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特許7563155原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/18 20060101AFI20241001BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20241001BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65H1/18 310
B65H31/26
G03G15/00 107
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020208477
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095258
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】萩原 寛史
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-8283(JP,A)
【文献】特開2006-16093(JP,A)
【文献】特開2021-66548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/18
B65H 31/26
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を積載する供給トレイと、
前記供給トレイの下方に配置された排出トレイと、
前記供給トレイ上の前記原稿を1枚ずつ原稿搬送路に繰り出し、前記原稿搬送路を通過させた前記原稿を排出部から前記排出トレイに排出する搬送部と、
前記供給トレイおよび前記排出部を昇降させる昇降部と、を備え、
前記昇降部は、前記原稿の繰り出しに応じて前記供給トレイと前記排出部とを上昇させ、
前記原稿搬送路への前記原稿の繰り出しが終了し、前記排出トレイに積載された前記原稿の高さが規定値以上である多排出状態で、前記昇降部は、最上位の前記原稿から上方に所定間隔をあけた高さに前記供給トレイを配置し、
前記原稿搬送路への前記原稿の繰り出しが終了し、前記排出トレイに積載された前記原稿の高さが規定値未満である少排出状態で、前記昇降部は、前記原稿の高さを規定値であると仮定したときの最上位の前記原稿から前記所定間隔をあけた取出位置に前記供給トレイを配置することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記昇降部は、
前記供給トレイに設けられ、前記排出トレイに積載された最上位の前記原稿と前記供給トレイとの距離を検知する第1検知部と、
前記排出部に設けられ、前記排出トレイに排出される前記原稿の枚数を検知する第2検知部と、
前記搬送部に設けられ、前記取出位置に配置された前記供給トレイを検知する第3検知部と、を有し、
前記昇降部は、前記第2検知部の検知結果に基づいて記多排出状態または前記少排出状態を判定し、
前記多排出状態では、前記昇降部が、前記第1検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御し、
前記少排出状態では、前記昇降部が、前記第3検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記昇降部は、
前記供給トレイに設けられ、前記排出トレイに積載された最上位の前記原稿と前記供給トレイとの距離を検知する第1検知部と、
前記搬送部に設けられ、前記排出部の高さを検知する高さ検知部と、
前記搬送部に設けられ、前記取出位置に配置された前記供給トレイを検知する第3検知部と、を有し、
前記昇降部は、前記高さ検知部の検知結果に基づいて前記多排出状態または前記少排出状態を判定し、
前記多排出状態では、前記昇降部が、前記第1検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御し、
前記少排出状態では、前記昇降部が、前記第3検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記排出トレイに積載された前記原稿を検知する排出原稿検知部を更に備え、
前記排出原稿検知部が前記原稿を検知している場合、前記昇降部は、前記供給トレイを前記取出位置以上となる位置に配置し、
前記原稿を検知していた前記排出原稿検知部が前記原稿を検出しなくなった場合、前記昇降部は、前記供給トレイを最下位置に下降させると共に前記排出部を最下位置に下降させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原稿搬送装置と、
前記搬送部によって前記原稿搬送路を搬送される前記原稿上の画像を読み取る読取部と、を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙トレイに載置された原稿束から1枚ずつの原稿を原稿用排紙トレイへ排紙させる原稿送り装置が知られている(特許文献1)。この原稿送り装置には、給紙トレイ上の原稿束の厚み寸法の減少に応じて、給紙トレイを最下位置から順次上昇させる昇降機構が設けられている。給紙トレイを昇降可能とすることで、給紙トレイへの原稿の載置枚数を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-8283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した原稿送り装置では、原稿の搬送が終了した後、上昇した給紙トレイは原稿用排紙トレイ上の原稿に干渉しない程度まで下降する。したがって、原稿用排紙トレイ上の原稿が少量である場合、給紙トレイは最下位置付近まで下降することになる。