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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】自動研磨システム及び自動研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/00 20060101AFI20241001BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20241001BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241001BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B24B27/00 A
B24B49/16
B24B49/12
B25J13/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020174931
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022066034
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康二
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-041992(JP,A)
【文献】米国特許第04523409(US,A)
【文献】特開平03-142159(JP,A)
【文献】国際公開第2020/161534(WO,A1)
【文献】特開平04-250968(JP,A)
【文献】特開平05-220656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-51/00
B25J1/00-21/02
G05B19/18-19/416
G05B19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)多関節型ロボットと、(2)前記多関節型ロボットの先端部に設けられた研磨機であって、軸回りに回転するスピンドル軸と、当該スピンドル軸の先端に固定された研磨具とを含む研磨機と、(3)前記先端部と前記研磨機との間に介在するセンサであって、被研磨面から前記研磨機に作用する垂直抗力を示す垂直抗力情報、及び、前記スピンドル軸の軸回りに作用するモーメントを示すモーメント情報を出力するセンサと、
を含む自動研磨装置と、
前記垂直抗力情報及び前記モーメント情報を取得し、前記垂直抗力及び前記モーメントに応じて前記多関節型ロボットを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記研磨機が前記被研磨面のうち予め定められた領域である研磨領域を研磨している期間中、前記垂直抗力が予め定められた範囲内に収まるように前記多関節型ロボットを制御するロボット制御部と、
前記モーメントが予め定められた閾値以下である場合に、前記研磨領域の研磨が完了したと判定する閾値判定部と、を備え、
前記ロボット制御部は、前記研磨機が前記研磨領域を研磨している期間中、前記スピンドル軸の前記被研磨面における位置が、前記予め定められた領域である研磨領域内において周期的な軌跡を描くように前記多関節型ロボットを制御し、
前記閾値判定部は、前記スピンドル軸の前記被研磨面における位置が前記研磨領域内において周期的な軌跡を描く際に前記センサより出力される前記モーメントの最大値が前記閾値以下である場合に、前記研磨領域の研磨が完了したと判定する、
ことを特徴とする自動研磨システム。
【請求項2】
前記被研磨面は、自動車のボディを覆う塗膜の表面であり、
当該自動車を含む画像を示す画像情報を出力するカメラを更に備え、
前記制御部は、前記画像情報が示す画像に含まれる自動車に応じて前記閾値を設定する閾値設定部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項に記載の自動研磨システム。
【請求項3】
前記センサは、6軸力覚センサであり、
前記制御部は、前記被研磨面から前記研磨機に作用する並進力であって、前記垂直抗力を含む並進力と、前記被研磨面から前記研磨機に作用するモーメントであって、前記スピンドル軸の軸回りに作用するモーメントを含むモーメントとに応じて、前記研磨具が前記被研磨面に倣うように前記多関節型ロボットを制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動研磨システム。
【請求項4】
前記自動研磨装置を複数台備えている、
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の自動研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動研磨システム及び自動研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の美観をできるだけ手間を掛けずに美しく保つために、自動車を構成するボディの塗膜表面に保護層をコーティングする技術が普及している。この保護層は、液体状であるガラス系材料又はポリマー材料を塗膜表面に塗布したうえで乾燥させることによって得られる。
