(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20241001BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241001BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241001BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20241001BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/00 180
H02J3/46
H02J13/00 311T
(21)【出願番号】P 2020120857
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】川合 喜典
(72)【発明者】
【氏名】熊野 和也
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-025829(JP,A)
【文献】特開2016-059186(JP,A)
【文献】特開2015-116073(JP,A)
【文献】特開2016-163488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/00
H02J 3/46
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統から供給を受けた電力の電力量を測定する電力測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力を充電するとともに該充電された電力を放電する蓄電池と、
前記蓄電池に充電された電力である充電電力の電力量と該蓄電池から放電された電力である放電電力の電力量を測定する充放電測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力及び前記放電電力を消費する負荷を有する需要家における、前記蓄電池の充電及び放電を含む電力に関するニーズであって数値化された需要家ニーズを取得する需要家ニーズ取得部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価に関する受電対価情報を取得する受電対価情報取得部と、
所定期間における前記電力測定部による測定結果に基づいて、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価を算出する受電対価算出部と、
前記需要家ニーズに基づいて、前記蓄電池の充電及び放電の制御に関する充放電計画を立案する充放電計画立案部と、
前記充放電計画に基づいて、前記蓄電池の充電及び放電を制御する充放電制御部と、
前記充放電計画に基づく前記蓄電池の充電及び放電の制御による受益を、前記需要家と、前記蓄電池を保有する蓄電池保有者と、前記充放電計画を前記蓄電池保有者に提供するサービス提供者を含む者によって按分する按分計算部と、
を備え、
前記需要家ニーズは、前記需要家が前記商用電力系統から供給される電力の経済価値に関する需要家ニーズを含み、
前記受益は、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価の減少を含み、
前記充放電計画立案部は、前記受電対価情報に基づいて、前記充放電計画を立案する、前記需要家における電力を管理する電力管理システム。
【請求項2】
商用電力系統から供給を受けた電力の電力量を測定する電力測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力を充電するとともに該充電された電力を放電する蓄電池と、
前記蓄電池に充電された電力である充電電力の電力量と該蓄電池から放電された電力である放電電力の電力量を測定する充放電測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力及び前記放電電力を消費する負荷を有する需要家における、前記蓄電池の充電及び放電を含む電力に関するニーズであって数値化された需要家ニーズを取得する需要家ニーズ取得部と、
前記商用電力系統から供給される電力の環境価値を評価するための環境価値評価情報を取得する環境価値評価情報取得部と、
前記需要家ニーズに基づいて、前記蓄電池の充電及び放電の制御に関する充放電計画を立案する充放電計画立案部と、
前記充放電計画に基づいて、前記蓄電池の充電及び放電を制御する充放電制御部と、
前記充放電計画に基づく前記蓄電池の充電及び放電の制御による受益を、前記需要家と、前記蓄電池を保有する蓄電池保有者と、前記充放電計画を前記蓄電池保有者に提供するサービス提供者を含む者によって按分する按分計算部と、
を備え、
前記需要家ニーズは、前記需要家が前記商用電力系統から供給される電力の環境価値に関する需要家ニーズを含み
、
前記充放電計画立案部は、前記環境価値評価情報に基づいて、前記充放電計画を立案する
、前記需要家における電力を管理する電力管理システム。
【請求項3】
商用電力系統から供給を受けた電力の電力量を測定する電力測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力を充電するとともに該充電された電力を放電する蓄電池と、
前記蓄電池に充電された電力である充電電力の電力量と該蓄電池から放電された電力である放電電力の電力量を測定する充放電測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力及び前記放電電力を消費する負荷を有する需要家における、前記蓄電池の充電及び放電を含む電力に関するニーズであって数値化された需要家ニーズを取得する需要家ニーズ取得部と、
前記需要家ニーズに基づいて、前記蓄電池の充電及び放電の制御に関する充放電計画を立案する充放電計画立案部と、
前記充放電計画に基づいて、前記蓄電池の充電及び放電を制御する充放電制御部と、
前記充放電計画に基づく前記蓄電池の充電及び放電の制御による受益を、前記需要家と、前記蓄電池を保有する蓄電池保有者と、前記充放電計画を前記蓄電池保有者に提供するサービス提供者を含む者によって按分する按分計算部と、
を備え、
前記需要家ニーズは、前記蓄電池に蓄積された電力の防災価値に関する需要家ニーズを含み、
前記充放電計画立案部は、前記蓄電池に蓄積された電力の防災価値に関する
前記需要家ニーズに基づいて、前記充放電計画を立案する
、前記需要家における電力を管理する電力管理システム。
【請求項4】
前記受益は、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価の減少とは異なる利益を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記需要家ニーズ取得部は、前記需要家ニーズの変更を受け付け、
前記充放電計画立案部は、変更された前記需要家ニーズに基づいて前記充放電計画を立案することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記充放電計画立案部は、前記需要家の需要を予測して、前記充放電計画を立案することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記充放電計画立案部は、前記需要家に影響する気象を予測して、前記充放電計画を立案することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関し、特に、需要家における、蓄電池の充電及び放電を含む電力を管理する電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、需要家に電気装置を設置し、需要家以外の事業者が需要家のために当該電気装置を制御するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、需要家に設置された蓄電池を電気事業者が制御する電力供給システムが記載されている。ここでは、電気事業者は、需要家から購入した電力によって蓄電池を充電し、蓄電池から放電された電力を需要家に供給して販売する。蓄電池を含む電力供給システムは、蓄電池が充放電する電力量を測定する充放電測定部と、蓄電池の充放電の計画を策定し、充放電のタイミングを蓄電池に指示するとともに、事業者が需要家に供給した電力の対価である電力料金を算出する演算部を含む。
【0003】
電力供給システムの演算部は、例えば、商用電力系統及び事業者から電力の供給を受ける需要家の経済的負担が最小となるような充放電計画を策定し、蓄電池に指示する。そして、電力供給システムの演算部は、事業者が需要家に供給した電力である販売電力と、事業者が需要家に電力を供給するために負担した費用である原価とに基づいて電力料金を算出する。ここで、電力料金の算出に用いられる販売電力は、充放電測定部によって測定された実績値であり、原価は、蓄電池を充電する電力の購入費用や、蓄電池の設置に要した初期費用を合算した費用である。このようにして、事業者及び需要家の双方にとって妥当と感じられる電力料金を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、蓄電池等の電気装置の制御によってもたらされる価値は必ずしも電力量によって評価し尽くされるものではなく、需要家のニーズを十分に考慮した制御が行われているわけではなかった。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、需要家のニーズに基づいて、蓄電池による充放電制御によってもたらされる種々の価値を顕在化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
商用電力系統から供給を受けた電力の電力量を測定する電力測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力を充電するとともに該充電された電力を放電する蓄電池と、