すると、給紙トレイと原稿用排紙トレイとの間隔が狭くなるため、ユーザーは手を入れ難くなり、原稿用排紙トレイに排出された原稿の取り出しが困難になる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するために、供給トレイが昇降する構造であっても排出トレイ上の原稿を容易に取り出すことができる原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の原稿搬送装置は、原稿を積載する供給トレイと、前記供給トレイの下方に配置された排出トレイと、前記供給トレイ上の前記原稿を1枚ずつ原稿搬送路に繰り出し、前記原稿搬送路を通過させた前記原稿を排出部から前記排出トレイに排出する搬送部と、前記供給トレイおよび前記排出部を昇降させる昇降部と、を備え、前記昇降部は、前記原稿の繰り出しに応じて前記供給トレイと前記排出部とを上昇させ、前記原稿搬送路への前記原稿の繰り出しが終了し、前記排出トレイに積載された前記原稿の高さが規定値以上である多排出状態で、前記昇降部は、最上位の前記原稿から上方に所定間隔をあけた高さに前記供給トレイを配置し、前記原稿搬送路への前記原稿の繰り出しが終了し、前記排出トレイに積載された前記原稿の高さが規定値未満である少排出状態で、前記昇降部は、前記原稿の高さを規定値であると仮定したときの最上位の前記原稿から前記所定間隔をあけた取出位置に前記供給トレイを配置する。
【0007】
この場合、前記昇降部は、前記供給トレイに設けられ、前記排出トレイに積載された最上位の前記原稿と前記供給トレイとの距離を検知する第1検知部と、前記排出部に設けられ、前記排出トレイに排出される前記原稿の枚数を検知する第2検知部と、前記搬送部に設けられ、前記取出位置に配置された前記供給トレイを検知する第3検知部と、を有し、前記昇降部は、前記第2検知部の検知結果に基づいて記多排出状態または前記少排出状態を判定し、前記多排出状態では、前記昇降部が、前記第1検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御し、前記少排出状態では、前記昇降部が、前記第3検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御してもよい。
【0008】
他の場合、前記昇降部は、前記供給トレイに設けられ、前記排出トレイに積載された最上位の前記原稿と前記供給トレイとの距離を検知する第1検知部と、前記搬送部に設けられ、前記排出部の高さを検知する高さ検知部と、前記搬送部に設けられ、前記取出位置に配置された前記供給トレイを検知する第3検知部と、を有し、前記昇降部は、前記高さ検知部の検知結果に基づいて前記多排出状態または前記少排出状態を判定し、前記多排出状態では、前記昇降部が、前記第1検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御し、前記少排出状態では、前記昇降部が、前記第3検知部の検知結果に基づいて前記供給トレイの高さを制御してもよい。
【0009】
この場合、前記排出トレイに積載された前記原稿を検知する排出原稿検知部を更に備え、前記排出原稿検知部が前記原稿を検知している場合、前記昇降部は、前記供給トレイを前記取出位置以上となる位置に配置し、前記原稿を検知していた前記排出原稿検知部が前記原稿を検出しなくなった場合、前記昇降部は、前記供給トレイを最下位置に下降させると共に前記排出部を最下位置に下降させてもよい。
【0010】
本発明の画像読取装置は、上記のいずれかの原稿搬送装置と、前記搬送部によって前記原稿搬送路を搬送される前記原稿上の画像を読み取る読取部と、を備えた。
【0011】
本発明の画像形成装置は、上記の画像読取装置を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、供給トレイが昇降する構造であっても排出トレイ上の原稿を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す概略図(正面図)である。
図2】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置の制御部等を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置であって、最上位の原稿をピックアップローラーに押し当てた状態を示す断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置であって、供給トレイを最上位置に移動させた状態を示す断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置であって、多排出状態を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置であって、少排出状態を示す断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置の昇降部の制御を説明するフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態に係る原稿搬送装置であって、最上位の原稿をピックアップローラーに押し当てた状態を示す断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る原稿搬送装置の昇降部の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すL、R、U、Dは、左、右、上、下を示しており、図面の手前側を正面としている。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1を参照して、画像形成装置1について説明する。図1は画像形成装置1の内部構造を示す概略図(正面図)である。
【0016】
[画像形成装置の概要]
図1に示すように、画像形成装置1は、作像装置1Aと、画像読取装置1Bと、を備えている。作像装置1Aは、用紙S上に電子写真方式で画像を形成する装置である。画像読取装置1Bは、原稿Mの画像を光学的に読み取りデジタルデータに変換する装置である。画像形成装置1には、作像装置1Aや画像読取装置1Bを適宜制御するための制御部14が設けられている。
