(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】媒体排出装置、記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20241001BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241001BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241001BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65H31/00 B
B41J29/38 104
B41J29/38 103
B41J29/42 E
H04N1/00 567Q
H04N1/00 567C
(21)【出願番号】P 2020121395
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 一夫
(72)【発明者】
【氏名】品川 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】織井 悟
(72)【発明者】
【氏名】山田 克己
(72)【発明者】
【氏名】野本 伸寿
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032416(JP,A)
【文献】特開2002-347303(JP,A)
【文献】特開2002-052778(JP,A)
【文献】特開平08-339107(JP,A)
【文献】特開平06-191128(JP,A)
【文献】特開平09-106122(JP,A)
【文献】特開2005-179044(JP,A)
【文献】特開2009-291989(JP,A)
【文献】特開2011-207039(JP,A)
【文献】特開2018-126884(JP,A)
【文献】特開2020-063124(JP,A)
【文献】特開2021-138498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B41J 29/38
B41J 29/42
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出する媒体排出部と、
前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、
前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、
前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、
前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイの
前記第1状態
からの状態切り換えに応じて前記発光部
の発光状態を変化させる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体排出装置において、前記媒体受けトレイは、前記制御部により制御されるモーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、
前記制御部は、前記第1状態にある前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる際、前記発光部を発光させる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体排出装置において、前記媒体受けトレイは、前記制御部により制御されるモーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、
前記制御部は、前記モーターを所定量駆動しても前記媒体受けトレイが目標状態に切り換わらない場合、前記発光部の発光状態を変化させる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の媒体排出装置において、前記制御部は、前記発光部が発光している状態で電力消費を抑制する省電力モードへ移行する場合、前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除して前記装置本体から突出していると、前記発光部を消灯させる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の媒体排出装置において、前記制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除して前記装置本体から突出しているとともに前記発光部が発光している状態で電源OFF状態に移行する際、前記発光部を消灯させる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項6】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部により記録が行われた媒体を排出する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の前記媒体排出装置と、
を備えた記録装置。
【請求項7】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部により記録の行われた媒体を排出する媒体排出部と、
前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、
前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、
前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、
前記媒体受けトレイは、モーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、
前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる為の前記モーターの制御に対応して前記発光部を発光させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部により記録の行われた媒体を排出する媒体排出部と、
前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、
前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、
前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、
