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特許7563140機械学習装置、予測装置、台数制御パラメータ出力装置、及び制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】機械学習装置、予測装置、台数制御パラメータ出力装置、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20241001BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241001BHJP
【FI】
F22B35/00 E
G06N20/00 130
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020199588
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087585
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山田 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊賀上 祐彰
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-236719(JP,A)
【文献】特開平08-136174(JP,A)
【文献】特開2017-129896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/18 - 35/18
G06N 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボイラを有するボイラ群と、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御装置と、を有するボイラシステムから予め設定されたサンプリング周期毎に出力される、サンプリングタイムと、当該サンプリングタイムにおける少なくとも前記ボイラ群の全出力蒸気量を含む測定データと、を含む稼働日毎のサンプリング順の時系列データに基づいて算出される、所定の単位時間毎の前記ボイラ群の少なくとも最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量を含む単位時間蒸気量の時系列データの集合から、予め設定される第1時間帯に含まれる前記単位時間蒸気量の時系列データの部分集合となる第1時間帯時系列データを抽出するとともに、
前記単位時間蒸気量の時系列データの集合から前記第1時間帯の直後から予め設定された第2時間先の単位時間の蒸気量を抽出することで、前記第1時間帯時系列データ及び前記第2時間先の単位時間の蒸気量を含む教師データを作成する教師データ作成部と、
前記教師データ作成部によって作成された前記教師データに基づいて、任意の稼働日における第1時間帯に含まれる単位時間蒸気量の時系列データから、前記第1時間帯の直後から第2時間先の単位時間における前記ボイラ群の少なくとも最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量を含む単位時間蒸気量を予測する予測モデルを生成する学習部と、
を備える機械学習装置。
【請求項2】
前記稼働日は、予め設定された蒸気負荷パターンが対応づけられ、
前記学習部は、前記蒸気負荷パターンに対応して、前記予測モデルを生成する、請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記学習部は、前記第1時間帯時系列データを入力データとし、前記第1時間帯の直後から前記第2時間先の単位時間の蒸気量をラベルデータとする教師データに基づいて、教師あり学習を実行し、前記予測モデルとしての学習済みモデルを生成する、請求項1又は請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記学習部は、前記第1時間帯における単位時間毎の時系列データと、前記第1時間帯の直後から前記第2時間先の単位時間の蒸気量と、に基づいて、時系列分析を実行し、前記予測モデルを生成する、請求項1又は請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項5】
前記機械学習装置は、ネットワークを介して前記制御装置と通信可能に接続される1つ以上のサーバから構成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の機械学習装置により生成された予測モデルと、
前記ボイラシステムの稼働日における任意の時刻の直前の第1時間帯時系列データを単位時間毎に取得し、前記予測モデルを用いて、前記単位時間毎に前記時刻から第2時間先の単位時間の蒸気量予測値を取得し、
前記単位時間毎に取得する、前記第2時間先の前記単位時間の蒸気量予測値の集合に基づいて、前記ボイラシステムの稼働日の所定の時刻から第2時間先までの時間帯における少なくとも前記ボイラ群の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測する予測部と、
を備える予測装置。
【請求項7】
前記ボイラシステムの含むボイラ群は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼制御可能な段階値制御ボイラを複数有するボイラ群であって、
請求項6に記載の予測装置により予測された、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量に基づいて、当該時間帯における前記ボイラシステムの最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値を算出し、前記ボイラシステムの前記制御装置に出力する台数制御パラメータ出力部を備える、台数制御パラメータ出力装置。
【請求項8】
請求項7に記載の台数制御パラメータ出力装置から取得した最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値に基づいて、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な台数制御パラメータを設定し、
設定された前記台数制御パラメータに基づいて、前記ボイラ群を燃焼制御する、制御装置。
【請求項9】
前記ボイラシステムの含むボイラ群は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼制御可能な段階値制御ボイラを複数有するボイラ群であって、
請求項6に記載の予測装置により予測された、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量に基づいて、当該時間帯において最も適した台数制御パラメータグループIDを選択し、前記ボイラシステムの前記制御装置に出力する台数制御パラメータ出力部を備える、台数制御パラメータ出力装置。
【請求項10】
請求項9に記載の台数制御パラメータ出力装置から取得した台数制御パラメータグループIDに基づいて、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な台数制御パラメータを設定し、
設定された前記台数制御パラメータに基づいて、前記ボイラ群を燃焼制御する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のボイラを有するボイラ群を備えるボイラシステムに係る機械学習装置、予測装置、台数制御パラメータ出力装置、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のボイラを有するボイラ群と、前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧であるヘッダ圧力値に基づいて前記ボイラ群の燃焼状態を制御するボイラシステムが提案されている。
従来、ボイラとして、選択される燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能な段階値制御ボイラ、及び燃焼量を連続的に増減可能な連続制御ボイラが知られている。
ここで、段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により複数(3以上)段階の燃焼位置で燃焼する多位置制御ボイラをいう。このような段階値制御ボイラでは、燃焼率が段階的に変更される。なお、多位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止位置を含めて複数個の位置に段階的に制御可能なことを表す。
そして、特許文献1に記載されているように、段階値制御ボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムの燃焼制御において、ボイラ効率が高効率となる燃焼位置を示す高効率運転ポイント(以下、「エコ運転ポイント」ともいう)を目指して、各ボイラをできるだけ「エコ運転ポイント」で燃焼するように制御することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された燃焼制御は、最大使用蒸気量としての最大蒸発量、平均蒸気使用量としての第1蒸発量、変動蒸気量としての第2蒸発量、運転対象ボイラの台数、及び燃焼優先順位を、予め設定しておくことを前提としている。そのうえで、例えば、1日を通して「エコ運転ポイント」で燃焼する時間を長く確保したい場合には、1日の稼働状況を考慮したうえで、平均蒸気使用量としての第1蒸気量を高効率燃焼位置である中燃焼位置で燃焼するように、予め運転対象ボイラ台数を設定し、燃焼優先順位を設定しておくことが開示されている。
【0004】
他方、1台以上の連続制御ボイラからなるボイラ群により構成されるボイラシステムにおいて、各連続制御ボイラの燃焼状態を制御する場合、予め目標蒸気圧力値を設定しておき、ヘッダ圧力値を目標蒸気圧力値に保つように、ヘッダ圧力値と目標蒸気圧力値との偏差に応じた制御量を算出することで、制御対象のボイラの燃焼量を制御する台数制御が知られている。
そして、特許文献2に記載されているように連続制御ボイラは、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲で燃焼率を連続的に変更することができるが、燃焼率によってボイラ効率(連続制御ボイラの熱効率)が異なる。そこで、例えば、ボイラ効率が最も高くなる(例えば、98%)燃焼率をエコ運転ポイントとして設定し、また、ボイラ効率が所定値(例えば、97%)よりも高くなる燃焼率の範囲をエコ運転ゾーンとして設定する。例えば、連続制御ボイラの燃焼率50%のときにボイラ効率が最も高くなる場合、エコ運転ポイントは燃焼率50%であり、連続制御ボイラの燃焼率が30%から70%の範囲の時に、ボイラ効率が所定値よりも高くなる燃焼率になる場合、エコ運転ゾーンは、燃焼率30%から70%の範囲である。