前記蓄電池に充電された電力である充電電力の電力量と該蓄電池から放電された電力である放電電力の電力量を測定する充放電測定部と、
前記商用電力系統から供給を受けた電力及び前記放電電力を消費する負荷を有する需要家における、前記蓄電池の充電及び放電を含む電力に関するニーズであって数値化された需要家ニーズを取得する需要家ニーズ取得部と、
前記需要家ニーズに基づいて、前記蓄電池の充電及び放電の制御に関する充放電計画を立案する充放電計画立案部と、
前記充放電計画に基づいて、前記蓄電池の充電及び放電を制御する充放電制御部と、
充放電計画に基づく前記蓄電池の充電及び放電の制御による受益を、前記需要家と、前記蓄電池を保有する蓄電池保有者と、前記充放電計画を前記蓄電池保有者に提供するサービス提供者を含む者によって、按分する按分計算部と、
を備え、前記需要家における電力を管理する電力管理システムである。
【0008】
このように本発明では、商用電力系統から供給を受けた電力及び放電電力を消費する負荷を有する需要家における、蓄電池の充電及び放電を含む電力に関する需要家ニーズを数値化し、需要家ニーズに基づいて立案された充放電計画立に基づいて、蓄電池の充電及び放電を制御する。このため、蓄電池の充放電制御によってもたらされる種々の価値を需要家ニーズとして数値化して充放電計画に取り込み、この充放電計画に基づいて蓄電池の充放電制御を行うことにより、需要家のニーズに基づいて、蓄電池による充放電制御によってもたらされる種々の価値を顕在化することができる。受益とは、需要家のニーズとして表現された種々の価値を、蓄電池による充放電制御によって顕在化、すなわち実現するものであり、支出の減少のような経済的な価値に限られず、種々の利益を含む。
【0009】
また、本発明において、
前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価に関する受電対価情報を取得する受電対価情報取得部と、
所定期間における前記電力測定部による測定結果に基づいて、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価を算出する受電対価算出部と、
を備え、
前記受益は、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価の減少を含むようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、商用電力から供給を受けた電力の対価の減少を受益として実現することができる。
【0011】
また、本発明は、
前記受益は、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価の減少とは異なる利益を含むようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、蓄電池の充放電制御により、商用電力系統から供給を受けた電力の対価の減少とは異なる利益を、受益として実現することができる。
【0013】
また、本発明において、
前記需要家ニーズは、前記需要家が前記商用電力系統から供給される電力の経済価値に関する需要家ニーズを含み、
充放電計画立案部は、前記受電対価情報に基づいて、前記充放電計画を立案するようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、需要家ニーズに基づく充放電計画に基づく蓄電池の充放電制御により、需要家が商用電力系統から供給される電力の経済価値が顕在化される。
ここで、需要家が商用電力系統から供給される電力の経済価値とは、需要家が商用電力系統から供給される電力の対価の経済性に関する価値である。
【0015】
また、本発明において、
前記需要家ニーズは、前記需要家が前記商用電力系統から供給される電力の環境価値に
関する需要家ニーズを含み、
前記商用電力系統から供給される電力の環境価値を評価するための環境価値評価情報を取得する環境価値評価情報取得部を備え、
前記充放電計画立案部は、前記環境価値評価情報に基づいて、前記充放電計画を立案するようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、需要家ニーズに基づく充放電計画に基づく蓄電池の充放電制御により、需要家が商用電力系統から供給される電力の環境価値が顕在化される。
ここで、需要家が商用電力系統から供給される電力の環境価値とは、需要家が商用電力系統から供給される電力を発電する際の環境への負荷に関する価値である。環境価値評価情報としては、例えば、需要家が商用電力系統から供給される電力を発電する際の排出されるCO2排出量であり、需要家が商用電力系統から供給される電力量を排出されるCO2量に換算するCO2換算表である。
【0017】
本発明において、
前記需要家ニーズは、前記蓄電池に蓄積された電力の防災価値に関する需要家ニーズを含み、
前記充放電計画立案部は、前記蓄電池に蓄積された電力の防災価値に関する需要家ニーズに基づいて、前記充放電計画を立案するようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、需要家ニーズに基づく充放電計画に基づく蓄電池の充放電制御により、蓄電池に充放電されることにより蓄積される電力の防災価値が顕在化される。
ここで、蓄電池に蓄積された電力の防災価値とは、災害や事故により商用電力系統からの電力の供給が停止した際に、需要家が利用できるように蓄電池に確保された蓄電残量である。
【0019】
また、本発明において、
前記需要家ニーズ取得部は、前記需要家ニーズの変更を受け付け、
前記充放電計画立案部は、変更された前記需要家ニーズに基づいて前記充放電計画を立案するようにしてもよい。
【0020】
このようにすれば、商用電力系統から供給を受けた電力の対価を算出するための所定期間の経過等に関わらず、需要家が需要家ニーズを変更したくなった場合でも、需要家ニーズの変更が受け付けられ、変更された需要家ニーズに基づいて充放電計画が立案されるので、動的な需要家ニーズの反映が可能となる。
【0021】
また、本発明において、
前記充放電計画立案部は、前記需要家の需要を予測して、前記充放電計画を立案するようにしてもよい。
【0022】
このようにすれば、需要家の需要を予測して、充放電計画が立案されるので、より的確な蓄電池の充放電制御が可能となる。
【0023】
また、本発明において、
前記充放電計画立案部は、前記需要家に影響する気象を予測して、前記充放電計画を立案するようにしてもよい。
【0024】
このようにすれば、需要家に影響する気象を予測して、充放電計画が立案されるので、より的確な蓄電池の充放電制御が可能となる。
【0025】
また、本発明において、
前記按分計算部は、前記需要家ニーズの粒度に応じて、前記受益の前記需要家に対する按分を変更するようにしてもよい。
【0026】
このように数値化された需要家ニーズの粒度は、充放電計画に基づく充放電制御に対する需要家の関与の度合いを示すともいえるので、受益を按分する際に、需要家ニーズの粒度に応じて需要家に対する按分を変更することが好ましい。
ここで、需要家ニーズの粒度とは、数値化された需要家ニーズの情報量の粗密又は多寡であり、具体的な量を示す数値であれば粒度は高く、抽象化された指標を示す数値であれば粒度は低いといえる。さらに、需要家が数値を特定しない場合には、最も粒度が低いと評価してよい。
【0027】
また、本発明において、
前記按分計算部は、前記充放電計画に基づく前記蓄電池の充電及び放電の制御の難易度に応じて、前記サービス提供者に対する按分を変更するようにしてもよい。
【0028】
このように、充放電計画に基づく充電及び放電の制御の難易度は、サービス提供者の関与又は負担の大きさに関連すると評価できるので、このような関与や負担を考慮してサービス提供者に対する按分を変更することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、需要家のニーズに基づいて、蓄電池による充放電制御によってもたらされる種々の価値を顕在化することできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施例1に係る充放電制御サービスに関係する主体の相互関係を説明する模式図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る電力管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る電力管理方法の処理手順を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例1に係る需要家ニーズの数値化例を示す表である。
【
図5】本発明の実施例2に係る充放電制御サービスに関係する主体の相互関係を説明する模式図である。
【
図6】本発明の実施例2に係る電力管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
本発明は、例えば、
図2に示す電力管理システム1に適用される。この電力管理システム1は、
図1に示す、蓄電池を利用する需要家、蓄電池保有者である施設所有者又は管理者、蓄電池の充放電制御サービス提供者の三者が関係する充放電制御サービスが実施されるシステムである。
【0033】
電力管理システム1の需要家ニーズ取得部16において取得される需要家ニーズとは、蓄電池13の充放電及び放電を含む電力に関する需要家のニーズであって、数値化されたものである。需要家ニーズは、例えば、
図4に示すように、商用電力系統Gから供給される電力の経済価値及び環境価値、蓄電池13に蓄積された電力の防災価値に関するもので
ある。需要家ニーズに基づいて立案された充放電計画に基づいて、蓄電池13が充放電制御されることによる受益を、需要家と、蓄電池保有者と、サービス提供者を含む者によって按分することによって、蓄電池による充放電制御による種々の価値を顕在化することできる。
