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特許7563028仕分け装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】仕分け装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/00 20060101AFI20241001BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241001BHJP
   B65H 33/06 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
G03G21/16 161
B65H33/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020131381
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028160
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 知靖
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-145530(JP,A)
【文献】特開平05-186123(JP,A)
【文献】特開2013-071791(JP,A)
【文献】特開2001-058754(JP,A)
【文献】米国特許第06634640(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B65H 33/06
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に支持され、シート排出方向と直交するシート幅方向に往復移動可能なトレイ部と、
前記トレイ部を前記シート幅方向に往復移動させるトレイ駆動部と、
を備え、
前記トレイ部を前記ベース部に対し前記シート幅方向に移動させることにより2以上の仕分け位置に配置してシート束の仕分けを行う仕分け装置であって、
前記トレイ駆動部は、
モーターと、
前記ベース部に支持される支軸と、
前記モーターの駆動力が伝達されるギア部と、前記支軸が挿通される軸孔が形成された第1ボス部と、を有し、前記モーターの回転駆動力によって回転する入力ギアと、
前記入力ギアの前記第1ボス部の上端にラチェット機構を介して連結される第2ボス部を有し、前記トレイ部に駆動力を出力する出力部材と、
を備え、前記入力ギアは前記支軸に沿って上下方向に往復移動可能であり、
前記ラチェット機構は、
前記入力ギアの前記第1ボス部の上端縁に設けられた第1ラチェット歯と、
前記出力部材の前記第2ボス部の下端縁に設けられ、前記第1ラチェット歯と係合する第2ラチェット歯と、
前記入力ギアを前記出力部材に接近する方向に付勢する弾性部材と、
を有し、
前記ラチェット機構は、前記トレイ部を介して前記出力部材に所定以上の負荷が加えられた場合、前記弾性部材の付勢力に抗して前記入力ギアが押し下げられ、前記第1ラチェット歯と前記第2ラチェット歯の係合が解除されることを特徴とする仕分け装置。
【請求項2】
前記出力部材から前記第1ラチェット歯と前記第2ラチェット歯の係合面に作用する抗力のうち、垂直下向きに作用する分力が前記弾性部材の付勢力よりも大きいとき前記ラチェット機構による駆動力の伝達が遮断されることを特徴とする請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記出力部材は、前記第2ボス部を中心として回転する円形状のフランジ部と、前記フランジ部の上面の前記第2ボス部から径方向にずれた位置に形成される凸部と、を有し、
前記トレイ部の裏面には、前記シート排出方向に沿って延在する楕円形状のガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝に前記凸部が移動可能に係合するとともに、前記トレイ部の前記シート排出方向と平行な方向への移動が規制されることにより、前記トレイ部が前記シート幅方向に往復移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仕分け装置。
【請求項4】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された前記シートを胴内排出空間に排出する排出部と、
