(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】転写装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241001BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2020172149
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】萩原 和義
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智章
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊彰
(72)【発明者】
【氏名】岸 和紀
(72)【発明者】
【氏名】奥山 真司
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-211106(JP,A)
【文献】特開2003-295634(JP,A)
【文献】特開平08-248785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、
前記記録媒体の先端部を保持する保持部材が収容される凹部が設けられ、転写位置で前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記転写部材に印加する電圧を基準電位点に短絡する短絡回路と、
前記転写胴の回転によって、前記凹部が前記転写位置に突入するときに前記短絡回路を作動させ、前記凹部が前記転写位置から抜けたときに前記短絡回路の作動を停止させる作動停止機構と、
を備え
、
前記給電装置は、
前記記録媒体に転写する転写電界を形成する転写電圧と、
前記転写電圧よりも絶対値が小さい待機電圧と、
に切り替え可能とされ、
前記短絡回路が作動する前に前記転写電圧から前記待機電圧に切り替えられ、
前記短絡回路の作動が停止する前に前記待機電圧から前記転写電圧に切り替えられる、
転写装置。
【請求項2】
給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、
前記記録媒体の先端部を保持する保持部材が収容される凹部が設けられ、転写位置で前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記転写部材に印加する電圧を基準電位点に短絡する短絡回路と、
前記転写胴の回転によって、前記凹部が前記転写位置に突入するときに前記短絡回路を作動させ、前記凹部が前記転写位置から抜けたときに前記短絡回路の作動を停止させる作動停止機構と、
を備え、
前記給電装置は、
前記記録媒体に転写する転写電界を形成する転写電圧と、
前記転写電圧と逆極性の逆電圧と、
に切り替え可能とされ、
前記短絡回路が作動する前に前記転写電圧から前記逆電圧に切り替えられ、
前記短絡回路の作動が停止する前に前記逆電圧から前記転写電圧に切り替えられる、
転写装置。
【請求項3】
前記給電装置は、
前記転写電圧と、
前記逆電圧と、
前記転写電圧と前記逆電圧との間の中間電圧と、
に切り替え可能とされ、
前記短絡回路の作動が停止する前に、前記逆電圧から前記中間電圧に切り替えられ、前記中間電圧から前記転写電圧に切り替えられる、
請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、
前記記録媒体の先端部を保持する保持部材が収容される凹部が設けられ、転写位置で前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記転写部材に印加する電圧を基準電位点に短絡する短絡回路と、
前記転写胴の回転によって、前記凹部が前記転写位置に突入するときに前記短絡回路を作動させ、前記凹部が前記転写位置から抜けたときに前記短絡回路の作動を停止させる作動停止機構と、
を備え、
前記短絡回路は、転写電界を形成しているときの前記転写部材の抵抗値の1/2の抵抗値の抵抗素子を介して前記基準電位点に短絡する、
転写装置。
【請求項5】
給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、
前記記録媒体の先端部を保持する保持部材が収容される凹部が設けられ、転写位置で前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記転写部材に印加する電圧を基準電位点に短絡する短絡回路と、
前記転写胴の回転によって、前記凹部が前記転写位置に突入するときに前記短絡回路を作動させ、前記凹部が前記転写位置から抜けたときに前記短絡回路の作動を停止させる作動停止機構と、
を備え、
前記転写部材は、金属製の軸部材を中心に回転し、
前記給電装置は、前記転写部材の外周面に接触して電圧を印加する印加部材を有し、
前記短絡回路は、前記軸部材を短絡し、
前記作動停止機構は、
前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記軸部材を短絡する接触部と、
前記転写胴の回転動作に連動して、前記接触部の前記軸部材に対する接離を切り替える切替部材と、
を有する、
転写装置。
【請求項6】
給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、
前記記録媒体の先端部を保持する保持部材が収容される凹部が設けられ、転写位置で前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記転写部材に印加する電圧を基準電位点に短絡する短絡回路と、
前記転写胴の回転によって、前記凹部が前記転写位置に突入するときに前記短絡回路を作動させ、前記凹部が前記転写位置から抜けたときに前記短絡回路の作動を停止させる作動停止機構と、
を備え、
前記転写胴は、
前記凹部が形成された円筒形の胴本体と、
前記胴本体の外周面に設けられた外周部と、
を有し、
前記作動停止機構は、前記転写位置が前記外周部に位置している範囲で前記短絡回路を作動させて短絡する、
転写装置。
【請求項7】
前記作動停止機構は、前記転写位置が前記外周部に位置している範囲で前記短絡回路の作動を停止する、
請求項6に記載の転写装置。
【請求項8】
前記短絡回路は、抵抗値が1MΩ以上で4MΩ以下の抵抗素子を介して前記基準電位点に短絡する、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項5、請求項6、請求項7のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項9】
前記短絡回路は、転写電界を形成しているときの前記転写部材の抵抗値の1/2の抵抗値の抵抗素子を介して前記基準電位点に短絡する、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項5、請求項6、請求項7のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項10】
前記転写部材は、金属製の軸部材を中心に回転し、
前記給電装置は、前記転写部材の外周面に接触して電圧を印加する印加部材を有し、
前記短絡回路は、前記軸部材を短絡し、
前記作動停止機構は、
前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記軸部材を短絡する接触部と、
前記転写胴の回転動作に連動して、前記接触部の前記軸部材に対する接離を切り替える切替部材と、
を有する、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項11】
前記転写胴は、
前記凹部が形成された円筒形の胴本体と、
前記胴本体の外周面に設けられた外周部と、
を有し、
前記作動停止機構は、前記転写位置が前記外周部に位置している範囲で前記短絡回路を作動させて短絡する、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項12】
軸部材を中心に回転し、現像剤像を記録媒体に転写するための転写電界を形成する転写部材と、
前記転写部材に接触して前記転写部材に電圧を印加する印加部材と、
前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記転写部材を接地する接地部材と、
前記軸部材に対する前記接地部材の接離を切り替える切替部材と、
を備え、
回転し、搬送される記録媒体が巻き付けられ、前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴を備え、
前記切替部材は、前記転写胴の回転動作に連動して前記軸部材に対する前記接地部材の接離を切り替え、
前記転写胴は、断面円状であって、
前記切替部材は、前記転写胴の外周面をカム面とすることで、前記転写胴の回転動作に連動して前記軸部材に対する前記接地部材の接離を切り替える、
転写装置。
【請求項13】
前記切替部材は、前記軸部材の軸方向から見てU字状とされ、U字状とされた湾曲部に設けられ、前記軸方向に沿った回転軸部と、U字状とされた一側に設けられ、前記回転軸部を中心に回転すると共に前記転写胴の外周面と接触する接触部と、U字状とされた他側に設けられ、前記回転軸部を中心に回転すると共に前記接地部材を支持する支持部とを備える、
請求項12に記載の転写装置。
【請求項14】
記録媒体の先端を把持する把持部材を有し、記録媒体を搬送する搬送部材を備え、
前記切替部材は、前記把持部材と前記転写部材が対向している状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させる、
請求項12又は請求項13に記載の転写装置。
【請求項15】
前記転写胴の外周面には、
前記軸部材の軸方向に延びると共に前記把持部材が配置される凹部が形成され、
前記転写胴は、前記凹部に配置された前記把持部材によって把持される記録媒体を外周面で巻き付け、
前記切替部材は、
前記転写胴の外周面と接触する接触部が前記転写胴の外周面と接触した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させ、前記接触部が前記転写胴の前記凹部に配置された状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させ、
前記凹部に配置された前記接触部は、前記転写胴の外周面において記録媒体が巻き付けられた部分が前記転写部材と対向する前に、前記転写胴の外周面に接触する
、
請求項14に記載の転写装置。
【請求項16】
軸部材を中心に回転し、電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写するための転写電界を形成する転写部材と、
前記転写部材と対向すると共に回転し、前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記転写部材を接地する接地部材と、
