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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】RFタグ付き包装体
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20241001BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G06K19/077 296
G06K19/077 248
G06K19/077 224
G06K19/077 280
H01Q19/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020191135
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080134
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 哲治
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-021389(JP,A)
【文献】特開2019-017110(JP,A)
【文献】特開2019-133683(JP,A)
【文献】特開2014-080850(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170752(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01Q 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料を少なくとも用いて成形され,内容物を収容していない余白部分に切り欠きを設けた包装体と,前記包装体に貼付されたRFタグラベルを備え,
前記RFタグラベルは,ICチップと接続し,前記切り欠きに収まる大きさの整合回路およびアンテナ素子を有するアンテナを実装したアンテナ基材と,前記アンテナを実装していない前記アンテナ基材の面に積層され前記包装体に貼付するための粘着層と,前記整合回路の配置位置に合わせて前記アンテナ基材と粘着していない前記粘着層のに積層され,前記切り欠きの縁を広げた形状の糊殺し層を備え,
前記糊殺し層により前記切り欠きのすべてが塞がれ,前記アンテナ素子の一部が前記粘着層を少なくとも介して前記包装体の金属材料と重なり合うように前記RFタグラベルを前記包装体に貼付した,
ことを特徴とするRFタグ付き包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線による個体識別で用いられる媒体であるRFタグ(RF: Radio Frequency)に関する。
【背景技術】
【0002】
地方における深刻な人手不足の解消や精算業務の効率化などを目的とし,コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店は,RFタグを利用した自動精算システムの導入を検討している。RFタグとは,無線通信を用いた自動認識技術において,物品や人などに取り付ける情報媒体を意味している。RFタグは,無線タグ,ICタグ,または,RFIDタグなどと称されることもある。
【0003】
RFタグを利用した自動精算システムでは,小売店で販売されている商品それぞれにRFタグを貼付する。そして,顧客が購入する商品(例えば,買い物かごの中にある商品)の代金を精算する際,RFタグに対応したリーダライタにより,顧客が購入する商品に貼付されているRFタグそれぞれから,商品を識別する商品識別データを一括して読み取る。
【0004】
小売店で販売されている商品には,無線通信を阻害する金属材料を用いた包装体に内容物を収めた商品が多数ある。何ら工夫を施さなければ,包装体に用いられている金属材料の影響で,該商品に付されたRFタグの通信性能は悪化する。このため,自動精算システムの導入には,該商品であっても,RFタグの通信性能が悪化しない工夫が必要になる。
【0005】
この工夫に係る発明として,本出願人は特許文献1において,ICチップと接合している整合回路,線状素子およびアンテナ素子を有する構造のアンテナを実装したRFタグラベルを,金属材料を用いて成形された包装体に加工した開口孔と線状素子および整合回路が重なり,アンテナ素子が包装の金属材料と重なり合うように貼付したRFタグ付き包装体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-21389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した通り,特許文献1で開示した包装体では,RFタグラベルを貼付するための開口孔を包装体に加工している。
