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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020071698
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2020197701
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2019102278
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 友宏
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕徳
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中元 史人
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-146964(JP,A)
【文献】特開2010-122447(JP,A)
【文献】特開2018-151520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着ベルトと、
前記定着ベルトの外周面を加圧するとともに、前記定着ベルトを回転させる加圧部材と、
前記定着ベルトの内周面と対向する加熱部と
を備え、
前記加熱部は、
前記定着ベルトを加熱するヒーターと、
前記ヒーターを保持するヒーター保持部材と
を有し、
前記ヒーター保持部材は、前記内周面に接触する第1側面および第2側面を有し、前記第1側面および前記第2側面のうちの少なくとも一方は、前記定着ベルトの回転軸方向に沿って並ぶ、傾斜スリットを有し、
前記傾斜スリットは、前記加圧部材側の一端と、前記加圧部材側とは反対側の他端とを有し、
前記他端は、前記一端と比べて、前記回転軸方向の中央側に位置し、
前記傾斜スリットの回転軸に対する傾斜角は、前記定着ベルトの前記回転軸方向の端部から前記中央に向かって、徐々に大きくなり、
非傾斜スリットが、前記回転軸方向の前記中央を挟んで、少なくとも2つ並ぶ、定着装置。
【請求項2】
前記傾斜スリットは、前記回転軸方向の中央に対して、対称に配置されている、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記傾斜スリットは、前記定着ベルトの前記回転軸方向の端部から前記中央に至る途中までの端部領域に配置される、請求項1又は請求項に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置と、
記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と
を備え、
前記定着装置は、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナー像を用紙に定着する定着装置を備えている。特許文献1に記載の定着装置は、ベルトと、加圧部材と、熱源と、ニップ形成部材と、熱移動補助部材とを備える。
【0003】
ベルトは、可撓性を有し、無端状である。加圧部材は、ベルトと対向し、ベルトを従動回転させる。熱源は、ベルトの内部に設けられる。ニップ形成部材は、ベルトの内側に設けられ、ベルトと加圧部材との間に定着ニップを形成する。熱移動補助部材は、ニップ形成部材のベルトと対向する面を覆う。
【0004】
ベルトが、加圧部材によって回転すると、ベルトとニップ形成部材とが擦れる。ベルトとニップ形成部材とが擦れると摩擦粉が発生する。摩擦粉は、潤滑油に混入する。潤滑油は、ベルトの内周面に付着している。潤滑油は、ベルトとニップ形成部材との摩擦を減らす。潤滑油に摩擦粉が混入すると、潤滑油の粘度が増す。潤滑油の粘度が増すと、潤滑油の潤滑性能が低下する。潤滑油の機能が低下すると、ベルトとニップ形成部材との摩擦が増す。ベルトとニップ形成部材との摩擦が増すと、ベルトを回転する際のトルクが上昇する。
【0005】
特許文献1に記載の定着装置は、ベルトの内側に第2の潤滑油を配して、第2の潤滑油をベルトの内周面に滴下させる。その結果、特許文献1に記載の定着装置は、ベルトの内周面に潤滑油を補充して、潤滑油の粘度の増加と、ベルトを回転する際のトルクの上昇とを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-116572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の定着装置は、潤滑油がベルト端部から流出することを防げない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、潤滑油が流出し難い定着装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る定着装置は、定着ベルトと、加圧部材と、加熱部とを備える。前記加圧部材は、前記定着ベルトの外周面を加圧するとともに、前記定着ベルトを回転させる。前記加熱部は、前記定着ベルトの内周面と対向する。前記加熱部は、ヒーターと、ヒーター保持部材とを有する。前記ヒーターは、前記定着ベルトを加熱する。前記ヒーター保持部材は、前記ヒーターを保持する。前記ヒーター保持部材は、前記内周面に接触する第1側面および第2側面を有する。前記第1側面および前記第2側面のうちの少なくとも一方は、傾斜スリットを有する。前記傾斜スリットは、前記定着ベルトの回転軸方向に沿って並ぶ。前記傾斜スリットは、前記加圧部材側の一端と、前記加圧部材側とは反対側の他端とを有する。前記他端は、前記一端と比べて、前記回転軸方向の中央側に位置する。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、上記に記載の定着装置と、画像形成部とを備える。前記画像形成部は、記録媒体にトナー像を形成する。前記定着装置は、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の定着装置および画像形成装置によれば、定着装置から潤滑油を流出し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る画像形成装置の定着装置の要部を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図2に示す定着装置から定着ベルトを省略した斜視図である。
