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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】空気流制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/167 20060101AFI20241001BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20241001BHJP
   F25D 17/04 20060101ALI20241001BHJP
   F04D 29/46 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H02K5/167 A
H02K7/14 A
F25D17/04 303
F04D29/46 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020166451
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057932
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 禎晃
(72)【発明者】
【氏名】岩井 優介
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌司
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509584(JP,A)
【文献】特開2007-082384(JP,A)
【文献】特開2009-050136(JP,A)
【文献】特開2015-156758(JP,A)
【文献】特開2005-027383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/08
H02K 7/14
F25D 17/04
F04D 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸周りに回転するインペラを有し、空気流を発生させるファンモータと、
空気流路を開閉するシャッター部材と、
前記シャッター部材を回転させるシャッターモータと、
前記シャッター部材の軸方向に位置するハウジングと、
前記ファンモータを保持する保持部材と、
を有し、
前記シャッター部材は、
周方向に延び、前記シャッターモータに接続される環状部と、
前記環状部から軸方向に突出し、前記環状部とともに周方向に回転して前記空気流路
を開閉するシャッターと、
を有し、
前記ファンモータは、前記環状部の内側に位置し、
前記ハウジングと前記保持部材とは、インサート成形によって一体として形成される、
または同一部材であり、
前記保持部材の少なくとも一部が前記ハウジングに対してインサートされ、
前記保持部材は、
軸方向に延び、前記ファンモータを保持する筒部と、
前記筒部の軸方向一端側において径方向外側に広がる板部と、
を有し、
前記ハウジングは、前記保持部材を固定する固定部を有し、
前記固定部は、
前記板部の軸方向一端側を覆う外被覆部と、
前記板部の軸方向他端側を覆う内被覆部と、
を有し、
前記板部は、前記外被覆部と前記内被覆部との間に挟まれて固定され、径方向外周部に切り欠き部を有する、空気流制御装置。
【請求項2】
前記板部の軸方向一端側の少なくとも一部は、前記ハウジングから外部に露出し、
前記板部の軸方向他端側の少なくとも一部は、前記ハウジングから外部に露出する、請
求項に記載の空気流制御装置。
【請求項3】
前記板部は、軸方向に貫通する回り止め孔を有し、
前記ハウジングは、前記回り止め孔内に位置する回り止め片を有し、
前記回り止め片は、前記外被覆部と前記内被覆部との間を連結する、請求項または請
求項に記載の空気流制御装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記固定部の径方向外側に広がる外環部を有し、
前記外環部の軸方向の厚さは、前記固定部の軸方向の厚さよりも薄い、請求項から請
求項のいずれかに記載の空気流制御装置。
【請求項5】
前記保持部材は、軸方向に貫通する位置決め孔を有し、
前記位置決め孔の内部の少なくとも一部は、前記ハウジングから外部に露出する、請求
から請求項のいずれかに記載の空気流制御装置。
【請求項6】
前記保持部材の材料は、前記ハウジングの材料よりも硬い材料である、請求項から請
