(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241001BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241001BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241001BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G06F3/12 361
G06F3/12 310
G06F3/12 334
G06F3/12 373
G06F3/12 326
G06F3/12 364
G03G21/00 510
B41J29/38 301
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2020155975
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】駒沢 寿夫
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-225660(JP,A)
【文献】特開平11-134144(JP,A)
【文献】特開2010-272005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 29/00 -29/70
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
特定の成果物を得られるように構成された媒体処理システムであって、処理要求に基づき記録媒体に対する処理を行った媒体処理システムにて発生した処理不良についての情報である不良情報を取得し、
取得した前記不良情報に基づき、
前記処理不良の要因となった処理を行う構成とは異なる構成により前記特定の成果物を得られる媒体処理システムを、前記処理要求を実行する他の媒体処理システムである代替処理システム
として特定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記不良情報により特定される処理不良の発生状況であって、前記他の媒体処理システムの各々における当該処理不良の発生状況に基づき、前記処理要求を実行する当該他の媒体処理システムである前記代替処理システムを特定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記他の媒体処理システムの各々における前記処理不良の発生回数についての情報に基づき、前記処理要求を実行する当該他の媒体処理システムである前記代替処理システムを特定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記処理不良が発生した前記媒体処理システムにおける当該処理不良の発生回数よりも当該処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記処理不良が発生した前記媒体処理システムにおける当該処理不良の発生回数よりも当該処理不良の発生回数が少なく且つ当該処理不良の発生回数が予め定められた閾値よりも少ない他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たす他の媒体処理システムであって、前記処理不良が発生した前記媒体処理システムが有する装置構成を備えた他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たす他の媒体処理システムであって、当該処理不良が発生した前記媒体処理システムが用いる画像処理用のソフトウエアを用いて入力された画像データに対する処理を行う他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記処理不良の要因となった処理が、連続紙に関する処理である場合、当該連続紙を用いずにカット紙を用いる他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
特定の成果物を得られるように構成された媒体処理システムであって、処理要求に基づき記録媒体に対する処理を行った媒体処理システムにて発生した処理不良についての情報である不良情報を取得する取得機能と、
前記取得機能により取得された前記不良情報に基づき、
前記処理不良の要因となった処理を行う構成とは異なる構成により前記特定の成果物を得られる媒体処理システムを、前記処理要求を実行する他の媒体処理システムである代替処理システム
として特定する特定機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工程管理マネージャが、第2の網状ワークフローから予め設定された選択条件により唯一のワークフローを特定しプロセスジョブ定義ファイルを生成する処理が開示されている。
特許文献2には、画像形成、転写媒体の供給および転写媒体の排出を制御し、さらに転写媒体上の画像を画像読取部で読み取った読取結果を取得し、読取結果に基づいて画像の良否を判定する制御部を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-272762号公報
【文献】特開2019-8116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙などの記録媒体に対する処理を行う媒体処理システムにて処理不良が発生した場合、この媒体処理システムにて実行しようとしていた処理を、他の媒体処理システムへ移行することで、処理を継続できる。
ところで、他の媒体処理システムへ処理を単に移行しただけでは、この他の媒体処理システムでも同様の処理不良が起こるおそれがある。
