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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/14 20060101AFI20241001BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241001BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241001BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65H9/14
G03G21/00 370
G03G15/00 450
B65H7/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020194400
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022083128
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】前田 良太
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-320093(JP,A)
【文献】特開2004-099233(JP,A)
【文献】特開2003-237188(JP,A)
【文献】特開2012-116597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/14
G03G 21/00
G03G 15/00
B65H 7/02-7/14、7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送ローラーと、
前記搬送ローラーによって搬送される前記記録媒体の搬送を一旦停止した後、前記記録媒体の搬送を再開するレジストローラーと、
前記搬送ローラーによって搬送される前記記録媒体を検知するセンサーと、
記録媒体の種類に応じたモードを設定するモード設定部と、
前記モード設定部において設定されるモードに応じた閾値情報を記憶する記憶部と、
前記センサーの検知結果および前記閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態を判定する搬送状態判定部と、
前記搬送状態判定部の判定結果に基づいて前記搬送ローラーおよび前記レジストローラーの駆動を制御する駆動制御部と
を備え、
前記モード設定部は、普通紙モードおよびタブ紙モードのいずれかを設定し、
前記記憶部は、前記閾値情報として、前記普通紙モードにおいて用いられる閾値を示す普通紙モード閾値情報、および、前記タブ紙モードにおいて用いられる閾値を示すタブ紙モード閾値情報を記憶し、
前記搬送状態判定部は、
前記普通紙モードに設定された場合、前記センサーの検知結果および前記普通紙モード閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態が斜行搬送状態およびタブ紙搬送状態のいずれであるかを判定し、
前記タブ紙モードに設定された場合、前記センサーの検知結果および前記タブ紙モード閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態が前記斜行搬送状態および前記タブ紙搬送状態のいずれであるかを判定する、搬送装置。
【請求項2】
前記センサーは、前記搬送ローラーによって搬送される前記記録媒体の端面の異なる領域の通過を検知して前記異なる領域が通過する時間差を取得し、
前記搬送状態判定部は、
前記普通紙モードに設定された場合、前記センサーによって取得された時間差と前記普通紙モードの前記閾値とを比較して、前記記録媒体の搬送状態が前記斜行搬送状態および前記タブ紙搬送状態のいずれであるかを判定し、
前記タブ紙モードに設定された場合、前記センサーによって取得された時間差と前記タブ紙モードの前記閾値とを比較して、前記記録媒体の搬送状態が前記斜行搬送状態および前記タブ紙搬送状態のいずれであるかを判定する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記タブ紙モードの前記閾値は、前記普通紙モードの前記閾値よりも小さい、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記モード設定部は、前記普通紙モード、前記タブ紙モードおよび厚紙モードのいずれかを設定し、
前記記憶部は、前記閾値情報として、前記厚紙モードにおいて用いられる閾値を示す厚紙モード閾値情報をさらに記憶し、
前記搬送状態判定部は、前記厚紙モードに設定された場合、前記センサーの検知結果および前記厚紙モード閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態が前記斜行搬送状態および前記タブ紙搬送状態のいずれであるかを判定する、請求項1から3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記厚紙モードの前記閾値は、前記普通紙モードの前記閾値よりも小さく、
前記厚紙モードの前記閾値は、前記タブ紙モードの前記閾値よりも大きい、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送状態判定部が前記記録媒体の搬送状態を前記斜行搬送状態と判定する場合、前記駆動制御部は、前記レジストローラーが前記記録媒体の搬送を一旦停止した後、前記記録媒体の搬送を再開するように前記搬送ローラーおよび前記レジストローラーを駆動する、請求項1から5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送状態判定部が前記記録媒体の搬送状態をタブ紙斜行搬送状態と判定する場合、前記駆動制御部は、前記レジストローラーが前記記録媒体の搬送を一旦停止することなく前記搬送ローラーが前記記録媒体の斜行を補正するように前記搬送ローラーを駆動する、請求項1から6のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部と
を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙等の記録媒体に画像を形成可能な画像形成装置は、種々の用途で用いられる。画像形成装置には、一般的な矩形状の用紙だけでなく用紙の端面の一部から部分的にタブが突出したタブ紙にも画像を形成可能なものもある。例えば、搬送中の用紙のタブ位置をセンサーで検知して、所定位置のタブに画像を形成する画像形成装置が検討されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-13823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、画像形成装置では、用紙に画像を適切に形成するために、用紙が斜行して搬送される場合、用紙の斜行を補正する。典型的には、用紙の斜行は、搬送中の用紙をレジストローラーで停止させることによって補正される。
【0005】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置のように、タブ紙を搬送する場合、用紙が斜行すると、斜行を補正するためにレジストローラーが用紙を停止させるため、用紙のタブがレジストローラーと衝突してしまい、タブが変形してしまうおそれがある。このため、用紙の搬送状態を高精度に判定することが求められる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、設定された記録媒体の種類に応じて記録媒体の搬送状態を高精度に判定可能な搬送装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による搬送装置は、記録媒体を搬送する搬送ローラーと、前記搬送ローラーによって搬送される前記記録媒体の搬送を一旦停止した後、前記記録媒体の搬送を再開するレジストローラーと、前記搬送ローラーによって搬送される前記記録媒体を検知するセンサーと、記録媒体の種類に応じたモードを設定するモード設定部と、前記モード設定部において設定されるモードに応じた閾値情報を記憶する記憶部と、前記センサーの検知結果および前記閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態を判定する搬送状態判定部と、前記搬送状態判定部の判定結果に基づいて前記搬送ローラーおよび前記レジストローラーの駆動を制御する駆動制御部とを備える。前記モード設定部は、普通紙モードおよびタブ紙モードのいずれかを設定し、前記記憶部は、前記閾値情報として、前記普通紙モードにおいて用いられる閾値を示す普通紙モード閾値情報、および、前記タブ紙モードにおいて用いられる閾値を示すタブ紙モード閾値情報を記憶し、前記搬送状態判定部は、前記普通紙モードに設定された場合、前記センサーの検知結果および前記普通紙モード閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態が斜行搬送状態およびタブ紙搬送状態のいずれであるかを判定し、前記タブ紙モードに設定された場合、前記センサーの検知結果および前記タブ紙モード閾値情報に基づいて、前記記録媒体の搬送状態が前記斜行搬送状態および前記タブ紙搬送状態のいずれであるかを判定する。
