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特許7563096車両用光学ユニットの製造方法、車両用光学ユニット及び車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両用光学ユニットの製造方法、車両用光学ユニット及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/27 20180101AFI20241001BHJP
   B29C 65/20 20060101ALI20241001BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20241001BHJP
   F21S 43/236 20180101ALI20241001BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241001BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241001BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241001BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241001BHJP
【FI】
F21S43/27
B29C65/20
F21V17/00 200
F21S43/236
F21S43/14
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020172515
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022064029
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅香 賢一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-345094(JP,A)
【文献】特開2016-078248(JP,A)
【文献】特開2008-068336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/27
B29C 65/20
F21V 17/00
F21S 43/236
F21S 43/14
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを含む第1部材と当該第1部材と接合させる第2部材とを第1方向に対向させて配置し、前記第1部材と前記第2部材との間の加熱位置に前記第1部材に対応する第1熱板と前記第2部材に対応する第2熱板とを配置した状態から、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向に沿って前記加熱位置側に移動させて第1対象部分を第1熱板に接触又は近接させると共に第2対象部分を前記第2熱板に接触又は近接させることで前記第1対象部分及び前記第2対象部分を溶融させる加熱工程と、
前記加熱工程の後、前記第1熱板及び前記第2熱板を前記加熱位置から退避させ、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向に沿って移動して近接させる近接工程と、
前記第1部材と前記第2部材とを近接させた状態から前記第2部材を前記第1方向に直交する第2方向に沿った回動軸を中心として回動させて前記第1対象部分と前記第2対象部分とを前記第1方向に対向配置させる配置工程と、
前記第1方向に対向して配置された前記第1対象部分と前記第2対象部分とを前記第1方向に加圧して接合する接合工程と
を含む車両用光学ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第1方向から見た場合に前記第2対象部分と重なるように突出する突出部を有し、
前記第1部材は、前記第2部材と接合された状態において前記突出部を収容する凹部を有し、
前記加熱工程では、前記突出部が前記第1対象部分と前記第1方向に干渉しないように前記第2部材を所定の姿勢に傾けた状態とし、
前記近接工程では、前記第2部材を傾けた状態のまま前記第1部材と前記第2部材とを近接させ、
記配置工程では、前記第2部材の前記突出部が前記第1部材の前記凹部に収容されるように前記第2部材を回転させる
請求項1に記載の車両用光学ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記所定の姿勢は、前記第1方向から前記第2部材を見た場合に、前記突出部が前記第2対象部分に重ならない姿勢である
請求項2に記載の車両用光学ユニットの製造方法。
【請求項4】
前記第2熱板は、前記所定の姿勢とした前記第2部材の前記第2対象部分の位置に対応する形状に形成される
