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特許7563006電力管理システム、電力管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電力管理システム、電力管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20241001BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241001BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241001BHJP
   H02J 3/28 20060101ALI20241001BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/28
H02J3/38 130
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020114127
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012339
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100206966
【弁理士】
【氏名又は名称】崎山 翔一
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼口 謙一
(72)【発明者】
【氏名】小熊 祐司
(72)【発明者】
【氏名】稲村 彰信
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-129852(JP,A)
【文献】特開2019-176561(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026010(WO,A1)
【文献】特開2015-192586(JP,A)
【文献】特開2018-011494(JP,A)
【文献】特開2016-152644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0278107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/32
H02J 13/00
H02J 3/28
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の入射に応じて発電する複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御を行う制御部と、
前記複数の太陽光発電ユニットのうち前記少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットと異なる第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、前記制御部による前記制御が解除された場合における前記複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定する推定部と、を備える、電力管理システム。
【請求項2】
前記複数の太陽光発電ユニットは、複数の第1太陽光発電ユニットを含んでおり、
前記制御部は、前記複数の第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の合計値の抑制を制御し、
前記推定部は、前記取得部によって取得された前記第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、前記制御部による前記抑制が解除された場合における前記複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定する、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記第2太陽光発電ユニットは、前記複数の太陽光発電ユニットが配置された領域の中央に配置されている、請求項1又は2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記複数の太陽光発電ユニットは、1つのマイクログリッド内に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記複数の太陽光発電ユニットは、半径10キロメートル以下の領域に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量と前記制御部による前記制御が解除された場合における前記複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値との関係を示す情報を予め記憶している記憶部をさらに備え、
前記推定部は、前記記憶部に記憶された情報と、前記取得部によって取得された前記第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量と前記記憶部に記憶された情報とに基づいて、前記制御部による前記制御が解除された場合における前記複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電力管理システム。
【請求項7】
太陽光の入射に応じて発電する複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御を行うことと、
前記複数の太陽光発電ユニットのうち前記少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットと異なる第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量を取得することと、
取得された前記第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、前記制御が解除された場合における前記複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定することと、を有する、電力管理方法。
【請求項8】
太陽光の入射に応じて発電する複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御を行うことと、
前記複数の太陽光発電ユニットのうち前記少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットと異なる第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量を取得することと、
取得された前記第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、前記制御が解除された場合における前記複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定することと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力管理システム、電力管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然界のエネルギを利用した発電に関し、太陽光発電の電力管理システムが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。太陽光発電には、太陽光発電パネルを有する太陽光発電設備が用いられる。特許文献1及び2には、この太陽光発電設備の発電電力量の変動を考慮し、太陽光発電設備の設備利用率を向上する電力管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-154334号公報
【文献】国際公開第2017/179178号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力供給において電圧又は周波数などの品質を確保するため、太陽光発電設備における発電電力量の変動に対応した種々の調整が求められる。たとえば、太陽光発電設備自体の調整、太陽光発電設備に接続された蓄電装置及び電気ボイラなどの負荷設備の調整、並びに、太陽光発電設備に接続された他の電力系統の調整などが、太陽光発電設備における発電電力量の変動に応じて行われる。
【0005】
