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特許7562972電子機器、電子機器の制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G07G1/12 321H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020053786
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021157210
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】有川 和彦
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-091874(JP,A)
【文献】特開平06-223270(JP,A)
【文献】特開昭61-133472(JP,A)
【文献】特開2002-042249(JP,A)
【文献】特開平08-171677(JP,A)
【文献】特開平02-126397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の除外期間よりも前に登録モードでの操作で登録された記憶データである清算対象データがある場合に精算未完了であると判定し、前記所定の除外期間に前記登録モードでの操作で登録された記憶データである清算除外データがあっても前記清算対象データが無い場合には前記精算未完了であると判定しない精算判定手段と、
前記精算判定手段により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行わせる報知制御手段と、
前記清算対象データに対して清算の処理を行うとともに前記清算対象データを消去可能にする精算手段と、
外部機器へ前記記憶データの送信を行わない第1モードと前記外部機器へ前記記憶データの送信を行う第2モードのいずれかを設定する設定手段と、
を備え、
前記精算判定手段において、前記第1モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を第1の期間に設定して前記判定を行い、前記第2モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を前記第1の期間よりも長い第2の期間に設定して前記判定を行う、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記精算手段において、前記第1モードに設定されている場合には、前記清算対象データをユーザーの操作により消去された状態にしたときに精算を完了させ、前記第2モードに設定されている場合には、前記清算対象データを前記外部機器へ送信したときに精算を完了させる、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記精算判定手段は、前記登録モードでデータの新規登録に関する操作が行われたときに、データの精算が完了しているか否かの判定を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記精算判定手段により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードでのデータ入力を不可にすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
データの精算を行う電子機器のプロセッサが、
所定の除外期間よりも前に登録モードでの操作で登録された記憶データである清算対象データがある場合に精算未完了であると判定し、前記所定の除外期間に前記登録モードでの操作で登録された記憶データである清算除外データがあっても前記清算対象データが無い場合には前記精算未完了であると判定しない精算判定処理と、
前記精算判定処理により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行わせる報知制御処理と、
前記清算対象データに対して清算の処理を行うとともに前記清算対象データを消去可能にする精算処理と、
外部機器へ前記記憶データの送信を行わない第1モードと前記外部機器へ前記記憶データの送信を行う第2モードのいずれかを設定する設定処理と、
を実行し、
前記精算判定処理において、前記第1モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を第1の期間に設定して前記判定を行い、前記第2モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を前記第1の期間よりも長い第2の期間に設定して前記判定を行う、
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項6】
データの精算を行う電子機器のプロセッサに、
所定の除外期間よりも前に登録モードでの操作で登録された記憶データである清算対象データがある場合に精算未完了であると判定し、前記所定の除外期間に前記登録モードでの操作で登録された記憶データである清算除外データがあっても前記清算対象データが無い場合には前記精算未完了であると判定しない精算判定処理と、
前記精算判定処理により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行わせる報知制御処理と、
前記清算対象データに対して清算の処理を行うとともに前記清算対象データを消去可能にする精算処理と、
外部機器へ前記記憶データの送信を行わない第1モードと前記外部機器へ前記記憶データの送信を行う第2モードのいずれかを設定する設定処理と、
を実行させ、