図5図4に示す定着装置をZ軸正側から見た図である。
図6図4に示す定着装置をZ軸負側から見た図である。
図7図5のA1部分の拡大図である。
図8図6のA2部分の拡大図である。
図9】実施形態2に係る画像形成装置の定着装置をZ軸正側から見た図である。
図10】実施形態3に係る画像形成装置の定着装置をZ軸正側から見た図である。
図11】(a)および(b)は、図10に示すA1およびA2を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態1では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す。Z軸は鉛直面に平行であり、X軸およびY軸は水平面に平行である。
【0014】
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る画像形成装置100について説明する。図1は、本実施形態1に係る画像形成装置100を示す図である。画像形成装置100は、例えば、複写機、ファクシミリ、またはこれらの機能を兼ね備えた複合機である。本実施形態1では、画像形成装置100はモノクロ複合機である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置100は、定着装置1と、画像形成部2と、読取部3と、原稿搬送部4と、給紙部5と、搬送部6と、排出部7とを備える。
【0016】
読取部3は、原稿Dの画像を読み取る。読取部3は、読み取った画像から画像データを生成する。原稿搬送部4は、原稿Dを読取部3に搬送する。給紙部5は、複数の用紙Pを収容し、搬送部6へ用紙Pを給送する。用紙Pは、例えば、紙製または合成樹脂製である。用紙Pは、記録媒体の一例である。搬送部6は、複数の搬送ローラー対を含み、画像形成部2を経由して排出部7まで用紙Pを搬送する。
【0017】
画像形成部2は、画像データに基づいて、電子写真方式によって用紙Pにトナー像を形成する。画像データは、例えば、原稿Dの画像を示す。画像形成部2は、例えば、電子感光体ドラムと、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、補給装置と、転写ローラーと、クリーニング装置と、除電装置とを有する。
【0018】
定着装置1は、トナー像を加熱および加圧して、用紙Pにトナー像を定着させる。搬送部6は、トナー像の定着された用紙Pを排出部7に搬送する。排出部7は、画像形成装置100の筐体の外部に用紙Pを排出する。
【0019】
次に、図2、および図3を参照して、本実施形態1の定着装置1の構成の詳細について説明する。図2は、本実施形態1に係る定着装置1の要部を示す斜視図である。
【0020】
図2に示すように、定着装置1は、定着ベルト10と、加圧部材20と、加熱部30と、ベルト保持部材60とを備える。
【0021】
定着ベルト10は、トナー像が転写された用紙Pを加熱する。定着ベルト10は、無端状である。定着ベルト10は、略円筒形状を有する。定着ベルト10は、可撓性を有する。定着ベルト10は、第1回転軸線L1を軸心として回転自在である。定着ベルト10は、第1回転軸線L1方向に延びる。定着ベルト10は、第1端部101と、第2端部102と、外周面103とを有する。第1端部101および第2端部102は、第1回転軸線L1方向における端部である。以下、第1回転軸線L1方向を、「回転軸方向」、「定着ベルト10の回転軸方向」、または、「定着ベルト10の幅方向」と記載する場合がある。また、定着ベルト10の回転軸方向における中央(中心)10cを「ベルトの中央10c」と記載する場合がある。また、中央10cを「中心10c」と記載する場合がある。さらに、ベルトの中央10cを通る仮想線を中央線CLと記載する。中央線Clは、「中心線CL」と記載する場合がある。
【0022】
定着ベルト10は、複数の層をさらに有する。定着ベルト10は、例えば、ポリイミド層と、離型層23とを有する。離型層は、ポリイミド層の外周面上に形成される。離型層23は、例えば、フッ素樹脂製の耐熱性フィルムである。
【0023】
加圧部材20は、定着ベルト10の外周面103を加圧するとともに、定着ベルト10を回転させる。加圧部材20は、定着ベルト10とともに、トナー像が転写された用紙Pを加圧する。詳しくは、加圧部材20は略円柱状であって、定着ベルト10に対向して配置される。加圧部材20は、外周面201を有する。加圧部材20は、定着ベルト10を押圧する。これにより、加圧部材20の外周面201が定着ベルト10の外周面103に当接し、定着ニップが形成される。
【0024】
加圧部材20は、第2回転軸線L2を軸心として回転自在である。加圧部材20が回転すると、定着ベルト10が加圧部材20に従動して回転する。換言すると、加圧部材20は定着ベルト10を回転させる。これらの構成により、用紙Pが定着ニップを通過すると、トナー像が用紙Pに定着される。なお、用紙Pは、用紙搬送方向(Z軸正側)に搬送される。加圧部材20は、例えば、加圧ローラーである。加圧部材20は、第2回転軸線L2に沿って延びる。なお、第2回転軸線L2と第1回転軸線L1とは略平行である。
