(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241001BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2020101954
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 暢
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041057(JP,A)
【文献】特開2020-066478(JP,A)
【文献】特開2017-156583(JP,A)
【文献】特開2019-086586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
13/20
13/34
15/00
15/02
15/14-15/16
15/20
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に担持された画像を記録媒体へ転写するための転写ニップを形成する転写部材と、
前記記録媒体に前記画像を定着させる定着装置と、
前記転写部材よりも記録媒体搬送方向の下流側に設けられ、前記記録媒体を前記定着装置へ向けて送り込む搬送部材と、
温度及び湿度を検出する温度湿度検出部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送部材の位置を可変制御し、
前記制御部の制御により生じる前記搬送部材の変位は、当該搬送部材を通過する前記記録媒体の面に垂直な方向成分を有し、
前記制御部は、
前記温度湿度検出部より検出された温度及び湿度が、温度と湿度の2次元グラフにおいて予め設定された複数の領域のうち、どの領域に属するか特定し、領域ごとに設定された前記搬送部材により前記定着装置に送り込む前記記録媒体の物性と形成画像のカバレッジとに応じ
た前記搬送部材の高さの対応表のうち、特定された領域の対応する対応表を適用して前記搬送部材の高さを制御する画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体の物性を検出する物性検出部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向に直交する記録媒体幅方向の前記搬送部材の両端部の位置を互いに独立して制御する請求項1
又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送部材の上流に前記記録媒体の浮き量を検出する浮き量検出部を有し、
前記制御部は、前記浮き量検出部の検出値に基づいて、前記搬送部材の位置を制御する請求項1から請求項
3のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記浮き量検出部は、前記記録媒体の搬送方向に直交する記録媒体幅方向について少なくとも異なる2以上の位置で、前記記録媒体の浮き量を検出可能とされ、
前記制御部は、前記浮き量検出部の検出値に基づいて、前記記録媒体幅方向の前記搬送部材の両端部の位置を互いに独立して制御する請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送部材は、回転部材である請求項1から請求項
5のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写部材と前記搬送部材とが搬送ベルトを共有する方式である請求項1から請求項
6のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、中間転写ベルトなどに担持されたトナー画像を記録媒体に転写した後、当該記録媒体を定着装置の定着ニップに送り込むことが行われる。
このとき、定着ニップに記録媒体が斜行しながら突入することで、記録媒体が歪み、定着上部材(ベルト、上ガイド等)に接触することで記録媒体端部にスジ状のしわ(にじみ)が発生してしまう。
特許文献1に記載の発明にあっては、両面通紙時において、2面目は1面目よりも2次転写ローラーへの印加電圧を増大させ、かつ定着装置に対して、離れる方向に2次転写ローラーを移動させて用紙を搬送させることで、定着ニップへの突入を安定させる。
特許文献2に記載の発明にあっては、両面通紙時において、2面目が定着進入ガイドに突入してきた際にカール量を検知して、用紙状態に合わせて、ガイドの位置や形状を変え、用紙を搬送させることで、定着ニップへの突入を安定させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-253019号公報
