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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20241001BHJP
   F21V 9/45 20180101ALI20241001BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20241001BHJP
   F21V 3/12 20180101ALI20241001BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20241001BHJP
   F21S 43/16 20180101ALI20241001BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241001BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241001BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241001BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241001BHJP
【FI】
F21S43/20
F21V9/45
F21V7/30
F21V3/12
F21V5/00 320
F21V5/00 600
F21S43/16
F21W103:00
F21W103:35
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W102:00
F21W102:30
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020064053
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163628
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 喜郎
(72)【発明者】
【氏名】高村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】土屋 能明
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146356(JP,A)
【文献】特開2008-021578(JP,A)
【文献】特開2017-068923(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073981(WO,A1)
【文献】特開2016-181702(JP,A)
【文献】特開2013-131334(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208334(WO,A1)
【文献】特開2012-069908(JP,A)
【文献】特表2018-538656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21V 9/45
F21V 7/30
F21V 3/12
F21V 5/00
F21S 43/16
F21W 103/00
F21W 103/35
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21W 102/00
F21W 102/30
F21W 103/55
F21W 103/10
F21W 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、
前記ランプレンズの前記灯室側に固定されていて、前記励起光源から照射された前記励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光ユニットと、
を備え、
前記ランプレンズは、前記発光ユニットにおいて発生した前記フォトルミネッセンスを透過させて灯室外に照射させるレンズであり、
前記ランプレンズには、凹部が設けられていて、
前記発光ユニットは、
前記励起光源から照射された前記励起光により前記フォトルミネッセンスを発生させる発光層と、
前記発光層が形成されていて、前記励起光が透過する基板と、
を有し、
前記ランプレンズの前記凹部に接着剤により固定されていて、
前記接着剤は、少なくとも前記フォトルミネッセンスを透過させる部材であり、
前記発光層は、前記凹部中に収納されていて、前記ランプレンズに前記接着剤を介して向き合って封止された状態で固定されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記基板は、前記発光層よりも一回り大きく、前記凹部に嵌合していて、前記接着剤に密着していて、前記接着剤と共に前記発光層を封止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、
前記ランプレンズの前記灯室側に固定されていて、前記励起光源から照射された前記励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光ユニットと、
を備え、
前記ランプレンズは、前記発光ユニットにおいて発生した前記フォトルミネッセンスを透過させて灯室外に照射させるレンズであり、
前記発光ユニットは、
前記励起光源から照射された前記励起光により前記フォトルミネッセンスを発生させる発光層と、
前記発光層が形成されていて、前記励起光が透過する基板と、
前記発光層を封止する封止部材と、
を有し、
前記ランプレンズに接着剤により、前記発光層が前記ランプレンズに前記接着剤および前記封止部材を介して向き合って固定されていて、
前記接着剤および前記封止部材は、それぞれ、少なくとも前記フォトルミネッセンスを透過させる部材である、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
前記封止部材は、
封止基板と、
前記封止基板を前記発光層に封止接着させる封止接着剤と、
を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ランプレンズの前記発光ユニットが固定される個所には、前記発光ユニットが位置決め固定される凹部が、設けられている、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記フォトルミネッセンスは、赤色光であり、
前記ランプレンズは、赤色光を透過し、赤色光以外の光を吸収するレンズである、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記灯室内には、赤色光を照射する追加光源が、配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、
前記灯室内に配置されている発光ユニットと、
を備え、
前記発光ユニットは、
前記励起光源から照射された前記励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、
前記発光層が形成されていて、前記励起光および前記フォトルミネッセンスが透過する基板と、
前記ランプレンズに向き合わせて前記基板に設けられていて、前記発光層から直接前記基板中を透過した前記フォトルミネッセンスを前記基板の外に出射させる第1出射部と、
前記ランプレンズに向き合わせて前記基板に設けられていて、前記基板中を全反射する前記フォトルミネッセンスを前記基板の外に出射させる第2出射部と、
を有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項9】
リフレクタを備え、
前記励起光源は、前記基板の前記発光層側の端面に向き合って配置されていて、
前記リフレクタは、前記基板の前記第2出射部側の端面に向き合って配置されていて、前記基板中を全反射して前記基板から外に出た前記フォトルミネッセンスを前記ランプレンズ側に反射させる反射面を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記フォトルミネッセンスは、赤色光であり、
前記ランプレンズは、赤色光を透過し、赤色光以外の光を吸収するレンズである、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記ランプレンズと前記第1出射部との間には、遮光部材が配置されていて、
前記フォトルミネッセンスは、赤色光であり、
前記ランプレンズは、無色のレンズである、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の車両用灯具。
【請求項12】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、
前記灯室内に配置されている発光ユニットと、
を備え、
前記発光ユニットは、
前記励起光源から照射された前記励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、
基板と、
を有し、
前記基板は、
前記励起光源から照射された前記励起光を、前記励起光源の光軸と平行な第1入射光として、入射させる第1入射面と、
前記励起光源から照射された前記励起光を、第2入射光として、入射させる第2入射面と、
前記第2入射面からの前記第2入射光を、前記第1入射光と平行な第1反射光として、全反射させる第1反射面と、
前記第1入射光と前記第1反射光を、前記励起光源の光軸に対して垂直であり、かつ、相互に平行な第2反射光として、全反射させる第2反射面と、
前記発光層が形成されていて、第2反射面からの前記第2反射光を、出射光として、前記発光層を介して出射させる出射面と、
を有し、
前記発光層は、前記ランプレンズに向き合って配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項13】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、
前記灯室内に配置されている発光ユニットと、
を備え、
前記発光ユニットは、
前記励起光源から照射された前記励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、
基板と、
を有し、
前記基板は、
前記励起光源から照射された前記励起光を、前記励起光源の光軸と平行な第1入射光として、入射させる第1入射面と、
前記励起光源から照射された前記励起光を、第2入射光として、入射させる第2入射面と、
前記第2入射面からの前記第2入射光を、前記第1入射光と平行な第1反射光として、全反射させる第1反射面と、
