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特許7563040眼鏡レンズ加工情報処理プログラムおよび眼鏡レンズ加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】眼鏡レンズ加工情報処理プログラムおよび眼鏡レンズ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/14 20060101AFI20241001BHJP
   G02C 13/00 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
B24B9/14 E
G02C13/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020137672
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033653
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(72)【発明者】
【氏名】武市 教児
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇樹
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05643052(US,A)
【文献】特開2002-205251(JP,A)
【文献】特表2014-528097(JP,A)
【文献】欧州特許第03479955(EP,B1)
【文献】特開2000-015549(JP,A)
【文献】特開2003-340698(JP,A)
【文献】特開2004-314256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B9/14
G02C13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズ加工装置に関する情報を処理する情報処理装置によって実行される眼鏡レンズ加工情報処理プログラムであって、
前記眼鏡レンズ加工装置は、
眼鏡レンズの周縁を加工する周縁加工具を含む加工具と、
前記周縁加工具を駆動する周縁加工駆動部を含む加工駆動部と、
を備え、
前記眼鏡レンズ加工情報処理プログラムが前記情報処理装置の制御部によって実行されることで、
互いに異なる複数の集計期間内の各々の、前記加工具による眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報を取得する加工情報取得ステップと、
前記加工情報取得ステップにおいて取得された、前記複数の集計期間内の各々の前記加工情報を処理することで、前記集計期間毎の前記眼鏡レンズ加工装置の使用状態の経時変化を示すステータス情報のグラフを生成するステータス情報生成ステップと、
前記ステータス情報生成ステップにおいて生成された前記ステータス情報のグラフを、前記加工情報の処理結果をユーザに報告するための所定のレポート形式で出力する出力ステップと、
を前記情報処理装置に実行させることを特徴とする眼鏡レンズ加工情報処理プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の眼鏡レンズ加工情報処理プログラムであって、
前記加工情報取得ステップでは、前記加工具による眼鏡レンズの加工が実際に行われた加工時間の情報と、前記眼鏡レンズ加工装置に電力が通電された通電時間の情報とを含む前記加工情報を、互いに異なる複数の集計期間毎に取得し、
前記ステータス情報生成ステップでは、前記通電時間に対する前記加工時間の割合の、前記集計期間毎の経時変化を示す前記ステータス情報のグラフを生成することを特徴とする眼鏡レンズ加工情報処理プログラム。
【請求項3】
眼鏡レンズを加工する眼鏡レンズ加工装置であって、
眼鏡レンズの周縁を加工する周縁加工具を含む加工具と、
前記周縁加工具を駆動する周縁加工駆動部を含む加工駆動部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
互いに異なる複数の集計期間内の各々の、前記加工具による眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報を取得する加工情報取得ステップと、
前記加工情報取得ステップにおいて取得された、前記複数の集計期間内の各々の前記加工情報を処理することで、前記集計期間毎の前記眼鏡レンズ加工装置の使用状態の経時変化を示すステータス情報のグラフを生成するステータス情報生成ステップと、
前記ステータス情報生成ステップにおいて生成された前記ステータス情報のグラフを、前記加工情報の処理結果をユーザに報告するための所定のレポート形式で出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡レンズ加工装置に関する情報を処理するための眼鏡レンズ加工情報処理プログラム、および、眼鏡レンズを加工する眼鏡レンズ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズを加工する眼鏡レンズ加工装置は、眼鏡店等で広く使用されている。例えば、特許文献1に記載されている眼鏡レンズ加工装置は、眼鏡レンズに取り付けられたカップにレンズ保持軸を装着することで、眼鏡レンズを保持する。眼鏡レンズ加工装置は、保持された眼鏡レンズの周縁を、周縁加工具によって加工することができる。また、特許文献1に記載されている眼鏡レンズ加工装置は、保持された眼鏡レンズに、穴あけ加工具によって穴を形成することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-4930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
眼鏡レンズ加工装置のユーザ(例えば、作業者および管理者等)は、業務を適切に遂行するために、眼鏡レンズ加工装置の使用状態を適切に把握する必要がある。しかし、現状では、ユーザが自らの経験に基づいて、眼鏡レンズ加工装置による加工の状況等から使用状態を推測せざるを得なかった。従って、従来の技術では、眼鏡レンズ加工装置の使用状態をユーザに適切に把握させることは困難であった。
【0005】
本開示の典型的な目的は、眼鏡レンズ加工装置の使用状態をユーザに適切に把握させることが可能な眼鏡レンズ加工情報処理プログラムおよび眼鏡レンズ加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼鏡レンズ加工情報処理プログラムは、眼鏡レンズ加工装置に関する情報を処理する情報処理装置によって実行される眼鏡レンズ加工情報処理プログラムであって、前記眼鏡レンズ加工装置は、眼鏡レンズの周縁を加工する周縁加工具を含む加工具と、前記周縁加工具を駆動する周縁加工駆動部を含む加工駆動部と、を備え、前記眼鏡レンズ加工情報処理プログラムが前記情報処理装置の制御部によって実行されることで、互いに異なる複数の集計期間内の各々の、前記加工具による眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報を取得する加工情報取得ステップと、前記加工情報取得ステップにおいて取得された、前記複数の集計期間内の各々の前記加工情報を処理することで、前記集計期間毎の前記眼鏡レンズ加工装置の使用状態の経時変化を示すステータス情報のグラフを生成するステータス情報生成ステップと、前記ステータス情報生成ステップにおいて生成された前記ステータス情報のグラフを、前記加工情報の処理結果をユーザに報告するための所定のレポート形式で出力する出力ステップと、を前記情報処理装置に実行させる。
【0007】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼鏡レンズ加工装置は、眼鏡レンズを加工する眼鏡レンズ加工装置であって、眼鏡レンズの周縁を加工する周縁加工具を含む加工具と、前記周縁加工具を駆動する周縁加工駆動部を含む加工駆動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、互いに異なる複数の集計期間内の各々の、前記加工具による眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報を取得する加工情報取得ステップと、前記加工情報取得ステップにおいて取得された、前記複数の集計期間内の各々の前記加工情報を処理することで、前記集計期間毎の前記眼鏡レンズ加工装置の使用状態の経時変化を示すステータス情報のグラフを生成するステータス情報生成ステップと、前記ステータス情報生成ステップにおいて生成された前記ステータス情報のグラフを、前記加工情報の処理結果をユーザに報告するための所定のレポート形式で出力する出力ステップと、を実行する。