前記排出部から排出された前記シートを仕分けする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の仕分け装置と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを積載するトレイを移動させてシートの仕分けを行う仕分け装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター等の画像形成装置によって画像が形成された用紙を複数枚スタックして、スタックされた用紙束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理、およびパンチ穴形成装置でパンチ穴(穿孔)を空けるパンチ穴形成処理、用紙束の仕分け(ソート)処理等を実行可能な用紙後処理装置が利用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、排出トレイ上へのシート束の積載位置を変更する積載位置変更手段と、一のシート束におけるシートの枚数に応じて、同一の積載位置に連続して排出すべきシート束の部数を決定する決定手段と、決定された部数のシート束が排出トレイ上に積載されるごとに、積載位置変更手段を駆動して、シート束の積載位置を変更させる制御手段とを備えるシート処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、装置本体と、装置本体から排出される用紙を積載するトレイと、トレイを少なくとも2つの仕分け位置に揺動させる揺動手段とを備え、トレイを揺動させて排出される用紙を仕分ける画像形成装置において、揺動手段がモーターまたはソレノイドであるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-31317号公報
【文献】特開2005-132546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように用紙を積載するトレイを移動させて用紙の仕分けを行う仕分け装置では、トレイに想定外の負荷が加えられた場合に駆動部が破損するおそれがあった。また、トレイとユーザーの距離が近いため、ユーザーが手指を挟むなどして怪我をするおそれもあった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、トレイに負荷が加えられた場合の駆動部の破損を抑制するとともに、ユーザーの安全性も確保できる仕分け装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、ベース部と、トレイ部と、トレイ駆動部と、を備え、トレイ部をベース部に対しシート幅方向に移動させることにより2以上の仕分け位置に配置してシート束の仕分けを行う仕分け装置である。トレイ部は、ベース部に支持され、シート排出方向と直交するシート幅方向に往復移動可能である。トレイ駆動部は、トレイ部をシート幅方向に往復移動させる。トレイ駆動部は、モーターと、支軸と、入力ギアと、出力部材と、を有する。支軸は、ベース部に支持される。入力ギアは、モーターの駆動力が伝達されるギア部と、支軸が挿通される軸孔が形成された第1ボス部と、を有し、モーターの回転駆動力によって回転する。出力部材は、入力ギアの第1ボス部の上端にラチェット機構を介して連結される第2ボス部を有し、トレイ部に駆動力を出力する。入力ギアは支軸に沿って上下方向に往復移動可能である。ラチェット機構は、第1ラチェット歯と、第2ラチェット歯と、弾性部材と、を有する。第1ラチェット歯は、入力ギアの第1ボス部の上端縁に設けられる。第2ラチェット歯は、出力部材の第2ボス部の下端縁に設けられ、第1ラチェット歯と係合する。弾性部材は、入力ギアを出力部材に接近する方向に付勢する。ラチェット機構は、トレイ部を介して出力部材に所定以上の負荷が加えられた場合、弾性部材の付勢力に抗して入力ギアが押し下げられ、第1ラチェット歯と第2ラチェット歯の係合が解除される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、ラチェット機構を用いて入力ギアから出力部材への駆動力の伝達を行うことにより、トレイ部を介して出力部材に一定以上の負荷が加えられたときラチェット機構を構成する第1ラチェット歯と第2ラチェット歯の係合が外れて駆動力の伝達が遮断される。これにより、トレイ駆動部の破損を未然に防止することができる。また、ユーザーが怪我をするおそれもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の仕分け装置20が装着された画像形成装置100の内部構成を示す概略図
図2】画像形成装置100の胴内排出空間16に仕分け装置20を装着する様子を上方から見た斜視図
図3】胴内排出空間16に仕分け装置20を装着する様子を画像形成装置100の正面側から見た側面図
図4】仕分け装置20のベース部21を上方から見た斜視図
図5】仕分け装置20のトレイ部22を裏面側から見た平面図
図6】トレイ駆動部30を構成する入力ギアおよび出力部材37の縦断面図であって、トレイ部22が正常に動作している状態を示す図
