(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20241001BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03G15/00 550
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2020165055
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】グェン ザィン チェン
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214194(JP,A)
【文献】特開2013-256378(JP,A)
【文献】特開平11-222335(JP,A)
【文献】特開2015-114461(JP,A)
【文献】特開2005-242168(JP,A)
【文献】特開2008-118528(JP,A)
【文献】特開2015-138223(JP,A)
【文献】特開2013-214118(JP,A)
【文献】特開2009-280397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0134824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/16
B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングと、
前記本体ハウジングにヒンジを介して設けられた開閉部と、
シートが積載される給紙トレイと、
前記シートに画像を形成する作像装置と、
前記給紙トレイに積載された前記シートを前記作像装置に供給する給紙ローラーと、
前記給紙ローラーに設けられた第1継手と、
前記第1継手に嵌合可能な第2継手と、
モーターが発生した駆動力を前記第2継手と前記第1継手とを介して前記給紙ローラーに伝達する駆動ギアと、
前記第2継手を前記第1継手に向かって付勢することで前記第2継手を前記第1継手に接続させる付勢部材と、
前記開閉部の開放と連動して、前記付勢部材による付勢に抵抗して前記第2継手を前記第1継手から離脱させるリンク機構と、を備え
、
前記リンク機構は、
前記本体ハウジングに前記駆動ギアと同軸に回転可能に設けられた回転部材と、
前記開閉部と前記回転部材とを連結し、前記開閉部の開放に連動して前記回転部材を正回転させ、前記開閉部の閉鎖に連動して前記回転部材を逆回転させる第1リンク部材と、
前記本体ハウジングに軸方向に摺動可能に設けられ、前記回転部材が正回転した場合に前記付勢部材による付勢に抵抗して前記第2継手を押し出し、前記回転部材が逆回転した場合に前記第2継手の押し出しを解除する摺動部材と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記本体ハウジングは、軸方向の溝部を備え、
前記第2継手は、フランジ部を備え、
前記摺動部材は、前記フランジ部の第1継手側の面に接触する環状部と、前記環状部から径方向の外側に突出し、前記溝部に嵌合する突出部と、を備え、
前記回転部材は、正回転した場合に前記突出部との接触点が前記付勢部材による付勢と逆の方向に移動する傾斜部を備えることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記リンク機構は、
前記開閉部と前記第1リンク部材とを連結し、第1端部が前記開閉部に対して回転可能であり、第2端部が前記第1リンク部材に対して前記第1リンク部材の長手方向に摺動可能であり、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶスリットが設けられた第2リンク部材と、
前記本体ハウジングに設けられ、前記スリットの内側に位置するピンと、を備え、
前記スリットと前記ピンとの間に摺動抵抗が発生することを特徴とする請求項
1又は
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記スリットの前記第2端部側の部分の前記ピンに対する摺動抵抗は、前記第1端部側の部分の摺動抵抗よりも大きいことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スリットの幅がピンの径よりも狭いことで摺動抵抗が発生することを特徴とする請求項
3又は
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2リンク部材は、前記第2端部側で前記スリットと連通し、前記第1端部側へ回り込むように形成され、前記スリットの前記第2端部側の部分よりも幅が狭い切欠部を備え
、
前記スリットと前記切欠部との境界部に前記ピンが嵌まることで前記開閉部が停止することを特徴とする請求項
3乃至