太陽光発電設備が複数の太陽光発電ユニットを有している場合、上述した調整には、太陽光発電設備全体における発電電力量として、全ての太陽光発電ユニットにおける発電電力量の合計値を推定することが求められる。しかしながら、太陽光発電は、時間、天候、及び季節といった周囲環境の影響を受けやすい。例えば、各太陽光発電ユニットの発電電力量は、発電定格の50%以上の変動が数秒で生じることもあり得る。気象予測を考慮して負荷設備及び他の電力系統を調整する場合に、気象予測が外れることもあり得る。これらの場合、負荷設備の許容量の超過又は意図しない他の電力系統への逆潮流のリスクは無視できない。このように、太陽光発電設備全体における発電電力量の厳密な推定は困難であり、逆潮流などのリスクを回避すると共に電力供給の品質を確保した上記調整は容易ではない。
【0006】
上記リスクを懸念して、太陽光発電設備における複数の太陽光発電ユニットの稼働率を低減しすぎれば、太陽光発電設備全体の設備利用率が必要以上に低下する。特許文献1及び特許文献2に記載されている電力管理システムであっても、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度が低ければ、太陽光発電設備の設備利用率のさらなる向上は望めない。
【0007】
本開示は、太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度が向上され得る電力管理システム、電力管理方法、及びプログラムを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の電力管理システムは、太陽光の入射に応じて発電する複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御を行う制御部と、複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットと異なる第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量を取得する取得部と、取得部によって取得された第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、制御部による制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定する推定部と、を備える。
【0009】
この電力管理システムでは、複数の太陽光発電ユニットのうちの第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定する。この場合、第2太陽光発電ユニットは複数の太陽光発電ユニットに含まれる太陽光発電ユニットであり、当該太陽光発電ユニット自体における発電電力量に基づいて複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値が推定されている。このため、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度が向上され得る。
【0010】
上記電力管理システムでは、複数の太陽光発電ユニットは、複数の第1太陽光発電ユニットを含んでいてもよい。制御部は、複数の第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の合計値の抑制を制御してもよい。推定部は、取得部によって取得された第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、制御部による上記抑制が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定してもよい。この構成によれば、複数の第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の合計値が抑制される構成において、太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度が向上され得る。
【0011】
上記電力管理システムでは、第2太陽光発電ユニットは、複数の太陽光発電ユニットが配置された領域の中央に配置されていてもよい。この構成によれば、中央に配置された第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量の推定が行われる。このため、第2太陽光発電ユニットが受ける日射量と他の太陽光発電ユニットが受ける日射量との差が、低減される。したがって、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度がより向上される。
【0012】
上記電力管理システムでは、複数の太陽光発電ユニットは、1つのマイクログリッド内に配置されていてもよい。この構成によれば、複数の太陽光発電ユニットは、1つのマイクログリッドが実現可能な領域に配置される。このため、第2太陽光発電ユニットと他の太陽光発電ユニットとの間において、気候などの周囲の環境に応じた発電電力量の変動差が低減される。したがって、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度がより向上される。
【0013】
上記電力管理システムでは、複数の太陽光発電ユニットは、半径10キロメートル以下の領域に配置されていてもよい。この構成によれば、複数の太陽光発電ユニットは、限られた領域範囲に配置される。このため、第2太陽光発電ユニットと他の太陽光発電ユニットとの間において、気候などの周囲の環境に応じた発電電力量の変動差が低減される。したがって、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度がより向上される。
【0014】
上記電力管理システムは、記憶部をさらに備えていてもよい。記憶部は、第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量と制御部による上記制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値との関係を示す情報を予め記憶していてもよい。推定部は、記憶部に記憶された情報と、取得部によって取得された第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量と記憶部に記憶された情報とに基づいて、制御部による制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定してもよい。この場合、複数の太陽光発電設備全体における発電電力量が容易に推定される。
【0015】
本開示の電力管理方法は、太陽光の入射に応じて発電する複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御を行うことと、複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットと異なる第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量を取得することと、取得された第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、制御部による制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定することと、を有する。
【0016】
本開示のプログラムは、太陽光の入射に応じて発電する複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットにおける発電電力量の制御を行うことと、複数の太陽光発電ユニットのうち少なくとも1つの第1太陽光発電ユニットと異なる第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量を取得することと、取得された第2太陽光発電ユニットにおける発電電力量に基づいて、制御部による制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニットの発電電力量の合計値を推定することと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の電力管理システム、電力管理方法、及びプログラムによれば、太陽光発電設備全体における発電電力量の推定精度が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態の電力管理システムの概略図である。
図2図2は、太陽光発電設備を説明するための図である。
図3図3は、複数の太陽光発電設備の配置を説明するための図である。
図4図4は、実施形態の電源管理システムのブロック図である。
図5図5は、管理装置が実施する処理のフローチャートである。