そして、連続制御ボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムの燃焼制御においても、連続制御ボイラの燃焼率が低下した場合であっても、各連続制御ボイラの燃焼率がエコ運転ゾーンの範囲内になるように所定蒸気量を設定することで、各連続制御ボイラをできるだけエコ運転ゾーンの範囲内で燃焼させるように制御することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-017940号公報
【文献】特開2016-176679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際に1日の平均蒸気量を把握することは困難であり、また、月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが変化する場合、その都度、運転対象ボイラ台数の設定、及び燃焼優先順位の設定を調整することは困難である。多くのユーザにおいては、最初に、1日の平均蒸気量、変動蒸気量、最大使用蒸気量を設定すると、以降の運用は、これらのパラメータに基づいて台数制御するように運用されるのが現状である。
ボイラ効率を高く保ちつつ出力される蒸気量の安定性を高めるためには、例えば月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、例えば直前の時間帯(複数時間)でのボイラ群による全出力蒸気量の履歴に基づいて、当該時間帯の直後から所定時間先(例えば1時間先)までの平均蒸気使用量、変動蒸気量、最大蒸気使用量を予測することができるボイラシステムが望まれる。
【0007】
本発明は、複数のボイラを有するボイラ群を備えるボイラシステムにおいて、月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、例えば直前の時間帯(複数時間)でのボイラ群による全出力蒸気量の履歴に基づいて、所定時間先の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測するための予測モデルを作成することができる機械学習装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のボイラを有するボイラ群と、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御装置と、を有するボイラシステムから予め設定されたサンプリング周期毎に出力される、サンプリングタイムと、当該サンプリングタイムにおける少なくとも前記ボイラ群の全出力蒸気量を含む測定データと、を含む稼働日毎のサンプリング順の時系列データに基づいて算出される、所定の単位時間毎の前記ボイラ群の少なくとも最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量を含む単位時間蒸気量の時系列データの集合から、予め設定される第1時間帯に含まれる前記単位時間蒸気量の時系列データの部分集合となる第1時間帯時系列データを抽出するとともに、前記単位時間蒸気量の時系列データの集合から前記第1時間帯の直後から予め設定された第2時間先の単位時間の蒸気量を抽出することで、前記第1時間帯時系列データ及び前記第2時間先の単位時間の蒸気量を含む教師データを作成する教師データ作成部と、前記教師データ作成部によって作成された前記教師データに基づいて、任意の稼働日における第1時間帯に含まれる単位時間蒸気量の時系列データから、前記第1時間帯の直後から第2時間先の単位時間における前記ボイラ群の少なくとも最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量を含む単位時間蒸気量を予測する予測モデルを生成する学習部と、を備える機械学習装置に関する。
【0009】
また、前記稼働日は、予め設定された蒸気負荷パターンが対応づけられ、前記学習部は、前記蒸気負荷パターンに対応して、前記予測モデルを生成するようにしてもよい。
【0010】
また、前記学習部は、前記第1時間帯時系列データを入力データとし、前記第1時間帯の直後から前記第2時間先の単位時間の蒸気量をラベルデータとする教師データに基づいて、教師あり学習を実行し、前記予測モデルとしての学習済みモデルを生成するようにしてもよい。
【0011】
また、前記機械学習装置は、ネットワークを介して前記制御装置と通信可能に接続される1つ以上のサーバから構成されるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明は、前記機械学習装置により生成された予測モデルと、前記ボイラシステムの稼働日における任意の時刻の直前の第1時間帯時系列データを単位時間毎に取得し、前記予測モデルを用いて、前記単位時間毎に前記時刻から第2時間先の単位時間の蒸気量予測値を取得し、前記単位時間毎に取得する、前記第2時間先の前記単位時間の蒸気量予測値の集合に基づいて、前記ボイラシステムの稼働日の所定の時刻から第2時間先までの時間帯における少なくとも前記ボイラ群の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測する予測部と、を備える予測装置に関する。
【0013】
また、前記ボイラシステムの含むボイラ群は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼制御可能な段階値制御ボイラを複数有するボイラ群であって、前記予測装置により予測された、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量に基づいて、当該時間帯における前記ボイラシステムの最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値を算出し、前記ボイラシステムの前記制御装置に出力する台数制御パラメータ出力装置に関する。
【0014】
また、本発明は、前記台数制御パラメータ出力装置から取得した最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値に基づいて、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な台数制御パラメータを設定し、設定された前記台数制御パラメータに基づいて、前記ボイラ群を燃焼制御する、ボイラシステムの制御装置に関する。
【0015】
また、本発明は、前記ボイラシステムの含むボイラ群は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼制御可能な段階値制御ボイラを複数有するボイラ群であって、前記予測装置により予測された、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量に基づいて、当該時間帯において最も適した台数制御パラメータグループIDを選択し、前記ボイラシステムの前記制御装置に出力する台数制御パラメータ出力部を備える、台数制御パラメータ出力装置に関する。
【0016】
また、本発明は、前記台数制御パラメータ出力装置から取得した台数制御パラメータグループIDに基づいて、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な台数制御パラメータを設定し、設定された前記台数制御パラメータに基づいて、前記ボイラ群を燃焼制御する、ボイラシステムの制御装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記機械学習装置は、複数のボイラを有するボイラ群を備えるボイラシステムにおいて、月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、例えば直前の時間帯(複数時間)でのボイラ群による全出力蒸気量の履歴に基づいて、所定時間先の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測するための予測モデルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る予測機能付きボイラシステムの概略を示す図である。
図2】上記実施形態の台数制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3】上記実施形態の時系列データ記憶装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】上記実施形態の時系列データ記憶装置により抽出される第1時間帯時系列データの概要を示す図である。
図5】上記実施形態の機械学習装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6】上記実施形態の機械学習装置における教師データの概要を示す図である。
図7】予測装置に提供される予測モデル(学習済みモデル)の一例を示す図である。
図8】上記実施形態の予測装置における入出力処理状況を例示する図である。
図9】上記実施形態の予測装置の構成を示す機能ブロック図である。
図10】上記実施形態の台数制御パラメータ出力装置の構成を示す機能ブロック図である。
図11】上記実施形態の運用フェーズにおける予測装置及び台数制御パラメータ出力装置の動作の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の予測機能付きボイラシステムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る予測機能付きボイラシステム100の概略を示す図である。図1に示すように、予測機能付きボイラシステム100は、ボイラシステム1、時系列データ記憶装置6、機械学習装置7、予測装置8、及び台数制御パラメータ出力装置9を含む。
なお、時系列データ記憶装置6、機械学習装置7、予測装置8、及び台数制御パラメータ出力装置9は、それぞれ所定の機能の動作を実現するために、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備えるととともに、各種の制御用プログラムを格納したROM(Read Only Memory)やHDD等の図示しない補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAMといった図示しない主記憶装置を備える。そして、演算処理装置が補助記憶装置からOSやアプリケーションソフトウェアを読み込み、読み込んだOSやアプリケーションソフトウェアを主記憶装置に展開させながら、これらのOSやアプリケーションソフトウェアに基づいた演算処理を行う。この演算結果に基づいて、それぞれの装置が各ハードウェアを制御する。これにより、それぞれの装置の備える機能は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
以下の説明においては、ボイラとして段階値制御ボイラを例示して説明する。しかしながら、台数制御装置3については、連続制御ボイラを制御する台数制御装置3Aに置き換えるとともに、時系列データ記憶装置6、機械学習装置7、及び予測装置8については、連続制御ボイラに対してそのまま適用することで、予測機能付きボイラシステム100は、連続制御ボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステム1にも適用できる。
