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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】精米機構の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
B02B7/00 101A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020167958
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059999
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊本 一夫
(72)【発明者】
【氏名】松村 秀正
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-127926(JP,A)
【文献】特開平10-109043(JP,A)
【文献】特開2018-060296(JP,A)
【文献】特開2020-073915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動制御される精米機構の制御システムであって、
複数の品質データが格納される品質データ格納部と、
複数の前記品質データから選択される1又は複数の前記品質データに基づいて穀物を精米することが可能な精米部と、
前記精米部における精米処理終了の判断基準を算出する基準値算出部と、
前記品質データ格納部、前記精米部、及び前記基準値算出部を制御するサーバ部と、を備え
前記サーバ部は、前記品質データ格納部に格納された過去の複数の前記品質データを抽出するとともに精米処理に必要な前記品質データを抽出して前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータを選択して前記基準値算出部に送信し、
前記基準値算出部は、前記サーバ部により送信された前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータに基づいてテスト精米を実行し、該テスト精米の結果に基づいて前記精米部における精米処理の終了条件となる品質に関わる基準値を出力する
精米機構の制御システム。
【請求項2】
前記精米部は、精米処理後の穀物の品質を1又は複数回以上チェックするチェック部を有する、
請求項1に記載の精米機構の制御システム。
【請求項3】
前記精米部は、前記チェック部でチェックされた精米処理後の前記穀物をさらに精米させる指示部を有する、
請求項2に記載の精米機構の制御システム。
【請求項4】
前記指示部は、精米処理後の前記穀物を前記基準値算出部で出力された精米処理終了の条件となる前記基準値を満たす状態に到達させる指示を出力可能である、
請求項3に記載の精米機構の制御システム。
【請求項5】
前記基準値算出部で出力される前記基準値は、前記穀物の白度を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の精米機構の制御システム。
【請求項6】
前記精米部は、該精米部での精米処理終了を判断する判断部を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の精米機構の制御システム。
【請求項7】
前記精米部は、前記チェック部から出力するチェック結果データ及び前記判断部から出力する精米処理の終了報告データからなる群より選ばれた1種以上のデータを、前記サーバ部に送信可能な送信部を有する、
請求項2~6のいずれか1項に記載の精米機構の制御システム。
【請求項8】
前記品質データは、前記穀物の、生産年データ、穀粒データ、食味データ、収穫後気温データ、収穫後湿度データ、品種データ、産地データ、水分データ、温度データ、硬度データ、前記基準値のデータ、精米日データ、前記チェック部で取得されたデータ、前記指示部からの指示でさらに精米されて取得されたデータ及び前記判断部による前記精米処理の終了報告データからなる群より選ばれた1種以上のデータを含む、
請求項2~7のいずれか1項に記載の精米機構の制御システム。
【請求項9】
前記サーバ部は、前記品質データ格納部に蓄積された前記品質データと前記基準値との相関性を学習した多層ニューラルネットワークによる推定処理を実行して、前記精米機構の運転制御を行う、
請求項1~8のいずれか1項に記載の精米機構の制御システム。
【請求項10】
自動制御するための精米機構の制御方法であって、
複数の品質データを格納するステップと、
複数の前記品質データから1又は複数の前記品質データを選択するステップと、
前記選択した前記品質データに基づいて、精米部に穀物の精米処理の開始を指示するステップと、
前記精米部での前記精米処理の終了を判断するステップと、を含み、
さらに、
格納された過去の複数の前記品質データを抽出するとともに精米処理に必要な前記品質データを抽出して前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータを選択して送信するステップと
送信された前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータに基づいてテスト精米を実行し、該テスト精米の結果に基づいて前記精米部における精米処理の終了条件となる品質に関わる基準値を出力するステップと、を含む