【0003】
このような保護層のコーティングにおいては、仕上がりの良否が塗膜表面の平滑性に依存する。そのため、塗膜表面の平滑性を高めるために、コーティングを施すまえに、塗膜表面を研磨することが多い。また、コーディング後の仕上がりを更に高めるために、コーティング後の保護層の表面を研磨することも多い。
【0004】
塗膜表面及び保護層の表面の研磨は、熟練した職人が経験に基づいて実施する場合が多い。ただし、職人の後継者不足や、コーティングにかかるコスト削減の要請などに鑑み、これらの研磨の工程の自動化が望まれている。例えば、特許文献1には、ボディの塗膜表面を研磨機(特許文献1においてはバフ研磨機)により自動で研磨する技術であって、研磨機を塗膜に押しつける際に生じる垂直抗力(特許文献1においては押付加重)を一定に保ちながら研磨する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開1997-262752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、垂直抗力を一定に保ちながら研磨を実施することができるものの、塗膜表面又は保護層の表面の状態(例えば、平滑性)に応じて研磨の度合いを変化させることができない。したがって、特許文献1の技術では、塗膜表面又は保護層の表面の状態に応じて研磨の度合いを変化させることは想定しておらず、塗膜表面又は保護層の表面の全領域を一定の度合いで研磨すると考えられる。すなわち、特許文献1の技術では、塗膜表面又は保護層の表面においてバフ研磨を実施している研磨機を走査させる走査速度を一定にしていると考えられる。
【0007】
その結果、塗膜表面又は保護層の表面の一部領域であって、他の領域に比べて状態が悪かった一部領域においては、施された研磨が不十分な場合が生じ得る。また、他の領域に比べて状態が悪い一部領域に併せて走査速度を低く設定した場合、他の領域においては過度の研磨が施され、且つ、1台あたりの研磨に要する時間が無用に長くなる。
【0008】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、移動体のボディの表面の状態に応じて、当該表面に施す研磨の度合いを調整することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る自動研磨システムは、自動研磨装置と、制御部と、を備えている。自動研磨装置は、以下の(1)~(3)を備えている。
(1)多関節型ロボット。
(2)前記多関節型ロボットの先端部に設けられた研磨機。この研磨機は、軸回りに回転するスピンドル軸と、当該スピンドル軸の先端に固定された研磨具とを含む。
(3)前記先端部と前記研磨機との間に介在するセンサ。このセンサは、垂直抗力情報(被研磨面から前記研磨機に作用する垂直抗力を示す情報)及び、モーメント情報(前記スピンドル軸の軸回りに作用するモーメントを示す情報)を出力する。
また、制御部は、前記垂直抗力情報及び前記モーメント情報を取得し、前記垂直抗力及び前記モーメントに応じて前記多関節型ロボットを制御する。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る自動研磨装置は、(1)多関節型ロボットと、(2)前記多関節型ロボットの先端部に設けられた研磨機であって、軸回りに回転するスピンドル軸と、当該スピンドル軸の先端に固定された研磨具とを含む研磨機と、(3)前記先端部と前記研磨機との間に介在するセンサであって、被研磨面から前記研磨機に作用する垂直抗力を示す垂直抗力情報、及び、前記スピンドル軸におけるモーメントを示すモーメント情報を出力するセンサと、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、移動体のボディの表面の状態に応じて、当該表面に施す研磨の度合いを調整することができる自動研磨システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る自動研磨システムの模式図である。(b)は、(a)に示した自動研磨システムが備えている研磨機及びセンサの斜視図である。
図2図1の(a)に示した自動研磨システムが備えている制御部のブロック図である。
図3】(a)は、図1の(a)に示した自動研磨システムが研磨する被研磨面の平面図であって、スピンドル軸の軌跡及び研磨領域を示した被研磨面の平面図である。(b)は、図1の(a)に示した自動研磨システムの変形例が研磨する被研磨面の平面図であって、スピンドル軸の軌跡及び研磨領域を示した被研磨面の平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る自動研磨方法のフローチャートである。
