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特許7563008樹脂製品製造システムおよび樹脂製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】樹脂製品製造システムおよび樹脂製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20241001BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20241001BHJP
   B29C 31/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/17
B29C31/00
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020116478
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014251
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】江口 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛久
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】末弘 孝一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄史
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 慶太郎
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100040(JP,A)
【文献】特開2018-75830(JP,A)
【文献】特開2011-77876(JP,A)
【文献】特開平2-255316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
B29C 45/17
B29C 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとを投入するペレット投入装置と、
前記ペレット投入装置から投入された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを混合させる混合装置と、
前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第1ペレットを乾燥させる第1ペレット乾燥装置と、
前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第2ペレットを乾燥させる第2ペレット乾燥装置と、
前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを用いて樹脂製品を成形する成形装置と、
成形された前記樹脂製品の色を測定する検査装置と、
前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備え
前記第1ペレット乾燥装置において、前記第1ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱され、
前記第2ペレット乾燥装置において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品製造システム。
【請求項2】
第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとを投入するペレット投入装置と、
前記ペレット投入装置から投入された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを混合させる混合装置と、
前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第1ペレットを乾燥させる第1ペレット乾燥装置と、
前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第2ペレットを乾燥させる第2ペレット乾燥装置と、
前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて樹脂製品を成形する成形装置と、
作製された前記樹脂材料の色を測定する検査装置と、
前記検査装置によって測定された前記樹脂材料の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備え
前記第1ペレット乾燥装置において、前記第1ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱され、
前記第2ペレット乾燥装置において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品製造システム。
【請求項3】
前記検査装置は、成形された前記樹脂製品の色を更に測定し、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を更に制御する、請求項2に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項4】
前記第1樹脂はリサイクルポリエステルであり、前記第2樹脂はバージンポリエステルである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定の範囲外である場合、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を変化させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定値よりも大きい場合、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を増加させる、請求項4に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項7】
前記ペレット投入装置は、前記第1ペレットを前記混合装置に投入する第1ペレット投入装置と、前記第2ペレットを前記混合装置に投入する第2ペレット投入装置とを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項8】
第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを供給する樹脂供給装置と、
前記樹脂供給装置から供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する除染装置と、
前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製するペレット作製装置と、
前記第1ペレットを用いて樹脂製品を成形する成形装置と、
前記成形装置の上流側に設けられ、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第3樹脂から作製された第2ペレットを投入する第2ペレット投入装置と、
前記第1ペレットと前記第2ペレット投入装置から投入された前記第2ペレットとを混合させる混合装置と、
前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第2ペレットを乾燥させる第2ペレット乾燥装置と、
成形された前記樹脂製品の色を測定する検査装置と、
前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備え
前記第2ペレット乾燥装置において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品製造システム。
【請求項9】
第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを供給する樹脂供給装置と、
前記樹脂供給装置から供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する除染装置と、
前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製するペレット作製装置と、
前記第1ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて樹脂製品を成形する成形装置と、
前記成形装置の上流側に設けられ、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第3樹脂から作製された第2ペレットを投入する第2ペレット投入装置と、
前記第1ペレットと前記第2ペレット投入装置から投入された前記第2ペレットとを混合させる混合装置と、
前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第2ペレットを乾燥させる第2ペレット乾燥装置と、
前記溶融樹脂の色、前記第1ペレットの色および前記樹脂材料の色のうちの少なくとも1つを測定する検査装置と、
前記検査装置によって測定された色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備え
前記第2ペレット乾燥装置において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品製造システム。
【請求項10】
前記検査装置は、成形された前記樹脂製品の色を更に測定し、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を更に制御する、請求項9に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項11】
前記第1樹脂はリサイクルポリエステルであり、前記第2樹脂はバージンポリエステルである、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定の範囲外である場合、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量を変化させる、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定値よりも大きい場合、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量を増加させる、請求項11に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項14】
前記樹脂供給装置は、前記第1樹脂を前記除染装置に供給する第1樹脂供給装置と、前記第2樹脂を前記除染装置に供給する第2樹脂供給装置とを有する、請求項8乃至13のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項15】
前記ペレット作製装置と前記成形装置との間に設けられ、前記第1ペレットを結晶化する結晶化装置と、前記結晶化装置と前記成形装置との間に設けられ、結晶化された前記第1ペレットを固相重合する固相重合装置とを更に備える、請求項8乃至14のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項16】
記成形装置は、前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを用いて前記樹脂製品を成形する、請求項8乃至15のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項17】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色に基づいて、前記第2ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を更に制御する、請求項16に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項18】
前記第3樹脂はバージンポリエステルである、請求項16または17に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項19】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定の範囲外である場合、前記第2ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を変化させる、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項20】
前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定値よりも大きい場合、前記第2ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を増加させる、請求項18に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項21】
前記成形装置の上流側に設けられ、前記混合装置によって混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを攪拌する攪拌装置を更に備える、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項22】
前記混合装置に着色剤を投入する着色剤投入装置を更に備える、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項23】
前記検査装置が測定する色の測定値は、RGB値のうちの少なくともB値である、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項24】
前記成形装置は、射出成形装置であり、前記樹脂製品製造システムは、前記射出成形装置から射出された樹脂が充填されるキャビティが形成された金型を保持する金型保持装置を更に備える、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の樹脂製品製造システム。
【請求項25】
第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとをペレット投入装置から混合装置に投入する工程と、
前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを前記混合装置で混合する工程と、
前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、
成形された前記樹脂製品の色を検査装置で測定する工程と、
前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備え
前記ペレット投入装置から混合装置に投入する工程は、第1ペレット乾燥装置内において、前記第1ペレットを加熱する工程と、第2ペレット乾燥装置内において、前記第2ペレットを加熱する工程とを有し、
前記第1ペレットを加熱する工程において、前記第1ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱され、
前記第2ペレットを加熱する工程において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品の製造方法。
【請求項26】
第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとをペレット投入装置から混合装置に投入する工程と、
前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを前記混合装置で混合する工程と、
前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、
前記樹脂材料の色を検査装置で測定する工程と、
前記検査装置によって測定された前記樹脂材料の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備え
前記ペレット投入装置から混合装置に投入する工程は、第1ペレット乾燥装置内において、前記第1ペレットを加熱する工程と、第2ペレット乾燥装置内において、前記第2ペレットを加熱する工程とを有し、
前記第1ペレットを加熱する工程において、前記第1ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱され、
前記第2ペレットを加熱する工程において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品の製造方法。
【請求項27】
第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを樹脂供給装置から除染装置に供給する工程と、
前記除染装置に供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を前記除染装置で加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する工程と、
前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製する工程と、
