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特許7563014現像装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】現像装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G03G15/08 310
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020119325
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022016057
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末浪 浩二
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-250290(JP,A)
【文献】特開2017-049294(JP,A)
【文献】特開2017-009749(JP,A)
【文献】特開2017-156588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列配置される第1搬送室および第2搬送室と、
前記第1搬送室および前記第2搬送室を長手方向に沿って区画する第1仕切壁と、
前記第1仕切壁の両端部側で前記第1搬送室および前記第2搬送室を連通させる連通部と、
磁性キャリアとトナーとを含む現像剤を補給する現像剤補給口と、
前記第2搬送室の下流側端部に設けられ、余剰の前記現像剤が排出される現像剤排出部と、を有する現像容器と、
前記現像容器に回転可能に支持され、前記第2搬送室内の前記現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、
回転軸と、前記回転軸の外周面に形成される第1搬送羽根とを有し、前記第1搬送室内の前記現像剤を第1方向に攪拌、搬送する第1攪拌搬送部材と、
回転軸と、前記回転軸の外周面に形成される第2搬送羽根とを有し、前記第2搬送室内の前記現像剤を前記第1方向と逆方向である第2方向に攪拌、搬送する第2攪拌搬送部材と、
を備え、
前記第2攪拌搬送部材は、
前記第2方向に対し前記第2搬送羽根の下流側に隣接して形成され、前記第2搬送羽根と逆方向に前記現像剤を搬送する搬送羽根で構成される規制部と、
前記第2方向に対し前記規制部の下流側に隣接して形成され、前記第2搬送羽根と同方向に現像剤を搬送して前記現像剤排出部から前記現像剤を排出する排出羽根と、
を備える現像装置において、
前記連通部は、前記第1方向の下流側において前記第1搬送室から前記第2搬送室に前記現像剤を受け渡す第1連通部と、前記第2方向の下流側において前記第2搬送室から前記第1搬送室に前記現像剤を受け渡す第2連通部と、で構成され、
前記現像容器は、前記第2方向に対し前記第2連通部の下流側において前記規制部に隣接して配置され、前記第1搬送室および前記規制部を区画する第2仕切壁を有し、
前記第2仕切壁は、前記第1仕切壁に比べて高さが低く、前記第2仕切壁の上端部は前記第2攪拌搬送部材の回転軸の上端部と下端部の間に位置し、
前記第2連通部は、前記現像容器の底面と同一の高さから上面に亘って連続的に開口し、前記第1仕切壁および前記第2仕切壁は、それぞれ前記第2連通部を挟んで前記底面から独立して立設されており、
前記第1攪拌搬送部材および前記第2攪拌搬送部材の回転速度が所定速度以上のとき、前記第2搬送室から前記第1搬送室に受け渡された前記現像剤が前記第2仕切壁を乗り越えて前記規制部に戻されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第2搬送室の内面の最下点から前記第2仕切壁に向かう傾斜面の、水平面に対する最大傾斜角が30°以上60°以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1攪拌搬送部材および前記第2攪拌搬送部材の回転速度を複数段階に切り換え可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された前記静電潜像をトナー像に現像する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の現像装置と、
を含み、記録媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関し、特に、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤の補給を行うとともに余剰現像剤を排出する現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体等からなる像担持体上に形成した潜像を、現像装置により現像しトナー像として可視化することを行っている。このような現像装置の一つとして、二成分現像剤を用いる二成分現像方式が採用されている。この種の現像装置は、現像容器内にキャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容し、像担持体に現像剤を供給する現像ローラー(現像剤担持体)を配設するとともに、現像容器内部の現像剤を搬送攪拌しながら現像ローラーへと供給する攪拌搬送部材を配設している。
【0003】