【0008】
本発明による画像形成装置は、上記に記載の搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設定された記録媒体の種類に応じて記録媒体の搬送状態を高精度に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の画像形成装置の模式図である。
図2】本実施形態の画像形成装置のブロック図である。
図3】(a)は、本実施形態の搬送装置における用紙モードの設定を示す模式図であり、(b)は、本実施形態の搬送装置における用紙モードに応じた閾値情報を示すテーブルである。
図4】(a)は、本実施形態の搬送装置における用紙およびセンサーの配置を示す模式図であり、(b)は、本実施形態の搬送装置において正常に搬送される普通紙を示す模式図であり、(c)は、本実施形態の搬送装置において斜行して搬送される普通紙を示す模式図であり、(d)は、本実施形態の搬送装置において搬送られるタブ紙を示す模式図である。
図5】用紙通過の時間差と搬送状態との関係を示す図である。
図6】本実施形態の搬送装置による用紙の搬送を示すフロー図である。
図7】(a)は、本実施形態の搬送装置における用紙モードに応じた閾値情報を示すテーブルであり、(b)は、用紙通過の時間差と搬送状態との関係を示す図である。
図8】本実施形態の搬送装置による用紙の搬送を示すフロー図である。
図9】(a)は、本実施形態の搬送装置における用紙モードの設定を示す模式図であり、(b)は、本実施形態の搬送装置における用紙モードに応じた閾値情報を示すテーブルである。
図10】用紙通過の時間差と搬送状態との関係を示す図である。
図11】本実施形態の搬送装置による用紙の搬送を示すフロー図である。
図12】本実施形態の画像形成装置の模式図である。
図13】本実施形態の画像形成装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明による搬送装置および画像形成装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
まず、図1を参照して、本実施形態の搬送装置100を備える画像形成装置200の構成を説明する。図1は、画像形成装置200の模式図である。画像形成装置200は、用紙Sに画像を形成する。画像形成装置200は、例えば、プリンター、コピー機または複合機である。画像形成装置200は、ファクシミリ機能を有してもよい。ここでは、画像形成装置200は電子写真方式である。
【0013】
画像形成装置200は、搬送装置100を備える。搬送装置100は、用紙Sを搬送する。搬送装置100は、画像形成装置200の筐体内に設置される。
【0014】
用紙Sは、普通紙およびタブ紙を含む。典型的には、普通紙の厚さは、0.07mm以上0.13mm以下である。タブ紙は、矩形状の用紙の端面の一部からタブが突出している。タブの数は複数であってもよい。また、特に限定されないが、典型的には、タブ紙の厚さは、普通紙の厚さと同じである。さらに、用紙Sは、厚紙を含んでもよい。典型的には、厚紙の厚さは、0.15mm以上1.2mm以下である。用紙Sは、記録媒体の一例である。
【0015】
搬送装置100は、搬送ローラー110と、レジストローラー120と、センサー130と、入出力部140と、制御部160と、記憶部170とを備える。搬送ローラー110は、用紙Sを搬送する。典型的には、搬送装置100は、複数の搬送ローラー110を有する。搬送装置100において、複数の搬送ローラー110によって用紙Sの搬送路が形成される。
【0016】
搬送ローラー110は、回転軸を中心に回転可能な一対のローラーを含む。一対のローラーは、互いに対向して回転軸を中心に回転する。一例では、一対のローラーのうちの一方のローラーはモーターの動力に従って回転し、他方のローラーは従動して回転する。用紙Sは、回転する一対のローラーの間に進入し、ローラーによって付勢されてローラーから押し出される。
【0017】
ここでは、搬送ローラー110は、給送ローラー110aを含む。給送ローラー110aは、載置された用紙Sのピックアップに用いられる。なお、ここでは、給送ローラー110aは、搬送ローラー110に含まれる。このため、搬送ローラー110は、用紙Sを載置位置から終点まで搬送する。ただし、給送ローラー110aは、搬送ローラー110に含まれなくてもよい。すなわち、搬送ローラー110は、搬送を開始した用紙Sに対する搬送を継続してもよい。
【0018】
レジストローラー120は、用紙Sに撓みを付与する。具体的には、レジストローラー120は、搬送路に沿った用紙Sの搬送を一旦停止させる。このため、レジストローラー120によって用紙Sが撓むことになり、レジストローラー120は、用紙Sの搬送方向に対する斜行を補正する。レジストローラー120は、用紙Sの先端が到達したときには回転せずに、用紙Sの先端が到達してから回転を開始する。これにより、用紙Sの斜行を補正できる。レジストローラー120は、搬送ローラー110と同様の構成を有してもよい。
【0019】
このように、レジストローラー120は、搬送ローラー110によって搬送される用紙の搬送を一旦停止して、その後、用紙Sの搬送を再開する。レジストローラー120により、用紙Sを搬送するタイミングを調整できる。また、レジストローラー120が用紙の搬送を停止することにより、レジストローラー120に到達するまでに用紙Sが搬送ローラー110によって斜行して搬送される場合でも、用紙Sの斜行を補正できる。
【0020】
なお、本実施形態の搬送装置100において、搬送ローラー110は、レジストローラー120で用紙Sを停止させることなく用紙Sの斜行を補正可能であることが好ましい。例えば、搬送ローラー110の回転速度および/または姿勢を変化させることにより、用紙Sの斜行を補正できる。一例では、搬送路中の1つの地点に配置された搬送ローラー110が、用紙Sの搬送方向に対して直交する方向に一列に配列された複数のローラーを含む場合、一列の一方側のローラーの回転速度および/または姿勢を一列の他方側のローラーの回転速度および/または姿勢と異なるように制御することにより、用紙Sの斜行を補正できる。
【0021】
用紙の斜行は、センサー130の検知結果に基づいて補正される。典型的には、センサー130の検知結果に基づいて用紙の斜行が判定された後で、搬送路を形成する搬送ローラー110のうちのセンサー130よりも下流側に位置する搬送ローラー110の回転速度および/または姿勢を変更することにより、用紙の斜行を補正できる。
【0022】
センサー130は、搬送ローラー110によって搬送される用紙を検知する。センサー130は、搬送ローラー110によって用紙が搬送される搬送路を通過する用紙を検知する。センサー130は、用紙Sの端面の異なる箇所が通過するタイミングを検知する。センサー130の検知結果に基づいて、用紙Sの斜行を検知できる。
【0023】
センサー130は、搬送路のうちのレジストローラー120よりも上流側に配置される。このため、レジストローラー120は、センサー130の検知結果に基づいて用紙Sの斜行を補正するか否かを制御できる。
【0024】
入出力部140は、表示部142と、入力部144とを含む。表示部142は、操作画面又は各種処理の結果を表示する。表示部142は、液晶ディスプレーまたは有機ELディスプレーを含む。
【0025】
入力部144は、例えば、ジョブの種類およびジョブの内容を指示するための各種キーを含む。入力部144は、ボタンまたはキーボードを含む。あるいは、入力部144は、タッチセンサーを含み得る。なお、表示部142および入力部144は、両者の一体化されたタッチパネルであってもよい。
【0026】
制御部160は、搬送装置100の動作を制御する。制御部160は、搬送ローラー110、レジストローラー120、センサー130および入出力部140を制御する。
【0027】
制御部160は、演算素子を含む。演算素子は、プロセッサーを含む。一例では、プロセッサーは、中央処理演算機(CPU)を含む。プロセッサーは、特定用途集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)を含んでもよい。
【0028】
記憶部170は、種々のデータを記憶する。例えば、記憶部170は、制御プログラムを記憶する。制御部160は、記憶部170に記憶された情報を用いて搬送ローラー110、レジストローラー120、センサー130および入出力部140を制御する。
【0029】
制御部160は、制御プログラムを実行することによって、搬送装置100の動作を制御する。詳細には、制御部160のプロセッサーは、記憶部170の記憶素子の記憶しているコンピュータープログラムを実行して、搬送装置100の各構成を制御する。
【0030】