前記第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第3樹脂から作製された第2ペレットとを混合装置に投入する工程と、
前記第1ペレットと前記第2ペレットとを用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、
成形された前記樹脂製品の色を検査装置で測定する工程と、
前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備え
前記混合装置に投入する工程は、第2ペレット乾燥装置内において、前記第2ペレットを加熱する工程を有し、
前記第2ペレットを加熱する工程において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品の製造方法。
【請求項28】
第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを樹脂供給装置から除染装置に供給する工程と、
前記除染装置に供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を前記除染装置で加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する工程と、
前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製する工程と、
前記第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第3樹脂から作製された第2ペレットとを混合装置に投入する工程と、
前記第1ペレットと前記第2ペレットとを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、
前記溶融樹脂の色、前記第1ペレットの色および前記樹脂材料の色のうちの少なくとも1つを検査装置で測定する工程と、
前記検査装置によって測定された色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備え
前記混合装置に投入する工程は、第2ペレット乾燥装置内において、前記第2ペレットを加熱する工程を有し、
前記第2ペレットを加熱する工程において、前記第2ペレットは、140℃以上220℃以下に加熱される、樹脂製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂製品製造システムおよび樹脂製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食品等の内容物を収容する容器として、樹脂製の容器が一般化してきている。樹脂製の容器は、金型内にプリフォームを挿入し、当該プリフォームに対して2軸延伸ブローを施す2軸延伸ブロー成形法や、射出成形法等により製造される。
【0003】
ところで、成形不良の容器が市場に出回ることを防止するとともに、容器を構成する樹脂内への異物の混入を防止することが重要である。このような背景の下、容器を検査するための検査装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1では、容器の口部を検査する検査装置であって、検査光の照度の低下を防止できる検査装置が開示されている。また、特許文献2では、口元部が絞られた壜型形状に形成され、かつ所定の波長域の照明光に対して透過性を有する容器の検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6688501号公報
【文献】特許第6409178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、樹脂製の容器においては、成形不良や、容器を構成する樹脂内への異物の混入を防止することだけでなく、容器の変色を防止することも求められている。
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、樹脂製品の変色を抑制することが可能な、樹脂製品製造システムおよび樹脂製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態による樹脂製品製造システムは、第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとを投入するペレット投入装置と、前記ペレット投入装置から投入された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを混合させる混合装置と、前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを用いて樹脂製品を成形する成形装置と、成形された前記樹脂製品の色を測定する検査装置と、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備える、樹脂製品製造システムである。
【0009】
一実施の形態による樹脂製品製造システムは、第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとを投入するペレット投入装置と、前記ペレット投入装置から投入された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを混合させる混合装置と、前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて樹脂製品を成形する成形装置と、作製された前記樹脂材料の色を測定する検査装置と、前記検査装置によって測定された前記樹脂材料の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備える、樹脂製品製造システムである。
【0010】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記検査装置は、成形された前記樹脂製品の色を更に測定し、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を更に制御してもよい。
【0011】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記第1樹脂はリサイクルポリエステルであり、前記第2樹脂はバージンポリエステルであってもよい。
【0012】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定の範囲外である場合、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を変化させてもよい。
【0013】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定値よりも大きい場合、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を増加させてもよい。
【0014】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記ペレット投入装置は、前記第1ペレットを前記混合装置に投入する第1ペレット投入装置と、前記第2ペレットを前記混合装置に投入する第2ペレット投入装置とを有していてもよい。
【0015】
一実施の形態による樹脂製品製造システムは、第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを供給する樹脂供給装置と、前記樹脂供給装置から供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する除染装置と、前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製するペレット作製装置と、前記第1ペレットを用いて樹脂製品を成形する成形装置と、成形された前記樹脂製品の色を測定する検査装置と、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備える、樹脂製品製造システムである。
【0016】
一実施の形態による樹脂製品製造システムは、第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを供給する樹脂供給装置と、前記樹脂供給装置から供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する除染装置と、前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製するペレット作製装置と、前記第1ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて樹脂製品を成形する成形装置と、前記溶融樹脂の色、前記第1ペレットの色および前記樹脂材料の色のうちの少なくとも1つを測定する検査装置と、前記検査装置によって測定された色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する制御装置とを備える、樹脂製品製造システムである。
【0017】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記検査装置は、成形された前記樹脂製品の色を更に測定し、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を更に制御してもよい。
【0018】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記第1樹脂はリサイクルポリエステルであり、前記第2樹脂はバージンポリエステルであってもよい。
【0019】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定の範囲外である場合、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量を変化させてもよい。
【0020】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定値よりも大きい場合、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量を増加させてもよい。
【0021】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記樹脂供給装置は、前記第1樹脂を前記除染装置に供給する第1樹脂供給装置と、前記第2樹脂を前記除染装置に供給する第2樹脂供給装置とを有していてもよい。
【0022】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記ペレット作製装置と前記成形装置との間に設けられ、前記第1ペレットを結晶化する結晶化装置と、前記結晶化装置と前記成形装置との間に設けられ、結晶化された前記第1ペレットを固相重合する固相重合装置とを更に備えていてもよい。
【0023】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記成形装置の上流側に設けられ、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第3樹脂から作製された第2ペレットを投入する第2ペレット投入装置と、前記第1ペレットと前記第2ペレット投入装置から投入された前記第2ペレットとを混合させる混合装置とを更に備え、前記成形装置は、前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを用いて前記樹脂製品を成形してもよい。
【0024】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色に基づいて、前記第2ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を更に制御してもよい。
【0025】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記第3樹脂はバージンポリエステルであってもよい。
【0026】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定の範囲外である場合、前記第2ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を変化させてもよい。
【0027】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記制御装置は、前記検査装置によって測定された色の測定値が所定値よりも大きい場合、前記第2ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量を増加させてもよい。
【0028】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第1ペレットを乾燥させる第1ペレット乾燥装置を更に備えていてもよい。
【0029】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記混合装置の上流側に設けられ、混合される前の前記第2ペレットを乾燥させる第2ペレット乾燥装置を更に備えていてもよい。
【0030】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記混合装置と前記成形装置との間に設けられ、混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを乾燥させる乾燥装置を更に備えていてもよい。
【0031】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記成形装置の上流側に設けられ、前記混合装置によって混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを攪拌する攪拌装置を更に備えていてもよい。
【0032】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記混合装置に着色剤を投入する着色剤投入装置を更に備えていてもよい。
【0033】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記検査装置が測定する色の測定値は、RGB値のうちの少なくともB値であってもよい。
【0034】
一実施の形態による樹脂製品製造システムにおいて、前記成形装置は、射出成形装置であり、前記樹脂製品製造システムは、前記射出成形装置から射出された樹脂が充填されるキャビティが形成された金型を保持する金型保持装置を更に備えていてもよい。
【0035】
一実施の形態による樹脂製品の製造方法は、第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとをペレット投入装置から混合装置に投入する工程と、前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを前記混合装置で混合する工程と、前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、成形された前記樹脂製品の色を検査装置で測定する工程と、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備える、樹脂製品の製造方法である。
【0036】
一実施の形態による樹脂製品の製造方法は、第1樹脂から作製された第1ペレットと、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂から作製された第2ペレットとをペレット投入装置から混合装置に投入する工程と、前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを前記混合装置で混合する工程と、前記混合装置で混合された前記第1ペレットおよび前記第2ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、前記樹脂材料の色を検査装置で測定する工程と、前記検査装置によって測定された前記樹脂材料の色に基づいて、前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第1ペレットの投入量および前記ペレット投入装置から前記混合装置への前記第2ペレットの投入量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備える、樹脂製品の製造方法である。
【0037】
一実施の形態による樹脂製品の製造方法は、第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを樹脂供給装置から除染装置に供給する工程と、前記除染装置に供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を前記除染装置で加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する工程と、前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製する工程と、前記第1ペレットを用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、成形された前記樹脂製品の色を検査装置で測定する工程と、前記検査装置によって測定された前記樹脂製品の色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備える、樹脂製品の製造方法である。