前記第1入射光と前記第1反射光を、前記励起光源の光軸に対して垂直であり、かつ、相互に平行な第2反射光として、全反射させる第2反射面と、
前記発光層が形成されていて、第2反射面からの前記第2反射光を、出射光として、前記発光層を介して出射させる出射面と、
前記出射面に対して反対側の部分に一体に設けられている取付部と、
を有し、
前記発光層は、前記ランプレンズに向き合って配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項14】
前記フォトルミネッセンスは、赤色光であり、
前記ランプレンズは、赤色光を透過し、赤色光以外の光を吸収するレンズである、
ことを特徴とする請求項12または13に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
励起光源から照射された励起光により発生するフォトルミネッセンスを利用する車両用灯具としては、たとえば、特許文献1に示すものがある。
【0003】
特許文献1の車両用灯具は、励起光を照射する励起光源と、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、発光層を保持する保持部材と、フォトルミネッセンスを照射するレンズ部材と、を備えるものである。
【0004】
特許文献1の車両用灯具は、発光層から発生されたフォトルミネッセンスにより面発光が得られる。しかも、特許文献1の車両用灯具は、面発光源として電気エネルギーを必要としない発光層を使用するので、面発光源として電気エネルギーを必要とする有機発光ダイオードと比較して、面発光源の信頼性が向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2019/245030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる車両用灯具においては、励起光源から照射された励起光により発生するフォトルミネッセンスを有効に利用することが重要である。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、励起光源から照射された励起光により発生するフォトルミネッセンスを有効に利用することができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、ランプレンズの灯室側に固定されていて、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光ユニットと、を備え、ランプレンズが、発光ユニットにおいて発生したフォトルミネッセンスを透過させて灯室外に照射させるレンズである、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用灯具において、発光ユニットが、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、発光層が形成されていて、励起光が透過する基板と、を有し、ランプレンズに接着剤により、発光層がランプレンズに接着剤を介して向き合って固定されていて、接着剤が、少なくともフォトルミネッセンスを透過させる部材である、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用灯具において、発光ユニットが、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、発光層が形成されていて、励起光が透過する基板と、発光層を封止する封止部材と、を有し、ランプレンズに接着剤により、発光層がランプレンズに接着剤および封止部材を介して向き合って固定されていて、接着剤および封止部材が、それぞれ、少なくともフォトルミネッセンスを透過させる部材である、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用灯具において、封止部材が、封止基板と、封止基板を発光層に封止接着させる封止接着剤と、を有する、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用灯具において、ランプレンズの発光ユニットが固定される個所には、発光ユニットが位置決め固定される凹部が、設けられている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用灯具において、フォトルミネッセンスが、赤色光であり、ランプレンズが、赤色光を透過し、赤色光以外の光を吸収するレンズである、ことが好ましい。
【0014】
この発明の車両用灯具において、灯室内には、赤色光を照射する追加光源が、配置されている、ことが好ましい。
【0015】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、灯室内に配置されている発光ユニットと、を備え、発光ユニットが、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、発光層が形成されていて、励起光およびフォトルミネッセンスが透過する基板と、ランプレンズに向き合わせて基板に設けられていて、発光層から直接基板中を透過したフォトルミネッセンスを基板の外に出射させる第1出射部と、ランプレンズに向き合わせて基板に設けられていて、基板中を全反射するフォトルミネッセンスを基板の外に出射させる第2出射部と、を有する、ことを特徴とする。
【0016】
この発明の車両用灯具において、リフレクタを備え、励起光源が、基板の発光層側の端面に向き合って配置されていて、リフレクタが、基板の第2出射部側の端面に向き合って配置されていて、基板中を全反射して基板から外に出たフォトルミネッセンスをランプレンズ側に反射させる反射面を有する、ことが好ましい。
【0017】
この発明の車両用灯具において、フォトルミネッセンスが、赤色光であり、ランプレンズが、赤色光を透過し、赤色光以外の光を吸収するレンズである、ことが好ましい。
【0018】
この発明の車両用灯具において、ランプレンズと第1出射部との間には、遮光部材が配置されていて、フォトルミネッセンスが、赤色光であり、ランプレンズが、無色のレンズである、ことが好ましい。
【0019】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、灯室内に配置されている発光ユニットと、を備え、発光ユニットが、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる発光層と、発光層が形成されていて、励起光が透過する基板と、を有し、発光層が、ランプレンズに向き合って配置されていて、基板が、励起光源から照射された励起光を入射させる入射面と、入射面から入射した励起光を発光層側に反射させる反射面と、を有する、ことを特徴とする。
【0020】
この発明の車両用灯具において、入射面が、励起光源から照射された励起光を平行な入射励起光として入射させる入射面であり、反射面が、入射面からの平行な入射励起光を平行な反射励起光として反射させる反射面である、ことが好ましい。
【0021】
この発明の車両用灯具において、基板には、発光ユニットをランプハウジングに直接または間接に取り付ける取付部が、設けられている、ことが好ましい。
【0022】
この発明の車両用灯具において、フォトルミネッセンスが、赤色光であり、ランプレンズが、赤色光を透過し、赤色光以外の光を吸収するレンズである、ことが好ましい。
【0023】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていて、励起光を照射する励起光源と、を備え、ランプレンズが、レンズ材料と、レンズ材料中に含有されていて、励起光源から照射された励起光によりフォトルミネッセンスを発生させる蛍光体材料と、を有する、ことを特徴とする。
【0024】
この発明の車両用灯具において、ランプレンズと励起光源との間には、光学部材が配置されていて、光学部材が、励起光源から照射された励起光を制御してランプレンズに照射する、ことが好ましい。
【0025】
この発明の車両用灯具において、蛍光体材料が、無機蛍光体材料である、ことが好ましい。
【0026】
この発明の車両用灯具において、レンズ材料が、赤色着色剤が含まれた樹脂材料であり、蛍光体材料が、赤色無機蛍光体材料である、ことが好ましい。
【0027】
この発明の車両用灯具において、ランプレンズの透過率が、1%以上100%未満である、ことが好ましい。
【0028】
この発明の車両用灯具において、ランプレンズ中の前記蛍光体材料の重量比が、0%越え50%以下である、ことが好ましい。
【0029】
この発明の車両用灯具において、ランプレンズの厚さが、0mm越え5mm以下である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
この発明の車両用灯具は、励起光源から照射された励起光により発生するフォトルミネッセンスを有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態1を示す励起光源および追加光源の点灯状態の縦断面説明図(図3におけるI-I線断面説明図)である。
図2図2は、励起光源の点灯状態を示す縦断面説明図(図4におけるII-II線断面説明図)である。
図3図3は、励起光源および追加光源の点灯状態を示す正面説明図である。
図4図4は、励起光源の点灯状態を示す正面説明図である。
図5図5は、ランプレンズを示す説明図である。
図6図6は、ランプレンズに発光ユニットを固定する前の状態を示す説明図である。
図7図7は、ランプレンズに発光ユニットを固定した状態を示す説明図である。
図8図8は、励起光源および追加光源の非点灯状態を示す説明図である。
図9図9は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態2を示す発光ユニットの製造工程を示す説明図である。図9(A)は、基板を示す説明図である。図9(B)は、基板に発光層が形成された状態を示す説明図である。図9(C)は、基板および発光層と封止基板とを封止接着剤により接着封止する前の状態を示す説明図である。図9(D)は、基板および発光層と封止基板とが封止接着剤により接着封止された状態を示す説明図(発光ユニットが製造された状態を示す説明図)である。
図10図10は、ランプレンズに発光ユニットを固定した状態を示す説明図である。図10(A)は、ランプレンズに設けた凹部に発光ユニットを固定した状態を示す説明図である。図10(B)は、ランプレンズの内面に発光ユニットの封止基板を固定した状態を示す説明図である。
