(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】画像分割回路及び電気光学装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20241001BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G09G3/20 633P
G09G3/20 611F
G09G3/20 612K
G09G3/20 612T
G09G3/20 621A
G09G3/20 621E
G09G3/20 631M
H04N5/66 B
(21)【出願番号】P 2020195825
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 泰俊
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-197693(JP,A)
【文献】特開2004-294973(JP,A)
【文献】特開2008-170468(JP,A)
【文献】特開2009-217117(JP,A)
【文献】特開2002-278492(JP,A)
【文献】特開2007-183542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0186359(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0141204(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133
G09F 9/00-9/46
G09G 3/00-3/38
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが入力される
入力インターフェース回路と、
前記入力画像データを、第1~第nチャネル用の第1~第n出力画像データに分割する
画像データ分割回路と、
前記第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有する出力
インターフェース回路と、
を含み、
前記nは3以上の整数であり、前記HTは前記nの整数倍ではなく、
前記第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路(iは1以上n以下の整
数)は、
前記第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少
なくとも一方が可変に調整された、前記第1~第n出力画像データの第i出力画像データ
を、出力
し、
前記第iチャネル用出力回路は、
前記第iチャネルにおけるブランキング期間を含めた総画素数の時間平均が(HT×V
T)/nとなるように、前記第iチャネルにおける前記水平総画素数又は前記垂直総ライ
ン数の少なくとも一方が可変に調整された前記第i出力画像データを出力することを特徴
とする画像分割回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記入力インターフェース回路は、
前記入力画像データの画素クロック信号である第1クロック信号と、受信した前記入力
画像データと、を出力し、
前記第1~第nチャネル用出力回路は、
前記第1クロック信号の周波数の1/n倍の周波数を有する第2クロック信号を、画素
クロック信号として、前記第1~第n出力画像データを出力することを特徴とする画像分
割回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1クロック信号の周波数を1/n分周することで前記第2クロック信号を出力す
る分周回路を含むことを特徴とする画像分割回路。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一項において、
前記第iチャネルにおける前記水平総画素数又は前記垂直総ライン数の少なくとも一方
を可変に調整する調整回路を含むことを特徴とする画像分割回路。
【請求項5】
水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが入力される
入力インターフェース回路と、
前記入力画像データを、第1~第nチャネル用(nは3以上の整数で、前記HTは前記
nの整数倍ではない)の第1~第n出力画像データに分割する画像データ分割回路と、
前記第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有し、前記
第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路(iは1以上n以下の整数)は
、 前記第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の
少なくとも一方が可変に調整された、前記第1~第n出力画像データの第i出力画像デー
タを出力する出力インターフェース回路と、
前記第iチャネルにおける前記水平総画素数又は前記垂直総ライン数の少なくとも一方
を可変に調整する調整回路と、
を含み、
前記入力インターフェース回路におけるデータ入力レートと、前記出力インターフェー
ス回路におけるデータ出力レートとの差を吸収する速度差吸収バッファー回路を含むこと
を特徴とする画像分割回路。
【請求項6】
水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが入力される
入力インターフェース回路と、
前記入力画像データを、第1~第nチャネル用(nは3以上の整数で、前記HTは前記
nの整数倍ではない)の第1~第n出力画像データに分割する画像データ分割回路と、
前記第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有し、前記
第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路(iは1以上n以下の整数)は
、 前記第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の
少なくとも一方が可変に調整された、前記第1~第n出力画像データの第i出力画像デー
タを出力する出力インターフェース回路と、
前記第iチャネルにおけるn×kライン(kは1以上の整数)の前記水平総画素数の平
均が、HT/nとなるように、前記水平総画素数を調整する
調整回路と、
を含むことを特徴とする画像分割回路。
【請求項7】
水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが入力される
入力インターフェース回路と、
前記入力画像データを、第1~第nチャネル用(nは3以上の整数で、前記HTは前記
nの整数倍ではない)の第1~第n出力画像データに分割する画像データ分割回路と、
前記第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有し、前記
第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路(iは1以上n以下の整数)は
、 前記第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の
少なくとも一方が可変に調整された、前記第1~第n出力画像データの第i出力画像デー
タを出力する出力インターフェース回路と、
を含み、
前記第iチャネルにおいて、1フレームにおけるVT-sライン(sは1以上の整数)
の前記水平総画素数を共通の設定値に設定し、特定のsラインの前記水平総画素数を前記
設定値と異なる値に設定する
調整回路と、
を含むことを特徴とする画像分割回路。
【請求項8】
請求項
4又は
5において、
前記調整回路は、
前記第iチャネルにおいて、第1フレームの前記垂直総ライン数と第2フレームの前記
垂直総ライン数が異なるように、前記垂直総ライン数を調整することを特徴とする画像分
割回路。
【請求項9】
水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが入力される
入力インターフェース回路と、
前記入力画像データを、第1~第nチャネル用(nは3以上の整数で、前記HTは前記
nの整数倍ではない)の第1~第n出力画像データに分割する画像データ分割回路と、
前記第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有し、前記
第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路(iは1以上n以下の整数)は
、前記第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少
なくとも一方が可変に調整された、前記第1~第n出力画像データの第i出力画像データ
を、出力する出力インターフェース回路と、
前記第iチャネルにおいて、第1フレームの前記水平総画素数を第1設定値に設定し、
第2フレームの前記水平総画素数を、前記第1設定値とは異なる第2設定値に設定する調
整回路と、
を含み、
前記調整回路は、
前記第iチャネルにおけるn×kフレーム(kは1以上の整数)の前記水平総画素数の
平均が、HT/nとなるように、前記水平総画素数を調整することを特徴とする画像分割
回路。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか一項に記載された画像分割回路と、
電気光学パネルと、
前記画像分割回路が出力した前記第1~第n出力画像データに基づいて前記電気光学パ