例えば、コンピュータープログラムは、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体に記憶される。非一時的コンピューター読取可能記憶媒体は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CD-ROM、磁気テープ、磁気ディスクまたは光データ記憶装置を含む。
【0031】
画像形成装置200は、搬送装置100に加えて、用紙収容部210と、画像形成部220と、制御装置260と、記憶装置270とを備える。
【0032】
用紙収容部210は、用紙Sを収容する。用紙収容部210は、用紙Sとして普通紙またはタブ紙を収容する。また、用紙収容部210は、用紙Sとして厚紙を収容してもよい。
【0033】
用紙収容部210は、カセット212を有する。複数枚の用紙Sは、カセット212に収容される。
【0034】
給送ローラー110aは、用紙収容部210内に配置される。給送ローラー110aは、カセット212に収容された用紙Sを給送する。給送ローラー110aは、用紙収容部210に載置された用紙Sの搬送を開始する。給送ローラー110aは、必要に応じて用紙Sを1枚ずつ給送する。給送ローラー110aは、カセット212に収容された複数枚の用紙Sのうち最上面に位置する用紙Sを1枚ずつ給送する。ここでは、用紙収容部210は、複数のカセット212を備え、複数のカセット212ごとに給送ローラー110aが設置されている。
【0035】
搬送装置100は、用紙Sを画像形成部220に搬送する。詳細には、搬送装置100は、用紙収容部210に載置された用紙Sを1枚ずつ画像形成部220に搬送する。画像形成部220が用紙Sに画像を形成した後、搬送装置100は、用紙Sを画像形成部220から画像形成装置200の外部まで搬送する。
【0036】
画像形成装置200において、レジストローラー120は、画像形成部220よりも上流に配置される。レジストローラー120は、用紙Sの斜行を補正する。レジストローラー120は、用紙Sの搬送を一旦停止し、用紙Sの斜行を補正して画像形成部220に用紙Sを搬送する。
【0037】
また、レジストローラー120は、画像形成部220に用紙Sを搬送するタイミングを調整できる。レジストローラー120は、用紙Sの搬送を一旦停止し、画像形成部220の所定のタイミングに合わせて画像形成部220に用紙Sを搬送できる。
【0038】
トナーコンテナCa~Cdは画像形成装置200に装着される。トナーコンテナCa~Cdの各々は画像形成装置200に対して着脱自在である。トナーコンテナCa~Cdのそれぞれには異なる色のトナーが収容される。トナーコンテナCa~Cdのトナーは画像形成部220に供給される。画像形成部220は、トナーコンテナCa~Cdから供給されたトナーを用いて画像を形成する。
【0039】
例えば、トナーコンテナCaは、イエロー色のトナーを収容し、画像形成部220にイエロー色のトナーを供給する。トナーコンテナCbは、マゼンタ色のトナーを収容し、画像形成部220にマゼンタ色のトナーを供給する。トナーコンテナCcは、シアン色のトナーを収容し、画像形成部220にシアン色のトナーを供給する。トナーコンテナCdは、ブラック色のトナーを収容し、画像形成部220にブラック色のトナーを供給する。
【0040】
画像形成部220は、トナーコンテナCa~Cdに収容されたトナーを用いて、画像データに基づく画像を用紙Sに形成する。ここでは、画像形成部220は、露光部222、感光体ドラム224、帯電部226、現像部228、1次転写ローラー230、クリーニング部232、中間転写ベルト234、2次転写ローラー236、および、定着部238を有する。
【0041】
中間転写ベルト234は、モーターの動力に従って回転するローラーによって回転する。現像部228には、モーターが取り付けられている。現像部228内のトナーは、モーターの回転に伴って攪拌される。
【0042】
感光体ドラム224、帯電部226、現像部228、1次転写ローラー230およびクリーニング部232は、トナーコンテナCa~Cdのそれぞれに対応して設けられる。複数の感光体ドラム224は、中間転写ベルト234の外表面に当接し、中間転写ベルト234の回転方向に沿って配置される。複数の1次転写ローラー230は、複数の感光体ドラム224に対応して設けられる。複数の1次転写ローラー230は、中間転写ベルト234を介して、複数の感光体ドラム224に対向する。
【0043】
帯電部226は、感光体ドラム224の周面を帯電する。露光部222は、画像データに基づく光を感光体ドラム224の各々に照射し、感光体ドラム224の周面には静電潜像が形成される。現像部228は、静電潜像にトナーを付着させて静電潜像を現像し、感光体ドラム224の周面にトナー像を形成する。したがって、感光体ドラム224はトナー像を担持する。1次転写ローラー230は、感光体ドラム224に形成されたトナー像を中間転写ベルト234の外表面に転写する。クリーニング部232は、感光体ドラム224の周面に残留しているトナーを除去する。
【0044】
トナーコンテナCaに対応する感光体ドラム224は、静電潜像に基づきイエロー色のトナー像を形成し、トナーコンテナCbに対応する感光体ドラム224は、静電潜像に基づきマゼンタ色のトナー像を形成する。トナーコンテナCcに対応する感光体ドラム224は、静電潜像に基づきシアン色のトナー像を形成し、トナーコンテナCdに対応する感光体ドラム224は、静電潜像に基づきブラック色のトナー像を形成する。
【0045】
中間転写ベルト234の外表面には、感光体ドラム224から複数色のトナー像が重畳して転写され、画像が形成される。このため、中間転写ベルト234は、画像を担持する。2次転写ローラー236は、中間転写ベルト234の外表面に形成された画像を用紙Sに転写する。
【0046】
定着部238は、トナー像が転写された用紙Sを加熱および加圧することによって、トナー像を用紙Sに定着させる。定着部238は、加熱ローラー238aおよび加圧ローラー238bを備える。加熱ローラー238aおよび加圧ローラー238bは互いに対向して配置され、定着ニップを形成する。中間転写ベルト234と2次転写ローラー236との間を通過した用紙Sは、定着ニップを通過することにより所定の定着温度で加熱されながら、加圧される。この結果、トナー像が用紙Sに定着する。搬送装置100は、トナー像の定着された用紙Sを画像形成装置200の外部に排出する。
【0047】
制御装置260は、画像形成部220の動作を制御する。制御装置260は、演算素子を含む。演算素子は、プロセッサーを含む。一例では、プロセッサーは、中央処理演算機(CPU)を含む。プロセッサーは、特定用途集積回路(ASIC)を含んでもよい。
【0048】
記憶装置270は、種々のデータを記憶する。制御装置260は、記憶装置270に記憶された情報を用いて画像形成部220を制御する。
【0049】
例えば、記憶装置270は、制御プログラムを記憶する。制御装置260は、制御プログラムを実行することによって、画像形成装置200の動作を制御する。詳細には、制御装置260のプロセッサーは、記憶装置270の記憶素子の記憶しているコンピュータープログラムを実行して、画像形成装置200の各構成を制御する。
【0050】
例えば、コンピュータープログラムは、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体に記憶される。非一時的コンピューター読取可能記憶媒体は、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、磁気ディスクまたは光データ記憶装置を含む。
【0051】
搬送装置100は、メディアセンサー180をさらに備えてもよい。メディアセンサー180は、用紙Sの種類を検知できる。例えば、メディアセンサー180は、用紙収容部210内に配置される。メディアセンサー180は、カセット212内に収容された用紙Sの種類を検知する。なお、メディアセンサー180は、用紙Sの搬送路に設置され、搬送中の用紙Sの種類を検知してもよい。
【0052】
画像形成装置200は、通信部280をさらに備えてもよい。通信部280は、同じ通信方式(プロトコル)を利用する通信機が搭載された外部の電子機器との間で通信が可能である。通信部280は、WAN(Wide Area Network)またはLAN(Local Area Network)などのネットワーク網を介して外部の電子機器と通信する。通信部280は、インターネットを介して外部の電子機器と通信してもよい。
【0053】
次に、図1および図2を参照して、本実施形態の搬送装置100および画像形成装置200を説明する。図2は、本実施形態の搬送装置100および画像形成装置200のブロック図を示す。
【0054】
図2に示すように、制御装置260は、制御部160と、装置制御部260Aとを含む。制御部160は、搬送ローラー110と、レジストローラー120と、センサー130と、入出力部140と、メディアセンサー180とを制御する。装置制御部260Aは、画像形成部220および通信部280を制御する。制御装置260は、搬送装置100および画像形成部220を連動して制御できる。
【0055】