図6図6は、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本開示の電力管理システムを実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
まず、図1を参照して、電力管理システム1の概略構成について説明する。図1は、電力管理システム1の概略図である。電力管理システム1は、1又は複数のマイクログリッド100に用いられる。本実施形態において、電力管理システム1は、図1に示されているように、1つのマイクログリッド100に用いられる。電力管理システム1は、マイクログリッド100において、管理装置2と、電力系統接続装置3と、太陽光発電設備4と、負荷設備5と、需要家6と、これらを接続する送電網と、を含む。マイクログリッド100では、太陽光発電設備4が出力する電力を、負荷設備5及び需要家6が消費する。以下の説明において、このような電力の供給と需要との関係を、いわゆる「地産地消」と称する。
【0021】
電力管理システム1は、例えば、太陽光発電設備4の発電電力と負荷設備5の負荷電力とを制御する。換言すれば、電力管理システム1は、発電電力量と負荷電力量との調整を行う。電力管理システム1は、例えば、マイクログリッド100において、太陽光発電設備4が発電する発電電力量と、負荷設備5及び需要家6の負荷電力量と、が等しくなるように運用する。電力管理システム1は、基本的に、発電電力量が負荷電力量を上回ることがないように、発電電力量と負荷電力量とを調整する。本実施形態のマイクログリッド100において、要求される電力が太陽光発電設備4によって賄われる。
【0022】
本実施形態において、電力管理システム1は、電力系統200に接続されている。この場合には、マイクログリッド100は、不足する電力を電力系統200から受けることができる。すなわち、マイクログリッド100において要求される電力の一部が、電力系統200から供給され得る。
【0023】
マイクログリッド100から電力系統200への電力の流出(いわゆる逆潮流)は、電力系統200の管理者との契約によって制限される場合がある。たとえば、電力系統200における高圧配電系統の空き容量が不足しているという事情によって、逆潮流が禁止される。このため、本実施形態では、電力管理システム1は、基本的に逆潮流を発生させない。すなわち、マイクログリッド100において、発電された全ての電力が、負荷設備5及び需要家6によって消費される。
【0024】
本実施形態において、電力管理システム1は、マイクログリッド100の運用形態を柔軟に変更できるように構成されている。電力管理システム1は、電力系統200への逆潮流を発生することできるように構成されている。このため、電力管理システム1は、マイクログリッド100の運用形態の変更によって、例外的に逆潮流を発生させることができる。例えば、マイクログリッド100において発電された電力の一部が、電力系統200に逆潮流されてもよい。
【0025】
管理装置2は、種々の情報に基づいて、電力系統接続装置3と、太陽光発電設備4と、負荷設備5とを管理する。管理装置2は、電力系統接続装置3、太陽光発電設備4、及び、負荷設備5のそれぞれに接続されており、それぞれに制御指令を送信する。換言すれば、管理装置2は、送信する制御指令によって、電力系統接続装置3、太陽光発電設備4及び負荷設備5のそれぞれの動作を制御する。
【0026】
電力系統接続装置3は、太陽光発電設備4と、負荷設備5と、需要家6と、管理装置2とに接続されている。電力系統接続装置3は、管理装置2からの制御指令に応じて、負荷設備5及び需要家6へ送る電力を中継する。本実施形態において、電力系統接続装置3は、さらに電力系統200に接続されている。例えば、電力系統接続装置3は、管理装置2からの制御指令に応じて、電力系統200から提供される電力を調整する。例えば、電力系統接続装置3は、管理装置2からの制御指令に応じて、太陽光発電設備4からの電力を電力系統200へ送る。例えば、電力系統接続装置3は、太陽光発電設備4と負荷設備5との間の送電線に設けられている。電力系統接続装置3は、接続部3aと、逆潮流測定部3bと、購入電力測定部3cと、を含む。
【0027】
接続部3aは、太陽光発電設備4と負荷設備5との間の送電線に設けられている。接続部3aは、例えば、太陽光発電設備4からの電力を受ける入力端と、電力系統200からの電力を受ける入力端と、負荷設備5へ電力を出力する出力端と、電力系統200へ電力を出力する出力端と、を含む。
【0028】
逆潮流測定部3bは、電力系統200へ電力を出力する出力端に接続されている。逆潮流測定部3bは、太陽光発電設備4から電力系統200への逆潮流の電力を測定する。逆潮流測定部3bは、逆潮流の電力を連続的に測定する。逆潮流測定部3bは、逆潮流の電力のデータを管理装置2に送信する。逆潮流測定部3bは、例えば電力計である。
【0029】
購入電力測定部3cは、電力系統200からの電力を受ける入力端に接続されている。購入電力測定部3cは、電力系統200からの購入電力を測定する。購入電力測定部3cは、購入電力を連続的に測定する。購入電力測定部3cは、購入電力のデータを管理装置2へ送信する。購入電力測定部3cは、例えば電力計である。
【0030】
太陽光発電設備4は、電力系統接続装置3を通して、負荷設備5と需要家6とに発電した電力を供給する。太陽光発電設備4は、複数の太陽光発電ユニット10を含む。太陽光発電設備4は、管理装置2からの制御指令に応じて、複数の太陽光発電ユニット10を制御する。例えば、太陽光発電設備4は、管理装置2からの制御指令に応じて、複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量を調整する。本実施形態において、複数の太陽光発電ユニット10は、全て、1つのマイクログリッド100内に配置されている。
【0031】
負荷設備5及び需要家6は、電力系統接続装置3を介して、太陽光発電設備4に接続されている。負荷設備5は、蓄電装置21と、水素製造装置22と、熱発生装置23と、を有している。負荷設備5は、太陽光発電設備4から受けた電力を利用して、蓄電装置21と、水素製造装置22と、熱発生装置23において所望の動作を行う。需要家6は、太陽光発電設備4から受けた電力を所望の用途に使用する。負荷設備5及び需要家6は、それぞれの負荷電力を示す情報を管理装置2へ送信する。
【0032】
蓄電装置21は、太陽光発電設備4に接続されている。蓄電装置21は、太陽光発電設備4により発電された電力を充放電する。蓄電装置21は、管理装置2の制御指令に応じて充放電を行う。蓄電装置21は、例えば定置型の蓄電装置である。蓄電装置21は、例えばリチウムイオン電池(LiB)である。
【0033】
水素製造装置22は、太陽光発電設備4により発電された電力によって水素を製造する。水素製造装置22は、例えば水を電気分解することにより水素を製造する水電解装置と、製造された水素を貯蔵する貯蔵装置と、を有している。水素製造装置22は、電力管理システム1の制御指令に応じて、水素の製造量を増減する。水素製造装置22により製造された水素は、例えば燃料電池車V又は燃料電池発電装置B等へ供給される。水素製造装置22により製造された水素は、例えば他のエネルギキャリアCに転換及び貯蔵されてもよい。
【0034】
熱発生装置23は、太陽光発電設備4により発電された電力によって熱を発生する。熱発生装置23は、例えば電気ボイラである。熱発生装置23は、例えば水を加熱することにより水蒸気を生成する。熱発生装置23は、電力管理システム1の制御指令に応じて、熱の発生量を増減する。熱発生装置23により生成された水蒸気は、例えば熱として乾燥設備Wへ供給される。熱発生装置23により生成された水蒸気は、バイオ燃料製造装置等へ供給されてもよい。
【0035】
このように、負荷設備5は、蓄電装置21、水素製造装置22及び熱発生装置23によって、太陽光発電設備4により発電された電力のエネルギを変換する。負荷設備5は、変換されたエネルギを貯蔵又は供給する。
【0036】
次に、図2及び図3を参照して、太陽光発電設備4の構成についてさらに詳細に説明する。図2は、太陽光発電設備を説明するための概略図である。図3は、太陽光発電ユニットの配置を説明するための図である。図2に示すように、太陽光発電設備4は、複数の太陽光発電ユニット10に加えて、接続線11と、出力線12と、を含む。各太陽光発電ユニット10の出力端は、接続線11にそれぞれ接続されている。また、接続線11には、出力線12の入力端も接続されている。太陽光発電ユニット10の発電電力は、接続線11を介して出力線12の入力端に伝送され、太陽光発電設備4の出力端から送電網に出力される。
【0037】
