(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】半導体装置の電源配線構造および半導体装置の電源配線レイアウト方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20241001BHJP
G06F 30/30 20200101ALI20241001BHJP
G06F 30/32 20200101ALI20241001BHJP
G06F 30/33 20200101ALI20241001BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241001BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20241001BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20241001BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L21/82 L
G06F30/30
G06F30/32
G06F30/33
H01L21/88 Z
H01L23/12 501P
(21)【出願番号】P 2020136899
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 充
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0039154(US,A1)
【文献】特開2006-339252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0244891(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/82
H01L 23/12
G06F 30/30
G06F 30/32
G06F 30/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源配線層に設けられたメッシュ状の第1の電源配線と、
前記第1の電源配線上に位置する再配線層において、前記第1の電源配線の一部の配線領域に対向して設けられ前記第1の電源配線に接続される第2の電源配線と、
前記第1の電源配線層の下側に位置する第2の電源配線層に設けられた第3の電源配線と、を有し、
前記第1の電源配線は、ビアを介して前記第3の電源配線に接続され、
前記第1の電源配線層と前記第2の電源配線層との間において、前記配線領域の周囲に位置する第1の領域に設けられる前記ビアの密度は、前記第1の領域以外の領域に設けられる前記ビアの密度より高い、
半導体装置の電源配線構造。
【請求項2】
前記第1の電源配線層と前記第2の電源配線層との間において、前記第1の領域の周囲に位置する第2の領域に設けられる前記ビアの密度は、前記第2の領域以外の領域に設けられる前記ビアの密度より低い、
請求項1に記載の半導体装置の電源配線構造。
【請求項3】
前記第1の領域および前記第2の領域は、前記配線領域の周囲に環状に設けられる、
請求項2に記載の半導体装置の電源配線構造。
【請求項4】
第1の電源配線層に設けられたメッシュ状の第1の電源配線を有する半導体装置の電源配線レイアウト方法であって、
前記第1の電源配線を流れる電源電流の変動により電圧降下が発生する配線領域をシミュレーションにより検出し、
前記第1の電源配線上に位置する再配線層において、前記電圧降下が発生する前記配線領域に対向して、前記第1の電源配線に接続される第2の電源配線を配置し、
前記第1の電源配線と、前記第1の電源配線層の下側に位置する第2の電源配線層に設けられる第3の電源配線とを相互に接続するビアを配置し、
前記第1の電源配線層と前記第2の電源配線層との間において、前記配線領域の周囲に位置する第1の領域に設けられる前記ビアの密度を、前記第1の領域以外の領域に設けられる前記ビアの密度より高く設定する、
半導体装置の電源配線レイアウト方法。
【請求項5】
前記電圧降下の発生を検出するシミュレーションおよび前記第2の電源配線の配置は、メッシュ状の前記第1の電源配線を有し、かつ、前記第2の電源配線を有さない半導体装置の動作試験で動作不良が発生した場合に実施される、
請求項4に記載の半導体装置の電源配線レイアウト方法。
【請求項6】
前記第1の電源配線層と前記第2の電源配線層との間において、前記第1の領域の周囲に位置する第2の領域に設けられる前記ビアの密度を、前記第2の領域以外に設けられる前記ビアの密度より低く設定する、
請求項4または請求項5に記載の半導体装置の電源配線レイアウト方法。
【請求項7】
前記第1の領域および前記第2の領域を、前記配線領域の周囲に環状に設定する、
請求項6に記載の半導体装置の電源配線レイアウト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の電源配線構造および半導体装置の電源配線レイアウト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、レイアウト設計段階でのシミュレーションに基づいて電圧降下の度合が所定の閾値を超える領域を抽出し、抽出した領域の電源配線および電源配線の接続点を追加することで、電圧降下を軽減させるレイアウト手法が提案されている。また、半導体装置において、メッシュ状にレイアウトされた電源配線の接続点である複数のノードの電圧値に基づいて、最大のIRドロップ違反のノードに流れ込む電流経路の抵抗値を変更することで、IRドロップ違反を解消するレイアウト手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-139181号公報