記憶装置270は、記憶部170と、装置記憶部270Aとを含む。記憶部170は、制御部160の制御に用いられる情報を記憶する。装置記憶部270Aは、装置制御部260Aの制御に用いられる情報を記憶する。
【0056】
記憶部170は、閾値情報を記憶する。閾値情報は、用紙Sの搬送状態を判定するために用いられる。
【0057】
制御部160は、モード設定部162と、搬送状態判定部164と、駆動制御部166とを含む。モード設定部162、搬送状態判定部164および駆動制御部166は、制御部160が記憶部170に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって具現化される。
【0058】
モード設定部162は、搬送される用紙の種類に応じた用紙モードを設定する。用紙の種類は、用紙の形状、厚さ、大きさ、および/または、重さによって異なり得る。例えば、モード設定部162は、用紙モードを普通紙モードおよびタブ紙モードのいずれかに設定する。記憶部170は、モード設定部162において設定された用紙モードに応じて異なる閾値情報を記憶する。
【0059】
モード設定部162は、入力部144からの入力によって用紙モードを設定してもよい。あるいは、モード設定部162は、通信部280において受信した印刷ジョブの設定に応じて用紙モードを設定してもよい。あるいは、モード設定部162は、搬送装置100に設置されたメディアセンサー180において検出された用紙の種類に応じて用紙モードを設定してもよい。例えば、メディアセンサー180は、用紙収容部210または搬送路に設置される。なお、モード設定部162は、デフォルトとして普通紙モードに設定され、格別の指示により、普通紙モード以外のモード(例えば、タブ紙モード)に設定されてもよい。
【0060】
搬送状態判定部164は、センサー130の検知結果および閾値情報に基づいて、用紙Sの搬送状態を判定する。例えば、搬送状態判定部164は、用紙Sの搬送状態が斜行搬送状態およびタブ紙搬送状態のいずれであるかを判定する。斜行搬送状態は、用紙Sとして普通紙が斜行して搬送されていると搬送状態判定部164が判定した状態である。タブ紙搬送状態は、搬送されている用紙Sがタブ紙であると搬送状態判定部164が判定した状態である。
【0061】
センサー130の検知結果は、用紙Sの搬送状態の判定に用いられる。用紙Sが矩形状の普通紙である場合、用紙Sが斜行せずに正常に搬送されると、センサー130によって検知された用紙Sの複数個所の通過するタイミングがほぼ等しい。一方、用紙Sが斜行して搬送されると、センサー130によって検知された用紙Sの複数個所の通過するタイミングが異なる。このため、搬送状態判定部164は、センサー130の検知結果を用いて用紙Sの搬送状態を判定する。
【0062】
また、用紙Sがタブ紙である場合、用紙Sが斜行することなく正常に搬送されてもセンサー130によって検知された用紙Sの複数個所の通過するタイミングは異なる。このため、搬送状態判定部164は、センサー130の検知結果を用いて用紙Sの搬送状態を判定する。
【0063】
なお、用紙Sの端面の複数個所がセンサー130の検知領域を通過する時間差に応じて、普通紙の斜行またはタブ紙を判定できる。普通紙が斜行して搬送される場合、時間差は比較的短い。一方、タブ紙が搬送される場合、時間差は比較的長い。このため、時間差の大きさに応じて、普通紙が斜行して搬送されているか、タブ紙が搬送されているかを判定できる。
【0064】
駆動制御部166は、搬送状態判定部164の判定結果に基づいて搬送ローラー110およびレジストローラー120の駆動を制御する。例えば、搬送状態判定部164が斜行搬送状態と判定した場合、駆動制御部166は、レジストローラー120を駆動させて用紙Sを一旦停止させ、その後、用紙Sの搬送を再開する。これにより、用紙Sの斜行を補正できる。
【0065】
また、搬送状態判定部164がタブ紙搬送状態と判定した場合、駆動制御部166は、レジストローラー120によって用紙Sを一旦停止させることなく用紙Sの搬送を継続する。これにより、用紙Sのタブがレジストローラー120と衝突することを抑制でき、用紙Sのタブの変形を抑制できる。
【0066】
次に、図1図3を参照して、本実施形態の搬送装置100における用紙モードの設定および設定される用紙モードに応じた閾値情報を説明する。図3(a)は、本実施形態の搬送装置100における用紙モードの設定を示す模式図であり、図3(b)は、本実施形態の搬送装置100における用紙モードに応じた閾値情報を示すテーブルである。
【0067】
図3(a)に示すように、搬送装置100は、普通紙モードおよびタブ紙モードのいずれかに設定できる。例えば、用紙モードは、入力部144を介して入力できる。図3(a)に示すように、表示部142および入力部144がタッチパネルである場合、普通紙モードのアイコンがタッチされると、普通紙モードに設定される。一方、タブ紙モードのアイコンがタッチされると、タブ紙モードに設定される。
【0068】
普通紙モードは、普通紙の搬送に適したモードである。ただし、普通紙モードに設定された場合でも普通紙以外の用紙が搬送されることがある。例えば、普通紙モードに設定された場合でも、用紙収容部210に収容された用紙Sの少なくとも一部にタブ紙が含まれていると、タブ紙が搬送されることがある。普通紙モードに設定された場合、搬送中の用紙Sが、正常に搬送される普通紙、斜行して搬送される普通紙またはタブ紙のいずれであるか判定される。
【0069】
タブ紙モードは、タブ紙の搬送に適したモードである。ただし、タブ紙モードに設定された場合でもタブ紙以外の用紙が搬送されることがある。例えば、タブ紙モードに設定された場合でも、用紙収容部210に収容された用紙Sの少なくとも一部に普通紙が含まれていると、普通紙が搬送されることがある。タブ紙モードに設定された場合、搬送中の用紙Sは、正常に搬送される普通紙、斜行して搬送される普通紙またはタブ紙のいずれであるか判定される。
【0070】
上述したように、用紙Sの搬送状態の判定は、記憶部170に記憶された閾値情報を用いて行われる。なお、普通紙モードに設定された場合に用いられる普通紙モードの閾値情報は、タブ紙モードに設定された場合に用いられるタブ紙モードの閾値情報とは同じではない。
【0071】
図3(b)に示すように、記憶部170は、第1閾値情報および第2閾値情報を記憶する。第1閾値情報は、普通紙が正常または斜行して搬送されているかを判定するために用いられる第1閾値を示す。第2閾値情報は、用紙Sが、斜行して搬送される普通紙であるか、タブ紙であるかを判定するために用いられる第2閾値を示す。
【0072】
普通紙モードにおいて、第1閾値情報は、第1閾値a1を示す。第1閾値a1は、用紙が正常に搬送されているか斜行して搬送されているかを判定するために用いられる。時間差が第1閾値a1未満である場合、用紙Sが正常に搬送されている(斜行して搬送されていない)と判定される。
【0073】
普通紙モードにおいて、第2閾値情報は、第2閾値b1を示す。ここでは、第2閾値b1は、第1閾値a1よりも大きい(a1<b1)。第2閾値b1は、用紙が斜行して搬送されているかタブ紙であるかを判定するために用いられる。時間差が第2閾値b1以上である場合、用紙Sがタブ紙であると判定される。また、時間差が第1閾値a1以上第2閾値b1未満である場合、用紙Sが斜行して搬送されていると判定される。
【0074】
タブ紙モードにおいて、第1閾値情報は、第1閾値a2を示す。第1閾値a2は、普通紙が正常または斜行して搬送されているかを判定するために用いられる。時間差が第1閾値a2未満である場合、用紙Sが正常に搬送されている(斜行して搬送されていない)と判定される。
【0075】
タブ紙モードにおいて、第2閾値情報は、第2閾値b2を示す。ここでは、第2閾値b2は、第1閾値a2よりも大きい(a2<b2)。第2閾値b2は、用紙が斜行して搬送されているかタブ紙であるかを判定するために用いられる。時間差が第2閾値b2以上である場合、用紙Sがタブ紙であると判定される。時間差が第1閾値a2以上第2閾値b2未満である場合、用紙Sが斜行して搬送されていると判定される。
【0076】
ここで、タブ紙モードにおける第1閾値a2は、普通紙モードにおける第1閾値a1と等しい(a2=a1)。これにより、用紙の形状に関わらず、用紙の正常搬送および斜行搬送を判定できる。
【0077】
また、タブ紙モードにおける第2閾値b2は、普通紙モードにおける第2閾値b1よりも小さい(b2<b1)。これにより、タブ紙モードでは、普通紙モードと比べて、より広範囲にわたって用紙がタブ紙であると判定できる。
【0078】
次に、図4を参照して搬送装置100による用紙の搬送を説明する。図4(a)は、搬送装置100において搬送路に設置されたセンサー130を示す模式図である。図4(b)は、搬送装置100によって正常に搬送される普通紙を示す模式図である。図4(c)は、搬送装置100によって斜行して搬送される普通紙を示す模式図である。図4(d)は、搬送装置100によって正常に搬送されるタブ紙を示す模式図である。
【0079】
図4(a)に示すように、搬送装置100において、センサー130は、用紙の搬送路に設置され、搬送路を搬送する用紙Sを検知する。センサー130は、搬送ローラー110によって搬送される用紙Sの端面の異なる領域の通過を検知し、異なる領域が通過する時間差を取得する。