【0008】
本開示に係る眼鏡レンズ加工情報処理プログラムおよび眼鏡レンズ加工装置によると、眼鏡レンズ加工装置の使用状態がユーザによって適切に把握される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】眼鏡レンズ加工装置1の加工機構の概略構成図である。
図2】眼鏡レンズ加工装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】ステータス情報が表示されたレポート画面の一例を示す図である。
図4】稼働割合情報生成処理のフローチャートである。
図5】加工時間分布情報生成処理のフローチャートである。
図6】加工カス量情報生成処理のフローチャートである。
図7】周縁加工具消耗度算出処理のフローチャートである。
図8】穴あけ加工具消耗度算出処理のフローチャートである。
図9】活性炭素材消耗度算出処理のフローチャートである。
図10】カップユニット消耗度算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
本開示で例示する情報処理装置は、眼鏡レンズ加工装置に関する情報を処理する。眼鏡レンズ加工装置は、加工具と加工駆動部を備える。加工具には、眼鏡レンズの周縁を加工する周縁加工具が含まれる。加工駆動部には、周縁加工具を駆動する周縁加工駆動部が含まれる。情報処理装置の制御部は、眼鏡レンズ加工情報処理プログラムを実行することで、加工情報取得ステップとステータス情報生成ステップを情報処理装置に実行させる。加工情報取得ステップでは、情報処理装置(制御部)は、加工具による眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報を取得する。ステータス情報生成ステップでは、情報処理装置(制御部)は、加工情報取得ステップにおいて取得された加工情報を処理することで、眼鏡レンズ加工装置の使用状態を示すステータス情報を生成する。
【0011】
本開示で例示する技術によると、眼鏡レンズ加工装置の使用状態を示すステータス情報が、加工具による眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報に基づいて生成される。従って、ユーザ(例えば、作業者および管理者等)は、加工の状況に基づいて装置の使用状態を自ら推測しなくても、ステータス情報によって客観的に眼鏡レンズ加工装置の使用状態を把握することができる。よって、ユーザは、ステータス情報によって把握した眼鏡レンズ加工装置の使用状態に基づいて、以後の加工業務の生産性等を適切に向上させることができる。
【0012】
なお、眼鏡レンズ加工情報処理プログラムを実行する情報処理装置には、種々のデバイスを使用することができる。例えば、眼鏡レンズ加工装置の制御部が、眼鏡レンズ加工情報処理プログラムを実行してもよい。つまり、眼鏡レンズ加工装置が、眼鏡レンズ加工装置に関する情報を処理する情報処理装置を兼ねていてもよい。また、眼鏡レンズ加工装置の各種情報を取得および処理することが可能なデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、携帯端末、またはスマートフォン等)が、情報処理装置として機能してもよい。また、複数のデバイス(例えば、眼鏡レンズ加工装置、および、管理者のパーソナルコンピュータ等)が情報処理装置として機能してもよい。つまり、複数のデバイスの制御部が協働して眼鏡レンズ加工情報処理プログラムを実行してもよい。
【0013】
また、加工内容を示す加工情報には、例えば、「加工したレンズの枚数」「加工したレンズの度数」「加工前のレンズのデータ」「加工後のレンズのデータ」「加工距離」「加工したレンズの厚み」「加工したレンズの材質」「加工した穴の径」「加工した穴の深さ」などの情報の少なくともいずれかが含まれる。
【0014】
加工情報取得ステップでは、制御部は、互いに異なる複数の集計期間内の各々の加工情報を取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、制御部は、複数の集計期間内の各々の加工情報を処理することで、集計期間毎の使用状態の経時変化を示すステータス情報を生成してもよい。この場合、ユーザは、眼鏡レンズ加工装置の使用状態の経時変化を、ステータス情報によって適切に把握することができる。よって、ユーザは、適切に把握した経時変化に応じて、以後の眼鏡レンズ加工装置の使用態様または人員の配置等を時間に応じて調整することで、生産性等を効率良く向上させることが可能である。
【0015】
ただし、制御部は、特定の1つの集計期間内の加工情報を処理することで、特定の集計期間内の眼鏡レンズ加工装置の使用状態を示すステータス情報を生成することも可能である。また、制御部は、ユーザによって入力された指示に応じて、集計期間の長さを設定してもよい。この場合、ユーザは、ステータス情報を把握したい集計期間の長さを入力することで、より適切に眼鏡レンズ加工装置の使用状態を把握することができる。例えば、制御部は、日、週、月、年等の少なくともいずれかの単位で集計期間の長さの入力を受け付けてもよい。集計期間の長さは、1つの集計期間内の加工情報を処理する場合に設定できてもよいし、複数の集計期間内の各々の加工情報を処理する場合に設定できてもよい。
【0016】
ステータス情報は、少なくとも時間に関するパラメータを含んでいてもよい。ステータス情報は、時間と、加工情報の処理結果の相関関係を示すものであってもよい。この場合、時間に対応する加工情報の処理結果が適切にユーザによって把握される。
【0017】
情報処理装置(制御部)は、ステータス情報生成ステップにおいて生成されたステータス情報を、加工情報の処理結果をユーザに報告するための所定のレポート形式で出力する出力ステップをさらに実行してもよい。この場合、ユーザは、ステータス情報の内容を、所定のレポート形式によって容易に把握することができる。
【0018】
なお、レポート形式は、ステータス情報のグラフを含む形式であってもよい。また、レポート形式は、ステータス情報のグラフと項目名を含む形式であってもよい。レポート形式は、複数のステータス情報のグラフと項目名を並べた形式であってもよい。また、レポート形式は、表示方式が予め定められたテンプレートに、生成されたステータス情報を当てはめる形式であってもよい。この場合、ユーザは、所定の方式で表示されるステータス情報を見ることで、表示方式が定まっていない場合に比べて容易に使用状況を把握することができる。また、制御部は、ユーザによって入力された指示に応じて、テンプレートの内容(例えば、出力するステータス情報の数および種類、ステータス情報を表示する位置、大きさ、および色等の少なくともいずれか)を設定してもよい。この場合、ユーザは、自らが所望するテンプレートに従って、ステータス情報の内容を確認することができる。また、ステータス情報を出力する方法は、例えば、表示部に表示させて出力する方法でもよいし、印刷装置に印刷させて出力する方法でもよい。
【0019】
加工情報取得ステップにおいて、制御部は、加工具による眼鏡レンズの加工が実際に行われた加工時間の情報と、眼鏡レンズ加工装置に電力が通電された通電時間の情報とを含む加工情報を取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、制御部は、通電時間に対する加工時間の割合を示すステータス情報(以下、「稼働割合情報」という場合もある)を生成してもよい。通電時間に対する加工時間の割合が高い程、眼鏡レンズ加工装置に対する無駄な通電量が少ないので、業務効率が高い。従って、ユーザは、眼鏡レンズの加工業務の適正度を、稼働割合情報によって的確に把握したうえで、以後の加工業務の生産性等を向上させるための各種施策(例えば、眼鏡レンズ加工装置の使用態様の調整、または、人員の配置の調整等)を行うことができる。
【0020】
なお、加工具による眼鏡レンズの加工が実際に行われた加工時間とは、加工駆動部に対する駆動電力の供給が開始されてから停止されるまでの時間であってもよい。この場合、実際の加工時間が、加工駆動部に供給された駆動電力に基づいて適切に算出される。
【0021】
制御部は、複数の時間帯の各々について、稼働割合情報を別々に生成してもよい。この場合、ユーザは、通電時間に対する加工時間の割合を、時間帯に応じて把握することができる。よって、加工業務の適正度がより的確に把握される。