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記スリットと前記切欠部との境界部に前記ピンが嵌まったときの前記開閉部の回転角は、40°以上50°以下であることを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開閉部は、前記本体ハウジングの上部に設けられ、画像が形成された前記シートが排出される排出トレイであることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、トレイに積載されたシートを作像装置に供給する給紙ローラーを備えている。給紙ローラーにシートが詰まった場合、給紙ローラーが駆動ギアに連結されたままでは、給紙ローラーにシートが拘束されるため、シートの除去が困難である。そこで、給紙ローラーと駆動ギアとの連結を解除する必要が生じるが、給紙ローラーが本体ハウジングの奥まった場所にある場合、連結を解除するのに手間がかかる。そこで、従来、画像形成装置に備えられたユニットの着脱を容易にする技術が検討されている。例えば、特許文献1では、転写ユニットに備えられたガイド突起と,ガイド突起をガイドするガイドレールと,転写ユニットを装着する際,転写ユニットに衝撃が伝わらないよう,弾性的に転写ユニットを保持するダンピングユニットとを備える画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駆動ギアとの連結を解除するために給紙ローラーを取り外すという作業自体がユーザーにとって大きな負担となる。給紙ローラーを取り外さなくても駆動ギアとの連結を解除できるようにすることがユーザーにとって望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、給紙ローラーと駆動ギアとの連結を容易に解除することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、本体ハウジングと、前記本体ハウジングにヒンジを介して設けられた開閉部と、シートが積載される給紙トレイと、前記シートに画像を形成する作像装置と、前記給紙トレイに積載された前記シートを前記作像装置に供給する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに設けられた第1継手と、前記給紙ローラーに駆動力を伝達する駆動ギアと、前記駆動ギアに同軸に設けられ、前記駆動ギアに追従して回転し、前記駆動ギアに対して軸方向に摺動可能であり、前記第1継手に嵌合可能な第2継手と、前記第2継手を前記第1継手に向かって付勢することで前記第2継手を前記第1継手に接続させる付勢部材と、前記開閉部の開放と連動して、前記付勢部材による付勢に抵抗して前記第2継手を前記第1継手から離脱させるリンク機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像形成装置において、前記リンク機構は、前記本体ハウジングに前記駆動ギアと同軸に回転可能に設けられた回転部材と、前記開閉部と前記回転部材とを連結し、前記開閉部の開放に連動して前記回転部材を正回転させ、前記開閉部の閉鎖に連動して前記回転部材を逆回転させる第1リンク部材と、前記本体ハウジングに軸方向に摺動可能に設けられ、前記回転部材が正回転した場合に前記付勢部材による付勢に抵抗して前記第2継手を押し出し、前記回転部材が逆回転した場合に前記第2継手の押し出しを解除する摺動部材と、を備えていてもよい。
【0008】
本発明に係る画像形成装置において、前記本体ハウジングは、軸方向の溝部を備え、前記第2継手は、フランジ部を備え、前記摺動部材は、前記フランジ部の第1継手側の面に接触する環状部と、前記環状部から径方向の外側に突出し、前記溝部に嵌合する突出部と、を備え、前記回転部材は、正回転した場合に前記突出部との接触点が前記付勢部材による付勢と逆の方向に移動する傾斜部を備えていてもよい。
【0009】
本発明に係る画像形成装置において、前記リンク機構は、前記開閉部と前記第1リンク部材とを連結し、第1端部が前記開閉部に対して回転可能であり、第2端部が前記第1リンク部材に対して前記第1リンク部材の長手方向に摺動可能であり、前記第1端部と前記第2端部とを結ぶスリットが設けられた第2リンク部材と、前記本体ハウジングに設けられ、前記スリットの内側に位置するピンと、を備え、前記スリットと前記ピンとの間に摺動抵抗が発生するように構成されていてもよい。
【0010】
本発明に係る画像形成装置において、前記スリットの前記第2端部側の部分の前記ピンに対する摺動抵抗は、前記第1端部側の部分の摺動抵抗よりも大きくてもよい。
【0011】
本発明に係る画像形成装置において、前記スリットの幅がピンの径よりも狭いことで摺動抵抗が発生するように構成されていてもよい。
【0012】
本発明に係る画像形成装置において、前記第2リンク部材は、前記第2端部側で前記スリットと連通し、前記第1端部側へ回り込むように形成され、前記スリットの前記第2端部側の部分よりも幅が狭い切欠部を備え、前記スリットと前記切欠部との境界部に前記ピンが嵌まることで前記開閉部が停止するように構成されていてもよい。
【0013】
本発明に係る画像形成装置において、前記スリットと前記切欠部との境界部に前記ピンが嵌まったときの前記開閉部の回転角は、40°以上50°以下であってもよい。