前記精算判定処理において、前記第1モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を第1の期間に設定して前記判定を行わせ、前記第2モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を前記第1の期間よりも長い第2の期間に設定して前記判定を行わせる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力したデータの精算を行う電子機器、電子機器の制御方法、及びその処理に係るプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商店における売上の集計のように、入力されたデータを所定期間で区切って精算処理する場合に、精算を漏れなく確実に行いたいという要望がある。精算を行う手段として、入力したデータに基づいて自動的に精算するシステム以外に、手作業での集計による精算も広く用いられている。また、近年では、スマートフォンやタブレット型コンピュータのような携帯情報端末を利用した会計データの入力も実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-36247号公報
【文献】特開2003-168164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動精算に対応していない電卓や携帯情報端末では、会計後の精算処理を別途行う必要があり、精算を確実に行えるようにすることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、入力したデータの精算を行う電子機器で、精算の確実性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
態様の一例の電子機器は、データの精算を行う電子機器であって、所定の除外期間よりも前に登録モードでの操作で登録された記憶データである清算対象データがある場合に精算未完了であると判定し、前記所定の除外期間に前記登録モードでの操作で登録された記憶データである清算除外データがあっても前記清算対象データが無い場合には前記精算未完了であると判定しない精算判定手段と、前記精算判定手段により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行わせる報知制御手段と、前記清算対象データに対して清算の処理を行うとともに前記清算対象データを消去可能にする精算手段と、外部機器へ前記記憶データの送信を行わない第1モードと前記外部機器へ前記記憶データの送信を行う第2モードのいずれかを設定する設定手段と、を備え、前記精算判定手段において、前記第1モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を第1の期間に設定して前記判定を行い、前記第2モードに設定されている場合には、前記所定の除外期間を前記第1の期間よりも長い第2の期間に設定して前記判定を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の条件の記憶データがある場合に、精算判定手段が精算未完了と判定し、登録モードで精算未完了の報知を行うので、精算の確実性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による電子機器の実施形態の外観を示す図である。
図2】電子機器のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】電子機器によるデータ登録の例を示す説明図である。
図4】電子機器のスタンドアローンモードでの精算処理の例を示す説明図である。
図5】電子機器のペアリングモードでの精算処理の例を示す説明図である。
図6】精算未完了時の処理を示す説明図である。
図7】精算完了判定における時間設定の概念を示す説明図である。
図8】電子機器による制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態である電子機器10の外観を示す図であり、図2は、電子機器10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、携帯型の端末(電卓)である電子機器10は、入力部11と表示部12を有している。入力部11は、ユーザーの操作を受け付ける部分である。表示部12は、液晶やLED(Light Emitting Diode)などによって、表示画面上に数字や所定の文字を表示する部分である。
【0011】
図2に示すように、電子機器10のハードウェア構成には、入力部11と表示部12の他に、制御部13、記憶部14、スピーカー15、通信部(通信手段)16が含まれている。
【0012】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)及びその他の電子部品で構成されており、入力部11からの信号入力(ユーザーの操作)に応じて、電子機器10を統括的に制御するプロセッサである。制御部13は、表示部12の表示制御を行うディスプレイドライバと、スピーカー15の動作制御を行うスピーカードライバを含んでいる。制御部13にはその他にも様々な機能があり、その中の機能ブロックである精算判定手段17と報知制御手段35を図2に示している。
【0013】
記憶部14は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの読み書き可能な不揮発性メモリであり、電子機器10の電源をオフにしても記憶したデータを保持し、特定の消去操作が行われた場合にデータを消去する。後述する登録モードで登録されるデータ(記憶データ)は、記憶部14に記憶される。
【0014】