次に、ボイラシステム1について説明する。
【0020】
図1に示すように、ボイラシステム1は、複数の段階値制御ボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数の段階値制御ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ4と、蒸気ヘッダ4の内部の圧力(以下「ヘッダ圧力」ともいう)を測定する蒸気圧センサ5と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部30を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を発生する。
【0021】
台数制御装置3は、例えば時系列データ記憶装置6、及び台数制御パラメータ出力装置9と図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。また、台数制御装置3は、時系列データ記憶装置6、及び台数制御パラメータ出力装置9と、LAN(Local Area Network)やインターネット等の図示しないネットワークを介して相互に接続されていてもよい。この場合、台数制御装置3、時系列データ記憶装置6、及び台数制御パラメータ出力装置9は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えている。なお、機械学習装置7についても、時系列データ記憶装置6、及び台数制御パラメータ出力装置9と通信可能に接続されている。なお、後述するように、台数制御装置3は、時系列データ記憶装置6、機械学習装置7、及び台数制御パラメータ出力装置9のいずれかを含むようにしてもよい。
次にボイラシステム1について簡単に説明する。
【0022】
複数の段階値制御ボイラ20のそれぞれは、燃焼が行われるボイラ本体21と、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御するローカル制御部22と、を備える。
本実施形態では、段階値制御ボイラ20として
1)燃焼停止位置(第1燃焼位置:0%)、
2)低燃焼位置L(第2燃焼位置:例えば最大燃焼量の5~35%で設定される、本実施形態では20%)、
3)中燃焼位置M(第3燃焼位置:例えば最大燃焼量の40~60%で設定される、本実施形態では40%)、
4)高燃焼位置H(第4燃焼位置:100%(最大燃焼量))の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラ(以下、「4位置制御ボイラ」ともいう)を例示する。
本実施形態の段階値制御ボイラ20は、中燃焼位置が運転効率の高い特性を有するボイラとする。すなわち、各段階値制御ボイラ20は、中燃焼位置を高効率燃焼位置とする。
【0023】
複数の段階値制御ボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行う段階値制御ボイラ20を選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。なお、この優先順位は、後述の制御部30の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更してもよい。
なお、段階値制御ボイラ20は、4位置ボイラに限られない。任意の多位置ボイラとしてもよい。
【0024】
ボイラ本体21は、水管やバーナを備え、図示せぬ水源(給水タンク)から供給された缶水を水管内で加熱し、蒸気を生成する。
【0025】
ローカル制御部22は、蒸気消費量に応じて段階値制御ボイラ20の燃焼位置を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御する。また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、段階値制御ボイラ20の実際の燃焼位置、出力蒸気量、及びその他のデータ等が挙げられる。
【0026】
蒸気ヘッダ4は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数の段階値制御ボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ4の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
【0027】
蒸気ヘッダ4は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ4は、燃焼させる1又は複数の段階値制御ボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、蒸気圧力値が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
【0028】
蒸気圧センサ5は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ5は、蒸気ヘッダ4の蒸気圧力値(以下、「ヘッダ圧力値」ともいう)を測定し、その蒸気圧力値に対応する蒸気圧信号を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
【0029】
次に、台数制御装置3について説明する。
台数制御装置3は、図1に示すように信号線16を介して、複数の段階値制御ボイラ20と電気的に接続されている。台数制御装置3は、蒸気圧センサ5により測定される蒸気ヘッダ4の蒸気圧力値に基づいて要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量を算出し、該算出された必要蒸気量に基づいて、ボイラ群2の内、制御対象となる段階値制御ボイラ20(以下「制御対象ボイラ」ともいう)の燃焼位置(燃焼量)を制御する。
ボイラシステム1においては、ボイラ群2の内、制御対象でない段階値制御ボイラ20(以下、「予備ボイラ」ともいう)を設けることができる。そして、台数制御装置3(後述の「制御部30」)は、制御対象ボイラ20の燃焼状態に応じて、予備ボイラ20を制御対象に追加して制御対象ボイラ20に変更、又は制御対象ボイラ20を制御対象から外して予備ボイラ20に変更することができる。
【0030】
図2は、台数制御装置3の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御手段としての制御部30と、記憶部32と、を備える。制御部30の構成を説明する前に、最初に記憶部32について説明する。
【0031】
記憶部32は、例えばROM、RAM、HDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、図2に示すように、最大使用蒸気量記憶部321、平均蒸気量記憶部322、変動蒸気量記憶部323、台数制御パラメータグループID記憶部324、及び台数制御パラメータグループ記憶部325を含む。
最大使用蒸気量記憶部321は、ボイラ群2が給蒸する全出力蒸気量の最大値である最大蒸気使用量(すなわち、蒸気使用設備18(要求負荷)において消費される蒸気量の最大使用蒸気量)を記憶する。
平均蒸気量記憶部322は、ボイラ群2が給蒸する全出力蒸気量の平均値である平均蒸気使用量(「平均蒸気量」ともいう)を記憶する。
変動蒸気量記憶部323は、ボイラ群2における蒸気供給量の変動に対応する変動蒸気量を記憶する。通常、変動蒸気量=最大使用蒸気量-平均蒸気量とされる。
台数制御パラメータグループID記憶部324は、予め複数個のパラメータグループの中から選択された台数制御パラメータグループIDを記憶する。ここで、台数制御パラメータグループIDは、数字、文字あるいは数字と文字の組み合わせ等により、台数制御パラメータグループを識別できるものであれば良い。
台数制御パラメータグループ記憶部325は、ユーザにより予め設定された複数個のパラメータグループを記憶する。ここで、各パラメータグループは、台数制御パターンを設定する各パラメータ値(例えば、比例分配設定圧力、比例分配制御幅、最大使用蒸気量、平均蒸気量、変動蒸気量、燃焼優先制御モード等のパラメータ値)を含む集合である。
ユーザは、複数個のパラメータグループの中から、ボイラシステム1の台数制御に最も適切なパラメータグループを選択することで、当該ボイラシステム1の台数制御に反映させることができる。
【0032】
また、記憶部32は、前述したように台数制御装置3(制御部30)の制御により各段階値制御ボイラ20に対して行われた指示の内容や、各段階値制御ボイラ20から受信した燃焼位置等の情報、優先順位の設定情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報を記憶する。
【0033】
次に制御部30について説明する。図2に示すように、制御部30は、台数制御機能部301と、時系列データ出力部302と、台数制御パラメータ設定部303と、を含む。
を含む。
【0034】
台数制御機能部301は、当業者にとって公知の機能部であって、蒸気圧センサ5により測定される蒸気ヘッダ4の蒸気圧力値に基づいて要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量を算出し、該算出された必要蒸気量に基づいて、ボイラ群2の内、制御対象となる段階値制御ボイラ20(以下「制御対象ボイラ」ともいう)の燃焼位置(燃焼量)を制御する機能部である。
例えば、台数制御機能部301は、蒸気圧センサ5により測定される蒸気ヘッダ4の蒸気圧力値に基づいて要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量を算出し、該算出された必要蒸気量に基づいて、ボイラ群2の内、制御対象となる段階値制御ボイラ20(以下「制御対象ボイラ」ともいう)の燃焼位置(燃焼量)を制御する。例えば、制御部30は、比例分配制御方式による台数制御を行うようにしてもよい。
具体的には、制御部30は、予め設定される比例分配制御圧力と比例分配制御幅の2つの設定値により定める制御圧力帯を制御対象となるボイラ台数やボイラ種別に基づき複数の圧力帯に分割し、分割した圧力帯毎に、ヘッダ圧力が低くなるにつれてボイラ燃焼量が増加するように、予めボイラ燃焼台数及び燃焼状態を割り当てる。そうすることで、制御部30は、ヘッダ圧力の変動に伴い、ヘッダ圧力値の含まれる分割した圧力帯に応じて、ボイラ燃焼台数及び燃焼状態を変化するように台数制御することができる。
【0035】
台数制御機能部301は、複数個の台数制御パラメータグループの中から、予め設定されたパラメータグループに基づいて、台数制御を行うことができる。
例えば、選択された台数制御のパラメータグループに含まれる燃焼優先制御モード値として、効率優先モードが設定されている場合、台数制御機能部301は、最も効率の良い燃焼状態(例えば中燃焼状態)で、平均蒸気量分の出力蒸気量を確保できるように、制御対象とするボイラ及び台数を決定するとともに、変動蒸気量分の蒸気の余力量を確保できるように、燃焼ボイラを順次増やしながら、ボイラを最も効率の良い燃焼状態としていくように制御する。すなわち、平均蒸気量を超える負荷に対して、機能停止しているボイラを起動するとロスが生じるため、台数制御機能部301は、新たにボイラを起動せずに、効率燃焼しているボイラを一時的に上位の燃焼状態にするように制御する。