本発明の目的は、媒体処理システムにて発生した処理不良の内容を考慮せずに、処理を継続するための他の媒体処理システムを特定する場合に比べ、同様の処理不良を発生させる可能性の低い媒体処理システムを特定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、特定の成果物を得られるように構成された媒体処理システムであって、処理要求に基づき記録媒体に対する処理を行った媒体処理システムにて発生した処理不良についての情報である不良情報を取得し、取得した前記不良情報に基づき、前記処理不良の要因となった処理を行う構成とは異なる構成により前記特定の成果物を得られる媒体処理システムを、前記処理要求を実行する他の媒体処理システムである代替処理システムとして特定する情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記不良情報により特定される処理不良の発生状況であって、前記他の媒体処理システムの各々における当該処理不良の発生状況に基づき、前記処理要求を実行する当該他の媒体処理システムである前記代替処理システムを特定する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記他の媒体処理システムの各々における前記処理不良の発生回数についての情報に基づき、前記処理要求を実行する当該他の媒体処理システムである前記代替処理システムを特定する請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理不良が発生した前記媒体処理システムにおける当該処理不良の発生回数よりも当該処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理不良が発生した前記媒体処理システムにおける当該処理不良の発生回数よりも当該処理不良の発生回数が少なく且つ当該処理不良の発生回数が予め定められた閾値よりも少ない他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たす他の媒体処理システムであって、前記処理不良が発生した前記媒体処理システムが有する装置構成を備えた他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たす他の媒体処理システムであって、当該処理不良が発生した前記媒体処理システムが用いる画像処理用のソフトウエアを用いて入力された画像データに対する処理を行う他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記処理不良の要因となった処理が、連続紙に関する処理である場合、当該連続紙を用いずにカット紙を用いる他の媒体処理システムを、前記代替処理システムとして特定する請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、特定の成果物を得られるように構成された媒体処理システムであって、処理要求に基づき記録媒体に対する処理を行った媒体処理システムにて発生した処理不良についての情報である不良情報を取得する取得機能と、前記取得機能により取得された前記不良情報に基づき、前記処理不良の要因となった処理を行う構成とは異なる構成により前記特定の成果物を得られる媒体処理システムを、前記処理要求を実行する他の媒体処理システムである代替処理システムとして特定する特定機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、媒体処理システムにて発生した処理不良の内容を考慮せずに、処理を継続するための他の媒体処理システムを特定する場合に比べ、同様の処理不良を発生させる可能性の低い媒体処理システムを特定でき、処理不良の要因となった処理を実行しない他の媒体処理システムを代替処理システムとして用い、処理不良が発生した媒体処理システムにて得られる予定であった成果物を他の代替処理システムにて得ることができる。
請求項2の発明によれば、代替処理システムの候補となる他の媒体処理システムの各々における処理不良の発生状況を考慮して、代替処理システムとなる他の媒体処理システムを特定できる。
請求項3の発明によれば、代替処理システムの候補となる他の媒体処理システムの各々における処理不良の発生回数についての情報を考慮して、代替処理システムとなる他の媒体処理システムを特定できる。
請求項4の発明によれば、処理不良が発生した媒体処理システムにおける処理不良の発生回数よりもこの処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システムを、代替処理システムとして特定することができる。
請求項5の発明によれば、処理不良の発生回数が予め定められた閾値よりも小さいか否かに関わらず、処理不良が発生した媒体処理システムにおける処理不良の発生回数よりもこの処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システムを代替処理システムとして特定する場合に比べ、処理不良がより生じにくい他の媒体処理システムを代替処理システムとして特定できる。
請求項6の発明によれば、処理不良が発生した媒体処理システムにて得られる予定であった成果物を、代替処理システムにて得ることができる。
請求項7の発明によれば、処理不良が発生した媒体処理システムが用いる画像処理用のソフトウエアとは異なるソフトウエアを用いて入力された画像データに対する処理を行う他の媒体処理システムを代替処理システムとして特定する場合に比べ、処理不良が発生した媒体処理システムにて得られる予定であって成果物と、代替処理システムにて得られる成果物との間に生じる差を小さいものにできる。
請求項8の発明によれば、連続紙に関する処理に起因する処理不良が発生しない他の媒体処理システムを特定できる。
請求項9の発明によれば、媒体処理システムにて発生した処理不良の内容を考慮せずに、処理を継続するための他の媒体処理システムを特定する場合に比べ、同様の処理不良を発生させる可能性の低い媒体処理システムを特定でき、処理不良の要因となった処理を実行しない他の媒体処理システムを代替処理システムとして用い、処理不良が発生した媒体処理システムにて得られる予定であった成果物を他の代替処理システムにて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる印刷システムの構成を示した図である。
【
図2】第1媒体処理システムに設けられた印刷機を示した図である。
【
図3】第1媒体処理システム~第5媒体処理システムの各々の状態を示した図である。
【
図4】管理サーバのハードウエアの構成を示した図である。
【
図5】媒体処理システムの他の一例を示す図である。
【
図6】CPUが代替処理システムを特定する際に実行する処理の一連の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかる印刷システムの構成を示した図である。
本実施形態の印刷システム1には、複数の媒体処理システム100が設けられている。また、この印刷システム1には、この複数の媒体処理システム100に接続される管理サーバ500が設けられている。
複数の媒体処理システム100と、管理サーバ500とは、インターネット回線などの通信回線900を介して相互に接続される。
【0009】