前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが少なくとも前記第1状態にあるかを検出可能であるとともに、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させず、前記媒体受けトレイが前記第1状態以外の状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録装置において、前記制御部は、前記第1状態にある前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除した場合、前記発光部を発光させる、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を排出する媒体排出装置、及びこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体を排出する排出機構においては、装置の筐体に、媒体を排出する排出空間を設けるとともに、排出空間内が暗くて視認性が悪いことに鑑み、特許文献1に示される様に排出空間内を照らすランプを設ける構成が知られている。
特許文献1記載の構成によれば、トレイ上に媒体の一例である用紙が排出されると排紙空間の天井に設けられたランプが点灯する。これにより、排出された用紙の確認や取り出しが容易となり、また、用紙が排出されたことに容易に気付くことができる。
また特許文献2には、排出されるシートを受ける排出トレイが、モーターの動力により展開位置と収納位置との間を移動する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-339107号公報
【文献】特開2018-016480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2記載の構成では、排出トレイが収納位置にある状態で記録命令が発せられると、排出ローラーが回転し、排出ローラーの回転が排出トレイに伝達されて、排出トレイが収納位置から展開位置に移動する様に構成されている。従って排出トレイの展開動作は、ユーザーからすればシートが排出される予兆であると認識することができる。更に言えば、排出トレイの動作はシートの排出に係わるステータスを示す手段として機能すると言える。
しかしながらユーザビリティを向上させる観点では、より視認性良好に、シートの排出に係わるステータスを示すことが好ましいと言える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の媒体排出装置は、媒体を排出する媒体排出部と、前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイの状態または動作に応じて前記発光部を制御することを特徴とする。
【0006】
また本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する媒体排出部と、前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、前記媒体受けトレイは、モーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる為の前記モーターの制御に対応して前記発光部を発光させることを特徴とする。
【0007】
また本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する媒体排出部と、前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが少なくとも前記第1状態にあるかを検出可能であるとともに、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させず、前記媒体受けトレイが前記第1状態以外の状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】用紙受けトレイを第1状態としたプリンターの斜視図。
【
図2】用紙受けトレイを第3状態としたプリンターの斜視図。
【
図3】用紙受けトレイを第2状態としたプリンターの斜視図。
【
図6】前面カバーを取り外し、基板を露出させた状態のプリンター前面の部分拡大斜視図。
【
図7】発光部による照射範囲を用紙排出方向から見た図。
【
図8】発光部による照射範囲を用紙幅方向から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体排出装置は、媒体を排出する媒体排出部と、前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイの状態または動作に応じて前記発光部を制御することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイの状態または動作に応じて前記発光部を制御するので、媒体の排出に係わるステータスを視認性良好に示すことができ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記媒体受けトレイは、前記制御部により制御されるモーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、前記制御部は、前記第1状態にある前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる際、前記発光部を発光させることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記制御部は、前記第1状態にある前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる際、前記発光部を発光させるので、ユーザーは前記媒体受けトレイの状態が切り換わることを前記発光部の点灯によって把握することができる。
尚、本明細書において前記発光部の「発光」とは、点灯と点滅の双方を含む意味で用い、単に「発光」という場合は、点灯及び点滅のいずれかを意味するものとする。
【0013】
第3の態様は、第1の態様において、前記媒体受けトレイは、前記制御部により制御されるモーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、前記制御部は、前記モーターを所定量駆動しても前記媒体受けトレイが目標状態に切り換わらない場合、前記発光部の発光状態を変化させることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記制御部は、前記モーターを所定量駆動しても前記媒体受けトレイが目標状態に切り換わらない場合、前記発光部の発光状態を変化させるので、ユーザーは前記媒体受けトレイの動作に異常が生じたことを前記発光部の発光状態の変化によって把握することができる。