図11図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態3を示す励起光源および発光ユニットの正面図(図12におけるXI-XI線矢視図)である。
図12図12は、ランプレンズ、励起光源および発光ユニットを示す縦断面説明図(図11におけるXII-XII線断面説明図)である。
図13図13は、発光ユニットの製造工程を示す説明図である。図13(A)は、基板を示す説明図である。図13(B)は、基板に発光層が形成された状態を示す説明図である。図13(C)は、基板および発光層と封止基板とを封止接着剤により接着封止する前の状態を示す説明図である。図13(D)は、基板および発光層と封止基板とが封止接着剤により接着封止された状態を示す説明図(発光ユニットが製造された状態を示す説明図)である。
図14図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態4を示す励起光源および発光ユニットの正面図(図15におけるXIV-XIV線矢視図)である。
図15図15は、ランプレンズ、励起光源および発光ユニットを示す縦断面説明図(図16におけるXV-XV線断面説明図)である。
図16図16は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態5を示す励起光源および発光ユニットの正面図(図17におけるXVI-XVI線矢視図)である。
図17図17は、ランプレンズ、励起光源および発光ユニットを示す縦断面説明図(図16におけるXVII-XVII線断面説明図)である。
図18図18は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態6を示す励起光源および発光ユニットの正面図(図19におけるXVIII-XVIII線矢視図)である。
図19図19は、ランプレンズ、励起光源および発光ユニットを示す縦断面説明図(図18におけるXIX-XIX線断面説明図)である。
図20図20は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態7を示す励起光源および発光ユニットの縦断面説明図である。
図21図21は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態8を示すランプレンズおよび励起光源の縦断面説明図である。
図22図22は、ランプレンズの一部を示す一部拡大縦断面説明図である。
図23図23は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態9を示すランプレンズ、励起光源および光学部材の縦断面説明図である。
図24図24は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態10を示すランプレンズ、励起光源および光学部材の縦断面説明図である。
図25図25は、励起光源および光学部材を示す正面図(図24におけるXXV-XXV線矢視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)の10例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。また、部品の一部のハッチングを省略する。
【0033】
(実施形態1の構成の説明)
図1から図8は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両用灯具の構成について説明する。
【0034】
(車両用灯具1の説明)
図1図2図3図4および図8中、符号1は、この実施形態1にかかる車両用灯具である。車両用灯具1は、この例では、リアコンビネーションランプを構成するテール・ストップランプである。なお、車両用灯具1は、テール・ストップランプ以外に、ストップランプまたはテールランプであっても良い。車両用灯具1は、車両(図示せず)の後部の左右両側にそれぞれ取り付けられている。
【0035】
車両用灯具1は、ランプハウジング2と、ランプレンズ3と、励起光源4と、発光ユニット5と、追加光源6と、を備える。
【0036】
(ランプハウジング2の説明)
ランプハウジング2(図8中の二点鎖線を参照)は、たとえば、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。
【0037】
(ランプレンズ3の説明)
ランプレンズ3は、たとえば、素通しのアウターカバー、アウターレンズなどである。ランプレンズ3は、この例では、PMMA、PCなどの光透過性の樹脂部材から構成されている。
【0038】
ランプレンズ3は、ランプハウジング2に取り付けられている。これにより、ランプハウジング2とランプレンズ3とは、灯室23を形成する。
【0039】
ランプレンズ3の内面(灯室23側に向く面)のうち、発光ユニット5が固定される個所には、凹部(座ぐり)30が設けられている。凹部30は、発光ユニット5がランプレンズ3の所定の位置に位置決めされて固定されるための手段である。
【0040】
ランプレンズ3の素材としては、可視光領域において透過率が高い素材が好ましい。ランプレンズ3は、この例では、赤色をなす。この結果、ランプレンズ3は、赤色光L1およびL2(図1および図2中の実線矢印を参照)を透過し、赤色光L1、L2以外の光を吸収する。すなわち、ランプレンズ3は、発光ユニット5において発生した赤色光L1としてのフォトルミネッセンスL1を透過させて灯室23外に照射させるレンズである。
【0041】
(励起光源4の説明)
励起光源4は、この例では、LEDやLD(半導体レーザー)などを使用して、励起光L3(図1および図2中の破線矢印を参照)を照射するものである。励起光L3は、波長が短い光、たとえば、青色光、紫光、紫外光などである。
【0042】
励起光源4は、図8に示すように、ランプハウジング2に取り付けられていて、灯室23内に配置されている。励起光源4の光軸40は、発光ユニット5の発光面(図3中の格子模様が施されている長方形、および、図4中の斜線模様が施されている長方形を参照)に対して、この例では、約45°傾斜している。光軸40は、励起光源4の発光面の中心を通り、かつ、励起光源4の発光面に対して垂直である。励起光源4は、この例では、テール・ストップランプ用の光源である。
【0043】
(発光ユニット5の説明)
発光ユニット5は、ランプレンズ3の灯室23側に固定されていて、励起光源4から照射された励起光L3によりフォトルミネッセンスL1を発生させる。発光ユニット5は、発光層50と、基板(支持基板)51とを有する。
【0044】
発光層50は、有機発光材料(有機蛍光体材料)や無機発光材料(無機蛍光体材料)などからなる。発光層50は、励起光源4から照射された励起光L3によりフォトルミネッセンスL1を発生させる。フォトルミネッセンスL1は、この例では、波長が励起光L3よりも長い赤色光L1である。
【0045】
発光層50は、この例では、長方形の面形状をなす。この結果、車両用灯具1は、長方形の面形状の発光層50において発生したフォトルミネッセンスL1により、長方形の面発光(図3中の格子模様が施されている長方形、および、図4中の斜線模様が施されている長方形を参照)が得られる。
【0046】
基板51は、励起光源4から照射された励起光L3および追加光源6から照射された赤色光L2を透過させる。基板51は、この例では、PMMA、PCなどの光透過性の樹脂部材や光透過性のガラスなどから構成されている。基板51は、フレキシブル性またはリジッド性を問わない。
【0047】
基板51は、この例では、発光層50よりも一回り大きい長方形の板形状をなす。基板51の長方形の一面には、長方形の面形状の発光層50が形成(成膜)されている。
【0048】
発光ユニット5は、接着剤52により、ランプレンズ3の内面の凹部30に位置決めされて固定されている。
【0049】
この時、発光層50は、ランプレンズ3に接着剤52を介して向き合っている。この結果、発光層50は、接着剤52を介してランプレンズ3に封止された状態で固定されている。すなわち、発光層50とランプレンズ3との間には、屈折率が空気の屈折率1よりも大きい接着剤52が存在していて、屈折率が1の空気が存在しない。これにより、発光層50において発生したフォトルミネッセンスL1は、空気を介さずに接着剤52を介してランプレンズ3に入射することができる。
【0050】
基板51は、灯室23内において、励起光源4および追加光源6に向き合っている。基板51の一部分(発光層50が形成されている一板面側の部分)は、ランプレンズ3の凹部30に嵌合していて、かつ、接着剤52に密着している。基板51は、接着剤52と共に発光層50を封止する。
【0051】
接着剤52は、発光層50において発生したフォトルミネッセンスL1および追加光源6から照射された赤色光L2を透過させる。接着剤52は、この例では、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などから構成されている。接着剤52の屈折率とランプレンズ3の屈折率とは、同様であることが好ましい。
【0052】
(追加光源6の説明)
追加光源6は、赤色光L2を照射する。追加光源6は、この例では、LEDやLD(半導体レーザー)などを使用する。追加光源6から照射される赤色光L2は、フォトルミネッセンスL1とほぼ同様な波長の赤色光である。
【0053】
追加光源6は、ランプハウジング2に取り付けられていて、灯室23内に配置されている。追加光源6の光軸60は、発光ユニット5の発光面に対して、この例では、約45°傾斜している。この結果、追加光源6の光軸60と励起光源4の光軸40とは、約90°で交差している。光軸60は、追加光源6の発光面の中心を通り、かつ、追加光源6の発光面に対して垂直である。追加光源6は、この例では、ストップランプ用の光源である。
【0054】
(車両用灯具1の組付け工程の説明)
以下、車両用灯具1の組付け工程について図5から図8を参照して説明する。まず、ランプハウジング2を成形する。また、凹部30が設けられているランプレンズ3を成形する(図5を参照)。さらに、発光ユニット5を製造する。
【0055】
つぎに、ランプレンズ3の凹部30中に接着剤52を塗布し、かつ、凹部30中に発光ユニット5を、発光層50をランプレンズ3側に向けて、嵌合させる(図6を参照)。ランプレンズ3と発光ユニット5とを接着剤52により接着して、ランプレンズ3と発光ユニット5との一体構造体を製造する(図7を参照)。
【0056】
それから、ランプハウジング2とランプレンズ3とを取り付けて灯室23を形成する。その灯室23内に励起光源4および追加光源6を配置する。これにより、車両用灯具1が組付けられる(図8を参照)。