通信部16は、電子機器10が別の外部機器18と通信するためのインターフェースである。通信部16によって通信する外部機器18は、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどである。通信部16の通信規格は、特定の外部機器18とのみ通信を行うようにセキュリティ設定できるものが好ましく、一例として、Bluetooth Low Energy(登録商標)などを使用できる。なお、通信部16による通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0015】
本実施形態の電子機器10は、通常演算用の電卓機能に加えて、売上集計用のレジスター機能を備える電卓である。図1を参照して、入力部11の詳細を説明する。入力部11は、スライド操作可能なスライドスイッチ19と、押し込み操作可能な複数のキーとで構成されている。
【0016】
スライドスイッチ19は、「OFF」、「電卓」、「登録」、「精算」の4つの位置に切り替えが可能である。スライドスイッチ19で「OFF」を選択すると、電子機器10の電源がオフになる。スライドスイッチ19を他の3つの位置に移動させると、電子機器10の電源がオンになり、それぞれ異なるモードで動作する。スライドスイッチ19で「電卓」を選択すると、制御部13は通常の四則演算などを実行する電卓モードとして電子機器10を制御する。電卓モードでの動作内容は周知であるため、説明を省略する。
【0017】
レジスター機能を利用する場合は、スライドスイッチ19で「登録」又は「精算」を選択する。「登録」を選択すると、制御部13は、売上データの登録(会計)を行う登録モードとして電子機器10を制御する。「精算」を選択すると、制御部13は売上データを精算する精算モードとして電子機器10を制御する。
【0018】
入力部11の複数のキーのうち、図1に一点鎖線で囲んで示した数字キー領域20と計算命令キー領域21とメモリキー領域26は、それぞれが複数個のキーで構成される概念的なグループである。
【0019】
数字キー領域20には、「0」から「9」までと「00」の計11個の数字キーと、小数点キーが配置されている。数字キー領域20の各キーは、電卓モード、登録モード、精算モードのいずれでも数値入力用の操作手段として用いられる。なお、数値入力を行わない設定モードなどにおいて、数字キーをカーソルキーなどとして用いることも可能である。
【0020】
数字キー領域20の右側に配した計算命令キー領域21は、電卓モードで演算の種類(四則演算など)を選択して計算データを入力する部分であり、加減乗除(+、-、×、÷)用の各計算キーを有している。
【0021】
入力部11の最下段には、数字キー領域20と計算命令キー領域21の間に、イコールキー22が配されている。イコールキー22は、電卓モードで演算を完了させる「=」のコマンドを入力する。イコールキー22はさらに、後述する登録モードや精算モードで、演算完了以外の指示を入力する手段としても用いられる。
【0022】
数字キー領域20の左側には、オールクリア(AC)キー23、クリア(C)キー24、サインチェンジキー25が配されている。数字キー領域20の上側は、メモリ操作用の4個のキー(MC、MR、M+、M-)を含むメモリキー領域26となっている。数字キー領域20の最上段には、パーセント(%)キー27が配されている。
【0023】
入力部11の最上段にはさらに、4つの機能キー30~33が配されている。機能キー30~33は、上記の各モード(電卓モード、登録モード、精算モード)でそれぞれ異なる役割を担っており、キートップには代表的な役割に対応する表示がなされている。具体的には、機能キー30には「税1」、機能キー31には「税2」、機能キー32には「お釣り」、機能キー33には「合計」が表示されている。
【0024】
オールクリアキー23に続いてパーセントキー27の長押し操作を行うと、電子機器10における各種設定を行う設定モードに入る。例えば、設定モードにおいて、機能キー30や機能キー31を押してから、数字キー領域20の各キーなどを操作することで、各機能キー30,31に割り当てられる税率(非課税を含む)、内税と外税の選択、などを設定することができる。また、後述する精算未完了の判定で参照される登録対象期間などの情報も、設定モードで入力される。
【0025】
オールクリアキー23に続いてサインチェンジキー25の長押し操作を行うと、通信部16を介した外部機器18との通信確立(ペアリング)を行う状態になる。この状態で、外部機器18側で通信許可操作を行うことで、互いの通信が確立されて、外部機器18へのデータ送信が可能になる。一旦ペアリングが成立すれば、次回以降は、電子機器10と外部機器18の双方で無線通信をオンにすることで、自動的に接続が行われる。外部機器18との間で通信が確立し、外部機器18へ自動的(定期的)にデータ送信を行うことができる状態を、電子機器10におけるペアリングモードとする。
【0026】
一方、外部機器18へ自動的(定期的)にデータ送信が行われない状態を、電子機器10におけるスタンドアローンモードとする。スタンドアローンモードは、外部機器18とのペアリングが成立していない場合や、一旦ペアリングを行ったが、電子機器10又は外部機器18で無線がオフになっている場合などが該当する。例えば、ペアリングモードの状態で、オールクリアキー23に続いてサインチェンジキー25の長押し操作を再度行うと、通信部16がオフになってスタンドアローンモードに移行する。
【0027】
続いて、図3以降を参照して、電子機器10のレジスター機能の使用例を説明する。なお、以下の説明における電子機器10の各処理は、ユーザーによる操作であると明記している以外の内容は、制御部13を中心とする制御ブロック(図2)によって処理が行われるものとする。また、機能キー30には第1の税率として消費税(内税)10%、機能キー31には第2の税率として消費税(内税)8%が、設定モードで予め割り当てられている。