【0008】
本発明は,RFタグラベルを貼付するための開口孔を加工しなくとも,金属材料を用いた包装体に貼付したRFタグラベルの通信性能が悪化しないRFタグ付き包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する本発明は,金属材料を少なくとも用いて成形され,内容物を収容していない前記包装体の余白部分に切り欠きを設けた包装体にRFタグラベルを貼付したRFタグ付き包装体である。
本発明に係るRFタグラベルは,ICチップと接続し,前記切り欠きに収まる大きさの整合回路およびアンテナ素子を有するアンテナを実装したアンテナ基材と,前記アンテナを実装していない前記アンテナ基材の面に積層され前記包装体に貼付するための粘着層と,前記整合回路の配置位置に合わせて前記アンテナ基材と粘着していない前記粘着層のに積層され,前記切り欠きの縁を広げた形状の糊殺し層を備える。
本発明に係る前記RFタグラベルは,前記糊殺し層により前記切り欠きのすべてが塞がれ,前記アンテナ素子の一部が前記粘着層を少なくとも介して前記包装体の金属材料と重なり合うように前記RFタグラベルを前記包装体に貼付されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るRFタグ付き包装体は,金属材料を用いた様々な包装体であっても自動精算システムに必要な通信性能が得られるように,アンテナのアンテナ素子と包装体の金属材料が静電結合し,包装体の金属材料をアンテナの放射板として利用できるように構成されている。また,本発明に係るRFタグ付き包装体は,RFタグラベルを貼付した反対面においてRFタグラベルの粘着層が切り欠きに露出しないように,粘着層の裏面に糊殺し層が積層されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るRFタグ付き包装体を説明する図。
図2】本実施形態に係る包装体を説明する図。
図3】包装体の成形に用いられるラミネートフィルムの層構成を説明する図。
図4】RFタグ付き包装体の内部構造を説明する図。
図5】包装体に貼付するRFタグラベルを説明する図。
図6】RFタグラベルを貼付した箇所を詳細に説明する図。
図7】RFタグ付き包装体を製造する製造装置を説明する図。
図8】RFタグ付き包装体の製造方法を説明する図。
図9】変形例に係るRFタグラベルを説明する図。
図10】変形例1に係るRFタグ付き包装体を説明する図。
図11】変形例2に係るRFタグ付き包装体を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここから,本発明の好適な実施形態を記載する。なお,以下の記載は本発明の技術的範囲を束縛するものでなく,理解を助けるために記述するものである。また,特に断りのない限り,図面は,本発明の理解を容易にするために描かれた模式的な図である。
【0013】
図1は,本実施形態に係るRFタグ付き包装体1を説明する図である。図2は,本実施形態に係る包装体10を説明する図である。図3は,包装体10の成形に用いられる基材100の層構成を説明する図である。図4は,RFタグ付き包装体1の内部構造を説明する図である。図5は,包装体10に貼付するRFタグラベル2を説明する図である。図6は,RFタグラベル2を貼付した箇所を詳細に説明する図である。
【0014】
図1で図示したように,本実施形態に係るRFタグ付き包装体1は,金属材料100cを用いて成形された包装体10と,包装体10に貼付されたRFタグラベル2から少なくとも構成される。RFタグ付き包装体1を構成する包装体10の形態は,本発明が実施できる限り任意でよいが,本実施形態では,包装体10をラミネート袋の一つであるキャップ付きスパウト袋としている。
【0015】
図1および図2で図示したごとく,キャップ付きスパウト袋の形態である包装体10は,内容物を収容していない余白部分となるシール部11として,キャップ13が付けられたトップシール部11aと両サイドシール部11bを有している。図2で図示したごとく,本実施形態の包装体10において,トップシール部11aには矩形の切り欠き12が設けられている。本実施形態の包装体10において,RFタグラベル2は,トップシール部11aに設けられた切り欠き12を塞ぐように貼付されている。
【0016】