【文献】特開2011-204086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、半導体装置において電圧降下による動作不良等の問題が発生しないように、レイアウト設計段階でのシミュレーションに基づいて電源配線層に電源配線を追加し、電源抵抗を下げることが行われている。しかしながら、半導体装置の動作周波数は、年々高くなる傾向にあり、電圧降下による問題が発生しやすくなってきている。
【0005】
このため、レイアウト設計時に電圧降下の検証を実施しているにもかかわらず、半導体装置の試作品の動作試験において、電圧降下による不具合が明らかになる場合がある。半導体装置の試作品で電圧降下による不具合が発生した場合、例えば、デカップリング容量を追加するなど、半導体基板のレイアウト層からレイアウト設計をやり直す必要がある。半導体基板からレイアウト設計をやり直す場合、試作コストおよび試作期間が増加するため、設計コストが増加してしまう。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、設計コストの増加を抑えて半導体装置内での局所的な電圧降下を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、半導体装置の電源配線構造は、第1の電源配線層に設けられたメッシュ状の第1の電源配線と、前記第1の電源配線上に位置する再配線層において、前記第1の電源配線の一部の配線領域に対向して設けられ前記第1の電源配線に接続される第2の電源配線と、前記第1の電源配線層の下側に位置する第2の電源配線層に設けられた第3の電源配線と、を有し、前記第1の電源配線は、ビアを介して前記第3の電源配線に接続され、前記第1の電源配線層と前記第2の電源配線層との間において、前記配線領域の周囲に位置する第1の領域に設けられる前記ビアの密度は、前記第1の領域以外の領域に設けられる前記ビアの密度より高い。
【0008】
本発明の別の態様では、第1の電源配線層に設けられたメッシュ状の第1の電源配線を有する半導体装置の電源配線レイアウト方法であって、前記第1の電源配線を流れる電源電流の変動により電圧降下が発生する配線領域をシミュレーションにより検出し、前記第1の電源配線上に位置する再配線層において、前記電圧降下が発生する前記配線領域に対向して、前記第1の電源配線に接続される第2の電源配線を配置する。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、設計コストの増加を抑えて半導体装置内での局所的な電圧降下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態における半導体装置の電源配線構造の一例を示す概要図である。
【
図2】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の電源配線レイアウトの一例を示す部分斜視図である。
【
図3】
図2の電源配線構造の抵抗ネットリストの一例を示す概要図である。
【
図4】
図1の電源配線構造において、電源配線とパッドとの接続の一例を示す説明図である。
【
図5】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の断面構造の一例を示す部分断面図である。
【
図6】
図1の電源配線構造を有する半導体装置のパッケージ構造の一例を示す断面図である。
【
図7】
図1の電源配線構造に最適化する前の試作段階の半導体装置の電源配線構造の一例を示す説明図である。
【
図8】
図7の電源配線構造を有する半導体装置の電源配線レイアウトの一例を示す部分斜視図である。
【
図9】
図7の電源配線構造を有する半導体装置の負荷変動のシミュレーション結果を示す三次元グラフである。
【
図10】
図7の電源配線構造を有する半導体装置の負荷変動のシミュレーション結果を示す二次元グラフである。
【
図11】
図7の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下のシミュレーション結果を示す三次元グラフである。
【
図12】
図7の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下のシミュレーション結果を示す二次元グラフである。
【
図13】
図7の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下の時間変化のシミュレーション結果を示す波形図である。
【
図14】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の負荷変動のシミュレーション結果を示す三次元グラフである。
【
図15】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の負荷変動のシミュレーション結果を示す二次元グラフである。
【
図16】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下のシミュレーション結果を示す三次元グラフである。
【
