(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41J 21/16 20060101AFI20241001BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B41J21/16
B41J3/407
(21)【出願番号】P 2020196817
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】萱原 直樹
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03653391(EP,A1)
【文献】特表2004-501000(JP,A)
【文献】特開2000-215317(JP,A)
【文献】特開2006-331460(JP,A)
【文献】特開2011-201069(JP,A)
【文献】特開平11-300948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/16
B41J 3/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
模様が形成された生地
を搬送し、該生地へ印刷を行う印刷装置であって、
前記生地を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記生地を撮像する撮像部と、
前記搬送部が搬送する前記生地へ印刷を行う印刷部と、
前記模様を表現する第1画像データと、前記撮像部による前記生地の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、前記第2画像データにおける前記模様に対応する模様領域を抽出する模様抽出部と、
前記模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを、抽出された前記模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する印刷画像生成部と、
前記印刷画像データの前記生地への印刷を前記印刷部に実行させる印刷制御部と、を備え、
前記模様抽出部は、
前記模様を表現する前記第1画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第1画像データのそれぞれと前記第2画像データとを対比することにより、前記第2画像データから前記分割第1画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出し、
前記印刷画像生成部は、
前記模様に重ねて印刷すべき前記画像を表現する前記第3画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第3画像データのそれぞれを、抽出された前記部分模様領域に応じて配置することにより前記印刷画像データを生成する、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記模様抽出部は、
一の前記分割第1画像データが表現する部分模様に対応する第1部分模様領域を前記第2画像データの複数位置から抽出したとき、複数位置の前記第1部分模様領域毎に、前記第1部分模様領域と前記第1部分模様領域の周囲で抽出された他の前記部分模様領域との位置関係と、前記第1画像データにおける複数の前記分割第1画像データの位置関係と、の対比に基づいて抽出の確かさを算出し、
複数位置の前記第1部分模様領域のうち前記確かさが相対的に高い前記第1部分模様領域の抽出結果を、前記印刷画像データの生成のために前記印刷画像生成部へ提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
模様が形成された生地
を搬送し、該生地へ印刷を行う印刷方法であって、
前記生地を搬送方向へ搬送する搬送工程と、
搬送される前記生地を撮像する撮像工程と、
前記模様を表現する第1画像データと、前記生地の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、前記第2画像データにおける前記模様に対応する模様領域を抽出する模様抽出工程と、
前記模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを、抽出された前記模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する印刷画像生成工程と、
搬送される前記生地への前記印刷画像データの印刷を行う印刷工程と、を
含み、
前記模様抽出工程
では、
前記模様を表現する前記第1画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第1画像データのそれぞれと前記第2画像データとを対比することにより、前記第2画像データから前記分割第1画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出し、
前記印刷画像生成工程
では、
前記模様に重ねて印刷すべき前記画像を表現する前記第3画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第3画像データのそれぞれを、抽出された前記部分模様領域に応じて配置することにより前記印刷画像データを生成する、ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の規範となる良品を撮影して得られた規範画像の特徴と類似した候補を、検査対象画像内で探索する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、模様が形成された生地を印刷媒体に用いる場合に、搬送される生地を撮像して得られた撮像画像から、模様を抽出することを想定する。搬送中の生地には歪みや伸び縮み(以下、歪み等)が発生している可能性があり、このような歪み等が在る状況で、撮像画像から模様を抽出したり、模様に合わせて絵柄を印刷したりする必要がある。しかしながら、生地に形成されている模様一つ分のサイズが比較的大きい場合、歪み等の影響により、撮像画像からの模様の抽出精度が低下し易かったり、印刷する絵柄と模様とのずれが大きくなり易かったりする。
また、模様一つ分のサイズが大きいと、生地を撮像してから印刷を開始するまでの限られた時間内で、撮像画像からの模様の抽出や印刷のためのデータ生成といった必要な各処理を終えることができない場合がある。この場合、必要な各処理が終わるのを待つために、生地の搬送速度を低下させたり、搬送を一時停止したりすることになり、印刷の効率が低下する。
これら課題の少なくとも一つを解決するための工夫が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、模様が形成された生地を搬送し、該生地へ印刷を行う印刷装置であって、前記生地を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送する前記生地を撮像する撮像部と、前記搬送部が搬送する前記生地へ印刷を行う印刷部と、前記模様を表現する第1画像データと、前記撮像部による前記生地の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、前記第2画像データにおける前記模様に対応する模様領域を抽出する模様抽出部と、前記模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを、抽出された前記模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する印刷画像生成部と、前記印刷画像データの前記生地への印刷を前記印刷部に実行させる印刷制御部と、を備え、前記模様抽出部は、前記模様を表現する前記第1画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第1画像データのそれぞれと前記第2画像データとを対比することにより、前記第2画像データから前記分割第1画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出し、前記印刷画像生成部は、前記模様に重ねて印刷すべき前記画像を表現する前記第3画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第3画像データのそれぞれを、抽出された前記部分模様領域に応じて配置することにより前記印刷画像データを生成する。