図5図1の(a)に示した自動研磨システムに含まれる制御部として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔自動研磨システムの構成〕
本発明の一実施形態に係る自動研磨システム10の構成について、図1を参照して説明する。図1の(a)は、自動研磨システム10の模式図である。図1の(b)は、自動研磨システム10が備えている研磨機11及びセンサ12の斜視図である。
【0014】
図1の(a)に示すように、自動研磨システム10は、研磨機11、センサ12、多関節型ロボット13、カメラ14、及び制御部15を備えている。なお、研磨機11、センサ12、及び多関節型ロボット13は、本発明の一態様である自動研磨装置を構成する。
【0015】
本実施形態において、自動研磨システム10は、1台の自動研磨装置を備えている。ただし、自動研磨システム10は、複数台の自動研磨システム10を備えていてもよい。
【0016】
自動研磨システム10は、移動体のボディの表面を被研磨面として、その被研磨面をコンピュータ制御により自動的に研磨する。本実施形態では、移動体の一例として自家用車である自動車AMを用いて自動研磨システム10について説明する。ただし、移動体は、自動車AMに限定されるものではなく、バスやトラックなどの大型な自動車であってもよし、航空機であってもよいし、電車であってもよい。自動車AMの表面を構成する鋼板製のボディパネルPは、被研磨面の一例である。
【0017】
移動体が自動車である場合、自動研磨システム10は、自動車を構成するボディの塗膜表面に保護層をコーティングする前段階として、ボディの塗膜表面を研磨するために好適に利用できる。また、自動研磨システム10は、ボディの塗膜表面に保護層をコーティングしたあとに実施する仕上げの研磨にも好適に利用できる。
【0018】
また、移動体が航空機及び電車である場合、ボディのデザインを変更するために、ボディを再塗装したり、カッティングシートを用いてボディにラッピングを施したりする場合がある。自動研磨システム10は、ボディの再塗装及びラッピングの前段階として、ボディの表面を研磨するために好適に利用できる。
【0019】
<多関節型ロボット>
図1の(a)に示す多関節型ロボット13は、垂直多関節型ロボットとも呼ばれる産業用ロボットの一態様である。多関節型ロボット13は、ベース部(地面に固定されている)と、ベース部に設けられた第1関節131と、第1アーム132と、第2関節133と、第2アーム134と、第3関節135と、第3アーム136とを備えている。
【0020】
ベース部は、地面に対して垂直な軸を回転軸として、その軸回りに回転自在な状態で、地面に対して固定されている。図1の(a)においては、自動車AMに隠れているので図示されていない。ベース部には、第1関節131が設けられている。
【0021】
第1関節131には、第1アーム132の一方の端部が接続されている。第1関節131が可動することによって、第1アーム132は、地面とのなす角を変化させることができる。
【0022】
第1アーム132の他方の端部には、第2関節133を介して、第2アーム134の一方の端部が接続されている。第2関節133が可動することによって、第2アーム134は、第1アーム132とのなす角を変化させることができる。
【0023】
第2アーム134の他方の端部には、第3関節135を介して、第3アーム136の一方の端部が接続されている。第3関節135が可動することによって、第3アーム136は、第2アーム134とのなす角を変化させることができる。また、第3関節135は、第3アーム136の一方の端部から他方の端部へ向かう方向と平行な軸(図1の(b)に示すx軸)を回転軸として、第3アーム136を回転可能なように構成されている。
【0024】
第3アーム136は、図1の(b)に示すように、直方体状のブロックであり、多関節型ロボット13の先端部を構成する。
【0025】
第1関節131、第2関節133、及び第3関節135の各々は、後述する制御部15が生成する制御信号SC2に基づいて動作する。すなわち、多関節型ロボット13は、制御信号SC2により制御されている。
【0026】
<研磨機>
図1の(b)に示すように、研磨機11は、本体111と、研磨具112(本実施形態ではバフ)とを備えている。本体111は、モータと、当該モータを用いて駆動されるスピンドル軸1111とを備えている。スピンドル軸1111は、円柱状の部材であり、その中心軸を回転軸として軸回りに回転する。スピンドル軸1111は、円柱状である本体111の一方の端面から突出するように設けられている。
【0027】
本体111の他方の端面は、後述するセンサ12を介して、第3アーム136を構成する4つの側面のうちの1つに固定されている。
【0028】
なお、図1の(b)においては、スピンドル軸1111の中心軸と平行になるようにz軸を定め、第3アーム136を構成する直方体状のブロックを構成する辺のうち、第3アーム136の一方の端部から他方の端部へ向かう辺と平行になるようにx軸を定め、x軸及びz軸とともに右手系の直交座標系を構成するようにy軸を定めている。また、z軸方向のうち第3アーム136から研磨具112へ向かう方向をz軸正方向と定め、x軸方向のうち第3アーム136の一方の端部から他方の端部へ向かう方向をx軸正方向と定め、x軸正方向及びz軸正方向とともに右手系の直交座標系を構成するようにy軸正方向を定めている。