精米機構の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米機構の制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造現場における省力化等を目的として、製造現場における自動化が進んでいる。例えば、特許文献1には、FA(Factory Automation)システムを用いた精米工程の安全停止システムの発明が開示されており、食品工場や農業施設等において、災害の規模や緊急度に応じたレベルで安全に機械設備を停止することを可能にした発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-028607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、精米機での精米処理における自動化については、現状、あまり自動化が進んでおらず、精米機の起動から運転操作、運転の終了、さらには精米処理途中における穀粒の品質チェック、精米機の微調整等、多くの段階処理をユーザーである作業員自らが別々に行っている。このような状況の中、各段階処理におけるロス時間や人的バイアスの発生等を極力抑え、精米処理に関わる労力を省力化することが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、精米処理を省力化することが可能な、精米機構の制御システム及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係る発明は、自動制御される精米機構の制御システムであって、複数の品質データが格納される品質データ格納部と、複数の前記品質データから選択される1又は複数の前記品質データに基づいて穀物を精米することが可能な精米部と、前記精米部における精米終了の判断基準を算出する基準値算出部と、前記品質データ格納部、前記精米部、及び前記基準値算出部を制御するサーバ部と、を備え、前記サーバ部は、前記品質データ格納部に格納された過去の複数の前記品質データを抽出するとともに精米処理に必要な前記品質データを抽出して前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータを選択して前記基準値算出部に送信し、前記基準値算出部は、前記サーバ部により送信された前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータに基づいてテスト精米を実行し、該テスト精米の結果に基づいて前記精米部における精米処理の終了条件となる品質に関わる基準値を出力する精米機構の制御システムである。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、前記精米部は、精米処理後の穀物の品質を1又は複数回以上チェックするチェック部を有する、請求項1に記載の精米機構の制御システムである。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、前記精米部は、前記チェック部でチェックされた精米処理後の前記穀物をさらに精米させる指示部を有する、請求項2に記載の精米機構の制御システムである。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、前記指示部は、精米処理後の前記穀物を前記基準値算出部で出力された精米処理終了の条件となる前記基準値を満たす状態に到達させる指示を出力可能である、請求項3に記載の精米機構の制御システムである。
【0010】
本願請求項5に係る発明は、前記基準値算出部で出力される前記基準値は、前記穀物の白度を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の精米機構の制御システムである。
【0011】
本願請求項6に係る発明は、前記精米部は、該精米部での精米終了を判断する判断部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の精米機構の制御システムである。
【0012】
本願請求項7に係る発明は、前記精米部は、前記チェック部で取得されたデータ及び前記判断部による前記精米終了の報告データからなる群より選ばれた1種以上のデータを、前記サーバ部に送信可能な送信部を有する、請求項2~6のいずれか1項に記載の精米機構の制御システムである。
【0013】
本願請求項8に係る発明は、前記品質データは、前記穀物の、生産年データ、穀粒データ、食味データ、収穫後気温データ、収穫後湿度データ、品種データ、産地データ、水分データ、温度データ、硬度データ、前記基準値のデータ、精米日データ、前記チェック部で取得されたデータ、前記指示部からの指示でさらに精米されて取得されたデータ及び前記判断部による前記精米処理の終了報告データからなる群より選ばれた1種以上のデータを含む、請求項2~7のいずれか1項に記載の精米機構の制御システムである。
【0014】
本願請求項9に係る発明は、前記サーバ部は、前記品質データ格納部に蓄積された前記品質データと前記基準値との相関性を学習した多層ニューラルネットワークによる推定処理を実行して、前記精米機構の運転制御を行う、請求項1~8のいずれか1項に記載の精米機構の制御システムである。
【0015】