【0006】
印刷方法は、模様が形成された生地を搬送し、該生地へ印刷を行う印刷方法であって、前記生地を搬送方向へ搬送する搬送工程と、搬送される前記生地を撮像する撮像工程と、前記模様を表現する第1画像データと、前記生地の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、前記第2画像データにおける前記模様に対応する模様領域を抽出する模様抽出工程と、前記模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを、抽出された前記模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する印刷画像生成工程と、搬送される前記生地への前記印刷画像データの印刷を行う印刷工程と、を含み、前記模様抽出工程では、前記模様を表現する前記第1画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第1画像データのそれぞれと前記第2画像データとを対比することにより、前記第2画像データから前記分割第1画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出し、前記印刷画像生成工程では、前記模様に重ねて印刷すべき前記画像を表現する前記第3画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第3画像データのそれぞれを、抽出された前記部分模様領域に応じて配置することにより前記印刷画像データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2Aは搬送される生地とその近傍の構成を上方から下方を向く視点により示す図、
図2Bは
図2Aに示す構成の一部を上流から下流を向く視点により示す図。
【
図4】ステップS100の詳細を示すフローチャート。
【
図5】ステップS120の詳細を示すフローチャート。
【
図6】ステップS120を具体例により説明するための図。
【
図7】ステップS130,S140を具体例により説明するための図。
【
図8】
図6とは別の模様画像データおよび撮像画像データの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
1.装置構成:
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10の構成を簡易的に示している。
印刷装置10は、印刷方法を実行する。印刷装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、撮像部15、搬送部16、印刷部17、記憶部18等を備える。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0010】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存された一つ以上のプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷装置10を制御する。制御部11は、プログラム12に従うことにより、模様登録部12a、模様抽出部12b、印刷画像生成部12c、印刷制御部12d等として機能する。なお、プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
【0011】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13や操作受付部14は、印刷装置10の構成の一部であってもよいが、印刷装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。
【0012】
搬送部16は、制御部11による制御下で印刷媒体を搬送する機構である。本実施形態では、印刷媒体として、ジャカード織りされた生地やレース生地のような、糸や繊維の織り方を工夫することにより立体感の有る模様が形成された生地を想定する。生地には、一つあるいは一まとまりの何らかの模様が、繰り返し並ぶように形成されている。以下では、一つあるいは一まとまりの模様を、一つの模様として扱う。
【0013】
搬送部16は、例えば、ロール状に巻かれた印刷前の生地を搬送の下流へ繰り出す繰り出しローラー、繰り出された生地をさらに搬送するためのベルトやローラー、印刷が終了した生地を再びロール状に巻いて回収する巻き取りローラー、各ローラーやベルトを回転させるためのモーター等の構成を有する。以下では、搬送部16による搬送方向の上流、下流を、単に、上流、下流とも記載する。
【0014】
撮像部15は、制御部11による制御下で、搬送部16が搬送する生地を撮像する。撮像部15は、生地を照射する光源、生地からの反射光を受光して撮像結果としての画像データを生成し出力する撮像素子等の構成を有する。
【0015】
印刷部17は、制御部11による制御下で、搬送部16が搬送する生地へ印刷を行う。印刷部17は、撮像部15よりも下流に設けられている。印刷部17は、制御部11から送信される印刷画像データに基づいて生地への印刷を行う。印刷部17は、例えば、インクジェット方式によりシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等といった複数の色のインクを吐出して印刷を実行可能である。インクジェット方式によれば、印刷部17は、画素毎に各インクのドットオンまたはドットオフを規定した印刷画像データに基づいてインクのドットを不図示のノズルから吐出することにより、生地への印刷を行う。
【0016】
記憶部18は、不揮発性メモリーやハードディスクドライブ等といった記憶手段である。記憶部18を制御部11の一部と解してもよい。また、RAM11cを記憶部18の一部と解してもよい。
【0017】
印刷装置10を、記録装置、画像形成装置、プリンター等と呼んでもよい。印刷装置10は、独立した一つの装置によって実現されるだけでなく、通信インターフェイスやネットワークを介して互いに通信可能に接続した複数の装置によって実現されてもよい。複数の装置により構成される印刷装置10を、印刷システム10と呼んでもよい。
【0018】
印刷システム10は、例えば、撮像部15、搬送部16および印刷部17を含んだプリンターと、制御部11として機能する一台以上の情報処理装置と、を含んで構成される。情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末、或いはそれらと同程度の処理能力を有する装置である。印刷システム10において、制御部11を担う装置を、画像処理装置、印刷制御装置等と呼んでもよい。むろん、印刷システム10を構成する一部の装置を発明として捉えることも可能である。
【0019】
図2Aは、搬送される生地30と生地30近傍の構成とを、上方から下方を向く視点により示している。
図2Aでは、生地30に予め形成されている模様については描写を省いている。
図2Aでは、搬送部16による生地30の搬送方向を、符号D1により示している。符号22は、搬送部16の一部としての無端ベルト22である。無端ベルト22に乗せられた状態の生地30は、無端ベルト22が回転することにより上流から下流へ搬送される。
【0020】
