(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20241001BHJP
【FI】
H01R13/6581
(21)【出願番号】P 2020188468
(22)【出願日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】横谷 晃一
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/186338(WO,A1)
【文献】特開2015-122272(JP,A)
【文献】特開2003-077595(JP,A)
【文献】特開平08-148218(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080229(WO,A1)
【文献】特開2015-005422(JP,A)
【文献】特開2018-014165(JP,A)
【文献】特開2020-123445(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072334(WO,A1)
【文献】特開2016-025729(JP,A)
【文献】特表2018-521455(JP,A)
【文献】特開2015-076380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に設けられた相手端子に電気的に接続されるとともに並列する複数の端子と、前記複数の端子を保持する樹脂製のハウジングと、前記ハウジングを覆うとともに前記機器のケースに固定される金属製のシールドシェルと、前記ハウジングから引き出される電線と、を備えるコネクタであって、
前記ハウジングは、
前記複数の端子が露出する開口を有する筒状部と、
前記筒状部から前記筒状部の外周側に突出する突起と、を有し、
前記シールドシェルは、
前記筒状部の外周を取り囲む囲繞部と、
前記囲繞部のうち前記突起に対向する部分に設けられ、前記突起に係合する凹部と、
前記シールドシェルと前記ケースとの固定に用いられるボルトが挿入される貫通孔を有し、前記ケースに固定される固定部と、を有しており、
前記電線の延びる方向と、前記ハウジングと前記シールドシェルとの取り付け方向は、直交して
おり、
前記端子の厚さ方向と、前記ハウジングと前記シールドシェルとの取り付け方向は、一致している、
コネクタ。
【請求項2】
前記突起を第1突起とするとき、
前記ハウジングは、前記筒状部から前記筒状部の外周側に突出するとともに前記筒状部の軸線方向に延びる第2突起を有している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記囲繞部は、前記複数の端子が並ぶ並び方向に延びており、
前記固定部は、前記囲繞部の前記並び方向における両側に設けられている、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記筒状部から前記囲繞部に向かって張り出すフランジを有し、
前記囲繞部は、前記筒状部の軸線方向において前記ケースとは反対側から前記フランジを覆っている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記突起は、前記フランジに連結されるとともに前記フランジの外縁まで延びている、
請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インバータなどの機器に取り付けられるコネクタが開示されている。特許文献1に記載のコネクタは、複数の端子付き電線と、複数の端子付き電線を保持する樹脂製のハウジングと、ハウジングを覆うとともに機器に固定される金属製のシールドシェルとを備えている。
【0003】
ハウジングは、複数の端子が露出する開口を有する筒状部と、筒状部の外周壁から外側に突出する電線保持部と、筒状部の外周壁のうち電線保持部が設けられている区間を除く部分から外側に張り出すフランジとを有している。
【0004】
筒状部の開口には、機器に設けられた端子固定部が挿入される。端子と端子固定部とがボルト締結されることによって、コネクタと機器とが電気的に接続されている。
シールドシェルは、筒状部の外周を取り囲む囲繞部と、囲繞部から突出するとともに機器に固定される固定部とを有している。
【0005】
囲繞部には、ハウジングのフランジに向かって突出する凸部が設けられている。凸部がフランジに接触することで、端子付き電線に負荷が加わった場合であっても、シールドシェルに対してハウジングが傾くことが抑制される。
【0006】
固定部には、ボルトが挿入される貫通孔が設けられている。同貫通孔に挿入されたボルトが機器に設けられたねじ孔にねじ込まれることによって、シールドシェルが機器に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、シールドシェルを機器に固定する際、作業者は、固定部の貫通孔を機器のねじ孔に対して目視にて位置合わせする必要がある。こうした位置合わせ作業は、シールドシェルの取り付け時における作業性を低下させるおそれがある。
