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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】眼検査方法および遠隔検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/60 20180101AFI20241001BHJP
   A61B 3/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G16H40/60
A61B3/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019219980
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021089614
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】小林 城久
(72)【発明者】
【氏名】清水 一成
(72)【発明者】
【氏名】濱口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】冨安 美希
(72)【発明者】
【氏名】植村 努
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-143526(JP,A)
【文献】特開2017-217121(JP,A)
【文献】特開2019-063114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1眼検査装置、前記第1眼検査装置と同一施設に配置されており、前記第1眼検査装置とは異なる検査を行うための第2眼検査装置、および、前記第1眼検査装置および前記第2眼検査装置の各々とネットワークで接続されており、入出力用のインターフェースを備える検者側装置を含む眼検査システムによる眼検査方法であって、
前記第1眼検査装置において、エラーが生じた場合に、前記第1眼検査装置から前記検者側装置へエラー信号が送信される送信ステップと、
前記検者側装置において、前記エラー信号を受信した場合に前記インターフェースを介して検者へ前記エラーの発生が通知されると共に、前記エラーへの対応方法であって予め定められた複数の対応方法の中から、いずれかを選択する選択入力を受け付ける選択ステップと、
前記複数の対応方法の1つとして予め用意されている、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2検査装置へ誘導する旨の対応方法、が前記選択入力に基づいて選択された場合に、前記選択入力に基づいて、応答信号が前記検者側装置によって、前記第1眼検査装置へ送信される応答ステップと、
前記第1眼検査装置において、前記応答信号を受信した場合に、前記エラーの対応に関するガイド情報として、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2眼検査装置による検査へ誘導する旨の通知を、出力デバイスを介して被検者へ通知する、通知ステップと、を含む眼検査方法。
【請求項2】
第1眼検査装置、および、前記第1眼検査装置と同一施設に配置されており、前記第1眼検査装置とは異なる検査を行うための第2眼検査装置、の各々とネットワークで接続され、且つ、入出力用のインターフェースを備える検者側装置のプロセッサによって実行される遠隔検査プログラムであって、
前記第1眼検査装置においてエラーが生じた場合に前記第1眼検査装置によって送信されるエラー信号を、受け付ける受付ステップと、
前記インターフェースを介して検者へ前記エラーの発生を通知すると共に、前記エラーへの対応方法であって予め定められた複数の対応方法の中から、いずれかを、前記インターフェースを介して検者に選択させる選択ステップと、
前記複数の対応方法の1つとして予め用意されている、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2検査装置へ誘導する旨の対応方法、が前記インターフェースを介して選択された場合に、前記対応方法の選択入力に基づいて、応答信号を前記第1眼検査装置へ送信する応答ステップと、を前記検者側装置に実行させ、
前記応答信号を前記第1眼検査装置へ送信した結果として、前記応答信号を受信した前記第1眼検査装置に、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2眼検査装置による検査へ誘導する旨の通知を、出力デバイスを介して被検者へ通知させる、遠隔検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼検査方法および遠隔検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科分野では、自動化された検査装置が普及してきている。例えば、特許文献1には、被検者が顎台に顔を載せてから両眼の検査が完了するまでの間、自動的に動作する装置が、開示されている。
【0003】
眼検査装置が設置された施設においては、種々の検査を実施できることが一般的である。自動化された検査装置の普及に伴い、1人の検者が複数の検査または作業を、同時に担当するためのシステムが検討されている。例えば、複数の眼検査装置とネットワークで接続された端末装置を介して、複数の眼検査装置の動作状況を、端末装置を扱う検者に把握させると共に、端末装置を介して複数の眼検査装置を、必要に応じて検者が遠隔操作する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、施設においては、1人の被検者に対して1日に複数種類の検査が行われる場合がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-217122号公報
【文献】特開2017-029369号公報
【文献】特開2017-102759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