【0025】
加圧部材20は、円柱状の芯金21と、円筒状の弾性層22と、離型層23とを有する。弾性層22は、芯金21上に形成される。離型層23は、弾性層22の表面を覆うように形成される。芯金21は、第2回転軸線L2を軸心として回転自在である。芯金21は、例えば、ステンレスまたはアルミニウムにより形成される。弾性層22は、弾性を有し、例えば、シリコーンゴムにより形成される。離型層23は、例えば、フッ素樹脂により形成される。
【0026】
ベルト保持部材60は、定着ベルト10の端部を保持する。ベルト保持部材60は、第1保持部材61と、第2保持部材62とを有する。第1保持部材61は、定着ベルト10の第1端部101を保持する。第2保持部材62は、定着ベルト10の第2端部102を保持する。
【0027】
図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。なお、理解を容易にするために、図3では、定着ベルト10の内部の一部と、ベルト保持部材60とを省略している。
【0028】
図3に示すように、定着ベルト10は、内周面104をさらに有する。定着ベルト10の内周面104は、加熱部30と対向する。換言すると、加熱部30は、定着ベルト10の内側に配置され、定着ベルト10の内周面104と対向する。加熱部30は、ヒーター31と、ヒーター保持部材32と、補強部材33とを有する。
【0029】
ヒーター31は、定着ベルト10を加熱する。ヒーター31は、第1回転軸線L1に沿って延びる。ヒーター31は、例えば、面状ヒーター、または細長薄板状ヒーターである。ヒーター31は、例えば、セラミックヒーターであり、セラミック基板と、抵抗発熱体とを有する。ヒーター31の厚さは、例えば、1mmである。ヒーター31は、定着ベルト10を介して加圧部材20からの圧力を受ける。ヒーター31は、ヒーター保持部材32を介して補強部材33からの圧力を受ける。
【0030】
ヒーター保持部材32は、ヒーター31を保持する。ヒーター保持部材32は、ヒーター31を介して定着ベルト10と対向する。ヒーター保持部材32は、定着ベルト10のうち、加圧部材20と対向する側の内側に配置される。ヒーター保持部材32は、例えば、耐熱樹脂製である。ヒーター保持部材32は、第1回転軸線L1に沿って延びる。第1回転軸線L1方向におけるヒーター保持部材32の2つの端部のうちの一方の端部は、例えば、画像形成装置100の本体に配置されるコネクターと嵌合可能である。
【0031】
ヒーター保持部材32は、第1側面320と、第2側面350とを有する。第1側面320は、ヒーター保持部材32のZ軸正側の側面である。第2側面350は、ヒーター保持部材32のZ軸負側の側面である。第1側面320と第2側面350とは、内周面104の一部が接触する。内周面104の一部は、第1側面320および第2側面350の一部または全部に接触する。
【0032】
補強部材33は、ヒーター保持部材32を補強する。補強部材33は、例えば、細長状の金属製ステー部材である。補強部材33は、第1回転軸線L1に沿った方向からの断面視において、略逆U字状である。補強部材33は、第1回転軸線L1に沿って延びる。補強部材33は、ヒーター保持部材32と対向する。補強部材33は、ヒーター保持部材32を介してヒーター31と対向する。ヒーター保持部材32は、ベルト保持部材60に固定される。
【0033】
定着ベルト10は、加圧部材20が第2回転方向R2に回転するのに従動して、第1回転方向R1に回転する。したがって、定着ベルト10の内周面104のうち、ヒーター保持部材32の第1側面320と対向する部分はX軸負側に移動する。定着ベルト10の内周面104のうち、ヒーター保持部材32の第2側面350と対向する部分はX軸正側に移動する。
【0034】
定着ベルト10の内側には、潤滑油Gが塗布される。潤滑油Gは、定着ベルト10の回転に伴って移動する。具体的には、定着ベルト10が第1回転方向R1に回転すると、潤滑油Gは、第1側面320と第2側面350とに接触していない部分では、図2を参照して説明した第1端部101側または第2端部102側へ移動する。
【0035】
次に、図4図6を参照して、本実施形態1のヒーター保持部材32の構成についてさらに説明する。図4は、図2に示す定着装置1から定着ベルト10を省略した斜視図である。
【0036】
図4に示すように、第1側面320は、第1端部321、中央322、および第2端部323を有する。以下、中央322を「中心322」と記載する場合がある。ヒーター保持部材32の第1端部321、および第2端部323は、ヒーター保持部材32の幅方向の端部である。ヒーター保持部材32の幅方向は、Y軸方向である。中央322は、ヒーター保持部材32の幅方向の中央(中心)である。中央322は、図2を参照して説明した中央線CL上に位置する。ヒーター保持部材32の第1端部321には、第1保持部材61が係合している。ヒーター保持部材32の第2端部323には、第2保持部材62が係合している。
【0037】
第1側面320は、本体部32aと、複数のリブ32rと、複数の傾斜スリット32sとを有する。傾斜スリット32sは、複数に限定されない。当該事項は、本願の全体において適用され得る。複数のリブ32rは、Y軸方向に沿って、等間隔で並んでいる。複数のリブ32rは、等間隔で並んでいることに限定されない。Y軸方向は、定着ベルト10の回転軸方向(回転方向と直交する方向)である。複数のリブ32rの各々は、本体部32aから突出する。複数の傾斜スリット32sの各々は、本体部32aから凹んでいる。
【0038】