前記転写胴の回転動作に連動して前記接地部材の前記軸部材に対する接離を切り替える切替部材と、
を備え、
記録媒体の先端を把持する把持部材を有し、記録媒体を搬送する搬送部材を備え、
前記切替部材は、前記転写部材が前記把持部材に対向した状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させ、
前記転写胴の外周面には、前記軸部材の軸方向に延びると共に前記把持部材が配置される凹部が形成され、
前記切替部材は、前記転写胴の一部をカム面とすることで、前記転写胴の回転動作に連動して前記接地部材によって前記転写部材が接地されるか否かを切り替える、
転写装置。
【請求項17】
前記カム面は、前記軸方向において前記転写胴の端部に形成され、前記軸方向において他の部分に対して形状が異なっている、
請求項16に記載の転写装置。
【請求項18】
軸部材を中心に回転し、電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写するための転写電界を形成する転写部材と、
前記転写部材と対向すると共に回転し、前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、
前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記転写部材を接地する接地部材と、
前記転写胴の回転動作に連動して前記接地部材の前記軸部材に対する接離を切り替える切替部材と、
を備え、
前記転写胴には、搬送される記録媒体が巻き付けられ、
前記切替部材は、前記転写部材が前記転写胴において記録媒体が巻き付けられた部分と対向した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させる、
転写装置。
【請求項19】
前記転写胴には、搬送される記録媒体が巻き付けられ、
前記切替部材は、前記転写部材が前記転写胴において記録媒体が巻き付けられた部分と対向した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させる、
請求項16又は請求項17に記載の転写装置。
【請求項20】
前記記録媒体の先端を把持する把持部材を有し、
前記転写胴の外周面には、前記軸部材の軸方向に延びると共に前記把持部材が配置される凹部が形成され、
前記切替部材は、前記軸部材の軸方向に沿って延びる回転軸部と、前記回転軸部を中心に回転すると共に前記転写胴の外周面と接触する接触部とを有し、前記接触部が前記転写胴の外周面と接触した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させ、前記接触部が凹部に配置された状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させ、
前記凹部に配置された前記接触部は、前記転写部材が前記転写胴の外周面において記録媒体が巻き付けられた部分に到達する前に、前記転写胴の外周面に接触する、
請求項18又は請求項19に記載の転写装置。
【請求項21】
現像剤像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された前記現像剤像を記録媒体に転写する、
請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には像担持体状の像を転写する転写装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、循環移動路に沿って転写材を無端移動する転写材搬送手段と、この搬送手段に取り付けられており、回転軸に軸支されて台部材に対して回転動作し、上記転写材の先端辺を把持するグリッパー片と、上記台部材側に取り付けたスイッチ部材とを有している。そして、上記グリッパー片のスイッチ部材位置を一部切欠くことによりグリッパー内の転写材の存在を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転写装置は、給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、転写位置で転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、を備えている。例えば、転写部材に対する電圧の印加を電気信号によって開始及び終了させると、電気信号を発信してから転写電界が発生する及び消滅するまで時間がかかる。
【0005】
本発明の課題は、転写部材に対する電圧の印加を電気信号によって開始及び終了させる場合と比較し、転写電界を発生及び消滅させるために必要とする時間を短くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、給電装置から電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写する転写電界を形成する転写部材と、前記記録媒体の先端部を保持する保持部材が収容される凹部が設けられ、転写位置で前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、前記転写部材に印加する電圧を基準電位点に短絡する短絡回路と、前記転写胴の回転によって、前記凹部が前記転写位置に突入するときに前記短絡回路を作動させ、前記凹部が前記転写位置から抜けたときに前記短絡回路の作動を停止させる作動停止機構と、を備えた転写装置である。
【0007】
第二態様は、前記給電装置は、前記記録媒体に転写する転写電界を形成する転写電圧と、前記転写電圧よりも絶対値が小さい待機電圧と、に切り替え可能とされ、前記短絡回路が作動する前に前記転写電圧から前記待機電圧に切り替えられ、前記短絡回路の作動が停止する前に前記待機電圧から前記転写電圧に切り替えられる、第一態様に記載の転写装置である。
【0008】
第三態様は、前記給電装置は、前記記録媒体に転写する転写電界を形成する転写電圧と、前記転写電圧と逆極性の逆電圧と、に切り替え可能とされ、前記短絡回路が作動する前に前記転写電圧から前記逆電圧に切り替えられ、前記短絡回路の作動が停止する前に前記逆電圧から前記転写電圧に切り替えられる、第一態様に記載の転写装置である。
【0009】
第四態様は、前記給電装置は、前記転写電圧と、前記逆電圧と、前記転写電圧と前記逆電圧との間の中間電圧と、に切り替え可能とされ、前記短絡回路の作動が停止する前に、前記逆電圧から前記中間電圧に切り替えられ、前記中間電圧から前記転写電圧に切り替えられる、第三態様に記載の転写装置である。
【0010】
第五態様は、前記短絡回路は、抵抗値が1MΩ以上で4MΩ以下の抵抗素子を介して前記基準電位点に短絡する、第一態様~第四態様のいずれか一態様に記載の転写装置である。
【0011】
第六態様は、前記短絡回路は、転写電界を形成しているときの前記転写部材の抵抗値の1/2の抵抗値の抵抗素子を介して前記基準電位点に短絡する第一態様~第四態様のいずれか一態様に記載の転写装置である。
【0012】
第七態様は、前記転写部材は、金属製の軸部材を中心に回転し、前記給電装置は、前記転写部材の外周面に接触して電圧を印加する印加部材を有し、前記短絡回路は、前記軸部材を短絡し、前記作動停止機構は、前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記軸部材を短絡する接触部と、前記転写胴の回転動作に連動して、前記接触部の前記軸部材に対する接離を切り替える切替部材と、を有する、第一態様~第六態様のいずれか一態様に記載の転写装置である。
【0013】
第八態様は、前記転写胴は、前記凹部が形成された円筒形の胴本体と、前記胴本体の外周面に設けられた外周部と、を有し、前記作動停止機構は、前記転写位置が前記外周部に位置している範囲で前記短絡回路を作動させて短絡する、第一態様~第七態様のいずれか一態様に記載の転写装置である。
【0014】
第九態様は、前記作動停止機構は、前記転写位置が前記外周部に位置している範囲で前記短絡回路の作動を停止する、第八態様に記載の転写装置である。
【0015】
第十態様は、軸部材を中心に回転し、現像剤像を記録媒体に転写するための転写電界を形成する転写部材と、前記転写部材に接触して前記転写部材に電圧を印加する印加部材と、前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記転写部材を接地する接地部材と、前記軸部材に対する前記接地部材の接離を切り替える切替部材と、を備える転写装置である。
【0016】
第十一態様は、回転し、搬送される記録媒体が巻き付けられ、前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴を備え、前記切替部材は、前記転写胴の回転動作に連動して前記軸部材に対する前記接地部材の接離を切り替える第十態様に記載の転写装置である。
【0017】
第十二態様は、前記転写胴は、断面円状であって、前記切替部材は、前記転写胴の外周面をカム面とすることで、前記転写胴の回転動作に連動して前記軸部材に対する前記接地部材の接離を切り替える第十一態様に記載の転写装置である。
【0018】
第十三態様は、前記切替部材は、前記軸部材の軸方向から見てU字状とされ、U字状とされた湾曲部に設けられ、前記軸方向に沿った回転軸部と、U字状とされた一側に設けられ、前記回転軸部を中心に回転すると共に前記転写胴の外周面と接触する接触部と、U字状とされた他側に設けられ、前記回転軸部を中心に回転すると共に前記接地部材を支持する支持部とを備える第十二態様に記載の転写装置である。
【0019】
第十四態様は、記録媒体の先端を把持する把持部材を有し、記録媒体を搬送する搬送部材を備え、前記切替部材は、前記把持部材と前記転写部材が対向している状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させる第十態様~第十三態様のいずれか一態様に記載の転写装置である。
【0020】
第十五態様は、前記転写胴の外周面には、前記軸方向に延びると共に前記把持部材が配置される凹部が形成され、前記転写胴は、前記凹部に配置された前記把持部材によって把持される記録媒体を外周面で巻き付け、前記切替部材は、前記接触部が前記転写胴の外周面と接触した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させ、前記接触部が前記転写胴の前記凹部に配置された状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させ、前記凹部に配置された前記接触部は、前記転写胴の外周面において記録媒体が巻き付けられた部分が前記転写部材と対向する前に、前記転写胴の外周面に接触する第十三態様を引用する第十四態様に記載の転写装置である。
【0021】
第十六態様は、軸部材を中心に回転し、電圧が印加されて現像剤像を記録媒体に転写するための転写電界を形成する転写部材と、前記転写部材と対向すると共に回転し、前記転写部材との間で転写電界が形成される転写胴と、前記軸部材に対して接離可能に設けられ、前記軸部材に接触して前記転写部材を接地する接地部材と、前記転写胴の回転動作に連動して前記接地部材の前記軸部材に対する接離を切り替える切替部材と、を備える転写装置である。