【0009】
本開示の目的は、シールドシェルの取り付け時における作業性の低下を抑制できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のコネクタは、機器に設けられた相手端子に電気的に接続されるとともに並列する複数の端子と、前記複数の端子を保持する樹脂製のハウジングと、前記ハウジングを覆うとともに前記機器のケースに固定される金属製のシールドシェルと、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、前記複数の端子が露出する開口を有する筒状部と、前記筒状部から前記筒状部の外周側に突出する突起と、を有し、前記シールドシェルは、前記筒状部の外周を取り囲む囲繞部と、前記囲繞部のうち前記突起に対向する部分に設けられ、前記突起に係合する凹部と、前記シールドシェルと前記ケースとの固定に用いられるボルトが挿入される貫通孔を有し、前記ケースに固定される固定部と、を有している。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、シールドシェルの取り付け時における作業性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のコネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、機器に設けられた相手端子に電気的に接続されるとともに並列する複数の端子と、前記複数の端子を保持する樹脂製のハウジングと、前記ハウジングを覆うとともに前記機器のケースに固定される金属製のシールドシェルと、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、前記複数の端子が露出する開口を有する筒状部と、前記筒状部から前記筒状部の外周側に突出する突起と、を有し、前記シールドシェルは、前記筒状部の外周を取り囲む囲繞部と、前記囲繞部のうち前記突起に対向する部分に設けられ、前記突起に係合する凹部と、前記シールドシェルと前記ケースとの固定に用いられるボルトが挿入される貫通孔を有し、前記ケースに固定される固定部と、を有している。
【0014】
同構成によれば、シールドシェルの凹部とハウジングの突起とが係合することで、シールドシェルがハウジングに対して位置決めされる。これにより、シールドシェルの固定部が機器のケースに対して位置決めされる。このため、固定部の貫通孔にボルトを挿入してシールドシェルをケースに固定する作業が容易となる。したがって、シールドシェルの取り付け時における作業性の低下を抑制できる。
【0015】
[2]前記突起を第1突起とするとき、前記ハウジングは、前記筒状部から前記筒状部の外周側に突出するとともに前記筒状部の軸線方向に延びる第2突起を有していることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、第2突起が筒状部の軸線方向に延びるため、筒状部の剛性が向上する。これにより、例えば、ひけなどのハウジングにおける成形不良の発生を抑制できるため、筒状部の開口の寸法精度を高めることができる。
【0017】
[3]前記囲繞部は、前記複数の端子が並ぶ並び方向に延びており、前記固定部は、前記囲繞部の前記並び方向における両側に設けられていることが好ましい。
同構成によれば、固定部が囲繞部の並び方向における両側に設けられている。このため、シールドシェルは、囲繞部が延びる方向の両側においてケースに固定される。これにより、固定部同士の距離を確保しやすくなる。したがって、シールドシェルをケースに安定して固定することができる。
【0018】
[4]前記ハウジングは、前記筒状部から前記囲繞部に向かって張り出すフランジを有し、前記囲繞部は、前記筒状部の軸線方向において前記ケースとは反対側から前記フランジを覆っていることが好ましい。
【0019】
同構成によれば、囲繞部によって、筒状部の軸線方向においてケースとは反対側からフランジが覆われる。これにより、上記軸線方向において、シールドシェルをハウジングに対して位置決めしやすくなる。したがって、シールドシェルの取り付け時における作業性の低下を一層抑制できる。
【0020】
[5]前記突起は、前記フランジに連結されるとともに前記フランジの外縁まで延びていることが好ましい。
同構成によれば、突起によってフランジの強度を向上させることができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「直交」は厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
【0022】
(コネクタ10の構成)
図1及び
図2に示すように、コネクタ10は、例えば、モータやインバータなどの車両用の機器に電気的に接続されるものである。コネクタ10は、開口101を有する機器のケース100に取り付けられている。