続いて、図3、および図5図6を参照して、複数の傾斜スリット32sについて説明する。図5は、図4に示す定着装置1をZ軸正側から見た図である。詳しくは、図5は、ヒーター保持部材32の第1側面320側から見た図である。
【0039】
図5に示すように、傾斜スリット32sは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向(回転方向と直交する方向)に沿って並んでいる。傾斜スリット32sは、ヒーター保持部材32の中央322に対して対称に配置されている。具体的には、傾斜スリット32sは、定着ベルト10の中央10c(図2参照)を通る中央線CLを軸として線対称に配置されている。
【0040】
複数の傾斜スリット32sは、定着ベルト10の回転軸方向(回転方向と直交する方向)に沿って、等間隔で並んでいる。複数の傾斜スリット32sは、等間隔で並んでいることに限定されない。当該事項は、本願の全体において適用され得る。複数の傾斜スリット32sは、ヒーター保持部材32の中央322に対して対称に配置されてもよい。具体的には、複数の傾斜スリット32sは、定着ベルト10の中央10c(図2参照)を通る中央線CLを軸として線対称に配置されてもよい。
【0041】
以下、中央322よりも第1端部321側に位置する複数の傾斜スリット32sを「第1スリット群」と記載する場合がある。また、中央322よりも第2端部323側に位置する複数の傾斜スリット32sを「第2スリット群」と記載する場合がある。
【0042】
第1側面320は、傾斜スリット32s、または、第1合流スリット321s、若しくは、第2合流スリット322sを有する。第1スリット群は、第1合流スリット321sを含む。第2スリット群は、第2合流スリット322sを含む。本実施形態1において、第1合流スリット321sは、2つの傾斜スリット32sを含む。また、第2合流スリット322sは、2つの傾斜スリット32sを含む。
【0043】
傾斜スリット32sは、一端32s1と他端32s2とを有する。つまり、複数の傾斜スリット32sの各々は、一端32s1と他端32s2とを有する。一端32s1は、加圧部材20側に配置される。他端32s2は、定着ベルト10の第1回転方向R1に対して、加圧部材20とは反対側に配置される。各傾斜スリット32sの他端32s2は、一端32s1と比べて、ヒーター保持部材32の第1回転軸線L1方向の中央322側に位置する。換言すると、他端32s2は、一端32s1と比べて、定着ベルト10の幅方向の中央10c側に位置する。図3を参照して説明したように定着ベルト10は、第1回転方向R1に回転する。したがって、複数の傾斜スリット32sは定着ベルト10の第1回転方向R1の下流側ほど、定着ベルト10の中央10c側に延びる。
【0044】
第1合流スリット321sが含む2つの傾斜スリット32sは、他端32s2の位置が異なる。詳しくは、第1端部321側に位置する傾斜スリット32sの他端32s2は、中央322側に位置する傾斜スリット32sの他端32s2に比べて、加圧部材20から離れる。
【0045】
第2合流スリット322sが含む2つの傾斜スリット32sは、他端32s2の位置が異なる。詳しくは、第2端部323側に位置する傾斜スリット32sの他端32s2は、中央322側に位置する傾斜スリット32sの一端32s1に比べて、加圧部材20から離れる。
【0046】
傾斜スリット32sは、第1合流スリット321sまたは第2合流スリット322sを形成する。第1合流スリット321sと第2合流スリット322sとは、ヒーター保持部材32の中央322を挟んで定着ベルト10の幅方向、すなわち、定着ベルト10の回転軸方向に沿って並ぶ。第1合流スリット321sと、第2合流スリット322sとは、ヒーター保持部材32の中央322において合流する。
【0047】
図6は、図4に示す定着装置1をZ軸負側から見た図である。詳しくは、図6は、ヒーター保持部材32の第2側面350側から見た図である。
【0048】
図6に示すように、第2側面350は、第1端部351、中央352、および第2端部353を有する。第2側面350は、第1側面320と同様に、本体部35aと、複数のリブ35rと、複数の傾斜スリット35sとを有する。複数のリブ35rは、複数のリブ32rと同様に、定着ベルト10の回転軸方向に沿って、等間隔で並んでいる。複数のリブ35rは、等間隔で並んでいることに限定されない。複数のリブ35rの各々は、本体部35aから突出する。傾斜スリット35sは、本体部35aから凹んでいる。つまり、複数の傾斜スリット35sの各々は、本体部35aから凹んでいる。
【0049】
複数の傾斜スリット35sは、定着ベルト10の回転軸方向に沿って、等間隔で並んでいる。複数の傾斜スリット35sは、等間隔で並んでいることに限定されない。複数の傾斜スリット35sは、ヒーター保持部材32の中央352に対して対称に配置されている。具体的には、複数の傾斜スリット35sは、定着ベルト10の中央10c(図2参照)を通る中央線CLを軸として線対称に配置されている。
【0050】
以下、中央352よりも第1端部351側に位置する複数の傾斜スリット35sを「第3スリット群」と記載する場合がある。また、中央352よりも第2端部353側に位置する複数の傾斜スリット35sを「第4スリット群」と記載する場合がある。
【0051】
第2側面350は、傾斜スリット32s、または、第3合流スリット351s、若しくは、第4合流スリット352sを有する。第3スリット群は、第3合流スリット351sを含む。第4スリット群は、第4合流スリット352sを含む。本実施形態1において、第3合流スリット351sは、2つの傾斜スリット35sを含む。また、第4合流スリット352sは、2つの傾斜スリット35sを含む。
【0052】