図17】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下のシミュレーション結果を示す二次元グラフである。
【
図18】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下の時間変化のシミュレーション結果を示す波形図である。
【
図19】
図1の電源配線構造を有する半導体装置を設計するレイアウト設計ツールの一例を示すブロック図である。
【
図20】
図1の電源配線構造を有する半導体装置の設計の流れの一例を示す処理フロー図である。
【
図21】
図20のステップS40の動作の一例を示す処理フロー図である。
【
図22】第2の実施形態における半導体装置の電源配線構造の一例を示す概要図である。
【
図23】第3の実施形態における半導体装置の電源配線構造の一例を示す概要図である。
【
図24】他の半導体装置の電源配線構造の一例(比較例)を示す概要図である。
【
図25】
図24の電源配線構造を有する半導体装置の電源配線レイアウトの一例を示す部分斜視図である。
【
図26】
図25の電源配線構造の抵抗ネットリストの一例を示す概要図である。
【
図27】
図24の電源配線構造を有する半導体装置の負荷変動のシミュレーション結果を示す三次元グラフである。
【
図28】
図24の電源配線構造を有する半導体装置の負荷変動のシミュレーション結果を示す二次元グラフである。
【
図29】
図24の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下のシミュレーション結果を示す三次元グラフである。
【
図30】
図24の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下のシミュレーション結果を示す二次元グラフである。
【
図31】
図24の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下の時間変化のシミュレーション結果を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置の電源配線構造の一例を示す。
図1に示す電源配線構造を有する半導体装置100は、例えば、SoC(System on a Chip)、ASSP(Application Specific Standard Product)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはプロセッサ等の大規模集積回路であり、数百MHz以上のクロック周波数で動作する。
図1は、半導体装置100を断面方向から見た場合の電源配線構造を示しており、
図1の下側が半導体チップの裏面(半導体基板)側であり、
図1の上側が半導体チップの表面側である。
【0013】
例えば、半導体装置100は、複数の電源配線層PL(PL7、PL6、PL5、...)および再配線層RDLを有する。また、半導体装置100は、互いに隣接する再配線層RDL、PLの間に絶縁層IL(IL7、IL6、IL5、IL4、...)を有する。再配線層RDLには、電源配線RWが配置され、各電源配線層PLには、電源配線RW(PW7、PW6、PW5、PW4、...)が配置される。電源配線層PL7は、第1の電源配線層の一例であり、電源配線層PL6は、第2の電源配線層の一例である。
【0014】
各絶縁層ILには、絶縁層ILを介して対向する2つの電源配線PW(またはRW)を相互に接続するビアVIAが配置される。電源配線層PL7に配置される電源電圧VDD用の電源配線PW7は、第1の電源配線の一例である。再配線層RDLに配置される電源配線RWは、第2の電源配線層の一例である。電源配線層PL6に配置される電源電圧VDD用の電源配線PW6は、第3の電源配線の一例である。
【0015】
電源配線層PL7、PL5には、
図1の横方向に延びる電源配線PW7、PW5がそれぞれ配置される。電源配線PW7、PW5は、
図1の奥行き方向に所定の間隔を置いてそれぞれ配置される。電源配線層PL6、PL4には、
図1の奥行き方向に延びる電源配線PW6、PW4が配置される。電源配線PW6、PW4は、
図1の横方向に所定の間隔を置いて配置される。そして、互いに隣接する2つの電源配線層PLに配置され、互いに交差する電源配線PWにより、メッシュ状の電源配線構造が形成される。
【0016】
図1では、電源配線PW7、PW5、RWは、実線、抵抗記号および黒点で示され、電源配線PW6、PW4は、黒点で示される。各絶縁層IL7―IL5に配置されるビアVIAは、実線と抵抗記号で示される。各電源配線PW(PLW-PLW)の抵抗値と、ビアVIAの数およびビアVIAの配置箇所は、レイアウト設計時に使用するレイアウト設計ツールにより設定される。なお、
図1では、電源配線層PL4より半導体基板側の電源配線層PLの記載は省略される。
【0017】
実際の半導体装置100では、各電源配線層PLには、電源電圧VDDの供給用の電源配線PWと、接地電圧VSSの供給用の電源配線PWとが配置されるが、
図1では、電源電圧VDDの供給用の電源配線PWのみを示す。再配線層RDLには、電源電圧VDDの供給用の電源配線RWのみが配置される。また、実際には、互いに隣接する2つ電源配線層PLの間に、信号線が配置される図示しない信号配線層と、接地線が配置される図示しない電源配線層とが設けられる。
【0018】