【0080】
ここでは、センサー130は、第1センサー130aと、第2センサー130bとを有する。第1センサー130aは、搬送される用紙の一方側の端部を検知し、第2センサー130bは、搬送される用紙の他方側の端部を検知する。ここでは、第1センサー130aおよび第2センサー130bは、搬送路に対して直交する位置に配置される。
【0081】
第1センサー130aは、搬送ローラー110によって搬送される用紙Sの端面の左側領域の通過を検知する。第2センサー130bは、搬送ローラー110によって搬送される用紙Sの端面の右側領域の通過を検知する。第1センサー130aおよび第2センサー130bの検知結果から、用紙Sの端面の異なる領域がセンサー130を通過する時間差を取得できる。
【0082】
第1センサー130aは、搬送路を挟んで対向する発光部および受光部を有してもよい。あるいは、第1センサー130aは、搬送路に対して一方側に位置する発光部および受光部を有してもよい。同様に、第2センサー130bは、搬送路を挟んで対向する発光部および受光部を有してもよい。あるいは、第2センサー130bは、搬送路に対して一方側に位置する発光部および受光部を有してもよい。
【0083】
図4(b)に示すように、普通紙Spが正常に搬送される場合、普通紙Spは、第1センサー130aおよび第2センサー130bの下をほぼ同じタイミングで通過する。このため、第1センサー130aおよび第2センサー130bは、ほぼ同じタイミングで用紙が通過することを検知する。この場合、第1センサー130aによって普通紙Spを検知したタイミングと、第2センサー130bによって普通紙Spを検知したタイミングとの差(「時間差」)はほぼゼロである。
【0084】
図4(c)に示すように、普通紙Spが斜行して搬送される場合、第1センサー130aによって用紙が通過することを検知したタイミングは、第2センサー130bによって用紙が通過することを検知したタイミングとは異なる。
【0085】
例えば、図4(c)に示すように、普通紙Spの左側が搬送方向に対して上流側に位置するように普通紙Spが斜行して搬送される場合、第1センサー130aが先に普通紙Spを検知し、その後、第2センサー130bが普通紙Spを検知する。このため、第1センサー130aによって普通紙Spを検知したタイミングは、第2センサー130bによって普通紙Spを検知したタイミングよりも早く、第1センサー130aによって普通紙Spを検知したタイミングと第2センサー130bによって普通紙Spを検知したタイミングとの間に時間差が生じる。このため、時間差の大きさに応じて、用紙の斜行の有無を判定できる。
【0086】
なお、図4(b)および図4(c)では、搬送装置100において搬送される用紙は普通紙Spであったが、搬送装置100は、用紙としてタブ紙を搬送してもよい。
【0087】
図4(d)に示すように、タブ紙Stが搬送される場合、第1センサー130aによって用紙が通過することを検知したタイミングは、第2センサー130bによって用紙が通過することを検知したタイミングとは異なる。タブ紙Stの左上流側にタブが位置するようにタブ紙Stが搬送される場合、第1センサー130aは先にタブ紙Stを検知し、その後、第2センサー130bがタブ紙Stを検知する。このため、第1センサー130aによってタブ紙Stを検知したタイミングは、第2センサー130bによってタブ紙Stを検知したタイミングよりも早く、第1センサー130aによってタブ紙Stを検知したタイミングと第2センサー130bによってタブ紙Stを検知したタイミングとの間の時間差が生じる。このため、時間差の大きさに応じて、用紙がタブ紙Stであるか否かを判定できる。
【0088】
ただし、普通紙Spが斜行して搬送されている場合、および、タブ紙Stが搬送されている場合のいずれも、第1センサー130aおよび第2センサー130bによって用紙が通過することを検知するタイミングに差が生じる。本実施形態では、設定された用紙モードに応じて用紙Sの搬送状態を高精度に判定する。
【0089】
なお、図4では、センサー130は、第1センサー130aおよび第2センサー130bに分離されており、第1センサー130aおよび第2センサー130bは、それぞれ用紙Sの端部を検知したが、センサー130は、分離されていなくてもよい。例えば、センサー130は、搬送方向に沿って搬送される用紙の一方側の端部から他方側の端部にわたって延びてもよい。
【0090】
また、図4(d)では、タブ紙Stにおいて、タブは搬送される用紙の上流側に付されていたが、本実施形態はこれに限定されない。タブは搬送される用紙の下流側に付されていてもよい。
【0091】
次に、図1図5を参照して、用紙通過の時間差と搬送状態との関係を説明する。図5は、用紙通過の時間差と搬送状態との関係を示す図である。
【0092】
図5に示すように、普通紙モードに設定される場合、用紙通過の時間差が0以上第1閾値a1未満の範囲内であると、搬送状態判定部164は、普通紙が正常に搬送されている正常搬送状態と判定する。用紙通過の時間差が第1閾値a1以上第2閾値b1未満の範囲内であると、搬送状態判定部164は、普通紙が斜行して搬送されている斜行搬送状態と判定する。さらに、用紙通過の時間差が第2閾値b1以上である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙が搬送されているタブ紙搬送状態と判定する。なお、タブ紙搬送状態と判定された場合、タブ紙のタブの位置を特定してタブに画像を形成してもよい。
【0093】
図5において、タブ紙モードである場合、用紙通過の時間差が0以上第1閾値a2未満の範囲内であると、搬送状態判定部164は、普通紙が正常に搬送されている正常搬送状態と判定する。用紙通過の時間差が第1閾値a2以上第2閾値b2未満の範囲内であると、搬送状態判定部164は、普通紙が斜行して搬送されている斜行搬送状態と判定する。さらに、用紙通過の時間差が第2閾値b2以上である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙が搬送されているタブ紙搬送状態と判定する。なお、タブ紙搬送状態と判定された場合、タブ紙のタブの位置を特定してタブに画像を形成してもよい。
【0094】
ここでは、タブ紙モードの第2閾値b2は、普通紙モードの第2閾値情報で示された第2閾値b1とは異なる。第2閾値b2は、第2閾値b1よりも小さい。このため、用紙通過の時間差が比較的短い場合に、普通紙モードでは、斜行搬送状態と判定される場合でも、タブ紙モードでは、タブ紙搬送状態と判定される。
【0095】
例えば、図5に示すように、用紙通過の時間差がTxである場合、普通紙モードでは、斜行搬送状態と判定される一方で、タブ紙モードでは、タブ紙搬送状態と判定される。
【0096】
普通紙モードでは、用紙として普通紙が搬送されるように設定されており、実際に搬送される用紙は、普通紙である可能性が高い。このため、時間差が明らかに大きい場合を除いて普通紙の斜行状態と判定しても、誤判定となる蓋然性が低い。一方、タブ紙モードでは、用紙としてタブ紙を搬送されるように設定されており、実際に搬送される用紙は、タブ紙である可能性が高い。このため、時間差がそれほど大きくない場合でも、普通紙の斜行状態ではなくタブ紙の搬送状態と判定しても、誤判定となる蓋然性が低い。このように、用紙モードの設定に基づいて、基準とする閾値を適宜変更することにより、設定された記録媒体の種類に応じて用紙の搬送状態を高精度に判定でき、その結果、用紙を効率的に搬送できる。
【0097】
なお、図5を参照した説明では、特に詳述しなかったが、搬送状態の判定は、センサー130によって搬送される用紙の上流側だけでなく下流側を検知した結果を用いて行ってもよい。また、図5において、タブ紙モードに設定された場合、搬送される用紙の上流側の端面をセンサー130で検知して正常搬送状態および斜行搬送状態のいずれかと判定した場合、搬送される用紙の下流側の端面にタブが付されている可能性がある。このため、タブ紙モードに設定されてタブ紙搬送状態以外の状態であると判定される場合、搬送される用紙の下流側の端面にタブがあるか否かを高精度に検知することが好ましい。これにより、タブ紙のタブに精度よく画像を形成できる。
【0098】
次に、図1図6を参照して、本実施形態の搬送装置100による用紙搬送のためのフローを説明する。図6は、実施形態の搬送装置100による用紙搬送のためのフローチャートである。
【0099】
図6に示すように、ステップS102において、搬送状態判定部164は用紙モードを判定する。搬送状態判定部164は、普通紙モードおよびタブ紙モードのいずれであるか判定する。普通紙モードに設定されている場合、処理はステップS104に進む。タブ紙モードに設定されている場合、処理は、ステップS106に進む。
【0100】
ステップS104において、普通紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170から普通紙モードの閾値情報を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0101】