【0015】
第4の態様は、第2のまたは第3の態様において、前記制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除して前記装置本体から突出しているとともに前記発光部が発光している状態で、電力消費を抑制する省電力モードへ移行する場合、前記発光部を消灯させることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除して前記装置本体から突出しているとともに前記発光部が発光している状態で、電力消費を抑制する省電力モードへ移行する場合、前記発光部を消灯させるので、無駄な電力消費を回避できる。
【0016】
第5の態様は、第2から第4の態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除して前記装置本体から突出しているとともに前記発光部が発光している状態で電源ボタンが押下されると、前記発光部を消灯させることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除して前記装置本体から突出しているとともに前記発光部が発光している状態で電源ボタンが押下されると、前記発光部を消灯させるので、ユーザーは装置が電源オフの状態に移行することを視覚的に把握できる。
【0017】
第6の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録が行われた媒体を排出する、第1から第5の態様のいずれかに係る前記媒体排出装置とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、媒体に記録を行う記録装置において、上述した第1から第5の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0018】
第7の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する媒体排出部と、前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、前記媒体受けトレイは、モーターの動力によって前記第1状態と前記第2状態との間で状態切り換えが可能であり、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる為の前記モーターの制御に対応して前記発光部を発光させることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記媒体受けトレイを前記装置本体から突出させる為の前記モーターの制御に対応して前記発光部を発光させるので、ユーザーは前記媒体受けトレイの状態が切り換わることを前記発光部の発光によって視覚的に把握することができ、ユーザビリティが向上する。
【0020】
第8の態様は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部により記録の行われた媒体を排出する媒体排出部と、前記媒体排出部により排出される媒体を受ける媒体受けトレイと、を備え、前記媒体受けトレイは、前記媒体排出部を備える装置本体に収納された第1状態と、前記装置本体から最も突出する第2状態とを切り換え可能であり、前記媒体排出部より媒体排出方向下流の位置には、前記媒体受けトレイに向けて光を発する発光部が設けられ、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが少なくとも前記第1状態にあるかを検出可能であるとともに、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させず、前記媒体受けトレイが前記第1状態以外の状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記発光部を制御する制御部は、前記媒体受けトレイが少なくとも前記第1状態にあるかを検出可能であるとともに、前記媒体受けトレイが前記第1状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させず、前記媒体受けトレイが前記第1状態以外の状態にあって前記発光部が消灯している際に記録開始の指示を受けると、前記発光部を発光させるので、ユーザーは前記媒体受けトレイの状態を前記発光部の状態で視覚的に把握することができ、ユーザビリティが向上する。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記制御部は、前記第1状態にある前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除した場合、前記発光部を発光させることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記第1状態にある前記媒体受けトレイが前記第1状態を解除した場合、前記発光部を発光させるので、ユーザーは前記媒体受けトレイの状態が切り換わったことを前記発光部の発光により視覚的に把握することができる。
【0023】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、各図においてX軸に沿った方向は装置幅方向であり、媒体の一例である用紙を搬送する用紙搬送方向と交差する方向、即ち用紙幅方向となる。-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て右方向となり、また+X方向は同左方向となる。
またY軸に沿った方向は装置奥行き方向であり、+Y方向は装置背面から前面に向かう方向であり、-Y方向は装置前面から背面に向かう方向である。+Y方向が、記録が行われた用紙を排出する排出口17からの用紙排出方向となる。本実施形態において装置の周囲を構成する側面のうち前面カバー4が設けられた側面が装置前面となる。
またZ軸に沿った方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方となる。
尚、以下では用紙が送られていく方向を「下流」と称し、その逆方向を「上流」と称する場合がある。
【0024】
図1~
図3において記録装置の一例であるインクジェットプリンター1は、装置本体2の上部に、スキャナー部3を備えて成る、所謂複合機である。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。
スキャナー部3は、装置本体2に対して回動可能に設けられており、回動することにより、
図1に示す閉じた状態と不図示の開いた状態とをとり得る。スキャナー部3は、原稿台3b(
図4参照)を開閉する原稿カバー3aを備えている。
【0025】