【0034】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例1に係る電力管理システム1について、図面を用いて、より詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている装置及びシステムの構成は各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0035】
<充放電制御サービス>
まず、後述の電力管理システムにおいて実施される蓄電池の充放電制御サービスについて説明する。
図1は、実施例1に係る充放電制御サービスに関係する主体の相互関係を模式的に示す図である。
【0036】
この充放電制御サービスに関係するのは、蓄電池の充放電制御を行う充放電制御サービス提供者と、蓄電池から放電された電力の供給を受け、これを消費する負荷を有する需要家と、蓄電池を保有する蓄電池保有者と、商用電力系統から需要家に電力を供給する小売電気事業者である。
【0037】
図1を参照して、需要家が小売電気事業者と個別に受電契約を締結し、小売電気事業者から購入した電力を、自らが管理する負荷で消費し、又は購入した電力の一部又は全部によって蓄電池を充電し、電力が蓄積された蓄電池から放電された電力を、自らが管理する負荷で消費する場合について説明する。
図1では、関係者が管理する機器やシステム等の管理対象物も関係者によって代表させている。例えば、
図1に示す需要家は、受電契約の主体としての需要家を表すとともに、需要家が管理する施設に設置された負荷を含む電気設備も表す。需要家は、工場や事業所等のように大量の電力を消費する施設であってもよいし、一般家庭等のように少量の電力を消費する施設であってもよい。また、需要家は、戸建て住宅のような単一の施設であってもよいし、複数の世帯を含む集合住宅や、複数のテナントが入居するオフィスビルのように複数の施設を含む複合施設であってもよい。
図1では、一人の需要家のみを表示しているが、複合施設を使用する複数の需要家がそれぞれ小売電気事業者と受電契約を締結する場合も含む。
【0038】
図1に示す例では、各需要家が、小売電気事業者と受電契約を締結するので、小売電気事業者から商用電力系統を通じて需要家が使用する施設に対して電力が供給され、需要家が、供給を受けた電力の対価として電気料金を小売電気事業者に支払う。
【0039】
図1に示す例では、需要家が使用する施設の所有者又は管理者が蓄電池を保有している。蓄電池は、需要家が使用する施設に設置することができるが、需要家が使用可能な態様で設置されていればよく、設置場所は限定されない。各需要者に対して少なくとも一つの蓄電池が設けられる。複合施設の使用者のように需要家が複数存在する場合には、複数の需要者ごとに一つの蓄電池が設けられていてもよいし、施設を使用する全ての需要者に対して一つの蓄電池が設けられていてもよく、蓄電池の数は限定されない。一つの蓄電池から複数の需要家に電力を供給する場合には、一つの蓄電池のなかに、概念的には需要家ごとの蓄電容量が確保されることになる。
需要家は、小売電気事業者から購入した電力の一部又は全部によって蓄電池を充電し、電力が蓄積された蓄電池から放電された電力は、需要家の使用する施設に供給され、需要家が管理する負荷において消費するか、場合によって、商用電力系統に逆潮流され、小売電気事業者又は他の送配電事業者又は小売電気事業者に販売される。
【0040】
図1に示す例では、需要家が使用する施設の所有者又は管理者が所有し又は管理する施設及び蓄電池を、需要家に提供して使用させる。これに対して、需要家は、需要家が使用する施設の所有者又は管理者に、賃料等の施設の使用料及び蓄電池の使用料を支払う。蓄電池の使用料は、施設の使用料に含まれていてもよい。
【0041】
図1に示す例では、充放電制御サービス提供者が、蓄電池の保有者に対して、蓄電池の充放電制御サービスを提供する。これに対して、蓄電池の保有者が、充放電制御サービス提供者に、充放電制御サービス提供の対価を支払う。充放電制御サービス提供者が充放電制御サービス提供の対象とする蓄電池は、一つ又は複数でもよく、一つの施設に設置された蓄電池の一部又は全部であってもよい。また、充放電制御サービス提供者が充放電制御サービスの対象とする蓄電池が、複数の施設に設置された蓄電池を含んでもよい。複数の施設に設置された蓄電池は、自営線によって接続さていてもよいし、送配電事業者によって管理される電力網によって接続されていてもよい。
【0042】
<システム構成>
図2に、実施例1に係る電力管理システム1を含む全体構成を示す。
図2に示す電力管理システム1は、蓄電池の充放電制御を行う。
図2では、電力が流れる電力線を太線で示す。
【0043】
小売電気事業者から商用電力系統Gを通じて供給される電力は、電力線需要家の負荷11に供給され、または、蓄電池用インバータ12によって直流に変換されて蓄電池13を充電する。蓄電池13から放電される直流電力は、蓄電池用インバータ12によって交流に変換されて、需要家の負荷11に供給される。蓄電池13は、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池である。
【0044】
小売電気事業者から供給される電力の電力量を測定するために系統測定部14が設けられている。系統測定部14は、小売電気事業者によって設置されたスマートメータ等の、単位時間ごと(例えば30分ごと)の電力量を測定することができる機器である。また、蓄電池13に充電する電力(充電電力)及び蓄電池13から放電される電力(放電電力)の電力量を測定するために充放電測定部15が設けられている。充放電測定部15は、例えば、蓄電池保有者によって設置されたスマートメータ等の、単位時間ごと(例えば30分ごと)の電力量を測定することができる機器である。
【0045】
電力管理システム1は、少なくとも、系統測定部14、充放電測定部15、需要家ニーズ取得部16、蓄電池充放電計画立案部17、充放電量決定部18、充放電指示部19、電力使用実績データベース20、料金算出部21、按分計算部22、電気料金表・CO2換算表取得部24を含む。電力管理システム1は、気象情報取得部23を含んでもよい。気象情報取得部23は、気象情報を提供するサーバからネットワークを介して気象情報を取得するが、気象情報を記憶したデータベースを保持しておき、適時に更新するようにしてもよい。気象情報は、需要家に影響する気象に関する情報であり、過去の天気、気温、湿度、日の出、日の入り等の気象に関する情報に加え、台風等の災害に関する情報を含んでもよく、これらに関する予測情報を含んでもよい。ここでは、系統測定部14が、本発明の電力測定部に対応する。また、電力管理システム1は、需要家の負荷11に電力を供給する太陽光発電モジュール等の分散型電源を含み、蓄電池13が分散型電源によって発電された電力を充放電するようにしてもよい。
【0046】
需要家ニーズ取得部16は、例えば、需要家のニーズを含む情報を入力するキーボードやタッチパネルディスプレイ等の入力部として構成することができる。需要家ニーズ取得部16は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building
Energy Management System)のゲートウェイ(GW)に設けられた入力部によって需要家が入力したニーズを、ネットワークを介して取得するようにしてもよい。
【0047】
蓄電池充放電計画立案部17、充放電量決定部18、充放電指示部19、料金算出部21及び按分計算部22は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータによって構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0048】
電力使用実績データベース20は、上述の補助記憶装置によって構成され、系統測定部14及び充放電測定部15によって測定された電力の使用実績情報を記憶している。
【0049】
電気料金表・CO2換算表取得部24は、種々の条件のもとでの電気料金を規定する電気料金表及び電力量をCO2に換算するためのCO2換算表を取得する。電気料金表は、本発明の受電対価情報に対応する。電気料金表・CO2換算表取得部24は、本発明の受電対価情報取得部に対応する。また、CO2換算表は、本発明の環境価値評価情報に対応する。また、電気料金表・CO2換算表取得部24は、本発明の環境価値評価情報取得部に対応する。
【0050】
電気料金表・CO2換算表取得部24は、取得した電気料金表及びCO2換算表を記憶する電気料金表・CO2換算データベースとして構成してもよい。この場合には、電力使用実績データベース20と、電気料金表・CO2換算データベースとは、物理的に独立した補助記憶装置によって構成してもよいし、共通の補助記憶装置に含まれた異なる記憶領域によって構成してもよい。
【0051】
蓄電池充放電計画立案部17は、需要家ニーズ取得部16によって取得された需要家のニーズと、気象情報取得部23によって取得された気象情報と、電気料金表・CO2換算表取得部24によって取得された電気料金表・CO2換算表に基づいて、蓄電池13の充放電を制御する充放電計画を立案する。
【0052】
充放電量決定部18は、蓄電池充放電計画立案部17によって立案された充放電計画と電力使用実績データベースに記憶された需要家の電力使用実績とに基づいて、蓄電池13の充放電量を決定する。
【0053】
充放電指示部19は、充放電量決定部によって決定された充放電量の充放電を蓄電池13に指示する。ここでは、充放電量決定部18及び充放電指示部19が、本発明の充放電制御部に対応する。なお、蓄電池13は、充放電指示部19から出力される指示に従って蓄電池の充放電を実行するBMS(Battery Management System)を備えている。
【0054】