ネルを駆動する第1~第n表示ドライバーと、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分割回路及び電気光学装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはディスプレイ装置の駆動方法が開示されている。この駆動方法は、デジタル映像信号とパネルイネーブル信号とドットクロック信号と水平同期信号とを受信し、パネルイネーブル信号とドットクロック信号を用いて水平解像度を検出し、パネルイネーブル信号と水平同期信号を用いて垂直解像度を検出し、検出した水平解像度と垂直解像度を基に最適な映像処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気光学パネルの水平解像度が高い場合等において、その電気光学パネルを2つの表示ドライバーで駆動する手法がある。このとき、入力画像データは、2つの表示ドライバーの各々に対応した2つの出力画像データに分割される。入力画像データの水平総画素数は、通常、2の倍数であることから、入力画像データの水平総画素数の1/2が、出力画像データの水平総画素数となる。
【0005】
電気光学パネルの水平解像度が更に高い場合等においては、その電気光学パネルを3以上のn個の表示ドライバーで駆動する手法が考えられる。しかし、入力画像データの水平総画素数がnの倍数でない場合には、入力画像データの水平総画素数の1/nを、出力画像データの水平総画素数とすることができない。そうすると、入力画像データと出力画像データで水平走査期間の長さが異なるため、1フレームの長さも異なることになり、入力と出力のフレームレートが同期せず、表示異常が発生するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが入力される入力インターフェース回路と、前記入力画像データを、第1~第nチャネル用の第1~第n出力画像データに分割する画像データ分割回路と、前記第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有する出力インターフェース回路と、を含み、前記nは3以上の整数であり、前記HTは前記nの整数倍ではなく、前記第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路(iは1以上n以下の整数)は、前記第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整された、前記第1~第n出力画像データの第i出力画像データを、出力する画像分割回路に関係する。
【0007】
また本開示の他の態様は、上記に記載された画像分割回路と、電気光学パネルと、前記画像分割回路が出力した前記第1~第n出力画像データに基づいて前記電気光学パネルを駆動する第1~第n表示ドライバーと、を含む電気光学装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像分割回路、電気光学装置及び表示システムの構成例。
【
図3】本実施形態の手法を用いない場合の画像データ分割の例。
【
図4】本実施形態の手法を用いない場合の画像データ分割の例。
【
図17】第1手法の処理手順を示すフローチャート。
【
図18】第2手法の処理手順を示すフローチャート。
【
図19】第3手法の処理手順を示すフローチャート。
【
図20】第4手法の処理手順を示すフローチャート。
【
図21】第5手法の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.画像分割回路、電気光学装置及び表示システム
図1は、画像分割回路100、電気光学装置20及び表示システム10の構成例である。表示システム10は、処理装置300と電気光学装置20とを含む。電気光学装置20は、画像分割回路100と表示ドライバー210、220、230と電気光学パネル200とを含む。なお、
図1では3つの表示ドライバー210、220、230が電気光学パネル200を駆動する例を説明するが、第1~第n表示ドライバーが電気光学パネル200を駆動してもよい。nは3以上の整数である。
【0011】
電気光学パネル200は、2次元マトリックス状の画素アレイが配置された表示パネルであり、各画素の光透過又は発光等が制御されることで、画素アレイに画像を表示する。電気光学パネル200は、例えば液晶表示パネル又はELパネル等である。ELは、Electro Luminescenceの略である。
【0012】
表示ドライバー210、220、230は、画像分割回路100から受信した画像データとタイミング制御信号に基づいて、電気光学パネル200を駆動する。タイミング制御信号は、画像インターフェース規格に応じて様々であるが、例えば垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号である。表示ドライバー210、220、230の各々は、半導体基板上に回路素子が集積された集積回路装置である。表示ドライバー210、220、230の各々は、表示コントローラーを内蔵しており、ドライバーの回路と表示コントローラーの回路とが1つの集積回路装置に集積されている。なお、ドライバーの回路と表示コントローラーの回路とが別個の集積回路装置として構成されてもよい。或いは、画像分割回路100と表示コントローラーの回路とが1つの集積回路装置に集積されてもよい。
【0013】
処理装置300は、画像分割回路100に対して画像データとタイミング制御信号を送信する。タイミング制御信号は、画像インターフェース規格に応じて様々であるが、例えば垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号である。処理装置300は、SoC又はECU等であり、CPU等のプロセッサーにより構成されてもよいし、或いは複数の回路部品が回路基板に実装された処理モジュールにより構成されてもよい。SoCはSystem on Chipの略であり、ECUはElectronic Control Unitの略であり、CPUはCentral Processing Unitの略である。
【0014】
画像分割回路100は、処理装置300から受信した入力画像データPDINを出力画像データPDQ1~PDQ3に3分割し、出力画像データPDQ1を表示ドライバー210に送信し、出力画像データPDQ2を表示ドライバー220に送信し、出力画像データPDQ3を表示ドライバー230に送信する。なお、第1~第n表示ドライバーが設けられる場合には、画像分割回路100は入力画像データPDINを第1~第n出力画像データにn分割する。
【0015】
画像分割回路100は、入力インターフェース回路110と処理回路120と出力インターフェース回路130と分周回路140とを含む。画像分割回路100は、半導体基板上に回路素子が集積された集積回路装置である。
【0016】
入力インターフェース回路110は、処理装置300から送信される画像インターフェース信号を受信し、その受信した画像インターフェース信号から入力画像データPDINとタイミング制御信号を取得する。例えば、タイミング制御信号が垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号であるとき、入力画像データPDIN、垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号の各々が専用信号線により伝送されてもよい。この場合、入力インターフェース回路110は、専用信号線により伝送された入力画像データPDIN及び各信号を取得する。或いは、垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号の一部又は全部が入力画像データPDINに埋め込まれて伝送されてもよい。この場合、入力インターフェース回路110は、入力画像データPDINに埋め込まれた垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号の一部又は全部を抽出する。入力インターフェース回路110は、取得した入力画像データPDINとタイミング制御信号を処理回路120に出力し、画素クロック信号CKPINを分周回路140に出力する。画素クロック信号CKPINを第1クロック信号とも呼ぶ。
【0017】
入力インターフェース回路110は、様々な画像インターフェース規格のインターフェース回路であってよく、例えばLVDS、DVI、ディスプレイポート、GMSL又はGVIF等のインターフェース回路であってよい。LVDSはLow voltage differential signalingの略であり、DVIはDigital Visual Interfaceの略であり、GMSLはGigabit Multimedia Serial Linkであり、GVIFはGigabit Video InterFaceの略である。LVDSには様々な規格が存在するが、例えば、4対のデータ用差動信号線と1対のクロック用差動信号線を用いるopenLDIを採用できる。OpenLDIはOpen LVDS Display Interfaceの略である。
【0018】
処理回路120は、入力画像データPDINを出力画像データPDQ1~PDQ3に3分割する画像データ分割回路121を含む。また、処理回路120は、速度差吸収バッファー回路122と調整回路123とを含む。速度差吸収バッファー回路122は、入力画像データPDINを一時的にバッファリングすることで、入力画像データPDINの入力レートと出力画像データPDQ1~PDQ3の出力レートとの速度差を吸収する。調整回路123は、ブランキング期間を含めた出力画像データPDQ1~PDQ3の水平総画素数又は垂直総画素数の少なくとも一方を調整することで、入力画像データPDINのフレームレートと出力画像データPDQ1~PDQ3のフレームレートを同期させる。これらの処理の詳細については後述する。