【0038】
一実施の形態による樹脂製品の製造方法は、第1樹脂と、前記第1樹脂とは異なる色味をもつ第2樹脂とを樹脂供給装置から除染装置に供給する工程と、前記除染装置に供給された前記第1樹脂および前記第2樹脂を前記除染装置で加熱することにより、除染された溶融樹脂を作製する工程と、前記除染装置によって除染された前記溶融樹脂から第1ペレットを作製する工程と、前記第1ペレットを溶融させることにより、溶融した樹脂材料を作製するとともに、前記樹脂材料を用いて、成形装置により樹脂製品を成形する工程と、前記溶融樹脂の色、前記第1ペレットの色および前記樹脂材料の色のうちの少なくとも1つを検査装置で測定する工程と、前記検査装置によって測定された色に基づいて、前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第1樹脂の供給量および前記樹脂供給装置から前記除染装置への前記第2樹脂の供給量のうちの少なくとも一方を制御する工程とを備える、樹脂製品の製造方法である。
【発明の効果】
【0039】
本開示によれば、樹脂製品の変色を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムによって作製される樹脂製品を示す正面図である。
図2図2は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムを示す概略図である。
図3図3は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムの射出成形装置を示す断面図である。
図4図4は、第1の実施の形態による樹脂製品の製造方法を示すフローチャートである。
図5図5(a)-(c)は、第1の実施の形態による樹脂製品の製造方法を示す断面図である。
図6図6(a)-(c)は、第1の実施の形態による樹脂製品の製造方法を示す断面図である。
図7図7は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムの変形例を示す概略図である。
図8図8は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムの変形例の射出成形装置を示す断面図である。
図9図9は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムの他の変形例を示す概略図である。
図10図10は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムの更に他の変形例を示す概略図である。
図11図11は、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムの更に他の変形例を示す概略図ある。
図12図12は、第2の実施の形態による樹脂製品製造システムを示す概略図である。
図13図13は、第2の実施の形態による樹脂製品の製造方法を示すフローチャートである。
図14図14は、第2の実施の形態による樹脂製品製造システムの変形例を示す概略図である。
図15図15は、第2の実施の形態による樹脂製品製造システムの他の変形例を示す概略図である。
図16図16は、第3の実施の形態による樹脂製品製造システムを示す概略図である。
図17図17は、第3の実施の形態による樹脂製品の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本開示の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図6は第1の実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0042】
まず、本開示による樹脂製品製造システムによって製造される樹脂製品について説明する。樹脂製品は、例えば、プラスチックボトルを製造するために用いられるプリフォームであってもよい。なお、樹脂製品がプリフォームである例を説明するが、このようなプリフォームに限られず、樹脂製品としては、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形またはダイレクトブロー成形によって製造される容器等の成形品であればよい。
【0043】
図1に示すように、プリフォーム100は、口部101と、胴部102と、底部103とを備えている。
【0044】
このうち口部101の外周には、プリフォーム100を2軸延伸ブロー成形してプラスチックボトル(図示せず)を作製した後、図示しないキャップを螺合するためのねじ部104が設けられている。また、口部101の下部には、環状のサポートリング105が突設されている。
【0045】
胴部102は、円筒形状を有している。なお、胴部102は、口部101側から底部103側に向けて徐々に縮径する筒形状を有していてもよい。また、底部103は、略半球形状を有している。
【0046】
このようなプリフォーム100は、例えば、合成樹脂材料を射出成形して作製することができる。
【0047】
樹脂製品製造システム
次に、図2および図3により、第1の実施の形態による樹脂製品製造システムについて説明する。なお、本開示において、「リサイクルポリエステル」とは、リサイクル処理が施されたポリエステルを意味する。また、「バージンポリエステル」とは、リサイクル処理が施されていないポリエステル、すなわち、未使用のポリエステルを意味する。
【0048】
図2に示すように、樹脂製品製造システム1は、リサイクルペレット(第1ペレット)Pe1と、バージンペレット(第2ペレット)Pe2とを投入するペレット投入装置11と、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を混合させる混合装置13と、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を用いて樹脂製品を成形する射出成形装置(成形装置)30とを備えている。また、樹脂製品製造システム1は、成形された樹脂製品の色を測定する検査装置70と、検査装置70に接続された制御装置75とを備えている。本実施の形態では、ペレット投入装置11は、リサイクルペレット(第1ペレット)Pe1を混合装置13に投入するリサイクルペレット投入装置(第1ペレット投入装置)11Aと、バージンペレット(第2ペレット)Pe2を混合装置13に投入するバージンペレット投入装置(第2ペレット投入装置)11Bとを有している。
【0049】
ここで、リサイクルペレットPe1は、リサイクルポリエステル(第1樹脂)から作製されたペレットであり、バージンペレットPe2は、リサイクルポリエステル(第1樹脂)とは異なる色味をもつバージンポリエステル(第2樹脂)から作製されたペレットである。また、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2とは、それぞれ最大幅が1mm以上7mm以下程度の樹脂塊であり、例えば円柱形状または球形状を有していてもよい。本実施の形態において、バージンポリエステルは、無色透明であることが好ましい。一方、リサイクルポリエステルは、所定の黄色味を有し得る。以下では、「変色」とは、バージンポリエステル(第2樹脂)からなる樹脂製品を基準とした、樹脂製品の色の変化を意味するものとして説明する。
【0050】
また、本開示において、「ポリエステル」とは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
【0051】
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸およびエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸およびこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
【0052】
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0053】
ポリエステルの中でも、テレフタル酸と、エチレングリコールとの共重合体であるポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、またはこれに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0054】
ポリエステルは、ジカルボン酸化合物およびジオール化合物以外のモノマーを含んでいてもよいが、その含有量は、全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
【0055】
次に、リサイクルペレット投入装置11A、バージンペレット投入装置11Bおよび混合装置13について説明する。
【0056】
リサイクルペレット投入装置11Aは、リサイクルペレットPe1を混合装置13に投入するとともに、リサイクルペレットPe1を貯留するためのものである。このリサイクルペレット投入装置11Aには、常温程度まで冷却されたリサイクルペレットPe1が貯留されるようになっている。このリサイクルペレット投入装置11Aは、制御装置75に接続されており、制御装置75によって制御されるように構成されている。なお、リサイクルペレット投入装置11Aの容積は、例えば20m以上700m以下であってもよい。
【0057】
バージンペレット投入装置11Bは、バージンペレットPe2を混合装置13に投入するとともに、バージンペレットPe2を貯留するためのものである。このバージンペレット投入装置11Bには、常温程度まで冷却されたバージンペレットPe2が貯留されるようになっている。このバージンペレット投入装置11Bは、制御装置75に接続されており、制御装置75によって制御されるように構成されている。なお、バージンペレット投入装置11Bの容積は、例えば20m以上700m以下であってもよい。
【0058】
混合装置13は、リサイクルペレット投入装置11Aから投入されたリサイクルペレットPe1と、バージンペレット投入装置11Bから投入されたバージンペレットPe2とを混合させるものである。この混合装置13内において、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2は、略均一に分散されるように混合される。これにより、混合装置13によって混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2(以下、単にリサイクルペレットPe1等とも記す)から作製される樹脂製品の品質にバラツキが出てしまうことを抑制することができるようになっている。
【0059】
また、樹脂製品製造システム1は、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のリサイクルペレットPe1を乾燥させるリサイクルペレット乾燥装置(第1ペレット乾燥装置)12Aを更に備えている。本実施の形態では、リサイクルペレット乾燥装置12Aは、リサイクルペレット投入装置11Aと混合装置13との間に設けられている。リサイクルペレット乾燥装置12Aは、リサイクルペレット投入装置11Aに貯留された常温程度のリサイクルペレットPe1を加熱することにより乾燥させるためのものである。これにより、混合装置13には、リサイクルペレット乾燥装置12Aによって乾燥されたリサイクルペレットPe1が供給されるように構成されている。このリサイクルペレット乾燥装置12Aにおいて、リサイクルペレットPe1は、例えば、140℃以上220℃以下に加熱されてもよい。リサイクルペレットPe1が140℃以上に加熱されることにより、効率良くリサイクルペレットPe1を乾燥させることができる。また、リサイクルペレットPe1の加熱温度が220℃以下であることにより、リサイクルペレットPe1が熱によって損傷を受けてしまうことを抑制することができる。また、リサイクルペレットPe1の加熱温度が220℃以下であることにより、更なる省エネルギー化、樹脂製品の製造工程の低コスト化および樹脂製品の黄変の低減を図ることができる。
【0060】
なお、本実施の形態において、「上流」とは、リサイクルペレットPe1の流れ方向に対してリサイクルペレット投入装置11Aに近い側、またはバージンペレットPe2の流れ方向に対してバージンペレット投入装置11Bに近い側をいう。また、本実施の形態において、「下流」とは、リサイクルペレットPe1またはバージンペレットPe2の流れ方向に対して、後述する金型40に近い側をいう。
【0061】
また、樹脂製品製造システム1は、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のバージンペレットPe2を乾燥させるバージンペレット乾燥装置(第2ペレット乾燥装置)12Bを更に備えている。本実施の形態では、バージンペレット乾燥装置12Bは、バージンペレット投入装置11Bと混合装置13との間に設けられている。バージンペレット乾燥装置12Bは、バージンペレット投入装置11Bに貯留された常温程度のバージンペレットPe2を加熱することにより乾燥させるためのものである。これにより、混合装置13には、バージンペレット乾燥装置12Bによって乾燥されたバージンペレットPe2が供給されるように構成されている。このバージンペレット乾燥装置12Bにおいて、バージンペレットPe2は、例えば、140℃以上220℃以下に加熱されてもよい。バージンペレットPe2が140℃以上に加熱されることにより、効率良くバージンペレットPe2を乾燥させることができる。また、バージンペレットPe2の加熱温度が220℃以下であることにより、バージンペレットPe2が熱によって損傷を受けてしまうことを抑制することができる。また、バージンペレットPe2の加熱温度が220℃以下であることにより、更なる省エネルギー化、樹脂製品の製造工程の低コスト化および樹脂製品の黄変の低減を図ることができる。
【0062】
また、樹脂製品製造システム1は、射出成形装置30の上流側に設けられ、混合装置13によって混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を攪拌する攪拌装置M1を更に備えていても良い。
【0063】
この攪拌装置M1は、射出成形装置30と混合装置13との間に配置されている。攪拌装置M1がリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を攪拌することにより、高温状態に維持されたリサイクルペレットPe1等が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことを抑制することができる。この攪拌装置M1に用いられる攪拌翼は、例えばプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等であってもよい。
【0064】
また、図示された例においては1つの攪拌装置M1が設けられている。しかしながら、これに限られず、複数の攪拌装置M1が設けられていてもよい。とりわけ、リサイクルペレットPe1等の流れ方向に沿って、複数の攪拌装置M1が設けられていることが好ましい。これにより、リサイクルペレットPe1等を多段階にわたって攪拌することができる。このため、高温状態に維持されたリサイクルペレットPe1等が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0065】
次に、射出成形装置30について説明する。この射出成形装置30は、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を溶融させることにより、溶融した樹脂(樹脂材料)Rを作製するとともに、樹脂(樹脂材料)Rを用いて樹脂製品を射出成形するものである。図3に示すように、射出成形装置30は、リサイクルペレットPe1等が供給されるバレル50と、バレル50内に設けられ、リサイクルペレットPe1等を溶融させるとともに、溶融した樹脂Rを下流側に送る搬送スクリュ60と、搬送スクリュ60を駆動する駆動部65と、バレル50の下流側に設けられ、搬送スクリュ60によって送られた樹脂Rを貯留する貯留部80と、貯留部80に貯留された樹脂Rを射出するノズル90とを有している。
【0066】
このうち、バレル50は、後述する配管Piに連結されている。このバレル50の外周に、バレル50を加熱する加熱ヒータ51が配置されている。これにより、バレル50内に供給されたリサイクルペレットPe1等が加熱されるようになっている。また、バレル50には、搬送スクリュ60によって送られた樹脂Rを下流側に搬送するための第1流路31が接続されている。
【0067】
搬送スクリュ60は、回転することにより、リサイクルペレットPe1等を可塑化して、溶融された樹脂Rを作製する役割を果たす。この搬送スクリュ60には、螺旋状に周回したフライト61が設けられている。このフライト61によってリサイクルペレットPe1等および樹脂Rに対して摩擦力が加えられ、当該摩擦力によって、リサイクルペレットPe1等および樹脂Rが可塑化される。また、搬送スクリュ60は、上述した駆動部65によって、バレル50の長手方向に沿って、バレル50内を前進および後退するように構成されている。この搬送スクリュ60は、バレル50内の樹脂Rを貯留部80に送る際には、バレル50に対して前進するようになっている。搬送スクリュ60を駆動する駆動部65は、例えばモータ等であってもよい。