料金算出部21は、電力使用実績データベース20に記憶された電力使用実績に基づき、電気料金を算出する。ここでは、料金算出部21が、本発明の受電対価算出部に対応する。
【0055】
按分計算部22は、電力使用実績データベース20に記憶された電力使用実績と、料金算出部21によって算出された料金とに基づいて、関係者の按分を計算する。
【0056】
<電力管理方法>
図3を参照して、本実施例に係る電力管理方法の処理手順の概略を説明する。
【0057】
まず、需要家ニーズ取得部16により電力管理に関する需要家のニーズを取得する(ステップS1)。
【0058】
次に、蓄電池充放電計画立案部17が、取得した需要家のニーズに基づいて蓄電池充放電計画を立案する(ステップS2)。ここで、蓄電池充放電計画立案部17は、さらに、気象情報取得部23により取得した気象情報に基づいて、蓄電池充放電計画を立案してもよい。また、蓄電池充放電計画立案部17は、さらに、電力使用実績データベース20から取得した需要家の電力量の使用実績から需要予測を行い、この需要予測に基づいて蓄電池充放電計画を立案してもよい。
【0059】
次に、充放電量決定部18が、電力使用実績データベース20から、電力の使用量実績を取得する(ステップS3)。
【0060】
次に、充放電量決定部18が、蓄電池充放電計画に従い、取得した電力の使用量実績に基づく、蓄電池13の具体的な充放電量を決定する(ステップS4)。
【0061】
充放電指示部19が、決定された充放電量を蓄電池13に指示する(ステップS5)。
【0062】
料金算出部21が、電気料金算定の対象となる所定の期間(対象期間)が経過したか否かを判断する(ステップS6)。
【0063】
ステップS6においてNoと判断された場合、すなわち、対象期間を経過していない場合には、ステップS1に戻る。
【0064】
ステップS6においてYesと判断された場合、すなわち、対象期間を経過した場合には、料金算出部21が、対象期間における電力の使用実績から電気料金を算出し(ステップS7)、ステップ8に進む。
【0065】
按分計算部22が、ステップS7において算出された電気料金に基づき、関係者の受益の按分を計算し(ステップS8)、ステップS1に戻る。
【0066】
以下に、電力管理方法の処理手順の詳細について説明する。
【0067】
<需要家ニーズの取得>
需要家のニーズは、数値化して表現される。需要家のニーズは、例えば、
図4に示すような経済性、環境性、BCP性を示す3つの数値の組で表される。経済性とは、経済的な利益を重視することを示し、例えば、電力に関する支出を低減し又は収入を増加させることを意味する。そして、環境性とは、環境への貢献を重視することを示し、例えば、化石燃料によって発電された電力の消費量を減少させ、消費する電力の電源構成のうち化石燃料の一部又は全部を再生可能エネルギーによって代替すること等によって、CO
2排出量を削減することを意味する。BCP性とは、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)への貢献を重視することを示し、災害時の停電や故障による商用電力系統からの電力供給が停止した場合にも、事業継続のための電源として、一定の蓄電量を確保しておくことを示す。ここでは、経済性は、本発明における経済価値の一例である。また、環境性は、本発明における環境価値の一例である。また、BCP性は、本発明における災害価値の一例である。CO
2排出量は、本発明の環境評価情報である。
需要家ニーズは上述のものに限られない。例えば、高齢者の見守りのようなLCP(Life Continuous Plan:生活継続計画)への貢献を示すLCP性も考えられる。
【0068】
3つの数字の組は、蓄電池の充放電制御の価値において、上述の代表的な価値の重要度を相対的に評価する指標、すなわちそれぞれの優先度を示す指標として、合計が10となる3つの数字で数値化して表現したものである。
図4の例では、需要家Aについては、経済性、環境性、BCP性に関するニーズが、それぞれ5、3、2であり、優先度は経済性、環境性、BCP性の順で経済性を重視している。また、需要家Bについては、経済性、環境性、BCP性に関するニーズが、それぞれ3、4、3であり、環境性の優先度が高く、経済性とBCP性を同じ優先度で重視している。また、需要家Cについては、経済性、環境性、BCP性に関するニーズが、それぞれ4、0、6であり、優先度はBCP性、経済性、環境性の順でBCP性を重視している。蓄電池の充放電制御の価値は種々の側面から評価することができるので、上述の3つに限定されない。また、蓄電池の充放電制御の価値を数値化する方法は、これに限られない。3つの数字は、3つの価値の相対的な大きさを示すものであるから、合計が100となるような3つの数字の組み合わせで表現してもよい。また、経済性を21、環境性を15、BCP性を40というように適宜の0以上の整数で表現し、3つの数字の和に対する比である、21/76、15/76、40/76をそれぞれ、経済性、環境性、BCP性に対する値としてもよい。
【0069】
需要家のニーズの数値化の方法は、上述のものに限られない。
経済性に関しては、例えば、前年同月と比較した支出の減少額又は収入の増加額若しくはパーセンテージ等の具体的な数値や数値範囲によって、数値化してもよい。環境性に関しても、例えば、前年同月と比較したCO2排出量の削減量のような具体的な数値や数値範囲によって、数値化してもよい。また、BCP性に関しても、例えば、事業継続のために確保すべき蓄電容量(「BCP容量」ともいう。)の具体的な数値又は数値範囲によって、数値化してもよい。
例えば、需要家のニーズを、蓄電池13を充放電する電力量によって数値化して表現することもできる。例えば、BCP性を123kWh、経済性を234kWh、環境性を残りの電力量というように数値化してもよい。
また、需要家のニーズを、それぞれの価値の優先順位を表す数値(順位)によって数値化して表現することもできる。例えば、経済性を1、BCP性を2、環境性を3というように数値化してもよい。
このように、需要家ニーズには異なる粒度の数値化が可能である。
【0070】
ここで取り上げた経済性、環境性、BCP性は、必ずしも並立するものではなく、蓄電池の実際の充放電制御では、相反する場合もあり得る。このように、価値が相反する場合に、いずれの価値を優先して制御を実施するかを決めるのが、上述の3つの数字の組である。この3つの数字の組のような相対的な指標と、具体的な数値又は数値範囲の両者を用いてもよいし、一部の価値には相対的な指標値を用い、他の価値には具体的な数値(数値範囲)を用いるようにしてもよい。
【0071】
また、需要家ニーズ取得部16は、需要家が数値を特定しない形のニーズを受け付けるようにしてもよい。この場合には、当該需要家のニーズの履歴情報や、当該需要家の属性情報等の情報に基づいて、充放電制御サービス提供者が、需要家ニーズを示す数値を特定し、これに基づいて充放電計画を立案する。
【0072】
<充放電計画>
次に、蓄電池充放電計画の例について説明する。
蓄電池充放電計画立案部17が、需要家のニーズに基づいて、蓄電池充放電計画を立案する。需要家のニーズに基づく蓄電池充放電計画の立案方法は特に限定されない。
【0073】
まず、充放電制御を含めた電力管理における経済性の意義について説明する。
図1に示す例における需要家の支出は、小売電気事業者に対する電気料金の支払いと、需要家が使用する施設の所有者又は管理者に対する家賃及び蓄電池13の使用料の支払いである。このため、需要家のニーズにおける経済性は、需要家が小売電気事業者に支払う電気料金及び蓄電池13の使用料を低減することによって実現される。
【0074】
需要家が小売電気事業者に支払う電気料金は、上述のように、需要家と小売電気事業者との受電契約の内容に基づいて定められる。電気料金算定の対象となる所定期間(「対象期間」ともいう。)に需要家が受電した電力量に比例して電気料金が算出され、需要家が受電した電力量当たりの電気料金が時間帯によって異なる場合には、電気料金がより低い時間帯に電力を受電し、受電した電力によって蓄電池13を充電しておき、電気料金がより高い時間には、需要家が消費する電力のうち、小売電気事業者から受電した電力を減らし、蓄電池13から放電した電力を増やす(ピークシフト)ことにより、電気料金を減らすことができる。また、対象期間内における所定時間当たりの電力量の最大値によって、電気料金が算出されるのであれば、所定時間当たりの電力量の最大値を減らす(ピークカット)ことによって電気料金を減らすことができる。
【0075】
次に、充放電制御を含めた電力管理における環境性の意義について説明する。
需要者のニーズにおける環境性は、例えば、需要家の施設に設置された負荷11で消費される電力を発電するためのCO2排出量を低減することによって実現される。小売電気事業者から供給される電力が火力発電によるものである場合には、火力発電による電力の消費量を低減することにより、CO2排出量を低減することができる。また、季節や時間帯等により、小売電気事業者から供給される電力の電源構成が異なる場合には、火力発電の割合が低い時間帯等に供給された電力を蓄電池13に充電しておき、火力発電の割合が高い時間帯等に、蓄電池から放電された電力を需要家が使用することにより、CO2排出量を低減することができる。さらに、需要者が、複数の小売電気事業者から電力の供給元を選択できる場合には、電源構成のうち再生可能エネルギーによる割合が高い小売電気事業者や、非化石証書を購入することにより実質的に再生可能エネルギーによる割合を高めている小売電気事業者に切り替えることによっても、CO2排出量を低減することができる。
【0076】
次に、充放電制御を含めた電力管理におけるBCP性の意義について説明する。
蓄電池13を充放電する際には、蓄電池13の残量はSOC(State of Charge)で表
される。蓄電池13の保護のために、蓄電残量は、SOCの上限値(SOC上限値)と、SOCの下限値(SOC下限値)との間の蓄電量となるように制御される。SOC上限値及びSOC下限値は、蓄電池13の使用履歴に応じて変化する。常に、蓄電池13にBCP容量が蓄積されているためには、蓄電残量がBCP容量とSOC下限値の和を下回らないように充放電する必要がある。