ステップS106において、タブ紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170からタブ紙モードの閾値情報を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0102】
ステップS108において、駆動制御部156は、搬送ローラー110を回転させるように搬送ローラー110を駆動して用紙Sの搬送を開始する。その後、処理は、ステップS110に進む。
【0103】
ステップS110において、センサー130は、用紙Sを検知する。例えば、第1センサー130aおよび第2センサー130bは、用紙Sが検知領域を通過するタイミングを検知し、第1センサー130aおよび第2センサー130bによって用紙Sの通過した時間差を取得する。処理は、ステップS112に進む。
【0104】
ステップS112において、搬送状態判定部164は、センサー130によって検知された検知結果および閾値情報に基づいて、用紙Sの搬送状態を判定する。詳細には、普通紙モードに設定されている場合、搬送状態判定部164は、センサー130によって取得された時間差に対して、普通紙モードの閾値情報を基準として用紙Sの搬送状態を判定する。また、タブ紙モードに設定されている場合、搬送状態判定部164は、センサー130によって取得された時間差に対して、タブ紙モードの閾値情報を基準として、用紙Sの搬送状態を判定する。
【0105】
搬送状態判定部164が、用紙Sの搬送状態を正常搬送状態と判定した場合、処理は、ステップS114に進む。搬送状態判定部164が、用紙Sの搬送状態を斜行搬送状態と判定した場合、処理は、ステップS116に進む。搬送状態判定部164が、用紙Sの搬送状態をタブ紙搬送状態と判定した場合、処理は、ステップS118に進む。
【0106】
ステップS114において、駆動制御部156は、レジストローラー120によって用紙Sを停止させることなく搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを搬送する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0107】
ステップS116において、駆動制御部156は、搬送ローラー110を回転させて用紙Sがレジストローラー120まで到達すると、レジストローラー120によって用紙Sを一旦停止させる。これにより、用紙Sの斜行を補正できる。その後、駆動制御部156は、レジストローラー120を回転させるとともに搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを終点まで搬送して、処理は終了する。
【0108】
ステップS118において、駆動制御部156は、レジストローラー120によって用紙Sを停止させることなく搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを搬送する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0109】
本実施形態によれば、設定された用紙モードに応じて、用紙Sの搬送状態を判定するための判定基準を変更する。また、用紙Sの搬送状態を判定し、判定した状態に応じて用紙Sの搬送を制御する。これにより、設定される記録媒体の種類に応じて用紙Sを効率的に搬送できる。
【0110】
なお、図3図6を参照した説明では、搬送状態判定部164は、普通紙Spの斜行状態を判定したが、本実施形態はこれに限定されない。搬送状態判定部164は、タブ紙Stの斜行状態を判定してもよい。
【0111】
次に、図7を参照して本実施形態の搬送装置100による用紙の搬送を説明する。図7(a)は、記憶部170に記憶された閾値情報を示すテーブルである。図7(a)に示すように、閾値情報は、第1閾値情報および第2閾値情報に加えて第3閾値情報を示す。第3閾値情報は、タブ紙の正常搬送状態とタブ紙の斜行搬送状態とを判定するために用いられる閾値を示す。なお、図7(a)のテーブルは、第3閾値情報をさらに有する点を除いて、図3(b)を参照して上述したテーブルと同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0112】
記憶部170は、第1閾値情報および第2閾値情報に加えて第3閾値情報を記憶する。第3閾値情報は、タブ紙が正常または斜行して搬送されているかを判定するための第3閾値を示す。
【0113】
普通紙モードにおいて、第3閾値情報は、第3閾値c1を示す。ここでは、第3閾値c1は、第2閾値b1よりも大きい(b1<c1)。センサー130によって取得された時間差が第2閾値b1以上第3閾値c1未満である場合、タブ紙が正常に搬送されていると判定される。時間差が第3閾値c1以上である場合、タブ紙が斜行して搬送されていると判定される。
【0114】
タブ紙モードにおいて、第3閾値情報は、第3閾値c2を示す。ここでは、第3閾値c2は、第2閾値b2よりも大きい(b2<c2)。センサー130によって取得された時間差が第2閾値b2以上第3閾値c2未満である場合、タブ紙が正常に搬送されていると判定される。時間差が第3閾値c2以上である場合、タブ紙が斜行して搬送されていると判定される。
【0115】
例えば、タブ紙モードの第3閾値c2は、普通紙モードの第3閾値c1よりも小さくてもよい。一例として、タブ紙モードの第2閾値b2と第3閾値c2との間の差分は、普通紙モードの第2閾値b1と第3閾値c1との間の差分と等しくてもよい。
【0116】
次に、図7(b)を参照して用紙通過の時間差と搬送状態との関係を説明する。図7(b)は、用紙通過の時間差と搬送状態との関係を示す図である。図7(b)は、タブ紙正常搬送状態とタブ紙斜行搬送状態との基準を示す第3閾値がさらに追加された点を除いて、図5を参照して上述した図と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0117】
図7(b)に示すように、普通紙モードに設定される場合、用紙通過の時間差が第2閾値b1以上第3閾値c1未満である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙正常搬送状態と判定する。また、用紙通過の時間差がc1以上である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙斜行搬送状態と判定する。
【0118】
一方、タブ紙モードである場合、用紙通過の時間差が第2閾値b2以上第3閾値c2未満である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙正常搬送状態と判定する。用紙通過の時間差が第3閾値c2以上である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙斜行搬送状態と判定する。
【0119】
本実施形態では、センサー130によって取得された時間差に応じてタブ紙の斜行の有無も判定できる。タブ紙が斜行して搬送される場合、搬送装置100は、レジストローラー120を駆動することなく搬送ローラー110によって用紙の斜行を補正することが好ましい。
【0120】
なお、図7を参照した説明では、タブ紙モードの第3閾値c2は、普通紙モードの第3閾値c1とは異なったが、本実施形態はこれに限定されない。タブ紙モードの第3閾値c2は、普通紙モードの第3閾値c1と等しくてもよい。
【0121】
次に、図8を参照して、本実施形態の搬送装置100による用紙搬送においてタブ紙の斜行の有無を判定可能なフローを説明する。図8は、実施形態の搬送装置100による用紙搬送のためのフローチャートである。なお、図8のフローチャートは、ステップS120が追加された点を除いて、図6を参照して上述したフローチャートと同様のステップを有しており、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0122】
図8に示すように、ステップS102において、搬送状態判定部164は用紙モードを判定する。搬送状態判定部164は、普通紙モードおよびタブ紙モードのいずれであるか判定する。普通紙モードに設定されている場合、処理はステップS104に進む。タブ紙モードに設定されている場合、処理は、ステップS106に進む。
【0123】
ステップS104において、普通紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170から普通紙モードの閾値情報を読み出す。ここでは、記憶部170から普通紙モードの閾値情報(すなわち、第1閾値a1、第2閾値b1および第3閾値c1を示す情報)を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0124】
ステップS106において、タブ紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170からタブ紙モードの閾値情報を読み出す。ここでは、記憶部170からタブ紙モードの閾値情報(すなわち、第1閾値a2、第2閾値b2および第3閾値c2を示す情報)を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0125】
