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特許7562966行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020041796
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021144400
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】楠木 岳之
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037951(JP,A)
【文献】特開2016-149024(JP,A)
【文献】特開2013-186554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアに入る人物を撮像することで第1画像を生成可能な第1撮像装置と、
前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末と、
前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記人物の行動を管理する行動管理装置と
を備え、
前記第1撮像装置は、前記人物と共に前記ウェアラブル端末を識別可能な情報を同時に撮像することで前記第1画像を生成し、
前記行動管理装置は、
前記第1画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着しているウェアラブル端末とを識別する識別手段と、
前記第1撮像装置が前記対象エリアから出る前記人物を撮像することで生成される第3画像が取得されるまでの期間中に、前記識別手段によって識別された前記ウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別手段によって識別された前記人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録する記録手段と
を備える行動管理システム。
【請求項2】
前記第2撮像装置は、前記第2撮像装置の撮像範囲に含まれる物体の色及びサイズの少なくとも一つを特定できる一方で、前記物体の種別までは特定できない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ前記第2画像を生成する
請求項1に記載の行動管理システム。
【請求項3】
前記人物は、色及びサイズの少なくとも一つで区別可能な複数の用具のうちの少なくとも一つを用いて、前記対象エリアの中で所定作業を行う
請求項2に記載の行動管理システム。
【請求項4】
前記対象エリアは、宿泊施設の客室を含み、
前記人物は、前記客室を清掃する清掃作業者を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の行動管理システム。
【請求項5】
対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像に基づいて、前記人物と、前記人物が装着しており且つ前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末とを識別する識別手段と、
前記第1撮像装置が前記対象エリアから出る前記人物を撮像することで生成される第3画像が取得されるまでの期間中に、前記識別手段によって識別された前記ウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別手段によって識別された前記人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録する記録手段と
を備え、
前記第1撮像装置は、前記人物と共に前記ウェアラブル端末を識別可能な情報を同時に撮像することで前記第1画像を生成する行動管理装置。
【請求項6】
コンピュータによって実行される行動管理方法であって、
対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像を取得することと、
前記人物によって装着され、且つ、前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成するように前記人物の周囲を撮像する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末から、前記第2画像を取得することと、
前記第1画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別することと、
前記第1撮像装置が前記対象エリアから出る前記人物を撮像することで生成される第3画像が取得されるまでの期間中に、前記識別されたウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別された人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録することと
を含み、
前記第1撮像装置は、前記人物と共に前記ウェアラブル端末を識別可能な情報を同時に撮像することで前記第1画像を生成する行動管理方法。
【請求項7】
コンピュータに行動管理方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記行動管理方法は、
対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像を取得することと、
前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末から、前記第2画像を取得することと、
前記第1画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別することと、
前記第1撮像装置が前記対象エリアから出る前記人物を撮像することで生成される第3画像が取得されるまでの期間中に、前記識別されたウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別された人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録することと
を含み、
前記第1撮像装置は、前記人物と共に前記ウェアラブル端末を識別可能な情報を同時に撮像することで前記第1画像を生成するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宿泊施設の客室等の対象エリアに入る人物の行動を管理するための行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
このような行動管理システムを開示する文献ではないものの、特許文献1には、人物の行動を管理する行動管理システムの一例が記載されている。特許文献1には、ビル清掃作業の作業風景を動画で取り込むビデオカメラと、ビデオカメラにより取り込んだ撮影データを、通信回線網を介して清掃作業発注者が所属するビル及び作業現場の監督者が所属するビルに同時配信するパソコンとを備える清掃作業監督システムが開示されている。