【0077】
以上、充放電制御を含む電力管理と、需要家のニーズとの関係について説明したが、蓄電池13において充放電可能な蓄電容量を、需要家における消費のための充放電とは独立して利用することもできる。すなわち、需要家への放電のための電力量を含む蓄電残量と、SOC上限値との間に余裕がある場合には、その蓄電量の分だけさらに充電することができる。また、蓄電残量と、需要家への放電のための電力量をSOC下限値に加えた蓄電量との間に余裕がある場合には、その蓄電量の分だけ放電することができる。
【0078】
このように、個々の蓄電池13について、需要家における消費のための充放電とは独立して利用可能な蓄電残量(「運用可能残量」という。)又は蓄電容量(「運用可能容量」という。)が生じる可能性がある。充放電制御サービス提供者は、複数の蓄電池13につ
いて、運用可能残量及び運用可能容量を集約することができる。このように集約した運用可能残量及び運用可能容量は、ディマンドレスポンス、インバランス回避、調整力として運用し、市場取引又は相対取引により報酬を得ることができる。ここで、ディマンドレスポンスとは、供給力確保の手段として、需要を抑制することであり、需要家が商用電力系統から受電して消費する電力の一部を蓄電池13からの放電電力によって代替し、需要家が商用電力系統から受電する電力を抑制することができる。インバランス回避とは、供給又は需要の計画値と実績値との差分の発生を回避することであり、小売電気事業者から受電する電力で蓄電池13を充電することにより、需要の実績値の不足分を補うことができ、蓄電池13から放電された電力を発電事業者に供給することにより、供給の不足分を補うことができる。調整力とは、需給の変動に対応するために提供されるものであり、需給の差分に応じて、蓄電池13を充電又は放電する能力を、調整力市場を通じた取引により調整力を提供することができる。
【0079】
<充放電計画の立案>
上述のように、経済性、環境性、BCP性という需要者のニーズに応じた蓄電池13の充放電制御が可能である。蓄電池充放電計画立案部17は、需要者のニーズに応じて蓄電池の充放電計画を立案する(ステップS2)。
【0080】
<充放電量の決定及び指示>
そして、蓄電池充放電計画立案部17は、電力使用実績データベース20から、需要家の電力使用量の実績値を取得し(ステップS3)、充放電計画に基づいて、蓄電池13の充放電量を決定する(ステップS4)。充放電計画に基づいて、蓄電池13の充放電量を決定する際には、需要家の電力使用量の実績値に基づいて、需要家の電力使用量を予測し、対象期間における電気料金、CO2排出量、BCP容量の目標値を設定し、補助記憶装置に記憶しておく。蓄電池充放電計画立案部17は、決定された充放電量の充放電を蓄電池13に指示する(ステップS5)。
【0081】
<動的な充放電計画の立案及び実行>
ステップS6でNoと判断された場合、すなわち、電気料金算定のための対象期間中は、需要者のニーズの入力を受け付けておき、新たに需要者のニーズが入力された場合には(ステップS1)、蓄電池充放電計画立案部17は、新たなニーズに応じて、動的に蓄電池充放電計画を立案し(ステップS2)、ステップS3~S5の処理を行う。
【0082】
<料金算出>
ステップS6でYesと判断された場合、すなわち、電気料金算定のための対象期間が経過した場合には、料金算出部21は、電力使用実績データベース20から、電力使用量の実績値を取得し、電気料金を算出する(ステップS7)。
【0083】
<按分計算>
次に、按分計算部22が按分を計算する(ステップS7)。按分とは、具体的には、充放電制御サービスの実施による各関係者の受益を按分することである。各関係者の受益の按分は、充放電制御を実施した実績に基づくものでも、充放電制御を実施に先立って予め決めておいてもよい。また、固定額+実績準拠額のように、両者を含むものでもよい。
上述したように、需要家が小売電気事業者に支払う電気料金は、需要家と小売電気事業者との個別の受電契約の内容と、系統測定部14によって測定され、電力使用実績データベースに記録された、需要家の電力量の使用実績とに基づいて算出することができる。対象期間中に行われた蓄電池の充放電制御を通じて、需要家のニーズである、電気料金の低減、CO2の排出量の低減、BCP容量の確保が実現されることが、充放電制御サービスによって需要家に付与される利益である。このような需要家に付与される利益は、需要家ニーズの充足率で評価することができる。需要家ニーズの充足率は、数値化された経済性
のニーズ×(電気料金の低減額の実績値/電気料金の低減額の目標値)と、数値化された環境性のニーズ×(低減されたCO2の排出量の実績値/低減されるCO2の排出量の目標値)と、数値化されたBCP性のニーズ×(対象期間中の蓄電池13の蓄電残量の平均値/BCP容量の目標値)との和を10で除したものを用いることができるが、これに限られない。一方、需要家は、蓄電池13の保有者に、蓄電池13の使用料を支払う。需要家のこのような受益が、蓄電池13の使用料と比較しても有利なものであれば、需要家は、蓄電池13の使用料を支払ってでも、継続して使用することとなる。このように、需要家が継続して施設を利用してくれれば、施設の所有者又は管理者は、家賃等の施設の使用料と蓄電池13の使用料を得ることができるとともに、施設の使用者がいなくなり、施設の使用料が得られなくなるという損失を免れる。
【0084】
蓄電池13の保有者は、需要家から蓄電池13の使用料を取得する一方で、充放電制御サービス提供者に対して、充放電制御サービス提供の対価を支払う。蓄電池13の使用料は、需要家と、施設の所有者又は管理者との間の契約によって定められる。そして、充放電制御サービス提供の対価は、施設の所有者又は管理者と、充放電制御サービス提供者との間の契約によって定められる。蓄電池13の使用料を定額とし、充放電制御サービスによる需要家のニーズの充足率に応じた1より小さい係数を、蓄電池13の使用料に乗じた額を充放電制御サービス提供の対価とすれば、充放電サービス提供者には、需要家のニーズの充足率をより高めるための充放電制御サービスを提供するためのインセンティブが働く。また、蓄電池13の使用料を、需要家のニーズの充足率に応じて変動する額とし、一定額を控除した額を充放電サービス提供の対価としてもよいし、1より小さい係数を蓄電池の使用料を乗じた額を充放電制御サービス提供の対価としてもよい。また、需要家のニーズが、数値を特定しない形のものであった場合には、充放電制御サービス提供者の寄与が大きいので、蓄電池13の使用料を高くし、又は、蓄電池の使用料に1より小さい係数を乗じて充放電制御サービス提供の対価を算定する際の係数の値を大きくする等により、充放電制御サービス提供者の受益を大きくしてもよい。
【0085】
インバランス回避や、調整力の提供により報酬を得る場合には、需要家には、電気料金として支出する額の減少ではなく、積極的な収入が発生する。インバランス回避や、調整力の提供による報酬の獲得は、電気料金が安い時間帯に供給を受けた電力で蓄電池13を充電し、電気料金が高い時間帯で蓄電池13を放電することにより、電気料金が高い電力の消費量を低減するというような充放電制御に比べて、利益の有無やその額について不確実性が存在するため、制御の難易度が高く、利益が生じた場合には、蓄電池13の充放電制御サービス提供者の寄与が大きいと評価できる。このため、このような報酬が得られた場合には、蓄電池の使用料を増額するようにしてもよい。例えば、報酬の額に1以下の係数を乗じた額を、蓄電池の使用料に加算することができる。また、蓄電池の使用料に1より小さい係数を乗じて充放電制御サービス提供の対価を算出する場合には、インバランス回避等による報酬が得られたときに、係数の値を大きくするようにしてもよい。
【0086】
<変形例>
実施例1では、蓄電池の保有者は、需要家が使用する施設の所有者又は管理者であるが、蓄電池13の充放電制御サービス提供者が蓄電池を保有し、需要家が使用する施設に蓄電池を設置させてもらい、需要家の利用に供する場合もある。
【0087】
このような場合に、実施例1とは異なるのは、按分の計算のみである。
ここでは、需要家は、充放電制御サービス提供者に蓄電池13の使用料を支払う。そして、蓄電池13の保有者である、充放電制御サービス提供者は、施設の所有者又は管理者に、蓄電池13を設置するための使用料を支払う。また、充放電制御サービス提供者は、需要家に対して充放電制御サービスを提供する。従って、需要家が、充放電制御サービス提供の対価を、充放電制御サービス提供者に支払う。このため、需要家ニーズの充足率に
応じて、充放電制御サービス提供の対価の額を変更すれば、充放電制御サービス提供者には、需要家のニーズの充足率をより高めるインセンティブが働く。需要家が、蓄電池13の充放電制御サービスに魅力を感じて、施設を継続して使用してくれれば、施設の所有者又は管理者は、家賃等の施設の使用料を継続して得ることができる。このため、施設の所有者又は管理者は、蓄電池13の設置のための施設の使用料を減額する等の有利な条件を提示することにより、充放電制御サービスの提供を含む蓄電池13の設置を進めることができる。
また、蓄電池の保有者が、需要家が使用する施設の所有者又は管理者、蓄電池の充放電制御サービス提供者ではなく、リース会社が保有し、需要家が使用する施設に設置させてもらった蓄電池を需要家にリースするようにしてもよい。また、蓄電池の保有者が、需要家自身であってもよい。これらの場合も、同様に、本実施例に係る電力管理システム1によって、下記各関係者の受益を案分することができる。
【0088】
また、蓄電池の保有者が、需要家である場合もある。