【0017】
[作像装置]
作像装置1Aの装置本体2の下側には、紙製の用紙Sの束を収容する給紙カセット3が着脱可能に装着されている。装置本体2の上面には、画像形成された用紙Sを受ける排紙トレイ4が設けられている。なお、用紙Sは、紙製に限らず、樹脂フィルム等であってもよい。
【0018】
作像装置1Aは、給紙部5と、作像部6と、定着部7と、を装置本体2の内部に備えている。給紙部5は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延びる搬送路8の上流側に設けられている。定着部7は搬送路8の下流側に設けられ、作像部6は搬送路8において給紙部5と定着部7との間に設けられている。
【0019】
作像部6は、中間転写ベルト10と、4つの画像形成ユニット11と、4つのトナーコンテナ12と、露光ユニット13と、を含んでいる。4つの画像形成ユニット11は、中間転写ベルト10の下側で左右方向に並んで設けられている。露光ユニット13は、各画像形成ユニット11の下側に設けられている。4つのトナーコンテナ12は、中間転写ベルト10の上方に設けられ、4色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)の補給用のトナー(現像剤)を収容している。
【0020】
各々の画像形成ユニット11は、感光体ドラム20と、帯電装置21と、現像装置22と、一次転写ローラー23と、クリーニング装置24と、除電装置25と、を含んでいる。なお、4つの画像形成ユニット11は同様の構成であるため、以下、1つの画像形成ユニット11について説明する。
【0021】
感光体ドラム20は、中間転写ベルト10に接触しながら回転駆動される。帯電装置21、現像装置22、一次転写ローラー23、クリーニング装置24および除電装置25は、感光体ドラム20の周囲に画像形成プロセス順に配置されている。一次転写ローラー23は、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム20に対向している。中間転写ベルト10の右側には、二次転写ローラー26が接触している。
【0022】
制御部14は、プログラムやデータ等を記憶(格納)する記憶部27と、プログラム等に従って演算処理を実行する演算処理部28と、を有している(図3参照)。制御部14には画像形成装置1の各種機器が電気的に接続されており、制御部14は画像形成装置1を統括的に制御する。
【0023】
[画像形成処理]
ここで、作像装置1Aの動作について説明する。作像装置1Aは、画像読取装置1Bで読み取った画像データや外部端末(パーソナルコンピューター等)から送信された画像データに基づいて用紙S上に画像を形成する。制御部14は入力された画像データに基づいて作像装置1Aを制御し、以下のように画像形成処理が実行される。
【0024】
帯電装置21は、感光体ドラム20の表面を帯電させる。露光ユニット13は、感光体ドラム20に向けて画像データに対応した露光を行い、感光体ドラム20の表面に静電潜像を形成する。現像装置22は、トナーコンテナ12から供給されたトナーを用いて感光体ドラム20上の静電潜像をトナー像に現像する。4つの感光体ドラム20に担持された4色のトナー像は、一次転写バイアスを印加された一次転写ローラー23によって、中間転写ベルト10に順番に一次転写される。これにより、中間転写ベルト10の表面には、フルカラーのトナー像が形成される。
【0025】
一方、給紙部5は、給紙カセット3内の用紙Sを搬送路8に送り出す。二次転写ローラー26は、中間転写ベルト10との間を通過する用紙Sに中間転写ベルト10上のトナー像を二次転写する。定着部7は、用紙Sにトナー像を熱定着させる。その後、用紙Sは、排紙トレイ4に排出される。クリーニング装置24は、一次転写後に感光体ドラム20の表面に残留した廃トナー(残留トナー)を除去する。除電装置25は、除電光を照射して感光体ドラム20の電荷を除去する。
【0026】
[画像読取装置]
次に、画像読取装置1Bについて説明する。図1に示すように、画像読取装置1Bは、読取部15と、原稿搬送装置16と、を備えている。読取部15は、後述する搬送部38によって原稿搬送路38Aを搬送される原稿M上の画像を読み取る。原稿搬送装置16は、読取部15の上側に配置され、原稿搬送面30Aに原稿Mを一枚ずつ自動的に送り込む。
【0027】
<読取部>
読取部15は、コンタクトガラス30と、プラテンガラス31と、光学走査ユニット32と、反射ユニット33と、イメージセンサー34と、を有している。
【0028】
(コンタクトガラス、プラテンガラス)
コンタクトガラス30は、装置本体2の上面左側に設けられ、原稿Mが通過する原稿搬送面30Aを構成している。プラテンガラス31は、コンタクトガラス30の右側に設けられ、原稿Mを積載するための原稿積載面31Aを構成している。
【0029】
(光学走査ユニット)
光学走査ユニット32は、原稿搬送面30Aに対面する位置に停止し、コンタクトガラス30上を搬送される原稿Mに向けて光を照射する。また、光学走査ユニット32は、原稿搬送面30Aに対面する位置から図1の右方向に移動しながらプラテンガラス31(原稿積載面31A)上の原稿Mに光を照射する。
【0030】
(反射ユニット)
反射ユニット33は、光学走査ユニット32から照射され原稿Mで反射した光を集光レンズ34Aに向けて反射させる。光学走査ユニット32が原稿積載面31A上の原稿Mに光を照射する際、反射ユニット33は、原稿Mから集光レンズ34Aまでの光路長が常に一定となるように、光学走査ユニット32と同一方向に移動する。
【0031】
(イメージセンサー)
イメージセンサー34は、集光レンズ34Aを介して入力された光を光電変換する半導体素子である。集光レンズ34Aは、イメージセンサー34の受光部と同軸上に配置されている。イメージセンサー34および集光レンズ34Aは、読取部15の筐体に固定されている。
【0032】
<原稿搬送装置>