また、選択された台数制御のパラメータグループに含まれる燃焼優先制御モード値として、応答優先モードが設定されている場合、台数制御機能部301は、平均蒸気量と変動蒸気量の合計量分の出力蒸気量を確保できるように、制御対象とするボイラ及び台数を決定するとともに、ボイラを可能な限り待機状態としないことで、応答性を高めるように制御する。すなわち、台数制御機能部301は、負荷が増加時にはボイラを順に中燃焼とし、負荷が減少時には低燃焼ボイラを優先的に確保することで、ボイラを可能な限り待機状態としないように制御することで応答性を高める。
なお、燃焼優先制御モードとして、3位置制御方式ボイラに適した基本優先モードがある。この場合、台数制御機能部301は、最大使用蒸気量を確保できるように制御対象となるボイラ及び台数を決定し、変動蒸気量分の蒸気の余力量を確保できるように燃焼ボイラを順次増やしながらボイラを高燃焼状態としていくように制御する。
以上、台数制御機能部301の機能について説明した。
【0036】
時系列データ出力部302は、予め設定されたサンプリング周期毎(又は予め設定された時間間隔毎)に、ローカル制御部22から送信される制御対象となる段階値制御ボイラ20のそれぞれの燃焼状態に基づいて、当該周期毎にボイラ群2により出力される出力蒸気量を算出する。そして、時系列データ出力部302は、当該周期における時刻を示すタイムスタンプ(以下「サンプリングタイム」ともいう)と、当該時刻における少なくともボイラ群2の全出力蒸気量を含む時系列データを生成して、後述する時系列データ記憶装置6に出力する。ここで、サンプリング周期(予め設定された時間間隔)は、例えば1秒であってもよい。また、サンプリング周期を制御周期としてもよい。以下、特に断らないかぎり、サンプリング周期を1秒として例示し、説明する。なお、サンプリング周期は、1秒に限られない。任意の値を用いてもよい。
【0037】
台数制御パラメータ設定部303は、後述するように、所定時間(例えば1時間)毎に、台数制御パラメータ出力装置9から出力される、当該時間の直後から所定時間先(例えば、1時間先)までの平均蒸気使用量、最大蒸気使用量、及び変動蒸気量の予測値に基づいて算出された最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量並びにパラメータグループIDを取得し、それぞれ、最大使用蒸気量記憶部321、平均蒸気量記憶部322、及び変動蒸気量記憶部323、並びに台数制御パラメータグループID記憶部324に記憶する。そうすることで、台数制御装置3は、リアルタイムに予測された各種蒸気量及び複数のパラメータグループから選択されたパラメータグループに基づいて、ユーザにとって適切な台数制御を自動的に行うことができる。
例えば、ユーザが「エコ運転ポイント」で燃焼する時間を長く確保したいモード(効率優先モード)を選択している場合、台数制御装置3はボイラシステム1の稼働中に、例えば1時間毎に予測される1時間先までの平均蒸気使用量を高効率燃焼位置である中燃焼位置で燃焼するように、運転対象ボイラ台数を設定し、燃焼優先順位を設定するようにパラメータを調整することができる。
また、ユーザが応答優先モードを選択している場合、台数制御装置3はボイラシステム1の稼働中に、例えば1時間毎に予測される1時間先までの最大使用蒸気量を確保できる最小台数のボイラで台数制御を行い、負荷が増加時にはボイラを順に中燃焼とし、負荷が減少時には低燃焼ボイラを優先的に確保し、ボイラを可能な限り待機状態としないようにパラメータを調整しボイラシステムを制御することで応答性を高めることができる。
以上、台数制御装置3について説明した。
【0038】
次に時系列データ記憶装置6について説明する。図3に時系列データ記憶装置6の構成を示す機能ブロック図を示す。
時系列データ記憶装置6は、前述したように、台数制御装置3、機械学習装置7及び台数制御パラメータ出力装置9とそれぞれ接続インタフェースを介して互いに直接接続、又はLAN(Local Area Network)やインターネット等の図示しないネットワークを介して相互に接続される装置である。
時系列データ記憶装置6は、例えば、現場に設置されるエッジ装置としてもよい。また、通信可能に接続されたデータサーバー、又はクラウド上に位置する仮想記憶装置、又は仮想データサーバーであってもよい。
図3に示すように、時系列データ記憶装置6は、制御部60と、記憶部62と、を備える。制御部60の構成を説明する前に、最初に記憶部62について説明する。
【0039】
記憶部62は、例えばROM、RAM、HDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、図3に示すように、全出力蒸気量時系列情報記憶部621と、単位時間蒸気量時系列情報記憶部622と、蒸気負荷パターン情報記憶部623と、を含む。
【0040】
全出力蒸気量時系列情報記憶部621は、後述するようにボイラシステム1の各稼働日に対してサンプリング周期毎にボイラ群2の全出力蒸気量の時系列情報(「全出力蒸気量時系列情報」ともいう)を記憶する。なお、本実施例では、サンプリング周期として1秒を例示する。そうすると、1日分の全出力蒸気量時系列情報には、ボイラ群2の全出力蒸気量の値と当該全出力蒸気量が測定された時刻を示す時刻情報(サンプリングタイム)とを1組の情報とする最大86400組(=24hh×60mm×60ss)の情報と、当該全出力蒸気量が測定された日付情報とが含まれる。時刻情報は、例えばhhmmss(時分秒)としてもよい。以下、特に断らないかぎり、サンプリング周期として1秒として例示し説明するが、サンプリング周期は、1秒に限られない。任意の値を設定してもよい。
【0041】
単位時間蒸気量時系列情報記憶部622は、後述するようにボイラシステム1の各稼働日に対して、単位時間あたりの全出力蒸気量の最大値及び平均値(「単位時間蒸気量」ともいう)を時刻情報と対応づけた時系列情報(「単位時間蒸気量時系列情報」ともいう)を記憶する。なお、本実施例では、単位時間として1分を例示する。また、単位時間(1分)の始まりをmm分00秒とし、mm分00秒から1分の間とする。そうすると、1日分の単位時間蒸気量時系列情報には、単位時間毎の、ボイラ群2の単位時間蒸気量の値と、当該単位時間の時刻を示す時刻情報とを1組の情報とする最大1440(=24hh×60mm)の情報と、全出力蒸気量が測定された日付情報とが含まれる。時刻情報は、例えばhhmm(時分)としてもよい。なわち、日付をyymmdd(年月日)とし、当該日付のhhmm時の(最大蒸気使用量、平均蒸気使用量)を含む単位時間蒸気量をxyymmdd(hhmm)とすると、単位時間蒸気量時系列情報は、蒸気量が測定された日付情報の単位時間蒸気量の集合{xyymmdd(hhmm)}として記載することができる。以下、特に断らないかぎり、単位時間を1分として例示し説明するが、単位時間は、1分に限られない。任意の値を設定してもよい。
【0042】
蒸気負荷パターン情報記憶部623は、カレンダー日付に予めユーザにより設定された蒸気負荷パターンを対応づけたテーブル(「蒸気負荷パターンテーブル」ともいう)を記憶する。
例えば、蒸気負荷パターンは、工場の製造設備の例えば平均稼働率が「大」に対応する「高負荷パターン」、工場の製造設備の平均稼働率が「中」かつ短時間で大量消費する設備の稼働回数「多」に対応する「中負荷かつ変動大パターン」、工場の製造設備の平均稼働率が「中」かつ短時間で大量消費する設備の稼働回数「少」に対応する「中負荷かつ変動少パターン」、工場の製造設備の平均稼働率が「小」に対応する「低負荷パターン」、工場の製造設備が全て停止、空調利用のみに対応する「休日パターン」等が例示される。例えば曜日毎に、蒸気負荷パターンが設定されている場合は、曜日=蒸気使用パターンとし、祝日等のイレギュラー時に任意の蒸気負荷パターンを設定するようにしてもよい。ここで、平均稼働率が、大、中、小を識別するための閾値はユーザが予め設定するようにしてもよい。同様に短時間で大量消費する設備の稼働回数についても、短時間及び大量消費する設備を識別するための閾値、並びに稼働回数の多、少を識別するための閾値はユーザが予め設定するようにしてもよい。また、月毎に、当該月に属する日付と蒸気負荷パターンとを対応づけるテーブルを予め設定するようにしてもよい。
【0043】
次に制御部60について説明する。図3に示すように、制御部60は、時系列情報記録部601と、単位時間データ作成部602と、第1時間帯時系列データ抽出部603と、蒸気負荷パターン取得部604と、を含む。
【0044】
時系列情報記録部601は、各稼働日に対して、ボイラシステム1のサンプリング周期(例えば1秒)毎の、ボイラ群2の全出力蒸気量の時系列情報(全出力蒸気量時系列情報)を取り込み、記憶部62(全出力蒸気量時系列情報記憶部621)に記録する。
【0045】
単位時間データ作成部602は、各稼働日に対して、全出力蒸気量時系列情報記憶部621に記録された全出力蒸気量時系列情報に基づいて、当該稼働日の単位時間毎に全出力蒸気量の最大値、及び平均値(単位時間蒸気量)を算出し、単位時間蒸気量時系列情報として、記憶部62(単位時間蒸気量時系列情報記憶部622)に記録する。なお、平均値を算出する際に、移動平均にもとづいて、平均値を算出してもよい。
【0046】
第1時間帯時系列データ抽出部603は、単位時間蒸気量時系列情報から、単位時間毎にボイラシステム1の稼働時間帯に含まれる予め設定された第1時間(例えば、第1時間として2時間=120分とし)の単位時間蒸気量時系列情報の部分集合(「第1時間帯時系列データ」という)を抽出する。以下、特に断らないかぎり、第1時間を2時間として例示し説明する。この場合、各第1時間(2時間)の始まりは、任意の時間における1分毎とし、具体的には、hh時mm分から2時間の間とする。ここで、hhは稼働時間帯に含まれる時間、mmは、0≦mm≦59を満たす整数とする。このように、第1時間帯時系列データ抽出部603は、単位時間蒸気量時系列情報から、1分毎に第1時間帯時系列データを抽出することができる。
図4は、時系列データ記憶装置6により抽出される第1時間帯時系列データの概要を示す図である。図4に示すように、第1時間帯時系列データ抽出部603は、例えば、ボイラシステム1の稼働日の最初の単位時間蒸気量に対応する時刻から2時間後に最初の第1時間帯時系列データ(1)を抽出し、その後1分間隔毎に第1時間帯時系列データ(i)(2≦i)を抽出し、その後、例えば稼働日の稼働終了時刻(稼働日の最初の単位時間蒸気量に対応する時刻からx分後)から1時間前(稼働日の最初の単位時間蒸気量に対応する時刻から(x-60分)後)に最終の第1時間帯時系列データ(N)を抽出する。ここで、Nは稼働日に1分間隔毎に抽出される第1時間帯時系列データの個数を示す。後述するように、第1時間帯時系列データ抽出部603は、1分間隔毎に抽出した第1時間帯時系列データ(i)(1≦i≦N)を機械学習装置7及び/又は台数制御パラメータ出力装置9に対して提供するようにしてもよい。
【0047】