この場合には、需要者と、施設の所有者又は管理者との間では、蓄電池の使用料の授受は発生しない。需要者が、充放電制御サービス提供者との間で、蓄電池の充電制御サービスの提供に関する契約を締結し、充放電制御サービス提供者が、需要者が保有する蓄電池に対して充放電制御サービスを提供する。需要者は、小売電気事業者に電気料金を支払うとともに、充放電制御サービス提供者に、充放電制御サービス提供の対価を支払う。充放電制御サービス提供の対価は、充放電制御サービスの提供に関する契約によって定められる。充放電制御サービス提供の対価は、定額としてもよいし、需要家ニーズの充足率に応じて変動する金額としてもよい。需要家の前年同月の電気料金に比べて減少した額等の実績値に対して、需要家ニーズの充足率に応じた1より小さい係数を乗じた額を充放電サービス提供の対価とすれば、充放電サービスの提供者には、需要家ニーズの充足率をより高めるための充放電制御サービスを提供するためのインセンティブが働く。また、インバランス回避等により需要家が報酬を得た場合には、その報酬に、需要家ニーズの充足率に応じた1より小さい係数を乗じた額を充放電サービス提供の対価とすれば、同様に、充放電サービスの提供者には、需要家ニーズの充足率をより高めるための充放電制御サービスを提供するためのインセンティブが働く。このようなインバランス回避等のような難易度の高い制御によって得られた報酬に対しては、係数の値を、電気料金の低減額の実績に対する係数よりも大きくしてもよい。
【0089】
〔実施例2〕
以下では、本発明の実施例2に係る電力管理システムについて、説明する。実施例1と共通する構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0090】
図5は、実施例2に係る充放電制御サービスに関係する主体の相互関係を模式的に示す図である。ここでは、需要家は、複合施設に含まれる個々の個別施設の使用者である。そして、複合施設の所有者又は管理者が、複合施設に設置された蓄電池13を保有する蓄電池保有者となる。蓄電池13の保有者でもある、複合施設の所有者又は管理者が、小売電気事業者と一括して受電契約を締結し、小売電気事業者から購入した電力を、複数の需要家に供給し、又は購入した電力の一部又は全部によって蓄電池13を充電し、電力が蓄積された蓄電池13から放電された電力を、それぞれの需要家が管理する負荷11で消費する。
図5でも、
図1と同様に、関係者が管理する機器やシステム等の管理対象物も関係者によって代表させている。
【0091】
図5に示す例では、需要家が使用する個別施設を含む複合施設の所有者又は管理者が、小売電気事業者と一括受電契約を締結するので、小売電気事業者から商用電力系統を通じて複合施設に対して一括して供給された電力が、各需要家に供給される。これに対して、複合施設の所有者又は管理者が、供給を受けた電力の対価として電気料金(以下、「第1
電気料金」という。)を一括して小売電気事業者に支払う。
【0092】
図5に示す例では、複合施設の所有者又は管理者が蓄電池を保有している。蓄電池13は、需要家が使用する施設を含む複合施設に設置することができるが、需要家が使用可能な態様で設置されていればよく、設置場所は限定されない。
図5では、蓄電池13の数は明示していないが、需要者ごとに一つの蓄電池13が設けられていてもよいし、複数の需要者ごとに一つの蓄電池13が設けられていてもよいし、複合施設を使用する全ての需要者に対して一つの蓄電池13が設けられていてもよく、蓄電池13の数は限定されない。一つの蓄電池13から複数の需要家に電力を供給する場合には、一つの蓄電池13のなかに、概念的には需要家ごとの蓄電容量が確保されることになる。
蓄電池13の保有者は、小売電気事業者から購入した電力の一部又は全部によって蓄電池13を充電し、電力が蓄積された蓄電池13から放電された電力は、各需要家の使用する個別施設に供給され、各需要家が管理する負荷11において消費するか、場合によって、商用電力系統に逆潮流され、小売電気事業者又は他の送配電事業者又は小売電気事業者に販売される。
【0093】
図5に示す例では、各需要家は、需要家が使用する個別施設を含む複合施設の所有者又は管理者が一括して受電した電力の供給を受けるので、各需要家は、供給を受けた電力の対価として蓄電池保有者に電気料金(以下、「第2電気料金」という。)を支払う。また、複合施設の所有者又は管理者は、複合施設及び蓄電池を、需要家に提供して使用させる。これに対して、需要家は、複合施設の所有者又は管理者に、賃料等の個別施設の使用料及び蓄電池13の使用料を支払う。第2電気料金及び蓄電池の使用料の少なくともいずれかは、個別施設の使用料に含まれていてもよい。
【0094】
図5に示す例では、充放電制御サービス提供者が、蓄電池13の保有者に対して、蓄電池13の充放電サービスを提供する。これに対して、蓄電池13の保有者は、充放電制御サービス提供者に、充放電制御サービス提供の対価を支払う。充放電制御サービス提供者が充放電制御サービス提供の対象とする蓄電池13は、一つ又は複数でもよく、一つの施設に設置された蓄電池13の一部又は全部であってもよい。また、充放電制御サービス提供者が充放電制御サービスの対象とする蓄電池13が、複数の施設に設置された蓄電池13を含んでもよい。複数の施設に設置された蓄電池13は、自営線によって接続されていてもよいし、送配電事業者によって管理される電力網によって接続されていてもよい。
【0095】
図6に、実施例2に係る電力管理システム2を含む全体構成を示す。実施例1と同様の構成については同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
図6では、電力が流れる電力線を太線で示す。
【0096】
実施例2では、複合施設において商用電力系統Gから一括受電しているので、一括受電した電力を測定する系統測定部14から各個別施設へと分岐した電路上に個別施設に供給される電力を測定する個別電力測定部25a、25b、25cが設けられている。個別電力測定部25a、25b、25cから、各個別施設に設けられた負荷11a、11b、11cに電力を供給する電路には、充放電測定部15a、15b、15c、蓄電池用インバータ12a、12b、12c及び蓄電池13a、13b、13cが接続されている。個別施設に供給された電力は、負荷11a、11b、11cに供給されるともに、蓄電池13a、13b、13cに充電される。また、蓄電池13a、13b、13cから放電された電力は負荷11a、11b、11cに供給される。蓄電池13a、13b、13cに充放電される電力は充放電測定部15a、15b、15c、によって測定される。
【0097】
各個別施設に対して、個別電力測定部25a、25b、25c、充放電測定部15a、15b、15c、蓄電池用インバータ12a、12b、12c、蓄電池13a、13b、
13cが設けられる。
図6では、3つの個別施設を例示しているが、複合施設に含まれる個別施設の数は限定されない。また、個別電力測定部25a、25b、25cによって測定された電力量は、電力使用実績データベース20に記憶される。また、蓄電池13a、13b、13cには、それぞれ充放電指示部19からの充放電量の指示が入力される。電力管理システム2は、需要家の負荷11a、11b、11cに電力を供給する太陽光発電モジュール等の分散型電源を含み、蓄電池13a、13b、13cが分散型電源によって発電された電力を充放電するようにしてもよい。以下では、特に断らない限り、符号のうちa~cを省略する。
【0098】
<電力管理方法>
次に、実施例2に係る電力管理方法の処理手順の概略を説明する。基本的な処理手順は、実施例1と共通するので、実施例1に関する
図3を用いて、実施例1との相違点について説明する。
【0099】
まず、需要家ニーズ取得部16により電力管理に関する需要家のニーズを取得する(ステップS1)。
ここでは、複合施設に含まれる個別施設の使用者である複数の需要家のそれぞれのニーズを入力する。各需要家のニーズは、実施例1の場合と同様に、電力の価値を数値化したものである。
【0100】
次に、取得した需要家のニーズに基づいて蓄電池充放電計画を立案する(ステップS2)。
ここでは、複合施設に含まれる個別施設の使用者である複数の需要家のそれぞれのニーズに基づいて、それぞれの需要家のための蓄電池充放電計画を立案する。蓄電池充放電計画立案部17は、さらに、気象情報取得部23により取得した気象情報に基づいて、蓄電池充放電計画を立案してもよい。また、蓄電池充放電計画立案部17は、さらに、電力使用実績データベース20から取得した需要家の電力量の使用実績から需要予測を行い、この需要予測に基づいて蓄電池充放電計画を立案してもよい。
【0101】
次に、充放電量決定部18が、電力使用実績データベース20から、電力の使用量実績を取得する(ステップS3)。
ここでは、複合施設に含まれる個別施設の使用者である複数の需要家のそれぞれの電力の使用量実績を取得する。電力使用実績データベース20には、個々の需要家について個別電力測定部25によって測定された電力の使用量実績と、複合施設について系統測定部14によって測定された複合施設全体での電力使用量実績も記録される。
【0102】
次に、充放電量決定部18が、蓄電池充放電計画に従い、取得した電力の使用量実績に基づく、具体的な蓄電池13の充放電量を決定する(ステップS4)。
ここでは、複合施設に含まれる個別施設の使用者である複数の需要家のそれぞれについて、立案された蓄電池充放電計画に従い、ステップS3で取得した電力の使用実績に基づいて、具体的な蓄電池13の充放電量を決定する。
【0103】
充放電指示部19が、決定された充放電量を蓄電池13に指示する(ステップS5)。
ここでは、ステップS4で決定された、各需要家についての具体的な蓄電池13の充放電量を、各需要家に対応付けられた蓄電池13に指示する。
【0104】
料金算出部21が、電気料金算定の対象となる所定の期間(対象期間)が経過したか否かを判断する(ステップS6)。
【0105】
ステップS6においてNoと判断された場合、すなわち、対象期間を経過していない場
合には、ステップS1に戻る。
【0106】
ステップS6においてYesと判断された場合、すなわち、対象期間を経過した場合には、料金算出部21が、対象期間における電力の使用実績から電気料金を算出し(ステップS7)、ステップ8に進む。