二成分現像方式の現像装置では、トナーは現像動作によって消費されていく一方、キャリアは消費されずに現像装置内に残る。従って、現像容器内でトナーとともに攪拌されるキャリアは攪拌頻度が多くなるにつれて劣化する。その結果、トナーに対するキャリアの帯電付与性能が徐々に低下してしまう。
【0004】
そこで、現像容器内にキャリアを含む現像剤を補給するCASS(Carrier Auto Streaming System)を備え、余剰となった現像剤を排出することで、帯電性能の低下を抑制するようにした現像装置が提案されている。
【0005】
ところで、現像剤は高湿環境になると嵩が減少し、低湿環境になると嵩が増加する傾向にあり、画像形成装置の使用環境によって現像容器内の現像剤の重量がばらついてしまう。その結果、高湿環境から低湿環境へ変化した場合の現像剤の排出量の急激な増加や、低湿環境から高湿環境へ変化した場合の現像剤の嵩不足による現像不良等が懸念される。
【0006】
例えば特許文献1には、現像装置内の現像剤を排出する排出口に向けて現像剤を排出する経路中に設けられた円板部に対して、排出方向上流側に設けられた返しスクリューの端部と円板部が接合されないように配置した現像装置が開示されている。この現像装置では、円板部と円板部の上流の搬送部との接合による現像剤の跳ね上げを抑制して現像剤排出量を安定させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-11158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法では、現像容器内の現像剤の搬送速度や流動性が変化した際に、円板部付近の現像剤の流れが不安定になることがあり、現像容器内の現像剤の嵩が不安定になる可能性がある。そして、現像容器内の現像剤の嵩が低くなり過ぎると現像ローラーへの現像剤の供給量が不足し、画像濃度の低下や濃度ムラが発生するおそれがある。一方、現像容器内の現像剤の嵩が高くなり過ぎると補給されたトナーと現像剤との攪拌が不足し、トナーの帯電不良によりかぶり画像が発生するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、現像剤の搬送速度や流動性が変化した場合でも現像容器内の現像剤の嵩の変化幅を小さくすることができる現像装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、現像容器と、現像剤担持体と、第1攪拌搬送部材と、第2攪拌搬送部材と、を備える現像装置である。現像容器は、互いに並列配置される第1搬送室および第2搬送室と、第1搬送室および第2搬送室を長手方向に沿って区画する第1仕切壁と、第1仕切壁の両端部側で第1搬送室および第2搬送室を連通させる連通部と、磁性キャリアとトナーとを含む現像剤を補給する現像剤補給口と、第2搬送室の下流側端部に設けられ、余剰の現像剤が排出される現像剤排出部と、を有する。現像剤担持体は、現像容器に回転可能に支持され、第2搬送室内の現像剤を表面に担持する。第1攪拌搬送部材は、回転軸と、回転軸の外周面に形成される第1搬送羽根とを有し、第1搬送室内の現像剤を第1方向に攪拌、搬送する。第2攪拌搬送部材は、回転軸と、回転軸の外周面に形成される第2搬送羽根とを有し、第2搬送室内の現像剤を第1方向と逆方向である第2方向に攪拌、搬送する。第2攪拌搬送部材は、規制部と、排出羽根と、を備える。規制部は、第2方向に対し第2搬送羽根の下流側に隣接して形成され、第2搬送羽根と逆方向に現像剤を搬送する搬送羽根で構成される。排出羽根は、第2方向に対し規制部の下流側に隣接して形成され、第2搬送羽根と同方向に現像剤を搬送して現像剤排出部から現像剤を排出する。連通部は、第1方向の下流側において第1搬送室から第2搬送室に現像剤を受け渡す第1連通部と、第2方向の下流側において第2搬送室から第1搬送室に現像剤を受け渡す第2連通部と、で構成される。現像容器は、第2方向に対し第2連通部の下流側において規制部に隣接して配置され、第1搬送室および規制部を区画する第2仕切壁を有する。第2仕切壁は、第1仕切壁に比べて高さが低く、第2仕切壁の上端部は第2攪拌搬送部材の回転軸の上端部と下端部の間に位置する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、規制部に隣接する第2仕切壁が第1仕切壁に比べて高さが低く、第2仕切壁の上端部が第2攪拌搬送部材の回転軸の上端部と下端部の間に位置することにより、現像剤の搬送速度が速い場合は第1搬送室から第2仕切壁を乗り越えて規制部に戻される現像剤量を多くすることができる。従って、現像剤の搬送速度や流動性が変化した場合の現像容器内の現像剤の嵩変動による現像不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の現像装置3a~3dが搭載された画像形成装置100の概略断面図
図2】本発明の第1実施形態に係る現像装置3aの側面断面図
図3】第1実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図
図4図3における現像剤排出部20h周辺の拡大図
図5図4における下流側連通部20f周辺を攪拌搬送室21側から見た図
図6】第1実施形態の現像装置3aの、第1仕切壁20aを含む攪拌搬送室21および供給搬送室22の縦断面図