【0022】
また、ステータス情報生成ステップでは、制御部は、加工時間および通電時間の少なくとも一方(望ましくは両方)に基づいて、眼鏡レンズ加工装置における電力消費量および二酸化炭素排出量の少なくともいずれかを示すステータス情報を生成してもよい。
【0023】
加工情報取得ステップにおいて、制御部は、複数の眼鏡レンズの各々を加工するために要した加工時間の情報を取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、制御部は、加工された眼鏡レンズの枚数を、加工時間の長さ毎に示すステータス情報(以下、「加工時間分布情報」という場合もある)を生成してもよい。この場合、ユーザは、眼鏡レンズを加工するために要した加工時間の分布を、加工時間分布情報によって適切に把握することができる。よって、ユーザは、把握した加工時間の分布に基づいて、以後の加工業務の生産性等を適切に向上させることができる。
【0024】
なお、加工時間分布情報を生成するために取得される加工時間は、前述のように、加工駆動部に対する駆動電力の供給が開始されてから停止されるまでの時間であってもよい。また、加工時間は、加工の開始指示が入力されてから、一連の加工動作が終了するまでの時間であってもよい。
【0025】
制御部は、過去に取得された加工時間の情報(つまり、複数の眼鏡レンズの各々を加工するために要した加工時間の情報)に基づいて、複数の眼鏡レンズを加工するために必要と予測される予測時間を算出してもよい。この場合、ユーザは、予測時間を把握したうえで適切に業務を行うことができる。
【0026】
また、制御部は、過去に取得された加工時間の情報(つまり、複数の眼鏡レンズの各々を加工するために要した加工時間の情報)に基づいて、所定時間内に加工可能と予測される眼鏡レンズの枚数を算出してもよい。この場合、ユーザは、所定時間内に加工できる眼鏡レンズの予測枚数を把握したうえで、適切に業務を行うことができる。
【0027】
加工情報取得ステップにおいて、制御部は、複数の眼鏡レンズの各々について、加工前の眼鏡レンズのデータと、加工後の眼鏡レンズのデータを加工情報として取得してもよい。ステータス情報生成ステップにおいて、制御部は、加工前の眼鏡レンズのデータと、加工後の眼鏡レンズのデータに基づいて、加工によって生じる眼鏡レンズの加工カス量の推定値を示すステータス情報(以下、「加工カス量情報」という場合もある)を生成してもよい。この場合、ユーザは、加工カス量の推定値を把握したうえで適切に業務を行うことができる。廃棄物処理量の把握も容易となる。
【0028】
加工情報取得ステップにおいて、制御部は、加工された複数の眼鏡レンズの各々の度数の情報を、加工内容を示す加工情報として取得してもよい。ステータス情報生成ステップにおいて、制御部は、加工された眼鏡レンズの枚数を度数毎に示すステータス情報(以下、「度数分布情報」という場合もある)を生成してもよい。この場合、ユーザは、加工された複数の眼鏡レンズの度数の分布を適切に把握することができる。
【0029】
ステータス情報生成ステップでは、制御部は、眼鏡レンズ加工装置の加工具、および、眼鏡レンズ加工装置において使用される消耗品の少なくともいずれかの消耗度を示す消耗度情報を、ステータス情報として生成してもよい。この場合、加工具および消耗品の少なくともいずれかの部材の消耗度情報が、眼鏡レンズ加工装置における加工情報に基づいて生成される。従って、ユーザは、加工具および消耗品の少なくともいずれかの消耗度を適切に把握することができる。
【0030】
ステータス情報生成ステップでは、制御部は、所定の部材について過去に生成された消耗度情報と、部材が実際に交換されたタイミングの情報とに基づいて、部材の交換が推奨される消耗度を示す交換推奨情報を、消耗度情報と共に前記ステータス情報として生成してもよい。この場合、部材が実際に過去に交換されたタイミングと、その際の消耗度情報とが考慮されることで、交換推奨情報が生成される。従って、ユーザは、部材の交換が推奨される時期を、より適切に把握することができる。
【0031】
なお、制御部は、部材の消耗度情報と交換推奨情報を、同時に表示部に表示させてもよい。この場合、ユーザは、交換推奨情報と消耗度情報を比較することで、部材の交換時期を適切に判断することができる。一例として、制御部は、交換推奨情報が示す消耗度の値に対する、その時点の部材の消耗度の値の割合を、表示部に表示させてもよい。
【0032】
加工情報取得ステップでは、制御部は、周縁加工具が眼鏡レンズに接触して加工しながら眼鏡レンズに対して相対的に移動した加工距離の情報を、加工情報として取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、加工距離の情報に基づいて、周縁加工具の消耗度情報を生成してもよい。この場合には、周縁加工具によって加工された眼鏡レンズの枚数のみに基づいて消耗度情報が生成される場合に比べて、周縁加工具の消耗度がより正確に推定される。
【0033】
なお、制御部は、加工情報取得ステップにおいて、前述した加工距離の情報と共に、周縁加工具によって加工された眼鏡レンズの厚み、および、周縁加工具によって加工された眼鏡レンズの材質の少なくともいずれかの情報を取得してもよい。制御部は、ステータス情報生成ステップにおいて、眼鏡レンズの厚みおよび材質の少なくともいずれかの情報を考慮して、周縁加工具の消耗度情報を生成してもよい。この場合、より正確に周縁加工具の消耗度が推定される。
【0034】
加工情報取得ステップでは、制御部は、眼鏡レンズに穴を開ける加工具である穴あけ加工具が眼鏡レンズに開けた穴の深さ、および穴の径の少なくともいずれかの情報を、加工情報として取得してもよい。制御部は、ステータス情報生成ステップにおいて、穴の深さおよび径の少なくともいずれかの情報に基づいて、穴あけ加工具の消耗度情報を生成してもよい。この場合には、穴あけ加工具によって加工された眼鏡レンズの枚数のみに基づいて消耗度情報が生成される場合に比べて、穴あけ加工具の消耗度がより正確に推定される。
【0035】
なお、制御部は、加工情報取得ステップにおいて、前述した穴の深さ・径の情報と共に、穴あけ加工具によって加工された眼鏡レンズの材質の情報を取得してもよい。制御部は、ステータス情報生成ステップにおいて、眼鏡レンズの材質の情報を考慮して、穴あけ加工具の消耗度情報を生成してもよい。この場合、より正確に穴あけ加工具の消耗度が推定される。
【0036】
加工情報取得ステップでは、制御部は、加工具によって眼鏡レンズが加工された加工時間の情報を取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、制御部は、眼鏡レンズ加工装置による加工動作と連動して駆動される脱臭装置の、活性炭素材の消耗度情報を、加工時間の情報に基づいて生成してもよい。この場合、眼鏡レンズ加工装置の加工時間の情報に基づいて、眼鏡レンズ加工装置に付随して使用される脱臭装置の消耗品の消耗度が適切に生成される。
【0037】
加工情報取得ステップでは、制御部は、眼鏡レンズに取り付けられると共に眼鏡レンズ加工装置のレンズ保持軸が装着されるカップの使用回数の情報と、複数のカップを1つの単位とするカップユニットに含まれるカップの数の情報を、加工情報として取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、制御部は、使用回数の情報とカップの数の情報に基づいて、カップユニットの消耗度情報を生成してもよい。カップを使用する場合、ユーザは、複数のカップを1つの単位とするカップユニットの中から、その都度ランダムに1つのカップを選択して使用する場合が多い。従って、眼鏡レンズ加工装置におけるカップの使用回数の情報と、カップユニットに含まれるカップの数の情報を用いることで、カップユニットに含まれる複数のカップの平均的な消耗度が推定される。よって、ユーザは、カップユニットの消耗度情報に基づいて、カップユニット全体の交換時期等を適切に判断することができる。
【0038】
加工情報取得ステップでは、制御部は、眼鏡レンズが自動で加工されるオートモードが実行された回数の情報と、作業者による操作指示に応じて眼鏡レンズが加工されるマニュアルモードが実行された回数の情報を、加工情報として取得してもよい。ステータス情報生成ステップでは、制御部は、オートモードが実行された回数と、マニュアルモードが実行された回数の割合を示すステータス情報を生成してもよい。この場合、ユーザは、オートモードとマニュアルモードの使用割合を適切に把握したうえで、業務の効率を向上させるための施策等を適切に実行することができる。