【文献】特開2019-86586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薄紙など記録媒体の剛度によっては定着装置への搬送位置が不安定となり、定着ニップに斜行して突入し、にじみが発生してしまうことがある。ある剛度の記録媒体にとって最適化しても、他の剛度の記録媒体のときに定着装置への搬送位置が不安定となり、定着ニップに斜行して突入し、にじみが発生してしまうことがある。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、画像形成装置において画像の記録媒体への転写性を変化させることなく、定着装置への搬送性を安定させ、画質を良好に維持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に担持された画像を記録媒体へ転写するための転写ニップを形成する転写部材と、前記記録媒体に前記画像を定着させる定着装置と、前記転写部材よりも記録媒体搬送方向の下流側に設けられ、前記記録媒体を前記定着装置へ向けて送り込む搬送部材と、温度及び湿度を検出する温度湿度検出部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部材の位置を可変制御し、前記制御部の制御により生じる前記搬送部材の変位は、当該搬送部材を通過する前記記録媒体の面に垂直な方向成分を有し、前記制御部は、前記温度湿度検出部より検出された温度及び湿度が、温度と湿度の2次元グラフにおいて予め設定された複数の領域のうち、どの領域に属するか特定し、領域ごとに設定された前記搬送部材により前記定着装置に送り込む前記記録媒体の物性と形成画像のカバレッジとに応じた前記搬送部材の高さの対応表のうち、特定された領域の対応する対応表を適用して前記搬送部材の高さを制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置において画像の記録媒体への転写性を変化させることなく、定着装置への搬送性を安定させ、画質を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】記録媒体への転写部及び定着装置の主要構成を示す模式図である。
【
図2】画像形成装置の主要な機能的構成を示したブロック図である。
【
図3】浮き量検出部を説明するための記録媒体への転写部及び定着装置の主要構成を示す模式図である。
【
図4】浮き量検出部を説明するための記録媒体の断面図及び平面図である。
【
図5】記録媒体の分離性を説明するための記録媒体への転写部及び定着装置の主要構成を示す模式図である。
【
図6】制御部が適用する各条件と搬送部材の高さの対応表である。
【
図7】制御部が適用する各条件と搬送部材の高さの対応表である。
【
図8】温度と湿度の2次元グラフで環境を3分割したものである。
【
図9】制御部が適用する各条件と搬送部材の高さの対応表である。
【
図10】制御部が適用する各条件と搬送部材の高さの対応表である。
【
図11】記録媒体及び搬送部材と定着ニップとの位置関係を示す模式図である。
【
図12】記録媒体及び搬送部材と定着ニップとの位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0010】
本実施形態は以下の構成を含む電子写真方式の画像形成装置である。
図1は、本実施形態の画像形成装置における記録媒体(用紙)への転写部及び定着装置の主要構成を示す模式図である。
図2は、本実施形態の画像形成装置の主要な機能的構成を示したブロック図である。
本実施形態の画像形成装置100は、制御部10と、画像形成部20と、定着装置4と、剛度検出部5cと、温度湿度検出部6と、浮き量検出部7とを備える。
画像形成装置100の制御部10は、画像形成部20と、定着装置4とを含め画像形成装置100の全体制御を司る。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13等を備える。CPU11は、ROM12から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
電子写真方式の画像形成部20は、感光体ドラム23に静電潜像を描画する露光装置21、当該静電潜像をトナー画像に現像する現像部22、感光体ドラム23からトナー画像が転写される像担持体としての中間転写ベルトB1、中間転写ベルトB1に担持されたトナー画像を記録媒体S(Sa,Sb)へ転写(2次転写)するための転写ニップ1nを形成する転写部材1(1a+B2)、転写部材1よりも記録媒体Sの搬送方向の下流側に設けられ、記録媒体Sを定着装置4へ向けて送り込む搬送部材2(2a+B2)、その他帯電装置、クリーニング装置等の周知の構成を含む。画像形成装置100には、他に画像読取部、操作表示部、画像データを処理する画像処理部、用紙搬送部(レジストローラー5a,5bを含む。)、記憶部、通信部等が適宜に含まれる。
【0011】
転写部材1は、転写ローラー1aと、これに掛けられた搬送ベルトB2とからなる。 搬送部材2は、駆動ローラー2aと、同じく搬送ベルトB2とからなる。転写部材1と搬送部材2とが搬送ベルトB2を共有する方式である。搬送ベルトB2は、転写部材1として機能する位置と搬送部材2として機能する位置とを巡回する。搬送ベルトB2が転写部材1として機能する位置は転写ニップ1n、搬送部材2として機能する位置は、転写ニップ1nより下流から駆動ローラー2aに接する範囲までである。