【0014】
本発明に係る画像形成装置において、前記開閉部は、前記本体ハウジングの上部に設けられ、画像が形成された前記シートが排出される排出トレイであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、給紙ローラーと駆動ギアとの連結を容易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプリンターの構成を模式的に示す左側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るリンク機構を模式的に示す左側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るリンク機構を模式的に示す左側面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係るリンク機構を模式的に示す正面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係るリンク機構を模式的に示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る給紙ローラーと第1継手を備える給紙装置5の斜視図である。
【
図7A】本体ハウジングに回転部材が取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図7B】本体ハウジングに摺動部材が取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図8A】本体ハウジングに第2継手が取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図8B】本体ハウジングに駆動ギアが取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る駆動ギア、付勢部材、第2継手の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るリンク機構の分解図である。
【
図11A】排出トレイが閉められたときの第2継手周辺の斜視図である。
【
図11B】排出トレイが開けられたときの第2継手周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るプリンター1(画像形成装置の一例)について説明する。
【0018】
最初に、プリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、プリンター1の外観を示す斜視図である。
図2は、プリンター1の内部構成を模式的に示す左側面図である。以下、
図1、2におけるFr側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0019】
プリンター1は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3の下部には、シートSが積載される給紙トレイ4と、給紙トレイ4からシートSを送り出す給紙ローラー5Aが設けられている。本体ハウジング3の前側には、下部に設けられたヒンジを支点として開閉可能な前扉3Aが設けられており、シートSは前扉3Aを開けて給紙トレイ4に積載される。給紙トレイ4の上方には、電子写真方式にてトナー像を形成する作像装置6と、トナー像をシートSに定着させる定着装置7が設けられている。本体ハウジング3の上部には、トナー像が定着されたシートSを排出する排出ローラー対8と、排出されたシートSが積載される排出トレイ9が設けられている。
【0020】
作像装置6は、光の照射により電位が変化する感光体ドラム、放電により感光体ドラムを帯電させる帯電装置、画像データに応じたレーザー光を出射する露光装置、感光体ドラムにトナーを供給する現像装置、転写バイアスを発生する転写ローラー及び感光体ドラムに残留したトナーを除去するクリーニング装置を備える。現像装置には、現像装置にトナーを供給するトナーコンテナが接続されている。
【0021】
本体ハウジング3の内部には、給紙ローラー5Aから作像装置6、定着装置7を経て排出ローラー対8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10には、シートSを搬送する複数の搬送ローラー対が設けられている。作像装置6よりも搬送方向上流側には、レジストローラー対が設けられている。
【0022】
プリンター1の各部は、制御部2によって制御される。制御部2は、プロセッサーとメモリーとを備える。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリーは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。プロセッサーは、メモリーに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0023】