求項のいずれかに記載の空気流制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気流制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫において冷却した空気の分配を行うために、空気分配路を開閉する空気調整装置(ダンパ装置)が利用されている。空気調整装置は、外輪に対して内輪を回動させ、内輪の流出口と外輪の空気分配口との連通関係を制御する。空気は、電動機によって回転される送風機から内輪に供給される。送風機の電動機は、外輪の外周壁とネジ等にて結合される支持枠に支持される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-280800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動機の支持枠を外輪の外周壁にネジ等を用いて結合する場合、ネジ等の締結部品が必要であり、空気調整装置が大型化することが課題であった。
【0005】
上記の点に鑑み、本開示は、小型化及び部品点数の低減を図ることが可能な空気流制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な空気流制御装置は、中心軸周りに回転するインペラを有し、空気流を発生させるファンモータと、空気流路を開閉するシャッター部材と、前記シャッター部材を回転させるシャッターモータと、前記シャッター部材の軸方向に位置するハウジングと、前記ファンモータを保持する保持部材と、を有する。前記シャッター部材は、周方向に延び、前記シャッターモータに接続される環状部と、前記環状部から軸方向に突出し、前記環状部とともに周方向に回転して前記空気流路を開閉するシャッターと、を有する。前記ファンモータは、前記環状部の内側に位置する。前記ハウジングと前記保持部材とは、インサート成形によって一体として形成される、または同一部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の構成によれば、小型化及び部品点数の低減を図ることが可能な空気流制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態の空気流制御装置の縦断面図である。
図2図2は、空気流制御装置の上側から見た斜視図である。
図3図3は、空気流制御装置の下側から見た斜視図である。
図4図4は、空気流制御装置のファンモータ中心部を示す部分縦断面図である。
図5図5は、空気流制御装置の保持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
本書では、空気流制御装置の、シャッター部材の中心軸及びファンモータの中心軸が延びる方向を単に「軸方向」と呼ぶ。シャッター部材の中心軸とファンモータの中心軸とは平行であり、本実施形態において一の同じ直線上に揃っている。なお、シャッター部材の中心軸とファンモータの中心軸とは、位置が軸方向と直交する方向に異なっていても良い。また、本書では、当該中心軸を中心として中心軸と直交する方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
また、本書では、説明の便宜上、軸方向を「上下方向」とし、図1における上下方向を空気流制御装置の上下方向として各部の形状及び位置関係を説明する。軸方向一端側は空気流制御装置の「下側」であり、軸方向他端側は空気流制御装置の「上側」である。なお、この上下方向の定義は、空気流制御装置の使用時の向き及び位置関係を限定するものではない。例えば、空気流制御装置を冷蔵庫の背面に設置する場合、空気流制御装置の軸方向は、冷蔵庫の水平方向に延びることがある。
【0012】
また、本書では、軸方向(上下方向)に平行な断面を「縦断面」と呼ぶ。また、本書で用いる「平行」、「直交」は、厳密な意味で平行、直交を表すものではなく、略平行、略直交を含む。
【0013】
<1.空気流制御装置の全体構成>
図1は、本開示の一実施形態の空気流制御装置1の縦断面図である。図2は、空気流制御装置1の上側から見た斜視図である。図3は、空気流制御装置1の下側から見た斜視図である。図4は、空気流制御装置1のファンモータ2の中心部を示す部分縦断面図である。空気流制御装置1は、ファンモータ2と、保持部材3と、シャッター部材4と、シャッターモータ5と、ギヤ6と、ハウジング7と、を有する。
【0014】
<1-1.ファンモータの構成>
ファンモータ2は、シャッター部材4の後述する環状部41の径方向内側に位置する。ファンモータ2は、上下方向に延びる中心軸C周りに回転するインペラ21を有する。ファンモータ2は、さらにシャフト22と、ロータ23と、ステータ24と、軸受25と、を有する。
【0015】
インペラ21は、ロータ23及びステータ24の上側及び径方向外側に位置する。インペラ21は、カップ部211と、円板部212と、複数の羽根213と、支持枠214と、を備える。
【0016】
カップ部211は、インペラ21の径方向中央部に位置する。カップ部211は、上側に蓋を有する略円筒状である。カップ部211の内側には、シャフト22及びロータ23が固定される。
【0017】