【0068】
貯留部80は、搬送スクリュ60によって送られた樹脂Rを貯留するシリンダ81と、シリンダ81内に貯留された樹脂Rを押し出すプランジャ82とを含んでいる。プランジャ82は、駆動機構83によって、シリンダ81内を摺動しながら前進するとともに、樹脂Rの圧力によって、シリンダ81内を摺動しながら後退するように構成されている。プランジャ82がシリンダ81に対して後退した場合、シリンダ81内において、樹脂Rが貯留されるとともに計量されるようになっている。一方、プランジャ82がシリンダ81に対して前進した場合、ノズル90から射出成形金型(金型40)内に樹脂Rが射出されるようになっている。
【0069】
また、貯留部80には、第1流路31によって搬送された樹脂Rを貯留部80に搬送するとともに、貯留部80に貯留された樹脂Rをノズル90へ供給するための第2流路32が接続されている。この第2流路32の途中には、上述した第1流路31が接続されている。また、第1流路31と第2流路32との間に、貯留部80に貯留された樹脂Rの逆流を防止するとともに、樹脂Rを貯留部80に貯留する際に、樹脂Rがノズル90に供給されることを防止する三方弁33が設けられている。後述するように、この三方弁33は、バレル50内に供給された樹脂Rを貯留部80に送る際には、第1流路31と第2流路32とが互いに連通するように開かれる。この場合、第1流路31はノズル90とは連通しない。一方、貯留部80に貯留された樹脂Rを金型40のキャビティ41に射出する際には、三方弁33は、第2流路32とノズル90とが互いに連通するように開かれる。この場合、第2流路32は第1流路31とは連通しない。このようにして、貯留部80に樹脂Rを送る際に、樹脂Rがノズル90に供給されることを防止するとともに、ノズル90から樹脂Rを射出する際に、樹脂Rがバレル50内に逆流することを抑制することができるようになっている。
【0070】
さらに、樹脂製品製造システム1は、射出成形装置30から射出された樹脂R(図3参照)が充填されるキャビティ41(図3参照)が形成された金型40を保持する型締装置(金型保持装置)44を更に備えている。型締装置44に保持される金型40は、キャビティ側金型42とコア43とを含んでいる。このうちキャビティ側金型42は、型締装置(金型保持装置)44の固定プラテン44aに取り付けられている。なお、型締装置44のうち固定プラテン44a以外の構成要素については、図示を省略している。この金型40は、型締装置44を用いて、キャビティ側金型42とコア43とを型締めすることにより、作製する樹脂製品の形状に対応するキャビティ41が形成されるようになっている。上述した型締装置44は、例えば、直圧式であってもよく、トグル式であってもよい。
【0071】
次に、検査装置70について説明する。本実施の形態では、検査装置70は、カラーカメラを含んでいる。このカラーカメラは、樹脂製品を撮像することにより、撮像された画像から樹脂製品の色に関する情報を取得するものである。カラーカメラが樹脂製品の色に関する情報を取得するための領域のサイズおよび/または形状は、当該領域が、撮像された画像における樹脂製品内である限り、特に限定はされない。例えば、カラーカメラは、プリフォーム100の胴部102における10mm四方程度の任意の領域から、樹脂製品の色に関する情報を取得してもよい。このようなカラーカメラのカラー画像の1画素は、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色の階調値で表される。この場合、1画素のRGB要素は、例えば、それぞれ8ビットの階調値で表されていてもよい。すなわち、カラー画像は、1画素が24ビット(8ビット×3色)で構成されていてもよい。このような検査装置70は制御装置75に接続されており、樹脂製品の色の測定値(すなわち、樹脂製品の色に関する情報)が、制御装置75に信号として送信されるように構成さている。なお、樹脂製品の色の測定値は、例えば複数の樹脂製品において測定された測定値の平均値であってもよく、例えば50個の樹脂製品において測定された測定値の平均値であってもよい。
【0072】
ここで、樹脂製品に白色光を照射した場合であって、樹脂製品が青色に対応する波長の光を吸収した場合、青色以外に対応する波長の光が黄色として認識される。このため、本実施の形態においては、検査装置70が、樹脂製品のRGB値のうちの少なくともB値を測定することを提案する。これにより、樹脂製品に生じた黄変を効果的に検査することができる。
【0073】
次に、制御装置75について説明する。制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、ペレット投入装置11から混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を制御する。具体的には、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびバージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を制御する。
【0074】
本実施の形態では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が所定の範囲外である場合、ペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を変化させる。一例として、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が、所定値よりも大きい場合(すなわち、所定の範囲の上限値(以下、単に上限値とも記す)よりも大きい場合)、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させてもよい。これにより、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2(すなわちリサイクルペレットPe1等)におけるバージンペレットPe2の含有量を増加させることができる。このため、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。ここで、所定の範囲の上限値とは、樹脂製品におけるバージンペレットPe2の使用量を増やすべきか否かを判断するための基準値(閾値)である。このような上限値は、得られる樹脂製品の色に応じて任意に設定することができる。
【0075】
ところで、樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きくなった際には、混合装置13内に既にリサイクルペレットPe1等が存在している。このように、混合装置13内に既に存在するリサイクルペレットPe1等(以下、単に、既存のリサイクルペレットPe1等とも記す)の一部は、混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させた場合であっても、バージンペレットPe2の含有量が増やされることなく、樹脂製品の作製に使用される。このため、混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させた場合であっても、樹脂製品の色の測定値が小さくなるまでにはタイムラグが発生する。また、この場合、既存のリサイクルペレットPe1等を使用した樹脂製品の色の測定値が、徐々に大きくなる可能性がある。このため、上限値は、バージンペレットPe2の投入量を増加させることなく、既存のリサイクルペレットPe1等のみを使用した場合であっても、樹脂製品に不良となる程度の変色(例えば、黄変)が生じない程度の値とすることが好ましい。
【0076】
このような上限値としては、例えば、B値(すなわち、B(青)の階調値)が用いられてもよい。この場合、上限値としてのB値は、1画素のRGB要素がそれぞれ8ビットの階調値で表されている場合、32以上250以下であってもよく、62以上170以下であることが好ましい。一例として、上限値としてのB値は、1画素のRGB要素がそれぞれ8ビットの階調値で表されている場合、128であってもよい。
【0077】
一方、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値以下である場合、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびバージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を変化させない。これにより、樹脂製品におけるリサイクルペレットPe1の使用量の割合が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0078】
なお、上述した各装置間には、各装置を互いに連結させる配管Piが設けられている。この配管は、金属、例えばステンレス製であってもよい。また、各配管の内面には、微細な凹凸が形成されていてもよい。各配管の内面に微細な凹凸が形成されていることにより、リサイクルペレットPe1またはバージンペレットPe2と各配管の内面との摩擦が低減し、微粉の発生を抑制することができる。
【0079】
樹脂製品の製造方法
次に、図4乃至図6により、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち樹脂製品の製造方法について説明する。
【0080】
まず、リサイクルペレットPe1と、バージンペレットPe2とをペレット投入装置11から混合装置13に投入する。この場合、リサイクルペレットPe1をリサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13に投入する(第1ペレット投入工程、図4の符号S1)。この際、まず、リサイクルペレット投入装置11Aに貯留されたリサイクルペレットPe1が、リサイクルペレット乾燥装置12Aに搬送される。そして、リサイクルペレット乾燥装置12A内において、リサイクルペレットPe1が加熱される。これにより、リサイクルペレットPe1が乾燥する。次に、リサイクルペレット乾燥装置12Aによって乾燥されたリサイクルペレットPe1が混合装置13に供給される。
【0081】
また、第1ペレット投入工程(図4の符号S1)と並行して、バージンペレットPe2をバージンペレット投入装置11Bから混合装置13に投入する(第2ペレット投入工程、図4の符号S2)。この際、まず、バージンペレット投入装置11Bに貯留されたバージンペレットPe2が、バージンペレット乾燥装置12Bに搬送される。そして、バージンペレット乾燥装置12B内において、バージンペレットPe2が加熱される。これにより、バージンペレットPe2が乾燥する。次に、バージンペレット乾燥装置12Bによって乾燥されたバージンペレットPe2が混合装置13に供給される。
【0082】
次に、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を混合装置13で混合する(混合工程、図4の符号S3)。混合装置13内において、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2は、略均一に分散されるように混合される。
【0083】
次いで、攪拌装置M1によって、混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を攪拌する(攪拌工程、図4の符号S4)。これにより、高温状態に維持されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことを抑制することができる。その後、図5(a)に示すように、混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2が、射出成形装置30に搬送される。
【0084】
次に、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を用いて、射出成形装置30により樹脂製品を成形する(射出工程、図4の符号S5)。この際、まず、図5(b)に示すように、混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2をバレル50に供給する(ペレット供給工程、図4の符号S51)。この場合、リサイクルペレットPe1等を冷却することなく、140℃以上220℃以下の温度に維持された状態のリサイクルペレットPe1等がバレル50に供給される。
【0085】
次いで、バレル50内に供給されたリサイクルペレットPe1等は、搬送スクリュ60の周囲で加熱ヒータ51によって加熱される。また、この際、駆動部65(図3参照)によって搬送スクリュ60を回転させる。これにより、バレル50内に供給されたリサイクルペレットPe1等は、搬送スクリュ60のフライト61によって摩擦力が加えられ、当該摩擦力によって、可塑化される。このようにして、図5(c)に示すように、溶融された樹脂Rが作製される。
【0086】
また、搬送スクリュ60は、樹脂Rの圧力によって、バレル50に対して徐々に後退する。なお、この際、三方弁33は閉じられており、樹脂Rは、貯留部80には供給されないようになっている。このようにして、バレル50内および第1流路31内に、所定の量の樹脂Rが貯められる。なお、搬送スクリュ60は、駆動部65によってバレル50に対して後退させられてもよい。
【0087】
次いで、図6(a)に示すように、バレル50内の樹脂Rを貯留部80に送り込む(送り込み工程、図4の符号S52)。この際、まず、第1流路31と第2流路32とが互いに連通するように、三方弁33を開く。この場合、第1流路31はノズル90とは連通しない。次に、駆動部65によって搬送スクリュ60の回転を停止させる。そして、駆動部65によって搬送スクリュ60をバレル50に対して前進させる。これにより、樹脂Rは、第1流路31および第2流路32を通って貯留部80のシリンダ81内に送られる。なお、樹脂Rを貯留部80のシリンダ81内に送る際に、駆動部65によって搬送スクリュ60を回転させながら、搬送スクリュ60をバレル50に対して前進させてもよい。
【0088】
ここで、貯留部80のプランジャ82は、樹脂Rがシリンダ81内に送られる前にはシリンダ81に対して前進しており(図5(b)-(c)参照)、シリンダ81内に送られた樹脂Rの圧力により、シリンダ81に対して徐々に後退する。そして、シリンダ81内のプランジャ82が所定の位置に後退するまで、樹脂Rが貯留部80のシリンダ81内に送られる。このようにして、貯留部80に貯留される樹脂Rの計量が行われる。
【0089】
次に、図6(b)に示すように、貯留部80に貯留された樹脂Rをノズル90側に送り出す(送り出し工程、図4の符号S53)。この際、まず、第2流路32とノズル90とが互いに連通するように、三方弁33を開く。この場合、第2流路32は第1流路31とは連通しない。次に、貯留部80の駆動機構83(図3参照)によって、プランジャ82をシリンダ81に対して前進させる。これにより、シリンダ81内に貯留された樹脂Rは、第2流路32およびノズル90を通って金型40(図3参照)のキャビティ41内に押し出される。
【0090】
そして、キャビティ41内に押し出された樹脂Rは、キャビティ41内で冷却されて固化される。このようにして、キャビティ41内において、樹脂製品が得られる。
【0091】
その後、図6(c)に示すように、上述した送り込み工程(図4の符号S52)が行われ、バレル50内の樹脂Rが貯留部80に送られる。そして、上述した送り出し工程(図4の符号S53、図6(b))が行われる。このようにして、上述した送り込み工程(図4の符号S52)および送り出し工程(図4の符号S53)を繰り返す。これにより、連続的に樹脂製品を製造する。
【0092】
次に、成形された樹脂製品の色を検査装置70で測定する(検査工程、図4の符号S6)。この検査装置70では、樹脂製品のRGB値のうちのB値が測定される。そして、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値は、信号として制御装置75に送信される。なお、例えば50個の樹脂製品において、それぞれB値が測定されてもよい。また、測定されたB値の平均値が、樹脂製品の色の測定値とされてもよい。
【0093】
次いで、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を制御する。
【0094】
この場合、制御装置75に信号が送信されると、制御装置75によって、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きいか否かが判断される(図4の符号S7)。制御装置75が当該測定値を上限値よりも大きいと判断した場合(図4の符号S7のYES)、制御装置75は、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる(制御工程、図4の符号S8)。これにより、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2(すなわちリサイクルペレットPe1等)におけるバージンペレットPe2の含有量を増加させることができる。このため、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0095】