眼検査装置の自動化が進んだとしても、眼検査装置による検査に検者の介入が必要なケースはあり得る。
【0007】
例えば、一般的に、眼検査装置によって被検眼を検査するうえで、眼検査装置との位置合わせ(アライメント)が正確に行われる必要がある。しかし、種々の要因(例えば、被検者の頭の動き、固視の不安定さ、まばたきの発生、被検眼の透光体における疾病、等)によって、眼検査装置のアライメント制御が長時間完了できなかったり、アライメントが不正確になったり、してしまう場合がある。
【0008】
また、例えば、種々の要因によって、十分な信頼度の検査結果を、眼検査装置が取得できない場合があり得る。
【0009】
このような場合には、検者に通知が行われ、その後、検者が手動で眼検査装置を操作したり、被検者を補助する等して、眼検査装置による検査に検者が介入することが望まれる。
【0010】
しかしながら、介入が必要となった際に、検者が複数の検査または作業を同時に担当していたり、遠隔地に居たりすると、タイムリーな介入を行うことが困難となり、その間、介入が行われるまで、被検者が待たなければならない場合が想定される。
【0011】
このとき、被検者が、眼検査装置および検者に対する不信,不満を抱きやすい。結果として、検査に対する被検者のコンプライアンス低下を招くおそれがある。
【0012】
また、エラーの発生によって1人の被検者の検査が長引くと、他の被検者の検査の待ち時間が増大したり、検査が渋滞するなどの影響が生じることが考えられる。つまり、検査の対象者全体に対する検査の効率が低下してしまうおそれがある。
【0013】
本開示は、従来技術の問題点の少なくとも1つに鑑みてなされたものであり、眼検査装置による検査に検者が良好に介入できる眼検査方法および遠隔検査プログラム、を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の第1態様にかかる眼検査方法は、第1眼検査装置、前記第1眼検査装置と同一施設に配置されており、前記第1眼検査装置とは異なる検査を行うための第2眼検査装置、および、前記第1眼検査装置および前記第2眼検査装置の各々とネットワークで接続されており、入出力用のインターフェースを備える検者側装置を含む眼検査システムによる眼検査方法であって、前記第1眼検査装置において、エラーが生じた場合に、前記第1眼検査装置から前記検者側装置へエラー信号が送信される送信ステップと、前記検者側装置において、前記エラー信号を受信した場合に前記インターフェースを介して検者へ前記エラーの発生が通知されると共に、前記エラーへの対応方法であって予め定められた複数の対応方法の中から、いずれかを選択する選択入力を受け付ける選択ステップと、前記複数の対応方法の1つとして予め用意されている、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2検査装置へ誘導する旨の対応方法、が前記選択入力に基づいて選択された場合に、前記選択入力に基づいて、応答信号が前記検者側装置によって、前記第1眼検査装置へ送信される応答ステップと、前記第1眼検査装置において、前記応答信号を受信した場合に、前記エラーの対応に関するガイド情報として、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2眼検査装置による検査へ誘導する旨の通知を、出力デバイスを介して被検者へ通知する、通知ステップと、を含む。
【0015】
本開示の第2態様にかかる眼検査プログラムは、第1眼検査装置、および、前記第1眼検査装置と同一施設に配置されており、前記第1眼検査装置とは異なる検査を行うための第2眼検査装置、の各々とネットワークで接続され、且つ、入出力用のインターフェースを備える検者側装置のプロセッサによって実行される遠隔検査プログラムであって、前記第1眼検査装置においてエラーが生じた場合に前記第1眼検査装置によって送信されるエラー信号を、受け付ける受付ステップと、前記インターフェースを介して検者へ前記エラーの発生を通知すると共に、前記エラーへの対応方法であって予め定められた複数の対応方法の中から、いずれかを、前記インターフェースを介して検者に選択させる選択ステップと、前記複数の対応方法の1つとして予め用意されている、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2検査装置へ誘導する旨の対応方法、が前記インターフェースを介して選択された場合に、前記対応方法の選択入力に基づいて、応答信号を前記第1眼検査装置へ送信する応答ステップと、を前記検者側装置に実行させ、前記応答信号を前記第1眼検査装置へ送信した結果として、前記応答信号を受信した前記第1眼検査装置に、前記第1眼検査装置による検査を中止し前記第2眼検査装置による検査へ誘導する旨の通知を、出力デバイスを介して被検者へ通知させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る眼検査システム1の概要を示す図である。
図2】眼検査装置10の概略構成を説明するための模式図である。
図3】検者側装置20の概略構成を説明するためのブロック図である。
図4】眼検査装置10による自動検査プログラムおよび検者側装置20による遠隔検査プログラムを示すフローチャートである。
図5】遠隔検査画面を示す図である。
図6】管理装置における変更ステップの一例を説明する図である。
図7】管理装置における変更ステップの別の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本開示を、実施形態に基づいて説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0018】
<眼検査システム>
実施形態に係る眼検査方法は、図1に例示された眼検査システム1によって実行される。眼検査システム1は、医療機関、および、健康診断や検診の会場、等(以下、まとめて「施設」と称する)において、眼の検査(眼特性の測定、撮影等)に利用される。
【0019】