【0028】
図3は、登録モードでのデータ入力の例である。一回の会計(一顧客の売上集計)を行う場合における、入力部11への入力内容と、制御部13による処理及び表示部12への表示内容との関係を、T00からT08のステップで示している。
【0029】
会計の際には、ユーザーがスライドスイッチ19を「登録」位置に操作する。この操作により、表示部12にはモードの内容を示す「登録」の文字が表示される。ユーザーが、オールクリアキー23の操作を行うと、表示部12の数字表示領域に「0」が表示されて、数値入力を待機する状態になる(T00)。
【0030】
続いて、ユーザーが、数字キー領域20と計算命令キー領域21の各キーの操作で、1番目の商品の単価(この例では「200」)と乗算の指示(「×」)と数量(この例では「2」)とを入力し(T01、T02)、機能キー30を操作すると、1番目の商品の税込み合計価格が計算及び表示される(T03)。なお、数量が未入力の状態では、表示部12に最低数量を示す「01」が点滅状態で表示される。
【0031】
続いて、ユーザーが、数字キー領域20の各キーの操作で2番目の商品の単価(この例では「800」)を入力して(この場合の数量は1であるため、数量の入力は行わない)、機能キー31を操作すると、2番目の商品の税込み価格が計算及び表示される(T04)。
【0032】
続いて、ユーザーが、数字キー領域20と計算命令キー領域21の各キーの操作で、3番目の商品の単価(この例では「1100」)と乗算の指示(「×」)と数量(この例では「3」)を入力する(T05)。イコールキー22の操作によって、非課税での計算が行われ、3番目の商品の合計価格(非課税)が計算及び表示される(T06)。
【0033】
全ての商品の価格と数量と税率の入力が完了したら、ユーザーが機能キー33を操作することで、3つの商品の合計額が計算されて、表示部12に表示される(T07)。この段階までは、オールクリアキー23の操作によって、入力したデータの消去が可能である。
【0034】
合計額の表示状態で、ユーザーが数字キー領域20の各キーの操作で顧客からの受け取り金額を入力し、機能キー32を操作すると、受け取り額と商品合計額の差額(お釣り)が計算及び表示される(T08)。
【0035】
以上で一回分(一顧客分)の会計が完了し、この会計内容は、所定のデータ形式で記憶部14に保存される。この段階で電子機器10の電源をオフにしても、記憶部14に記録した会計内容のデータは消去されない。
【0036】
図3のようなデータ入力を繰り返すことによって、複数回の会計(複数の顧客の売上集計)を行うことができる。簡略に説明すると、個々の顧客の会計内容は、各商品の単価と数量と税額(非課税の場合もある)を順次入力し、機能キー33の操作で合計金額を計算し、続く機能キー32の操作で受け取り額との差額を計算することで完了する。そして、オールクリアキー23の操作によって、次の顧客の会計内容の登録に移行する。個々の顧客の会計内容は、所定のデータ形式で記憶部14に順次保存される。記憶部14にデータが保存(記憶)された状態を、データの登録とする。この段階で電子機器10の電源をオフにしても、記憶部14に記憶したデータは消去されない。
【0037】
登録モードでのデータの登録は、顧客と対面してリアルタイムに会計を行う過程で行うことができる。これとは別に、売上内容などが記載されたレシートを参照して、事後的に電子機器10へのデータ登録を行うことも可能である。
【0038】
登録モードで登録されたデータを、所定の期間で区切って集計して記録する処理が精算である。精算の際には、電子機器10に登録済みのデータを外部の媒体に記録し、外部の媒体への記録が完了したデータを電子機器10から削除する。電子機器10と外部の媒体との関係が、スタンドアローンモードとペアリングモードで異なっている。
【0039】
図4は、スタンドアローンモードでの精算処理の例を示したものである。入力部11への入力内容と、制御部13による処理及び表示部12への表示内容との関係を、T10からT19のステップで示している。
【0040】
精算の際には、ユーザーがスライドスイッチ19を「精算」位置に操作する。この操作により、表示部12にはモードの内容を示す「精算」の文字が表示される(T10)。また、「合計」の文字と、先の登録モードで登録したデータに基づく会計の合計値(売上総額)が、表示部12に表示される(T10)。また、「件数」の文字と、会計を行った件数(顧客数)が、表示部12に表示される(T10)。精算モードに入ったときに表示の対象となるのは、精算が未完了のステータスになっている会計データである。
【0041】
精算モードでは、会計の合計値が表示部12に表示されている状態(T10)で、ユーザーが各機能キー30,31,33とイコールキー22を操作することによって、精算データの表示内容の切り替えが行われる。
【0042】
機能キー33の操作では、税値の合計が表示される(T11)。機能キー30の1回目の操作で、第1の税率(10%)が適用される売上の総額が表示される(T12)。機能キー30の2回目の操作で、第1の税率(10%)が適用される商品の個数(あるいはサービスの件数)が表示される(T13)。機能キー31の1回目の操作で、第2の税率(8%)が適用される売上の総額が表示される(T14)。機能キー31の2回目の操作で、第2の税率(8%)が適用される商品の個数(あるいはサービスの件数)が表示される(T15)。イコールキー22の1回目の操作で、非課税対象の売上の総額が表示される(T16)。イコールキー22の2回目の操作で、非課税対象の商品の個数(あるいはサービスの件数)が表示される(T17)。なお、T11からT17の各ステップに示す内容は、精算データの一例であり、これ以外の精算データを表示してもよいし、精算データを表示する操作用のキーが異なっていてもよい。
