】
次に、管理サーバにおいて、管理する暗号資産を使用した運用(投資)又は当該暗号資産を原資として購入した金融商品による運用が行われ、当該暗号資産を増やすための処理が実行される。具体的には、暗号資産市場における暗号資産の購入及び売却の処理が管理サーバによって繰り返し行われ、管理する暗号資産を元にした運用による成果を上げるような活動がサービス事業者によって行われる。そして、当該運用による成果が上がることによって報酬がユーザに分配され、管理サーバにおいて管理されているユーザの暗号資産が自動的に増加することになる。すなわち、ユーザにとっては、暗号資産を管理サーバにおいて管理してもらうだけで、管理サーバにおけるユーザの暗号資産の残高が勝手に増加していくことになる。なお、以下において運用とは暗号資産の売買を行うこととして説明するが、運用は暗号資産のステーキングであってもよい。また、運用としては、暗号資産を原資として有価証券、債券、法定通貨、商品を購入及び売却の処理が管理サーバによって繰り返し行われてもよい。更に、運用としては、暗号資産を原資として貸付(融資型クラウドファンディング)、投資型クラウドファンディング、ファクタリングであってもよい。
【0020】
次に、
図1に示すように、ユーザは自身の端末装置を使用して、管理サーバにおいて管理されている暗号資産を他の暗号資産に変換するための依頼を行うことができる。例えば、ユーザはマイニング処理の報酬として管理されている仮
想通貨をステーブルコインやこれ以外の仮
想通貨に変換するための依頼を行うことができる。管理サーバにおいては、当該変換依頼を受け付けると、当該変換依頼に基づいて暗号資産を他の暗号資産に変換する処理が行われる。これにより、ユーザは、管理サーバにおいて管理されている暗号資産及び他の暗号資産の市場状況に対応させ、上昇相場の暗号資産や、安定的な相場の暗号資産(ステーブルコイン)を選択することが可能となる。そして、このような暗号資産の選択により、暗号資産をより増加させる攻めの運用、又は損失を低減するような安定的な運用が可能となる。
【0021】
次に、
図1に示すように、ユーザは自身の端末装置を使用して、管理サーバにおいて管理されている暗号資産を担保とした貸付依頼を行うことができる。例えば、ユーザはマイニング処理の報酬として管理されている暗号資産を担保として、法定通貨の貸付を依頼することができる。管理サーバにおいては、当該貸付依頼を受付けて所定の審査が実行され、貸付に問題がなければ、当該ユーザに対する法定通貨の貸付が実行される。なお、貸付対象は法定通貨に限られず、他の仮
想通貨等の暗号資産であってもよく、サービス事業者が設定している貸付対象からユーザが適宜選択することが可能である。これにより、ユーザは、サービス事業者に管理権限を付与している暗号資産をもとに、日常生活において必要となる法定通貨(電子マネーを含む)を得たり、他の事業者が行っている運用サービスのための資金を得ることもできる。
【0022】
以上のように、ユーザは、管理サーバによる暗号資産の管理サービスを利用することにより、自身が直接的に運用することなく、暗号資産を自動的に増やすことができる。また、ユーザは、管理対象となる暗号資産を選択することにより、暗号資産の運用益を高めたり、又は損失を減少させるための選択を行うことができる。更に、ユーザは、増加した暗号資産に基づいて法定通貨又は仮想通貨の貸付を受けることができ、暗号資産を活用して種々の活動(一般生活又は経済活動等)を行うことができる。
【0023】
そして、ユーザが運用後の暗号資産の受取方法としては、後述する引き渡し請求権をユーザが行使することにより、サービス事業者からユーザのウォレットに暗号資産が引き渡されることになる。この際、別の暗号資産への変更、法定通貨(電子マネー含む)への変更を行うことにより、当該引き渡し処理がおこなわれてもよい。すなわち、管理サーバにおいては、増加した暗号資産に基づいてユーザに、当該暗号資産、他の暗号資産、又は法手通貨等による支払い処理が行われる。
【0024】
本開示において、「ユーザ」は単に処理システムにより提供されるサービスを利用可能な者を意味するにすぎない。特に、以下の本実施形態においては、「ユーザ」とは暗号資産の引き渡し請求権を保有し、又は保有する権利を有するものである。当該引き渡し請求権には、サービス事業者に対して当該暗号資産の運用が含まれる。ここで、暗号資産を運用する場合には、当該暗号資産の引き渡し請求権をユーザが有することが必要となることを想定し、当該引き渡し請求権のみがユーザに残り、当該暗号資産の保有権がサービス事業者に有るとして説明を行う。このため、以下の本実施形態において、「管理権限の付与」とは、暗号資産の保有権がサービス事業者に有る意味も含まれる。ただし、暗号資産の保有権を移すことなくサービス事業者が暗号資産の運用を行うことができる場合には、当該暗号資産の保有権はユーザに残り、当該暗号資産の取り扱いの権限のみがサービス事業者に付与されてもよい。そして、暗号資産をユーザに代わって管理する場合には、当該暗号資産と当該ユーザとを紐づけてサービス事業者側で記憶することが想定されている。
【0025】
本開示において、「マイニングシステム」とはブロックチェーンに係るマイニング処理を行うシステムを意味するに過ぎない。特に、本開示において、「マイニングシステム」は、ハード機器であるマイニング装置及びソフトウエアであるマイニングソフトのいずれか一方を少なくとも含む概念である。以下の実施形態においては、マイニングシステムとして、マイニング装置のみから構成されている場合を想定しているが、クラウドマイニングによる処理が想定されたマイニングソフトのみからマイニングシステムが構成されてもよく、又はソフトウエアとハードウエアとが含まれてもよい。
【0026】
本開示において、「暗号資産」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値を有するものに過ぎない。特に、以下の実施形態において、「暗号資産」としては、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)、ポリゴン(MATIC)、アバランチ(AVAX)、チェーンリンク(LINK)、ドージコイン(DOGE)、エイダコイン(ADA)、ポルカドット(DOT)、及びトロン(TRX)等の既存の仮想通貨が含まれるが、今後新たに生み出される新たな仮想通貨も含まれる。また、「暗号資産」には、デザー(USDT)、USDコイン(USDC)、BUSD、ダイ(DAI)、JPYコイン(JPYC)、ジパングコイン(ZPG)、パクソス・スタンダード(PAX)等のステーブルコインも含まれる。
【0027】
本開示の処理装置及び処理システムの適用先について、以下の本実施形態においては、ユーザから管理権限を与えられた暗号資産を管理する場合、及びマイニング装置によるマイニング報酬である暗号資産を管理する場合に特化して説明されているが、これに限定されない。すなわち、本開示の処理装置及び処理システムは、暗号資産をユーザに代わって管理する業種においては、適宜適用されるものであり、適用業種が限定的になるものではない。
【0028】
<処理システムの構成>
次に、
図2を参照しつつ、本実施形態に係る処理システムの概略的な構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る処理システム1の構成を概略的に示す概念図である。
図2に示すように、処理システム1は、暗号資産の管理を希望するユーザが使用するユーザの端末装置10、暗号資産の管理を行うサービス事業者が利用する管理サーバ20、管理サーバ20がノードの一部として機能する分散型台帳システム30、マイニング処理を実行するマイニング装置40、及び金融市場において各種の取引並びに情報の処理を行う取引システム50を備える。また、取引システム50は、各種の取引を行うための取引サーバ60、及び各種の情報を記憶するデータサーバ70を含む。更に、処理システム1を構成するこれらの構成要素は、インターネット等のネットワーク80によって相互に通信可能に接続されている。当該ネットワーク80は、無線、有線又はそれらの組み合わせにより構成される。ここで、金融市場とは一般的な法定通貨の市場だけでなく、暗号資産市場も含む概念である。
【0029】
そして、本実施形態では、管理サーバ20が処理装置として機能する場合を中心に説明する。しかし、本開示における処理装置は、上記のような処理を実行可能な装置であればいずれでもよく、当然に、管理サーバ20以外の他のサーバ装置、処理システム1に含まれる他の装置又はシステム、これらの組み合わせのいずれであっても、好適に処理装置として機能することが可能である。すなわち、本開示においては、各装置につけられた呼称は、各装置を互いに区別するために用いられているに過ぎず、各装置の機能に応じては他の呼称がなされてもよい。
【0030】
なお、
図2の例では、端末装置10、マイニング装置40、取引サーバ60、及びデータサーバ70は、1台しか記載されていないが、当然2台以上の各装置を含むことが可能である。また、管理サーバ20、取引サーバ60、及びデータサーバ70は、単一のものとして記載されているが、各サーバの各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。更に、
図2の例では、ブロックチェーン技術を利用したシステムである分散型台帳システムは1つのみが記載されているが、当然に2つ以上の分散型台帳システムがネットワーク80に接続されていてもよい。
【0031】
(ユーザの端末装置)
図3は、本開示の実施形態に係る端末装置10の電気的構成の例を示すブロック図である。端末装置10は、
