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  • 特許-化粧材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】化粧材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20241001BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20241001BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20241001BHJP
【FI】
E04F15/10 104A
B32B5/18 101
B32B7/022
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020072271
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021169708
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】塚本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】池田 尚
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-105342(JP,A)
【文献】特開2006-299734(JP,A)
【文献】特開2008-231184(JP,A)
【文献】特許第4206802(JP,B2)
【文献】特許第3932883(JP,B2)
【文献】特表2015-516320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0371765(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に積層した化粧シートとからなる化粧材であって、
前記基材は、熱可塑性樹脂と、鱗片状の充填剤とを含み、セルカ構造を有し、
線膨張係数が流れ方向及び幅方向のうち、少なくとも前記幅方向において6.0×10-5以下であり、
前記充填剤は、50~70重量%含まれ、
前記基材は、曲げ強度が30MPa以上であり、曲げ弾性が2000~9000MPaの範囲内にあり、
前記基材には、メルトフローレート(MFR)が300以上のオレフィン系エラストマーを第1の添加剤とし、前記充填剤を除いた前記基材の重量に対し10~18重量%含むとともに、
分岐オレフィンを第2の添加剤とし、前記充填剤を除いた前記基材の重量に対し3~6.3重量%含み、
前記第1の添加剤と前記第2の添加剤との比率を5:1~3.3:1の範囲内とし、あるいは1.6:1~1:1の範囲内とし、
前記基材の前記熱可塑性樹脂は、ABS樹脂、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、エチレンビニルアセテート、またはシリコーンゴムであることを特徴とする化粧材。
【請求項2】
前記基材は、幅500mm以上、長さ500mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
前記充填剤は、板面の平均径/厚みから算出される平均アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧材。
【請求項4】
前記基材は、曲げ強度が42MPa以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項5】
前記基材は、曲げ強度が52MPa以下であることを特徴とする請求項4に記載の化粧材。
【請求項6】
前記基材は、曲げ弾性が4360~9000MPaの範囲内にあることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、強度に優れ、且つ施工時の負担が少ない広幅で、軽量な化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築内装材、床材、建具、家電品の表面材等の用途としては、合板やファイバーボード等の木質基材に化粧シートを貼り合わせたものが多く使用されている。しかしこれらの化粧材は木質基材の吸放湿に由来する反りや虫食い、腐食といった物性状の問題があるほか、木質基材ゆえに基材が重く、施工作業の負担が大きくなっている。
上記課題の対策として熱可塑性樹脂と充填剤とを含有する樹脂成形体の開発が数多くなされてきた。
その成形方法のひとつにセルカプロセスがある(特許文献1及び特許文献2)。セルカプロセスは特殊なダイを用いて表層部を固化させ低発泡層を形成すると同時に、芯部に発泡層を形成する成形方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4206802号公報
【文献】特許第3932883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したセルカプロセスは、異形押出成形のプロセスなので、幅方向の寸法は流れ方向に対し短くなるため、線膨張も流れ方向と幅方向で異なる性能が必要になる。
このため、充填剤として流れ方向の寸法変化抑制効果の高い繊維状の木粉がよく用いられてきたが、繊維状の充填剤を添加した樹脂成形体は広幅化が難しく、施工時の作業負担が重くなる上、経済面にも課題があった。