【0003】
その他、本願発明に関連する先行技術文献として、特許文献2から5があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-004084号公報
【文献】特開2016-085688号公報
【文献】特開2016-071794号公報
【文献】特開2013-134566号公報
【文献】特開2009-026168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
宿泊施設(例えば、ホテル及び旅館の少なくとも一つ)の客室もまた、清掃作業者によって清掃される。このため、上述した特許文献1に開示された清掃作業監督システムを、客室を清掃する清掃作業者の行動を管理するために用いることが想定される。しかしながら、客室を利用する利用者(例えば、宿泊者)のプライバシーの保護の観点から、清掃作業者の行動を監視するためのビデオカメラを客室内に設置することは困難である。このため、特許文献1に開示された清掃作業監督システムは、客室を清掃する清掃作業者の行動を適切に管理することができないという技術的問題を有する。
【0006】
また、客室を清掃する清掃作業者の行動を管理する場合に限らず、プライバシーを保護するべき対象エリアに入る人物の行動を管理する場合においても、同様の技術的問題が生ずる。
【0007】
本発明は、上述した技術的問題を解決可能な行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。一例として、本発明は、対象エリアに入る人物の行動を適切に管理可能な行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
行動管理システムの一態様は、対象エリアに入る人物を撮像することで第1画像を生成可能な第1撮像装置と、前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末と、前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記人物の行動を管理する行動管理装置とを備え、前記行動管理装置は、前記第1画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別する識別手段と、前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別手段によって識別された前記ウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別手段によって識別された前記人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録する記録手段とを備える。
【0009】
行動管理装置の一態様は、対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像に基づいて、前記人物と、前記人物が装着しており且つ前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末とを識別する識別手段と、前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別手段によって識別された前記ウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別手段によって識別された前記人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録する記録手段とを備える。
【0010】
行動管理方法の一態様は、対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像を取得することと、前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末から、前記第2画像を取得することと、前記第1及び第2画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別することと、前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別されたウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別された人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録することとを含む。
【0011】
コンピュータプログラムの一態様は、コンピュータに行動管理方法を実行させるコンピュータプログラムであって、前記行動管理方法は、対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像を取得することと、前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末から、前記第2画像を取得することと、前記第1及び第2画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別することと、前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別されたウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別された人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録することとを含む。
【発明の効果】
【0012】
上述した行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラムによれば、対象エリアに入る人物の行動を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態の行動管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態の行動管理システムが適用されている客室を示す平面図である。
図3図3は、出入口を介して客室に入室する清掃作業者を撮像するカメラを示す平面図である。
図4図4は、本実施形態のウェアラブル端末が備えるカメラの撮像範囲を示す平面図である。
図5図5は、本実施形態の行動管理装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、客室に入室しようとしている清掃作業者の行動を管理するための第1行動管理動作の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、行動管理DBのデータ構造の一例を示す。
図8図8は、客室内で客室を実際に清掃している清掃作業者の行動を管理するための第2行動管理動作の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、客室から退室しようとしている清掃作業者の行動を管理するための第1行動管理動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。以下では、宿泊施設の客室を清掃する清掃作業者5の行動を管理するための行動管理システムSYSを用いて、行動管理システム、行動管理装置、行動管理方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。宿泊施設の一例として、ホテル及び旅館の少なくとも一つがあげられる。