図7】第1実施形態の現像装置3aの、第2仕切壁20cを含む攪拌搬送室21および供給搬送室22の縦断面図
図8】本発明の第2実施形態に係る現像装置3aの、第2仕切壁20cを含む攪拌搬送室21および供給搬送室22の縦断面図
図9図8における第2仕切壁20cの基端部周辺の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置3a~3dが搭載された画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0014】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0015】
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0016】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0017】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーおよびキャリアを含む現像剤が補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0018】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0019】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0020】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0021】
図2は、画像形成装置100に搭載される本発明の第1実施形態に係る現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0022】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収容される現像容器20を備えており、現像容器20は第1仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、コンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーおよびキャリアを現像容器20内の現像剤と混合して攪拌し、トナーを帯電させるための攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26がそれぞれ回転可能に配設されている。
【0023】
攪拌搬送室21内に配設される攪拌搬送スクリュー25は、回転軸25aと、回転軸25aに一体に設けられ、回転軸25aの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1搬送羽根25bとを有する。回転軸25aは現像容器20に回転可能に軸支されている。攪拌搬送スクリュー25が回転することによって、攪拌搬送室21内の現像剤を攪拌しながら所定方向(現像ローラー31の軸方向の一方側)に搬送する。
【0024】
供給搬送室22内に配設される供給搬送スクリュー26は、回転軸26aと、回転軸26aに一体に設けられ、第1搬送羽根25bと同方向を向く(巻き方向が同一の)羽根で螺旋状に形成される第2搬送羽根26bとを有する。回転軸26aは、攪拌搬送スクリュー25の回転軸25aと平行に配置され、現像容器20に回転可能に軸支されている。供給搬送スクリュー26が回転することによって、供給搬送室22内の現像剤を攪拌しながら攪拌搬送スクリュー25と反対方向に搬送し、現像ローラー31に供給する。
【0025】
攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26によって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、第1仕切壁20aの両端部に形成された上流側連通部20eおよび下流側連通部20f(図3参照)を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、上流側連通部20e、下流側連通部20fによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0026】
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー26の右斜め上方には現像ローラー31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する。現像ローラー31には、直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧が印加される。
【0027】
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブを用いることもできる。
【0028】
また、現像容器20には規制ブレード27が現像ローラー31の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード27の先端部と現像ローラー31表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0029】