【0057】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0058】
まず、励起光源4を点灯する。すると、励起光源4の発光面から励起光L3がランバーシアン分布を形成するように発光ユニット5側に照射される。励起光L3は、発光ユニット5の基板51を透過して発光ユニット5の発光層50に照射される。
【0059】
発光層50は、励起光L3により、フォトルミネッセンスL1を発生する。フォトルミネッセンスL1は、接着剤52およびランプレンズ3を透過して車両用灯具1の外部に所定のテールランプの配光パターンで照射される。この時、車両用灯具1は、図4中の斜線模様が施されている長方形の面発光が得られる。
【0060】
また、励起光源4が点灯している状態において、追加光源6を追加点灯する。すると、追加光源6の発光面から赤色光L2がランバーシアン分布を形成するように発光ユニット5側に追加照射される。
【0061】
赤色光L2は、発光ユニット5の基板51、発光層50、接着剤52およびランプレンズ3を透過して車両用灯具1の外部に所定のストップランプの配光パターンで照射される。同時に、前記のフォトルミネッセンスL1も、接着剤52およびランプレンズ3を透過して車両用灯具1の外部に所定のストップランプの配光パターンで照射される。この時、車両用灯具1は、図3中の格子模様が施されている長方形の面発光が得られる。
【0062】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0063】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、ランプレンズ3の灯室23側に発光ユニット5を固定したものであるから、励起光源4から照射された励起光L3により発生したフォトルミネッセンスL1が空気(空気層)を介さずに直接ランプレンズ3に入射する。すなわち、発光ユニット5からのフォトルミネッセンスL1は、空気(空気層)からランプレンズ3に入射する時に、ランプレンズ3の入射面において全反射することがない。
【0064】
この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、発光ユニット5からのフォトルミネッセンスL1をほとんど全部、ランプレンズ3に入射させることができるので、フォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0065】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、発光ユニット5が発光層50と基板51都から構成されていて、発光層50がランプレンズ3に接着剤52を介して向き合って密封された状態で固定されているものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、フォトルミネッセンスL1がほとんど全部、接着剤52を介してランプレンズ3に入射することができ、これにより、フォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0066】
しかも、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、基板51が励起光L3を透過させる部材からなり、また、接着剤52がフォトルミネッセンスL1を透過させる部材からなるものであるから、励起光L3およびフォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0067】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、ランプレンズ3の凹部30中に発光ユニット5の発光層50の全部および基板51の一部分を収納させることができるので、発光層50において発生したフォトルミネッセンスL1の全部をランプレンズ3に入射させることができ、フォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0068】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、ランプレンズ3の凹部30中に発光ユニット5を位置決めして固定することができる。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、発光ユニット5の位置精度が向上されるので、フォトルミネッセンスL1を高精度に制御することができ、フォトルミネッセンスL1の照射により形成される配光パターン(テールランプの配光パターンおよびストップランプの配光パターン)を高精度に制御することができる。
【0069】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、フォトルミネッセンスL1が赤色光であり、ランプレンズ3が赤色光を透過し赤色光以外の光を吸収するレンズである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、赤色光のフォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0070】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、灯室23内に、赤色光L2を照射する追加光源6を、配置するものであるから、赤色光のフォトルミネッセンスL1と赤色光L2とを共に有効に利用することができる。しかも、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、赤色光のフォトルミネッセンスL1と赤色光L2とにより、2つのランプ機能、たとえば、テールランプ機能とストップランプ機能とを有する。
【0071】
(実施形態2の構成、作用、効果の説明)
図9および図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる車両用灯具1Aの構成、作用、効果について説明する。図中、図1図8と同符号は、同一物を示す。
【0072】
この実施形態2にかかる車両用灯具1Aは、前記の実施形態1にかかる車両用灯具1の変形例である。なお、この実施形態2にかかる車両用灯具1Aのランプハウジング(図示せず)、ランプレンズ3、励起光源(図示せず)、発光層50、基板51、接着剤52および追加光源(図示せず)などの部品は、前記の実施形態1にかかる車両用灯具1のランプハウジング2、ランプレンズ3、励起光源4、発光層50、基板51、接着剤52および追加光源6などの部品と同様の構成からなる。
【0073】
前記の実施形態1にかかる車両用灯具1の発光ユニット5が、発光層50と、基板51と、からなるものである。これに対して、この実施形態2にかかる車両用灯具1Aの発光ユニット5Aが、発光層50と、基板51と、封止部材53、54と、からなるものである。封止部材53、54は、封止基板53と、封止基板53を発光層50に封止接着させる封止接着剤54と、を有するものである。
【0074】
封止基板53は、フォトルミネッセンスL1および赤色光L2を透過させる。封止基板53は、基板51と同様に、この例では、PMMA、PCなどの光透過性の樹脂部材や光透過性のガラスなどから構成されている。封止基板53は、フレキシブル性またはリジッド性を問わない。封止基板53は、基板51とほぼ同じ大きさおよび形状をなす。封止基板53の屈折率とランプレンズ3の屈折率とは、同様であることが好ましい。
【0075】
封止接着剤54は、フォトルミネッセンスL1および赤色光L2を透過させる。封止接着剤54は、接着剤52と同様に、この例では、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などから構成されている。封止接着剤54の屈折率と封止基板53の屈折率およびランプレンズ3の屈折率とは、同様であることが好ましい。
【0076】
(発光ユニット5Aの製造工程の説明)
以下、発光ユニット5Aの製造工程について図9を参照して説明する。まず、基板51を製造する(図9(A)参照)。つぎに、基板51に発光層50を形成(成膜)する(図9(B)参照)。これにより、前記の実施形態1にかかる車両用灯具1の発光ユニット5が製造される。
【0077】
基板51の製造と別個に、封止基板53を製造する。それから、発光層50および基板51と封止基板53とを封止接着剤54により接着する(図9(C)参照)。すると、発光層50は、封止部材(封止基板53および封止接着剤54)により、封止される(図9(D)参照)。
【0078】
これにより、この実施形態2にかかる車両用灯具1Aの発光ユニット5Aが製造される。この時、発光層50は、封止接着剤54を介して封止基板53に向き合っている。また、基板51の一部分(発光層50の4辺の周囲の部分)は、封止接着剤54に接着されている。
【0079】
前記の製造工程により製造された発光ユニット5Aは、ランプレンズ3の灯室23側に接着剤52を介して固定される。たとえば、図10(A)に示すように、発光ユニット5Aは、ランプレンズ3の凹部30中に接着剤52を介して固定される。または、図10(A)に示すように、発光ユニット5Aは、ランプレンズ3の灯室23側の面に接着剤52を介して固定される。この時、封止部材(封止基板53および封止接着剤54)は、ランプレンズ3に向かい合っている。
【0080】
この実施形態2にかかる車両用灯具1Aは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態1にかかる車両用灯具1と同様の作用、効果を達成することができる。特に、この実施形態2にかかる車両用灯具1Aは、発光層50を封止部材(封止基板53および封止接着剤54)により封止して保護することができる。
【0081】
(実施形態3の構成の説明)
図11から図13は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態3を示す。以下、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bの構成について説明する。図中、図1図10と同符号は、同一物を示す。
【0082】
(車両用灯具1Bの説明)
この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、前記の実施形態1、2にかかる車両用灯具1、1Aと、ほぼ同様に、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ3と、励起光源4と、発光ユニット5Bと、を備える。