媒体処理システム100の各々には、記録媒体の一例である用紙への印刷を行う印刷機200と、印刷機200による印刷が行われた用紙に対する処理を行う後処理機300とが設けられている。
ここで、印刷機200における印刷の方式は、特に制限されず、印刷機200では、いわゆる電子写真方式を用いた印刷や、インクジェット方式を用いた印刷が行われる。
また、本実施形態では、媒体処理システム100の各々が印刷機能を有しているが、印刷機能は必須ではなく、媒体処理システム100の各々では、例えば、印刷が既に行われた用紙に対する処理のみを行ってもよい。
【0010】
本実施形態では、媒体処理システム100として、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150の5つの媒体処理システム100が設けられている。なお、媒体処理システム100の設置数は、特に制限されず、5以外の数の媒体処理システム100が設けられた構成としてもよい。
また、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150は、1つの工場など共通の場所に設置してもよいし、互いに異なる場所に設置してもよい。
【0011】
第1媒体処理システム110に設けられた印刷機200では、カット紙がセットされ、このカット紙に対する印刷を行う。ここで、カット紙とは、大判の原紙を切断することにより生成された、例えば矩形状の用紙を指す。
第1媒体処理システム110の後処理機300では、印刷機200による印刷が行われたカット紙に対する綴じ処理が行われる。
【0012】
具体的には、第1媒体処理システム110の後処理機300では、いわゆる中綴じが行われる。ここで、「中綴じ」とは、複数枚のカット紙により構成された用紙束のうちの折り処理が施された部分に対して綴じ処理を行うことを指す。
また、第1媒体処理システム110では、印刷機200と後処理機300とはオフラインで接続されており、印刷機200による印刷が行われたこのカット紙は、人手によって、後処理機300へ搬送される。
【0013】
図2は、第1媒体処理システム110に設けられた印刷機200を示した図である。
第1媒体処理システム110の印刷機200には、入力された画像データに対する処理を行う画像処理部111が設けられている。
この画像処理部111は、予め定められた第1処理方式で、この画像データに対する処理を行う。より具体的には、この画像処理部111は、予め定められた第1のソフトウエアである「ラスタライザA」を用いて、画像データに対する処理を行う。具体的には、画像処理部111は、「ラスタライザA」を用い、画像データに対してラスタライズ処理を行う。
【0014】
また、第1媒体処理システム110の印刷機200には、画像処理部111による処理が行われた画像データを用いて用紙への印刷を行う印刷部112が設けられている。この印刷部112は、電子写真方式やインクジェット方式を用いて用紙への印刷を行う。
また、印刷機200には、印刷が終了した後の用紙の検査を行う検査装置113が設けられている。
本実施形態では、印刷が終了した後の用紙がこの検査装置113に搬送されて、各用紙上に形成された画像の検査が行われる。
なお、図示は省略するが、本実施形態では、第2媒体処理システム120(
図1参照)~第5媒体処理システム150の各々に設けられた印刷機200においても、同様に、画像処理部111、印刷部112、検査装置113が設けられている。
【0015】
図3は、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150の各々の状態を示した図である。なお、
図3では、管理サーバ500の図示を省略している。
図3を参照し、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150の各々の状態、および、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150の各々の構成をさらに説明する。
【0016】
図3に示す例では、第1媒体処理システム110の印刷機200にて、過去3か月以内に、文字化けが3回発生している。
言い換えると、第1媒体処理システム110の印刷機200では、過去3か月以内に、用紙(カット紙)上に形成される画像が乱れる画像乱れが3回発生している。
【0017】
第2媒体処理システム120の印刷機200では、カット紙が設置され、このカット紙に対する印刷が行われる。また、第2媒体処理システム120の後処理機300は、印刷機200による印刷が行われたこのカット紙に対して、穴あけ処理を行う。
また、第2媒体処理システム120では、印刷機200と後処理機300とはインラインで接続されており、印刷機200による印刷が行われたカット紙は、自動で、後処理機300へ搬送される。
【0018】
また、第2媒体処理システム120の印刷機200の画像処理部111(不図示)は、上記の第1処理方式とは異なる第2処理方式で、入力された画像データに対する処理を行う。具体的には、この画像処理部111は、予め定められた第2のソフトウエアである「ラスタライザB」を用いて、第2媒体処理システム120に入力された画像データに対する処理を行う。
【0019】
なお、本実施形態では、ラスタライザBは、ラスタライザAに比べ、高品質での処理を行えるようになっている。
その一方で、ラスタライザBは、ラスタライザAに比べ、処理に時間を要する。言い換えると、本実施形態では、ラスタライザAを用いた方が、ラスタライザBを用いた場合よりも、処理速度が大きくなる。
また、この例では、第2媒体処理システム120の印刷機200では、過去3か月以内に、文字化けなどの画像乱れは発生していない。
【0020】
第3媒体処理システム130は、第1媒体処理システム110と同じ装置構成を有している。
第3媒体処理システム130の印刷機200では、カット紙がセットされ、このカット紙に対する印刷が行われる。
また、第3媒体処理システム130の後処理機300は、印刷機200による印刷が行われたこのカット紙に対して、綴じ処理を行う。具体的には、中綴じを行う。
また、第3媒体処理システム130では、印刷機200と後処理機300とはオフラインで接続されており、印刷機200による印刷が行われたカット紙は、人手によって、後処理機300へ搬送される。
【0021】
また、第3媒体処理システム130の印刷機200に設けられた画像処理部111(不図示)は、第2処理方式で、画像データに対する処理を行う。
より具体的には、この画像処理部111は、「ラスタライザB」を用いて、第3媒体処理システム130に入力された画像データに対する処理を行う。