本実施形態に係る包装体10は,金属材料100c(ここでは,アルミ箔)が積層されたラミネートフィルムを基材100として成形されている。図3で図示したように,基材100の層構成は,PET100a(ポリエチレンテレフタラート)/SPE100b(ポリエチレンによるラミネート加工)/金属材料100c(アルミ箔)/SPE100d/LLDPE100e(低密度ポリエチレン)の5層になっている。
【0017】
図4は,図2におけるA-A’断面図である。図4で図示したように,本実施形態に係る包装体10は,5層構成の基材100を二つに折り曲げて三辺をシール加工することで成形されている。本実施形態に係る包装体10において,シール加工していない部分の内部が内容物101を収容する空間になる。
【0018】
上述した通り,本実施形態に係る包装体10では,トップシール部11aに切り欠き12を設けているが,切り欠き12が設ける包装体10の箇所はトップシール部11aに限定されない。切り欠き12を設ける仕様になっている包装体10の場合,包装体10の仕様として存在する切り欠き12を利用することができる。また,切り欠き12を設ける仕様になっていない包装体10の場合,本発明を実施するために包装体10に切り欠き12を設けることができる。
【0019】
図5を参照しながら,包装体10に貼付するRFタグラベル2を説明する。RFタグラベル2が無線通信で利用する周波数帯はUHF帯(例えば,860MHz~960MHz)である。
【0020】
図5(a)では,RFタグラベル2の層構成を図示している。図5(a)で図示したように,本実施形態に係るRFタグラベル2は,表面シート20,第1粘着層21,ICチップ222と接続しているアンテナ22を少なくとも実装したアンテナ基材23,包装体10との粘着に用いる第2粘着層24および糊殺し層25を備える。
【0021】
表面シート20は,RFタグラベル2の表面になるシートである。表面シート20には,ポリエチレンテレフタラート(PET),ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製フィルムに加え,アート紙などを用いることができ,商品の名称や使い方など各種情報を表面シート20の表面に印刷できる。
【0022】
第1粘着層21は,アンテナ22などを実装したアンテナ基材23の面と表面シート20を接着する層になる。第1粘着層21には,アクリル系やゴム系の接着剤または粘着剤を利用できる。
【0023】
アンテナ基材23には,アンテナ22とこれに接続するICチップ222が実装される。アンテナ基材23としては,ポリエチレンテレフタラート(PET),ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製フィルムを利用できる。
【0024】
第2粘着層24は,アンテナ22などを実装していないアンテナ基材23の面と包装体10を粘着する層になる。第2粘着層24には,アクリル系やゴム系の粘着剤を利用できる。
【0025】
第2粘着層24の裏面に積層した糊殺し層25は,RFタグラベル2を包装体10に貼付した際,包装体10に設けられた切り欠き12と重なる第2粘着層24の部分の粘着力を消すための層である。糊殺し層25は,第2粘着層24の粘着力を消す特殊な加工で形成される。糊殺しの方法として,ニスなどの粘着力を消すインキを塗工する方法,粘着力を消すためのキルフィルムを粘着する方法,糊殺しする箇所に粘着剤を塗工しない方法などが知られているが,本発明において,糊殺しの方法は任意でよい。
【0026】
図5(b)では,アンテナ基材23に実装するアンテナ22を図示している。図5(b)で図示したように,アンテナ基材23に実装するアンテナ22は,半波長ダイポールアンテナになっている。具体的に,アンテナ22は,ICチップ222を接続させた整合回路220の両側に2つの帯状のアンテナ素子221を接続させた構成になっている。整合回路220は,ループ状になっており,ICチップ222の入力端子間に存在する容量を打ち消すインダクタンスを有している。
【0027】
図5(c)は,切り欠き12と糊殺し層25の相対関係を説明している。図5(c)において,糊殺し層25は破線で,切り欠き12は点線で図示している。図5(c)などで図示したように,アンテナ22の整合回路220は,包装体10に設けられた切り欠き12の中にすべて収まる大きさになっている。糊殺し層25は,整合回路220の配置位置に合わせて第2粘着層24の裏面に積層されている。その大きさは,包装体10に加工した切り欠き12と重なる第2粘着層24の部分の粘着力を消すために,切り欠き12が少なくとも収まる大きさになっている。具体的に,糊殺し層25の形状は,糊殺し層25の縁を広げた形状になっている。