図3に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0032】
端末装置10は、典型的には、スマートフォンに代表される無線通信可能な端末装置が挙げられるが、当該装置のみには当然限られない。例えば、端末装置としては、フィーチャーフォン、携帯情報端末、PDA、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機、VR(Virtual Reality)ヘッド装置、AR(Augmented Reality)グラスなど、本開示に係るプログラムを実行可能な装置であれば、いずれでも好適に適用することが可能である。また、複数の端末装置10が管理サーバ20と通信可能である場合に、端末装置10のそれぞれは、常に同種又は同じ端末装置である必要はなく、互いに異なる種類の端末装置であってもよい。すなわち、ユーザごとに使用する端末の種類が異なってもよく、更には1人のユーザが種類の異なる複数の端末を使用してもよい。
【0033】
図3に示すように、端末装置10は、スピーカー及びディスプレイ(いずれも図示せず)を含む出力インターフェイス11、プロセッサ12、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)等を含むメモリ13、通信処理回路14a並びにアンテナ14bを含む通信インターフェイス14、及びタッチパネル15a並びにハードキー15bを含む入力インターフェイス15を有する。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0034】
出力インターフェイス11は、プロセッサ12の指示に応じて、接続されたカメラ(図示せず)で撮影される画像や、本開示に係るプログラムを実行することによって出力される各種表示を、ディスプレイやプリンタ等の機器に出力する出力部として機能する。また、出力インターフェイス11は、本開示に係るプログラムを実行することによって出力される各種表示を、ディスプレイから出力する機能を有する。なお、ディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は電子ペーパー等から構成されてもよく、端末装置10とは別体のディスプレイであってもよい。
【0035】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)から構成され、メモリ13に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する制御部として機能する。具体的には、プロセッサ12は、本実施形態に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ13から読み出して実行する。特に、
図11、
図14乃至
図16、及び
図18のシーケンスで記載された各処理等を実行する。なお、プロセッサ12は、単一のCPU又はGPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0036】
メモリ13は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ12により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本実施形態において、メモリ13は、特に、
図11、
図14乃至
図16、及び
図18のシーケンスで記載された各処理等を実行するプログラムを記憶する。
【0037】
また、本開示の実施形態においては、メモリ13にはウォレットアプリが記憶されており、暗号資産に係る各種の処理が行えるようになっている。例えば、ウォレットアプリとしては、METAMASK、MEWWallet、tokenPocket等がある。なお、メモリ13に記憶されるウォレットの種類はウォレットアプリに限定されることなく、端末装置10の種別に応じて、ブラウザ機能拡張ウォレットであってもよい。
【0038】
通信インターフェイス14は、通信処理回路14a及びアンテナ14bを介して、遠隔に設置された管理サーバ20、分散型台帳システム30、取引システム50、又は他の端末装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信インターフェイス14は、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、管理サーバ20、分散型台帳システム30、取引システム50、又は他の端末装置から情報を送受信するための処理を行う。
【0039】
通信処理回路14aは、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0040】
入力インターフェイス15は、タッチパネル15a及びハードキー15b等から構成され、本実施形態に係るプログラムの実行に係る指示入力や、様々な情報を登録するための操作入力等を受け付ける機能を有する。タッチパネル15aは、出力インターフェイス11を被覆するように配置され、出力インターフェイス11からディスプレイに出力される画像データに対応する位置座標の情報を、プロセッサ12に送信する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式など、公知の方式を利用することができる。本実施形態においては、タッチパネル15aは、指示体により出力インターフェイス11に表示された各アイコン等に対するスワイプ操作やタップ操作を検出する。なお、本実施形態では端末装置10に備えられる入力インターフェイス15を用いているが、例えばマウスのような、プロセッサ12等を備える本体に無線又は有線で接続された入力インターフェイス15を用いることも可能である。
【0041】
(管理サーバ)
次に、
図4を参照しつつ、本実施形態に係る管理サーバ20の具体的な構成を説明する。ここで、
図4は、本実施形態に係る管理サーバ20の電気的構成を示すブロック図である。管理サーバ20は、
図4に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0042】
管理サーバ20は、典型的には、大型のコンピュータに代表される無線通信可能な装置が挙げられるが、当該装置のみには当然限られない。例えば、当該装置としては、フィーチャーフォン、携帯情報端末、PDA、スマートフォン、デスクトップパソコン、ラップトップパソコン、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機など、本開示に係るプログラムを実行可能な装置であれば、いずれでも好適に適用することが可能である。また、管理サーバ20は単一の筐体に
図4に図示するものを備える必要はなく、管理サーバ20の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0043】
図4に示すように、管理サーバ20は、プロセッサ21、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)等を含むメモリ22、通信処理回路23a及びアンテナ23bを含む通信インターフェイス23、及び入力インターフェイス24を有する。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0044】
プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)から構成され、メモリ22に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する機能を有する。具体的には、プロセッサ21は、本開示に係る情報処理を実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ22から読み出して実行する。本実施形態において、プロセッサ21は、例えば、
図11、
図14乃至
図16、及び
図18のシーケンスで記載された各処理等を実行する。特に、プロセッサ21は、「ユーザに紐づけられた暗号資産情報をメモリ22に記憶する処理」、「暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換すると暗号資産情報を更新する処理」、「暗号資産及び他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用又は暗号資産若しくは他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、運用の結果に応じて暗号資産情報を更新する処理」、「更新した前記暗号資産情報に基づいて前記ユーザに支払いを行う処理」を実行する。なお、プロセッサ21は、単一のCPU又はGPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0045】
メモリ22は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ21により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。
【0046】
本実施形態において、メモリ22は、例えば、
図11、
図14乃至
図16、及び