図7図6における入力ギア35および出力部材37の連結部分の拡大図
図8】第2ラチェット歯43bから第1ラチェット歯43aに加わる抗力を示す図
図9】トレイ駆動部30を構成する入力ギア35および出力部材37の縦断面図であって、トレイ部22に一定以上の負荷が加えられた状態を示す図
図10図9における入力ギア35および出力部材37の連結部分の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置100および仕分け装置20の内部構成を示す概略図である。なお、本実施形態においては画像形成装置100の一例としてデジタル複合機を例示しているが、本発明の仕分け装置20は、デジタル複合機以外の、例えばレーザープリンターやインクジェットプリンター、ファクシミリ装置等にも同様に連結可能である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置(例えばモノクロ複合機)100本体内には、帯電、露光、現像および転写の各工程によりモノクロ画像を形成する画像形成部Pが配設されている。
【0013】
画像形成部Pには、感光体ドラム1の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿って、帯電部2、露光ユニット3、現像装置4、転写ローラー7、クリーニング装置8、および除電装置(図示せず)が配設されている。画像形成部Pでは、感光体ドラム1を図1において反時計回り方向に回転させながら、感光体ドラム1に対する画像形成プロセスが実行される。
【0014】
感光体ドラム1は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電部2により、表面の感光層を一様に帯電させるようになっている。そして、後述する露光ユニット3からのレーザービームを受けた表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定されるものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン(a-Si)感光層や、帯電時のオゾンの発生が少なく高解像度の画像が得られる有機感光層(OPC)等が好ましい。
【0015】
帯電部2は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させるものである。例えば帯電部2として、細いワイヤー等を電極として高電圧を印加することにより放電するコロナ放電装置が用いられる。なお、コロナ放電装置に代えて、帯電ローラーに代表される帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させた状態で電圧を印加する接触式の帯電装置を用いても良い。露光ユニット3は、画像読取部18において読み取られた原稿画像データに基づいて光ビーム(例えばレーザービーム)を感光体ドラム1に照射し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
【0016】
現像装置4は、感光体ドラム1の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成させるものである。この現像装置4へのトナーの供給はトナーコンテナ5によって行われる。なお、ここでは磁性を有するトナー成分のみから構成される一成分現像剤(以下、単にトナーともいう)が現像装置4に収容されている。
【0017】
転写ローラー7は、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像を乱さずに用紙搬送路11を搬送されてくる用紙に転写する。クリーニング装置8は、感光体ドラム1の長手方向に線接触するクリーニングローラーやクリーニングブレード等を備えており、トナー像が用紙に転写された後に、感光体ドラム1の表面の残留トナーを除去する。
【0018】
画像読取部18は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、および結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0019】
コピー動作を行う場合、画像読取部18において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、画像形成部Pにおいて、帯電部2により図中の反時計回り方向に回転する感光体ドラム1の表面が均一に帯電される。次に、画像読取部18で読み取られた原稿画像データに基づいて露光ユニット3が感光体ドラム1上にレーザービーム(光線)を照射することで、画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム1の表面に形成する。その後、現像装置4が静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0020】