【0028】
図6を参照しながら,RFタグラベル2を貼付した箇所を詳細に説明する。RFタグラベル2を貼付する包装体10のトップシール部11aに設けられた切り欠き12の箇所では,金属材料100cを含む包装体10の基材100が除去されている。
【0029】
本実施形態に係るRFタグ付き包装体1において,RFタグラベル2は,糊殺し層25により切り欠き12のすべてが塞がれ,左側のアンテナ素子221の一部が第2粘着層24を少なくとも介して包装体10の金属材料100cと重なり合うように貼付されている。第2粘着層24の裏面に糊殺し層25が設けられていることにより,図6では,糊殺し層25が設けられていない第2粘着層24の箇所と包装体10の間は隙間が空いているように見えるが,実際,第2粘着層24と包装体10は密着している。
【0030】
RFタグラベル2を包装体10に貼付した状態で平面透視した場合,整合回路220は包装体10の切り欠き12の内にすべて収まっている。整合回路220の下側には包装体10の金属材料100cが存在せず,整合回路220は金属材料100cの影響を受けない。よって,整合回路220が有するインダクタンスは大幅に変化しない。
【0031】
整合回路220に対し,RFタグラベル2を包装体10に貼付した状態において,アンテナ素子221の一つの端側は第2粘着層24を介して包装体10の金属材料100cと重なり,一つのアンテナ素子221は包装体10の金属材料100cと静電結合できる状態になる。図6において,アンテナ素子221と金属材料100cは近くないが,アンテナ素子221と金属材料100cの間に存在する第2粘着層24,PET100aおよびSPE100bそれぞれの厚みは薄いため,実際,アンテナ素子221は金属材料100cと静電結合できる。
【0032】
アンテナ素子221が包装体10の金属材料100cと静電結合することで,包装体10の金属材料100cに流れる電波(電流)はアンテナ素子221を介してアンテナ22に伝達され,アンテナ22に流す電波(電流)はアンテナ素子221を介して包装体10の金属材料100cに伝達されるため,RFタグラベル2に実装したアンテナ22の一部として包装体10の金属材料100cは機能する。RFタグラベル2に実装したアンテナ22の一部として包装体10の金属材料100cを機能させることができれば,RFタグラベル2のサイズをコンパクトにしても,RFタグラベル2を包装体10に貼付した状態で,自動精算システムなどに必要な通信性能を得ることができる。
【0033】
また,本実施形態に係るRFタグ付き包装体1では,RFタグラベル2を貼付した反対面においてRFタグラベル2の糊殺し層25が切り欠き12の部分に露出するため,RFタグラベル2を貼付した反対面において切り欠き12の部分は粘着力を有さない。
【0034】
ここから,RFタグ付き包装体1の製造工程について説明する。図7は,RFタグ付き包装体1を製造する製造装置6を説明する図である。図8は,RFタグ付き包装体1の製造方法を説明する図である。
【0035】
図7で図示した如く,RFタグ付き包装体1を製造する製造装置6は,内容物を包装体10に充填する充填機7とインラインで動作する装置である。製造装置6は,充填機7により内容物を充填した包装体10を個別に搬送する包装体搬送機構60と,RFタグラベル2を貼付するラベル貼付機構61と,包装体搬送機構60とラベル貼付機構61それぞれを制御する制御部67を備えている。
【0036】
包装体10を搬送する包装体搬送機構60は,内容物を充填した包装体10を間欠送りする機構になる。RFタグラベル2を包装体10に貼付する際に妨げにならない限り,包装体搬送機構60の形態は任意である。図7では,内容物を充填した包装体10を搬送する包装体搬送機構60をフィンガーコンベアの形態にしている。
【0037】
RFタグラベル2を貼付するラベル貼付機構61は,ロール状に巻かれた帯状の剥離紙63を利用してRFタグラベル2を供給するラベル供給部62と,包装体10に貼付するRFタグラベル2にデータをエンコード(書き込み)するエンコード部64と,RFタグラベル2を包装体10に貼付するラベル貼付部65と,ラベル貼付部65を通過した剥離紙63を巻き取る巻き取り部66を備えている。
【0038】
ラベル供給部62に取り付けられる剥離紙63には,複数のRFタグラベル2が点列状に規則的に並べられている。RFタグラベル2は剥離紙63から剥離可能である。剥離紙63に並べられたRFタグラベル2の表側側がRFタグラベル2の裏面になる。RFタグラベル2の裏面には第2粘着層24の一部と糊殺し層25が露出している。