【0039】
加工情報取得ステップにおいて、制御部は、加工された眼鏡レンズが装着されるフレームの種類の情報を、加工内容を示す加工情報として取得してもよい。ステータス情報生成ステップにおいて、制御部は、各々のフレームの数の割合を示すステータス情報を生成してもよい。この場合、ユーザは、フレームの数の割合を適切に把握することができる。
【0040】
情報処理装置(制御部)は、複数の眼鏡レンズ加工装置の各々について生成された複数のステータス情報を統合して出力する統合ステップを実行してもよい。この場合、ユーザ(例えば管理者等)は、複数の眼鏡レンズ加工装置の使用状態を、統合されたステータス情報によって効率良く把握することができる。
【0041】
複数のステータス情報を統合するための具体的な方法は、適宜選択できる。ステータス情報が何らかの値を示す場合、制御部は、複数のステータス情報が示す複数の値の合計値または平均値等を算出することで、複数のステータス情報を統合してもよい。例えば、複数の眼鏡レンズ加工装置についての加工カス量推定値の合計値が算出されることで、ユーザは、複数の眼鏡レンズ加工装置による加工カス量の総量を容易に推定することができる。また、制御部は、複数の眼鏡レンズ加工装置についてのステータス情報を並べて出力することで、複数のステータス情報を統合してもよい。この場合、ユーザは、各々の眼鏡レンズ加工装置の使用状況を適切に比較したうえで、生産性等を向上させるための施策を講じることができる。また、制御部は、ユーザによって指定された同一のグループ(例えば、同一の工場内、同一の店舗内、または同一の地域における複数の工場・店舗内等)に属する、複数の眼鏡レンズ加工装置のステータス情報を、統一および出力してもよい。この場合、ユーザは、グループを指定することで、指定したグループ内の複数の眼鏡レンズ加工装置の使用状況を適切に把握することができる。また、統合ステップを実行する制御部と、ステータス情報生成ステップを実行する制御部が異なっていてもよい。例えば、眼鏡レンズ加工装置の制御部が、ステータス情報生成ステップを実行し、複数の眼鏡レンズ加工装置を管理する管理者のPC等の制御部が、統合ステップを実行してもよい。
【0042】
<実施形態>
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。まず、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1について説明する。眼鏡レンズ加工装置1は、眼鏡レンズLEを加工すると共に、眼鏡レンズ加工装置1自身に関する各種情報を処理する。つまり、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、眼鏡レンズ加工装置1に関する情報を処理する情報処理装置を兼ねる。ただし、情報処理装置として、眼鏡レンズ加工装置1とは異なるデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、携帯端末、またはスマートドン等)が用いられてもよい。つまり、後述する眼鏡レンズ加工情報処理プログラムを実行するデバイスは、眼鏡レンズ加工装置1に限定されない。
【0043】
(機械的構成)
図1に示すように、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、レンズ保持部100、レンズ形状測定ユニット200、第1加工具ユニット300、および第2加工具ユニット400を備える。レンズ保持部100は、レンズLEを挟み込んで保持するレンズ保持軸(レンズチャック軸)102R,102Lを備える。さらに、レンズ保持部100は、レンズ回転ユニット100a、保持軸移動ユニット100b、および軸間距離変動ユニット100cを備える。
【0044】
レンズ回転ユニット100aは、一対のレンズ保持軸102R,102Lを軸回りに回転させる。保持軸移動ユニット100bは、レンズ保持軸102R,102Lを軸方向(これをX方向とする)に移動させる。軸間距離変動ユニット100cは、第1加工具ユニット300および第2加工具ユニット400の各々に設けられた加工具(詳細は後述する)の回転軸に対して、レンズ保持軸102R,102Lを接近または離間させる方向(これをY方向とする)に移動させる。また、軸間距離変動ユニット100cは、レンズ形状測定ユニット200とレンズ保持軸102R,102Lの距離を変動させる。
【0045】
以下、眼鏡レンズ加工装置1における各構成の具体例を詳細に説明する。レンズ保持部100は、眼鏡レンズ加工装置1の本体のベース170上に搭載されている。
【0046】
レンズ回転ユニット100aについて説明する。レンズ保持部100のキャリッジ101の右腕101Rにレンズ保持軸102Rが、左腕101Lにレンズ保持軸102Lが、それぞれ回転可能に、且つ互いに同軸となるように保持されている。レンズ保持軸102Rが、右腕101Rに取り付けられたモータ110によってレンズ保持軸102L側に移動されると、レンズLEが2つのレンズ保持軸102R,102Lに挟み込まれて保持される。2つのレンズ保持軸102R,102Lは、右腕101Rに取り付けられたモータ120によって同期して回転される。なお、本実施形態では、レンズLEの所定位置にカップが取り付けられる。レンズ保持軸102R,102Lの一方は、レンズLEに取り付けられたカップに装着される。
【0047】
保持軸移動ユニット100bについて説明する。レンズ保持軸102R,102Lおよび砥石回転軸161aと平行に延びるシャフト103,104に、X軸移動支基140が設けられている。X軸移動支基140は、X軸移動用モータ145の動力によって、シャフト103,104に沿ってX軸方向に移動することができる。キャリッジ101はX軸移動支基140に搭載されている。なお、X軸移動用モータ145の回転軸にはエンコーダ146(図2参照)が設けられている。本実施形態では、エンコーダ146で検知されるレンズ保持軸102R,102LのX方向の位置は、レンズLEの前面および後面の形状を測定するために使用される。
【0048】
軸間距離変動ユニット100cについて説明する。X軸移動支基140には、レンズ保持軸102R,102Lと砥石回転軸161aとを結ぶ方向に延びるシャフト156が固定されている。Y軸移動用モータ150が回転すると、Y方向に延びるボールねじ155が回転する。その結果、キャリッジ101は、シャフト156に沿ってY軸方向に移動する。Y軸移動用モータ150の回転軸には、キャリッジ101のY方向の位置を検出するエンコーダ158が設けられている。
【0049】
レンズ形状測定ユニット200について説明する。本実施形態のレンズ形状測定ユニット200は、キャリッジ101を介して第1加工具ユニット300と反対側の位置において、ベース170に固定されている。レンズ形状測定ユニット200は、レンズコバ位置測定部200F、およびレンズコバ位置測定部200Rを備える。レンズコバ位置測定部200Fは、レンズLEの前面に接触される測定子を有する。レンズコバ位置測定部200Rは、レンズLEの後面に接触される測定子を有する。レンズコバ位置測定部200F,200Rの各々の測定子がレンズLEの前面および後面に接触された状態で、玉型データに基づいてキャリッジ101がY軸方向に移動され、且つレンズ保持軸102R,102Lが回転されることで、レンズLEの前面および後面のコバ位置が同時に測定される。レンズコバ位置測定部200F,200Rの構成には、例えば、特開2003-145328号公報に記載された構成等を使用できる。
【0050】
第1加工具ユニット300について説明する。第1加工具ユニット300は、レンズ加工具の1つである周縁加工具168を備える。本実施形態の周縁加工具168は、ガラス用粗砥石162、レンズにヤゲンを形成するV溝(ヤゲン溝)及び平坦加工面を持つ仕上げ用砥石164、平鏡面仕上げ用砥石165、高カーブレンズの仕上げ用砥石166、プラスチック用粗砥石167、等を備える。周縁加工具168の複数の砥石は、砥石回転軸(砥石スピンドル)161aに同軸に取り付けられている。砥石回転軸161aは、モータ(周縁加工駆動部)160によって回転される。レンズ保持軸102L,102Rによって保持されたレンズLEの周縁は、周縁加工具168に圧接されて加工される。
【0051】