【0019】
画像データ分割回路121と調整回路123はロジック回路である。これらのロジック回路は、例えば個々の回路として構成されてもよいし、或いは自動配置配線等により一体化された回路として構成されてもよい。また、これらのロジック回路の一部又は全部が、DSP等のプロセッサーにより実現されてもよい。DSPはDigital Signal Processorの略である。この場合、各回路の機能が記述されたプログラムや命令セットがメモリーに記憶され、そのプログラムや命令セットをプロセッサーが実行することで、各回路の機能が実現される。速度差吸収バッファー回路122は、RAM等の半導体メモリー、又はラッチ回路等によるレジスターである。
【0020】
分周回路140は、画素クロック信号CKPINの周波数を1/3分周した画素クロック信号CKPQを生成し、その画素クロック信号CKPQを出力インターフェース回路130に出力する。画素クロック信号CKPINは、その1パルスと、入力画像データPDINの1画素とが対応するようなクロック信号であり、画素クロック信号CKPQは、その1パルスと、出力画像データPDQ1~PDQ3の1画素とが対応するようなクロック信号である。画素クロック信号CKPQを第2クロック信号とも呼ぶ。
【0021】
出力インターフェース回路130は、出力画像データPDQ1を表示ドライバー210に出力する第1チャネル用出力回路131と、出力画像データPDQ2を表示ドライバー220に出力する第2チャネル用出力回路132と、出力画像データPDQ3を表示ドライバー230に出力する第3チャネル用出力回路133とを含む。
【0022】
具体的には、第1チャネル用出力回路131は、出力画像データPDQ1と画素クロック信号CKPQに基づいて、出力画像データPDQ1を送信するための画像インターフェース信号を生成し、その画像インターフェース信号を表示ドライバー210に送信する。第1チャネル用出力回路131は、出力画像データPDQ1、垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号の各々を専用信号線により送信してもよい。或いは、第1チャネル用出力回路131は、垂直同期信号、水平同期信号及び画素クロック信号の一部又は全部を出力画像データPDQ1に埋め込んで送信してもよい。ここでは第1チャネル用出力回路131の動作を説明したが、第2チャネル用出力回路132と第3チャネル用出力回路133の動作も同様である。
【0023】
第1~第3チャネル用出力回路131~133は、様々な画像インターフェース規格のインターフェース回路であってよく、例えばLVDS、DVI、ディスプレイポート、GMSL又はGVIF等のインターフェース回路であってよい。第1~第3チャネル用出力回路131~133のインターフェース規格と、入力インターフェース回路110のインターフェース規格は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0024】
2.画像データ分割
図2は、画像データ分割を説明する図である。左図に波形図を示し、右図に電気光学パネル200の画素アレイを示す。
【0025】
右図において1つの四角形が1画素を示す。第1ラインと第2ラインに画素の番号を付している。画素アレイ全体における水平走査方向の画素数を12とし、垂直走査方向の画素数を11とする。画素アレイを3つの領域AR1~AR3に分割し、各領域における水平走査方向の画素数が4であり、垂直走査方向の画素数が11であるとする。このとき、表示ドライバー210は画素アレイの領域AR1を駆動し、表示ドライバー220は画素アレイの領域AR2を駆動し、表示ドライバー230は画素アレイの領域AR3を駆動する。
【0026】
画像データ分割回路121は、画素アレイ全体に対応した入力画像データPDINを、領域AR1~AR3に対応した出力画像データPDQ1~PDQ3に分割する。左図に示すように、入力側において、画素クロック信号CKPINの1パルスにつき1画素のデータが対応する。入力画像データPDINの波形に付した数字は、右図の画素に付した数字に対応する。波形には1、2、・・・、12を記載しているが、この後、13、14、・・・と続く。画像データ分割回路121は、画素1、2、3、4、13、14、・・・のデータを出力画像データPDQ1とし、画素5、6、7、8、17、18、・・・のデータを出力画像データPDQ2とし、画素9、10、11、12、21、22、・・・のデータを出力画像データPDQ3とする。出力側において、画素クロック信号CKPQの1パルスにつき1画素のデータが対応する。画素クロック信号CKPQの周波数は、画素クロック信号CKPINの周波数の1/3なので、画素の表示期間を対比すると入力画像データPDINの3画素に対して、出力画像データPDQ1の1画素が対応する。出力画像データPDQ2、PDQ3についても同様である。
【0027】
図2では、入力画像データPDINの1ラインの画素数は12であり、3で割り切れる。即ち、出力画像データPDQ1の1ラインの画素数を12/3=4とできる。この場合、入力側と出力側で水平走査期間の長さは同じになるので、フレームレートも同じになり、入力側と出力側でフレームレートが同期する。しかし、入力画像データPDINの1ラインの画素数が3で割り切れない場合には、入力側と出力側でフレームレートが同期しないので、表示異常の原因となる。この点について、
図3と
図4を用いて説明する。
【0028】
図3と
図4は、本実施形態の手法を用いない場合の画像データ分割の例である。以下では、主に画素数とライン数を用いて説明するが、画素数とライン数は期間に置き換えることが可能である。即ち、
図2で説明したように、1画素と画素クロックの1パルスとが対応することから、画素数と、画素クロックのパルス数により決まる期間の長さとが同義である。同様に、1ラインは、その画素数から、水平走査期間の長さと同義である。
【0029】
図2では、アクティブ期間の画素、即ち画像データが存在するアクティブ画素のみを考えたが、実際にはフレームはブランキング期間とアクティブ期間を含んでいる。
図3の左図に示すように、入力画像データPDINの1フレームの総画素数をHT×VTとし、アクティブ画素数をHA×VAとする。
図3では、アクティブ画素をハッチングで示す。ハッチングが付されない領域がブランキング期間に相当する。ブランキング期間には有効画素は存在しないが、上述のように期間を画素数に換算して考えることができる。
【0030】
HTは、水平総画素数であり、ブランキング期間を含む水平走査方向の総画素数を意味する。水平総画素数はホライズンタルトータルとも呼ばれる。HAは、水平アクティブ画素数であり、HT-HAが水平ブランキング期間の画素数になる。タイミング制御情報としては、例えば、水平総画素数HTと水平フロントポーチ期間の画素数と水平アクティブ画素数HAとが設定される。水平フロントポーチ期間は、1ラインにおいてアクティブ期間の前のブランキング期間を意味する。
【0031】
VTは、垂直総ライン数であり、ブランキング期間を含む1フレームの総ライン数を意味する。垂直総ライン数はバーティカルトータルとも呼ばれる。VAは、垂直アクティブライン数であり、VT-VAが垂直ブランキング期間のライン数になる。タイミング制御情報としては、例えば、垂直総ライン数VTと垂直フロントポーチ期間のライン数と垂直アクティブライン数VAとが設定される。垂直フロントポーチ期間は、1垂直走査期間において、アクティブラインの前のブランキング期間を意味する。
【0032】
図3には、一例としてフルHDの画像データにおける画素数を示す。フルHDにおいてHA=1920、VA=1080である。また、HT=2200、VT=1125に設定されるのが一般的である。
【0033】
図3の右図は、画像分割後の出力画像データである。チャネルCh1~Ch3は出力画像データPDQ1~PDQ3に相当する。垂直総ライン数VTQ=1125と垂直アクティブライン数VA=1080は、入力画像データと同じである。チャネルCh1~Ch3の水平アクティブ画素数をHA1~HA3とする。
図3には、入力側の水平アクティブ画素数HA=1920を3等分し、HA1=HA2=HA3=640とした例を示す。但し、HA1+HA2+HA3=HAを満たしていれば、HA1とHA2とHA3は異なってもよい。
【0034】
チャネルCh1~Ch3の水平総画素数をHT1~HT3とする。入力側の水平総画素数HT=2200を3等分すると、HT1=HT2=HT3=2200/3=733.33である。しかし、水平総画素数は整数なので、HT1=HT2=HT3=733又は734にしかできない。この場合、733×3≠2200、734×3≠2200なので、いずれも入力側と出力側で水平走査期間の長さが異なり、フレームレートが同期しないことになる。なお、
図3には、HT1=HT2=HT3=733とした例を示す。
【0035】
図4は、フレームレートが同期しないことを説明する図である。
図4の出力画像データは1チャネル分であり、チャネルCh1~Ch3のいずれでもよい。入力画像データの画素数を基準に考えると、1ライン当たり2200-733×3=1画素分だけ、出力側の水平走査期間が短い。1フレーム1125ラインなので、1フレームでは1125画素だけ出力側のフレームが短くなり、1フレーム当たり1125画素分ずつ、入力と出力の垂直同期がずれていくことになる。
【0036】
以上に説明したように、水平総画素数HTが出力のチャネル数nで割り切れない場合、入力と出力でフレームレートが一致しないという課題がある。フレームレートが一致しない、即ち垂直同期がとれていないと、データ転送又は画像表示が正常に行われないため、表示異常が発生してしまう。