なお、各電源配線層PLに、電源電圧VDD用の電源配線PWまたは接地電圧VSS用の電源配線PWの一方が配置される場合、各電源配線層PLには、互いに交差するメッシュ状の電源配線PWが形成されてもよい。
【0019】
この実施形態では、再配線層RDLに配置される電源配線RWは、電源配線層PL7、PL6にメッシュ状に配置される電源配線PW7、PL6の一部の配線領域A1上に局所的に設けられる。再配線層RDLに配置される電源配線RWは、絶縁層IL7に配置される複数のビアVIAを介して電源配線PW7に並列に接続される。これにより、配線領域A1での電源配線PW7の配線抵抗を局所的に減少させることができる。また、電源配線PW6は、絶縁層IL6の複数のビアVIAを介して電源配線層PL7の電源配線に接続される。これにより、配線領域A1での電源配線PW6の配線抵抗を局所的に減少させることができる。
【0020】
例えば、配線領域A1は、再配線層RDLおよび絶縁層IL7を有さない半導体装置の試作後の電気的評価で、想定以上の動的電圧降下(DVD:Dynamic Voltage Drop)が発生した箇所である。想定以上の動的電圧降下が発生した箇所に局所的に電源配線RWを設け、ビアVIAを介して電源配線RWを電源配線PW7に接続することで、最小限の配線層および絶縁層のフォトマスク(レチクル)の追加により、動的電圧降下を軽減することができる。
【0021】
この際、既にレイアウト設計済みの電源配線層PL7より下のレイアウト層は、変更しなくてよい。このため、半導体装置の再設計に掛かるコストの増加を抑えることができる。例えば、半導体装置の再設計に掛かるコストとして、再設計に掛かる時間、再設計により改版または新規に作成されるフォトマスク(レチクル)、および再設計した半導体装置の製造コスト等がある。
【0022】
図2は、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100の電源配線レイアウトの一例を示す。各電源配線PW7は、
図2の左下から右上に向けて配線され、
図2の上側と下型とにそれぞれ並ぶパッドPADに接続される。電源配線PW6は、
図2左側から右側に向けて配線され、
図2の左側と右側とにそれぞれ並ぶパッドPADに接続される。
【0023】
電源配線層PL7には、電源電圧VDD用と接地電圧VSS用の電源配線PW7が交互に配置される。電源配線層PL6には、電源電圧VDD用と接地電圧VSS用の電源配線PW6が交互に配置される。このため、半導体装置100の外周部には、電源電圧VDD用のパッドPADと接地電圧VSS用のパッドPADとが交互に配置される。
【0024】
図2に示す例では、電源配線RWは、半導体装置100のほぼ中央に配置される。すなわち、半導体装置100を製造する前の試作品において、想定以上の動的電圧降下が発生した箇所である
図1に示した配線領域A1は、半導体チップのほぼ中央に位置する。ただし、電源配線RWは半導体チップのほぼ中央に限定されるものではない。
【0025】
図3は、
図2の電源配線構造の抵抗ネットリストの一例を示す。
図3に示す例では、電源配線PW7は、一点鎖線で示され、電源配線PW6は、実線で示される。電源配線PW5は、二点鎖線で示され、電源配線PW4は、破線で示される。
【0026】
電源配線RWと、電源配線RWを電源配線PW7に接続するビアVIAは、太い実線で示される。電源配線PW、RWの抵抗成分およびビアVIAの抵抗成分は、楕円で示される。電源配線RWを電源配線PW7に接続するビアVIAの抵抗成分は、斜線を付した楕円で示される。
【0027】
複数の電源配線層PLに電源配線PWをメッシュ状に配置することで、電源配線PWの抵抗値を半導体チップ内で均等にすることができる。但し、半導体チップ上に配置される回路は、動作頻度等に応じて単位時間あたりのトランジスタの充放電電流量が異なる。このため、各回路が必要とする動的な電流量は回路毎に異なり、各電源配線PWに流すべき電流量は、電源配線PWの位置により異なる。この実施形態では、再配線層RDLに電源配線RWを局所的に配置することで、各電源配線PWに流すべき電流量の不足を補うことができる。
【0028】
図4は、
図1の電源配線構造において、電源配線PW7、PW6とパッドPADとの接続の一例を示す。なお、
図4のパッドPADの数は、
図2と相違している。電源電圧VDD用の電源配線PW7、PW6は、交差部分に配置されるビアVIAを介して相互に接続される。同様に、接地電圧VSS用の電源配線PW7、PW6は、交差部分に配置されるビアVIAを介して相互に接続される。これにより、電源電圧VDD用の電源配線PW7、PW6および接地電圧VSS用の電源配線PW7、PW6は、それぞれメッシュ状の構造を有する。
【0029】
メッシュ状の電源配線構造により、半導体装置100内に配置されるトランジスタを含む回路の各々には、一定量の電源が供給可能である。しかしながら、回路の機能および動作状況により、トランジスタの充放電電流が異なるため、半導体装置100内の位置に依存して、電源電圧VDD用の電源配線PWの電圧降下量が異なる。半導体装置100のクロック周波数が高いほど、動的電圧降下が大きくなりやすい。
【0030】
図5は、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100の断面構造の一例を示す。半導体装置100は、金線等が接続されるパッドPAD(WB)を介して半導体装置100の外部から供給される電源電圧VDDを、半導体装置100の内部に伝達するためのアルミニウム配線ALを有する。アルミニウム配線ALは、ビアVIAを介して電源配線PWに接続され、ビア用のパッドPAD(VIA)を介して再配線層RDLの電源配線RWに接続される。例えば、パッドPADの材質は、アルミニウムであり、電源配線RW、PWおよびビアVIAの材質は、銅である。