眼検査システム1は、少なくとも、眼検査装置10と、検者用装置20とを含む。眼検査システム1に含まれる各装置は、ネットワークで接続される。各装置は、検査結果、画像、音声、および、コマンド等の各種データを、ネットワークを介して相互に通信できる。眼検査装置10と、検者用装置20とは、離れた場所に配置される。以下の説明では、特に断りが無い限り、両者は、1つの施設の中で別室に配置されているものとして説明する。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、両者は、1つの検査室の中で離れた場所に配置されていてもよいし、別の施設に配置されていてもよい。
【0020】
<眼検査装置>
眼検査装置10は、被検眼の自動検査に適した構成を有する。一例として、眼検査装置10は、図1に示すように、眼検査ユニット11、アライメント駆動部12、検出部13、および、制御部14を少なくとも備えてもよい。
【0021】
眼検査ユニット11は、被検眼を検査(眼特性の測定、撮影等)するための測定系または撮影系を備える。眼検査装置10による検査は、他覚検査であってもよい。この場合、眼検査ユニット11には、検査結果を得るための検出器が設けられており、検出器からの信号に基づいて検査結果が取得される。また、眼検査装置10による検査は、自覚検査であってもよい。この場合、眼検査装置10には、被検者からの応答を入力するための入力部(図示せず)を有し、入力結果に基づいて、自覚検査における検査結果が取得される。
【0022】
アライメント駆動部12は、被検眼と眼検査ユニット11との位置関係を調整する。アライメント駆動部12は、眼検査ユニット11を移動させてもよいし、被検者の顔の位置を移動させてもよいし、両者を移動させてもよい。検出部13は、被検眼と眼検査ユニット11との位置関係(アライメント状態ともいう)を検出する。
【0023】
制御部14は、眼検査装置10における各部の動作を制御するコンピュータである。制御部14は、プロセッサ(例えば、CPU)および各種メモリを含んでいてもよい。プロセッサによって自動眼検査プログラムが実行されることによって、眼検査装置10は、被検眼の検査を実行する。これにより、眼検査装置10は、検出部13によって検出されるアライメント状態に基づいて、アライメント駆動部12が駆動制御され、適正アライメント状態となった後、自動的に測定又は撮影が実行される。自動眼検査プログラムは、プロセッサからアクセス可能なメモリに格納される。例えば、制御部14の内蔵メモリにあらかじめ記憶されていてもよい。
【0024】
一例として、眼検査装置10は、図1に示すように、上記構成の他に、顔支持ユニット15、モニタ16、スピーカ17、マイク18、操作入力部19を備えていてもよい。モニタ16、および、スピーカ17は、出力デバイスの一例である。出力デバイスは、被検者に対して情報を通知するために利用される。出力デバイスは、眼検査装置10が予め備えている必要は無く、眼検査装置10とは別体であってもよい。また、更に、眼検査装置10は、図示なき各種センサを備えていてもよい
<眼検査装置のモダリティについて>
眼検査装置10は、種々のモダリティのうちいずれかであってもよい。例えば、眼検査装置10は、被検眼の屈折特性を測定する装置(例えば、レフラクトメータ、波面センサ、ケラトメータ、および、トポグラファー)、眼圧測定装置(トノメータ)、眼軸長測定装置、角膜内皮細胞撮影装置(スペキュラーマイクロスコープ)、隅角撮影装置(ゴニオメータ)、眼底撮影装置(眼底カメラ、走査型眼底撮影装置、光干渉断層計等)、その他であってもよい。眼検査装置10は、複数のモダリティに係る検査が可能な複合装置であってもよい。
【0025】
<検者用装置>
検者用装置20は、検者が、眼検査装置10による検査に遠隔で介入するために利用される。ここで、本開示では、眼検査装置10の操作、および、眼検査装置10における検査への補助を、まとめて「介入」と称する。
【0026】
検者用装置20は、眼検査装置10からの信号と、検者による操作入力と、を受け付け、各種処理を行うコンピュータである。検者用装置20は、例えば、PCおよびタブレットコンピュータ等の汎用コンピュータであってもよい。検者用装置20のプロセッサ(図示せず)によって遠隔検査プログラムが実行されることによって、検査への介入に必要な各種処理(図4のフローチャートを参照)が実行される。遠隔検査プログラムは、検者用装置20のプロセッサからアクセス可能なメモリに格納される。例えば、検者用装置20の内蔵メモリにあらかじめ記憶されていてもよい。検者用装置20の概略構成を、一例として、図3のブロック図において示す。図3では、プロセッサおよび内臓メモリを含むユニットを、本体部21として示す。
【0027】
検者用装置20は、入出力用のインターフェースを備える。検者は、該インターフェースを介して、検査に介入できる。例えば、図3に示すように、モニタ22、スピーカ23、カメラ24、マイク25、および、操作入力部26を、入出力用のインターフェースとして備えていてもよい。
【0028】
検者用装置20は、眼検査装置10によって送信される各種情報を、ネットワークを介して受け取り、受け取った情報を、入出力用のインターフェースを介して検者に通知する。例えば、眼検査装置10において撮影される各種画像(例えば、眼の観察画像)を受け取ってもよく、この場合、各種画像をモニタ22に表示させてもよい。また、眼検査装置10による検査結果を受け取ってもよく、この場合、検査結果を示す情報を、モニタ22に表示させてもよい。また、眼検査装置10において発生したエラー信号を受け取ってもよく、エラーの発生を示す情報を、モニタ22とスピーカ23の少なくともいずれかを介して、検者に対して出力してもよい。エラー発生時の処理については、詳細を後述する。
【0029】
検者は、入出力用のインターフェースを介して把握した各種情報に基づいて、検査に対して適時、介入できる。ここで、検者用装置20を用いた介入には、種々の態様があり得る。例えば、検者用装置20を用いて、眼検査装置10の操作を行ったり、被検者へ指示を出すことで補助したり、することによって、検査に介入してもよい。検者用装置20は、入出力用のインターフェースを操作することによって、予め定められた複数の介入態様の中から、いずれかを選択可能であってもよい。