請求項2又は請求項3に記載の車両用光学ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記第1対象部分及び前記第2対象部分は、それぞれ複数設けられ、
前記近接工程では、1つの前記第1対象部分を対応する1つの前記第2対象部分に接触させた状態とする
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用光学ユニットの製造方法。
【請求項6】
レンズを含み、第1対象部分を有する第1部材と、
前記第1対象部分と所定の接合方向に接合される第2対象部分を有する第2部材と
を備え、
前記第2部材は、前記接合方向から見た場合に前記第2対象部分と重なるように当該接合方向に突出する突出部を有し、
前記第1部材は、前記第2部材と接合された状態において前記突出部を収容する凹部を有し、
前記凹部は、前記突出部が前記第1対象部分と前記接合方向に干渉しないように前記第2部材を所定の姿勢に傾けた状態から前記第2対象部分と重なるように当該接合方向に突出した状態となるように移動可能な形状を有する
車両用光学ユニット。
【請求項7】
前記第2部材は、前記突出部を含むインナーレンズを有し、
前記第1部材の前記レンズは、前記第1部材と前記第2部材とが接合された状態において前記インナーレンズの外側に配置されるアウターレンズであり、
前記アウターレンズは、前記接合方向について前記インナーレンズ側との間が非連通の状態である
請求項6に記載の車両用光学ユニット。
【請求項8】
光源と、
前記光源からの光を導光する導光体と、
前記導光体により導光された前記光を前記レンズから出射する請求項6又は請求項7に記載の車両用光学ユニットと
を備える車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用光学ユニットの製造方法、車両用光学ユニット及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具の透光カバーとランプボディとを、熱板溶着により形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-345094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱板溶着は、接合対象となる複数の部材を対向させ、対向方向に沿って相対的に移動させることで行う。一方、例えば単に対向方向に移動させた場合には干渉するような形状を有する部材同士については、熱板溶着により円滑に接合することが困難である。したがって、複数の部材同士を熱板溶着により円滑に接合することが可能な技術が求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、熱板溶着により複数の部材を円滑に接合することが可能な車両用光学ユニットの製造方法、車両用光学ユニット及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用光学ユニットの製造方法は、レンズを含む第1部材と当該第1部材と接合させる第2部材とを第1方向に対向させて配置し、前記第1部材と前記第2部材との間の加熱位置に前記第1部材に対応する第1熱板と前記第2部材に対応する第2熱板とを配置した状態から、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向に沿って前記加熱位置側に移動させて前記第1対象部分を第1熱板に接触又は近接させると共に前記第2対象部分を前記第2熱板に接触又は近接させることで前記第1対象部分及び前記第2対象部分を溶融させる加熱工程と、前記加熱工程の後、前記第1熱板及び前記第2熱板を前記加熱位置から退避させ、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向に沿って移動して近接させる近接工程と、前記第1部材と前記第2部材とを近接させた状態から前記第2部材を前記第1方向に直交する第2方向に沿った回動軸を中心として回動させて前記第1対象部分と前記第2対象部分とを前記第1方向に対向配置させる配置工程と、前記第1方向に対向して配置された前記第1対象部分と前記第2対象部分とを前記第1方向に加圧して接合する接合工程とを含む。
【0007】
また、前記第2部材は、前記第1方向から見た場合に前記第2対象部分と重なるように突出する突出部を有し、前記第1部材は、前記第2部材と接合された状態において前記突出部を収容する凹部を有し、前記熱板加圧工程では、前記突出部が前記第1対象部分と前記第1方向に干渉しないように前記第2部材を所定の姿勢に傾けた状態とし、前記近接工程では、前記第2部材を傾けた状態のまま前記第1部材と前記第2部材とを近接させ、前記対向配置工程では、前記第2部材の前記突出部分が前記第1部材の前記凹部に収容されるように前記第2部材を回転させてもよい。
【0008】
また、前記所定の姿勢は、前記第1方向から前記第2部材を見た場合に、前記突出部が前記第2対象部分に重ならない姿勢であってもよい。
【0009】