鱗片状の充填剤を添加することで流れ方向と幅方向両方の線膨張を抑制し、さらに充填剤の配合比率を上げることでその効果を高めることができるが、特に充填剤の比率が50%以上となるような配合条件では基材強度の低下や発泡性の悪化といった問題があった。
【0005】
一方、狭幅の成形体は施工時の作業負担が重くなる上、経済的にも問題があるため、広幅の成形体の開発が求められている。木粉等の繊維状の充填剤では流れ方向と幅方向で線膨張に差がでるため広幅化が難しい。解決策としてアスペクト比の高い鱗片状の充填剤を高配合することで流れ方向及び幅方向の熱膨張・収縮を安定化できるが、一方で粘度の低下による発泡性の悪化と充填剤の分散性悪化による強度の低下が課題となる。
本発明一態様は、強度に優れ、且つ施工時の負担が少ない広幅で、軽量な化粧材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る化粧材は、上記目的を達成するため、基材と、基材に積層した化粧シートとからなる化粧材であって、基材は、熱可塑性樹脂と、鱗片状の充填剤とを含み、セルカ構造を有し、線膨張係数が流れ方向及び幅方向のうち、少なくとも幅方向において6.0×10-5以下であり、充填剤は、50~70重量%含まれ、基材は、曲げ強度が30MPa以上であり、曲げ弾性が2000~9000MPaの範囲内にある。
本発明の一態様に係る化粧材は、基材が、幅500mm以上、長さ500mm以上であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧材は、充填剤が、板面の平均径/厚みから算出される平均アスペクト比が10以上であることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る化粧材は、基材に、メルトフローレート(MFR)が300以上のオレフィン系エラストマーを、充填剤を除いた基材の重量に対し10~30重量%含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る化粧材は、基材に、歪硬化性を有するオレフィンを、充填剤を除いた基材の重量に対し3~10重量%含む。
本発明の一態様に係る化粧材は、基材に、メルトフローレート(MFR)が300以上のオレフィン系エラストマーを第1の添加剤とし、充填剤を除いた基材の重量に対し10~30重量%含むとともに、歪硬化性を有するオレフィンを第2の添加剤とし、充填剤を除いた基材の重量に対し3~10重量%含み、第1の添加剤と第2の添加剤との比率を5:1~1:1の範囲内としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、強度に優れ、且つ施工時の負担が少ない広幅で、軽量な化粧材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る化粧材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(化粧材10)
図1中、10は、化粧材である。
化粧材10は、大別すると、基材20と、基材20に積層した化粧シート30とからなる。基材20と、化粧シート30との間に位置するのは、両者を接合する接着層40である。
なお、化粧材10の各層の厚みの比率は、図1に限定されない。
【0011】
(基材20)
基材20は、熱可塑性樹脂及び鱗片状の充填剤を含み、セルカ構造を有するものである。
基材20は、図1に示すように、大別すると、発泡層22と、発泡層22の両面にそれぞれ位置する表層部21,21とから構成されている。
基材20の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリスチレン、ポリエスエル、ポリアミド、ポリオレフィン、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、エチレンビニルアセテート、シリコーンゴム、など各種を用いることができるが、木質基材の機械強度と耐水性の点でポリプロピレンが好適である。
【0012】
(化粧シート30)
化粧シート30は、ポリオレフィンや塩化ビニル系樹脂等の基材20と同じ素材のシートに木目や抽象柄等の意匠を施したものである。
化粧シート30は、図1に示すように、大別すると、意匠層31と、ラミネート32と、トップコート33とから構成されている。意匠層31は、シート基材あるいはシート基材に印刷により意匠を施したものである。前記シート基材は着色されていても良い。
化粧シート30の熱可塑性樹脂としては、特に限定するものではないが、化粧材10としてリサイクル性を考慮し、基材20と同じ素材のシートに木目に抽象柄等の意匠をほどこしたものが望ましい。
【0013】
(接着層40)
接着層40は、基材20の表層部21と、化粧シート30の意匠層31とを接合するものである。
接着層40に使用される接着材としては、特に限定するものではないが、2液ウレタン樹脂接着材等が使用可能である。
なお、接着層40は、基材20の表層部21と、化粧シート30の意匠層31との接着強度が十分に得られる場合には、省略することも可能である。
【0014】
(セルカ構造)
セルカ構造は、セルカプロセス(セルカ法)により得られる構造や、それと同等の構造のことである。
セルカプロセス(セルカ法)とは、冷却サイジング金型の入口寸法とほぼ同一若しくは若干小さめの出口寸法を有する押出金型を使用して、押出金型の出口と冷却サイジング金型の入口とをほぼ密着させた状態で、押出金型から発泡性の樹脂組成物を押し出すことで、発泡性の樹脂組成物を発泡が殆ど進行していない状態で冷却サイジング金型に導入して、主に該冷却サイジング金型の内部で発泡させる発泡押出成形法である。