【0030】
これに限らず、介入が必要と検者が判断した場合、検者は、検査が行われている場所まで移動して、開瞼を補助したり、被検者の頭部が動かないように支えたり、眼検査装置10の操作を行ったり、することによって、検査に介入してもよい。
【0031】
<眼検査システムにおける追加的な構成>
また、実施形態に係る眼検査システム1は、以下に示す装置の1つ以上を含んでいてもよい。
【0032】
<第2の眼検査装置>
眼検査システム1は、眼検査装置10の他に、第2の眼検査装置(図1における眼検査装置110を、1つ以上含んでいてもよい。第2の眼検査装置110は、眼検査装置10とは異なるモダリティの装置であってもよいし、同一のモダリティの装置であってもよい。第2の眼検査装置110は、眼検査装置10と同様に、検査の自動化に適した構成(例えば、眼検査ユニット、アライメント駆動部、検出部、および、制御部)を少なくとも備えてもよい(いずれも図示せず)。
【0033】
また、検者用装置20は、第2の眼検査装置110から送信された各種情報(例えば、各種画像、検査結果、および、エラー信号の少なくともいずれか等)を受け取り可能であってもよい。検者用装置20は、眼検査装置10によって送信される各種情報を、ネットワークを介して受け取り、受け取った情報を、入出力用のインターフェースを介して検者に通知する。
【0034】
<作業者用端末装置>
図1に示すように、眼検査システム1は、作業者用端末装置(以下、単に、端末装置と省略する)130を含んでいてもよい。端末装置130は、作業者に対して検者からの指示を通知するために利用される。端末装置130は、作業者によって携帯可能な携帯型のコンピュータ端末(例えば、PDA、タブレットコンピュータ、スマートフォン、および、ウェアラブルコンピュータ、等)であってもよい。例えば、眼検査装置10とは離れた位置にいる作業者に対して、眼検査装置10の場所に移動したうえで検査を補助するように、指示が行われる。
【0035】
作業者は、開瞼、および、被検者の頭部が動かないように支える、等の、被検者に対する直接的な補助を行う技能を有する者であってもよい。また、作業者は、眼検査装置10を手動で操作する技能を有する第2の検者であってもよい。眼科装置10に対し、検者が遠隔地に居る、他の作業に対応している、および、眼検査システム1が遠隔操作に対応していない、等の各種事情によって、検者が眼検査装置10による検査に、検者が直ちに適切な介入を行うことができない場合に、検者用装置20と端末装置130を通じて作業者に対して指示を行うことが有用と考えられる。
【0036】
<管理装置>
図1に示すように、眼検査システム1は、管理装置120を含んでいてもよい。管理装置120は、それぞれの被検者において一日に行われる複数の検査の検査項目と進捗(ステータス)とを管理してもよい。また、管理装置120は、被検者が受ける検査の(項目と)順序を、それぞれの被検者毎に管理してもよい。管理装置120によって管理される情報は、施設内の各位置に配置される端末装置に対して出力される。端末装置は、検査が実施される場所に置かれていてもよいし、施設内の作業者または被検者に携帯されていてもよい(例えば、端末装置130)。例えば、各被検者毎の検査項目、次に検査を受ける被検者の氏名、各被検者が検査を受ける予定時間、等が、端末装置に出力されてもよい。端末装置に出力された情報は、施設における被検者の案内および誘導に利用されてもよい。
【0037】
管理装置120によって管理される情報は、略リアルタイムに更新され、随時、端末装置へ出力されてもよい。例えば、管理装置は、それぞれの被検者の検査項目毎に、「実施前」、「実施中」、「完了」等の複数のステータスのうち、いずれかを対応付ける。対応付けられるステータスは、検査毎に用意された端末装置からの信号に基づいて変更される。
【0038】
例えば、各検査に先立って行われる受付ステップによって、「実施前」から「実施中」へとステータスが切換えられてもよい。受付ステップでは、被検者と、被検者が次に受ける検査項目と、が特定される。被検者が、検査毎に用意された端末装置によって識別されることで、被検者および検査項目の特定が成される。例えば、被検者に携帯させるID認証用の記憶媒体(例えば、バーコード、RFIDタグ、磁気カード等)が端末装置によって読み取られることで、被検者が識別されてもよい。また、被検者の識別には、生体認証技術が利用されてもよい。また、端末装置に対して、これから検査を受ける被検者のIDが、手動で入力または選択されることで、被検者が識別されてもよい。
【0039】
また、例えば、「実施中」から「完了」への切換は、検査装置からの検査完了信号に基づいて、行われてもよい。また、例えば、施設内での被検者の位置が、検出可能である場合、各項目の検査が行われる場所から他の場所への被検者の移動を検出したことに基づいて、「実施中」から「完了」へとステータスが切換えられてもよい。被検者の位置を検出する手法には、種々の手法があり得る。例えば、屋内GPSを利用してもよいし、RFIDを利用してもよいし、施設内の各位置に設置されたビデオカメラを利用してもよい。この場合、被検者の位置を検出する装置が、端末装置として利用され得る。また、端末装置に対して、ステータスの切換操作が、手動で入力または選択されてもよい。
【0040】
<動作説明>
次に、図4のフローチャートを参照しつつ、眼検査システム1の使用形態を説明する。
【0041】
<検査開始>
検査に際して、被検者の顔が、眼検査装置10の顔支持ユニット15によって支持されるように、被検者が案内される。顔支持ユニット15の顎台と額当てに、被検者の顎と額がそれぞれ接触するように、被検者の姿勢が調整される。案内は、検者、又は、作業者によって行われてもよいし、眼検査システム1によって行われてもよい。
【0042】
所定のトリガに基づいて、眼検査装置10は、検査を開始する。被検眼が所定の位置にあることを、眼検査装置10が検出したことをトリガとしてもよいし、眼検査装置10または端末装置20に対する所定の操作入力をトリガとしてもよい。