一方、制御装置75が当該測定値を上限値以下と判断した場合には(図4の符号S7のNO)、制御装置75は、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させない。これにより、樹脂製品におけるリサイクルペレットPe1の使用量の割合が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0096】
このようにして、変色が抑制された樹脂製品が得られる。
【0097】
以上のように本実施の形態によれば、樹脂製品製造システム1が、成形された樹脂製品の色を測定する検査装置70と、検査装置70に接続された制御装置75とを備えている。そして、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、ペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を制御する。これにより、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。とりわけ、検査装置70が、成形された樹脂製品の色を測定する。このように、検査装置70が、実際に作製する樹脂製品の色を測定することにより、樹脂製品を作製する際にリサイクルペレットPe1等が受ける熱履歴を考慮することなく、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品の色を調整することができる。このため、樹脂製品に変色が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が所定の範囲外である場合、ペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を変化させる。この場合、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きい場合、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる。これにより、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、樹脂製品製造システム1が、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のリサイクルペレットPe1を乾燥させるリサイクルペレット乾燥装置12Aを更に備えている。これにより、混合装置13に供給されるリサイクルペレットPe1を乾燥させることができる。このため、リサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを混合させた際に、バージンペレットPe2がリサイクルペレットPe1の水分を吸収してしまうことを抑制することができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、樹脂製品製造システム1が、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のバージンペレットPe2を乾燥させるバージンペレット乾燥装置12Bを更に備えている。これにより、混合装置13に供給されるバージンペレットPe2を乾燥させることができる。このため、リサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを混合させた際に、リサイクルペレットPe1がバージンペレットPe2の水分を吸収してしまうことを抑制することができる。
【0101】
このように、本実施の形態では、リサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを混合させた際に、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2が水分を吸収してしまうことを抑制することができる。これにより、混合されたリサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを乾燥させる工程を設けることなく、リサイクルペレットPe1等を用いて射出成形装置30によって射出成形することができる。すなわち、リサイクルペレットPe1等を再度加熱する工程を省略することができる。
【0102】
また、射出成形する際にリサイクルペレットPe1等を再度加熱する工程を省略することができるため、省エネルギー化および樹脂製品の製造工程の低コスト化を図ることができる。また、射出成形する際にリサイクルペレットPe1等を再度加熱する工程を省略することができるため、射出成形する際にリサイクルペレットPe1等を再度加熱する場合と比較して、リサイクルペレットPe1等が受ける熱履歴を少なくすることができる。これにより、リサイクルペレットPe1等から作製される樹脂製品に変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0103】
また、本実施の形態によれば、樹脂製品製造システム1が、射出成形装置30の上流側に設けられ、混合装置13によって混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を攪拌する攪拌装置M1を更に備えている。これにより、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことを抑制することができる。
【0104】
また、本実施の形態によれば、検査装置70が測定する色の測定値が、樹脂製品のRGB値のうちの少なくともB値である。これにより、樹脂製品に生じた黄変を効果的に検査することができる。これにより、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、黄変が生じてしまうことを更に効果的に抑制することができる。
【0105】
なお、上述した本実施の形態において、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を制御する例について説明したが、これに限られない。図示はしないが、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量を制御してもよい。この場合、例えば、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値を上限値よりも大きいと判断した場合に、制御装置75が、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量を低下させてもよい。また、図示はしないが、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびバージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を制御してもよい。
【0106】
また、上述した本実施の形態において、検査装置70が、成形された樹脂製品の色を測定する例について説明したが、これに限られない。例えば、図7および図8に示すように、検査装置70が、射出成形装置30によって作製された樹脂(樹脂材料)Rの色を測定してもよい。この場合、図8に示すように、バレル50に接続された第1流路31に、透明部材31aが連結されていてもよい。この透明部材31aは、第1流路31を通る樹脂Rを外部から視認可能に構成されており、この透明部材31aを介して、検査装置70のカラーカメラが、第1流路31を通る樹脂Rを外部から撮像してもよい。このような透明部材31aは、例えば、ガラス等の材料で形成されていてもよい。なお、上述した例において、検査装置70が、第1流路31を通る樹脂Rの色を測定する例について説明したが、検査装置70は、第2流路32を通る樹脂Rの色を測定してもよく、ノズル90を通る樹脂Rの色を測定してもよい。
【0107】
また、本変形例では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂Rの色に基づいて、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびバージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を制御する。
【0108】
また、この場合、例えば、図7に示すように、検査装置70が、樹脂(樹脂材料)Rの色を測定するととともに、成形された樹脂製品の色を更に測定してもよい。そして、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびバージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を更に制御してもよい。なお、検査装置70は、成形された樹脂製品の色を測定することなく、樹脂(樹脂材料)Rの色のみを測定してもよい。
【0109】
本変形例では、検査装置70は、バレル50内の樹脂Rを貯留部80に送り込む際に(すなわち、送り込み工程(図4の符号S52参照)の際に、樹脂(樹脂材料)Rの色を検査する。この際、上述した検査工程(図4の符号S6)と同様に、樹脂製品のRGB値のうちのB値が測定される。そして、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値は、信号として制御装置75に送信される。
【0110】
次に、検査装置70によって測定された樹脂Rの色に基づいて、ペレット投入装置11から混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を制御する。この際、例えば、上述した制御工程(図4の符号S8)と同様に、検査装置70によって測定された樹脂Rの色に基づいて、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を制御する。なお、本変形例においても、図4の符号S6~符号S8と同様に、射出工程(図4の符号S5)の後に、検査工程~制御工程が順に行われてもよい。
【0111】
以上のように本変形例によれば、樹脂製品製造システム1が、樹脂(樹脂材料)Rの色を測定する検査装置70と、検査装置70に接続された制御装置75とを備えている。そして、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂Rの色に基づいて、ペレット投入装置11から混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を制御する。この場合においても、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0112】
また、本変形例によれは、検査装置70が、成形された樹脂製品の色を更に測定する。そして、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、ペレット投入装置11から混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびペレット投入装置11から混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を更に制御する。この場合においても、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。とりわけ、検査装置70が、実際に作製する樹脂製品の色を測定することにより、樹脂製品を作製する際にリサイクルペレットPe1等が受ける熱履歴を考慮することなく、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品の色を調整することができる。このため、樹脂製品に変色が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0113】
また、上述した本実施の形態において、第1樹脂がリサイクルポリエステルであり、第2樹脂がバージンポリエステルである例について説明したが、これに限られない。第1樹脂および第2樹脂は、第2樹脂が第1樹脂と異なる色味をもつ限り、任意の樹脂を用いることができる。
【0114】
また、上述した本実施の形態において、第2樹脂からなる樹脂製品を基準とした、樹脂製品の色の変化を抑制する例について説明したが、これに限られない。図示はしないが、第1樹脂からなる樹脂製品を基準とした、樹脂製品の色の変化を抑制するように構成されていてもよい。
【0115】
また、上述した本実施の形態において、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きい場合に、制御装置75が、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる例について説明したが、これに限られない。制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が、所定値よりも小さい場合(すなわち、所定の範囲の下限値(以下、単に下限値とも記す)よりも小さい場合)に、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量およびバージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量のうちの少なくとも一方を制御してもよい。例えば、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が下限値よりも小さい場合、制御装置75は、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を低下させてもよい。あるいは、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が下限値よりも小さい場合、制御装置75は、リサイクルペレット投入装置11Aから混合装置13へのリサイクルペレットPe1の投入量を増加させてもよい。これらの場合、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2(すなわちリサイクルペレットPe1等)におけるリサイクルペレットPe1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができる。このため、樹脂製品におけるリサイクルペレットPe1の使用量の割合が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0116】
このような下限値としては、上限値と同様に、例えば、B値(すなわち、B(青)の階調値)が用いられてもよい。この場合、下限値としてのB値は、1画素のRGB要素がそれぞれ8ビットの階調値で表されている場合、32以上250以下であってもよく、62以上170以下であることが好ましい。一例として、下限値としてのB値は、1画素のRGB要素がそれぞれ8ビットの階調値で表されている場合、62であってもよい。
【0117】
また、上述した本実施の形態において、ペレット投入装置11が、リサイクルペレット(第1ペレット)Pe1を混合装置13に投入するリサイクルペレット投入装置(第1ペレット投入装置)11Aと、バージンペレット(第2ペレット)Pe2を混合装置13に投入するバージンペレット投入装置(第2ペレット投入装置)11Bとを有している例について説明したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、単一のペレット投入装置11内に、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2が貯留されていてもよい。そして、このペレット投入装置11から、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2が、互いに独立して混合装置13に投入されてもよい。
【0118】
また、上述した本実施の形態において、樹脂製品製造システム1が、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のリサイクルペレットPe1を乾燥させるリサイクルペレット乾燥装置12Aを更に備えている例について説明した。また、樹脂製品製造システム1が、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のバージンペレットPe2を乾燥させるバージンペレット乾燥装置12Bを更に備えている例について説明した。しかしながら、これに限られることなく、図10に示すように、樹脂製品製造システム1が、混合装置13と射出成形装置30との間に設けられ、混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を乾燥させる乾燥装置12Cを更に備えていてもよい。この場合、リサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを混合させた際に、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2の温度が低い場合であっても、所望の温度まで加熱されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を射出成形装置30に搬送することができる。このため、樹脂製品の生産性を向上させることができる。なお、乾燥装置12Cのその他の構成は、上述したリサイクルペレット乾燥装置12Aおよびバージンペレット乾燥装置12Bの構成と同一であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0119】