図2Aに示すように、無端ベルト22の上方には、キャリッジ20が配設されている。キャリッジ20は、搬送方向D1と交差する方向D2に沿って往復移動可能である。ここで言う交差とは直交であるが、直交には、厳密な直交だけでなく、製品の製造上生じる誤差が含まれると解してよい。キャリッジ20は、方向D2へ長尺なガイド部材21に沿って移動する。方向D2を、キャリッジ20や印刷ヘッド19の主走査方向とも言う。また、方向D2を、生地30の幅方向とも言う。
【0021】
キャリッジ20は、印刷ヘッド19を搭載している。つまり、印刷ヘッド19は、キャリッジ20と共に幅方向D2に沿って往復移動する。このようなキャリッジ20や印刷ヘッド19は、印刷部17を構成する。図示はしていないが、印刷ヘッド19は、無端ベルト22と相対する下面において複数のノズルを開口させている。印刷ヘッド19は、キャリッジ20と共に幅方向D2に沿って移動しながら、印刷画像データに基づいてノズルからインクを吐出する。
【0022】
図2Aに示すように、無端ベルト22の上方であって、キャリッジ20および印刷ヘッド19よりも上流の所定位置に、撮像部15が配設されている。
図2Bは、
図2Aに示した構成の一部を、上流から下流を向く視点により示している。撮像部15は、無端ベルト22と相対する下面を撮像面15aとしており、撮像面15aを介して無端ベルト22上の生地30を撮像する。撮像部15は、例えば、内部において幅方向D2に沿って複数の撮像素子を並べたラインスキャン型のカメラである。撮像部15は、撮像面15aに設けた不図示のレンズ及び撮像素子を介して、ライン単位の撮像を繰り返す。
図2Bでは、撮像部15による幅方向D2の撮像範囲を破線により例示している。撮像部15は、レンズの機能により、幅方向D2において無端ベルト22のほぼ全範囲を撮像可能である。
【0023】
撮像部15の構成は、
図2A,2Bの例に限定されない。例えば、複数の撮像部15が無端ベルト22の上方において幅方向D2に沿って並び、複数の撮像部15の各々が幅方向D2における無端ベルト22の全範囲のうちの一部範囲を分担して撮像する構成であってもよい。あるいは、撮像部15は、複数の撮像素子を幅方向D2における無端ベルト22のほぼ全範囲に亘って並べて構成されたラインセンサーであってもよい。あるいは、撮像部15は、印刷ヘッド19がキャリッジ20に搭載されているのと同様に、幅方向D2に沿って移動可能なキャリッジに搭載され、キャリッジにより幅方向D2へ移動しながら無端ベルト22上を撮像する構成であってもよい。
【0024】
2.印刷方法:
図3は、制御部11がプログラム12に従って実行する印刷処理を、フローチャートにより示している。
ステップS100では、制御部11の模様登録部12aは、生地30に形成された模様を表現する模様画像データを記憶部18へ登録する。模様画像データは「第1画像データ」に該当し、ステップS100は、登録工程に該当する。
【0025】
図4は、ステップS100の詳細を、フローチャートにより示している。
ステップS102では、模様登録部12aは、生地30の模様を表現する基本画像データを取得する。生地30は、例えば、デザイナーによってデザインされた一つの模様が繰り返し織り込まれた織物である。そのため、基本画像データは、デザインや製図のための所定のソフトウェアを用いて予め生成された、前記一つの模様を表現する画像データであるとする。模様登録部12aは、ユーザーの操作に従って、例えば印刷装置10の外部のPCから、PCに保存されている基本画像データを入力し、入力した基本画像データを記憶部18に保存する。
【0026】
ステップS104では、模様登録部12aは、生地30のプレスキャンにより生成された画像データであるプレスキャンデータを取得する。プレスキャンとは、後述のステップS110で開始する生地30の撮像に先駆けて行う読取や撮像を意味する。例えば、ユーザーは印刷装置10の外部のスキャナーに生地30を予めスキャンさせる。そして、模様登録部12aは、このスキャンによって生成された画像データを、前記スキャナーから入力してプレスキャンデータとして記憶部18に保存する。
【0027】
あるいは、プレスキャンは撮像部15が実行するとしてもよい。例えば、制御部11は、搬送部16に生地30の搬送を開始させ、生地30の先端を、撮像部15よりも所定距離だけ下流の位置まで到達させたタイミングで、生地30の搬送を停止させる。生地30の先端とは、生地30の下流を向く端部である。撮像部15は、搬送により撮像部15の下を通過する生地30を撮像し、模様登録部12aは、この撮像によって生成された画像データを、撮像部15から入力してプレスキャンデータとして記憶部18に保存する。
【0028】
ステップS106では、模様登録部12aは、ステップS102で取得した基本画像データと、ステップS104で取得したプレスキャンデータとを対比して、プレスキャンデータにおいて、生地30の一つの模様に対応する模様領域を抽出する。このとき、模様登録部12aは、画像認識技術を用いて、基本画像データとの類似度がより高い画像領域をプレスキャンデータ内で抽出し、この画像領域を模様領域とする。
【0029】
そして、ステップS108では、模様登録部12aは、ステップS106で抽出した模様領域に該当する画像データを、模様画像データとして記憶部18に保存する。これにより、模様画像データが登録される。
図4に従った説明によれば、模様画像データは、プレスキャンデータの少なくとも一部と言える。
ただし、模様登録部12aは、基本画像データそのものを模様画像データとして記憶部18に登録することにより、ステップS100の一部を簡易化してもよい。
【0030】
さらに、模様登録部12aは、ステップS109において、模様画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して、N個の分割模様画像データを記憶部18に登録する。Nは、2以上の整数である。分割模様画像データは「分割第1画像データ」に該当する。以上により、ステップS100が完了する。
【0031】
本実施形態では、制御部11が扱う模様画像データや、撮像画像データや、印刷画像データといった各画像データの向きについても、搬送方向D1および幅方向D2に対応させて説明する。例えば、搬送方向D1は縦方向であり、幅方向D2は横方向であると解してよい。模様登録部12aは、模様画像データを、例えば、縦方向に3等分しかつ横方向に3等分すれば、N=3×3となり、模様画像データを9個の分割模様画像データにして、これらを記憶部18に保存することができる。
【0032】
模様画像データを、縦方向、横方向それぞれに何分割するかは、予め決められている。あるいは、模様登録部12aは、ユーザーによる操作受付部14の操作を通じて、縦方向、横方向それぞれの分割数を取得してステップS109を実行してもよい。なお、模様登録部12aは、ステップS109において、N個の分割模様画像データを保存する代わりに、模様画像データにおけるN個の分割模様画像データの位置情報を保存してもよい。
【0033】
図3の説明に戻る。
ステップS110では、制御部11は、搬送部16が所定の速度で搬送する生地30を対象とした撮像を撮像部15に開始させる。つまり、ステップS110では、生地30の「搬送工程」が開始される。また、ステップS110により「撮像工程」が開始される。撮像部15が生地30の撮像により生成したライン単位の画像データが、順次、制御部11へ出力される。制御部11は、撮像部15からのライン単位の画像データを順次保存することにより、2次元状の撮像画像データを取得する。撮像画像データは「第2画像データ」に該当する。
【0034】
ステップS120では、模様抽出部12bは、ステップS100で登録された模様画像データと、ステップS110の撮像により生成された撮像画像データとの対比に基づいて、撮像画像データにおける生地30の模様に対応する模様領域を抽出する。撮像画像データ内には模様が複数並んで表現されている。ステップS120は、「模様抽出工程」に該当する。
【0035】
図5は、ステップS120の詳細を、フローチャートにより示している。