【0043】
<自動検査ステップ>
トリガの発生後、眼検査装置10によって、自動検査ステップが実行される(S1)。図1に示すように、自動検査ステップは、自動アライメントと、被検眼の自動的な測定または撮影と、に大別される。
【0044】
自動アライメントでは、検出部13によって検出される、被検眼と検査ユニット11との位置関係が、所定の位置関係(アライメント許容範囲)へ調整されるように、アライメント駆動部12が制御部14によって制御される。また、自動アライメントによる位置関係の調整後、制御部14は、眼検査ユニット11を制御して、被検眼を測定または撮影する。なお、自動検査ステップについての、より詳細については、例えば、上述の特許文献1の記載内容等を参照されたい。
【0045】
自動検査ステップにおいて、眼検査装置10によって取得される観察画像および検査結果のうち少なくとも何れかは、随時、検者側装置20へ送信される。
【0046】
<判定ステップ>
眼検査装置10では、エラー信号の送信(処理)を行うか否かが判定される(S2)。エラー信号の送信が不要であった場合は、検査を終了する。判定は、エラーの発生が検出されたときに、適宜判定が行われる。例えば、検査ユニット11および検出部13から出力される情報に基づいて、エラーの発生が検出されてもよい。また、眼検査装置10に設けられた図示なきセンサからの検出信号に基づいて、エラーの発生が検出されてもよい。このとき、種々の種別のエラーの発生が検出されてもよい。例えば、アライメントエラー、および、測定エラー等の発生が検出されてもよい。
【0047】
例えば、以下に列挙するケースの少なくともいずれかにおいて、アライメントエラーが発生したものと検出されてもよい。
・顔支持ユニット15から顔が離れたことが検出された。
・検査ユニット11と顔との接触が検出された。
・検出部13によって、被検眼の位置を検出できなかった。
・所定時間経過しても、アライメント許容範囲へ被検眼と検査ユニット11との位置関係を調整できなかった。
【0048】
また、例えば、以下に列挙するケースの少なくともいずれかにおいて、測定エラーが発生したものと検出されてもよい。
・眼検査ユニット11による測定または撮影のタイミングで、まばたきが検出された。
・小瞳孔,疾病等により、十分な信頼性のある検査結果が得られなかった。
・測定結果が、眼検査ユニット11による測定できる範囲を超える(と推測される)。
【0049】
<送信ステップ>
アライメント制御、および、被検眼の測定又は撮影、のいずれかがエラーとなった場合に、送信処理(送信ステップ)が、眼検査装置10において実行される(S3)。これによって、眼検査装置10から検者側装置20へエラー信号が送信される。
【0050】
図4のフローチャートでは、一例として、事前の判定処理(判定ステップ;S2)において、エラー信号の送信(処理)を行う必要があると判定される場合に(S2;No)、送信処理が実行される。送信処理では、検者側装置20に対してエラー信号が送信される。エラー信号を送信することによって、検者側装置20を通じて検者に対し検査への介入が要求される。
【0051】
エラー信号には、エラーの内容を示す情報が含まれていてもよい。例えば、エラー信号には、検査における眼検査装置10の動作段階であって、エラーが発生した動作段階を特定する情報が含まれていてもよい。具体例として、上記のアライメントエラーと、測定エラーと、を区別する情報が含まれていてもよい。また、例えば、エラー信号には、エラーの要因を特定する情報が含まれていてもよい。具体例として、上記例示した幾つかのエラーの発生ケースを区別する情報が含まれていてもよい。
【0052】
なお、必ずしも、エラーの発生が検出される度に、エラー信号送信処理が行われる必要は無い。例えば、制御部14は、エラーの発生が検出された際に装置が実行していた動作を、予め定められた回数まで、(ある動作段階まで戻ったうえで)再試行してもよい。予め定められた回数まで再試行しても、エラーが検出される場合に、送信処理が実行されてもよい。この場合、眼検査装置10での検査に対する介入の発生頻度が抑制される。その結果、例えば、検者の負担が抑制される。
【0053】
また、眼検査装置10によって、エラー信号を送信する必要があると判定される場合(S2:Yes)、制御部14は、眼検査装置10の動作を停止させる。また、出力デバイス(例えば、モニタ16、および、スピーカ17等)を介して、エラーが発生した旨、検査を停止中である旨、エラーへの対応を要求中である旨、のうち少なくともいずれかを、通知してもよい。
【0054】
また、エラーの発生や検査の停止の通知を受けた被検者が、不安を感じて眼検査装置10から離れてしまう恐れがある。その場を離れてしまうと、検者が対応し難くなってしまう。そこで、本実施形態では、上記通知と共に、検者または検者以外の作業者からの応答があるまで、その場に留まるように被検者へ促す通知が、出力デバイスを介して行われてもよい。
【0055】
<選択ステップ>
検者側装置20は、エラー信号を受付け(S11)、その場合に、選択ステップが実行される。図4では、S12、S13が、選択ステップに対応する。選択ステップにおいて、検者側装置20は、入出力用のインターフェース(例えば、モニタ22,スピーカ23等)を介して検者へエラーの発生を通知する(S12)。
【0056】
例えば、エラー信号に、エラーが発生した動作段階を特定する情報が含まれている場合、エラーの発生と共に、動作段階に関する通知が行われてもよい。また、例えば、エラー信号に、エラーの要因を特定する情報が含まれている場合、その要因に関する通知が行われてもよい。このように、エラーの発生と共に、エラーの内容が検者へ通知されることで、検者は適切な対応を選択しやすくなる。
【0057】
また、更に、選択ステップにおいて、検者側装置20は、エラーへの対応方法であって予め定められた複数の対応方法の中から、いずれかを、入出力用のインターフェースを介して検者に選択させる。換言すれば、検者側装置20は、予め定められたエラーへの対応方法のうちいずれかを選択するための選択操作を、インターフェースを介して受け付ける(S13)。