上記のようにトナー像が形成された画像形成部Pに向けて、用紙収容部10から用紙が用紙搬送路11およびレジストローラー対13を経由して所定のタイミングで搬送される。そして、画像形成部Pにおいて感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が転写ローラー7により用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム1から分離され、定着部9に搬送されて加熱および加圧されることで用紙にトナー像が定着される。
【0021】
定着部9を通過した用紙は、用紙搬送路11を通過して排出ローラー対14aまたは14bに搬送される。用紙の片面のみに画像を形成する場合は、排出ローラー対14aによって胴内排出空間16に装着された仕分け装置20に排出される。
【0022】
一方、用紙の両面に画像を形成する場合は、定着部9を通過した用紙の先端を一旦排出ローラー対14bから胴内排出空間16内に突出させる。次に、排出ローラー対14bを逆回転させることにより用紙をスイッチバックさせて反転搬送路19に案内し、画像面を反転させた状態でレジストローラー対13に再搬送する。そして、感光体ドラム1の表面に形成された次の画像が転写ローラー7により用紙の画像が形成されていない面に転写される。その後、用紙は定着部9に搬送されてトナー像が定着され、排出ローラー対14aにより仕分け装置20に排出される。
【0023】
仕分け装置20は、胴内排出空間16の底部16aに着脱可能に装着されている。仕分け装置20は、排出ローラー対14aから排出された用紙を所定枚数ずつ排出方向と直交する用紙幅方向(図1の紙面と垂直な方向)に交互に移動させる仕分け処理(ソート処理)を実行する。仕分け装置20が胴内排出空間16から取り外されているときは、底部16aが用紙排出トレイとして用いられる。
【0024】
底部16aには傾斜面16bと凹部16cが形成されている。傾斜面16bは、仕分け装置20の挿入方向(矢印A方向)に対し底部16aの下流側に形成され、用紙排出方向の上流側から下流側に向かって(図1の右から左方向に向かって)上向きに傾斜する。排出ローラー対14aによって底部16aに排出された用紙は、傾斜面16bに沿って排出方向上流側に滑り落ちることにより、後端が整合された状態で積載される。凹部16cは、挿入方向に対し傾斜面16bの下流側に形成され、仕分け装置20の下端部21d(図3参照)が嵌合する。
【0025】
図2は、胴内排出空間16に仕分け装置20を装着する様子を上方から見た斜視図である。図3は、胴内排出空間16に仕分け装置20を装着する様子を画像形成装置100の正面側から見た側面図である。図4は、仕分け装置20のベース部21を上方から見た斜視図である。図5は、仕分け装置20のトレイ部22を裏面側から見た平面図である。仕分け装置20は、ベース部21と、トレイ部22とを備える。
【0026】
ベース部21は、胴内排出空間16の底部16aに固定される。ベース部21は、側面視において胴内排出空間の底部16aと略同一の屈曲形状を有しており、第1傾斜部21aと第1後壁部21bとを有する。第1傾斜部21aは、ベース部21が底部16aに固定された状態で傾斜面16bに対向し、傾斜面16bと同様に用紙排出方向の下流側に向かって上向きに傾斜する。第1後壁部21bは、第1傾斜部21aの下端部から立ち上がり、トレイ部22の第2後壁部22bに対向する。第1後壁部21bには排出ローラー対14aの下方に設けられた被係合部(図示せず)に係合する係合部21cが形成されている。
【0027】
用紙幅方向に対してベース部21の奥側(画像形成装置100の背面側、矢印B方向)の端部には接続部23が立設されている。接続部23は、仕分け装置20に電力や制御信号を送信するケーブルが接続されるコネクター23aを備える。
【0028】
図4に示すように、ベース部21の略中央部には、トレイ部22を用紙幅方向に往復移動させるためのトレイ駆動部30が配置されている。トレイ駆動部30の詳細な構成については後述する。
【0029】
ベース部22の上面の複数個所(ここでは8箇所)には摺動コロ40が配置されている。各摺動コロ40は、回転軸が用紙排出方向と平行に配置され、用紙幅方向(矢印BB′方向)に回転する。ベース部21とトレイ部22とが摺動コロ40を介して当接することにより、ベース部21に対しトレイ部22が用紙幅方向に円滑に往復移動する。
【0030】
トレイ部22は、ベース部21の上面に用紙幅方向(矢印BB′方向)に往復移動可能に支持され、排出ローラー対14aから排出される用紙を積載する。トレイ部22は、第2傾斜部22aと第2後壁部22bとを有する。第2傾斜部22aはベース部21の第1傾斜部21aに対向し、第1傾斜部21aと同様に排出方向下流側に向かって上向きに傾斜する。第2後壁部22bは第2傾斜部22aの下端部から立ち上がり、第2傾斜部22aに沿って滑り落ちた用紙の後端を整合する。