円板部212は、インペラ21の下部に位置する。円板部212は、カップ部211の下端部に接続される。円板部212は、カップ部211の下端部から中心軸Cに対して径方向外側に広がる。
【0018】
複数の羽根213は、円板部212の上側に配置される。複数の羽根213の下端部は、円板部212の上面に接続される。羽根213は、カップ部211に対して径方向外側に離れる方向に延び、且つ上下方向に延びる。複数の羽根213は、周方向に間隔をあけて配列される。複数の羽根213の径方向外端部は、ファンモータ2の排気部である。
【0019】
支持枠214は、インペラ21の上部であって、径方向外周部に位置する。支持枠214は、周方向に延びる円形に形成される。支持枠214は、複数の羽根213の径方向外端部に配置される。支持枠214は、複数の羽根213の上部を連結する。支持枠214の径方向内側は、ファンモータ2の吸気部である。
【0020】
シャフト22は、中心軸Cに沿って配置される。シャフト22は、例えばステンレス、アルミニウム等の金属で構成され、上下方向に延びる柱状の部材である。シャフト22は、軸受25によって中心軸C周りに回転可能に支持される。シャフト22は、中心軸C周りに回転する。シャフト22の上端部には、インペラ21が固定される。
【0021】
ロータ23は、ステータ24の上側及び径方向外側に位置する。ロータ23は、ステータ24に対して中心軸C周りに回転する。ロータ23は、ロータヨーク231と、マグネット232と、を有する。
【0022】
ロータヨーク231は、磁性体で構成された略円筒状の部材である。ロータヨーク231は、インペラ21のカップ部211の径方向内側に固定される。マグネット232は、円筒状であり、ロータヨーク231の径方向内側に固定される。マグネット232は、ステータ24の径方向外側に配置され、ステータ24と径方向に対向する。マグネット232の内周側の磁極面には、N極及びS極が周方向に交互に並ぶ。
【0023】
ステータ24は、ロータ23の下側及び径方向内側に位置する。ステータ24は、マグネット232と径方向に対向する。また、ステータ24は、保持部材3の外周面に固定される。ステータ24は、ステータコア241と、インシュレータ242と、コイル243と、を有する。
【0024】
ステータコア241は、例えばケイ素鋼板等の電磁鋼板を上下方向に積層して構成される。インシュレータ242は、例えば絶縁性を有する樹脂で構成される。インシュレータ242は、ステータコア241の外面を囲んで配置される。コイル243は、インシュレータ242を介して、ステータコア241の周囲に巻き回された導線で構成される。
【0025】
軸受25は、保持部材3の径方向内側に配置される。本実施形態において、軸受25は、スリーブベアリングである。軸受25は、上下に配置される一対のボールベアリングであっても良い。軸受25は、ステータ24に対して回転可能にシャフト22を支持する。
【0026】
上記構成のファンモータ2において、ステータ24のコイル243に駆動電流が供給されると、ステータコア241に径方向の磁束が生じる。ステータ24の磁束によって生じる磁界と、マグネット232によって生じる磁界とが作用し、ロータ23の周方向にトルクが発生する。このトルクによって、ロータ23及びインペラ21が、中心軸Cを中心として回転する。インペラ21が回転すると、複数の羽根213によって空気流が生じる。ファンモータ2は、上側を吸気側とし、径方向外側を排気側とする空気流を発生させる。
【0027】
<1-2.保持部材の構成>
保持部材3は、ファンモータ2の径方向中央部に位置する。保持部材3は、下部においてハウジング7に支持される。保持部材3は、合成樹脂によって構成される。保持部材3は、中心軸Cを中心として上下方向に延びる筒部31を有する。保持部材3の筒部31の径方向内側には、軸受25が収容されて保持される。保持部材3の筒部31の径方向外側には、ステータコア241が保持される。
【0028】
<1-3.シャッター部材の構成>
シャッター部材4は、インペラ21の径方向外側に位置する。シャッター部材4は、ハウジング7に支持される。シャッター部材4は、ギヤ6を介してシャッターモータ5によって回転される。シャッター部材4は、上下方向に延びる中心軸C周りに回転する。シャッター部材4は、環状部41と、シャッター42と、を有する。
【0029】
環状部41は、シャッター部材4の下部であって、径方向外周部に位置する。環状部41は、周方向に延びる。また、環状部41は、径方向に延びる板状である。環状部41は、ギヤ部411を有する。
【0030】
ギヤ部411は、環状部41の下部であって、径方向外周部に位置する。ギヤ部411は、環状部41に沿って周方向に延びる。ギヤ部411は、複数の歯を有する。ギヤ部411の複数の歯は、径方向外側に向かって突出し、周方向に並んでいる。ギヤ部411は、ギヤ6に噛み合う。
【0031】