また、前記第2熱板は、前記所定の姿勢とした前記第2部材の前記第2対象部分の位置に対応する形状に形成されてもよい。
【0010】
また、前記第1対象部分及び前記第2対象部分は、それぞれ複数設けられ、前記近接工程では、1つの前記第1対象部分を対応する1つの前記第2対象部分に接触させた状態としてもよい。
【0011】
本発明に係る車両用光学ユニットは、レンズを含み、第1対象部分を有する第1部材と、前記第1対象部分と所定の接合方向に接合される第2対象部分を有する第2部材とを備え、前記第2部材は、前記接合方向から見た場合に前記第2対象部分と重なるように当該接合方向に突出する突出部を有し、前記第1部材は、前記第2部材と接合された状態において前記突出部を収容する凹部を有し、前記凹部は、前記突出部が前記第1対象部分と前記接合方向に干渉しないように前記第2部材を所定の姿勢に傾けた状態から前記第2対象部分と重なるように当該接合方向に突出した状態となるように移動可能な形状を有する。
【0012】
また、前記第2部材は、前記突出部を含むインナーレンズを有し、前記第1部材の前記レンズは、前記第1部材と前記第2部材とが接合された状態において前記インナーレンズの外側に配置されるアウターレンズであり、前記アウターレンズは、前記接合方向について前記インナーレンズ側との間が非連通の状態であってもよい。
【0013】
本発明に係る車両用灯具は、光源と、前記光源からの光を導光する導光体と、前記導光体により導光された前記光を前記レンズから出射する上記の車両用光学ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱板溶着により複数の部材を円滑に接合することが可能な車両用光学ユニットの製造方法、車両用光学ユニット及び車両用灯具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る車両の後部の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る光学ユニットの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、光学ユニットの製造過程の一例を示す工程図である。
図5図5は、光学ユニットの製造過程の一例を示す工程図である。
図6図6は、光学ユニットの製造過程の一例を示す工程図である。
図7図7は、光学ユニットの製造過程の一例を示す工程図である。
図8図8は、光学ユニットの製造過程の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
図1は、本実施形態に係る車両1の後部の一例を示す図である。図1に示すように、車両1は、車体2と、走行装置3と、車両用灯具100とを備える。車体2は、運転者が搭乗する運転室を有する。車体2は、走行装置3に支持される。走行装置3は、タイヤ4が装着されるホイールと、車両1の進行方向を変えるための操舵装置と、走行装置3を減速又は停止させるためのブレーキ装置とを有する。車両1は、車体2の側部に設けられる乗降用ドアと、車体2の後部に設けられるバックドア7とを備える。乗降用ドア及びバックドア7はそれぞれ、ヒンジ機構を介して車体2に移動可能に支持される。
【0018】
本実施形態において、車両用灯具100は、車体2の後部の左側及び右側のそれぞれに設けられる。本実施形態では、車両用灯具100が車体2の後部に設けられる。そのため、前後方向の後方側を車両用灯具100の正面側とし、前後方向の前方側を車両用灯具100の背面側として説明する。
【0019】
車両用灯具100は、機能ランプを含む。機能ランプとして、車体2の後部に設けられヘッドランプの点灯と連動して点灯するテールランプ、車体2の後部に設けられブレーキ装置の作動と連動して点灯するストップランプ、車体2の後部に設けられ車両1の進行方向を周囲に示すために点灯するリアターンシグナルランプなどが挙げられる。
【0020】
車両用灯具100は、それぞれ車体2側とバックドア7側とに跨って配置される。本実施形態において、車体2は、固定部である。また、バックドア7は、可動部である。車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100の構造と車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100の構造とは、左右方向について対称であり、実質的に同一の構造である。以下、車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100について主に説明し、車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100についての説明は簡略又は省略する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を模式的に示す図である。図2は、図1におけるA-A断面に沿った構成を示している。車両用灯具100は、固定部である車体2側に配置される固定側ユニット10と、可動部であるバックドア7側に配置される可動側ユニット20とを備える。固定側ユニット10と可動側ユニット20とは、隙間を空けて分離されている。