ステップS121では、模様抽出部12bは、分割模様画像データの番号を表す値nをリセットして、n=0とする。本実施形態では、ステップS109で登録されたN個の分割模様画像データに対して、1~Nの番号を割り当てて説明を行う。
ステップS122では、模様抽出部12bは、nをインクリメントする。つまり、現在のnに1を加えてnを更新する。
【0036】
ステップS123では、模様抽出部12bは、n番目の分割模様画像データを、抽出の基準に設定する。
ステップS124では、模様抽出部12bは、抽出の基準とした分割模様画像データと、撮像画像データとを対比して、撮像画像データから、基準の分割模様画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出する。
【0037】
模様抽出部12bは、画像認識技術を用いて、分割模様画像データとの類似度が所定以上に高い画像領域を部分模様領域として抽出すればよい。具体的には、模様抽出部12bは、分割模様画像データにおける画像のエッジを抽出し、同様に、撮像画像データにおける画像のエッジを抽出する。そして、分割模様画像データにおけるエッジの分布を、撮像画像データにおけるエッジの分布に対して位置をずらしながら、また分割模様画像データを変形させながら、繰り返し比較し、エッジの分布同士の一致度合が所定以上に高評価である領域を、一つの部分模様領域として抽出する。このような処理により、模様抽出部12bは、撮像画像データ内から、部分模様領域を抽出する。なお、ステップS124の処理と同様に、上述のステップS106において、模様登録部12aは、対比する画像同士のエッジの分布の一致度合に応じてプレスキャンデータ内の模様領域を抽出することができる。
【0038】
ステップS125では、模様抽出部12bは、ステップS124により抽出した部分模様領域の情報を、ステップS130以降のために印刷画像生成部12cへ出力する。ここで、幅方向D2をX軸、搬送方向D1をY軸と捉えると、撮像画像データは、直交するX・Y軸による2次元平面において座標が定義される。撮像画像データから部分模様領域を抽出する処理は、撮像画像データ内における部分模様領域の座標を特定する処理である。部分模様領域の座標とは、例えば、部分模様領域の中心座標や四隅の座標である。従って、ステップS125では、模様抽出部12bは、部分模様領域の座標の情報を出力すればよい。
【0039】
ステップS126では、模様抽出部12bは、N=nであるか否かを判定し、N=nであれば“Yes”と判定してステップS120を終える。ステップS125を終えた時点でN=nということは、模様画像データを構成するN個の分割模様画像データの全てをステップS123で抽出の基準に設定して、ステップS124を実行し終えたということである。一方、N>nである場合は、模様抽出部12bは、ステップS126の“No”の判定を経てステップS122以降を繰り返す。
【0040】
図5の例によれば、模様抽出部12bは、1~N番の分割模様画像データを一つずつ順番に抽出の基準に設定してステップS124をN回繰り返す流れとなっている。ただし、模様抽出部12bは、CPU11a等の処理能力にもよるが、ステップS120において、1~N番の分割模様画像データを抽出の基準にして行うN種類の部分模様領域の抽出を、並列的に実行してもよい。
【0041】
図6を参照して、ステップS120の具体例を説明する。符号40は、模様画像データ40を例示している。模様画像データ40は、花びらの形をモチーフにしてデザインされた模様を表現した画像データである。むろん、このような模様は、より複雑であってもよい。模様画像データ40は、搬送方向D1において2等分され、かつ、幅方向D2において2等分されることにより、4個の分割模様画像データ40a,40b,40c,40dに分けられている。つまり、
図6の例では、N=4である。
【0042】
また、
図6では、撮像画像データ42の一部を例示している。撮像画像データ42内には、模様画像データ40が表現する模様と同様の模様が、搬送方向D1と幅方向D2とのそれぞれに沿って繰り返し表現されている。撮像画像データ42内に実線で示す各矩形は、分割模様画像データ40aが表現する部分模様に対応する部分模様領域41aである。つまり、模様抽出部12bは、分割模様画像データ40aを抽出の基準に設定することにより、撮像画像データ42内の複数箇所から、分割模様画像データ40aと類似する部分模様領域41aを抽出する。
【0043】
同様に、撮像画像データ42内に破線で示す各矩形は、分割模様画像データ40bが表現する部分模様に対応する部分模様領域41bである。模様抽出部12bは、分割模様画像データ40bを抽出の基準に設定することにより、撮像画像データ42内の複数箇所から、分割模様画像データ40bと類似する部分模様領域41bを抽出する。また、撮像画像データ42内に1点鎖線で示す矩形は、分割模様画像データ40cに対応する部分模様領域41cの一つであり、同様に、撮像画像データ42内に2点鎖線で示す矩形は、分割模様画像データ40dに対応する部分模様領域41dの一つである。むろん、部分模様領域41cや部分模様領域41dも、撮像画像データ42内の複数箇所から抽出される。
【0044】
一組の部分模様領域41a,41b,41c,41dが、一つの模様領域41となる。このように、模様抽出部12bが、模様画像データ40を構成する複数の分割模様画像データ40a,40b,40c,40dのそれぞれと、撮像画像データ42と、を対比して部分模様領域41a,41b,41c,41dを抽出する処理が、撮像画像データ42から模様領域41を抽出する処理に該当する。
【0045】
図3の説明に戻る。
ステップS130では、印刷画像生成部12cは、生地30の模様に重ねて印刷すべき画像を表現する着色画像データを、ステップS120で抽出された模様領域の形状に合うように補正する。着色画像データは「第3画像データ」に該当する。着色画像データは、一つの模様に着色すべき色や色の印刷範囲を表現した、予め生成されたカラー画像データである。着色画像データは、例えば、記憶部18に予め保存されている。あるいは、制御部11は、ユーザーの操作に従って、例えば印刷装置10の外部のPCから、PCに保存されている着色画像データを入力し、入力した着色画像データを記憶部18に保存する。
【0046】
着色画像データの形状は、一つの模様を有する模様領域の理想的な形状、例えば矩形である。一方、ステップS120で撮像画像データから抽出された各模様領域の形状は、基本的には四角形であるものの、着色画像データの形状と一致するとは限らない。これは、搬送される生地30には、歪みや伸び縮み(以下、歪み等)が発生している可能性があるからである。
図6では特に描写していないが、撮像画像データ42から抽出された各模様領域41を構成する各部分模様領域41a,41b,41c,41dは、生地30の歪み等に起因して歪んだり伸び縮みしたりした形状となっている場合がある。
【0047】
そのため、印刷画像生成部12cは、着色画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割着色画像データのそれぞれを、ステップS120で抽出された部分模様領域の個々の形状に合わせて変形する。分割着色画像データは「分割第3画像データ」に該当する。印刷画像生成部12cは、模様登録部12aがステップS109で模様画像データを分割してN個の分割模様画像データを取得したのと同じ分割の態様により、着色画像データを分割し、N個の分割着色画像データを取得する。例えば、模様登録部12aが、模様画像データを縦方向に3等分しかつ横方向に3等分して9個の分割模様画像データを得たのであれば、印刷画像生成部12cは、同様に、着色画像データを縦方向に3等分しかつ横方向に3等分して9個の分割着色画像データを得る。
【0048】