図18のシーケンスで記載された各処理等を実行するためのプログラムを記憶する。特に、メモリ22は、「ユーザに紐づけられた暗号資産情報をメモリ22に記憶する処理」、「暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換すると暗号資産情報を更新する処理」、「暗号資産及び他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用又は暗号資産若しくは他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、運用の結果に応じて暗号資産情報を更新する処理」、「更新した前記暗号資産情報に基づいて前記ユーザに支払いを行う処理」等をコンピュータである管理サーバ20(すなわち、プロセッサ21)に実行させるものである。また、本実施形態において、メモリ22は、
図8に示すようなユーザ管理テーブル、及び受信した各種の情報を記憶する。
【0047】
通信インターフェイス23は、通信処理回路23a及びアンテナ23bを介して、遠隔に設置された端末装置10、分散型台帳システム30、取引システム50、又は他の端末装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信インターフェイス23は、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、端末装置10、分散型台帳システム30、取引システム50、又は他の端末装置から情報を送受信するための処理を行う。
【0048】
通信処理回路23aは、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0049】
入力インターフェイス24は、ハードキー又はマウス等(図示せず)から構成され、本実施形態に係るプログラムの実行に係る指示入力や、様々な情報を登録するための操作入力等を受け付ける機能を有する。
【0050】
なお、取引システム50を構成する取引サーバ60及びデータサーバ70についても、管理サーバ20と同様の構成であり、プロセッサ、メモリ、通信インターフェイス、及び入力インターフェイスを有し、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。このため、取引サーバ60及びデータサーバ70についての構成に係る詳細な説明は省略する。
【0051】
(分散型台帳システム)
次に、
図5を参照しつつ、本実施形態に係る分散型台帳システム30の具体的な構成を説明する。ここで、
図5は、本実施形態に係る分散型台帳システム30の電気的構成を示すブロック図である。分散型台帳システム30は、
図5に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0052】
図5に示すように、分散型台帳システム30は、複数のノード端末装置31~33を備える。また、分散型台帳システム30においては、管理サーバ20もノード端末装置として機能することになる。すなわち、分散型台帳システム30は、ノード端末装置としての管理サーバ20を含むことになる。
【0053】
ノード端末装置31~33、及び管理サーバ20は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。例えば、当該ネットワークは、公衆網、プライベートネットワーク、専用線、VPN(Virtual Private Network)、又はこれらの組合せであってもよい。また、複数のノード端末装置31~33及び管理サーバ20は、例えば、有線または無線により接続されている。そして、複数のノード端末装置31~33及びマイニング装置40は、ピア・ツー・ピア(P2P:Peer to Peer)方式で互いに通信する。
【0054】
図5に示すように、ノード端末装置31はデスクトップ型のPCであり、ノード端末装置32はタブレット端末であり、ノード端末装置33はノート型PCである。しかしながら、ノード端末装置31~33は、これらに限定されることはなく、ブロックチェーンのネットワークに接続することが可能な端末装置であれば、どのようなものであってもよい。例えば、ノード端末装置として、スマートフォン等の携帯電話が用いられてもよい。
【0055】
また、
図5においては、ノード端末装置31~33及び管理サーバ20のそれぞれは、互いに異なる種類の端末であるが、同種の端末装置が存在してもよい。更に、分散型台帳システム30を構成するノードの台数は4台に限定されることはなく、2台以上であれば適宜設定することができる。そして、分散型台帳システム30を構成するノードの台数は、時間とともに変動してもよい。
【0056】
ノード端末装置31~33のそれぞれは、端末装置10又は管理サーバ20と同様の構成となる。例えば、ノード端末装置31~33は、プロセッサ、メモリ、通信インターフェイス、入力インターフェイス、及び出力インターフェイスを備えていてもよい。当然のことながら、ノード端末装置31~33は、このような構成に限定されず、当該構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。また、ノード端末装置31~33の構成は、互いに異なっていてもよい。
【0057】
ノード端末装置31~33、及び管理サーバ20は、例えばブロックチェーン技術を用いて分散型台帳を管理する。具体的には、ノード端末装置31~33、又は管理サーバ20のいずれかは、記録すべきトークンの取引に関するデータを取得する。ノード端末装置31~33及び管理サーバ20は、取得したデータを含むブロックを生成する。ノード端末装置31~33及び管理サーバ20は、生成した当該ブロックをブロックチェーン上に追加する。ノード端末装置31~33及び管理サーバ20は、追加したブロックの情報を他のノード端末装置31~33又は管理サーバ20へ送信する。他のノード端末装置31~33又は管理サーバ20は、受信したブロックの正しさを検証する。また、他のノード端末装置31~33又は管理サーバ20は、当該ブロックの正しさに関する検証に成功した場合、当該ブロックをブロックチェーン上に追加する。ノード端末装置31~33及び管理サーバ20は、例えば、いわゆる承認数である連結されたブロック数に基づいてブロックチェーンを確定する。これにより、複数のノード端末装置31~33及び管理サーバ20にわたり、同一の分散型台帳が保存されることになる。なお、ブロックチェーン上に保存されるデータは、適宜に暗号化される。
【0058】
また、管理サーバ20は、マイニングプールとして機能し、複数のマイニング装置40とネットワーク80を介して通信可能に接続されている。上述したように、管理サーバ20は、分散型台帳システム30のノード端末装置としてブロックチェーンに参加し、ブロックの承認処理を行っている。ここで、管理サーバ20は、承認が必要なブロックを当該ブロックチェーン上に発見すると、通信可能に接続されているマイニング装置40に対して、発見したブロックに対するハッシュを作成する依頼を行う。そして、各マイニング装置40は、当該依頼に基づいて、通常のマイニングと同じようにブロックに対してハッシュを作成し、管理サーバ20を介してハッシュを分散型台帳システム30の各ノード端末装置に送信することになる。
【0059】
そして、マイニング装置40は、他のノード端末装置とは異なり、複数の処理機能を有することはなく、マイニング処理に特化した小型デバイスである。マイニング装置40の構成は、
図6に示すように、管理サーバ20と同様の構成である。また、マイニング装置40は、
図6に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0060】
図6に示すように、マイニング装置40は、CPU等から構成されるプロセッサ41,RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ42、及び通信インターフェイス43を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0061】
プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)から構成され、メモリ42に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御するための制御部として機能する。具体的には、プロセッサ41は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ42から読み出して実行する。特に、プロセッサ41は、マイニング処理のためのプログラムを実行し、マイニング処理を定期的に実行する。
【0062】
メモリ42は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDDを含み、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。このようなプログラムは、プロセッサ41によってロードされ実行される。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ41によって処理されている間、データの書き込み及び読み込みを実行するために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。特に、メモリ42は、特に、マイニング処理のためのプログラムを記憶する。
【0063】
通信インターフェイス43は、通信処理回路43a及びアンテナ43bを介して、遠隔に設置された管理サーバ20との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路43aは、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、管理サーバ20から情報を送受信するための処理をする。通信処理回路43aは、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理するが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0064】