【0029】
研磨具112は、フェルトや綿などを用いて構成されたディスク状の研磨材である。本実施形態において、研磨具112を平面視した場合、研磨具112の輪郭は、円形状である。研磨具112を構成する材料や、その粗さなどは、限定されるものではなく、被研磨面を構成する材料(例えば塗膜)に応じて適宜選択することができる。研磨具112は、スピンドル軸1111の先端に、その中心と、スピンドル軸1111の中心軸とがほぼ一致するように固定されている。
【0030】
研磨機11は、スピンドル軸1111を回転させることによって研磨具112を回転させる。スピンドル軸1111を回転させながら研磨具112の研磨面をボディパネルPに押しつけることによって、研磨機11は、ボディパネルPを研磨する。
【0031】
研磨機11の本体111は、後述する制御部15が生成する制御信号SC1を取得し、制御信号SC1に基づいてモータを制御しスピンドル軸1111を回転させる。すなわち、研磨具112の回転速度は、制御信号SC1により制御されている。
【0032】
<センサ>
センサ12は、多関節型ロボット13の先端部を構成する第3アーム136の側面と、研磨機11との間に介在するように設けられている。
【0033】
本実施形態において、センサ12は、6軸力覚センサである。したがって、スピンドル軸1111が軸回りに回転した状態で研磨具112がボディパネルPに押しつけられた場合に、(1)ボディパネルPから研磨機11に作用する並進力Fのx軸成分F、y軸成分F、及びz軸成分Fと、(2)ボディパネルPから研磨機11に作用するモーメントMのx軸成分M、y軸成分M、及びz軸成分Mと、を検出する。そのうえで、センサ12は、x軸成分F、y軸成分F、及びz軸成分Fの各々を示す第1の力情報、第2の力情報、及び第3の力情報と、x軸成分M、y軸成分M、及びz軸成分Mの各々を示す第1のモーメント情報、第2のモーメント情報、及び第3のモーメント情報とを後述する制御部15に出力する。なお、以下において、x軸成分F、y軸成分F、及びz軸成分Fと、x軸成分M、y軸成分M、及びz軸成分Mとをまとめてセンサ情報SSと称する。
【0034】
z軸成分Fは、ボディパネルPから研磨機11に作用する垂直抗力の一例であり、研磨機11をボディパネルPに押しつける押付加重と同義である。したがって、z軸成分Fが予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御することによって、押付加重をほぼ一定に保つことができる。また、第3の力情報は、垂直抗力情報の一例である。
【0035】
z軸成分Mは、スピンドル軸1111の軸回りに作用するモーメントの一例であり、ボディパネルPと研磨機11との間に生じる摩擦抵抗を評価する指標として用いることができる。研磨機11を用いてボディパネルPに研磨を施す場合、ボディパネルPに研磨を施すにしたがって、z軸成分Mは、低下していく。したがって、研磨中にz軸成分Mをモニタしておき、z軸成分Mが予め定められた閾値以下である場合に研磨を終了することによって、ボディパネルPの状態に応じた研磨度合いの調整が可能になる。また、第3のモーメント情報は、スピンドル軸1111の軸回りに作用するモーメントを示すモーメント情報の一例である。
【0036】
x軸成分F及びy軸成分Fの各々は、ボディパネルPに研磨機11を押付ながら、研磨機11をボディパネルPの表面上を走査している場合において、ボディパネルPの表面上に凸状の障害物(例えばドアノブなど)が存在する場合に大きくなる。x軸成分F及びy軸成分Fの各々が予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御することによって、凸状の障害物を避けながら研磨機11を走査することができる。
【0037】
x軸成分M、y軸成分Mの各々は、ボディパネルPに研磨機11を押付ながら、研磨機11をボディパネルPの表面上を走査している場合において、ボディパネルPの表面の傾斜が変化した場合に大きくなる。x軸成分M、y軸成分Mの各々が予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御することによって、ボディパネルPに倣いながら研磨機11を走査することができる。また、x軸成分M、y軸成分Mの各々が予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御することによって、スピンドル軸1111の中心軸(図1の(b)に示したz軸)を、ボディパネルPの法線方向にほぼ一致させながら研磨機11を走査することができる。
【0038】
なお、本発明の一実施形態において、センサ12は、少なくとも、z軸成分Fを示す第3の力情報と、z軸成分Mを示す第3のモーメント情報とを出力する2軸の力覚センサであればよい。