また、第3媒体処理システム130の印刷機200では、過去3か月以内に、文字化けなどの画像乱れは発生していない。
【0022】
第4媒体処理システム140の印刷機200では、ロール状の連続紙がセットされ、この連続紙に対する印刷を行う。また、第4媒体処理システム140では、後処理機300として、第1後処理機310、第2後処理機320が設けられている。
ここで、「連続紙」とは、複数枚のカット紙を得ることができる大きさの原紙を指し、通常は、巻かれた状態となっている。
第1後処理機310は、印刷機200による印刷が行われた連続紙の裁断を行う。
第2後処理機320は、第1後処理機310による裁断により生成された用紙に対して、中綴じを行う。
【0023】
第4媒体処理システム140では、印刷機200と第1後処理機310とはインラインで接続されており、印刷機200による印刷が行われた連続紙は、自動で、第1後処理機310へ搬送される。
また、第4媒体処理システム140では、第1後処理機310と第2後処理機320とはオフラインで接続されており、第1後処理機310による裁断により生成された複数枚の用紙は、人手によって、第2後処理機320へ搬送される。
【0024】
また、第4媒体処理システム140の印刷機200の画像処理部111(不図示)は、第1処理方式で、画像データに対する処理を行う。言い換えると、画像処理部111は、「ラスタライザA」を用いて、第4媒体処理システム140に入力された画像データに対する処理を行う。
また、第4媒体処理システム140の印刷機200では、過去3か月以内に、文字化けなどの画像乱れが3回発生している。
【0025】
第5媒体処理システム150の印刷機200では、ロール状の連続紙がセットされ、この連続紙に対する印刷を行う。また、第5媒体処理システム150では、後処理機300として、第1後処理機310、第2後処理機320が設けられている。
第1後処理機310は、印刷機200による印刷が行われた連続紙の裁断を行う。第2後処理機320は、第1後処理機310による裁断により生成された用紙に対して、穴あけ処理を行う。
【0026】
第5媒体処理システム150では、印刷機200と第1後処理機310とはインラインで接続されており、印刷機200による印刷が行われた連続紙は、自動で、第1後処理機310へ搬送される。
また、第5媒体処理システム150では、第1後処理機310と第2後処理機320とはインラインで接続されており、第1後処理機310による裁断により生成された複数枚の用紙は、自動で、第2後処理機320へ搬送される。
【0027】
また、第5媒体処理システム150の印刷機200の画像処理部111(不図示)は、第2処理方式で、画像データに対する処理を行う。具体的には、画像処理部111は、「ラスタライザB」を用いて、第5媒体処理システム150に入力された画像データに対する処理を行う。
また、第5媒体処理システム150の印刷機200では、過去3か月以内に、文字化けなどの画像乱れは発生していない。
【0028】
図4は、管理サーバ500のハードウエアの構成を示した図である。
情報処理装置の一例しての管理サーバ500は、装置全体の動作を制御する制御ユニット501と、情報を記憶する情報記憶装置の一例としてのハードディスクドライブ502と、LAN(=Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース503とを有している。
【0029】
制御ユニット501は、プロセッサの一例としてのCPU(=Central Processing Unit)511と、基本ソフトウェアやBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)512と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)513とを有している。
CPU511はマルチコアでもよい。また、ROM512は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御ユニット501は、いわゆるコンピュータである。
本実施形態では、CPU511が、ROM512などに格納されたプログラムを実行することで、後述する処理が実行される。
【0030】
ハードディスクドライブ502は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。もっとも、不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリや磁気テープでもよい。
この他、管理サーバ500は、必要に応じ、キーボード、マウス等の入力デバイス、液晶ディスプレイ等の表示デバイスも備える。
制御ユニット501と、ハードディスクドライブ502と、ネットワークインターフェース503は、バス504や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0031】
ここで、CPU511によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、管理サーバ500へ提供しうる。
また、CPU511によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、管理サーバ500へ提供してもよい。
【0032】
なお、本実施形態において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0033】
本実施形態では、複数設けられた上記の媒体処理システム100のうちの一の媒体処理システム100にて処理不良が発生した場合に、プロセッサの一例してのCPU511が、不良情報を取得する。
具体的には、CPU511は、処理不良が発生したこの一の媒体処理システム100(以下、「不良発生システム」と称する)にて発生した処理不良についての情報を、不良情報として取得する。
【0034】
そして、CPU511は、取得したこの不良情報に基づき、この不良発生システムに入力された処理要求を実行する他の媒体処理システム100である代替処理システムを特定する。
CPU511は、基本的に、代替処理システムの特定にあたり、上記の不良情報により特定される不良が発生していない又はこの不良の発生回数が少ない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0035】
CPU511は、代替処理システムを特定した後、特定したこの代替処理システムに対して、上記の処理要求を送信し、この代替処理システムでは、この処理要求に基づく処理が実行される。これより、処理要求に基づく処理が継続して行われる。