次に、プリンター1の画像形成動作の概要について説明する。外部のコンピューター等からプリンター1に印刷ジョブが入力されると、給紙ローラー5Aが給紙トレイ4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー対がシートSの斜行を補正し、レジストローラー対が所定のタイミングで作像装置6にシートSを送り出す。作像装置6においては、帯電装置が感光体ドラムを所定の電位に帯電させ、露光装置が感光体ドラムに潜像を書き込み、現像装置がトナーコンテナから供給されたトナーを用いて潜像を現像することでトナー像を形成し、転写ローラーがトナー像をシートSに転写する。続いて、定着装置7がシートSを挟持して搬送しながらトナー像を溶融させることでトナー像をシートSに定着させ、排出ローラー対8が排出トレイ9にシートSを排出する。クリーニング装置は、感光体ドラムに残留したトナーを除去する。
【0024】
次に、給紙ローラー5Aと駆動ギア24との連結を解除する仕組みについて詳細に説明する。
図3、4は、リンク機構23を模式的に示す左側面図である。
図5A、5Bは、リンク機構23を模式的に示す正面図である。
図6は、給紙ローラー5Aと第1継手31を備える給紙装置5の斜視図である。
図7Aは、本体ハウジング3に回転部材41が取り付けられる様子を示す斜視図である。
図7Bは、本体ハウジング3に摺動部材42が取り付けられる様子を示す斜視図である。
図8Aは、本体ハウジング3に第2継手32が取り付けられる様子を示す斜視図である。
図8Bは、本体ハウジング3に駆動ギア24が取り付けられる様子を示す斜視図である。
図9は、駆動ギア24、付勢部材33、第2継手32の斜視図である。
図10は、リンク機構23の分解図である。
【0025】
プリンター1は、本体ハウジング3と、本体ハウジング3にヒンジを介して設けられた排出トレイ9(開閉部の一例)と、シートSが積載される給紙トレイ4と、シートSに画像を形成する作像装置6と、給紙トレイ4に積載されたシートSを作像装置6に供給する給紙ローラー5Aと、給紙ローラー5Aに設けられた第1継手31と、給紙ローラー5Aに駆動力を伝達する駆動ギア24と、駆動ギア24に同軸に設けられ、駆動ギア24に追従して回転し、駆動ギア24に対して軸方向に摺動可能であり、第1継手31に嵌合可能な第2継手32と、第2継手32を第1継手31に向かって付勢することで第2継手32を第1継手31に接続させる付勢部材33と、排出トレイ9の開放と連動して付勢部材33による付勢に抵抗して第2継手32を第1継手31から離脱させるリンク機構23と、を備える。具体的には、以下のとおりである。
【0026】
[本体ハウジング、開閉部]
本体ハウジング3の左側部には、駆動ギア24とリンク機構23を支持する支持部21が設けられている。支持部21は、後述する駆動ギア24の内径よりも小径、且つ、回転部材41の外径よりも大径の円筒の一部を構成するシェル状に形成され、駆動ギア24と回転部材41を同軸に支持する。排出トレイ9(開閉部)は、本体ハウジング3と別の部材として形成されている。本体ハウジング3の上部には、排出トレイ9に対応する開口部が形成されており、排出トレイ9の後端部と開口部の後端部とがヒンジで結合されている。排出トレイ9は、ヒンジを支点として、上方に開けることが可能である。
【0027】
[給紙ローラー、第1継手]
給紙装置5(
図6参照)は、本体ハウジング3の後側の下部に設けられている。給紙装置5は、給紙ローラー5Aを備える。給紙ローラー5Aは、外周面の摩擦抵抗によりシートSを1枚ずつ搬送路10に送り出す。給紙ローラー5Aの左端部には、後述する第2継手32が嵌合可能な第1継手31が設けられている。
【0028】
[駆動ギア、第2継手、付勢部材]
駆動ギア24(
図9参照)は、モーターとギア列を備える駆動部(図示省略)が発生した駆動力を第2継手32、第1継手31を介して給紙ローラー5Aに伝達する。駆動ギア24の軸部24Aには、径方向に突出したキー部24Kが設けられている。軸部24Aは、中空部24Hを備えている。
【0029】
第2継手32(
図8、9参照)は、駆動ギア24の軸部24Aよりも大径の筒状部32Cを備え、筒状部32Cの左端部にフランジ部32Fが設けられ、筒状部32Cの右端部に径方向に突出したキー部32Kが設けられている。第1継手31には、第2継手32のキー部32Kが嵌合可能な溝部31Vが形成されている。第2継手32の筒状部32Cの内周面には、駆動ギア24のキー部24Kが嵌合する溝部32Vが設けられている。付勢部材33は、コイルばねであり、駆動ギア24の中空部24Hに挿入され、第2継手32を右方に付勢する。
【0030】
[リンク機構]