【0043】
ユーザーは、精算モードで所望の精算データを表示し、当該表示内容を電子機器10以外の媒体に記録する。他の媒体への記録は、帳簿への記帳や、表示部12を撮影した画像の保存など、任意の手段によって行う。図4に示すように、税率の違いなどに対応した詳細なデータを、簡単な選択操作で表示部12に呼び出し表示できるので、表示部12の内容をそのまま精算データとして用いることができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0044】
そして、電子機器10以外の媒体への記録完了後に、ユーザーの操作によって、記憶部14に記憶されているデータを消去する。具体的な操作として、精算モードにおいて、オールクリアキー23、クリアキー24の順で操作すると、件数と合計金額の数値部分の表示が点滅し、データ消去を行う予告がユーザーに対して行われる(T18)。続いてイコールキー22を操作すると、記憶部14に保存されていたデータが消去される(T19)。このデータの消去によって、制御部13の精算判定手段17は、精算が完了したと判定する。ユーザーによる能動的なデータ消去作業で精算の完了となるため、精算完了になることをユーザーに確実に認識させることができる。また、電子機器10側でのデータが消去されるので、外部の媒体との間でのデータ重複を防止できる。なお、ここで消去されるデータは、後述する除外期間に登録したデータは含まない。
【0045】
図5は、ペアリングモードでの精算処理の例を示したものである。入力部11への入力内容と、制御部13による処理及び表示部12への表示内容との関係を、T20からT23のステップで示している。
【0046】
ユーザーがスライドスイッチ19を「精算」位置に操作することにより精算モードに入る。T20のステップで表示部12に表示される内容は、上述したペアリングモードのT10のステップでの表示内容と同じである。
【0047】
この状態でユーザーが機能キー32を操作すると、制御部13に通信の実行信号が入力され、先の登録モードで登録したデータ(記憶データ)が、通信部16を通じて外部機器18に送信される。表示部12には、データ送信中であることを示す表示が行われる(T21)。
【0048】
登録モードで登録した記憶データの送信が正常に完了すると、表示部12の表示が変化し、「件数」と「合計」の両方の項目で数字が「0」の表示になると共に、「合計」の項目の「0」の前後に「-」が表示される(T22)。当該表示によって、送信の正常完了をユーザーに知らせる。送信にエラーが生じた場合は、報知制御手段35の制御により、表示部12にエラー表示が行われる(T23)。また、スピーカー15からの音声によるエラー報知を行ってもよい。なお、表示部12における送信完了や送信エラーの報知表示は、図5に示すものに限定されない。例えば、数字やアルファベットを組み合わせた所定のコードで表示することもできる。
【0049】
精算モードでの外部機器18へのデータ送信の完了によって、制御部13の精算判定手段17は、精算が完了したと判定する。ユーザーが外部機器18へのデータ送信を指示した後は、精算完了まで自動的に処理されるので、手間がかからない。外部機器18へのデータ送信が正常に完了すると、制御部13は、記憶部14に保存されていたデータを消去する。なお、ここで消去されるデータは、後述する除外期間に登録したデータは含まない。
【0050】
ところで、以上のような精算を完了せずに、登録モードで新たなデータの登録を行ってしまうと、精算漏れや精算内容の不整合などが生じてしまうおそれがある。このような不具合を防ぐために、本実施形態の電子機器10では、精算を適切に完了させる対策を行っており、図6はその制御例を示している。上述のように、電子機器10での精算は、外部機器18への自動的なデータ送信を行わずにユーザー自身が作業する場合(図4のスタンドアローンモード)と、外部機器18への自動的なデータ送信によって行う場合(図5のペアリングモード)があり、この2つの場合を含めた制御例を図6で示している。
【0051】
図3を参照して先に説明したように、登録モードで新たなデータの登録を行う場合、ユーザーがスライドスイッチ19を「登録」位置にして、オールクリアキー23を操作する。このとき、精算が適切に完了していれば、図6のT30のように、表示部12の数値表示領域に「0」を表示した登録画面になり、登録したいデータの入力を受け付ける状態になる。
【0052】
スタンドアローンモードで精算が未完了である場合に、ユーザーが登録モードでのデータ入力を行うための操作(スライドスイッチ19を「登録」位置にして、オールクリアキー23を操作)をすると、制御部13は、精算未完了時の処理を行う。精算未完了時の処理では、報知制御手段35の制御によって、表示部12に、以前に登録した記憶データの「件数」と「合計」の値を表示させる(T32)。当該表示は、ユーザーに対して精算が未完了であることを報知するものである。新たなデータを入力しようとしている画面に対して、既存の記憶データ(未精算の状況にあると想定されるデータ)が表示されるので、精算が未完了であることをユーザーに認識させやすいという利点がある。なお、このときに、数値の表示に加えて、表示内容の点滅などの強調表示を行ってもよい。また、報知制御手段35による報知制御の一例として、スピーカー15による警告音で、精算未完了の報知を行うことも可能である。
【0053】
制御部13はさらに、ユーザーへの報知に加えて、精算が未完了の状態での新たなデータの登録操作を受け付けないように制御する。例えば、図6のT32の状態でユーザーが入力部11の数字キーなどを操作しても、数値入力ができない状態になる。このデータ入力不可の状態により、精算が未完了であることをユーザーがより一層認識しやすくなる。
【0054】