次に、現像装置3aの攪拌部の構成について詳細に説明する。図3は第1実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図(図2のAA′矢視断面図)である。図4は、図3における現像剤排出部20h周辺の部分拡大図である。
【0030】
現像容器20には、攪拌搬送室21、供給搬送室22、第1仕切壁20a、第2仕切壁20c、上流側連通部20e、および下流側連通部20fが形成され、その他に、現像剤補給口20g、現像剤排出部20h、上流側壁部20i、および下流側壁部20jが形成されている。なお、攪拌搬送室21において、図3の左側を上流側、図3の右側を下流側とし、また、供給搬送室22において、図3の右側を上流側、図3の左側を下流側とする。従って、連通部および壁部は、供給搬送室22を基準として上流側および下流側と呼称している。
【0031】
第1仕切壁20aは、現像容器20の長手方向に延びて攪拌搬送室21と供給搬送室22を並列させるように区画している。第2仕切壁20cは、下流側壁部20jの内壁面から突出し、規制部52を構成する螺旋羽根の外周面に対向するように第1仕切壁20aの延長線上に形成されている。
【0032】
第1仕切壁20aの長手方向の右側端部は、上流側壁部20iの内壁部とともに上流側連通部20eを形成する。一方、第1仕切壁20aの長手方向の左側端部は、第2仕切壁20cとともに下流側連通部20fを形成する。
【0033】
現像剤補給口20gは、現像容器20の上部に設けられたコンテナ4a(図1参照)から新たなトナーおよびキャリアを現像容器20内に補給するための開口であり、攪拌搬送室21の上流側(図3の左側)に配置される。
【0034】
現像剤排出部20hは、現像剤の補給によって攪拌搬送室21および供給搬送室22内で余剰となった現像剤を排出する。現像剤排出部20hは、供給搬送室22の下流側端部に供給搬送室22の長手方向に連続して設けられる。
【0035】
攪拌搬送スクリュー25は、攪拌搬送室21の長手方向の両端部側まで延び、第1搬送羽根25bは上流側連通部20eおよび下流側連通部20fにも対向して設けられている。回転軸25aは現像容器20の上流側壁部20iと下流側壁部20jに回転可能に軸支されている。
【0036】
供給搬送スクリュー26は現像ローラー31の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部20eに対向する位置まで延びている。回転軸26aは、攪拌搬送スクリュー25の回転軸25aと平行に配置され、現像容器20の上流側壁部20iと現像剤排出部20hに回転可能に軸支されている。供給搬送スクリュー26の回転軸26aには、第2搬送羽根26bとともに、規制部52および排出羽根53が一体に成型されている。
【0037】
規制部52は、供給搬送室22内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出部20hに搬送する。規制部52は、回転軸26aに設けられる螺旋羽根からなり、第2搬送羽根26bと逆方向を向く(逆巻きの)螺旋羽根で形成され、且つ、第2搬送羽根26bの外径と略同じで第2搬送羽根26bのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、現像容器20の内壁部との間に所定の隙間を形成している。この隙間を通過して余剰の現像剤が現像剤排出部20hに移動する。
【0038】
現像剤排出部20h内の回転軸26aには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2搬送羽根26bと同じ方向を向く螺旋羽根からなり、第2搬送羽根26bより螺旋羽根のピッチおよび外径が小さくなっている。回転軸26aが回転すると排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて現像剤排出部20h内に搬送された余剰現像剤は、図4の左側に送られて図示しない現像剤排出口より現像容器20の外部に排出される。
【0039】
現像容器20の外壁面には、歯車61~64が配設されている。歯車61、62は回転軸43bに固着され、歯車64は回転軸26aに固着され、歯車63は、現像容器20に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
【0040】
現像駆動モーター(図示せず)によって歯車61が回転すると、攪拌搬送スクリュー25が回転する。攪拌搬送室21内の現像剤は第1搬送羽根25bによって主搬送方向(第1方向、矢印P方向)に搬送され、その後、上流側連通部20eを通って供給搬送室22内に搬送される。更に、歯車62~64を介して供給搬送スクリュー26が回転すると、供給搬送室22内の現像剤が第2搬送羽根26bによって主搬送方向(第2方向、矢印Q方向)に搬送される。新たに現像剤を補給していない現像時には、現像剤はその嵩を大きく変動させながら攪拌搬送室21から上流側連通部20eを通って供給搬送室22内に搬送され、規制部52を乗り越えることなく、下流側連通部20fを通って攪拌搬送室21に搬送される。
【0041】
このように現像剤は、攪拌搬送室21から、上流側連通部20e、供給搬送室22、および下流側連通部20fと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤が現像ローラー31に供給される。
【0042】