第2加工具ユニット400について説明する。第2加工具ユニット400は、仕上げ加工具、穴あけ加工具、およびモータ421、およびモータ471等を備える。仕上げ加工具は、回転軸を中心として軸回りに回転することで、レンズLEの周縁の仕上げ加工(例えば、溝掘り加工、ヤゲン形成加工、段差形成加工等の少なくともいずれか)を行う。穴あけ加工具は、レンズLEに穴を形成する。本実施形態の穴あけ加工具は、回転軸を中心として軸回りに回転しながら軸方向に移動することで、軸方向に延びる穴をレンズLEに形成する。モータ421は、仕上げ加工具および穴あけ加工具を回転させる。モータ471は、仕上げ加工具および穴あけ加工具を旋回させる。
【0052】
(電気的構成)
図2を参照して、眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1の電気的構成について説明する。眼鏡レンズ加工装置1は、眼鏡レンズ加工装置1の制御を司るCPU(プロセッサ)2を備える。CPU2には、RAM3、ROM4、不揮発性メモリ5、操作部6、表示部(ディスプレイ)7、および外部通信I/F8、バスを介して接続されている。さらに、CPU2には、前述したモータ等の各種デバイス(モータ110、モータ120、X軸移動用モータ145、Y軸移動用モータ150、モータ160、モータ421、モータ471、エンコーダ146、エンコーダ158)が、バスを介して接続されている。
【0053】
RAM3は、各種情報を一時的に記憶する。ROM4には、各種プログラム、初期値等が記憶されている。不揮発性メモリ5は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体(例えば、フラッシュROM,ハードディスクドライブ等)である。不揮発性メモリ5には、眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1の動作を制御するための制御プログラム(例えば、眼鏡レンズ加工情報処理プログラム等)が記憶されていてもよい。操作部6は、作業者からの各種指示の入力を受け付ける。例えば、表示部7の表面に設けられたタッチパネル、または操作ボタン等を操作部6として用いてもよい。表示部7は、レンズLEの形状、フレームの形状等の各種情報を表示することができる。また、眼鏡レンズ加工装置1は、後述するステータス情報を表示部7に表示(出力)させることも可能である。外部通信I/F8は、眼鏡レンズ加工装置1を外部機器に接続する。
【0054】
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、外部通信I/F8を介して脱臭装置9と接続されている。脱臭装置9は、眼鏡レンズ加工装置1による加工動作(詳細には、周縁加工具168による加工動作)と連動して、脱臭機能を駆動させる。脱臭装置9には、脱臭を行うための活性炭素材が設けられている。活性炭素材の脱臭効果は、脱臭機能の駆動時間に応じて低下する。活性炭素材の脱臭効果が低下すると、ユーザは、活性炭素材を新品に交換する必要がある。
【0055】
(ステータス情報の概要)
図3を参照して、眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が生成・出力するステータス情報の概要について説明する。本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、眼鏡レンズの加工内容および加工時間の少なくともいずれかを示す加工情報を処理することで、眼鏡レンズ加工装置1の使用状態を示すステータス情報を生成して出力することができる。従って、ユーザは、加工の状況に基づいて装置の使用状態を自ら推測しなくても、ステータス情報によって客観的に眼鏡レンズ加工装置の使用状態を把握することができる。
【0056】
図3に示す例では、眼鏡レンズ加工装置1は、複数のステータス情報を、表示部55に表示させることで出力している。しかし、ステータス情報の出力方法を変更することも可能である。例えば、眼鏡レンズ加工装置1は、外部通信I/F8(図2参照)によって、眼鏡レンズの加工業務を管理する管理者のデバイスにステータス情報を送信することで、ステータス情報を出力してもよい。この場合、管理者は、眼鏡レンズ加工装置1の使用状態を、自らが使用するデバイスによって客観的に確認することができる。
【0057】
また、図3に示すように、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、生成したステータス情報を、加工情報の処理結果(分析結果)をユーザに報告するための所定のレポート形式で出力する。従って、情報の出力形式がその都度変更される場合に比べて、ユーザはステータス情報の内容を把握し易い。本実施形態におけるステータス情報のレポート形式は、ステータス情報のグラフと項目名を含む形式である。よって、ユーザは、グラフと項目名によって適切にステータス情報を把握することができる。また、本実施形態におけるステータス情報のレポート形式は、複数のステータス情報のグラフと項目名を並べた形式である。よって、ユーザは、複数のステータス情報を容易に把握することができ、複数のステータス情報の比較も容易である。さらに、本実施形態におけるステータス情報のレポート形式は、表示方式(本実施形態では、各情報の表示位置も含む)が予め定められたテンプレートに、生成されたステータス情報(グラフ)を当てはめる形式である。従って、ユーザは、表示方式等が定まっていない場合に比べて、容易に眼鏡レンズ加工装置1の使用状況を把握することができる。制御部(例えばCPU2等)は、ユーザによって入力された指示に応じて、テンプレートの内容(例えば、出力するステータス情報の数および種類、ステータス情報を表示する位置、大きさ、および色等の少なくともいずれか)を設定する。従って、ユーザは、自らが所望するテンプレートに従ってステータス情報の内容を確認することができる。以下、各々のステータス情報の内容、および生成方法等について、詳細に説明する。
【0058】
(稼働割合情報)
稼働割合情報について説明する。稼働割合情報とは、眼鏡レンズ加工装置1における、通電時間に対する加工時間の割合を示す情報である。通電時間とは、眼鏡レンズ加工装置1に電力が通電された時間である。加工時間とは、加工具(本実施形態では、周縁加工具168、仕上げ加工具、および穴あけ加工具)による眼鏡レンズの加工が実際に行われた時間である。図3に示すように、本実施形態では、稼働割合情報は稼働割合グラフ(Power ON/Operation Time graph)10によって出力(表示または印刷)される。通電時間に対する加工時間の割合が高い程、眼鏡レンズ加工装置に対する無駄な通電量が少ないので、業務効率が高い。従って、通電時間および加工時間の一方のみを稼働割合情報として出力する場合に比べて、業務の適正度がより適切にユーザによって把握される。ユーザは、稼働割合情報によって業務の適正度を的確に把握したうえで、以後の加工業務の生産性を向上させるための各種施策(例えば、眼鏡レンズ加工装置1の使用態様の調整、または、人員の配置等)を行うことができる。ただし、通電時間および加工時間の一方を稼働割合情報として出力することも可能である。
【0059】
図4を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する稼働割合情報生成処理について説明する。眼鏡レンズ加工装置1のCPU2は、ステータス情報の生成を開始させる指示を入力すると、眼鏡レンズ加工情報処理プログラムに従って、稼働割合情報生成処理を実行する。なお、図5以降の処理も、図4の処理と同様に、CPU2が眼鏡レンズ加工情報処理プログラムに従って実行する。
【0060】
まず、CPU2は、分析対象期間を設定する(S10)。分析対象期間とは、加工情報を処理(分析)してステータス情報を生成する対象とする期間である。分析対象期間は、例えば、日、週、月、年等の期間であってもよい。また、分析対象期間は、分析を行う時点から直近の日または週等の期間であってもよいし、過去のいずれかの日または週等の期間であってもよい。CPU2は、ユーザによって入力された指示(例えば、操作部6が操作されることで入力された指示)に応じて分析対象期間を設定してもよい。また、複数の分析対象期間が設定されていてもよい。この場合、後述するS11~S13の処理は、複数の分析対象期間の各々について実行される。一例として、図3に示す稼働割合グラフ10は、分析対象期間を過去のいずれかの日として生成されている。また、図3に示す例では、複数の分析対象期間の各々について予め稼働割合情報が生成されており、分析対象期間変更ボタンである「Day」がユーザによって操作されることで、稼働割合グラフ10が表示される分析対象期間(期間の長さ、および期間の開始・終了時の少なくともいずれか)が変更される。なお、図3に示す全てのグラフは一例に過ぎず、グラフの詳細を変更してもよいことは言うまでもない。
【0061】