【0031】
これにより、再配線層RDLの電源配線RWは、電源配線PW7に接続される。そして、パッドPAD(WB)に供給される電源電圧VDDは、トランジスタのゲートGTおよびトランジスタのドレイン(図示しない半導体基板の拡散層)等に供給される。
【0032】
半導体装置100の表面は、パッドPAD(WB)の配置領域を除き、ポリイミド膜PI2で覆われる。また、アルミニウム配線AL上は、パッドPAD(WB)、PAD(VIA)を除き、パッシベーション膜PSで覆われる。パッシベーション膜PSと電源配線RWおよびポリイミド膜PI2との間には、ポリイミド膜PI1が形成される。
【0033】
図6は、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100のパッケージ構造の一例を示す。例えば、半導体装置100(半導体チップ)は、BGA(Ball Grid Array)パッケージPKGに収納される。セラミック基板BRD等に接着された半導体装置100は、ボンディングワイヤBWを介してセラミック基板BRD等の裏面に設けられるはんだボールSBに接続される。なお、半導体装置100が搭載されたBGAパッケージPKG全体が半導体装置100と称されてもよい。
【0034】
図7は、
図1の電源配線構造に最適化する前の試作段階の半導体装置100Sの電源配線構造の一例を示す。
図7に示す試作段階の半導体装置100Sは、
図1の再配線層RDLおよび絶縁層IL7を有していないことを除き、
図1の半導体装置100の電源配線構造と同様である。
【0035】
破線の円で示す領域は、
図1に示した配線領域A1に対応しており、半導体装置100Sの試作後の電気的特性の評価(動作試験を含む)において、電源配線PWで想定以上の動的電圧降下が発生した箇所を示す。動的電圧降下は、発生箇所に対応する半導体基板上に設けられたトランジスタの充放電電流量が多い場合に発生しやすい。動的電圧降下の発生により、トランジスタへの電源電流の供給量が不足すると、動作マージンが減少するため、半導体装置100Sの動作試験は、フェイルする場合がある。
【0036】
図8は、
図7の電源配線構造を有する半導体装置の電源配線レイアウトの一例を示す。
図8は、
図2に示した電源配線RWを有していないことを除き、
図1と同様である。
【0037】
図9および
図10は、
図7の電源配線構造を有する半導体装置100Sの負荷変動のシミュレーション結果(三次元グラフと二次元グラフ)を示す。
図9および
図10において、X方向およびY方向で示す矩形の領域は、半導体装置100Sの回路領域に対応する。個々の回路領域において、回路の動作率が高いほど、例えば、トランジスタのドレインに接続される負荷からの電流が急激に増加しやすいことを示す。
【0038】
図11および
図12は、
図7の電源配線構造を有する半導体装置100Sの動的電圧降下のシミュレーション結果(三次元グラフと二次元グラフ)を示す。
図9および
図10と同様に、X方向およびY方向で示す矩形の領域は、半導体装置100Sの回路領域に対応する。動的電圧降下DVDが大きい回路領域は、
図9および
図10で示した負荷が急変しやすい回路領域とほぼ対応する。
【0039】
図13は、
図7の電源配線構造を有する半導体装置100Sの動的電圧降下の時間変化のシミュレーション結果を示す。
図13に示す波形の符号v:netは、
図12のX方向およびY方向で示される領域内において互いに異なる位置を示す。
【0040】
【0041】
この実施形態では、
図1から
図3に示したように、動的電圧降下DVDが他より大きい回路領域に対応する再配線層RDLに局所的に電源配線RWを配置する。これにより、
図9および
図10に示した負荷が急変しやすい回路領域に供給する電源電流の供給経路を増やすことができる。この結果、負荷が急変しやすい回路領域に供給する電源電流を増加させることができ、負荷の急変を軽減することができる。
【0042】
【0043】
図16では、動的電圧降下DVDが、
図11および
図12に示した動的電圧降下DVDが大きい回路領域での動的電圧降下DVDを軽減することができる。このため、試作した半導体装置100Sの動作マージンの不足を、半導体装置100では解消することができる。換言すれば、再配線層RDLに電源配線RWを局所的に配置することで、動的電圧降下DVDを軽減することができ、所望の動作マージンを有する半導体装置100を製造することができる。
【0044】
図18は、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100の動的電圧降下の時間変化のシミュレーション結果を示す。
図18は、
図13に対応する。
図18では、半導体装置100の動作中に、動的電圧降下DVDが継続的に軽減されることが分かる。
【0045】
図19は、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100を設計するレイアウト設計ツールの一例を示す。
図19では、試作された半導体装置100Sを再設計して半導体装置100のレイアウトデータを生成する電源配線変更ツール200について説明する。