次に、現像剤補給口20gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、コンテナ4aから現像剤補給口20gを介して攪拌搬送室21内にトナーおよびキャリアを含む現像剤が補給される。
【0043】
補給された現像剤は、現像時と同様に、攪拌搬送スクリュー25によって、攪拌搬送室21内を主搬送方向(矢印P方向)に搬送され、その後、上流側連通部20eを通って供給搬送室22内に搬送される。更に、供給搬送スクリュー26によって、現像剤は供給搬送室22内の現像剤を主搬送方向(矢印Q方向)に搬送される。回転軸26aの回転に伴って規制部52が回転すると、規制部52によって、主搬送方向とは逆方向(逆搬送方向)の搬送力が現像剤に付与される。この規制部52によって現像剤が塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤(現像剤補給口20gから補給された現像剤と同量)が規制部52を乗り越えて、現像剤排出部20hを介して現像容器20の外部に排出される。
【0044】
図4に示すように、供給搬送スクリュー26は、第2搬送羽根26bと規制部52との間に円板55が配置されている。円板55は、第2搬送羽根26b、規制部52、および排出羽根53と共に合成樹脂によって回転軸26aと一体に成型される。
【0045】
第2搬送羽根26bによって主搬送方向(矢印Q方向)に搬送される現像剤の搬送力が円板55により塞き止められて一旦弱められる。そして、規制部52により現像剤に逆方向の搬送力が付与されて現像剤を主搬送方向と逆方向に押し戻す。即ち、円板55は供給搬送室22から規制部52に向かう現像剤の搬送力(圧力)を低減する役割を果たしている。その結果、規制部52および下流側連通部20fへ移動する現像剤面の波立ち(変動)が抑制され、現像剤の搬送速度に係わらず規制部52付近にほぼ一定量の現像剤を滞留させることができる。
【0046】
そして、現像剤補給口20gから現像剤が補給され、現像容器20内の現像剤の嵩が増加すると、規制部52の上流側に滞留する現像剤が円板55および規制部52を乗り越えて排出羽根53(現像剤排出部20h)に移動し、現像剤排出部20hから余剰の現像剤が排出される。現像剤排出部20hからの現像剤の排出が収まった時点で現像容器20内の現像剤の嵩が安定する。嵩が安定したときの現像剤の体積を安定体積とする。
【0047】
本発明の画像形成装置100では、搬送される転写紙Pの厚みや種類、出力画像の種類に応じてプロセス速度が二段階に切り換えられる。即ち、転写紙Pが普通紙である場合や文字原稿を出力する場合は通常の駆動速度(以下、全速モードという)で画像形成処理が行われ、転写紙Pが厚紙である場合や写真画像を出力する場合は通常よりも低速(以下、減速モードという)で画像形成処理が行われる。これにより、転写紙Pとして厚紙を用いる場合や写真画像を出力する場合に十分な定着時間を確保して画質を向上させることができる。
【0048】
上述したように全速モードと減速モードとの切り換えが行われると、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度も変化するため、現像容器20内の現像剤の搬送速度が急激に変化する。その結果、現像容器20内で現像剤の偏りが生じて現像剤の嵩(現像剤面)が変動するため、現像剤排出部20hから排出される現像剤量も変化し、現像容器20内の現像剤量が変化する。
【0049】
具体的には、現像剤の搬送速度(攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度)が速くなると、現像容器20内の現像剤の重量が一定であっても現像剤の嵩は高くなる。例えば、現像剤の搬送速度を速くすると、現像剤が規制部52の下流側に到達する前に供給搬送室22側から下流側連通部20fを通過して攪拌搬送室21側に受け渡される場合がある。その結果、規制部52に到達する現像剤が減少し、現像剤排出部20hから現像剤が排出されにくくなってしまう。本実施形態では、規制部52に隣接して配置される第2仕切壁20cの高さを調整することで、現像剤の排出量を調整する。
【0050】
図5は、図4における下流側連通部20f周辺を攪拌搬送室21側から見た図である。図6は、第1実施形態の現像装置3aの、第1仕切壁20aを含む攪拌搬送室21および供給搬送室22の縦断面図(図4のBB′矢視断面図)である。図5および図6に示すように、第1仕切壁20aは攪拌搬送室21および供給搬送室22の上面まで延在しており、攪拌搬送室21および供給搬送室22を長手方向(図5の左右方向、図6の紙面と垂直な方向)に沿って完全に区画している。
【0051】
図7は、第1実施形態の現像装置3aの、第2仕切壁20cを含む攪拌搬送室21および供給搬送室22の縦断面図(図4のCC′矢視断面図)である。図5および図7に示すように、第2仕切壁20cは第1仕切壁20aよりも低く、第2仕切壁20cの上端部と、現像容器20(攪拌搬送室21および供給搬送室22)の内面との間には間隔(クリアランス)dが形成されている。
【0052】
供給搬送室22から下流側連通部20fを通過して攪拌搬送室21に受け渡された現像剤の流れは、攪拌搬送スクリュー25の第1搬送羽根25bによって主搬送方向(矢印P方向)に向かう流れ(図4の白矢印で表示)が主流である。しかし、下流側連通部20f付近は攪拌搬送スクリュー25の搬送力が作用し難いため、主搬送方向に対し攪拌搬送室21の上流側端部(図4の左端部)に現像剤の一部が滞留する。