次に、図1および図2を参照して、第1実施形態に係る原稿搬送装置16について説明する。図2は原稿搬送装置16を示す断面図である。
【0033】
図1に示すように、原稿搬送装置16は、原稿押え部35と、供給トレイ36と、排出トレイ37と、搬送部38と、を有している。なお、以下の説明で「上流」・「下流」とは、原稿Mの搬送方向の上流・下流を指す。
【0034】
(原稿押え部)
原稿押え部35は、押え部本体35Aと、押圧部材35Bと、押え板35Cと、を含んでいる。押え部本体35Aは、読取部15の各ガラス30,31を覆うように形成されている。押圧部材35Bは、コンタクトガラス30に対向するように押え部本体35Aの下面に設けられている。押え板35Cは、プラテンガラス31に対向するように押え部本体35Aの下面に設けられている。
【0035】
押え部本体35Aは、作像装置1Aの装置本体2の上面後部にヒンジ(図示せず)を介して取り付けられている。押え部本体35Aは、ヒンジを中心に回動可能(開閉可能)に設けられている。押え部本体35Aの正面側が持ち上げられる(開かれる)と、コンタクトガラス30(原稿搬送面30A)およびプラテンガラス31(原稿積載面31A)が露出する。押圧部材35Bは、搬送部38によって搬送される原稿Mを原稿搬送面30Aに押し付ける機能を有している。押え板35Cは、原稿Mを原稿積載面31Aに押し付ける機能を有している。
【0036】
(供給トレイ)
図2に示すように、供給トレイ36は、搬送部38から右斜め上方に向かって延びるように形成されている。供給トレイ36は、押え部本体35Aから上方に離れた位置に配置されている。供給トレイ36上には、原稿M(原稿Mの束)が積載される。供給トレイ36は、搬送方向の下流側に配置された下流側トレイ36Aと、搬送方向の上流側に配置された上流側トレイ36Bと、を有している。
【0037】
下流側トレイ36Aには、積載された原稿Mの前後両端を揃え、原稿Mの幅方向の中心を供給トレイ36の幅方向の中心と合わせるための一対のカーソル36Cが設けられている。下流側トレイ36Aには、供給トレイ36上に原稿Mが置かれたか否かを検知する供給原稿検知部55が設けられている。供給原稿検知部55は、例えば反射型光センサーで構成され、所定の回路(図示せず)を介して制御部14に接続されている。上流側トレイ36Bは、下流側トレイ36Aの上流端に揺動可能に連結されている。ユーザーが上流側トレイ36Bを必要に応じて跳ね上げることで、排出トレイ37の上方空間が開放され、排出トレイ37から容易に原稿Mを取り出すことができる。
【0038】
(排出トレイ)
排出トレイ37は、供給トレイ36の下方、且つ原稿押え部35の上部に配置されている。具体的には、プラテンガラス31上に配置された押え部本体35Aの上面が、排出トレイ37として構成されている(図1も参照)。排出トレイ37は、搬送部38に搬送されて排出された原稿Mを受ける。排出トレイ37には、これに積載された原稿Mを検知する排出原稿検知部56が設けられている。排出原稿検知部56は、例えば反射型光センサーで構成され、所定の回路(図示せず)を介して制御部14に接続されている。なお、上記した供給原稿検知部55や排出原稿検知部56は、反射型光センサーに限らず、カメラやマイクロスイッチ等であってもよい。
【0039】
(搬送部)
図1に示すように、搬送部38は、押え部本体35Aの左側に設けられている。搬送部38の内部には、供給トレイ36から排出トレイ37までを結ぶように略U字状の原稿搬送路38Aが形成されている。搬送部38は、供給トレイ36上の原稿Mを1枚ずつ原稿搬送路38Aに繰り出し、原稿搬送路38Aを通過させた原稿Mを排出部45から排出トレイ37に排出する。
【0040】
図2に示すように、搬送部38の内部には、搬送機構を支持する搬送機構部40が設けられている。搬送機構部40には、ピックアップローラー41、給送ベルト42A、分離ローラー42B、レジストローラー対43および搬送ローラー44が軸周りに回転可能に支持されている。また、搬送機構部40には、原稿搬送路38Aの下流端部を構成する排出部45が設けられている。排出部45には排出ローラー対47が軸周りに回転可能に支持されている。なお、レジストローラー対43や排出ローラー対47では、一方のローラーが回転駆動され、他方のローラーが従動回転する。
【0041】
ピックアップローラー41は、原稿搬送路38Aの上流端部の上方に配置され、最上位の原稿Mに接触した後、回転駆動されて原稿Mを原稿搬送路38Aに送り出す。給送ベルト42Aおよび分離ローラー42Bは、ピックアップローラー41よりも下流側に設けられている。分離ローラー42Bは下方から給送ベルト42Aに接触し、ピックアップローラー41によって送り出された原稿Mは給送ベルト42Aと分離ローラー42Bとに挟まれながら搬送される。ピックアップローラー41によって2枚以上の原稿Mが引き出されたとしても、最上位以外の原稿Mは分離ローラー42Bとの摩擦力によって搬送速度が低下し、最上位の原稿Mが先行して搬送される。つまり、分離ローラー42B等によって原稿Mの重送が防止される。レジストローラー対43は分離ローラー42B等よりも下流側に設けられ、搬送ローラー44はレジストローラー対43よりも下流側、且つコンタクトガラス30(原稿搬送面30A)よりも上流側に設けられている。
【0042】
排出部45は、コンタクトガラス30よりも下流側の原稿搬送路38Aを構成する搬送ガイド46を有している。排出ローラー対47は、搬送ガイド46の下流端部に設けられている。搬送ガイド46の上流端部は、揺動軸48を支点に上下方向に揺動可能に支持されている。揺動軸48は、搬送ローラー44に接する従動ローラー44Aの回転軸と兼用されている。
【0043】
[画像読取処理]
ここで、図1および図2を参照して、画像読取装置1Bの動作について説明する。なお、供給トレイ36上にセットされる原稿Mは、枚葉のシート状に形成されたものである。これに対し、プラテンガラス31(原稿積載面31A)上に積載される原稿Mは、シート状のものに限らず、冊子やカード等であってもよい。