【0015】
(1)行動管理システムSYSの構成
(1-1)行動管理システムSYSの全体構成
はじめに、図1を参照しながら、本実施形態の行動管理システムSYSの全体構成について説明する。図1は、本実施形態の行動管理システムSYSの全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、行動管理システムSYSは、カメラ1と、ウェアラブル端末2と、行動管理装置3とを備える。行動管理システムSYSは、単一のカメラ1を備えていてもよいし、複数のカメラ1を備えていてもよい。行動管理システムSYSは、単一のウェアラブル端末2を備えていてもよいし、複数のウェアラブル端末2を備えていてもよい。行動管理装置3は、カメラ1及びウェアラブル端末2のそれぞれと、通信ネットワーク網4を介して互いに通信可能である。通信ネットワーク網4は、有線の通信ネットワーク網を含んでいてもよい。通信ネットワーク網4は、無線の通信ネットワーク網を含んでいてもよい。
【0017】
行動管理システムSYSは、上述したように、宿泊施設の客室を清掃する清掃作業者5の行動を管理する。この場合、行動管理システムSYSが適用されている客室を示す平面図である図2に示すように、カメラ1は、客室の出入口ENT(或いは、出入口ENTの近傍)に配置されていることが好ましい。その結果、図3に示すように、カメラ1は、出入口ENTを介して客室に入室する清掃作業者5を撮像可能となる。特に、カメラ1は、出入口ENTを介して客室に入室する清掃作業者5の顔を撮像可能となるように配置される。更に、カメラ1は、出入口ENTを介して客室から出てくる清掃作業者5(特に、清掃作業者5の顔)を撮像可能となるように配置されていてもよい。但し、カメラ1は、出入口ENTを介して客室に入室する清掃作業者5(特に、清掃作業者5の顔)を撮像可能である限りは、客室の出入口ENT(或いは、出入口ENTの近傍)とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0018】
図2は、複数の客室の夫々の出入口ENTにカメラ1が配置される例を示している。この場合、各カメラ1は、各カメラ1に対応する一の客室に入室する清掃作業者5(更には、各カメラ1に対応する一の客室から出てくる清掃作業者5)を撮像する。但し、少なくとも二つの客室の夫々に入室する清掃作業員(更には、少なくとも二つの客室の夫々から出てくる清掃作業者5)を撮像するカメラ1が配置されていてもよい。つまり、客室の数とカメラ1の数とは、同一でなくてもよい。
【0019】
カメラ1は、清掃作業者5を撮像することで、清掃作業者5が写り込んだ画像IMG1を生成する。尚、本実施形態では、画像は、静止画及び動画の少なくとも一つを意味するものとする。後述するように、画像IMG1は、画像IMG1に写り込んだ清掃作業者5を識別するために用いられる。このため、画像IMG1は、清掃作業者5が識別可能となる程度に清掃作業者5が鮮明に写り込んだ画像となる。言い換えれば、カメラ1の分解能(或いは、解像度、以下同じ)は、清掃作業者5が識別可能となるように清掃作業者5が鮮明に写り込んだ画像IMG1を生成可能な程度に高い分解能に設定されている。カメラ1は、通信ネットワーク網4を介して、生成した画像IMG1を行動管理装置3に送信する。
【0020】
ウェアラブル端末2は、清掃作業者5が装着可能な端末である。清掃作業者5は、客室を清掃する際に、ウェアラブル端末2を装着する。つまり、清掃作業者5は、ウェアラブル端末2を装着した状態で客室を清掃する。清掃作業者5は、カメラ1が清掃作業者5を撮像する際に清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2も同時に撮像することができるように、ウェアラブル端末2を装着する。特に、清掃作業者5は、カメラ1が清掃作業者5を撮像する際にウェアラブル端末2に取り付けられているウェアラブル端末2の識別コード(或いは、ウェアラブル端末2を一意に識別可能な任意の情報)も同時に撮像することができるように、ウェアラブル端末2を装着する。このため、典型的には、清掃作業者5は、ウェアラブル端末2の少なくとも一部(特に、ウェアラブル端末2の識別コード)が外部から視認可能となるように、ウェアラブル端末2を装着する。
【0021】
ウェアラブル端末2は、カメラ21を備えている。このため、清掃作業者5は、実質的には、カメラ21を装着していると言える。清掃作業者5は、実質的には、カメラ21を装着した状態で客室を清掃すると言える。カメラ21は、カメラ21の撮像範囲を示す図4に示すように、清掃作業者5の周囲(例えば、清掃作業者5の前方の領域)を撮像可能である。このため、カメラ21は、清掃作業者5の周囲を撮像することで、清掃作業者5の周囲が写り込んだ画像IMG2を生成する。ウェアラブル端末2は、通信ネットワーク網4を介して、カメラ21が生成した画像IMG2を行動管理装置3に送信する。
【0022】
ここで、客室は、清掃作業者5とは異なる利用者(例えば、宿泊者)が利用する部屋である。このため、カメラ21によって客室のプライバシー(つまり、利用者のプライバシー)が侵害されないことが好ましい。このため、客室の利用者のプライバシーを保護するために、カメラ21は、客室の利用者のプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で清掃作業者5の周囲が写り込んだ画像IMG2を生成する。例えば、カメラ21は、カメラ21の撮像範囲に含まれる物体の種別を特定することができない程度に粗い状態で物体が写り込んだ画像IMG2を生成してもよい。物体の種別は、物体に付された文字、数字、記号、パターン及び/又は模様から特定可能であるため、カメラ21は、物体に付された文字、数字、記号、パターン及び/又は模様を特定することができない程度に粗い状態で物体が写り込んだ画像IMG2を生成してもよい。物体の種別は、物体の形状から特定可能であるため、カメラ21は、物体の形状を特定することができない程度に粗い状態で物体が写り込んだ画像IMG2を生成してもよい。例えば、カメラ21は、上述した画像IMG1に写り込んだ人物を識別する方法では画像IMG2に写り込んだ物体を識別することができない程度に物体が不鮮明に写り込んだ画像IMG2を生成してもよい。例えば、カメラ21は、上述した画像IMG1に写り込んだ人物を識別する方法で画像IMG2に写り込んだ物体を識別することができる程度に物体が鮮明に写り込んでない画像IMG2を生成してもよい。このため、カメラ21の分解能は、カメラ1の分解能よりも低い。カメラ21の分解能は、画像IMG2に写り込んだ物体の種別を特定することができない画像IMG2しか生成することができない程度に低い分解能に設定されていてもよい。その結果、客室内にある利用者の所有物がカメラ21の撮像範囲に含まれていたとしても、当該所有物がどのような物品であるかを画像IMG2から特定することができない。このため、利用者のプライバシーが適切に保護される。