また、上述した本実施の形態において、樹脂製品製造システム1が、リサイクルペレット投入装置11Aと、バージンペレット投入装置11Bとを有するペレット投入装置11を備えている例について説明した。この場合、図11に示すように、樹脂製品製造システム1は、混合装置13に着色剤Cを投入する着色剤投入装置11Cを更に備えていてもよい。この着色剤投入装置11Cは、着色剤Cを混合装置13に投入するとともに、着色剤Cを貯留するためのものである。この着色剤投入装置11Cの容積は、例えば20m以上700m以下であってもよい。また、着色剤Cは、例えば樹脂に顔料を分散させたペレット等であってもよい。なお、着色剤投入装置11Cと混合装置13との間に、着色剤Cを乾燥させる乾燥機構(図示せず)が設けられていてもよい。あるいは、混合装置13と射出成形装置30との間に、混合されたリサイクルペレットPe1、バージンペレットPe2および着色剤Cを乾燥させる乾燥機構(図示せず)が設けられていてもよい。
【0120】
本変形例では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、着色剤投入装置11Cから混合装置13への着色剤Cの投入量を更に制御してもよい。
【0121】
また、上述した本実施の形態において、検査装置70が、樹脂製品のRGB値を測定する例について説明したが、これに限られない。例えば、検査装置70は、樹脂製品のLab値、樹脂製品のXYZ値または樹脂製品のHSV値等を測定してもよい。
【0122】
また、上述した本実施の形態において、樹脂製品を成形する成形装置が射出成形装置30である例について説明したが、これに限られない。図示はしないが、例えば、成形装置が、射出圧縮成形、圧縮成形またはダイレクトブロー成形を行う成形装置であってもよく、リサイクルペレットPe1等を用いて樹脂製品を成形する際に、射出圧縮成形、圧縮成形またはダイレクトブロー成形によって樹脂製品が成形されてもよい。
【0123】
第2の実施の形態
次に、図12および図13を参照して第2の実施の形態について説明する。図12および図13に示す第2の実施の形態は、主として、制御装置が、検査装置によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンポリエステル供給装置から除染装置へのバージンポリエステルの供給量を制御する点が第1の実施の形態と異なるものである。図12および図13において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0124】
樹脂製品製造システム
まず、図12により、第2の実施の形態による樹脂製品製造システムについて説明する。図12に示すように、樹脂製品製造システム1Aは、リサイクルポリエステル(第1樹脂)r1と、バージンポリエステル(第2樹脂)r2とを供給する樹脂供給装置2と、樹脂供給装置2から供給されたリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2を加熱することにより、除染された溶融樹脂rを作製する除染装置3とを備えている。また、樹脂製品製造システム1Aは、除染装置3によって除染された溶融樹脂rからリサイクルペレットPe1を作製するペレット作製装置10と、リサイクルペレットPe1を用いて樹脂製品を成形する射出成形装置30とを備えている。さらに、樹脂製品製造システム1は、成形された樹脂製品の色を測定する検査装置70と、制御装置75とを備えている。
【0125】
このうち樹脂供給装置2は、リサイクルポリエステル(第1樹脂)r1を除染装置3に供給するリサイクルポリエステル供給装置(第1樹脂供給装置)2Aと、バージンポリエステル(第2樹脂)r2を除染装置3に供給するバージンポリエステル供給装置(第2樹脂供給装置)2Bとを有している。なお、リサイクルポリエステル供給装置2Aと除染装置3との間に、リサイクルポリエステルr1を乾燥させる乾燥機構(図示せず)が設けられていてもよい。また、バージンポリエステル供給装置2Bと除染装置3との間に、バージンポリエステルr2を乾燥させる乾燥機構(図示せず)が設けられていてもよい。
【0126】
リサイクルポリエステル供給装置2Aは、除染装置3にリサイクルポリエステルr1を供給するためのものである。このリサイクルポリエステル供給装置2Aは、制御装置75に接続されており、制御装置75によって制御されるように構成されている。また、リサイクルポリエステル供給装置2Aには、リサイクルポリエステルr1から作製された樹脂フレークが収容されている。この樹脂フレークは、使用済みのプラスチック製品を選別・粉砕・洗浄することによって作製されたものである。使用済みのプラスチック製品としては、例えばポリエステル容器であってもよい。なお、このような樹脂フレークは、小片状の樹脂体であり、例えば5mm角以上15mm角以下程度の大きさであってもよい。
【0127】
バージンポリエステル供給装置2Bは、除染装置3にバージンポリエステルr2を供給するためのものである。このバージンポリエステル供給装置2Bは、制御装置75に接続されており、制御装置75によって制御されるように構成されている。また、バージンポリエステル供給装置2Bには、バージンポリエステルから作製された小片状の樹脂体が収容されている。なお、このような小片状の樹脂体は、例えば5mm角以上15mm角以下程度の大きさであってもよい。
【0128】
次に、除染装置3について説明する。除染装置3は、主として減圧下でリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2を加熱することにより、リサイクルポリエステルr1から汚染物質を揮発させて除去するとともに、リサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2を溶融させる役割を果たす。本実施の形態では、樹脂製品製造システム1Aは、1つの除染装置3を備えている。
【0129】
除染装置3は、リサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2を加熱することにより、リサイクルポリエステルr1の除染を行う除染部3aと、除染部3aの下方に設けられた真空押出機5とを有している。このうち除染部3aには、除染部3a内を減圧させるための排気路4が連結されている。この排気路4は、図示しない真空ポンプに接続されている。そして、真空ポンプを駆動することにより、除染部3a内が減圧されるようになっている。除染時において、除染部3a内の圧力は10mbar以下であることが好ましい。除染部3a内の圧力を10mbar以下とすることにより、リサイクルポリエステルr1から汚染物質をより効果的に除去することができる。
【0130】
また、除染部3a内には、加熱機構(図示せず)が設けられている。そして、加熱機構により、除染部3a内に供給されたリサイクルポリエステルr1が加熱されて、汚染物質が揮発されるようになっている。また、除染時において、除染部3a内の温度は180℃以上であることが好ましい。除染部3a内の温度を180℃以上とすることにより、リサイクルポリエステルr1から汚染物質をより効果的に除去することができる。また、除染時において、除染部3a内に窒素が注入されてもよい。除染部3a内に窒素を注入することにより、除染部3a内におけるリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2の酸化が低減されるため、樹脂製品の黄変を低減することができる。なお、図示はしないが、除染装置3には、リサイクルポリエステルr1を加熱する前に、リサイクルポリエステルr1から埃等の異物を取り除きながらリサイクルポリエステルr1を乾燥させるための乾燥室が設けられていてもよい。
【0131】
真空押出機5は、除染部3aとフィルタ6とを連結している。この真空押出機5内には、回転することによりリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2を溶融して溶融樹脂rを作製するスクリュ5aが設けられている。そして、スクリュ5aを回転させることにより、真空押出機5の下流側に設けられたフィルタ6に溶融樹脂rが押し出されるようになっている。なお、上述した除染部3a内においてリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2が溶融されることにより溶融樹脂rが作製され、溶融された状態の樹脂(溶融樹脂r)が真空押出機5に供給されるようになっていてもよい。
【0132】
なお、本実施の形態において、「下流」とは、リサイクルポリエステルr1、バージンポリエステルr2、溶融樹脂r、リサイクルペレットPe1または樹脂Rの流れ方向に対して、金型40に近い側をいう。
【0133】
フィルタ6は、溶融樹脂r中の微小な異物を除去するためのものである。このフィルタ6は、例えば、25μm以上40μm以下程度の孔径を有する多数の小孔が形成されたメッシュフィルタ等であってもよい。
【0134】
フィルタ6の下流側には、ペレット作製装置10が設けられている。ペレット作製装置10は、フィルタ6から押し出された溶融樹脂rを粒状にカットすることにより、リサイクルペレットPe1を作製するものである。
【0135】
ペレット作製装置10は、溶融樹脂rを冷却することなく溶融させた状態でカットする、いわゆるホットカット方式によってリサイクルペレットPe1を作製してもよく、溶融樹脂rを冷却した後の状態でカットする、いわゆるコールドカット方式によってリサイクルペレットPe1を作製してもよい。また、溶融樹脂rを冷却する場合、水を溶融樹脂rに直接かける水冷方式、水をミストにして溶融樹脂rにかけるミスト冷却方式または空気を溶融樹脂rに当てる空冷方式等の冷却方式を採用することができる。なお、ペレット作製装置10は、公知の構成を採用することができるため、本明細書内において、詳細な説明は省略する。
【0136】
また、樹脂製品製造システム1Aは、ペレット作製装置10と射出成形装置30との間に設けられ、リサイクルペレットPe1を結晶化する結晶化装置15と、結晶化装置15と射出成形装置30との間に設けられ、結晶化されたリサイクルペレットPe1を固相重合する固相重合装置20とを更に備えている。
【0137】
結晶化装置15は、ペレット作製装置10から供給されたリサイクルペレットPe1を140℃程度に加熱することによって結晶化させるものである。また、結晶化時において、結晶化装置15内に窒素が注入されてもよい。結晶化装置15内に窒素を注入することにより、結晶化装置15内におけるリサイクルペレットPe1の酸化が低減されるため、樹脂製品の黄変を低減することができる。
【0138】
固相重合装置20は、リサイクルペレットPe1を加熱することによりリサイクルペレットPe1を固相重合するものであり、リサイクルペレットPe1を固相重合することによりリサイクルペレットPe1の粘度(IV値)を増加させる役割を果たす。この固相重合装置20には、図示しない減圧機構および加熱機構が設けられており、所望の圧力下においてリサイクルペレットPe1が所望の温度に加熱されるように構成されている。上述したリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2のポリエステルが例えばポリエチレンテレフタレートである場合、固相重合装置20において、リサイクルペレットPe1のIV値は、0.72dL/g以上0.92dL/g以下程度まで増加されてもよい。なお、IV値は、JIS K 7390:2003の条件に準拠した測定方法により、測定することができる。
【0139】
また、固相重合装置20は、減圧下でリサイクルペレットPe1を加熱することにより、リサイクルペレットPe1の除染効果を高める役割も果たす。すなわち、リサイクルペレットPe1に汚染物質が残存している場合であっても、固相重合装置20によってリサイクルペレットPe1が加熱されることにより、リサイクルペレットPe1に残存している汚染物質が揮発して除去される。また、固相重合時において、固相重合装置20内の圧力は10mbar以下であることが好ましい。固相重合装置20内の圧力を10mbar以下とすることにより、リサイクルペレットPe1から汚染物質をより効果的に除去することができる。
【0140】
また、固相重合時において、固相重合装置20内の温度は180℃以上であることが好ましい。固相重合装置20内の温度を180℃以上とすることにより、リサイクルペレットPe1から汚染物質をより効果的に除去することができる。また、固相重合時において、固相重合装置20内に窒素が注入されてもよい。固相重合装置20内に窒素を注入することにより、固相重合装置20内におけるリサイクルペレットPe1の酸化が低減されるため、樹脂製品の黄変を低減することができる。
【0141】
また、樹脂製品製造システム1は、固相重合されたリサイクルペレットPe1を高温に維持した状態で射出成形装置30に搬送する搬送装置25を更に備えている。この搬送装置25は、固相重合されたリサイクルペレットPe1を140℃以上220℃以下の温度に維持した状態で搬送するように構成されている。リサイクルペレットPe1を140℃以上の温度に維持した状態で搬送することにより、リサイクルペレットPe1の温度が低下してしまうことを抑制することができる。これにより、リサイクルペレットPe1が水分を吸収してしまうことを抑制することができる。このため、リサイクルペレットPe1を乾燥させる工程を設けることなく、リサイクルペレットPe1を用いて射出成形装置30によって射出成形することができる。すなわち、リサイクルペレットPe1を再度加熱する工程を省略することができる。この結果、樹脂製品の製造時間を短縮させることができ、樹脂製品の生産性を向上させることができる。また、射出成形する際にリサイクルペレットPe1を再度加熱する工程を省略することができるため、省エネルギー化、樹脂製品の製造工程の低コスト化および樹脂製品の黄変の低減を図ることができる。また、搬送されるリサイクルペレットPe1の温度が220℃以下であることにより、リサイクルペレットPe1が熱によって損傷を受けてしまうことを抑制することができる。さらに、搬送されるリサイクルペレットPe1の温度が220℃以下であることにより、更なる省エネルギー化、樹脂製品の製造工程の低コスト化および樹脂製品の黄変の低減を図ることができる。
【0142】
このような搬送装置25は、リサイクルペレットPe1が通過する搬送部26と、搬送部26の外周に設けられた加熱ヒータ27とを有している。このうち搬送部26は、金属、例えばステンレス製の配管であってもよい。このような構成により、搬送部26内を通過するリサイクルペレットPe1が加熱ヒータ27に加熱されることによって、リサイクルペレットPe1の温度が140℃以上220℃以下に維持されるようになっている。また、搬送部26の内面には、微細な凹凸が形成されていてもよい。搬送部26の内面に微細な凹凸が形成されていることにより、高温のリサイクルペレットPe1と搬送部26の内面との摩擦が低減し、微粉の発生を抑制することができる。
【0143】
また、搬送装置25の搬送部26内には、攪拌機構M2が配置されていても良い。この攪拌機構M2は、搬送部26内を通過するリサイクルペレットPe1を攪拌するものである。攪拌機構M2が搬送部26を通過するリサイクルペレットPe1を攪拌することにより、高温状態に維持されたリサイクルペレットPe1同士が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことを抑制することができる。この攪拌機構M2に用いられる攪拌翼は、例えばプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等であってもよい。また、図示された例においては1つの攪拌機構M2が搬送部26内に設けられている。しかしながら、これに限られず、搬送部26内に複数の攪拌機構M2が設けられていてもよい。とりわけ、リサイクルペレットPe1の流れ方向に沿って、複数の攪拌機構M2が設けられていることが好ましい。これにより、搬送部26内を通過するリサイクルペレットPe1を多段階にわたって攪拌することができる。このため、高温状態に維持されたリサイクルペレットPe1同士が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0144】
次に、制御装置75について説明する。本実施の形態では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、樹脂供給装置2から除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量および樹脂供給装置2から除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を制御する。具体的には、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を制御する。
【0145】
本実施の形態では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が所定の範囲外である場合、樹脂供給装置2から除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を変化させる。一例として、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が、所定値よりも大きい場合(すなわち、所定の範囲の上限値よりも大きい場合)、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させてもよい。これにより、リサイクルペレットPe1におけるバージンポリエステルr2の含有量を増加させることができる。このため、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0146】