太陽光発電設備4の各太陽光発電ユニット10は、管理装置2によって制御される。複数の太陽光発電ユニット10は、少なくとも1つの第1太陽光発電ユニット10aと、少なくとも1つの第2太陽光発電ユニット10bとを含む。第1太陽光発電ユニット10aと第2太陽光発電ユニット10bとは、互いに異なる。換言すれば、第1太陽光発電ユニット10aと第2太陽光発電ユニット10bとは、別体である。
【0038】
本実施形態において、太陽光発電設備4における複数の太陽光発電ユニット10は、第1太陽光発電ユニット10aと第2太陽光発電ユニット10bとからなる。換言すれば、第2太陽光発電ユニット10bは、複数の太陽光発電ユニット10のうち、第1太陽光発電ユニット10a以外の残りである。
【0039】
本実施形態において、太陽光発電設備4における複数の太陽光発電ユニット10は、複数の第1太陽光発電ユニット10aと複数の第2太陽光発電ユニット10bとを含んでいる。本実施形態の変形例において、太陽光発電設備4は、1つのみの第2太陽光発電ユニット10bを含んでいてもよい。
【0040】
第1太陽光発電ユニット10aは、管理装置2によって発電電力量を制御される。換言すれば、第1太陽光発電ユニット10aは、管理装置2による発電電力量の増減又は停止が可能である。例えば、第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量は、種々の状況に応じて、管理装置2によって、現在の環境下において発電可能な最大の発電電力量から抑制される。以下、現在の環境下において発電可能な最大の発電電力量を、単に「最大発電電力量」という。管理装置2による第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量の抑制は、発電電力量を0にすることも含む。換言すれば、管理装置2による第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量の抑制は、発電電力量の低減だけでなく、発電の停止も含む。
【0041】
第2太陽光発電ユニット10bは、基準発電ユニットであり、発電電力量を制御されない。例えば、管理装置2は、第2太陽光発電ユニット10bに対して、発電電力量の調整に関する制御指令を送信しない。第2太陽光発電ユニット10bは、最大発電電力量を出力する。第2太陽光発電ユニット10bの発電パネル14における発電電力量は、抑制されない。第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量が調整されない場合であっても、日没後から日の出前など、十分な日射量が望めない場合には動作が停止されてもよい。このような場合に、第2太陽光発電ユニット10bの動作が停止されれば、例えば、待機電力が削減される。
【0042】
マイクログリッド100内における第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量の合計値は、当該マイクログリッド100の最低負荷電力以下である。この場合、第2太陽光発電ユニット10bの発電による電力系統200への逆潮流が防止される。「最低負荷電力」とは、マイクログリッド100内における負荷設備5及び需要家6から要求される電力量において、最も低いと考えられる値である。最低負荷電力は、例えば、電力管理システム1を設定する際に決定される。例えば、マイクログリッド100における過去の電力需要実績値の最小値に所定の係数を乗じた値が、最低負荷電力として決定される。例えば、過去の電力需要実績値の最小値の10%又は50%が、最低負荷電力として決定される。
【0043】
マイクログリッド100の電力需要実績値が存在しない場合には、最低負荷電力は、マイクログリッド100内の各要素の消費電力設計値から決定されてもよい。例えば、マイクログリッド100の稼働に最低限必要な機器の最低負荷の合計値が、最低負荷電力として決定されてもよい。マイクログリッド100の稼働に最低限必要な機器の最低負荷は、例えば、マイクログリッド100内の各種制御装置、センサ機器、蓄電池の冷却機器、サーバ機器、サーバルームの空調機器、及び、マイクログリッド100内において常時点灯している照明機器などの必要消費電力である。
【0044】
本実施形態において、第1太陽光発電ユニット10aと第2太陽光発電ユニット10bとは、予め決められた位置に設けられている。例えば、図3に示されているように、複数の太陽光発電ユニット10は、領域α内に配置されている。領域αは、半径Rの範囲内に位置している。半径Rは、例えば、10キロメートル以下である。換言すれば、領域αは、例えば、半径10キロメートル以下の大きさである。領域αは、第2太陽光発電ユニット10bが配置された領域βを含んでいる。領域βは、例えば、領域αの中央に位置する。したがって、第2太陽光発電ユニット10bは、領域αの中央に配置されている。「中央」は、領域αにおける厳密な中央でなくてもよい。1つの領域β内に、1つの第2太陽光発電ユニット10bが配置されてもよいし、複数の第2太陽光発電ユニット10bが配置されてもよい。第1太陽光発電ユニット10aは、領域βの周囲に設けられている。例えば、少なくとも1つの第2太陽光発電ユニット10bは、複数の第1太陽光発電ユニット10aに囲まれている。
【0045】
本実施形態の変形例として、複数の領域βが、所定の規則によって領域α内において分散するように配置されていてもよい。例えば、複数の領域βが、領域α内に均一に配置されてもよい。複数の領域βが、領域α内に等ピッチで配置されてもよい。複数の領域βは、ユニット群の外周部に沿って等ピッチで配置されてもよい。
【0046】
本実施形態の変形例として、太陽光発電設備4に配置された複数の第1太陽光発電ユニット10aのうち、第1太陽光発電ユニット10aとして機能する太陽光発電ユニット、及び、第2太陽光発電ユニット10bとして機能する太陽光発電ユニットは、ユーザによって遠隔的に決定されてもよいし、管理装置2によって決定されてもよい。状況に応じて、第1太陽光発電ユニット10a及び第2太陽光発電ユニット10bとして機能する太陽光発電ユニットが変更されてもよい。例えば、収集されたデータに基づいて、太陽光発電設備4の全体における発電電力量に対して最も高い相関係数を有する太陽光発電ユニットが、第2太陽光発電ユニットと決定されてもよい。この場合、例えば、過去1週間のうち、制御部140による発電電力量の抑制が行われなかった時間帯における、複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量のデータが収集される。第2太陽光発電ユニット10bとして機能していた太陽光発電ユニット10が故障した場合などに、上記相関係数が2番目に高い太陽光発電ユニット10が、第2太陽光発電ユニット10bとして機能するように切り替えてもよい。
【0047】
各太陽光発電ユニット10は、例えば、発電パネル14と、パワーコンディショナ15と、電磁開閉器16と、配線用遮断器17と、を含んでいる。太陽光発電設備4は、出力している電力に関する情報と、電力を出力している発電パネル14の台数に関する情報と、を管理装置2に送信する。発電パネル14は、パワーコンディショナ15の入力に接続されている。発電パネル14は、太陽光を受けて電力を発生させる。発電パネル14は、発生した電力をパワーコンディショナ15に出力する。本実施形態において、第1太陽光発電ユニット10aと第2太陽光発電ユニット10bとは、同一の構成を有している。本実施形態の変形例として、第2太陽光発電ユニット10bは、発電電力量を制御できない構成であってもよい。
【0048】
パワーコンディショナ15は、発電パネル14の出力及び電磁開閉器16の入力に接続されている。パワーコンディショナ15は、発電パネル14から直流の電力を受ける。パワーコンディショナ15は、当該直流の電力を所望の交流の電力に変換する。そして、パワーコンディショナ15は、交流の電力を電磁開閉器16に出力する。パワーコンディショナ15は、管理装置2からの制御指令に応じて、出力する電力量を調整する。
【0049】
電磁開閉器16は、パワーコンディショナ15の出力及び配線用遮断器17の入力に接続されている。電磁開閉器16は、電磁接触器(Electromagnetic Contactor: MC)を利用してパワーコンディショナ15から配線用遮断器17への電力の提供及び停止を行う。電磁開閉器16は、管理装置2からの制御指令に応じて、電力の提供及び停止の切り替えを行う。例えば、負荷設備5側に電力を供給するとき、電磁開閉器16は、閉状態とされる。一方、負荷設備5側に電力を供給しないとき、電磁開閉器16は、開状態とされる。例えば、太陽光発電設備4の出力電力を増加させる場合には、閉状態の電磁開閉器16の数を増やす。一方、太陽光発電設備4の出力電力を減少させる場合には、閉状態の電磁開閉器16の数を減らす。
【0050】