【0022】
第十七態様は、記録媒体の先端を把持する把持部材を有し、記録媒体を搬送する搬送部材を備え、前記切替部材は、前記転写部材が前記把持部材に対向した状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させる第十六態様に記載の転写装置である。
【0023】
第十八態様は、前記転写胴の外周面には、前記軸部材の軸方向に延びると共に前記把持部材が配置される凹部が形成され、前記切替部材は、前記転写胴の一部をカム面とすることで、前記転写胴の回転動作に連動して前記接地部材によって前記転写部材が接地されるか否かを切り替える第十七態様に記載の転写装置である。
【0024】
第十九態様は、前記カム面は、前記軸方向において前記転写胴の端部に形成され、前記軸方向において他の部分に対して形状が異なっている第十八態様に記載の転写装置である。
【0025】
第二十態様は、前記転写胴には、搬送される記録媒体が巻き付けられ、前記切替部材は、前記転写部材が前記転写胴において記録媒体が巻き付けられた部分と対向した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させる第十六態様~第十九態様9の何れか一態様に記載の転写装置である。
【0026】
第二十一態様は、記切替部材は、前記軸部材の軸方向に沿って延びる回転軸部と、前記回転軸部を中心に回転すると共に前記転写胴の外周面と接触する接触部とを有し、前記接触部が前記転写胴の外周面と接触した状態で、前記接地部材を前記軸部材から離間させ、前記接触部が前記凹部に配置された状態で、前記接地部材を前記軸部材に接触させ、前記凹部に配置された前記接触部は、前記転写部材が前記転写胴の外周面において記録媒体が巻き付けられた部分に到達する前に、前記転写胴の外周面に接触する第十八態様を引用する第二十態様に記載の転写装置である。
【0027】
第二十二態様は、現像剤像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された前記現像剤像を記録媒体に転写する第一態様~第二十一態様のいずれか一態様に記載の転写装置と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0028】
第一態様の転写装置では、転写部材に対する電圧の印加を電気信号によって開始及び終了させる場合と比較し、転写電界を発生及び消滅させるために必要とする時間を短くすることができる。
【0029】
第二態様の転写装置では、短絡回路の作動中も転写電圧のままの場合と比較し、短絡回路への突入電流を抑制することができる。
【0030】
第三態様の転写装置では、短絡回路の作動中も転写電圧のままの場合と比較し、短絡回路への突入電流を抑制することができる。
【0031】
第四態様の転写装置では、逆電圧から直接転写電圧に切り替える場合と比較し、転写電界を発生させるために必要とする時間を短くすることができる。
【0032】
第五態様の転写装置では、抵抗値が1MΩ未満の抵抗素子を介して基準電位点に短絡する場合と比較し、短絡回路への突入電流を抑制することができる。
【0033】
第六態様の転写装置では、転写電界を形成しているときの転写部材の抵抗値と同じ抵抗値の抵抗素子を介して基準電位点に短絡する場合と比較し、電流の変化幅を抑制することができる。
【0034】
第七態様の転写装置では、短絡回路が給電装置から直接基準電位点に短絡する場合と比較し、短絡回路への突入電流を抑制することができる。
【0035】
第八態様の転写装置では、転写位置が外周部に位置していないときに短絡回路を作動させて短絡する場合と比較し、転写部材から胴本体へのリークが防止される。
【0036】
第九態様の転写装置では、転写位置が外周部に位置していないときに短絡回路の作動を停止する場合と比較し、転写部材から胴本体へのリークが防止される。
【0037】
第十態様の転写装置では、転写部材に対する電圧の印加を電気信号によって終了させる場合と比して、転写電界を消滅させるのに必要とする時間を短くすることができる。
【0038】
第十一態様の転写装置では、転写胴の回転動作に連動して、転写電界を形成させ、かつ、転写電界を消滅させることができる。
【0039】
第十二態様の転写装置では、カム面が形成される部材を専用で設ける場合と比して、部品点数を少なくすることができる。
【0040】
第十三態様の転写装置では、切替部材が回転軸部に対して一方側及び他方側に延びたシーソータイプの場合と比して、切替部材の長手方向の長さを短くすることができる。
【0041】
第十四態様の転写装置では、把持部材と転写部材が対向している状態で、接地部材を軸部材から離間させる場合と比して、転写部材から把持部材への電流の流れを抑制することができる。
【0042】
第十五態様の転写装置では、転写胴の外周面において記録媒体が巻き付けられた巻付部分が転写部材と対向する前に、転写電界を形成することができる。
【0043】
第十六態様の転写装置では、転写部材に対する電圧の印加を電気信号によって終了させる場合と比して、転写胴の回転動作に連動させて転写電界を消滅させるのに必要とする時間を短くすることができる。
【0044】
第十七態様の転写装置では、転写部材が把持部材に対向した状態で、接地部材が軸部材と離間している場合と比して、転写部材から把持部材への電流の流れを抑制することができる。
【0045】
第十八態様の転写装置では、カム面が形成される部材を専用で設ける場合と比して、部品点数を少なくすることができる。
【0046】
第十九態様の転写装置では、軸方向において転写胴の中央側の部分の形状に左右されることなく、接地部材によって転写部材が接地されるか否かを切り替えることができる。
【0047】
第二十態様の転写装置では、転写部材が転写胴に巻き付けられた記録媒体の先頭部分と対向したときに接地部材と軸部材とが接触している場合と比して、記録媒体に対して現像剤像を転写することができる面積を広くすることができる。
【0048】
第二十一態様の転写装置では、転写胴に巻き付けられた記録媒体の先頭部分から現像剤像を転写することができる。
【0049】
第二十二態様の画像形成装置では、転写部材に対する電圧の印加を電気信号によって開始及び終了させる転写装置を備える場合と比較し、記録媒体の先端余白量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る転写装置に備えられた切替部等を示した斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る転写装置に備えられた二次転写ロール、対向ロール及び切替部等を示した斜視図である。
【
図3】(A)(B)(C)は、本発明の実施形態に係る転写装置によるシート部材の搬送動作を示した動作図である。
【
図4】(A)(B)は、本発明の実施形態に係る転写装置の切替部による切替動作を示した動作図である。
【
図5】(A)(B)は、本発明の実施形態に係る転写装置の切替部による切替動作を示した動作図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る転写装置のチェーングリッパを示した斜視図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る転写胴の軸方向と直交する断面の断面図である。
【
図8】(A)は本発明の実施形態に係る転写装置の転写胴の凹部に二次転写ロールが突入するときと抜け出すときとを模式的に示す模式図であり、(B)は(A)のB部の拡大図である。
【
図9】本発明の第一実施形態に係る転写装置の切替部の正面図である。
【
図10】本発明の第一実施形態に係る転写装置の印加回路及び短絡回路の結線図である。
【
図12】本発明の第一実施形態に係る転写装置の給電装置が給電する電圧を切り替えるタイミングチャート図である。
【
図13】本発明の第一実施形態に係る転写装置の給電装置が給電する電圧を切り替えるタイミングを説明する説明図である。
【
図14】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の全体を模式的に示す概略構成図である。
【
図15】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の定着装置を示した斜視図である。
【
図16】本発明の第二実施形態に係る転写装置に備えられた切替部等を示した斜視図である。
【
図17】変形形態の転写装置に備えられた二次転写ロール、対向ロール及び切替部等を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る転写装置及び画像形成装置の一例について
図1~
図15に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。なお、
図14は、画像形成装置の全体を模式的に示す概略構成図である。よって、詳細に図示した他図とは、細部において正確には一致していない箇所がある。
【0052】
(画像形成装置10)
図14に示す本実施形態に係る画像形成装置10は、記録媒体としてのシート部材P(
図3参照)に、トナー画像を形成する電子写真式の画像形成装置である。画像形成装置10は、給紙機構48、画像形成部12、定着装置100及び排紙機構56等を備えている。
【0053】
〔給紙機構48〕
給紙機構48は、図示されていない収容部に収容されたシート部材Pを後述するチェーングリッパ66へ搬送する機能を有している。
【0054】
給紙機構48は、一対のロール48Aに巻き掛けられた環状の搬送ベルト48Bで構成されている。そして、搬送ベルト48Bでシート部材Pを搬送し、該シート部材Pを後述の把持部材76(
図6参照)に受け渡す。
【0055】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、電子写真方式によりシート部材Pに画像を形成する機能を有している。画像形成部12は、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する転写装置30とを備えている。なお、トナー画像は現像剤像の一例であり、トナー画像形成部は現像剤像形成部の一例である。
【0056】
トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態の画像形成部12では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の計4色のトナー画像形成部20が備えられている。なお、符号の後の(Y)、(M)、(C)及び(K)は、それぞれ各色に対応する構成部分を示している。また。イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)を区別しない場合は、符号の後の(Y)、(M)、(C)及び(K)を省略して説明する。
【0057】
-トナー画像形成部20-