装置本体2の上部において原稿カバー3aに対し背面側には、上部カバー9が設けられている。上部カバー9を開くと、ホッパー12(
図4参照)への用紙のセットが可能となる。
装置本体2は、装置前面に、各種操作設定を行う為の操作パネル6を備えている。操作パネル6は、本実施形態ではタッチパネルで構成されている。また操作パネル6は、不図示の回転軸を中心にチルト可能に設けられている。
【0026】
装置本体2の前面において下方には、前面カバー4が設けられている。前面カバー4は、装置本体2の下部に位置する給紙トレイ5に対して回転可能に設けられ、回転することにより、
図1に示す様に閉じた状態と、
図2及び
図3に示す様に開いた状態とを取り得る。
前面カバー4を開くと、記録が行われた用紙を排出する排出口17が露呈し、また、排出口17から排出される用紙を受ける、媒体受けトレイとしての用紙受けトレイ18が露呈する。
【0027】
用紙受けトレイ18は、装置本体2の内部に収納された第1状態と、
図3に示す様に+Y方向に最も突出した状態となる第2状態と、の間で切り換わりが可能である。尚、
図2に示す用紙受けトレイ18の状態は、第1状態と第2状態との間の第3状態を示している。
用紙受けトレイ18の状態切り換えは、トレイ駆動モーター60(
図5参照)から不図示のラックピニオン機構を介して用紙受けトレイ18に動力が伝達されることで行われる。用紙受けトレイ18を第1状態から第2状態及び第3状態のいずれに切り換えるかは、印刷情報に含まれる用紙サイズ情報に基づき制御部50(
図5参照)が決定する。
【0028】
尚、用紙受けトレイ18は第1状態から第2状態に向けた状態切り換えのみならず、第2状態から第1状態に向けた状態切り換えについてもトレイ駆動モーター60(
図5参照)の動力によって可能である。但し、用紙受けトレイ18の第2状態から第3状態への切り換えをユーザー操作に委ね、第3状態から第1状態への切り換えをトレイ駆動モーター60の動力によって行う様にしても良い。或いは、第2状態から第1状態に向けた用紙受けトレイ18の状態切り換えを全てユーザー操作に委ねる様にしても良い。
【0029】
尚、本実施形態では用紙受けトレイ18は第2状態に加えて第3状態をとることができ、第2状態に加えて第3状態においても用紙を受けることができるが、第3状態は省略することもでき、即ち第2状態でのみ用紙を受けるものであっても良い。また逆に、用紙受けトレイ18は第2状態と第3状態とに加えて更に他の状態で用紙を受けることができるものでも良い。
【0030】
本実施形態では、
図2に示す第3状態で例えばA4サイズの用紙が長辺をY軸方向に沿って排出される場合に当該用紙を受けることができる。また
図3に示す第2状態では、例えばA3サイズの用紙が長辺をY軸方向に沿って排出される場合に当該用紙を受けることができる。
【0031】
本実施形態において用紙受けトレイ18は、
図3に示す様に第1トレイ18c、第2トレイ18b、第3トレイ18a、のこれらを備えて構成されている。
用紙受けトレイ18は、
図1の収納状態つまり第1状態から
図2の第3状態に切り換わる際、第1トレイ18c、第2トレイ18b、第3トレイ18a、のこれらが一体となって+Y方向に変位する。
そして
図2の第3状態から
図3の第2状態に切り換わる際、第1トレイ18cに対して第2トレイ18bと第3トレイ18aとが+Y方向に変位する。用紙受けトレイ18が第2状態に切り換わった状態では、
図3に示す様に第2トレイ18bは第1トレイ18cより+Y方向に位置し、また、第3トレイ18aは第2トレイ18bより+Y方向に位置する。
【0032】
上述の様に本実施形態において用紙受けトレイ18は多段式に構成されるが、用紙受けトレイ18は一つのトレイで構成することもできる。この場合も、トレイにY軸方向に沿ってラックを形成し、このラックと噛合するピニオン歯車を設けてラックピニオン機構を構成し、モーターの動力でY軸方向に変位させることが可能である。そのような構成においても、装置本体2の内部に収納された第1状態と、第1状態よりも装置本体2から+Y方向に最も突出した状態となる第2状態と、の間で状態を切り換えることが可能である。
【0033】
続いて、
図4を参照してプリンター1の用紙搬送経路について更に説明する。装置本体2の下部に位置する給紙トレイ5に収容された用紙は、給送モーター52(
図5参照)によって駆動される給送ローラー10によって-Y方向に送り出される。符号T1は、給紙トレイ5から送り出される用紙の給送経路を示している。
またホッパー12にセットされた用紙は、ホッパー12の上昇によって給送ローラー11に当接し、給送モーター52(
図5参照)によって駆動される給送ローラー11の回転によって下流へ給送される。符号T2は、ホッパー12から送り出される用紙の給送経路を示している。
【0034】
給送ローラー10の上方には、給送モーター52(
図5参照)によって駆動される反転ローラー8が設けられており、給紙トレイ5或いはホッパー12から送り出された用紙は反転ローラー8から送り力を受け、反転ローラー8に対して+Y方向に位置する搬送ローラー対13に向けて送られる。
そして用紙は、搬送モーター53(
図5参照)によって駆動される搬送ローラー対13により、記録ヘッド15と対向する領域即ち記録領域に搬送される。
【0035】
記録部の一例である記録ヘッド15はキャリッジ14に設けられ、キャリッジ14は、キャリッジモーター51(
図5参照)の動力によってX軸方向に往復動する。記録ヘッド15は、キャリッジ14の移動動作に伴い、用紙に対してインクを吐出する。
そして記録の行われた用紙は、搬送モーター53(
図5参照)によって駆動される排出ローラー対16により、用紙受けトレイ18に向けて排出される。
尚、排出ローラー対16は、記録の行われた用紙を排出する用紙排出部の一例である。そして排出ローラー対16、用紙受けトレイ18、及び後述する発光部23(
図5参照)は、媒体排出装置の一例である用紙排出装置34を構成する。
【0036】
続いて
図5を参照しつつプリンター1における制御系統について説明する。
制御部50は、用紙の給送、搬送、排出及び記録を含め、その他プリンター1の各種制御を行う。
制御部50には、操作パネル6からの信号が入力され、また、操作パネル6の表示、特にユーザーインターフェース(以下「UI」と言う)を表示する為の信号が制御部50から操作パネル6に送信される。
【0037】
制御部50は、キャリッジモーター51、給送モーター52、搬送モーター53、及びトレイ駆動モーター60のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。
制御部50には、位置検出部57、回転検出部58、媒体検出部59、及びトレイ検出部61のこれら検出部からの検出信号も入力される。