【0083】
前記の実施形態1、2にかかる車両用灯具1、1Aは、ランプレンズ3に発光ユニット5、5Aを固定したものである。これに対して、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、発光ユニット5Bをランプレンズ3に固定しないで灯室23内に配置したものである。
【0084】
(励起光源4の説明)
励起光源4は、この例では、取付部材41の下面に、等間隔に間を開けて3個取り付けられている。励起光源4の発光面は、下方に向いている。なお、励起光源4の個数は、特に限定しない。
【0085】
(発光ユニット5Bの説明)
発光ユニット5Bは、励起光源4の下方に配置されている。発光ユニット5Bは、発光層50Bと、基板51Bと、封止基板53Bと、封止接着剤54Bと、第1出射部531と、第2出射部532と、を有する。
【0086】
この実施形態3の発光ユニット5Bの構成部品、すなわち、発光層50B、基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54Bの材料は、前記の実施形態1、2の発光ユニット5、5Aの構成部品、すなわち、発光層50、基板51、封止基板53および封止接着剤54の材料と同じ材料を使用する。
【0087】
基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54Bは、発光層50BからのフォトルミネッセンスL1および励起光源4からの励起光L3を透過させる。また、基板51Bおよび封止基板53Bは、フォトルミネッセンスL1を全反射作用により導く導光機能を有する。
【0088】
発光層50Bは、この例では、左右に長い長方形の面形状をなす。基板51Bおよび封止基板53Bは、この例では、発光層50Bよりも一回り大きく、かつ、上下が発光層50Bの上下よりも倍以上大きい長方形の板形状をなす。
【0089】
基板51Bの一面の上部分には、発光層50Bが形成(成膜)されている。封止基板53Bの一面(発光層50Bおよび基板51Bに向き合う面)の上部分には、凹部530が発光層50Bに対応して設けられている。
【0090】
封止基板53Bの他面の上部分には、第1出射部531が設けられている。第1出射部531と凹部530とは、封止基板53Bの両面において相互に対応して設けられている。この結果、第1出射部531は、発光層50Bと同様に、左右に長い長方形の面形状をなす。第1出射部531は、封止基板53B(基板)中を透過したフォトルミネッセンスL1を封止基板53B(基板)の外に出射させる。
【0091】
封止基板53Bの他面の下部分には、第2出射部532が複数個、この例では、3個設けられている。第2出射部532は、円形形状をなしていて、封止基板53Bの他面から突出している。第2出射部532は、封止基板53B(基板)中を全反射するフォトルミネッセンスL1を封止基板53B(基板)の外に出射させる。
【0092】
(発光ユニット5Bの製造工程の説明)
以下、発光ユニット5Bの製造工程について図13を参照して説明する。まず、基板51Bを製造する(図13(A)参照)。つぎに、基板51Bの一面の上部分に発光層50Bを形成(成膜)する(図13(B)参照)。
【0093】
基板51Bの製造と別個に、封止基板53Bを製造する。それから、発光層50Bの一面および基板51Bの一面と封止基板53Bの一面とを封止接着剤54により接着する(図13(C)参照)。すると、発光層50Bは、基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54Bにより封止される(図13(D)参照)。
【0094】
これにより、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bの発光ユニット5Bが製造される。この時、発光層50Bは、封止接着剤54Bを介して封止基板53Bに向き合っている。また、基板51Bの発光層50B以外の部分は、封止接着剤54Bを介して封止基板53Bに接着されている。
【0095】
前記の製造工程により製造された発光ユニット5Bは、車両用灯具1Bの灯室23内のうち、励起光源4の下方に配置される。発光ユニット5Bの上側端面は、励起光源4の発光面に向き合わせとなる。発光ユニット5Bの第1出射部531および第2出射部532は、ランプレンズ3に向き合わせとなる。なお、励起光源4を発光ユニット5Bの左側端面、右側端面の少なくともいずれか一方に配置しても良い。また、励起光源4を発光ユニット5Bに対して、ランプレンズ3側に、あるいは、ランプレンズ3に対して反対側に、傾斜させて配置しても良い。
【0096】
(実施形態3の作用の説明)
この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0097】
まず、励起光源4を点灯する。すると、励起光源4の発光面から励起光L3がランバーシアン分布を形成するように発光ユニット5B側に照射される。励起光L3は、発光ユニット5の上端面から基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54B中に入射して、かつ、基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54B中を透過して発光層50Bに照射される。
【0098】
発光層50Bは、励起光L3により、フォトルミネッセンスL1を発生する。フォトルミネッセンスL1の一部分は、封止接着剤54Bおよび封止基板53Bを透過して第1出射部531から封止基板53Bの外に出射する。
【0099】
また、フォトルミネッセンスL1の残りの大部分は、基板51Bの他面と封止基板53Bの他面において全反射しながら、基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54B中を透過して第2出射部532から封止基板53Bの外に出射する。
【0100】
第1出射部531および第2出射部532から封止基板53Bの外に出射したフォトルミネッセンスL1は、ランプレンズ3を透過して車両用灯具1Bの外部に所定のテールランプの配光パターンまたは所定のストップランプの配光パターンで照射される。
【0101】
この時、車両用灯具1Bは、第1出射部531における左右に長い長方形の面発光(図11を参照)と、第2出射部532における3個の円形の面発光(図11を参照)とが得られる。
【0102】
(実施形態3の効果の説明)
この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0103】
この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、封止基板53B(基板)に第1出射部531および第2出射部532を設けたものである。この結果、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、発光層50Bから直接封止接着剤54Bおよび封止基板53B(基板)中を透過したフォトルミネッセンスL1の一部分を第1出射部531から封止基板53B(基板)の外に出射させることができる。また、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、フォトルミネッセンスL1の残りの大部分であって第1出射部531から封止基板53B(基板)の外に出射しなかったフォトルミネッセンスL1を、基板51Bの他面と封止基板53Bの他面において全反射させながら、基板51B、封止基板53Bおよび封止接着剤54B中を透過させて第2出射部532から封止基板53B(基板)の外に出射させることができる。これにより、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、フォトルミネッセンスL1をさらに有効に利用することができる。
【0104】
この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、前記の実施形態1、2にかかる車両用灯具1、1Aと同様に、フォトルミネッセンスL1が赤色光であり、ランプレンズ3が赤色光を透過し赤色光以外の光を吸収するレンズ(赤色レンズ)である。この結果、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、赤色光のフォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0105】
(実施形態4の構成、作用、効果の説明)
図14および図15は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態4を示す。以下、この実施形態4にかかる車両用灯具1Cの構成、作用、効果について説明する。図中、図1図13と同符号は、同一物を示す。
【0106】
この実施形態4にかかる車両用灯具1Cは、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bの変形例である。なお、この実施形態4にかかる車両用灯具1Cのランプハウジング(図示せず)、励起光源4および発光ユニット5C(発光層50C、基板51Cおよび封止基板53C)などの部品は、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bのランプハウジング、励起光源4および発光ユニット5B(発光層50B、基板51Bおよび封止基板53B)などの部品と同様の構成からなる。
【0107】
前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、ランプレンズ3として、赤色光を透過し赤色光以外の光を吸収するレンズ(赤色レンズ)を使用するものである。これに対して、この実施形態4にかかる車両用灯具1Cは、ランプレンズ3Cとして、無色透明なレンズを使用するものである。
【0108】
この実施形態4にかかる車両用灯具1Cは、ランプレンズ3Cと発光ユニット5Cの第1出射部531との間に、遮光部材55Cを配置する。遮光部材55Cは、赤色光であるフォトルミネッセンスL1を始めとする光を遮断する。
【0109】
この実施形態4にかかる車両用灯具1Cは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bと同様の作用、効果を達成することができる。
【0110】