【0053】
現像剤の搬送速度が速い場合においては、供給搬送室22から攪拌搬送室21に受け渡される現像剤の量が増加し、供給搬送室22と円板55との隙間を乗り越えて規制部52に到達する現像剤量が減少する。そこで、攪拌搬送室21の上流側端部付近に滞留する現像剤が、搬送速度が速い場合のみ第2仕切壁20cを乗り越えて供給搬送室22(規制部52)に戻されるように第2仕切壁20cの高さを調整する。即ち、搬送速度が速い場合に規制部52に到達する現像剤量を増加させる。これにより、現像剤の搬送速度に係わらず規制部52に到達する現像剤量を一定にすることができ、現像剤排出量のバラツキを抑えて現像容器20内の現像剤の嵩を安定させることができる。
【0054】
第2仕切壁20cを乗り越えて規制部52に戻される現像剤量を調整するためには第2仕切壁20cの高さの調整が重要となる。第2仕切壁20cを高くしすぎると間隔dが小さくなり、攪拌搬送スクリュー25で跳ね上げられた現像剤が攪拌搬送室21の上面に当たり、第2仕切壁20cを乗り越えずに落下する。一方、第2仕切壁20cを低くしすぎると攪拌搬送室21、供給搬送室22の区画がなくなり、下流側連通部20f付近での現像剤の滞留が増加するおそれがある。また、現像装置3aの小型化の観点から間隔dは最小限にすることが好ましいが、搬送速度が速い場合でも現像剤が攪拌搬送室21の上面に当たらないように間隔dを設定する必要がある。
【0055】
本実施形態では、図7に示すように第2仕切壁20cの上端部が供給搬送スクリュー26の回転軸26aの上端部L1と下端部L2の間に位置するようにすることで、間隔dの大きさを一定範囲に規定している。
【0056】
なお、本実施形態では攪拌搬送スクリュー25の回転軸25aおよび供給搬送スクリュー26の回転軸26aの外径が等しく、且つ、回転軸25aと回転軸26aの高さ方向の位置が等しくなるように配置されている。そのため、回転軸25aと回転軸26aの上端部と下端部は同一の高さとなっている。但し、この構成に限定されるものではなく、回転軸25aと回転軸26aの外径および高さ方向の位置が異なる構成であってもよい。
【0057】
図8は、本発明の第2実施形態に係る現像装置3aの、第2仕切壁20cを含む攪拌搬送室21および供給搬送室22の縦断面図である。図9は、図8における第2仕切壁20cの基端部周辺の部分拡大図である。本実施形態では、供給搬送室22の底面から第2仕切壁20cに向かう傾斜面60の角度を規定している。第2仕切壁20cの高さを含む現像装置3aの他の部分の構成は第1実施形態と同様である。
【0058】
具体的には、図9に示すように、供給搬送室22の内面の最下点P1から第2仕切壁20cに向かう昇り勾配の傾斜面60の、水平面Sに対する最大傾斜角θ1を一定範囲とする。これにより、供給搬送室22から第2仕切壁20cを乗り越えて攪拌搬送室21に向かう現像剤の流れを調整し、現像剤の流動性が変化した場合であっても下流側連通部20f付近での現像剤の滞留を安定化することができる。
【0059】
最大傾斜角θ1は、使用する現像剤の流動性(嵩比重)によって調整可能であるが、最大傾斜角θ1が小さくなると、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26の攪拌速度が速い場合に規制部52から第2仕切壁20cを越えて攪拌搬送室21へ受け渡される現像剤の移動速度が減少し、現像容器20内の現像剤量が減少する傾向となる。最大傾斜角θ1が大きくなると、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26の攪拌速度が遅い場合に規制部52から第2仕切壁20cを越えて攪拌搬送室21へ受け渡される現像剤の移動速度が上昇し、現像容器20内の現像剤量が増加する傾向となる。後述する実施例から明らかなように、最大傾斜角θは30°以上60°以下とすることが好ましく、45°とすることがより好ましい。
【0060】
なお、本実施形態では、傾斜面60の最大傾斜角θ1と、攪拌搬送室21の内面の最下点P2から第2仕切壁20cに向かう昇り勾配の傾斜面61の最大傾斜角θ2とが等しくなっている。但し、この構成に限定されるものではなく、傾斜面60の最大傾斜角θ1と傾斜面61の最大傾斜角θ2が異なる構成であってもよい。
【0061】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。上記各実施形態では図2に示したような現像ローラー31を備えた現像装置3a~3dを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、現像剤を担持する磁気ローラーを設け、磁気ローラーから現像ローラー31にトナーのみを移動させてトナー層を形成し、現像ローラー31上のトナー層を用いて静電潜像を現像する現像装置等、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる種々の現像装置に適用可能である。
【0062】
また、上記各実施形態では、現像剤排出部20hの上流側において現像剤を滞留させるために、供給搬送スクリュー26に第2搬送羽根26bと逆巻きの螺旋羽根からなる規制部52と円板55とを設けているが、規制部52の構成はこれに限定されるものではない。例えば、円板55を設けずに規制部52のみを設けてもよいし、規制部52と複数の円板55との組み合わせや、規制部52を複数の円板のみで構成してもよい。