【0023】
一方で、後述するように、行動管理装置3は、画像IMG2に写り込んだ物体の色及びサイズの少なくとも一つに基づいて、清掃作業者5が使用している清掃用具6を特定し、特定した清掃用具6に基づいて清掃作業者5の行動を推定する。このため、カメラ21は、カメラ21の撮像範囲に含まれる物体の色及びサイズの少なくとも一つを特定することができるように物体が写り込んだ画像IMG2を生成してもよい。カメラ21の分解能は、画像IMG2に写り込んだ物体の色及びサイズの少なくとも一つを特定可能な画像IMG2を生成することができる程度に低い分解能に設定されていてもよい。また、清掃作業者5は、色及びサイズの少なくとも一つによって互いに区別可能な複数の清掃用具6のうちの少なくとも一つを用いて、客室を清掃する。例えば、清掃作業者5は、清掃用具6として、客室の家具を清掃するための第1の色(例えば、赤色)のタオルと、客室の風呂を清掃するための第2の色(例えば、青色)のタオルと、客室のトイレを清掃するための第3の色(例えば、黒色)のタオルとの少なくとも一つを用いて、客室を清掃してもよい。例えば、清掃作業者5は、清掃用具6として、第1のサイズを有するほうきと、第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するスポンジと、第1のサイズよりも大きい第3のサイズを有する掃除機との少なくとも一つを用いて、客室を清掃してもよい。その結果、行動管理装置3は、画像IMG2に写り込んだ物体の色及びサイズの少なくとも一つに基づいて、清掃作業者5が使用している清掃用具6を推定することができる。更には、行動管理装置3は、推定した清掃用具6の様子(例えば、動き及び位置の少なくとも一方)に基づいて、推定した清掃用具6を用いた清掃作業者5の行動を推定することができる。
【0024】
行動管理装置3は、清掃作業者5の行動を管理するための行動管理動作を行う。具体的には、行動管理装置3は、客室に入室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第1行動管理動作、客室内で客室を実際に清掃している清掃作業者5の行動を管理するための第2行動管理動作、及び、客室から退室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第3行動管理動作の少なくとも一つを行う。このような行動管理動作を行う行動管理装置3は、例えば、清掃作業者5を管理する管理者によって使用される。このため、行動管理装置3は、典型的には、客室とは異なる場所に配置される。例えば、行動管理装置3は、宿泊施設内の管理室に配置されていてもよい。例えば、行動管理装置3は、宿泊施設から離れた管理室に配置されていてもよい。
【0025】
行動管理装置3は、行動管理装置3の構成を示すブロック図である図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)31と、記憶装置32と、通信装置33とを備えている。CPU31と、記憶装置32と、通信装置33とは、データバス34を介して接続されている。
【0026】
CPU31は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、CPU31は、記憶装置32が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、CPU31は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。CPU31は、通信装置33を介して、行動管理装置3の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。CPU31は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、CPU31内には、行動管理装置3が行うべき行動管理動作を行うための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、CPU31は、行動管理動作を行うための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0027】
行動管理動作を行うために、CPU31内には、画像分析部311と、画像記録部312とが実現される。尚、画像分析部311及び画像記録部312の夫々が行う動作については、図6から図9等を参照しながら後に詳述するが、その概要についてここで簡単に説明する。画像分析部311は、画像IMG1に基づいて、画像IMG1に写り込んだ清掃作業者5及び当該清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2を識別する。画像記録部312は、画像分析部311が識別した清掃作業者5に関する情報と画像分析部311が識別したウェアラブル端末2に関する情報とが、記憶装置32が記憶している後述する照合DB(DataBase)321に登録済みである場合に、識別した清掃作業者5が写り込んでいる画像IMG1及び識別したウェアラブル端末2(つまり、識別した清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2)が生成した画像IMG2の少なくとも一方を、記憶装置32が記憶している後述する画像DB323に記録する。この際、画像記録部312は、記憶装置32が記憶している後述する行動管理DB322に画像IMG1及びIMG2の少なくとも一方を関連付けた状態で、画像IMG1及びIMG2の少なくとも一方を記録する。
【0028】
記憶装置32は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置32は、CPU31が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置32は、CPU31がコンピュータプログラムを実行している際にCPU31が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置32は、行動管理装置3が長期的に保存するデータを記憶してもよい。本実施形態では、記憶装置32は、照合DB321と、行動管理DB322と、画像DB323とを記憶している。照合DB321は、清掃作業者5に関する情報と、当該清掃作業者5が使用するべきウェアラブル端末2に関する情報とを含む照合レコードが複数記録されているデータベースである。行動管理DB322は、清掃作業者5の行動を管理するための行動管理レコードが複数記録されているデータベースである。画像DB323は、画像IMG1及びIMG2の少なくとも一方が記録されているデータベースである。記憶装置32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0029】
通信装置33は、通信ネットワーク網4を介して、カメラ1及びウェアラブル端末2の夫々と通信可能である。本実施形態では特に、通信装置33は、通信ネットワーク網4を介して、カメラ1から、カメラ1が生成した画像IMG1を受信する。通信装置33は、通信ネットワーク網4を介して、ウェアラブル端末2から、ウェアラブル端末2のカメラ21が生成した画像IMG2を受信する。