【0044】
まず、押え部本体35A(原稿押え部35)を閉じた状態で供給トレイ36に原稿Mがセットされた場合について説明する。ユーザーが供給トレイ36に原稿M(または原稿Mの束)をセットして読取指示を入力すると、制御部14は画像読取装置1Bを制御し、以下のように画像読取処理が実行される。
【0045】
ピックアップローラー41は供給トレイ36にセットされた原稿Mを原稿搬送路38Aに送り出し、給送ベルト42Aおよび分離ローラー42Bは原稿Mを1枚ずつ下流に送り出す。レジストローラー対43は、コンタクトガラス30(原稿搬送面30A)に原稿Mを送り出すタイミングを調整する。搬送ローラー44は、回転駆動され、コンタクトガラス30と押圧部材35Bとの間に原稿Mを送り込む。原稿Mは、押圧部材35Bによってコンタクトガラス30(原稿搬送面30A)に押え付けられながら搬送される。光学走査ユニット32は原稿搬送面30A上を通過する原稿Mに光を照射し、原稿Mで反射した光はイメージセンサー34に入力されて電気信号に変換される。これにより、原稿Mの画像が、画像データとして読み取られる。排出ローラー対47は、コンタクトガラス30(原稿搬送面30A)を通過した原稿Mを排出トレイ37に送り出す(排出する)。
【0046】
次に、押え部本体35A(原稿押え部35)を開き、プラテンガラス31上に原稿Mがセットされた場合について説明する。ユーザーから読取指示が入力されると、光学走査ユニット32は、右方向に移動しながらプラテンガラス31(原稿積載面31A)上の原稿Mに光を照射する。原稿Mで反射した光がイメージセンサー34に入力されて電気信号に変換されることで、原稿Mの画像が画像データとして読み取られる。
【0047】
以上のように読み取られた画像データは制御部14の記憶部27に記憶され、制御部14は既に説明した画像形成処理(印刷)を実行する。なお、画像データは、印刷されずに、外部端末に保存されることもある。
【0048】
[昇降部]
原稿搬送装置16では、供給トレイ36に積載される原稿Mの束の厚み(高さ)に応じて、供給トレイ36および排出部45を昇降させる昇降部50を備えている。供給トレイ36と排出部45とを昇降させることで、供給トレイ36に大量の原稿Mを積載し、排出トレイ37に大量の原稿Mを排出することができる。以下、図2および図3を参照して、原稿搬送装置16の昇降部50について説明する。図3は原稿搬送装置16の制御部14等を示すブロック図である。
【0049】
図2に示すように、昇降部50は、昇降機構51と、第1検知部52と、第2検知部53と、第3検知部54と、制御部14(図3参照)と、を有している。なお、制御部14は、画像形成装置1の構成部品であるが、昇降部50の構成部品でもある。
【0050】
<昇降機構>
昇降機構51は、供給トレイ36と排出部45とを連動させて同一量昇降させる機能を有している。昇降機構51は、供給トレイ36と排出部45とを、最下位置(図2参照)と最上位置(図5参照)との間で昇降させる。図2に示すように、昇降機構51は、ラック60と、ピニオン61と、昇降モーター62と、リンク部材63と、を有している。なお、ラック60、ピニオン61およびリンク部材63は、搬送機構部40を挟んで前後両側に一対設けられているが、図面では一方のみを図示している。
【0051】
ラック60は、搬送機構部40のフレーム(図示せず)の側部に固定されている。ピニオン61は、下流側トレイ36Aの側部に軸周りに回転可能に支持されている。左右一対のピニオン61は、シャフト(図示せず)で連結されている。一方のピニオン61は、ギア列等の動力伝達機構を介して昇降モーター62の出力軸に接続されている。例えば、ラック60は内歯を有する略倒立したU字状に形成され、ピニオン61はラック60の内歯に噛み合っている。昇降モーター62は、駆動回路(図示せず)を介して制御部14に電気的に接続されている。ピニオン61は、昇降モーター62によって回転駆動されることでラック60に噛み合いながら上下方向に移動する。
【0052】
リンク部材63は、排出部45と下流側トレイ36Aとの間に架設されている。詳細には、リンク部材63は、排出ローラー対47の上方のローラーの端部と下流側トレイ36Aと側部との間に架設されている。リンク部材63の上下両端部は、ローラーの回転軸と下流側トレイ36Aに突設された連結軸とに回転可能に支持されている。
【0053】
<第1検知部>
第1検知部52は、例えば反射型光センサー(距離センサー)で構成され、供給トレイ36に設けられている。具体的には、第1検知部52は、発光部および受光部を下方に向けた姿勢で下流側トレイ36Aの下面に設けられている。第1検知部52は、排出トレイ37に積載された最上位の原稿Mと供給トレイ36との距離を検知する。
【0054】
<第2検知部>
第2検知部53は、排出部45の下流端部に設けられている。第2検知部53は、揺動部材65と、揺動検知部66と、を有している。
【0055】
揺動部材65は棒状に形成され、揺動部材65の一端部は揺動検知部66に回転可能に支持されている。揺動部材65は、排出部45から排出される原稿Mに接触可能に配置されている。揺動部材65は、排出される原稿Mに押されて持ち上げられ、原稿Mの通過後に自重で落下する(元に戻る)。揺動検知部66は、例えば、揺動部材65を挟んで配置された発光部と受光部とを有する透過型光センサーである。上記した揺動部材65は、例えば、初期状態で発光部から受光部への光路を遮る位置に設けられ、排出される原稿Mに持ち上げられると当該光路から外れる。つまり、揺動検知部66は、発光部からの光を受光部で受光することで、原稿Mが排出部45を通過したことを検知する。換言すれば、第2検知部53は、排出トレイ37に排出される原稿Mの枚数を検知する。なお、揺動部材65の一端部は、ローラーの回転軸に回転可能に支持されてもよい。また、揺動部材65は、初期状態で光路から外れ、排出される原稿Mに持ち上げられると光路を遮るように設けられてもよい。そして、揺動検知部66は、揺動部材65によって遮光されることで、原稿Mが排出部45を通過したことを検知してもよい。