【0023】
コネクタ10は、並列する複数の端子20と、複数の端子20を保持するハウジング40と、ハウジング40を覆うシールドシェル50とを備えている。コネクタ10は、例えば、3つの端子20を備えている。端子20には、電線30が電気的に接続されている。電線30は、ハウジング40から引き出されている。
【0024】
以降において、複数の端子20が並ぶ並び方向をX軸方向と称し、ハウジング40から引き出された電線30が延びる方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向との双方に直交する方向をZ軸方向と称する。X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とは互いに直交している。
【0025】
(端子20の構成)
図3に示すように、端子20は、電線接続部21と端子接続部22とを有している。端子20は、電線接続部21と端子接続部22とが一体に形成された単一部品である。端子20は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの金属材料により形成されている。
【0026】
電線接続部21には、電線30が電気的に接続されている。ここで、電線30は、芯線31と、芯線31の外周を被覆する絶縁被覆32とを有している。芯線31は、電線30の端部において絶縁被覆32から露出している。電線接続部21には、絶縁被覆32から露出した芯線31が電気的に接続されている。
【0027】
端子接続部22は、例えば、板状をなしている。端子接続部22は、電線接続部21からY軸方向に延びている。端子接続部22には、端子接続部22をZ軸方向に貫通する挿入孔23が設けられている。端子接続部22は、挿入孔23に挿入されたボルト120によって、ケース100の開口101の内部に設けられた金属製の相手端子110に電気的に接続されている。
【0028】
(ハウジング40の構成)
図1に示すように、ハウジング40は、複数の端子20を保持する保持部41と、筒状をなす筒状部42と、筒状部42から筒状部42の外周側に向かって張り出すフランジ45とを有している。保持部41、筒状部42、及びフランジ45は一体に設けられている。ハウジング40は、例えば、樹脂材料により形成されている。
【0029】
図3に示すように、保持部41は、Y軸方向において筒状部42から筒状部42の外周側に突出している。保持部41は、端子接続部22と電線30との接続部分を保持している。電線30に接続された複数の端子20と、ハウジング40とはインサート成形によって一体化されている。
【0030】
図1及び
図2に示すように、筒状部42は、X軸方向に延びている。筒状部42は、Z軸方向に貫通する開口43を有している。開口43は、X軸方向に長い長円状をなしている。
【0031】
開口43からは、端子20の各々における端子接続部22が露出している。Z軸方向から視たときに、端子20の挿入孔23の全体は開口43に重なっている。
図1に示すように、筒状部42のZ軸方向における一端部には、ケース100の開口101に挿入される挿入部44が設けられている。挿入部44の外周面には、例えば、ゴムなどの弾性材料からなる環状のシール部材60が設けられている。シール部材60によって、挿入部44とケース100の開口101との間がシールされている。
【0032】
フランジ45は、筒状部42のうち、Z軸方向において挿入部44に隣り合う部分、且つ保持部41を除く部分から張り出している。フランジ45は、後述するシールドシェル50の囲繞部52に向かって張り出している。フランジ45は、保持部41に連結されている。
【0033】
図2に示すように、ハウジング40は、筒状部42から筒状部42の外周側にそれぞれ突出する複数の第1突起46と、複数の第2突起47とを有している。ハウジング40は、3つの第1突起46と、6つの第2突起47とを有している。第1突起46及び第2突起47は、共に板状をなしている。
【0034】
第1突起46は、筒状部42のY軸方向における保持部41とは反対側の端部と、筒状部42のX軸方向における両端部とに設けられている。第1突起46は、フランジ45に連結されている。
【0035】
図1に示すように、第1突起46は、フランジ45の外縁45aまで延びている。第1突起46の筒状部42からの突出量は、フランジ45の筒状部42からの突出量と同一である。
【0036】
Z軸方向における第1突起46の長さは、Z軸方向におけるフランジ45から開口43の縁までの筒状部42の長さよりも小さい。
以下の説明では、筒状部42の周方向を単に周方向と称する。第2突起47は、1つの第1突起46の周方向における両側に1つずつ設けられている。第1突起46の各々と、第2突起47の各々とは、周方向に互いに間隔をおいて設けられている。第2突起47は、フランジ45に連結されている。
【0037】