特に、この実施形態4にかかる車両用灯具1Cは、ランプレンズ3Cとして無色透明なレンズを使用するものであるから、非点灯時において、車両用灯具1Cの外部からランプレンズ3Cおよび発光ユニット5Cの第2出射部532の部分を通して、灯室23内を透けて見える。また、点灯時においては、発光ユニット5Cの第2出射部532の3個の円形の面発光が見える。このように、この実施形態4にかかる車両用灯具1Cは、非点灯時において、透明に近いデザインが得られ、また、点灯時において、任意のデザインの形状の発光面が得られる。
【0111】
(実施形態5の構成、作用、効果の説明)
図16および図17は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態5を示す。以下、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dの構成、作用、効果について説明する。図中、図1図15と同符号は、同一物を示す。
【0112】
この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bの変形例である。なお、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dのランプハウジング(図示せず)、ランプレンズ3、励起光源4および発光ユニット5D(発光層50D、基板51Dおよび封止基板53D)などの部品は、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bのランプハウジング、ランプレンズ3、励起光源4および発光ユニット5B(発光層50B、基板51Bおよび封止基板53B)などの部品と同様の構成からなる。
【0113】
この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、リフレクタ56Dを備える。リフレクタ56Dは、発光ユニット5Dの基板(すなわち、基板51Dおよび封止基板53D)の第2出射部532側の部分の端面(下側端面)に向き合って配置されている。
【0114】
この実施形態5にかかる車両用灯具1Dにおいて、前記の実施形態3、4にかかる車両用灯具1B、1Cと、同様に、励起光源4の発光面は、発光ユニット5Dの基板(すなわち、基板51Dおよび封止基板53D)の第1出射部531側の部分の端面(上側端面)に向き合っている。
【0115】
この実施形態5にかかる車両用灯具1Dにおいて、励起光源4とリフレクタ56Dとは、発光ユニット5Dを挟んで上下に配置されている。
【0116】
リフレクタ56Dの内面には、反射面560が設けられている。反射面560は、発光ユニット5Dの基板の第2出射部532側の端面と、ランプレンズ3の内面(灯室23側の面)とに、それぞれ、向き合っている。この結果、反射面560は、発光ユニット5Dの基板中を全反射して基板の第2出射部532側の端面から外に出たフォトルミネッセンスL1をランプレンズ3側に反射させる。
【0117】
この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態3、4にかかる車両用灯具1B、1Cと同様の作用、効果を達成することができる。
【0118】
特に、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、反射面560を有するリフレクタ56Dを備えるものである。この結果、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、リフレクタ56Dの反射面560により、発光ユニット5Dの基板中を全反射して基板の第2出射部532側の端面から外に出たフォトルミネッセンスL1をランプレンズ3側に反射させることができる。これにより、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、フォトルミネッセンスL1をさらに有効に利用することができる。
【0119】
すなわち、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、発光層50Bから直接基板中を透過したフォトルミネッセンスL1を第1出射部531から基板の外に出射させ、また、第1出射部531から基板の外に出射しなかったフォトルミネッセンスL1を、基板中において全反射させながら基板中を透過させて第2出射部532から基板の外に出射させ、さらに、第2出射部532から基板の外に出射しなかったフォトルミネッセンスL1を、基板中において全反射させながら基板中を透過させて基板の下側端面から基板の外に出射させるものである。このように、この実施形態5にかかる車両用灯具1Dは、フォトルミネッセンスL1をさらに有効に利用することができる。
【0120】
(実施形態6の構成、作用、効果の説明)
図18および図19は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態6を示す。以下、この実施形態6にかかる車両用灯具1Eの構成、作用、効果について説明する。図中、図1図17と同符号は、同一物を示す。
【0121】
この実施形態6にかかる車両用灯具1Eは、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bの変形例である。なお、この実施形態6にかかる車両用灯具1Eのランプハウジング(図示せず)、ランプレンズ3、励起光源4および発光ユニット5E(発光層50E、基板51Eおよび封止基板53E)などの部品は、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bのランプハウジング、ランプレンズ3、励起光源4および発光ユニット5B(発光層50B、基板51Bおよび封止基板53B)などの部品と同様の構成からなる。
【0122】
この実施形態6にかかる車両用灯具1Eは、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bにおいて、3個の第2出射部532を結ぶ直線に対して上下対称となっている。すなわち、励起光源4が、発光ユニット5Eの上下にそれぞれ配置されている。発光ユニット5Eにおいて、発光層50Eおよび第1出射部531が、3個の第2出射部532を結ぶ直線に対して上下対称にそれぞれ配置されている。
【0123】
この実施形態6にかかる車両用灯具1Eは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態3にかかる車両用灯具1Bと同様の作用、効果を達成することができる。
【0124】
特に、この実施形態6にかかる車両用灯具1Eは、励起光源4、発光層50Eおよび第1出射部531を、3個の第2出射部532を結ぶ直線に対して上下対称にそれぞれ配置させたものである。この結果、この実施形態6にかかる車両用灯具1Eは、広い面積の発光面が得られる。
【0125】
(実施形態7の構成の説明)
図20は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態7を示す。以下、この実施形態7にかかる車両用灯具1Fの構成について説明する。図中、図1図19と同符号は、同一物を示す。
【0126】
(車両用灯具1Fの説明)
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、前記の実施形態1、3にかかる車両用灯具1、1Bと、ほぼ同様に、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、励起光源4と、発光ユニット5Fと、を備える。
【0127】
前記の実施形態1、3にかかる車両用灯具1、1Bは、励起光源4の発光面からランバーシアン分布を形成するように照射された励起光L3を、発光ユニット5、5Bにそのまま入射させて、かつ、発光層50、50Bにそのまま照射させるものである。これに対して、この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、励起光源4からの励起光L3を、発光ユニット5Fに制御させて入射させて、かつ、発光層50Fに制御させて照射させるものである。
【0128】
(発光ユニット5Fの説明)
発光ユニット5Fは、発光層50Fと、基板51Fと、を有する。なお、この実施形態7の発光ユニット5Fは、前記の実施形態2、3の発光ユニット5A、5Bと同様に、発光層50Fを、封止基板(図示せず)および封止接着剤(図示せず)により、封止しても良い。
【0129】
この実施形態7の発光ユニット5Fの構成部品、すなわち、発光層50Fおよび基板51Fの材料は、前記の実施形態1、3の発光ユニット5、5Bの構成部品、すなわち、発光層50、50Bおよび基板51、51Bの材料と同じ材料を使用する。
【0130】
発光層50Fは、灯室(図示せず)ないにおいて、ランプレンズに向き合って配置されている。
【0131】
基板51Fは、第1入射面571、第2入射面572、第1反射面573、第2反射面574および出射面570を有する。
【0132】
第1入射面571は、励起光源4からの励起光L3(励起光源4の発光面の中心を点(角の頂点)とする立体角が約70°~80°の励起光L3)を、平行な第1入射光として屈折入射させる面である。第1入射光は、励起光源4の光軸(以下、「光軸」と称する)と平行である。第1入射面571は、励起光源4の発光面に対向して設けられている。第1入射面571は、発光面の中心を焦点とする双曲線を、双曲線の主軸(光軸)を回転軸として回転させてなる回転双曲面の屈折面である。
【0133】
第2入射面572は、励起光源4からの励起光L3(励起光源4の発光面の中心を点(角の頂点)とする立体角が約70°~80°から約180°までの間の励起光L3)を、第2入射光として屈折入射させる面である。第2入射面572は、第1入射面571の外周側部であって、励起光源4の発光面に対向して設けられている。第2入射面572は、直線もしくは曲線を、光軸を回転軸として回転させてなる回転面の屈折面である。
【0134】
第1反射面573は、第2入射面572から入射した第2入射光(入射光の一部)を光軸と平行な第1反射光として全反射させる面である。第1反射面573は、励起光源4の発光面の中心を焦点とする放物線を、光軸を回転軸として回転させてなる回転放物面の反射面である。または、第1反射面573は、前記の放物線に倣った直線を、光軸を回転軸として回転させてなる回転面の反射面である。
【0135】
第2反射面574は、第1入射面571から入射した光軸と平行な第1入射光(入射光の一部)と、第2入射面572から入射した第2入射光(入射光の一部)であって、第1反射面573で全反射された光軸と平行な第1反射光とを、光軸に対して垂直であり、かつ、相互に平行な第2反射光として全反射させる面である。第2反射面574は、複数段、この例では、5段の平面の反射面である。
【0136】