【0039】
<カメラ>
カメラ14は、撮影した画像を示す情報を出力するデジタルカメラである。本実施形態において、カメラ14は、自動研磨システム10が自動研磨を実施する研磨スペースに入庫した自動車AMを含む画像を撮影し、当該画像を示す画像情報SIを出力し、後述する制御部15に供給する。
【0040】
<制御部>
制御部15は、自動研磨システム10の動作を制御するための構成である。制御部15は、研磨機11が生成したセンサ情報SSを取得し、センサ情報SSに含まれる、第3の力情報が示すz軸成分F、及び、第3のモーメント情報が示すz軸成分Mに応じて、多関節型ロボット13を制御する。以下では、制御部15を構成する各機能ブロックについて、図2及び図3を参照して説明する。図2は、制御部15のブロック図である。図3の(a)は、自動研磨システム10が研磨するボディパネルPの平面図であって、スピンドル軸1111の軌跡及び各研磨領域RPi(iは、1≦i≦nの自然数、nは、任意の正の整数)を示す被研磨面の平面図である。図3の(b)は、自動研磨システム10の変形例が研磨するボディパネルPの平面図であって、スピンドル軸1111の軌跡及び研磨領域RP1~RP7を示す被研磨面の平面図である。
【0041】
図2に示すように、画像識別部151、閾値設定部152、研磨機制御部153、ロボット制御部154、及び閾値判定部155を備えている。
【0042】
(画像識別部)
画像識別部151は、カメラ14から画像情報SIを取得する。画像識別部151は、画像情報SIが示す画像に含まれる自動車AMのメーカー、車種名、及びボディーカラーを識別し、識別した自動車AMのメーカー、車種名、及びボディーカラーを示す自動車情報を生成する。画像識別部151は、自動車情報を閾値設定部152に出力する。
【0043】
(閾値設定部)
閾値設定部152は、画像識別部151から自動車情報を取得する。閾値設定部152は、自動車情報が示す自動車AMのメーカー、車種、及びボディーカラーに応じてz軸成分Mの閾値を設定する。本実施形態において、閾値設定部152は、メーカー、車種名、及びボディーカラーにより特定される1種類の自動車に対して、その自動車に固有の閾値を対応付けたルックアップテーブル(LUT)を参照し、そのLUTに基づき自動車AMの閾値を設定する。閾値設定部152は、自動車AMの閾値を示す閾値情報を生成し、閾値判定部155に出力する。
【0044】
なお、LUTは、メーカー、車種名、及びボディーカラーのうち少なくとも何れかにより特定される1種類の自動車に対して、その自動車に固有の閾値を対応付けるように構成されていてもよい。例えば、ボディーカラーごとに固有の閾値を対応付けるようにLUTが構成されている場合、閾値設定部152は、自動車AMのボディーカラーに応じて閾値を設定することになる。また、自動車ごとに閾値を設定する必要がない場合、閾値を予め設定しておき、閾値設定部152を省略することもできる。
【0045】
なお、閾値の設定には、機械学習により構築された学習済モデルを用いてもよい。この場合、例えば、自動車AMのメーカー、車種、及びボディーカラーを入力とし、自動車AMに適した閾値を出力する学習済モデルを利用することができる。また、これらの入力に加えて、或いは、これらの入力に代えて、この学習モデルに、自動車AMの塗装の状態(例えば、塗膜の表面粗さや光沢指数や塗膜の厚みなど)を入力する構成を採用してもよい。また、自動車AMを被写体として含む画像(画像情報SIが示す画像)を入力とし、自動車AMに適した閾値を出力する学習済モデルを用いてもよい。この場合、自動車AMのメーカー、車種、ボディーカラー、塗装の状態を考慮したうえで、最適な閾値を設定することが可能になる。この場合、画像識別部151におけるメーカー、車種、ボディーカラーの識別は省略することができる。
【0046】
なお、z軸成分Mは、研磨具112の研磨面とボディパネルPの研磨領域RPiとの間に生じる摩擦抵抗と相関がある。したがって、z軸成分Mは、z軸成分Fを一定として研磨領域RPiを研磨する場合であっても、研磨具112の研磨面の摩耗度合いに応じて変化する場合がある。自動研磨システム10においては、ボディパネルPの研磨を始める前に参照用表面を用いて研磨具112の研磨面の摩耗度合いを評価することができる。参照用表面は、表面粗さ(平滑性を表す指標)や光沢指数(例えば、光沢度、曇り度、写像性、BRDF(Bidirectional Reflectance Distribution Function)、など)が予め定められた状態に仕上げられている表面であって、自動車のボディパネルの表面を模した表面である。実際に研磨領域RPiを研磨するときと同じ条件でスピンドル軸1111を回転させ、z軸成分Fが予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御した状態で、z軸成分Mをモニターすることによって、研磨具112の研磨面の摩耗度合いを評価することができる。研磨面の摩耗度合いの評価を実施した場合、その評価結果に応じて、閾値設定部152は、LUTに基づき設定した自動車AMの閾値を補正するように構成されていてもよい。この構成によれば、研磨具112の研磨面の摩耗度合いが異なる場合であっても、自動研磨システム10が研磨を実施したあとのボディパネルPの仕上がりに生じ得るばらつきを低減することができる。