各色のトナー画像形成部20Y、20M、22C、22Kは、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。よって、各色を区別しないで説明する。これらトナー画像形成部20Y、20M、20C、20Kは、転写装置30を構成する転写ベルト31の上部の水平部分に沿うように並んでいる。
【0058】
トナー画像形成部20は、図中矢印A01方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を備えている。さらに、トナー画像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して静電潜像を形成する露光装置23と、静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置24と、を備えている。
【0059】
-転写装置30-
転写装置30は、各色のトナー画像形成部20の感光体ドラム21のトナー画像を、中間転写体に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像をシート部材Pに二次転写する機能を有している。転写装置30は、中間転写体の一例としての転写ベルト31と、複数のロール32と、一次転写ロール33と、二次転写ロール34と、転写胴36とを備えている。さらに、転写装置30は、二次転写ロール34に電圧を印加する印加ロール44と、シート部材Pを搬送するチェーングリッパ66とを備えている。また、転写装置30は、二次転写ロール34を接地する接地ユニット180(
図1参照)を備えている。
【0060】
転写ベルト31は、無端状を成し、逆三角形状の姿勢となるように、複数のロール32、及び二次転写ロール34に巻き掛けられている。転写ベルト31は、複数のロール32の少なくとも1個が回転駆動されることで、矢印B方向へ周回する。
【0061】
一次転写ロール33は、転写ベルト31を挟んで各色の感光体ドラム21の反対側に配置されている。そして、一次転写ロール33は、感光体ドラム21に形成されたトナー画像を、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置Tで転写ベルト31に転写する機能を有している。
【0062】
転写胴36は、断面円形状とされ、転写ベルト31を挟んで二次転写ロール34の反対側に配置されている。この転写胴36は、転写ベルト31に転写されたトナー画像を、転写ベルト31と転写胴36との間の二次転写位置NTでシート部材Pに転写する機能を有している。
【0063】
チェーングリッパ66は、一対のチェーン72と、スプロケット71、73、9と、シート部材Pの先端を把持する把持部材76を有した把持ユニット68(
図6参照)と、を備えている。
【0064】
図6に示すように、一対のチェーン72は、装置奥行方向に離間して配置されており、チェーン72は、無端状に形成されている。そして、
図2に示すように、一対のチェーン72は、転写胴36の軸方向の一端側及び他端側に配置されると共に軸方向を装置奥行方向とする一対のスプロケット73に巻き掛けられている。
【0065】
図15に示すように、一対のチェーン72は、後述する加圧ロール140の軸方向の一端側及び他端側に配置されると共に軸方向を装置奥行方向とする一対のスプロケット71に巻き掛けられている。
【0066】
図14に示すように、加圧ロール140の両端側に配置されたスプロケット71と、転写胴36の両端側に配置されたスプロケット73と、にチェーン72が巻き掛けられている。そして、この構成において、複数のスプロケット71、73の何れかに回転力が伝達されることで、一対のチェーン72は、スプロケット73側からスプロケット71側に移動するように、図中矢印C方向に周回する。なお、本実施形態では、スプロケット73に回転力が伝達されるようになっている。
【0067】
把持ユニット68は、複数設けられ、チェーン72の周方向(周回方向)に沿って予め定められた間隔で配置されている。そして、把持ユニット68は、
図6に示されるように、装置奥行方向に延びており、把持ユニット68の装置奥行方向の両側の部分が一対のチェーン72に夫々取り付けられている。さらに、把持ユニット68は、シート部材Pの先端を把持する金属製の把持部材76を備えている。
【0068】
この構成において、チェーングリッパ66は、一対のチェーン72の周回方向に沿ってシート部材Pを搬送する。
【0069】
また、転写装置30の二次転写ロール34、印加ロール44、チェーングリッパ66及び転写胴36等についての説明は後述する。
【0070】
〔定着装置100〕
図14に示す定着装置100は、転写装置30によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する機能を有している。
【0071】
図15に示すように、定着装置100は、搬送されるシート部材Pと接触してシート部材Pを加熱する加熱ロール130と、加熱ロール130に向けてシート部材Pを加圧する加圧ロール140と、加熱ロール130に従動して回転して加熱ロール130を加熱する従動ロール150とを備えている。
【0072】
また、定着装置100は、加圧ロール140の軸部148に接触して加圧ロール140を支持する支持部材156と、支持部材156を介して加圧ロール140を加熱ロール130側に付勢する付勢部材158とを備えている。
【0073】
この構成において、回転する加熱ロール130に従動して従動ロール150が回転する。さらに、加熱ロール130と加圧ロール140とが、トナー画像が転写されたシート部材Pを挟み込んで搬送することで、トナー画像が加熱されてシート部材Pに定着される。
【0074】
〔排紙機構56〕
図14に示す排紙機構56は、定着装置100によってトナー画像が定着されたシート部材Pを、図示されていない排出部へ排出する機能を有している。また、排紙機構56は、把持部材76(
図6参照)による保持が解除されたシート部材Pを受け取り、該シート部材Pを搬送する機能を有している。排紙機構56は、一対のロール56Aに巻き掛けられた環状の搬送ベルト56Bで構成されている。そして、搬送ベルト56Bでシート部材Pを搬送し、該シート部材Pを図示されていない排出部へ排出する。
【0075】
(画像形成動作の概要)
図14に示す画像形成装置10では、次のようにしてトナー画像がシート部材Pに形成される。先ず、各色の帯電器22は、各色の感光体ドラム21の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、外部から入力された画像データに基づいて露光装置23は、帯電した各色の感光体ドラム21の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。
【0076】
これにより、画像データに対応した静電潜像が夫々の感光体ドラム21の表面に形成される。さらに、各色の現像装置24は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、転写装置30の一次転写ロール33は、各色の感光体ドラム21の表面に形成されたトナー画像を、一次転写位置Tで転写ベルト31に転写する。
【0077】
そこで、図示されていない収容部から送り出されたシート部材Pは、給紙機構48によって、搬送されてチェーングリッパ66へ受け渡されてチェーングリッパ66によって搬送される。チェーングリッパ66によって搬送されるシート部材Pは、転写ベルト31と転写胴36とが接触する二次転写位置NTへ送り出される。二次転写位置NTでは、シート部材Pが転写ベルト31と転写胴36とに挟み込まれて搬送されることで、転写ベルト31の表面のトナー画像は、シート部材Pの表面に転写される。
【0078】
定着装置100は、シート部材Pの表面に転写されたトナー画像をシート部材Pに定着し、シート部材Pは、排紙機構56へ送り出される。排紙機構56に送り出されたシート部材Pは、図示されていない排出部52へ排出される。
【0079】
(要部構成)
次に、転写装置30に備えられたチェーングリッパ66、二次転写ロール34、印加ロール44、転写胴36、印加回路400、短絡回路500及び接地ユニット180等について説明する。
【0080】
〔チェーングリッパ66〕
図15に示すチェーングリッパ66は、前述したように一対のチェーン72と、スプロケット71、73と、シート部材Pの先端を把持する把持部材76を有した把持ユニット68(
図6参照)とを備えている。チェーングリッパ66は、搬送部材の一例である。
【0081】
図6に示すように、把持ユニット68は、装置奥行方向に延びている板部80と、板部80を支持する一対の支持板82と、装置奥行方向に延びて端部がチェーン72に夫々取り付けられている軸部材84とを備えている。さらに、把持ユニット68は、板部80との間でシート部材Pの先端を把持する把持部材76を備えている。
【0082】
-板部80、支持板82、軸部材84-
【0083】
図6に示すように、板部80は、ステンレス鋼製であって、一対のチェーン72の間に配置されている。さらに、板部80は、装置奥行方向から見て、シート搬送方向の上流側の部分が下流側の部分に対してシート部材Pに近づくようにシート搬送方向に対して傾斜している。
【0084】
支持板82は、ステンレス鋼製であって、板厚方向を装置奥行方向として、板部80の両端部に夫々配置されている。そして、板部80の両端部が一対の支持板82に夫々取り付けられ、一対の支持板82は、板部80を支持している。また、支持板82には、円状の貫通孔82aが形成されている。
【0085】
軸部材84は、ステンレス鋼製であって、装置奥行方向に延びており、板部80に対してシート搬送方向の下流側に配置されている。さらに、軸部材84は、支持板82に形成された貫通孔82aを夫々通っている。そして、軸部材84の両端部は、一対のチェーン72に夫々取り付けられている。
【0086】
-把持部材76-
図6に示すように、把持部材76は、複数設けられ、装置奥行方向に沿って予め定められた間隔で軸部材84に取り付けられている。把持部材76は、軸部材84が通る貫通孔86aが形成された本体部86と、シート部材Pに接触する接触部88とを備えている。
【0087】
本体部86は、アルミニウム製であって、装置奥行方向から見て、本体部86においてシート搬送方向の下流側の部分は、円弧状とされている。さらに、本体部86においてシート搬送方向の上流側で、かつ、無端状のチェーン72の外側(=装置奥行方向から見て無端状のチェーン72に囲まれている側とは反対側)の部分には、板部80側へ突出する突出部86bが形成されている。また、突出部86bは、突出方向から見て矩形状とされている。
【0088】
接触部88は、ステンレス鋼製の板部材であって、突出部86bにおいて無端状のチェーン72の外側を向いた面に取り付けられている。そして、接触部88は、突出部86bから板部80側へ延び、無端状のチェーン72の外側から板部80に接触するようになっている。
【0089】