<管理サーバ装置の機能及び処理>
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、本実施形態に係る管理サーバ20の機能及び処理を説明する。ここで、
図7は、実施形態に係る管理サーバ20の情報処理に係る機能ブロック図である。
図8は、実施形態に係る管理サーバ20に記憶されるユーザ管理テーブルの概要を示す概略図である。
【0065】
図7に示すように、管理サーバ20は、本実施形態に係る各種の処理を実行するために、情報取得部91、記憶部92、学習済み運用モデル93、運用処理部94、変換処理部95、貸付処理部96、及びマイニングプール部97を有している。なお、管理サーバ20は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラムを実行し、通信インターフェイス23及び通信処理回路23aを制御する機能(通信部)も備えている。
【0066】
情報取得部91は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラム(情報取得に係るプログラム)を実行することによって機能する。記憶部92は、プロセッサ21がメモリ22に種々の情報を書き込むことによって機能する。学習済み運用モデル93は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された生成AIに係るプログラムを実行することによって機能する。運用処理部94は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラム(暗号資産の運用に係るプログラム)を実行することによって機能する。変換処理部95は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラム(暗号資産の変換に係るプログラム)を実行することによって機能する。貸付処理部96は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラム(暗号資産を担保とした貸付に係るプログラム)を実行することによって機能する。マイニングプール部97は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラム(マイニング処理に係るプログラム)を実行することによって機能する。支払い処理部98は、
図4におけるプロセッサ21がメモリ22に記憶された所定のプログラム(支払い処理に係るプログラム)を実行することによって機能する。
【0067】
詳細な情報の流れとして、先ず
図7に示すように、管理サーバ20は、端末装置10又は取引システム50から外部情報を取得し、記憶部92に記憶することになる。具体的に、端末装置10、取引システム50のデータサーバ70、又はその他のサーバから外部情報がネットワーク80を介して管理サーバ20に送信されると、管理サーバ20の情報取得部91が外部情報の種別又は内容に応じて仕分けを行う。より具体的に、また、情報取得部91は、外部情報にユーザ情報、各種の暗号資産の価格、及び金融情報が含まれている場合、当該ユーザ情報及び金融情報を記憶部92に送信する。また、情報取得部91は、外部情報に運用情報が含まれている場合、当該運用情報を記憶部92及び運用処理部94に送信する。
【0068】
ここで、ユーザ情報とは、ユーザに係る各種の情報であって、例えば、ユーザID、ユーザのウォレット情報、ユーザのマイニング装置ID、又はユーザの暗号資産情報を含んでいる。また、暗号資産情報とは、暗号資産の種別(仮想通貨の名称)、暗号資産の数量(仮想通貨の金額)等を含む情報である。更に、金融情報とは、金融市場における各種の情報であって、例えば、法定通貨又は仮想通貨のそれぞれの買取価格及び売却価格が含まれてもよい、各通貨の今後の価値変動の予測情報が含まれてもよい。そして、金融情報には、有価証券、債券、法定通貨、商品、貸付(融資型クラファン)、株式投資型クラウドファンディング、及びファクタリングに係る市場情報が含まれてもよい。加えて、運用情報とは、管理サーバ20において管理されている暗号資産をどのように運用するかの運用指示に係る情報であり、ユーザが端末装置10を使用して選択又は学習済み運用モデル93によって生成される情報である。より具体的に、運用情報には、投資先(銘柄)の情報、投資金額、及びポートフォリオに係る情報が含まれていてもよい。
【0069】
記憶部92は、受信した運用情報、ユーザ情報、及び金融情報を記憶する。特に、記憶部92は、
図8に示すようなユーザ管理テーブルを記憶しており、受信した運用情報及びユーザ情報に基づいて、各項目を新たに作成又は更新することになる。当該ユーザ管理テーブルは、例えば、「ユーザID」、「ウォレット情報」、「マイニング装置ID」、「暗号資産情報」、「運用情報」及び「貸付情報」等に係る情報から構成される。すなわち、記憶部92においては、ユーザと暗号資産が紐づけられて記憶されている。
【0070】
「ユーザID」は、マイニング装置40を販売するサービス事業者が管理するウェブ上の販売サイトにおいて、登録手続を行ったユーザに付与される固有の識別子である。ユーザIDは、例えば、通し番号であってもよく、ユーザが設定する任意の文字及び数字から構成されるものであってもよく、又はメールアドレス若しくはその一部であってもよい。すなわち、ユーザIDは、ユーザを識別することができれば、自由に設定可能であってもよい。
【0071】
「ウォレット情報」は、ユーザが暗号資産の取引を行うために取得したウォレットに係る情報である。当該情報には、ウォレットの所有者に係る情報、保有する暗号資産に係る情報が含まれてもよい。
【0072】
「マイニング装置ID」は、マイニング装置40を販売するサービス事業者がマイニング装置40のそれぞれに対して付与した固有の識別子である。このため、同じ種類のマイニング装置40であっても、異なるマイニング装置IDが付与されている。マイニング装置IDがユーザIDと紐づいているため、いずれのユーザがいずれのマイニング装置40を所有しているかを把握することが可能になっている。マイニング装置IDは、例えば、通し番号であってもよく、当該事業者が設定する任意の文字及び数字から構成されるものであってもよい。すなわち、マイニング装置IDは、マイニング装置40を識別することができれば、自由に設定可能であってもよい。
【0073】
「暗号資産情報」は、上述したように、暗号資産の種別(仮想通貨の名称)、暗号資産の数量(仮想通貨の金額)等を含む情報である。すなわち、暗号資産情報とは、ユーザからサービス事業者に管理権限が与えられている暗号資産に係る最新の情報を含み、過去の増減や取引に係る情報が含まれてもよい。また、暗号資産情報には、複数の暗号資産に係る情報が含まれてもよく、例えば、仮想通貨ごとの残高情報であってもよい。
【0074】
「運用情報」は、上述したように、投資先(銘柄)の情報、投資金額、及びポートフォリオを含む情報である。また、暗号資産のステーキングによって運用を行う場合には、当該ステーキングの指示情報が含まれる。すなわち、運用情報とは、管理サーバ20(サービス事業者側)において実行される運用処理の条件に係る情報である。なお、運用情報には、情報取得部91から送信されるものと、後述する学習済み運用モデル93によって生成されるものの2種類が存在する。なお、運用情報は、ユーザIDに紐づいているため、運用によって成果を得られるユーザはユーザIDによって把握される。
【0075】
「貸付情報」は、後述する貸付処理部96において生成される情報であり、蓄積された暗号資産を担保とした法定通貨又は仮想通貨等の貸付に係る情報である。すなわち、貸付情報には、貸付対象となる通貨の種類並びに金額、貸付の日時、及び返済の期日並びに金額等の情報が含まれる。なお、貸付情報は、ユーザID及び暗号資産情報に紐づいているため、貸付先であるユーザはユーザIDによって把握され、担保対象は暗号資産情報によって把握されることになる。
【0076】
図7に戻り、記憶部92に記憶されている暗号資産情報及び金融情報は、事前に設定された所定のタイミングにて、学習済み運用モデル93に送信される。学習済み運用モデル93は、入力された暗号資産情報及び金融情報に基づいて、暗号資産を運用するための運用情報を生成し、当該運用情報を運用処理部94に送信する。ここで、当該運用情報は、情報取得部91において仕分けされる運用情報と同様であり、投資先(銘柄)の情報、投資金額、及びポートフォリオを含む情報である。なお、学習済み運用モデル93の設定やその処理の詳細については、
図9及び
図10を参照して後述する。
【0077】
運用処理部94は、情報取得部91又は学習済み運用モデル93から運用情報を受信すると、当該運用情報に基づいて、暗号資産の運用を開始する。具体的に、運用処理部94は、運用情報に含まれる投資先、投資金額、及びポートフォリオに基づいて、取引システム50の取引サーバ60に対して、買い付け又は売り出しのための要求を送信し、暗号資産に基づく運用処理を実行する。また、運用処理部94は、運用情報に基づいて、買い付け又は売り出しのための要求を行うことなく、暗号資産のステーキングにより運用処理を実行してもよい。そして、運用処理部94は、当該運用処理に基づく成果又は損失を受付け、運用結果情報を生成する。ここで、運用結果情報とは、運用対象である暗号資産の増減を示す情報である。