シャッター42は、環状部41の上側に配置される。シャッター42は、環状部41から上下方向に突出する。シャッター42は、周方向に湾曲して延びる。本実施形態において、シャッター部材4は、3つのシャッター42を有する。3つのシャッター42は、周方向に間隔をあけて配列される。シャッター42は、環状部41とともに周方向に回転して空気流路(不図示)を開閉する。
【0032】
シャッター部材4は、ファンモータ2とは独立して、ハウジング7に対して中心軸C周りに回転する。詳細に言えば、シャッター部材4は、中心軸C周りに回転し、空気流路を開閉する。
【0033】
<1-4.シャッターモータ及びギヤの構成>
シャッターモータ5及びギヤ6は、シャッター部材4の径方向外側に位置する。シャッターモータ5及びギヤ6は、ハウジング7に支持される。シャッターモータ5及びギヤ6は、上下方向に延びる中心軸周りに回転する。
【0034】
シャッターモータ5は、本実施形態において、ステッピングモータで構成される。ギヤ6は、シャッターモータ5の下側に配置される。ギヤ6は、シャッターモータ5の出力軸(不図示)に連結する。また、ギヤ6は、シャッター部材4のギヤ部411に噛み合う。すなわち、シャッター部材4の環状部41は、シャッターモータ5に接続される。ギヤ6及びギヤ部411を介して、シャッターモータ5は、シャッター部材4を回転させる。
【0035】
<1-5.ハウジングの構成>
ハウジング7は、シャッター部材4の上下方向に位置する。ハウジング7は、合成樹脂によって構成される。ハウジング7は、保持部材3と、シャッター部材4と、シャッターモータ5と、ギヤ6と、を保持する。ハウジング7は、ベース部材71と、カバー部材72と、連結部73と、を有する。
【0036】
ベース部材71は、ハウジング7の下部に位置する。ベース部材71は、環状ベース部711と、リブ部712と、モータベース部713と、を有する。
【0037】
環状ベース部711は、シャッター部材4の環状部41の下側に位置する。また、環状ベース部711は、カバー部材72の後述する円板カバー部721の径方向外周部の下側に位置する。環状ベース部711は、周方向に延びる。また、環状ベース部711は、径方向に延びる板状である。環状ベース部711の上面には、シャッター部材4のギヤ部411の下端部が接触する。なお、ギヤ部411の下端部は、径方向において下側に突出するように湾曲した曲面である。環状ベース部711は、下側からシャッター部材4を支持する。
【0038】
リブ部712は、環状ベース部711の径方向内端部に配置される。リブ部712は、環状ベース部711から上側に向かって突出する。リブ部712は、中心軸Cを中心とする円筒状に形成される。リブ部712は、カバー部材72の円板カバー部721の下側に位置する。リブ部712の上縁部は、円板カバー部721の下面と上下方向に対向する。
【0039】
モータベース部713は、環状ベース部711に対して径方向外側に位置する。モータベース部713は、カバー部材72の後述するモータカバー部723の下側に位置する。モータベース部713は、シャッターモータ5及びギヤ6の下側に位置する。モータベース部713は、シャッターモータ5及びギヤ6を下側から支持する。
【0040】
カバー部材72は、ハウジング7の上部に位置する。カバー部材72は、円板カバー部721と、リブ部722と、モータカバー部723と、接続部724と、を有する。
【0041】
円板カバー部721は、ファンモータ2のインペラ21の下側、且つシャッター部材4の3つのシャッター42の径方向内側に位置する。また、円板カバー部721の径方向外周部は、ベース部材71の環状ベース部711の上側、且つシャッター部材4の環状部41の上側に位置する。円板カバー部721は、中心軸Cに対して径方向に広がる。
【0042】
リブ部722は、円板カバー部721の径方向外周部に配置される。リブ部722は、円板カバー部721から下側に向かって突出する。リブ部722は、中心軸Cを中心とする円筒状に形成される。リブ部722は、ベース部材71の環状ベース部711の上側に位置する。リブ部722の下縁部は、環状ベース部711の上面と上下方向に対向する。
【0043】
リブ部722は、ベース部材71のリブ部712の径方向外側に嵌合する。リブ部722及びリブ部712は、径方向に対向する。連結部73は、リブ部722及びリブ部712に対して設けられる。本実施形態において、ハウジング7は、4つの連結部73を有する。4つの連結部73は、周方向に配列される。連結部73は、例えばスナップフィット構造を有する。連結部73は、スナップフィットによって、リブ部722とリブ部712とを連結する。言い換えれば、ベース部材71及びカバー部材72は、連結部73において連結される。
【0044】