【0047】
(研磨機制御部)
研磨機制御部153は、研磨機11を制御する制御信号SC1を生成し、研磨機11へ出力する。制御信号SC1は、研磨機11のモータの電源をオン/オフするための制御信号や、モータの回転数(すなわちスピンドル軸1111の回転数)を制御するための制御信号を含む。
【0048】
(ロボット制御部)
ロボット制御部154は、多関節型ロボット13を制御する制御信号SC2を生成し、多関節型ロボット13へ出力する。制御信号SC2を取得した多関節型ロボット13は、制御信号SC2にしたがって第1関節131、第2関節133、及び第3関節135を動かす。その結果、多関節型ロボット13は、研磨機11のスピンドル軸1111のボディパネルPにおける位置と、z軸成分F(すなわち研磨機11をボディパネルPに押しつける押付加重)とを任意に制御することができる。なお、研磨機11のスピンドル軸1111のボディパネルPにおける位置とは、スピンドル軸1111の中心軸をボディパネルPの表面上に投影することによって得られる位置を意味する。また、以下において、スピンドル軸1111のボディパネルPにおける位置のことを、単に、スピンドル軸1111の位置とも称する。
【0049】
ロボット制御部154は、研磨機11がボディパネルPのうち予め定められた領域である研磨領域RPi(iは、1≦i≦nの自然数、nは、任意の正の整数)を研磨している期間中、研磨機11からz軸成分Fを取得する。そのうえで、ロボット制御部154は、z軸成分Fが予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御する。その結果、研磨の期間中において、押付加重がほぼ一定に保たれる。
【0050】
図3の(a)に示す例において、ロボット制御部154は、まず、スピンドル軸1111の位置が研磨の始点である点P1と一致するように多関節型ロボット13を制御する。点P1は、研磨領域RP1の中心である。また、研磨領域RP1の半径は、研磨具112の半径とほぼ同じである。この点について、各研磨領域RPi及び各点Piの各々は、それぞれ、研磨領域RP1及び点P1と同じである。
【0051】
ロボット制御部154は、後述する閾値判定部155から研磨が完了した旨を示す研磨完了情報を取得するまで、スピンドル軸1111の位置を点P1に固定しておく。
【0052】
ロボット制御部154は、閾値判定部155から研磨完了信号を取得すると、スピンドル軸1111の位置を点P1から点P2へ移動させる。その結果、研磨機11は、研磨領域RP2を研磨する。
【0053】
以上のように、ロボット制御部154は、研磨機11がボディパネルPを研磨している期間中、予め定められた位置(図3の(a)においては、点P1~P7)にスピンドル軸1111を移動させる行程と、スピンドル軸1111を予め定められた位置(点P1~P7)の各々に固定する工程とを、iが1以上n以下であるかぎり繰り返す。
【0054】
なお、ロボット制御部154は、研磨機11がボディパネルPを研磨している期間中、スピンドル軸1111の位置が各研磨領域RPiにおいて周期的な軌跡を描くように多関節型ロボット13を制御するように構成されていてもよい(図3の(b)参照)。図3の(b)に示す例において、ロボット制御部154は、スピンドル軸1111の中心軸が「∞」の軌跡を描くように多関節型ロボット13を制御する。
【0055】
(閾値判定部)
閾値判定部155は、研磨機11がボディパネルPのうち予め定められた領域である研磨領域RPiを研磨している期間中、研磨機11からz軸成分Mを取得する。また、閾値判定部155は、閾値設定部152から自動車AMの閾値を示す閾値情報を取得する。そのうえで、閾値判定部155は、z軸成分Mと閾値情報が示す閾値とを比較し、z軸成分Mが当該閾値以下である場合に、研磨領域RPiの研磨が完了したと判定する。このとき、閾値判定部155は、研磨領域RPiの研磨が完了した旨を示す研磨完了信号をロボット制御部154へ出力する。
【0056】
閾値判定部155は、この工程をiが1以上n以下であるかぎり繰り返す。
【0057】
なお、スピンドル軸1111の位置が各研磨領域RPiにおいて周期的な軌跡を描くようにロボット制御部154が構成されている場合(図3の(b)参照)、閾値判定部155は、z軸成分Mの1周期における最大値が閾値以下である場合に、研磨領域RPiの研磨が完了したと判定すればよい。
【0058】
<自動研磨方法>
自動研磨システム10において、制御部15が実施する自動研磨方法M15について、図4を参照して説明する。図4は、自動研磨方法M15のフローチャートである。
【0059】
図4に示すように、自動研磨方法M15は、画像識別工程S151、閾値設定工程S152、研磨機を始動する工程S153a、ロボット制御工程S154、閾値判定工程S155、及び研磨機を停止させる工程S153bを含んでいる。