一方、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値以下である場合、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を変化させない。これにより、樹脂製品におけるリサイクルポリエステルr1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0147】
樹脂製品の製造方法
次に、図13により、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち樹脂製品の製造方法について説明する。
【0148】
まず、リサイクルポリエステルr1と、バージンポリエステルr2とを樹脂供給装置2から除染装置3に供給する。この場合、リサイクルポリエステルr1をリサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3に供給する(第1樹脂供給工程、図13の符号S11)。なお、除染装置3の除染部3a内は、図示しないポンプによって、排気路4を介して減圧されている。
【0149】
また、第1樹脂供給工程(図13の符号S11)と並行して、バージンポリエステルr2をバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3に供給する(第2樹脂供給工程、図13の符号S12)。
【0150】
次に、除染装置3に供給されたリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2を除染装置3で加熱することにより、除染された溶融樹脂rを作製する(除染工程、図13の符号S13)。この際、まず、除染部3a内において、加熱機構(図示せず)により、除染部3a内に供給されたリサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2が減圧下で加熱される。また、リサイクルポリエステルr1が加熱されることにより、リサイクルポリエステルr1に付着した汚染物質が揮発する。これにより、汚染物質がリサイクルポリエステルr1から除去される。次に、汚染物質が除去されたリサイクルポリエステルr1、およびバージンポリエステルr2は、真空押出機5に供給される。そして、真空押出機5内に設けられたスクリュ5aを回転させることにより、リサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2が溶融して溶融樹脂rが作製される。
【0151】
次いで、除染装置3によって除染された溶融樹脂rからリサイクルペレットPe1を作製する(リサイクルペレット作製工程、図13の符号S14)。この際、真空押出機5内に設けられたスクリュ5aを回転させることにより、溶融樹脂rがフィルタ6に供給される。フィルタ6に供給された溶融樹脂rは、フィルタ6を通過することによって、微小な異物が除去される。そして、フィルタ6から押し出された溶融樹脂rを、ペレット作製装置10によって粒状にカットすることにより、リサイクルペレットPe1が作製される。なお、この際、ペレット作製装置10は、溶融樹脂rを冷却することなく溶融させた状態でカットする、いわゆるホットカット方式によってリサイクルペレットPe1を作製してもよい。
【0152】
次に、リサイクルペレットPe1を結晶化する(結晶化工程、図13の符号S15)。この際、まず、リサイクルペレットPe1が結晶化装置15に送られる。次に、リサイクルペレットPe1は、結晶化装置15によって140℃程度まで加熱される。これにより、リサイクルペレットPe1が結晶化される。
【0153】
次いで、結晶化されたリサイクルペレットPe1を固相重合装置20で固相重合する(固相重合工程、図13の符号S16)。リサイクルペレットPe1を固相重合する際、リサイクルペレットPe1は、まず、固相重合装置20に送られる。次に、固相重合装置20に送られたリサイクルペレットPe1は、減圧下で加熱される。これにより、リサイクルペレットPe1の粘度(IV値)が、後述する射出工程において好ましい粘度まで増加する。この際、例えば、リサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2のポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、固相重合装置20において、リサイクルペレットPe1のIV値は、0.72dL/g以上0.92dL/g以下程度まで増加されてもよい。また、リサイクルペレットPe1が加熱されることにより、リサイクルペレットPe1に汚染物質が残存している場合であっても、リサイクルペレットPe1に残存している汚染物質が揮発して除去される。
【0154】
固相重合装置20において、リサイクルペレットPe1は、180℃以上220℃以下の温度に加熱されてもよい。リサイクルペレットPe1が180℃以上の温度に加熱されることにより、リサイクルペレットPe1の粘度(IV値)を所望の粘度まで増加させることができる。また、リサイクルペレットPe1が180℃以上の温度に加熱されることにより、リサイクルペレットPe1に汚染物質が残存している場合であっても、リサイクルペレットPe1に残存している汚染物質を揮発させることにより、効果的に除去することができる。また、加熱されたリサイクルペレットPe1の温度が220℃以下であることにより、リサイクルペレットPe1が熱によって損傷を受けてしまうことを抑制することができる。さらに、加熱されたリサイクルペレットPe1の温度が220℃以下であることにより、省エネルギー化および樹脂製品の製造工程の低コスト化を図ることができる。
【0155】
次に、固相重合されたリサイクルペレットPe1を140℃以上220℃以下の温度に維持した状態で射出成形装置30に搬送する(搬送工程、図13の符号S17)。この際、リサイクルペレットPe1は、搬送装置25の搬送部26内を通過する。搬送部26内を通過するリサイクルペレットPe1は、搬送部26の外周に設けられた加熱ヒータ27によって加熱されながら、搬送部26内を通過する。このようにして、搬送部26内を通過するリサイクルペレットPe1が、140℃以上220℃以下の温度に維持されながら、射出成形装置30に搬送される。
【0156】
また、この際、攪拌機構M2によってリサイクルペレットPe1を攪拌してもよい。これにより、高温状態に維持されたリサイクルペレットPe1同士が、射出成形装置30に搬送される前に、互いに固着してしまうことを抑制することができる。
【0157】
次に、リサイクルペレットPe1を用いて、射出成形装置30により樹脂製品を成形する。この場合、例えば、図4の符号S5と同様に、ペレット供給工程(図13の符号S181)、送り込み工程(図13の符号S182)および送り出し工程(図13の符号S183)を順に行うことにより、射出成形装置30に搬送されたリサイクルペレットPe1を用いて射出成形する(射出工程、図13の符号S18)。このようにして、樹脂製品が得られる。
【0158】
次いで、成形された樹脂製品の色を検査装置70で測定する(検査工程、図13の符号S19)。そして、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値は、信号として制御装置75に送信される。
【0159】
次に、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を制御する。
【0160】
この場合、制御装置75に信号が送信されると、制御装置75によって、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きいか否かが判断される(図13の符号S20)。制御装置75が当該測定値を上限値よりも大きいと判断した場合(図13の符号S20のYES)、制御装置75は、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させる(制御工程、図13の符号S21)。これにより、リサイクルペレットPe1におけるバージンポリエステルr2の含有量を増加させることができる。このため、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0161】
一方、制御装置75が当該測定値を上限値以下と判断した場合には(図13の符号S20のNO)、制御装置75は、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させない。これにより、樹脂製品におけるリサイクルポリエステルr1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0162】
このようにして、変色が抑制された樹脂製品が得られる。
【0163】
以上のように本実施の形態によれば、樹脂製品製造システム1Aが、成形された樹脂製品の色を測定する検査装置70と、検査装置70に接続された制御装置75とを備えている。そして、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、樹脂供給装置2から除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を制御する。これにより、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。とりわけ、検査装置70が、成形された樹脂製品の色を測定する。このように、検査装置70が、実際に作製する樹脂製品の色を測定することにより、樹脂製品を作製する際にリサイクルペレットPe1が受ける熱履歴を考慮することなく、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品の色を調整することができる。このため、樹脂製品に変色が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0164】
また、本実施の形態によれば、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が所定の範囲外である場合、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を変化させる。この場合、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きい場合、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させる。これにより、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0165】
なお、上述した本実施の形態において、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を制御する例について説明したが、これに限られない。図示はしないが、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量を制御してもよい。この場合、例えば、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値を上限値よりも大きいと判断した場合に、制御装置75が、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量を低下させてもよい。また、図示はしないが、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を制御してもよい。
【0166】
また、上述した本実施の形態において、検査装置70が、成形された樹脂製品の色を測定する例について説明したが、これに限られない。例えば、図14に示すように、検査装置70が、溶融樹脂rの色、リサイクルペレットPe1の色および樹脂(樹脂材料)Rの色のうちの少なくとも1つを測定してもよい。この場合、図示はしないが、真空押出機5に、内部を通る溶融樹脂rを外部から視認可能に構成された透明部材が連結されていてもよい。また、図示はしないが、搬送装置25の搬送部26に、内部を通るリサイクルペレットPe1を外部から視認可能に構成された透明部材が連結されていてもよい。さらに、図示はしないが、バレル50に接続された第1流路31に、内部を通る樹脂Rを外部から視認可能に構成された透明部材が連結されていてもよい。そして、これらの透明部材を介して、検査装置70のカラーカメラが、溶融樹脂r、リサイクルペレットPe1および/または樹脂Rを外部から撮像してもよい。なお、これらの透明部材は、上述した透明部材31aと同様の材料で形成されていてもよい。また、上述した例において、検査装置70が搬送装置25の搬送部26を通るリサイクルペレットPe1の色を測定する例について説明したが、検査装置70は、ペレット作製装置10と結晶化装置15との間の配管Piを通るリサイクルペレットPe1の色を測定してもよく、結晶化装置15と固相重合装置20との間の配管Piを通るリサイクルペレットPe1の色を測定してもよい。
【0167】
また、本変形例では、制御装置75は、検査装置70によって測定された色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を制御する。
【0168】
また、この場合、例えば、図14に示すように、検査装置70が、溶融樹脂rの色、リサイクルペレットPe1の色および樹脂(樹脂材料)Rの色のうちの少なくとも1つを測定するととともに、成形された樹脂製品の色を更に測定してもよい。そして、制御装置75が、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を更に制御してもよい。なお、検査装置70は、成形された樹脂製品の色を測定することなく、溶融樹脂rの色、リサイクルペレットPe1の色および樹脂(樹脂材料)Rの色のうちの少なくとも1つを測定してもよい。
【0169】
本変形例では、検査装置70が、溶融樹脂rの色を測定する場合、検査装置70は、除染工程(図13の符号S13参照)の際に、溶融樹脂rの色を検査する。また、検査装置70が、リサイクルペレットPe1の色を測定する場合、検査装置70は、搬送工程(図13の符号S17参照)の際に、リサイクルペレットPe1の色を検査する。さらに、検査装置70が、樹脂(樹脂材料)Rの色を測定する場合、検査装置70は、バレル50内の樹脂Rを貯留部80に送り込む際に(すなわち、送り込み工程(図13の符号S182参照)の際に、樹脂(樹脂材料)Rの色を検査する。これらの場合、上述した検査工程(図13の符号S19)と同様に、樹脂製品のRGB値のうちのB値が測定される。そして、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値は、信号として制御装置75に送信される。
【0170】
そして、検査装置70によって測定された色に基づいて、樹脂供給装置2から除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量および樹脂供給装置2から除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を制御する。この際、例えば、上述した制御工程(図13の符号S21)と同様に、検査装置70によって測定された色に基づいて、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を制御する。なお、本変形例においても、図13の符号S19~符号S21と同様に、射出工程(図13の符号S18)の後に、検査工程~制御工程が順に行われてもよい。
【0171】
以上のように本変形例によれば、樹脂製品製造システム1が、溶融樹脂rの色、リサイクルペレットPe1の色および樹脂(樹脂材料)Rの色のうちの少なくとも1つを測定する検査装置70と、検査装置70に接続された制御装置75とを備えている。そして、制御装置75は、検査装置70によって測定された色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を制御する。この場合においても、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0172】
また、本変形例によれは、検査装置70が、成形された樹脂製品の色を更に測定する。そして、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を更に制御する。この場合においても、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。とりわけ、検査装置70が、実際に作製する樹脂製品の色を測定することにより、樹脂製品を作製する際にリサイクルペレットPe1が受ける熱履歴を考慮することなく、リサイクルペレットPe1によって作製される樹脂製品の色を調整することができる。このため、樹脂製品に変色が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0173】