第2突起47は、フランジ45の張り出し方向における途中の部分まで延びている。したがって、第2突起47の筒状部42からの突出量は、第1突起46の筒状部42からの突出量よりも小さい。
【0038】
第2突起47は、筒状部42の軸線方向、すなわちZ軸方向において開口43の縁まで延びている。したがって、Z軸方向における第2突起47の長さは、Z軸方向におけるフランジ45から開口43の縁までの筒状部42の長さと同一である。第2突起47は、Z軸方向における全体にわたって筒状部42に連結されている。
【0039】
(シールドシェル50の構成)
図1及び
図2に示すように、シールドシェル50は、保持部41の一部を覆うとともに図示しないシールド部材が取り付けられる取付部51と、筒状部42の外周を取り囲む囲繞部52と、ケース100に固定される2つの固定部55とを有している。取付部51、囲繞部52、及び固定部55は一体に設けられている。シールドシェル50は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料により形成されている。
【0040】
取付部51は、保持部41のうち、Z軸方向におけるケース100とは反対側の部分と、X軸方向における両側の部分とを覆っている。
囲繞部52は、X軸方向に延びている。囲繞部52は、筒状部42が挿入される開口53を有している。開口53は、X軸方向に長い長円状をなしている。開口53は、筒状部42の外径よりも大きい。
【0041】
囲繞部52は、筒状部42及びフランジ45の外周を取り囲む周壁52aと、周壁52aから周壁52aの全周にわたって内周側に張り出す頂壁52bとを有している。
図4に示すように、頂壁52bは、筒状部42のうち、フランジ45を挟んで挿入部44とは反対側の部分の外周を取り囲んでいる。頂壁52bは、Z軸方向においてケース100とは反対側からフランジ45の外縁45aを覆っている。すなわち、Z軸方向から視たときに、頂壁52bとフランジ45とは重なっている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、囲繞部52は、第1突起46の突端に係合する3つの凹部54を有している。凹部54の各々は、頂壁52bのうち、第1突起46の突出方向において第1突起46の各々に対向する部分に設けられている。凹部54は、第1突起46の突出方向においてフランジ45の外縁45aよりも外周側まで凹んでいる。なお、頂壁52bと第2突起47との間には、隙間が設けられている。
【0043】
第1突起46に対して凹部54を係合させる作業は、端子20と相手端子110との接続後におけるハウジング40に対して実施することもできるし、端子20と相手端子110との接続前におけるハウジング40に対して実施することもできる。
【0044】
図3に示すように、シールドシェル50がケース100に固定された状態において、囲繞部52の頂壁52bと、第1突起46とは面一となっている。
図1に示すように、固定部55は、囲繞部52のX軸方向における両側に設けられている。固定部55は、頂壁52bからX軸方向に突出している。固定部55は、ボルト130が挿入される貫通孔56を有している。貫通孔56に挿入されたボルト130がケース100に設けられたねじ孔102にねじ込まれることによって、シールドシェル50がケース100に対して固定されている。
【0045】
本実施形態の作用について説明する。
シールドシェル50の凹部54と、ハウジング40の第1突起46とが係合することで、シールドシェル50がハウジング40に対して位置決めされる。これにより、シールドシェル50の固定部55が機器のケース100に対して位置決めされる。
【0046】
本実施形態の効果について説明する。
(1)コネクタ10は、並列する複数の端子20と、複数の端子20を保持する樹脂製のハウジング40と、ハウジング40を覆うとともに機器のケース100に固定される金属製のシールドシェル50とを備える。ハウジング40は、複数の端子20が露出する開口43を有する筒状部42と、筒状部42から筒状部42の外周側に突出する第1突起46とを有する。シールドシェル50は、筒状部42の外周を取り囲む囲繞部52と、囲繞部52のうち第1突起46に対向する部分に設けられ、第1突起46に係合する凹部54と、ボルト130が挿入される貫通孔56を有し、ケース100に固定される固定部55とを有している。
【0047】
こうした構成によれば、上述した作用を奏することから、固定部55の貫通孔56にボルト130を挿入してシールドシェル50をケース100に固定する作業が容易となる。したがって、シールドシェル50の取り付け時における作業性の低下を抑制できる。
【0048】
(2)ハウジング40は、筒状部42から筒状部42の外周側に突出するとともにZ軸方向に延びる第2突起47を有している。
こうした構成によれば、第2突起47がZ軸方向に延びるため、筒状部42の剛性が向上する。これにより、例えば、ひけなどのハウジング40における成形不良の発生を抑制できるため、筒状部42の開口43の寸法精度を高めることができる。