【0046】
電源配線変更ツール200は、電源配線レイアウトツール210と負荷急変解析ツール220とを含む。電源配線レイアウトツール210は、試作品の半導体装置100Sのレイアウトデータ10、半導体装置100S、100のネットリスト20、半導体装置100Sの負荷急変情報30および電源配線ライブラリ40を入力する。そして、電源配線レイアウトツール210は、
図7に示した電源配線構造を
図1に示した電源配線構造に変更する。
【0047】
ネットリスト20は、回路情報であり、試作品の半導体装置100Sと変更後の半導体装置100とで共通である。負荷急変情報は、
図9から
図13に示したシミュレーション結果を含む。電源配線ライブラリ40は、再配線層RDLに配置する電源配線RWの情報と、電源配線RWを電源配線PW7に接続するビアVIAの情報とをライブラリとして含んでいる。
【0048】
負荷急変解析ツール220は、電源配線RWを含む電源配線網の急負荷変動を解析し、
図14から
図18のシミュレーション結果等を出力する。電源配線レイアウトツール210は、負荷急変解析ツール220でのシミュレーション結果に基づいて、動的電圧降下DVDが所定量以下に収まるまで、電源配線RWの見直しと負荷急変解析ツール220による解析とを繰り返す。
【0049】
そして、電源配線変更ツール200は、半導体装置100Sの電源配線構造を変更した半導体装置100のレイアウトデータ50と、負荷急変解析ツール220による解析結果である負荷急変解析ログ60とを出力する。
【0050】
図20は、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100の設計の流れの一例を示す。
図20は、半導体装置100の電源配線レイアウト方法の一例を示す。まず、ステップS20において、半導体装置100の論理設計および回路設計が実施される。次に、ステップS22において、半導体装置100のレイアウト設計を実施する前に、論理シミュレーションおよび回路シミュレーションが実施され、回路の動作タイミングおよび消費電力等が確認される。
【0051】
次に、ステップS24において、半導体装置100のトランジスタおよび配線等をレイアウトする配置、配線処理が実施される。次に、ステップS26において、電源電圧VDDの電圧降下のシミュレーションと負荷急変解析とが実施される。次に、ステップS28において、ステップS24で実施した配置、配線処理がレイアウトルールを満たしているかを検証する物理設計検証が実施される。
【0052】
次に、ステップS30において、半導体装置100のレイアウト設計後に、レイアウトに基づく配線負荷等を考慮したシミュレーションが実施され、回路の動作タイミングおよび消費電力等が確認される。そして、半導体装置100の試作品100Sのレイアウトデータ10(
図19)が生成される。
【0053】
次に、ステップS32において、試作品100Sの各レイアウト層のマスクデータ(レチクルデータ)が作成される。次に、ステップS34において、作成したフォトマスク(レチクル)を使用して、試作品100Sが製造される。次に、ステップS36において、製造された試作品100Sの動作試験が実施され、電気的特性の評価(動作不良の有無の判定)が実施される。
【0054】
次に、ステップS38において、電気的特性の評価において、急負荷変動があると判定された場合(動作不良の発生)、ステップS40が実施される。例えば、ステップS36で実施されるシミュレーションにおいて、
図9から
図13に示したグラフが得られた場合、急負荷変動があると判定されてもよい。一方、急負荷変動がないと判定された場合、試作品100Sのフォトマスク(レチクル)を使用して量産品を製造することを決定し、
図20に示す処理が終了される。
【0055】
ステップS40において、
図19の電源配線変更ツール200を使用して、電源配線変更処理が実施される。ステップS40では、
図7に示した試作品100Sの電源配線構造が、
図1に示した半導体装置100の電源配線構造に変更される。そして、
図1の電源配線構造を有する半導体装置100のレイアウトデータ50(
図19)が生成される。ステップS40で実施される電源配線変更処理の例は、
図21で説明される。
【0056】
次に、ステップS42において、半導体装置100の各層のマスクデータ(レチクルデータ)が作成される。次に、ステップS44において、作成したフォトマスク(レチクル)を使用して、半導体装置100が製造される。次に、ステップS46において、製造された半導体装置100の電気的特性の評価が実施され、
図20に示す処理が終了される。
【0057】
図21は、
図20のステップS40の動作の一例を示す。まず、ステップS402において、電源配線変更ツール200は、
図19に示した試作品100Sのレイアウトデータ10、ネットリスト20および負荷急変情報等のデータを入力する。次に、ステップS404において、負荷急変解析ツール220は、
図9から
図13で説明した負荷急変解析を実施する。なお、
図20のステップS36において、
図9から
図13で説明した負荷急変解析が実施されている場合、ステップS404は省略されてもよい。
【0058】
次に、ステップS406において、電源配線変更ツール200は、ステップS404での負荷急変解析の結果に基づいて、再配線層RDLの電源配線RWおよび絶縁層IL7のビアVIAの配置箇所を決定する。例えば、電源配線変更ツール200は、
図9および