セルカ構造は、上記方法による構造に限らず、少なくとも一部の表面が非発泡又は低発泡であり、芯部が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表面と芯部が同一組成の熱可塑性樹脂からなり、芯部と表面が連続構造を有していることが特徴である。
本実施の形態において、セルカ構造を採用したのは、セルカプロセスで成形した樹脂成形体は、切削や釘打ち等の加工性に優れ、表層部が形成されるため表面の平滑性や耐傷性が高く、また発泡体であるため軽量で施工の負担が小さく、断熱性が高いという特徴があるためである。
【0015】
(基材20の特性)
基材20は、曲げ弾性、曲げ強度等の機械強度に優れ、施工の負担が少ない広幅で、且つ軽量な床材であることが要求される。このことから、基材20は、幅500mm以上、長さ500mm以上であることが望ましい。基材20の幅が500mm未満や、長さが500mm未満であると、施工の負担が増大するためである。
基材20は、線膨張係数が流れ方向(MD)及び幅方向(TD)のうち、少なくとも幅方向(TD)において6.0×10-5以下であることが望ましい。
これにより、基材20の広幅化が可能となる。
なお、線膨張係数が流れ方向(MD)及び幅方向(TD)が共に6.0×10-5以下であってもよい。
【0016】
(基材20の材料配合)
基材20の材料配合は、鱗片状の充填剤が50~70重量%含まれていることが要求される。
これは、充填剤が50%以下では樹脂の線膨張係数が影響し、寸法安定性が低下するためである。70%を超えると充填剤の分散が悪くなり、曲げ強度が低下する他、溶融粘度が低下し発泡性が悪化するためである。
本実施形態では、基材20の材料配合として、鱗片状の充填剤が50~70重量%含ませていることで、発泡性と強度を損なうことなく、高い寸法の安定性を有する化粧材10を提供できる。
鱗片状の充填剤としては、タルクやマイカ、クレー、ベントナイト、シリカ、六方晶窒化ホウ素等の使用が好ましい。
【0017】
(鱗片状の充填剤のアスペクト比)
鱗片状の充填剤のアスペクト比は、10以上、好ましくは30以上であることが望ましい。アスペクト比は、鱗片状の充填剤の、板面の平均径/厚みから算出される値である。線膨張抑制のためにはアスペクト比の高い充填剤の使用が好ましい。
【0018】
(基材20の添加剤)
基材20は、熱可塑性樹脂及び鱗片状の充填剤のほか、一種類の添加剤、或いは複数種類の添加剤を添加している。
本実施形態では、次の添加剤を添加している。
なお、添加剤は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)第1の添加剤(以下、「添加剤1」ともいう。)
添加剤1としては、メルトフローレート(MFR)が300以上、好ましくは1000以上のオレフィン系エラストマーを、鱗片状の添加剤を除いた基材の重量に対し10~30重量%含む。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、樹脂の流動性を評価する方法の一つである(Melt Flow Rate,MFR)。
【0019】
メルトフローレートは、樹脂の試験材料(ペレット)をメルトフローインデクサーという試験装置へ装てんし、加熱して規定の重量で溶けた樹脂を流出させてその流れ出た樹脂量を計測して指標とし、試験方法はJIS,ISOで規定されてる。メルトフローレートの数値が大きい樹脂ほど流動性が良いと評価され、メルトフローレートが小さい樹脂は流れが悪いと評価される。
鱗片状の充填剤の配合比率が50%を超えるような高配合条件では曲げ強度が低下するため、鱗片状の充填剤の樹脂中の分散性が重要になる。分散性向上のため添加剤としてMFRの高い材料の利用が望ましい。
(2)第2の添加剤(以下、「添加剤2」ともいう。)
添加剤2としては、歪硬化性を有するオレフィンを、充填剤を除いた基材の重量に対し、3~10重量%含む。
鱗片状の充填剤の配合比率上昇に伴い、溶融粘度が低下し、基材20の発泡性が悪化するため、歪硬化性を有する樹脂を添加すると良い。
【0020】
(添加剤1と添加剤2の比率)
添加剤1と添加剤2の比率は、5:1~1:1が好ましい。
添加剤1の比率が高いと発泡性が悪化し、添加剤2の比率が高いと溶融粘度上昇により分散性が悪化するためである。
【0021】
(基材20の他の特性)
基材20の他の特性としては、次の通りである。
(1)曲げ弾性率
基材20の曲げ弾性率は、2000~9000MPaである。
曲げ弾性率が2000MPa未満では剛性や表面硬度が不足し、耐傷付き性や耐圧痕性が悪化するためである。曲げ弾性率が9000MPaを超えると基材が硬くなり、歩行感の悪化や、曲げ強度の低下が起こるためである。
(2)曲げ強度
基材20の曲げ強度は、30MPa以上である。
(3)発泡方法
基材20の発泡方法は、化学発泡、物理発泡、超臨界発泡等で発泡させることが好ましい。
(4)発泡構造
基材20の発泡構造は、独立発泡、連続発泡等で発泡させることが好ましい。
【0022】
(本実施形態の特徴)
本実施形態に係る化粧材10は、曲げ弾性、曲げ強度等の機械強度に優れ、施工の負担が少ない広幅で且つ軽量の床材を提供することを目的とする。
基材20の広幅化には、幅方向の線膨張抑制を高める必要がある
幅方向の線膨張抑制を高めるためには、高アスペクト比のフィラー(鱗片状の充填剤)を高充填する必要がある。
一方で、基材20が重くなるため発泡させる必要がある。解決策としては、高溶融張力樹脂(歪硬化性を有するオレフィン)を添加し、発泡性付与するのが効果的である。