【0022】
固定側ユニット10は、光源8及び導光体9と、光学ユニット(車両用光学ユニット)Uとを有する。光源8は、例えばLED等の半導体型光源である。導光体9は、光源8からの光を導光する。光源8及び導光体9は、光学ユニットUに光を供給する。光学ユニットUは、第1部材17及び第2部材18を備える。光学ユニットUは、第1部材17と第2部材18とが熱板溶着法により接合された構成である。第1部材17と第2部材18とは、接合時においては接合方向D(図中に矢印で示す)に加圧される。第1部材17は、アウターレンズ12を含む。第2部材18は、ハウジング11と、インナーレンズ13とを含む。
【0023】
ハウジング11は、光源8及び導光体9を保持すると共に、インナーレンズ13を保持する。ハウジング11は、例えば樹脂材料を用いて形成される。
【0024】
インナーレンズ13は、導光体9から出射された光を透過する。インナーレンズ13は、導光体9の正面側を覆うように配置される。インナーレンズ13は、板状であり、断面視において車両内側の端部と車両外側の端部とが車両後方側に向けて屈曲された形状を有する。以下、車両外側の屈曲部分を屈曲部13aと表記し、車両内側の屈曲部分を屈曲部13bと表記する。インナーレンズ13は、屈曲部13bから背面側に延びる脚部13cを有する。屈曲部(突出部)13bは、接合方向Dから見た場合(図2の一点鎖線参照)、脚部13cに対してアウターレンズ12の脚部12c側に突出している。屈曲部13bは、接合方向Dから見た場合、アウターレンズ12の脚部12cに重なるように形成される。なお、インナーレンズ13は、棒状であってもよい。インナーレンズ13は、棒状である場合を含め、上記のような屈曲部13aが設けられない構成であってもよい。
【0025】
アウターレンズ12は、インナーレンズ13から出射された光を車両用灯具100の外部に出射する。アウターレンズ12は、板状であり、断面視で車両外側から内側にかけて配置される正面部12aと、正面部12aの車両内側の端部から背面側に屈曲される屈曲部12bと、屈曲部12bから背面側に延びる脚部12cとを有する。上記のインナーレンズ13の屈曲部13bは、アウターレンズ12の正面部12a、屈曲部12b及び脚部12cとで囲まれる凹部12dに収容された状態となっている。アウターレンズ12は、接合方向Dについてインナーレンズ13側との間が非連通の状態である。つまり、アウターレンズ12は、例えばインナーレンズ13側に治具を挿通させるための連通部が設けられない構成である。なお、アウターレンズ12は、複数の部材を接合した構成であってもよい。この場合、複数の部材が異なる色の光を出射する構成であってもよい。
【0026】
上記構成において、第1部材17は、アウターレンズ12の車両外側かつ背面側の端部に配置される第1対象部分17aと、アウターレンズ12の脚部12cの背面側の端部に配置される第1対象部分17bとを有する。また、第2部材18は、ハウジング11の車両外側かつ背面側の端部に配置される第2対象部分18aと、ハウジング11の車両内側に配置される第2対象部分18bとを有する。第1対象部分17aと第2対象部分18aとの間、及び第1対象部分17bと第2対象部分18bとの間が熱板溶着法により接合される。
【0027】
上記構成において、接合方向Dから見た場合、屈曲部13bが脚部12cに重なるように突出している。したがって、第1部材17と第2部材18とを単に接合方向Dに移動させて接合する手法では、屈曲部13bが脚部12cと干渉することになる。本実施形態では、以下に説明する手順により第1部材17と第2部材18とを接合することで、屈曲部13bと脚部12cとが干渉することなく接合可能となっている。
【0028】
次に、上記のように構成された光学ユニットUの製造方法を説明する。光学ユニットUの製造方法では、第1部材17と第2部材18とを熱板溶着法により接合する。図3は、本実施形態に係る光学ユニットUの製造方法の一例を示すフローチャートである。図4から図7は、光学ユニットUの製造過程の一例を示す工程図である。図3に示すように、本実施形態に係る光学ユニットUの製造方法は、加熱工程(S10)と、近接工程(S20)と、配置工程(S30)と、接合工程(S40)とを含む。これらの各工程は、支持装置30、40と、加熱装置50とを用いて行う。
【0029】
支持装置30は、第1部材17を支持する。支持装置30は、基部31と、支持部32とを有する。基部31は、第1方向D1に沿って移動可能である。本実施形態において、第1方向D1は、例えば上下方向である。支持部32は、基部31の下方に設けられる。支持部32は、第1対象部分17a、17bを下方に向けた状態で第1部材17を支持する。支持部32が第1部材17を支持した状態で基部31が第1方向D1の下方に移動することで、第1部材17の第1対象部分17a、17bを第2部材18又は後述する加熱装置50に対して加圧することが可能となっている。