搬送ベルトB2が、転写ローラー1aと、駆動ローラー2aと、テンションプーリー3aとに巻回され、駆動ローラー2aの回転により搬送ベルトB2が走行駆動される。
【0012】
搬送部材2は、昇降駆動部2bにより位置が昇降される。直接的には駆動ローラー2aの軸の両端が一斉又は端部ごと独立に昇降されることで、搬送部材2として機能する位置にある搬送ベルトB2の上面も上下に移動する。駆動ローラー2aの軸が端部ごと独立に昇降される構成にあっては、制御部10は、記録媒体Sの搬送方向に直交する記録媒体幅方向FRの搬送部材2の両端部の位置(高さ)を互いに独立して制御する。
【0013】
制御部10が昇降駆動部2bに制御信号を出力し搬送部材2の位置を可変制御する。本実施形態では制御される高さレベルを
図1に示すように高い方からH1,H2,H3とする。このように制御部10の制御により生じる搬送部材2の変位は、当該搬送部材2を通過する記録媒体Sの面に垂直な方向成分を有するものとする。同変位は必ずしも上下方向に限られず、記録媒体Sの搬送部材2からの分離性のバラつきを補償して定着装置4への搬送位置を一定範囲に補正するための変位である。
以上のように搬送部材2は回転部材であり、少なくとも記録媒体Sに対して搬送力を奏する部材である。搬送部材2を搬送ローラー単独としてもよいし、転写部材から独立した搬送ベルトとしてもよい。
【0014】
定着装置4は、定着前ガイド4a、定着進入ガイド4bの2つの定着ガイド部材によって記録媒体Sを案内し、定着ニップ4nに進入させる。定着ガイド部材は一体でもよい。
【0015】
剛度検出部5cは、記録媒体Sの物性を検出する物性検出部の1種である。剛度検出部5cは、記録媒体Sの剛度を検出する。剛度検出部5cの構成例としては、
図1に示すようにレジストローラー5aをバネにより支持しておき、記録媒体Sが衝突した時にレジストローラー5aに生じる振動を検出する加速度センサを適用することができる。
剛度検出部5cは、転写ニップ1nへ向けての搬送が始まっている記録媒体Sを対象にその剛度を測定する。したがって、剛度検出部5cは、画像形成対象の記録媒体Sの剛度を個別に検出するものである。
また、剛度検出部5cは、記録媒体Sが搬送部材2に到達する前に、当該記録媒体Sの剛度を検出する。したがって、記録媒体Sが搬送部材2に到達する前に、制御部10が搬送部材2の高さを制御できる。
【0016】
温度湿度検出部6は、記録媒体Sが置かれる環境の温度及び湿度を検出する。
浮き量検出部7は、搬送部材2の上流に設けられ、記録媒体Sの浮き量を検出する。浮き量検出部7は、光学式距離センサ等が適用され、
図3に示すように転写ニップ1nより下流の記録媒体Sの搬送ベルトB2からの浮き量を検出する。浮き量は記録媒体Sが無い場合に搬送ベルトB2の面を測定したときの測定値を基準としてもよい。
また、
図4に示すように浮き量検出部7は、記録媒体Sの搬送方向に直交する記録媒体幅方向FRについて少なくとも異なる2以上の位置で、記録媒体Sの浮き量を検出可能とされていてもよい。
図4に示す2点での測定のほか、3点以上の多点で測定可能な構成を実施してもよい。
【0017】
動作の流れは次の通りである。
記録媒体Sの先端がレジストローラー5a,5bに突き当たって一旦停止し、中間転写ベルトB1の画像送りと同期した所定のタイミングで、記録媒体Sがレジストローラー5a,5bを通過し、転写ニップ1nに送られる。
記録媒体Sは転写ニップ1nを通過することで、中間転写ベルトB1に担持されたトナー画像が転写される。
トナー画像が転写された記録媒体Sが、搬送部材2によって定着装置4へ送り込まれ、まず定着前ガイド4aに当たり、定着前ガイド4a及び定着進入ガイド4bによって案内され、定着ニップ4nに進入する。
記録媒体Sが定着前ガイド4aに当たる前、搬送部材2によって記録媒体Sを定着装置4へ送り込む際には、制御部10は、搬送部材2を適切な高さに制御し、記録媒体Sを適切な角度で定着前ガイド4aに接触させて円滑に定着装置4へ送り込む。
【0018】
図5に示すように駆動ローラー2aの曲率と記録媒体Sの剛性によって、搬送ベルトB2から記録媒体Sは分離されるが、記録媒体Sの剛度によって分離性が変わるため、坪量等で搬送ベルトB2から定着前ガイド4aに着地するポイントがバラバラとなる。ある剛度の記録媒体Scで高さをチューニングしても別な剛度の記録媒体Sdにおいて、定着前ガイド4aに不安定に着地し、定着ニップ4nに斜行して突入し、にじみが発生してしまうことがある。
【0019】
そこで、制御部10による可変制御により、搬送部材2の高さを記録媒体Sの物性等の条件に合わせて変更する。すなわち、制御部10は、搬送部材2により定着装置4に送り込む記録媒体Sの物性等に応じて、搬送部材2の位置を制御する。これにより、定着前ガイド4aへの着地点を安定させ、定着前ガイド4aから定着進入ガイド4bにならって記録媒体Sを搬送させ、定着ニップ4nへの突入をスムーズにする。その結果、画質を良好に維持する。