処理要求には、用紙上に印刷される画像の元となる画像データが含まれており、CPU511は、特定したこの代替処理システムに対して、この画像データを含む処理要求を送信する。
そして、代替処理システムでは、この画像データが用いられて、用紙への印刷が行われ、さらに、この用紙に対して後処理装置による処理が行われる。
【0036】
ここで、処理不良が発生した場合に、この処理不良の原因を簡単には解消できずに、この処理不良が継続して発生する場合がある。
このような場合、本実施形態では、自動で代替処理システムが特定される。これにより、本実施形態では、処理要求に基づく処理を、より速やかに他の媒体処理システム100にて行えるようになる。
【0037】
代替処理システムを特定する際にCPU511が実行する処理の内容を具体的に説明する。
CPU511は、代替処理システムを特定する場合、上記の不良情報により特定される処理不良の発生状況に基づき、代替処理システムを特定する。
【0038】
具体的には、CPU511は、例えば、まず、上記の不良情報により特定される処理不良を把握する。そして、CPU511は、不良発生システム以外の他の媒体処理システム100の各々における、この処理不良の発生回数についての情報を取得する。
「発生回数についての情報」とは、発生の頻度を含む概念であり、発生回数についての情報には、発生の回数を示す絶対的な数値のみならず、単位時間当たりにおける発生回数などの情報も含まれる。
【0039】
そして、CPU511は、他の媒体処理システム100の各々における、この処理不良の発生回数についての情報に基づき、不良発生システムにて行おうとしていた処理を移行する他の媒体処理システム100を特定する。
そして、本実施形態では、CPU511は、特定したこの他の媒体処理システム100を、代替処理システムとする。
【0040】
ここで、本実施形態では、他の媒体処理システム100の各々における処理不良の発生状況についての情報として、このように、処理不良の発生回数についての情報を取得する。
ところで、これに限らず、処理不良の発生状況についての情報としては、その他に、例えば、他の媒体処理システム100の各々にて発生した処理不良の程度についての情報を取得してもよい。
【0041】
このように、処理不良の程度についての情報を取得したうえで、代替処理システムを特定する場合は、例えば、程度が小さい処理不良が発生している他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
より具体的には、不良発生システムにて発生した処理不良の程度よりも程度が小さい処理不良が発生している他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
あるいは、処理不良が全く生じていない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0042】
処理不良の発生回数に基づき、代替処理システムを特定する処理についてさらに説明する。
本実施形態では、CPU511は、例えば、不良発生システムにおける処理不良の発生回数よりもこの処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0043】
図3を参照して具体的に説明すると、
図3に示す例では、第1媒体処理システム110が、不良発生システムとなっている。言い換えると、
図3に示す例では、第1媒体処理システム110が、不良情報の取得の対象となった媒体処理システム100となっている。
図3に示す例では、第1媒体処理システム110にて、画像乱れの一例である文字化けが過去3か月以内に3回発生しており、第1媒体処理システム110では、画像乱れが頻繁に発生している。なお、「文字化け」とは、本来形成される予定の文字の形状とは異なる形状の文字が形成される状態を指す。
【0044】
この場合、CPU511は、第1媒体処理システム110におけるこの処理不良の発生回数よりもこの処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
より具体的には、CPU511は、処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システム100であって、不良発生システムにて得られる予定であった成果物である「中綴じが施された冊子」を得ることができる他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0045】
言い換えると、CPU511は、処理不良の発生回数が少ないなど処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たす他の媒体処理システム100であって、不良発生システムにて得られる「中綴じが施された冊子」を得ることができる他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
具体的には、この例では、CPU511は、第3媒体処理システム130を、代替処理システムとして特定する。
【0046】
第3媒体処理システム130では、過去3か月以内に画像乱れが発生していない。また、また、第3媒体処理システム130では、「中綴じが施された冊子」が得られる。
このため、CPU511は、この第3媒体処理システム130を、代替処理システムとして特定する。
【0047】
言い換えると、この場合、CPU511は、不良発生システムである第1媒体処理システム110が有する装置構成を備え「中綴じが施された冊子」が得られる第3媒体処理システム130を、代替処理システムとして特定する。
そして、CPU511は、特定したこの代替処理システムである第3媒体処理システム130に対して、印刷指示および処理要求を送信する。これにより、第3媒体処理システム130にて、処理が開始される。
【0048】
なお、これに限らず、CPU511は、特定した代替処理システムへの印刷指示および処理要求の送信を行わずに、特定したこの代替処理システムについての情報をオペレータ等に通知するようにしてもよい。
この場合、このオペレータによって、代替処理システムにおける処理が開始される。
【0049】
ここで、第2媒体処理システム120(
図3参照)においても、第3媒体処理システム130と同様に、画像乱れの発生回数が、不良発生システムである第1媒体処理システム110における発生回数よりも少なくなっている。