【0037】
3.本実施形態の手法
図5と
図6は、本実施形態の第1手法を説明する図である。
図5には、画像分割後の出力画像データを示す。入力画像データは
図3と同様である。
【0038】
画像データ分割回路121は、入力画像データにおける1920×1080のアクティブ画素の画像データを、出力画像データにおける1チャネル当たり640×1080のアクティブ画素の画像データに分割する。なお、上述したように、チャネルCh1~Ch3の水平アクティブ画素数HA1~HA3は異なってもよい。
【0039】
調整回路123は、チャネルCh1~Ch3の水平総画素数HT1~HT3を各ラインにおいて可変に設定する。チャネルCh1を例にとると、調整回路123はHT1=733のラインとHT1=734のラインを2:1の割合で設けることで、時間平均においてHT1=(733×2+734)/3=733.33となるようにする。例えば、3ライン周期でHT1=733、733、734が繰り返される。但し、3ライン周期である必要はなく、例えば6ライン周期でHT1=733、733、733、733、734、734としてもよい。チャネルCh1~Ch3の同一ラインにおいてHT1=HT2=HT3である必要はない。例えば、第1、第2、第3ラインにおいて(HT1,HT2,HT3)=(733,733,734)、(733,734,733)、(734,733,733)等としてもよい。
【0040】
調整回路123は、水平総画素数HT1~HT3そのものを制御してもよいし、各チャネルの水平ブランキング期間を制御してもよい。例えばチャネルCh1においてHT1-HA1が水平ブランキング期間の画素数であることを考慮すれば、水平総画素数HT1を制御することと水平ブランキング期間を制御することとは等価であると言える。チャネルCh2、Ch3についても同様である。
【0041】
図6に示すように、3ライン分の水平走査期間を考えると、2200×3=(733+733+734)×3となり、入力と出力で3ライン分の水平走査期間が一致する。垂直総ライン数VT=1125の場合にはVTが3で割り切れるため、入力と出力でフレームの長さが一致し、1フレーム毎に垂直同期がとれる。VTが3で割り切れない場合であっても、3の倍数のフレーム毎に垂直同期がとれるので、時間平均として見れば入力と出力でフレームレートが一致する。
【0042】
以上に説明した本実施形態では、画像分割回路100は、入力インターフェース回路110と画像データ分割回路121と出力インターフェース回路130とを含む。入力インターフェース回路110は、水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データPDINが入力される。画像データ分割回路121は、入力画像データPDINを、第1~第nチャネル用の第1~第n出力画像データに分割する。出力インターフェース回路130は、第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有する。nは3以上の整数であり、HTはnの整数倍ではない。第iチャネル用出力回路は、第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方が可変に調整された第i出力画像データを出力する。iは1以上n以下の整数である。
【0043】
なお、
図1~
図6ではn=3の例を説明した。出力画像データPDQ1~PDQ3が第1~第n出力画像データに対応し、第1~第3チャネル用出力回路131~133が第1~第nチャネル用出力回路に対応する。また第1手法では水平総画素数HTiが調整される例を説明したが、第3手法で後述するように垂直総ライン数VTQが調整されてもよい。
【0044】
本実施形態によれば、入力側の水平総画素数HTがnの整数倍でない場合であっても、第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方が可変に調整されることで、入力側と出力側のフレームレートを時間平均において一致させることができる。これにより、入力インターフェース回路110のデータ入力レートと出力インターフェース回路130のデータ出力レートとが時間平均において一致するので、表示異常を防止できる。
【0045】
また本実施形態では、入力インターフェース回路110は、入力画像データPDINの画素クロック信号CKPINである第1クロック信号と、受信した入力画像データPDINと、を出力する。第1~第nチャネル用出力回路は、第1クロック信号の周波数の1/n倍の周波数を有する第2クロック信号を、画素クロック信号CKPQとして、第1~第n出力画像データを出力する。
【0046】
出力1チャネル当たりのデータ出力レートは、データ入力レートの1/nとなる必要がある。しかし、
図3と
図4で説明したように、入力側の水平総画素数HTがnの整数倍でない場合、出力側の1チャネル当たりの水平総画素数をHT/nにできないため、出力1チャネル当たりのデータ出力レートが、データ入力レートの1/nにならない。本実施形態によれば、第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方が可変に調整されることで、出力1チャネル当たりのデータ出力レートを、時間平均においてデータ入力レートの1/nにできる。これにより、nチャネル全体ではデータ出力レートがデータ入力レートに一致するので、入力と出力のフレームレートを一致させることができる。
【0047】
また本実施形態では、画像分割回路100は分周回路140を含む。分周回路140は、第1クロック信号の周波数を1/n分周することで第2クロック信号を出力する。
【0048】
本実施形態によれば、第1クロック信号である画素クロック信号CKPINの周波数が1/n倍された第2クロック信号が、画素クロック信号CKPQとして、第1~第nチャネル用出力回路に入力される。本実施形態では、出力1チャネル当たりのデータ出力レートを、時間平均においてデータ入力レートの1/nにできるので、上記第1、第2クロック信号を用いたデータ入出力において入力と出力のフレームレートを一致させることができる。
【0049】
また本実施形態では、ブランキング期間を含めた入力画像データPDINの総画素数をTNとする。このとき、第iチャネル用出力回路は、第iチャネルにおけるブランキング期間を含めた総画素数の時間平均が、TN/nとなるように、第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方が可変に調整された第i出力画像データPDQiを、出力する。
【0050】
入力側の総画素数はHT×VTであり、出力側の総画素数はHTi×VTQである。本実施形態によれば、水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方が可変に調整されることで、チャネル毎の総画素数の時間平均においてHTi×VTQ=(HT×VT)/nとなる。総画素数はフレームの長さに相当しており、時間平均においてHTi×VTQ=(HT×VT)/nとなることで、入力側と出力側のフレームレートが一致する。
【0051】
また本実施形態では、画像分割回路100は調整回路123を含む。調整回路123は、第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方を可変に調整する。
【0052】
なお、上述したように、水平総画素数HTiを制御することと水平ブランキング期間を制御することとは等価である。同様に、垂直総ライン数VTQを制御することと垂直ブランキング期間を制御することは等価である。このことから、調整回路123は、第iチャネルにおける水平ブランキング期間又は垂直ブランキング期間の少なくとも一方を可変に調整する、とも言える。
【0053】
本実施形態によれば、調整回路123が第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方を可変に調整することで、第iチャネル用出力回路が、第iチャネルにおける水平総画素数HTi又は垂直総ライン数VTQの少なくとも一方が可変に調整された第i出力画像データを出力できる。
【0054】
また本実施形態では、画像分割回路100は速度差吸収バッファー回路122を含む。速度差吸収バッファー回路122は、入力インターフェース回路110におけるデータ入力レートと、出力インターフェース回路130におけるデータ出力レートとの差を吸収する。なお、出力インターフェース回路130におけるデータ出力レートは、第1~第n出力画像データを全て合わせたデータの出力レートである。
【0055】
本実施形態では、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができるが、一時的にデータ入力レートとデータ出力レートの差が生じる。例えば、
図6では入力と出力で1~2画素分の差が一時的に生じる。本実施形態によれば、速度差吸収バッファー回路122が設けられたことで、一時的なデータ入力レートとデータ出力レートの差が吸収される。
【0056】
また本実施形態では、調整回路123は、第iチャネルにおいて、1フレーム内の第1ラインの水平総画素数HTiと第2ラインの水平総画素数HTiが異なるように、水平総画素数HTiを調整する。
【0057】
ここで、第1ラインは1フレーム内のラインのうち任意のラインであってよく、第2ラインは第1ラインの次のラインである。例えば、
図6において2ライン目を第1ライン、3ライン目を第2ラインとしたとき、第1ラインの水平総画素数はHTi=733であり、第2ラインの水平総画素数はHTi=734である。