上記の報知を受けてユーザーが精算を行い、図4のT18とT19のステップでの操作を行うことにより、記憶部14に記憶されたデータの消去が実行されて、制御部13の精算判定手段17は精算が完了したと判定する。そして、電子機器10は登録モードでの新たなデータ入力が可能な状態になり、表示部12にデータの登録画面が表示される(T33)。
【0055】
なお、全ての(特に直前の)記憶データに対して精算の完了の有無を判定すると、実際の精算の区切り(締め)に対応した制御ではなくなるので、精算未完了の判定に含めない除外期間が予め設定される。除外期間の概念を図7に示した。
【0056】
図7における「A」は、登録モードでのデータ入力を選択する操作(スライドスイッチ19を「登録」にして、オールクリアキー23の操作)が行われた時点である。「A」の時点から遡った所定の期間「B」では、記憶データがあっても精算未完了という扱いにはしないようにする。この所定の期間「B」が、除外期間である。例えば、毎日午前0時を精算の区切りとしている場合、当日の午前0時から現在時刻までは除外期間となり、除外期間内に入力及び登録したデータは、精算未完了の扱いにはならない。言い換えれば、前日までに入力したデータが残存している場合には、精算未完了と判定され、当日に入力したデータがある場合には、精算未完了とは判定されない。このように、除外期間外に登録したデータであることが、精算未完了という判定に進むための条件になる。
【0057】
電子機器10がペアリングモードにある状態では、スタンドアローンモードよりも、除外期間「B」が長く設定されている。スタンドアローンモードでの除外期間を第1の除外期間、ペアリングモードでの除外期間を第2の除外期間、とする。電子機器10では、記憶部14のデータ容量に応じて所定期間や所定量のデータを記憶しておくことが可能である。そのため、外部機器18へのデータ通信で精算を行う場合には、精算の区切りとなる期日をまたいで、ある程度長時間に亘って電子機器10側に記憶データを保持しておき、後でまとめて送信するという形態でも、支障なく精算管理を実現できる。このような理由により、第1の除外期間と第2の除外期間の長さに差をつけている。
【0058】
一例として、スタンドアローンモードでは、未精算の状態で一日経過(一日のうちの所定時刻の通過でもよい)した場合、つまり一日の除外期間(第1の除外期間)を遡った時点を基準として、それよりも前に登録した記憶データが残存している場合に、精算未完了と判定する。一方、ペアリングモードでは、未精算の状態で一週間経過した場合、つまり一週間の除外期間(第2の除外期間)を遡った時点を基準として、それよりも前に登録した記憶データが残存している場合に、精算未完了と判定する。
【0059】
ペアリングモードでの精算未完了の判定とその後の処理は、判定の際に参照する除外期間の長さの違いを除いて、上述したスタンドアローンモードと基本的に同じである。ペアリングモードでは、精算を行わずに第1の除外期間を経過した段階では、登録モードに操作したときに、表示部12の数値表示領域に「0」を表示した登録画面となり、新たなデータの入力を受け付ける状態になる(T31)。
【0060】
ペアリングモードにおいて、精算を行わずに第2の除外期間が経過すると、第2の除外期間外の記憶データが存在して精算が未完了であると判定されるようになる。この場合、報知制御手段35の制御によって、精算処理が行われていないデータの「件数」と「合計」の値を表示部12に表示して、精算未完了であることをユーザーに報知する(T32)。このときに、数値の表示に加えて、表示内容の点滅などの強調表示を行ってもよい。また、報知制御手段35による報知制御の一例として、スピーカー15による警告音で報知を行ってもよい。制御部13はさらに、ユーザーへの報知に加えて、精算が未完了の状態でのデータ登録操作を受け付けないように制御する。
【0061】
上記の報知を受けて、ユーザーが図5のT21のステップでの操作を行うことにより、外部機器18へのデータ送信が実行されて、制御部13の精算判定手段17は精算が完了したと判定する。データ送信完了後に、記憶部14から送信済みのデータの消去が自動で行われる。そして、電子機器10は登録モードでのデータ入力が可能な状態(T33)になる。
【0062】
なお、除外期間は、電子機器10に予め設定された既定値であってもよいし、設定モードでユーザーが任意に入力(変更)したものであってもよい。例えば、既定値ではスタンドアローンモードよりも長くなっているペアリングモードでの除外期間(第2の除外期間)を、スタンドアローンモードでの除外期間(第1の除外期間)と同じ長さにユーザーが変更することも可能である。
【0063】
除外期間は、制御部13の精算判定手段17での判定の他に、精算モードでの記憶部14からのデータ消去(スタンドアローンモードでの手動操作による消去、ペアリングモードでのデータ送信後の自動消去)で消去されるデータの切り分けにも参照される。除外期間内のデータは、精算モードでは消去されないように制御される。つまり、除外期間内のデータは、未精算扱いにはならず、且つ消去の対象からも除外される。
【0064】
変形例として、電子機器10を再起動(電源オフにしてから再度電源オン)してから登録モードでの操作があった場合には、除外期間外であることを条件とせずに精算の完了判定を行うようにしてもよい。
【0065】