しかしながら、第2媒体処理システム120は、第1媒体処理システム110とは装置構成が異なっており、第1媒体処理システム110により得られる成果物と第2媒体処理システム120により得られる成果物とが異なる。
具体的には、第1媒体処理システム110により得られる成果物は、中綴じが施された冊子であり、第2媒体処理システム120により得られる成果物は、穴開けされた印刷物である。
【0050】
第2媒体処理システム120は、不良発生システムである第1媒体処理システム110が有する装置構成を備えておらず、本実施形態では、第1媒体処理システム110により得られる成果物と、第2媒体処理システム120により得られる成果物とが異なる。
このため、CPU511は、第2媒体処理システム120については、代替処理システムとして特定しない。
【0051】
同様に、第5媒体処理システム150においても、印刷機200における画像乱れの発生回数が、第1媒体処理システム110における画像乱れの発生回数よりも少なくなっている。
しかしながら、第5媒体処理システム150も、第1媒体処理システム110とは装置構成が異なっており、得られる成果物が第1媒体処理システム110とは異なる。
言い換えると、第5媒体処理システム150は、第1媒体処理システム110が有する装置構成を備えておらず、得られる成果物が第1媒体処理システム110とは異なる。
このため、CPU511は、第5媒体処理システム150については、代替処理システムとして特定しない。
【0052】
また、第4媒体処理システム140については、第1媒体処理システム110が有する装置を含んだ装置構成となっており、第4媒体処理システム140では、第1媒体処理システム110にて得られる成果物を得ることはできる。
言い換えると、第4媒体処理システム140は、第1媒体処理システム110が有する装置構成を備え、第4媒体処理システム140では、第1媒体処理システム110にて得られる成果物を得られる。
より具体的には、第4媒体処理システム140は、印刷機200および中綴じが施された冊子を生成する後処理機300を有し、中綴じが施された冊子を得られる。
【0053】
しかしながら、第4媒体処理システム140では、印刷機200における画像乱れの発生回数が、第1媒体処理システム110における画像乱れの発生回数よりも少なくなっていない。
このため、CPU511は、第4媒体処理システム140については、代替処理システムとして特定しない。
【0054】
なお、「第1媒体処理システム110が有する装置構成を備える」とは、第1媒体処理システム110が有する装置と全く同じ装置を備えるという意味ではなく、同一の機能を果たす装置を備えるという意味である。
また、「第1媒体処理システム110が有する装置構成を備える」とは、第1媒体処理システム110が有する全ての装置を備えるという意味ではない。
「第1媒体処理システム110が有する装置構成を備える」とは、第1媒体処理システム110が有する装置のうちの、第1媒体処理システム110にて得られる成果物を得るのに必要な最小限の装置を少なくとも備えるという意味である。
【0055】
本実施形態では、上記の通り、処理不良が発生した不良発生システム(不良情報の取得の対象となった第1媒体処理システム110)における処理不良の発生回数よりもこの処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
また、その他に、代替処理システムの特定にあたっては、例えば、不良発生システムにおける処理不良の発生回数よりもこの処理不良の発生回数が少なく且つこの処理不良の発生回数が予め定められた閾値よりも少ない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定してもよい。
この場合、処理不良が発生していない又は処理不良の発生回数が極めて小さい他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定できるようになる。
【0056】
ここで、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150の各々は、特定の成果物が得られるように構成されている。
具体的には、第1媒体処理システム110、第3媒体処理システム130、第4媒体処理システム140は、中綴じが施された冊子が得られるように構成されている。
また、第2媒体処理システム120、第5媒体処理システム150は、穴あけが施された印刷物が得られるように構成されている。
【0057】
ここで、処理不良が発生した、上記の第1媒体処理システム110(不良発生システム)では、特定の成果物として、中綴じが施された冊子が得られる。
CPU511は、代替処理システムを特定するにあたっては、上記の通り、不良発生システム、他の媒体処理システム100の各々にて得られる成果物についての情報を考慮して、代替処理システムを特定する。
【0058】
具体的には、CPU511は、上記の通り、処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たす他の媒体処理システム100(処理不良の発生回数が少ないなどの条件を満たす他の媒体処理システム100)を特定する。
この際、CPU511は、他の媒体処理システム100の各々にて得られる成果物についての情報も考慮して、代替処理システムとなる他の媒体処理システム100を特定する。
【0059】
上記の具体例を用いてさらに説明すると、CPU511は、まず、不良発生システムである第1媒体処理システム110にて得られる成果物である「中綴じが施された冊子」を把握する。そして、CPU511は、他の媒体処理システム100であって、「中綴じが施された冊子」が得られる他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
具体的には、本実施形態では、CPU511は、上記の通り、例えば、第3媒体処理システム130を代替処理システムとして特定する。
【0060】
また、その他に、CPU511は、不良発生システムが用いる画像処理用のソフトウエアを用いて入力された画像データに対する処理を行う他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定してもよい。
より具体的には、この場合、CPU511は、処理不良の発生状況が予め定められた条件を満たし且つ不良発生システムにて得られる成果物と同じ成果物が得られる他の媒体処理システム100であって、不良発生システムが用いるソフトウエアと同じソフトウエアを用いる他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0061】