傾斜スリット35sは、一端35s1と他端35s2とを有する。つまり、複数の傾斜スリット35sの各々は、一端35s1と他端35s2とを有する。一端35s1は、加圧部材20側の端である。他端35s2は、加圧部材20とは反対側の端である。各傾斜スリット35sの一端35s1は、他端35s2と比べて、ヒーター保持部材32の中央352側に位置する。
【0053】
換言すると、一端35s1は、他端35s2と比べて、定着ベルト10の幅方向の中央10c側に位置する。図3を参照して説明したように定着ベルト10は、第1回転方向R1に回転する。したがって、複数の傾斜スリット35sは定着ベルト10の第1回転方向R1の下流側ほど、定着ベルト10の中央10c側に延びる。
【0054】
第3合流スリット351sが含む2つの傾斜スリット35sは、一端35s1の位置が異なる。詳しくは、第1端部351側に位置する傾斜スリット35sの一端35s1は、中央352側に位置する傾斜スリット35sの一端35s1に比べて、加圧部材20に近い。
【0055】
第4合流スリット352sが含む2つの傾斜スリット35sは、一端35s1の位置が異なる。詳しくは、第2端部353側に位置する傾斜スリット35sの一端35s1は、中央352側に位置する傾斜スリット35sの一端35s1に比べて、加圧部材20に近い。
【0056】
第3合流スリット351sと第4合流スリット352sとは、ヒーター保持部材32の中央352を挟んで定着ベルト10の幅方向に並ぶ。第3合流スリット351sと、第4合流スリット352sとは、ヒーター保持部材32の中央352において合流する。
【0057】
次に、図7図8を参照して、本実施形態1の潤滑油Gの流れについてさらに説明する。図7は、図5のA1部分の拡大図である。詳しくは、図7(a)~(c)は、定着ベルト10が回転した際に、第1側面320における潤滑油Gを経時的に示す図である。
【0058】
図7(a)は、定着ベルト10が回転を開始し始めた状態を示す。図7(b)は、図7(a)の状態から定着ベルト10が回転した状態を示す。図7(c)は、図7(b)の状態から定着ベルト10がさらに回転した状態を示す。図7(a)~(c)において、第1回転方向R1は、X軸負側方向である。
【0059】
定着ベルト10が第1回転方向R1に沿って回転を開始すると、図7(a)に示すように、潤滑油Gは加圧部材20側からX軸負側に向かって移動を開始する。定着ベルト10の内周面104と、ヒーター保持部材32の第1側面320とは密接している。また、複数の傾斜スリット32sは本体部32aよりも凹んでいる。したがって、潤滑油Gは、複数の傾斜スリット32sに集まり、複数の傾斜スリット32sに沿って移動する。
【0060】
定着ベルト10の回転が進むと、図7(b)に示すように、潤滑油Gは、X軸負側から複数の傾斜スリット32sに付着し、複数の傾斜スリット32sに沿って移動する。複数の傾斜スリット32sは、他端32s2が一端32s1よりも中央322側に位置している。したがって、潤滑油Gは、複数の傾斜スリット32sに沿って、第1側面320の第1端部321側、および第2端部323側から、中央322側に移動する。
【0061】
定着ベルト10の回転がさらに進むと、図7(c)に示すように、潤滑油Gは、複数の傾斜スリット32sの他端32s2に到達する。他端32s2に到達した潤滑油Gは、複数の傾斜スリット32sの他端32s2から溢れ出す。第1合流スリット321sと、第2合流スリット322sとの合流点は、潤滑油Gが滞留して溢れ出しやすい。
【0062】
潤滑油Gは、定着ベルト10の内周面104とヒーター保持部材32の第1側面320と接している部分において、ヒーター保持部材32の第1端部321側、または第2端部323側から、中央322側に移動する。この結果、第1合流スリット321sと第2合流スリット322sとの合流点に到達して、傾斜スリット32sから溢れ出す。溢れ出した潤滑油Gは、定着ベルト10の内周面104に付着する。
【0063】
潤滑油Gは、定着ベルト10が回転すると、定着ベルト10が第1側面320と接触していない部分において、定着ベルト10の端部へ流れる。潤滑油Gは、定着ベルト10が第1側面320と接触している部分において、複数の傾斜スリット32sによって、ヒーター保持部材32の中央322側(定着ベルト10の中央10c側)へ運ばれて、定着ベルト10の中央10c側に付着する。そして、潤滑油Gは定着ベルト10の回転方向に運ばれる。したがって、定着ベルト10の内周面104において、潤滑油Gを循環させることができる。
【0064】
図8は、図6のA2部分の拡大図である。図8(a)は、定着ベルト10が回転し始めた状態を示す。図8(b)は、図8(a)の状態から定着ベルト10が回転した状態を示す。図8(c)は、図8(b)の状態から定着ベルト10がさらに回転した状態を示す。図8(a)~(c)において、第1回転方向R1は、X軸正側方向である。
【0065】
定着ベルト10が第1回転方向R1に沿って回転を開始すると、図8(a)に示すように、潤滑油Gは加圧部材20側からX軸正側に向かって移動を開始する。定着ベルト10の内周面104と、ヒーター保持部材32の第2側面350とは密接している。また、複数の傾斜スリット35sは本体部32aよりも凹んでいる。したがって、潤滑油Gは、複数の傾斜スリット35sに集まり、複数の傾斜スリット35sに沿って移動する。
【0066】
定着ベルト10の回転が進むと、図8(b)に示すように、潤滑油GはX軸正側から複数の傾斜スリット35sに付着し、複数の傾斜スリット35sに沿って移動する。複数の傾斜スリット35sは、一端35s1が他端35s2よりも中央352側に位置している。したがって、潤滑油Gは、複数の傾斜スリット35sに沿って、第2側面350の第1端部351側、および第2端部353側から、中央352側に移動する。
【0067】