リンク機構23は、本体ハウジング3に駆動ギア24と同軸に回転可能に設けられた回転部材41と、排出トレイ9と回転部材41とを連結し、排出トレイ9の開放に連動して回転部材41を正回転させ、排出トレイ9の閉鎖に連動して回転部材41を逆回転させる第1リンク部材51と、本体ハウジング3に軸方向に摺動可能に設けられ、回転部材41が正回転した場合に付勢部材33による付勢に抵抗して第2継手32を押し出し、回転部材41が逆回転した場合に第2継手32の押し出しを解除する摺動部材42と、排出トレイ9と第1リンク部材51とを連結し、上端部(第1端部521の一例)が排出トレイ9に対して回転可能であり、下端部(第2端部522の一例)が第1リンク部材51に対して第1リンク部材51の長手方向に摺動可能であり、第1端部521と第2端部522とを結ぶスリット52Sが設けられた第2リンク部材52と、本体ハウジング3に設けられ、スリット52Sの内側に位置するピン53と、を備える。
【0031】
本体ハウジング3(
図7A参照)の支持部21は、軸方向の溝部21Vを備え、第2継手32(
図8、9参照)は、フランジ部32Fを備える。摺動部材42(
図7B参照)は、フランジ部32Fの第1継手31側の面に接触する環状部42Cと、環状部42Cから径方向の外側に突出し、溝部21Vに嵌合する突出部42Pと、を備える。環状部42Cの内径は、第2継手32の筒状部32Cの外径よりも大きい。
【0032】
回転部材41(
図7A参照)は、円筒形の部材の一部を切り欠いた形状を有している。回転部材41の内径は、摺動部材42の外径よりも大きい。回転部材41は、正回転した場合に摺動部材42の突出部42Pとの接触点が付勢部材33による付勢と逆の方向に移動する傾斜部41Sを備える。回転部材41は、径方向に突出したアーム部41Aを備える。アーム部41Aには、第1リンク部材51の下端部が揺動可能に結合される。
【0033】
スリット52Sの第2端部522側の部分のピン53に対する摺動抵抗は、第1端部521側の部分の摺動抵抗よりも大きい。具体的には(
図10参照)、スリット52Sの第2端部522側の部分の幅は、第1端部521側の部分よりも狭い。また、スリット52Sの第1端部521側の部分の幅がピン53の径以上であるのに対して、スリット52Sの第2端部522側の部分の幅は、ピン53の径よりも狭い。第2リンク部材52は、可撓性を有する樹脂で形成されており、スリット52Sの第2端部522側の部分がピン53に対して摺動するときには、スリット52Sの第2端部522側の部分がピン53によって押し広げられる。
【0034】
また、第2リンク部材52は、切欠部52Kを備える。切欠部52Kは、第2端部522側でスリット52Sと連通し、第1端部521側へ回り込むように形成され、スリット52Sの第2端部522側の部分よりも幅が狭い。スリット52Sの第2端部522側の部分のうち切欠部52Kに隣接する部分は、さらに幅が狭くなっている。スリット52Sと切欠部52Kとの境界部52Bにピン53が嵌まることで排出トレイ9が停止する。スリット52Sと切欠部52Kとの境界部52Bにピン53が嵌まったときの排出トレイ9の水平に対する傾斜角(回転角)は、40°以上50°以下の範囲内(例えば、45°)である。また、スリット52Sの第1端部521側の部分は、第2端部522側の部分に対して浅い角度(例えば5°程度)で傾斜している。この構成により、ピン53がスリット52Sの第1端部521側の部分から第2端部522側の部分に移行するときに、排出トレイ9の操作感が変化する。
【0035】
上記の各部材は、以下の手順で取り付けられる。最初に、回転部材41が本体ハウジング3の支持部21に挿入される(
図7A参照)。次に、摺動部材42が回転部材41に挿入される(
図7B参照)。このとき、摺動部材42の突出部42Pが、本体ハウジング3の支持部21の溝部21Vに挿入される。次に、第2継手32が摺動部材42に挿入される。このとき、第2継手32のフランジ部32Fが摺動部材42の環状部42Cに接触する。次に、支持部21に駆動ギア24が取り付けられる。このとき、第2継手32と駆動ギア24との間に付勢部材33が挿入される。最後に、回転部材41と排出トレイ9に、第1リンク部材51及び第2リンク部材52が連結される(
図3参照)。
【0036】
図11Aは、排出トレイ9が閉められたときの第2継手32周辺の斜視図である。
図11Bは、排出トレイ9が開けられたときの第2継手32周辺の斜視図である。排出トレイ9が閉まっている場合には(
図3参照)、第2継手32が付勢部材33によって右方に付勢されることで、第2継手32が第1継手31に接続されている(
図5A、11A参照)。ユーザーが排出トレイ9の前端部を持ち上げると、
図4、5B、11Bに示されるように、第1リンク部材51、第2リンク部材52を介して、回転部材41が反時計回り方向に回転する。すると、
図11Bに示されるように、回転部材41の傾斜部41Sと摺動部材42の突出部42Pとの接触点が左方に移動することで、摺動部材42が左方に押し出される。これに伴って、第2継手32が左方に押し出され、第2継手32が第1継手31から離脱する。
【0037】
排出トレイ9が持ち上げられるとき、第2リンク部材52のスリット52Sの第1端部521側の部分では、ピン53との摩擦抵抗が生じない。一方、スリット52Sの第2端部522側の部分では、スリット52Sがピン53によって押し広げられ、摩擦抵抗が生じる。排出トレイ9が水平に対して約45°に持ち上げられると、スリット52Sと切欠部52Kとの境界部52Bにピン53が嵌まる。このとき、スリット52Sと切欠部52Kとの間の部分が弾性変形してピン53を拘束することで、排出トレイ9が停止する。