【0058】
<応答ステップ>
検者側装置20は、選択ステップにおける対応方法の選択入力に基づいて、応答信号を、眼検査装置10へ送信する(S14)。応答信号には、選択された対応方法を識別するための情報が含まれてもよい。応答信号の送信後、眼検査装置10および検者側装置20において、応答信号の内容に応じた制御が行われる(S5、S15)。
【0059】
<各種の対応方法の具体例>
ここで、検査の際に検者側装置20のモニタ22に表示される画面構成の一例を図5に示しつつ、対応方法の具体例を説明する。以後、図5に示した画面を、遠隔検査画面と称する。遠隔検査画面は、眼科装置10による検査と対応して表示される。遠隔検査画面は、少なくともエラー信号を受信した段階で表示される。勿論、それよりも早い段階(例えば、検査の開始時等)から表示可能であってもよい。
【0060】
遠隔検査画面には、眼検査装置10によって取得される観察画像が表示される、観察画像表示領域301が形成されてもよい。また、眼検査装置10による検査結果が表示される結果表示領域302が形成されてもよい。
【0061】
エラー信号を受信した場合、エラーの発生を示す表示が、遠隔検査画面上に表示される。例えば、図5に示すように、エラーの発生と、エラーの内容と、を示すテキストが、画面上に表示されてもよい。図5では、観察画像上に、テキストが表示される。これにより、観察画像を注視していた検者に、エラーの発生を速やかに気づかせやすい。但し、観察画像から離れた位置に、エラーを示す表示が行われてもよい。
【0062】
また、遠隔検査画面には、種々のGUIウィジェットが表示される。図5に示すように、GUIウィジェットの中には、エラーへの対応方法を選択するために操作されるウィジェットが含まれていてもよい。例えば、図5に示す遠隔操作画面には、このようなウィジェットの一例として、ボタン306~309が、対応方法毎に設けられている。検者は、エラーの発生が通知された場合に、1つまたは複数のボタンに対して選択操作を行うことで、操作されたボタンに応じた対応が可能となる。このとき、ボタンの選択操作に基づいて、応答信号が検者側装置20から眼検査装置10に送信される。
【0063】
<通話>
なお、本実施形態において、対応方法を選択するときには、通話(または、ビデオ通話)が、検者と被検者との間で可能であってもよい。例えば、遠隔操作画面におけるボタン305が操作されることで、通話が開始されてもよい。この場合、検者側装置20のマイク25およびスピーカ23と、眼検査装置10のマイク18およびスピーカ17を介して、検者と被検者との間で通話が可能となる。ビデオ通話が行われる場合は、更に、検者側装置20のカメラ24を介して撮影される検者の顔が、眼検査装置10側のモニタ16に映し出される。なお、図1,2において、眼検査装置16のモニタ16は、被検者とは反対側を正面として図示されているが、例えば、随意に被検者側へ正面を向けるための機構を備えていてもよい。
【0064】
エラーの発生時に、検者から被検者に対して声がけが、速やかに行われることで、被検者の不安が軽減されやすい。また、被検者の開瞼や姿勢が原因でエラーが生じている場合などにおいて、検者から被検者へアドバイスを行うことで、エラーの要因を容易に解消できる。更には、検者と被検者との間の通話によって、遠隔操作画面からでは知り得ない情報を、検者が聞き出すこともできる。これにより、エラーに対し、適切な対応を選択しやすくなる。
【0065】
<対応方法の具体例>
エラーの発生時に選択可能な複数の対応方法の一例として、以下に列挙する対応方法が、挙げられる。列挙した対応方法のうち、任意の組み合わせが選択可能であってもよいし、他の対応方法が含まれていてもよい。
・自動検査のリトライ
・遠隔操作
・待機
・作業者への連絡
・検査の中止(スキップ)
<自動検査のリトライ>
自動検査のリトライを行う際には、遠隔操作画面におけるボタン306が操作される。ボタン306が操作されることで、検眼装置10に自動検査を再度実行させるための応答信号が、眼検査装置10に対して出力される。この応答信号に基づいて、眼検査装置10は、自動検査を再度実行してもよい。
【0066】
例えば、通話による検者から被検者へのアドバイスによって、エラーが対応できた場合、および、エラーが発生してから被検者が自らエラーの要因に気づいて対応していることが通話などにおいて確認できた場合に、ボタン305が操作されることが、検者の負担軽減の観点から望ましい。
【0067】
<遠隔操作>
遠隔操作を行う際には、遠隔操作画面におけるボタン307が操作される。ボタン307が操作されることで、検眼装置10に遠隔操作を開始する旨の応答信号が、眼検査装置10に対して出力される。応答信号に基づいて、眼検査装置10における制御モードが、自動検査モードから遠隔操作モードへと切り換えられてもよい。遠隔操作モードへの切り換わることで、検者側装置20を介した遠隔操作に関する各種制御信号に基づいて、眼検査装置10が駆動可能となってもよい。遠隔操作は、例えば、アライメント検出が困難である場合、および、病的な眼振があるため測定または撮影のタイミングが取りにくい場合、等に有用である。
【0068】
ところで、自動検査から遠隔操作へと移行した後に、自動検査時とは異なる挙動を装置が示す場合があり得る。遠隔操作では、検者が装置を操作している様子を、被検者が感じ取りにくいので、装置の挙動が変化することで、被検者を驚かせたり、被検者に不安を与たり、してしまいやすい。これに対し、本実施形態では、遠隔操作を開始する旨の応答信号を、眼検査装置10が受信した際に、遠隔検査を開始する旨を、モニタ16、および、スピーカ17のいずれかを介して被検者に通知してもよい。これによって、遠隔操作に移行した後に、自動検査時とは異なる挙動を装置が示したとしても、被検者への不意打ちとならないので、不安を与えにくい。
【0069】
<待機の要求>