図10に示した負荷が急変しやすい領域(
図1の配線領域A1)に、電源配線RWおよびビアVIAを配置することを決定する。あるいは、電源配線変更ツール200は、
図11および
図12に示した動的電圧降下DVDが発生しやすい領域(
図1の配線領域A1)に、電源配線RWおよびビアVIAを配置することを決定する。
【0059】
次に、ステップS408において、電源配線レイアウトツール210は、ステップS406で決定した配置箇所に応じて、電源配線RWおよびビアVIAの配置データを作成する。なお、ステップS408で作成される配置データは、再配線層RDLおよび絶縁層IL7のデータのみであり、電源配線層PLより半導体基板側の層のデータは変更されない。このため、半導体装置100Sの試作で使用したフォトマスクを、変更することなく半導体装置100の製造に使用することができる。
【0060】
次に、ステップS410において、負荷急変解析ツール220は、ステップS408で追加した電源配線RWおよびビアVIAを含んだ電源配線構造で負荷急変解析を実施する。次に、ステップS412において、電源配線変更ツール200は、
図20のステップS38で判定した急負荷変動が解消した場合、
図21に示す処理を終了する。電源配線変更ツール200は、急負荷変動が解消していない場合、解消するまでステップS408、S410の処理を繰り返す。例えば、ステップS410で実施されるシミュレーションにおいて、
図14から
図18に示したグラフが得られた場合、負荷急変解析ツール220は、急負荷変動が解消されたと判定する。
【0061】
以上、この実施形態では、試作した半導体装置100Sの電気的特性の評価に基づいて、再配線層RDLに電源配線RWを局所的に配置して半導体装置100を製造する。これにより、局所的に発生する動的電圧降下を軽減することができ、所望の動作マージンを有する半導体装置100を製造することができる。
【0062】
また、電源配線PWおよびトランジスタのレイアウトを変更することなく、半導体装置100の動作マージンを向上することができる。このため、変更するフォトマスク(レチクル)の数または新規に作成するフォトマスク(レチクル)の数を最小限にすることができる。さらに、半導体装置100のチップサイズ、パッドPADの位置、パッドPADの数の変更が不要である。このため、BGAパッケージPKGの変更を不要にすることができ、また、BGAパッケージPKGを搭載する基板の変更を不要にすることができる。この結果、半導体装置100の再設計に掛かるコストを抑えて動的電圧降下を軽減することができる。
【0063】
また、再配線層RDLおよび絶縁層IL7は、試作した半導体装置100Sで想定以上の動的電圧降下が発生した場合にのみ追加される。このため、無駄なレイアウト層が使用されることを抑止することができ、半導体装置100のコストを最小限にすることができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図22は、第2の実施形態における半導体装置の電源配線構造の一例を示す。
図1と同様の要素は、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図22に示す半導体装置100Aは、配線領域A1の周囲の配線領域A2に、電源配線層PL7、PL6間を接続するビアV2を有することを除き、
図1の電源配線構造と同様である。例えば、配線領域A2は、配線領域A1の周囲に環状に設けられる。例えば、配線領域A1は、
図12の動的電圧降下DVDが大きい回路領域に対応し、配線領域A2は、
図12の動的電圧降下DVDが大きい回路領域の周囲の白色の領域に対応する。配線領域A2は、第1の領域の一例である。
【0065】
図22に示す半導体装置100Aでは、電源配線層PL7、PL6間において、配線領域A1の周囲に位置する配線領域A2に設けられるビアVIAの密度は、配線領域A2以外の他の領域に設けられるビアVIAの密度より高く設定される。
図22に示す半導体装置100Aの設計の流れと、電源配線変更処理に使用する電源配線変更ツール200は、
図19から
図21と同様である。但し、
図21のステップS406において、配線領域A1だけでなく、配線領域A2にビアVIAを配置することを決定し、ステップS408で作成される配置データは、電源配線層PL7および絶縁層IL6のデータも追加で作成する。
【0066】
ビアVIAの数を局所的に増やすことで、想定以上の動的電圧降下が発生する箇所に対応する回路への電源電流の供給パスを増やすことができる。この結果、想定以上の動的電圧降下が発生する箇所に対応する回路に供給する電源電流量を増加させることができ、局所的に発生する動的電圧降下を軽減することができる。
【0067】
この実施形態では、再配線層RDLおよび絶縁層IL7のフォトマスクの追加と、電源配線層PL7および絶縁層IL6のフォトマスクの変更により、局所的に発生する動的電圧降下を軽減することができる。なお、配線領域A2を配線領域A1の周囲に環状に設けることで、より多くのビアVIAを絶縁層IL6に配置することができる。これにより、想定以上の動的電圧降下が発生する箇所に対応する回路に供給する電源電流量をさらに増加させることができ、動的電圧降下をさらに軽減することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
図23は、第3の実施形態における半導体装置の電源配線構造の一例を示す。