【0030】
(2)行動管理装置3の動作
続いて、行動管理装置3が行う行動管理動作について説明する。上述したように、行動管理装置3は、客室に入室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第1行動管理動作、客室内で客室を実際に清掃している清掃作業者5の行動を管理するための第2行動管理動作、及び、客室から退室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第3行動管理動作の少なくとも一つを行う。このため、以下では、第1行動管理動作から第3行動管理動作を順に説明する。
【0031】
(2-1)第1行動管理動作
はじめに、図6を参照しながら、客室に入室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第1行動管理動作について説明する。図6は、客室に入室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第1行動管理動作の流れを示すフローチャートである。尚、図6に示す第1行動管理動作は、行動管理装置3によって繰り返し実行される。つまり、行動管理装置3は、図6に示す第1行動管理動作を終了した場合には、一定時間が経過した後に、再度図6に示す第1行動管理動作を開始する。
【0032】
図6に示すように、画像分析部311は、客室に入室しようとしている清掃作業者5が写り込んだ画像IMG1(以降、“入室画像IMG1_ENTER”と称する)を通信装置33がカメラ1から受信した(つまり、取得した)か否かを判定する(ステップS11)。具体的には、上述した図3に示すように、清掃作業者5は、客室に入室する前に、カメラ1が清掃作業者5を撮像できるようにカメラ1の前に立つ。カメラ1は、清掃作業者5(特に、清掃作業者5の顔)を撮像する。この際、上述したように、カメラ1は、清掃作業者5(特に、清掃作業者5の顔)と共に、清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2(特に、ウェアラブル端末2の識別コード)を撮像する。従って、清掃作業者5は、清掃作業者5(特に、清掃作業者5の顔)と清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2(特に、ウェアラブル端末2の識別コード)がカメラ1の撮像範囲に含まれるように、カメラ1の前に立つ。その結果、カメラ1は、清掃作業者5とウェアラブル端末2とが写り込んだ入室画像IMG1_ENTERを生成する。
【0033】
ステップS11における判定の結果、通信装置33が入室画像IMG1_ENTERを受信していない(つまり、取得していない)と判定された場合には(ステップS11:No)、行動管理装置3は、図6に示す第1行動管理動作を終了する。
【0034】
他方で、ステップS11における判定の結果、通信装置33が入室画像IMG1_ENTERを受信した(つまり、取得した)と判定された場合には(ステップS11:Yes)、画像分析部311は、通信装置33から、通信装置33が受信した入室画像IMG1_ENTERを取得する。
【0035】
その後、画像分析部311は、取得した入室画像IMG1_ENTERに基づいて、入室画像IMG1_ENTERに写り込んでいる清掃作業者5を識別(言い換えれば、特定又は検出)する(ステップS12)。本実施形態では、画像分析部311は、例えば、清掃作業者5を識別するために、入室画像IMG1_ENTERに含まれる清掃作業者5の顔画像を検出する。但し、画像分析部311は、その他の方法で、清掃作業者5を識別してもよい。例えば、画像分析部311は、入室画像IMG1_ENTERに基づいて、入室画像IMG1_ENTERに写り込んだ清掃作業者5を識別するために利用可能な任意の識別情報(例えば、虹彩画像及び清掃作業者5が身に着けている名札の画像のうちの少なくとも一つ)を取得することで、清掃作業者5を識別してもよい。
【0036】
更に、画像分析部311は、取得した入室画像IMG1_ENTERに基づいて、入室画像IMG1_ENTERに写り込んでいる清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2を識別する(ステップS13)。本実施形態では、画像分析部311は、例えば、ウェアラブル端末2を識別するために、入室画像IMG1_ENTERに写り込んだウェアラブル端末2の識別コードを検出する。識別コードは、例えば、1次元コード、2次元コード、文字コード及び数字コードのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。但し、画像分析部311は、その他の方法で、ウェアラブル端末2を識別してもよい。例えば、画像分析部311は、入室画像IMG1_ENTERに基づいて、入室画像IMG1_ENTERに写り込んだウェアラブル端末2を識別するために利用可能な任意の識別情報(例えば、ウェアラブル端末2の少なくとも一部の画像)を取得することで、ウェアラブル端末2を識別してもよい。
【0037】
その後、画像分析部311は、ステップS12で識別した清掃作業者5に関する情報と、ステップS13で識別したウェアラブル端末2に関する情報とが、照合DB321に登録済みであるか否かを判定する(ステップS14)。具体的には、上述したように、ステップS12では、清掃作業者5を識別するために清掃作業者5の顔画像が検出され、ステップS13では、ウェアラブル端末2を識別するためにウェアラブル端末2の識別コードが検出されている。このため、画像分析部311は、ステップS12で検出された清掃作業者5の顔画像とステップS13で検出されたウェアラブル端末2の識別コードとが、照合DB321に登録済みであるか否かを判定する。つまり、画像分析部311は、ステップS12で検出された清掃作業者5の顔画像とステップS13で検出されたウェアラブル端末2の識別コードとを含む照合レコードが、照合DB321に登録済み(つまり、記録済み)であるか否かを判定する。この場合、照合DB321は、清掃作業者5の顔画像と、当該清掃作業者5が使用するべきウェアラブル端末2の識別コードとを含む照合レコードが複数記録されているデータベースとなる。
【0038】
ステップS14における判定の結果、清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みでないと判定された場合には(ステップS14:No)、清掃作業者5が照合DB321に登録されていないか又は清掃作業者5が適切なウェアラブル端末2を装着していないと推定される。この場合には、行動管理装置3は、図6に示す第1行動管理動作を終了する。尚、この場合には、客室の出入口ENT付近にいる清掃作業者5に対して、照合DB321への登録を促す又は適切なウェアラブル端末2の使用を促す警告がなされてもよい。
【0039】