【0058】
本実施形態によれば、1フレーム内において、異なる水平総画素数HTiのラインが混在するように、水平総画素数HTiが調整される。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0059】
また本実施形態では、調整回路123は、第iチャネルにおけるn×kライン(kは1以上の整数)の水平総画素数HTiの平均が、HT/nとなるように、水平総画素数HTiを調整する。
【0060】
例えば、
図6においてn=3、k=1、HT=2200であり、n×k=3ラインの水平総画素数HTiの平均が、(733+733+734)/3=2200/3となっている。
【0061】
本実施形態によれば、n×kラインの平均において、出力側の水平総画素数がHTi=HT/nとなる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートが一致する。
【0062】
図7と
図8は、本実施形態の第2手法を説明する図である。
図7には、画像分割後の出力画像データを示す。入力画像データは
図3と同様である。
【0063】
第2手法では、チャネルCh1~Ch3の水平総画素数はHT1=HT2=HT3=733又はHT1=HT2=HT3=734に固定される。
図7には、HT1=HT2=HT3=733の例を示す。調整回路123は、チャネルCh1~Ch3の垂直総ライン数VTQを各フレームにおいて可変に設定する。チャネルCh1においてHT1=733を例にとると、VTQ=1125のとき733×3×1125-2200×1125=-1125なので、入力側の画素数に換算して出力側のフレームが1125画素分短く、VTQ=1126のとき733×3×1126-2200×1125=1074なので、入力側の画素数に換算して出力側のフレームが1074画素分長い。調整回路123は、これらを組み合わせることで、時間平均においてフレームレートを一致させる。
【0064】
図8に示すように、出力画像データにおいて第1、第2フレームの垂直総ライン数を1125、1126としたとき、-1125+1074=-51なので、入力側の画素数に換算して、2フレームの長さは出力側の方が51画素分短い。しかし、多数のフレームにおいて適切に垂直総ライン数が設定されることで、時間平均においてフレームレートが一致する。具体的には、垂直総ライン数1125、1126のフレームを、1074:1125の割合で設ければよい。
【0065】
調整回路123は、垂直総ライン数VTQそのものを制御してもよいし、各チャネルの垂直ブランキング期間を制御してもよい。例えばチャネルCh1においてVTQ-VAが垂直ブランキング期間のライン数であることを考慮すれば、垂直総ライン数VTQを制御することと垂直ブランキング期間を制御することとは等価であると言える。チャネルCh2、Ch3についても同様である。
【0066】
以上に説明した本実施形態では、調整回路123は、第iチャネルにおいて、第1フレームの垂直総ライン数VTQと第2フレームの垂直総ライン数VTQが異なるように、垂直総ライン数VTQを調整する。
【0067】
ここで、第1フレームは任意のフレームであってよく、第2フレームは第1フレームの次のフレームである。例えば、
図8において1フレーム目を第1フレーム、2フレーム目を第2フレームとしたとき、第1フレームの垂直総ライン数はVTQ=1125であり、第2フレームの垂直総ライン数はVTQ=1126である。
【0068】
入力側の水平総画素数HTはnで割り切れないので、HT/nは整数でない。出力側の水平総画素数HTiは整数なので、HT/nとの間に差がある。仮に出力側の垂直総ライン数をVTQ=VTとしたとき、上記の差はVTラインの分だけ蓄積される。本実施形態によれば、複数フレーム内において、異なる垂直総ライン数VTQのフレームが混在するように、垂直総ライン数VTQが調整されることで、上記の蓄積された差がキャンセルされる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0069】
図9と
図10は、本実施形態の第3手法を説明する図である。
図9には、画像分割後の出力画像データを示す。入力画像データは
図3と同様である。
【0070】
第3例では、垂直総ライン数はVTQ=1125で固定である。調整回路123は、1125ラインのうち特定のライン以外のラインにおいてHT1=HT2=HT3=733に設定し、特定のラインにおいてHT1=HT2=HT3≠733に設定する。又は特定のライン以外のラインにおいてHT1=HT2=HT3=734に設定し、特定のラインにおいてHT1=HT2=HT3≠734に設定する。調整回路123は、入力と出力のフレームの長さが同一となるように、特定のラインの水平総画素数HT1~HT3を決める。
図9には、特定のライン以外のラインにおいてHT1=HT2=HT3=733に設定される例を示す。特定のラインは、例えばフレームの最終ラインであるが、それに限定されない。また、特定のラインは複数であってもよい。
【0071】
図10には、特定のラインが最終ラインであり、それ以外のラインにおいて水平総画素数が733に設定される例を示す。この場合、出力画像データにおいて、最終ラインの水平総画素数は1108画素に設定される。2200×1125=733×3×1124+1108×3なので、入力と出力でフレームの長さが一致し、フレームレートが一致する。
【0072】
以上に説明した本実施形態では、調整回路123は、第iチャネルにおいて、1フレームにおけるVT-sラインの水平総画素数HTiを共通の設定値に設定し、特定のsラインの水平総画素数HTiを上記設定値と異なる値に設定する。sは1以上の整数である。
【0073】
例えば、
図9、
図10では、最終ラインのみ水平総画素数HTiが調整される。即ちs=1である。但し、
図19で説明するように、最終ライン付近において水平総画素数HTiが減少する場合には、2ライン以上の水平総画素数HTiが調整されてもよい。なお、あるラインがHTi=0に調整されたとき、そのラインは削除される。
【0074】
入力側の水平総画素数HTはnで割り切れないので、HT/nは整数でない。VT-sラインの水平総画素数HTiは共通の設定値に設定されるが、この共通の設定値は整数なので、HT/nとの間に差がある。この差は、VT-sラインの分だけ蓄積される。本実施形態によれば、出力側において特定のsラインの水平総画素数HTiが設定値と異なる値に設定されることで、上記の蓄積された差がキャンセルされる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0075】
図11と
図12は、本実施形態の第4手法を説明する図である。
図11には、画像分割後の出力画像データを示す。入力画像データは
図3と同様である。
【0076】
第4例では、垂直総ライン数はVTQ=1125で固定である。調整回路123は、1フレーム内においては水平総画素数HT1~HT3を733又は734に固定し、その水平総画素数HT1~HT3をフレーム毎に可変に設定する。チャネルCh1を例にとると、調整回路123はHT1=733のフレームとHT1=734のフレームを2:1の割合で設けることで、時間平均においてHT1=(733×2+734)/3=733.33となるようにする。例えば、3フレーム周期でHT1=733、733、734が繰り返される。但し、3フレーム周期である必要はなく、例えば6フレーム周期でHT1=733、733、733、733、734、734としてもよい。チャネルCh1~Ch3の同一フレームにおいてHT1=HT2=HT3である必要はない。例えば、第1、第2、第3フレームにおいて(HT1,HT2,HT3)=(733,733,734)、(733,734,733)、(734,733,733)等としてもよい。
【0077】
図12に示すように、3フレームの長さを考えると、2200×1125×3=(733+733+734)×1125×3となり、入力と出力で3フレームの長さが一致する。即ち、3フレーム毎に垂直同期がとれるので、時間平均として見れば入力と出力でフレームレートが一致する。
【0078】
以上に説明した本実施形態では、調整回路123は、第iチャネルにおいて、第1フレームの水平総画素数HTiを第1設定値に設定し、第2フレームの水平総画素数HTiを、第1設定値とは異なる第2設定値に設定する。
【0079】
ここで、第1フレームは任意のフレームであってよく、第2フレームは第1フレームの次のフレームである。例えば、
図12において2フレーム目を第1フレーム、3フレーム目を第2フレームとしたとき、第1フレームの水平総画素数はHTi=733であり、第2フレームの水平総画素数はHTi=734である。
【0080】
本実施形態によれば、複数フレームにおいて、異なる水平総画素数HTiのフレームが混在するように、水平総画素数HTiが調整される。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0081】
また本実施形態では、調整回路123は、第iチャネルにおけるn×kフレームの水平総画素数HTiの平均が、HT/nとなるように、水平総画素数HTiを調整する。kは1以上の整数である。
【0082】
例えば、
図12においてn=3、k=1、HT=2200であり、n×k=3フレームの水平総画素数HTiの平均が、(733+733+734)/3=2200/3となっている。
【0083】
本実施形態によれば、n×kフレームの平均において、出力側の水平総画素数がHTi=HT/nとなる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートが一致する。