定着ベルト10の回転がさらに進むと、図8(c)に示すように、潤滑油Gは、複数の傾斜スリット35sの一端35s1に到達する。一端35s1に到達した潤滑油Gは、複数の傾斜スリット35sの一端35s1から溢れ出す。第3合流スリット351sと、第4合流スリット352sとの合流点は、潤滑油Gが滞留して溢れ出しやすい。
【0068】
潤滑油Gは、定着ベルト10の内周面104とヒーター保持部材32の第2側面350とが接触している部分において、ヒーター保持部材32の第1端部351側、または第2端部353側から、中央352側に移動する。溢れ出した潤滑油Gは、定着ベルト10の内周面104に付着する。この結果、潤滑油Gは、第3合流スリット351sと第4合流スリット352sとの合流点に到達して傾斜スリット35sから溢れ出す。
【0069】
潤滑油Gは、定着ベルト10が回転すると、定着ベルト10が第2側面350と接触していない部分において、定着ベルト10の端部へ流れる。潤滑油Gは、複数の傾斜スリット35sによって、ヒーター保持部材32の中央352側(定着ベルト10の中央10c側)へ運ばれて、定着ベルト10の中央10c側に付着する。そして、潤滑油Gは定着ベルト10の回転方向に運ばれる。したがって、定着ベルト10の内周面104において、潤滑油Gを循環させることができる。
【0070】
このように、潤滑油Gは、定着ベルト10が回転して第1側面320と接触すると、第1側面320の第1端部321側、および第2端部323側から中央322側に移動する。また、潤滑油Gは、定着ベルト10が回転して第2側面350と接触すると、第2側面350の第1端部351側、および第2端部353側から中央352側に移動する。移動した潤滑油Gは、複数の傾斜スリット32sおよび複数の傾斜スリット35sから溢れ出して、定着ベルト10の内周面104の中央10c近くに付着する。したがって、定着ベルト10が回転しても、潤滑油Gは端部から流出し難い。
【0071】
複数の傾斜スリット32sは、第1側面320の中央322に対して対称となるように配置されている。また、複数の傾斜スリット35sは、第2側面350の中央352に対して対称となるように配置されている。したがって、潤滑油Gは、ヒーター保持部材32の一方の端部に偏ることなく、定着ベルト10の内周面104に付着する。
【0072】
本実施形態によれば、定着装置1から潤滑油Gを流出し難くすることができる。
【0073】
本実施形態によれば、定着ベルト10の第1端部321および第2端部323から潤滑油Gを流出し難くすることができる。
【0074】
本実施形態によれば、定着ベルト10が第1回転方向R1に回転するとき、定着ベルト10が加圧部材20とのニップ部分にある間、潤滑油Gは、第1端部101側または第2端部102側へ移動する。定着ベルト10が加圧部材20とのニップ部分を通過し、第1端部101側または第2端部102側に配置された傾斜スリット35sに接触する期間、中心10c側へ移動する。そのため、定着装置1は、定着ベルト10が回転している間、潤滑油Gを定着ベルト10の内周面104で好適に循環させることができる。
【0075】
本実施形態によれば、複数の傾斜スリット35sが、ヒーター保持部材32の中央352に対して対称に配置されていることにより、定着装置1は、潤滑油Gを定着ベルト10の内周面104で、さらに好適に循環させることができる。
【0076】
本実施形態によれば、第1合流スリット321s、第2合流スリット322s、第3合流スリット351s、または、第4合流スリット352sが形成されることにより、定着ベルト10が第1回転方向R1に回転することによって、第1合流スリット321s、第2合流スリット322s、第3合流スリット351s、または、第4合流スリット352sで回収された潤滑油Gは、再び、定着ベルト10の内周面104に循環させることができる。
【0077】
本実施形態によれば、ヒーター保持部材32を通過した定着ベルト10の内周面104に、再び、潤滑油Gを循環させることができる。
【0078】
(実施形態2)
次に、図1図8に加え、さらに、図9を参照して、実施形態2に係る画像形成装置100を説明する。図9は、実施形態2に係る画像形成装置100の定着装置1をZ軸正側から見た図である。
【0079】
実施形態2では、画像形成装置100の定着装置1が備える定着ベルト10の第1側面320に設けられた傾斜スリット35sは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の端部(第1端部321、第1端部351、第2端部323、第2端部353)から中央10cに至る途中までの端部領域(端部領域11、端部領域12)に配置される。
【0080】
図9に示すように、定着装置1は、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第1端部321から中央10cに至る途中の境界線14までに形成される端部領域11と、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2端部323から中央10cに至る途中の境界線15までに形成される端部領域12とを有する。
【0081】
画像形成装置100の定着装置1が備える定着ベルト10の第2側面350においても同様である。第2側面350の端部領域11には、傾斜スリット35sが配置される。
【0082】
端部領域11には、複数の傾斜スリット35sが配置されてもよい。傾斜スリット35sは、実施形態1で説明した傾斜スリット35sと同じであってもよい。
【0083】
第2側面350の端部領域12には、傾斜スリット35sが配置される。端部領域12には、複数の傾斜スリット35sが配置されてもよい。傾斜スリット35sは、実施形態1で説明した傾斜スリット35sと同じであってもよい。
【0084】