そして、印刷画像生成部12cは、一つの分割着色画像データを、模様領域内での位置が、着色画像データ内での当該分割着色画像データの位置に対応する部分模様領域の形状に合わせて変形する。変形方法としては、例えば、画像の拡大、縮小、回転、せん断等を含むアフィン変換や、その他の変形方法を用いる。このような変形が、ステップS130による補正である。なお、模様領域の形状次第では、結果的にステップS130の補正が不要な場合もある。
【0049】
ステップS140では、印刷画像生成部12cは、ステップS130を経た複数の分割着色画像データを、撮像画像データにおける部分模様領域および模様領域の配列に対応させて配置することにより、印刷画像データを生成する。印刷画像データは、ステップS130を経た複数の分割着色画像データを結合した画像データであり、撮像の対象となった生地30の領域に対して印刷する画像である。このようなステップS130,S140は、第3画像データを抽出された模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する、「印刷画像生成工程」に該当する。
【0050】
図6の説明を前提として、
図7を参照してステップS130,S140の具体例を説明する。符号50は、着色画像データ50を示している。着色画像データ50は、花びらをモチーフにしてデザインされた模様に重ねて着色すべき色を表現したカラー画像データである。着色画像データ50は、縦横が模様画像データ40と同一或いはほぼ同一のサイズの画像と解してよい。着色画像データ50は、模様画像データ40と同様に、搬送方向D1において2等分され、かつ、幅方向D2において2等分されて、4個の分割着色画像データ50a,50b,50c,50dに分けられている。
【0051】
符号51aは、ある一つの模様領域41を構成する部分模様領域41aの形状に合わせて分割着色画像データ50aを補正した後の分割着色画像データ51aを示している。同様に、符号51bは、前記一つの模様領域41を構成する部分模様領域41bの形状に合わせて分割着色画像データ50bを補正した後の分割着色画像データ51bを示している。符号51cは、前記一つの模様領域41を構成する部分模様領域41cの形状に合わせて分割着色画像データ50cを補正した後の分割着色画像データ51cである。符号51dは、前記一つの模様領域41を構成する部分模様領域41dの形状に合わせて分割着色画像データ50dを補正した後の分割着色画像データ51dである。
【0052】
図7では、分割着色画像データの境界を一部破線で示している。また、
図6では描写を省略した生地30の歪み等に起因した模様の歪み等を、
図7においては表現している。印刷画像生成部12cは、ステップS130では、分割着色画像データ50a,50b,50c,50dの補正を、ステップS120で抽出された部分模様領域41a,41b,41c,41dからなる模様領域41毎に繰り返し実行すればよい。そして、このような補正を経た分割着色画像データ51a,51b,51c,51dを、模様領域41内の部分模様領域41a,41b,41c,41dの位置関係および撮像画像データ42内の模様領域41の配列の通りに結合したものが、印刷画像データ52である。
【0053】
図3の破線の矢印で示すように、制御部11は、ステップS110で生地30の撮像を開始して以降、撮像部15から順次得られる撮像画像データに応じて、ステップS120~S140を繰り返す。つまり、制御部11は、撮像部15から順次得られる所定サイズ分の撮像画像データを対象としてステップS120を実行し、ステップS120の結果を受けてステップS130,S140を実行する。
図7に示す印刷画像データ52は、このようなステップS120~S140の一サイクルの結果得られる印刷画像データである。
【0054】
ステップS150では、印刷制御部12dは、ステップS140で生成された印刷画像データの生地30への印刷を開始する。つまり、ステップS150により「印刷工程」が開始される。印刷画像生成部12cは、ステップS140を繰り返すことにより印刷画像データを順次生成し、生成した順に印刷画像データを印刷制御部12dへ出力する。印刷制御部12dは、印刷画像生成部12cから取得した印刷画像データに対して、いわゆる色変換処理やハーフトーン処理といった必要な各処理を適宜施して、印刷部17が印刷に使用する形式の印刷画像データに変換する。印刷制御部12dは、このような変換後の印刷画像データを、一時的にバッファに蓄積してもよい。
【0055】
そして、印刷制御部12dは、前記変換後の印刷画像データを印刷部17に転送し、ステップS110により撮像を開始した生地30の位置が印刷ヘッド19の下に到達した所定のタイミングで、キャリッジ20の移動と印刷画像データに基づく印刷ヘッド19からのインク吐出と、による印刷を印刷部17に開始させる。これにより、印刷画像データを構成する個々の着色画像データが表現するカラー画像が、生地30における個々の模様に合った形で模様に重なって印刷される。
【0056】
搬送部16には、搬送のために回転するローラーやベルトの回転量を検出するエンコーダーが設けられている。印刷制御部12dは、エンコーダーからの検出信号に従って生地30の搬送距離を演算する。従って、印刷制御部12dは、ステップS110により撮像を開始した生地30の位置の、搬送方向D1における現在位置を把握し、当該位置が印刷ヘッド19の下に到達したタイミングで、印刷部17に、生地30への印刷を開始させることができる。
【0057】
ステップS150で印刷を開始した後、制御部11は、印刷を終了するか否かを判定する(ステップS160)。制御部11は、印刷を終了する場合は、“Yes”と判定し、ステップS170の終了処理へ進む。制御部11は、例えば、ユーザーから印刷終了の指示を受けた場合や、予定されていた長さ分の生地30の搬送を終えた場合に、印刷の終了と判定する。
【0058】
ステップS170の終了処理では、制御部11は、撮像部15による生地30の撮像を停止させる。また、制御部11は、最後のステップS120~S140の一サイクルで生成された印刷画像データに基づく印刷を印刷部17に実行させた後、搬送部16や印刷部17の駆動を停止し、
図3のフローチャートを終了する。むろん、制御部11は、巻き取りローラーによる生地30の回収等の必要な処理を制御した上で、搬送部16を停止させるとしてもよい。
【0059】
3.抽出の確かさに基づく部分模様領域の選別:
上述したように、模様抽出部12bは、分割模様画像データ単位での撮像画像データとの対比により部分模様領域を抽出する。この場合、一つの模様の中に類似した部分模様が複数含まれている場合、ステップS123で、ある一つの分割模様画像データを抽出の基準に設定してステップS124を実行したとき、それら複数箇所の部分模様がいずれも部分模様領域として抽出される可能性がある。しかしながら、一つの模様の中からは、一つの分割模様画像データに基づいて、本来、一箇所の部分模様領域が抽出されるべきである。このような事態を考慮して、以下に説明するように模様抽出部12bは、ステップS120において、部分模様領域の抽出の確かさを算出してステップS130以降の処理に必要な部分模様領域の情報を選別するとしてもよい。
【0060】
図8は、
図6とは別の模様画像データおよび撮像画像データの例を示している。符号43は、一つの模様を表現する模様画像データ43を示している。模様画像データ43は、搬送方向D1において2等分され、幅方向D2において3等分されることにより、6個の分割模様画像データ43a,43b,43c,43d,43e,43fに分けられている。つまり、
図8の例では、N=6である。
【0061】
また、
図8では、分割模様画像データ43a,43b,43c,43d,43e,43fがそれぞれ表現する部分模様を、単純化して四角模様“□”や、丸模様“〇”や、星模様“☆”で描いている。これによれば、例えば、分割模様画像データ43aが表現する部分模様と、分割模様画像データ43eが表現する部分模様とは類似している。また、分割模様画像データ43bが表現する部分模様と、分割模様画像データ43fが表現する部分模様とは類似している。また、分割模様画像データ43cが表現する部分模様と、分割模様画像データ43dが表現する部分模様とは類似している。