モータカバー部723は、円板カバー部721及び接続部724に対して径方向外側に位置する。モータカバー部723は、ベース部材71のモータベース部713の上側に位置する。モータカバー部723は、シャッターモータ5及びギヤ6の上側に位置する。モータカバー部723は、シャッターモータ5及びギヤ6の上側に重なって覆う。モータカバー部723は、シャッターモータ5の電源ケーブル等が通る開口7231を有する。
【0045】
接続部724は、円板カバー部721に対して径方向外側、且つモータカバー部723に対して径方向内側に位置する。接続部724は、円板カバー部721の径方向外周部の上側に位置する。接続部724は、周方向に湾曲して延びる。接続部724の周方向から見た縦断面は、U字形状である。詳細に言えば、接続部724は、2つの側壁7241と、上蓋7242と、を有する。
【0046】
2つの側壁7241は、径方向に間隔をあけて配置され、周方向に湾曲して上下方向に延びる。上蓋7242は、2つの側壁7241の上端部を径方向に接続し、周方向に弧状に延びる。径方向内側の側壁7241の下端部には、円板カバー部721が接続される。径方向外側の側壁7241の径方向外周面には、モータカバー部723が接続される。接続部724は、円板カバー部721とモータカバー部723とを接続する。なお、2つの側壁7241の径方向の間隙は、周方向に回転するシャッター42が通過する。
【0047】
<2.保持部材周辺の詳細構成>
続いて、保持部材3及びその周辺の詳細な構成について、図4に加えて図5を用いて説明する。図5は、空気流制御装置1の保持部材3の斜視図である。
【0048】
保持部材3は、カバー部材72の円板カバー部721の径方向中央部に固定されている。保持部材3は、筒部31と、板部32と、を有する。
【0049】
筒部31は、保持部材3の径方向中央部に位置する。筒部31は、中心軸Cを中心として上下方向に延びる。筒部31は、シャフト22を支持する軸受25と、ステータコア241とを保持する。すなわち、保持部材3は、ファンモータ2を保持する。
【0050】
板部32は、保持部材3の下部に位置する。板部32は、筒部31の下部に接続する。板部32は、筒部31の下端側において径方向外側に広がる。板部32の径方向外周部は、周方向に沿って略円形である。
【0051】
ハウジング7は、固定部725を有する。固定部725は、カバー部材72の円板カバー部721に設けられる。固定部725は、円板カバー部721の径方向中央部に位置する。固定部725は、保持部材3を固定する。
【0052】
詳細に言えば、本実施形態において、ハウジング7と保持部材3とは、インサート成形によって一体として形成される。また、ハウジング7と保持部材3とは、同一部材であっても良い。この構成によれば、ハウジング7と保持部材3とを結合するに際し、ネジ等の締結部品を用いる必要がない。したがって、空気流制御装置1において、小型化及び部品点数の低減を図ることが可能である。
【0053】
固定部725は、外被覆部7251と、内被覆部7252と、を有する。
【0054】
外被覆部7251は、固定部725の下部に位置する。また、外被覆部7251は、保持部材3の板部32の下側に位置する。外被覆部7251は、周方向に延びる環状であり、且つ径方向に延びる板状である。板部32の外周部において、外被覆部7251は、板部32の下側を覆う。
【0055】
内被覆部7252は、固定部725の上部に位置する。また、内被覆部7252は、保持部材3の板部32の上側に位置する。内被覆部7252は、周方向に延びる環状であり、且つ径方向に延びる板状である。板部32の外周部において、内被覆部7252は、板部32の上側を覆う。
【0056】
保持部材3の板部32は、ハウジング7の固定部725に対してインサートされている。言い換えれば、板部32は、外被覆部7251と内被覆部7252との間に挟まれて固定される。この構成によれば、板部32を外被覆部7251と内被覆部7252との間に挟むことで、ハウジング7に対して保持部材3を強固に固定することが可能である。また、固定部725の強度を高めることができる。
【0057】
板部32の下側の少なくとも一部は、ハウジング7から外部に露出する。詳細に言えば、板部32の下側の、外被覆部7251で覆われた領域よりも径方向内側の領域は、ハウジング7から外部に露出する。また、板部32の上側の少なくとも一部は、ハウジング7から外部に露出する。詳細に言えば、板部32の上側の、内被覆部7252で覆われた領域よりも径方向内側の領域は、ハウジング7から外部に露出する。
【0058】
この構成によれば、金型を用いたハウジング7の樹脂成形時に、インサートする保持部材3の板部32の下側及び上側それぞれの露出部分を、金型で保持することができる。これにより、金型上で、保持部材3を適正に位置決めすることができる。
【0059】
板部32は、回り止め孔321を有する。回り止め孔321は、板部32を上下方向に貫通する。回り止め孔321は、周方向に湾曲して延びる。本実施形態において、板部32は、4つの回り止め孔321を有する。4つの回り止め孔321は、周方向に間隔をあけて配列される。