【0031】
図5に示すように、トレイ部22の裏面の略中央部には楕円形状のガイド溝50が形成されている。ガイド溝50は、用紙排出方向(図5の右から左方向)に沿って延在しており、ガイド溝50にはトレイ駆動部30の出力部材31の凸部37c(図6参照)が係合する。トレイ部22は、用紙排出方向と平行な方向(図5の左右方向)への移動が規制されている。
【0032】
仕分け装置20による仕分け処理を行う場合、トレイ部22をベース部21に対して用紙幅方向の一方側(例えば矢印B方向)に配置させた状態で排出ローラー対14aからトレイ部22上に用紙を排出する。トレイ部22上に排出された用紙は、トレイ部22の傾斜に沿って排出方向上流側に滑り落ち、第2後壁部22bによって後端が整合される。予め設定された所定枚数の用紙が排出されると、トレイ部22を用紙幅方向の他方側(矢印B′方向)に移動させる。
【0033】
そして、所定枚数の用紙が排出されると、トレイ部22を再び用紙幅方向の一方側(矢印B方向)に移動させる。上記の動作を繰り返すことで、トレイ部22上に所定枚数毎に用紙幅方向に仕分けされた用紙束が積載される。
【0034】
図6は、トレイ駆動部30を構成する入力ギア35および出力部材37の縦断面図である。トレイ駆動部30は、モーター31と、アイドルギア33と、入力ギア35と、出力部材37と、摺動ピン41とを備える。
【0035】
モーター31の回転軸31aにはピニオンギア(ウォームギア)32が固定されている。アイドルギア33は小径部と大径部とを有する二段ギアであり、ピニオンギア32はアイドルギア33の小径部に噛み合っている。
【0036】
入力ギア35は、第1ボス部35aとギア部35bと外側ボス部35cとを有する。第1ボス部35aは、ベース部21の底面に支持される摺動ピン41が挿通される軸孔36が形成されている。第1ボス部35aの上端縁(軸孔36の開口縁)には第1ラチェット歯43a(図7参照)が形成されている。ギア部35bは第1ボス部35aを中心とする円周上に形成され、アイドルギア33の大径部に噛み合っている。外側ボス部35cはギア部35bの上面から第1ボス部35aを囲むように円筒状に立ち上がる。
【0037】
出力部材37は、第2ボス部37aとフランジ部37bとを有する。第2ボス部37aは、入力ギア35の第1ボス部35aに連結される。フランジ部37bは、第2ボス部37aを中心とする円板状に形成され、第2ボス部37aから径方向にずれた位置には円柱状の凸部37cが形成されている。第2ボス部37aの下端縁には第2ラチェット歯43b(図7参照)が形成されており、第2ボス部37aはラチェット機構43により第1ボス部35aと連結される。
【0038】
トレイ駆動部30は、モーター31、アイドルギア33、入力ギア35、出力部材37、および摺動ピン41が一体となったユニットとして構成されており、このユニットをベース部21に取り付けることでトレイ駆動部30が組み立てられる。なお、これらの各部材を別個にベース部21に取り付けて組み立てる構成としてもよい。
【0039】
凸部37cをトレイ部22のガイド溝50(図5参照)に嵌合させた状態で出力部材37を回転させると、凸部37cが円軌道上を周回する。凸部37cの周回に伴い、ガイド溝50を介して凸部37cに嵌合するトレイ部22も円運動しようとするが、トレイ部22は用紙排出方向と平行な方向への移動が規制されている。その結果、トレイ部22は凸部37cの周回に追従して移動可能な用紙幅方向(矢印BB′方向)に往復移動する。
【0040】
フランジ部37bの外周縁の一部には遮光部37dが形成されており、遮光部37dを挟むように位置検知センサー45が配置されている。位置検知センサー45は、発光部と受光部とを有する検知部を備えたPI(フォトインタラプター)センサーであり、遮光部37dが検知部を透光または遮光することでフランジ部37bの回転角度を検知し、凸部37cの位置を検知する。これにより、トレイ部22が所定の仕分け位置に配置されたことを検知することができる。
【0041】
図7は、図6における入力ギア35および出力部材37の連結部分の拡大図である。図8は、第2ラチェット歯43bから第1ラチェット歯43aに加わる抗力を示す図である。ラチェット機構43は、第1ボス部35aの上端に形成される台形状の第1ラチェット歯43aと、第2ボス部37aの下端に形成される逆台形状の第2ラチェット歯43bと、圧縮コイルバネ39と、を有する。
【0042】