配線用遮断器17(Molded Case Circuit Breaker; MCCB)は、同一の太陽光発電ユニット10に設けられた電磁開閉器16に接続されている。配線用遮断器17は、いわゆるブレーカである。配線用遮断器17は、負荷側である負荷設備5及び需要家6の送電網に過電流が発生した場合に、発電パネル14からの電力供給を遮断する。
【0051】
次に、図4を参照して、電力管理システム1の動作についてさらに詳細に説明する。図4は、実施形態の電源管理システムのブロック図である。図4に示すように、管理装置2は、機能構成要素として、取得部110と、記憶部120と、推定部130と、制御部140と、を含む。
【0052】
取得部110は、マイクログリッド100を構成する装置及び設備から、必要な情報を取得する。取得部110は、電力系統接続装置3と、太陽光発電設備4と、負荷設備5と需要家6とから得られた情報を記憶部120、推定部130、及び、制御部140に出力する。取得部110は、第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量を取得し、取得された当該発電電力量を推定部130に出力する。本実施形態において、取得部110は、第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量を取得しない。本実施形態の変形例として、取得部110は、各第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量をフィードバック制御するために、各第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量を取得してもよい。
【0053】
記憶部120は、取得部110において取得された情報、及び、電力管理システム1の動作前に予め記憶された情報を格納している。例えば、記憶部120は、第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量と複数の太陽光発電ユニット10の最大発電電力量の合計値との関係を示す情報を予め記憶している。
【0054】
推定部130は、取得部110によって取得された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、太陽光発電設備4の全体の発電電力量を推定する。推定部130は、推定した発電電力量を制御部140に出力する。例えば、推定部130は、太陽光発電設備4における最大発電電力量を推定する。取得部110によって複数の第2太陽光発電ユニット10bの各々における発電電力量が取得されている場合には、推定部130は、それらの最大値、最小値、平均値、及び、中央値のいずれかに基づいて、太陽光発電設備4の全体の発電電力量を推定する。特に中央値に基づくことによって、外れ値に対する頑健性が向上される。
【0055】
制御部140は、取得部110によって取得された情報と推定部130によって推定された情報とに基づいて、マイクログリッド100を構成する各要素を制御するための制御指令φを生成する。制御部140は、制御指令φを各要素に出力する。例えば、制御部140は、電力系統接続装置3、太陽光発電設備4、及び、負荷設備5に、生成された制御指令φを出力する。制御部140は、負荷指令部141と、台数指令部142と、容量指令部143とを含んでいる。
【0056】
負荷指令部141は、制御指令φとして、負荷設備5を制御するための負荷指令φ1を生成する。負荷指令部141は、推定部130において推定された最大発電電力量を受ける。負荷指令部141は、推定された最大発電電力量に基づいて負荷指令φ1を生成する。負荷指令部141は、生成された負荷指令φ1を負荷設備5に出力する。
【0057】
負荷指令部141は、例えば、推定部130において推定された最大発電電力量に見合った稼働が負荷設備5において行われるように、負荷指令φ1を生成する。負荷指令部141は、例えば、太陽光発電設備4の設備利用率が最大となるように、負荷指令φ1を生成する。換言すれば、負荷指令部141は、太陽光発電設備4の最大発電電力量に見合った「地消」が実現されるように、負荷指令φ1を生成する。負荷指令部141は、例えば、推定された最大発電電力量θ1を用いて、次の式(1)が成り立つように負荷指令φ1を生成する。
【0058】
最大発電電力量θ1+最低購入電力量θ3min=要求負荷電力量θ2+固定負荷電力量θ4 ・・・(1)
【0059】
要求負荷電力量θ2は、負荷指令φ1によって、負荷設備5に消費すべき値として要求される電力量である。最低購入電力量θ3minは、購入電力量θ3が逆潮流しない最低の負荷である。固定負荷電力量θ4は、需要家6における負荷電力量である。最低購入電力量θ3min及び固定負荷電力量θ4は、既知の値である。したがって、最大発電電力量θ1及び既知の値が式(1)に代入されることによって、負荷指令φ1によって負荷設備5に要求される要求負荷電力量θ2が算出される。
【0060】
式(1)は、逆潮流が許されない運用と逆潮流が許される運用とに対応可能である。逆潮流が許されない場合には、最低購入電力量θ3minが正の数値に設定される。固定負荷電力量θ4が無視される場合、最大発電電力量θ1と要求負荷電力量θ2との大小関係は、下記式(2)によって表される。逆潮流が許されない場合とは、要求負荷電力量θ2が最大発電電力量θ1以上である。
【0061】
最大発電電力量θ1≦要求負荷電力量θ2 ・・・(2)
【0062】
逆潮流が許される場合には、最低購入電力量θ3minが負の数値に設定される。固定負荷電力量θ4が無視される場合、最大発電電力量θ1と要求負荷電力量θ2との大小関係は、下記式(3)によって表される。逆潮流が許される場合とは、要求負荷電力量θ2が最大発電電力量θ1より小さい場合である。
【0063】
最大発電電力量θ1>要求負荷電力量θ2 ・・・・(3)
【0064】
負荷指令部141は、負荷指令φ1によって、要求負荷電力量θ2そのものを負荷設備5に出力してもよいし、現在の要求負荷電力量θ2と1ステップ前の要求負荷電力量θ2との差分を負荷設備5に出力してもよい。例えば、当該差分の符号が正であった場合には、負荷指令φ1は負荷電力量を増加させる指令である。この場合、負荷指令φ1は、例えば、蓄電装置21を充電させる指令、水素製造装置22による水素の製造量を増加させる指令、及び熱発生装置23による熱の発生量を増加させる指令の少なくとも一つを含む。上記差分の符号が負であった場合には、負荷指令φ1は負荷電力を減少させる指令である。この場合、負荷指令φ1は、例えば、蓄電装置21を放電させる指令、水素製造装置22による水素の製造量を減少させる指令、及び熱発生装置23による熱の発生量を減少させる指令の少なくとも一つを含む。
【0065】
負荷指令部141は、逆潮流電力量と逆潮流閾値とを用いて負荷指令φ1を生成してもよい。例えば、逆潮流閾値は、太陽光発電設備4において実際に発電される発電電力量を太陽光発電設備4において稼働中の発電パネル14の台数で除した値に応じて設定される。この場合、逆潮流閾値は、発電パネル14の一台あたりの発電電力量に相当する。したがって、発電パネル14を一台だけ停止することによって上昇し得る購入電力が求められる。
【0066】
逆潮流閾値は、太陽光発電設備4において稼働中の太陽光発電ユニット10の台数に応じて設定されてもよい。この場合には、既設系統から常にゼロキロワット以上の電力を購入している状態において、逆潮流閾値の下限値がゼロキロワット以上とされてもよい。さらに、太陽光発電設備4における実際の発電電力量がゼロキロワットであるとして、マイクログリッド100内の最低平均負荷相当電力が上限とされてもよい。
【0067】
制御部140は、台数指令部142及び容量指令部143によって、少なくとも1つの第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量の制御を行う。本実施形態において、制御部140は、パワーコンディショナ15又は電磁開閉器16に制御指令φを出力することによって、各第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量の抑制、又は、当該発電電力量の抑制の解除を行う。これによって、制御部140は、複数の第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量の合計値の抑制を制御する。例えば、制御部140は、各第1太陽光発電ユニット10aに関して、最大発電電力量から発電電力量を低減させる。制御部140による発電電力量の抑制が解除された場合、第1太陽光発電ユニット10aは最大発電電力量の電力を発電する。制御の解除は、抑制の解除に相当する。制御部140は、例えば、推定部130において推定された発電電力量をインデックスとし、負荷設備5へ制御指令φを出力することにより、太陽光発電設備4に対する「地産地消制御」を実現する。