【0049】
(3)囲繞部52は、X軸方向に延びている。固定部55は、囲繞部52のX軸方向における両側に設けられている。
こうした構成によれば、固定部55が囲繞部52のX軸方向における両側に設けられている。このため、シールドシェル50は、囲繞部52が延びる方向の両側においてケース100に固定される。これにより、固定部55同士の距離を確保しやすくなる。したがって、シールドシェル50をケース100に安定して固定することができる。
【0050】
(4)ハウジング40は、筒状部42から囲繞部52に向かって張り出すフランジ45を有する。囲繞部52の頂壁52bは、Z軸方向においてケース100とは反対側からフランジ45を覆っている。
【0051】
こうした構成によれば、囲繞部52の頂壁52bによって、Z軸方向においてケース100とは反対側からフランジ45が覆われる。これにより、Z軸方向において、シールドシェル50をハウジング40に対して位置決めしやすくなる。したがって、シールドシェル50の取り付け時における作業性の低下を一層抑制できる。
【0052】
(5)第1突起46は、フランジ45に連結されるとともにフランジ45の外縁45aまで延びている。
こうした構成によれば、第1突起46によってフランジ45の強度を向上させることができる。
【0053】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
・第1突起46は、フランジ45に連結されていなくてもよい。この場合、第1突起46とフランジ45との間には、Z軸方向において隙間が生じる。
・第1突起46は、フランジ45の外縁45aまで延びるものでなくてもよい。すなわち、第1突起46は、フランジ45の張り出し方向における途中の部分まで延びるものであってもよい。この場合、フランジ45は、第1突起46よりも外周側に突出することとなる。こうした構成であっても、第1突起46によってフランジ45の強度を向上させることができる。
【0055】
・第1突起46は、フランジ45の外縁45aよりも外周側に延びるものであってもよい。こうした構成であっても、囲繞部52の頂壁52bは、Z軸方向においてフランジ45を覆っているため、囲繞部52の開口53に挿入された筒状部42が囲繞部52から抜け出ることが抑制される。これにより、特に、ケース100に取り付けられる前のハウジング40に対して予めシールドシェル50を取り付ける作業において、当該作業を好適に行うことができる。
【0056】
・囲繞部52から頂壁52bを省略することができる。すなわち、囲繞部52は、Z軸方向においてフランジ45を覆うものでなくてもよい。
・ハウジング40からフランジ45を省略することができる。
【0057】
・シールドシェル50は、1つの固定部55を有するものであってもよいし、3つ以上の固定部55を有するものであってもよい。
・固定部55の各々が設けられる位置は適宜変更することができる。固定部55は、例えば、X軸方向における一方にのみ突出するものであってもよいし、Y軸方向において突出するものであってもよい。
【0058】
・第2突起47の数は、適宜変更できる。
・第2突起47は、囲繞部52の頂壁52bに接触するまで突出するものであってもよい。この場合、第1突起46に加えて、第2突起47によってもシールドシェル50とハウジング40との位置決めが行われる。
【0059】
・第2突起47は、Z軸方向において開口43の縁まで延びるものでなくてもよい。すなわち、Z軸方向における第2突起47の長さは、Z軸方向におけるフランジ45から開口43の縁までの筒状部42の長さよりも小さくてもよい。
【0060】
・ハウジング40から第2突起47を省略することができる。
・第1突起46のZ軸方向における長さは、第2突起47のZ軸方向における長さと同一であってもよい。この場合、第1突起46は、囲繞部52の頂壁52bから突出する。
【0061】
・第1突起46の数は、適宜変更できる。
・シールドシェル50から開口53を省略することができる。この場合、シールドシェル50は、ハウジング40の開口43を覆うこととなる。
【0062】
・本開示のコネクタ10は、例えば、機器に設けられた雌端子に挿入される雄端子を備えるコネクタに対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 コネクタ
20 端子
21 電線接続部
22 端子接続部
23 挿入孔
30 電線
31 芯線
32 絶縁被覆
40 ハウジング
41 保持部
42 筒状部
43 開口
44 挿入部
45 フランジ
45a 外縁
46 第1突起
47 第2突起
50 シールドシェル
51 取付部
52 囲繞部
52a 周壁
52b 頂壁
53 開口
54 凹部
55 固定部
56 貫通孔
60 シール部材
100 ケース
101 開口
102 ねじ孔
110 相手端子
120 ボルト
130 ボルト