【0062】
図8では、撮像画像データ45の一部を例示している。撮像画像データ45内には、模様画像データ43が表現する模様と同様の模様が、搬送方向D1と幅方向D2とのそれぞれに沿って繰り返し表現されている。撮像画像データ45内に破線で示す各矩形は、
図5のステップS124により抽出された部分模様領域44a,44b,44c,44d,44e,44f,44g,44h,44i,44j,44k,44l,44m,44n,44o,44p,44q,44r,44s,44t,44u,44v,44w,44x…である。
【0063】
模様抽出部12bは、ステップS123で分割模様画像データ43aを抽出の基準に設定してステップS124を実行したとき、
図8の例によれば、部分模様領域44a,44d,44h,44k,44m,44p,44t,44wを抽出する。しかしながら、これら部分模様領域44a,44d,44h,44k,44m,44p,44t,44wの中には、分割模様画像データ43aではなく、分割模様画像データ43eを抽出の基準に設定したときに抽出されるべき部分模様領域も含まれている。そこで、模様抽出部12bは、ステップS124で抽出した部分模様領域毎に、この部分模様領域と周囲で抽出された他の部分模様領域との位置関係と、模様画像データにおける複数の分割模様画像データの位置関係と、の対比に基づいて、抽出の確かさを算出する。以下では、抽出の確かさを「抽出確度」とも呼ぶ。ある一つの分割模様画像データが表現する部分模様に対応するものとして撮像画像データの複数位置から抽出された複数の部分模様領域は、各々が「第1部分模様領域」に該当する。
【0064】
ここで、分割模様画像データ43aを抽出の基準に設定したとき、撮像画像データ45から、四角模様“□”の部分模様領域44aおよび部分模様領域44hが抽出されたことを例に採り、部分模様領域44a,44hそれぞれの抽出確度の算出方法を説明する。この場合、部分模様領域44a,44hそれぞれが第1部分模様領域である。なお、四角模様“□”は、分割模様画像データ43aまたは分割模様画像データ43eを抽出の基準に設定したときに抽出される部分模様領域である。
図8においては、説明の便宜上、幅方向D2をX軸+方向、幅方向D2の逆方向をX軸-方向と捉え、搬送方向D1の上流の向きをY軸+方向、搬送方向D1の下流の向きをY軸-方向と捉える。
【0065】
まず、部分模様領域44aの抽出確度を算出する。模様画像データ43における分割模様画像データ43aと分割模様画像データ43b,43c,43d,43e,43fとの位置関係を参照すると、撮像画像データ45において、部分模様領域44aのX軸+方向隣の部分模様領域は、丸模様“〇”に該当すべきである。丸模様“〇”は、分割模様画像データ43bまたは分割模様画像データ43fを抽出の基準に設定したときに抽出される部分模様領域である。撮像画像データ45において、部分模様領域44aのX軸+方向隣では、丸模様“〇”の部分模様領域44bが抽出されているため、この事実に応じて、模様抽出部12bは、部分模様領域44aの抽出確度を+1とする。
【0066】
同様に、分割模様画像データ43aと分割模様画像データ43b,43c,43d,43e,43fとの位置関係を参照すると、部分模様領域44aからX軸+方向へ2つ先(隣の隣)の部分模様領域は、星模様“☆”に該当すべきである。星模様“☆”は、分割模様画像データ43cまたは分割模様画像データ43dを抽出の基準に設定したときに抽出される部分模様領域である。撮像画像データ45において、部分模様領域44aからX軸+方向へ2つ先では、星模様“☆”の部分模様領域44cが抽出されているため、模様抽出部12bは、部分模様領域44aの抽出確度に+1を加える。
【0067】
さらに、部分模様領域44aのY軸+方向隣の部分模様領域は、星模様“☆”に該当すべきであり、部分模様領域44aのY軸+方向隣では、星模様“☆”の部分模様領域44gが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44aの抽出確度に+1を加える。
さらに、部分模様領域44aに対し、X軸+方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先の部分模様領域は、四角模様“□”に該当すべきであり、部分模様領域44aに対し、X軸+方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先では、四角模様“□”の部分模様領域44hが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44aの抽出確度に+1を加える。
さらに、部分模様領域44aに対し、X軸+方向において2つ先且つY軸+方向において1つ先の部分模様領域は、丸模様“〇”に該当すべきであり、部分模様領域44aに対し、X軸+方向において2つ先且つY軸+方向において1つ先では、丸模様“〇”の部分模様領域44iが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44aの抽出確度に+1を加える。
【0068】
このように抽出確度を加算した結果、模様抽出部12bは、分割模様画像データ43aを抽出の基準にして撮像画像データ45から抽出した部分模様領域44aについて、抽出確度は“+5”と算出する。なお、
図8のように模様画像データ43を6分割した状況においては、抽出確度“+5”は、抽出の確かさの最高点を意味する。
【0069】
同様に、部分模様領域44hの抽出確度を算出する。上述したように、模様画像データ43における分割模様画像データ43aと分割模様画像データ43b,43c,43d,43e,43fとの位置関係を参照すると、撮像画像データ45において、部分模様領域44hのX軸+方向隣の部分模様領域は、丸模様“〇”に該当すべきであり、部分模様領域44hのX軸+方向隣には、丸模様“〇”の部分模様領域44iが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44hの抽出確度を+1とする。
また、部分模様領域44hからX軸+方向へ2つ先では、星模様“☆”の部分模様領域44jが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44hの抽出確度に+1を加える。
【0070】
しかしながら、部分模様領域44hのY軸+方向隣の部分模様領域は、星模様“☆”に該当すべきであるところ、部分模様領域44hのY軸+方向隣では、丸模様“〇”の部分模様領域44nが抽出されている。この事実に基づき、模様抽出部12bは、部分模様領域44hの抽出確度に点を加算しない。
さらに、部分模様領域44hに対し、X軸+方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先の部分模様領域は、四角模様“□”に該当すべきところ、部分模様領域44hに対し、X軸+方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先では、星模様“☆”の部分模様領域44oが抽出されている。この事実に基づき、模様抽出部12bは、部分模様領域44hの抽出確度に点を加算しない。
さらに、部分模様領域44hに対し、X軸+方向において2つ先且つY軸+方向において1つ先の部分模様領域は、丸模様“〇”に該当すべきところ、部分模様領域44hに対し、X軸+方向において2つ先且つY軸+方向において1つ先では、四角模様“□”の部分模様領域44pが抽出されている。この事実に基づき、模様抽出部12bは、部分模様領域44hの抽出確度に点を加算しない。
【0071】
このように抽出確度を加算した結果、模様抽出部12bは、分割模様画像データ43aを抽出の基準にして撮像画像データ45から抽出した部分模様領域44hについて、抽出確度は“+2”と算出する。