次いで、CPU2は、S10で設定した分析対象期間内に、複数の集計期間を設定する(S11)。各集計期間の長さは、分析対象期間の長さに応じて定められていてもよい。例えば、図3の稼働割合グラフ10が示すように、分析対象期間が日である場合には、集計期間の長さは1時間であってもよい。また、分析対象期間が週または月である場合、集計期間の長さは1日であってもよい。また、CPU2は、集計期間の長さを、ユーザによって入力された指示(例えば、操作部6が操作されることで入力された指示)に応じて設定してもよい。
【0062】
CPU2は、分析対象期間内に設定した複数の集計期間毎に、加工時間および通電時間の情報を、加工情報として取得する。(S12)。本実施形態では、加工時間および通電時間の情報は、不揮発性メモリ5に予め記憶されている。なお、本実施形態における加工時間とは、加工具を駆動する加工駆動部(例えば、モータ160、およびモータ421等)に対する駆動電力の供給が開始されてから停止されるまでの時間の長さである。従って、実際の加工時間が、加工駆動部に供給された駆動電力に基づいて適切に算出される。ただし、加工時間の取得方法を変更することも可能である。例えば、駆動電力の供給時間を監視する加工駆動部には、各部を移動させるための駆動部(例えば、X軸移動用モータ145およびY軸移動用モータ150等)も含まれていてもよい。また、眼鏡レンズの加工開始指示が入力されてから、一例の眼鏡レンズの加工動作が終了するまでの時間が、加工時間として取得されてもよい。
【0063】
CPU2は、加工時間および通電時間を処理し、集計期間毎に稼働割合情報を生成する(S13)。例えば、「集計期間の長さ:加工時間の長さ:通電時間の長さ=60分:10分:30分」のように、加工時間および通電時間が処理されてもよい。CPU2は、集計期間毎に生成した稼働割合情報に基づいて、稼働割合グラフ10を生成し、出力(例えば、表示または印刷等)を行う(S14)。
【0064】
図3に例示する稼働割合グラフ10は、ある1日を分析対象期間とし、分析対象期間に含まれる複数の集計期間(図3では、8時から18時までの1時間毎の集計期間)の各々について、通電時間に対する稼働時間の割合を示している。以上のように、CPU2は、複数の集計期間内の各々の加工情報を処理することで、集計期間毎の眼鏡レンズ加工装置1の使用状態の経時変化を示すステータス情報(図3では稼働割合情報)を生成する。つまり、CPU2は、複数の時間帯の各々について、ステータス情報を別々に生成する。さらに換言すると、本実施形態の稼働割合情報には少なくとも時間に関するパラメータが含まれており、時間と、加工情報の処理結果の相関関係が稼働割合情報によって示される。従って、ユーザは、使用状態の経時変化を適切に把握したうえで、各種施策を行うことが可能である。例えば、通電時間の長さに対する加工時間の長さがの割合が極端に低い時間帯については、装置に対する通電を遮断し、且つ人員の配置を行わないように調整することで、生産性を向上させることが可能である。
【0065】
ただし、CPU2は、特定の1つの集計期間内の加工情報を処理することで、特定の集計期間内の稼働割合情報を生成してもよい。この場合、S11では、CPU2は、分析対象期間自体を1つの集計期間に設定すればよい。また、CPU2は、複数の分析対象期間内における、同一の集計期間同士の稼働割合の平均値または合計値等を算出してもよい。この場合、複数の分析対象期間を通じた稼働割合の傾向が、容易に把握される。また、CPU2は、複数の眼鏡レンズ加工装置1についての、同一の集計期間同士の稼働割合の平均値または合計値等を算出(統合)してもよい。
【0066】
(加工時間分布情報)
加工時間分布情報について説明する。加工時間分布情報とは、眼鏡レンズ加工装置1によって加工された眼鏡レンズの枚数を、各々の眼鏡レンズを加工するために要した加工時間の長さ毎に示す情報である。図3に示すように、本実施形態では、加工時間分布情報は加工時間分布グラフ(Process time distribution graph)20によって出力(表示または印刷)される。ユーザは、眼鏡レンズを加工するために要した加工時間の分布を、加工時間分布情報によって適切に把握することができる。
【0067】
図5を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する加工時間分布情報生成処理について説明する。まず、CPU2は、分析対象期間を設定する(S20)。分析対象期間とは、加工情報を処理(分析)してステータス情報を生成する対象とする期間である。分析対象期間の詳細については、前述したS10(図4参照)と同様である。CPU2は、ユーザによって入力された指示に応じて分析対象期間を設定してもよいし、複数の分析対象期間を設定してもよい。なお、図3に示す加工時間分布グラフ20は、分析対象期間を過去のいずれかの日として生成されている。また、図3に示す例では、複数の分析対象期間の各々について予め加工時間分布情報が生成されており、分析対象期間変更ボタンである「Day」がユーザによって操作されることで、加工時間分布グラフ20が表示される分析対象期間が変更される。
【0068】
CPU2は、分析対象期間内に眼鏡レンズ加工装置1によって加工された眼鏡レンズ毎に、加工に要した加工時間の情報を取得する(S21)。本実施形態では、眼鏡レンズ毎の加工時間の情報は、不揮発性メモリ5に予め記憶されている。なお、S21で取得される加工時間は、前述のように、加工駆動部に対する駆動電力の供給が開始されてから停止されるまでの時間であってもよいし、加工開始指示が入力されてから加工動作が終了するまでの時間であってもよい。
【0069】
CPU2は、加工時間の情報と、加工枚数の情報を処理することで、加工された眼鏡レンズの枚数を加工時間の長さ毎に示す加工時間分布情報を生成する(S22)。CPU2は、生成した加工時間分布情報に基づいて、加工時間分布グラフ20を生成し、出力する(S23)。図3に例示する加工時間分布グラフ20は、ある1日を分析対象期間とし、分析対象期間内に加工された眼鏡レンズの枚数を、加工時間毎に示している。本実施形態の加工時間分布情報には少なくとも時間に関するパラメータが含まれており、加工時間と枚数の相関関係が加工時間分布情報によって示される。ユーザは、把握した加工時間の分布に基づいて、以後の加工業務の生産性等を適切に向上させることができる。
【0070】
また、CPU2は、過去に取得した加工時間の情報に基づいて、予測時間および加工可能枚数の少なくともいずれかを算出する(S24)。予測時間とは、複数の眼鏡レンズを加工するために必要と予測される時間である。また、加工可能枚数とは、所定時間内に加工可能と予測される眼鏡レンズの枚数である。ユーザは、予測時間および加工可能枚数の情報に基づいて、より適切に業務を行うことができる。
【0071】
(度数分布情報)
度数分布情報について説明する。度数分布情報とは、眼鏡レンズ加工装置1によって加工された眼鏡レンズの枚数を、加工された眼鏡レンズの度数毎に示す情報である。図3に示すように、本実施形態では、度数分布情報は度数分布グラフ(Diopter distribution graph)30によって出力(表示または印刷)される。ユーザは、加工された複数の眼鏡レンズの度数の分布を、度数分布情報によって適切に把握することができる。
【0072】
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する度数分布情報生成処理の流れは、前述した加工時間分布情報生成処理の一部と類似する。まず、CPU2は、分析対象期間を設定する。なお、図3に示す度数分布グラフ30は、分析対象期間を過去のいずれかの日として生成されている。また、図3に示す例では、複数の分析対象期間の各々について予め度数分布情報が生成されており、分析対象期間変更ボタンである「Day」がユーザによって操作されることで、度数分布グラフ30が表示される分析対象期間が変更される。
【0073】
CPU2は、分析対象期間内に眼鏡レンズ加工装置1によって加工された眼鏡レンズ毎に、眼鏡レンズの度数の情報を取得する。CPU2は、加工枚数と度数の情報を処理することで、度数分布情報を生成する。CPU2は、生成した度数分布情報に基づいて、度数分布グラフ30を生成し、出力する。
【0074】
(加工カス量情報)
加工カス量情報について説明する。加工カス量情報とは、加工によって生じた眼鏡レンズの加工カス量の推定値を示す情報である。図3に示すように、本実施形態では、加工カス量情報は加工カス量グラフ(Debris quantity graph)40によって出力される。ユーザは、加工カス量情報によって、加工カス量の推定値を適切に把握することができる。