【0030】
支持装置40は、第2部材18を支持する。支持装置40は、基部41と、支持部42と、回動駆動部43とを有する。基部41は、例えば板状であり、第1方向D1に沿って移動可能である。回動駆動部43は、第1方向D1と直交する第2方向D2に沿った回動軸AXを中心として基部41を回動させる。支持部42は、第2対象部分18a、18bを第1方向D1の上方に向けた状態で第2部材18を支持する。支持部42が第2部材18を支持した状態で基部41が第1方向D1の上方に移動することで、第2対象部分18a、18bを第1部材17又は後述する加熱装置50に対して加圧することが可能となっている。また、支持部42が第2部材18を支持した状態で回動駆動部43により回動軸AXを中心として基部41を回動することにより、第2部材18を傾けることが可能となっている。
【0031】
加熱装置50は、支持装置30と支持装置40との間の加熱位置P1と、当該加熱位置から退避した退避位置P2との間で移動可能である。加熱装置50は、基部51と、第1熱板52と、第2熱板53とを有する。基部51は、板状であり、第1面51a及び第2面51bを有する。第1面51a及び第2面51bは、例えば平行又はほぼ平行である。本実施形態において、第1面51aが上下方向の上部に配置され、第2面51bが下部に配置されるとする。
【0032】
第1熱板52は、基部51の第1面51a側(例えば、上側)に配置される。第1熱板52は、第1部材17の第1対象部分17aを加熱する加熱部52aと、第1対象部分17bを加熱する加熱部52bとを有する。
【0033】
第2熱板53は、基部51の第2面51b側(例えば、下側)に配置される。第2熱板53は、第2部材18の第2対象部分18aを加熱する加熱部53aと、第2部材18の第2対象部分18bを加熱する加熱部53bとを有する。第2熱板53において、加熱部53a、53bは、第2部材18が所定の姿勢で配置された場合の第2対象部分18a、18bの位置に対応する形状に形成される。本実施形態において、第2部材18の所定の姿勢とは、例えば第1方向D1の上方から第2部材18を見た場合に、屈曲部13bが第2対象部分18bに重ならない姿勢である。この構成により、第2部材18を第1方向D1に沿って第2熱板53側に移動させた場合、屈曲部13bが第2熱板53に干渉することを防止できる。また、図4に示す例において、第1熱板52の加熱部52aの表面と加熱部52bの表面との第1方向D1における距離d1よりも、第2熱板53の加熱部53aの表面と加熱部53bの表面との第1方向D1における距離d2の方が大きい。また、第2熱板53には、第2部材18の屈曲部13b等と干渉しないための凹部53cが形成される。
【0034】
加熱工程S10では、まず、図4に示すように、加熱装置50を退避位置P2に配置させた状態とし、第1対象部分17a、17bを下方に向けた状態で第1部材17を支持装置30に支持させる。また、第2対象部分18a、18bを上方に向けた状態で上記した所定の姿勢、つまり第1方向D1の上方から第2部材18を見た場合に屈曲部13bが第2対象部分18bに重ならない姿勢となるように回動駆動部43により基部41の傾きを調整して、第2部材18を支持装置40に支持させる。
【0035】
その後、図5に示すように、加熱装置50を退避位置P2から加熱位置P1に移動させる。これにより、第1熱板52及び第2熱板53が第1部材17と第2部材18との間に配置される。加熱装置50を加熱位置P1に移動させた後、図6に示すように、支持装置30の基部31を第1方向D1の下方に移動させて第1対象部分17a、17bを第1熱板52の加熱部52a、52bに接触又は近接させる。また、支持装置40の基部41を第1方向D1の上方に移動させて第2対象部分18a、18bを第2熱板53の加熱部53a、53bに接触又は近接させる。第2部材18が上記した所定の姿勢となっているため、第2部材18の屈曲部13bは、第2熱板53に干渉することなく凹部53cに収容される。第1熱板52及び第2熱板53で所定時間加熱されることにより、第1部材17の第1対象部分17a、17b及び第2部材18の第2対象部分18a、18bが溶融する。
【0036】
加熱工程S10において第1部材17及び第2部材18を加熱した後、支持装置30の基部31を第1方向D1の上方に移動させ、支持装置40の基部41を第1方向D1の下方に移動させて、加熱装置50を加熱位置P1から退避位置P2へと退避させる。その後、近接工程S20を行う。近接工程S20では、図7に示すように、支持装置30の基部31を再び第1方向D1の下方に移動させると共に、支持装置40の基部41を再び第1方向D1の上方に移動させて、第1部材17と第2部材18とを近接させる。このとき、第2部材18が上記の所定の姿勢となっているため、第2部材18の屈曲部13bが第1部材17の脚部12cと干渉することなく、凹部12d内に配置される。近接工程S20では、図7に示すように、1つの第1対象部分17bを対応する1つの第2対象部分18bに接触させた状態とすることができる。これにより、後述の対向配置工程において第1部材17と第2部材18との位置決めが高精度に行われることになる。なお、近接工程S20では、第1対象部分17a、17bと、対応する第2対象部分18a、18bとの間を空けた状態としてもよい。