【0060】
固定部725は、回り止め片7253を有する。回り止め片7253は、回り止め孔321内に位置する。回り止め片7253は、インサート成形時に樹脂が回り止め孔321内に充填されることで形成される。回り止め片7253は、4つの回り止め孔321すべての内部に配置される。
【0061】
回り止め片7253は、外被覆部7251と内被覆部7252との間を連結する。詳細に言えば、回り止め片7253は、外被覆部7251と内被覆部7252との間に配置され、外被覆部7251と内被覆部7252とを上下方向に連結する。この構成によれば、ハウジング7に対し、保持部材3をより強固に固定することが可能である。
【0062】
ハウジング7は、外環部7211を有する。外環部7211は、カバー部材72の円板カバー部721に設けられる。外環部7211は、固定部725の径方向外側に広がる。外環部7211の上下方向の厚さは、固定部725の上下方向の厚さよりも薄い。この構成によれば、外環部7211を必要以上に厚くしないようにすることで、使用材料の低減と、ひけの防止とを図ることができる。
【0063】
板部32は、位置決め孔322を有する。位置決め孔322は、板部32を上下方向に貫通する。位置決め孔322は、上下方向に沿って延びる円筒状である。位置決め孔322内には、インサート成形時に金型の一部が挿入される。すなわち、成形されて金型から取り出されたハウジング7及び保持部材3において、位置決め孔322の内部の少なくとも一部は、ハウジング7から外部に露出する。この構成によれば、金型に対し、保持部材3の位置決め精度を向上させることができる。
【0064】
板部32は、切り欠き部323を有する。切り欠き部323は、板部32の径方向外周部に位置する。切り欠き部323は、板部32の外周形状の一部を形成し、上下方向から見て中心軸Cを中心とする円の弦に沿って設けられる。切り欠き部323の端面は、上下方向に沿って延びる。この構成によれば、ファンモータ2のケーブル(不図示)を配線し易くすることができる。
【0065】
保持部材3の材料は、ハウジング7の材料よりも硬い材料である。本実施形態において、保持部材3は、例えばPBT(Polybutylene Terephthalate)樹脂で形成される。本実施形態において、ハウジング7は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂で形成される。この構成によれば、保持部材3は、強度が高い材料で形成されるので、振動するファンモータ2を強固に保持することが可能である。一方、保持部材3以外の箇所は、強度が低くても良く、安価な材料を選定することができる。
【0066】
<3.その他>
以上、本開示の実施形態につき説明したが、本開示の範囲はこれに限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及び他の種々の変更を加えて実施することができる。
【0067】
例えば、シャッター42、回り止め孔321及び回り止め片7253の形状、大きさ、数量及び配列は、先で説明した構成に限定されるわけではなく、他の形状、大きさ、数量及び配列であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示の空気流制御装置は、例えば冷蔵庫に搭載され、冷気の流通経路の切り替えに利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・空気流制御装置、2・・・ファンモータ、3・・・保持部材、4・・・シャッター部材、5・・・シャッターモータ、6・・・ギヤ、7・・・ハウジング、21・・・インペラ、22・・・シャフト、23・・・ロータ、24・・・ステータ、25・・・軸受、31・・・筒部、32・・・板部、41・・・環状部、42・・・シャッター、71・・・ベース部材、72・・・カバー部材、73・・・連結部、211・・・カップ部、212・・・円板部、213・・・羽根、214・・・支持枠、231・・・ロータヨーク、232・・・マグネット、241・・・ステータコア、242・・・インシュレータ、243・・・コイル、321・・・回り止め孔、322・・・位置決め孔、323・・・切り欠き部、411・・・ギヤ部、711・・・環状ベース部、712・・・リブ部、713・・・モータベース部、721・・・円板カバー部、722・・・リブ部、723・・・モータカバー部、724・・・接続部、725・・・固定部、7211・・・外環部、7231・・・開口、7241・・・側壁、7242・・・上蓋、7251・・・外被覆部、7252・・・内被覆部、7253・・・回り止め片、C・・・中心軸
図1
図2
図3
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図5