本願請求項10に係る発明は、自動制御するための精米機構の制御方法であって、複数の品質データを格納するステップと、複数の前記品質データから1又は複数の前記品質データを選択するステップと、前記選択した前記品質データに基づいて、精米部に穀物の精米処理の開始を指示するステップと、前記精米部での前記精米処理の終了を判断するステップと、を含み、さらに、格納された過去の複数の前記品質データを抽出するとともに精米処理に必要な前記品質データを抽出して前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータを選択して送信するステップと送信された前記精米機構の運転制御に関わる必要なデータに基づいてテスト精米を実行し、該テスト精米の結果に基づいて前記精米部における精米処理の終了条件となる品質に関わる基準値を出力するステップと、を含む精米機構の制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び請求項10に係る発明によれば、複数の品質データが格納される品質データ格納部と、複数の品質データから選択される1又は複数の品質データに基づいて穀物を精米することが可能な精米部と、精米部における精米終了の判断基準を算出する基準値算出部と、上記した品質データ格納部、精米部、及び基準値算出部を制御するサーバ部とを有している。このような構成により、格納されている品質データの利用と、精米終了を適切に判断する基準値の算出により、省力化が可能な、精米機構の制御システム及び制御方法を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、精米部は、精米処理後の穀物の品質を1又は複数回以上チェックするチェック部を有しており、精米処理中に刻々と変化する品質状態をチェックし、適切な精米処理を行うことが可能となる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、精米部は、チェック部でチェックされた精米処理後の穀物をさらに精米させる指示部を有しており、精米処理途中の穀物の品質をチェックし、必要に応じてさらに穀物を精米処理することによって、精米処理後の穀物に対して、必要な品質を確保することが可能となる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、指示部は、精米処理後の穀物を、基準値算出部で算出された精米終了の判断基準を満たす状態に到達させる指示を出力することが可能であるので、基準値算出部で算出された明確な判断基準に従って、穀物を精米処理することが可能となる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、基準値算出部で算出される判断基準を、穀物の白度とすることで、穀物を過度に精米処理することを回避でき、品質と併せて歩留りを向上させることが可能となる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、精米部は、精米部での精米終了を判断する判断部を有しており、精米処理中の穀物が、精米終了の判断基準を満たす状態となったか否かを、判断することが可能となる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、精米部は、チェック部で取得されたデータ及び判断部による精米終了の報告データからなる群より選ばれた1種以上のデータを、サーバ部に送信可能な送信部を有しているので、例えば、複数の精米部が存在するような状況であっても、サーバ部で一括して精米機構を管理することが可能となる。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、品質データは、穀物の、生産年データ、穀粒データ、食味データ、収穫後気温データ、収穫後湿度データ、品種データ、産地データ、水分データ、温度データ、硬度データ、基準値のデータ、精米日データ、チェック部で取得されたデータ、指示部からの指示でさらに精米されて取得されたデータ及び判断部による精米処理の終了報告データからなる群より選ばれた1種以上のデータを含むように構成されているので、精米処理を行なおうとする穀物に対し、その穀物の品質データに基づく精米処理が可能となる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、サーバ部は、多層ニューラルネットワークによる推定処理を実行して、精米部に穀物の精米処理を行わせることが可能であるので、学習機能によって、より効率的な精米処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態における、精米機構の制御システムのデバイス構成を示したブロック図である。
図2】本発明の一実施形態における、品質データ格納部の説明図である。
図3】本発明の一実施形態における、システム全体の制御処理の流れを示した説明図である。
図4】本発明の一実施形態における、精米部での基準値算出処理の流れを示した説明図である。
図5】本発明の一実施形態における、サーバ部と精米部の制御処理の流れを示した説明図である。
図6】本発明の第2実施形態における、制御システムのシステム構成の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の精米機構の制御システム及び制御方法について、一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示されるように、本実施形態の精米機構の制御システム100は、精米機構を自動制御することが可能となっており、統括的に制御システム全体を制御することが可能なサーバ部1と、穀物の精米処理における精米機の機械状態データを含む、品質に関わる複数の品質データが格納される品質データ格納部2と、を含む、穀物の精米処理を実行可能な精米部4とから、少なくとも構成される。