位置検出部57はリニアエンコーダーであり、キャリッジ14のX軸方向における位置を検出する為の検出部である。回転検出部58はロータリーエンコーダーであり、搬送モーター53によって駆動されるローラーの回転量及び回転速度を検出する為の検出部である。
【0038】
媒体検出部59は搬送ローラー対13の上流近傍に設けられ、用紙の先端及び後端の通過を検出する。媒体検出部59は、接触式或いは非接触式のセンサーで構成することができる。制御部50は、媒体検出部59の検出情報に基づき、用紙の給送が正しく行われたか否か、具体的にはノンフィードが生じたか否かを把握することができる。
【0039】
トレイ検出部61は、本実施形態では用紙受けトレイ18が
図2に示す第3状態に切り換わったことを検出する為の検出手段であり、例えば接触式のセンサーで構成することができる。尚、制御部50はトレイ駆動モーター60の駆動方向と駆動電流値の増加を検知することで、用紙受けトレイ18が第1状態に切り換わったことを検出でき、また、第2状態に切り換わったことを検出できる。
但し、第1状態を検出する為のセンサーや第2状態を検出する為のセンサーを別途設けても良いことは勿論である。
尚、トレイ駆動モーター60には不図示のロータリーエンコーダーが併設されており、制御部50はこのロータリーエンコーダーから出力される信号に基づき、トレイ駆動モーター60の回転方向と回転量とを把握することができる。
【0040】
制御部50は、CPU54、フラッシュROM55、及びRAM56を備えている。CPU54はフラッシュROM55に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、プリンター1全体の動作を制御する。後述する発光部23を制御する為のプログラムも、フラッシュROM55に格納されている。フラッシュROM55は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。また操作パネル6を介してユーザーが入力した各種設定情報も、フラッシュROM55に記憶される。記憶手段の一例であるRAM56には、一時的に各種情報が格納される。
また制御部50はインターフェース62を備えており、このインターフェース62を介して外部コンピューター90との通信が可能となっている。
【0041】
続いて排出口17について更に説明する。排出口17は、Y軸方向において、記録ヘッド15によって記録の行われた用紙を排出する排出位置となる。
この排出口17の上縁は、排出口17は、
図2及び
図3にも示す様に用紙受けトレイ18や記録が行われた用紙の記録面と対向する対向部20で形成されている。
【0042】
対向部20は、
図6~
図8に示す様に光学部材21を備えて構成されている。光学部材21は、X軸方向つまり用紙幅方向において、用紙が通過する領域の中央に位置する様に、フレーム30に取り付けられている。換言すれば、排出される用紙の用紙幅方向の中心位置と、光学部材21のX軸方向の中心位置は、概ね一致する。
【0043】
光学部材21は、光透過性を有する材料で形成され、レンズとして機能する。光学部材21は、本実施形態では無色透明の樹脂材料で形成されるとともに、用紙の記録面と対向する対向面21aが、磨りガラス状に形成されている。
【0044】
光学部材21に対し+Z方向には、発光部23が設けられている。発光部23は、本実施形態では白色LEDで構成される。また本実施形態において発光部23は、基板24において、X軸方向つまり用紙幅方向に間隔を空けて2つ設けられている。2つの発光部23は、X軸方向つまり用紙幅方向において、光学部材21の中心位置に対し対称に位置する様に配置されている。
【0045】
発光部23は、光学部材21に対して
図7及び
図8の矢印Qで示す方向に発光する。換言すれば、光学部材21は、発光部23から発せられた光が入射する場所に位置している。
図7及び
図8において符号Pは、排出される用紙を示している。光学部材21は、入射した光を用紙Pの記録面に向けた方向に放射する。光学部材21から用紙Pの記録面に向けて放射される可視光は、
図7に示す様に用紙幅方向に拡がり、また
図8に示す様に用紙搬送方向に拡がる。
【0046】
図6、
図8に示す様に、発光部23から発されられた光の光路に対し用紙搬送方向の上流と下流に、反射シート27が設けられている。換言すれば、発光部23から発されられた光の光路を挟む様に、一対の反射シート27が設けられている。反射シート27は、Z軸方向において発光部23の位置から、光学部材21の上面位置にまで至っている。また反射シート27は、X軸方向において光学部材21のほぼ全域をカバーしている。反射シート27は、例えば白色のシート材で構成することができる。
【0047】
また、前面パネル19に近い側の反射シート27と前面パネル19との間には、遮光シート28が設けられている。遮光シート28のX軸方向及びZ軸方向の大きさは、本実施形態では反射シート27と同様である。遮光シート28は、例えば黒色のシート材で構成することができる。
【0048】
図7及び
図8は、用紙受けトレイ18が
図2に示す第3状態にあり、用紙受けトレイ18に一例としてA4サイズ用紙が長辺方向を用紙搬送方向に沿って排出される場合を示している。
図7及び
図8において符号Sは、光学部材21から用紙Pの記録面に向けて放射される光による照射範囲を示している。
【0049】
発光部23から発せられ、光学部材21に入射した光は、対向面21aが磨りカラス状に形成されていることで光学部材21の内部で用紙幅方向に拡散し、そして用紙の記録面に向けて放射される。その放射範囲は、本実施形態ではA4サイズ用紙の、短辺の全域をカバーする幅を有する。
【0050】
尚、
図7及び
図8において符号H1は、Z軸方向つまり用紙の記録面と直交する方向における、用紙受けトレイ18と光学部材21との間隔を示している。間隔H1は、例えば30mm以下とすることができる。これにより用紙Pの記録面と光学部材21との間隔は、30mm以下となる。
【0051】
以上説明した様に記録ヘッド15によって記録の行われた用紙を排出する排出位置において用紙の記録面と対向する対向部20は、発光部23から発せられた光が入射する場所に位置するともに用紙の記録面と対向配置され、入射した光を少なくとも用紙の記録面に向けた方向に放射する光学部材21を備えて成るので、記録結果をいち早く、つまり記録が完了する前に、且つ明瞭に視認することができ、ユーザーニーズに適切に対応することができる。
【0052】
また、光学部材21による用紙の記録面の照射範囲は、用紙幅方向において、第1のサイズの用紙の、記録面の全域をカバーする幅を有するので、より適切に記録結果を視認することができる。尚、本実施形態において第1のサイズの用紙をA4サイズ用紙としたが、これに限られないことは勿論である。
尚、第1のサイズの用紙が、搬送可能な最大サイズの用紙であれば、全てのサイズの用紙について、幅方向全域を照射することができる。