蒸気負荷パターン取得部604は、前述したように、例えばカレンダー日付に対応して予めユーザにより設定された蒸気負荷パターンに基づいて、蒸気量が測定された日付に対応する蒸気負荷パターンを、稼働日毎の全出力蒸気量時系列情報、及び単位時間蒸気量時系列情報にそれぞれ対応づける。
こうすることで、蒸気負荷パターン取得部604により、各稼働日の稼働パターンを予測モデルに取り入れることができ、例えば、蒸気負荷パターン毎に予測モデルを学習することが可能となり、予測精度向上につながることが期待できる。
【0048】
以上のように、時系列データ記憶装置6は、機械学習装置7及び/又は台数制御パラメータ出力装置9に対して、蒸気負荷パターンを対応づけた、全出力蒸気量時系列情報、単位時間蒸気量時系列情報、及び第1時間帯時系列データを提供する時系列データベースとして機能することができる。
以上、時系列データ記憶装置6について説明した。
【0049】
次に機械学習装置7について説明する。図5に機械学習装置7の構成を示す機能ブロック図を示す。
機械学習装置7は、図5に示すように、制御部70と、記憶部72と、を備える。制御部70の構成を説明する前に、最初に記憶部72について説明する。
【0050】
記憶部72は、例えばROM、RAM、HDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、教師データ作成部701により生成された蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に生成された教師データ(訓練データ)、及び学習部702により蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に構築中又は構築された予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))等を記憶する。
図5に示すように記憶部72は、教師データ記憶部721と、予測モデル記憶部722と、を含む。
【0051】
教師データ記憶部721は、稼働日毎の各第1時間帯時系列データ(i)を入力データとし、当該第1時間帯時系列データ(i)に対応する時間帯の直後から第2時間(例えば、1時間=60分)後の単位時間蒸気量をラベルデータとする教師データ(訓練データ)を当該稼働日の蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)に対応づけて記憶する。
図6は、機械学習装置7における教師データ(訓練データ)の概要を示す図である。なお、図6に示した第1時間帯時系列データは、図4に示した第1時間帯時系列データに対応する。図6に示すように、教師データ(訓練データ)は、第1時間帯時系列データ(i)毎に対応する120個の連続した単位時間蒸気量時系列データを入力データとし、当該第1時間に対応する時間帯の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データをラベルデータとする。そうすることで、後述する学習部702は、教師データ記憶部721に記憶された、第1時間帯時系列データ(i)に対応する120個の連続した単位時間蒸気量時系列データから、当該第1時間に対応する時間帯の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量を予測する予測モデル(学習済みモデル)を学習する。
【0052】
予測モデル記憶部722は、学習部702が学習中の予測モデル(学習済みモデル)を記憶する。なお、後述するように、学習中の予測モデル(学習済みモデル)は、蒸気負荷パターン毎に生成される。
【0053】
次に制御部70について説明する。図5に示すように、制御部70は、教師データ作成部701と、学習部702と、予測モデル提供部703と、を含む。
【0054】
教師データ作成部701は、時系列データ記憶装置6から、稼働日に基づいて蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)が対応づけられた、稼働日毎の各第1時間帯時系列データ(i)を取得するとともに、当該第1時間の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを取得し、第1時間帯時系列データ(i)を入力データ、当該第1時間の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データをラベルデータとする教師データ(「訓練データ」ともいう)を作成する。そうすることで、教師データ作成部701は、稼働日毎にN個の教師データ(訓練データ)を作成することができる。教師データ作成部701は、稼働日毎に作成した教師データ(訓練データ)を、蒸気負荷パターンk(1≦k≦K)毎に教師データ(訓練データ)の集合を作成するようにしてもよい。
教師あり学習を行うための教師データ(訓練データ)は、多数用意されることが望ましい。例えば、時系列データ記憶装置6に記憶されたボイラシステム1の過去数年間の時系列情報に基づいて、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に教師データ(訓練データ)を用意することが望ましい。
そうすることで、後述する学習部702は、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に生成された多数の教師データ(訓練データ)に基づいて、機械学習することで、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に予測モデルを作成することができる。
【0055】
学習部702は、教師データ作成部701により蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に生成された教師データ(訓練データ)に基づいて、教師あり学習を行うことにより、当該蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)に対応して、第1時間帯時系列データから、当該第1時間直後から第2時間後(60分後)における単位時間蒸気量を予測する予測モデル75(k)(「学習済みモデル75(k)」ともいう)を構築することができる。
【0056】
本実施形態における機械学習の一例として、再帰型ニューラルネットワークであるLSTM(Long Short Term Memory)を用いた深層機械学習を例示する。LSTMは、過去データの長期的な依存関係を学習することができる、業者にとって公知の再帰型ニューラルネットワークRNN(Recurrent Neural Network)の特別な一種である。
学習部702は、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に、LSTMネットワークにより構成される予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))における重みベクトル等のパラメータを最適化するために、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に作成された各第1時間帯時系列データを入力層から入力し、LSTMネットワークの出力情報を取り込む。学習部702は、例えば予め設定される誤差関数を用いて、周知の誤差逆伝播法等による処理を行う。そうすることで、学習部702は、所定期間の時系列情報から作成された教師データ(訓練データ)又は所定個数の教師データ(訓練データ)に基づいて、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎にLSTMネットワークにおける重みベクトル等のパラメータを最適化し、予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を生成する。ここで、学習部702は、所定の条件をみたすことで、学習終了としてもよい。所定の条件として例えば、所定の個数の教師データを学習したこと、所定の稼働期間に対応する教師データを学習したこと等、が挙げられるが、これに限られない。ユーザが任意の条件を設定してもよい。
なお、機械学習の一例としてLSTMを例示したが、これに限られない。公知のRNNを適用してもよい。また、公知の順伝播型ニューラルネットワークを適用してもよい。
【0057】
図7は、後述する予測装置8に提供される予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))の一例を示す図である。ここでは、予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))は、図7に示すように、蒸気負荷パターンkに相当する稼働日に稼働中のボイラシステム1の第1時間帯時系列データ(120個の連続した単位時間蒸気量時系列データ)を入力層として、第1時間直後から第2時間後の単位時間(例えば1分間)における単位時間蒸気量を出力層とする多層ニューラルネットワークを例示する。
【0058】
また、学習部702は、予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を構築した後に、定期的に、例えば1カ月毎、3カ月毎、半年毎、又は1年毎に、時系列データ記憶装置6(記憶部62)に新たに取り込まれた、ボイラシステム1の蒸気負荷パターンkに相当する稼働日の各第1時間帯時系列データ(i)を取得するとともに、当該第1時間の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを取得し、教師データ(訓練データ)を作成することで、予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を更新してもよい。
また、予測値と実測値との所定の閾値を超える乖離が所定の頻度を超えて発生する場合にも、時系列データ記憶装置6(記憶部62)に新たに取り込まれた、ボイラシステム1の蒸気負荷パターンkに相当する稼働日の各第1時間帯時系列データ(i)を取得するとともに、当該第1時間の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを取得し、教師データ(訓練データ)を作成することで、予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を更新してもよい。その際、新たに作成される教師データ(訓練データ)に加えて、例えばその時点から過去の例えば1年等の最近の期間に取り込まれている蒸気量の時系列情報と、から新たな予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を再作成するようにしてもよい。そうすることで、古い期間に取り込まれた蒸気量の時系列情報の影響を排除して、最近の蒸気量の時系列情報の反映された予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))により更新することができる。
【0059】
上述した教師あり学習は、オンライン学習で行ってもよく、バッチ学習で行ってもよく、ミニバッチ学習で行ってもよい。