【0037】
第1部材17と第2部材18とを近接させた後、配置工程S30を行う。配置工程S30では、回動駆動部43により基部41を回動軸AXの軸回りに回動させて、基部41を基部31と平行な状態とする。この動作により、第2部材18の屈曲部13bが第1部材17と干渉することなく凹部12dに収容される。基部41を基部31と平行な状態とすることにより、第1部材17の第1対象部分17a、17bと第2部材18の第2対象部分18a、18bとを対向配置される。なお、基部41を回動軸AXの軸回りに回転させることで第1対象部分17a、17bと第2対象部分18a、18bとが対向配置されるように、予め加熱工程において第1部材17及び第2部材18を支持装置30、40に支持しておくようにする。
【0038】
配置工程S30の後、接合工程S40を行う。接合工程S40では、図8に示すように、支持装置30の基部31を第1方向D1の下方に移動させ、支持装置40の基部41を第1方向D1の上方に移動させる。これにより、第1対象部分17aと第2対象部分18aとが第1方向D1に加圧されると共に、第1対象部分17bと第2対象部分18bとが第1方向D1に加圧される。この加圧により、第1対象部分17a、17bと第2対象部分18a、18bとが接合され、光学ユニットUが形成される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る光学ユニットUの製造方法は、第1部材17と第2部材18とを第1方向D1に対向させて配置し、第1部材17と第2部材18との間の加熱位置P1に第1熱板52と第2熱板53とを配置した状態から、第1部材17と第2部材18とを第1方向D1に沿って加熱位置P1側に移動させて第1対象部分17a、17bを第1熱板52に接触又は近接させると共に第2対象部分18a、18bを第2熱板53に接触又は近接させることで第1対象部分17a、17b及び第2対象部分18a、18bを溶融させる加熱工程と、加熱工程の後、第1熱板52及び第2熱板53を加熱位置P1から退避させ、第1部材17と第2部材18とを第1方向D1に沿って移動して近接させる近接工程と、第1部材17と第2部材18とを近接させた状態から第2部材18を第1方向D1に直交する第2方向D2に沿った回動軸AXを中心として回動させて第1対象部分17a、17bと第2対象部分18a、18bとを第1方向D1に対向配置させる配置工程と、第1方向D1に対向して配置された第1対象部分17a、17bと第2対象部分18a、18bとを第1方向D1に加圧して接合する接合工程とを含む。
【0040】
この構成によれば、第2部材18を回動軸AXの軸回り方向に回動させることにより、第1部材17の第1対象部分17a、17bと第2部材18の第2対象部分18a、18bとを位置関係を容易に調整することができる。このため、第1部材17と第2部材18とを第1方向D1に移動させるだけでは互いに干渉する場合でも、第2部材18を回動軸AXの軸回り方向に回動させることで、第1部材17と第2部材18とを干渉することなく接合することができる。これにより、熱板溶着により複数の部材を円滑に接合することが可能である。
【0041】
本実施形態に係る光学ユニットUの製造方法において、第2部材18は、第1方向D1から見た場合に第2対象部分18a、18bと重なるように突出する屈曲部13bを有し、第1部材は、第2部材18と接合された状態において屈曲部13bを収容する凹部12dを有し、熱板加圧工程では、屈曲部13bが第1対象部分17a、17bと第1方向D1に干渉しないように第2部材18を所定の姿勢に傾けた状態とし、近接工程では、第2部材18を傾けた状態のまま第1部材と第2部材18とを近接させ、対向配置工程では、第2部材18の屈曲部13b分が第1部材の凹部12dに収容されるように第2部材18を回転させる。この構成によれば、第1方向D1から見た場合に第2対象部分18a、18bと重なるように突出する屈曲部13bを有する第2部材18を第1部材17に接合する際に、第2部材18を回動させることで第1部材17と第2部材18との干渉を回避できる。
【0042】
本実施形態に係る光学ユニットUの製造方法において、第2熱板53は、所定の姿勢とした第2部材18の第2対象部分18a、18bの位置に対応する形状に形成される。この構成により、第2部材18の第2対象部分18a、18bを容易に溶融させることができる。
【0043】
本実施形態に係る光学ユニットUの製造方法において、第1対象部分17a、17b及び第2対象部分18a、18bは、それぞれ複数設けられ、近接工程では、1つの第1対象部分17bを対応する1つの第2対象部分18bに接触させた状態とする。この構成により、第1部材17と第2部材18との位置決めを高精度に行うことができる。