また、基材20の強度が低下するため、界面改質剤の添加が必要である。解決策とし、例えば、オレフィン系エラストマーの添加で分散性を向上させ、曲げ弾性と曲げ強度低下を抑制するのが効果的である。
【実施例
【0023】
本実施形態を参照しつつ、以下、実施例1~10、並びに比較例1~9の化粧材について説明する。
(実施例1:ベース)
実施例1では、次の材料配合で二軸混錬機によって混合、ペレット化した。このペレットを重曹-クエン酸系発泡剤による化学発泡にて1.4倍に発泡させてセルカプロセスにより厚さ5mmの直方体形状に成形した。
(1)熱可塑性樹脂:ポリプロピレン 30重量部(wt%)
(2)鱗片状の充填剤:充填剤(マイカ) 60重量部(wt%)
アスペクト比は80である。
(3)添加剤1:オレフィン系エラストマー(以下、「エラストマー」ともいう。)
7重量部(wt%)
(4)添加剤2:分岐オレフィン 2重量部(wt%)
このとき、エラストマー/分岐オレフィンは「3.5」である。
(5)その他:マレイン酸変性ポリプロピレン 1重量部(wt%)
【0024】
(実施例2:アスペクト比低)
実施例2では、実施例1における充填剤のアスペクト比を、「80」から「10」に低下させた他は、実施例1と同じである。
【0025】
(実施例3:充填剤低)
実施例3~10は、実施例1における材料配合を変更したほかは実施例1と同じである。
まず、実施例3は、実施例1における充填剤の配合を「60重量部」から「50重量部」に低下させた。
なお、このとき、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「9重量部」に高め、分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「2.5重量部」に高め、その結果、「エラストマー/分岐オレフィン」が「3.5」から「3.6」に高まっている。
【0026】
(実施例4:充填剤高)
実施例4は、実施例3とは逆に、実施例1における充填剤の配合を「60重量部」から「70重量部」に高めた。
なお、このとき、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「5重量部」に低下させ、分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「1.5重量部」に低下させ、その結果、「エラストマー/分岐オレフィン」が「3.5」から「3.3」に低下した。
【0027】
(実施例5:エラストマー低)
実施例5は、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「4重量部」に低下させた。
なお、このとき、実施例1における分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「2.5重量部」に高め、その結果、「エラストマー/分岐オレフィン」が「3.5」から「1.6」に低下した。
(実施例6:エラストマー高)
実施例6は、実施例5とは逆に、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「12重量部」に高めた。
なお、このとき、実施例1における分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「2.5重量部」に高め、その結果、「エラストマー/分岐オレフィン」が「3.5」から「4.8」に高まった。
【0028】
(実施例7:分岐オレフィン低)
実施例7は、実施例1における分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「1.2重量部」に低下させた。
なお、このとき、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「5重量部」に低下させ、その結果、「エラストマー/分岐オレフィン」が「3.5」から「4.2」に高まった。
(実施例8:分岐オレフィン高)
実施例8は、実施例7とは逆に、実施例1における分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「4重量部」に高めた。
なお、このとき、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「5重量部」に低下させ、その結果、「エラストマー/分岐オレフィン」が「3.5」から「1.3」に低下した。
【0029】
(実施例9:エラストマー/分岐オレフィン低)
実施例9は、実施例1における「エラストマー/分岐オレフィン」を「3.5」から「1.0」に低下させた。
なお、このとき、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「4重量部」に低下させ、分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「4重量部」に高めた。
(実施例10:エラストマー/分岐オレフィン高)
実施例10は、実施例9とは逆に、実施例1における「エラストマー/分岐オレフィン」を「3.5」から「5.0」に高めた。
なお、このとき、実施例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「8重量部」に高め、分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「1.6重量部」に低下させた。
【0030】
(比較例1:アスペクト比低)
比較例1は、実施例1における充填剤のアスペクト比を、「80」から「9」に低下させた他は、実施例1と同じである。