つまり、分割模様画像データ43aを抽出の基準にして撮像画像データ45から部分模様領域44aおよび部分模様領域44hを抽出できた場合であっても、抽出確度の違いから、分割模様画像データ43aに基づく抽出結果としては、部分模様領域44aは正しい抽出結果であり、部分模様領域44hは誤った抽出結果であることが解る。
【0072】
次に、分割模様画像データ43bを抽出の基準に設定したとき、撮像画像データ45から、丸模様“〇”の部分模様領域44bおよび部分模様領域44iが抽出されたことを例に採り、部分模様領域44b,44iの抽出確度の算出を説明する。
【0073】
まず、部分模様領域44bの抽出確度を算出する。模様画像データ43における分割模様画像データ43bと分割模様画像データ43a,43c,43d,43e,43fとの位置関係を参照すると、撮像画像データ45において、部分模様領域44bのX軸-方向隣の部分模様領域は、四角模様“□”に該当すべきであり、部分模様領域44bのX軸-方向隣には、四角模様“□”の部分模様領域44aが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44bの抽出確度を+1とする。また、部分模様領域44bのX軸+方向隣には、星模様“☆”の部分模様領域44cが抽出されているため、模様抽出部12bは、部分模様領域44bの抽出確度に+1を加える。さらに、部分模様領域44bに対しX軸-方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先では、星模様“☆”の部分模様領域44gが抽出されているため、模様抽出部12bは、部分模様領域44bの抽出確度に+1を加える。さらに、部分模様領域44bのY軸+方向隣には、四角模様“□”の部分模様領域44hが抽出されているため、模様抽出部12bは、部分模様領域44bの抽出確度に+1を加える。さらに、部分模様領域44bに対しX軸+方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先では、丸模様“〇”の部分模様領域44iが抽出されているため、模様抽出部12bは、部分模様領域44bの抽出確度に+1を加える。従って、模様抽出部12bは、分割模様画像データ43bを抽出の基準にして撮像画像データ45から抽出した部分模様領域44bについて、抽出確度“+5”と算出する。
【0074】
同様に、部分模様領域44iの抽出確度を算出する。撮像画像データ45において、部分模様領域44iのX軸-方向隣には、四角模様“□”の部分模様領域44hが抽出されている。そのため、模様抽出部12bは、部分模様領域44iの抽出確度を+1とする。また、部分模様領域44iのX軸+方向隣には、星模様“☆”の部分模様領域44jが抽出されているため、模様抽出部12bは、部分模様領域44iの抽出確度に+1を加える。ただし、部分模様領域44iに対しX軸-方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先の部分模様領域44nは、星模様“☆”ではないため、この事実に基づき、模様抽出部12bは、部分模様領域44iの抽出確度に点を加算しない。さらに、部分模様領域44iのY軸+方向隣の部分模様領域44oは、四角模様“□”でないため、この事実に基づき、模様抽出部12bは、部分模様領域44iの抽出確度に点を加算しない。さらに、部分模様領域44iに対しX軸+方向において1つ先且つY軸+方向において1つ先の部分模様領域44pは、丸模様“〇”でないため、この事実に基づき、模様抽出部12bは、部分模様領域44iの抽出確度に点を加算しない。従って、模様抽出部12bは、分割模様画像データ43bを抽出の基準にして撮像画像データ45から抽出した部分模様領域44iについて、抽出確度“+2”と算出する。
【0075】
このように、分割模様画像データ43bを抽出の基準にして撮像画像データ45から部分模様領域44bおよび部分模様領域44iを抽出できた場合であっても、抽出確度の違いから、分割模様画像データ43bに基づく抽出結果としては、部分模様領域44bは正しい抽出結果であり、部分模様領域44iは誤った抽出結果であることが解る。
【0076】
図9は、抽出の基準とした分割模様画像データと、抽出の基準とした分割模様画像データにより撮像画像データから抽出された部分模様領域と、の組み合わせ毎の抽出確度を、表形式で示している。模様抽出部12bは、抽出した部分模様領域毎に、上述のように周囲の部分模様領域との位置関係から抽出確度を算出する。
図9によれば、例えば、部分模様領域44aは、分割模様画像データ43aを抽出の基準とした場合と、分割模様画像データ43eを抽出の基準とした場合とのいずれにおいても抽出され得る。しかし、分割模様画像データ43aを抽出の基準としたときの抽出確度は“+5”であり、分割模様画像データ43eを抽出の基準としたときの抽出確度は“+1”であるから、分割模様画像データ43aを基準として抽出した部分模様領域44aは正しい抽出結果であり、分割模様画像データ43eを基準として抽出した部分模様領域44aは誤った抽出結果であることが解る。
【0077】
模様抽出部12bは、このような抽出確度の算出を、ステップS125のタイミングで実行し、例えば
図9に示すような抽出確度が得られた場合には、抽出確度が“+5”である部分模様領域を選別し、選別した部分模様領域の情報を抽出結果として印刷画像生成部12cへ出力すればよい。あるいは、模様抽出部12bは、ステップS124で抽出した部分模様領域のうち、算出した抽出確度が所定のしきい値以上である部分模様領域を選別し、選別した部分模様領域の情報を抽出結果として印刷画像生成部12cへ出力する。つまり、模様抽出部12bは、複数位置の第1部分模様領域のうち抽出確度が相対的に高い第1部分模様領域の抽出結果を、印刷画像データの生成のために印刷画像生成部12cへ提供する。
【0078】
これまでの説明から解るように、抽出確度の算出は、抽出された複数の部分模様領域の位置関係を参照する必要があるため、撮像画像データのある程度の面積から複数の部分模様領域の抽出ができた状態で行う。そのため、模様抽出部12bは、ステップS122,S123,S124を複数回繰り返し、例えば
図8に示すように撮像画像データ45の連続する所定サイズの領域を対象とした部分模様領域の抽出を終えたタイミングで、ステップS125において、部分模様領域毎の抽出確度の算出や、抽出確度に基づく部分模様領域の選別を行えばよい。
【0079】
抽出確度の算出は、模様画像データ一つ分に相当する複数の部分模様領域のまとまりが抽出できていない状況であっても可能である。撮像画像データ45が生成される速度の関係から、ステップS120の時点において、撮像画像データ45のうち部分模様領域44s,44t,44u,44v,44w,44xを有する部分を模様抽出部12bが取得できていないと仮定する。このような場合であっても、模様抽出部12bは、例えば、部分模様領域44mの抽出確度について、部分模様領域44nや部分模様領域44oとの関係から算出する。
【0080】
具体的には、模様抽出部12bは、部分模様領域44mの抽出確度の算出のために参照した他の部分模様領域数を母数とし、部分模様領域44mとの位置関係が模様画像データ43における分割模様画像データの位置関係と一致する部分模様領域数の比率を、抽出確度とすればよい。つまり、分割模様画像データ43aを基準として抽出した部分模様領域44mについては、参照した部分模様領域44nおよび部分模様領域44oとの位置関係が、分割模様画像データ43aと、分割模様画像データ43bおよび分割模様画像データ43cとの位置関係と一致するため、抽出確度=2/2、つまり抽出確度=100%とする。このように、抽出確度を比率で算出した場合であっても、模様抽出部12bは、しきい値を用いるなどして、ある程度高い抽出確度の部分模様領域を選別すればよい。
【0081】