以上のように、電子機器10では、登録モードでデータの新規登録に関わる操作を行う際に、制御部13の精算判定手段17によって、精算が完了しているか否かを判定する。この判定は、除外期間外や再起動前に登録した記憶データが存在するか否かを条件とする。そして、判定の結果、精算が完了している場合には、表示部12にデータ登録用の画面を表示して、新たなデータ入力を受け付ける。精算が完了していない場合には、報知制御手段35による報知制御によって、表示部12やスピーカー15を用いてユーザーへの報知を行い、新たなデータ入力を不可とする。表示部12によるユーザーへの報知では、図6のT32のように精算未完了のステータスにあるデータの内容(件数、金額)を表示してもよいし、あるいは表示部12に直接的なエラーメッセージ(「Error」など)やエラーコードなどを表示してもよい。以上の判定及び処理によって、精算の漏れやデータの不整合などを防いで、確実な精算を実現し、電子機器10のレジスター機能を有効に活用することができる。
【0066】
上記の除外期間は、現時点から遡ったどの時点を、精算判定の終期(記憶データの有無を確認する期間の終わり)にするかを定めたものである。この除外期間とは別に、どの期間(時間)の範囲で登録されたデータを精算したいか、という観点からの条件、すなわち、記憶データの有無を確認する期間の始点や中断点に関する時期的条件を含めてもよい。当該条件として設定される期間(時間)を「登録対象期間」とする。登録対象期間は、電子機器10の設定モードで、ユーザーによって、任意に入力が可能である。登録対象期間で入力可能な内容として、日付、年、月、週、曜日、所定の基準日からの日数などがある。
【0067】
図6を参照して先に説明した処理例では、電子機器10に登録済みの全ての記憶データ(除外期間内に登録した記憶データは除く)について、精算完了の判定を行う対象としている。つまり、記憶データの有無を確認する期間の始点や中断点についての設定はされていない場合である。この場合、「登録対象期間が無限に設定されている」という扱いになる。図7の「C」は、無限の登録対象期間を概念的に示しており、無限の登録対象期間「C」から除外期間「B」を除いた期間「D」が、記憶データの有無を判定する範囲となる。この期間「D」には特定の始点が存在しないので、除外期間「B」よりも前の記憶データは、全て未精算という扱いになる。電子機器10の初期設定(ユーザーが設定モードで特に設定していない状態)では、登録対象期間が無限である。
【0068】
図7の「E」は、始点のみを定めた登録対象期間を設定した場合である。登録対象期間「E」から除外期間「B」を除いた期間「F」が、記憶データの有無を判定する範囲となる。
【0069】
図7の「G」は、始点と中断点を定めた登録対象期間を設定した場合である。登録対象期間「G」が、記憶データの有無を判定する範囲となる。
【0070】
登録対象期間を無限以外に設定する例として、不定期の営業や特定曜日のみの営業を行う店舗のように、精算を区切る期日や時間を一律にできない場合や、特定の季節に行った会計だけを精算の対象としたい場合などが挙げられる。
【0071】
図8は、以上の電子機器10による制御例を示すフローチャートである。ユーザーがスライドスイッチ19を「登録」位置にして、オールクリアキー23を操作すると、図8の処理に入る。
【0072】
制御部13の精算判定手段17は、通信部16が外部機器18と通信確立して、自動的にデータ送信する状態(ペアリングモード)であるか否かを判定する(ステップS100)。
【0073】
外部機器18との自動的なデータ通信が行えない場合(ステップS100:NO)、精算判定手段17は、スタンドアローンモードに対応する第1の除外期間(第2の除外期間よりも短い)を設定し、第1の除外期間外(以前)に登録した記憶データがあるか否かを判定する(ステップS101)。
【0074】
第1の除外期間外に登録した記憶データがある場合(ステップS101:YES)、精算判定手段17は、当該記憶データが、登録対象期間内に登録されたものであるか否かを判定する(ステップS102)。仮にユーザーの入力による登録対象期間が設定されていない場合、電子機器10の初期設定である「無限」が登録対象期間になり、ステップS102での判定はYESになる。
【0075】
記憶データが、登録対象期間内に登録されたものである場合(ステップS102:YES)、精算判定手段17は、精算が未完了の状態にあると判定し、精算未完了処理に進む(ステップS103)。精算未完了処理では、報知制御手段35による制御で、表示部12への表示やスピーカー15での音声によって、ユーザーへの報知を行う。また、精算未完了処理では、ユーザーによる登録操作を受け付けないように、入力禁止制御を行う。
【0076】
外部機器18との自動的なデータ通信を行う状態である場合(ステップS100:YES)、精算判定手段17は、ペアリングモードに対応する第2の除外期間(第1の除外期間よりも長い)を設定し、第2の除外期間外(以前)に登録した記憶データがあるか否かを判定する(ステップS104)。
【0077】
第2の除外期間外に登録した記憶データがある場合(ステップS104:YES)、精算判定手段17は、当該記憶データが、登録対象期間内に登録されたものであるか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105の判定内容は、上述のステップS102と同じである。つまり、特定の登録対象期間が設定されていない場合は、初期設定である「無限」が登録対象期間になり、ステップS105での判定はYESになる。
【0078】
記憶データが、登録対象期間内に登録されたものである場合(ステップS105:YES)、精算判定手段17は、精算が未完了の状態にあると判定し、上述した精算未完了処理に進む(ステップS103)。
【0079】
ステップS103の精算未完了処理に進む以外の分岐(ステップS101のNO、ステップS102のNO、ステップS104のNO、ステップS105のNO)では、報知すべき記憶データ(未精算のステータスにあるデータ)が存在しない状況である。従って、ユーザーへの報知やデータ入力禁止制御を行わずに、登録モードでのデータ入力を許容した状態(表示部12に登録画面を表示した状態)でフローから抜ける。
【0080】