【0038】
ユーザーが排出トレイ9を押し下げると、境界部52Bからピン53が外れる。その後、スリット52Sの第2端部522側の部分では、スリット52Sとピン53との摩擦抵抗により、排出トレイ9は徐々に下降する。一方、スリット52Sの第1端部521側の部分では、摩擦抵抗が生じないため、排出トレイ9が確実に閉まる。
【0039】
以上説明した本実施形態に係るプリンター1によれば、排出トレイ9の開放と連動して付勢部材33による付勢に抵抗して第2継手32を第1継手31から離脱させるリンク機構23を備えるから、給紙ローラー5Aと駆動ギア24との連結を容易に解除することができる。
【0040】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、スリット52Sとピン53との間に摺動抵抗が発生するから、排出トレイ9の開閉に伴う衝撃を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、スリット52Sの第2端部522側の部分のピン53に対する摺動抵抗は、第1端部521側の部分の摺動抵抗よりも大きいから、排出トレイ9を閉めるときの衝撃を抑制することができる。また、排出トレイ9を確実に閉めることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、スリット52Sの幅がピン53の径よりも狭いことで摺動抵抗が発生するから、簡易な構成で衝撃を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、第2リンク部材52は、第2端部522側でスリット52Sと連通し、第1端部521側へ回り込むように形成され、スリット52Sの第2端部522側の部分よりも幅が狭い切欠部52Kを備え、スリット52Sと切欠部52Kとの52Bにピン53が嵌まることで排出トレイ9が停止するから、所定の傾斜角で排出トレイ9を停止させることができる。また、スリット52Sと切欠部52Kとの間の部分がわずかな力で変形するから、排出トレイ9に力をかけるだけで排出トレイ9を閉めることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、スリット52Sと切欠部52Kとの境界部52Bにピン53が嵌まったときの排出トレイ9の水平に対する傾斜角は、40°以上50°以下である。プリンター1の上方で作業を行うには、排出トレイ9の傾斜角が大きいほどよい。一方、排出トレイ9の傾斜角が大きいほど、プリンター1の上方に大きな空間を確保する必要があるが、プリンター1の上方に棚などが設置されている場合、排出トレイ9の傾斜角に制約が生じる。本構成によれば、プリンター1の上方の空間の利用効率が低下しない範囲内で、作業を行うのに十分な空間を確保することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、開閉部は、本体ハウジング3の上部に設けられ、画像が形成されたシートSが排出される排出トレイ9である。この構成によれば、排出トレイ9を開けることで本体ハウジング3の内部に光が射し込むから、シートSを除去しやすくなる。
【0046】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0047】
上記実施形態では、スリット52Sの第2端部522側の部分の幅がピン53の径よりも狭い例が示されたが、スリット52Sの全域にわたって幅がピン53の径よりも狭くなっていてもよい。この構成によれば、排出トレイ9が本体ハウジング3の開口部に接触する瞬間の衝撃を抑制することができる。
【0048】
上記実施形態では、スリット52Sの第2端部522側の部分のピン53に対する摺動抵抗が第1端部521側の部分の摺動抵抗よりも大きい例が示されたが、第1端部521から第2端部522に向かって徐々に摩擦抵抗が大きくなるように構成されていてもよい。この構成によっても、排出トレイ9が本体ハウジング3の開口部に接触する瞬間の衝撃を抑制することができる。
【0049】
上記実施形態では、開閉部が排出トレイ9である例が示されたが、本体ハウジング3の後側に開閉部が設けられている場合には、この開閉部の開放と連動して第2継手31を第1継手32から離脱させるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンター(画像形成装置)
3 本体ハウジング
4 給紙トレイ
5A 給紙ローラー
6 作像装置
9 排出トレイ(開閉部)
21V 溝部
23 リンク機構
24 駆動ギア
31 第1継手
32 第2継手
32F フランジ部
33 付勢部材
41 回転部材
41S 傾斜部
42 摺動部材
42P 突出部
51 第1リンク部材
52 第2リンク部材
521 第1端部
522 第2端部
52Sスリット
52K 切欠部
53 ピン