【0075】
図6を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する加工カス量情報生成処理について説明する。加工カス量情報生成処理の流れは、前述した稼働割合情報生成処理の一部と類似する。まず、CPU2は、分析対象期間を設定する(S40)。分析対象期間の詳細については、前述したS10(図4参照)と同様である。一例として、図3に示す加工カス量グラフ40は、分析対象期間を過去のいずれかの月として生成されている。また、図3に示す例では、複数の分析対象期間の各々について予め加工カス量情報が生成されており、分析対象期間変更ボタンである「Month」がユーザによって操作されることで、加工カス量グラフ40が表示される分析対象期間(期間の長さ、および期間の開始・終了時の少なくともいずれか)が変更される。
【0076】
次いで、CPU2は、S40で設定した分析対象期間内に、複数の集計期間を設定する(S41)。前述したように、各集計期間の長さは分析対象期間の長さに応じて定められていてもよい。また、CPU2は、集計期間の長さを、ユーザによって入力された指示に応じて設定してもよい。
【0077】
CPU2は、分析対象期間内に設定した複数の集計期間毎に、加工前の眼鏡レンズのデータと、加工後の眼鏡レンズのデータを、加工された各々の眼鏡レンズ毎に取得する(S42)。加工前の眼鏡レンズのデータとは、例えば、眼鏡レンズの形状の測定結果のデータ等であってもよい。また、加工後の眼鏡レンズのデータとは、例えば、加工後のレンズの玉型データ等であってもよい。
【0078】
CPU2は、加工前後の眼鏡レンズのデータを処理し、集計期間毎に加工カス量情報を生成する(S43)。CPU2は、集計期間毎に生成した加工カス量情報に基づいて、加工カス量グラフ40を生成し、出力する(S44)。
【0079】
図3に例示する加工カス量グラフ40は、ある1か月を分析対象期間とし、分析対象期間に含まれる複数の集計期間(図3では、1日毎の集計期間)の各々について、加工カス量の推定値を示している。以上のように、CPU2は、複数の集計期間内の各々の加工情報を処理することで、集計期間毎の眼鏡レンズ加工装置1の使用状態の経時変化を示すステータス情報(図3では加工カス量情報)を生成する。つまり、CPU2は、複数の時間帯の各々について、ステータス情報を別々に生成する。さらに換言すると、本実施形態の稼働割合情報には少なくとも時間に関するパラメータが含まれており、時間と、加工情報の処理結果の相関関係が稼働割合情報によって示される。従って、ユーザは、使用状態の経時変化を適切に把握することが可能である。
【0080】
ただし、CPU2は、特定の1つの集計期間内の加工カス量情報を生成してもよい。また、CPU2は、複数の分析対象期間内における、同一の集計期間同士の加工カス量の平均値または合計値等を算出してもよい。
【0081】
また、本実施形態では、複数の眼鏡レンズ加工装置1の各々によって生成されたステータス情報が、管理者のPC(以下、「管理用PC」という)に送信される。管理用PCのCPUは、複数の眼鏡レンズ加工装置1の各々について生成された複数のステータス情報を統合して出力する。詳細には、管理用PCのCPUは、管理者によって指定された同一のグループ(例えば、同一の工場内、同一の店舗内、または同一の地域内)に属する複数の眼鏡レンズ加工装置1の加工カス量情報を統合(本実施形態では、複数の加工カス量の推定値の合計値を算出)し、出力する。従って、ユーザは、複数の眼鏡レンズ加工装置1によって生じる加工カス量の合計値を、効率良く把握することができる。
【0082】
(周縁加工具消耗度情報)
周縁加工具の消耗度情報について説明する。周縁加工具の消耗度情報とは、周縁加工具168の消耗度を示すステータス情報である。ユーザは、周縁加工具168の消耗度を、周縁加工具消耗度情報によって適切に把握することができる。特に、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1は、部材(この場合は周縁加工具)の交換が推奨される消耗度を示す交換推奨情報を、消耗度情報と共にステータス情報として生成する。従って、ユーザは、部材の交換が推奨される時期を、より適切に把握することができる。
【0083】
図3に示すように、本実施形態では、周縁加工具168の消耗度情報および交換推奨情報は、周縁加工具消耗度グラフ50によって出力される。図3に示すグラフによると、消耗度情報と交換推奨情報が同時に示されるので、より適切に交換時期が判断される。本実施形態における全ての消耗度グラフは、交換推奨情報が示す値を100%とする円グラフ上で、消耗度情報が示す値の割合を表示する。しかし、消耗度グラフの詳細を変更できることは言うまでもない。例えば、円グラフの代わりに棒グラフが用いられてもよい。
【0084】
図7を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する周縁加工具消耗度算出処理について説明する。CPU2は、その時点で使用されている周縁加工具168によって眼鏡レンズが加工された際の、加工距離の情報を取得する(S50)。加工距離の情報とは、周縁加工具168が眼鏡レンズに接触して加工しながら眼鏡レンズに対して相対的に移動した距離の情報である。従って、加工されたレンズの枚数のみに基づいて消耗度情報が生成される場合に比べて、より正確に消耗度が推定される。なお、加工距離の情報は、その時点で使用されている周縁加工具168が眼鏡レンズ加工装置1に装着された以後の、複数回の加工時の各々について取得される。
【0085】
CPU2は、複数回の加工時の各々について、加工された眼鏡レンズの厚みおよび材質の少なくともいずれかの情報(本実施形態では両方の情報)を取得する(S51)。次いで、CPU2は、複数回の加工時の各々について、S50で取得された加工距離の情報と、S51で取得された厚み・材質の情報とを処理することで、各加工時の周縁加工具168の消耗度を算出する(S52)。一例として、本実施形態では、CPU2は、S50で取得された加工距離に、厚み・材質に応じた係数をかけることで、各加工時の周縁加工具168の消耗度を算出する。厚みが大きければ係数は大きくなり、厚みが小さくなれば係数は小さくなる。また、材質の硬度が大きい程、係数は大きくなる。CPU2は、その時点で使用されている周縁加工具168が眼鏡レンズ加工装置1に装着された以後の、各加工時の消耗度を累積して、周縁加工具168の消耗度情報を生成する(S53)。
【0086】
CPU2は、過去に使用されていた周縁加工具が新しい周縁加工具に交換されたタイミングの情報と、過去に使用されていた周縁加工具について生成された消耗度情報とに基づいて、交換推奨情報を生成する(S54)。前述したように、交換推奨情報とは、部材の交換が推奨される消耗度を示す情報である。本実施形態では、過去の消耗度情報および交換タイミングの情報は、不揮発性メモリ5に記憶されている。一例として、本実施形態では、過去に使用されていた周縁加工具が新しい周縁加工具に交換されたタイミングの消耗度情報そのものが、交換推奨情報とされる。なお、過去に複数の周縁加工具が交換されている場合には、複数の周縁加工具に関する交換推奨情報の値の平均値が算出されてもよい。また、他の眼鏡レンズ加工装置における交換推奨情報が用いられてもよい。また、交換推奨情報として、予め定められた値が用いられてもよい。その後、CPU2は、周縁加工具消耗度グラフ50を生成し、出力する(S55)。
【0087】
(穴あけ加工具消耗度情報)
穴あけ加工具の消耗度情報について説明する。穴あけ加工具の消耗度情報とは、穴あけ加工具の消耗度を示すステータス情報である。ユーザは、穴あけ加工具の消耗度を、穴あけ加工具消耗度情報によって適切に把握することができる。本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1は、周縁加工具と同様に、穴あけ加工具の交換が推奨される消耗度を示す交換推奨情報を、消耗度情報と共にステータス情報として生成する。図3に示すように、本実施形態では、穴あけ加工具の消耗度情報および交換推奨情報は、穴あけ加工具消耗度グラフ60によって出力される。
【0088】
図8を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する穴あけ加工具消耗度算出処理について説明する。CPU2は、その時点で使用されている穴あけ加工具によって眼鏡レンズが加工された際の、形成された穴の深さおよび穴の径の少なくともいずれか(本実施形態では両方)の情報を取得する(S60)。なお、穴の深さ・径の情報は、その時点で使用されている穴あけ加工具が眼鏡レンズ加工装置1に装着された以後の、複数回の穴あけ加工時の各々について取得される。