他方で、ステップS14における判定の結果、清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みであると判定された場合には(ステップS14:Yes)、画像記録部312は、入室画像IMG1_ENTERを、清掃作業者5の行動を管理するための行動管理DB322に関連付けて画像DB323に記録する(ステップS15)。行動管理DB322のデータ構造の一例が図7に示されている。図7に示すように、行動管理DB322には、清掃作業者5を識別するための情報(例えば、作業者ID)と、清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2を識別するための情報(例えば、識別コード)と、清掃作業者5が清掃する客室を識別するための情報(例えば、客室ID)と、清掃作業者5が客室に入室した時刻に関する情報と、入室画像IMG1_ENTERを特定する情報(例えば、入室画像IMG1_ENTERの記録位置を示すファイルパス情報)とを含む行動管理レコード322Aが複数記録される。このため、ステップS15では、画像記録部312は、ステップS12で識別した清掃作業者5を識別するための情報(例えば、作業者ID)と、ステップS13で識別したウェアラブル端末2を識別するための情報(例えば、識別コード)と、ステップS12で識別した清掃作業者5が清掃する客室を識別するための情報(例えば、客室ID)と、ステップS12で識別した清掃作業者5が客室に入室した時刻(例えば、ステップS14において清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みであると判定された時刻)に関する情報と、ステップS11で通信装置33が受信した入室画像IMG1_ENTERを特定する情報(例えば、入室画像IMG1_ENTERの記録位置を示すファイルパス情報)とを含む行動管理レコード322Aを、新たに行動管理DB322に記録する。ここで記録された行動管理レコード322Aは、実質的には、清掃作業者5が客室に入室し且つ客室の清掃を開始したことを裏付ける情報として利用可能である。その上で、画像記録部312は、ステップS11で通信装置33が受信した入室画像IMG1_ENTERを画像DB323に記録する。その結果、入室画像IMG1_ENTERは、行動管理DB322(特に、行動管理レコード322A)に関連付けられた状態で、画像DB323に記録される。
【0040】
(2-2)第2行動管理動作
続いて、図8を参照しながら、客室内で客室を実際に清掃している清掃作業者5の行動を管理するための第2行動管理動作について説明する。図8は、客室内で客室を実際に清掃している清掃作業者5の行動を管理するための第2行動管理動作の流れを示すフローチャートである。尚、図8に示す第2行動管理動作は、行動管理装置3によって繰り返し実行される。つまり、行動管理装置3は、図8に示す第2行動管理動作を終了した場合には、一定時間が経過した後に、再度図8に示す第2行動管理動作を開始する。また、図8に示す第2行動管理動作は、原則として、図6に示す第1行動管理動作において、清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みであると判定された場合(図6のステップS14:Yes)に開始される。図6に示す第1行動管理動作において、清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みでないと判定された場合(図6のステップS14:No)には、行動管理装置3は、第2行動管理動作を開始しない。
【0041】
図8に示すように、画像分析部311は、客室内で客室を清掃している清掃作業者5の周囲が写り込んだ画像IMG2(以降、“室内画像IMG2_IN”と称する)を通信装置33がウェアラブル端末2から受信した(つまり、取得した)か否かを判定する(ステップS21)。具体的には、客室を清掃する清掃作業者5は、ウェアラブル端末2を装着している。ウェアラブル端末2のカメラ21は、清掃作業者5が客室を清掃している期間中に、清掃作業者5の周囲を撮像する。ウェアラブル端末2は、清掃作業者5が客室を清掃している期間中に、カメラ21が生成した室内画像IMG2_INを行動管理装置3に送信する。
【0042】
ステップS21における判定の結果、通信装置33が室内画像IMG2_INを受信していない(つまり、取得していない)と判定された場合には(ステップS21:No)、行動管理装置3は、図8に示す第2行動管理動作を終了する。
【0043】
他方で、ステップS21における判定の結果、通信装置33が室内画像IMG2_INを受信した(つまり、取得した)と判定された場合には(ステップS21:Yes)、画像記録部312は、室内画像IMG2_INを、行動管理DB322に関連付けて画像DB323に記録する(ステップS22)。具体的には、上述した図7に示すように、行動管理DB322に記録されている行動管理レコード322Aは、室内画像IMG2_INを特定する情報(例えば、室内画像IMG2_INの記録位置を示すファイルパス情報)を含む。このため、ステップS22では、画像記録部312は、第1行動管理動作によって生成された行動管理レコード322Aに、ステップS21で通信装置33が受信した室内画像IMG2_INを特定する情報(例えば、室内画像IMG2_INの記録位置を示すファイルパス情報)を追加する。その上で、画像記録部312は、ステップS21で通信装置33が受信した室内画像IMG2_INを画像DB323に記録する。その結果、室内画像IMG2_INは、行動管理DB322(特に、行動管理レコード322A)に関連付けられた状態で、画像DB323に記録される。
【0044】
(2-3)第3行動管理動作
続いて、図9を参照しながら、客室から退室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第3行動管理動作について説明する。図9は、客客室から退室しようとしている清掃作業者5の行動を管理するための第3行動管理動作の流れを示すフローチャートである。尚、図9に示す第3行動管理動作は、行動管理装置3によって繰り返し実行される。つまり、行動管理装置3は、図9に示す第3行動管理動作を終了した場合には、一定時間が経過した後に、再度図9に示す第3行動管理動作を開始する。
【0045】
図9に示すように、画像分析部311は、客室から退室しようとしている清掃作業者5が写り込んだ画像IMG1(以降、“退室画像IMG1_OUT”と称する)を通信装置33がカメラ1から受信した(つまり、取得した)か否かを判定する(ステップS31)。具体的には、清掃作業者5が客室から退室する際に、清掃作業者5が客室に入室する場合と同様に、清掃作業者5は、上述した図3に示すように、カメラ1が清掃作業者5とウェアラブル端末2を撮像できるようにカメラ1の前に立つ。カメラ1は、清掃作業者5(特に、清掃作業者5の顔)と清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2(特に、ウェアラブル端末2の識別コード)とを撮像する。その結果、カメラ1は、清掃作業者5とウェアラブル端末2とが写り込んだ退室画像IMG1_OUTを生成する。
【0046】
ステップS31における判定の結果、通信装置33が退室画像IMG1_OUTを受信していない(つまり、取得していない)と判定された場合には(ステップS31:No)、行動管理装置3は、図9に示す第3行動管理動作を終了する。