【0039】
巻き取り部66はモータにより間欠的に回転する。巻き取り部66が間欠的に回転することで,ラベル供給部62からRFタグラベル2が間欠送りで供給される。製造装置6において,ラベル供給部62からRFタグラベル2が間欠送りで供給されると,エンコード部64およびラベル貼付部65それぞれの箇所にRFタグラベル2が配置されるように,剥離紙63のパスは設定されている。
【0040】
エンコード部64は,RFタグラベル2に対応したリーダライタにより実現されている。エンコード部64は,制御部67から送信されたデータをRFタグラベル2のICチップ222にエンコードする処理を行い,エンコード結果を制御部67へ送信する。
【0041】
包装体搬送機構60の間欠送り量などを調整することで,製造装置6のラベル貼付機構61において,RFタグラベル2の貼付位置は,RFタグラベル2を包装体10に貼付すると,糊殺し層25により切り欠き12のすべてが塞がれ,アンテナ素子221の一部が第2粘着層24を少なくとも介して包装体10の金属材料100cと重なり合うように設定されている。ラベル貼付部65は,剥離紙63の側からRFタグラベル2を押圧することで,包装体10に設けられた切り欠き12の箇所に上述した要領でRFタグラベル2を貼付する。
【0042】
制御部67は,包装体搬送機構60およびラベル貼付機構61をそれぞれ制御し,RFタグラベル2を包装体10に貼付する処理を実行する。図8では,RFタグ付き包装体1の製造方法として,制御部67がRFタグラベル2を間欠送りした後に実行する処理を図示している。
【0043】
制御部67は,RFタグラベル2を間欠送りした後に,エンコード部64を作動させてRFタグラベル2をエンコードするエンコード工程(S1)と,ラベル貼付部65を作動させてRFタグラベル2を包装体10に貼付するラベル貼付工程(S2)と,RFタグラベル2を間欠送りする工程(S3)を実行する。
【0044】
エンコード工程(S1)について説明する。エンコード工程(S1)において,制御部67は,まず,RFタグラベル2にエンコードするデータをエンコード部64に送信し,エンコード部64は,制御部67から受信したデータをRFタグラベル2にエンコードする処理を実行する(S10)。エンコード部64がデータをエンコードするRFタグラベル2は,エンコード部64と対向するRFタグラベル2になる。制御部67から受信したデータをRFタグラベル2にエンコードする処理(S10)を実行すると,エンコード部64は,エンコードの成功またはエンコードの失敗を示すエンコード結果を制御部67に送信する(S11)。制御部67は,エンコード対象となったRFタグラベル2がラベル貼付部65で使用されるまで,エンコード部64が送信したエンコード結果を一時的に記憶して(S12),エンコード工程(S1)は終了する。
【0045】
ラベル貼付工程(S2)について説明する。図7を参照すれば,エンコード部64にあったRFタグラベル2は間欠送りされることでラベル貼付部65に到達するため,ラベル貼付工程(S2)において,包装体10に貼付するRFタグラベル2は,前回のエンコード工程(S1)においてエンコード対象となったRFタグラベル2になる
【0046】
そこで,ラベル貼付工程(S2)において,制御部67は,まず,ラベル貼付部65が包装体10に貼付するRFタグラベル2のエンコード結果を確認する(S20)。上述した通り,包装体10に貼付するRFタグラベル2のエンコード結果は,前回のエンコード工程(S1)におけるエンコード結果になる。次に,制御部67は,エンコード結果に基づいて処理を分岐する(S21)。包装体10に貼付するRFタグラベル2のエンコード結果により,エンコードの失敗が示される場合,制御部67は,包装体10にRFタグラベルを貼付することなく,ラベル貼付工程(S2)を終了する。包装体10に貼付するRFタグラベル2のエンコード結果により,エンコードの成功が示される場合,制御部67は,ラベル貼付部65を作動させて,RFタグラベル2を包装体10に貼付する(S22)。次に,制御部67は,包装体搬送機構60を作動させて,RFタグラベル2を貼付した包装体10であるRFタグ付き包装体1を間欠送りして(S23),ラベル貼付工程(S2)を終了する。
【0047】
RFタグラベル2を間欠送りする工程(S3)について説明する。制御部67は,巻き取り部66を作動させて剥離紙63を巻き取ることで,RFタグラベル2を間欠送りする。なお,RFタグラベル2を間欠送りすることで,エンコード工程(S1)の対象となっていない新たなRFタグラベル2がエンコード部64に送られ,エンコード工程(S1)の対象となったRFタグラベル2がラベル貼付部65に送られる。