圧縮コイルバネ39は、下端部がバネ支持板44に支持されている。バネ支持板44はU字状の切り欠きが形成されており、摺動ピン41が貫通する。即ち、圧縮コイルバネ39はバネ支持板44と入力ギア35との間に配置され、摺動ピン41および第1ボス部35aに外挿されている。圧縮コイルバネ39は、入力ギア35の第1ボス部35aが出力部材37の第2ボス部37aに噛み合う方向(図6の上方向)に入力ギア35を付勢する。
【0043】
図8は、第2ラチェット歯43bから第1ラチェット歯43aに加わる抗力を示す図である。入力ギア35が図7の矢印C方向に回転するとき、第1ボス部35aも矢印C方向に回転し、第1ラチェット歯43aから第2ラチェット歯43bに回転駆動力が伝達される。その結果、回転駆動力の反作用により第2ラチェット歯43bから第1ラチェット歯43aに抗力Fが作用する。
【0044】
抗力Fは、第1ラチェット歯43aと第2ラチェット歯43bの噛み合い面(係合面)に対して垂直に作用する。抗力Fは、第1ボス部35aの回転方向と逆向きに作用する水平方向の分力F1と、第1ボス部35aを押圧する方向に作用する垂直方向の分力F2とに分解される。
【0045】
図6および図7は、トレイ部22が正常に動作している状態を示しており、トレイ部22に過大な負荷が加えられていない。この状態では分力F2は圧縮コイルバネ39の付勢力以下であるため、第1ラチェット歯43aと第2ラチェット歯43bとが完全に噛み合っており、第1ボス部35から第2ボス部37に回転駆動力が伝達される。
【0046】
図9は、トレイ駆動部30を構成する入力ギア35および出力部材37の縦断面図であって、トレイ部22に一定以上の負荷が加えられた状態を示す図である。図10は、図9における入力ギア35および出力部材37の連結部分の拡大図である。トレイ部22に一定以上の負荷が加えられた場合、第2ラチェット歯43bから第1ラチェット歯43aに通常よりも大きい抗力Fが作用する。
【0047】
このとき、抗力Fの垂直方向の分力F2の大きさが圧縮コイルバネ39の付勢力を超えると、圧縮コイルバネ39が押し縮められて第1ボス部35aが下降する。その結果、図9および図10に示すように第2ラチェット歯43bが第1ラチェット歯43aに乗り上げ、第1ラチェット歯43aと第2ラチェット歯43bの噛み合いが外れる。これにより、入力ギア35から出力部材37への回転駆動力の伝達が遮断されてトレイ部22の移動が停止する。
【0048】
本実施形態の構成によれば、ラチェット機構43を用いて入力ギア35から出力部材37への駆動力の伝達を行うことにより、トレイ部22に一定以上の負荷が加えられたときラチェット機構43が外れて駆動力の伝達が遮断される。これにより、トレイ駆動部30の破損を未然に防止することができる。また、ユーザーが怪我をするおそれもなくなる。
【0049】
また、ラチェット機構43の第2ラチェット歯43bから第1ラチェット歯43aに作用する抗力Fの主直方向の分力F2が圧縮コイルバネ39の付勢力を超えたとき第1ラチェット歯43aと第2ラチェット歯43bの噛み合いが外れるため、圧縮コイルバネ39のバネ定数を調整することで、回転駆動力の伝達が遮断される負荷の大きさを任意に設定することができる。
【0050】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、トレイ駆動部30によりトレイ部22を用紙幅方向の一方側(矢印B方向)と他方側(矢印B′方向)の2箇所の仕分け位置に移動させて仕分けを行う場合について説明したが、トレイ部22を3箇所以上の仕分け位置に移動させて仕分けを行うことも可能である。
【0051】
画像形成装置100の胴内排出空間16に配置される仕分け装置20に本発明を適用した例について説明したが、画像形成装置100に連結される用紙後処理装置に搭載される仕分け装置にも全く同様に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、シートを積載するトレイを移動させてシートの仕分けを行う仕分け装置に利用可能である。本発明の利用により、トレイに負荷が加えられた場合の駆動部の破損を抑制するとともに、ユーザーの安全性も確保できる仕分け装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
P 画像形成部
14a、14b 排出ローラー対(排出部)
16 胴内排出空間
20 仕分け装置
21 ベース部
22 トレイ部
30 トレイ駆動部
31 モーター
32 ピニオンギア
33 アイドルギア
35 入力ギア
35a 第1ボス部
36 軸孔
37 出力部材
37a 第2ボス部
37b フランジ部
37c 凸部
37d 遮光部
39 圧縮コイルバネ(弾性部材)
41 摺動ピン(支軸)
43 ラチェット機構
43a 第1ラチェット歯
43b 第2ラチェット歯
44 バネ支持板
45 位置検知センサー
50 ガイド溝
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10