【0084】
図13は、本実施形態の第5手法を説明する図である。第5例では、入力画像データの水平総画素数HTがライン毎に異なっている。但し、時間平均においてHT=2200である。
【0085】
調整回路123は、チャネルCh1~Ch3の出力画像データにおいて、各ラインの水平総画素数を約HT/3に設定する。
図13において、入力画像データの第1ラインの水平総画素数はHT=2200である。調整回路123は、出力画像データの第1ラインの水平総画素数をHT1=HT2=HT3=733又は734に設定する。
図13には、734に設定される例を示す。また、入力画像データの第2ラインの水平総画素数はHT=2150である。調整回路123は、出力画像データの第2ラインの水平総画素数をHT1=HT2=HT3=716又は717に設定する。
図13には、716に設定される例を示す。
【0086】
入力画像データの水平総画素数HTが3で割り切れないとき、入力画像データの水平総画素数HTと、出力画像データの水平総画素数の合計HT1+HT2+HT3との間に過不足が生じる。例えば、第1ラインでは734×3-2200=2であり、出力側の方が2画素多い。第2ラインでは716×3-2200=-2であり、出力側の方が2画素少ない。この例では、第1ラインと第2ラインで過不足が打ち消してゼロになっている。このように、複数のラインで平均して過不足がゼロとなるように、出力画像データの水平総画素数HT1~HT3が設定される。これにより、時間平均において入力と出力のフレームレートが一致する。
【0087】
4.詳細構成例
図14は、画像分割回路100の第1詳細構成例である。第1詳細構成例では、画像データ分割回路121が調整回路123の後段に設けられる。なお、
図1と同様な構成要素については適宜に説明を省略する。
【0088】
調整回路123は、画素クロック信号CKPINをカウントするカウンター124を含む。調整回路123は、カウンター124のカウント値に基づいて、入力画像データPDINの水平総画素数HTを計測したり、速度差吸収バッファー回路122によるバッファリングを制御したり、出力画像データPDQ1~PDQ3のタイミング制御情報を出力したりする。
【0089】
具体的には、調整回路123は、入力インターフェース回路110からの入力画像データPDIN、又は速度差吸収バッファー回路122にバッファリングされた入力画像データPDINを、画像データ分割回路121に出力する。画像データ分割回路121は、1ライン分の入力画像データPDINを保持し、その保持した入力画像データPDINを、
図2で説明した手法で画像分割し、出力画像データPDQ1~PDQ3を出力インターフェース回路130に出力する。
【0090】
このとき、調整回路123は、カウンター124を用いて計測した入力画像データPDINの水平総画素数HTに基づいて、出力画像データPDQ1~PDQ3の水平総画素数HT1~HT3を決定し、その水平総画素数HT1~HT3をタイミング制御情報として画像データ分割回路121に出力する。画像データ分割回路121は、調整回路123により決定された水平総画素数HT1~HT3と、水平アクティブ画素数HA1~HA3と、水平フロントポーチ期間とに基づいて、出力画像データPDQ1~PDQ3の出力タイミングを制御する。水平アクティブ画素数HA1~HA3と水平フロントポーチ期間は、例えばレジスター設定等により設定されてもよい。
【0091】
第1~第5手法で説明したように、入力と出力のフレームレートは時間平均において一致するが、水平走査期間又はフレームの長さは一時的に一致しない場合がある。速度差吸収バッファー回路122は、この差分に対応した画像データを一時的にバッファリングする。上述した第1~第5手法では、入力と出力で数画素~1ライン程度の差が生じるので、速度差吸収バッファー回路122は、数画素~1ライン程度の画像データをバッファリングする。
【0092】
図15は、画像分割回路100の第2詳細構成例である。第2詳細構成例では、画像データ分割回路121が調整回路123の前段に設けられる。なお、
図1又は
図14と同様な構成要素については適宜に説明を省略する。
【0093】
画像データ分割回路121は、1ライン分の入力画像データPDINを保持し、その保持した入力画像データPDINを、
図2で説明した手法で画像データPDQ1’~PDQ3’に分割し、その画像データPDQ1’~PDQ3’を調整回路123に出力する。また、画像データ分割回路121は、画素クロック信号CKPINをカウントするカウンター124を含み、カウンター124のカウント値に基づいて、入力画像データPDINの水平総画素数HTを計測し、その水平総画素数HTを調整回路123に出力する。なお、調整回路123がカウンター124を含み、調整回路123が水平総画素数HTを計測してもよい。
【0094】
調整回路123は、画素クロック信号CKPQをカウントするカウンター125を含む。調整回路123は、カウンター125のカウント値と、画像データ分割回路121からの水平総画素数HTとに基づいて、速度差吸収バッファー回路122によるバッファリングを制御したり、出力画像データPDQ1~PDQ3のタイミング制御情報を出力したりする。
【0095】
具体的には、調整回路123は、画像データ分割回路121からの画像データPDQ1’~PDQ3’、又は速度差吸収バッファー回路122にバッファリングされた画像データPDQ1’~PDQ3’を、出力画像データPDQ1~PDQ3として出力インターフェース回路130に出力する。このとき、調整回路123は、入力画像データPDINの水平総画素数HTに基づいて、出力画像データPDQ1~PDQ3の水平総画素数HT1~HT3を決定する。調整回路123は、決定した水平総画素数HT1~HT3と、水平アクティブ画素数HA1~HA3と、水平フロントポーチ期間とに基づいて、出力画像データPDQ1~PDQ3の出力タイミングを制御する。水平アクティブ画素数HA1~HA3と水平フロントポーチ期間は、例えばレジスター設定等により設定されてもよい。
【0096】
図16は、画像分割回路100の第3詳細構成例である。第3詳細構成例では、速度差吸収バッファー回路122がFIFOにより構成される。FIFOはFirst In First Outの略である。なお、
図1、
図14又は
図15と同様な構成要素については適宜に説明を省略する。
【0097】
調整回路123は、画素クロック信号CKPINをカウントするカウンター124を含む。調整回路123は、カウンター124のカウント値に基づいて、入力画像データPDINの水平総画素数HTを計測したり、速度差吸収バッファー回路122によるバッファリングを制御したり、出力画像データPDQ1~PDQ3のタイミング制御情報を出力したりする。
【0098】
具体的には、速度差吸収バッファー回路122は、FIFO151~153を含む。画像データ分割回路121は、1ライン分の入力画像データPDINを保持し、その保持した入力画像データPDINを、
図2で説明した手法で画像データPDQ1’~PDQ3’に分割し、その画像データPDQ1’~PDQ3’をFIFO151~153に出力する。FIFO151~153は、その画像データPDQ1’~PDQ3’をバッファリングする。
【0099】
このとき、調整回路123は、カウンター124を用いて計測した入力画像データPDINの水平総画素数HTに基づいて、出力画像データPDQ1~PDQ3の水平総画素数HT1~HT3を決定する。調整回路123は、決定した水平総画素数HT1~HT3と、水平アクティブ画素数HA1~HA3と、水平フロントポーチ期間とに基づいて、FIFO151~153から出力画像データPDQ1~PDQ3を読み出すタイミング、即ち出力画像データPDQ1~PDQ3の出力タイミングを制御する。水平アクティブ画素数HA1~HA3と水平フロントポーチ期間は、例えばレジスター設定等により設定されてもよい。
【0100】
図17は、上述した第1手法の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下では各ステップの処理主体を処理回路120とするが、第1~第3詳細構成例で説明した内容に応じて調整回路123、画像データ分割回路121又は速度差吸収バッファー回路122に読み替え可能である。なお、同じステップであっても、第1~第3詳細構成例に応じて主体が異なってもよい。
【0101】
ステップS1において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを計測する。処理回路120は、カウンター124を用いて水平同期信号の間隔を計測することで、水平総画素数HTを計測する。ステップS2において、処理回路120は、水平総画素数HTを3で割り、その余りを求める。
【0102】
ステップS2において余りが1である場合、ステップS3において、処理回路120は、HTa=(HT-1)/3を求め、第1チャネルにおける第1、第2、第3ラインの水平総画素数をHT1=HTa+1、HTa、HTaに設定し、その水平総画素数HT1で出力画像データPDQ1を第1チャネル用出力回路131に出力する。具体的には、処理回路120は、ラインの開始を示す水平同期信号と終了を示す水平同期信号の間隔を水平総画素数HT1に設定する。処理回路120は、ラインの開始を示す水平同期信号から水平フロントポーチ期間が経過した後に、水平アクティブ画素数の出力画像データPDQ1を出力する。なお、第2、第3チャネルにおける水平総画素数HT2、HT3も同様に設定される。第4ライン以降も、同様に繰り返される。なお、
図6はステップS3に対応した例であるが、第1、第2、第3ラインの水平総画素数をHT1=HTa、HTa、HTa+1に設定している。第1~第3ラインのうち任意の1ラインを水平総画素数HTa+1としてよい。