【0056】
<第3検知部>
第3検知部54は、例えば透過型光センサーで構成され、搬送部38(搬送機構部40のフレーム)に設けられている。第3検知部54は、供給トレイ36の最下位置と最上位置との中間部に配置されている。詳細は後述するが、供給トレイ36が最下位置と最上位置との中間に設定された取出位置P1に配置されると、供給トレイ36の下流端に突設された遮光部材36Dが第3検知部54の発光部と受光部との間に配置される。第3検知部54は、発光部からの光を遮られることで、供給トレイ36が取出位置P1に配置されたことを検知する。なお、供給トレイ36が取出位置P1に配置された時に発光部からの光を受光部が受光するように、遮光部材36Dの形状を変形させてもよい(図示せず)。
【0057】
なお、図3に示すように、第1検知部52、第2検知部53(揺動検知部66)および第3検知部54は、それぞれ、制御回路等を介して制御部14に電気的に接続されている。各検知部52~54の検知結果(電気信号)は制御部14に送られる。
【0058】
[昇降部の制御]
次に、図2図4ないし図8を参照して、昇降部50の制御について説明する。図4は最上位の原稿Mをピックアップローラー41に押し当てた状態を示す断面図である。図5は供給トレイ36を最上位置に移動させた状態を示す断面図である。図6は多排出状態ST1を示す断面図である。図7は少排出状態ST2を示す断面図である。図8は昇降部50の制御を説明するフローチャートである。
【0059】
まず、原稿Mを供給トレイ36に積載(セット)する前の初期状態では、供給トレイ36と排出部45とは最下位置に配置されている(図2参照)。原稿搬送装置16には、供給トレイ36(または排出部45)が最下位置に配置されたことを検知するセンサーが設けられ(図示せず)、供給トレイ36等は最下位置で停止するように制御される。最下位置に配置された供給トレイ36は、例えば、最大で500枚の原稿M(普通紙)を積載することができる。なお、供給トレイ36に積載可能な原稿Mの最大枚数は自由に変更することができる。
【0060】
<画像読取処理中の昇降部の制御>
供給原稿検知部55が供給トレイ36に原稿Mが載せられたことを検知し、ユーザーが原稿Mの読取指示を入力すると、制御部14は、昇降モーター62を駆動させ、供給トレイ36を最下位置から上昇させ、最上位の原稿Mをピックアップローラー41に押し当てる制御を実行する(図4参照)。その後、既に説明した画像読取処理が実行される。なお、最上位の原稿Mがピックアップローラー41に押し当てられたか否かは、ピックアップローラー41またはその近傍に設けられた上限検知スイッチ(図示せず)によって検知される。また、上限検知スイッチの検知信号は、供給トレイ36に積載された原稿Mを繰り出す間、制御部14によって監視されている。また、供給トレイ36の上昇に連動して、排出部45は、揺動軸48周りに上方に回転し、最下位置から上昇する。
【0061】
昇降部50(昇降機構51)は、原稿Mの繰り出しに応じて供給トレイ36と排出部45とを上昇させる(図4に示す白抜き矢印および太矢印参照)。すなわち、原稿Mが繰り出されて原稿Mの束の厚みが薄く(低く)なると、制御部14は、上限検知スイッチが原稿Mを検知するまで供給トレイ36を上昇させる制御を行う。制御部14は、供給トレイ36にセットした全ての原稿Mが繰り出されるまで(供給原稿検知部55が原稿Mを検知しなくなるまで)、供給トレイ36を徐々に上昇させる制御を行う(図5参照)。また、第2検知部53は排出部45から排出トレイ37に排出された原稿Mを検知し、制御部14は第2検知部53の検知結果を積算した値(排出された原稿Mの枚数)を記憶部27に記憶する。
【0062】
原稿搬送路38Aへの原稿Mの繰り出しが終了し(供給原稿検知部55が原稿Mを検知しなくなり)、第2検知部53が最後の原稿Mの排出を検知すると、画像読取処理が終了する(図5参照)。なお、画像読取処理の終了時には、供給トレイ36は最上位置(または最上位置の近傍)に配置されている(図5参照)。また、原稿搬送装置16には、供給トレイ36が最上位置に配置されたことを検知するセンサーが設けられ(図示せず)、供給トレイ36は最上位置で停止するように制御される。
【0063】
<画像読取処理終了後の昇降部の制御>
画像読取処理が終了した後、制御部14は、第2検知部53の検知結果(原稿Mの枚数)から排出トレイ37に積載された原稿Mの高さを推定する。具体的には、制御部14(昇降部50)は、第2検知部53の検知結果に基づいて多排出状態ST1または少排出状態ST2を判定する。ここで、多排出状態ST1とは、排出トレイ37に積載された原稿Mの高さが規定値(F)以上である状態を指す。少排出状態ST2とは、排出トレイ37に積載された原稿Mの高さが規定値(F)未満である状態を指す。また、「規定値(F)」とは、例えば、原稿Mが320枚積層されたときの高さを指しており、この規定値(F)は、予め実験的に求められて記憶部27に記憶されている。したがって、図8に示すように、制御部14は、第2検知部53の検知結果に基づいて記憶部27に記憶した原稿Mの枚数と規定値(F)とを比較する(ステップS1)。なお、規定値(F)を示す原稿Mの枚数は、320枚に限らず、例えば、供給トレイ36と排出トレイ37との最大間隔に応じて、自由に設定することができる。
【0064】
多排出状態ST1(原稿Mの枚数≧規定値(F))である場合(S1でYES)、制御部14(昇降部50)は、最上位の原稿Mから上方に所定間隔Gをあけた高さに供給トレイ36を配置する(ステップS2)。具体的には、制御部14は、昇降モーター62を駆動させ、第1検知部52が所定間隔Gを検知するまで供給トレイ36を下降させる(図6参照)。第1検知部52が所定間隔Gを検知すると、制御部14は昇降モーター62を停止させる。つまり、多排出状態ST1では、昇降部50が、第1検知部52の検知結果に基づいて供給トレイ36の高さを制御する。なお、所定間隔Gとは、供給トレイ36が最上位の原稿Mに接しない程度の隙間であって、例えば、数mmから数十mm程度の隙間である。また、500枚の原稿Mが排出された場合、供給トレイ36は下降されずに、最上位置に保持されてもよい。すなわち、500枚の原稿Mが排出トレイ37上に積載された状態で、最上位の原稿Mと最上位置に配置された供給トレイ36との間には所定間隔G(またはそれ以上の間隔)があいている。