具体例を挙げて説明すると、不良発生システムである上記の第1媒体処理システム110(
図3参照)の画像処理部111は、ラスタライザAという画像処理用のソフトウエアを用いて、入力された画像データに対する処理を行う。
この場合、CPU511は、代替処理システムを特定するにあたり、同じくこのラスタライザAというソフトウエアを用いて入力された画像データに対する処理を行う画像処理部111を備えた他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0062】
より具体的には、CPU511は、ラスタライザAというソフトウエアを用いて処理を行う画像処理部111を備えた他の媒体処理システム100であって、処理不良の発生回数が少なく且つ第1媒体処理システム110にて得られる成果物と同じ成果物が得られる他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
具体的には、この場合、CPU511は、例えば、
図5(媒体処理システム100の他の一例を示す図)に示す、他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0063】
この
図5にて示す他の媒体処理システム100は、
図3では表示していなかった媒体処理システム100である。
図5にて示すこの媒体処理システム100は、ラスタライザAを用いる。
このように、ラスタライザAを用い、且つ、第1媒体処理システム110が備える装置構成を有する媒体処理システム100が存在する場合には、CPU511は、
図5にて示すこの媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する。
【0064】
この場合、処理不良が発生した不良発生システムに設けられた印刷機200により用紙上に形成される予定であった画像と、代替処理システムに設けられた印刷機200により形成される画像とが、画像処理の違いに起因して相違するようになることが起きにくくなる。
【0065】
図6は、CPU511が代替処理システムを特定する際に実行する処理の一連の流れを示したフローチャートである。
CPU511は、まず、オペレータから印刷指示があった場合に、第1媒体処理システム110~第5媒体処理システム150のうちの、オペレータによって指定された媒体処理システム100(以下、「指定媒体処理システム100」)に対して、画像データを含む処理要求を送信する(ステップS101)。
この処理要求には、画像データの他、印刷条件などの他の情報も含まれる。
これにより、指定媒体処理システム100では、印刷処理、検査装置113による検査処理、後処理機300による処理が順次行われる。
【0066】
次いで、CPU511は、指定媒体処理システム100に設けられた検査装置113による検査結果を取得し、この検査結果に基づき、処理不良が発生しているか否かを判断する(ステップS102)。
そして、CPU511は、処理不良が発生していないと判断した場合、代替処理システムの特定についての処理を終了する。言い換えると、この場合、CPU511は、代替処理システムの特定は行わない。
【0067】
一方で、CPU511は、ステップS102にて、処理不良が発生していると判断した場合、指定媒体処理システム100についての履歴情報であって、例えば、過去3か月以内の履歴情報を取得する。
より具体的には、本実施形態では、管理サーバ500に、媒体処理システム100の各々の履歴情報が格納されている。CPU511は、格納されたこの履歴情報から、指定媒体処理システム100についての履歴情報であって、過去3か月以内の履歴情報を取得する。
【0068】
そして、CPU511は、この履歴情報に含まれる過去の検査結果(今回の最新の処理不良と同じ処理不良が発生していることを示す検査結果)の総数に、今回の検査結果の数である1を加算し、3か月前から現在までの、処理不良の発生回数を把握する(ステップS103)。
【0069】
そして、CPU511は、把握した発生回数が、予め定められた閾値を超えているか否かを判断する(ステップS104)。
そして、CPU511は、発生回数が、予め定められた閾値を超えていると判断しなかった場合、ステップS101の処理を再び行う。
即ち、CPU511は、指定媒体処理システム100に対して、処理要求を再び送信する。より具体的には、CPU511は、オペレータによる復帰処理などがなされた後に、指定媒体処理システム100に対して、処理要求を再び送信する。
【0070】
一方、CPU511は、ステップS104にて、発生回数が、予め定められた閾値を超えていると判断した場合、代替処理システムの特定処理を行う(ステップS105)。なお、代替処理システムの特定は、上記にて説明した手法により行う。
そして、CPU511は、代替処理システムを特定できたか否かを判断する(ステップS106)。
【0071】
そして、CPU511は、代替処理システムを特定できたと判断した場合、この代替処理システムに対して、画像データを含む処理要求を送信する(ステップS107)。これにより、代替処理システムにて処理が開始される。
一方、CPU511は、ステップS106にて、代替処理システムを特定できた判断しなかった場合、エラー通知などをオペレータ等に対して送信したうえで、処理を終了する。
【0072】
図7は、他の処理例を示した図である。
なお、この
図7では、装置の一部の構成が
図3にて示した構成とは異なっている。
図3では、第4媒体処理システム140は、中綴じを行い、第5媒体処理システム150は、穴あけを行った。これに対し、
図7では、第4媒体処理システム140は、穴あけを行い、第5媒体処理システム150は、中綴じを行う。
【0073】
また、この処理例では、第5媒体処理システム150にて処理不良が発生した場合を例示している。言い換えると、この処理例では、第5媒体処理システム150が、不良情報の取得の対象となる媒体処理システム100となっている。
また、この処理例では、CPU511が、処理不良の要因となった処理を実行しない他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する場合を説明する。
言い換えると、この処理例では、CPU511が、処理不良の要因となった処理を実行しないでも、不良発生システムにて得られる成果物と同じ成果物を得られる他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定する場合を説明する。
【0074】