【0078】
運用処理部94は、暗号資産の運用結果が出ると(すなわち、暗号資産の増減が発生すると)、実際に運用した条件である運用情報と運用結果情報を記憶部92に送信する。記憶部92は、受信した運用情報と運用結果情報に基づいて、暗号資産情報及び運用情報を更新し、暗号資産の運用実績を記憶することになる。このような運用情報の取得又は生成、実際の運用、及びその成果が繰り返えされることにより、管理サーバ20において管理されている暗号資産が増減し、ユーザが暗号資産の運用を直接的に行うことなく、ユーザが運用の成果を受け取ることが可能となる。
【0079】
次に、
図7に示すように、管理サーバ20は、端末装置10から暗号資産に係る変換依頼を受付け、当該変換依頼に基づく暗号資産の変換処理を実行し、その内容を記憶部92に記憶することになる。具体的に、端末装置10から変換依頼情報がネットワーク80を介して管理サーバ20に送信されると、管理サーバ20の変換処理部95が当該変換依頼情報を受け付ける。ここで、変換依頼には、変換先の暗号資産(仮
想通貨)やその数量(金額)に係る情報が含まれている。
【0080】
変換処理部95は、変換依頼情報を受信すると、当該変換依頼情報に基づいて、変換依頼を行ったユーザから管理依頼を受けている暗号資産について、他の暗号資産への変換処理を行う。例えば、変換処理部95は、暗号資産市場における変換レートに基づいて、暗号資産を他の暗号資産に実際に変換する。この場合、変換処理部95は、記憶部92に記憶された金融情報を読み出して利用することになる。そして、変換処理部95は、変換処理の結果である変換情報を生成し、記憶部92に送信する。その後、記憶部92は、受信した変換情報に基づいて、暗号資産情報を更新する。加えて、更新後の暗号資産情報が学習済み運用モデル93に送信されることにより、変換後の暗号資産による新たな運用が開始されることになる。
【0081】
次に、
図7に示すように、管理サーバ20は、端末装置10から暗号資産を担保とする貸付依頼を受付け、当該貸付依頼に基づく貸付処理を実行し、その内容を記憶部92に記憶することになる。具体的に、端末装置10から貸付依頼情報がネットワーク80を介して管理サーバ20に送信されると、管理サーバ20の貸付処理部96が当該貸付依頼情報を受け付ける。ここで、貸付依頼には、貸付対象となる通貨の種類及び金額に係る情報が含まれている。
【0082】
貸付処理部96は、貸付依頼情報を受信すると、当該貸付依頼情報に基づいて審査を行う。例えば、記憶部92に貸付審査に係る情報が記憶されており、当該貸付審査情報と貸付依頼情報とを比較し、ユーザに対して貸付できるか否か、貸付の金額、貸付の返済の期日、貸付金利等を判定してもよい。そして、貸付処理部96は、審査結果に基づいて貸付処理を行う。具体的に、貸付処理部96は、管理サーバ20において管理されている暗号資産又は通貨を利用して、ユーザに対する貸付処理を実行し、貸付結果である貸付情報を端末装置10に送信してもよい。また、貸付処理部96は、貸付情報を含む送金依頼を取引システム50に送信し、取引システム50を介してユーザに貸付を実行(すなわち、送金処理を実行)してもよい。
【0083】
次に、管理サーバ20は、マイニング装置40のマイニング処理を統括し、マイニング処理が成功した場合には、マイニングの報酬を分配するための処理を行う。具体的に、管理サーバ20のマイニングプール部97が、ネットワーク80を介してマイニング装置40に対して、発見したブロックに対するハッシュを作成する依頼を行い、マイニング装置40のそれぞれからのハッシュを受付け、分散型台帳システム30の各ノード端末装置に当該ハッシュを送信する。そして、マイニング装置40によるマイニング処理が成功した場合、マイニングプール部97は、成功に対する報酬を分配する処理を行い、分配結果である報酬情報を記憶部92に送信する。ここで、報酬情報には、各ユーザに対する暗号資産の付与量(仮想通貨の金額)が含まれている。
【0084】
その後、記憶部92は、受信した報酬情報に基づいて、暗号資産情報を更新する。すなわち、記憶部92は、報酬の分配に対応して、各ユーザに紐づけられた暗号資産を増加させ、その残高を更新することになる。なお、記憶部92は、暗号資産の残高のみならず、報酬として増加した日時及び金額も暗号資産情報に含めて記憶する。
【0085】
支払い処理部98は、支払い依頼情報を受信すると、当該支払い依頼情報に基づいて、支払い依頼を行ったユーザから管理依頼を受けている暗号資産について、支払い処理を行う。例えば、支払い処理部98は、管理していた暗号資産をそのままユーザのウォレットに支払うことになる。また、ユーザが暗号資産以外の法定通貨や電子マネーを支払い対象として選択した場合、暗号資産市場を含む金融市場における変換レートに基づいて、法定通貨又は電子マネーによる支払いを実行する。そして、支払い処理部98は、支払い処理の結果である支払い情報を生成し、記憶部92及びユーザの端末装置10に送信する。その後、記憶部92は、受信した支払い情報に基づいて、暗号資産情報を更新する。
【0086】
<学習済み運用モデル>
次に、
図9及び
図10を参照しつつ、学習済み運用モデル93の準備及び利用について説明する。
図9は、実施形態に係る管理サーバ20に設定される学習済み運用モデル93の設定の流れを示すフロー図である。
図10は、実施形態に係る管理サーバ20に設定される学習済み運用モデル93による情報処理を示す概略図である。
【0087】
先ず、
図9に示すように、学習済み運用モデル93を設定するために、管理サーバ20のプロセッサ21は、学習データを取得する(S1)。ここで、学習データの一例として、
図10に示すように、過去の運用情報、過去の運用結果情報、過去のポートフォリオの情報、及び過去の金融情報が利用されてもよい。これらのデータは、入力インターフェイス24を介してサービス事業者等の管理者によって入力されてもよく、通信インターフェイス23を介して受信してもよい。
【0088】
また、本実施形態においては、学習済み運用モデル93を生成するために、過去の運用情報、過去の運用結果情報、過去のポートフォリオの情報、及び過去の金融情報が関連付けられて利用される。ただし、これらの情報を関連付けすることが好ましいものの、一部の情報を除外したり、更に追加の情報を付加してもよく、情報間の関連付けについては後述する機械学習に応じて適宜変更してもよい。
【0089】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、取得した学習データにアノテーション処理を行う(S2)。具体的なアノテーション処理としては、取得された学習データに注釈等を付し、教師データを生成する。例えば、管理サーバ20のプロセッサ21は、過去の運用結果情報にタグ付けを行い、所定の成果が得られた正解データを生成する。
【0090】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、取得した学習データ及びアノテーション処理された教師データを用いて機械学習を行う(S3)。当該機械学習は、一例として、ニューロンを組み合わせて構成されたニューラルネットワークに学習データ及び教師データを与え、ニューラルネットワークの出力が教師データのうちの正解データと同じになるように、各ニューロンのパラメータを調整しながら学習を繰り返すことにより行われる。なお、上記機械学習は一例にすぎず、スコアリングを用いた機械学習を行ってもよい。
【0091】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、機械学習によって生成した学習済み運用モデル93の評価を行う(S4)。ここで、管理サーバ20のプロセッサ21は、機械学習に使用した学習データとは異なる評価データを使用し、当該モデルの評価を実行する。例えば、
図10に示すように、管理サーバ20のプロセッサ21は、所定の金融情報及び暗号資産情報を入力情報として入力する。その後、管理サーバ20のプロセッサ21は、学習済み運用モデル93から出力される出力情報が、正しい結果であるかを評価する。ここで、出力情報としては、例えば、運用情報であり、ポートフォリオの情報を含む形式で出力される。
【0092】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、実際に運用した内容と、生成した運用情報が一致した場合、生成した学習済み運用モデル93を実装する(S5)。具体的に、管理サーバ20のプロセッサ21は、生成した学習済み運用モデル93をメモリ22に記憶させる。これにより、管理サーバ20において学習済み運用モデル93が機能することになる。
【0093】
そして、
図10に示すように、実装された学習済み運用モデル93に、所定の金融情報及び暗号資産情報のいずれか一方、又はこれらの組み合わせを含む入力情報が入力されると、暗号資産を運用するための運用情報が出力される。ここで、当該運用情報には、ポートフォリオの情報が含まれることになる。
【0094】
管理サーバ20のプロセッサ21は、
図9に示す処理を定期的に実行し、学習済み運用モデル93を更新してもよい。すなわち、学習データを定期的に追加し、学習済み運用モデル93の出力結果の精度向上が図られてもよい。例えば、ディープラーニングの技術を利用し、学習済み運用モデル93を逐次更新してもよい。
【0095】
<処理システムにおける情報処理>
次に、本実施形態に係る処理システム1における情報処理について、
図11乃至
図19を参照しつつ説明する。ここで、
図11、
図14乃至
図16、