出射面570は、第2反射面547から反射した第2反射光を、光軸に対して垂直であり、かつ、相互に平行な出射光として出射させる平面である。出射面570には、発光層50Fが形成(成膜)されている。この結果、出射面570から出射する出射光(励起光源4からの励起光L3)は、発光層50Fを照射する。これにより、発光層50Fは、フォトルミネッセンスL1を照射する。
【0137】
基板51Fの出射面570に対して反対側の部分には、取付部575が一体に設けられている。取付部575には、取付孔576が設けられている。取付部575は、取付孔576を通したスクリューなど(図示せず)により、ランプハウジングに直接またはブラケットなどを介して間接に取り付けられる。この結果、発光ユニット5Fは、基板51Fの取付部575により、ランプハウジングに直接または間接に取り付けられる。
【0138】
(実施形態7の作用の説明)
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0139】
まず、励起光源4を点灯する。すると、励起光源4の発光面から励起光L3がランバーシアン分布を形成するように発光ユニット5Fの第1入射面571および第2入射面572側に照射される。
【0140】
励起光L3の一部分は、第1入射面571から光軸に平行な第1入射光として基板51F中に入射する。また、励起光L3の残りの部分は、第2入射面572から第2入射光として基板51F中に入射し、かつ、第1反射面573で光軸に平行な第1反射光として反射する。
【0141】
光軸に平行な第1入射光と第1反射光とは、第2反射面574で光軸に対して垂直であり、かつ、相互に平行な第2反射光として全反射する。この第2反射光は、出射面570から出射光として出射して発光層50Fを照射する。これにより、発光層50Fは、フォトルミネッセンスL1をランプレンズ側に照射する。フォトルミネッセンスL1は、ランプレンズを透過して、車両用灯具1Fの外部に所定の配光パターンで照射される。
【0142】
(実施形態7の効果の説明)
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0143】
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、発光ユニット5Fの基板51Fに、第1入射面571、第2入射面572、第1反射面573、第2反射面574および出射面570を、設けたものである。この結果、この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、励起光源4からの励起光L3を、発光ユニット5Fに平行光(平行な励起光L3)として制御させて入射させて、かつ、発光層50Fに平行光(平行な励起光L3)として制御させて照射さることができる。これにより、この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、発光層50FからフォトルミネッセンスL1を制御させて出射させることができ、しかも、フォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0144】
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、基板51Fに取付部575を設けたものであるから、基板51Fの取付部575をランプハウジングに直接または間接に取り付けることにより、発光ユニット5Fをランプハウジングに直接または間接に取り付けることができる。この結果、この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、ランプレンズと励起光源4と発光ユニット5Fとの相対位置関係を高精度に保つことができるので、励起光源4からの励起光L3を発光ユニット5Fに確実に入射させることができ、かつ、発光ユニット5FからのフォトルミネッセンスL1をランプレンズ側に確実に出射させることができる。これにより、この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、発光ユニット5FからのフォトルミネッセンスL1を確実に制御することができ、しかも、フォトルミネッセンスL1をさらに有効に利用することができる。
【0145】
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fにおいて、図20に示すように、発光層50Fの厚さを、実線に示すように薄くれれば、フォトルミネッセンスL1の赤色が薄くなり、二点鎖線に示すように厚くすれば、フォトルミネッセンスL1の赤色が濃くなる。このことは、前記の実施形態1~6にかかる車両用灯具1~1Eにおいても同様に、フォトルミネッセンスL1の赤色の濃淡を調整することができる。
【0146】
この実施形態7にかかる車両用灯具1Fは、前記の実施形態1、2、3、5、6にかかる車両用灯具1、1A、1B、1D、1Eと同様に、フォトルミネッセンスL1が赤色光であり、ランプレンズ3が赤色光を透過し赤色光以外の光を吸収するレンズ(赤色レンズ)である。この結果、この実施形態3にかかる車両用灯具1Bは、赤色光のフォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0147】
(実施形態8の構成の説明)
図21および図22は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態8を示す。以下、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gの構成について説明する。図中、図1図20と同符号は、同一物を示す。
【0148】
(車両用灯具1Gの説明)
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、前記の実施形態1~7にかかる車両用灯具1~1Fと、ほぼ同様に、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ3Gと、励起光源4と、を備える。
【0149】
前記の実施形態1~7にかかる車両用灯具1~1Fは、ランプレンズ3、3Cと別個に発光ユニット5~5Fを備えるものである。これに対して、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、発光ユニットをランプレンズ3Gに兼用させるものである。この結果、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、発光ユニットを備えない。
【0150】
(ランプレンズ3Gの説明)
ランプレンズ3Gは、ランプハウジングと共に、灯室23を形成する。灯室23内には、励起光源4を配置させる。
【0151】
ランプレンズ3Gは、レンズ材料58と、蛍光体材料580と、を有する。レンズ材料58は、赤色着色剤が含まれた樹脂材料、たとえば、PMMAなどの通常の赤レンズである。蛍光体材料580は、赤色無機蛍光体材料、たとえば、CASNなどである。ランプレンズ3Gは、レンズ材料58と蛍光体材料580とを、射出成形(射出成型)時に、混ぜて、成形(成型)される。
【0152】
蛍光体材料580は、粒子形状をなし、レンズ材料58中に含有されていて、励起光源4から照射された励起光L3によりフォトルミネッセンスL1を発生させる。
【0153】
ランプレンズ3Gの透過率は、1%以上100%未満である。また、ランプレンズ3G中の蛍光体材料580の重量比は、0%越え50%以下である。さらに、ランプレンズ3Gの厚さは、0mm越え5mm以下である。なお、ランプレンズ3Gの透過率、ランプレンズ3G中の蛍光体材料580の重量比、および、ランプレンズ3Gの厚さは、この例の数値に限定されない。
【0154】
(実施形態8の作用の説明)
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0155】
励起光源4を点灯する。すると、励起光源4の発光面から励起光L3がランプレンズ3G側に照射される。励起光L3は、ランプレンズ3Gの内面(灯室23側の面)からランプレンズ3G中に入射する。ランプレンズ3G中に入射した励起光L3は、レンズ材料58中に含まれる蛍光体材料580を照射する。
【0156】
蛍光体材料580は、励起光L3により、フォトルミネッセンスL1を発生する。フォトルミネッセンスL1は、レンズ材料58中を透過してランプレンズ3Gの外面(灯室23に対して反対側の面)から車両用灯具1Gの外部に所定の配光パターンで照射される。これにより、ランプレンズ3Gの外面が全面に亘って赤色に発光する。
【0157】
(実施形態8の効果の説明)
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0158】
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3Gがレンズ材料58と蛍光体材料580とを有するものであるから、ランプレンズ3Gに励起光源4からの励起光L3を照射させることにより、ランプレンズ3G全体がフォトルミネッセンスL1により発光する。この結果、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、フォトルミネッセンスL1を効率良く利用することができる。
【0159】
しかも、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3Gをそなえることにより、発光ユニット5~5Fを備えなくとも、フォトルミネッセンスL1を照射することができる。この結果、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、部品点数を軽減することができ、製造コストを安価にすることができる。
【0160】
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3Gの蛍光体材料580が無機蛍光体材料であるから、蛍光体材料580がランプレンズ3Gの射出成形時の温度に十分に耐えられる。
【0161】
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3Gのレンズ材料58が赤色着色剤が含まれた樹脂材料、たとえば、PMMAなどの通常の赤レンズであり、また、ランプレンズ3Gの蛍光体材料580が赤色無機蛍光体材料、たとえば、CASNなどである。この結果、この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、赤色光のフォトルミネッセンスL1を有効に利用することができる。