【0065】
これに対し、少排出状態ST2(原稿Mの枚数<規定値(F))である場合(S1でNO)、制御部14(昇降部50)は、原稿Mの高さを規定値(F)であると仮定したときの最上位の原稿Mから所定間隔Gをあけた取出位置P1に供給トレイ36を配置する(ステップS3)。具体的には、制御部14は、昇降モーター62を駆動させ、第3検知部54が遮光部材36Dを検知する(光路を遮る)まで供給トレイ36を下降させる(図7参照)。第3検知部54が遮光部材36Dを検知すると、制御部14は昇降モーター62を停止させる。つまり、少排出状態ST2では、第3検知部54は取出位置P1に配置された供給トレイ36を検知し、昇降部50が第3検知部54の検知結果に基づいて供給トレイ36の高さを制御する。なお、取出位置P1(原稿Mの高さを規定値(F)であると仮定した場合の供給トレイ36の高さ)とは、供給トレイ36と排出トレイ37との間(空間)にユーザーが容易に手を入れることが可能な位置であり、実験的に求めることができる。また、多排出状態ST1における供給トレイ36の高さは、取出位置P1以上の高さに設定されている。
【0066】
多排出状態ST1である場合、排出トレイ37に積載された原稿Mの束が厚い(高い)ため、供給トレイ36と排出トレイ37との間隔は十分に広がっている(図6参照)。したがって、ユーザーは供給トレイ36と排出トレイ37との間に手を入れて容易に原稿Mを取り出すことができる。一方、少排出状態ST2である場合、供給トレイ36は、少なくとも原稿Mの高さが規定値(F)である場合の高さ(取出位置P1)に保持されているため、ユーザーは供給トレイ36と排出トレイ37との間に手を入れ易くなっている(図7参照)。したがって、ユーザーは容易に原稿Mを取り出すことができる。
【0067】
次に、制御部14は、排出原稿検知部56の検知結果に基づいて排出トレイ37上における原稿Mの有無を判定する(ステップS4)。原稿Mが排出トレイ37上にある(排出原稿検知部56が原稿Mを検知している)場合(S4でYES)、制御部14(昇降部50)は、供給トレイ36を取出位置P1以上となる位置に配置する、つまり、制御部14は昇降モーター62を駆動させず、供給トレイ36を現在の位置に保持する。
【0068】
原稿Mを検知していた排出原稿検知部56が原稿Mを検出しなくなった場合(S4でNO)、制御部14(昇降部50)は、供給トレイ36を最下位置に下降させると共に排出部45を最下位置に下降させる(ステップS5)。具体的には、制御部14は、昇降モーター62を駆動させて供給トレイ36を最下位置まで下降させる。また、排出部45は、供給トレイ36の下降に連動して最下位置まで下降する。これにより、供給トレイ36および排出部45が最下位置に配置される(図2参照)。
【0069】
以上説明した第1実施形態に係る原稿搬送装置16では、少排出状態ST2で、昇降部50が、原稿Mの高さを規定値(F)であると仮定して最上位の原稿Mから所定間隔Gをあけた取出位置P1に供給トレイ36を配置する構成とした。この構成によれば、排出された原稿Mが少量であっても供給トレイ36の下降を制限することができる。これにより、供給トレイ36が昇降する構造であっても、排出トレイ37上の少量の原稿Mを容易に取り出すことができる。
【0070】
また、第1実施形態に係る原稿搬送装置16によれば、第2検知部53が排出トレイ37に積載された原稿Mの枚数を検知することで、原稿Mの高さを推定することができ、排出トレイ37にて何れの状態S1,S2であるかを正確に判定することができる。また、第1検知部52が最上位の原稿Mと供給トレイ36との距離を検知することで、最上位の原稿Mに供給トレイ36を接触させない位置に配置することができる。さらに、第3検知部54が供給トレイ36を検知するように供給トレイ36を移動させることで、供給トレイ36を取出位置P1に配置することができる。
【0071】
また、第1実施形態に係る原稿搬送装置16によれば、排出トレイ37に原稿Mが積載されている間は、排出原稿検知部56が原稿Mを検知し続けるため、供給トレイ36を排出トレイ37から離し、排出トレイ37から原稿Mを取り出し易くすることができる。一方で、排出トレイ37から原稿Mが取り出されると、排出原稿検知部56が原稿Mを検知しなくなるため、供給トレイ36等を最下位置に戻すことができる。これにより、次の原稿Mを供給トレイ36にセットすることができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、図9および図10を参照して、第2実施形態に係る原稿搬送装置17について説明する。図9は最上位の原稿Mをピックアップローラー41に押し当てた状態を示す断面図である。図10は昇降部50の制御を説明するフローチャートである。なお、以下、第1実施形態に係る原稿搬送装置16と同一の構成(または対応する構成)には同一の符号を付し、原稿搬送装置16と同一または対応する説明は省略する。
【0073】
図9に示すように、第2実施形態に係る原稿搬送装置17では、昇降部50が、搬送部38(搬送機構部40のフレーム)に設けられた高さ検知部57を有している。高さ検知部57は、例えば透過型光センサーで構成され、排出部45の高さを検知する。なお、高さ検知部57は制御回路等を介して制御部14に電気的に接続され、制御部14は高さ検知部57の検知結果(電気信号)を受ける。また、第2実施形態に係る原稿搬送装置17でも第2検知部53を備えている。
【0074】