【0044】
本実施形態に係る光学ユニットUは、レンズを含み、第1対象部分17a、17bを有する第1部材17と、第1対象部分17a、17bと所定の接合方向Dに接合される第2対象部分18a、18bを有する第2部材18とを備え、第2部材18は、接合方向Dから見た場合に第2対象部分18a、18bと重なるように当該接合方向Dに突出する屈曲部13bを有し、第1部材17は、第2部材18と接合された状態において屈曲部13bを収容する凹部12dを有し、凹部12dは、屈曲部13bが第1対象部分17a、17bと接合方向に干渉しないように第2部材18を所定の姿勢に傾けた状態から第2対象部分18a、18bと重なるように当該接合方向Dに突出した状態となるように移動可能な形状を有する。
【0045】
この構成によれば、凹部12dにおいて、屈曲部13bが第1対象部分17a、17bと接合方向に干渉しないように第2部材18を所定の姿勢に傾けた状態から第2対象部分18a、18bと重なるように当該接合方向Dに突出した状態となるように移動可能である。このため、第1部材17と第2部材18とを単に接合方向Dに移動させて接合する手法では屈曲部13bが脚部12cと干渉することになる構成においても、屈曲部13bを凹部12dに収容した状態で第2部材18を回動させることで、屈曲部13bと脚部12cとが干渉することなく第1部材17と第2部材18とが接合された構成を実現することができる。
【0046】
本実施形態に係る光学ユニットUにおいて、第2部材18は、屈曲部13bを含むインナーレンズ13を有し、第1部材17のレンズは、第1部材17と第2部材18とが接合された状態においてインナーレンズ13の外側に配置されるアウターレンズ12であり、アウターレンズ12は、接合方向Dについてインナーレンズ13側との間が非連通の状態である。光学ユニットUは、上記のように屈曲部13bと脚部12cとが干渉することなく第1部材17と第2部材18とが接合された構成を実現することができる。
【0047】
本実施形態に係る車両用灯具100は、光源と、光源からの光を導光する導光体と、導光体により導光された光をアウターレンズ12から出射する光学ユニットUとを備える。この構成によれば、幅広い設計が可能な車両用灯具100が得られる。
【0048】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、第2部材18がインナーレンズ13を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。第2部材18は、レンズを有しない構成であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態において、第1部材17のレンズがアウターレンズ12である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1部材17のレンズがインナーレンズであってもよい。
【0050】
また、上記実施形態において、光学ユニットUが車両用灯具100に設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。光学ユニットUは、例えば光源を有しない構成として車両に設けられてもよい。例えば、外光を反射する反射ユニットの一部として車両に設けられてもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、車両用灯具100が車体2の後部に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、車両用灯具100は、車体2のドアミラーに設けられてもよい。この場合、車両用灯具100としては、例えばサイドターンランプ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0052】
AX…回動軸、D…接合方向、D1…第1方向、D2…第2方向、d1,d2…距離、P1…加熱位置、P2…退避位置、U…光学ユニット、1…車両、2…車体、3…走行装置、4…タイヤ、7…バックドア、8…光源、9…導光体、10…固定側ユニット、11…ハウジング、12…アウターレンズ、12a…正面部、12b,13a,13b…屈曲部、12c,13c…脚部、12d,53c…凹部、13…インナーレンズ、17…第1部材、17a,17b…第1対象部分、18…第2部材、18a,18b…第2対象部分、20…可動側ユニット、30,40…支持装置、31,41,51…基部、32,42…支持部、43…回動駆動部、50…加熱装置、51a…第1面、51b…第2面、52…第1熱板、52a,52b,53a,53b…加熱部、53…第2熱板、100…車両用灯具
図1
図2
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図8