【0060】
画像識別工程S151は、図2に示す画像識別部151が実施する工程である。画像識別工程S151は、画像情報SIが示す画像に含まれる自動車AMのメーカー、車種名、及びボディーカラーを識別し、識別した自動車AMのメーカー、車種名、及びボディーカラーを示す自動車情報を生成する。
【0061】
閾値設定工程S152は、図2に示す閾値設定部152が実施する工程である。閾値設定工程S152は、自動車情報が示す自動車AMのメーカー、車種名、及びボディーカラーに応じてz軸成分Mの閾値を設定する。
【0062】
研磨機を始動する工程S153a及び研磨機を停止させる工程S153bは、図2に示す研磨機制御部153が実施する工程である。
【0063】
ロボット制御工程S154は、図2に示すロボット制御部154が実施する工程である。ロボット制御工程S154は、研磨機11がボディパネルPのうち予め定められた領域である研磨領域RPiを研磨している期間中、研磨機11からz軸成分Fを取得する。そのうえで、ロボット制御部154は、z軸成分Fが予め定められた範囲内に収まるように多関節型ロボット13を制御する。
【0064】
また、ロボット制御工程S154は、スピンドル軸1111の位置が研磨の始点である点P1に移動させる。そのうえで、ロボット制御部154は、研磨領域RP1の研磨が完了するまで、スピンドル軸1111の位置を点P1に固定しておく。
【0065】
閾値判定工程S155は、図2に示す閾値判定部155が実施する工程である。閾値判定工程S155は、研磨機11が研磨領域RP1を研磨している期間中、z軸成分Mと閾値情報が示す閾値とを比較し、z軸成分Mが当該閾値以下である場合に、研磨領域RPiの研磨が完了したと判定する。
【0066】
自動研磨方法M15においては、iが1以上n以下であるかぎり、ロボット制御工程S154と閾値判定工程S155とを順番に繰り返す。また、iがnを上回った場合、研磨機を停止させる工程S153bを実施し、自動研磨方法M15は、終了する。
【0067】
(制御部のソフトウェアによる実現例)
制御部15の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、制御部15の各機能は、例えば、ソフトウェアであるプログラムPの命令を実行するコンピュータによって実現される。
【0068】
このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図5に示す。コンピュータCは、図5に示すように、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを制御部15として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、このプログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、制御部15の各機能を実現する。
【0069】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0070】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウスなどの入力機器、及び/又は、ディスプレイやプリンタなどの出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0071】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0072】
(まとめ)
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る自動研磨システムは、(1)多関節型ロボットと、(2)前記多関節型ロボットの先端部に設けられた研磨機であって、軸回りに回転するスピンドル軸と、当該スピンドル軸の先端に固定された研磨具とを含む研磨機と、(3)前記先端部と前記研磨機との間に介在するセンサであって、被研磨面から前記研磨機に作用する垂直抗力を示す垂直抗力情報、及び、前記スピンドル軸の軸回りに作用するモーメントを示すモーメント情報を出力するセンサとを含む自動研磨装置と、前記垂直抗力情報及び前記モーメント情報を取得し、前記垂直抗力及び前記モーメントに応じて前記多関節型ロボットを制御する制御部と、を備えている。
【0073】
被研磨面に対して研磨機を一定の加重で押しつけた場合(すなわち、被研磨面からの垂直抗力が一定である場合)、被研磨面の平滑性が高ければ高いほど被研磨面と研磨具との間に生じる摩擦抵抗が小さくなるため、スピンドル軸の軸回りに作用するモーメントは小さくなる。
【0074】
上記の構成によれば、センサが垂直抗力に加えてスピンドル軸の軸回りに作用するモーメントを検出することができるので、研磨中における被研磨面の平滑性を評価する指標としてこのモーメントを用いることができる。したがって、第1の態様に係る自動研磨システムは、被研磨面の状態に応じて、当該被研磨面に施す研磨の度合いを調整することができる。なお、被研磨面の例としては、移動体のボディの表面が挙げられる。