被検者に、そのまましばらく待機してもらいたい場合には、遠隔操作画面におけるボタン308が操作される。例えば、エラーが発生してから眼検査装置10が手動で操作されるまで、被検者を待機させてもよい。ボタン308が操作されることで、被検者に対して待機を促すための応答信号が、眼検査装置10に対して出力される。眼検査装置10は、応答信号に基づいて、待機を促すためのガイド情報を、出力デバイス(モニタ16、および、スピーカ17等)を介して被検者へ通知する。具体例として、「対応までしばらく時間がかかります。そのままお待ちください」等のメッセージが、出力デバイスを介して、被検者へ通知されてもよい。また、エラーが発生してから、通話のためのボタン305が選択されることなく、待機のためのボタン308が操作される場合は、検者がエラーの発生を確認したことを示す通知が、待機を促す通知とあわせて行われてもよい。検者がエラーの発生を確認したことを示す通知が行われることで、検者の不安をより一層抑制できる。
【0070】
待機を促すガイド情報が通知されることで、被検者をその場に留まらせることができる。このことは、例えば、検者が他の作業をしていたり、別の部屋、フロア、または、施設に居る等の理由によって、検者が直ちに対応に取り掛かれない場合に有用である。また、例えば、検者および検者以外の作業者が、眼検査装置10の場所まで移動して被検者の検査を直接補助する必要がある場合に有用である。
【0071】
<作業者のへの連絡>
眼検査装置10とは離れた位置にいる作業者へ連絡を行いたい場合には、遠隔操作画面におけるボタン309が操作される。ボタン309が操作されることによって、作業者用端末装置130に対して、連絡のための応答信号が送信されてもよい。これにより、例えば、眼検査装置10による検査の補助を要求する通知が、作業者用端末装置130を介して作業者へ出力されてもよい。本対応は、検者が直ちに対応に取り掛かれず、眼検査装置10が置かれた施設内に、検査の補助技能を有する作業者がいる場合において、有用である。
【0072】
更に、ボタン309が操作される場合には、併せて、検者側装置20における入出力用のインターフェースを介して、作業者に依頼する作業内容を選択可能であってもよい。例えば、検者側装置20のモニタ22には、作業内容の選択操作を受け付けるためのウィジェットが表示されてもよい。作業内容が選択された場合、作業内容を特定する情報が含まれた信号が、検者側装置20から作業者用端末装置130へと送信されてもよい。作業者用端末装置130は、受信した信号に基づいて、作業内容に関する通知を、作業者に対して出力する。これにより、作業者が、眼検査装置10の場所まで移動した後、スムースに作業できる。
【0073】
また、ボタン309が操作されることによって、検者側装置20と作業者用の端末装置130との間での通話の開始が、端末装置130に対して要求されてもよい。この場合、検者は、作業者に対し、補助の依頼および補助の内容等を、口頭で連絡できる。
【0074】
ボタン309の選択操作に基づく応答信号は、眼検査装置10に対しても送信されてもよい。これにより、例えば、上記した、待機を促すためのガイド情報が、被検者に対して通知されてもよい。
【0075】
<検査の中止(停止)>
検査を中止したい場合には、中止ボタン310が操作される。ボタン310が操作されることによって、眼検査装置10に対して、検査の中止を指示する応答信号が送信される。眼検査装置10は、応答信号に基づいて、検査を中止する。このとき、装置の状態がリセット(初期化)されてもよい。また、検査を中止する旨を、出力デバイスを介して被検者へ通知してもよい。検査を中止する対応は、検者が直ちに対応に取り掛かれない場合に有用である。特に、対応に取り掛かるまでに数分程度以上かかる場合に有用である。検査が中止された場合、被検者の他の検査が終わった後に、再度、眼検査装置10による検査が行われてもよい。それまでに、検者および作業者が、再検査に対して随時介入できるように準備しておくことが望ましい。
【0076】
また、検査の中止を指示する応答信号に基づいて、次の検査(第2の検査)へ被検者を誘導するためのガイド情報が、出力デバイスを介して出力されてもよい。ガイド情報として、次の検査の検査項目名、検査を受ける場所への行き方、等を示すメッセージおよび図等が、出力デバイスを介して出力されてもよい。
【0077】
<検査の終了>
手動での測定が完了した場合、および、判定ステップにおいて、エラー信号の送信(処理)を行う必要があると判定されなかった場合のそれぞれでは、検査結果を保存し、眼検査装置10による検査を終了する。終了する際に、眼検査装置10は、検査終了を被検者に知らせるための音声アナウンスを、行ってもよい。また、終了する際に、眼検査装置10による次の移動先が、被検者に対して案内されてもよい(S6)。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、エラーの発生に対する応答を、予め定められた複数の対応方法の中からいずれかを選択することによって行うことができる。例えば、検者が他のタスクを処理していても、速やかに応答が行われやすくなる。これにより、施設において、エラーの発生による検査の効率低下を抑制できる。更に、被検者においては、エラーの発生時に被検者からの速やかな応答があることで、装置や施設に対する不信,不満が生じることを抑制できる。
【0079】
<第2の眼検査装置に対するフィードバック>
眼検査装置10による検査において介入を必要としていた被検者が、第2の眼検査装置110による検査を控えている場合、第2の眼検査装置110による検査においても、同様の介入が必要となる場合が考えられる。そこで、眼検査装置10において得られた各種情報が、第2の眼検査装置110に対して、直接的に、又は、間接的に、送信されてもよい。これにより、第2の眼検査装置110においてスムースに検査が行われることが期待できる。
【0080】
例えば、眼検査装置10において手動アライメントが行われた場合において、第2の眼検査装置110に対して、眼検査装置10における手動アライメントによるアライメント調整結果であるパラメータが送信されてもよい(第2送信ステップ)。第2の眼検査装置110でのアライメントの際に、上述のパラメータに基づいて、アライメントが誘導されてもよい。例えば、上述のパラメータに基づいて、アライメント目標位置が設定されてもよい。目標位置を示す指標(レチクル)が、第2の眼検査装置110における手動アライメントの際に、観察画像上に表示されてもよい。また、目標位置に対し、第2の眼検査装置110におけるアライメント状態が自動的に調整されてもよい。