具体的には、高さ検知部57は、画像読取処理の開始時において、供給トレイ36が最下位置から上昇して最上位の原稿Mをピックアップローラー41に押し当てたときの排出部45(搬送ガイド46)の高さを検知する。320枚未満の原稿Mを供給トレイ36にセットした場合、画像読取処理の開始時に、排出部45(搬送ガイド46)が高さ検知部57の発光部と受光部との間に配置され、発光部から光が遮られる。制御部14は、高さ検知部57の検知結果を受け、供給トレイ36にセットされた320枚未満の原稿Mが排出トレイ37に排出されると推定する。なお、高さ検知部57の検知結果は、記憶部27に記憶される。なお、320枚未満の原稿Mを供給トレイ36にセットした場合に、高さ検知部57の発光部と受光部との間から離脱するように、排出部45に遮光部材を備えてもよい(図示せず)。
【0075】
<画像読取処理終了後の昇降部の制御>
図10に示すように、画像読取処理が終了した後、制御部14(昇降部50)は、高さ検知部57の検知結果(記憶部27に記憶された検知結果)に基づいて多排出状態ST1または少排出状態ST2を判定する(ステップS1´)。つまり、高さ検知部57が排出部45を検知していなかった場合(ステップS1´でNO)、制御部14は多排出状態ST1であると判定し、高さ検知部57が排出部45を検知していた場合(ステップS1´でYES)、制御部14は少排出状態ST2であると判定する。なお、ステップS1´後の制御工程は、第1実施形態に係る原稿搬送装置16の昇降部50の制御と同様であるため、その説明は省略する。
【0076】
以上説明した第2実施形態に係る原稿搬送装置17によれば、排出された原稿Mが少量であっても供給トレイ36の下降を制限し、排出トレイ37上の原稿Mを容易に取り出すことができる等、第1実施形態に係る原稿搬送装置16と同様の効果を得ることができる。また、高さ検知部57が排出部45の高さを検知することで、排出トレイ37にて何れの状態S1,S2であるかを正確に判定することができる。
【0077】
なお、第1および第2実施形態に係る原稿搬送装置16,17では、供給トレイ36と排出トレイ37とがリンク部材63で連結されることで、昇降機構51によって昇降可能に構成されていたが、本発明はこれに限定されない。昇降部50は、供給トレイ36を昇降させる機構と、排出トレイ37を昇降させる機構とを別々に備えていてもよい(図示せず)。
【0078】
また、第1および第2実施形態に係る原稿搬送装置16,17では、昇降機構51がラック60およびピニオン61を含む機構であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、昇降機構は、プーリーとワイヤーを含む機構であってもよいし、ピストンとシリンダーを含む機構であってもよい(図示せず)。
【0079】
また、第1および第2実施形態に係る原稿搬送装置16,17では、第1検知部52が、反射型光センサーであったが、これに限らず、例えば、レーザー距離計や超音波距離計等であってもよい(図示せず)。また、第2検知部53は揺動検知部66の光路を遮る揺動部材65を含んでいたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2検知部53は、揺動する揺動部材65によって押されるマイクロスイッチを含んでもよいし、原稿Mを光学的に検知するセンサーのみで構成されてもよい(図示せず)。また、第3検知部54は、透過型光センサーであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3検知部54は、取出位置P1に配置された供給トレイ36を検知する反射型光センサーであってもよいし、取出位置P1に配置された供給トレイ36によって押されるマイクロスイッチであってもよい(図示せず)。さらに、高さ検知部57は、透過型光センサーであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、高さ検知部57は、所定位置まで上昇した排出部45を検知する反射型光センサーであってもよいし、所定位置まで上昇した排出部45によって押されるマイクロスイッチであってもよいし、排出部45の回転角度を検出する角度センサー等であってもよい(図示せず)。
【0080】
また、第1実施形態に係る原稿搬送装置16では、第2検知部53が排出トレイ37に排出される原稿Mの枚数を検知することで、排出トレイ37上の原稿Mの高さを推定し、第2実施形態に係る原稿搬送装置17では、高さ検知部57が排出部45の高さを検知することで、排出トレイ37上の原稿Mの高さを推定していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、排出トレイ37上に積載された原稿Mの高さが規定値(F)に達したことを直接的に検知する光センサーや超音波センサー等が設けられてもよい(図示せず)。
【0081】
また、第1および第2実施形態に係る原稿搬送装置16,17では、昇降部50が画像形成装置1に備えられた制御部14によって制御されていたが、制御部14とは別に、昇降部50を制御するための専用の制御部を設けてもよい(図示せず)。
【0082】
また、本実施形態の説明では、一例として、本発明を画像形成装置1(複合機)に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、複写機またはファクシミリ若しくは画像読取専用機等に本発明を適用してもよい。
【0083】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施態様に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0084】
1 画像形成装置
1B 画像読取装置
15 読取部
16,17 原稿搬送装置
36 供給トレイ
37 排出トレイ
38 搬送部
38A 原稿搬送路
45 排出部
50 昇降部
52 第1検知部
53 第2検知部
54 第3検知部
56 排出原稿検知部
57 高さ検知部
G 所定間隔
P1 取出位置
ST1 多排出状態
ST2 少排出状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10