また、上述した本実施の形態において、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きい場合に、制御装置75が、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させる例について説明したが、これに限られない。制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が下限値よりも小さい場合に、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量およびバージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のうちの少なくとも一方を制御してもよい。例えば、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が下限値よりも小さい場合、制御装置75は、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を低下させてもよい。あるいは、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が下限値よりも小さい場合、制御装置75は、リサイクルポリエステル供給装置2Aから除染装置3へのリサイクルポリエステルr1の供給量を増加させてもよい。これらの場合、リサイクルペレットPe1におけるリサイクルポリエステルr1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができる。このため、樹脂製品におけるリサイクルポリエステルr1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0174】
また、上述した本実施の形態において、樹脂供給装置2が、リサイクルポリエステル(第1樹脂)r1を除染装置3に供給するリサイクルポリエステル供給装置(第1樹脂供給装置)2Aと、バージンポリエステル(第2樹脂)r2を除染装置3に供給するバージンポリエステル供給装置(第2樹脂供給装置)2Bとを有している例について説明したが、これに限られない。例えば、図15に示すように、単一の樹脂供給装置2内に、リサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2が収容されていてもよい。そして、この樹脂供給装置2から、リサイクルポリエステルr1およびバージンポリエステルr2が、互いに独立して除染装置3に供給されてもよい。
【0175】
また、上述した本実施の形態において、樹脂製品製造システム1が、1つの除染装置3を備えている例を示したが、これに限られない。図示はしないが、例えば、樹脂製品製造システム1が複数の除染装置3を備えていてもよい。樹脂製品製造システム1が複数の除染装置3を備えていることにより、溶融樹脂rの除染効果を高めることができる。
【0176】
第3の実施の形態
次に、図16および図17を参照して第3の実施の形態について説明する。図16および図17に示す第3の実施の形態は、主として、射出成形装置が、混合装置で混合された第1ペレットおよび第2ペレットを用いて樹脂製品を成形する点が第2の実施の形態と異なるものである。図16および図17において、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0177】
樹脂製品製造システム
まず、図16により、第3の実施の形態による樹脂製品製造システムについて説明する。図16に示すように、樹脂製品製造システム1Bは、射出成形装置30の上流側に設けられ、バージンポリエステル(第3樹脂)r3から作製されたバージンペレットPe2を投入するバージンペレット投入装置11Bと、リサイクルペレットPe1とバージンペレット投入装置11Bから投入されたバージンペレットPe2とを混合させる混合装置13とを更に備えている。また、樹脂製品製造システム1は、混合装置13の上流側に設けられ、混合される前のバージンペレットPe2を乾燥させるバージンペレット乾燥装置12Bを更に備えている。本実施の形態では、射出成形装置30は、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を用いて樹脂製品を成形するように構成されている。なお、本実施の形態において、「上流」とは、バージンペレットPe2の流れ方向に対してバージンペレット投入装置11Bに近い側をいう。
【0178】
なお、図示はしないが、混合装置13と射出成形装置30との間に、混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を乾燥させる乾燥装置12Cが設けられていてもよい。この場合、リサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを混合させた際に、リサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2の温度が低い場合であっても、所望の温度まで加熱されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を射出成形装置30に搬送することができる。このため、樹脂製品の生産性を向上させることができる。
【0179】
図16に示すように、本実施の形態では、搬送装置25は、混合装置13に連結されており、固相重合されたリサイクルペレットPe1を高温に維持した状態で混合装置13に搬送するように構成されている。これにより、リサイクルペレットPe1とバージンペレットPe2とを混合させた際に、バージンペレットPe2の温度が低下してしまうことを抑制することができる。これにより、バージンペレットPe2が水分を吸収してしまうことを抑制することができる。このため、リサイクルペレットPe1等を乾燥させる工程を設けることなく、リサイクルペレットPe1等を用いて射出成形装置30によって射出成形することができる。すなわち、リサイクルペレットPe1等を再度加熱する工程を省略することができる。この結果、樹脂製品の製造時間を短縮させることができ、樹脂製品の生産性を向上させることができる。また、射出成形する際にリサイクルペレットPe1等を再度加熱する工程を省略することができるため、省エネルギー化、樹脂製品の製造工程の低コスト化および樹脂製品の黄変の低減を図ることができる。
【0180】
次に、制御装置75について説明する。本実施の形態では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を更に制御する。
【0181】
本実施の形態では、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が所定の範囲外である場合、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を変化させる。一例として、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が、所定値よりも大きい場合(すなわち、所定の範囲の上限値よりも大きい場合)、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させるとともに、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる。これにより、リサイクルペレットPe1におけるバージンポリエステルr2の含有量を増加させることができるとともに、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2(すなわちリサイクルペレットPe1等)におけるバージンペレットPe2の含有量を増加させることができる。このため、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0182】
一方、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値以下である場合、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させない。また、制御装置75は、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量も変化させない。これにより、リサイクルペレットPe1におけるリサイクルポリエステルr1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができるとともに、樹脂製品におけるリサイクルペレットPe1の使用量の割合が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0183】
樹脂製品の製造方法
次に、図17により、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち樹脂製品の製造方法について説明する。
【0184】
まず、図13の符号S11~符号S16と同様に、第1樹脂供給工程(図17の符号S31)、第2樹脂供給工程(図17の符号S32)、除染工程(図17の符号S33)、リサイクルペレット作製工程(図17の符号S34)、結晶化工程(図17の符号S35)、固相重合工程(図17の符号S36)を順に行う。
【0185】
次に、リサイクルペレットPe1を混合装置13に投入する(第1ペレット投入工程、図17の符号S37)。この際、まず、固相重合されたリサイクルペレットPe1が、搬送装置25によって、140℃以上220℃以下の温度に維持された状態で混合装置13に供給される。
【0186】
また、第1ペレット投入工程(図17の符号S37)と並行して、図4の符号S2と同様に、バージンペレットPe2をバージンペレット投入装置11Bから混合装置13に投入する(第2ペレット投入工程、図17の符号S38)。
【0187】
その後、図4の符号S3~符号S4と同様に、混合工程(図17の符号S39)、攪拌工程(図17の符号S40)を順に行う。そして、混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を用いて樹脂製品を成形する。この場合、例えば、図4の符号S5と同様に、ペレット供給工程(図17の符号S411)、送り込み工程(図17の符号S412)および送り出し工程(図17の符号S413)を順に行うことにより、射出成形装置30に搬送されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を用いて射出成形する(射出工程、図17の符号S41)。このようにして、樹脂製品が得られる。
【0188】
次いで、成形された樹脂製品の色を検査装置70で測定する(検査工程、図17の符号S42)。そして、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値は、信号として制御装置75に送信される。
【0189】
次に、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を制御する。また、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を制御する。
【0190】
この場合、制御装置75に信号が送信されると、制御装置75によって、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きいか否かが判断される(図17の符号S43)。制御装置75が当該測定値を上限値よりも大きいと判断した場合(図17の符号S43のYES)、制御装置75は、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させるとともに、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる(制御工程、図17の符号S44)。これにより、リサイクルペレットPe1におけるバージンポリエステルr2の含有量を増加させることができるとともに、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2(すなわちリサイクルペレットPe1等)におけるバージンペレットPe2の含有量を増加させることができる。このため、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0191】
とりわけ、本実施の形態では、制御装置75が当該測定値を上限値よりも大きいと判断した場合、制御装置75が混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる。これにより、制御装置75が除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量のみを増加させる場合と比較して、樹脂製品におけるバージンポリエステル(第2樹脂および第3樹脂)r2、r3の含有量が増加する時間を短縮させることができる。すなわち、混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させることにより、除染工程における除染処理時間を待つことなく、樹脂製品におけるバージンポリエステルr2、r3の含有量を容易に増加させることができる。このため、樹脂製品の色の測定値が小さくなるまでのタイムラグを小さくすることができる。この結果、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0192】
一方、制御装置75が当該測定値を上限値以下と判断した場合には(図17の符号S43のNO)、制御装置75は、バージンポリエステル供給装置2Bから除染装置3へのバージンポリエステルr2の供給量を増加させない。また、制御装置75は、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量も増加させない。これにより、リサイクルペレットPe1におけるリサイクルポリエステルr1の含有量が低くなりすぎることを抑制することができるとともに、樹脂製品におけるリサイクルペレットPe1の使用量の割合が低くなりすぎることを抑制することができ、樹脂製品の環境負荷を低減することができる。
【0193】
このようにして、変色が抑制された樹脂製品が得られる。
【0194】
以上のように本実施の形態によれば、樹脂製品製造システム1Bが、射出成形装置30の上流側に設けられ、バージンポリエステルr3から作製されたバージンペレットPe2を投入するバージンペレット投入装置11Bと、リサイクルペレットPe1とバージンペレット投入装置11Bから投入されたバージンペレットPe2とを混合させる混合装置13とを更に備えている。また、射出成形装置30が、混合装置13で混合されたリサイクルペレットPe1およびバージンペレットPe2を用いて樹脂製品を成形するように構成されている。これにより、樹脂製品の環境負荷を更に低減することができる。
【0195】
また、本実施の形態によれば、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色に基づいて、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を更に制御する。これにより、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。とりわけ、本実施の形態では、制御装置75が混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させるため、樹脂製品の色の測定値が小さくなるまでのタイムラグを小さくすることができる。このため、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0196】
また、本実施の形態によれば、制御装置75は、検査装置70によって測定された樹脂製品の色の測定値が上限値よりも大きい場合、バージンペレット投入装置11Bから混合装置13へのバージンペレットPe2の投入量を増加させる。これにより、リサイクルペレットPe1等によって作製される樹脂製品に、変色(例えば、黄変)が生じてしまうことを更に効果的に抑制することができる。
【0197】
なお、上述した本実施の形態において、第3樹脂がバージンポリエステルである例について説明したが、これに限られない。第3樹脂は、第3樹脂が第1樹脂と異なる色味をもつ限り、任意の樹脂を用いることができる。
【0198】
上記各実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0199】
1 樹脂製品製造システム
1A 樹脂製品製造システム
1B 樹脂製品製造システム
2 樹脂供給装置
2A リサイクルポリエステル供給装置
2B バージンポリエステル供給装置
3 除染装置
10 ペレット作製装置
11 ペレット投入装置
11A リサイクルペレット投入装置
11B バージンペレット投入装置
11C 着色剤投入装置
12A リサイクルペレット乾燥装置
12B バージンペレット乾燥装置
12C 乾燥装置
13 混合装置
15 結晶化装置
20 固相重合装置
30 射出成形装置
40 金型
41 キャビティ
44 型締装置
70 検査装置
75 制御装置
M1 攪拌装置
Pe1 リサイクルペレット
Pe2 バージンペレット
R 樹脂
r 溶融樹脂
r1 リサイクルポリエステル
r2 バージンポリエステル
r3 バージンポリエステル
図1
図2
図3
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図5
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