【0047】
他方で、ステップS31における判定の結果、通信装置33が退室画像IMG1_OUTを受信した(つまり、取得した)と判定された場合には(ステップS31:Yes)、画像分析部311は、通信装置33から、通信装置33が受信した退室画像IMG1_OUTを取得する。
【0048】
その後、画像分析部311は、取得した退室画像IMG1_OUTに基づいて、退室画像IMG1_OUTに写り込んでいる清掃作業者5を識別する(ステップS32)。更に、画像分析部311は、取得した退室画像IMG1_OUTに基づいて、退室画像IMG1_OUTに写り込んでいる清掃作業者5が装着しているウェアラブル端末2を識別する(ステップS33)。尚、ステップS32及びS33の動作は、夫々、上述したステップS12及びS13の動作と同一であってもよい。このため、画像分析部311は、例えば、退室画像IMG1_OUTに含まれる清掃作業者5の顔画像及び退室画像IMG1_OUTに写り込んだウェアラブル端末2の識別コードを検出する。
【0049】
その後、画像分析部311は、ステップS32で識別した清掃作業者5に関する情報と、ステップS33で識別したウェアラブル端末2に関する情報とが、照合DB321に登録済みであるか否かを判定する(ステップS34)。尚、ステップS34の動作は、上述したステップS14の動作と同一であってもよい。このため、画像分析部311は、ステップS32で検出された清掃作業者5の顔画像とステップS33で検出されたウェアラブル端末2の識別コードとを含む照合レコードが、照合DB321に登録済みであるか否かを判定する。
【0050】
ステップS34における判定の結果、清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みでないと判定された場合には(ステップS34:No)、行動管理装置3は、図9に示す第3行動管理動作を終了する。尚、この場合には、客室の出入口ENT付近にいる清掃作業者5に対して、照合DB321への登録を促す又は適切なウェアラブル端末2の使用を促す警告がなされてもよい。
【0051】
他方で、ステップS34における判定の結果、清掃作業者5の顔画像とウェアラブル端末2の識別コードとが照合DB321に登録済みであると判定された場合には(ステップS34:Yes)、画像記録部312は、退室画像IMG1_OUTを、行動管理DB322に関連付けて画像DB323に記録する(ステップS35)。具体的には、上述した図7に示すように、行動管理DB322に記録されている行動管理レコード322Aは、退室画像IMG1_OUTを特定する情報(例えば、退室画像IMG1_OUTの記録位置を示すファイルパス情報)を含む。このため、ステップS35では、画像記録部312は、第1行動管理動作によって生成された行動管理レコード322Aに、ステップS31で通信装置33が受信した退室画像IMG1_OUTを特定する情報(例えば、退室画像IMG1_OUTの記録位置を示すファイルパス情報)を追加する。その上で、画像記録部312は、ステップS31で通信装置33が受信した退室画像IMG1_OUTを画像DB323に記録する。その結果、退室画像IMG1_OUTは、行動管理DB322(特に、行動管理レコード322A)に関連付けられた状態で、画像DB323に記録される。
【0052】
(3)行動管理システムSYSの技術的効果
以上説明した行動管理システムSYSによれば、入室画像IMG1_ENTER、室内画像IMG2_IN及び退室画像IMG1_OUTは、行動管理DB322(具体的には、行動管理DB322に記録された行動管理レコード322A)と関連付けられた状態で画像DB323に記録される。このため、管理者は、行動管理DB322及び画像DB323を参照することで、清掃作業者5の行動を管理できる。例えば、管理者は、行動管理DB322を参照することで、必要な画像を画像DB323から容易に取得することができる。
【0053】
ここで、室内画像IMG2_INには、物体の種別を特定することができない程度に粗い状態で物体が写り込んでいる。このため、客室内にある利用者の所有物がカメラ21の撮像範囲に含まれていたとしても、当該所有物がどのような物品であるかを室内画像IMG2_INから特定することができない。このため、利用者のプライバシーが適切に保護される。
【0054】
一方で、行動管理装置3は、室内画像IMG2_INに写り込んだ物体の色及びサイズの少なくとも一つを特定することが可能である。更に、清掃作業者5は、色及びサイズの少なくとも一つによって区別可能な複数の清掃用具6のうちの少なくとも一つを用いて、客室を清掃する。このため、行動管理装置3は、室内画像IMG2_INに写り込んだ物体の色及びサイズの少なくとも一つに基づいて、清掃作業者5が使用している清掃用具6を推定することができる。更には、行動管理装置3は、推定した清掃用具6の様子(例えば、動き及び位置の少なくとも一方)に基づいて、推定した清掃用具6を用いた清掃作業者5の行動を推定することができる。例えば、上述したように色で区別可能なタオルを清掃作業者が用いている場合には、行動管理装置3は、室内画像IMG2_INに写り込んだタオルと思しき物体の色に基づいて、清掃作業者5が、本来使用するべきタオルとは異なるタオル(例えば、トイレを清掃するためのタオル)で客室の家具を清掃しているか否かを判定することができる。従って、行動管理装置3は、清掃作業者5が客室を適切に清掃しているか否かを確認することができる。
【0055】
また、行動管理装置3は、室内画像IMG2_INに写り込んだ清掃用具6と思しき物体の動きに基づいて、清掃用具6を使用している清掃作業者5の動き(典型的には、大まかな動き)も推定することができる。また、行動管理装置3は、室内画像IMG2_INに写り込んだ清掃作業者5の周囲の様子に基づいて、清掃用具6を使用している清掃作業者5の動き(典型的には、大まかな動き)も推定することができる。その結果、行動管理装置3は、清掃作業者5が客室内で不審な動き(例えば、客室内に置いてある、客室の利用者の所有物を盗難しようとしている動き)をとっているか否かを判定することができる。従って、行動管理装置3は、客室内での清掃作業者5の行動が適切か否かを確認することができる。
【0056】
(4)変形例
ウェアラブル端末2が備えるカメラ21は、典型的には、可視光を検出可能な撮像素子を用いて、清掃作業者5の周囲を撮像する。しかしながら、カメラ21は、可視光とは異なる光(電磁波を含む)を検出可能な撮像素子を用いて、清掃作業者5の周囲を撮像してもよい。例えば、カメラ21は、赤外光を検出可能な撮像素子を用いて、清掃作業者5の周囲を撮像してもよい。また、カメラ21は、深度を検出可能なカメラであってもよい。
【0057】
複数の清掃作業者5が客室を清掃する際には、複数の清掃作業者5の夫々がウェアラブル端末2を装着する。また、行動管理装置3は、複数の清掃作業者5の夫々を対象に、上述した行動管理動作を行うことが好ましい。
【0058】