【0068】
台数指令部142は、制御指令φとして、太陽光発電設備4において稼働する太陽光発電ユニット10の台数制御を行うための台数指令φ2を生成する。台数指令部142は、例えば、電力を出力する太陽光発電ユニット10の数を制御することにより、マイクログリッド100内における電力量のバランスを保つ。
【0069】
例えば、台数指令部142は、台数指令φ2によって、各太陽光発電ユニット10が有する電磁開閉器16の開閉を制御する。台数指令φ2は、稼働させる(電力を出力する)太陽光発電ユニット10の数に関する情報を含む。台数指令φ2は、稼働させない(電力を出力しない)太陽光発電ユニット10の数に関する情報を含んでいてもよい。
【0070】
台数指令部142は、取得部110において取得された購入電力量θ3及び推定部130において推定された最大発電電力量θ1を受ける。台数指令部142は、購入電力量θ3及び最大発電電力量θ1に基づいて、台数指令φ2を生成する。台数指令部142は、生成された台数指令φ2を太陽光発電設備4の電磁開閉器16に出力する。例えば、台数指令φ2は、所定数の電磁開閉器16を開状態とし、残りの電磁開閉器16を閉じる状態とする。
【0071】
台数指令部142は、例えば、購入電力量θ3と複数の台数閾値とを用いて、台数指令φ2を生成する。台数指令部142は、購入電力量θ3と複数の台数閾値とを比較する。台数指令部142は、各台数閾値との比較結果に応じて、稼働台数を増やすための指令と、稼働台数を維持するための指令と、稼働台数を減らすための指令とのうちいずれかを出力する。台数指令部142による太陽光発電設備4の発電電力量の制御によって、逆潮流が防止されながら、設備利用効率が向上され得る。
【0072】
容量指令部143は、制御指令φとして、太陽光発電設備4における各太陽光発電ユニット10の出力割合を制御するための容量指令φ3を生成する。容量指令部143は、例えば、各太陽光発電ユニット10の出力割合を制御することにより、マイクログリッド100内における電力量のバランスを保つ。容量指令部143は、例えば、台数制御だけでは太陽光発電設備4における発電電力量の調整が十分でない場合に、各太陽光発電ユニット10の出力割合を制御する。
【0073】
例えば、容量指令部143は、容量指令φ3によって、パワーコンディショナ15の負荷抑制を制御する。したがって、容量指令φ3は、パワーコンディショナ15の負荷抑制機能に関する情報を含む。
【0074】
容量指令部143は、取得部110において取得された購入電力量θ3及び推定部130において推定された最大発電電力量θ1を受ける。容量指令部143は、購入電力量θ3及び最大発電電力量θ1に基づいて、容量指令φ3を生成する。容量指令部143は、生成された容量指令φ3をパワーコンディショナ15に出力する。
【0075】
容量指令部143は、例えば、購入電力量θ3と購入電力量θ3の最低設定値である容量閾値とを用いて、容量指令φ3を生成する。容量指令部143は、購入電力量θ3が容量閾値より大きい場合に、全ての太陽光発電ユニット10の出力を100%とする指令を生成する。太陽光発電ユニット10の出力が100%である状態とは、パワーコンディショナ15をその定格最大値に設定することと同じ意味である。容量指令部143は、購入電力量θ3が容量閾値より小さい場合に、全ての太陽光発電ユニット10の出力を所定の値に抑制する指令を生成する。太陽光発電ユニット10の出力は、購入電力量θ3を最低設定値(容量閾値)に近づけるように設定される。容量指令部143による太陽光発電設備4の発電電力量の制御によって、逆潮流が防止されながら、設備利用効率が向上され得る。
【0076】
次に、推定部130による発電電力量の推定の一例を説明する。推定部130は、取得部110によって取得された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、制御部140による制御が解除された場合の複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量の合計値を推定する。例えば、推定部130は、制御部140が第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量を最大発電電力量から抑制している場合において、制御部140による抑制が解除された場合の複数の太陽光発電ユニット10における発電電力量の合計値を推定する。換言すれば、推定部130は、現在の第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、複数の太陽光発電ユニット10の最大発電電力量の合計値を推定する。各太陽光発電ユニット10の最大発電電力量は、日射強度及び発電パネル14のパネル温度とを用いて、次の式によって表される。
【数1】
【0077】
“i”は、任意の太陽光発電ユニット10である。“i”は、1から“N”の任意の値をとる。“N”は、自然数であり、マイクログリッド100における太陽光発電ユニット10の数と等しい。換言すれば、マイクログリッド100にN個の太陽光発電ユニット10が存在する。“y”は、任意の太陽光発電ユニット10の最大発電電力量であり、その単位はkWである。“a(t)”は、パネル温度に依存する発電能力係数である。“t”は、発電パネル14のパネル温度であり、その単位は℃である。“x”は、日射強度であり、その単位はW/mである。任意の太陽光発電ユニット10の定格出力は、次の式によって表される。本明細書において、「定格出力」とは、基準温度及び基準日射強度の環境下において、発電可能な最大の発電電力量である。
【数2】
【0078】
“y max”は、任意の太陽光発電ユニット10の定格出力であり、その単位はkWである。“t”は、基準温度であり、その単位は℃である。本実施形態において、基準温度は25℃である。“x”は、基準日射強度であり、その単位はW/mである。本実施形態において、基準日射強度は、1000W/mである。
【0079】
マイクログリッド100における太陽光発電設備4が最大発電電力量は、以下の式によって表される。太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量は、マイクログリッド100に含まれる全ての太陽光発電ユニット10における最大発電電力量の合計値である。
【数3】
【0080】
“ytotal”は、日射強度が“x”でありパネル温度が“t”である場合において、マイクログリッド100に含まれる全ての太陽光発電ユニット10における最大発電電力量の合計値である。
【0081】
複数の太陽光発電ユニット10は、第2太陽光発電ユニット10bを1つのみ含み、残りは第1太陽光発電ユニット10aと仮定する。例えば、“N”個の太陽光発電ユニット10のうち、1番目から“N-1”番目の太陽光発電ユニット10は第1太陽光発電ユニット10aであり、N番目の太陽光発電ユニット10は、第2太陽光発電ユニット10bである。したがって、第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量は、“y”と表され、第2太陽光発電ユニット10bの定格出力は“y max”と表される。この場合、以下の式が成り立つ。
【数4】
【0082】
このため、上記式(6)に式(7)を代入すると、以下の式が成り立つ。
【数5】
【0083】
式(8)は、さらに以下のように変形され得る。
【数6】
【0084】
複数の太陽光発電ユニット10を用いて発電を行う場合には、コストを低減するために同一の発電パネル14が用いることが考えられる。同一の発電パネル14が用いられる場合、各太陽光発電ユニット10の発電パネル14の温度依存性は同一と考えることができる。各太陽光発電ユニット10の発電パネル14の温度依存性が同一である場合、同一の温度において各発電パネル14の発電能力係数“a”は等しい。したがって、この場合、以下の式が成り立つ。
【数7】
【0085】
式(9)に式(10)を代入すると、以下の式が成り立つ。
【数8】
【0086】
式(11)から以下の式が得られる。
【数9】
【0087】