この構成において、図示せぬカム機構によって軸部材84が回転し、無端状のチェーン72の外側から接触部88が板部80側へ押し付けられて板部80と接触し、かつ、接触部88が板部80に対して離間する。このようにして、把持部材76によってシート部材Pの先端が把持され、把持が解除される。
【0090】
〔二次転写ロール34〕
図2に示すように、二次転写ロール34は、装置奥行方向に延びており、二次転写ロール34には、転写ベルト31が巻き掛けられている。また、二次転写ロール34は、軸部材34aと、軸部材34aが貫通する筒状のロール部34bとを備えている。二次転写ロール34は、転写部材の一例である。また、装置奥行方向は、軸方向の一例とされている。
【0091】
軸部材34aは、ステンレス鋼製のシャフトであって、軸部材34aの両端部は、ベアリングを介して図示せぬフレームに支持されている。ロール部34bは、ゴム製であって、軸部材34aと共に回転するように、軸部材34aに取り付けられている。なお、軸部材34aについては、導電体であればよく、金属製であればなおよく、ステンレス鋼製であればさらによい。
【0092】
この構成において、二次転写ロール34は、周回する転写ベルト31に従動して回転する。
【0093】
〔印加ロール44〕
図2に示すように、印加部材の一例としての印加ロール44は、二次転写ロール34と比して小径化されており、二次転写ロール34を挟んで転写ベルト31の反対側に配置されている。そして、印加ロール44は、装置奥行方向に延びており、二次転写ロール34の外周面に接触している。
【0094】
この構成において、印加ロール44は、回転する二次転写ロール34に従動して回転する。さらに、印加ロール44は、給電装置410(
図10参照)から印加ロール44の軸部に給電されることで、二次転写ロール34に電圧を印加する。これにより、二次転写ロール34と、転写胴36との間の二次転写位置NTに、転写ベルト31上のトナー画像をシート部材Pに転写するための転写電界が形成される。
【0095】
〔転写胴36〕
図2に示すように、転写胴36は、転写ベルト31を挟んで二次転写ロール34の反対側に配置されている。転写胴36は、装置奥行方向に延びている。
【0096】
転写胴36は、ロール部174と、ロール部174の両端部から装置奥行方向に夫々突出した一対の軸部176とを有している。さらに、ロール部174は、装置奥行方向において、二次転写ロール34のロール部34bから突出している。前述したスプロケット73は、一対の軸部176に夫々取り付けられている。
【0097】
図3(A)に示すように、転写胴36のロール部174には、把持部材76が配置される凹部178が形成されている。この凹部178は、ロール部174の一端から他端まで装置奥行方向に延びている。
【0098】
この構成において、
図3(A)に示すように、シート部材Pの先端を把持する把持部材76が、回転する転写胴36に到達すると、ロール部174の凹部178に配置される。さらに、
図3(B)に示すように、先端が把持部材76によって把持されて搬送されるシート部材Pは、回転する転写胴36に巻き付けられながら搬送され、二次転写位置NTで、ロール部174と転写ベルト31とに挟まれる。このように、搬送されるシート部材Pは、転写胴36に巻き付けられながら搬送される。つまり、転写胴36は、シート部材Pを支持する支持手段として機能している。
【0099】
そして、転写ベルト31上のトナー画像が、二次転写位置NTで、転写電界によってシート部材Pに転写される。
【0100】
さらに、
図3(C)に示すように、ロール部174の凹部178に配置される把持部材76は、回転する転写胴36の凹部178から抜け出でて、チェーングリッパ66は、シート部材Pをシート搬送方向の下流側へ搬送する。
【0101】
図7に示すように、転写胴36のロール部174は、アルミニウム等の金属製の胴本体252と、胴本体252に巻き付けられる外周部の一例としてのシート状のジャケット部材260と、を有して構成されている。胴本体252には、その外周面の一部に軸方向に沿って前述した凹部178が形成されている。
【0102】
ジャケット部材260は樹脂製とされ、その体積抵抗は金属製の胴本体252よりも高抵抗とされている。ジャケット部材260は、胴本体252に非接着で巻き付けられる基層262と、基層262の外周面に接着された状態で巻き付けられた表面層264と、を有している。凹部178内における底壁255の周方向の両端部には、胴側ブロック256が設けられている。そして、ジャケット部材260の基層262は、その端部262Aが胴側ブロック256にボルト締結されることで、胴本体252に対して着脱可能に取り付けられている。言い換えると、ジャケット部材260は交換可能になっている。
【0103】
図8(A)に示すように、ジャケット部材260の一端部261は、凹部178の一端側の壁面部178Aと面一又は略面一になっている。また、ジャケット部材260の他端部263は、凹部178の他端側の壁面部178Aと面一又は略面一になっている。
【0104】
図8(A)及び
図8(B)に示すように、ジャケット部材260の他端部263は先端側に向かって薄くなる傾斜面263Aが形成されている。傾斜面263Aの後端を傾斜端部263Bとする。
【0105】
なお、
図8(A)には、二次転写ロール34が二つ図示されているが、この理由については後述する。
【0106】
〔接地ユニット180〕
図1に示すように、作動停止機構の一例としての接地ユニット180は、二次転写ロール34のロール部34bに対して装置奥行方向の手前側に配置されている。接地ユニット180は、二次転写ロール34の軸部材34aに接触して二次転写ロール34を接地する接地部材182と、軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替える切替部材190とを備えている。
【0107】
切替部材190は、装置幅方向から見てシート搬送方向の上流の先端側が開放されるU字状とされ、回転軸部192と、本体部194と、接触コロ196とを備えている。
【0108】
本体部194は、樹脂製であって、一対の直線部194a、194bと、一対の直線部194a、194bの基端を連結する湾曲部194cとを有している。直線部194aは、装置奥行方向から見て、転写胴36と軸部材34aとの間に配置され、直線部194bは、装置奥行方向から見て、軸部材34aを間において直線部194aの反対側に配置されている。直線部194bは、支持部の一例である。
【0109】
回転軸部192は、図示していないフレームに支持され、装置奥行方向を軸方向として、本体部194の湾曲部194cを貫通している。そして、回転軸部192は、本体部194を回転可能に支持している。
【0110】
直線部194bは、接地部材182を支持している。具体的には、直線部194bにおいて先端側の部分で、かつ、軸部材34a側の部分に接地部材182が取り付けられることで、直線部194bは、接地部材182を支持している。
【0111】
接地部材182は、鉄鋼製であって、図示せぬ接地線が接続されている。これにより、接地部材182が軸部材34aと接触することで、二次転写ロール34が接地されるようになっている。なお、接地部材182については、導電体であればよく、金属製であればなおよく、鉄鋼製であればさらによい。
【0112】
接触コロ196は、直線部194aの先端に取り付けられ、装置奥行方向を軸方向として回転するようになっている。そして、接触コロ196は、回転軸部192に配置された図示せぬ付勢部材によって転写胴36のロール部174の外周面側に付勢されている。接触コロ196は、接触部の一例である。
【0113】
また、接触コロ196が転写胴36のロール部174の外周面と接触した状態で、接地部材182が軸部材34aから離間するようになっている(
図4(A)参照)。さらに、接触コロ196が転写胴36の凹部178に配置された状態で、接地部材182が軸部材34aに接触するようになっている(
図4(B)参照)。このように、ロール部174の外周面、及び凹部178は、カム面として機能し、接触コロ196は、カムフォロアとして機能している。
【0114】
図4(A)及び
図4(B)に示すように、具体的には、ロール部174の外周面と接触した接触コロ196は、二次転写ロール34が凹部178の回転方向の下流端に到達する前に、凹部178の回転方向の下流端に到達するようになっている。換言すれば、ロール部174の外周面と接触した接触コロ196は、二次転写位置NTが凹部178の回転方向の下流端に到達する前に、凹部178の回転方向の下流端に到達するようになっている。
【0115】
ここで、装置奥行方向から見て、二次転写ロール34の回転中心と転写胴36の回転中心とを結んだ線(後述するS1線~S4線)と二次転写ロール34の外周面との交点を交点K01(
図4(A)参照)とする。「二次転写ロール34が凹部178の回転方向の下流端に到達する前に」及び「二次転写位置NTが凹部178の回転方向の下流端に到達する前に」とは、交点K01が、凹部178の回転方向の下流端に到達する前に、という意味である。
【0116】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、凹部178の回転方向の下流端に到達した接触コロ196は、把持部材76が二次転写ロール34を通過した後に、転写胴36の外周面に到達するようになっている。換言すれば、凹部178の回転方向の下流端に到達した接触コロ196は、把持部材76が二次転写位置NTを通過した後に、転写胴36の外周面に到達するようになっている。
【0117】
「把持部材76が二次転写ロール34を通過した後に」及び「把持部材76が二次転写位置NTを通過した後に」とは、装置奥行方向から見て、把持部材76が、交点K01を通過した後に、という意味である。
【0118】
さらに、転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた巻付部分は、接触コロ196が転写胴36の外周面に到達した後に、二次転写ロール34に到達するようになっている。換言すれば、転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた巻付部分は、接触コロ196が転写胴36の外周面に到達した後に、二次転写位置NTに到達するようになっている。さらに、換言すれば、凹部178に配置された接触コロ196は、二次転写ロール34が転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた部分に到達する前に、転写胴36の外周面に接触する。なお、シート部材Pのうち、把持部材76で把持された部分から転写胴36の外周面に巻き付けられるまでの間の領域は、巻付部分には含まれない。
【0119】
「二次転写ロール34が転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた部分に到達する前に」とは、装置奥行方向から見て、交点K01が、転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた部分に到達する前に、という意味である。