ここでは、複合施設の使用者又は管理者が、小売電気事業者との一括受電契約に基づいて、小売電気事業者に支払うべき第1電気料金を算出する。
【0107】
按分計算部22が、ステップS7において算出された電気料金に基づき、関係者の受益の按分を計算し(ステップS8)、ステップS1に戻る。
ここでは、ステップS7において算出された第1電気料金に基づいて、複数の需要家、蓄電池13の保有者(複合施設の所有者又は管理者)及び充放電制御サービス提供者の受益の按分を計算する。
【0108】
以下に、実施例2に係る電力管理方法の処理手順の詳細について説明する。
【0109】
<需要家ニーズの取得>
実施例2においても、需要家のニーズは、例えば、表1のような経済性、環境性、BCP性を示す3つの数値の組で表される。経済性とは、経済的な利益を重視することを示し、例えば、電力に関する支出を低減し又は収入を増加させることを意味する。そして、環境性とは、環境への貢献を重視することを示し、例えば、化石燃料によって発電された電力の消費量を減少させ、消費する電力の電源構成のうち化石燃料の一部又は全部を再生可能エネルギーによって代替すること等によって、CO2排出量を削減することを意味する。BCP性とは、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)への貢献を重視することを示し、災害時の停電や故障による商用電力系統からの電力供給が停止した場合にも、事業継続のための電源として、一定の蓄電量を確保しておくことを示す。
【0110】
3つの数字の組は、蓄電池の充放電制御の価値において、上述の代表的な価値の重要度を相対的に評価する指標、すなわちそれぞれの優先度を示す指標として、合計が10となる3つの数字で数値化して表現したものである。蓄電池の充放電制御の価値は種々の側面から評価することができるので、3つに限定されない。また、蓄電池の充放電制御の価値を数値化する方法は、これに限られない。3つの数字は、3つの価値の相対的な大きさを示すものであるから、合計が100となるような3つの数字の組み合わせで表現してもよい。また、経済性を21、環境性を15、BCP性を40というように適宜の0以上の整数で表現し、3つの数字の和に対する比である、21/76、15/76、40/76をそれぞれ、経済性、環境性、BCP性に対する値としてもよい。
【0111】
また、経済性に関しては、例えば、前年同月と比較した支出の減少額又は収入の増加額若しくはパーセンテージ等の具体的な数値や数値範囲によって、数値化してもよい。環境性に関しても、例えば、前年同月と比較したCO2排出量の削減量のような具体的な数値や数値範囲によって、数値化してもよい。また、BCP性に関しても、例えば、事業継続のために確保すべき蓄電容量(「BCP容量」ともいう。)の具体的な数値又は数値範囲によって、数値化してもよい。
【0112】
ここで取り上げた経済性、環境性、BCP性は、必ずしも並立するものではなく、蓄電池の実際の充放電制御では、相反する場合もあり得る。このように、価値が相反する場合に、いずれの価値を優先して制御を実施するかを決めるのが、上述の3つの数字の組である。この3つの数字の組のような相対的な指標と、具体的な数値又は数値範囲の両者を用いてもよいし、一部の価値には相対的な指標値を用い、他の価値には具体的な数値(数値範囲)を用いるようにしてもよい。
【0113】
また、需要家ニーズ取得部16は、需要家が数値を特定しない形のニーズを受け付けるようにしてもよい。この場合には、当該需要家のニーズの履歴情報や、当該需要家の属性情報等の情報に基づいて、充放電制御サービス提供者が、需要家ニーズを示す数値を特定し、これに基づいて充放電計画を立案する。
【0114】
<充放電計画>
次に、蓄電池充放電計画の例について説明する。
蓄電池充放電計画立案部17が、各需要家のニーズに基づいて、各需要家のための蓄電池充放電計画を立案する。需要家のニーズに基づく蓄電池充放電計画の立案方法は特に限定されない。
【0115】
まず、充放電制御を含めた電力管理における経済性の意義について説明する。
図5に示す例における各需要家の支出は、複合施設の所有者又は管理者(蓄電池保有者)に対する第2電気料金の支払いと、家賃等の個別施設の使用料及び蓄電池13の使用料の支払いである。このため、各需要家のニーズにおける経済性は、各需要家が蓄電池保有者に支払う第2電気料金及び蓄電池13の使用料を低減することによって実現される。
【0116】
各需要家が蓄電池保有者に支払う電気料金は、各需要家と複合施設の所有者又は管理者との契約の内容に基づいて定められる。
【0117】
次に、充放電制御を含めた電力管理における環境性の意義について説明する。
各需要者のニーズにおける環境性は、例えば、各需要家の施設に設置された負荷11で消費される電力を発電するためのCO2排出量を低減することによって実現される。小売電気事業会社から供給される電力が火力発電によるものである場合には、火力発電による電力の消費量を低減することにより、CO2排出量を低減することができる。また、時間帯や季節等により、小売電気事業者から供給される電力の電源構成が異なる場合には、火力発電の割合が低い時間帯等に供給された電力を蓄電池に充電しておき、火力発電の割合が高い時間帯等に、蓄電池から放電された電力を各需要家が使用することにより、CO2排出量を低減することができる。さらに、複合施設の所有者又は管理者が、複数の小売電気事業者から電力の供給元を選択できる場合には、電源構成のうち再生可能エネルギーによる割合が高い小売電気事業者や、非化石証書を購入することにより実質的に再生可能エネルギーによる割合を高めている小売電気事業者に切り替えることによっても、CO2排出量を低減することができる。複合施設の所有者又は管理者が一括受電する場合には、需要家ごとに環境性の異なる電力を同時に供給することはできないが、需要家ごとに充放電計画を立案することにより、ある程度の期間における消費電力量を考えれば、需要家ごとに環境性の異なる電力を供給することは可能である。
【0118】
次に、充放電制御を含めた電力管理におけるBCP性の意義について説明する。
蓄電池13を充放電する際には、蓄電池13の残量はSOC(State of Charge)で表
される。蓄電池13の保護のために、蓄電残量は、SOCの上限値(SOC上限値)と、SOCの下限値(SOC下限値)との間の蓄電量となるように制御される。SOC上限値及びSOC下限値は、蓄電池13の使用履歴に応じて変化する。常に、蓄電池にBCP容量が蓄積されているためには、蓄電残量がBCP容量とSOC下限値の和を下回らないように充放電する必要がある。
【0119】
以上、充放電制御を含む電力管理と、需要家のニーズとの関係について説明したが、蓄電池13において充放電可能な蓄電容量を、各需要家における消費のための充放電とは独立して利用することもできる。すなわち、各需要家への放電のための電力量を含む蓄電残量と、SOC上限値との間に余裕がある場合には、その蓄電量の分だけさらに充電するこ
とができる。また、蓄電残量と、需要家への放電のための電力量をSOC下限値に加えた蓄電量との間に余裕がある場合には、その蓄電量の分だけ放電することができる。
【0120】
このように、個々の蓄電池について、各需要家における消費のための充放電とは独立して利用可能な蓄電残量(「運用可能残量」という。)又は蓄電容量(「運用可能容量」という。)が生じる可能性がある。充放電制御サービス提供者は、複数の蓄電池について、運用可能残量及び運用可能容量を集約することができる。このように集約した運用可能残量及び運用可能容量は、ディマンドレスポンス、インバランス回避、調整力として運用し、市場取引又は相対取引により報酬を得ることができる。ここで、ディマンドレスポンスとは、供給力確保の手段として、需要を抑制することであり、複合施設の所有者又は管理者が小売電気事業者から一括受電して、各需要家において消費する電力の一部を蓄電池13からの放電電力によって代替し、複合施設の所有者又は管理者が小売電気事業者から一括受電する電力を抑制することができる。インバランス回避とは、供給又は需要の計画値と実績値との差分の発生を回避することであり、小売電気事業者から一括受電する電力でいずれかの需要家のための蓄電池13を充電することにより、需要の実績値の不足分を補うことができ、いずれかの需要家のための蓄電池13から放電された電力を発電事業者に供給することにより、供給の不足分を補うことができる。調整力とは、需給の変動に対応するために提供されるものであり、需給の差分に応じて、いずれかの需要家のための蓄電池13を充電又は放電する能力を、調整力市場を通じた取引により調整力を提供することができる。
【0121】
また、本実施例では、需要家ごとに個別の蓄電池13が設けられている場合に、複合施設に設置された蓄電池間で電力を授受するのに、送配電事業者が管理する電力網を経由しないので、託送料金が発生しない。このため、各需要家のための蓄電池13の充放電制御において、同じ複合施設に含まれる個別施設の使用者である他の需要家のための蓄電池13を利用することもできる。
【0122】
<充放電計画の立案>
上述のように、経済性、環境性、BCP性という各需要者のニーズに応じた蓄電池の充放電制御が可能である。蓄電池充放電計画立案部17は、入力部から入力された各需要者のニーズに応じて蓄電池の充放電計画を立案する(ステップS2)。
【0123】
<充放電量の決定及び指示>
そして、蓄電池充放電計画立案部17は、電力使用実績データベース20から、各需要家の電力使用量の実績値を取得し(ステップS3)、充放電計画に基づいて、各需要家のための蓄電池13の充放電量を決定する(ステップS4)。充放電計画に基づいて、各需要家のための蓄電池13の充放電量を決定する際には、各需要家の電力使用量の実績値に基づいて、各需要家の電力使用量を予測し、電気料金算定のための対象期間における第2電気料金、CO2排出量、BCP容量の目標値を設定し、補助記憶装置に記憶しておく。蓄電池充放電計画立案部17は、決定された充放電量の充放電を各重要かのための蓄電池13に指示する(ステップS5)。