図1と同様の要素は、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図23に示す半導体装置100Bは、配線領域A2の周囲の配線領域A3に配置されていた、電源配線層PL7、PL6間を接続するビアVIA(破線の楕円)が削除されていることを除き、
図22の電源配線構造と同様である。例えば、配線領域A3は、配線領域A2の周囲に環状に設けられる。例えば、配線領域A3は、
図12の動的電圧降下DVDが大きい回路領域の周囲の白色の領域(配線領域A2)の外側の黒色の領域に対応する。配線領域A3は、第2の領域の一例である。
【0069】
図23に示す半導体装置100Bでは、電源配線層PL7、PL6間において、配線領域A2の周囲に位置する配線領域A3に設けられるビアVIAの密度は、配線領域A3以外の他の領域に設けられるビアVIAの密度より低く設定される。
図23に示す半導体装置100Bの設計の流れと、電源配線変更処理に使用する電源配線変更ツール200は、
図19から
図21と同様である。但し、
図21のステップS406において、配線領域A1、A2にビアVIAを追加するだけでなく、配線領域A3からビアVIAを削除することを決定し、ステップS408で作成される配置データは、電源配線層PL7および絶縁層IL6のデータも追加で作成する。
【0070】
なお、例えば、配線領域A3は、動的電圧降下の発生が想定内の領域であり、ビアVIAの数を減らした後も、動的電圧降下の発生が想定内であることが、
図21のステップS410の負荷急変解析で確認済みである。
【0071】
ビアVIAの数を局所的に増やした配線領域A2の周囲にビアVIAの数を減らした配線領域A3を設けることで、配線領域A1、A2に並列に配置されるビアVIAの抵抗を低下させ、配線領域A3に並列に配置されるビアVIAの抵抗を上昇させることができる。これにより、配線領域A1、A2に配置されるビアVIAに流れる電源電流を相対的に増加させることができる。この結果、想定以上の動的電圧降下が発生する箇所に対応する回路に供給される電源電流量をさらに増加させることができ、局所的に発生する動的電圧降下を軽減することができる。
【0072】
この実施形態では、再配線層RDLおよび絶縁層IL7のフォトマスクの追加と、電源配線層PL7および絶縁層IL6のフォトマスクの変更により、局所的に発生する動的電圧降下を軽減することができる。
【0073】
なお、配線領域A3を配線領域A2の周囲に環状に設けることで、配線領域A3からより多くのビアVIAを削減することが可能になる。このため、配線領域A3に並列に配置されるビアVIAの抵抗をさらに上昇させることができ、配線領域A1、A2に配置されるビアVIAに流れる電源電流量をさらに増加させることができる。これにより、想定以上の動的電圧降下が発生する箇所に対応する回路に供給する電源電流量をさらに増加させることができ、動的電圧降下をさらに軽減することができる。
【0074】
図24は、他の半導体装置の電源配線構造の一例(比較例)を示す。
図24に示す他の半導体装置102は、再配線層RDLの全面に電源配線RWが配置される。そして、電源配線RW、PL7間が、電源配線層PL7、PL6間を接続するビアVIAの密度と同じ密度のビアVIAで相互に接続される。半導体装置102の電源配線層PL7より半導体基板側の電源配線構造は、
図1と同様である。
【0075】
図25は、
図24の電源配線構造を有する半導体装置102の電源配線レイアウトの一例を示す部分斜視図である。
図25は、電源配線RWが半導体装置102の全面に配置されることを除き、
図1と同様である。
【0076】
図26は、
図25の電源配線構造の抵抗ネットリストの一例を示す。
図26は、電源配線RWが半導体装置102の全面に配置されることを除き、
図3と同様である。
図26に示すように、再配線層RDLにメッシュ状の電源配線RWを配置して電流パスを増やす場合、ブリッジ回路のように電源抵抗が均等に分布する。この場合、電源配線PWの各部分に流れる電流が均等のままになるため、想定以上の動的電圧降下が発生する箇所に対応する回路に供給する電源電流量を増加させることができない。したがって、
図26に示す電源配線構造では、局所的に発生する動的電圧降下を軽減することができない。
【0077】
【0078】
【0079】
図31は、
図24の電源配線構造を有する半導体装置の動的電圧降下の時間変化のシミュレーション結果を示す。
図31は、
図13に対応しており、シミュレーション結果は、
図13とほぼ同じである。
【0080】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 レイアウトデータ
20 ネットリスト
30 負荷急変情報
40 電源配線ライブラリ
50 レイアウトデータ
60 負荷急変解析ログ
100、100A、100B、100S、102 半導体装置
200 電源配線変更ツール
210 電源配線レイアウトツール
220 負荷急変解析ツール
A1、A2、A3 配線領域
AL アルミニウム配線
BW ボンディングワイヤ
GT ゲート
IL(IL4、IL5、IL6、IL7) 絶縁層
PAD パッド
PI1、PI2ポリイミド膜
PKG BGAパッケージ
PL(PL4、PL5、PL6、PL7) 電源配線層
PS パッシベーション膜
PW(PW4、PW5、PW6、PW7) 電源配線
RDL 電源配線層
RW 電源配線
SB はんだボール
VDD 電源電圧
ビア V2
ビア VIA