この式(12)は、太陽光発電設備4における発電パネル14間において、太陽に対する取付角度、着雪による発電損失、PCSによる発電損失などの差異が無視できる場合に成り立つ。各太陽光発電ユニット10の定格出力“y max”の合計値、及び、第2太陽光発電ユニット10bの定格出力“y max”は、予め取得できる。したがって、現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量“y”が取得されれば、式(12)に代入することによって、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量“ytotal”が推定される。換言すれば、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量“ytotal”は、現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量“y”に所定の係数を乗じることによって求められる。この係数は、各太陽光発電ユニット10の定格出力“y max”の合計値を、第2太陽光発電ユニット10bの定格出力“y max”によって除することによって得られる。この係数は、例えば記憶部120に予め記憶されている。
【0088】
推定部130は、例えば、取得部110によって取得された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量を式(12)の“y”に代入することによって、制御部140による制御が解除された場合の太陽光発電設備4の全体における発電電力量を推定する。太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量は、複数の太陽光発電ユニット10における最大発電電力量の合計値である。
【0089】
推定部130は、上記式(12)を用いずに、統計的手法によって発電電力量の推定を行ってもよい。例えば、太陽光発電ユニット10の発電電力量のデータに基づいて作成された回帰モデルによって、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量が推定されてもよい。
【0090】
この場合、例えば、過去1週間のうち、制御部140による第1太陽光発電ユニット10aの発電電力量の抑制が行われなかった時間帯における、第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量のデータと、太陽光発電設備4の全体における発電電力量のデータとが収集される。換言すれば、過去1週間における、マイクログリッド100内における全ての太陽光発電ユニット10の最大発電電力量の合計値が収集される。
【0091】
次に、収集されたデータを用いて、回帰モデルが作成される。作成される回帰モデルにおいて、例えば、第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量が説明変数とされ、太陽光発電設備4の全体における発電電力量が目的変数とされる。作成された回帰モデルは、記憶部120に予め記憶される。作成される回帰モデルは、例えば、線形回帰モデルである。
【0092】
推定部130は、作成された回帰モデルと、現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量とに基づいて、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量を推定する。この場合も、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量は、例えば、現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量を所定の係数に乗じることによって求められる。現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量は、取得部110によって取得される。このような統計的手法が用いられる場合、発電パネル14の汚れなどによる機器の劣化を考慮して、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量の推定を行うことができる。
【0093】
推定部130は、記憶部120に予め記憶されたデータベースと、現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量とに基づいて、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量を推定してもよい。この場合、推定部130は、記憶部120を参照し、現在の第2太陽光発電ユニット10bの発電電力量に対応する、太陽光発電設備4の全体における最大発電電力量をデータベースから取得する。
【0094】
次に、管理装置2において実行される電力管理方法の処理の一例について説明する。図5は、管理装置2が実施する処理のフローチャートである。まず、管理装置2は、取得部110において、第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量を取得する(処理S1)。
【0095】
次に、管理装置2は、推定部130において、太陽光発電設備4における最大発電電力量を推定する(処理S2)。推定部130は、処理S1において取得された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、マイクログリッド100内の複数の太陽光発電ユニット10における最大発電電力量の合計値を推定する。
【0096】
次に、管理装置2は、推定部130において、推定された発電電力量を出力する(処理S3)。推定部130は、マイクログリッド100内の複数の太陽光発電ユニット10における最大発電電力量の合計値を、太陽光発電設備4における最大発電電力量として出力する。例えば、推定部130は、制御部140に太陽光発電設備4における最大発電電力量を出力する。
【0097】
次に、管理装置2は、制御部140において、推定部130によって推定された発電電力量に基づいて、太陽光発電設備4及び負荷設備5を制御する(処理S4)。
【0098】
管理装置2は、処理S3において、推定された発電電力量を管理装置2の外部に出力してもよい。この場合、管理装置2は、処理S4を行わなくてもよい。
【0099】
次に、図6を参照して、管理装置2のハードウェア構成について説明する。図6は、管理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。管理装置2は、コンピュータ150を含んでいる。コンピュータ150は、CPU(Central Processing Unit)151と、主記憶部152と、補助記憶部153と、通信制御部154と、入力装置155と、出力装置156とを有する。管理装置2は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータ150によって構成される。
【0100】
管理装置2が複数のコンピュータ150によって構成される場合には、これらのコンピュータ150はローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの管理装置2が構築される。
【0101】
CPU151は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶部152は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部153は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶部153は、一般的に主記憶部152よりも大量のデータを記憶する。補助記憶部153は、例えば、上述した記憶部120として機能する。通信制御部154は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。入力装置155は、キーボード、マウス、及び、タッチパネルなどにより構成される。出力装置156は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。
【0102】
補助記憶部153は、予め、プログラム160及び処理に必要なデータを格納している。プログラム160は、管理装置2の各機能要素をコンピュータ150に実行させる。プログラム160によって、例えば、上述した処理S1から処理S4がコンピュータ150において実行される。例えば、プログラム160は、CPU151又は主記憶部152によって読み込まれ、CPU151、主記憶部152、補助記憶部153、通信制御部154、入力装置155、及び出力装置156の少なくとも1つを動作させる。例えば、プログラム160は、主記憶部152及び補助記憶部153におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0103】
プログラム160は、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に記録された上で提供されてもよい。プログラム160は、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0104】