【0048】
ここから,RFタグ付き包装体1の変形例について説明する。
【0049】
図5を用いて説明したRFタグラベル2は,RFタグラベル2の一例に過ぎない。また,RFタグラベル2に実装するアンテナ22も,RFタグラベル2に実装するアンテナ22の一例にしか過ぎない。
【0050】
図9は,変形例に係るRFタグラベル3を説明する図である。変形例に係るRFタグラベル3の層構成はRFタグラベル2と異なる。変形例に係るRFタグラベル3は,アンテナ31とこれに接合するICチップ313を実装したアンテナ基材30と,アンテナ31などを実装していないアンテナ基材30の面に積層した粘着層32と,切り欠き12が少なくとも収まる大きさになっている糊殺し層33を備える。粘着層32の裏面に糊殺し層33が設けられていることにより,図6と同様に,図9では,糊殺し層33が設けられていない粘着層32の箇所と包装体10の間は隙間が空いているように見えるが,実際,粘着層32と包装体10は密着している。
【0051】
変形例に係るRFタグラベル3に実装するアンテナ31も上述のRFタグラベル2とは異なる。アンテナ31は,ICチップ313を接合させたループ状の整合回路310,一つの線状アンテナ素子312および一つの面状アンテナ素子311を有し,線状アンテナ素子312と面状アンテナ素子311が整合回路310を挟んで対向するように,線状アンテナ素子312および面状アンテナ素子311それぞれを整合回路310と接続させた構造になっている。本実施形態において,導波線路314bを介して線状アンテナ素子312は整合回路310と接続し,導波線路314aを介して面状アンテナ素子311は整合回路310と接続している。
【0052】
図9で図示したように,変形例に係るRFタグラベル3は,線状アンテナ素子312および整合回路310が切り欠き12と重なり,面状アンテナ素子311のすべてが金属材料100cを積層した基材100と重なり合うように貼付される。図9において,面状アンテナ素子311と金属材料100cは近くないが,面状アンテナ素子311と金属材料100cの間に存在する粘着層32,PET100aおよびSPE100bそれぞれの厚みは薄いため,実際,面状アンテナ素子311は金属材料100cと静電結合できる。
【0053】
これまでは,本発明を適用する包装体10をキャップ付きスパウト袋として説明したが,本発明を適用する包装体10はキャップ付きスパウト袋に限定されない。本発明は,キャップ付きスパウト袋以外の様々な包装体10に適用できる。
【0054】
図10は,変形例1に係るRFタグ付き包装体4を説明する図,図11は,変形例2に係るRFタグ付き包装体5を説明する図である。
【0055】
変形例1に係るRFタグ付き包装体4は,アルミ箔を積層した注出口付き袋を包装体40とした変形例である。図10で図示した通り,包装体40の左上端には,内容物を注出するための注出口43が形成されている。注出口43が形成された箇所のシール部41には,注出口43を切断するための切り欠き42a,42bが設けられている。変形例1に係るRFタグ付き包装体4では,切り欠き42aの箇所に実施形態で説明した要領でRFタグラベル2が貼付されている。
【0056】
図11で図示した変形例2に係るRFタグ付き包装体5は,複数の錠剤(タブレット)を収納するPTP包装体を包装体50として形態で,包装体50の台紙にはアルミ箔が積層されている。変形例2に係る包装体50においては,錠剤を収める空間が成形されていない箇所がシール部51となり,シール部51のトップ側に切り欠き52を加工している。変形例2に係るRFタグ付き包装体5では,切り欠き52の箇所に上述した要領で,実施形態で説明した要領でRFタグラベル2を貼付している。
【符号の説明】
【0057】
1 RFタグ付き包装体
10 包装体
11 シール部
12 切り欠き
2 RFタグラベル
22 アンテナ
220 整合回路
221 アンテナ素子
222 ICチップ
23 アンテナ基材
24 第2粘着層
25 糊殺し層
3 変形例に係るRFタグラベル
4 変形例1に係るRFタグ付き包装体
5 変形例2に係るRFタグ付き包装体
6 製造装置
60 包装体搬送機構
61 ラベル貼付機構
64 エンコード部
65 ラベル貼付部
67 制御部
7 充填機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11