【0075】
また、本発明の第2の態様に係る自動研磨システムは、上述した第1の態様に係る自動研磨システムの構成に加えて、前記制御部は、前記研磨機が前記被研磨面のうち予め定められた領域である研磨領域を研磨している期間中、前記垂直抗力が予め定められた範囲内に収まるように前記多関節型ロボットを制御するロボット制御部と、前記モーメントが予め定められた閾値以下である場合に、前記研磨領域の研磨が完了したと判定する閾値判定部と、を備えている、構成が採用されている。
【0076】
上記の構成によれば、垂直抗力が予め定められた範囲内に収まっている状態でモーメントをモニターしつづけ、モーメントが閾値以下になった場合に研磨領域の研磨が完了したと判定することができる。したがって、第2の態様に係る自動研磨システムは、前記被研磨面に施す研磨の度合いを確実に調整することができる。
【0077】
また、本発明の第3の態様に係る自動研磨システムは、上述した第2の態様に係る自動研磨システムの構成に加えて、前記被研磨面は、自動車のボディを覆う塗膜の表面であり、当該自動車を含む画像を示す画像情報を出力するカメラを更に備え、前記制御部は、前記画像情報が示す画像に含まれる自動車に応じて前記閾値を設定する閾値設定部を更に備えている、構成が採用されている。
【0078】
自動車のボディの塗膜を構成する塗料は、自動車のメーカー、車種、及び色に応じて様々である。また、塗膜と研磨具との間に生じる摩擦抵抗の大小は、塗膜を構成する塗料に依存して変化し得る。したがって、塗膜表面に施す研磨の度合いを調整するために用いる閾値は、研磨する自動車のメーカー、車種、及び色に応じて設定されることが好ましい。上記の構成によれば、閾値を研磨する自動車のメーカー、車種、及び色に応じて自動的に設定することができる。
【0079】
また、本発明の第4の態様に係る自動研磨システムは、上述した第2の態様又は第3の態様に係る自動研磨システムの構成に加えて、前記ロボット制御部は、前記研磨機が前記研磨領域を研磨している期間中、前記スピンドル軸の前記被研磨面における位置が、前記予め定められた領域である研磨領域内において周期的な軌跡を描くように前記多関節型ロボットを制御し、前記閾値判定部は、前記モーメントの1周期における最大値が前記閾値以下である場合に、前記研磨領域の研磨が完了したと判定する、構成が採用されている。
【0080】
上記の構成によれば、研磨機が被研磨面のうち予め定められた領域を研磨している期間中にスピンドル軸が周期的な軌跡を描くように移動し続けるので、被研磨面に残り得る研磨痕を減らすことができる。
【0081】
また、本発明の第5の態様に係る自動研磨システムは、上述した第1の態様~第4の態様に何れか一態様に係る自動研磨システムの構成に加えて、前記センサは、6軸力覚センサであり、前記制御部は、前記被研磨面から前記研磨機に作用する並進力であって、前記垂直抗力を含む並進力と、前記被研磨面から前記研磨機に作用するモーメントであって、前記スピンドル軸の軸回りに作用するモーメントを含むモーメントとに応じて、前記研磨具が前記被研磨面に倣うように前記多関節型ロボットを制御する、構成が採用されている。
【0082】
上記の構成によれば、被研磨面の形状に倣いながら当該被研磨面を自動で研磨するシステムを簡易な構成を用いて実現することができる。
【0083】
また、本発明の第6の態様に係る自動研磨システムは、上述した第1の態様~第5の態様に何れか一態様に係る自動研磨システムの構成に加えて、前記自動研磨装置を複数台備えている、構成が採用されている。
【0084】
上記の構成によれば、複数の自動研磨装置を用いて並行して被研磨面を研磨することができるので、研磨の所要時間を短縮することができる。
【0085】
上記の課題を解決するために、本発明の第7の態様に係る自動研磨装置は、(1)多関節型ロボットと、(2)前記多関節型ロボットの先端部に設けられた研磨機であって、軸回りに回転するスピンドル軸と、当該スピンドル軸の先端に固定された研磨具とを含む研磨機と、(3)前記先端部と前記研磨機との間に介在するセンサであって、被研磨面から前記研磨機に作用する垂直抗力を示す垂直抗力情報、及び、前記スピンドル軸におけるモーメントを示すモーメント情報を出力するセンサと、を備えている。
【0086】
上記の構成によれば、第1の態様に係る自動研磨システムと同様の効果を奏する。
【0087】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10 自動研磨システム
11 研磨機
111 本体
1111 スピンドル軸
112 研磨具
12 センサ
13 多関節型ロボット
131 第1関節
132 第1アーム
133 第2関節
134 第2アーム
135 第3関節
136 第3アーム(多関節型ロボットの先端部)
14 カメラ
15 制御部
151 画像識別部
152 閾値設定部
153 研磨機制御部
154 ロボット制御部
155 閾値判定部
図1
図2
図3
図4
図5