【0031】
また、サーバ部1は、品質データ格納部2へ品質データをフィードバックすることが可能なフィードバック部10と、精米部4における精米処理の実行に際し、サーバ部1が選択した精米処理に関わる各種選択データの適否を判断するデータ適否判断部11を少なくとも備えている。
【0032】
品質データ格納部2は、サーバ部1から受信した品質データを記録する記録手段20を少なくとも有している。上記した品質データとしては、例えば、図2に示されるように、不図示の穀粒判別機などから取得される穀粒データや、食味計(登録商標)などによって取得される食味データ、精米処理施設の外気温・湿度データ、穀物の経歴情報である生産年データ、品種データ、産地データ、収穫後気温データ、収穫後湿度データ、精米日を含む精米ロットNo,データ、精米機の運転制御情報を含む機械状態データなどのデータの他、穀物の水分データや温度データ、硬度データ、穀物の粒度分布などである。
【0033】
さらに、品質データ格納部2には、後述する精米処理の終了判断の基準となる基準白度クリア値や、精米部4のチェック部42で取得した品質のチェックデータ、判断部43による精米処理の終了報告データなども品質データ格納部2に記録・格納することが可能となっている。なお、品質データ格納部2は、精米処理施設内に設置することも可能であるが、精米処理施設外に設置され、インターネット回線などを利用して、サーバ部1と通信可能に接続してもよい。
【0034】
精米部4は、不図示の精米機を含み、さらに精米機による精米処理を実行制御する機能を有している。また、精米部4は、基準値算出部40を備えており、当該基準値算出部40は精米機によるテスト精米を実行制御し、精米処理の終了を判断するための穀物の品質基準値を算出することが可能である。精米処理の終了の判断基準となる穀物の品質としては、例えば、穀物の白度とすることができ、この場合は、基準値算出部40において基準白度クリア値を算出して決定する。
【0035】
つまり、穀粒が米粒の場合、精米処理を繰り返すことによって白度が上昇するわけであるが、過度に精米処理を行うと、必要以上に米粒を削ることになってしまい、品質低下の低下を招くだけでなく、歩留りも低下してしまう。そこで、上記した基準値算出部40によって、精米処理の終了条件となる基準白度クリア値を算出・決定することで、穀物の品質向上と歩留りの向上を図ることが可能となる。
【0036】
加えて、精米部4は、サーバ部1や基準値算出部40からの運転制御情報に基づいて、精米機に精米処理における動作指示を行うことが可能な指示部41と、精米処理における精米サイクルごとに、精米処理後の穀物の品質状態を1又は複数回チェックすることが可能なチェック部42と、チェック部42のチェック結果に基づいて、精米処理の終了条件となる品質の基準値をクリアしたか否かを判断する判断部43と、精米部4からサーバ部1へ各種データを送信可能な送信部44とを、少なくとも備えている。
【0037】
なお、本実施形態では、精米処理の終了を判断するための品質の基準値を穀物の白度としており、上記した基準値算出部40は、基準白度クリア値を算出・決定する。また、精米部4は穀物の白度をチェックするため、品質測定装置として白度計45を備えている。もちろん、精米処理の終了を判断するための品質の基準値を白度以外のものとすることも可能であり、品質項目に応じて適切な他の測定装置を備えるようにすることも可能である。
【0038】
続いて、図3には、本実施形態の精米機構の制御システム100における、全体の制御構成が図示され、さらに、図4にはサーバ部1と精米部4との制御構成が、図5にはテスト精米後の精米処理における制御構成が図示されている。以下に、これら図3~5に基づいて、本実施形態における処理フローについて説明する。
【0039】
図3及び図4に示されるように、まず、穀物の精米処理を行うにあたり、サーバ部1は、品質データ格納部2に格納された過去の複数の品質データから、精米処理に必要な品質データを抽出し(図示「S1」)、精米機の運転制御に関わる必要なデータを選択する。その後、サーバ部1の指示によって粒選別部3による穀物の厚み選別が実行されるとともに、サーバ部1から基準値算出部40へ上記した精米機の運転制御に関わる選択データが送信される(図示「S2」)。
【0040】
続いて精米部4の基準値算出部40は、サーバ部1から送信された上記選択データに基づいて、厚み選別された穀物を使用してテスト精米を実行する。そして、基準値算出部40では図4に示されるように、精米処理の終了条件となる基準白度クリア値を算出・決定し、品質データに応じた基準白度クリア値出力する。
【0041】
テスト精米の実行中は、精米サイクルごとに、精米処理後の穀物の白度が白度計45により1又は複数回測定され、その都度チェック部42によって白度がチェックされる。そして、白度のチェック結果や、テスト精米において取得した基準白度クリア値をクリアするための精米機の運転制御に関わる情報は、送信部44を介してサーバ部1へと送信される(図示「S3」)。なお、上記テスト精米は、実際の精米処理に使用する精米機を使用してもよいし、別途用意した小型のテスト精米機によって行ってもよい。
【0042】