【0162】
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3Gの透過率が1%以上100%未満であるから、ランプレンズ3Gの透過率を任意に調整することができ、ランプレンズ3Gのデザインの自由度が増大する。
【0163】
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3G中の蛍光体材料580の重量比が0%越え50%以下であるから、蛍光体材料580の重量比を任意に調整することができ、フォトルミネッセンスL1の発生量を調整することができ、フォトルミネッセンスL1のデザインの自由度が増大する。
【0164】
この実施形態8にかかる車両用灯具1Gは、ランプレンズ3Gの厚さが0mm越え5mm以下であるから、ランプレンズ3Gの厚さを任意に調整することができ、ランプレンズ3G中における励起光L3の吸収を調整することができ、励起光L3がランプレンズ3Gから車両用灯具1Gの外部に照射することを抑制できる。
【0165】
(実施形態9の構成、作用、効果の説明)
図23は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態9を示す。以下、この実施形態9にかかる車両用灯具1Hの構成、作用、効果について説明する。図中、図1図22と同符号は、同一物を示す。
【0166】
この実施形態9にかかる車両用灯具1Hは、前記の実施形態8にかかる車両用灯具1Gの変形例である。なお、この実施形態9にかかる車両用灯具1Hのランプハウジング(図示せず)、ランプレンズ3Hおよび励起光源4などの部品は、前記の実施形態8にかかる車両用灯具1Gのランプハウジング、ランプレンズ3Gおよび励起光源4などの部品と同様の構成からなる。
【0167】
この実施形態9にかかる車両用灯具1Hは、灯室23内において、ランプレンズ3Hと励起光源4との間に、光学部材8を配置したものである。光学部材8は、励起光源4から照射された励起光L3を制御してランプレンズ3Hに照射するものである。
【0168】
光学部材8は、第1入射面81と、第2入射面82と、出射面80と、を有する。第1入射面81は、励起光源4からの励起光L3の一部分を光学部材8中に平行光として入射させる。第2入射面82は、励起光源4からの励起光L3の残りの部分を光学部材8中に平行光として入射させる。第1入射面81からの入射平行光と、第2入射面82からの入射平行光とは、相互に平行である。出射面80は、光学部材8中の入射平行光を平行光としてランプレンズ3H側に出射させる。
【0169】
この実施形態9にかかる車両用灯具1Hは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態8にかかる車両用灯具1Gと同様の作用、効果を達成することができる。
【0170】
特に、この実施形態9にかかる車両用灯具1Hは、ランプレンズ3Hと励起光源4との間に光学部材8を配置したものであるから、励起光源4からランバーシアン分布を形成するように照射された励起光L3を、光学部材8を介して、平行光として制御させてランプレンズ3H側に照射させることができる。この結果、この実施形態9にかかる車両用灯具1Hは、ランプレンズ3Hから平行光としてのフォトルミネッセンスL1を効率良く得ることができる。
【0171】
(実施形態10の構成、作用、効果の説明)
図24および図25は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態10を示す。以下、この実施形態10にかかる車両用灯具1Iの構成、作用、効果について説明する。図中、図1図23と同符号は、同一物を示す。
【0172】
この実施形態10にかかる車両用灯具1Iは、前記の実施形態8にかかる車両用灯具1Gの変形例である。なお、この実施形態10にかかる車両用灯具1Iのランプハウジング(図示せず)、ランプレンズ3Iおよび励起光源4などの部品は、前記の実施形態8にかかる車両用灯具1Gのランプハウジング、ランプレンズ3Gおよび励起光源4などの部品と同様の構成からなる。
【0173】
この実施形態10にかかる車両用灯具1Iは、灯室23内において、ランプレンズ3Iと励起光源4との間に、光学部材7を配置したものである。光学部材7は、励起光源4から照射された励起光L3を制御してランプレンズ3Iに照射するものである。
【0174】
光学部材7は、丸棒形状の導光部材(ライトガイド)である。光学部材7は、一端面の入射面70と、一側面の反射面71と、他側面の出射面72と、を有する。入射面70は、励起光源4からの励起光L3を光学部材7中に入射させる。反射面71は、光学部材7中に入射し、かつ、光学部材7中を全反射作用により一端面の入射面から他端面に導かれる励起光L3を反射させる。なお、反射面71は、段差面と交互に複数個ずつ設けられている。1個の反射面71と1個の段差面とは、1個のプリズム面を形成する。出射面72は、反射面71で反射された光学部材8中の励起光L3を拡散光としてランプレンズ3I側に出射させる。
【0175】
この実施形態10にかかる車両用灯具1Iは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態8にかかる車両用灯具1Gと同様の作用、効果を達成することができる。
【0176】
特に、この実施形態10にかかる車両用灯具1Iは、ランプレンズ3Iと励起光源4との間に光学部材7を配置したものであるから、励起光源4からランバーシアン分布を形成するように照射された励起光L3を、光学部材7を介して、拡散光として制御させてランプレンズ3I側に照射させることができる。この結果、この実施形態10にかかる車両用灯具1Iは、ランプレンズ3Iから拡散光としてのフォトルミネッセンスL1を効率良く得ることができる。
【0177】
(実施形態1~10以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1~10においては、リアコンビネーションランプを構成するテールランプ、ストップランプまたはテール・ストップランプのいずれか1つについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、前記のランプまたディスプレイ以外の車両用灯具にも適用することができる。たとえば、車両の後部のターンシグナルランプやリアフォグランプやバックアップランプなどである。
【0178】
また、前記の実施形態1~10においては、車両の後部に装備されるリアコンビネーションランプについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両の後部に装備されるリアコンビネーションランプ以外の車両の前部に装備されるフロントコンビネーションランプ、室内ランプ、計器ランプ、装飾ランプ、ディスプレイなどにも適用することができる。フロントコンビネーションランプとしては、ヘッドランプ、フォグランプ、デイランニングランプ、クリアランスランプターンシグナルランプなどである。
【0179】
さらに、前記の実施形態1においては、ランプレンズ3の灯室23側に凹部30を設けた車両用灯具1について説明するものである。しかしながら、この発明においては、前記の実施形態2の図10(B)に示すように、ランプレンズ3の灯室23側に凹部30を設けない車両用灯具であっても良い。
【0180】
さらにまた、前記の実施形態7においては、基板51Fに、第1入射面571、第2入射面572、第1反射面573および第2反射面574を設けたものである。しかしながら、この発明においては、基板に設ける入射面および反射面を、特に限定しない。
【0181】
さらにまた、前記の実施形態7においては、励起光L3やフォトルミネッセンスL1を平行光として制御するものである。しかしながら、この発明においては、励起光L3やフォトルミネッセンスL1の制御を平行光に限定しない。たとえば、励起光L3やフォトルミネッセンスL1を、拡散光、または、収束光(指向性を持つ光)として制御しても良い。
【0182】
さらにまた、前記の実施形態8においては、ランプレンズ3Gの透過率が1%以上100%未満であり、ランプレンズ3G中の蛍光体材料580の重量比が0%越え50%以下であり、ランプレンズ3Gの厚さは、0mm越え5mm以下である。しかしながら、この発明においては、ランプレンズ3Gの透過率、ランプレンズ3G中の蛍光体材料580の重量比、および、ランプレンズ3Gの厚さの数値を限定しない。
【0183】
さらにまた、前記の実施形態8においては、レンズ材料58として、赤色着色剤が含まれた樹脂材料、たとえば、PMMAなどの通常の赤レンズを使用し、蛍光体材料580として、赤色無機蛍光体材料、たとえば、CASNなどを使用するものである。しかしながら、この発明においては、レンズ材料58および蛍光体材料580を特に限定しない。
【0184】
さらにまた、前記の実施形態8においては、蛍光体材料580として、無機蛍光体材料を使用するものであるが、有機蛍光体材料を使用しても良い。
【0185】
なお、この発明は、前記の実施形態1~10により限定されるものではない。たとえば、面発光の形状は、特に限定しない。任意のデザインの形状の面発光が得られる。また、励起光源4、追加光源6の配置状態や配置個数などは、特に限定しない。
【符号の説明】
【0186】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I 車両用灯具
2 ランプハウジング
23 灯室
3、3C、3G、3H、3I ランプレンズ
30 凹部
4 励起光源
40 光軸
41 取付部材
5、5A、5B、5C、5D、5E、5F 発光ユニット
50、50B、50C、50D、50E、50F 発光層
51、51B、51C、51D、51E、51F 基板
52 接着剤
53、53B、53C、53D、53E 封止基板
530 凹部
531 第1出射部
532 第2出射部
54、54B 封止接着剤
55C 遮光部材
56D リフレクタ
560 反射面
570 出射面
571 第1入射面
572 第2入射面
573 第1反射面
574 第2反射面
575 取付部
576 取付孔
58 レンズ材料
580 蛍光体材料
6 追加光源
60 光軸
7 光学部材
70 入射面
71 反射面
72 出射面
8 光学部材
80 出射面
81 第1入射面
82 第2入射面
L1 フォトルミネッセンス(赤色光)
L2 赤色光
L3 励起光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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