オンライン学習とは、教師データ(訓練データ)の一つを取り出して重みとバイアスの更新を行う学習方法である。具体的にはボイラシステム1の稼働中に、時系列データ記憶装置6から第1時間帯時系列データ(i)、及び当該第1時間の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データをその都度取得し、教師データ(訓練データ)をその都度作成し、それによりその都度、機械学習を行う形態を指す。
また、バッチ学習とは、重みとバイアスの更新に全ての教師データ(訓練データ)を用いる学習方法である。バッチ学習では、時系列データ記憶装置6に所定の期間、例えば月毎の時系列データが格納された後に、当該月の第1時間帯時系列データ及び当該第1時間の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを取得し、複数の教師データ(訓練データ)を生成して、生成した全ての教師データ(訓練データ)を用いて、教師あり学習を行う。さらに、ミニバッチ学習とは、教師データ(訓練データ)を小さなかたまり(バッチ)に分割して、そのかたまり毎に重みとバイアスの更新を行う学習方法である。学習の間隔は、オンライン学習と、バッチ学習の中間的な、期間になる。
【0060】
予測モデル提供部703は、学習部702により、パターンk(1≦k≦M)毎に構築された予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を、ユーザの指示により後述する予測装置8に対して提供する。
以上、機械学習装置7について説明した。
【0061】
次に、予測装置8について説明する。予測装置8は、機械学習装置7により構築された予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))をボイラシステム1に対して適用する予測モデル運用フェーズにおいて用いる装置である。
予測モデル運用フェーズにおいて、予測装置8は、機械学習装置7により構築された予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を用いて、例えばボイラシステム1の稼働開始から第1時間(例えば2時間)経過した直後から単位時間(例えば1分)毎に、その時点から第2時間先(例えば1時間先)の単位時間蒸気量予測値を算出し、算出した単位時間蒸気量予測値を時系列データとして、記憶部82に記憶する。図8は、予測部802が取得した単位時間蒸気量予測値を順次、第2時間帯時系列データ記憶部823に時系列データとして記憶する入出力処理状況を例示する図である。そうすることで、図8に示すように、単位時間蒸気量予測値について1時間(60分)の時系列データ(以下、「第2時間帯時系列データ」という)が記憶されると、台数制御パラメータ出力装置9は、第2時間帯時系列データに基づいて、当該期間(例えば1時間)におけるボイラシステム1の給蒸する最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値を統計的に算出することができる。
図9に予測装置8の構成を示す機能ブロック図を示す。台数制御パラメータ出力装置9は、図9に示すように、制御部80と、記憶部82と、を備える。
【0062】
まず記憶部82について説明する。記憶部82は、例えばROM、RAM、HDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、図9に示すように、予測モデル記憶部821と、第1時間帯時系列データ記憶部822と、第2時間帯時系列データ記憶部823とを含む。
【0063】
予測モデル記憶部821は、蒸気負荷パターンk(1≦k≦M)毎に機械学習装置7により構築された予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を記憶する。
【0064】
第1時間帯時系列データ記憶部822は、ボイラシステム1の稼働日の第1時間(2時間)の始まりから、稼働日の終了時刻から1時間前までの間、1分毎に時系列データ記憶装置6により作成される第1時間帯時系列データを記憶する。なお、第1時間帯時系列データ記憶部822は、例えば、少なくとも120分に対応する120個の単位時間蒸気量データを例えば、1分毎に取得できるように例えばラウンドロビン形式で記憶するようにしてもよい。
【0065】
第2時間帯時系列データ記憶部823は、後述するように、各第1時間帯時系列データに基づいて予測される、当該第1時間(2時間=120分)の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データ(予測値)を第2時間帯時系列データとして記憶する。なお、第2時間帯時系列データ記憶部823は、例えば、少なくとも60分に対応する60個の単位時間蒸気量データを例えば、60分毎に取得できるように例えばラウンドロビン形式で記憶するようにしてもよい。
【0066】
次に制御部80について説明する。図9に示すように、制御部80は、入力部801と、予測部802と、を含む。
【0067】
入力部801は、例えばユーザの指示により、機械学習装置7から構築された最新バージョンの予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を取得し、予測モデル記憶部821に当該予測モデルのバージョン情報とともに記憶する。
入力部801は、取得した予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))の運用開始情報を例えばユーザからの入力指示により、取得する。運用開始情報は、例えば予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))の運用開始日等を含んでもよい。そうすることで、予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))運用開始日以降、台数制御パラメータ出力装置9の予測に係る機能部を自動起動するようにしてもよい。
また、入力部801は、例えば運用当日の蒸気負荷パターンkを取得するとともに、前述したように、第1時間(2時間)の始まりから、稼働日の終了時刻から1時間前までの間、時系列データ記憶装置6から、1分毎に第1時間帯時系列データ(i)を取得する。
【0068】
次に予測部802の機能について説明する。
図7に示したように、予測部802は、入力部801により1分毎に入力される第1時間帯時系列データ(i)を予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))に入力することで、当該第1時間直後から第2時間後(1時間後)の単位時間(1分間)における単位時間蒸気量予測値を取得する。図8に示したように、予測部802は、取得した単位時間蒸気量予測値を順次、第2時間帯時系列データ記憶部823に時系列データとして記憶する。
そうすることで、図8に示すように、1時間(60分)の時系列データ(第2時間帯時系列データ)が記憶されると、予測部802は、当該第2時間帯時系列データに基づいて、当該第2時間におけるボイラシステム1の給蒸する最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値を統計的に算出する。このようにすることで、予測部802は、1時間(60分)毎に、第2時間(1時間)先までの時間帯におけるボイラシステム1の給蒸する最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値を統計的に算出することができる。
ここで、最大使用蒸気量は燃焼させるボイラ台数の上限値を定めるものであり、仮に最大蒸気使用量を超える負荷が発生したとしても、それ以上のボイラを燃焼させない制御となることから、最大使用蒸気量の算出においては、予測部802は、例えば予め補正値αを設定しておき、最大使用蒸気量を最大蒸気使用量(予測値)+αと算出するようにしてもよい。また、平均蒸気量は、前述したように最も効率の良い燃焼状態(エコ運転ポイント)で燃焼させるボイラ台数を決定するためのものであり、仮に小さい値が設定されるとエコ運転ポイントを外れやすくなることから、平均蒸気量の算出においては、予測部802は、例えば予め補正値βを設定しておき、平均蒸気量を平均蒸気使用量(予測値)+βと算出するようにしてもよい。なお、変動蒸気量は、最大使用蒸気量から平均蒸気量を減算することで算出される。
以上、予測装置8について説明した。
【0069】
次に、台数制御パラメータ出力装置9について説明する。図10に台数制御パラメータ出力装置9の構成を示す機能ブロック図を示す。台数制御パラメータ出力装置9は、図10に示すように、制御部90と、記憶部92と、を備える。
【0070】
記憶部92は、例えばROM、RAM、HDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、図10に示すように、台数制御パラメータグループ記憶部921を含む。台数制御パラメータグループ記憶部921は、台数制御装置3の記憶部32(台数制御パラメータグループ記憶部325)に記憶された複数個のパラメータグループを記憶する。
【0071】
制御部90は、図10に示すように、台数制御パラメータ出力部901を含む。
台数制御パラメータ出力部901は、予測装置8により予測された第2時間における最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値に基づいて、最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値を算出するとともに、算出した値を、台数制御パラメータに設定するようにしてもよい。
台数制御パラメータ出力部901は、最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値を台数制御装置3(台数制御パラメータ設定部303)に出力するとともに、これらの値に基づいて、台数制御パラメータグループを選択し、選択した台数制御パラメータグループIDを台数制御装置3(台数制御パラメータ設定部303)に出力するようにしてもよい。台数制御パラメータ出力部901は、例えば、算出した最大蒸気量及び平均蒸気量の値(又は、最も近い値)を有する台数制御パラメータグループを選択するようにしてもよい。そうすることで、台数制御装置3は、予測された各種蒸気量及び予めユーザにより予め設定された複数個のパラメータグループから選択された、ユーザにとって適切なパラメータグループにより台数制御を自動的に行うことができる。
具体的には、例えば、予め台数制御パラメータグループID毎に、最大蒸気使用量と平均蒸気使用量の適正値を定義しておく。
例えば、予めパターン番号1の適正値として、最大蒸気使用量を12,000~15,000kg/h、平均蒸気使用量を6,000から8,000kg/hと定義し、
パターン番号2の適正値として、最大蒸気使用量を12,000~15,000kg/h、平均蒸気使用量を4,000から6,000kg/hと定義し、
パターン番号3の適正値として、最大蒸気使用量を12,000~15,000kg/h、平均蒸気使用量を2,000から4,000kg/hと定義し、
パターン番号4の適正値として、最大蒸気使用量を6,000~9,000kg/h、平均蒸気使用量を2,000から3,000kg/hと定義し、