続いて、サーバ部1では、精米部4の送信部44から送信された白度のチェック結果や、テスト精米において取得した基準白度クリア値をクリアするための精米機の運転制御に関わる情報に基づいて、データ適否判断部11によって前述した選択データの適否を判断する。さらに、データ適否判断部11における判断結果や、テスト精米において取得した各種品質データ、運転制御に関わる情報などを、フィードバック部10を介して品質データ格納部2へと送信する(図示「S4」)。
【0043】
次に、サーバ部1は、前述したテスト精米の結果を踏まえて、品質データ格納部2から適切なデータの抽出・選択を行い(図示「S5」)、精米部4へと適切な選択データを送信する(図示「S6」)。サーバ部1から送信される適切な選択データには、精米機の運転制御に関わる情報や、穀物の品質データに応じた適切な基準白度クリア値が含まれており、このような情報に基づいて、精米機の設定及び微調整が行われ、穀物の精米処理が実行される。
【0044】
次に、前述したテスト精米の完了後の精米処理について、図5に示されたブロック図に基づいて、より詳細に説明する。テスト精米を経て、基準白度クリア値の設定、精米機の運転制御に関わる設定が行われると、サーバ部1は、粒選別部3による穀物の厚み選別及び/又は精米部4に対する精米開始の指示を行う。なお、テスト精米の完了後は、基準値算出部40における処理は実行されることなく、精米部4の指示部41は精米機を制御して精米処理の実行を指示する。
【0045】
指示部41は、サーバ部1から送信された前述の適切な選択データに基づいて、精米処理のサイクル数をn(自然数)回としてセットし、さらに、精米処理の終了判定基準となる基準白度クリア値を設定する。精米処理が開始されると、チェック部42によってサイクルチェックが実行され、都度、穀物の白度を白度計45によって測定させて、そのチェック結果を、送信部44を介してサーバ部1へと送信する。
【0046】
また、チェック部42によるサイクルチェックの結果、判断部43によって精米処理の終了判定基準となる基準白度クリア値をクリアしたことが判断されると、送信部44を介してサーバ部1へ精米処理の終了報告が送信される。これによりサーバ部1は、精米部4の指示部41に対して、精米処理の終了指示を送信する。一方、チェック部42によるサイクルチェックの結果、基準白度クリア値をクリアしていない場合は、指示部41は精米処理後の穀物をさらに精米させる。
【0047】
また、サーバ部1のフィードバック部10は、精米部4から送信されたチェック結果や精米処理の終了報告を含め、精米部4における運転制御情報とともに、品質データとして品質データ格納部2へ送信する。品質データ格納部2では、フィードバック部10から送信された各品質データを記録手段20によって記録・格納する。
【0048】
(その他の実施形態)
以上、本発明の精米機構の制御システムにおける一実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、例えば以下に示すような変形例も含まれる。
【0049】
例えば、図6に示されるように、それぞれ異なる地域に存在する複数の精米処理施設(施設A、施設B、施設C・・・)を、インターネット回線網などを利用してFTPサーバ5に接続し、前述した品質データのアップロード及びダウンロードを行うようにすることが可能である。また、FTPサーバ5で受信したテキストデータなどをデータベースに変換し、データサーバ6に格納することが可能である。そして、アプリケーションサーバ7によって、各精米処理施設の制御システム100からの要求に対して必要な情報(例えば、各種品質データ)を各精米処理施設のサーバに配信することが可能となる。
【0050】
上記したような構成によれば、例えば、施設Aで行ったテスト精米の結果を一括してデータサーバ6に格納して管理することが可能となり、このテスト精米によって得られた適切なデータを施設Bや施設Cに配信することで、施設B及び施設Cにおけるテスト精米を省略することが可能となる。
【0051】
また、本発明の精米機構の制御システムにおいて、ディープラーニングの技術を用いて作成した多層ニューラルネットワークによる推定処理を実行するように構成することも可能である。すなわち、収集された蓄積された多くの各種品質データと、精米終了と判断するための品質の基準値(例えば、基準白度クリア値ほか)との相関性を学習したニューラルネットワークのモデルを、例えば、精米処理施設のサーバ部1や、図6のアプリケーションサーバ7などに付加することにより、精米部4における精米機の運転制御に関するパラメータを好適化することが可能となる。
【0052】
また、前述した実施形態では、サーバ部1が、品質データ格納部2、精米部4、粒選別部3、基準値算出部40に直接接続され、それぞれを制御する構成を示したが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、サーバ部1が、上記した品質データ格納部2、精米部4、粒選別部3、及び基準値算出部40を含む構成の少なくとも1つを制御するようにしてもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 サーバ部
2 品質データ格納部
3 粒選別部
4 精米部
5 FTPサーバ
6 データサーバ
7 アプリケーションサーバ
10 フィードバック部
11 データ適否判断部
20 記録手段
40 基準値算出部
41 指示部
42 チェック部
43 判断部
44 送信部
45 白度計
100 制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6