【0020】
制御部10による搬送部材2の位置制御の具定例は以下の通りである。
(制御例1)
まず、制御例1を説明する。
制御部10は、記録媒体Sの坪量、形成画像のカバレッジおよび片面/両面印刷の違いによって、搬送部材2の高さ位置をH1-H3から選択して決定する。
カバレッジはトナーの厚み分により、両面時は一度定着ニップ1nを通過することで剛度が上がる。上記で説明した通り、剛度が変わるため、定着前ガイド4aへの着地ポイントが変わる。制御部10は、各条件によって搬送部材2を適切な位置に可変制御することで、定着前ガイド4aへの着地ポイントを安定させる。
制御部10が適用する各条件と搬送部材2の高さの対応表を
図6,7に示す。
図6は、坪量、カバレッジ、side1/2を条件項目とする。side1は、最初の1面印刷時、side2は両面印刷の2面目の印刷時である。
図7は、坪量に代え、剛度検出部5cで検出した曲げ剛度を条件として適用しており、その他は
図6と同じ条件項目である。
このような
図6又は
図7に示す対応表に従って制御部10が搬送部材2の高さ位置をH1-H3から選択して決定する。これにより、定着前ガイド4aへの着地点を安定させ、定着前ガイド4aから定着進入ガイド4bにならって記録媒体Sを搬送させ、定着ニップ4nへの突入をスムーズにする。その結果、画質を良好に維持する。
【0021】
(制御例2)
上記制御例1に加えて本制御例2を実施する。
温度と湿度によって記録媒体Sの剛度が変化するため、記録媒体Sの定着装置4への進入時の姿勢も変化する。
図8に示すように温度と湿度の2次元グラフ上の領域を3環境に分割する。
制御部10は温度湿度検出部6により検出された検出値に基づいて、次のように搬送部材2の位置を制御する。
制御部10は、温度湿度検出部6により検出した温度、湿度が環境2に相当する場合は、
図6,7の対応表を適用し、環境1に相当する場合は
図9の対応表、環境3に相当する場合は、
図10の対応表をそれぞれ適用し、搬送部材2の高さ位置を選択する。
これにより、温度、湿度が変わっても、定着前ガイド4aへの着地点を安定させ、定着前ガイド4aから定着進入ガイド4bにならって記録媒体Sを搬送させ、定着ニップ4nへの突入をスムーズにする。その結果、画質を良好に維持する。
【0022】
(制御例3)
制御例3につき説明する。
制御部10は、浮き量検出部7の検出値に基づいて、搬送部材2の位置を制御する。具体的には浮き量が大きいほど、搬送部材2の位置を下げる。これにより、定着前ガイド4aへの着地点を安定させ、定着前ガイド4aから定着進入ガイド4bにならって記録媒体Sを搬送させ、定着ニップ4nへの突入をスムーズにする。その結果、画質を良好に維持する。
図11に示すように搬送部材2に対する記録媒体Sの浮き量が両端部で同じ程度の場合は、制御部10は、定着ニップ4nに対し搬送部材2を平行にして搬送部材2を昇降する。
図12に示すように搬送部材2に対する記録媒体Sの浮き量が両端部で非対称な場合は、制御部10は、このような浮き量検出部7の検出値に基づいて、記録媒体幅方向FRの搬送部材2の両端部の位置を互いに独立して制御する。具体的には、定着ニップ4nに対する両端部の位置の不均衡が軽減されるように搬送部材2を定着ニップ4nに対して傾斜した姿勢とし、高さ位置も適切に制御する。
図12では、F側をR側より下げる。これにより、記録媒体Sの浮き量が左右で異なっていても、定着前ガイド4aへの着地点を安定させ、定着前ガイド4aから定着進入ガイド4bにならって記録媒体Sを搬送させ、定着ニップ4nへの突入をスムーズにする。その結果、画質を良好に維持する。
【0023】
以上のように搬送部材2の位置を変化させても転写ニップ1nの形状を保持するから、画像の記録媒体への転写性を変化させることはない。したがって、画像の記録媒体への転写性を変化させることなく、定着装置4への搬送性を安定させ、画質を良好に維持することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更、省略、組合せを加えたものを含む。
以上の位置制御は、各検出部の検出値に基づいて制御値を算出する方法であってもよいし、検出値と制御値との関係を示すテーブルを予め備え、検出値を基にテーブルを参照して制御値を決定する方法であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 転写部材
1a 転写ローラー
1n 転写ニップ
2 搬送部材
2a 駆動ローラー
2b 昇降駆動部
3a テンションプーリー
4 定着装置
4a 定着前ガイド
4b 定着進入ガイド
4n 定着ニップ
5a,5b レジストローラー
5c 剛度検出部
6 温度湿度検出部
7 浮き量検出部
10 制御部
20 画像形成部
100 画像形成装置
B1 中間転写ベルト
B2 搬送ベルト
S 記録媒体