【0053】
また本実施形態において光学部材21は、用紙の記録面と対向する対向面21aが磨りガラス状に形成された、光透過性を有する部材であるので、発光部23から発せられた光をより広範囲に拡散させることができる。
【0054】
尚、発光部23から発せられた光をより広範囲に拡散させる手段として、対向面21aを磨りガラス状にすることに代えて、或いは磨りガラス状にすることに加え、光学部材21を、光拡散剤を含んだ光透過性を有する部材で形成しても良い。
光拡散剤としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化シリコン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、合成シリカ、ガラスビーズなどを用いることができる。
また、発光部23から発せられた光をより広範囲に拡散させる手段は、対向面21aを磨りガラス状にすることや拡散剤を用いることに限られないことも勿論である。
【0055】
また本実施形態においては、用紙の記録面と直交する方向における、記録面と光学部材21との間隔が30mm以下に設定されているので、用紙の排出位置において記録結果を明瞭に視認することができる。
尚、記録面に達する光量が十分であれば、記録面と光学部材21との間隔が30mmより大きくても構わない。
【0056】
また本実施形態では、発光部23から光学部材21に発せられた光の光路を挟む一対の反射シート27が設けられているので、光学部材21から用紙の記録面に対して照射される光の量を確保できる。尚、反射シート27を用いずとも十分な光量を確保できる場合には、反射シート27は省略しても良い。
【0057】
また本実施形態では、装置の前面を形成する壁部である前面パネル19に近い反射シート27と、前面パネル19との間に、遮光シート28が設けられているので、前面パネル19から装置前方への光の漏洩を抑制できる。尚、前面パネル19の遮光率が高く、前面パネル19を介した装置外側への光の漏洩が視認し難い場合には、遮光シート28は省略しても良い。
【0058】
続いて制御部50(
図5)による、発光部23の制御について説明する。
制御部50は、用紙に記録を行う際及び記録を行った用紙を排出する際、少なくとも用紙の先端が対向部20と対向する位置に到達してから用紙の後端が対向部20と対向する位置を抜けるまでの間、発光部23を発光させる。つまり用紙の先端から後端に亘って用紙の記録面を照射する。
これが発光部23の最も基本的な発光となる。尚、発光部23の発光には点灯と点滅があり、用紙の先端が対向部20と対向する位置に到達してから用紙の後端が対向部20と対向する位置を抜けるまでの間の発光は、本実施例では点灯とされる。
【0059】
上記の発光部23の発光を基本として、制御部50は、発光部23の発光と消灯を、以下に説明する様に制御する。
図10は制御部50による発光部23の制御の流れを示すものであり、制御部50は記録開始指示を受けると(ステップS101においてYes)、発光部23の発光状態を切り換えるタイミングであるか否かの判断を行う(ステップS102)。
【0060】
制御部50は、発光部23の発光状態を切り換えるタイミングであると判断すると(ステップS102においてYes)、発光部23の発光状態を切り換える(ステップS103)。尚、発光部23の発光状態の切り換えには、発光部23の消灯状態、点灯状態、及び点滅状態のこれら各状態の間での切り換えや、各状態を維持することが含まれる。
そして用紙後端が発光部23の位置を通過したかを判断する(ステップS104)。ステップS104の肯定条件は、より具体的には用紙後端が対向部20と対向する位置を抜けた場合、或いは用紙後端が対向部20と対向する位置を抜けてから所定の時間が経過した場合、或いは用紙への記録動作が完了してから所定の時間が経過した場合、或いは用紙の排出動作が完了してから所定の時間が経過した場合の、いずれかによって満たされる。そして用紙後端が発光部23の位置を通過した場合は(ステップS104においてYes)、以降消灯タイミングであるか否かの判断を行う(ステップS105)。用紙後端が発光部23の位置を通過するまでは(ステップS104においてNo)、ステップS102~S104を繰り返し実行する。
その後制御部50は、消灯タイミングであると判断すると(ステップS105においてYes)、発光部23を消灯させる(ステップS106)。
【0061】
以下、ステップS102、S103の詳細について説明する。本実施形態においてステップS102、S103での発光部23の発光状態の切り換えは、用紙受けトレイ18の動作に応じたものとなる。
本実施形態においてステップS102、S103による発光部23の発光状態の切り換えは、以下(1)及び(2)を採用し、(1)及び(2)のいずれかに該当する場合、発光部23の発光状態が切り換えられる。尚、以下(1)、(2)のいずれかのみを採用しても良いことは勿論である。
【0062】
(1)第1状態にある用紙受けトレイ18を装置本体2から突出させる際、ステップS102の肯定条件が満たされたとしてステップS103に移行する。即ち用紙受けトレイ18の動作に応じて発光部23を制御する。尚、用紙受けトレイ18が第1状態にある際、通常、発光部23は消灯状態にある。
より具体的には、トレイ駆動モーター60(
図5参照)の駆動開始と同時か、或いはその前後のタイミングをもってステップS102の肯定条件を満たしたものとしてステップS103に移行する。つまり用紙受けトレイ18を装置本体2から突出させる為のトレイ駆動モーター60の制御に対応して発光部23を発光させる。この場合、ステップS103での発光部23の発光は、点灯と点滅のいずれでも良い。
この様に制御部50は用紙受けトレイ18が第1状態にあって発光部23が消灯している際に記録開始の指示を受けると、用紙受けトレイ18を装置本体2から突出させる為のトレイ駆動モーター60の制御に対応して発光部23を発光させる。
このような発光部23の発光により、ユーザーは用紙受けトレイ18の状態が切り換わることを、発光部23の発光によって視覚的に把握することができる。
【0063】
(2)トレイ駆動モーター60(
図5参照)を所定量駆動しても用紙受けトレイ18が目標状態に切り換わらない場合、ステップS102の肯定条件が満たされたとして、ステップS103に移行する。即ち用紙受けトレイ18の動作に応じて発光部23を制御する。そしてステップS103においては、発光部23の発光状態を切り換える。その一例として、発光部23を点滅させるものとする。
用紙受けトレイ18の目標状態の一例として、
図2の第3状態が挙げられる。より具体的には、制御部50はトレイ駆動モーター60を第1駆動量駆動してもトレイ検出部61(