本実施形態によれば、定着ベルト10の第1側面320の端部領域11、および、第2側面350の端部領域12に、それぞれ、傾斜スリット35sが配置されることにより、定着ベルト10の第1端部321、第2端部323、第1端部351、および、第2端部353から潤滑油Gが流出することを抑えることができる。
【0085】
さらに、本実施形態によれば、定着ベルト10の内周面104の中央10cに潤滑油Gが集中することを抑えることができ、潤滑油Gの分布を均一にすることができる。
【0086】
さらに、実施形態2では、非傾斜スリット36sが、端部領域11および端部領域12を除く中央領域13に配置される。
【0087】
非傾斜スリット36sは、定着ベルト10の第1回転方向R1と概ね平行か、または、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向に対し傾斜していない。非傾斜スリット36sは、複数配置されていてもよい。
【0088】
本実施形態によれば、定着ベルト10の内周面104の中央10cに潤滑油Gが集中することを抑えることができ、潤滑油Gの分布を均一にすることができる。
【0089】
(実施形態3)
次に、図1図8に加え、さらに、図10および図11(a)および(b)を参照して、実施形態3に係る画像形成装置100を説明する。図10は、実施形態3に係る画像形成装置100の定着装置1をZ軸正側から見た図である。図11(a)および(b)は、図10に示すA1およびA2を拡大した図である。
【0090】
実施形態3では、画像形成装置100の定着装置1において、傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の端部(第1端部321、第1端部351、第2端部323、第2端部353)から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0091】
図10に示すように、定着装置1は、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第1側面320における第1端部321から中央10cに至る境界線14までに形成される端部領域11と、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2端部323から中央10cに至る境界線15までに形成される端部領域12とを有する。ここでは、図9で説明した中央領域13は、設けられなくてもよい。つまり、端部領域11と端部領域12とは、隣接していてもよい。
【0092】
第1側面320の端部領域11では、傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第1端部321から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0093】
すなわち、図11(a)に示すように、傾斜スリット35s1Aが第1回転軸線L1方向となす角θ2は、傾斜スリット35s1Bが第1回転軸線L1方向となす角θ1よりも大きい。
【0094】
より具体的には、傾斜スリット35s1Aの加圧部材20側の一端35s10と、加圧部材20とは反対側の他端35s11とを結ぶ線分とが、第1回転軸線L1方向となす角θ2は、傾斜スリット35s1Bの加圧部材20側の一端35s12と、加圧部材20とは反対側の他端35s13とを結ぶ線分とが、第1回転軸線L1方向となす角θ1よりも大きい。
【0095】
また、図11(b)に示すように、傾斜スリット35s1Cが第1回転軸線L1方向となす角θ4は、傾斜スリット35s1Dが第1回転軸線L1方向となす角θ3よりも大きい。
【0096】
より具体的には、傾斜スリット35s1Cの加圧部材20側の一端35s16と、加圧部材20とは反対側の他端35s17とを結ぶ線分とが、第1回転軸線L1方向となす角θ4は、傾斜スリット35s1Dの加圧部材20側の一端35s14と、加圧部材20とは反対側の他端35s15とを結ぶ線分とが、第1回転軸線L1方向となす角θ3よりも大きい。
【0097】
第1側面320の端部領域12では、傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第2端部323から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0098】
画像形成装置100の定着装置1が備える定着ベルト10の第2側面350においても同様である。
【0099】
定着装置1は、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2側面350における第1端部351から中央10cに至る境界線14までに形成される端部領域11と、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2端部353から中央10cに至る境界線15までに形成される端部領域12とを有する。
【0100】
第2側面350の端部領域11には、傾斜スリット35sが配置される。端部領域12には、複数の傾斜スリット35sが配置されてもよい。傾斜スリット35sは、実施形態2で説明した傾斜スリット35sと同じであってもよい。
【0101】
傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第1端部351から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0102】
第2側面350の端部領域12には、傾斜スリット35sが配置される。端部領域12には、複数の傾斜スリット35sが配置されてもよい。傾斜スリット35sは、実施形態2で説明した傾斜スリット35sと同じであってもよい。