次に、本開示の電力管理システム1の作用効果について説明する。電力管理システム1では、複数の太陽光発電ユニット10のうちの第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量の制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量の合計値を推定する。この場合、第2太陽光発電ユニット10bは複数の太陽光発電ユニット10に含まれる太陽光発電ユニットであり、当該太陽光発電ユニット10自体における発電電力量に基づいて複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量の合計値が推定されている。このため、太陽光発電設備4全体における発電電力量の推定精度が向上され得る。
【0105】
太陽光発電ユニット10の発電電力量を推定する別の手法として、発電パネル14付近に日射計を別途取り付け、当該日射計によって測定された日射量及び温度計を用いて推定を行うことも考えられる。電力管理システム1は、日射計及び温度計などのセンサ類を別途取り付けることなく、太陽光発電設備4全体における発電電力量が推定される。また、電力管理システム1は、日射量および温度の2つの変数を用いて推定する場合よりも、上記推定を容易に実現できる。電力管理システム1は、日射計による測定における時間遅れ、及び、日射計と太陽光発電ユニット10とのサンプルレートの違いも考慮せずに、高精度のフィードバック制御が容易に実現され得る。
【0106】
日射計と発電パネルとは別部材であるため、日射計によって測定された日射量と発電パネルに入射する日射量との間に差が生じるおそれがある。例えば、日射計に着雪しているが、発電パネルには着雪していない状況、又は、その逆の状況も生じ得る。これに対して、第2太陽光発電ユニット10bに発電パネル14に積雪が生じている場合には、第1太陽光発電ユニット10aの発電パネル14にも同程度の積雪が生じている可能性が高い。
【0107】
着雪による太陽光発電ユニットの発電量の低下は、太陽光発電設備の発電電力量の推定精度に対して極めて大きな影響を与える。日射計によって発電パネルに対する着雪の有無及び積雪量を判定又は推測することは、原理的に困難である。また、カメラ画像によって着雪の有無及び積雪量を判定又は推定する場合には、たとえば、特別な画像処理アルゴリズムが必要である。さらに、太陽光発電設備における各発電パネルを撮像するためには、多くのカメラが必要である。これらを考慮すれば、カメラ画像による着雪の有無及び積雪量の判定及び推定も、現実的ではない。
【0108】
日射計は、通常、発電パネルよりも小さい。このため、鳥類及び昆虫などによって日射計のセンサ部分が遮光され得る。この場合、正しく日射量を計測できないおそれがある。太陽光発電ユニット10の発電パネルは、鳥類などの遮光による影響を受けがたい。
【0109】
上記電力管理システム1では、複数の太陽光発電ユニット10は、複数の第1太陽光発電ユニット10aを含んでいる。制御部140は、複数の第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量の合計値の抑制を制御する。推定部130は、取得部110によって取得された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、制御部140による上記抑制が解除された場合における複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量の合計値を推定してもよい。この構成によれば、複数の第1太陽光発電ユニット10aにおける発電電力量の合計値が抑制される構成において、複数の太陽光発電設備4全体における発電電力量の推定精度が向上され得る。
【0110】
第2太陽光発電ユニット10bは、複数の太陽光発電ユニット10が配置された領域αの中央に配置されている。この構成によれば、中央に配置された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量に基づいて、複数の太陽光発電設備4全体における発電電力量の推定が行われる。このため、第2太陽光発電ユニット10bが受ける日射量と他の太陽光発電ユニットが受ける日射量との差が、低減される。したがって、複数の太陽光発電設備4全体における発電電力量の推定精度がより向上される。
【0111】
複数の太陽光発電ユニット10は、1つのマイクログリッド100内に配置されている。この構成によれば、複数の太陽光発電ユニット10は、1つのマイクログリッド100が実現可能な領域αに配置される。このため、第2太陽光発電ユニット10bと他の太陽光発電ユニットとの間において、気候などの周囲の環境に応じた発電電力量の変動差が低減される。したがって、複数の太陽光発電設備4全体における発電電力量の推定精度がより向上される。
【0112】
複数の太陽光発電ユニット10は、半径10キロメートル以下の領域αに配置されている。この構成によれば、複数の太陽光発電ユニット10は、限られた領域の範囲に配置される。このため、第2太陽光発電ユニット10bと他の太陽光発電ユニットとの間において、気候などの周囲の環境に応じた発電電力量の変動差が低減される。したがって、複数の太陽光発電設備4全体における発電電力量の推定精度がより向上される。
【0113】
記憶部120をさらに備えている。記憶部120は、第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量と制御部140による上記制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量の合計値との関係を示す情報を予め記憶している。推定部130は、記憶部120に記憶された情報と、取得部110によって取得された第2太陽光発電ユニット10bにおける発電電力量と記憶部120に記憶された情報とに基づいて、制御部140による制御が解除された場合における複数の太陽光発電ユニット10の発電電力量の合計値を推定してもよい。この場合、複数の太陽光発電設備4全体における発電電力量が容易に推定される。
【0114】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0115】
たとえば、電力管理システム1は、複数のマイクログリッド100に用いられてもよい。この場合、複数のマイクログリッド100の電力系統接続装置3が相互に接続される。複数のマイクログリッド100に対して1つの管理装置2が設けられていてもよいし、各マイクログリッド100に1又は複数の管理装置2が設けられていてもよい。
【0116】
電力管理システム1は、電力系統に接続されていなくてもよい。この場合、電力の需給が、マイクログリッド100内において完結している。すなわち、マイクログリッド100において、要求される電力の全てが太陽光発電設備4によって賄われる。マイクログリッド100において、発電された全ての電力が、負荷設備5及び需要家6によって消費される。
【0117】
上記実施形態において、燃料電池車V、燃料電池発電装置B、エネルギキャリアC、及び、乾燥設備Wは、マイクログリッド100内に設けられていている。しかし、燃料電池車V、燃料電池発電装置B、エネルギキャリアC、及び、乾燥設備Wは、マイクログリッド100の外部に設けられていてもよい。
【0118】
電力管理システム1は、推定部130において推定された発電電力量を、負荷設備5及び太陽光発電設備4の制御以外に用いてもよい。例えば、通常、逆潮流が禁止されている場合にも、臨時的に逆潮流が求められる場合がある。例えば、別のマイクログリッド100の電力不足によって、臨時的に電力を供給する必要性が生じた場合である。この場合、推定部130における推定結果を用いて、制御部140による抑制を解除した場合に逆潮流する電力量を算出してもよい。
【0119】
推定部130における推定結果は、事業者が制御部140によって抑制される発電電力量を試算する場合、及び、抑制される発電電力量に基づいて各種の制御を行う場合などに用いられてもよい。制御部140によって抑制される発電電力量は、例えば、推定部130によって推定された太陽光発電設備4における最大発電電力量から、実際に太陽光発電設備4において発電されている発電電力量を減算することによって求められる。
【符号の説明】
【0120】
1 電力管理システム
10 太陽光発電ユニット
10a 第1太陽光発電ユニット
10b 第2太陽光発電ユニット
110 取得部
120 記憶部
130 推定部
140 制御部
160 プログラム
α 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6