パターン番号5の適正値として、最大蒸気使用量を3,000~6,000kg/h、平均蒸気使用量を1,000から2,000kg/hと定義されていたとする。
そうすると、台数制御パラメータ出力部901は、算出した最大蒸気量及び平均蒸気量の値と各パターン番号で定義された最大蒸気使用量の適正値及び平均蒸気使用量の適正値を比較して、算出した最大蒸気量及び平均蒸気量の値が、各パターン番号で定義された最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量の範囲内となるパターン番号の内、最も適した(例えば最も値の近い)パターン番号を選択するようにしてもよい。
以上、台数制御パラメータ出力装置9について説明した。
【0072】
次に、本実施形態に係る予測装置8の1時間(60分)毎に、第2時間(1時間)先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量の予測処理、及び台数制御パラメータ出力装置9による台数制御装置3への台数制御パラメータの設定処理に係る動作について説明する。
図11は、運用フェーズにおける予測装置8及び台数制御パラメータ出力装置9の処理について説明するフローチャートである。なお、予測装置8は、機械学習装置7から予め予測モデル75(k)(学習済みモデル75(k))を取得済みとする。運用当日の蒸気負荷パターンkを取得済みとする。また、稼働日に1分間隔毎に抽出される第1時間帯時系列データの個数Nは予め設定済みとする。
【0073】
ステップS11において、予測装置8(入力部801)は、i,jを初期化(i=1、j=1)する。
【0074】
ステップS12において、予測装置8(入力部801)は、ボイラシステム1の稼働中に、時系列データ記憶装置6から、第1時間帯時系列データ(i)を取得する。
【0075】
ステップS13において、予測装置8(予測部802)は、1分毎に収集した第1時間帯時系列データ(i)を予測モデル75に入力し、当該第1時間直後から第2時間後(1時間後)の単位時間(1分間)における単位時間蒸気量予測値(j)を取得して、第2時間帯時系列データ記憶部823に時系列順(jの順番)に記憶する。
【0076】
ステップS14において、予測装置8(予測部802)は、i=i+1、j=j+1とする。
【0077】
ステップS15において、j=60か否かを判定する。j<60の場合、ステップS12に移る。j=60の場合、ステップS16に移る。
【0078】
ステップS16において、予測装置8(予測部802)は、第2時間帯時系列データ記憶部823に記憶された第2時間帯時系列データに基づいて、現時点から第2時間(1時間=60分)先までの時間帯におけるボイラシステム1の給蒸する最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値を統計的に算出する。
【0079】
ステップS17において、台数制御パラメータ出力装置9(台数制御パラメータ出力部901)は、最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値に基づいて、最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量を算出、又は前述した台数制御パラメータグループの中から最適な台数制御パラメータグループIDを選択する。
【0080】
ステップS18において、台数制御パラメータ出力装置9(台数制御パラメータ出力部901)は、ステップS17において算出した最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量及び台数制御パラメータグループIDを台数制御装置3(台数制御パラメータ設定部303)に出力する。
これにより、台数制御装置3は、台数制御パラメータ出力装置9から入力された台数制御パラメータを記憶部32に記憶し、設定された台数制御パラメータに基づいて、制御対象とするボイラ20及び台数を自動で決定し、当該燃焼優先制御モードにより台数制御することができる。
【0081】
ステップS19において、台数制御装置3(台数制御パラメータ設定部303)は、i=Nか否かを判定する。i<Nの場合、ステップS1Aに移る。i=Nの場合、処理を終了する。
ステップS1Aにおいて、台数制御装置3(台数制御パラメータ設定部303)は、j=1としてステップS12に移る。
【0082】
以上により、前述したように、台数制御装置3については、連続制御ボイラを制御する台数制御装置3Aに置き換えることで、時系列データ記憶装置6、機械学習装置7、及び予測装置8については、連続制御ボイラに対してそのまま適用することができる。したがって、一実施形態に係る予測装置8は、ボイラ20を複数有するボイラ群2を備えるボイラシステム1及びボイラシステム1Aにおいて、カレンダー日付(例えば、季節又は月、曜日、祝祭日等)に対応して設定された蒸気負荷パターン、及び第1時間でのボイラ群2による全出力蒸気量の履歴に基づいて、第1時間直後から所定先までの第2時間における、最大蒸気使用量、平均蒸気使用量、変動蒸気使用量を予測することができる。
さらに、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ20を複数有するボイラ群2を備えるボイラシステム1においては、以上のようにして予測された、第1時間直後から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量予測値、平均蒸気使用量予測値に基づいて、台数制御パラメータ出力装置9は、第1時間直後から第2時間先までの時間帯における最大使用蒸気量、平均蒸気量、変動蒸気量、及び台数制御パラメータを算出し、台数制御装置3に出力することで、台数制御装置3はリアルタイムに予測される各種蒸気量に基づいて、ユーザにとって適切な台数制御を自動的に行うことができる。
【0083】
以上、一の実施形態について説明したが、時系列データ記憶装置6、機械学習装置7及び予測装置8は、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等が含まれる。
【0084】
<変形例1>
上述の実施形態では、機械学習装置7は、時系列データ記憶装置6から、履歴情報に基づいて稼働日毎に、単位時間(1分)間隔で第1時間データ(i)を取得するとともに、当該第1時間に対応する時間帯の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを取得するように構成した。しかしながら、例えば、機械学習装置7(教師データ作成部701)は、機械学習フェーズにおいて、時系列データ記憶装置6の記憶部62(全出力蒸気量時系列情報記憶部621)に格納された時系列データ(履歴情報)に基づいて、直接、各稼働日の単位時間毎に全出力蒸気量の最大値、及び平均値(単位時間蒸気量)を算出し、算出した単位時間蒸気量時系列情報を記憶部72に記録するようにしてもよい。そうすることで、機械学習装置7(教師データ作成部701)は、記憶部72に格納した各稼働日の単位時間蒸気量時系列情報に基づいて、第1時間帯時系列データ及び第2時間帯時系列データを抽出することで、教師データ(訓練データ)を作成するようにしてもよい。
【0085】
<変形例2>
上述の実施形態では、予測モデル運用フェーズの稼働日に、予測装置8は、時系列データ記憶装置6から、単位時間(1分)毎に第1時間データ(i)を取得するとともに、当該第1時間に対応する時間帯の直後から第2時間(例えば1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを予測し、当該第1時間直後から第2時間後(1時間後)の単位時間(1分間)における単位時間蒸気量予測値を順次、第2時間帯時系列データにするように構成した。しかしながら、例えば、予測装置8に換えて時系列データ記憶装置6が、単位時間蒸気量時系列情報記憶部622に格納した単位時間蒸気量時系列情報に基づいて、第1時間データ(i)を抽出するとともに、当該第1時間に対応する時間帯の直後から第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データを予測し、当該第1時間直後から第2時間後(1時間後)の単位時間(1分間)における単位時間蒸気量予測値を順次、記憶部62に記憶するように構成してもよい。その場合、時系列データ記憶装置6は、予測モデルを記憶部62に記憶するようにしてもよい。又は、機械学習装置7に記憶されている予測モデルに予測を依頼するようにしてもよい。そうすることで、予測装置8は、時系列データ記憶装置6から、第1時間データ(i)及び第2時間帯時系列データを取得することで、第2時間におけるボイラシステム1の給蒸する最大蒸気使用量予測値、及び平均蒸気使用量予測値を統計的に算出するようにしてもよい。
【0086】
<変形例3>
上述の実施形態では、予測モデルをカレンダー日付(例えば、季節又は月、曜日、祝祭日等)に対応して設定された蒸気負荷パターンに応じて構築したが、これに限られない。例えば、蒸気負荷パターンをカレンダー日付の所定の稼働時間帯に対応して設定するようにしてもよい。それにより、例えば、時間帯によって、蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、当該時間帯において例えば直前の時間帯(例えば2時間)でのボイラ群による全出力蒸気量の履歴に基づいて、所定時間(例えば1時間)先までの最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測するための予測モデルを作成する機械学習装置を提供することができる。
【0087】
<変形例4>
上述の実施形態では、機械学習装置7(学習部702)は、第1時間帯時系列データを入力データとし、第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データをラベルデータとする教師データ(訓練データ)に基づいて、多層ニューラルネットワークによる教師あり学習を例示したが、この学習方式に限られない。
例えば、学習部702は、第1時間帯時系列データと、第2時間(1時間=60分)後の単位時間蒸気量データとに基づいて、時系列分析を実行し、予測モデル75を生成するようにしてもよい。
【0088】
<変形例5>
上述の実施形態では、機械学習装置7は、台数制御装置3、時系列データ記憶装置6、予測装置8、及び台数制御パラメータ出力装置9と異なる装置として例示したが、機械学習装置7の一部又は全部の機能を、台数制御装置3、時系列データ記憶装置6としてのエッジ装置、予測装置8、又は台数制御パラメータ出力装置9が備えるようにしてもよい。あるいは、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、機械学習装置7の一部又は全部の機能を実現してもよい。
同様に、予測装置8の一部又は全部の機能を、台数制御装置3又は時系列データ記憶装置6としてのエッジ装置が備えるようにしてもよい。また、台数制御パラメータ出力装置9の機能を、台数制御装置3又は時系列データ記憶装置6としてのエッジ装置が備えるようにしてもよい。
【0089】
<変形例6>