図5参照)の検出信号に変化が生じない場合、ステップS102の肯定条件を満たしたとして、ステップS103に移行して発光部23を点滅させる。前記第1駆動量は、用紙受けトレイ18を第1状態から第3状態に切り換える為のトレイ駆動モーター60の理論上の駆動量に、ある程度のマージンを加えた量とする。
これによりユーザーは用紙受けトレイ18の動作に異常が生じたことを発光部23の点滅によって視覚的に把握することができる。
尚、例えば用紙受けトレイ18の動作領域に障害物があり、当該障害物に用紙受けトレイ18が当接したことで異常が生じている場合であれば、ユーザーは障害物を取り除いた後、操作パネル6を介してエラー解除操作を行う。この様なエラー解除操作が行われた場合、制御部50は、トレイ駆動モーター60の制御を再開することができる。
尚、制御部50はエラー解除操作が行われた際に発光部23の発光状態を点滅から消灯に変更し、トレイ駆動モーター60の制御を再開した際に消灯から点灯にすることが好適である。これによりユーザーは、異常状態が解消されたことを視覚的に把握できる。
【0064】
尚、本実施形態では上述のように記録実行指示を受けた状態で第1状態にある用紙受けトレイ18を装置本体2から突出させる際に発光部23を発光させる。しかしながら例えば操作パネル6のUIに用紙受けトレイ18の状態切り換えを行う為の操作ボタンが設けられており、ユーザーの意思により用紙受けトレイ18の第1状態から第2状態或いは第3状態への切り換えが行われる場合、記録実行指示の有無に拘わらず、ステップS102以降の制御を行っても良い。
【0065】
次にステップS105の詳細について説明する。本実施形態においてステップS105、S106による発光部23の消灯は、基本的には用紙受けトレイ18の状態または動作に応じたものではないが、用紙受けトレイ18の状態または動作に応じたものとしても良いことは勿論である。
本実施形態においてステップS105、S106による発光部23の消灯は、以下(3)~(7)のいずれかを採用することができる。勿論、以下(3)~(7)のうちの複数を採用しても良いし、全部を採用しても良い。
【0066】
(3)用紙の後端が対向部20と対向する位置を抜けた際、或いは用紙の後端が対向部20と対向する位置を抜けてから所定の時間が経過した後、或いは用紙への記録動作が完了してから所定の時間が経過した後、或いは用紙の排出動作が完了してから所定の時間が経過した後、ステップS105の肯定条件が満たされたとして、ステップS106において発光部23を消灯させる。この様にして発光部23を消灯させることで、無駄な電力消費を抑制できる。尚、用紙への記録動作や排出動作を基準として発光部23を消灯させる場合、上述した様に少なくとも排出される用紙の先端から後端に亘って光が照射される様に制御されることが好ましい。
【0067】
(4)操作パネル6のUIに用紙受けトレイ18の状態切り換えを行う為の操作ボタンが設けられている場合であって、操作パネル6を介してユーザーから用紙受けトレイ18の収納が指示された場合、ステップS105の肯定条件が満たされたとして、ステップS106において発光部23を消灯させる。
【0068】
(5)発光部23が発光している状態で電力消費を抑制する省電力モードに移行する場合、ステップS105の肯定条件が満たされたとして、ステップS106において発光部23を消灯させる。
尚、省電力モードに移行する際、用紙受けトレイ18が第1状態以外の状態にあれば、第1状態への切り換えを行っても良い。その際、発光部23の消灯タイミングは、例えばトレイ駆動モーター60(
図5参照)の駆動開始と同時、或いはその前後のタイミング、或いはトレイ駆動モーター60の駆動停止、或いはその前後のタイミングとすることができる。この場合、用紙受けトレイ18の動作に応じて発光部23が制御されることとなる。以上により、無駄な電力消費を抑制できる。
【0069】
(6)発光部23が発光している状態で電源ボタン49(
図1~
図3参照)が押下されると、ステップS105の肯定条件が満たされたとして、ステップS106において発光部23を消灯する。
尚、電源OFF状態に移行する際、用紙受けトレイ18が第1状態以外の状態にあれば、第1状態への切り換えを行っても良い。その際、発光部23の消灯タイミングは、例えばトレイ駆動モーター60(
図5参照)の駆動開始と同時、或いはその前後のタイミング、或いはトレイ駆動モーター60の駆動停止、或いはその前後のタイミングとすることができる。この場合、用紙受けトレイ18の動作に応じて発光部23が制御されることとなる。以上により、ユーザーは装置が正しく電源オフの状態に移行することを視覚的に把握できる。
【0070】
(7)記録動作を開始した後、エラーが生じた際に、ステップS105の肯定条件が満たされたとして、ステップS106において発光部23を消灯させる。エラーには、紙詰まりやインク切れが含まれる。この様にして発光部23を消灯させることで、無駄な電力消費を抑制できる。尚、エラーが解消した際には、発光部23を再び発光させることが好適である。
【0071】
また、用紙受けトレイ18がモーター駆動ではなくユーザー操作によってのみ状態切り換えが可能な構成であって、用紙受けトレイ18が少なくとも第1状態にあるか否かを検出する手段を備えている構成においては、発光部23を以下の様に制御しても良い。
即ち、制御部50は用紙受けトレイ18が第1状態にあって発光部23が消灯している際に記録実行指示を受けると、発光部23を発光させず、消灯状態を維持する。即ち記録実行指示を受けたタイミングを発光部23の発光状態を制御するタイミングとして、用紙受けトレイ18の状態に応じて発光部23を制御する。この様な発光部23の制御によって、ユーザーは用紙受けトレイ18の状態を切り換えるべき状況にあると判断することができる。
尚この場合、制御部50は用紙受けトレイ18が第1状態を解消するまで、記録動作の開始を保留することが好適である。
また制御部50は用紙受けトレイ18が第1状態以外の状態にあって発光部23が消灯している際に記録実行指示を受けると、発光部23を発光させる。この場合も記録実行指示を受けたタイミングを発光部23の発光状態を制御するタイミングとして、用紙受けトレイ18の状態に応じて発光部23を制御することとなる。尚この場合の発光部23の発光は、点灯とする。この様に発光部23を制御することで、ユーザーは記録が可能な状態であることを把握することができる。
【0072】
また制御部50は、上記の様に用紙受けトレイ18がモーター駆動ではなくユーザー操作によってのみ状態切り換えが可能であって、用紙受けトレイ18が第1状態にあるか否かを検出する手段を備えている場合には、第1状態にある用紙受けトレイ18が第1状態を解除すると、発光部23を発光させても良い。即ち用紙受けトレイ18の動作に応じて発光部23を制御する。尚この場合の発光部23の発光は、点灯とする。この様な発光部23の制御により、ユーザーは用紙受けトレイ18の状態が切り換わり、記録が可能な状態になったことを把握することができる。