ステップS108において、駆動制御部156は搬送ローラー110を回転させるように搬送ローラー110を駆動して用紙Sの搬送を開始する。その後、処理は、ステップS110に進む。
【0126】
ステップS110において、センサー130は、用紙Sを検知する。例えば、第1センサー130aおよび第2センサー130bは、用紙Sが検知領域を通過するタイミングを検知し、第1センサー130aおよび第2センサー130bによって用紙Sの通過した時間差を取得する。処理は、ステップS112に進む。
【0127】
ステップS112において、搬送状態判定部164は、用紙の検知結果に基づいて、用紙の搬送状態を判定する。普通紙が正常に搬送されていると搬送状態判定部164が判定した場合、処理は、ステップS114に進む。普通紙が斜行して搬送されていると搬送状態判定部164が判定した場合、処理は、ステップS116に進む。タブ紙が正常に搬送されていると搬送状態判定部164が判定した場合、処理は、ステップS118に進む。タブ紙が斜行して搬送されていると搬送状態判定部164が判定した場合、処理は、ステップS120に進む。
【0128】
ステップS114において、駆動制御部156は、レジストローラー120によって用紙Sを停止させることなく搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを搬送する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0129】
ステップS116において、駆動制御部156は、搬送ローラー110を回転させて用紙Sがレジストローラー120まで到達すると、レジストローラー120によって用紙Sを一旦停止させる。これにより、用紙Sの斜行を補正する。その後、駆動制御部156は、レジストローラー120を回転させるとともに搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0130】
ステップS118において、駆動制御部156は、レジストローラー120によって用紙Sを停止させることなく搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを搬送する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0131】
ステップS120において、駆動制御部166は、搬送ローラー110の搬送速度または傾きを制御して用紙の斜行を補正する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0132】
以上のように、本実施形態によれば、センサー130の検知結果に基づいてタブ紙の斜行も判定できる。このため、タブ紙が斜行した状態で搬送されている場合でもタブ紙の斜行を補正できる。
【0133】
なお、上述した説明では、用紙モードは、普通紙モードおよびタブ紙モードの2種類のいずれかに設定されたが、本実施形態はこれに限定されない。用紙モードは、3以上の種類のいずれかに設定されてもよい。
【0134】
次に、図9を参照して、本実施形態の搬送装置100における用紙モードの設定および設定される用紙モードに応じた閾値を説明する。図9(a)は、本実施形態の搬送装置100における用紙モードの設定を示す模式図である。図9(b)は、本実施形態の搬送装置100における用紙モードに応じた閾値情報を示す図である。図9(a)および図9(b)は、厚紙モードが追加された点を除いて図3(a)および図3(b)を参照して上述した説明と同様であり、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0135】
図9(a)に示すように、搬送装置100は、用紙モードを普通紙モード、タブ紙モードおよび厚紙モードのいずれかに設定できる。図9(a)に示すように、表示部142および入力部144がタッチパネルである場合、普通紙モードのアイコンがタッチされると、普通紙モードに設定される。タブ紙モードのアイコンがタッチされると、タブ紙モードに設定される。また、厚紙モードのアイコンがタッチされると、厚紙モードに設定される。
【0136】
普通紙モードは、普通紙の搬送に適したモードである。ただし、普通紙モードに設定された場合でも普通紙以外の用紙が搬送されることがある。例えば、普通紙モードに設定された場合でもタブ紙または厚紙が搬送されることがある。
【0137】
タブ紙モードは、タブ紙の搬送に適したモードである。ただし、タブ紙モードに設定された場合でもタブ紙以外の用紙が搬送されることがある。例えば、タブ紙モードに設定された場合でも普通紙または厚紙が搬送されることがある。
【0138】
厚紙モードは、厚紙の搬送に適したモードである。ただし、厚紙モードに設定された場合でもタブ紙以外の用紙が搬送されることがある。例えば、厚紙モードに設定された場合でも普通紙またはタブ紙が搬送されることがある。
【0139】
用紙が正常または斜行して搬送されているか、あるいは、用紙がタブ紙であるかの判定は、閾値情報を用いて行われる。なお、普通紙モード、タブ紙モードおよび厚紙モードで用いられる閾値情報は、同じではない。
【0140】
図9(b)に示すように、記憶部170は、第1閾値情報および第2閾値情報を記憶する。第1閾値情報は、用紙が正常または斜行して搬送されているかを判定する際の基準となる。第2閾値情報は、用紙が斜行して搬送されているか、あるいは、用紙がタブ紙であるかを判定する際の基準となる。
【0141】
厚紙モードにおいて、第1閾値情報は、第1閾値a3を示す。第1閾値a3は、用紙が正常に搬送されているか斜行して搬送されているかを判定するために用いられる。時間差が第1閾値a3未満である場合、用紙Sが正常に搬送されている(斜行して搬送されていない)と判定される。
【0142】
厚紙モードにおいて、第2閾値情報は、第2閾値b3を示す。ここでは、第2閾値b3は、第1閾値a3よりも大きい(a3<b3)。第2閾値b3は、用紙が斜行して搬送されているかタブ紙であるかを判定するために用いられる。時間差が第2閾値b3よりも大きい場合、用紙Sがタブ紙であると判定される。また、時間差が第1閾値a3以上第2閾値b3以下である場合、用紙Sが斜行して搬送されていると判定される。
【0143】
ここでは、厚紙モードにおける第1閾値a3は、普通紙モードにおける第1閾値a1および/またはタブ紙モードにおける第1閾値a2と等しい。
【0144】
また、厚紙モードにおける第2閾値b3は、普通紙モードにおける第2閾値b1よりも小さく、タブ紙モードにおける第2閾値b2よりも大きい。これにより、厚紙モードでは、普通紙モードと比べて、時間差が比較的短くてもタブ紙が搬送されていると判定する。また、厚紙モードでは、タブ紙モードと比べると、時間差が比較的短いときにはタブ紙ではなく用紙の斜行と判定する。
【0145】
次に、図10を参照して、用紙通過の時間差と搬送状態との関係を説明する。図10は、用紙通過の時間差と搬送状態との関係を示す図である。図10は、厚紙モードが追加された点を除いて図5を参照して上述した説明と同様であり、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0146】
図10に示すように、厚紙モードである場合、用紙通過の時間差が0以上第1閾値a3未満の範囲内であると、搬送状態判定部164は、正常搬送状態と判定する。用紙通過の時間差が第1閾値a3以上第2閾値b3未満の範囲内であると、搬送状態判定部164は、斜行搬送状態と判定する。さらに、用紙通過の時間差が第2閾値b3以上である場合、搬送状態判定部164は、タブ紙搬送状態と判定する。
【0147】
ここでは、厚紙モードで用いられた第2閾値b3は、普通紙モードで用いられた第2閾値b1およびタブ紙モードで用いられた第2閾値b2とはそれぞれ異なる。第2閾値b3の値は、第2閾値b1よりも小さいが、第2閾値b2よりも大きい。このため、用紙通過の時間差がある値を示す場合に、普通紙モードでは、斜行搬送状態と判定される場合でも、厚紙モードでは、タブ紙搬送状態と判定されることがある。また、用紙通過の時間差が別の値を示す場合に、厚紙モードでは、斜行搬送状態と判定される場合でも、タブ紙モードでは、タブ紙搬送状態と判定されることがある。
【0148】
このように、用紙モードの設定状態に応じて用紙の搬送状態を精度よく判定できる。このため、用紙Sを効率的に搬送できる。
【0149】
次に、図11を参照して、本実施形態の搬送装置100による用紙搬送のためのフローを説明する。図11は、実施形態の搬送装置100による用紙搬送のためのフローチャートである。なお、図11のフローチャートは、厚紙モードが追加された点を除いて、図6を参照して上述したフローチャートと同様であり、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0150】