【0081】
また、例えば、第2の眼検査装置110に対して、眼検査装置10でのエラー種別を示す情報が送信されてもよい(第3送信ステップ)。第2の眼検査装置110において検査が開始される際に、エラー種別を示す情報を受信した第2の眼検査装置110から、エラー種別に関する情報が、報知されてもよい。エラー種別に関する情報は、例えば、被検者に対して必要な補助の内容を示す情報であってもよい。これにより、例えば、第2の眼検査装置110の近くにいる作業者が、必要な補助を行いつつ、第2の眼検査装置110における検査をスムースに進めることができる。
【0082】
<検査順序の変更>
エラーが発生した場合に、エラーの発生によって1人の被検者の検査が長引くと、他の被検者の検査の待ち時間が増大したり、検査が渋滞するなどの影響が生じることが考えられる。つまり、検査の対象者全体に対する検査の効率が低下してしまうおそれがある。
【0083】
これに対し、本実施形態では、上述の通り、管理装置120によって、上述の被検者(眼検査装置10による検査においてエラーが発生した被検者)と、他の被検者とのそれぞれと対応付けて、検査順序が管理されていてもよい。ここでいう検査順序とは、眼検査装置10による検査(第1の検査),および、第2の検査(第1の検査とは異なる検査)とを含む一連の検査の中での、検査を受ける順序である。
【0084】
そして、管理装置120は、眼検査装置10による検査においてエラーが発生した場合において、被検者と他の被検者とのいずれかと対応付けられた検査順序を、選択ステップにおける対応方法の選択入力に基づいて変更してもよい。これにより、エラーが発生しても、施設における検査効率の低下が抑制される。
【0085】
1つの具体例として、応答ステップにおいて、眼検査装置10による検査を中止し、他の検査へ被検者を誘導する、中止による対応方法が選択された場合に、検者側装置20における該対応方法の選択入力に基づいて、管理装置120は、少なくとも被検者の検査順序を変更してもよい。例えば、図6に示すように、眼検査装置10による再検査が、他の検査(第2の検査)の後に行われるように、検査順序が調整される。なお、第2の検査は、眼検査装置10において生じたエラーと、同様のエラーが発生し得ない検査であることが望ましい。
【0086】
また、他の具体例として、応答ステップにおいて、眼検査装置10において、待機による対応方法が選択された場合に、検者側装置20における該対応方法の選択入力に基づいて、管理装置120は、少なくとも他の被検者の検査順序を変更してもよい。例えば、図7に示すように、他の被検者において予定される検査項目として、眼検査装置10による検査が含まれている場合、上述の待機に伴う先の被検者の検査時間の遅延分を考慮して、眼検査装置10による検査の検査順序を、より後に変更してもよい。
【0087】
また、第1の眼検査装置10による検査の直後に、第2の眼検査装置110による検査が行われるように、管理装置120において管理される検査順序が調整されてもよい。
【0088】
以上、実施形態に基づいて本開示を説明したが、本開示は、種々の変更が可能である。
【0089】
<エラー発生後のタイムアウト処理>
例えば、上記実施形態の各対応方法は、必ず、検者による選択操作に基づいて選択された。しかし、必ずしもこれに限られるものでは無く、検者が他の作業をしており、エラーの発生が通知されても、しばらくの間、検者側装置20に対する一切の操作ができない場合も考えられる。
【0090】
これに対し、例えば、エラーの発生が通知されてから所定時間、選択操作が行われない場合は、複数の対応方法のうち予め定められたいずれかが、検者側装置20(および眼検査装置10のいずれか)によって、自動的に選択される、タイムアウト処理が実行されてもよい。
【0091】
タイムアウト処理によって選択される対応方法は、中止による対応方法であってもよい。つまり、検査の中止と、次の検査(第2の検査)へ被検者を誘導するためのガイド情報が、出力デバイスを介して出力されてもよい。また、上記のように、タイムアウト処理によって、自動的に対応方法が選択された場合、検者側装置20においては、タイムアウト処理が行われたことを示す情報が、モニタ上に表示されてもよい。
【0092】
また、タイムアウト処理によって選択される対応方法は、作業者のへの連絡による対応方法であってもよい。この場合、眼検査装置10におけるエラーの発生を示す情報(および、エラーの内容を示す情報)が、端末装置130へ送信されてもよい。これによって、作業者に対して眼検査装置10で生じたエラーへの対応を要求してもよい。
【0093】
以上のようなタイムアウト処理によって、エラー発生後の、被検者の待ち時間が抑制される。結果、例えば、施設における検査効率の低下が抑制される。
【0094】
<マスタースレーブ型のシステムへの適用>
例えば、上記実施形態の眼検査システム1において、眼検査装置10は、スタンドアローンで検査が可能であった。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、眼検査装置10が、外部のマスター(コンピュータ,例えば、検者側装置20)によって常に制御されてもよい。つまり、眼検査装置10は、スタンドアローンでの検査に対応しない、スレーブ機であってもよい。例えば、検者側装置20がマスターとして、眼検査装置10を制御する場合、図4に示した各ステップは、検者側装置20において実行される。このとき、図4に示した各種ステップのうち、信号の送受信に係るステップ(S3,S4,S11,S14)は省略され得る。
【符号の説明】
【0095】
10 眼検査装置
20 検者側装置
110 第2眼検査装置
120 管理装置
130 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7