なお、ステップS103の精算未完了処理では、ユーザーへの報知のみを行い、データの入力禁止は制限しないような制御を選択することも可能である。
【0081】
以上のように、本実施形態の電子機器10では、登録モードでのデータ入力操作の際に、制御部13の精算判定手段17が、所定の時期的条件(除外期間外に登録されたこと又は再起動前に登録されたこと、登録対象期間内に登録されたこと)に合致する記憶データがある場合に、精算未完了の判定をして、ユーザーへの報知などの処理を行う。これにより、レジスター機能を有する携帯型端末である電子機器10を用いた会計管理において、精算の確実性を向上させることができる。
【0082】
なお、上記の実施形態では、精算未完了の判定において、記憶データが除外期間外又は再起動前に登録されたことと、記憶データが登録対象期間に登録されたことの両方を時期的条件として設定しているが、除外期間や再起動に関する条件のみを精算未完了の判定に用いてもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、入力及び精算の対象であるデータを売上額や税額としているが、これ以外のデータを扱う電子機器に本発明を適用することも可能である。これに伴い、上記実施形態の機能キー30~33とは別の機能キーを備えていても良い。
【0084】
本発明は、電卓以外に、スマートフォンやタブレット型コンピュータのような他の携帯型の電子機器にも適用が可能である。つまり、上記実施形態におけるキー操作や画面表示は、スマートフォンやタブレット型コンピュータにおけるアプリケーションの機能として実現してもよい。
【0085】
上記実施形態では、入力部11の複数のキーを操作する場合、各キーを順次操作するものとしているが、複数のキーを同時押しする操作などを採用することも可能である。
【0086】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0087】
以上の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
データの精算を行う電子機器であって、
所定の条件でデータの精算が完了しているか否かを判定する精算判定手段を備え、
所定の除外期間よりも前又は前記電子機器が再起動される前に登録モードでの操作で登録された記憶データがある場合に、前記精算判定手段は精算未完了であると判定し、
前記精算判定手段により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行わせる報知制御手段を備えることを特徴とする電子機器。
(付記2)
前記精算判定手段は、前記登録モードでデータの新規登録に関する操作が行われたときに、データの精算が完了しているか否かの判定を実行することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
(付記3)
前記精算判定手段は、前記記憶データが、前記除外期間よりも前又は前記電子機器が再起動される前に登録され、且つ登録対象期間内に登録されている場合に、精算未完了であると判定することを特徴とする付記1又は2に記載の電子機器。
(付記4)
前記精算判定手段により前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードでのデータ入力を不可にすることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の電子機器。
(付記5)
外部機器へのデータ送信を行う通信手段を備え、
前記記憶データを前記通信手段により前記外部機器に自動的に送信しない場合の前記除外期間よりも、前記記憶データを前記通信手段により前記外部機器に自動的に送信する場合の前記除外期間を長い期間とすることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の電子機器。
(付記6)
前記記憶データを前記通信手段により前記外部機器に自動的に送信しない場合、精算モードで前記記憶データをユーザーの操作により消去したときに、精算が完了になり、
前記記憶データを前記通信手段により前記外部機器に自動的に送信する場合、前記通信手段により前記記憶データを前記外部機器へ送信したときに、精算が完了になることを特徴とする付記5に記載の電子機器。
(付記7)
データの精算を行う電子機器の制御方法であって、
所定の除外期間よりも前又は前記電子機器が再起動される前に登録モードでの操作で登録された記憶データがある場合に、精算未完了であると判定するステップと、
前記精算未完了であると判定した場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行うステップと、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
(付記8)
データの精算を行う電子機器のプロセッサに、
所定の除外期間よりも前又は前記電子機器が再起動される前に登録モードでの操作で登録された記憶データがある場合に、精算未完了であると判定させ、
前記精算未完了であると判定させた場合、前記登録モードで精算未完了の報知を行わせることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0088】
10 :電子機器
11 :入力部
12 :表示部
13 :制御部(プロセッサ)
14 :記憶部
15 :スピーカー
16 :通信部(通信手段)
17 :精算判定手段
18 :外部機器
19 :スライドスイッチ
20 :数字キー領域
21 :計算命令キー領域
22 :イコールキー
23 :オールクリアキー
24 :クリアキー
30~31 :機能キー
35 :報知制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8