具体的に説明すると、この処理例では、第5媒体処理システム150の印刷機200により用紙上に形成される「裁断マーク」に印刷不良が発生した場合を例示している。
ここで、裁断マークとは、第1後処理機310が裁断を行う箇所を把握するために用いられるマークであり、第1後処理機310では、この裁断マークを検知したうえで、連続紙の裁断を行う。
【0075】
「裁断マーク」に印刷不良が発生した場合、CPU511は、上記の通り、この裁断マークについての処理不良の発生回数が少ない他の媒体処理システム100を特定してもよい。
また、これに替えて、CPU511は、裁断マークを印刷せずにすむ他の媒体処理システム100を特定してもよい。
ここでは、裁断マークを印刷せずにすむ他の媒体処理システム100を特定する場合の処理を説明する。
【0076】
CPU511は、裁断マークを印刷せずにすむ他の媒体処理システム100を特定する場合、裁断マークの印刷を行わないでも、第5媒体処理システム150にて得られる成果物である「中綴じが施された冊子」を得られる他の媒体処理システム100を特定する。
具体的には、この例では、CPU511は、裁断マークの印刷を行わないでも「中綴じされた冊子」を得られる他の媒体処理システム100として、第3媒体処理システム130を特定する。
【0077】
この処理例では、処理不良の要因となった処理は、連続紙に関する処理であり、この場合、CPU511は、この連続紙に関する処理を実行せずに「中綴じが施された冊子」を得られる第3媒体処理システム130を、代替処理システムとして特定する。
言い換えると、CPU511は、連続紙を用いずにカット紙のみを用いて「中綴じが施された冊子」を得る第3媒体処理システム130を、代替処理システムとして特定する。
【0078】
なお、この場合も、上記と同様、CPU511は、不良発生システムである第5媒体処理システム150が用いる画像処理用のソフトウエアを用いて画像データに対する処理を行う他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定することがさらに好ましい。
より具体的には、
図7に示す例では、不良発生システムである第5媒体処理システム150は、ラスタライザBを用いている。
【0079】
この場合、CPU511は、このラスタライザBを用いて入力された画像データに対する処理を行う他の媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定することがさらに好ましい。
図7に示す例は、代替処理システムとして特定された第3媒体処理システム130は、ラスタライザBを用いている。
この例では、第3媒体処理システム130は、第5媒体処理システム150と同じく、ラスタライザBを用いており、不良発生システムが用いるソフトウエアを用いて入力された画像データに対する処理を行う。
【0080】
(その他)
上記では、1つの媒体処理システム100が、代替処理システムとして特定される場合を説明したが、場合によっては、複数の媒体処理システム100が、代替処理システムの候補となりうる。
この場合、CPU511は、予め定められた条件に従って、この複数の候補の中から、代替処理システムを特定する。
【0081】
具体的には、CPU511は、例えば、複数の候補の中から、不良発生システムに最も近い箇所に位置する媒体処理システム100を特定し、この媒体処理システム100を代替処理システムとして特定する。
なお、この場合は、例えば、予め、位置座標や住所情報など、媒体処理システム100の各々の位置情報を、管理サーバ500等に登録しておく。CPU511は、この位置情報に基づき、複数の候補の中から、不良発生システムに最も近い箇所に位置する媒体処理システム100を特定する。
【0082】
また、その他に、CPU511は、例えば、上記の複数の候補の中から、成果物の生成に要するコストが最も小さくなる他の媒体処理システム100を特定し、この他の媒体処理システム100を代替処理システムとして特定してもよい。
この場合は、予め、媒体処理システム100の各々のコストについての情報を登録しておき、CPU511は、登録されたこの情報に基づき、要するコストが最も小さくなる他の媒体処理システム100を特定する。
【0083】
また、その他に、CPU511は、例えば、上記の複数の候補の中から、生産性(単位時間当たりにおける成果物の生成数)が最も大きい他の媒体処理システム100を特定し、この他の媒体処理システム100を代替処理システムとして特定してもよい。
この場合も、予め、媒体処理システム100の各々の生産性についての情報を管理サーバ500等に登録しておき、CPU511は、登録されたこの情報に基づき、生産性が最も大きい他の媒体処理システム100を特定する。
【0084】
また、その他に、例えば、上記の複数の候補の中に、ラスタライザAを用いる媒体処理システム100と、ラスタライザBを用いる媒体処理システム100が含まれており、且つ、生産性を優先して代替処理システムを特定すべきことを示す情報が登録されている場合、CPU511は、ラスタライザAを用いる媒体処理システム100を特定する。
上記の通り、ラスタライザAを用いた方が、処理速度が大きく、ラスタライザAを用いる媒体処理システム100を特定すると、生産性が高い媒体処理システム100が特定される。
【0085】
また、その他に、例えば、上記の複数の候補の中に、ラスタライザAを用いる媒体処理システム100と、ラスタライザBを用いる媒体処理システム100が含まれており、且つ、品質を優先して代替処理システムを特定すべきことを示す情報が登録されている場合、CPU511は、ラスタライザBを用いる媒体処理システム100を特定する。
上記の通り、ラスタライザBの方が高品質での処理を行えるようになっており、ラスタライザBを用いる媒体処理システム100を特定すると、品質がより高い成果物が得られる媒体処理システム100が特定される。
【0086】
また、その他に、例えば、上記の複数の候補の中に、印刷機200における印刷方式が互いに異なる媒体処理システム100が含まれている場合も想定される。
この場合、不良発生システムに替わる代替処理システムの特定にあたっては、不良発生システムの印刷機200が用いている印刷方式で印刷を行う印刷機200を備えた媒体処理システム100を、代替処理システムとして特定することが好ましい。
【符号の説明】
【0087】
100…媒体処理システム、111…画像処理部、113…検査装置、200…印刷機、300…後処理機、310…第1後処理機、320…第2後処理機、500…管理サーバ、511…CPU