【0063】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0064】
図1に示すような画像形成装置100において、現像剤の搬送速度を変化させた場合の現像装置3a~3d内の現像剤量の変化について調査した。なお、試験は感光体ドラム1aおよび現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
【0065】
試験方法としては、図4図7に示したような、第2仕切壁20cを第1仕切壁20aよりも低くして第2仕切壁20cと現像容器20の内面との間に間隔dを設け、第1仕切壁20cの上端部を回転軸25a、26aの上端部L1と下端部L2の間に配置した第1実施形態の現像装置3aを本発明1とし、第1仕切壁20aと第2仕切壁20cの高さが等しい現像装置3aを比較例1とした。
【0066】
本発明1および比較例1の現像装置3aの現像容器20に、それぞれ現像剤(トナー濃度6%)175ccを充填し、常温常湿環境下(25℃、50%)で攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度(攪拌速度)を139rpm、278rpm、449rpmの3水準に変化させて現像装置3aを駆動し、現像剤を攪拌搬送した。現像剤排出部20hからの現像剤の排出が収まった時点で現像容器20内に存在する現像剤量(安定重量、安定体積)を測定した。
【0067】
本発明1および比較例1に用いる攪拌搬送スクリュー25の第1搬送羽根25b、供給搬送スクリュー26の第2搬送羽根26bは、外径が18mmの螺旋羽根であり、第1仕切壁20aの高さは15mmである。また、規制部52は、外径18mmの2枚の逆巻きの螺旋羽根で構成されており、排出羽根53は、外径8mmの螺旋羽根である。第1搬送羽根25b、規制部52、排出羽根53と現像容器20の内面との間隔は1.5mmである。第1仕切壁20aの高さは15mmである。
【0068】
本発明1の現像装置3aにおける第2仕切壁20cの高さは8mmであり、第2仕切壁20cの上端部と現像容器20の内面との間隔dは7mmである。比較例1の現像装置3aにおける第2仕切壁20cの高さは第1仕切壁20aと同様に15mmである。
【0069】
現像剤量の測定方法は、本発明1および比較例の現像装置3aを試験機に搭載し、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度(攪拌搬送室21、供給搬送室22内の現像剤の搬送速度)を変化させて現像剤を攪拌した後、現像装置3aを取り外して重量を測定した。測定された現像装置3aの重量から現像剤を取り除いた空の現像装置3aの重量を差し引いて現像剤量(安定重量)を算出した。また、算出された現像剤量を嵩密度で除算して安定体積を算出した。攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度と安定体積との関係を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から明らかなように、第1仕切壁20aの高さを15mm、第2仕切壁20cの高さを8mmとした本発明1では、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を変化させた場合でも安定体積のばらつきは小さかった。
【0072】
これに対し、第1仕切壁20aおよび第2仕切壁20cの高さを共に15mmとした比較例1では、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度が大きくなるにつれて安定体積が大きくなった。以上の結果より、本発明1の現像装置3aでは、現像剤の搬送速度が変化した場合でも現像剤の安定体積を一定に維持することができ、現像剤の嵩不足や嵩過剰による現像不良等の発生を効果的に抑制できることが確認された。
【実施例2】
【0073】
現像剤の流動性を変化させた場合の現像装置3a~3d内の現像剤量の変化について調査した。なお、試験は実施例1と同様に感光体ドラム1aおよび現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
【0074】
試験方法としては、図8図9に示したような、第2仕切壁20cを第1仕切壁20aよりも低くして第2仕切壁20cと現像容器20の内面との間に間隔dを設け、第1仕切壁20cの上端部を回転軸25a、26aの上端部L1と下端部L2の間に配置するとともに、傾斜面60の最大傾斜角θ1を30°、45°とした第2実施形態の現像装置3aを本発明2、3とした。また、第1仕切壁20aと第2仕切壁20cの高さが等しく、傾斜面60の最大傾斜角θ1が30°である現像装置3aを比較例2とした。
【0075】
現像剤の流動性は、嵩比重が大きいものほど流動性が高く、嵩比重が小さいものほど流動性が低いことが知られている。そこで、ここでは現像剤の流動性の基準として嵩比重を用いた。
【0076】