【0103】
ステップS2において余りが2である場合、ステップS4において、処理回路120は、HTb=(HT-2)/3を求め、第1チャネルにおける第1、第2、第3ラインの水平総画素数をHT1=HTb+1、HTb+1、HTbに設定し、その水平総画素数HT1で出力画像データPDQ1を第1チャネル用出力回路131に出力する。なお、第2、第3チャネルにおける水平総画素数HT2、HT3も同様に設定される。第4ライン以降も、同様に繰り返される。第1~第3ラインのうち任意の2ラインを水平総画素数HTb+1としてよい。
【0104】
ステップS2においてHTが3で割り切れる場合、ステップS5において、処理回路120は、第1チャネルにおける全ラインの水平総画素数をHT1=HT/3に設定し、その水平総画素数HT1で出力画像データPDQ1を第1チャネル用出力回路131に出力する。なお、第2、第3チャネルにおける水平総画素数HT2、HT3も同様に設定される。
【0105】
図18は、上述した第2手法の処理手順を示すフローチャートである。ステップS11において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを計測する。ステップS12において、処理回路120は、水平総画素数HTを3で割り、その余りを求める。
【0106】
ステップS12において余りが1である場合、ステップS13において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを3で割り、小数点以下を切り捨てた値を、第1~第3チャネルにおける全ラインの水平総画素数HT1~HT3に設定する。ステップS14において、処理回路120は、入力側と出力側の時間平均のフレームレートが同一となるように、出力側の1フレームの最終ライン付近において垂直総ライン数を調整する。調整手法は様々であるが、一例としては、処理回路120は、出力側のフレーム終了が入力側のフレーム終了より早い場合には、次のフレームにおいて出力側の垂直総ライン数を1ライン増加させる。処理回路120は、出力側のフレーム終了が入力側のフレーム終了より遅い場合には、次のフレームにおいて出力側の垂直総ライン数を1ライン減少させる。
図8では、フレーム1において出力側のフレーム終了が入力側のフレーム終了より1125画素分早いので、フレーム2において出力側の垂直総ライン数が1ライン増加されている。
【0107】
ステップS12において余りが2である場合、ステップS15において、処理回路120は、水平総画素数を3で割り、小数点以下を切り捨てた値に+1した値を、第1~第3チャネルにおける全ラインの水平総画素数HT1~HT3に設定する。ステップS16はステップS14と同様である。
【0108】
ステップS12においてHTが3で割り切れる場合、ステップS17において、処理回路120は、第1~第3チャネルにおける全ラインの水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HT/3に設定する。
【0109】
図19は、上述した第3手法の処理手順を示すフローチャートである。ステップS21において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを計測する。ステップS22において、処理回路120は、水平総画素数HTを3で割り、その余りを求める。
【0110】
ステップS22において余りが1である場合、ステップS23において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを3で割り、小数点以下を切り捨てた値を、第1~第3チャネルにおける水平総画素数HT1~HT3に設定する。ここでは、処理回路120は、フレームの1ライン目から最終ライン付近までの水平総画素数を設定する。ステップS24において、処理回路120は、入力側と出力側の時間平均のフレームレートが同一となるように、出力側の1フレームの最終ライン付近において水平総画素数を調整する。「付近」の意味は以下の通りである。最終ラインの水平総画素数が増える場合には、最終ラインの水平総画素数のみ調整される。最終ライン付近の水平総画素数が減る場合において、その減少が1ライン未満の場合には、最終ラインの水平総画素数のみ調整され、その減少が1ライン以上2ライン未満である場合には、最終ラインが削除されると共に最終ラインの1ライン前の水平総画素数が調整される。以下、減少幅が増加するに従い、削除されるライン数が増加する。
図10は、最終ラインの水平総画素数が増える例であり、最終ラインの水平総画素数のみ733から1108に調整されている。
【0111】
ステップS22において余りが2である場合、ステップS25において、処理回路120は、水平総画素数を3で割り、小数点以下を切り捨てた値に+1した値を、第1~第3チャネルにおける全ラインの水平総画素数HT1~HT3に設定する。ステップS26はステップS24と同様である。
【0112】
ステップS22においてHTが3で割り切れる場合、ステップS27において、処理回路120は、第1~第3チャネルにおける全ラインの水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HT/3に設定する。
【0113】
図20は、上述した第4手法の処理手順を示すフローチャートである。ステップS31において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを計測する。ステップS32において、処理回路120は、水平総画素数HTを3で割り、その余りを求める。
【0114】
ステップS32において余りが1である場合、ステップS33において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを3で割り、小数点以下を切り捨てた値に+1した値を、第1~第3チャネルにおける1フレーム目の水平総画素数HT1~HT3に設定する。ここで、入力側の水平総画素数HTを3で割り、小数点以下を切り捨てた値をHTcとする。1フレーム目ではHT1=HT2=HT3=HTc+1である。ステップS34において、処理回路120は、2フレーム目の水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HTcに設定する。ステップS35において、処理回路120は、3フレーム目の水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HTcに設定する。4フレーム目以降は、ステップS33~S35と同様に繰り返す。なお、
図12はステップS32~S34に対応した例であるが、フレーム1~3の水平総画素数をHT1=HTc、HTc、HTc+1に設定している。フレーム1~3のうち任意の1フレームを水平総画素数HTc+1としてよい。
【0115】
ステップS32において余りが2である場合、ステップS36において、処理回路120は、1フレーム目の水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HTc+1に設定する。ステップS37において、処理回路120は、2フレーム目の水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HTc+1に設定する。ステップS38において、処理回路120は、3フレーム目の水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HTcに設定する。4フレーム目以降は、ステップS36~S38と同様に繰り返す。なお、フレーム1~3のうち任意の2フレームを水平総画素数HTc+1としてよい。
【0116】
ステップS32においてHTが3で割り切れる場合、ステップS39において、処理回路120は、第1~第3チャネルにおける全ラインの水平総画素数をHT1=HT2=HT3=HT/3に設定する。
【0117】
図21は、上述した第5手法の処理手順を示すフローチャートである。ステップS41において、処理回路120は、入力側の水平総画素数HTを計測する。
【0118】
ステップS42において、処理回路120は、前ラインの余りと水平総画素数HTの合計を求める。但し、電源投入時のフレーム1では前ラインが存在しない為、余りは0に設定される。フレーム2以降は余りを計算する。ステップS43において、処理回路120は、前記合計を3で割り、余りを求める。この余りは、次のラインにおけるステップS42で用いられる。ステップS44において、処理回路120は、前記合計を3で割った値の小数点以下を切り捨て、その値を出力側の水平総画素数HT1~HT3に設定する。ステップS45において、処理回路120は、設定された水平総画素数HT1~HT3で出力画像データPDQ1~PDQ3を第1~第3チャネル用出力回路131~133に出力する。以下、ステップS41~S45が繰り返される。
【0119】
例えば、入力側の第1、第2ラインの水平総画素数をHT=2200、2150とする。第1ラインにおいて、HT=2200を3で割ると733余り1なので、出力側の水平総画素数はHT1=HT2=HT3=733となり、余り1が第2ラインに繰り越される。第2ラインにおいて、HT+1=2251を3で割ると717余り0なので、出力側の水平総画素数はHT1=HT2=HT3=717となる。なお、フレームレートが一致するように水平総画素数HT1~HT3が制御されていればよいので、第5手法の実現手段は
図21のフローに限定されない。例えば、
図13のように、出力側の第1、第2ラインの水平総画素数が734、716に設定されてもよい。
【0120】