(比較例2:充填剤低)
比較例2~9は、比較例1における材料配合を変更したほかは比較例1と同じである。
なお、変更時の他のパラメーターの変化については後段の表1に示す通りであり、説明を省略する。
まず、比較例2は、比較例1における充填剤の配合を「60重量部」から「40重量部」に低下させた。
(比較例3:充填剤高)
比較例3は、比較例2とは逆に、比較例1における充填剤の配合を「60重量部」から「80重量部」に高めた。
【0031】
(比較例4:エラストマー低)
比較例4は、比較例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「3重量部」に低下させた。
(比較例5:エラストマー高)
比較例5は、比較例4とは逆に、比較例1におけるエラストマーの配合を「7重量部」から「13重量部」に高めた。
(比較例6:分岐オレフィン低)
比較例6は、比較例1における分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「1重量部」に低下させた。
(比較例7:分岐オレフィン高)
比較例7は、比較例6とは逆に、比較例1における分岐オレフィンの配合を「2重量部」から「4重量部」に高めた。
(比較例8:エラストマー/分岐オレフィン低)
比較例8は、比較例1における「エラストマー/分岐オレフィン」を「3.5」から「0.8」に低下させた。
(比較例9:エラストマー/分岐オレフィン高)
比較例9は、比較例8とは逆に、比較例1における「エラストマー/分岐オレフィン」を「3.5」から「5.2」に高めた。
【0032】
(評価方法)
上記した実施例1~10及び比較例1~9について、(1)曲げ強度、(2)曲げ弾性、(3)MD(流れ方向)の線膨張係数、(4)TD(幅方向)の線膨張係数の4つの項目について評価した。
(熱膨張測定)
上記の実施例1~10及び比較例1~9について、線膨張係数の評価を行った。線膨張係数の評価は、熱機械分析装置TMA(製品名)を用い、10℃~70℃の温度域における線膨張係数を算出することによって行った。
【0033】
(判断基準及び判断結果)
曲げ強度は、実施形態で説明したように、30MPa以上を合格と考え、30MPa未満を不合格と考えた。
曲げ弾性率は、実施形態で説明したように、2000~9000MPaの範囲内を合格と考え、2000MPa未満、並びに9000MPaを超える場合を不合格と考えた。
線膨張係数は、MD(流れ方向)及びTD(幅方向)に分かれ、少なくとも幅方向が6.0×10-5以下の場合を合格と考え、6.0×10-5を超えている場合に不合格と考えた。
評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
(曲げ強度について)
曲げ強度については、表1に示すように、実施例1~10のすべての曲げ強度が、30MPa以上で、合格であった。
これに対し、比較例1~9については、比較例1、比較例2及び比較例9の3個が曲げ強度が30MPa以上で、合格あった。
しかし、残る比較例3~8は、曲げ強度が30MPa未満で、不合格であり、曲げ強度が不足していた。比較例3では、充填剤の配合が「80重量部」で高すぎたものと推測できる。比較例4では、エラストマーの配合が「3重量部」で低すぎたものと推測できる。比較例6では、分岐オレフィンの配合が「1重量部」で低すぎたものと推測できる。比較例7では、エラストマーの配合が「8重量部」で低すぎたものと推測できる。比較例8では「エラストマー/分岐オレフィン」が「0.8」で低すぎたものと推測できる。
【0036】
(曲げ弾性について)
曲げ弾性については、実施例1~10のすべての曲げ弾性が2000~9000MPaの範囲内で、合格であった。
これに対し、比較例1~9については、比較例1、比較例2、比較例4及び比較例6~8の曲げ弾性が2000~9000MPaの範囲内で、合格であった。
しかし、残る比較例3、比較例5及び比較例9は、2000MPa未満、或いは9000MPaを超え、不合格であった。比較例3では、充填剤の配合が「80重量部」で高すぎたものと推測できる。比較例9では、「エラストマー/分岐オレフィン」が「5.2」で高すぎたものと推測できる。
【0037】
(MD・TDの線膨張係数)
MD・TDの線膨張係数については、実施例1~10のすべての線膨張係数が6.0×10-5以下で、合格であった。
これに対し、比較例1~9については、比較例3~9の線膨張係数が6.0×10-5以下で、合格であった。
しかし、残る比較例1及び比較例2は、6.0×10-5を超え、不合格であった。比較例1では、充填剤のアスペクト比が「9」で低すぎたものと推測できる。比較例2では、充填剤の配合が「40重量部」で低すぎたものと推測できる。
【0038】
(総合評価)
実施例1~10のうち、実施例6は、エラストマーの配合が「12重量部」であり、先に説明した実施形態において好ましいとした10~30重量%の範囲内にあり、その結果、線膨張係数が6.0×10-5以下であり、しかも低い数値に収まっていた。
また、実施例1~10のうち、実施例8及び6は、分岐オレフィンの配合が共に「4重量部」であり、実施形態において好ましいとした3~10重量%の範囲内にあり、その結果、線膨張係数が6.0×10-5以下であり、しかも低い数値に収まっていた。
総合すると、(1)~(4)の4つの項目のすべてを満たすものは、実施例1~10のものだけであった。
【符号の説明】
【0039】
10 化粧材
20 基材
21 表層部
22 発泡層
30 化粧シート
31 意匠層
32 ラミネート
33 トップコート
40 接着層
図1