【0073】
また制御部50は、上記の様に用紙受けトレイ18がモーター駆動ではなくユーザー操作によってのみ状態切り換えが可能であって、用紙受けトレイ18が第1状態にあるか否かを検出する手段を備えている場合には、用紙受けトレイ18が第1状態以外の状態にあって発光部23が発光している状態から、ユーザー操作によって用紙受けトレイ18が第1状態に切り換えられた場合、発光部23を消灯しても良い。即ち用紙受けトレイ18の動作に応じて発光部23を制御する。この様に発光部23を制御することで、無駄な電力消費を抑制できる。
【0074】
以上の様に発光部23を制御する制御部50は、用紙受けトレイ18の状態または動作に基づき発光部23を制御するので、用紙の排出に係わるステータスを視認性良好に示すことができ、ユーザビリティを向上させることができる。
例えば、用紙受けトレイ18が第1状態から第2状態或いは第3状態に切り換わる際、つまり装置本体2から突出する際、その動作をユーザーに知らせることができる。特に暗い環境下では用紙受けトレイ18の突出動作が見えにくいが、発光部23の発光により、暗い環境下であっても用紙受けトレイ18の動作を把握することができる。その結果、例えば用紙受けトレイ18の動作領域に障害物が存在する場合、用紙受けトレイ18の前記障害物への衝突を抑制できる。
尚、用紙受けトレイ18の状態に応じた発光部23の制御とは、発光部23の制御に際して用紙受けトレイ18の状態を参照するという意味である。また用紙受けトレイ18の動作に応じた発光部23の制御とは、発光部23の制御を、用紙受けトレイ18の動作に関連付けるという意味である。用紙受けトレイ18の動作には、トレイ駆動モーター60の動力を受けた動作と、ユーザーにより動かされる場合の動作とが含まれる。
また発光部23の制御には、上述した様に発光部23の消灯状態、点灯状態、及び点滅状態のこれら各状態の間での切り換えや、各状態を維持することが含まれる。
【0075】
また、発光部23の発光状態の切り換えは、以下(8)~(10)のいずれか、或いは複数、或いは全部を採用することもできる。
(8)前面カバー4の開閉を検出する手段を設け、前面カバー4が開いたことを検出した際に、発光部23を発光させる。前面カバー4が開いた場合、用紙受けトレイ18が第1状態から第3状態或いは第2状態に切り換えられ、用紙が排出される可能性がある為である。尚この制御は、例えば上述した(1)の制御に代替することができる。
(9)操作パネル6の姿勢を検出する手段を設け、操作パネル6が
図1~
図3に示す全閉状態から上向きにチルトされたことを検出した際に、発光部23を発光させる。操作パネル6が上向きにチルトされた場合、用紙受けトレイ18が第1状態から第3状態或いは第2状態に切り換えられ、用紙が排出される可能性がある為である。尚この制御は、例えば上述した(1)の制御に代替することができる。
(10)制御部50が給紙動作や記録動作を低速で実行することで騒音を抑制する静音モードを実行可能な場合、この静音モードが選択された際に、発光部23を発光させる。静音モードでは、用紙の搬送速度が低速とされるが、この様な場合に発光部23を発光させることで、記録結果を時間をかけてより確実に確認することができる。尚この制御は、例えば上述した(1)の制御に代替することができる。
【0076】
ステップS105の消灯タイミングは、以下(11)~(14)のいずれかに設定することもできる。勿論、以下(11)~(14)のうちの複数を採用しても良いし、全てを採用しても良い。
(11)用紙受けトレイ18上の用紙有無を検出する手段を設けた上で、用紙受けトレイ18上の用紙が取り除かれた際に、発光部23を消灯する。これにより、無駄な消費電力を抑制できる。尚この制御は、例えば上述した(3)の制御に代替することができる。
(12)前面カバー4の開閉を検出する手段を設け、前面カバー4が閉じたことを検出した際に、発光部23を消灯する。前面カバー4が閉じた場合、用紙受けトレイ18への用紙の排出は行われないからである。尚この制御は、例えば上述した(3)の制御に代替することができる。
【0077】
(13)操作パネル6の姿勢を検出する手段を設け、操作パネル6が上向きのチルト姿勢(不図示)から、
図1~
図3に示す様に全閉状態にされたことを検出した際に、発光部23を消灯する。操作パネル6が全閉状態にされた場合、ユーザーによる装置の使用が終了した可能性がある為である。尚この制御は、例えば上述した(3)の制御に代替することができる。
(14)給紙トレイ5の装着状態を検出する手段を設け、給紙トレイ5が装置本体2から取り外された際、発光部23を消灯する。給紙トレイ5が装置本体2から取り外された状態では、用紙への記録動作が行われていない為、その様な状態で発光部23を消灯することで、無駄な電力消費を抑制できる。尚、給紙トレイ5が再び装着されたら、発光部23をもとの発光状態に戻しても良い。
【0078】
また、発光部23は以下の様に制御しても良い。例えば、A4サイズ用紙が長辺をY軸方向に沿って排出される場合、発光部23を点灯とし、A3サイズ用紙が長辺をY軸方向に沿って排出される場合、発光部23を点滅とする。これにより、ユーザーは排出される用紙がA4サイズなのかA3サイズなのかを視覚的に判別する事ができる。
【0079】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では媒体排出装置の一例である用紙排出装置34を、記録装置の一例であるプリンター1に適用したが、これに限られず、例えば原稿画像を読み取る読み取り部を備えた画像読取装置に適用することも可能である。画像読取装置の一例として、原稿を搬送しながら原稿画像を読み取るドキュメントスキャナーが挙げられる。
【符号の説明】
【0080】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…スキャナー部、4…前面カバー、5…給紙トレイ、6…操作パネル、7…ペーパーサポート、8…反転ローラー、9…上部カバー、10…給送ローラー、11…給送ローラー、12…ホッパー、13…搬送ローラー対、14…キャリッジ、15…記録ヘッド、16…排出ローラー対、17…排出口、18…用紙受けトレイ、19…前面パネル、20…対向部、21…光学部材、21a…対向面、23…発光部、24…基板、27…反射シート、28…遮光シート、30…フレーム、34…用紙排出装置、49…電源ボタン、50…制御部、51…キャリッジモーター、52…給送モーター、53…搬送モーター、54…CPU、55…フラッシュROM、56…RAM、57…位置検出部、58…回転検出部、59…媒体検出部、60…トレイ駆動モーター、61…トレイ検出部、62…インターフェース、P…用紙、R…光ディスク