図18は、実施形態に係る処理システム1における暗号資産管理に係るシーケンス図である。特に、
図11は、ユーザがウォレット生成からユーザ登録までに、処理システム1において実行されるシーケンスを示す図である。また、
図14は、管理サーバ20において管理されるユーザの暗号資産が増加する流れを示すシーケンス図である。更に、
図15は、管理サーバ20による暗号資産運用の流れを示すシーケンス図である。そして、
図16は、管理サーバ20による暗号資産の変換処理に係る流れを示すシーケンス図である。加えて、
図18は、管理サーバ20による貸付処理に係る流れを示すシーケンス図である。
【0096】
一方、
図12、
図13、
図17、及び
図19は、実施形態に係る端末装置10において表示される画面の一例である。特に、
図12は、仮
想通貨の価格変動を示すグラフが表示された状態の画面である。また、
図13は、暗号資産の運用の設定に係る情報が表示された画面である。更に、
図17は、暗号資産の変換に係る情報が表示された画面である。更に、
図19は、暗号資産を担保とした貸付に係る情報が表示された画面である。
【0097】
先ず、
図11によれば、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付けてウォレット生成に係る情報を生成し、ウォレット生成依頼処理を行う(S11)。当該情報には、ユーザに係る各種の情報が含まれる。プロセッサ12は、通信インターフェイス14を介して、生成された情報を取引サーバ60に送信し、ウォレットの生成依頼を取引サーバ60に対して行う(T11)。
【0098】
次に、取引サーバ60のプロセッサは、受信した情報に基づいてウォレット生成の承認判定を行う(S12)。取引サーバ60のプロセッサは、ウォレット生成をしてもよいと判定した場合、当該ユーザに対するウォレットを生成し、生成したウォレットに係るウォレット情報を、通信インターフェイスを介して端末装置10に送信する(T12)。
【0099】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付けてログイン情報を生成する(S13)。当該ログイン情報には、ユーザID及びパスワードが含まれる。より具体的なユーザの操作入力とは、ユーザによる端末装置10の操作に応じて管理サーバ20によって管理されるウェブページに到達し、当該ウェブページのログイン画面において、入力インターフェイス15を介してユーザのID及びパスワードが入力されることである。そして、端末装置10のプロセッサ12は、ログイン要求(T13)と共に、通信インターフェイス14を介して、生成されたログイン情報を管理サーバ20に送信する。
【0100】
端末装置10にて生成されたログイン情報及びログイン要求が、管理サーバ20において通信インターフェイス23を介して受信されると、管理サーバ20のプロセッサ21は、ログイン情報に基づいてログインのための認証処理を行う(S14)。具体的に、管理サーバ20のプロセッサ21は、受信したログイン情報とメモリ22に記憶されたユーザ情報とを照合し、ログイン要求を行っている者がユーザ登録されているユーザであるかを確認する。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、ユーザ登録が確認できれば、当該認証処理の結果としてユーザのログインを承認する(T14)。一方で、管理サーバ20のプロセッサ21は、ユーザ登録が確認できなければ、再度のユーザID及びパスワードの入力を端末装置10に対して求める。
【0101】
端末装置10においてログインが承認されると、
図12の上側に示すような画面が端末装置10の出力インターフェイス11を介して表示される。具体的には、出力インターフェイス11の画面101は、その左側にタブ102~107が設けられ、右側には各タブに対応した情報が表示される表示部108が設けられた構成を有する。ここで、タブ102は「トップ」、タブ103は「コイン」、タブ104は「暗号資産」、タブ105は「運用条件」、タブ106は「貸付」、タブ107は「ショップ」と設定されている。更に、ユーザがログインした状態においては、「トップ」のタブ102が選択されており、新着情報やトピック等が表示されている。そして、ユーザの操作によって「コイン」のタブ103が選択されると、
図12の下側に示すように、表示部108には各種の仮
想通貨の価格変動に係るグラフが表示される。これにより、ユーザは仮
想通貨等の暗号資産を自由に選択し、選択した暗号資産に係る金融情報を容易に確認することができる。なお、「暗号資産」、「運用条件」、及び「貸付」の各タブについては、詳細を後述する。一方、「ショップ」のタブ107については、例えば、サービス事業者が販売するマイニング装置40を購入することができるサイトを表示部108に表示する機能を備えていていもよい。そして、画面101には、運用して蓄積した暗号資産をユーザに支払う(返還する)こ
とを要求するためのタブとして「支払い」があってもよい。
【0102】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付けて運用設定情報を生成する(S15)。具体的なユーザの操作入力の一例としては、
図13に示すように、「運用条件」のタブ105が選択され、表示部108に表示される3種類の運用条件から1つを選択することである。例えば、運用条件としては、「通常の自動運用」、「AIによる自動運用」、又は「運用しない」の3種類が存在する。「通常の自動運用」とは、ユーザが初期段階で選択した投資先、投資金額、ポートフォリオに基づいて行われる運用であり、
図7における情報取得部91から運用処理部94に運用情報を送信して運用を開始するパターンである。このため、「通常の自動運用」が選択された場合には、投資先、投資金額、及びポートフォリオを選択、入力、確認するための画面に遷移してもよい。また、「AIによる自動運用」とは、
図7における学習済み運用モデル93を利用した運用である。この場合には、学習済み運用モデル93が運用に必要な条件を出力するため、ユーザによる運用条件の選択等は不要となる。なお、初期状態として「通常の自動運用」、又は「AIによる自動運用」が選択されている状態であってもよく、「運用しない」が選択されている状態であってもよい。
【0103】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、通信インターフェイス14を介して運用設定情報を管理サーバ20に送信する(T15)。端末装置10にて生成された運用設定情報が、管理サーバ20において通信インターフェイス23を介して受信されると、管理サーバ20のプロセッサ21は、当該運用設定情報をメモリ22に記憶する登録処理を実行する(S16)。より具体的には、情報取得部91が運用設定情報を記憶部92に送信し、記憶部92において当該運用設定情報が運用情報の一部としてユーザ管理テーブルに記憶又は更新されてもよい。
【0104】
次に、
図14によれば、管理サーバ20のプロセッサ21は、マイニング依頼処理を実行する(S21)。具体的には、管理サーバ20のプロセッサ21は、ブロックチェーン上において承認が必要となるブロックを発見するための処理を行う。管理サーバ20のプロセッサ21(マイニングプール部97)は、当該ブロックを発見すると、ネットワーク80を介して接続されたマイニング装置40にハッシュを作成するための依頼情報を作成する。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、当該依頼情報とともにマイニング依頼を、通信インターフェイス23を介してマイニング装置40に送信する(T21)。
【0105】
次に、マイニング装置40は、受信した依頼情報に基づいてマイニング処理を実行する(S22)。具体的に、マイニング装置40は、管理サーバ20において発見されたブロックに対応するハッシュを生成する。そして、マイニング装置40は、作成したハッシュを管理サーバ20に送信する(T22)。当該ハッシュは、管理サーバ20を経由して、分散型台帳システム30の各ノード端末装置に送信されることになる。
【0106】
その後、マイニング装置40によるマイニング処理が成功すると、その成功の対価としての報酬をユーザ(マイニング装置40)に分配すべく、管理サーバ20のプロセッサ21(マイニングプール部97)は、報酬情報を生成する(S23)。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、報酬情報に基づいて、メモリ22に記憶された暗号資産情報の更新処理を実行する(S24)。このようなマイニング処理が継続して行われて成功報酬が発生すると、管理サーバ20において管理されているユーザに紐づいた暗号資産が増加することになる。
【0107】
一方、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付け、暗号資産管理権限の付与処理を実行する(S25)。具体的には、ユーザが端末装置10においてウォレットのアプリケーションを操作し、ユーザが自身のウォレットにおいて管理する暗号資産を管理サーバ20に引き渡すような処理が行われる。すなわち、ユーザが所持していた暗号資産の保有権を、管理サーバ20の管理者であるサービス事業者に譲渡するような手続きが実行される。
【0108】
このような処理が行われると、管理サーバ20に対して暗号資産の管理権限が付与され(T23)、ユーザに紐づけられた暗号資産が管理サーバ20のメモリ22に記憶されることになる。すなわち、管理サーバ20のプロセッサ21は、メモリ22に記憶された暗号資産情報を更新することになる(S26)。このような管理権限が付与される処理が行われることにより、マイニング報酬による暗号資産の増加とは別に、管理サーバ20において管理されている暗号資産が増加することになる。