【0124】
<動的な充放電計画の立案及び実行>
ステップS6でNoと判断された場合、すなわち、電気料金算定のための対象期間中は、需要者のニーズの入力を受け付けておき、新たに需要者のニーズが入力された場合には(ステップS1)、蓄電池充放電計画立案部17は、新たなニーズに応じて、当該需要家のために動的に蓄電池充放電計画を立案し(ステップS2)、ステップS3~S5の処理を行う。
【0125】
<料金算出>
ステップS6でYesと判断された場合、すなわち、電気料金算定のための対象期間が経過した場合には、料金算出部21は、電力使用実績データベース20から、電力使用量の実績値を取得し、第1電気料金を算出する(ステップS7)。
【0126】
<按分計算>
次に、按分を計算する(ステップS7)。按分とは、具体的には、充放電制御サービスの実施による各関係者の受益を按分することである。
対象期間中に行われた蓄電池の充放電制御を通じて、需要家のニーズである、第2電気料金の低減、CO2の排出量の低減、BCP容量の確保が実現されることが、充放電制御サービスによって需要家に付与される利益である。各需要家が、複合施設の所有者又は管理者に支払う第2電気料金は、各需要家と複合施設の所有者又は管理者と小売電気事業者との契約の内容と、個別電力測定部25によって測定され、電力使用実績データベースに記録された、個別施設での電力量の使用実績とに基づいて算出することができる。このような需要家に付与される利益は、需要家ニーズの充足率で評価することができる。需要家ニーズの充足率は、数値化された経済性のニーズ×(電気料金の低減額の実績値/電気料金の低減額)と、数値化された環境性のニーズ×(低減されたCO2の排出量の実績値/低減されるCO2の排出量の目標値)と、数値化されたBCP性のニーズ×(対象期間中の蓄電池13の蓄電残量の平均値/BCP容量の目標値)との和を10で除したものを用いることができるが、これに限られない。一方、需要家は、蓄電池13の保有者に、蓄電池13の使用料を支払う。また、各需要家は、蓄電池13の保有者に、蓄電池13の使用料を支払う。各需要家のこのような受益が、蓄電池13の使用料と比較しても有利なものであれば、各需要家は、蓄電池13の使用料を支払ってでも、蓄電池13が設置された個別施設を継続して使用することとなる。このように、需要家が継続して個別施設を利用してくれれば、複合施設の所有者又は管理者は、家賃等の個別施設の使用料と蓄電池13の使用料を得ることができるとともに、個別施設の使用者がいなくなり、個別施設の使用料が得られなくなるという損失を免れる。
【0127】
複合施設の所有者又は管理者(蓄電池13の保有者)は、各需要家から、第2電気料金及び蓄電池13の使用料を取得する一方で、充放電制御サービス提供者に対して、充放電制御サービス提供の対価を支払う。充放電制御サービス提供の対価は、複合施設の所有者又は管理者と、充放電制御サービス提供者との間の契約によって定められる。蓄電池13の使用料を定額とし、充放電制御サービスによる各需要家のニーズの充足率に応じた1より小さい係数を、蓄電池13の使用料に乗じた額を、需要家当たりの充放電制御サービス提供の対価とすれば、充放電サービス提供者には、各需要家のニーズの充足率をより高めるための充放電制御サービスを提供するためのインセンティブが働く。また、蓄電池13の使用料を、各需要家のニーズの充足率に応じて変動する額とし、一定額を控除した額を、需要家当たりの充放電サービス提供の対価としてもよいし、1より小さい係数を蓄電池13の使用料を乗じた額を充放電制御サービス提供の対価としてもよい。また、需要家のニーズが、数値を特定しない形のものであった場合には、充放電制御サービス提供者の寄与が大きいので、蓄電池13の使用料を高くし、又は、蓄電池の使用料に1より小さい係数を乗じて充放電制御サービス提供の対価を算定する際の係数の値を大きくする等により、充放電制御サービス提供者の受益を大きくしてもよい。
【0128】
インバランス回避や、調整力の提供により報酬を得る場合には、複合施設の所有者又は管理者には、第1電気料金の支出のみならず、積極的な収入が発生する。インバランス回避や、調整力の提供による報酬の獲得は、電気料金が安い時間帯に供給を受けた電力で蓄電池を充電し、電気料金が高い時間帯で蓄電池13を放電することにより、電気料金が高い電力の消費量を低減するというような充放電制御に比べて、利益の有無やその額について不確実性が存在するため、制御の難易度が高く、利益が生じた場合には、蓄電池13の充放電制御サービス提供者の寄与が大きいと評価できる。このため、このような報酬が得
られた場合には、充放電制御サービス提供の対価を増額するようにしてもよい。例えば、報酬の額に1以下の第1の係数を乗じた額を、充放電制御サービス提供の対価に加算し、報酬の額に1以下の第2の係数を乗じた額を、需要家が支払うべき第2電気料金から減額するようにすることができる。インバランス回避等のために、すべての需要家のための蓄電池13を使用した場合には、報酬の額に第2の係数を乗じた額をすべての需要家の数で除した額を、第2電気料金から減額してもよいし、経済性のニーズに応じて蓄電池の使用の仕方に軽重をつけて、第2電気料金から減じる額も、需要家の経済性のニーズごとに異ならせてもよい。また、報酬の額に第1の係数と第2の係数との和を乗じた額を報酬から減じた額を、複合施設の所有者又は管理者の受益とすることもできる。
【0129】
<変形例>
実施例2では、蓄電池の保有者が所有又は管理する施設は、個々の需要家が使用する個別施設を複数含む複合施設の場合について説明したが、施設を使用する需要家が一人又は一つであってもよい。この場合には、施設の所有者又は管理者が、複数の需要家に供給すべき電力を、小売電力事業者から一括受電するわけではないが、
図5に示す、需要家、蓄電池保有者、充放電制御サービス提供者及び小売電気事業者の関係は、実施例2において説明した場合と同様であり、需要家が一人又は一つである点を除き、受益の按分についても実施例2と同様に構成することができる。
【0130】
また、実施例2では、蓄電池の保有者は、複合施設の所有者又は管理者であるが、蓄電池の充放電制御サービス提供者が蓄電池を保有し、複合施設に蓄電池を設置させてもらい、需要家の利用に供する場合もある。
【0131】
このような場合に、実施例2とは異なるのは、按分の計算のみである。
ここでは、各需要家は、充放電制御サービス提供者が保有する蓄電池を使用するので、充放電制御サービス提供者に蓄電池の使用料を支払う。また、充放電制御サービス提供者は、需要家に対して充放電制御サービスを提供する。従って、需要家が、充放電制御サービス提供の対価を、充放電制御サービス提供者に支払う。そして、蓄電池の保有者である、充放電制御サービス提供者は、複合施設の所有者又は管理者に、蓄電池設置のための施設の使用料を支払う。このため、需要家ニーズの充足率に応じて、充放電制御サービス提供の対価の額を変更すれば、充放電制御サービス提供者には、需要家のニーズの充足率をより高めるインセンティブが働く。需要家が、蓄電池の充放電制御サービスに魅力を感じて、複合施設を継続して使用してくれれば、複合施設の所有者又は管理者は、家賃等の施設の使用料を継続して得ることができる。このため、複合施設の所有者又は管理者は、蓄電池設置のための施設の使用料を減額する等の有利な条件を提示することにより、充放電制御サービスの提供を含む蓄電池の設置を進めることができる。
また、蓄電池の保有者が、需要家が使用する施設の所有者又は管理者、蓄電池の充放電制御サービス提供者ではなく、リース会社が保有し、需要家が使用する施設に設置させてもらった蓄電池を需要家にリースするようにしてもよい。また、蓄電池の保有者が、需要家自身であってもよい。これらの場合も、同様に、本実施例に係る電力管理システム1によって、下記各関係者の受益を案分することができる。
【0132】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
商用電力系統(G)から供給を受けた電力の電力量を測定する電力測定部(14)と、
前記商用電力系統(G)から供給を受けた電力を充電するとともに該充電された電力を放電する蓄電池(13)と、
前記蓄電池(13)に充電された電力である充電電力の電力量と該蓄電池(13)から放電された電力である放電電力の電力量を測定する充放電測定部(15)と、
前記商用電力系統(G)から供給を受けた電力及び前記放電電力を消費する負荷(11)を有する需要家における、前記蓄電池(13)の充電及び放電を含む電力に関するニーズであって数値化された需要家ニーズを取得する需要家ニーズ取得部(16)と、
前記需要家ニーズに基づいて、前記蓄電池(13)の充電及び放電の制御に関する充放電計画を立案する充放電計画立案部(17)と、
前記充放電計画に基づいて、前記蓄電池(13)の充電及び放電を制御する充放電制御部(18、19)と、
前記商用電力から供給を受けた電力の対価に関する受電対価情報を取得する受電対価情報取得部(24)と、
所定期間における前記電力測定部(14)による測定結果に基づいて、前記商用電力系統から供給を受けた電力の対価を算出する受電対価算出部(21)と、
充放電計画に基づく前記蓄電池(13)の充電及び放電の制御による受益を、前記需要家と、前記蓄電池(13)を保有する蓄電池保有者と、前記充放電計画を前記蓄電池保有者に提供するサービス提供者を含む者によって、按分する按分計算部(22)と、
を備え、前記需要家における電力を管理する電力管理システム(1)。
【符号の説明】
【0133】
1,2 :電力管理システム
13 :蓄電池
14 :系統測定部
15 :充放電測定部
16 :需要家ニーズ取得部
17 :蓄電池充放電計画立案部
18 :充放電決定部
19 :充放電指示部
20 :電力使用実績データベース
21 :料金算出部
22 :按分計算部
24 :電気料金表・CO2換算表取得部
25 :個別電力測定部