図11に示すように、ステップS102において、搬送状態判定部164は用紙モードを判定する。搬送状態判定部164は、普通紙モード、タブ紙モードおよび厚紙モードのいずれであるか判定する。普通紙モードに設定されている場合、処理はステップS104に進む。厚紙モードに設定されている場合、処理は、ステップS105に進む。タブ紙モードに設定されている場合、処理は、ステップS106に進む。
【0151】
ステップS104において、普通紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170から普通紙モードの閾値情報を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0152】
ステップS105において、厚紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170から厚紙モードの閾値情報を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0153】
ステップS106において、タブ紙モードの閾値情報を設定する。記憶部170からタブ紙モードの閾値情報を読み出す。その後、処理は、ステップS108に進む。
【0154】
ステップS108において、駆動制御部156は、搬送ローラー110を回転させるように搬送ローラー110を駆動して用紙Sの搬送を開始する。その後、処理は、ステップS110に進む。
【0155】
ステップS110において、センサー130は、用紙Sを検知する。例えば、第1センサー130aおよび第2センサー130bは、用紙Sが検知領域を通過するタイミングを検知し、第1センサー130aおよび第2センサー130bによって用紙Sの通過した時間差を取得する。処理は、ステップS112に進む。
【0156】
ステップS112において、搬送状態判定部164は、センサー130によって検知された検知結果および閾値情報に基づいて、用紙Sの搬送状態を判定する。厚紙モードに設定されている場合、搬送状態判定部164は、センサー130によって取得された時間差に対して、厚紙モードの閾値情報を基準として用紙Sの搬送状態を判定する。
【0157】
搬送状態判定部164が、用紙Sの搬送状態を正常搬送状態と判定した場合、処理は、ステップS114に進む。搬送状態判定部164が、用紙Sの搬送状態を斜行搬送状態と判定した場合、処理は、ステップS116に進む。搬送状態判定部164が、用紙Sの搬送状態をタブ紙搬送状態と判定した場合、処理は、ステップS118に進む。
【0158】
ステップS114において、駆動制御部156は、レジストローラー120によって用紙Sを停止させることなく搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを搬送する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0159】
ステップS116において、駆動制御部156は、搬送ローラー110を回転させて用紙Sがレジストローラー120まで到達すると、レジストローラー120によって用紙Sを一旦停止させる。これにより、用紙Sの斜行を補正できる。その後、駆動制御部156は、レジストローラー120を回転させるとともに搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0160】
ステップS118において、駆動制御部156は、レジストローラー120によって用紙Sを停止させることなく搬送ローラー110の回転を継続して用紙Sを搬送する。用紙Sが終点まで搬送されると、処理は終了する。
【0161】
本実施形態によれば、厚紙モードに設定される場合にも、斜行搬送状態およびタブ紙搬送状態を精度よく判定できる。このため、用紙Sを効率的に搬送できる。
【0162】
なお、図1に示した画像形成装置200は、電子写真方式であったが、本実施形態はこれに限定されない。画像形成装置200は、他の方式であってもよい。例えば、画像形成装置200は、インクジェット方式であってもよい。
【0163】
なお、図1では、搬送装置100は、画像形成装置200の画像形成部220において用紙を搬送するために用いられたが、本実施形態はこれに限定されない。搬送装置100は、画像読取機構に原稿を搬送するために用いられてもよい。
【0164】
次に、図12を参照して、本実施形態の画像形成装置200を説明する。図12は、本実施形態の画像形成装置200の模式図である。なお、図12の画像形成装置200は、画像読取部290をさらに備える点を除いて、図1を参照して上述した画像形成装置200と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0165】
図12に示すように、画像形成装置200は、用紙収容部210、画像形成部220、制御装置260、記憶装置270および通信部280に加えて画像読取部290をさらに備える。画像読取部290は、画像を読み取る。例えば、画像読取部290は、原稿Rの画像を読み取る。原稿Rは、例えば、普通紙、再生紙、薄紙、厚紙またはコート紙である。原稿Rは、記録媒体の一例である。
【0166】
画像読取部290は、搬送装置100Aと、原稿台292と、プラテンカバー294と、読取部296とを有する。原稿台292は、略直方体形状である。原稿は、原稿台292に配置される。
【0167】
読取部296は、原稿を読み取って画像データを生成する。読取部296は、原稿台292に配置された原稿を読み取って画像データを生成する。読取部296は、原稿台292の内部に配置される。
【0168】
プラテンカバー294は、薄い略直方体形状を有する。プラテンカバー294は、原稿台292の上側に配置される。プラテンカバー294は、原稿台292に対して開閉可能である。プラテンカバー294は、原稿Rを載置するためのテーブル294aと、排出領域294bとを有する。
【0169】
搬送装置100Aは、プラテンカバー294に設置される。搬送装置100Aは、テーブル294aに載置された原稿Rを排出領域294bまで搬送する。搬送装置100Aは、自動原稿搬送機(Auto Document Feeder:ADF)として機能する。
【0170】
搬送装置100Aは、搬送ローラー110Aと、レジストローラー120Aと、センサー130Aとを備える。搬送ローラー110A、レジストローラー120Aおよびセンサー130Aは、搬送装置100の搬送ローラー110と、レジストローラー120と、センサー130と同様の構成を有する。なお、搬送ローラー110Aは、給送ローラー110bを含む。
【0171】
搬送ローラー110A、レジストローラー120A、センサー130Aは、プラテンカバー294の内部に配置される。搬送ローラー110Aは、原稿Rの搬送路を形成する。搬送路の途中において、原稿Rは、読取部296と対向する。読取部296は、搬送路に沿って搬送される原稿Rの画像を読み取り、読み取った画像を示す画像データを生成する。
【0172】
上述したように、本実施形態の画像形成装置200では、搬送装置100は、画像形成部220に用紙Sを搬送する。また、本実施形態の画像形成装置200では、搬送装置100Aは、画像読取部290に画像を読み取られる原稿Rを搬送するために用いられる。
【0173】
次に、図13を参照して、本実施形態の画像形成装置200を説明する。図13は、画像形成装置200のブロック図である。
【0174】
図13に示すように、制御装置260は、第1制御部160aと、第2制御部160bと、装置制御部260Aとを含む。第1制御部160aは、画像形成部220に用紙Sを搬送するための搬送装置100の動作を制御する。第2制御部160bは、画像読取部290に用紙Sを搬送するための搬送装置100の動作を制御する。第1制御部160aおよび第2制御部160bは、それぞれ、モード設定部162と、搬送状態判定部164と、駆動制御部166とを含む。モード設定部162と、搬送状態判定部164と、駆動制御部166は、上述の説明と同様に動作するため、ここでは、説明を省略する。第1制御部160aおよび第2制御部160bのそれぞれにおいて、モード設定部162、搬送状態判定部164および駆動制御部166は、制御部160が記憶部170に記憶されたコンピュータープログラムを実行することによって具現化される。
【0175】
なお、図12および図13を参照した説明では、画像形成装置200において、本実施形態の搬送装置100が画像形成部220に用紙Sを搬送し、本実施形態の搬送装置100Aが原稿Rを画像読取部290に搬送したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の搬送装置は、原稿Rを画像読取に搬送するために用いられてもよい。すなわち、本実施形態の搬送装置は、画像読取装置に用いられてもよい。
【0176】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0178】
100 搬送装置
110 搬送ローラー
120 レジストローラー
130 センサー
160 制御部
200 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13