【0089】
CPU2は、複数回の加工時の各々について、加工された眼鏡レンズの材質の情報を取得する(S61)。次いで、CPU2は、複数回の加工時の各々について、S60で取得された穴の深さ・径の情報と、S61で取得された材質の情報とを処理することで、各加工時の穴あけ加工具の消耗度を算出する(S62)。一例として、本実施形態では、CPU2は、S60で取得された穴の深さ・径に応じた値に、材質に応じた係数をかけることで、各加工時の穴あけ加工具の消耗度を算出する。材質の硬度が大きい程、係数は大きくなる。CPU2は、その時点で使用されている穴あけ加工具が眼鏡レンズ加工装置1に装着された以後の、各加工時の消耗度を累積して、周縁加工具168の消耗度情報を生成する(S63)。
【0090】
CPU2は、過去に使用されていた穴あけ加工具が新しい穴あけ加工具に交換されたタイミングの情報と、過去に使用されていた周縁加工具について生成された消耗度情報とに基づいて、交換推奨情報を生成する(S64)。この処理の流れは、前述したS54の処理の流れと同様であるため、詳細な説明は省略する。その後、CPU2は、穴あけ加工具消耗度グラフ60を生成し、出力する(S65)。
【0091】
(活性炭素材消耗度情報)
脱臭装置9の活性炭素材の消耗度情報について説明する。前述したように、本実施形態の脱臭装置9は、眼鏡レンズ加工装置1による加工動作(詳細には、周縁加工具168による加工動作)と連動して駆動される。脱臭装置9の活性炭素材の脱臭効果は、脱臭動作の駆動時間に応じて低下するため、必要に応じて交換する必要がある。本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1は、活性炭素材の交換が推奨される消耗度を示す交換推奨情報を、消耗度情報と共にステータス情報として生成する。図3に示すように、本実施形態では、活性炭素材の消耗度情報および交換推奨情報は、活性炭素材消耗度グラフ70によって出力される。
【0092】
図9を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行する活性炭素材消耗度算出処理について説明する。CPU2は、その時点で使用されている活性炭素材の使用が開始された以後の、眼鏡レンズ加工装置1における加工時間の累積値を取得する(S70)。本実施形態のS70では、周縁加工具168による加工時間の累積値が取得される。
【0093】
CPU2は、S70で取得された加工時間の累積値に基づいて、その時点で使用されている活性炭素材の消耗度情報を生成する(S71)。前述したように、本実施形態の脱臭装置9は、眼鏡レンズ加工装置1による加工動作(詳細には、周縁加工具168による加工動作)と連動して脱臭機能を駆動させる。従って、本実施形態のS71では、S70で取得された加工時間の累積値に比例する値が、活性炭素材の消耗度情報として生成される。
【0094】
CPU2は、過去に使用されていた活性炭素材が新品に交換されたタイミングの情報と、過去に使用されていた活性炭素材について生成された消耗度情報とに基づいて、交換推奨情報を生成する(S72)。この処理の流れは、前述したS54の処理の流れと同様である。その後、CPU2は、活性炭素材消耗度グラフ70を生成して出力する(S73)。
【0095】
(カップユニット消耗度情報)
カップユニットの消耗度情報について説明する。前述したように、本実施形態では、眼鏡レンズの所定位置にカップが取り付けられた後、レンズ保持軸102R,102Lの一方が、レンズLEに取り付けられたカップに装着される。カップを使用する場合、ユーザは、複数のカップを1つの単位とするカップユニットの中から、その都度ランダムに1つのカップを選択して使用する場合が多い。従って、カップの消耗が進行した場合には、カップユニットの全体が交換される。図3に示すように、本実施形態では、カップユニットの消耗度情報および交換推奨情報は、カップユニット消耗度グラフ80によって出力される。
【0096】
図9を参照して、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(情報処理装置)1が実行するカップユニット消耗度算出処理について説明する。CPU2は、その時点で使用されているカップユニットの使用開始以後の、カップの使用回数の情報を取得する(S80)。本実施形態では、カップの使用回数は、眼鏡レンズの加工枚数と一致する。次いで、CPU2は、その時点で使用されているカップユニットに含まれるカップの数の情報を取得する(S81)。
【0097】
CPU2は、S80で取得されたカップの使用回数の情報と、S81で取得されたカップの数の情報に基づいて、使用中のカップユニットの消耗度情報を生成する(S82)。前述したように、ユーザは、カップユニットの中からその都度ランダムに1つのカップを選択して使用する場合が多い。従って、例えば、カップの使用回数を、カップユニットに含まれるカップの数で割った値等が、カップユニットの消耗度情報として生成されてもよい。
【0098】
CPU2は、過去に使用されていたカップユニットが新しいカップユニットに交換されたタイミングの情報と、過去に使用されていたカップユニットについて生成された消耗度情報とに基づいて、交換推奨情報を生成する(S83)。この処理の流れは、前述したS54の処理の流れと同様であるため、詳細な説明は省略する。その後、CPU2は、カップユニット消耗度グラフ80を生成し、出力する(S84)。
【0099】
(オート・マニュアル割合情報)
オート・マニュアル割合情報とは、眼鏡レンズ加工装置1において、オードモードが実行された回数と、マニュアルモードが実行された回数の割合を示すステータス情報である。オートモードとは、眼鏡レンズが自動で加工されるモードである。マニュアルモードとは、作業者による操作指示に応じて眼鏡レンズが加工されるモードである。CPU2は、オートモードが実行された回数の情報と、マニュアルモードが実行された回数の情報を取得し、取得した回数の情報に基づいてオート・マニュアル割合情報を取得する。図3に示すように、本実施形態では、オート・マニュアル割合情報は、オート・マニュアル割合グラフ90によって出力される。
【0100】
(フレーム種類割合情報)
フレーム種類割合情報とは、眼鏡レンズ加工装置1によって加工された眼鏡レンズが装着されるフレームの種類(例えば、メタルフレーム、セル、ナイロールフレーム、およびリムレス等)の割合を示すステータス情報である。CPU2は、加工された眼鏡レンズが装着されるフレームの数を種類毎に示す情報を、加工内容を示す加工情報として取得する。CPU2は、取得した情報に基づいて、フレーム種類割合情報を生成する。図3に示すように、本実施形態では、フレーム種類割合情報は、フレーム種類割合グラフ99によって出力される。
【0101】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態で例示した複数の処理の一部のみを実施することも可能である。また、上記実施形態では、複数の加工カス量情報を統合して出力する場合について例示した。しかし、加工カス量情報以外のステータス情報を統合することも可能である。複数のステータス量の統合方法は、合計値を算出する方法に限定されない。例えば、平均値等が算出されてもよい。また、複数のステータス情報が並べて出力されることで、複数のステータス情報が統合されてもよい。
【0102】
なお、図4のS12、図5のS21、図6のS42、図7のS50,S51、図8のS60,S61、図9のS70、図10のS80,S81で加工情報を取得する処理は、「加工情報取得ステップ」の一例である。図4のS13、図5のS22、図6のS43、図7のS52,S53,S54、図8のS62,S63,S64、図9のS71,S72、図19のS82,S83でステータス情報を生成する処理は、「ステータス情報生成ステップ」の一例である。
【符号の説明】
【0103】
1 眼鏡レンズ加工装置
2 CPU
7 表示部
9 脱臭装置
10 稼働割合グラフ
20 加工時間分布グラフ
30 度数分布グラフ
40 加工カス量グラフ
50 周縁加工具消耗度グラフ
60 穴あけ加工具消耗度グラフ
70 活性炭素材消耗度グラフ
80 カップユニット消耗度グラフ
90 オート・マニュアル割合グラフ
99 フレーム種類割合グラフ
160 モータ
168 周縁加工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10