【0120】
そして、二次転写ロール34が転写胴36においてシート部材Pが巻き付けられた部分と対向した状態では、接地部材182が軸部材34aから離間している。換言すれば、二次転写ロール34が転写胴36においてシート部材Pが巻き付けられた部分と対向した状態では、二次転写位置NTに転写電界が生じている。
【0121】
「二次転写ロール34が転写胴36においてシート部材Pが巻き付けられた部分と対向した状態」とは、装置奥行方向から見て、交点K01が、転写胴36においてシート部材Pが巻き付けられた部分と対向した状態、という意味である。
【0122】
図9に示すように、接地ユニット180の切替部材190の本体部194には、抵抗素子502が設けられている。そして、接地部材182は、抵抗素子502を介して基準電位点G(
図10及び
図11参照)と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、接地部材182は、抵抗素子502を介して回転軸部192と電気的に接続され、回転軸部192が基準電位点G(
図10及び
図11参照)に電気的に接続されている。
【0123】
なお、抵抗素子502の抵抗値は、1MΩ以上で4MΩ以下の範囲で設定されている。また、転写電界を形成しているときの二次転写ロール34の体積抵抗の抵抗値の約1/2に設定されている。本実施形態では、抵抗素子502は、2.5MΩの抵抗値のものを用いている。
【0124】
図4(A)及び
図5(B)に示すように、接触コロ196が転写胴36のロール部174の外周面と接触している状態では、接地部材182は、軸部材34aと離間する。これにより、印加ロール44によって二次転写ロール34に電圧が印加されることで生じる電流が転写胴36側へ流れ、二次転写位置NTに転写電界が形成される。
【0125】
一方、
図4(B)及び
図5(A)に示すように、接触コロ196が凹部178に配置されている状態では、接地部材182が、軸部材34aに接触する。これにより、印加ロール44によって二次転写ロール34に電圧が印加されることで生じる電流が、接地部材182側へ流れ、抵抗素子502(
図9参照)を介して基準電位点G(
図10及び
図11参照)に短絡され、二次転写位置NTに形成された転写電界が消滅する。
【0126】
このように、切替部材190は、二次転写ロール34からの電流経路を、後述する短絡回路500(
図10及び
図11参照)に切り替える経路切替手段として機能している。なお、短絡回路500への切り替えタイミング等についての説明は後述する。
【0127】
なお、
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)及び
図5(B)におけるS1線、S2線、S3線及びS4線は、二次転写位置NTに対応する位置を示している。具体的には、これらの線と二次転写ロール34の外周面との交点である交点K01(
図4(A)参照)が、二次転写位置NTである。
【0128】
〔印加回路400及び短絡回路500〕
図10は、二次転写ロール34への高圧の印加回路400及び短絡回路500の結線図である。
図11は、
図10の等価回路図である。
【0129】
印加回路400は、給電装置410、印加ロール44及び二次転写ロール34を含んで構成されている。印加ロール44は、軸部材44aと、軸部材44aが貫通する筒状のロール部44bとを有している。前述したように、給電装置410から印加ロール44の軸部材44aに給電することで、二次転写ロール34に電圧を印加し、二次転写位置NT(
図4等参照)に転写電界が形成される。
【0130】
短絡回路500は、前述した接地部材182及び抵抗素子502を含んで構成されている。前述したように接地部材182が軸部材34aに接触することで短絡回路500に切り替えられ、接地部材182及び抵抗素子502を介して基準電位点Gに短絡され、二次転写位置NT(
図4等参照)に形成された転写電界が消滅する。
【0131】
〔給電装置410〕
図12に示すように、給電装置410は、印加ロール44(
図10参照)に印加する電圧を転写電圧TVと逆電圧GVと中間電圧CVとに切替可能となっている。なお、
図12は、後述する電圧の切り替えタイミングのタイミングチャート図である。
【0132】
転写電圧TVは、二次転写位置NT(
図4等参照)に転写電界を形成するときの電圧である。逆電圧GVは、転写電圧TVと逆極性で且つ電圧の絶対値が小さい電圧である。中間電圧CVは、転写電圧TVと同極性であると共に転写電圧TVと逆電圧GVとの間の電圧である。なお、本実施形態における中間電圧CVは、CV=TV/2に設定されているが、これに限定されるものではない。
【0133】
給電装置410の転写電圧TVと逆電圧GVと中間電圧CVとの切り替えは、制御装置402(
図10参照)からの電気信号によって行われる。本実施形態では、転写電圧TVと逆電圧GVと中間電圧CVとの切り替えは、画像形成装置10全体の各種タイミング合わせに使用する基準信号に基づいて行っている。つまり、基準信号に対して、それぞれ設定された時間経過後に切り替えを行う。
【0134】
図10に示す制御装置402は、画像形成装置10(
図15参照)の全体を制御する機能を有している。制御装置402のハードウェア構成は、図示していないCPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータによって構成されている。
【0135】
〔短絡回路へ切り替えタイミングと印加ロールに給電する電圧の切り替えタイミング〕
図8は、図における左右に二次転写ロール34が図示されている。左側の二次転写ロール34は転写胴36の回転に伴い凹部178に突入するときの状態であり、右側の二次転写ロール34は転写胴36の回転に伴い凹部178から抜けるときの状態である。よって、実際には二次転写ロール34は一つである。
【0136】
なお、
図8に示すように、転写胴36のロール部174の凹部178以外の周面部分を胴円周部179とする。
【0137】
図13は、給電装置410(
図4等参照)が給電する電圧の切り替えタイミングを説明する説明図であり、
図12はタイミングチャート図である。
【0138】
-転写電圧TVから逆電圧GVに切り替えわるタイミング-
図4(A)の状態、
図8、
図12及び
図13のS1線の位置に転写胴36の回転に伴い二次転写位置NTが移動したときが、二次転写ロール34に給電装置410(
図10参照)が給電する電圧を転写電圧TV(
図12参照)から逆電圧GV(
図12参照)に切り替えるタイミングである。具体的には、基準信号から設定時間経過後であり、短絡回路500(
図10参照)に切り替わる前である。また、
図4(A)、
図8及び
図12に示すように、二次転写位置NTが凹部178に突入する前であり、ジャケット部材60が設けられている部位である。また、シート部材Pの後端部PB(
図13)と同位置である。
【0139】
-印加回路400から短絡回路500に切り替わるタイミング-
図4(B)の状態、
図8、
図12及び
図13のS2線の位置に転写胴36の回転に伴い二次転写位置NTが移動したときが、接地部材182が二次転写ロール34の軸部材34a(
図4(B)参照)に接触して短絡回路500(
図10及び
図11参照)に切り替えられ、接地部材182及び抵抗素子502を介して基準電位点Gに短絡されるタイミングである。具体的には、S2線の位置は、二次転写位置NTが凹部178に突入する直前で、ジャケット部材260が設けられている部位である。また、S2線の位置は、シート部材Pの後端部PBよりも搬送方向の下流側である。
【0140】
-逆電圧GVから中間電圧CV及び中間電圧CVから転写電圧TVから切り替わるタイミング-
図5(A)の状態、
図8、
図12及び
図13のS3線の位置に転写胴36の回転に伴い二次転写位置NTが移動したときが、二次転写ロール34に給電装置410が給電する電圧を逆電圧GVから中間電圧CVに切り替えるタイミングである。具体的には、基準信号から設定時間経過後であり、二次転写位置NTが凹部178から抜ける前である。また、短絡回路500で短絡されている状態である。
【0141】
そして、その後、給電装置410が給電する電圧を中間電圧CVから転写電圧TVに切り替える。なお、この切り替えのタイミングも二次転写位置NTが凹部178から抜ける前であると共に、短絡回路500で短絡されている状態である。また、基準信号から設定時間経過後である。
【0142】
-短絡回路500から印加回路400に切り替わるタイミング-
図5(B)の状態、
図8、
図12及び
図13のS4線の位置に転写胴36の回転に伴い二次転写位置NTが移動したときが、接地部材182が軸部材34aから離れ、短絡回路500から印加回路400に切り替わるタイミングである。具体的には、二次転写位置NTが凹部178から抜けた直後で、ジャケット部材260が設けられている部位である。
【0143】
なお、このS3線の位置は、ジャケット部材260の他端部263の傾斜面263Aの傾斜端部263B(
図8(B)参照)と一致又は略一致する。また、このときは、転写電圧TVの立ち上がりが完了した状態である。
【0144】
(要部構成の動作)
次に、要部構成の動作ついて説明する。
【0145】
図14に示す給紙機構48に送り出されたシート部材Pは、チェーングリッパ66へ受け渡されてチェーングリッパ66によって搬送される。具体的には、チェーングリッパ66の把持部材76(
図6参照)が、シート部材Pの先端を把持する。そして、チェーングリッパ66によって、シート部材Pが搬送される。
【0146】
また、シート部材Pの先端を把持する把持部材76が、
図3(A)、
図3(B)及び
図3(C)に示されるように、転写胴36に到達すると、ロール部174の凹部178に配置される。さらに、チェーングリッパ66によって搬送されるシート部材Pは、転写胴36に巻き付けられながら搬送される。また、搬送されるシート部材Pは、二次転写位置NTで、転写胴36のロール部174と転写ベルト31との間に挟まれる。そして、転写ベルト31上のトナー画像が、転写電界によってシート部材Pに転写される。
【0147】
具体的には、
図4(A)に示されるように、把持部材76が配置されている凹部178の回転方向の下流端が二次転写位置NTに到達する前の状態では、接触コロ196がロール部174の外周面と接触している。そして、接地部材182は、軸部材34aと離間しており、転写電界が二次転写位置NTに形成されている。
【0148】
また、
図4(A)及び
図4(B)に示されるように、ロール部174の外周面と接触した接触コロ196は、二次転写ロール34が凹部178の回転方向の下流端に到達する前に、凹部178の回転方向の下流端に到達する。
【0149】
さらに、
図4(B)に示されるように、接触コロ196が凹部178の回転方向の下流端に到達すると、切替部材190の本体部194が回転し、接地部材182は、軸部材34aと接触する。これにより、印加ロール44によって二次転写ロール34に電圧が印加されることで生じる電流が接地部材182側へ流れ、二次転写位置NTに形成された転写電界が消滅する。