【0109】
次に、
図15によれば、管理サーバ20のプロセッサ21は、暗号資産の運用を実行するための運用情報の生成処理を実行する(S31)。具体的に、S15において「AIによる自動運用」が選択されている場合、管理サーバ20のプロセッサ21は、メモリ22に記憶された暗号資産情報及び価格情報が学習済み運用モデル93に入力し、最新の運用情報が学習済み運用モデル93から出力されることになる。一方、S15において「通常の自動運用」が選択されている場合、情報取得部91によって外部情報から運用情報が仕分けられて生成されることになる。
【0110】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、生成した運用情報に基づいて、暗号資産の運用処理を行う。具体的に、管理サーバ20のプロセッサ21(運用処理部94)は、所定の金融商品の売買依頼とともに売買情報を、通信インターフェイス23を介して取引サーバ60に送信する(T31)。その後、当該売買情報を受信した取引サーバ60においては、売買情報に基づく売買処理が行われる(S32)。続いて、取引サーバ60から管理サーバ20に対して、売買取引に基づく運用結果である成果又は損失に係る情報が送信される(T32)。
【0111】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、受信した成果又は損失に係る情報に基づいて、メモリ22に記憶されている暗号資産情報の更新処理を行う(S33)。具体的には、運用処理部94から記憶部92に運用情報及び運用結果情報が送信され、記憶部92においてユーザ管理テーブルの更新が行われる。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、更新した暗号資産情報を、通信インターフェイス23を介して端末装置10に送信する(T33)。その後、端末装置10においては、プロセッサ12が出力インターフェイス11を介して暗号資産情報を表示し、暗号資産の確認処理が行われる(S34)。より具体的には、
図12における「暗号資産」のタブ104をユーザが選択することにより、ユーザが管理を依頼している暗号資産の残高が表示されることになる。
【0112】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付けて支払い依頼情報の生成処理を行う(S35)。具体的なユーザの操作入力の一例としては、端末装置10の画面に表示される「支払い」がクリック又はタッチされ、支払い対象としての資産(暗号資産、仮想通貨、法定通貨、電子マネー)が選択されるとともに、その金額を入力される。そして「実行」等の最終的な決定ボタンがクリック又はタッチされると、支払い依頼情報が生成されることになる。
【0113】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、通信インターフェイス14を介して支払い依頼情報を支払い依頼とともに管理サーバ20に送信する(T34)。端末装置10にて生成された支払い依頼情報が、管理サーバ20において通信インターフェイス23を介して受信されると、管理サーバ20のプロセッサ21は、当該支払い依頼情報に基づいて、支払い処理を実行する(S36)。具体的には、支払い処理部98が当該支払い依頼情報に基づいて、支払い依頼を行ったユーザから管理依頼を受けている暗号資産について、支払い条件に対応した支払い処理を行う。具体的な支払い処理としては、ユーザのウォレットに所定の暗号資産を移動したり、又は金融機関を介した法定通貨等による支払いがある。
【0114】
また、支払い処理部98から記憶部92に支払い情報が送信され、記憶部92においてユーザ管理テーブルの更新が行われる。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、更新した暗号資産情報を、通信インターフェイス23を介して端末装置10に送信する(T35)。その後、端末装置10においては、プロセッサ12が出力インターフェイス11を介して暗号資産情報を表示し、暗号資産の確認処理が行われてもよい。
【0115】
次に、
図16によれば、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付けて変換依頼情報の生成処理を行う(S41)。具体的なユーザの操作入力の一例としては、
図17示すように、「暗号資産」のタブ104が選択されると、表示部108にはユーザが管理権限を付与している暗号資産及びその残高が表示される。ここで、各暗号資産の残高の下方には、「変換」というボタン121が表示される。ユーザが当該ボタン121をクリック又はタッチすることにより、変換依頼用の表示部122がポップアップされる。表示部122には「変換先の暗号資産」を選択できる選択部123、変換希望金額を入力できる入力部124、「依頼」というボタン125が表示される。ユーザが当該選択部123において暗号資産を選択するとともに変換希望金額を入力し、「依頼」というボタン125をクリック又はタッチすることにより、変換依頼情報が生成されることになる。
【0116】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、通信インターフェイス14を介して変換依頼情報を変換依頼とともに管理サーバ20に送信する(T41)。端末装置10にて生成された変換依頼情報が、管理サーバ20において通信インターフェイス23を介して受信されると、管理サーバ20のプロセッサ21は、当該変換依頼情報に基づいて、変換処理を実行する(S42)。具体的には、変換処理部95が当該変換依頼情報に基づいて、変換依頼を行ったユーザから管理依頼を受けている暗号資産について、選択された他の暗号資産への変換処理を行う。また、変換処理部95から記憶部92に変換情報が送信され、記憶部92においてユーザ管理テーブルの更新が行われる。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、更新した暗号資産情報を、通信インターフェイス23を介して端末装置10に送信する(T42)。その後、端末装置10においては、プロセッサ12が出力インターフェイス11を介して暗号資産情報を表示し、暗号資産の確認処理が行われる(S43)。
【0117】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、暗号資産の運用を実行するための運用情報の生成処理を実行する(S44)。その後、管理サーバ20のプロセッサ21は、生成した運用情報に基づいて、暗号資産の運用処理(売買依頼)を行う(T43)。続いて、取引サーバ60において、管理サーバ20から受信する売買情報に基づく売買処理が行われる(S45)。そして、取引サーバ60から管理サーバ20に対して、売買取引に基づく運用結果である成果又は損失に係る情報が送信される(T44)。なお、これらの処理は、
図15におけるS31、T31、S32、T32と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0118】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、受信した成果又は損失に係る情報に基づいて、メモリ22に記憶されている暗号資産情報の更新処理を行う(S46)。そして、管理サーバ20のプロセッサ21は、更新した暗号資産情報を、通信インターフェイス23を介して端末装置10に送信する(T45)。その後、端末装置10においては、プロセッサ12が出力インターフェイス11を介して暗号資産情報を表示し、暗号資産の確認処理が行われる(S47)。なお、これらの処理は、
図15におけるS33、T33、S34と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0119】
次に、
図18によれば、端末装置10のプロセッサ12は、入力インターフェイス15を介してユーザの操作入力を受け付けて貸付依頼情報の生成処理を行う(S51)。具体的なユーザの操作入力の一例としては、
図19に示すように、「貸付」のタブ106が選択されると、表示部108には貸付内容に係る情報が表示される。例えば、「貸付通貨」の表示の横には通貨を選択するための選択部131が表示される。また、「貸付金額」の表示の横には貸付金額を入力できる入力部132が表示される。更に、これらの選択部131及び入力部132の下方には、「貸付条件の説明」というボタン133が表示される。そして、ボタン133の下方には、「依頼」というボタン134が表示される。ユーザが当該選択部131において貸付通貨を選択するとともに貸付金額を入力部132に入力し、「依頼」のボタン134をクリック又はタッチすることにより、貸付依頼情報が生成されることになる。なお、ユーザがボタン133をクリック又はタッチすることにより、貸付に係る各種条件を説明するための画面がポップアップされ、ユーザは当該画面を確認することによって貸付条件を把握し、貸付依頼をするか否かの最終的な判断を行うことができる。
【0120】