4.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷装置10は、模様が形成された生地30を搬送方向D1へ搬送する搬送部16と、搬送部16が搬送する生地30を撮像する撮像部15と、搬送部16が搬送する生地30へ印刷を行う印刷部17と、模様を表現する第1画像データと、撮像部15による生地30の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、第2画像データにおける模様に対応する模様領域を抽出する模様抽出部12bと、模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを、抽出された模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する印刷画像生成部12cと、印刷画像データの生地30への印刷を印刷部17に実行させる印刷制御部12dと、を備える。そして、模様抽出部12bは、第1画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第1画像データのそれぞれと第2画像データとを対比することにより、第2画像データから分割第1画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出する。印刷画像生成部12cは、第3画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第3画像データのそれぞれを、抽出された部分模様領域に応じて配置することにより印刷画像データを生成する。
【0082】
前記構成によれば、模様抽出部12bは、第1画像データ単位ではなく、分割第1画像データ単位で第2画像データと対比して、第2画像データから部分模様領域を抽出する。これにより、生地30に歪み等が生じていたり、第1画像データのサイズが大きかったりしても、それらの影響を小さくして部分模様領域を的確に抽出し、結果的に、部分模様領域の寄せ集めである模様領域を高い精度で抽出することが可能となる。また、印刷画像生成部12cは、分割第3画像データ単位で、部分模様領域に対応させて配置して印刷画像データを生成する。そのため、第3画像データ単位で模様領域に合わせて配置して印刷する場合と比較して、細やかな調整、補正がし易く、模様と模様に重ねて印刷すべき画像とのずれを少なくし易い。
【0083】
また、
図2Aから解るように、搬送方向D1における撮像部15と印刷ヘッド19との距離は製品規格上決まっている。搬送される生地30を撮像部15が撮像して生成した第2画像データを取得した制御部11は、生地30が印刷ヘッド19へ到達するまでに、印刷開始に必要な印刷画像データの生成を終える必要がある。しかしながら、生地30に形成されている一つ一つの模様が大きい場合、第2画像データから一つの模様に対応する模様領域を抽出してから印刷画像データを生成していたのでは、生地30への印刷開始に間に合わず、生地30の搬送速度を低下させたり、搬送を一時停止したりする必要性が生じる。このような不都合に対して、本実施形態では、分割第1画像データ単位で第2画像データから部分模様領域を抽出し、分割第3画像データ単位で部分模様領域に合わせて印刷画像データを生成する。そのため、一つの模様全体の撮像や、模様領域全体の抽出を待つことなく順次、印刷画像データを生成することができ、印刷の効率低下を回避することができる。
【0084】
本実施形態は、模様抽出部12bが第1画像データを縦方向にのみ分割して得られる分割第1画像データを扱い、印刷画像生成部12cが第3画像データを縦方向にのみ分割して得られる分割第3画像データを扱う構成を含む。同様に、本実施形態は、模様抽出部12bが第1画像データを横方向にのみ分割して得られる分割第1画像データを扱い、印刷画像生成部12cが第3画像データを横方向にのみ分割して得られる分割第3画像データを扱う構成を含む。
【0085】
また、本実施形態によれば、模様抽出部12bは、一の分割第1画像データが表現する部分模様に対応する第1部分模様領域を第2画像データの複数位置から抽出したとき、複数位置の第1部分模様領域毎に、第1部分模様領域と第1部分模様領域の周囲で抽出された他の部分模様領域との位置関係と、第1画像データにおける複数の分割第1画像データの位置関係と、の対比に基づいて抽出の確かさを算出する。そして、複数位置の第1部分模様領域のうち前記確かさが相対的に高い第1部分模様領域の抽出結果を、印刷画像データの生成のために印刷画像生成部12cへ提供する。
前記構成によれば、模様抽出部12bは、部分模様領域について抽出の確かさ、つまり抽出確度を算出することにより、分割第1画像データとの対比で第2画像データから誤って抽出してしまった部分模様領域を排除し、正しく抽出した部分模様領域の情報を印刷画像データ生成のために提供することができる。これにより、例えば、分割第3画像データを誤った配置で結合して印刷画像データを生成するといったことを回避し、印刷品質を担保することができる。
【0086】
本実施形態は、印刷装置10以外にも、システム、プログラム、方法といった各種カテゴリーの発明を開示する。
印刷方法は、模様が形成された生地30を搬送方向D1へ搬送する搬送工程と、搬送される生地30を撮像する撮像工程と、模様を表現する第1画像データと、生地30の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、第2画像データにおける模様に対応する模様領域を抽出する模様抽出工程と、模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを、抽出された模様領域に合うように配置することにより印刷画像データを生成する印刷画像生成工程と、搬送される生地30への印刷画像データの印刷を行う印刷工程と、を備える。そして、模様抽出工程は、第1画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第1画像データのそれぞれと第2画像データとを対比することにより、第2画像データから分割第1画像データが表現する部分模様に対応する部分模様領域を抽出し、印刷画像生成工程は、第3画像データを縦方向と横方向との少なくとも一方に分割して得られる複数の分割第3画像データのそれぞれを、抽出された部分模様領域に応じて配置することにより印刷画像データを生成する。
【0087】
図2Aの例では、印刷ヘッド19がキャリッジ20に搭載されて移動する、いわゆるシリアルプリンターの構成を開示したが、印刷ヘッド19は、いわゆるライン型のヘッドであってもよい。つまり、印刷ヘッド19は、キャリッジ20に搭載されず、幅方向D2に沿って生地30の幅をカバー可能な長尺のプリントヘッドであってもよい。
【0088】
図2A,2Bにおいて、符号22で示す構成は、無端ベルトではなく、生地30を下方から支持する台としてのプラテンであってもよい。つまり、不図示のローラーによって搬送される生地30がプラテン上を移動すると解してもよい。
本実施形態は、生地30以外の素材、例えば、紙による印刷媒体であって模様が形成された印刷媒体を印刷に使用する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10…印刷装置、11…制御部、12…プログラム、12a…模様登録部、12b…模様抽出部、12c…印刷画像生成部、12d…印刷制御部、13…表示部、14…操作受付部、15…撮像部、16…搬送部、17…印刷部、18…記憶部、19…印刷ヘッド、20…キャリッジ、22…無端ベルト、30…生地、40,43…模様画像データ、40a,40b,40c,40d,43a,43b,43c,43d,43e,43f…分割模様画像データ、41…模様領域、41a,41b,41c,41d,44a,44b,44c,44d,44e,44f,44g,44h,44i,44j,44k,44l,44m,44n,44o,44p,44q,44r,44s,44t,44u,44v,44w,44x…部分模様領域、42,45…撮像画像データ、50…着色画像データ、50a,50b,50c,50d…分割着色画像データ、52…印刷画像データ