【0150】
さらに、
図4(B)及び
図5(A)に示されるように、転写胴36が回転して、把持部材76が二次転写ロール34を通過した後に、接触コロ196は、凹部178の回転方向の上流端に到達する。接触コロ196が凹部178の回転方向の下流端に到達してから上流端に到達するまでの間は、接地部材182が軸部材34aと接触しているため、二次転写位置NTに形成された転写電界が消滅している。
【0151】
さらに、
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、凹部178の回転方向の上流端に到達した接触コロ196は、転写胴36の外周面に接触する。また、接触コロ196が転写胴36の外周面に接触した後に、転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた巻付部分が、二次転写ロール34と対向する(=二次転写位置NTに到達する)。
【0152】
図5(B)に示されるように、接触コロ196がロール部174の外周面と接触すると、切替部材190の本体部194が回転し、接地部材182が、軸部材34aから離間する。これにより、二次転写位置NTに転写電界が形成される。
【0153】
このように、転写胴36の外周面及び凹部178をカム面とすることで、切替部材190は、転写胴36の回転動作に連動して軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替える。
【0154】
さらに、シート部材Pは、二次転写位置NTで、転写胴36のロール部174と転写ベルト31との間に挟まれる。そして、転写ベルト31上のトナー画像が、二次転写位置NTで、転写電界によってシート部材Pに転写される。
【0155】
(作用)
次に、要部構成の作用について説明する。
【0156】
転写装置30では、二次転写位置NTが凹部178から抜け出るときに、接地部材182が軸部材34aから離間し、短絡回路500から印加回路400に切り替えられる。これにより二次転写ロール34に電圧が印加されることで生じる電流は、転写胴36側に流れ、二次転写位置NTに転写電界が形成される。
【0157】
例えば、電気信号によって二次転写ロール34への電圧の印加を開始させることで、二次転写位置NTに転写電界を形成させる場合がある。このような場合には、電気信号を発信してから二次転写ロール34に転写電圧TVの印加が完了するまでに時間がかかる。換言すれば、転写電界を形成させるために必要な時間が長い。
【0158】
しかし、転写装置30では、前述したように、接地部材182を軸部材34aから離間させることで、転写電界を形成させる。換言すれば、転写装置30では、電気信号ではなく、機械的な動作によって、転写電界を形成させる。このため、転写装置30では、二次転写ロール34に対する電圧の印加を電気信号によって開始させる場合と比較し、転写電界を形成させるために必要な時間が短くなる。
【0159】
また、転写装置30では、二次転写位置NTが凹部178に突入するときに、接地部材182が軸部材34aに接触し、印加回路400から短絡回路500に切り替えられる。これにより二次転写ロール34に電圧が印加されることで生じる電流は、接地部材182及び抵抗素子502を介して基準電位点Gに流れ短絡される。これにより、二次転写位置NTに形成されていた転写電界が消滅する。
【0160】
例えば、電気信号によって二次転写ロール34への電圧の印加を終了させることで、二次転写位置NTに形成されていた転写電界を消滅させる場合がある。このような場合には、電気信号を発信してから二次転写ロール34の電圧の印加が完全に終了するまで、時間がかかる。換言すれば、転写電界を消滅させるために必要な時間が長い。
【0161】
しかし、転写装置30では、前述したように、接地部材182を軸部材34aに接触させることで、転写電界を消滅させる。換言すれば、転写装置30では、電気信号ではなく、機械的な動作によって、転写電界を消滅させる。このため、転写装置30では、二次転写ロール34に対する電圧の印加を電気信号によって終了させる場合と比較し、転写電界を消滅させために必要とする時間が短くなる。
【0162】
このように、転写装置30では、二次転写ロール34に対する転写電圧TVの印加を電気信号によって開始及び終了させる場合と比較し、転写電界を発生及び消滅させるために必要とする時間を短くすることができる。
【0163】
また、電気信号によって短絡回路500が作動する前に転写電圧TVから逆電圧GVに切り替えている。よって、短絡回路500が作動中も転写電圧TVのままの場合と比較し、短絡回路500への突入電流を抑制することができる。
【0164】
また、電気信号によって短絡回路500が作動中に、逆電圧GVから中間電圧CVに切り替え、更に、中間電圧CVから転写電圧TVに切り替えている。よって、逆電圧GVから直接転写電圧TVに切り替える場合と比較し、転写電界を発生させるために必要とする時間を短くすることができる。
【0165】
また、抵抗素子502の抵抗値は、1MΩ以上で4MΩ以下の範囲で設定されている。よって、抵抗素子502の抵抗値が1MΩ未満の抵抗素子を介して基準電位点Gに短絡する場合と比較し、短絡回路50への突入電流を抑制することができる。
【0166】
また、抵抗素子502の抵抗値は、転写電界を形成しているときの二次転写ロール34の体積抵抗の抵抗値の1/2に設定されている。よって、転写電界を形成しているときの二次転写ロール34の抵抗値と同じ抵抗値の抵抗素子を介して基準電位点Gに短絡する場合と比較し、給電装置410が出力する電流の出力変化を抑制することができる。
【0167】
ここで、このことについて詳しく説明する。
図11における抵抗部19Aは、二次転写ロール34のロール部34bの印加ロール44との接触部位から軸部材34aまでの抵抗成分である。抵抗部19Bは、二次転写ロール34のロール部34bの軸部材34aから転写胴36までの抵抗成分である。これら抵抗部19Aの抵抗値と抵抗部19Bの抵抗値とは同じである。なお、正確には、抵抗部19Bには転写ベルト31の抵抗成分が含まれるが、ここでは考慮していない。
【0168】
そして、印加回路400に流れる電流は、おおよそ「転写電圧TV/(抵抗部19A+抵抗部19B)」である。
【0169】
短絡回路500では接地部材182は軸部材34aに接触するので、短絡回路500に流れる電流は、おおよそ「転写電圧TV/(抵抗部19A+抵抗素子502の抵抗値)」である。よって、抵抗素子502の抵抗値を抵抗部19Bと同じ抵抗値、つまり二次転写ロール34の体積抵抗の抵抗値の1/2に設定することで、印加回路400と短絡回路500とに切り替えた際の給電装置410が出力する電流の出力変化が抑制される。
【0170】
また、短絡回路500が給電装置410から基準電位点Gに短絡する場合と比較し、短絡回路500への突入電流を抑制することができる。
【0171】
また、印加回路400から短絡回路500に切り替えられたときの二次転写位置NTのS1線の位置は、ジャケット部材260が設けられている部位である。よって、二次転写位置NTがジャケット部材260から外れたときには、二次転写位置NTには転写電界は形成されていない。したがって、二次転写位置NTがジャケット部材260に位置していないときに短絡回路500に切り替える場合と比較し、二次転写ロール34から金属製の胴本体252へのリークが防止される。
【0172】
また、短絡回路500から印加回路400に切り替えられたときの二次転写位置NTのS4線の位置は、ジャケット部材260が設けられている部位である。よって、二次転写位置NTがジャケット部材260にかる前は、二次転写位置NTには転写電界は形成されていない。したがって、二次転写位置NTがジャケット部材260に位置していないときに印加回路400に切り替える場合と比較し、二次転写ロール34から金属製の胴本体252へのリークが防止される。
【0173】
また、転写装置30では、切替部材190が、転写胴36の回転動作に連動して軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替える。このため、転写胴36の回転動作に連動して、転写電界が形成され、かつ、転写電界が消滅する。
【0174】
また、転写装置30では、切替部材190は、転写胴36の外周面及び凹部178をカム面とすることで、転写胴36の回転動作に連動して軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替える。このため、カム面が形成される部材を専用で設ける場合と比して、部品点数が少なくなる。
【0175】
また、転写装置30では、切替部材190は、装置幅方向から見てU字状とされ、湾曲部194cに配置された回転軸部192を中心に回転することで、軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替える。このため、切替部材が回転軸部に対して一方側及び他方側に延びたシーソータイプの場合と比して、切替部材190の長手方向の長さが短くなる。
【0176】
また、転写装置30では、転写胴36が回転して、接触コロ196は、把持部材76が二次転写ロール34を通過した後に、転写胴36の外周面に到達する。つまり、把持部材76と二次転写ロール34とが対向している状態で、接地部材182が軸部材34aに接触している。換言すれば、把持部材76と二次転写ロール34とが対向した状態で、二次転写位置NTに転写電界が形成されない。更に、換言すれば、装置奥行方向から見て、二次転写ロール34の回転中心と転写胴36の回転中心とを結んだ線と二次転写ロール34の外周面との交点と、把持部材76とが対向した状態で、二次転写位置NTに転写電界が形成されない。
【0177】
このため、把持部材76と二次転写ロール34とが対向した状態で、転写電界が形成される場合と比して、二次転写ロール34から把持部材76への電流の流れが抑制される。把持部材76と二次転写ロール34とが対向した状態で、接地部材182が軸部材34aから離間している場合と比して、二次転写ロール34から把持部材76への電流の流れが抑制される。
【0178】
また、転写装置30では、把持部材76と二次転写ロール34とが対向した状態で、接地部材182が軸部材34aから離間している場合と比して、二次転写ロール34から把持部材76への電流の流れが抑制されることで、転写装置30に不具合が生じるのが抑制される。
【0179】
また、転写装置30では、凹部178に配置された接触コロ196は、転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた巻付部分が二次転写ロール34と対向する前に、転写胴36の外周面と接触する。これにより、転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた巻付部分が二次転写ロール34と対向する前に、二次転写位置NTに転写電界が形成される。
【0180】