次に、端末装置10のプロセッサ12は、通信インターフェイス14を介して貸付依頼情報を貸付依頼とともに管理サーバ20に送信する(T51)。端末装置10にて生成された貸付依頼情報が、管理サーバ20において通信インターフェイス23を介して受信されると、管理サーバ20のプロセッサ21は、当該貸付依頼情報に基づいて、貸付処理を実行する(S52)。具体的には、貸付処理部96が当該貸付依頼情報に基づいて審査を行い、審査結果に基づいて貸付処理を行う。また、貸付処理部96から記憶部92に貸付情報が送信され、記憶部92においてユーザ管理テーブルの更新が行われる。
【0121】
次に、管理サーバ20のプロセッサ21は、貸付審査の結果である貸付情報を、通信インターフェイス23を介して端末装置10に送信する(T52)。また、管理サーバ20のプロセッサ21は、貸付情報とともに送金依頼を取引サーバ60に送信する(T53)。その後、当該貸付情報を受信した取引サーバ60においては、貸付情報に基づく送金処理が行われる(S53)。続いて、取引サーバ60から端末装置10に対して、送金処理の結果である送金情報が送信される(T54)。そして、端末装置10においては、受信した貸付情報及び送金情報に基づいて、プロセッサ12が出力インターフェイス11を介して貸付結果を表示し、貸付けられた通貨及びその金額である貸付結果の確認処理が行われる(S54)。
【0122】
なお、上述した実施形態においては、運用情報を生成するために生成AIである学習済み運用モデル93を用いていたが、貸付審査についても生成AIによる審査を採用してもよい。この場合には、貸付処理部96が学習済み審査モデルを含み、当該学習済み審査モデルにユーザ情報及び貸付条件等が入力されると、審査結果が出力されるようにしてもよい。
【0123】
<本開示の実施態様>
本開示の第1の実施の態様は、ユーザの暗号資産を管理する処理装置であって、当該ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する記憶部と、当該暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産 に変換し、当該暗号資産情報を更新する変換処理部と、当該暗号資産及び当該他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、当該暗号資産若しくは当該他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、当該運用の結果に応じて当該暗号資産情報を更新する運用処理部と、更新した当該暗号資産情報に基づいて当該ユーザに支払い処理を行う支払い処理部と、を有する処理装置である。
【0124】
このような処理装置においては、管理する暗号資産を他の暗号資産に自由に変換することができるため、暗号資産の運用の選択幅を広げることができ、より成果率の高い暗号資産又は安定した暗号資産を選択して運用を行うことができる。すなわち、このような処理装置によれば、ユーザの暗号資産を管理するとともに、ユーザに代わって暗号資産の運用を行って成果を出すことができ、暗号資産の運用による成果をユーザにもたらすことが可能になる。
【0125】
本開示の第2の実施の態様は、第1の実施の態様において、当該運用処理部は、当該ユーザからの運用依頼を受付けると当該運用を開始することである。これにより、ユーザの意思を尊重することができ、暗号資産の運用に係る初期契約(取引)を精確に実行することができる。
【0126】
本開示の第3の実施の態様は、第1又は第2の実施の態様において、当該暗号資産は仮想通貨であって、当該変換処理部は、当該仮想通貨を他の仮想通貨に変換することである。これにより、ユーザにとって資産価値の高いものを選択することができ、当該選択したものによって運用をしてもらうことができる。
【0127】
本開示の第4の実施の態様は、第3の実施の態様において、当該他の仮想通貨は、ステーブルコインであることである。これにより、運用段階における損失の低減を図り、安定した運用が可能になる。
【0128】
本開示の第5の実施の態様は、第1乃至第4の実施の態様のいずれかにおいて、当該暗号資産情報に基づいて、当該ユーザに対して当該暗号資産を担保とする貸付処理を行い、当該暗号資産情報を更新する貸付処理部を有することである。これにより、ユーザによる暗号資産の利用価値が高まり、金融市場の成長を促すことができる。
【0129】
本開示の第6の実施の態様は、第5の実施の態様において、当該貸付処理部は、当該暗号資産を担保とする仮想通貨又は法定通貨の貸付処理を行うことである。これにより、ユーザによる暗号資産の利用価値が高まり、日々の経済活動の促進を図ることができる。
【0130】
本開示の第7の実施の態様は、第1乃至第6の実施の態様のいずれかにおいて、当該運用処理部は、金融市場における金融情報及び当該暗号資産情報が入力されると、当該運用を行うため運用情報を生成する学習済み運用モデルを含むことである。これにより、暗号資産の運用をより高精度に行うことができ、ユーザにより多くの成果をもたらすことが可能になる。
【0131】
本開示の第8の実施の態様は、第7の実施の態様において、当該学習済み運用モデルは、当該金融情報及び当該暗号資産情報に応じてポートフォリオを構築し、当該運用情報に当該ポートフォリオの情報を含めて出力することである。これにより、暗号資産の運用をより高精度に行うことができ、ユーザにより多くの成果をもたらすことが可能になる。
【0132】
本開示の第9の実施の態様は、第1乃至第8の実施の態様のいずれかにおいて、当該暗号資産は、当該ユーザが所有するマイニング装置によるマイニング処理の報酬であることである。これにより、ユーザがマイニング装置を設置してマイニング処理の報酬を受けることができ、当該報酬をもとに暗号資産の運用を容易に行うことができる。
【0133】
本開示の第10の実施の態様は、第9の実施の態様において、当該マイニング装置に対してマイニングの依頼を行うとともに、当該マイニング処理を統括して当該ユーザに対する当該報酬を決定するマイニングプール部を有することである。これにより、ユーザが報酬を受けとる確率が高まり、当該報酬をもとに暗号資産の運用をより効率的に行うことができる。
【0134】
本開示の第11の実施の態様は、ユーザの暗号資産を管理する処理方法であって、当該ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する工程と、当該暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換し、当該暗号資産情報を更新する工程と、当該暗号資産及び当該他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は当該暗号資産若しくは当該他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、当該運用の結果に応じて当該暗号資産情報を更新する工程と、更新した当該暗号資産情報に基づいて当該ユーザに支払い処理を行う支払い工程と、を有する処理方法である。このような処理方法においては、管理する暗号資産を他の暗号資産に自由に変換することができるため、暗号資産の運用の選択幅を広げることができ、より成果率の高い暗号資産又は安定した暗号資産を選択して運用を行うことができる。すなわち、当該処理方法によれば、ユーザの暗号資産が容易に管理され、ユーザに代わって暗号資産の運用を行って成果を出すことができ、暗号資産の運用による成果をユーザにもたらすことが可能になる。
【0135】
本開示の第12の実施の態様は、ユーザの暗号資産を管理する処理プログラムであって、当該ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶させ、当該暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換すると当該暗号資産情報を更新し、当該暗号資産及び当該他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は当該暗号資産若しくは当該他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、当該運用の結果に応じて当該暗号資産情報を更新し、更新した当該暗号資産情報に基づいて当該ユーザに支払いを行う処理をコンピュータに実行させる処理プログラムである。このような処理プログラムにおいては、管理する暗号資産を他の暗号資産に自由に変換することができるため、暗号資産の運用の選択幅を広げることができ、より成果率の高い暗号資産又は安定した暗号資産を選択して運用を行うことができる。すなわち、当該処理プログラムによれば、ユーザの暗号資産が容易に管理され、ユーザに代わって暗号資産の運用を行って成果を出すことができ、暗号資産の運用による成果をユーザにもたらすことが可能になる。
【符号の説明】
【0136】
1 処理システム
10 端末装置
20 管理サーバ(処理装置)
30 分散型台帳システム
40 マイニング装置
50 取引システム
60 取引サーバ
70 データサーバ
91 情報取得部
92 記憶部
93 学習済み運用モデル
94 運用処理部
95 変換処理部
96 貸付処理部
97 マイニングプール部
98 支払い処理部
【要約】
ユーザの暗号資産を管理する処理装置であって、前記ユーザに紐づけられた暗号資産情報を記憶する記憶部と、前記暗号資産の少なくとも一部を他の暗号資産に変換し、前記暗号資産情報を更新する変換処理部と、前記暗号資産及び前記他の暗号資産の少なくともいずれかによる運用、又は前記暗号資産若しくは前記他の暗号資産を原資とした金融商品による運用を行い、前記運用の結果に応じて前記暗号資産情報を更新する運用処理部と、更新した前記暗号資産情報に基づいて前記ユーザに支払い処理を行う支払い処理部と、を有すること。
(選択図:
図1)