【0103】
傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第1端部351から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0104】
本実施形態によれば、傾斜スリット35sで回収された潤滑油Gが、定着ベルト10の中央10cに過剰に再供給されることが抑制され、定着ベルト10の潤滑油Gの分布を均一にすることができる。
【0105】
また、実施形態3では、画像形成装置100の定着装置1において、さらに、非傾斜スリット36sが、第1回転軸線L1方向の中央10cを挟んで、少なくとも2つ並ぶ。
【0106】
定着装置1は、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第1側面320における第1端部321から中央10cに至る境界線14までに形成される端部領域11と、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2端部323から中央10cに至る境界線15までに形成される端部領域12とを有する。さらに、図9で説明したように、端部領域11と端部領域12とに挟まれるように、中央領域13が設けられる。
【0107】
第1側面320の端部領域11では、傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第1端部321から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0108】
第1側面320の端部領域12では、傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第2端部323から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0109】
さらに、第1側面320の中央領域13では、さらに、非傾斜スリット36sが、第1回転軸線L1方向の中央10cを挟んで、少なくとも2つ並ぶ。非傾斜スリット36sは、第1回転軸線L1方向の中央10cを挟んで、3つ以上並んでもよい。
【0110】
画像形成装置100の定着装置1が備える定着ベルト10の第2側面350においても同様である。
【0111】
定着装置1は、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2側面350における第1端部351から中央10cに至る境界線14までに形成される端部領域11と、定着ベルト10が備える定着ベルト10の第2端部353から中央10cに至る境界線15までに形成される端部領域12とを有する。
【0112】
第2側面350の端部領域11には、傾斜スリット35sが配置される。端部領域12には、複数の傾斜スリット35sが配置されてもよい。傾斜スリット35sは、実施形態2で説明した傾斜スリット35sと同じであってもよい。
【0113】
傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第1端部351から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0114】
第2側面350の端部領域12には、傾斜スリット35sが配置される。端部領域12には、複数の傾斜スリット35sが配置されてもよい。傾斜スリット35sは、実施形態2で説明した傾斜スリット35sと同じであってもよい。
【0115】
傾斜スリット35sの第1回転軸線L1に対する傾斜角θは、定着ベルト10の第1回転軸線L1方向の第1端部351から中央10cに向かって、徐々に大きくなる。
【0116】
さらに、第2側面350の中央領域13では、さらに、非傾斜スリット36sが、第1回転軸線L1方向の中央10cを挟んで、少なくとも2つ並ぶ。非傾斜スリット36sは、第1回転軸線L1方向の中央10cを挟んで、3つ以上並んでもよい。
【0117】
本実施形態によれば、傾斜スリット35sで回収された潤滑油Gが、定着ベルト10の中央10cに過剰に再供給されることがさらに抑制され、定着ベルト10の潤滑油Gの分布を均一にすることができる。
【0118】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(2))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0119】
(1)図1図11を参照して説明したように、本発明の実施形態では、画像形成装置100がモノクロ複合機であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像形成装置100はモノクロプリンターでもよい。あるいは、画像形成装置100はカラー複合機、またはカラープリンターでもよい。
【0120】
(2)本発明の実施形態では、第1側面320、および第2側面350の両方がスリットを有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1側面320、および第2側面350のうちの一方だけがスリットを有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 定着装置
10 定着ベルト
20 加圧部材
30 加熱部
31 ヒーター
32 ヒーター保持部材
32s スリット
32s1 一端
32s2 他端
35s スリット
35s1 一端
35s2 他端
103 外周面
104 内周面
320 第1側面
322 中央(中心)
350 第2側面
352 中央(中心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11