本発明2、3および比較例2の現像装置3aの現像容器20に、それぞれ嵩比重が1.78、1.88、1.97である3種類の現像剤175ccを充填し、常温常湿環境下(25℃、50%)で攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を139rpm、278rpm、449rpmの3水準に変化させて現像装置3aを駆動し、現像剤を攪拌搬送した。現像剤排出部20hからの現像剤の排出が収まった時点で現像容器20内に存在する現像剤量(安定重量、安定体積)を測定した。
【0077】
本発明2、3の現像装置3aにおける第2仕切壁20cの高さは8mmであり、第2仕切壁20cの上端部と現像容器20の内面との間隔dは7mmである。比較例2の現像装置3aにおける第2仕切壁20cの高さは第1仕切壁20aと同様に15mmである。攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26の構成、現像剤量の測定方法は実施例1と同様とした。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
表2から明らかなように、第1仕切壁20aの高さを15mm、第2仕切壁20cの高さを8mmとし、最大傾斜角θ1を30°、45°とした本発明2、3では、現像剤の嵩比重に関係なく、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を変化させた場合の安定体積の差が5cc以下であり、ばらつきは小さかった。
【0080】
特に、最大傾斜角θ1を45°とした本発明3では、現像剤の流動性が最も低い嵩比重が1.78であるときの安定体積の差が3ccであり、現像剤の流動性および攪拌速度の変化に対する安定性がより向上することが認められた。
【0081】
これに対し、第1仕切壁20aおよび第2仕切壁20cの高さを共に15mmとし、最大傾斜角θ1を30°とした比較例2では、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を変化させた場合の安定体積の差が10cc以上であり、ばらつきが大きかった。
【実施例3】
【0082】
現像容器20の傾斜面60の最大傾斜角θ1を変化させた場合の現像装置3a~3d内の現像剤量の変化について調査した。なお、試験は実施例1、2と同様に感光体ドラム1aおよび現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
【0083】
試験方法としては、実施例2で使用した傾斜面60の最大傾斜角θ1を30°、45°とした現像装置3aを本発明2、3、最大傾斜角θ1を60°とした以外は本発明2、3の現像装置3aと同一の現像装置3aを本発明4とした。また、最大傾斜角θ1を15°および75°とした以外は本発明2、3の現像装置3aと同一の現像装置3aを比較例3、4とした。
【0084】
本発明2~4および比較例3、4の現像装置3aの現像容器20に、それぞれ嵩比重が1.88である現像剤175ccを充填し、常温常湿環境下(25℃、50%)で攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を139rpm、278rpm、449rpmの3水準に変化させて現像装置3aを駆動し、現像剤を攪拌搬送した。現像剤排出部20hからの現像剤の排出が収まった時点で現像容器20内に存在する現像剤量(安定重量、安定体積)を測定した。現像剤量の測定方法は実施例1と同様とした。結果を表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
表3から明らかなように、最大傾斜角θ1が30°、45°、60°である本発明2~4では、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を変化させた場合の安定体積の差がいずれも3ccであり、ばらつきは小さかった。
【0087】
これに対し、最大傾斜角θ1が15°である比較例3では、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を変化させた場合の安定体積の差が5cc、最大傾斜角θ1が75°である比較例4では、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転速度を変化させた場合の安定体積の差が9ccであり、ばらつきが大きかった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤の補給を行うとともに余剰現像剤を排出する現像装置およびそれを備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、現像剤の流動性や搬送速度が変化した場合でも現像容器内の現像剤の嵩および重量の変化幅を小さくできる現像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
3a~3d 現像装置
20 現像容器
20a 第1仕切壁
20c 第2仕切壁
22e 上流側連通部(第1連通部)
20f 下流側連通部(第2連通部)
20g 現像剤補給口
20h 現像剤排出部
21 攪拌搬送室(第1搬送室)
22 供給搬送室(第2搬送室)
25 攪拌搬送スクリュー(第1攪拌搬送部材)
26 供給搬送スクリュー(第2攪拌搬送部材)
31 現像ローラー(現像剤担持体)
52 規制部
53 排出羽根
55 円板
60、61 傾斜面
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9