また、転写装置30では、二次転写ロール34が転写胴36においてシート部材Pが巻き付けられた部分と対向した状態では、接地部材182が軸部材34aから離間している。換言すれば、二次転写ロール34が転写胴36においてシート部材Pが巻き付けられた部分と対向した状態では、二次転写位置NTに転写電界が生じている。このため、二次転写ロール34が転写胴36に巻き付けられたシート部材Pの先頭部分と対向したときに接地部材182と軸部材34aとが接触している場合と比して、シート部材Pに対してトナー画像を転写することができる面積が広くなる。
【0181】
また、転写装置30では、凹部178に配置された接触コロ196は、二次転写ロール34が転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた部分に到達する前に、転写胴36の外周面に接触する。換言すれば、二次転写ロール34が転写胴36の外周面においてシート部材Pが巻き付けられた部分に到達する前に、転写電界が形成される。このため、転写胴36に巻き付けられたシート部材Pの先頭部分からトナー画像が転写される。
【0182】
また、画像形成装置10では、転写装置30を備えている。このため、二次転写ロール34に対する電圧の印加を電気信号によって終了させる転写装置を備える場合と比して、不要な転写電界によって、シート部材Pに形成される画像に生じる不良が抑制される。例えば、不要な転写電界によって生じるシート部材Pの先端余白量を少なくすることができる。
【0183】
ここで、不要な転写電界によって生じるシート部材Pの先端余白量を少なくすることができることについて詳しく説明する。
【0184】
本実施形態の転写装置30では、二次転写ロール34と金属製の把持部材76及び金属製の胴本体252との間でのリークを防止するために、二次転写位置NTがS4線の位置で短絡回路500から印加回路400に切り替える。一方、二次転写位置NTに転写電界が完全に形成されるまでシート部材Pの先端部にはトナー画像は転写されない。よって、二次転写位置NTがS4線の位置から転写電界が完全に形成されるまでの間は、転写できない先端余白範囲となる。
【0185】
前述したように、本実施形態の転写装置30は、二次転写ロール34に対する電圧の印加を電気信号によって開始させる場合と比較し、転写電界を形成させるために必要な時間が短くなる。よって、本実施形態の転写装置30は、二次転写ロール34に対する電圧の印加を電気信号によって開始させる場合と比較し、シート部材Pの先端余白量を少なくすることができる。
【0186】
また、画像形成装置10は、二次転写ロール34に接触する印加ロール44を備えている。印加ロール44の軸部に給電された状態で接地部材182が軸部材34aに接触すると、給電により生じる電流は、二次転写ロール34の表面や二次転写ロール34の内部を経由して軸部材34aに流れることとなる。ここで、二次転写ロール34の表面や内部が抵抗として機能することとなる。このため、軸部材34aに給電して転写電界を形成する場合と比べ、接地時の経路上で大きな電流が流れることを抑制することができる。
【0187】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態に係る転写装置及び画像形成装置の一例について
図16に従って説明する。なお、第2実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0188】
図16に示すように、第二実施形態に係る転写装置230の接地ユニット280は、接地部材182と、軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替える切替部材290とを備えている。
【0189】
切替部材290は、回転軸部192と、本体部294と、励磁コイル298とを備えている。
【0190】
本体部294は、鉄製であって、回転軸部192から延びている。そして、本体部294の先端部分は、軸部材34aを間において転写胴36の反対側に配置されている。また、本体部294は、接地部材182を支持している。これにより、本体部294は、回転軸部192を中心に回転するようになっている。本体部294は、支持部の一例である。
【0191】
励磁コイル298は、本体部294を間において軸部材34aの反対側に配置され、本体部294が延びている方向と同様の方向に延びている。
【0192】
この構成において、図示せぬ低電圧電源から励磁コイル298へ給電、又は給電遮断させて、励磁コイル298の周囲に磁界を発生させることで、本体部294が一方又は他方に回転する。これにより、軸部材34aに対する接地部材182の接離が切り替えられる。
【0193】
また、第二実施形態については、転写胴36の回転動作に連動して軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替えることで奏する作用以外の作用を奏する。ここで、励磁コイル298への給電される電圧は、印加ロール44に給電される電圧よりも小さい。よって、励磁コイル298では、印加ロール44で電気的に給電と給電遮断を切り替える場合よりも素早く電気的に給電と給電遮断とを切り替えることができる。
【0194】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0195】
上記実施形態では、逆電圧GVから中間電圧CVに切り替え、更に、中間電圧CVから転写電圧TVに切り替えているが、これに限定されない。逆電圧GVから直接転写電圧TVに切り替えてもよい。
【0196】
また、例えば、上記実施形態では、短絡回路500が作動中は転写電圧TVから逆電圧GVに切り替えているが、これに限定されない。短絡回路500が作動中も転写電圧TVのままでもよいし、短絡回路500が作動中は基準電位点Gと同電位にしてもよい。或いは、短絡回路500が作動中は転写電圧TVよりも絶対値が小さい待機電圧としてもよい。例えば、待機電圧は、中間電圧CVと同じ電圧値であってもよい。
【0197】
また、例えば、上記実施形態では、保持部材の一例としての把持部材76は、シート部材Pの先端部を物理的に保持する構成として例示したが、このような構造に限られるものではなく、例えば空気を吸引する力でシート部材Pの先端を保持するものであってもよい。
【0198】
また、例えば、上記実施形態では、周回部材は、チェーンであったが、これに限定されない。例えば、周回部材は、ベルトであってもよい。
【0199】
例えば、上記実施形態では、転写ベルト31上のトナー画像がシート部材Pに転写されたが、例えば、転写ロール上のトナー画像がシート部材Pに転写されてもよい。
【0200】
また、画像形成装置10は、二次転写ロール34に接触する印加ロール44を備えているが、印加ロール44を設けず、二次転写ロール34の軸部材34aに給電してもよい。しかし、印加ロール44を設けた方が、接地時の短絡回路500に大きな電流が流れることを抑制することができる。印加ロール44の軸部に給電された状態で接地部材182が軸部材34aに接触すると、給電により生じる電流は二次転写ロール34の表面や二次転写ロール34の内部を経由して軸部材34aに流れることとなるが、二次転写ロール34の表面及び内部が抵抗として機能するためである。
【0201】
また、定着装置100と二次転写位置NTとの間に非接触の予備加熱部及び搬送されるシート部材Pの搬送姿勢を安定させるためにシート部材Pの下から送風する送風部等を設けてもよい。
【0202】
また、切替部材190は、転写胴36をカム面として駆動される構成に限定されない。例えば、転写胴36と一体的に回転するカム等によって駆動される構成であってもよい。
【0203】
また、切替部材が揺動して軸部材34aに接触して短絡回路に切り替える機構に限らず、例えば、軸部材34aとは別の部位、例えば、切替部材が揺動し、印加ロール44の軸部材44aに接触して短絡回路に切り替えてもよい。或いは、揺動以外の動き、例えば、切替部材が直線状に動く構成であってもよい。要は、転写部材に印加する電圧を転写胴側でなく基準電位点に短絡する短絡回路への切り替えが可能な作動停止機構であればよい。
【0204】
また、例えば、上記実施形態では、転写ベルト31上のトナー画像がシート部材Pに転写されたが、例えば、転写ロール上のトナー画像がシート部材Pに転写されてもよい。
【0205】
また、上記第一実施形態では、転写胴36におけるロール部174の外周面をカム面としてが、カム面を有する専用部材を転写胴36の軸部176に取り付けてもよい。しかし、この場合には、ロール部174の外周面をカム面とすることで奏する作用は、奏しない。
【0206】
また、
図17の変形形態に示されるように、装置奥行方向において転写胴36のロール部174の端部に、装置奥行方向において他の部分に対して形状が異なっているカム面360を形成させてもよい。そして、このカム面360によって、切替部材190を回転させてもよい。これにより、装置方向において転写胴36の中央側の部分の形状に左右されることなく、接地部材182によって二次転写ロール34が接地されるか否かが切り替えられる。
【0207】
また、上記実施形態では、転写胴として転写胴36を用いて説明したが、例えば、転写胴36にベルトが巻き付けられた部材を転写胴としてもよい。
【0208】
また、上記第一実施形態では、把持部材76は、一対のチェーン72に取り付けられたが、例えば、転写胴36に取り付けられる構成であってもよい。
【0209】
また、上記実施形態では、把持部材76が設けられたが、把持部材が無くてもよい。
【0210】
また、上記実施形態では、カム機構によって転写胴36の回転動作に連動して切替部材190を回転させたが、他の機構によって転写胴36の回転動作に連動して切替部材190を回転させてもよい。
【0211】
なお、「転写胴36の回転動作に連動して」とは、転写胴36の回転動作そのものによって物理的にカム機構などが動作し、軸部材34aに対する接地部材182の接離を切り替えることを意味する。従って、例えば別途設けられたセンサで回転動作を読み取り、その動作状況に従って電気的な信号で接地部材182の接離を切り替える構成は含まれない。
【0212】
なお、画像形成装置の構成としては、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0213】
10 画像形成装置
20 トナー画像形成部(現像剤像形成部の一例)
30 転写装置
34a 軸部材
34 二次転写ロール(転写部材の一例)
36 転写胴
44 印加ロール(印加部材の一例)
66 チェーングリッパ(搬送部材の一例)
76 把持部材(保持部材の一例)
152 胴本体
178 凹部
180 接地ユニット(作動停止機構の一例)
182 接地部材
190 切替部材
192 回転軸部
194b 直線部(支持部の一例)
194c 湾曲部
196 接触コロ(接触部の一例)
230 転写装置
260 ジャケット部材(外周部の一例)
290 切替部材
294 本体部(支持部の一例)
360 カム面
NT 二次転写位置(転写位置の一例)
P シート部材(記録媒体の一例)
G 基準電位点