以上に説明した本実施形態の画像分割回路は、入力インターフェース回路と画像データ分割回路と出力インターフェース回路とを含む。入力インターフェース回路には、水平総画素数がHTであり、垂直総ライン数がVTである入力画像データが、入力される。画像データ分割回路は、入力画像データを、第1~第nチャネル用の第1~第n出力画像データに分割する。出力インターフェース回路は、第1~第n出力画像データを出力する第1~第nチャネル用出力回路を有する。nは3以上の整数であり、HTはnの整数倍ではない。第1~第nチャネル用出力回路の第iチャネル用出力回路は、第1~第nチャネルの第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整された、第1~第n出力画像データの第i出力画像データを、出力する。iは1以上n以下の整数である。
【0121】
本実施形態によれば、入力側の水平総画素数HTがnの整数倍でない場合であっても、第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整されることで、入力側と出力側のフレームレートを時間平均において一致させることができる。これにより、入力インターフェース回路のデータ入力レートと出力インターフェース回路のデータ出力レートとが時間平均において一致するので、表示異常を防止できる。
【0122】
また本実施形態では、入力インターフェース回路は、入力画像データの画素クロック信号である第1クロック信号と、受信した入力画像データと、を出力してもよい。第1~第nチャネル用出力回路は、第1クロック信号の周波数の1/n倍の周波数を有する第2クロック信号を、画素クロック信号として、第1~第n出力画像データを出力してもよい。
【0123】
本実施形態によれば、第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整されることで、出力1チャネル当たりのデータ出力レートを、時間平均においてデータ入力レートの1/nにできる。これにより、nチャネル全体ではデータ出力レートがデータ入力レートに一致するので、入力と出力のフレームレートを一致させることができる。
【0124】
また本実施形態の回路装置は分周回路を含んでもよい。分周回路は、第1クロック信号の周波数を1/n分周することで第2クロック信号を出力してもよい。
【0125】
本実施形態によれば、入力側の画素クロック信号である第1クロック信号の周波数が1/n倍され、その第2クロック信号が出力側の画素クロック信号として第1~第nチャネル用出力回路に入力される。本実施形態では、出力1チャネル当たりのデータ出力レートを、時間平均においてデータ入力レートの1/nにできるので、上記第1、第2クロック信号を用いたデータ入出力において入力と出力のフレームレートを一致させることができる。
【0126】
また本実施形態では、第iチャネル用出力回路は、第iチャネルにおけるブランキング期間を含めた総画素数の時間平均が(HT×VT)/nとなるように、第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整された第i出力画像データを、出力してもよい。
【0127】
出力側の水平総画素数をHTiとし、垂直総ライン数をVTQとする。このとき、入力側の総画素数はHT×VTであり、出力側の総画素数はHTi×VTQである。本実施形態によれば、水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整されることで、時間平均においてHTi×VTQ=(HT×VT)/nとなる。総画素数はフレームの長さに相当しており、時間平均においてHTi×VTQ=(HT×VT)/nとなることで、入力側と出力側のフレームレートが一致する。
【0128】
また本実施形態の回路装置は調整回路を含んでもよい。調整回路は、第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方を可変に調整してもよい。
【0129】
本実施形態によれば、調整回路が第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方を可変に調整することで、第iチャネル用出力回路が、第iチャネルにおける水平総画素数又は垂直総ライン数の少なくとも一方が可変に調整された第i出力画像データを出力できる。
【0130】
また本実施形態の回路装置は速度差吸収バッファー回路を含んでもよい。速度差吸収バッファー回路は、入力インターフェース回路におけるデータ入力レートと、出力インターフェース回路におけるデータ出力レートとの差を吸収してもよい。
【0131】
本実施形態では、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができるが、一時的にデータ入力レートとデータ出力レートの差が生じる。本実施形態によれば、速度差吸収バッファー回路が設けられたことで、一時的なデータ入力レートとデータ出力レートの差が吸収される。
【0132】
また本実施形態では、調整回路は、第iチャネルにおいて、1フレーム内の第1ラインの水平総画素数と第2ラインの水平総画素数が異なるように、水平総画素数を調整してもよい。
【0133】
本実施形態によれば、1フレーム内において、異なる水平総画素数のラインが混在するように、第iチャネルの水平総画素数が調整される。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0134】
また本実施形態では、調整回路は、第iチャネルにおけるn×kラインの水平総画素数の平均が、HT/nとなるように、水平総画素数を調整してもよい。kは1以上の整数である。
【0135】
本実施形態によれば、n×kラインの平均において、出力側の水平総画素数がHT/nとなる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートが一致する。
【0136】
また本実施形態では、調整回路は、第iチャネルにおいて、1フレームにおけるVT-sラインの水平総画素数を共通の設定値に設定し、特定のsラインの水平総画素数を設定値と異なる値に設定してもよい。sは1以上の整数である。
【0137】
HT/nと共通の設定値との間に差は、VT-sラインの分だけ蓄積される。本実施形態によれば、出力側において特定のsラインの水平総画素数が共通の設定値と異なる値に設定されることで、上記の蓄積された差がキャンセルされる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0138】
また本実施形態では、調整回路は、第iチャネルにおいて、第1フレームの垂直総ライン数と第2フレームの垂直総ライン数が異なるように、垂直総ライン数を調整してもよい。
【0139】
仮に出力側の垂直総ライン数をVTとしたとき、HT/nと出力側の水平総画素数との差は、VTラインの分だけ蓄積される。本実施形態によれば、複数フレーム内において、異なる垂直総ライン数のフレームが混在するように、出力側の垂直総ライン数が調整されることで、上記の蓄積された差がキャンセルされる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0140】
また本実施形態では、調整回路は、第iチャネルにおいて、第1フレームの水平総画素数を第1設定値に設定し、第2フレームの水平総画素数を、第1設定値とは異なる第2設定値に設定してもよい。
【0141】
本実施形態によれば、複数フレームにおいて、異なる水平総画素数のフレームが混在するように、出力側の水平総画素数が調整される。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートを一致させることができる。
【0142】
また本実施形態では、調整回路は、第iチャネルにおけるn×kフレームの水平総画素数の平均が、HT/nとなるように、水平総画素数を調整してもよい。kは1以上の整数である。
【0143】
本実施形態によれば、n×kフレームの平均において、出力側の水平総画素数がHT/nとなる。これにより、時間平均において入力側と出力側のフレームレートが一致する。
【0144】
また本実施形態の電気光学装置は、上記のいずれか一項に記載された画像分割回路と、電気光学パネルと、画像分割回路が出力した第1~第n出力画像データに基づいて電気光学パネルを駆動する第1~第n表示ドライバーと、を含む。
【0145】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また入力インターフェース回路、処理回路、出力インターフェース回路、分周回路、画像分割回路、電気光学パネル、表示ドライバー、電気光学装置、処理装置及び表示システム等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0146】
10…表示システム、20…電気光学装置、100…画像分割回路、110…入力インターフェース回路、120…処理回路、121…画像データ分割回路、122…速度差吸収バッファー回路、123…調整回路、124…カウンター、125…カウンター、130…出力インターフェース回路、131~133…第1~第3チャネル用出力回路、140…分周回路、200…電気光学パネル、210,220,230…表示ドライバー、300…処理装置、CKPIN…画素クロック信号、CKPQ…画素クロック信号、Ch1~Ch3…チャネル、HA…水平アクティブ画素数、HA1~HA3…水平アクティブ画素数、HT…水平総画素数、HT1~HT3…水平総画素数、PDIN…入力画像データ、PDQ1~PDQ3…出力画像データ、VA…垂直アクティブライン数、VT…垂直総ライン数、VTQ…垂直総ライン数