本実施形態では、台数制御装置3は、蒸気ヘッダ4の内部の蒸気圧が予め設定された設定圧力範囲におさまるように、ボイラ群2の各段階値制御ボイラ20の燃焼制御を実行しているが、この比例分配制御方式に限定されない。
例えば、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧を予め設定された目標蒸気圧力値に保つように、台数制御装置3は、ボイラ群2の燃焼対象となる段階値制御ボイラ20の燃焼状態を制御するようにしてもよい。
【0090】
<変形例7>
また、前述したように、ボイラは、段階値制御ボイラに限られない。連続制御ボイラからなるボイラ群に対しても適用することができる。
具体的には、例えば、前述したように台数制御装置3は、当業者にとって公知の連続制御ボイラ群を台数制御する台数制御装置3Aに置き換えるとともに、台数制御パラメータ出力装置9に換えて、例えば、平均蒸気量を出力する際に、燃焼ボイラの燃焼率がエコ運転ゾーンの範囲内になるように例えば設定する、制御パラメータを設定してもよい。
【0091】
以上説明した本実施形態の予測機能付きボイラシステム100に含まれる機械学習装置7又は台数制御パラメータ出力装置9によれば、以下のような効果を奏する。
【0092】
(1)本実施形態の機械学習装置7は、複数のボイラ20を有するボイラ群2と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する台数制御装置3と、を有するボイラシステム1から予め設定されたサンプリング周期毎に出力される、サンプリングタイムと、当該サンプリングタイムにおける少なくともボイラ群2の全出力蒸気量を含む測定データと、を含む稼働日毎のサンプリング順の時系列データに基づいて算出される、所定の単位時間毎のボイラ群2の少なくとも最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量を含む単位時間蒸気量の時系列データの集合から、予め設定される第1時間帯に含まれる単位時間蒸気量の時系列データの部分集合となる第1時間帯時系列データを抽出するとともに、単位時間蒸気量の時系列データの集合から第1時間帯の直後から予め設定された第2時間先の単位時間の蒸気量を抽出することで、第1時間帯時系列データ及び第2時間先の単位時間の蒸気量を含む教師データを作成する教師データ作成部701と、教師データ作成部701によって作成された教師データに基づいて、任意の稼働日における第1時間帯に含まれる単位時間蒸気量の時系列データから、第1時間帯の直後から第2時間先の単位時間におけるボイラ群2の少なくとも最大蒸気使用量及び平均蒸気使用量を含む単位時間蒸気量を予測する予測モデル75を生成する学習部702と、を備える。
そうすることで、複数のボイラ20を有するボイラ群2を備えるボイラシステム1において、月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、例えば直前の時間帯(複数時間)でのボイラ群2による全出力蒸気量の履歴に基づいて、所定時間先の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測するための予測モデル75を作成することができる。
【0093】
(2)本実施形態において、前記稼働日は、予め設定された蒸気負荷パターンが対応づけられ、学習部702は、蒸気負荷パターンに対応して、予測モデル75を生成するようにしてもよい。
そうすることで、本実施形態の機械学習装置7は、月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、例えば直前の時間帯(複数時間)でのボイラ群2による全出力蒸気量の履歴に基づいて、所定時間先の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測するための予測モデル75を作成することができる。
【0094】
(3)本実施形態の機械学習装置7の学習部702は、第1時間帯時系列データを入力データとし、当該第1時間帯の直後から第2時間先の単位時間の蒸気量をラベルデータとする教師データに基づいて、教師あり学習を実行し、予測モデル75としての学習済みモデルを生成するようにしてもよい。
そうすることで、本実施形態の機械学習装置7の学習部702は、(1)又は(2)と同様の効果を奏することができる。
【0095】
(4)本実施形態の機械学習装置7の学習部702は、第1時間帯における単位時間毎の時系列データと、第1時間帯の直後から第2時間先の単位時間の蒸気量と、に基づいて、時系列分析を実行し、予測モデル75を生成するようにしてもよい。
そうすることで、本実施形態の機械学習装置7の学習部702は、(1)又は(2)と同様の効果を奏することができる。
【0096】
(5)本実施形態の機械学習装置7は、ネットワークを介して台数制御装置3と通信可能に接続される1つ以上のサーバから構成されるようにしてもよい。
そうすることで、本実施形態の機械学習装置7は、ボイラシステム1とは独立した装置とすることができる。
【0097】
(6)本実施形態の予測装置8は、(1)から(5)のいずれかに記載の機械学習装置7により生成された予測モデル75と、ボイラシステム1の稼働日における任意の時刻の直前の第1時間帯時系列データを単位時間毎に取得し、予測モデル75を用いて、単位時間毎に当該時刻から第2時間先の単位時間の蒸気量予測値を取得し、単位時間毎に取得する、第2時間先の単位時間の蒸気量予測値の集合に基づいて、ボイラシステム1の稼働日の所定の時刻から第2時間先までの時間帯における少なくともボイラ群2の最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量を予測する予測部802と、を備える。
そうすることで、本実施形態の予測装置8は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ20を複数有するボイラ群2を備えるボイラシステム1において、月、季節、又は四半期等の曜日、祝祭日等によって蒸気負荷パターンが異なる場合であっても、例えば直前の第1時間帯でのボイラ群2による全出力蒸気量の履歴に基づいて、第1時間直後から第2時間先までの第2時間帯における最大使用蒸気量、及び平均蒸気使用量を予測することができる。
【0098】
(7)本実施形態のボイラシステム1の含むボイラ群2は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼制御可能な段階値制御ボイラ20を複数有するボイラ群2であって、台数制御パラメータ出力装置9は、予測装置8により予測された、所定の時刻から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量に基づいて、当該時間帯における前記ボイラシステムの最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値を算出し、ボイラシステム1の台数制御装置3に出力する台数制御パラメータ出力部901を備える。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、リアルタイムに予測される各種蒸気量の予測値に基づいて、所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な最大使用蒸気量、平均蒸気量、変動蒸気量を自動的に設定することができる。
【0099】
(8)本実施形態の台数制御装置3は、台数制御パラメータ出力装置9から取得した最大使用蒸気量、平均蒸気量、及び変動蒸気量のいずれか2つ以上の値に基づいて、所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な台数制御パラメータを設定し、設定された前記台数制御パラメータに基づいて、ボイラ群2を燃焼制御するようにしてもよい。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、リアルタイムに予測される各種蒸気量の予測値に基づいて、所定の時刻から第2時間先までの時間帯において最適な台数制御をすることができる。
【0100】
(9)本実施形態のボイラシステム1の含むボイラ群2は、複数の段階的な燃焼位置で燃焼制御可能な段階値制御ボイラ20を複数有するボイラ群2であって、台数制御パラメータ出力装置9は、予測装置8により予測された、所定の時刻から第2時間先までの時間帯における最大蒸気使用量、及び平均蒸気使用量に基づいて、当該時間帯において最も適した台数制御パラメータグループIDを選択し、前記ボイラシステムの前記制御装置に出力する台数制御パラメータ出力部901を備える。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、リアルタイムに予測される各種蒸気量の予測値に基づいて、所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な最大使用蒸気量、平均蒸気量、変動蒸気量を自動的に設定することができる。
【0101】
(10)本実施形態の台数制御装置3は、台数制御パラメータ出力装置9から取得した台数制御パラメータグループIDに基づいて、前記所定の時刻から第2時間先までの時間帯における適切な台数制御パラメータを設定し、設定された前記台数制御パラメータに基づいて、前記ボイラ群を燃焼制御するようにしてもよい。
そうすることで、本実施形態のボイラシステム1は、リアルタイムに予測される各種蒸気量の予測値に基づいて、所定の時刻から第2時間先までの時間帯において最適な台数制御をすることができる。
【符号の説明】
【0102】
100 予測機能付きボイラシステム
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
20 段階値制御ボイラ
3 台数制御装置
30 制御部
301 台数制御機能部
302 時系列データ出力部
303 台数制御パラメータ設定部
32 記憶部
321 最大使用蒸気量記憶部
322 平均蒸気量記憶部
323 変動蒸気量記憶部
324 台数制御パラメータグループID記憶部
325 台数制御パラメータグループ記憶部
4 蒸気ヘッダ
5 蒸気圧センサ
6 時系列データ記憶装置
60 制御部
601 時系列情報記録部
602 単位時間データ作成部
603 第1時間帯時系列データ抽出部
604 蒸気負荷パターン取得部
62 記憶部
621 全出力蒸気量時系列情報記憶部
622 単位時間蒸気量時系列情報記憶部
623 蒸気負荷パターン情報記憶部
7 機械学習装置
70 制御部
701 教師データ作成部
702 学習部
703 予測モデル提供部
72 記憶部
721 教師データ記憶部
722 予測モデル記憶部
75 予測モデル(学習済みモデル)
8 予測装置
80 制御部
801 入力部
802 予測部
82 記憶部
821 予測モデル記憶部
822 第1時間帯時系列データ記憶部
823 第2時間帯時系列データ記憶部
9 台数制御パラメータ出力装置
90 制御部
901 台数制御パラメータ出力部
92 記憶部
921 台数制御パラメータグループ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11