上述した説明では、行動管理システムSYSは、宿泊施設の客室を清掃する清掃作業者の行動を管理している。しかしながら、行動管理システムSYSは、任意の部屋(特に、部屋の利用者のプライバシーを保護することが好ましい部屋)を清掃する清掃作業者の行動を管理してもよい。また、行動管理システムSYSは、任意の部屋(特に、部屋の利用者のプライバシーを保護することが好ましい部屋)を清掃する清掃作業者の行動に加えて又は代えて、任意の部屋で任意の作業を行う作業者(特に、部屋の利用者とは異なる作業者)の行動を管理してもよい。或いは、行動管理システムSYSは、利用者が利用する任意の空間(特に、空間の利用者のプライバシーを保護することが好ましい空間)で任意の作業を行う作業者(特に、空間の利用者とは異なる作業者)の行動を管理してもよい。この場合、利用者が利用する任意の空間が外部に対して少なくとも部分的に開放されていてもよい。尚、ここで言う「外部に対して少なくとも部分的に開放された任意の空間」は、例えば、外部から空間の少なくとも一部の様子を伺うことが可能な空間を意味していてもよい。つまり、行動管理システムSYSは、部屋及び空間の少なくとも一方を包含する任意の対象エリア(特に、対象エリアの利用者のプライバシーを保護することが好ましい対象エリア)に入る任意の人物(特に、対象エリアの利用車とは異なる人物)の行動を管理してもよい。
【0059】
このような行動管理システムSYSの適用シーンの一例として、以下のシーンがあげられる。例えば、行動管理システムSYSは、インターネットカフェのブースに飲食物を提供しに来た又はブースを清掃しに来たインターネットカフェの従業員の行動を管理してもよい。例えば、行動管理システムSYSは、介護施設の居室内で被介護者を介護する介護施設員の行動を管理してもよい。例えば、行動管理システムSYSは、オフィスビルにおけるテナントの入居スペース内で作業を行うビル管理者又は入居スペースの清掃を行う清掃作業者の行動を管理してもよい。例えば、行動管理システムSYSは、一般住居に立ち入ることで家事代行を行う家事代行後業者の行動を管理してもよい。例えば、行動管理システムSYSは、子供がいる住居内で子供の世話をするベビーシッターの行動を管理してもよい。例えば、行動管理システムSYSは、住居又は会社等に営業に訪れた営業員の行動を管理してもよい。
【0060】
(5)付記
[付記1]
対象エリアに入る人物を撮像することで第1画像を生成可能な第1撮像装置と、
前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末と、
前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記人物の行動を管理する行動管理装置と
を備え、
前記行動管理装置は、
前記第1画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別する識別手段と、
前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別手段によって識別された前記ウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別手段によって識別された前記人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録する記録手段と
を備える行動管理システム。
[付記2]
前記第2撮像装置は、前記第2撮像装置の撮像範囲に含まれる物体の色及びサイズの少なくとも一つを特定できる一方で、前記物体の種別までは特定できない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ前記第2画像を生成する
付記1に記載の行動管理システム。
[付記3]
前記人物は、色及びサイズの少なくとも一つで区別可能な複数の用具のうちの少なくとも一つを用いて、前記部屋の中で所定作業を行う
付記2に記載の行動管理システム。
[付記4]
前記対象エリアは、宿泊施設の客室を含み、
前記人物は、前記客室を清掃する清掃作業者を含む
付記1から3のいずれか一項に記載の行動管理システム。
[付記5]
対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像に基づいて、前記人物と、前記人物が装着しており且つ前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末とを識別する識別手段と、
前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別手段によって識別された前記ウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別手段によって識別された前記人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録する記録手段と
を備える行動管理装置。
[付記6]
対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像を取得することと、
前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末から、前記第2画像を取得することと、
前記第1及び第2画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別することと、
前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別されたウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別された人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録することと
を含む行動管理方法。
[付記7]
コンピュータに行動管理方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記行動管理方法は、
対象エリアに入る人物を撮像する第1撮像装置が生成した第1画像を取得することと、
前記人物によって装着され、且つ、前記人物の周囲を撮像することで前記対象エリアのプライバシーを侵害しない程度に粗い状態で前記人物の周囲が写り込んだ第2画像を生成する第2撮像装置を備えるウェアラブル端末から、前記第2画像を取得することと、
前記第1及び第2画像に基づいて、前記人物と前記人物が装着している前記ウェアラブル端末とを識別することと、
前記人物が前記対象エリアの中にいる期間中に、前記識別されたウェアラブル端末の前記第2撮像装置が生成した前記第2画像を、前記識別された人物の行動を管理するための行動管理情報に関連付けて記録することと
を含むコンピュータプログラム。
【0061】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う行動管理装置、行動管理システム、行動管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
SYS 行動管理システム
1 カメラ
2 ウェアラブル端末
21 カメラ
3 行動管理装置
31 CPU
311 画像分析部
312 画像記録部
32 記憶装置
321 照合DB
322 行動管理DB
323 画像DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9